(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070820
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】改良された固定装置が設けられているシール式電子モジュール及びその組み立て方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20220506BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220506BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220506BHJP
F16B 5/04 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H05K5/06 A
H05K5/02 L
B60R16/02 610B
F16B5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021170346
(22)【出願日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】102020000025363
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】520088694
【氏名又は名称】マレッリ・ユーロプ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARELLI EUROPE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ロ リート,ジャンフランコ
(72)【発明者】
【氏名】マッジョーニ,ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3J001
4E360
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA09
3J001JD07
3J001KB06
4E360AB33
4E360BA01
4E360BC05
4E360CA02
4E360CA05
4E360EA03
4E360EA24
4E360EA29
4E360ED08
4E360ED14
4E360GA07
4E360GA12
4E360GA23
4E360GA28
4E360GA29
4E360GB97
4E360GC02
4E360GC04
4E360GC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大きな機械的応力及び熱応力が加わっても、長期に密封を保証するシール式電子モジュール及びその組み立て方法を提供する。
【解決手段】シール式電子モジュール4において、複数の電子部品12を有するプリント回路基板8と、1以上の固定装置20によってプリント回路基板8を支持及び固定する成形金属板16と、シール式電子モジュール4の外部に対するプリント回路基板8の密封性を確保するように、成形金属板及び/又はプリント回路基板8を密封する閉鎖カバー24とを備える。固定装置20は、1以上の機械式接合部34を有する。機械式接合部34は、プリント回路基板8に形成された雄部と、成形金属板16に形成された雌部又は座部との間に、又はその逆に、形状結合部を形成する。成形金属板16は、機械式接合部34において、シール式電子モジュール4の外部と連通する貫通孔を有しない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品(12)を有するプリント回路基板(8)と、
1以上の固定装置(20)によって前記プリント回路基板(8)を支持及び固定する役割を果たす成形金属板(16)と、
シール式電子モジュール(4)の外部に対する前記プリント回路基板(8)の密封性を確保するように、前記成形金属板及び/又は前記プリント回路基板(8)を覆う閉鎖カバー(24)と
を備え、
前記成形金属板(16)に前記プリント回路基板(8)を載置させる1以上の前記固定装置(20)は、1以上の機械式接合部(34)を有し、
前記機械式接合部(34)は、前記プリント回路基板(8)に作られた雄部(36)と、前記成形金属板(16)に作られた雌部又は座部(40)との間に、又はその逆に、形状結合部を形成し、
前記成形金属板(16)は、前記機械式接合部(34)において、前記シール式電子モジュール(4)の外部と連通する貫通孔を有しない、
シール式電子モジュール。
【請求項2】
前記機械式接合部(34)は、前記成形金属板(16)の雄部(36)と前記プリント回路基板(8)の雌部(40)との間の塑性変形による機械式接合部(34)であり、
前記機械式接合部(34)は、組立方向(X-X)に沿った貫通孔を有する前記プリント回路基板(8)の雌部(40)に収容される、請求項1に記載のシール式電子モジュール。
【請求項3】
前記雄部(36)は、前記雄部の頂部(44)において、前記組立方向(X-X)に沿って前記座部(40)から少なくとも部分的に突出する1以上の片持ち梁部(52)を有し、
前記片持ち梁部は、前記組立方向(X-X)に対するアンダーカット部を形成する、請求項2に記載のシール式電子モジュール。
【請求項4】
前記片持ち梁部(52)は、前記組立方向(X-X)に対する前記アンダーカット部を成形する冠部又は周縁部である、請求項3に記載のシール式電子モジュール。
【請求項5】
前記雄部(36)及び前記雌部(40)は、互いに対して反対の形状を有する、請求項1~4のいずれかに記載のシール式電子モジュール。
【請求項6】
前記雄部(36)及び前記雌部(40)は、前記組立方向(X-X)と平行な対称軸に関して軸対称である、請求項1~5のいずれかに記載のシール式電子モジュール。
【請求項7】
前記雄部(36)及び前記雌部(40)は、スナップ結合を行うように構成されている、請求項1~6のいずれかに記載のシール式電子モジュール。
【請求項8】
前記閉鎖カバー(24)と成形金属板(16)との間に配置され、前記電子部品(12)を有する前記プリント回路基板(8)の領域(32)を定める周辺シールガスケット(28)を備える、請求項1~7のいずれかに記載のシール式電子モジュール。
【請求項9】
前記機械式接合部(34)の雄部(36)は、関連し得る前記雌部又は前記座部(40)とは反対側に凹部(56)を有する、請求項1~8のいずれかに記載のシール式電子モジュール。
【請求項10】
前記雄部(36)は、前記成形金属板(16)の塑性変形により前記成形金属板(16)に作られ、前記組立方向(X-X)に関して、前記成形金属板(16)と同じ厚さ(S)を有する、請求項1~9のいずれかに記載のシール式電子モジュール。
【請求項11】
複数の電子部品(12)を有するプリント回路基板(8)を提供するステップと、
1以上の固定装置(20)によって前記プリント回路基板(8)を支持及び固定する役割を果たす成形金属板(16)を提供するステップと、
シール式電子モジュール(4)の外部に対する前記プリント回路基板(8)の密封性を確保するように前記成形金属板(16)及び/又は前記プリント回路基板(8)を覆う閉鎖カバー(24)を提供するステップと、
パンチ部を用いて前記成形金属板(16)を冷間成形することにより、前記成形金属板(16)に前記プリント回路基板(8)を載置させる1以上の前記固定装置(20)を予備成形して、外部と連通する貫通孔がない雄部(36)を得るステップと、
前記プリント回路基板(8)に1以上の孔部又は座部(40)を設けるステップと、
前記雄部(36)の頂部(44)が組立方向(X-X)に沿って前記座部(40)から少なくとも部分的に突出するように、前記組立方向(X-X)において前記雄部(36)を前記孔部又は前記座部(40)に係合させるステップと、
前記雄部(36)の頂部(44)を塑性変形させて、前記組立方向(X-X)に対するアンダーカット部によって機械式接合部(34)を作成するステップと
を含む、シール式電子モジュールの組み立て方法。
【請求項12】
前記雄部(36)の頂部(44)の塑性変形は、関連する前記プリント回路基板(8)と反対の前記成形金属板(16)の下面(64)に配置された第1パンチ部(60)と、前記下面(64)と反対の前記成形金属板(16)の上面(72)に配置された第2パンチ部(68)とを用いて行われる、請求項11に記載のシール式電子モジュールの組み立て方法。
【請求項13】
前記第1パンチ部(60)及び前記第2パンチ部(68)は、前記雄部の広さよりも大きい広さ(76)を有し、前記広さ(76)は、前記組立方向(X-X)に垂直な投影面上で測定される、請求項12に記載のシール式電子モジュールの組み立て方法。
【請求項14】
前記第2パンチ部(68)は、前記雄部(36)の頂部(44)を変形させるのに適した平坦な梁状の打面を有する、請求項12又は13に記載のシール式電子モジュールの組み立て方法。
【請求項15】
前記第1パンチ部(60)は、前記成形金属板(16)の下面(64)に対する反対の形状である段付の梁状の打面(84)を有する、請求項12~14のいずれかに記載のシール式電子モジュールの組み立て方法。
【請求項16】
前記成形金属板(16)を準備する過程は、
厚さ(S)を有する初期状態の平坦な成形金属板(16)を準備するステップと、
パンチングによる前記成形金属板(16)の塑性変形によって、前記成形金属板(16)の1以上の前記雄部(36)を予備成形することにより、前記雄部(36)が前記成形金属板(16)と同じ前記厚さ(S)を有するステップと
を含む、請求項12~15のいずれかに記載のシール式電子モジュールの組み立て方法。
【請求項17】
予備成形された前記雄部(36)は、前記頂部(44)において、対応する前記プリント回路基板(8)の前記座部又は前記雌部(40)に挿入されるように設計された凹部又は凸部(88)を有する、請求項12~16のいずれかに記載のシール式電子モジュールの組み立て方法。
【請求項18】
請求項1から10のいずれかに記載のシール式電子モジュール(4)を提供するステップを含む、請求項12~17のいずれかに記載のシール式電子モジュールの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された固定装置が設けられているシール式電子モジュール及びその組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野においては、エンジンルーム内に収容される電子制御ユニットに代表される電子モジュールを製造することが知られている。これらの電子モジュールは、動作中に大きな機械的応力及び熱応力を受ける。
【0003】
更に、エンジンルームが密封されていないため、電子モジュールは、水及び湿気の影響も受ける。水及び湿気が電子モジュール内に浸入すると、それらの電子モジュール内の特殊なプリント回路基板に固定された電子部品の機能に問題が生じ得ることが知られている。
【0004】
成形金属板を金属筐体として備える電子モジュールにおいて、プリント回路基板の固定は、通常、プリント回路基板及び成形金属板に開けられた特殊な孔部にボルトを通して行うため、特に湿気及び/又は水の浸入が問題となる(
図1)。
【0005】
既知の通り、ボルトのねじ山とナットのねじ山との間には、隙間がある。その隙間は、互いに接続されているボルト及びナットの異なる熱変形のために広がる。そのため、ボルトでは、強固に固定することができない。実際、典型的には、ボルト及び成形金属板は、互いに異なる金属材料で製造されるため、熱膨張係数が異なる。
【0006】
この欠点を克服するために、例えば、ねじ山をロックするペースト又は特殊なシーリングブッシュを使用することが知られている。しかしながら、上述の電子モジュールが機械的応力及び熱応力に関して過酷な使用条件にさらされても数年間に亘って密封性を維持しなければならないことを考慮すると、これらの解決策は、長期間に亘る理想的な密封を保証することができない。
【発明の概要】
【0007】
従って、当技術分野では、先行技術を参照して、引用された欠点及び制限を解決することが求められている。
【0008】
そのような要求は、請求項1に記載のシール式電子モジュール及び請求項11に記載のシール式電子モジュールの組み立て方法によって満たされる。
【0009】
本発明の他の実施形態は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の、好ましい非限定的な実施形態の詳細な説明からより明らかになるだろう。
【
図2】本発明の一実施形態に係るシール式電子モジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図1の電子モジュールの一部の構成要素を、閉鎖カバーを省略して示す斜視図である。
【
図4】
図2のシール式電子モジュールを組み立てた構成を示す断面図である。
【
図6a】本発明の一実施形態に係る塑性変形によって接合部を作成するための連続したステップを示す断面図である。
【
図6b】本発明の一実施形態に係る塑性変形によって接合部を作成するための連続したステップを示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る塑性変形によって接合部を作成するための連続したステップを示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る塑性変形によって接合部を作成するための連続したステップを示す断面図である。
【
図9】本発明の可能な実施形態に係る機械式接合部の雄部の斜視図である。
【
図10】プリント回路基板と成形金属板との間の機械式接合部の異なる実施形態を、閉鎖カバーを省略して示す電子モジュールの平面図である。
【
図11】プリント回路基板と成形金属板との間の機械式接合部の異なる実施形態を、閉鎖カバーを省略して示す電子モジュールの平面図である。
【
図12】プリント回路基板と成形金属板との間の機械式接合部の異なる実施形態を、閉鎖カバーを省略して示す電子モジュールの平面図である。
【0011】
以下で説明される実施形態に共通する要素又は要素の一部は、同じ数値の符号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述の図を参照すると、参照符号「4」は、特に自動車分野での使用に適したシール式電子モジュールを全体的に示すが、これに限定されるものではない。
【0013】
シール式電子モジュールは、様々な分野で使用される可能性があるため、本発明を自動車分野へ適用することが優先されるが、排他的ではないことに留意されたい。
【0014】
シール式電子モジュール4は、複数の電子部品12を有するプリント回路基板8と、1以上の固定装置20によってプリント回路基板8を支持及び固定する役割を果たす成形金属板16とを備えている。
【0015】
シール式電子モジュール4は、閉鎖カバー24を更に備える。閉鎖カバー24は、シール式電子モジュール4の外部に対するプリント回路基板8の密封性を確保するように、成形金属板16及び/又はプリント回路基板8を覆う。
【0016】
成形金属板は、通常、アルミニウム又は鋼鉄で作られる。閉鎖カバー24は、金属材料又はプラスチック材料のいずれかで作られ得る。
【0017】
シール式電子モジュール4は、シール式電子モジュール4の内部の密封性を保証するために、閉鎖カバー24と成形金属板16との間に配置された周辺シールガスケット28を備える。周辺シールガスケット28は、電子部品12を有するプリント回路基板8の領域32の範囲を定める。例えば、周辺シールガスケット28としては、樹脂を配合させている又は高分子材料で作られているガスケットが使用され得る。
【0018】
有利には、成形金属板16にプリント回路基板8を載置させる1以上の固定装置20は、1以上の機械式接合部34を備える。機械式接合部34は、プリント回路基板8に作られた雄部36と、成形金属板16に作られた雌部又は座部40との間に、又はその逆に、形状結合部を形成する。
【0019】
言い換えると、雄部36及び雌部40は、成形金属板16及びプリント回路基板8にそれぞれ設けられてもよいし、その逆であってもよい。
【0020】
有利には、成形金属板16は、機械式接合部34において、シール式電子モジュール4の外部と連通する貫通孔を有しない。このようにすれば、成形金属板16とプリント回路基板8との間の機械式接合部34を介して水又は湿気がシール式電子モジュール4内に浸入する可能性はない。
【0021】
一実施形態によれば、機械式接合部34は、成形金属板16の雄部36とプリント回路基板8の雌部40との間の塑性変形による接合部である。機械式接合部34は、組立方向X-Xに沿った貫通孔48を有するプリント回路基板8の雌部40に収容される。
【0022】
雄部36は、雄部36の頂部44において、組立方向X-Xに沿って座部から少なくとも部分的に突出する1以上の片持ち梁部52を有する。片持ち梁部52は、組立方向X-Xに対するアンダーカット部を形成する。
【0023】
一実施形態によれば、片持ち梁部52は、組立方向X-Xに対するアンダーカット部を成形する冠部(crown)又は周縁部である。
【0024】
好ましくは、雄部36及び雌部40は、互いに対して反対の形状を有する。
【0025】
例えば、雄部36及び雌部40は、組立方向X-Xと平行な対称軸に対して軸対称である。
【0026】
雄部36は、組立方向X-Xに対して垂直な断面に関して、様々な形状を有し得る。
【0027】
例えば、雄部36は、平坦部(
図10)、せん断部(
図11)、又は六角部(
図12)を有し得る。
【0028】
前掲の形状の例は、単に示唆的なものであり、網羅的なものではない。従って、雄部36において更なる形状を使用することも可能である。
【0029】
また、雄部36及び雌部40をスナップ結合するように構成することも可能である。例えば、雄部36と雌部との間で、やや強制的な結合、すなわち干渉を伴う結合を行い、雄部36の頂部44をプリント回路基板8の雌部又はシートに強制的に挿入且つ通過させた後で強固な機械式接合部が得られるようにすることも可能である。
【0030】
好ましい実施形態によれば、機械式接合部34の雄部36は、関連し得る雌部又は座部40とは反対側に凹部56を有する。
【0031】
前記凹部は、以下に詳述するように、関連し得るパンチ部との結合を可能にすると共に、雄部36の頂部44に係る塑性変形をより正確に制御することを可能にする。
【0032】
好ましくは、雄部36は、成形金属板16自体の塑性変形により成形金属板16に設けられるため、組立方向X-Xに関して、成形金属板16と同じ厚さを有する。
【0033】
次に、本発明に係るシール式電子モジュールの結合方法及びそれに関連する動作について説明する。
【0034】
特に、シール式電子モジュール4の組み立て方法は、
複数の電子部品12を有するプリント回路基板8を提供するステップと、
1以上の固定装置20によってプリント回路基板8を支持及び固定する役割を果たす成形金属板16を提供するステップと、
シール式電子モジュール4の外部に対するプリント回路基板8の密封性を確保するように成形金属板16及び/又はプリント回路基板8を覆う閉鎖カバー24を提供するステップと、
パンチ部を用いて成形金属板16を冷間成形することにより、成形金属板16にプリント回路基板8を載置させる1以上の固定装置20を予備成形して、外部と連通する貫通孔を有しない雄部36を得るステップと、
プリント回路基板8に雌部40として機能する1以上の孔部又は座部40を設けるステップと、
雄部36の頂部44が組立方向X-Xに沿って座部40から少なくとも部分的に突出するように、組立方向X-Xにおいて雄部36を孔部又は座部40に係合させるステップ(
図6a-6b)と、
雄部36の頂部44を塑性変形させて、組立方向X-Xに対するアンダーカット部によって機械式接合部34を作成するステップと
を含む。
【0035】
可能な実施形態によれば、塑性変形は、関連するプリント回路基板8と反対の成形金属板16の下面64に配置された第1パンチ部60と、下面64の反対の成形金属板16の上面72に配置された第2パンチ部68とを用いて行われることによって生じる。
【0036】
好ましくは、第1パンチ部60及び第2パンチ部68は、雄部36の広さ又は面積よりも大きい広さ又は面積76を有し、前記広さは、組立方向X-Xに垂直な投影面上で測定される。
【0037】
可能な実施形態によれば、第2パンチ部68は、雄部36の頂部44を変形させるのに適した平坦な梁状の打面(abutment face)80を有する。
【0038】
可能な実施形態によれば、第1パンチ部60は、成形金属板16の下面64に対する反対の形状である段付の梁状の打面84を有する。
【0039】
好ましくは、成形金属板16を準備するステップは、
厚さSを有する初期状態の平坦な成形金属板16を準備するステップと、
パンチングによる成形金属板16の塑性変形によって、成形金属板16の1以上の雄部36を予備成形することにより、雄部36が成形金属板16と実質的に同じ厚さSを有するステップと
を含む。
【0040】
好ましくは、予備成形された雄部36は、頂部44において、対応するプリント回路基板8の座部に挿入されることを意図した凹部88a又は凸部88bを有する。このような凹部88a又は凸部88bは、プリント回路基板8と成形金属板16との間にロック用アンダーカット部が形成される片持ち梁部52が作られるように、その後の頂部44の塑性変形を容易にする。
【0041】
特に、平坦ではない頂部44を有する雄部36、特に、凹部88a又は凸部88bを有する雄部36を使用することにより、第2パンチ部68の梁状の打面80によって及ぼされる力が限られた面に集中するという効果が得られる。
【0042】
このようにして、雄部36の頂部44の塑性変形が得られてアンダーカット部が作られるので、第2パンチ部に限られた力を加えて、プリント回路基板8を成形金属板16に固定することができる。実際には、プリント回路基板8に適用される繊細な電子部品12の動作を損なわないために、プリント回路基板8を圧縮荷重にできるだけさらさないことが重要である。
【0043】
特に、頂部44に凹部88aが設けられた雄部36を使用する場合(
図6a)、第2パンチ部68の梁状の打面80は、貫通孔48に隣接するプリント回路基板8の部分の周りを塑性流動して容易に変形し得る雄部36の頂部44の周縁部に直接(且つ実質的に独占的に)衝突することになる。
【0044】
頂部44に凸部88bが設けられた雄部36を使用する場合(
図6b)、第2パンチ部68の梁状の打面80は、縁部に向かって放射状に排出されると共に貫通孔48に隣接するプリント回路基板8の部分の周りを塑性流動して容易に変形し得る雄部36の頂部44の中央部に直接(且つ実質的に排他的に)衝突することになる。
【0045】
記載されている内容から理解され得るように、本発明は、先行技術の欠点を克服している。
【0046】
特に、本発明によるシール式電子モジュールは、プリント回路基板を成形金属板に固定するための装置に成形金属板を貫通する孔が設けられていないため、水や湿気を浸入させない。このように、密封された閉鎖カバーと成形金属板との間の結合部を水や湿気が通過する可能性はない。
【0047】
有利には、塑性変形式固定装置は、プリント回路基板の機能を損なうような過度の機械的応力を与えることなく、プリント回路基板を所定の位置に固定することができる。実際、本発明による制御された変形接合部は、数百ニュートン(典型的には500N以下)の力を加えても、プリント回路基板及びプリント回路基板上の電子部品を何ら傷つけたり又は変形させたりしない。
【0048】
この目的に関して、雄部の頂部を塑性変形させ、プリント回路基板を成形金属板に固定するアンダーカット部を作るためのパンチ部に加える力をできるだけ小さくするために、機械式接合部の雄部の特定の形状を使用することが可能である。
【0049】
更に、制御された変形接合部は、自動車用途において電子モジュールが受ける熱応力及び機械的応力(振動)に対して特に耐久性がある。
【0050】
特に、そのような振動では、先行技術のボルト式接続装置を使用した場合のように、作られた接合部の破損や緩みさえも引き起こされることはない。
【0051】
更に、接合部が受ける熱応力によって接合部が緩むことはなく、先行技術のボルト式接合部のような浸入の可能性が生じることもない。
【0052】
実際、接合部はとても強固である。熱膨張が生じても、接合部は、電子モジュールが外部環境と連通し得る貫通孔を有しないため、水や湿気が浸入する危険性はない。
【0053】
本発明の接合部は、プリント回路基板と成形金属板との間の機械的な接続のみを目的としており、密封機能を有していないが、一方で、公知の解決策では、ボルト式接合部は、機械的な接続機能と密封機能の両方を有しているという事実によって、その利点が与えられる。
【0054】
本発明の解決策は、先行技術の解決策に対して追加のシーリング装置を提供していないので、部品数の増加、ひいては電子モジュールの組立/生産コストの増加にはならない。実際、密封性は、先行技術のシール式電子モジュールで提供されている、プリント回路基板と閉鎖カバーとの間の周辺シールガスケットに委ねられている。
【0055】
更に、本発明の接合部は、メンテナンス作業の際に、電子モジュールの開封及び分解を可能にするために、容易に変形してもよい。更に、そのような変形は、可逆的なタイプであってもよい。
【0056】
最後に、本発明は、成形金属板とプリント回路基板との間に接続用のボルトを使用する既知の解決策と比較して、電子モジュールの全体的な寸法又は厚みを減らすこともできる。実際、ボルトを使用する解決策では、プリント回路基板の厚みが、ボルトのネジ山及びナットのネジ山を収容するためのそれぞれの隆起部を備えた成形金属板の厚みに追加されるが、本発明では、成形金属板の隆起された板部がプリント回路基板の孔部又は座部に収容されるため、モジュールの全体的な厚みは、増加しない。
【0057】
当業者であれば、特定のニーズや付随的なニーズを満たすために、上述の電子モジュール及びその組み立て方法にいくつかの変更や調整を加えることが可能であるが、それらは全て、以下の請求項で定義された保護の範囲に含まれる。
【外国語明細書】