(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070733
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/70 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179963
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】望月 一宏
【テーマコード(参考)】
2C058
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AC06
2C058AE07
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA38
2C058LB02
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により、ユーザーによる切断動作の精度を向上させる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、長尺記録媒体を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送路上の長尺記録媒体に対して印刷を行う印刷手段と、前記搬送路上、前記印刷手段の下流に位置し、長尺記録媒体に対して切断処理を行う切断手段と、前記搬送路上の長尺記録媒体に対して前記切断手段による切断処理を行わない場合に、ユーザーによる切断動作を補助する切断補助手段とを備える。前記切断補助手段は、前記搬送路上、前記切断手段の下流において、前記搬送路を延長して、該延長された搬送路の排出口においてユーザーによる切断動作を補助し、前記切断補助手段は、前記ユーザーによる切断動作の刃受け面として、前記切断補助手段の外装面のうち前記排出口の排出口面に隣接する一部分が突き出た突出部を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺記録媒体を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送路上の長尺記録媒体に対して印刷を行う印刷手段と、
前記搬送路上、前記印刷手段の下流に位置し、長尺記録媒体に対して切断処理を行う切断手段と、
前記搬送路上の長尺記録媒体に対して前記切断手段による切断処理を行わない場合に、ユーザーによる切断動作を補助する切断補助手段と、
を備える印刷装置であって、
前記切断補助手段は、前記搬送路上、前記切断手段の下流において、前記搬送路を延長して、該延長された搬送路の排出口においてユーザーによる切断動作を補助し、
前記切断補助手段は、前記ユーザーによる切断動作の刃受け面として、前記切断補助手段の外装面のうち前記排出口の排出口面に隣接する一部分が突き出た突出部を有する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記延長された搬送路は、長尺記録媒体の反発力によって該長尺記録媒体が前記刃受け面の側に押し付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記延長された搬送路は、前記排出口の近傍でカーブ状に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記突出部の長さは、前記印刷装置が対応可能な複数種類の長尺記録媒体の幅のうち、最大幅よりも長いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記切断補助手段は、長尺記録媒体を該長尺記録媒体の幅方向において一方に付勢する第1の付勢手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記切断補助手段は、前記延長された搬送路と合流するように形成された、長尺記録媒体を挿入するための第2搬送路を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記切断補助手段は、前記第2搬送路上の長尺記録媒体を前記第2搬送路の壁面に押し付けるように、該長尺記録媒体を付勢する第2の付勢手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記突出部の刃受け面には、前記突出部の他の部材よりも剛性の大きい部材が用いられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記切断補助手段は、前記印刷装置に着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記切断補助手段により補助される前記ユーザーの切断動作の対象の長尺記録媒体の剛性は、前記切断手段の切断処理の対象の長尺記録媒体の剛性よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記切断補助手段により補助される前記ユーザーの切断動作の対象の長尺記録媒体は、記名板であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺記録媒体に印刷可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チューブやラベルテープ等の長尺記録媒体に文字や数字等を印刷する印刷装置(チューブプリンタ)が記載されている。チューブプリンタでは、印刷したチューブやラベルテープを機体内に設けられたカッターによって切断することが可能である。チューブプリンタには、記名板と呼ばれる配電盤内で用いられるプラスチック製のロールシート状の記録媒体に印刷可能なものがある。記名板は、他の記録媒体に比べると、材質的に硬くまた厚みもあるため、内蔵のカッターでの切断が困難な場合がある。
【0003】
特許文献2には、記録媒体を切断する場合、別ユニット化されたカッターユニットを本体装置にマウントすることで、ユーザーが切断可能なように構成するラベルプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-238821号公報
【特許文献2】特開2016-30355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、厚みのある剛性の大きい記録媒体に対して切断に必要な力を発生させたり、その発生した力に対する耐性を確保するように装置を構成した場合、装置が大型化してしまう可能性がある。また、特許文献2では、ユーザーが手動で切断を行うことが可能な構成が記載されているが、上記のような剛性の大きい記録媒体に対して切断動作が行われることについては言及されていない。そこで、厚みのある剛性の大きい記録媒体に対する切断動作をユーザーに精度よく行わせる構成が望まれている。
【0006】
本発明は、簡易な構成により、ユーザーによる切断動作の精度を向上させる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷装置は、長尺記録媒体を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送路上の長尺記録媒体に対して印刷を行う印刷手段と、前記搬送路上、前記印刷手段の下流に位置し、長尺記録媒体に対して切断処理を行う切断手段と、前記搬送路上の長尺記録媒体に対して前記切断手段による切断処理を行わない場合に、ユーザーによる切断動作を補助する切断補助手段と、を備える印刷装置であって、前記切断補助手段は、前記搬送路上、前記切断手段の下流において、前記搬送路を延長して、該延長された搬送路の排出口においてユーザーによる切断動作を補助し、前記切断補助手段は、前記ユーザーによる切断動作の刃受け面として、前記切断補助手段の外装面のうち前記排出口の排出口面に隣接する一部分が突き出た突出部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
簡易な構成により、ユーザーによる切断動作の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図10】切断された媒体を搬送路に再度挿入した様子を示す図である。
【
図11】印刷終了後の搬送距離を決定するための情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
[構成]
本実施形態では、チューブ等の長尺記録媒体に任意の文字等を印刷して切断処理を実行するチューブプリンタを説明する。
図1は、本実施形態におけるチューブプリンタの構成を示す図である。チューブプリンタ1は、持ち運び可能に構成されており、内部には、長尺記録媒体を搬送するための搬送路Pが形成されている。また、
図2は、制御系のブロック構成を示す図である。
【0012】
チューブプリンタ1は、入力部13、表示部14、印刷部20、切断部30、制御部15を備える。入力部13は、例えばキーボードを含み、設定や指示等のユーザー操作を受付可能である。また、入力部13は、受け付けたユーザー操作に対応する信号を制御部15に送信する入力制御部を有する。表示部14は、LCDを含み、制御部15からの指示に従って、ユーザーに対して各種のユーザインタフェース画面を表示する。表示部14は、複数の表示領域を含み、例えば、メニューバーを表示する領域14A、メッセージ等を表示する領域14B、キャンセルや実行等の各指示ボタンを表示する領域14Cを含む。
【0013】
印刷部20は、サーマルヘッド6を含み、主走査方向に配列された複数の発熱素子を選択的に発熱させることで記録媒体に対する印刷処理を実行する。切断部30は、印刷部20の記録媒体の搬送方向下流側に設けられており、搬送路上の切断対象の記録媒体に対して切断処理を実行する。制御部15は、チューブプリンタ1を統括的に制御するコントローラボードであり、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、チューブプリンタ1を動作させるためのプログラムやデータを記憶している。チューブプリンタ1が実現可能な機能は、例えば、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより実現される。
【0014】
各ブロックは、例えば、内部バスにより相互に通信可能に接続されている。また、
図2のドライバ18は、制御部15からの指示に従って、チューブプリンタ1内のモータ(搬送モータ等)等の駆動機構を駆動させる。また、センサ制御部19は、位置センサや温度センサ等の各種センサからの検知信号を制御部15に送信する。
【0015】
チューブプリンタ1は、上記で説明したような構成に限られず、チューブプリンタ1が実行可能な機能に応じたブロックを適宜含み得る。例えば、外部のPCとのケーブル接続を可能にするインタフェースを有しても良い。そのような構成により、外部のPCで作成されたデータやジョブをチューブプリンタ1に送信し、外部のPCからチューブプリンタ1の動作を制御することが可能となる。また、記憶領域は、ROMやRAM等の制御部15内のメモリに限られず、チューブプリンタ1に着脱可能な外部記憶媒体として構成されても良い。
【0016】
印刷部20は、記録媒体を搬送するための搬送ローラ2a、2bと、搬送ローラ2a、2bの下流側でサーマルヘッド6に対向配置されたプラテンローラ3と、プラテンローラ3の下流側にプラテンローラ3と対向するように配置されたピンチローラ4とを有する。プラテンローラ3とサーマルヘッド6との間にはインクリボンRが介在している。インクリボンRは、インクリボンカセット8のリボン供給リールから供給され、リボン巻取リールに巻き取られる。
【0017】
搬送ローラ2a、2bの上流側には、不図示のギアを介して搬送ローラ2a、プラテンローラ3、およびインクリボンカセット8のリボン巻取リールのスプールを回転駆動させるステッピングモータ5が配置されている。リボンカセット8の左側かつ切断部30の下側には、不図示のギアおよびカムを介して、サーマルヘッド6を搬送路Pから退避した退避位置と、プラテンローラ3に圧接する印刷位置との間で移動させるステッピングモータ9が配置されている。
【0018】
図1では、長尺記録媒体としてチューブTが装着された状態が示されている。印刷時には、インクリボンカセット8のインクリボンRを挟んでサーマルヘッド6をチューブTに圧接するとともに、入力部13から入力された印刷データに従って、サーマルヘッド6を構成する発熱素子を選択的に発熱させる。その結果、インクリボンRのインクが溶融され、チューブTに文字列が1ラインずつ印刷される。
【0019】
印刷処理が行われたチューブTは、制御部15によって切断部30のカッター侵入位置にチューブTの切断位置が合うまで搬送されて停止し、切断部30により切断される。連続印刷時には、カット動作を完全に行わないハーフカット動作を行うことで、チューブTが完全に切断されない状態で搬送し続けることも可能である。なお、ハーフカット動作は、例えば、入力部13を介して入力されたユーザー操作によるモード設定により実現される。
【0020】
チューブプリンタ1は、長尺記録媒体として、各種チューブの他にラベル紙や記名板などといった媒体へも印刷することが可能である。チューブやラベル紙は、切断部30によって切断可能な一方、記名板は、他の媒体よりも硬いため、切断部30による切断が困難である。そのため、記名板の場合は、切断位置が機外へ露出するまで搬送し、ユーザーがニッパー等の工具を用いて手動で切断を行う仕様とされている。このため、記名板上にカット位置を印刷しない限り何も目印となるものがないため、ユーザーは、記名板を正確な位置で切断することが難しい。また、ユーザーの切断動作を規制するものが存在しないため、斜めに切断してしまう可能性がある。
【0021】
本実施形態におけるチューブプリンタ1は、以下に説明するような切断補助具100を接続可能である。以下で説明するような切断補助具100を接続することにより、記名板のような長尺記録媒体に対するユーザーの切断動作の精度を向上させることができる。
【0022】
図3は、本実施形態における切断補助具100の構成を示す断面図である。また、
図4は、切断補助具100の斜視図である。切断補助具100は、記名板Kを搬送可能に構成された補助装置である。切断補助具100は、チューブプリンタ1の搬送路Pを延長するための搬送路P2を搬送路Pに合わせるように、不図示の接続具によってチューブプリンタ1に接続される。搬送路P2には、記名板Kを搬送するための駆動源やローラ対は設けられておらず、切断補助具100とチューブプリンタ1との間は電気的に接続されていない。そのため、記名板Kは、チューブプリンタ1からの搬送力によって、切断補助具100の搬送路P2内を搬送されていく。
【0023】
図3に示すように、切断補助具100の搬送路P2の最下流の排出口105の排出口面に隣接する近傍の一部分、例えば、記名板Kの印刷面側に位置する外装面102とは反対側の面が、外装面102よりも記名板Kの排出方向Aの方(外部への方向)に出っ張って突出部を形成している。そして、搬送されてくる記名板Kの搬送方向と直交するように補助面101が形成されている。このとき、
図4に示すように、補助面101の高さ101aは、チューブプリンタ1が対応可能な複数種類の記名板Kの最大幅サイズKaよりも大きくなるように形成されている。そのため、複数種類の記名板Kの幅のうち最大幅の記名板Kを切断する場合でも、補助面101が刃受けとして機能するので、安定した状態でユーザーに切断動作を行わせることができる。
【0024】
切断補助具100がチューブプリンタ1に装着されている場合、ユーザーは、表示部14に表示された設定画面を確認しながら入力部13を操作することで、印刷終了後の媒体搬送距離設定値nを設定(変更)する。具体的には、例えば、ユーザーは、設定画面上で切断補助具100の有無設定を「有」と設定する。チューブプリンタ1では、切断補助具100の有無に対応づけられた距離の設定値に基づいて、印刷終了後の記名板Kの搬送距離が決定される。
【0025】
図11は、切断補助具100の有無と、印刷終了後の搬送距離とが対応づけられた情報の一例を示す図である。
図11に示す情報は、チューブプリンタ1内の記憶領域、例えば、ROMやRAMに記憶されている。
図11に示すように、切断補助具100が「無」の場合は、印刷終了後の記名板Kの搬送距離としてL1が設定される。ここで、L1とは、切断部30の切断位置から排出口40までの距離に対応する。また、切断補助具100が「有」の場合は、印刷終了後の記名板Kの搬送距離としてL1+L2が設定される。ここで、L2とは、切断補助具100の搬送路P2の長さであり、挿入口から、排出口105に隣接する補助面101までの距離に対応する。即ち、接続補助具100が「有」の場合は、距離L1に距離L2を加えた距離まで搬送距離を延長して、記名板Kが搬送される。
【0026】
本実施形態では、そのような構成により、切断補助具100が「有」の場合、記名板Kは、チューブプリンタ1の印刷部20によって必要な情報が印刷された後、その切断位置が切断補助具100の補助面101に合う位置まで搬送されて停止する。この時、補助面101は、記名板Kの印刷面の裏側に存在するものの、記名板Kの高さKaよりも補助面101の高さ101aの方が高い。そのため、ユーザーは、記名板Kの切断位置と、切断補助具100の補助面101が合致しているかを容易に目視確認することができる。さらに、この状態でユーザーは、ニッパーなどの切断工具の片刃を補助面101に密着させながら補助面101を刃受けとして、記名板Kを切断することができる。そのため、ユーザーが記名板Kを搬送方向と直交する方向で正確に切断することが容易となる。
【0027】
また、
図3に示すように、切断補助具100には、搬送路P2の挿入口から排出口105までの間に、搬送される記名板Kの搬送方向を変化させるような規制面F1と規制面F2が設けられている。記名板Kの先端が規制面F1に到達すると、記名板Kは、規制面F1に沿って搬送角度を変える。さらに、その下流では、記名板Kの先端は、規制面F2へと到達し、ここでも記名板Kはその搬送角度を変える。従って、規制面F1と規制面F2は、記名板Kがどのような癖を持って進入してきたとしても、記名板Kが補助面101へと到達する時には、記名板Kがカーブ状の搬送路を通る際の反発力によって、記名板Kの印刷面とは反対側の面が補助面101の端部に必ず当接する。その結果、チューブプリンタ1の排出口位置での記名板の厚み方向の通過位置を規制することができ、ユーザーは精度よく切断を行うことができる。
【0028】
このように、本実施形態によれば、記名板Kは補助面101に当接しながら搬送されるため、ユーザーによる目視の確認時や、工具によるカット時にズレが発生しにくくなる。その結果、記名板のような硬い印刷媒体を、ユーザーがニッパーなどの工具を使用して切断したい位置で搬送方向に対して垂直に、精度よく切断することができる。
【0029】
[第2実施形態]
以下、第1実施形態と異なる点について第2実施形態を説明する。
図5は、本実施形態における切断補助具200の構成を示す断面図である。また、
図6は、切断補助具200の斜視図である。
【0030】
補助面201、搬送路P3はそれぞれ、
図3の補助面101、搬送路P2についての説明と同じであるので、それらの説明を省略する。本実施形態では、搬送路P3の補助面201の上流側近傍において、記名板Kを幅方向(即ち、
図5の紙面垂直方向)から付勢するための揺動ガイド210が設けられている。揺動ガイド210には、搬送路P3内で搬送されてくる媒体を一方に押し付けるためのガイド部211が設けられており、その回動中心軸212は、搬送路P3の経路外まで延びている。フック部213は、経路外の回動中心軸212から形成されており、フック部213には、付勢部材220が引っかけられている。これらの構成により、ガイド部211は、搬送される媒体を幅方向において一方に押し付けることができる。また、回動中心軸212は、チューブプリンタ1が対応可能な複数種類の幅の記名板Kのうち最大幅の記名板Kが進入可能な位置に設けられている。
【0031】
このように、本実施形態によれば、記名板Kは、チューブプリンタ1が対応可能な複数種類の幅の記名板Kのうちのいずれであっても、揺動ガイド210によって反対側へと押し付けられながら搬送される。そのため、補助面201に到達したときには、幅方向における位置が固定される。その結果、排出口位置での記名板Kの幅方向の通過位置を規制することができ、ユーザーは精度よく切断を行うことができる。
【0032】
[第3実施形態]
以下、第1及び第2実施形態と異なる点について第3実施形態を説明する。
図7は、本実施形態における切断補助具300の構成を示す断面図である。また、
図8は、切断補助具300の斜視図である。
【0033】
本実施形態では、補助面101及び201に該当する面上に、金属で形成された補助部301が設けられている。即ち、本実施形態では、補助部301は、周囲の部材より剛性の大きいパーツで構成されており、例えば、補助部301は金属によって成型されている。
【0034】
このように、本実施形態によれば、切断補助具300を連続使用して記名板Kを切断し続ける場合の耐久力を、樹脂等に比べて大幅に改善することができる。その結果、繰り返し切断作業が行われても、切断補助具本体が摩耗することを防止でき、持続的に機能を維持することができる。
【0035】
[第4実施形態]
以下、第1~第3実施形態と異なる点について第4実施形態を説明する。
図9は、本実施形態における切断補助具400の構成を示す断面図である。また、
図10は、切断補助具400の他の状態を示す断面図である。
【0036】
補助面401、搬送路P4はそれぞれ、
図3の補助面101、搬送路P2についての説明と同じであるので、それらの説明を省略する。但し、本実施形態では、搬送路P4に、チューブプリンタ1からの経路とは別にユーザーが手動で記名板Kを挿入可能な搬送路P5が設けられている。搬送路P4と搬送路P5の合流位置には、フラッパー410が設けられている。フラッパー410は、フラップ部411が搬送路P5の進路を塞ぐ位置に存在し、その回転中心軸412は、搬送路P4と搬送路P5の上流側合流点に位置している。回転中心軸412は、搬送経路外まで延びており、搬送経路外にて不図示のフック部が形成されている。フック部には、付勢部材が引っかけられており、フラップ部411が常に搬送路P5の進路を塞ぐように付勢し続けるよう構成されている。
【0037】
そのような構成において、例えば、連続して複数印刷ジョブを繰り返し、最後のみ切断した記録媒体を、再度、排出口へ挿入することが行われる。そのようなケースでは、連続印刷を行った記名板Kを補助面401を補助使用してカットしたのち、さらに、カットされた記名板Kを、ユーザーが
図10に示すように搬送路P5へと挿入することで記名板Kを小分けにしたい位置まで押し込むことで再び補助面401へと当接させることができる。このとき、カットされた記名板Kは、フラッパー410の付勢力に抗いながら挿入されることになるため、カットされた記名板Kは、ユーザーが手を放しても、フラッパー410の付勢力によって記名板Kが壁面に押し付けられ、その位置が保持される。即ち、記名板Kを挿入していき、ユーザーがカットを所望する位置が補助面410に到達した時にユーザーが手を放しても、記名板はその状態を保持する。そのため、ユーザーは、容易且つ精度良く記名板Kを小分けにすることができる。
【0038】
発明は上記の各実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。また、各実施形態は、互いに組み合わせられても良い。例えば、第3実施形態で説明した補助部301を他の実施形態に適用しても良い。また、各実施形態では、切断補助具は、チューブプリンタ1に接続具によって接続される構成として説明したが、チューブプリンタ1と一体的に構成されるようにしても良い。その場合でも、各実施形態における効果と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 チューブプリンタ: 13 入力部: 14 表示部: 15 制御部: 20 印刷部: 30 切断部: 100、200、300、400 切断補助具