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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070702
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】無人航空機
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/08 20060101AFI20220506BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220506BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20220506BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20220506BHJP
   B64C 37/00 20060101ALI20220506BHJP
   B64C 11/00 20060101ALI20220506BHJP
   B64C 25/38 20060101ALI20220506BHJP
   G05D 1/08 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B64C27/08
B64C39/02
B64C13/20 Z
B64D47/08
B64C37/00
B64C11/00
B64C25/38
G05D1/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179913
(22)【出願日】2020-10-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、「明日をめざす鉄道助成」、令和2年4月1日発行 令和2年4月1日掲載、https://www.jrtt.go.jp/subsidy/asset/d91d8ac39d0c543070975cb0859b9e50_1.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】000220354
【氏名又は名称】東京航空計器株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】隅田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】栗原 寛典
(72)【発明者】
【氏名】藤田 充
(72)【発明者】
【氏名】須田 信一
(72)【発明者】
【氏名】上半 文昭
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301CC10
5H301GG09
5H301GG14
(57)【要約】
【課題】機体の位置、姿勢及び移動を多様な状態に制御することができる無人航空機を提供する。
【解決手段】無人航空機1は、本体10と、本体10を浮揚及び上下移動させるための複数のプロペラユニット20と、本体10を傾けることなく水平方向の各方向に移動させるための複数のスラスタユニット30とを備える。各スラスタユニット30は、ダクト型ファンを含み、プロペラユニット20と隣に配置された他のプロペラユニット20との間に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体を浮揚及び上下移動させるための複数のプロペラユニットと、
前記本体を傾けることなく水平方向の各方向に移動させるための複数のスラスタユニットと
を備える無人航空機。
【請求項2】
水平方向の配置について、各々の前記スラスタユニットは、一つの前記プロペラユニットと隣に配置された他の前記プロペラユニットとの間に配置されている、請求項1に記載の無人航空機。
【請求項3】
前記プロペラユニットが有するプロペラのプロペラ円板を底面とする仮想の直円柱と、前記スラスタユニットが有するプロペラのプロペラ円板を底面とする仮想の直円柱とは重ならないように、前記プロペラユニットと前記スラスタユニットとは配置されている、請求項1又は2に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記スラスタユニットは、ダクト型ファンを含む、請求項1乃至3の何れかに記載の無人航空機。
【請求項5】
前記本体の姿勢を検出する姿勢検出器と、
前記姿勢検出器が検出した姿勢を参照し、前記本体を水平に保つように前記プロペラユニットの動作を制御する姿勢制御部と、
指令値に応じて前記本体を水平方向の各方向に移動させるように前記スラスタユニットの動作を制御する速度制御部と
をさらに備え、
前記速度制御部は、前記スラスタユニットの制御に応じた姿勢角指令信号を前記姿勢制御部へ送信し、
前記姿勢制御部は、前記姿勢角指令信号の値も用いて前記本体を水平に保つように前記プロペラユニットの動作を制御する、
請求項1乃至4の何れかに記載の無人航空機。
【請求項6】
前記姿勢角指令信号は、前記スラスタユニットを動作させたときに当該無人航空機に働く当該無人航空機を水平から傾ける力に関する信号であり、
前記姿勢制御部は、前記本体を水平に保つための制御における定常偏差を取り除くために前記姿勢角指令信号を用いる、
請求項5に記載の無人航空機。
【請求項7】
前記本体の姿勢を検出する姿勢検出器と、
前記姿勢検出器が検出した姿勢を参照し、前記プロペラユニットの動作を制御する姿勢制御部と、
指令値に応じて前記本体を水平方向の各方向に移動させるように制御する速度制御部と
をさらに備え、
制御モードとして、スラスタ制御モードと通常制御モードとを有しており、
前記スラスタ制御モードでは、
前記速度制御部は、前記指令値に応じて前記本体を水平方向の各方向に移動させるように前記スラスタユニットの動作を制御し、前記スラスタユニットの制御に応じた姿勢角指令信号を前記姿勢制御部へ送信し、
前記姿勢制御部は、前記姿勢角指令信号の値も用いて前記本体を水平に保つように前記プロペラユニットの動作を制御し、
前記通常制御モードでは、
前記速度制御部は、前記スラスタユニットを動作させずに、前記指令値に応じて前記本体を水平方向の各方向に移動させるための前記本体の水平面からの傾きに関する値を算出し、当該値に応じた姿勢角指令信号を前記姿勢制御部へ送信し、
前記姿勢制御部は、前記本体の水平面からの傾きが前記姿勢角指令信号の値に応じたものとなるように、前記プロペラユニットの動作を制御する、
請求項1乃至4の何れかに記載の無人航空機。
【請求項8】
当該無人航空機の周囲の画像を取得するように構成された画像センサと、前記画像センサが取得した画像を分析して当該無人航空機の位置又は速度を算出する画像分析部とを有する検出器をさらに備え、
前記速度制御部は、前記検出器が検出した前記位置又は速度を参照して前記スラスタユニットの動作を制御する、
請求項5乃至7の何れかに記載の無人航空機。
【請求項9】
当該無人航空機の周囲の画像を取得するように構成された画像センサと、前記画像センサが取得した画像を分析して当該無人航空機の位置又は速度を算出する画像分析部とを有する検出器と、
前記検出器が検出した前記位置又は速度を参照して前記スラスタユニットの動作を制御する速度制御部と
をさらに備える、請求項1乃至4の何れかに記載の無人航空機。
【請求項10】
前記本体に搭載された検査装置をさらに備え、
前記姿勢角指令信号は、前記検査装置に応じた信号となっている、
請求項5乃至8の何れかに記載の無人航空機。
【請求項11】
前記本体に搭載された検査装置をさらに備え、
前記検査装置は、接触面に対して接触する駆動輪を有するクローラユニットを有し、
前記速度制御部は、前記スラスタユニットの動作と共に前記クローラユニットの動作を制御する、
請求項5乃至8の何れかに記載の無人航空機。
【請求項12】
前記本体に搭載された検査装置をさらに備える、請求項1乃至9の何れかに記載の無人航空機。
【請求項13】
前記検査装置は、水平面に対して所定の角度を有する面に対して所定の角度を成して接触する接触型検査装置、前記面に対して所定の角度を成して向き合う非接触型検査装置、又は、前記面に対して所定の角度を成して向き合うカメラを含む、請求項10乃至12の何れかに記載の無人航空機。
【請求項14】
前記面は、鉛直な壁又は水平な天井であり、
前記接触型検査装置は前記面に対して垂直に接触する、前記非接触型検査装置は前記面に対して垂直に向き合う、又は、前記カメラは前記面に対して垂直に向き合う、
請求項13に記載の無人航空機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドローン、マルチコプターなどと呼ばれる複数の回転翼を有する無人航空機が知られている。このような無人航空機は、例えば航空撮影、物資の輸送、その他用途に用いられている。このような無人航空機は、一般に、機体を傾けることで、前後左右の水平方向に移動する。機体を傾けることなく水平方向の各方向に移動できれば、機体の位置、姿勢及び移動を多様な状態に制御することができ、無人航空機の用途は広がる。
【0003】
例えば特許文献1には、塗装作業を行うことができる無人航空機に関する技術が開示されている。この無人航空機では、機体から突き出すように配置された車輪及び塗装ローラーを備え、それらが突き出た方向にある面との距離を測る測距センサを備えている。また、この無人航空機は、塗装ローラーの方向に機体を押し付けるための垂直回転翼を有する水平推進機構を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6592680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、機体の位置、姿勢及び移動を多様な状態に制御することができる無人航空機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、無人航空機は、本体と、前記本体を浮揚及び上下移動させるための複数のプロペラユニットと、前記本体を傾けることなく水平方向の各方向に移動させるための複数のスラスタユニットとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機体の位置、姿勢及び移動を多様な状態に制御することができる無人航空機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る無人航空機の構成例の概略を示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る無人航空機の構成例の概略を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は上面図、(d)は下面図である。
図3図3は、一実施形態に係る無人航空機の構成例の概略を示すブロック図である。
図4図4は、天井検査機を搭載した無人航空機の構成例の概略を示す斜視図である。
図5図5は、天井検査機を搭載した無人航空機の構成例の概略を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は上面図、(d)は下面図である。
図6図6は、壁面検査機を搭載した無人航空機の構成例の概略を示す斜視図である。
図7図7は、壁面検査機を搭載した無人航空機の構成例の概略を示す図であり、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は上面図、(d)は下面図である。
図8図8は、天井検査機を搭載した無人航空機の姿勢角及び前後速度の時間変化の実測値の一例を示す図であり、(a)は通常制御モード、(b)スラスタ制御モードにおける一例を示す図である。
図9図9は、変形例に係る無人航空機の構成例の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、ドローンなどとも呼ばれる無人航空機に関する。図1は、本実施形態に係る無人航空機1の構成例の概略を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る無人航空機1の(a)正面図、(b)右側面図、(c)上面図及び(d)下面図である。ここで示す無人航空機1の例は、4つの回転翼、すなわち、4つのプロペラユニット20を有するクアッドコプターの例である。また、無人航空機1は、クアッドコプターであるが、機体を傾けることなく水平方向に移動できるように4つのスラスタユニット30をさらに備える。図3は、本実施形態に係る無人航空機1の構成例の概略を示すブロック図である。
【0010】
[無人航空機の構造]
図1及び図2に示すように、無人航空機1の中央部には、本体10が設けられている。本体10からは、水平方向に、四方にプロペラ用アーム41が伸びている。プロペラ用アーム41の各々の先端には、プロペラユニット20が設けられている。これらプロペラユニット20を、本体10に対するその位置に応じて、右前プロペラユニット20FR、左前プロペラユニット20FL、右後プロペラユニット20RR、及び左後プロペラユニット20RLと称することにする。
【0011】
各々のプロペラユニット20は、無人航空機1を浮揚させるための水平に回転するプロペラ21を有する。プロペラユニット20には、固定ピッチのプロペラが用いられてもよいが、本実施形態のプロペラユニット20には、可変ピッチのプロペラ21が用いられている。図1乃至図3に示すように、無人航空機1は、プロペラ21を回転させるためのメインモータ26と、メインモータ26の回転速度を制御するためのElectric Speed Controller(ESC)27とを有する動力ユニット25を備える。動力ユニット25は、例えば、本体10の中央付近に設けられている。各プロペラユニット20は、プロペラ21のピッチを変更するための可変ピッチ機構22と、可変ピッチ機構22を駆動するためのサーボモータ23とを備える。本実施形態の無人航空機1では、メインモータ26は、全てのプロペラ21を所定の一定の回転速度で回転させる。各サーボモータ23によって動作する各可変ピッチ機構22によって各プロペラ21のピッチが変更され、各プロペラユニット20によって発生する揚力が調整される。仮にプロペラユニットに固定ピッチのプロペラが用いられる場合には、各モータの回転数で各プロペラユニットによって発生する揚力が調整される。無人航空機1の姿勢を水平に維持した状態で4つのプロペラユニット20が発生する揚力を同時に変化させることで、無人航空機1は上下に移動することができる。
【0012】
本実施形態の無人航空機1は、一般的なクアッドコプターのように、無人航空機1の機体全体を傾けることで、水平方向に前後左右に移動することもできる。この際、無人航空機1の姿勢を制御するために、各プロペラユニット20によって発生する揚力が調整される。さらに、本実施形態の無人航空機1は、機体を水平に維持したまま、スラスタユニット30を用いて水平方向に前後左右に移動することもできる。この際、無人航空機1の姿勢を水平に維持するために、各プロペラユニット20によって発生する揚力が調整される。
【0013】
無人航空機1は、4つのスラスタユニット30を備える。各々のスラスタユニット30は、本体10から前後左右に伸びるスラスタ用アーム42の先に取り付けられ、本体10の前後左右に設けられている。これらスラスタユニット30を、本体10に対するその位置に応じて、前方スラスタユニット30F、後方スラスタユニット30B、右方スラスタユニット30R、左方スラスタユニット30Lと称することにする。
【0014】
各々のスラスタユニット30は、ダクト型ファンである。すなわち、各々のスラスタユニット30は、ダクト34を備え、ダクト34の内部にプロペラ31が設けられている。各々のスラスタユニット30は、プロペラ31を回転させるためのモータ32と、モータ32の回転速度を制御するためのESC33とを備える。プロペラ31の回転で発生する気流は、ダクト34で整流される。
【0015】
各々のスラスタユニット30は、無人航空機1の重心の高さに設けられている。各々のスラスタユニット30は、本体10と反対側に水平に空気を吹き出すように構成されている。したがって、後方スラスタユニット30Bが動作することによって、無人航空機1の後方に空気が吹き出され、無人航空機1は前方に進む。同様に、前方スラスタユニット30Fが動作することによって、無人航空機1の前方に空気が吹き出され、無人航空機1は後方に進む。右方スラスタユニット30Rが動作することによって、無人航空機1の右方に空気が吹き出され、無人航空機1は左方に進む。左方スラスタユニット30Lが動作することによって、無人航空機1の左方に空気が吹き出され、無人航空機1は右方に進む。
【0016】
水平方向の配置についてみると、前方スラスタユニット30Fは、右前プロペラユニット20FRと左前プロペラユニット20FLとの間に設けられている。したがって、前方スラスタユニット30Fから吹き出される空気は、右前プロペラユニット20FR及び左前プロペラユニット20FLによる下方への空気の流れに影響を与えにくい。特に、前方スラスタユニット30Fから吹き出される空気は、ダクト34によって整流されているので、右前プロペラユニット20FR及び左前プロペラユニット20FLによる下方への空気の流れに影響を与えにくい。例えば、右前プロペラユニット20FR及び左前プロペラユニット20FLのプロペラ21のプロペラ円板を底面とする仮想の直円柱と、前方スラスタユニット30Fのプロペラ31のプロペラ円板を底面とする仮想の直円柱とは重ならないことが好ましい。
【0017】
同様に、各々のプロペラユニット20によって下方に流れる空気の流れを妨げないように、後方スラスタユニット30Bは、右後プロペラユニット20RRと左後プロペラユニット20RLとの間に配置されている。右方スラスタユニット30Rは、右前プロペラユニット20FRと右後プロペラユニット20RRとの間に配置されている。左方スラスタユニット30Lは、左前プロペラユニット20FLと左後プロペラユニット20RLとの間に配置されている。
【0018】
このように各々のスラスタユニット30は、水平方向の配置について、あるプロペラユニット20とその隣に配置された他のプロペラユニット20との間に配置されていることが好ましい。さらに、プロペラユニット20のプロペラ21のプロペラ円板を底面とする仮想の直円柱と、スラスタユニット30のプロペラ31のプロペラ円板を底面とする仮想の直円柱とは重ならないように、プロペラユニット20とスラスタユニット30とは配置されていることが好ましい。このような配置によって、各々のプロペラユニット20による無人航空機1の姿勢制御は安定する。
【0019】
本体10には、無人航空機1の飛行に必要な各種装置が搭載されている。図3に示すように、無人航空機1は、無人航空機1の飛行を制御するフライトコントローラ60を備える。フライトコントローラ60は、プロセッサを有する。フライトコントローラ60は、姿勢制御部61と速度制御部62としての機能を備える。
【0020】
また、無人航空機1は、無人航空機1の制御に必要な情報を取得するための各種センサ等を備える。各種センサ等で取得された情報は、フライトコントローラ60へと入力される。これらセンサ等には、慣性計測装置72、Global Navigation Satellite System(GNSS)ユニット74、距離センサ76、速度検出ユニット80などが含まれる。慣性計測装置72は、3軸の角速度の計測、3軸の加速度の計測などを行うように構成されている。慣性計測装置72は、姿勢検出器として用いられる。GNSSユニット74は、Global Positioning System(GPS)衛星などからの信号を受信し、位置情報を算出する。距離センサ76は、光又は音を放射し、その反射波に基づいて近接物までの距離を測定する。
【0021】
速度検出ユニット80は、画像センサ81を備えたカメラとプロセッサにより実現される画像分析部82とを有する。速度検出ユニット80は、画像センサ81を用いて取得した無人航空機1の周囲の画像を画像分析部82が分析し、無人航空機1の移動方向、移動距離、位置又は速度などを算出する。例えば、画像センサ81は、地面又は壁面などを撮影して画像を取得する。画像分析部82は、この画像中の特徴点を検出し、これに基づいて無人航空機1の移動方向、移動距離、位置又は速度などを算出することができる。このような画像の分析方法には、例えばオプティカルフローを用いた手法などが用いられてもよいが、これに限らず、どのような手法が用いられてもよい。また、画像の分析には、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)に利用されているような各種技術が用いられ得る。また、画像の分析結果は、SLAMに活用されてもよい。
【0022】
GNSSユニット74、距離センサ76、速度検出ユニット80などを用いれば、無人航空機1の速度が算出され得るので、GNSSユニット74、距離センサ76、速度検出ユニット80などは、速度検出器として機能する。この他、無人航空機1は、3軸の地磁気センサ、気圧センサなど、他のセンサ類を備えていてもよい。
【0023】
また、無人航空機1は、地上から無人航空機1の操縦を行う操縦者が操作する操縦者端末92と無線通信を行う通信機90を備える。通信機90は、操縦者端末92から指令を受信する。通信機90が受信する指令には様々な情報が含まれ得るが、無人航空機1の移動方向及び速度の情報も含まれる。また、通信機90を介して、無人航空機1の種々の情報が、操縦者端末92へと送信されてもよい。なお、操縦者端末92は、無線操縦装置や各種飛行情報を表示する端末などを含み得る。
【0024】
無人航空機1は、この他に、もちろん、バッテリーなど必要な機器を備える。また、無人航空機1は、映像を取得するためのカメラ等、他の機器を備えていてもよい。
【0025】
[無人航空機の飛行]
本実施形態に係る無人航空機1は、スラスタ制御モードと通常制御モードとの2種類の飛行制御モードを有する。スラスタ制御モードでは、無人航空機1は、プロペラユニット20を用いて機体を水平に維持したまま、スラスタユニット30を用いて水平方向に移動する飛行を行う。通常制御モードでは、無人航空機1は、プロペラユニット20を用いて機体を傾けて水平方向に移動する飛行を行う。何れの場合も、上下方向には、プロペラユニット20を用いて移動する。
【0026】
〈スラスタ制御モード〉
スラスタ制御モードにおける動作について説明する。姿勢制御部61は、慣性計測装置72から無人航空機1の角度や角速度、加速度等に関する情報を取得し、無人航空機1の姿勢を水平に維持するようにプロペラユニット20のフィードバック制御を行う。すなわち、姿勢制御部61は、ESC27を介してメインモータ26を一定速度で回転させ、無人航空機1を水平に維持するための制御値を算出し、4つあるプロペラユニット20の各々のサーボモータ23の動作を制御し、プロペラ21のピッチ角を制御する。
【0027】
また、通信機90を介して操縦者端末92からの無人航空機1を上下に移動させる指令を受信したときには、姿勢制御部61は、無人航空機1の姿勢を水平に維持するための制御値を算出し、また、速度制御部62は、無人航空機1を上下に移動させるためにプロペラユニット20が発生する揚力を変化させるための制御値を算出する。姿勢制御部61は、速度制御部62が算出した制御値に基づいて、4つのプロペラユニット20が発生する揚力を同時に変化させ、無人航空機1を水平に維持したまま上下に移動させる。このとき、速度制御部62は、GNSSユニット74、距離センサ76、速度検出ユニット80などから取得した情報に基づいて無人航空機1の速度を特定し、無人航空機1の速度が通信機90を介して取得した指令値と等しくなるようにフィードバック制御を行う。
【0028】
通信機90を介して操縦者端末92からの無人航空機1を水平に移動させる指令を受信したときには、姿勢制御部61は、無人航空機1の姿勢を水平に維持したまま、速度制御部62は、スラスタユニット30の動作を制御する。このとき、速度制御部62は、GNSSユニット74、距離センサ76、速度検出ユニット80などから取得した情報に基づいて無人航空機1の速度を特定し、無人航空機1の速度が通信機90を介して取得した指令値と等しくなるようにスラスタユニット30のフィードバック制御を行う。ここで、速度制御部62は、無人航空機1を水平に移動させるための制御値を算出し、4つあるスラスタユニット30の各々のモータ32の動作を、ESC33を介して制御する。
【0029】
水平方向に移動する場合に限らず同じ位置に停止する場合においても、風などによって無人航空機1が流されそうになるとき等には、同様にプロペラユニット20及びスラスタユニット30を用いて、無人航空機1の位置及び姿勢が制御される。
【0030】
スラスタユニット30が発生する力の作用線が無人航空機1の重心を通らない場合、スラスタユニット30を動作させたときに、無人航空機1を水平状態から傾ける力が無人航空機1に働き、これが無人航空機1を水平に維持する制御における定常偏差となる。そこで、速度制御部62は、スラスタユニット30への動作指令と共に、この偏差を取り除くための姿勢角を表す姿勢角指令信号を姿勢制御部61へと出力する。この姿勢角指令信号が表す姿勢角の値は、スラスタユニット30の出力に応じた値となる。なお、スラスタユニット30が発生する力の作用線が無人航空機1の重心を通るときには、この姿勢角の値は0となる。
【0031】
このように、姿勢角指令信号は、スラスタユニット30が発生する力の作用線が無人航空機1の重心を通らないことに関連して発生する、スラスタユニット30を動作させたときに無人航空機1に働く、無人航空機1を水平から傾ける力に関する信号である。姿勢角指令信号を取得した姿勢制御部61は、無人航空機1を水平に保つための制御における定常偏差を取り除くために姿勢角指令信号を用いる。姿勢制御部61が、姿勢角指令信号が表す姿勢角の分だけオフセットした制御を行うことで、無人航空機1は、正確に水平に維持される。
【0032】
以上のようなスラスタ制御モードによれば、無人航空機1を常に水平に維持した状態で、無人航空機1を前後左右上下に移動させることができる。
【0033】
〈通常制御モード〉
スラスタユニット30を用いない通常制御モードについて説明する。通常制御モードにおいても、姿勢制御部61が、慣性計測装置72から無人航空機1の角度や角速度、加速度等に関する情報を取得し、無人航空機1の姿勢を水平に維持するようにフィードバック制御を行うことは、スラスタ制御モードと同様である。また、無人航空機1を上下に移動させる動作も、スラスタ制御モードと通常制御モードとで同様である。
【0034】
通常制御モードにおいて、無人航空機1を水平に移動させる場合には、無人航空機1は、その姿勢を水平から傾ける。例えば前方に移動するときには、前方を下げて後方を上げるように無人航空機1を傾ける。速度制御部62は、無人航空機1の速度が通信機90を介して取得した指令値と等しくなるような無人航空機1の水平面からの傾きといった姿勢を算出する。速度制御部62は、無人航空機1の姿勢を算出した姿勢角とするための姿勢角指令信号を姿勢制御部61へと出力する。姿勢角指令信号を取得した姿勢制御部61は、その信号が表す姿勢角の分だけオフセットした制御を行うことで、無人航空機1を水平からその姿勢角の分だけ傾けるようにプロペラユニット20を制御する。その結果、無人航空機1は、傾いて水平方向に移動する。速度制御部62は、GNSSユニット74、距離センサ76、速度検出ユニット80などから取得した情報に基づいて無人航空機1の速度を特定し、無人航空機1の速度が通信機90を介して取得した指令値と等しくなるようにフィードバック制御を行う。
【0035】
以上のような通常制御モードによれば、無人航空機1を前後左右に傾けて、無人航空機1を前後左右に移動させることができる。一般に、通常制御モードによる水平方向の移動によれば、スラスタ制御モードによる水平方向の移動よりも、高速で移動できる。したがって、長距離を高速で移動することが求められる場合などには、スラスタ制御モードに代えて通常制御モードが用いられてもよい。
【0036】
[応用例]
本実施形態に係る無人航空機1は、機体を水平に維持したまま水平方向に移動することができるので、各種検査等に用いるのに好適である。例えば、橋、トンネル、高架などのコンクリートの打音検査機を無人航空機1に搭載し、これによって打音検査を行うことができる。図4及び図5は、橋、トンネル、高架などの天井のコンクリートの打音検査を行うための天井検査機110を無人航空機1に搭載した例を示す図である。天井検査機110は、コンクリート面の浮きなどといったコンクリートの劣化箇所を発見することができるように構成されている。
【0037】
この図に示す例では、天井検査機110は、天井と接する車輪112を有する接触部113に打音検査機111が支持されており、打音検査機111が検査に適する状態で天井に接触するように構成されている。また、打音検査機111が天井に接触した状態においてもプロペラ21と天井との間に必要な空間が維持されるように接触部113を本体10に支持する支持部114が設けられている。接触部113は、支持部114に対して回転し、本体10に対する向きを変更できるように構成されている。
【0038】
本実施形態に係る無人航空機1によれば、天井検査機110を天井に接触させた後に、その接触状態を維持したまま、無人航空機1を水平方向に移動させることができるので、水平な天井に沿って打音検査を連続的に行うことができる。
【0039】
また、図6及び図7は、橋、トンネル、高架などの鉛直な壁面のコンクリートの打音検査を行うための壁面検査機120を無人航空機1に搭載した例を示す図である。この図に示す例では、壁面検査機120は、壁面と接する車輪122を有する接触部123に打音検査機121が支持されており、打音検査機121が検査に適する状態で壁面に接触するように構成されている。また、打音検査機121が壁面に接触した状態においてもプロペラ21と壁面との間に必要な空間が維持されるように接触部123を本体10に支持するアーム124が設けられている。接触部123は、アーム124に対して回転し、本体10に対する向きを変更できるように構成されている。また、打音検査機121及び接触部123とバランスを取るための釣り合いおもり125がアーム124の反対側に設けられている。
【0040】
本実施形態に係る無人航空機1によれば、壁面検査機120を壁面に垂直に接触させることができる。さらに、壁面検査機120を垂直に接触させた後に、その接触状態を維持したまま、無人航空機1を水平方向に移動させることができるので、鉛直な壁面に沿って打音検査を連続的に行うことができる。例えば、鉄筋が縦に入っている鉄筋コンクリート製の被検査面に対しては、水平方向に移動しながら検査することが求められることがある。
【0041】
一般的なクアッドコプター等では、水平方向に移動する際に機体を傾ける必要がある。このため、一般的なクアッドコプター等では、検査装置を鉛直な壁面に垂直に接触させることができない。また、一般的なクアッドコプター等では、水平な天井又は鉛直な壁面に検査装置を接触させた状態で、水平に移動することができない。これに対して本実施形態の無人航空機1は、機体を傾けることなく水平に移動することができるので、天井検査機110又は壁面検査機120のような検査機を用いることで、正確で効率的な検査を実施することができる。なお、被検査面は水平や垂直などでなくてもよいし、検査機の被検査面への接触は垂直でなくてもよい。水平面に対して所定の角度を有する被検査面に対して所定の角度を成して向き合う検査機が用いられるときなどに本実施形態の無人航空機1は、その効果を発揮する。
【0042】
図8は、天井検査機110を搭載した無人航空機1の、(a)通常制御モード及び(b)スラスタ制御モードによる飛行における、姿勢角及び前後速度の変化の実測値を示す。図8(b)によれば、本実施形態に係るスラスタ制御モードを用いることで、姿勢角を水平に維持したまま、所望の速度で無人航空機1を前後に動かすことができることが分かる。このような動きが可能であることで、機体を水平に維持したまま、無人航空機1は、天井や壁に接触したままの状態や一定距離を保ったままの状態で、前後左右上下に移動することができる。したがって、検査対象物を自由な条件で走査することができる。
【0043】
検査装置は、打音検査機のような接触型検査装置に限らない。検査装置は、接触型及び非接触型の種々の検査装置であってよい。検査装置は、例えばカメラ等であってもよい。本実施形態の無人航空機1にカメラを搭載することで、被写体に対して常に一定の姿勢で一定の距離を保ったまま連続的に撮影を行うことなどができる。一般的なクアッドコプター等では、水平方向への移動の度に機体が傾くため、連続的に画像を取得すること等ができない。このため、被検査面からある程度離れた位置から画角を広くして高解像度カメラを用いて撮影が行われることがある。これに対して本実施形態によれば、例えば近接撮影が可能であるなど、撮影の方法についても用いる機材についても自由度が高くなる。
【0044】
無人航空機1に例えば天井検査機110又は壁面検査機120を搭載すると、機体の重心位置がずれる。速度制御部62がスラスタユニット30を動作させる際に姿勢制御部61へと出力する姿勢角指令信号は、搭載する機器に応じた値、すなわち、機器の搭載によってずれる重心位置に応じた値であることが好ましい。このようにすることで、姿勢制御部61の制御下で行われる機体の水平維持がより高精度に行われ得る。
【0045】
また、検査対象である橋、高架などの下やトンネルの中では、GNSSの衛星信号を適切に受信できないことがある。これに対して本実施形態の無人航空機1は、撮影した画像を用いる速度検出ユニット80を搭載しているので、衛星信号を適切に受信できないような検査環境においても正確に飛行することができる。
【0046】
本実施形態の無人航空機1は、距離センサ76及び速度検出ユニット80を備えているので、上述のような検査においても、極めて高い精度で無人航空機1の位置を制御することができる。
【0047】
また、天井のすぐ下などでは、一般に天井の存在によりプロペラ21における空気の流れが大きく変化しやすいため、揚力が突然失われることがある。本実施形態の無人航空機1では、可変ピッチのプロペラ21が用いられているため、このような揚力の突然の変化にも可変ピッチ機構22によって素早く対応し、無人航空機1の位置及び姿勢を維持することができる。
【0048】
[変形例]
上述の応用例の変形例について説明する。上述の応用例では、天井検査機110の天井と接触する車輪112、及び、壁面検査機120の壁面と接触する車輪122は、受動的に回転するものであった。これに対して本変形例では、天井検査機110又は壁面検査機120の車輪の少なくとも何れかがモータで回転する駆動輪として構成されている。
【0049】
図9は、本変形例に係る無人航空機1の構成例の概略を示すブロック図である。この図に示すように、本変形例に係る無人航空機1は、さらにクローラユニット140を備える。クローラユニット140は、天井検査機110の車輪112又は壁面検査機120の車輪122に相当する車輪142と、車輪142のうち少なくとも何れかである駆動輪を回転させるためのモータ143と、このモータ143の回転速度を制御するためのESC144とを備える。本変形例では、速度制御部62が、このESC144を介してモータ143の動作を制御し、車輪142の回転を制御する。
【0050】
本変形例に係る無人航空機1は、天井検査機110又は壁面検査機120が検査を行っており車輪142が天井又は壁面といった接触面に接触している場合において水平に移動するときに、スラスタユニット30を動作させて推力を得るとともに、クローラユニット140を動作させて接触面上を走行させるようにする。すなわち、速度制御部62は、操縦者端末92からの無人航空機1を水平に移動させる指令を受信したときに、無人航空機1を水平に移動させるためのスラスタユニット30の制御値と共にクローラユニット140の制御値を算出する。速度制御部62は、スラスタユニット30の制御値に基づいて4つあるスラスタユニット30の各々のESC33を介して各々のモータ32の動作を制御する。これと共に、速度制御部62は、クローラユニット140の制御値に基づいてクローラユニット140のESC144を介してモータ143を制御する。このようにして、無人航空機1は、姿勢を水平に維持したまま、スラスタユニット30とクローラユニット140との動作によって、水平方向に移動する。
【0051】
また、壁面検査機120が検査を行っており、車輪142が壁面に接触している場合において上下に移動するときに、プロペラユニット20を動作させると共に、クローラユニット140を動作させてもよい。すなわち、操縦者端末92からの無人航空機1を上下に移動させる指令を受信したときに、姿勢制御部61は、無人航空機1の姿勢を水平に維持し、また、速度制御部62は、4つのプロペラユニット20が発生する揚力を同時に変化させ、無人航空機1を上下に移動させる。これと共に、速度制御部62は、クローラユニット140の制御値を算出し、それに基づいてクローラユニット140のESC144を介してモータ143を制御する。このようにして、無人航空機1は、姿勢を水平に維持したまま、プロペラユニット20とクローラユニット140との動作によって上下に移動してもよい。
【0052】
水平移動にスラスタユニット30とクローラユニット140との両方を用いることで、スラスタユニット30のみを用いる上述の応用例の場合よりも、滑らかな水平方向の移動が可能になる。例えば、車輪112と天井又は車輪122と壁面との接触について抵抗がある場合、スラスタユニット30を動作させたときに、これら車輪を介して無人航空機1を回転させる力が無人航空機1に作用することがある。これに対して、本変形例によれば、無人航空機1を水平に移動させる力が、スラスタユニット30とクローラユニット140とによって平行に水平に作用し、無人航空機1を回転させる力の発生が抑制される。
【0053】
同様に、上下移動にプロペラユニット20とクローラユニット140との両方を用いることで、プロペラユニット20のみを用いる上述の実施形態の場合よりも、滑らかな上下移動が可能になる。
【0054】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0055】
例えば、ここでは、クアッドコプターを例に示したが、回転翼の数は4つに限らず、いくつであってもよい。また、スラスタユニットの数も4つに限らず、いくつであってもよい。また、プロペラユニットは、可変ピッチのものに限らず、固定ピッチのものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 無人航空機
10 本体
20 プロペラユニット
20FR 右前プロペラユニット
20FL 左前プロペラユニット
20RR 右後プロペラユニット
20RL 左後プロペラユニット
21 プロペラ
22 可変ピッチ機構
23 サーボモータ
25 動力ユニット
26 メインモータ
27 ESC
30 スラスタユニット
30F 前方スラスタユニット
30B 後方スラスタユニット
30R 右方スラスタユニット
30L 左方スラスタユニット
31 プロペラ
32 モータ
33 ESC
34 ダクト
41 プロペラ用アーム
42 スラスタ用アーム
60 フライトコントローラ
61 姿勢制御部
62 速度制御部
72 慣性計測装置
74 GNSSユニット
76 距離センサ
80 速度検出ユニット
81 画像センサ
82 画像分析部
90 通信機
92 操縦者端末
110 天井検査機
120 壁面検査機
140 クローラユニット
142 車輪
143 モータ
144 ESC

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9