(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070665
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】立坑傾斜測定装置
(51)【国際特許分類】
E21D 5/00 20060101AFI20220506BHJP
E21D 7/02 20060101ALI20220506BHJP
E21D 1/00 20060101ALI20220506BHJP
G01C 9/00 20060101ALI20220506BHJP
G01C 9/06 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
E21D5/00
E21D7/02
E21D1/00 Z
G01C9/00 B
G01C9/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179846
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】391015236
【氏名又は名称】大裕株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】野村 裕晧
(72)【発明者】
【氏名】西尾 慧太
(57)【要約】 (修正有)
【課題】立坑の長さ、立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる立坑傾斜測定装置を提供する。
【解決手段】立坑傾斜測定装置1は、メインフレーム3と、メインフレーム3を支持する支持部4と、支持部4がケーシングWの内周面Wpに押し付けられるようにケーシングWの内周面Wpを押圧するメインフレーム固定用油圧シリンダ5と、メインフレーム3の傾斜角度を測定する傾斜センサ6と、を具備している。メインフレーム3は、メインフレーム固定用油圧シリンダ5がケーシングWの内周面Wpを押圧していない状態で、ケーシングWの測定位置まで移動され、前記測定位置でメインフレーム固定用油圧シリンダ5がケーシングWの内周面Wpを押圧することでケーシングWの内周面Wpに対する位置が固定されるとともに、ケーシングWの内周面Wpに沿う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立坑の傾斜角度を前記立坑の内周面において測定する立坑傾斜測定装置であって、
前記立坑の延伸方向に延びるメインフレームと、
前記メインフレームに設けられ、前記メインフレームが前記立坑の内周面に沿うように前記メインフレームを支持する支持部と、
前記メインフレームに設けられ、前記支持部が前記立坑の内周面に押し付けられるように前記立坑の内周面を押圧するメインフレーム固定用アクチュエータと、
前記メインフレームに設けられ、前記メインフレームの傾斜角度を測定する傾斜センサと、を具備し、
前記メインフレームは、前記メインフレーム固定用アクチュエータが前記立坑の内周面を押圧していない状態で前記立坑の測定位置まで移動され、前記測定位置で前記メインフレーム固定用アクチュエータが前記立坑の内周面を押圧することで前記支持部が前記立坑の内周面に押し付けられ、前記立坑の内周面に対する位置が固定されるとともに、前記立坑の内周面に沿う立坑傾斜測定装置。
【請求項2】
前記支持部は、少なくとも3か所が前記立坑の内周面に接触し、且つ少なくとも2か所が前記立坑の延伸方向に離隔して前記立坑の内周面に接触している請求項1に記載の立坑傾斜測定装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記立坑の延伸方向に回転自在のローラーから構成され、前記ローラーが前記立坑の内周面に接触する請求項1または請求項2に記載の立坑傾斜測定装置。
【請求項4】
前記メインフレームを吊り下げる天秤と、
前記メインフレームに設けられ、ワイヤを掛ける少なくとも一つの滑車と、を具備し、
前記滑車に掛けられたワイヤを介して前記天秤に吊り下げられた状態で前記立坑の測定位置まで移動される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の立坑傾斜測定装置。
【請求項5】
端部に前記天秤が設けられたロッドを具備し、
前記ワイヤを介して前記天秤に吊り下げられた状態で前記ロッドによって前記立坑の測定位置まで移動される請求項4に記載の立坑傾斜測定装置。
【請求項6】
前記メインフレームの落下を防止するサブフレームと、
前記サブフレームに設けられ、前記立坑の内周面を押圧することで前記立坑に対する前記サブフレームの位置を固定するサブフレーム固定用アクチュエータと、
前記メインフレームと前記サブフレームとに連結され、前記メインフレームと前記サブフレームとにおける前記立坑の延伸方向の間隔を変更可能な移動用アクチュエータと、を具備し、
前記サブフレーム固定用アクチュエータによって前記立坑に対する前記サブフレームの位置を固定し、前記サブフレームを基点として前記移動用アクチュエータによって前記メインフレームを前記測定位置まで移動し、前記メインフレーム固定用アクチュエータによって前記立坑に対する前記メインフレームの位置を固定すると、前記サブフレーム固定用アクチュエータによる前記立坑の内周面の押圧を解除し、前記移動用アクチュエータによって前記サブフレームを前記メインフレームに近接する方向に移動させる請求項1または請求項2に記載の立坑傾斜測定装置。
【請求項7】
前記メインフレームと前記サブフレームとに連結され、前記サブフレームに対する前記メインフレームの前記立坑の軸周りの回転を抑制する案内部材を具備する請求項6に記載の立坑傾斜測定装置。
【請求項8】
前記移動用アクチュエータおよび前記サブフレーム固定用アクチュエータは、それぞれ油圧シリンダ、空気圧シリンダまたは電動シリンダである請求項6または請求項7に記載の立坑傾斜測定装置。
【請求項9】
前記メインフレーム固定用アクチュエータは、油圧シリンダ、空気圧シリンダまたは電動シリンダである請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の立坑傾斜測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立坑傾斜測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーシング工法等において各種の立坑は、円形のケーシングを打設機で打ち込みながらクラブバケットでケーシング内の土砂を排土することで構築される。ケーシングは、打ち込む深さに応じて複数の所定長さのケーシングを連結しながら打ち込む。この際、ケーシングの打設は、ケーシングの傾斜角度が許容範囲内に収まるようにケーシングの傾斜角度を確認しながら作業を行う。ケーシングの傾斜角度は、測定治具を用いてケーシングの内周面の傾斜角度を測定する方法が知られている。例えば特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の測定治具(立坑傾斜測定装置)は、ケーシングの全長に比較して十分に小さいロッドをメインフレームとして構成されている。ロッドの上端と下端には、ロッドの長さ方向と直交する方向に張り出した複数の接触プレートが取り付けられている。また、接触プレートを取り付けた側と反対側のロッドの側面には板バネが取り付けられている。板バネは上下端部がロッドの上下端部に固定されている。板バネは、外方に凸に湾曲した部分がケーシングの内周面に接触するようになっている。測定治具は、板バネがケーシングの内周面を押圧することで、反対側にある接触プレートがケーシングの内周面に確実に押し付けられるように構成されている。また、ロッドには、鉛直線に対するロッドの傾斜角度を測定する2台の傾斜計が取り付けられている。
【0004】
ケーシングの中空部分に挿入された測定治具は、板バネによってケーシングの内周面を径方向の外方に押圧する。測定治具は、板バネの押圧力によって複数の接触プレートがケーシングの内周面に接触する。測定治具は、接触プレートと板バネとがケーシングの内周面に接触した状態でケーシングの内周面に沿って移動される。つまり、測定治具は、ロッドに設けられている2台の傾斜計をケーシングの内周面に沿わした状態を保持している。この結果、測定治具は、ケーシングの任意の場所で傾斜角度を測定することができる。しかし、特許文献1の測定治具は、板バネと複数の接触プレートがケーシングの内周面に常に接触した状態で移動するので、ケーシングの内周面の凹凸、内周面に付着している泥、土砂等によって板バネおよび複数の接触プレートとケーシングの内周面との間に生じる摩擦抵抗が増大する。このため、測定治具は、接触プレートおよび板バネとケーシングの内周面との接触距離が長い場合、摩擦抵抗によって測定治具の移動時間が増大したり移動できなくなったりする可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、立坑の長さ、立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる立坑傾斜測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、立坑の長さ、立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる立坑傾斜測定装置について検討した。鋭意検討の結果、本発明者らは、以下のような構成に想到した。
【0008】
本発明の一実施形態に係る立坑傾斜測定装置は、立坑の傾斜角度を前記立坑の内周面において測定する。
【0009】
前記立坑の延伸方向に延びるメインフレームと、前記メインフレームに設けられ、前記メインフレームが前記立坑の内周面に沿うように前記メインフレームを支持する支持部と、前記メインフレームに設けられ、前記支持部が前記立坑の内周面に押し付けられるように前記立坑の内周面を押圧するメインフレーム固定用アクチュエータと、前記メインフレームに設けられ、前記メインフレームの傾斜角度を測定する傾斜センサと、を具備している。前記メインフレームは、前記メインフレーム固定用アクチュエータが前記立坑の内周面を押圧していない状態で前記立坑の測定位置まで移動され、前記測定位置で前記メインフレーム固定用アクチュエータが前記立坑の内周面を押圧することで前記支持部が前記立坑の内周面に押し付けられ、前記立坑の内周面に対する位置が固定されるとともに、前記立坑の内周面に沿う。
【0010】
上述のように、前記立坑傾斜測定装置は、前記メインフレーム固定用アクチュエータが前記立坑の内周面を押圧していない状態で前記立坑の中空部分を前記立坑の延伸方向に移動される。従って、前記立坑傾斜測定装置の前記支持部および前記メインフレーム固定用アクチュエータと前記立坑の内周面とは、移動を阻害する摩擦抵抗が生じるほど密着していない。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、立坑の長さ、立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【0011】
他の観点によれば、本発明の立坑傾斜測定装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記支持部は、少なくとも3か所が前記立坑の内周面に接触し、且つ少なくとも2か所が前記立坑の延伸方向に離隔して前記立坑の内周面に接触している。
【0012】
上述のように、前記立坑傾斜測定装置は、少なくとも3か所の前記支持部が前記メインフレーム固定用アクチュエータによって前記立坑の内周面に押圧されるので、前記メインフレームが前記立坑の延伸方向の内周面に沿って配置される。また、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の内周面と接触する前記支持部材が分散して配置されているので、前記立坑の内周面と前記支持部材とが接触しても、移動を阻害する程度の摩擦抵抗が生じにくい。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【0013】
他の観点によれば、本発明の立坑傾斜測定装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記支持部は、前記立坑の延伸方向に回転自在のローラーから構成され、前記ローラーが前記立坑の内周面に接触する。
【0014】
上述のように、前記立坑傾斜測定装置は、前記メインフレームの移動方向である前記立坑の延伸方向に回転自在のローラーによって支持部材が構成されているので、前記メインフレームの移動中に支持部材が前記立坑の内周面に接触しても摩擦抵抗の発生がより抑制される。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【0015】
他の観点によれば、本発明の立坑傾斜測定装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記メインフレームを吊り下げる天秤と、前記メインフレームに設けられ、ワイヤを掛ける少なくとも一つの滑車と、を具備し、前記滑車に掛けられたワイヤを介して前記天秤に吊り下げられた状態で前記立坑の測定位置まで移動される。
【0016】
上述のように、前記立坑傾斜測定装置は、前記天秤を介して前記滑車に掛けられた前記ワイヤで吊り下げられているので、前記立坑の軸周りに回転しにくい。また、前記立坑傾斜測定装置は、前記ワイヤで吊り下げられているので、前記ワイヤのたわみによって前記立坑に対する吊り下げ位置が調整される。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【0017】
他の観点によれば、本発明の立坑傾斜測定装置は、以下の構成を含むことが好ましい。端部に前記天秤が設けられたロッドを具備し、前記ワイヤを介して前記天秤に吊り下げられた状態で前記ロッドによって前記立坑の測定位置まで移動される。
【0018】
上述のように、前記立坑傾斜測定装置は、前記天秤を介して2本の前記ワイヤで剛性の高い棒状部材である前記ロッドに吊り下げられているので、前記立坑の軸線まわりに回転しにくい。また、前記立坑傾斜測定装置は、前記ワイヤを介して前記ロッドに吊り下げられているので、前記ワイヤのたわみによって前記立坑に倣って吊り下げ位置が調整される。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【0019】
他の観点によれば、本発明の立坑傾斜測定装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記メインフレームの落下を防止するサブフレームと、前記サブフレームに設けられ、前記立坑の内周面を押圧することで前記立坑に対する前記サブフレームの位置を固定するサブフレーム固定用アクチュエータと、前記メインフレームと前記サブフレームとに連結され、前記メインフレームと前記サブフレームとにおける前記立坑の延伸方向の間隔を変更可能な移動用アクチュエータと、を具備する。
【0020】
前記立坑傾斜測定装置は、前記サブフレーム固定用アクチュエータによって前記立坑に対する前記サブフレームの位置を固定し、前記サブフレームを基点として前記移動用アクチュエータによって前記メインフレームを前記測定位置まで移動し、前記メインフレーム固定用アクチュエータによって前記立坑に対する前記メインフレームの位置を固定すると、前記サブフレーム固定用アクチュエータによる前記立坑の内周面の押圧を解除し、前記移動用アクチュエータによって前記サブフレームを前記メインフレームに近接する方向に移動させる。
【0021】
上述のように、前記立坑傾斜測定装置は、前記サブフレームを前記サブフレーム固定用アクチュエータによって前記立坑の内周面に固定した状態で前記移動用アクチュエータを前記立坑の延伸方向に伸ばすことで、前記メインフレームの落下を防止しつつ、前記サブフレームを基点として前記メインフレームを前記立坑の延伸方向に移動させることができる。この際、前記メインフレーム用固定用アクチュエータによって前記立坑の内周面を押圧していないので、前記支持部および前記メインフレーム固定用アクチュエータと前記立坑の内周面とは、移動を阻害する摩擦抵抗が生じるほど密着していない。
【0022】
次に、前記立坑傾斜測定装置は、前記メインフレームを前記メインフレーム固定用アクチュエータによって前記立坑の内周面に固定した状態で前記サブフレームを前記メインフレームに引き寄せる。この際、前記サブフレーム用固定用アクチュエータによって前記立坑の内周面を押圧していないので、前記サブフレームおよび前記サブフレーム固定用アクチュエータと前記立坑の内周面とは、移動を阻害する摩擦抵抗が生じるほど密着していない。
【0023】
このように、前記立坑傾斜測定装置は、前記メインフレームと前記サブフレームとの移動に応じて、前記メインフレーム固定用アクチュエータと前記サブフレーム固定用アクチュエータとによる前記立坑の押圧状態を切り替える。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、前記移動用アクチュエータによって速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【0024】
他の観点によれば、本発明の立坑傾斜測定装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記立坑傾斜測定装置は、前記メインフレームと前記サブフレームとに連結され、前記サブフレームに対する前記メインフレームの前記立坑の軸周りの回転を抑制する案内部材を具備する。
【0025】
上述のように、前記サブフレームを具備する前記立坑傾斜測定装置は、前記案内部材によって、前記サブフレームと前記メインフレームとの間での前記立坑の軸周りの回転が抑制される。従って、前記立坑傾斜測定装置は、前記サブフレームを基点として前記メインフレームを移動させる際の前記メインフレームの姿勢の安定性が向上する。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、前記移動用アクチュエータによって速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【0026】
他の観点によれば、本発明の立坑傾斜測定装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記メインフレーム固定用アクチュエータは、油圧シリンダ、空気圧シリンダまたは電動シリンダである。また、前記移動用アクチュエータおよび前記サブフレーム固定用アクチュエータは、それぞれ油圧シリンダ、空気圧シリンダまたは電動シリンダである。
【0027】
上述のように、前記立坑傾斜測定装置は、各アクチュエータが制御可能な油圧シリンダ、空気圧シリンダまたは電動シリンダによって構成されているので、移動時における前記立坑の内周面の押圧状態を変更することができる。これにより、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、前記移動用アクチュエータによって速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記立坑傾斜測定装置は、前記立坑の長さ、前記立坑の内周面の状態に関わらず、前記移動用アクチュエータによって速やかに任意の測定位置まで移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は立坑傾斜測定装置の第一実施形態における全体構成を示す概略図。
【
図2】
図2は立坑傾斜測定装置本体を示す。(A)は、立坑傾斜測定装置本体の正面図を示し、(B)は、立坑傾斜測定装置本体の側面図を示す。
【
図3】
図3は立坑傾斜測定装置本体をケーシングに挿入した状態を示す側面図。
【
図4】
図4は立坑傾斜測定装置本体をケーシングに沿わせた状態を示す側面図。
【
図5】
図5は立坑傾斜測定装置の第2実施形態における立坑傾斜測定装置本体の側面図。
【
図6】
図6は立坑傾斜測定装置の第3実施形態における立坑傾斜測定装置本体の側面図。
【
図7】
図7は立坑傾斜測定装置の第4実施形態における立坑傾斜測定装置本体の側面図。
【
図8】
図8は立坑傾斜測定装置の第4実施形態におけるメインフレーム前進工程を示す。(A)は、サブフレームを固定した立坑傾斜測定装置本体の側面図を示し、(B)は、メインフレームを前進させた立坑傾斜測定装置本体の側面図を示し、(C)は、メインフレームを固定した立坑傾斜測定装置本体の側面図を示す。
【
図9】
図9は立坑傾斜測定装置の第4実施形態におけるサブフレーム前進工程を示す。(A)は、サブフレームを開放した立坑傾斜測定装置本体の側面図を示し、(B)は、サブフレームを前進させた立坑傾斜測定装置本体の側面図を示し、(C)は、サブフレームを固定した立坑傾斜測定装置本体の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0032】
図1と
図2とを用いて、本発明に係る立坑傾斜測定装置の第一実施形態である立坑傾斜測定装置1について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る立坑傾斜測定装置1の全体構成を示す側面図である。
図2(A)は、立坑傾斜測定装置本体2の正面図を示す。
図2(B)は、立坑傾斜測定装置本体2の側面図を示す。本実施形態において、立坑傾斜測定装置1は、スタンドパイプSの内部に打ち込まれた立坑を構成するケーシングWの傾斜を測定するものとする。
【0033】
図1に示すように、立坑傾斜測定装置1は、ケーシングWの内周面Wpの傾斜を測定する測定装置である。立坑傾斜測定装置1は、立坑傾斜測定装置本体2、デルタ天秤9、ホースリール部10、ケーブルリール部11を具備している。
【0034】
図2(A)、(B)に示すように、立坑傾斜測定装置1に含まれる立坑傾斜測定装置本体2は、ケーシングWの中空部分であるケーシングWの内部に挿入される部分である。立坑傾斜測定装置本体2は、メインフレーム3、支持部4、メインフレーム固定用アクチュエータであるメインフレーム固定用油圧シリンダ5、傾斜センサ6、滑車7を具備する。
【0035】
メインフレーム3は、立坑傾斜測定装置本体2を構成する主な構造体である。メインフレーム3は、板面を対向させて平行に配置した一対の板状部材から構成されている。一対の板状部材は、互いに連結されている。メインフレーム3は、平面視で略長方形状に形成されている。つまり、メインフレーム3は、ケーシングWの延伸方向に延びるように構成されている。メインフレーム3の長手方向における両端部には、メインフレーム固定用アクチュエータを固定する油圧シリンダ取付部3aが設けられている。油圧シリンダ取付部3aは、メインフレーム3の長手方向に垂直、且つ一対の板状部材の板面に沿う方向に突出している。つまり、油圧シリンダ取付部3aは、メインフレーム3の長手方向に見てメインフレームの略中央を中心とする径方向に突出している。
【0036】
支持部4は、メインフレーム3を支持する。支持部4は、メインフレーム3の長手方向の両端部に設けられている。メインフレーム3の各端部における支持部4は、メインフレーム固定用油圧シリンダ5の押圧力を支持可能に配置されている。例えば、メインフレーム3の各端部における各支持部4は、メインフレーム3の長手方向に見てメインフレーム固定用油圧シリンダ5の軸線を対称線とする線対称になるように配置されている。本実施形態において、支持部4は、メインフレーム3の長手方向に見てメインフレーム3の略中央を中心とする円弧部分を有する円弧状部材から構成されている。支持部4は、油圧シリンダ取付部3aの突出方向と反対の方向に曲面が突出するように配置されている。また、支持部4は、ケーシングWの内径よりも大きい外径の円弧状部材から構成されている。このように構成される各端部の支持部4は、ケーシングWの内周面Wp(
図3参照)に接触した場合、メインフレーム固定用油圧シリンダ5の軸線を対称線とする線対称になるように2か所でケーシングWの内周面Wpに接触する。つまり、メインフレーム3の両端部に設けられている支持部4は、4か所がケーシングWの内周面Wpに接触し、且つ2か所ずつがケーシングWの延伸方向に離隔した位置で接触するように構成されている。
【0037】
メインフレーム固定用油圧シリンダ5は、メインフレーム3をケーシングWの測定位置Pmで固定する。メインフレーム固定用油圧シリンダ5は、メインフレーム3の油圧シリンダ取付部3aにそれぞれ固定されている。メインフレーム固定用油圧シリンダ5は、メインフレーム3の長手方向に見てメインフレーム3の略中央を中心とする径方向の外方にピストンロッド5aが移動した固定位置P5fと、径方向の内方にピストンロッド5aが移動した開放位置P5rとに切り替わるように配置されている。これにより、メインフレーム固定用油圧シリンダ5は、固定位置P5fに切り替えられた場合、メインフレーム3の長手方向に見て油圧シリンダ取付部3aと対向するように配置されている支持部4を径方向外方に押し付ける反力が伝達される。
【0038】
傾斜センサ6は、メインフレーム3の傾斜を測定する。傾斜センサ6は、静電容量式の傾斜センサ6である。また、傾斜センサ6は、鉛直方向に対して直交するX軸の傾斜角度と、鉛直方向とX軸とに直交するY軸の鉛直方向に対する傾斜角度とを検出する2軸の傾斜センサである。傾斜センサ6は、X軸とY軸とがメインフレーム3の長手方向に対してそれぞれ垂直になるように配置されている。つまり、傾斜センサ6は、鉛直方向に対するメインフレーム3の長手方向の傾斜角度をX軸とY軸によって検出可能に構成されている。
【0039】
2個の滑車7は、立坑傾斜測定装置本体2を吊り下げるワイヤ8が掛けられる。2個の滑車7は、メインフレーム3の一方の端部に設けられている。2個の滑車7は、メインフレーム3の長手方向に直交する方向に所定の間隔で並んで配置されている。本実施形態において、2つの滑車7は、メインフレーム固定用油圧シリンダ5の押圧方向に回転軸の軸線を向けて配置されている。2つの滑車7には、1本のワイヤ8が掛けられている。
【0040】
天秤であるデルタ天秤9は、立坑傾斜測定装置本体2を吊り下げるワイヤ8が連結される。デルタ天秤9は、略三角形状に形成されている。デルタ天秤9は、中央の頂部をクレーンC等のフックによって支持される支点9aとし、両端部の頂部を吊り荷が吊り下げられる作用点9bとして用いられる。本実施形態において、デルタ天秤9の各作用点9bには、立坑傾斜測定装置本体2の2つの滑車7に掛けられた一本のワイヤ8の両端部が連結されている。つまり、デルタ天秤9は、所定の間隔をあけた等しい長さの2本のワイヤ8で吊り下げている状態と等しい状態で立坑傾斜測定装置本体2を吊り下げている。
【0041】
図1に示すように、ホースリール部10は、立坑傾斜測定装置本体2に作動油を供給する油圧ホース10eを繰り入れおよび繰り出すものである。ホースリール部10は、予め設置されているスタンドパイプS等に取り付けられる。ホースリール部10は、ホースリール10a、ホースリール駆動用モータ10b、ウェイトローラー10c、ガイドシープ10d、油圧ホース10e等から構成されている。油圧ホース10e等は、立坑傾斜測定装置本体2のメインフレーム固定用油圧シリンダ5に接続されている。
【0042】
ホースリール部10は、共用フレーム12に回転自在に支持されているホースリール10aをホースリール駆動用モータ10bで駆動することで、ホースリール10aに収納されている油圧ホース10eを繰り出し、油圧ホース10eを繰り入れることができる。また、ホースリール部10は、繰り出した油圧ホース10eに一定のテンションが発生するようにウェイトローラー10cを有している。また、ホースリール部10は、繰り出した油圧ホース10eの位置を維持するガイドシープ10dを有している。ホースリール部10は、立坑傾斜測定装置本体2の移動に応じて油圧ホース10eを繰り出しまたは繰り入れるように制御される。
【0043】
ケーブルリール部11は、立坑傾斜測定装置本体2に電力、制御信号を伝達する電源ケーブルおよび信号線等する繰り入れおよび繰り出すものである。ケーブルリール部11は、予め設置されているスタンドパイプS等に取り付けられる。ケーブルリール部11は、ケーブルリール11a、ケーブルリール駆動用モータ11b、ウェイトローラー11c、ガイドシープ11d、電源ケーブルおよび信号線等から構成されている。電源ケーブルおよび信号線等は、立坑傾斜測定装置本体2のメインフレーム固定用アクチュエータ、傾斜センサ6等に接続されている。
【0044】
ケーブルリール部11は、共用フレーム12に回転自在に支持されているケーブルリール11aをケーブルリール駆動用モータ11bで駆動することで、ケーブルリール11aに収納されている電源ケーブル、信号線等(以下、単に「電線11e」と記す)を繰り出し、電線11eを繰り入れることができる。また、ケーブルリール部11は、繰り出した電線11eに一定のテンションが発生するようにウェイトローラー11cを有している。また、ケーブルリール部11は、繰り出した電線11eの位置を維持するガイドシープ11dを有している。ケーブルリール部11は、立坑傾斜測定装置本体2の移動に応じて電線11eを繰り出しまたは繰り入れるように制御される。
【0045】
このように構成される立坑傾斜測定装置1は、デルタ天秤9を介してクレーンCに吊り下げられた立坑傾斜測定装置本体2がメインフレーム3の長手方向をケーシングWの延伸方向に向けて、ケーシングWの内部に挿入される。これにより、立坑傾斜測定装置本体2におけるメインフレーム固定用油圧シリンダ5は、ケーシングWの径方向に伸縮するように配置される。つまり、メインフレーム固定用油圧シリンダ5は、ケーシングWの内周面Wpを押圧するように配置される。また、立坑傾斜測定装置本体2における支持部4は、円弧形状部分がケーシングWの径方向に突出するように配置される。つまり、支持部4の円弧形状部分は、ケーシングWの内周面Wpに接触するように配置される。
【0046】
次に、
図3と
図4とを用いて立坑傾斜測定装置1によるケーシングWの傾斜角度の測定について説明する。
図3は、本発明の第一実施形態に係る立坑傾斜測定装置1の立坑傾斜測定装置本体2をケーシングWに挿入した状態を示す側面図である。
図4は、本発明の第一実施形態に係る立坑傾斜測定装置1の立坑傾斜測定装置本体2をケーシングWに沿わせた状態を示す側面図である。本実施形態において、立坑傾斜測定装置本体2は、デルタ天秤9を介してクレーンCで吊り下げられた状態でケーシングWの内部に挿入されているものとする(
図1参照)。
【0047】
立坑傾斜測定装置1は、クレーンCのフックの繰り出しに合わせてホースリール部10とケーブルリール部11とから油圧ホース10e等と電線11eを繰り出す(
図1参照)。
【0048】
図3に示すように、立坑傾斜測定装置本体2は、メインフレーム3の長手方向を移動方向としてケーシングWの内部を降下する。この際、立坑傾斜測定装置本体2は、2つの滑車7に掛けられたワイヤ8の両端部がデルタ天秤9の作用点9bに連結されていることで、ケーシングWの軸線まわりの回転が抑制される。立坑傾斜測定装置本体2のメインフレーム固定用油圧シリンダ5は、開放位置P5rに保持されている。すなわち、メインフレーム固定用油圧シリンダ5のピストンロッド5aは、ケーシングWの径方向の内方に移動しているので、ケーシングWの内周面Wpを押圧していない。従って、メインフレーム固定用油圧シリンダ5および支持部4とケーシングWの内周面Wpとの間には、立坑傾斜測定装置本体2の移動を阻害する程度の摩擦抵抗が生じていない。
【0049】
図4に示すように、立坑傾斜測定装置1は、立坑傾斜測定装置本体2がケーシングWの測定位置Pmに到達するとメインフレーム固定用油圧シリンダ5を固定位置P5fに切り替える。すなわち、メインフレーム固定用油圧シリンダ5のピストンロッド5aは、ケーシングWの径方向の外方に移動されることでケーシングWの内周面Wpを押圧する。また、メインフレーム固定用油圧シリンダ5は、メインフレーム3の長手方向に見て油圧シリンダ取付部3aに対向する位置に配置されている支持部4を径方向外方に押し付ける。従って、メインフレーム固定用油圧シリンダ5および支持部4とケーシングWの内周面Wpとの間には、立坑傾斜測定装置本体2の移動を阻害する程度の摩擦抵抗が生じる。
【0050】
立坑傾斜測定装置本体2の支持部4は、ケーシングWの延伸方向に並んだ位置でケーシングWの内周面Wpに押圧される。これにより、立坑傾斜測定装置本体2のメインフレーム3は、長手方向がケーシングWの内周面Wpの延伸方向に沿った状態でケーシングWに固定される。同様に、メインフレーム3に取り付けられている傾斜センサ6は、測定基準であるX軸およびY軸がメインフレーム3の長手方向に直交するように配置されている。つまり、傾斜センサ6は、鉛直方向に対するメインフレーム3の長手方向の傾斜角度をX軸の傾斜角度とY軸の傾斜角度とによって検出する。これにより、立坑傾斜測定装置1は、メインフレーム3における傾斜角度をケーシングWの測定位置Pmにおける傾斜角度として取得することができる。
【0051】
立坑傾斜測定装置1は、測定位置PmにおけるケーシングWの傾斜角度の測定が終了すると、メインフレーム固定用油圧シリンダ5を開放位置P5rに切り替える。すなわち、メインフレーム固定用油圧シリンダ5のピストンロッド5aは、ケーシングWの径方向の内方に移動されることでケーシングWの内周面Wpから離隔する。また、メインフレーム固定用油圧シリンダ5は、支持部4を径方向外方に押し付けない。従って、メインフレーム固定用油圧シリンダ5および支持部4とケーシングWの内周面Wpとの間には、立坑傾斜測定装置本体2の移動を阻害する程度の摩擦抵抗が生じない。立坑傾斜測定装置本体2は、次の測定位置PmまでクレーンCによって移動される。
【0052】
このように構成される立坑傾斜測定装置本体2は、メインフレーム固定用油圧シリンダ5がケーシングWの内周面Wpを押圧していない状態でケーシングWの内部をケーシングWの軸線方向に移動される。従って、立坑傾斜測定装置本体2の支持部4およびメインフレーム固定用油圧シリンダ5とケーシングWの内周面Wpとは、立坑傾斜測定装置本体2の移動を阻害する摩擦抵抗が生じるほど密着していない。
【0053】
また、立坑傾斜測定装置本体2は、測定位置Pmにおいて、メインフレーム3の両端部に設けられた支持部4においてそれぞれ2か所がメインフレーム固定用油圧シリンダ5によってケーシングWの内周面Wpに押圧される。従って、メインフレーム3は、ケーシングWの内周面Wpに沿って配置される。また、立坑傾斜測定装置本体2は、ケーシングWの内周面Wpと接触する支持部4が分散して配置されているので、立坑傾斜測定装置本体2の移動時にケーシングWの内周面Wpと支持部4の少なくとも1つとが接触しても、移動を阻害する程度の摩擦抵抗が生じにくい。
【0054】
また、立坑傾斜測定装置本体2は、デルタ天秤9を介して2個の滑車7に掛けられたワイヤ8で吊り下げられているので、ケーシングWの軸周りに回転しにくい。また、立坑傾斜測定装置本体2は、ワイヤ8で吊り下げられているので、ワイヤ8のたわみによってケーシングWに対する吊り下げ位置が調整される。これにより、立坑傾斜測定装置1は、ケーシングWの長さ、ケーシングWの内周面Wpの状態に関わらず、立坑傾斜測定装置本体2を速やかに任意の測定位置Pmまで移動させることができる。また、立坑傾斜測定装置1は、測定位置Pmにおいて、メインフレーム固定用油圧シリンダ5によってメインフレーム3をケーシングWに沿わせて固定するので、測定位置PmでのケーシングWの傾斜角度を確実に測定することができる。
【0055】
次に、
図5を用いて、本発明の第2実施形態である立坑傾斜測定装置1Aについて説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る立坑傾斜測定装置1Aの立坑傾斜測定装置本体2をケーシングWに挿入した状態を示す側面図である。なお、以下の各実施形態に係る立坑傾斜測定装置1Aは、
図1から
図4に示す立坑傾斜測定装置1において、立坑傾斜測定装置1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととする。以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0056】
図5に示すように、立坑傾斜測定装置1Aに含まれる立坑傾斜測定装置本体2Aは、ケーシングWの中空部分であるケーシングWの内部に挿入される部分である。立坑傾斜測定装置本体2Aは、メインフレーム3、支持部である支持ローラー13、メインフレーム固定用油圧シリンダ5、傾斜センサ6、滑車7を具備する。
【0057】
支持ローラー13は、メインフレーム3を支持する。支持ローラー13は、メインフレーム3の長手方向の両端部に複数個ずつ設けられている。メインフレーム3の各端部における各支持ローラー13は、メインフレーム固定用油圧シリンダ5の押圧力を支持可能に配置されている。例えば、メインフレーム3の各端部における各支持ローラー13は、メインフレーム3の長手方向に見てメインフレーム固定用油圧シリンダ5の軸線を対称線とする線対称になるように配置されている。また、支持ローラー13は、メインフレーム3の長手方向に回転自在に設けられる。このように配置される複数の支持ローラー13は、ケーシングWの半径方向へのメインフレーム3の移動を規制し、且つケーシングWの軸方向へのメインフレーム3の移動を許容している。
【0058】
本実施形態において、メインフレーム3の各端部における支持ローラー13は、メインフレーム3の長手方向に見てメインフレーム固定用油圧シリンダ5の軸線を対称線とする線対称になるように2個ずつ設けられている。つまり、メインフレーム3の各端部に設けられている4個の支持ローラー13は、ケーシングWの内周面Wpにそれぞれ接触し、且つ2個ずつケーシングWの軸線方向に離隔した位置でケーシングWの内周面Wpに接触するように構成されている。なお、支持ローラー13は、メインフレーム3の長手方向に見てメインフレーム固定用油圧シリンダ5の軸線を対称線とする線対称になるように十分な幅を有するローラーが1個ずつ設けられていてもよい。
【0059】
立坑傾斜測定装置1Aは、クレーンCのフックの繰り出しに合わせてホースリール部10とケーブルリール部11とから油圧ホース10e等と電線11eを繰り出す(
図1参照)。立坑傾斜測定装置本体2Aは、メインフレーム3の長手方向を移動方向としてケーシングWの内部を降下する。立坑傾斜測定装置本体2Aのメインフレーム固定用油圧シリンダ5は、開放位置P5rに保持されている。すなわち、メインフレーム固定用油圧シリンダ5のピストンロッド5aは、ケーシングWの径方向の内方に移動しているので、ケーシングWの内周面Wpを押圧していない。また、立坑傾斜測定装置1Aの支持ローラー13は、立坑傾斜測定装置本体2Aの移動方向に回転可能に構成されている。従って、メインフレーム固定用油圧シリンダ5および支持ローラー13とケーシングWの内周面Wpとの間には、支持ローラー13の回転により立坑傾斜測定装置本体2Aの移動を阻害する程度の摩擦抵抗が生じていない。
【0060】
このように、立坑傾斜測定装置1Aは、メインフレーム3の移動方向に回転自在の支持ローラー13によってメインフレーム3が支持されているので、立坑傾斜測定装置本体2Aの移動中に支持ローラー13ケーシングWの内周面Wpに接触しても支持ローラー13の回転により摩擦抵抗の発生がより抑制される。これにより、立坑傾斜測定装置1Aは、ケーシングWの長さ、ケーシングWの内周面Wpの状態に関わらず、速やかに任意の測定位置Pmまで立坑傾斜測定装置本体2Aを移動させることができる。
【0061】
次に、
図6を用いて、本発明の第3実施形態である立坑傾斜測定装置1Bについて説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る立坑傾斜測定装置1Bの立坑傾斜測定装置本体2をケーシングWに挿入した状態を示す側面図である。
【0062】
図6に示すように、立坑傾斜測定装置1Bは、立坑であるケーシングWの内周面Wpの傾斜角度を測定する測定装置である。立坑傾斜測定装置1Bは、立坑傾斜測定装置本体2、少なくとも1本のロッド14、デルタ天秤9、ホースリール部10(
図1参照)、ケーブルリール部11(
図1参照)を具備している。
【0063】
ロッド14は、立坑傾斜測定装置本体2を吊り下げながら測定位置Pmに移動させる。ロッド14は、剛性の高い所定長さの棒状部材から構成されている。ロッド14は、両端部に他のロッド14またはクレーンCのフックに接続可能に構成されている。つまり、ロッド14は、クレーンCに吊り下げられたり、他のロッド14が連結されたりする。
【0064】
ホースリール10aおよびケーブルリール11aが設けられている共用フレーム12には、ロッド保持装置12aが設けられている。ロッド保持装置12aは、クレーンCのフックに連結されている一のロッド14を保持する。ロッド保持装置12aに保持された一のロッド14は、クレーンCのフックを取り外した場合にロッド14の落下を防止する。このように、ロッド保持装置12aは、クレーンCに吊り下げられている一のロッド14に他のロッド14を連結するためにクレーンCから取り外した一のロッド14を保持する。
【0065】
最も立坑傾斜測定装置本体2に近接しているロッド14の一側端部には、デルタ天秤9が連結されている。デルタ天秤9の各作用点9bには、立坑傾斜測定装置本体2の2つの滑車7に掛けられた一本のワイヤ8の両端部が連結されている。つまり、ロッド14の一側端部には、デルタ天秤9を介して、所定の間隔をあけた等しい長さの2本のワイヤで吊り下げている状態と等しい状態で立坑傾斜測定装置本体2が吊り下げられている。立坑傾斜測定装置本体2の2つの滑車7に掛けられた一本のワイヤ8は、立坑傾斜測定装置本体2の位置、姿勢がケーシングWに倣う程度の長さに構成されている。ロッド14の他側端部には、クレーンCのフックに連結されている。このように、デルタ天秤9に吊り下げられている立坑傾斜測定装置本体2は、少なくとも一つのロッド14を介してクレーンCのフックに連結されている。これにより、立坑傾斜測定装置本体2は、ワイヤ8よりも剛性の高いロッド14の割合が多い組み合わせでクレーンCに吊り下げられている。
【0066】
立坑傾斜測定装置1Bは、クレーンCのフックの繰り出しに合わせてホースリール部10とケーブルリール部11とから油圧ホース10eと電線11eとを繰り出す(
図1参照)。立坑傾斜測定装置本体2は、メインフレーム3の長手方向を移動方向としてケーシングWの内部を降下する。この際、立坑傾斜測定装置本体2は、ワイヤ8よりも剛性の高いロッド14の割合が多い構成でクレーンCに吊り下げられているので、ワイヤ8のねじれによるケーシングWの軸線まわりの回転が抑制される。
【0067】
上述のように、立坑傾斜測定装置本体2は、ワイヤ8、デルタ天秤9を介してワイヤ8よりも剛性の高いロッド14に吊り下げられているので、ケーシングWの軸線まわりに回転しにくい。また、立坑傾斜測定装置本体2は、ワイヤ8を介してデルタ天秤9に吊り下げられているので、ワイヤ8のたわみによってケーシングWに倣って吊り下げ位置が調整される。これにより、立坑傾斜測定装置本体2は、ケーシングWの長さ、ケーシングWの内周面Wpの状態に関わらず、立坑傾斜測定装置本体2を所定の姿勢で速やかに任意の測定位置Pmまで移動させることができる。
【0068】
次に、
図7から
図9を用いて、本発明の第4実施形態である立坑傾斜測定装置1Cについて説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る立坑傾斜測定装置1Cの立坑傾斜測定装置本体2の側面図である。
図8は、本発明の第4実施形態に係る立坑傾斜測定装置1Cのメインフレーム前進工程を示す図である。
図9は、本発明の第4実施形態に係る立坑傾斜測定装置1Cのサブフレーム前進工程を示す図である。
【0069】
図7に示すように、立坑傾斜測定装置1Cに含まれる立坑傾斜測定装置本体2Cは、ケーシングWの中空部分であるケーシングWの内部に挿入される部分である。立坑傾斜測定装置本体2Cは、メインフレーム3、支持部4、メインフレーム固定用油圧シリンダ5、傾斜センサ6、サブフレーム15、サブフレーム固定用アクチュエータであるサブフレーム固定用油圧シリンダ16、移動用アクチュエータである移動用油圧シリンダ17、案内部材18を具備する。
【0070】
サブフレーム15は、メインフレーム3の落下を防止する。サブフレーム15は、板状部材を組み合わせた直方体から構成されている。サブフレーム15における一の側面には、サブフレーム固定用油圧シリンダ16を固定する油圧シリンダ取付面15aが設けられている。また、油圧シリンダ取付面15aと対向する他の側面には支持面15bが設けられている。サブフレーム15には、脱落防止用のワイヤが連結されている。
【0071】
サブフレーム固定用油圧シリンダ16は、サブフレーム15をケーシングWの任意の位置で固定する。サブフレーム固定用油圧シリンダ16は、サブフレーム15の油圧シリンダ取付面15aに固定されている。サブフレーム固定用油圧シリンダ16は、油圧シリンダ取付面15aからサブフレーム15の外方にピストンロッド16aが移動した固定位置P16fと、サブフレーム15の内方にピストンロッド16aが移動した開放位置P16rとに切り替わるように配置されている。これにより、サブフレーム固定用油圧シリンダ16は、固定位置P16fに切り替えられた場合、油圧シリンダ取付面15aの反対の方向に配置されている支持面15bをサブフレーム15の外方に押圧する反力が伝達される。
【0072】
移動用油圧シリンダ17は、立坑傾斜測定装置本体2Cを移動させる。移動用油圧シリンダ17のピストンロッド17aは、サブフレーム15に連結されている。移動用油圧シリンダ17のピストンロッド17aは、サブフレーム固定用油圧シリンダ16のピストンロッド16aの移動方向に直交するように配置されている。移動用油圧シリンダ17のピストンロッド17aは、軸線方向に伸縮自在の蛇腹カバー17cで覆われている。移動用油圧シリンダ17のシリンダチューブ17bは、立坑傾斜測定装置本体2Cに連結されている。シリンダチューブ17bは、メインフレーム3の長手方向に沿うように配置されている。つまり、移動用油圧シリンダ17は、立坑傾斜測定装置本体2Cの長手方向におけるメインフレーム3とサブフレーム15との間隔を変更可能に構成されている。移動用油圧シリンダ17は、サブフレーム15とメインフレーム3と離隔した離隔位置P17sと、サブフレーム15とメインフレーム3とが近接した近接位置P17cとに切り替わるように配置されている。
【0073】
案内部材18は、サブフレーム15に対するメインフレーム3の姿勢を保持する。案内部材18は、棒状部材から構成されている。案内部材18は、移動用油圧シリンダ17のピストンロッド17aと平行になるようにサブフレーム15に連結されている。また、案内部材18は、軸線方向に摺動自在な構成でメインフレーム3に保持されている。案内部材18は、移動用油圧シリンダ17によってメインフレーム3とサブフレーム15との間隔が変更されると、サブフレーム15と一体に移動する。一方、案内部材18は、メインフレーム3に対して軸線方向に摺動する。この際、案内部材18は、移動用油圧シリンダ17のピストンロッド17aと平行に配置されているので、サブフレーム15に対するメインフレーム3の姿勢が保持される。
【0074】
このように構成される立坑傾斜測定装置本体2Cは、メインフレーム3の長手方向をケーシングWの延伸方向に向けて、メインフレーム3からケーシングWの内部に挿入される(
図8参照)。これにより、立坑傾斜測定装置本体2Cは、移動用油圧シリンダ17によってケーシングWの軸線方向にメインフレーム3とサブフレーム15の間隔を変更するように配置される。また、サブフレーム15におけるサブフレーム固定用油圧シリンダ16は、ピストンロッド16aがケーシングWの径方向に伸縮するように配置される。つまり、サブフレーム固定用油圧シリンダ16は、ケーシングWの内周面Wpを押圧するように配置される。また、サブフレーム15における支持面15bは、ケーシングWの内周面Wpに接触するように配置される。つまり、サブフレーム15における支持面15bは、サブフレーム固定用油圧シリンダ16によってケーシングWの内周面Wpを押圧するように配置される。これにより、サブフレーム15は、メインフレーム固定用油圧シリンダ5を開放位置P5rに切り替えた際に立坑傾斜測定装置本体2Cの落下を防止することができる。
【0075】
次に、
図8を用いて立坑傾斜測定装置1CによるケーシングWの傾斜角度の測定におけるメインフレーム前進工程、サブフレーム前進工程、傾斜測定工程、メインフレーム後進工程およびサブフレーム後進工程を説明する。なお、実施形態において、各工程は、ケーシングWの入り口から地下に向かう移動を前進と定義し、地下からケーシングWの入り口に向かう移動を後進と定義する。
【0076】
図8(A)に示すように、立坑傾斜測定装置1Cは、立坑傾斜測定装置本体2CがケーシングWの内部に挿入されると、サブフレーム固定用油圧シリンダ16を固定位置P16fに切り替える(白塗矢印参照)。これにより、サブフレーム15は、ケーシングWの内部に固定される。
【0077】
図8(B)に示すように、メインフレーム前進工程として、立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15がケーシングWの内部に固定されると、移動用油圧シリンダ17を離隔位置P17sに切り替える(白塗矢印参照)。これにより、メインフレーム3は、サブフレーム15を基点として移動用油圧シリンダ17のストローク分だけケーシングWの内部を前進される。この際、メインフレーム3は、案内部材18によってケーシングWの軸線まわりの回転が抑制される。
【0078】
図8(C)に示すように、立坑傾斜測定装置1Cは、メインフレーム3が移動用油圧シリンダ17のストローク分だけケーシングWの内部を前進されると、メインフレーム固定用油圧シリンダ5を固定位置P5fに切り替える(白塗矢印参照)。これにより、メインフレーム3は、長手方向がケーシングWの内周面の延伸方向に沿った状態でケーシングWの内部に固定される。
【0079】
図9(A)に示すように、サブフレーム前進工程として、立坑傾斜測定装置1Cは、メインフレーム3がケーシングWの内部に固定されると、サブフレーム固定用油圧シリンダ16を開放位置P16rに切り替える(白塗矢印参照)。これにより、サブフレーム15は、ケーシングWの内部での固定が解除される。
【0080】
図9(B)に示すように、立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15のケーシングWの内部で固定が解除されると、移動用油圧シリンダ17を近接位置P17cに切り替える(白塗矢印参照)。サブフレーム15は、メインフレーム3を基点としてメインフレーム3の近傍まで前進される。この際、サブフレーム15は、案内部材18によってケーシングWの軸線まわりの回転が抑制される。
【0081】
図9(C)に示すように、立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15がメインフレーム3の近傍まで前進されると、サブフレーム固定用油圧シリンダ16を固定位置P16fに切り替える(白塗矢印参照)。これにより、サブフレーム15は、ケーシングWの内部に固定される。
【0082】
立坑傾斜測定装置1Cは、メインフレーム3がケーシングWの測定位置Pmに到達していない場合、再びメインフレーム前進工程とサブフレーム前進工程とを実施する。一方、立坑傾斜測定装置1Cは、メインフレーム3がケーシングWの測定位置Pmに到達した場合、ケーシングWの傾斜角度を測定する傾斜測定工程を実施する。
【0083】
傾斜測定工程として、立坑傾斜測定装置1Cは、傾斜センサ6によって鉛直方向に対するメインフレーム3の長手方向のX軸の傾斜角度とY軸の傾斜角度とを検出する。立坑傾斜測定装置1Cは、検出したX軸の傾斜角度とY軸の傾斜角度とに基づいてケーシングWの測定位置Pmにおける傾斜角度を算出する。立坑傾斜測定装置1Cは、他の測定位置Pmでの測定が残っている場合、メインフレーム前進工程、サブフレーム前進工程および傾斜測定工程を実施する。
【0084】
立坑傾斜測定装置1Cは、ケーシングWの傾斜角度の測定が全て完了すると、サブフレーム後進工程とメインフレーム後進工程とを実施する。
【0085】
サブフレーム後進工程として、立坑傾斜測定装置1Cは、メインフレーム3がケーシングWの内部に固定されると(
図9(C)参照)、サブフレーム固定用油圧シリンダ16を開放位置P16rに切り替える(
図9(B)参照)。これにより、サブフレーム15は、ケーシングWの内部での固定が解除される。
【0086】
立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15のケーシングWの内部で固定が解除されると、移動用油圧シリンダ17を離隔位置P17sに切り替える(
図9(A)参照)。これにより、サブフレーム15は、メインフレーム3を基点として移動用油圧シリンダ17のストローク分だけケーシングWの内部を後進される。
【0087】
立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15が移動用油圧シリンダ17のストローク分だけケーシングWの内部を後進されると、サブフレーム固定用油圧シリンダ16を固定位置P16fに切り替える(
図8(C)参照)。これにより、サブフレーム15は、ケーシングWの内部に固定される。
【0088】
メインフレーム後進工程として、立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15がケーシングWの内部に固定されると、メインフレーム固定用油圧シリンダ5を開放位置P5rに切り替える。(
図8(B)参照)これにより、メインフレーム3は、ケーシングWの内部での固定が解除される。
【0089】
立坑傾斜測定装置1Cは、メインフレーム3のケーシングWの内部で固定が解除されると、移動用油圧シリンダ17を近接位置P17cに切り替える(
図8(A)参照)。これにより、メインフレーム3は、サブフレーム15を基点として移動用油圧シリンダ17のストローク分だけケーシングWの内部を後進される。
【0090】
立坑傾斜測定装置1Cは、メインフレーム3が移動用油圧シリンダ17のストローク分だけケーシングWの内部を後進されると、メインフレーム固定用油圧シリンダ5を固定位置P5fに切り替える(
図9(C)参照)。これにより、メインフレーム3は、ケーシングWの内部に固定される。
【0091】
立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15がケーシングWの入り口に到達していない場合、再びサブフレーム後進工程とメインフレーム後進工程とを実施する。一方、立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15がケーシングWの入り口に到達した場合、サブフレーム後進工程およびメインフレーム後進工程を終了する。
【0092】
このように、立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15をサブフレーム固定用油圧シリンダ16によってケーシングWの内周面Wpに固定するとともに、メインフレーム固定用油圧シリンダ5によるケーシングWの内周面Wpの押圧を解除する。これにより、メインフレーム3は、移動用油圧シリンダ17を介してサブフレーム15に支持される。この際、支持部4およびメインフレーム固定用油圧シリンダ5とケーシングWの内周面Wpとは、メインフレーム3の移動を阻害する摩擦抵抗が生じるほど密着していない。従って、立坑傾斜測定装置1Cは、移動用油圧シリンダ17をケーシングWの延伸方向に伸ばすことで、サブフレーム15を基点としてメインフレーム3をケーシングWの延伸方向に移動させることができる。
【0093】
立坑傾斜測定装置1Cは、移動させたメインフレーム3をメインフレーム固定用油圧シリンダ5によってケーシングWの内周面Wpに固定するとともに、サブフレーム固定用油圧シリンダ16によるケーシングWの内周面Wpの押圧を解除する。これにより、サブフレーム15は、移動用油圧シリンダ17を介してメインフレーム3に支持される。この際、サブフレーム15およびサブフレーム固定用油圧シリンダ16とケーシングWの内周面Wpとは、サブフレーム15の移動を阻害する摩擦抵抗が生じるほど密着していない。従って、立坑傾斜測定装置1Cは、移動用油圧シリンダ17をケーシングWの延伸方向に縮めることで、メインフレーム3を基点としてサブフレーム15をケーシングWの延伸方向に移動させることができる。
【0094】
また、立坑傾斜測定装置1Cは、案内部材18によって、サブフレーム15に対するメインフレーム3のケーシングWの軸周り回転が抑制される。従って、立坑傾斜測定装置1Cは、サブフレーム15を基点としてメインフレーム3を移動させる際のメインフレーム3の姿勢の安定性が向上する。また、立坑傾斜測定装置1Cは、制御可能な油圧シリンダ、空気圧シリンダまたは電動シリンダによって構成されているので、移動時におけるケーシングWの内周面Wpとの接触状態を変更することができる。これにより、立坑傾斜測定装置1Cは、管状のケーシングWの長さ、ケーシングWの内周面Wpの状態に関わらず、移動用油圧シリンダ17によって速やかに任意の測定位置Pmまで立坑傾斜測定装置本体2Cを移動させることができる。
【0095】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0096】
前記実施形態において、立坑傾斜測定装置本体2は、一対の板状部材を組み合わせたメインフレーム3から構成されている。しかしながら、メインフレーム3は、ケーシングWの内周面Wpに安定して沿うように平面視で略長方形状に形成されていればよい。例えば、メインフレーム3は、角パイプ等で構成されていてもよい。
【0097】
また、前記実施形態において、立坑傾斜測定装置1は、メインフレーム3に2つの円弧状部材からなる支持部4が設けられている。しかしながら、支持部4は、ケーシングWの内周面Wpに対して少なくとも3か所がケーシングWの内周面Wpに接触し、且つ少なくとも2か所がケーシングWの延伸方向に離隔してケーシングWの内周面Wpに接触する形状であればよい。このように支持部4を構成することで立坑傾斜測定装置1Cは、ケーシングWの内周面Wpに安定した姿勢で接触することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 立坑傾斜測定装置
2 立坑傾斜測定装置本体
3 メインフレーム
4 支持部
5 メインフレーム固定用油圧シリンダ
6 傾斜センサ
7 滑車
8 ワイヤ
9 デルタ天秤
W ケーシング