(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070666
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20220506BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20220506BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H04N5/64 581A
A47B97/00 M
G09F9/00 351
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179848
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】川本 真也
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435EE13
(57)【要約】
【課題】パネルに形成され配線収容空間に連通する開口部を利用状況に応じて塞ぐことを容易に行うことができ、配線収容空間内への異物の混入を防止できるうえ、外観上の体裁を良好にできる。
【解決手段】左右方向に離間する一対の縦杆2と、一対の縦杆2に支持された前面パネル5と、前面パネル5の前側に配置され載置台7と、を備え、前面パネル5の後面側に配線収容空間Rを形成し、前面パネル5は、載置台7より上方に配置される上部前面パネル5Aと、上部前面パネル5Aの下方に配置される下部前面パネル5Bと、を備え、上部前面パネル5Aは、上部前面パネル5Aと下部前面パネル5Bとの間に配線収容空間Rに連通する配線挿通開口部50を形成し、配線挿通開口部50が載置台7の上方に位置する第一の支持状態P1と、配線挿通開口部50を塞ぐ第二の支持状態P2と、を選択可能である構成の什器を提供する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に離間する一対の縦杆と、
前記一対の縦杆に支持され、後面側に配線収容空間を形成されたパネルと、
前記パネルの前側に配置された載置台と、を備え、
前記パネルは、
前記載置台より上方に延びる第一のパネル部材と、
前記第一のパネル部材の下方に配置される第二のパネル部材と、を備え、
前記第一のパネル部材及び前記第二のパネル部材の少なくとも一方は、
前記第一のパネル部材と前記第二のパネル部材との間に前記配線収容空間に連通する配線挿通開口部を形成し、該配線挿通開口部が前記載置台の上方に位置する第一の支持状態と、
前記配線挿通開口部を塞ぐ第二の支持状態と、を選択可能に前記一対の縦杆に支持される什器。
【請求項2】
前記第一のパネル部材及び前記第二のパネル部材の少なくとも一方は、上下に反転させることにより前記第一の支持状態と前記第二の支持状態とが変更される請求項1に記載の什器。
【請求項3】
前記第一のパネル部材及び前記第二のパネル部材の少なくとも一方は、前記縦杆に形成された被係合部に係合する係合部を備え、
該係合部は、
前記第一の支持状態において前記被係合部に係合する第一の係合部と、
前記第二の支持状態において前記被係合部に係合する第二の係合部と、を備え、
前記第一の支持状態で前記一方のパネル部材の前記第一の係合部における前記被係合部と係合する第一の係合位置から前記一方のパネル部材の上下方向の一端部までの第一の距離は、
前記第二の支持状態で前記一方のパネル部材の前記第二の係合部における前記被係合部と係合する第二の係合位置から前記一方のパネル部材の上下方向で前記一端部とは反対側の他端部までの第二の距離より小さい請求項2に記載の什器。
【請求項4】
前記第一の距離と前記第二の距離との距離の差は、前記配線挿通開口部の上下方向の幅寸法に対応して設定されている請求項3に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや公共施設等の集会室や執務室や会議室等に用いられる什器として、例えば特許文献1に示されるような上下方向に長手をなして左右方向に離間する一対の縦杆と、一対の縦杆に支持されたパネルと、これら一対のパネルの前側に配置されて縦杆に支持される載置台と、を備え、パネルの後面側に配線を収容する配線収容空間を形成した什器が知られている。
【0003】
特許文献1には、左右方向に離間して立設される一対の支柱間にパネルを架設することによって、一対の支柱のそれぞれの対向面とパネルの背面との間に形成される空間を配線収容空間とし、一部のパネルの上下方向の寸法を短くすることによって、載置台をなす棚板の上方に配線収容空間に連通する開口部を形成した什器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の什器において、載置台を設けずに縦杆を有する矩形状のフレームにパネルを備えた構造体のみで簡易的なルームユニットとして使用される場合がある。これに対して、上述した特許文献1の什器の場合には、上下方向に間隔をあけて配置されるパネル同士の間には常に開口部が形成された状態で設けられているため、人が什器に接近しやすい状態となる。すなわち上下のパネル間に形成される開口部にアプローチしやすい状態となることから、その開口部から配線収容空間にゴミ等の異物が混入するおそれがあった。
このように、開口部を用いない場合には、落下抑制の観点、見栄えの観点から開口部がない方が望ましい。とくに載置台を取り付けない場合には、パネル表面に開口部が露出して外から目立ち、外観上の体裁が低下することから、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、パネルに形成され配線収容空間に連通する開口部を利用状況に応じて塞ぐことを容易に行うことができ、配線収容空間内への異物の混入を防止できるうえ、外観上の体裁を良好にできる什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る什器は、左右方向に離間する一対の縦杆と、前記一対の縦杆に支持され、後面側に配線収容空間を形成されたパネルと、前記パネルの前側に配置された載置台と、を備え、前記パネルは、前記載置台より上方に延びる第一のパネル部材と、前記第一のパネル部材の下方に配置される第二のパネル部材と、を備え、前記第一のパネル部材及び前記第二のパネル部材の少なくとも一方は、前記第一のパネル部材と前記第二のパネル部材との間に前記配線収容空間に連通する配線挿通開口部を形成し、該配線挿通開口部が前記載置台の上方に位置する第一の支持状態と、前記配線挿通開口部を塞ぐ第二の支持状態と、を選択可能に前記一対の縦杆に支持されることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る什器によれば、パネルの前側に載置台を配置する際には、第一のパネル部材及び第二のパネル部材の少なくとも一方を第一の支持状態とすることで、載置台の上方に位置するパネルに配線収容空間に連通する配線挿通開口部を形成することができる。第一の支持状態のときには、例えば載置台で使用する電気機器の配線を配線挿通開口部を通じてパネル後方の配線収容空間に収容することができる。
また、パネルの前側に載置台を配置しない場合には、第一のパネル部材及び第二のパネル部材の少なくとも一方を第二の支持状態とすることで、第一の支持状態で形成されている配線挿通開口部を塞いだ状態にすることができる。そのため、パネルの前面に載置台が配置されず、第一のパネル部材及び第二のパネル部材の間に形成される配線挿通開口部にアプローチしやすい状態であっても、パネルの前側から配線収容空間に通じる開口部がなくなるので、配線収容空間にゴミ等の異物が混入することを防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る什器によれば、第一のパネル部材及び第二のパネル部材の少なくとも一方が第二の支持状態となる場合には、パネルの前面に載置台が配置されずに外からパネル前面が良く見える状態であっても、上述したようにパネル前面に開口部が形成されることがないので、外観上の体裁を良好にすることができる。
【0010】
また、本発明に係る什器は、前記第一のパネル部材及び前記第二のパネル部材の少なくとも一方は、上下に反転させることにより前記第一の支持状態と前記第二の支持状態とが変更されることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、第一のパネル部材及び第二のパネル部材の少なくとも一方を上下に反転させて取り付けるといった簡単な作業により第一の支持状態と第二の支持状態とを容易に変更することができる。
【0012】
また、本発明に係る什器は、前記第一のパネル部材及び前記第二のパネル部材の少なくとも一方は、前記縦杆に形成された被係合部に係合する係合部を備え、該係合部は、前記第一の支持状態において前記被係合部に係合する第一の係合部と、前記第二の支持状態において前記被係合部に係合する第二の係合部と、を備え、前記第一の支持状態で前記一方のパネル部材の前記第一の係合部における前記被係合部と係合する第一の係合位置から前記一方のパネル部材の上下方向の一端部までの第一の距離は、前記第二の支持状態で前記一方のパネル部材の前記第二の係合部における前記被係合部と係合する第二の係合位置から前記一方のパネル部材の上下方向で前記一端部とは反対側の他端部までの第二の距離より小さいことを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、第一の支持状態にする際に、第一の係合部を縦杆の被係合部に係合させることで、載置台上において第一のパネル部材と第二のパネル部材との間に配線挿通開口部を形成できる。第一の支持状態から第二の支持状態にする際には、パネル部材を上下に反転させて第二の係合部を縦杆の被係合部に係合させることで、パネル部材の第二の端部が反転しない他方のパネル部材の上下端部に近接する第二の支持状態となり、第一の支持状態で形成されている配線挿通開口部を塞いだ状態にすることができる。
このように、本発明では、反転するパネル部材に上下端部からの距離の異なる位置に第一の係合部と第二の係合部を設けるといった簡単な構造により、パネル部材を反転させて第一の支持状態と第二の支持状態とを容易に変更する作業を行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る什器は、前記第一の距離と前記第二の距離との距離の差は、前記配線挿通開口部の上下方向の幅寸法に対応して設定されていることを特徴としている。
【0015】
この場合には、所望の配線挿通開口部の幅寸法に合わせて第一の距離と第二の距離を容易に設定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の什器によれば、パネルに形成され配線収容空間に連通する開口部を利用状況に応じて塞ぐことを容易に行うことができ、配線収容空間内への異物の混入を防止できるうえ、外観上の体裁を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による棚付きモニタースタンドを斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示す棚付きモニタースタンドの分解斜視図である。
【
図3】棚付きモニタースタンドを前方から見た正面図であって、前面パネルを省略した図である。
【
図5】
図3に示すA-A線断面図であって、棚付きモニタースタンドの水平断面図である。
【
図6】前面パネルの支持状態を示す縦断面図であって、(a)は第一の支持状態の図、(b)は第二の支持状態の図である。
【
図7】前面パネル及び載置台を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図8】下部背面パネルの取り付け状態を示す前方から見た斜視図である。
【
図9】載置台の取り付け状態を説明する斜視図であって、(a)は前面パネルが設けられた図、(b)は前面パネルを省略した図である。
【
図11】前面パネルを上下に反転させて第一の支持状態から第二の支持状態に変更する途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態による什器について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1乃至
図4に示す本実施形態による棚付きモニタースタンド1(什器)は、オフィスや公共施設の執務室や会議室等で用いられるものである。
棚付きモニタースタンド1は、床面F上に互いに左右方向に離間して配設された一対の縦杆2、2と、これら一対の縦杆2の上部同士を左右に連結するとともに上下に離間して設けられた一対の横連結材3、3と、これら横連結材3に支持されたモニター4と、モニター4の下方で一対の縦杆2、2に取り付けられ前後に設けられるパネル5、6と、前面パネル5の上下方向の中間部で縦杆2に支持される載置台7と、を備えている。
【0020】
ここで、本実施形態では、棚付きモニタースタンド1において、
図1乃至
図4に示すモニター4および載置台7を取り付ける側の面を前面または表面とし、これに対向する側の面を後面、裏面として以下説明する。また、載置台7に向かった状態での左右方向を符号Dhとし、上方から見た平面視で左右方向Dhに直交する方向(パネル5、6に直交する方向)を前後方向Dfという。
【0021】
左右一対で設けられる縦杆2は、円形パイプが設けられ、床面Fから上方に延びて平行に配設されている。縦杆2は、床面Fに設置される脚体21に支持されている。脚体21は、横に広がった形状をなし、床面Fに対して安定した状態で接地される。脚体21には、縦杆2が立設されている。
【0022】
縦杆2の前面2aで上下方向Dvの中間部におけるパネル5、6が取り付けられる所定領域には、上下方向Dvに所定間隔をあけて複数の係止穴22(
図8及び
図9(b)参照)が設けられている。これら複数の係止穴22には、これら係止穴22のうち数カ所が選択されて後述する載置台7の係止爪部73が係合される。
【0023】
図2及び
図3に示すように、横連結材3は、円形パイプが用いられ、両端がそれぞれ縦杆2に接続されている。上下一対で設けられる横連結材3、3の前面には、左右方向Dhに間隔をあけて一対のモニター取り付けブラケット31が固定されている。モニター取り付けブラケット31は、上下方向Dvに延びた長尺部材である。モニター取り付けブラケット31には、モニター4を取り付けるためのビス穴31a(
図2参照)が上下方向Dvに複数設けられている。
モニター4は、これらビス穴31aを使用して不図示のビスによってモニター取り付けブラケット31の前面に固定されている。
【0024】
図2及
図4に示すように一対の横連結材3、3には、後方からモニター4の裏面を覆う上部背面パネル41が取り付けられている。上部背面パネル41は、パネル部42と、パネル部42の左右両端から前方に延びる側板43と、を有している。パネル部42には、一対の横連結材3、3に上から引っ掛けて係止させる下向き鍵状の複数の係止片44が設けられている。
上部背面パネル41は、係止片44を横連結材3に上から引っ掛けて係止することでモニター4の裏面を覆うようにして一対の縦杆2に取り付けられている。上部背面パネル41が取り付けられた状態において、モニター取り付けブラケット31は上部背面パネル41の側板43によって側方から覆われて隠れた状態となる。
【0025】
図5に示すように、前面パネル5と下部背面パネル6は、上下方向Dvから見て一対の縦杆2、2を周方向に囲むように配置されている。前面パネル5と下部背面パネル6とによって囲まれた領域において、一対の縦杆2、2同士の間には例えば載置台7上で使用するディスプレイやパソコン等の電気機器の配線が収容される配線収容空間Rが形成されている。
【0026】
前面パネル5は、
図2及び
図4に示すように、上部前面パネル5A(第一のパネル部材)と、下部前面パネル5B(第二のパネル部材)と、を備えている。
上部前面パネル5Aは、
図6(a)に示すように、下部前面パネル5Bの上方に一定の間隔(配線挿通開口部50)を形成して配置される第一の支持状態P1と、
図6(b)に示すように、下部前面パネル5Bの上端5bに対して配線挿通開口部50を塞ぐように上部前面パネル5Aの他端部5cを近接又は当接させて配置する第二の支持状態P2と、を選択的に変更可能に縦杆2に支持されている。第一の支持状態P1において配線収容空間Rは、前面パネル5に形成される配線挿通開口部50を通じて載置台7の上面7aに連通している。
【0027】
図6(a)、(b)及び
図7に示すように、上部前面パネル5Aの裏面の左右の両側縁部には、それぞれ下部背面パネル6に設けられた複数の被係合部64に係合する複数(ここでは4つ)の係合部51、52が設けられている。
具体的に上部前面パネル5Aの係合部51、52は、第一の支持状態P1において被係合部64に係合する一対の第一の係合部51と、第二の支持状態P2において被係合部64に係合する一対の第二の係合部52と、を備えている。第一の係合部51と第二の係合部52は、上下方向Dvに交互に配置されている。
図6(a)、(b)に示すように、上部前面パネル5Aは、上下方向Dvの位置を反転させることによって、上述した第一の支持状態P1と第二の支持状態P2とのうち一方にが選択されて下部背面パネル6に固定される。
【0028】
図6(a)に示すように第一の支持状態P1で上部前面パネル5Aの最下部に位置する第一の係合部51における被係合部64と係合する第一の係合位置51aから上部前面パネル5Aの一端部5aまでの第一の距離L1は、
図6(b)に示すように第二の支持状態P2で上部前面パネル5Aの最下部に位置する第二の係合部52における被係合部64と係合する第二の係合位置52aから上部前面パネル5Aにおける上下方向Dvで一端部5aと反対側の他端部5cまでの第二の距離L2より小さくなるように設定されている。
ここで、第一の係合位置51aと第二の係合位置52aは、被係合部64の中心を通る上下方向Dvの高さの位置と定義する。
【0029】
第一の距離L1は、
図6(a)に示すように、第一の支持状態P1における上部前面パネル5Aが所定の上下方向Dvの高さの配線挿通開口部50を形成する寸法に設定されている。第二の距離L2は、
図6(b)に示すように、第二の支持状態P2における上部前面パネル5Aの他端部5cが下部前面パネル5Bの上端5bに近接又は当接する位置となって第一の支持状態P1で形成されている配線挿通開口部50を閉塞する寸法に設定されている。
第一の距離L1と第二の距離L2との距離の差は、配線挿通開口部50の上下方向Dvの幅寸法に対応して設定されている。本実施形態では、上記距離の差は、配線挿通開口部50の上下方向Dvの幅寸法と略等しい寸法になっている。
【0030】
下部前面パネル5Bは、
図1に示すように、載置台7の下方位置に配置される。下部前面パネル5Bは、
図2に示すように、裏面に係合部53が設けられ、その係合部53が下部背面パネル6の側板62に対して段付きビスによって固定されている。
【0031】
図2、
図5及び
図8に示すように、下部背面パネル6は、後板61と、後板61の左右両側端部61aのそれぞれから前方に向けて張り出した側板62と、を備えている。後板61の幅寸法(左右方向Dhの長さ寸法)は、両側端部61aが一対の縦杆2、2より左右方向Dhの外側に張り出す長さ寸法になっている。側板62の前端には、左右方向Dhで内側に折り返した折曲部62aを有している。下部背面パネル6は、上面視で略コ字形状に形成され、縦杆2に取り付けられた状態で、縦杆2を覆うように設けている。これにより、一対の縦杆2、2の一部は、前面パネル5と下部背面パネル6とによって隠れた状態で配置されている。
【0032】
後板61の前面には、前面パネル5を固定するための上下方向Dvに延びる固定ブラケット63が左右一対で設けられている。固定ブラケット63は、側板62との間に縦杆2が配置可能な間隔をあけて設けられている(
図3参照)。固定ブラケット63の面方向は、後板61に直交している。なお、
図2及び
図8は、見やすくするために一方の固定ブラケット63のみを示している。
【0033】
固定ブラケット63には、上下方向Dvに間隔をあけて複数の被係合部64が設けられている。被係合部64は、
図8及び
図9(b)に示すように、固定ブラケット63から左右方向Dhの内側に突出する突起部材であり、突出先端64aが拡大された形状となっている。被係合部64には、上部前面パネル5Aの係合部51、52が上方から係合される。係合された係合部51、52は、被係合部64の突出先端64aによって左右方向Dhの移動が規制された状態で係合される。
【0034】
図9(a)に示すように、前面パネル5は、下部背面パネル6の側板62の折曲部62aとの間に左右方向Dhの隙間Sを形成して下部背面パネル6の前側に固定される。この隙間Sには、載置台7の係止爪部73(後述する)が前方から差し込み可能な寸法に設定されている。
【0035】
図4及び
図10に示すように、載置台7は、前面パネル5の手前側に配置された状態で一対の縦杆2、2に支持されている。
載置台7は、天板70と、天板70を下方から支持する支持ブラケット71と、を有している。
図6(a)、(b)、
図7及び
図9(a)に示すように、支持ブラケット71の後端部には、複数(ここでは片側に3つ)の係止爪部73が上下方向Dvに配列されている。
【0036】
係止爪部73は、支持ブラケット71の後端部から後方に突出するとともに先端が下方に向く形状をなしている。これら係止爪部73は、
図9(a)に示すように、下部前面パネル5Bと下部背面パネル6の側板62との間の隙間Sに前側から差し込まれ、
図9(b)に示すように、縦杆2の前面2aに設けられる係止穴22に挿入されて係合する。具体的には、係止爪部73を係止穴22に対して挿入して下方に落とし込むことで係合可能に構成されている。係止爪部73を係止穴22に対して落とし込む距離は、
図6(a)に示すように、落とし込んだ後に載置台7の天板70の上面7aが第一の支持状態P1の配線挿通開口部50に連通する位置に設定されている。
【0037】
次に、上述した棚付きモニタースタンド1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態による棚付きモニタースタンド1では、
図10に示すように、前面パネル5の前側に載置台7を配置する際には、上部前面パネル5Aを第一の支持状態P1とすることで、載置台7の上方に位置する上部前面パネル5Aに配線収容空間Rに連通する配線挿通開口部50を形成することができる(
図6(a)参照)。第一の支持状態P1のときには、例えば載置台7で使用する電気機器の配線を配線挿通開口部50を通じてパネル後方の配線収容空間Rに収容することができる。
【0038】
また、前面パネル5の前側に載置台7を配置しない場合には、
図11及び
図12に示すように、上部前面パネル5Aを第二の支持状態P2とすることで、
図10において第一の支持状態P1で形成されている配線挿通開口部50を塞いだ状態にすることができる(
図6(b)参照)。本実施形態では、上部前面パネル5Aを、上下に反転させることにより第一の支持状態P1と第二の支持状態P2とを変更することができる。
【0039】
このように本実施形態では、前面パネル5の前面に載置台7が配置されず、上部前面パネル5Aと下部前面パネル5Bとの間に形成される配線挿通開口部50にアプローチしやすい状態であっても、前面パネル5の前側から配線収容空間Rに通じる開口部がなくなるので、配線収容空間Rにゴミ等の異物が混入することを防止することができる。
【0040】
また、本実施形態では、上部前面パネル5Aが第二の支持状態P2の場合には、前面パネル5の前面に載置台7が配置されずに外からパネル前面が良く見える状態であっても、上述したようにパネル前面に開口部が形成されることがないので、外観上の体裁を良好にすることができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、上部前面パネル5Aを上下に反転させて取り付けるといった簡単な作業により第一の支持状態P1と第二の支持状態P2とを容易に変更することができる。
【0042】
また、本実施形態では、第一の支持状態P1にする際に、上部前面パネル5Aの後面に設けられている第一の係合部51を被係合部64に係合させることで、載置台7上において上部前面パネル5Aと下部前面パネル5Bとの間に配線挿通開口部50を形成できる。
第一の支持状態P1から第二の支持状態P2にする際には、上部前面パネル5Aを上下に反転させて第二の係合部52を被係合部64に係合させることで、上部前面パネル5Aの他端部5cが下部前面パネル5Bの上端部5bに近接又は当接する第二の支持状態P2となり、第一の支持状態P1で形成されている配線挿通開口部50を塞いだ状態にすることができる。
【0043】
本実施形態では、
図6(a)、(b)に示すように、反転する上部前面パネル5Aに上下端部からの距離の異なる位置に第一の係合部51と第二の係合部52を設けるといった簡単な構造により、上部前面パネル5Aを上下に反転させて第一の支持状態P1と第二の支持状態P2とを容易に変更する作業を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では、第一の距離L1と第二の距離L2との距離の差が配線挿通開口部50の上下方向Dvの幅寸法に対応して設定することができるので、所望の配線挿通開口部50の幅寸法に合わせて第一の距離L1と第二の距離L2を容易に設定することができる。
【0045】
上述のように本実施形態による棚付きモニタースタンド1では、パネルに形成され配線収容空間Rに連通するパネル表面の配線挿通開口部50を利用状況に応じて塞ぐことを容易に行うことができ、配線収容空間R内への異物の混入を防止できるうえ、外観上の体裁を良好にできる。
【0046】
以上、本発明による什器の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0047】
例えば、本実施形態では、上部前面パネル5Aを反転させることで第一の支持状態P1と第二の支持状態P2を選択的にとる構成とし、配線挿通開口部50を形成させたり塞ぐようにしているが、上部前面パネル5Aを反転させることに限定されることはない。例えば、上部前面パネル5A(第一のパネル部材)を固定し、下部前面パネル5B(第二のパネル部材)を上下に反転させて第一の支持状態P1と第二の支持状態P2とを切り替える構成であってもよいし、あるいは上部前面パネル5Aと下部前面パネル5Bの両方を反転させるようにしてもよい。
【0048】
また、パネル部材において第一の支持状態P1と第二の支持状態P2とに変更する手段として、本実施形態では上下に反転させる構成としているが、他の手段であってもかまわない。例えば、パネル部材が上下にスライド可能に縦杆2等に支持された構成として、第一の支持状態P1と第二の支持状態P2とに変更する手段とすることも可能である。
【0049】
また、本実施形態では、パネル部材として前面パネル5と下部背面パネル6とに前後に分割されたパネルが採用されているが、縦杆2の前方のみにパネルが設けられる構成であってもよい。この場合には、パネルの後方の空間が配線収容空間Rとなる。
さらに、本実施形態では、上部背面パネル41と下部背面パネル6とが上下に別々で設けられていることで製作や組み立ての効率を向上できるが、上下の両背面パネル41、6を一体で設けるようにしてもよい。
【0050】
さらにまた、本実施形態では、第二の支持状態P2において前面パネル5の前側に載置台7を設けない構成としているが、載置台7の有無はいずれでもよく、第二の支持状態P2において載置台7を設けるようにしてもかまわない。
【0051】
また、本実施形態では、モニター4を備えた棚付きモニタースタンド1を什器の一例としているが、このような構成の什器であることに限定されることはない。例えば、モニター4は省略可能であるし、モニター4に代えて他のオプション部材が一対の縦杆2に設けられていてもよい。
【0052】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 棚付きモニタースタンド(什器)
2 縦杆
5 前面パネル(パネル)
5A 上部前面パネル(第一のパネル部材)
5B 下部前面パネル(第二のパネル部材)
6 下部背面パネル
7 載置台
41 上部背面パネル
50 配線挿通開口部
51 第一の係合部
52 第二の係合部
64 被係合部
73 係止爪部
22 係止穴
L1 第一の距離
L2 第二の距離
P1 第一の支持状態
P2 第二の支持状態
Dh 左右方向
Df 前後方向
F 床面
R 配線収容空間