(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070694
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】洗浄用泡沫吹付け機
(51)【国際特許分類】
B60S 3/04 20060101AFI20220506BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B60S3/04
B08B3/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179903
(22)【出願日】2020-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】520420942
【氏名又は名称】古谷 龍也
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 龍也
【テーマコード(参考)】
3B201
3D026
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB52
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB94
3B201BB98
3D026AA02
3D026AA23
3D026AA62
(57)【要約】
【課題】 蓄圧操作を不要とし、途切れることなく噴射が可能なハンディタイプの洗浄用泡沫吹付け機を提供する。
【解決手段】 液体洗剤を収容する容器に取り付けて使用し、対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機であって、空気を送出する空気送出部と、前記空気送出部の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部と、容器を外部と連通させる噴出管と、を備え、前記泡沫発生部は、容器内に液体洗剤の液面より下方に配置され、前記空気送出部からの空気を前記放出孔により細かく分散して放出して、液体洗剤に泡沫を発生させ、前記噴出管は、入口が容器内に液体洗剤の液面より上方に配置され、発生した泡沫はその出口を介して外部に噴出する、洗浄用泡沫吹付け機。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗剤を収容する容器に取り付けて使用し、対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機であって、
空気を送出する空気送出部と、
前記空気送出部の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部と、
容器を外部と連通させる噴出管と、を備え、
前記泡沫発生部は、容器内に液体洗剤の液面より下方に配置され、前記空気送出部からの空気を前記放出孔により細かく分散して放出して、液体洗剤に泡沫を発生させ、
前記噴出管は、入口が容器内に液体洗剤の液面より上方に配置され、発生した泡沫はその出口を介して外部に噴出する
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記空気送出部は、電池を電力源とするエアポンプを含んで構成される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記空気送出部の送気口と前記泡沫発生部とを連通させる送気管に逆止弁が設けられている
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記噴出管に電磁弁が設けられている
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記空気送出部を収容する筐体を備え、
前記筐体は、使用者が握るための筒状のハンドル部を有する
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記筐体は、前記ハンドル部と、前記ハンドル部と90度以上の角度を成す横筒部と、前記横筒部と直交する縦筒部とを有し、
前記空気送出部の本体である電池を電力源とするエアポンプは、前記縦筒部に収容される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項7】
請求項6に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記電池は、前記ハンドル部に収容される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項8】
請求項6または7に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記縦筒部の下端には、容器を取り付けるためのキャップが着脱可能に接続される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記横筒部の前端には、ノズルが着脱可能に接続される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項10】
液体洗剤を収容する容器を有し、対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機であって、
空気を送出する空気送出部と、
前記空気送出部の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部と、
前記容器を外部と連通させる噴出管と、を備え、
前記泡沫発生部は、前記容器内に液体洗剤の液面より下方に配置され、前記空気送出部からの空気を前記放出孔により細かく分散して放出して、液体洗剤に泡沫を発生させ、
前記噴出管は、入口が前記容器内に液体洗剤の液面より上方に配置され、発生した泡沫はその出口を介して外部に噴出する
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項11】
請求項10に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記容器は、ペットボトルである
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄用泡沫吹付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗車等の際に液体洗剤を泡立てて車等に噴射する機器がある。このような機器には据付型洗車機に組み込まれる大型のものや、人手で操作するガンタイプのものがある。そのうち、ガンタイプの洗浄用泡沫吹付け機(フォームガン)には、外部からのエアコンプレッサーや水圧を用いた高圧式のものと、簡易のハンディタイプの蓄圧式のものがある。
【0003】
蓄圧式の洗浄用泡沫吹付け機では、例えば、特許文献1に記載のような手動のポンプを用いて、手動で圧力を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手動で圧力を高める蓄圧式の洗浄用泡沫吹付け機は、容器内の圧力を高めるために相当のポンピングが必要となり苦労する。また、泡を噴射させるために必要な圧力も高く、すぐ噴射が途切れてしまう。
【0006】
本願発明は、上記課題の少なくとも一つを解決し、蓄圧操作を不要とし、途切れることなく噴射が可能なハンディタイプの洗浄用泡沫吹付け機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本願発明の一方面に係る洗浄用泡沫吹付け機は、液体洗剤を収容する容器に取り付けて使用し、対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機であって、空気を送出する空気送出部と、前記空気送出部の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部と、容器を外部と連通させる噴出管と、を備え、前記泡沫発生部は、容器内に液体洗剤の液面より下方に配置され、前記空気送出部からの空気を前記放出孔により細かく分散して放出して、液体洗剤に泡沫を発生させ、前記噴出管は、入口が容器内に液体洗剤の液面より上方に配置され、発生した泡沫はその出口を介して外部に噴出する。
【0008】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記空気送出部は、電池を電力源とするエアポンプを含んで構成されてもよい。
【0009】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記空気送出部の送気口と前記泡沫発生部とを連通させる送気管に逆止弁が設けられていてもよい。
【0010】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記噴出管に電磁弁が設けられていてもよい。
【0011】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記空気送出部を収容する筐体を備え、前記筐体は、使用者が握るための筒状のハンドル部を有してもよい。
【0012】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記筐体は、前記ハンドル部と、前記ハンドル部と90度以上の角度を成す横筒部と、前記横筒部と直交する縦筒部とを有し、前記空気送出部の本体である電池を電力源とするエアポンプは、前記縦筒部に収容されてもよい。
【0013】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記電池は、前記ハンドル部に収容されてもよい。
【0014】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記縦筒部の下端には、容器を取り付けるためのキャップが着脱可能に接続されてもよい。
【0015】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記横筒部の前端には、ノズルが着脱可能に接続されてもよい。
【0016】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本願発明の一方面に係る洗浄用泡沫吹付け機は、液体洗剤を収容する容器を有し、対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機であって、空気を送出する空気送出部と、前記空気送出部の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部と、前記容器を外部と連通させる噴出管と、を備え、前記泡沫発生部は、前記容器内に液体洗剤の液面より下方に配置され、前記空気送出部からの空気を前記放出孔により細かく分散して放出して、液体洗剤に泡沫を発生させ、前記噴出管は、入口が前記容器内に液体洗剤の液面より上方に配置され、発生した泡沫はその出口を介して外部に噴出する。
【0017】
上記洗浄用泡沫吹付け機において、前記容器は、ペットボトルであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、蓄圧操作を不要とし、途切れることなく噴射が可能なハンディタイプの洗浄用泡沫吹付け機を提供することができる。
【0019】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願発明に係る洗浄用泡沫吹付け機を説明するための模式図である。
【
図2】本願発明に係る洗浄用泡沫吹付け機の実施形態の例を示す図である。
【
図3】本願発明に係る洗浄用泡沫吹付け機の実施形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本願発明の実施形態の例を図面を用いて説明する。本願において、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0022】
図1は、本願発明に係る洗浄用泡沫吹付け機を説明するための模式図である。洗浄用泡沫吹付け機1は、車等の対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機である。本願において、液体洗剤は、車等に用いられる液体の洗浄剤であればよく、界面活性剤等を含む市販の液体の洗剤、このような洗剤に所定の割合で水を加えたもの(洗剤水)等を含む。また、固形のタブレット状の洗剤等を使用してもよく、このような洗剤と所定量の水を直接容器Aに入れて液体洗剤として用いてもよいし、このような洗剤を事前に所定量の水で洗剤水としたものを液体洗剤として用いてもよい。
【0023】
洗浄用泡沫吹付け機1は、空気を送出する空気送出部10と、空気送出部10の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部20と、容器Aを外部と連通させる噴出管30と、を備える。
【0024】
空気送出部10は、空気を送り出す装置を含んで構成される。空気を送り出す装置は、一例として、後述のようにエアポンプである。空気を送り出す装置は、一例として、ファンを利用した送風機や、ブロワー等である。また、圧縮空気を収容した高圧ガスボンベ等でもよい。
【0025】
泡沫発生部20は、気体を通す多数の微細な放出孔(隙間)を有する多孔質材(体)を含んで構成される。泡沫発生部20は、容器A内に液体洗剤Bの液面より下方に配置される。泡沫発生部20は、一例として、金属ないし焼結金属やセラミックス等によるエアストーンで構成される。泡沫発生部20は、一例として、気体を通す多数の放出孔(連通気孔)を有するサイレンサー(消音器)で構成される。サイレンサーに用いられる多孔質材は、スポンジ等樹脂によるものでもよいし、金属ないし焼結金属やセラミックス等によるものでもよい。泡沫発生部20は、一例として、編目ないし網目構造を有するもの、例えば、布等の編み物、金属や樹脂製の網(ネット、メッシュ)等によるものを含んで構成される。
【0026】
噴出管30は、入口が容器A内の液体洗剤Bの液面より上方に配置され、出口が外部と連通して、容器Aを外部と連通させる。
【0027】
洗浄用泡沫吹付け機1は、一例として、液体洗剤Bを収容する容器Aを含んで使用者に提供される。洗浄用泡沫吹付け機1は、容器Aを含まないで使用者に提供され、使用者自らが容器Aを用意し洗浄用泡沫吹付け機1に取り付けて使用してもよい。
【0028】
図示のように、使用状態において、容器Aは、液体洗剤Bを収容する。空気送出部10から送り出された空気は、送気管40を介して泡沫発生部20に送り込まれ、泡沫発生部20の多数の微細な放出孔により細かく分散して液体洗剤Bに放出されて、液体洗剤Bが空気を含んで膨れた泡を発生する。液体洗剤Bからきめ細かな泡がどんどん発生し、液面に浮上して泡沫となり、上昇して、噴出管30の出口を介して勢いよく外部に飛び出す。
【0029】
洗浄用泡沫吹付け機1は、このように空気送出部10から空気を送り出し、泡沫発生部20により送り込まれた空気を細かく分散し放出して液体洗剤Bに泡沫を発生させるため、泡沫を発生させるための高い圧力を不要とする。そのため、手動による蓄圧操作を不要とし、途切れることなく噴射が可能なハンディタイプの洗浄用泡沫吹付け機を構成できる。
【0030】
図2は、本願発明に係る洗浄用泡沫吹付け機の実施形態の例を示す図で、
図2(a)は洗浄用泡沫吹付け機の一部分解斜視図、
図2(b)は筐体部分の平面図、
図2(c)は筐体部分の右側面図である。各図において、Xは前後方向、Yは上下方向、Zは厚み方向(奥行)を示す(
図3において同じ)。洗浄用泡沫吹付け機1は、空気送出部10を収容する筐体50を備える。噴出管30も筐体50に収容される。ここでは、まず、主として筐体50について説明する。
【0031】
筐体50は、使用者が握るためのハンドル部51と、ハンドル部51と90度以上の角度を成す横筒部52と、横筒部52と直交する縦筒部53とを有する。筐体50は、ハンドル部51、横筒部52及び縦筒部53がそれぞれ筒形状をなし、連続している。より具体的には、ハンドル部51と横筒部52とで略L字形状をなし、両者の間に角部54が形成される。また、横筒部52と縦筒部53とで略十字形状をなし、両者の間に交差部55が形成される。交差部55は、横筒部52の一部であるとともに、縦筒部53の一部でもある。筐体50は、このように構成することで、製造しやすく、他の構成部分を収容ないし装着しやすくなる。
【0032】
筐体50は、例えば樹脂材料を用いて成形して製造される。好ましくは、筐体50の成形は、後述の電池蓋511以外の本体部分が、
図2(b)、
図2(c)に示すように厚み方向の中心線で分割して2つの部分で行われる。2つの部分は、それぞれ別途成形された後、他の構成部分を収容ないし装着してから螺子等の締結部材または接着剤等で互いに固着される。電池蓋511は別途成形され、着脱可能に本体部分に組み合わせられる。
【0033】
ハンドル部51は、角に丸みを有する若干扁平な略角筒形状である。ハンドル部51は、後述の電池12を着脱可能に装着するための電池蓋511を有する。電池蓋511は、上下端以外の部分の断面が略円弧形状である。
【0034】
横筒部52は、見かけ上(外観上)、縦筒部53により略中央において分断され、ハンドル部51側の後方筒部522と、反対側の前方筒部521を有する。後方筒部522は、略角筒形状で、断面形状がハンドル部51と略同じである。前方筒部521は、全体として先細りする筒形状で、前端の断面形状が略円形状である。前方筒部521は、前端に開口を有し、噴出管30の出口32はその内方に収容される。
【0035】
縦筒部53は、見かけ上、横筒部52により下端寄りの位置において貫通され、横筒部52よりも上方に位置する上方筒部531と、反対側の下方筒部532を有する。縦筒部53は、略円筒形状である。上方筒部531は、前方に貫通孔が設けられ、空気送出部10の吸気口111がその内方に収容される、又は貫通孔を挿通して外部に突出する。下方筒部532は、下端の内方にキャップ接続部81が設けられる。
【0036】
キャップ接続部81は、キャップ82を下方筒部532に接続するものであればよく、特に限定されない。一例として、キャップ接続部81は、下方筒部532の下端から下方に突出するように設けられ、突出部分の外周面にねじ山が設けられる。キャップ接続部81は、このねじ山により、内周面にねじ山を有するキャップ82と螺合して接続する。キャップ82の内方にねじ山を有する部材を別途設けてキャップ接続部81と螺合して接続するようにしてもよい。
【0037】
キャップ82は、略円筒状の部材で、上端寄りの部分で前述のようにキャップ接続部81を介して下方筒部532と着脱可能に接続し、下端寄りの部分で容器Aの口部と着脱可能に接続する。キャップ82は、下端寄りの部分の内周面にねじ山が設けられ、このねじ山で容器Aの口部の外周面のねじ山と螺合して接続する。キャップ82とキャップ接続部81との接続部分、キャップ82と容器Aの口部との接続部分等にはOリングが設けられる。
【0038】
キャップ82は、容器Aの口部の口径やねじ山の形状等に応じて複数備えられ、様々な規格の容器Aを取り付けられるようになっていてもよい。
【0039】
送気管40は、空気送出部10と接続する側の上方送気管41と、泡沫発生部20と接続する側の下方送気管42を有する。上方送気管41の出口は、キャップ接続部81を貫通してキャップ82の内方に到達する。図示のように、噴出管30の入口31も、キャップ接続部81を貫通してキャップ82の内方に到達する。
【0040】
下方送気管42は、一端で上方送気管41と接続し、他端で泡沫発生部20と接続する。下方送気管42と泡沫発生部20は、上方送気管41を介して筐体50に装着され、容器A内に配置される。
【0041】
図3は、本願発明に係る洗浄用泡沫吹付け機の実施形態の例を示す図である。筐体については前述の通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
空気送出部10は、空気を送り出す装置としてエアポンプ11を含んで構成される。エアポンプ11は、例えば、ダイヤフラム式の、電池を電力源とする小型のもので、3V~24Vの電池で稼働でき、静圧が30kPa~60kPa程度である。このような小型のエアポンプ11で空気送出部10を構成するため、本実施形態の洗浄用泡沫吹付け機1は、図示のように、容器Aとしてペットボトル(PET製の瓶状の容器で飲料等に用いられるもの)を使用できる。
【0043】
より具体的には、ペットボトルは、容易に入手でき、軽く割れにくいものの、炭酸飲料用以外は耐圧性をほとんど備えておらず、高圧式や蓄圧式の洗浄用泡沫吹付け機に用いることはできない。例えば、高圧式では500kPa以上の圧力が必要とされ、蓄圧式で泡を噴射させるためには300kPa~600kPa程度の圧力が必要とされる。一方、洗浄用泡沫吹付け機1は、このような高圧を与えないため、ペットボトルを容器Aとして使用できる。
【0044】
これにより、より安価で簡便な洗浄用泡沫吹付け機を提供できる。また、ペットボトルの口部は、業界規格があり、口径やねじ山の形状が決まっているため、キャップ82を構成しやすく、一つのキャップ82で形状やメーカーが異なる多数の容器に対応できる。また、規格に応じた数種類のキャップ82を備えれば、ほとんどのペットボトルに対応できるようになり、例えば、車等の対象物の大きさや汚れの程度に応じて、容量が異なるものを適宜取り換えて洗浄を行うことができる。
【0045】
空気送出部10は、本体としてのエアポンプ11と、エアポンプ11内の駆動源のモータに給電する電池12と、給電をオン/オフするスイッチ13を含む。エアポンプ11、電池12及びスイッチ13は、図示しないリード線により電気的に接続され、スイッチ13によりエアポンプ11への給電がオン/オフできるようになっている。
【0046】
エアポンプ11は、筐体50の縦筒部53に収容される。より具体的には、エアポンプ11は、縦筒部53の上方筒部531又は上方筒部531から交差部55にかけて、吸気口111が前方に、送気口112が下方に向くように縦筒部53内に収容される。なお、上方筒部531は、リード線を配置しやすいように拡張部533を有しもよい。
【0047】
エアポンプ11は、モータを内蔵しているため、比較的に重い。エアポンプ11をキャップ82の真上に配置して容器Aの真上となるようにすることで、洗浄用泡沫吹付け機1は、バランスが取れて自立し、倒れないようになる。また、手で持って作業するときも扱いやすくなる。また、上方送気管41が短くなり配置しやすくなる。
【0048】
電池12は、乾電池等の一次電池でもよいし、二次電池でもよい。電池12は、筐体50のハンドル部51に収容される。なお、電池12は、エアポンプ11の近くに、例えば後方筒部522内に収容されてもよい。
【0049】
スイッチ13は、一例として、図示のように、ロッカスイッチである。スイッチ13は、トリガースイッチやプッシュスイッチ等でもよい。スイッチ13は、筐体50の角部54に配置される。角部54に設けることで、手で直接握らないので誤操作を回避でき、指が届くので片手で操作できる。
【0050】
泡沫発生部20は、気体を通す多数の微細な放出孔を有する多孔質材(体)を含んで構成され、例えば、スポンジ等の樹脂製の多孔質材を含んで構成される。泡沫発生部20は、下方送気管42に着脱可能に接続され、容器A内に液体洗剤Bの液面より下方に配置される。好ましくは、図示のように容器Aの底部に配置される。泡沫発生部20は、対象物や液体洗剤等に合わせて、放出孔の大きさが異なるものや材質が異なるものに適宜取り換えられてもよい。
【0051】
泡沫発生部20は、送気管40を介して空気送出部10の送気口112と連通する。送気管40は、例えば直径が3mm~8mm、より好ましくは4mm~6mm程度の樹脂製の管である。上方送気管41は、交差部55及び下方筒部532内で上下に延在し、キャップ接続部81を貫通してキャップ82内、即ち容器Aの口部A1内に到達する。上方送気管41の下端は、キャップ82の下端から突出してもよいが、好ましくは、図示のように、キャップ82の下端から突出せず、上方送気管41と下方送気管42との接続部分がキャップ82内(容器Aの口部A1内)にある。下方送気管42は、容器A内で上下に延在し、下端で泡沫発生部20と接続する。
【0052】
図示のように、下方送気管42に逆流を防止するための逆止弁60が設けられてもよい。より具体的には、下方送気管42は、第1下方送気管421と第2下方送気管422を有し、両者の間に逆止弁60が接続される。これにより、エアポンプ11をオフにした際に、下方送気管42内に液体洗剤Bが流入するのを防止することができる。
【0053】
噴出管30は、容器A内に液体洗剤Bの液面より上方に配置される。噴出管30は、キャップ接続部81を貫通し、入口31がキャップ82内(容器Aの口部A1内)に到達する。噴出管30は、キャップ82の下端から突出してもよいが、好ましくは、図示のように、キャップ82の下端から突出しないようになっている。
【0054】
図示のように、ノズル70が前方筒部521の前端に接続される。より具体的には、前方筒部521の前端の内方に略筒状のノズル接続部83が設けられ、噴出管30の出口32がその内方と連通するように接続される。ノズル接続部83の内周面にはねじ山が設けられ、ノズル70は後端外周面に設けられたねじ山でこれと螺合して前方筒部521に着脱可能に接続される。ノズル70とノズル接続部83との接続部分等にはOリングが設けられる。
【0055】
ノズル70は、ストレート型のものでもよいし、フラット型のものでもよい。ノズル70は、スプレーヘッドのような拡散型のノズルでもよい。ノズル70は、対象物や液体洗剤等に合わせて様々な規格のものに適宜取り換えられてもよい。
【0056】
本実施形態の洗浄用泡沫吹付け機1は、スイッチ13がオンされると、エアポンプ11が送気管41、42を介して泡沫発生部20に空気を送出する。そして、泡沫発生部20が送入された空気を多数の微細な放出孔(隙間)により細かく分散して放出する。そうすると、液体洗剤Bが空気を含んで膨れた泡を発生する。液体洗剤Bからきめ細かな泡がどんどん発生し、液面に浮上して泡沫となり、上昇して、噴出管30を介して、ノズル70から噴出する。スイッチ13がオフされると、エアポンプ11が空気を送出しなくなり、泡沫発生部20が放出孔から空気を放出しなくなって、泡沫の発生が止まる。
【0057】
本実施形態の洗浄用泡沫吹付け機1は、上記のように構成することで、手動による蓄圧操作を不要とし、途切れることなく泡沫を噴出することができる。
【0058】
また、本実施形態の洗浄用泡沫吹付け機1は、空気を送出するエアポンプ11、これに給電する電池12を含む空気送出部10全体を、噴出管30、上方送気管41とともにコンパクトな筐体50内に収容するため、携帯することができ、様々な場所で使用することができる。
【0059】
なお、洗浄用泡沫吹付け機1は、さらに、泡沫の噴出をオン/オフするための電磁弁を備えてもよい。スイッチ13がオフされ、空気の送出が停止しても、容器A内の泡沫が暫らく噴出するが、噴出管30に電磁弁を設けることで、このような泡沫の噴出を止めることができる。この電磁弁は、例えば噴出管30の経路上に設けることができる。
【0060】
また、洗浄用泡沫吹付け機1は、エアポンプ11のモータを制御するためのモータ制御部を備えてもよい。モータ制御部は、例えばマイコンで構成される。これにより、モータの回転速度を制御し、エアポンプ11が送出する空気の風圧や風量を調整できるようになる。
【0061】
なお、洗浄用泡沫吹付け機1は、洗車以外にも、食器や野菜などの洗浄に用いられてもよいし、浴槽等の洗浄に用いられてもよい。
【0062】
また、洗浄用泡沫吹付け機1は、泡沫発生部20を取外し、下方送気管42を噴出管30の入口31に接続し、容器A内に水等の液体を入れて、液体噴射機として使用してもよい。
【0063】
洗浄用泡沫吹付け機1は、下方送気管42及び泡沫発生部20を取外し、何も入れていない容器Aを取り付けて、洗車後、車に付着した水滴を吹き飛ばすブロワー等として使用してもよい。キーボードに付着した埃を飛ばしたりして家庭内の掃除用に用いてもよい。
【0064】
洗浄用泡沫吹付け機1は、下方送気管42及び泡沫発生部20を取外し、吸気口111に吸引用の管を接続して、眞空ポンプとして使用してもよい。噴出管30の入口31と吸気口111を連通させて掃除の際の液体の吸引に使用してもよい。容器Aを取外し、エアポンプ11のモータを逆回転させて、送気管41を吸引管とする眞空ポンプとして使用してもよい。
【0065】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本願発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本願発明の態様は、上述した実施形態の例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本願発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 洗浄用泡沫吹付け機
10 空気送出部
11 エアポンプ
12 電池
13 スイッチ
20 泡沫発生部
30 噴出管
40 送気管
41 上方送気管
42 下方送気管
50 筐体
51 ハンドル部
52 横筒部
53 縦筒部
60 逆止弁
70 ノズル
82 キャップ
A 容器
B 液体洗剤
【手続補正書】
【提出日】2021-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗剤を収容する容器に取り付けて使用し、対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機であって、
空気を送出する空気送出部と、
前記空気送出部の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部と、
容器を外部と連通させる噴出管と、を備え、
前記泡沫発生部は、容器内に液体洗剤の液面より下方に配置され、前記空気送出部からの空気を前記放出孔により細かく分散して放出して、液体洗剤に泡沫を発生させ、
前記噴出管は、入口が容器内に液体洗剤の液面より上方に配置され、発生した泡沫はその出口を介して外部に噴出し、
前記空気送出部を収容する筐体を備え、
前記筐体は、使用者が握るための筒状のハンドル部を有し、
前記筐体は、前記ハンドル部と、前記ハンドル部と90度以上の角度を成す横筒部と、前記横筒部と直交する縦筒部とを有し、
前記空気送出部の本体である電池を電力源とするエアポンプは、前記縦筒部に収容される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記空気送出部の送気口と前記泡沫発生部とを連通させる送気管に逆止弁が設けられている
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記噴出管に電磁弁が設けられている
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記電池は、前記ハンドル部に収容される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記縦筒部の下端には、容器を取り付けるためのキャップが着脱可能に接続される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記横筒部の前端には、ノズルが着脱可能に接続される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項7】
液体洗剤を収容する容器を有し、対象物に液体洗剤の泡沫を吹き付けるための洗浄用泡沫吹付け機であって、
空気を送出する空気送出部と、
前記空気送出部の送気口と連通し、多数の微細な放出孔を有する泡沫発生部と、
前記容器を外部と連通させる噴出管と、を備え、
前記泡沫発生部は、前記容器内に液体洗剤の液面より下方に配置され、前記空気送出部からの空気を前記放出孔により細かく分散して放出して、液体洗剤に泡沫を発生させ、
前記噴出管は、入口が前記容器内に液体洗剤の液面より上方に配置され、発生した泡沫はその出口を介して外部に噴出し、
前記空気送出部を収容する筐体を備え、
前記筐体は、使用者が握るための筒状のハンドル部を有し、
前記筐体は、前記ハンドル部と、前記ハンドル部と90度以上の角度を成す横筒部と、前記横筒部と直交する縦筒部とを有し、
前記空気送出部の本体である電池を電力源とするエアポンプは、前記縦筒部に収容される
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。
【請求項8】
請求項7に記載の洗浄用泡沫吹付け機であって、
前記容器は、ペットボトルである
ことを特徴とする洗浄用泡沫吹付け機。