(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070838
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】栄養素摂取量算出システム、栄養素摂取量算出方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20220506BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174611
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020179476
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】利光 久美子
(72)【発明者】
【氏名】幣 憲一郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】エネルギーまたは栄養素である栄養成分の摂取量を算出する際の、ユーザによる入力の負担を従来よりも軽減する。
【解決手段】評価サーバ2は、複数の食品を複数ずつに区分する複数の分類それぞれについての質問に対するユーザP1の回答を端末装置3から取得する。複数の食品それぞれの、ユーザP1が飲食した量である飲食量を、取得した回答に基づいて算出する。複数の食品それぞれの栄養成分の含有率、および、算出した複数の食品それぞれの飲食量に基づいて、栄養成分の摂取量を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食品それぞれの、エネルギーまたは栄養素である栄養成分の含有率に基づいて、当該栄養成分を対象者が摂取した量である摂取量を算出する摂取量算出システムであって、
前記複数の食品を1または複数ずつに区分する所定数の分類それぞれについての質問に対する前記対象者の回答を取得する回答取得手段と、
前記複数の食品それぞれの、前記対象者が飲食した量である飲食量を、前記回答に基づいて算出する飲食量算出手段と、
前記複数の食品それぞれの前記含有率および前記飲食量算出手段によって算出されたそれぞれの前記飲食量に基づいて前記摂取量を算出する摂取量算出手段と、
を有することを特徴とする栄養成分摂取量算出システム。
【請求項2】
前記回答取得手段は、前記回答として、15ないし25の分類それぞれの前記質問に対する回答を取得する、
請求項1に記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項3】
前記所定数の分類のうちの第一の分類の前記質問は、前記対象者が当該第一の分類を飲食する頻度である第一の全体飲食頻度と、前記複数の食品のうちの当該第一の分類に属するαの食品のうちの特定の食品を1回の食事でまたは1日に飲食する量である第一の単位飲食量と、当該αの食品のうちの(α-1)の食品それぞれを飲食する頻度である第一の個別飲食頻度とを尋ねるものであり、
前記飲食量算出手段は、前記αの食品それぞれの前記飲食量を、前記(α-1)の食品それぞれの前記第一の個別飲食頻度と、前記第一の全体飲食頻度および当該第一の個別飲食頻度に基づいて算出される、前記αの食品のうちの当該(α-1)の食品以外の食品を飲食する頻度と、前記第一の単位飲食量と、所定の関係および当該第一の単位飲食量に基づいて算出される、当該αの食品のうちの前記特定の食品以外の食品それぞれの1回の食事でまたは1日に飲食する量と、に基づいて算出する、
請求項1または請求項2に記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項4】
前記所定数の分類のうちの第二の分類の前記質問は、前記対象者が当該第二の分類を飲食する頻度である第二の全体飲食頻度と、当該対象者が当該第二の分類を1回の食事でまたは1日に飲食する量である第二の単位飲食量と、当該対象者が前記複数の食品のうち当該第二の分類に属するβの食品それぞれを飲食する相対的頻度とを尋ねるものであり、
前記飲食量算出手段は、前記βの食品それぞれの前記飲食量を、前記第二の全体飲食頻度と、前記第二の単位飲食量と、当該βの食品それぞれの前記相対的頻度とに基づいて算出する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項5】
前記第二の分類の前記質問は、前記βの食品それぞれの前記相対的頻度として、前記対象者が飲食する機会の多さの順位を尋ねるものであり、
前記飲食量算出手段は、前記βの食品それぞれの前記相対的頻度として、前記順位の高い順にγ1、…、γβ(ただし、0<γβ…<γ1、かつ、γ1+…+γβ=1)を用いて前記βの食品それぞれの前記飲食量を算出する、
請求項4に記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項6】
前記回答取得手段は、前記所定数の分類のうちの複数の分類それぞれの飲食する頻度である飲食頻度を纏めて質問する第一の画面を介して当該複数の分類それぞれの当該飲食頻度を取得し、当該複数の分類それぞれの1回の食事でまたは1日に飲食する量である単位飲食量を纏めて質問する第二の画面を介して当該複数の分類それぞれの当該単位飲食量を取得し、
前記飲食量算出手段は、前記複数の食品のうちの、前記複数の分類それぞれに属する食品それぞれの前記飲食量を、前記飲食頻度および前記飲食量に基づいて算出する、
請求項1または請求項2に記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項7】
前記回答取得手段は、さらに、所定の料理を所定の期間に飲食する第三の単位飲食量に関する回答を取得し、
前記摂取量算出手段は、前記所定の料理の前記第三の単位飲食量に含まれる所定の素材に含まれる前記栄養成分を加味して前記摂取量を算出する、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項8】
前記摂取量算出手段は、前記含有率として前記対象者の地域または年齢に応じた含有率に基づいて前記摂取量を算出する、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項9】
前記摂取量算出手段は、前記含有率として前記対象者の地域および年齢に応じた含有率に基づいて前記摂取量を算出する、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項10】
前記摂取量算出手段によって算出された前記摂取量を出力する出力手段を有する、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項11】
前記出力手段は、前記摂取量を、前記対象者の身長、体重、疾患、年齢、または健康状態に応じた前記栄養成分を摂取する目安の量とともに出力する、
請求項10に記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項12】
前記対象者への前記摂取量および前記目安量に応じたアドバイスを出力する第二の出力手段を有する、
請求項11記載の栄養成分摂取量算出システム。
【請求項13】
複数の食品それぞれの、エネルギーまたは栄養素である栄養成分の含有率に基づいて、当該栄養成分を対象者が摂取した量である摂取量を算出する栄養成分摂取量算出方法であって、
コンピュータに、
前記複数の食品を1または複数ずつに区分する所定数の分類それぞれについての質問に対する前記対象者の回答を取得する処理を実行させ、
前記複数の食品それぞれの、前記対象者が飲食した量である飲食量を、前記回答に基づいて算出する処理を実行させ、
前記複数の食品それぞれの前記含有率および前記飲食量算出手段によって算出されたそれぞれの前記飲食量に基づいて前記摂取量を算出する処理を実行させる、
ことを特徴とする栄養成分摂取量算出方法。
【請求項14】
複数の食品それぞれの、エネルギーまたは栄養素である栄養成分の含有率に基づいて当該栄養成分を対象者が摂取した量である摂取量を算出するコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記複数の食品を1または複数ずつに区分する所定数の分類それぞれについての質問に対する前記対象者の回答を取得する処理を実行させ、
前記複数の食品それぞれの、前記対象者が飲食した量である飲食量を、前記回答に基づいて算出する処理を実行させ、
前記複数の食品それぞれの前記含有率および前記飲食量算出手段によって算出されたそれぞれの前記飲食量に基づいて前記摂取量を算出する処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人が摂取する栄養素の量を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DHQ(self-administered diet history questionnaire)というシステムが提案されている。DHQによると、様々な食物の摂取頻度および食行動などに関する質問に対する個人の回答を専用の栄養価計算プログラムで解析することによって、個人が摂取した様々な栄養素の摂取量を算出することができる(非特許文献1)。個人は、健康な人であっても疾患を有する人であっても構わない。算出結果は、個人が自分自身の栄養管理のために使用することもできるし、医師、管理栄養士、または栄養士などの専門家が個人に対する食生活のアドバイスのために使用することもできる。
【0003】
さらに、FFQ(Food Frequency Questionnaire)というシステムが提案されている。FFQによると、DHQと同様、様々な質問への回答に基づいて、個人が摂取した様々な栄養素の摂取量を算出することができる(非特許文献2)。
【0004】
また、近年、スマートフォンおよび様々なアプリケーションが普及し、多数のユーザが様々なサービスを気軽に受けることができるようになった。例えば、体重体組成計からデータを受信するアプリケーションが普及し、体重および体脂肪率などを記録するサービスを受けることができるようになった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】EBNJAPANウェブサイト,URL”http://www.ebnjapan.org/",2020年9月28日検索
【非特許文献2】国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター予防研究グループ ウェブサイト ”がん予防・検診研究センター検診受診者における食物摂取頻度調査票の妥当性研究(FFQ)”,URL”https://epi.ncc.go.jp/mstudy/133/206.html”,2020年9月28日検索
【非特許文献3】OMRON connect ウェブサイト,URL”https://www.omronconnect.com/jp/ja_def/”,2020年9月28日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
DHQおよびFFQによると、上述の通り、個人が摂取した様々な栄養素の摂取量を算出することができる。
【0007】
しかし、DHQは、質問に回答するのに毎回約40分掛かる。その短縮版のBDHQは毎回約15分掛かり、FFQは毎回20~30分掛かる。つまり、DHQおよびFFQなどの従来のシステムによると、個人にとって、回答する作業の負担が大きい。よって、算出結果を提示するアプリケーションがあっても、個々人のユーザを対象とした健康・栄養管理において日常的にあまり使用されていない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑み、栄養素の摂取量を算出する際の、ユーザによる入力の負担を従来よりも軽減することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る栄養成分摂取量算出システムは、複数の食品それぞれの、エネルギーまたは栄養素である栄養成分の含有率に基づいて、当該栄養成分を対象者が摂取した量である摂取量を算出する摂取量算出システムであって、前記複数の食品を1または複数ずつに区分する所定数の分類それぞれについての質問に対する前記対象者の回答を取得する回答取得手段と、前記複数の食品それぞれの、前記対象者が飲食した量である飲食量を、前記回答に基づいて算出する飲食量算出手段と、前記複数の食品それぞれの前記含有率および前記飲食量算出手段によって算出されたそれぞれの前記飲食量に基づいて前記摂取量を算出する摂取量算出手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、エネルギーまたは栄養素すなわち栄養成分の摂取量を算出する際の、ユーザによる入力の負担を従来よりも軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】栄養評価システムの全体的な構成の例を示す図である。
【
図2】評価サーバのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】評価サーバの機能的構成の例を示す図である。
【
図4】端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図6】ユーザ固有情報テーブル、身体基本情報テーブル、生活情報テーブル、および食事摂取情報テーブルの例を示す図である。
【
図7】新規登録画面、身体基本情報登録画面、および質問画面の例を示す図である。
【
図9】食事に関する質問の項目の例を示す図である。
【
図10】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図11】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図12】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図13】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図14】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図16】身体点数テーブルおよび状況点数テーブルの例を示す図である。
【
図19】身体健康評価テーブルおよび栄養摂取量テーブルの例を示す図である。
【
図20】身体等評価画面、栄養摂取量画面、およびアドバイス画面の例を示す図である。
【
図21】評価プログラムによる全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図22】食事に関する質問の項目の例を示す図である。
【
図23】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図24】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図25】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図26】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図27】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【
図28】食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔全体構成〕
図1は、栄養評価支援システム1の全体的な構成の例を示す図である。
図2は、評価サーバ2のハードウェア構成の例を示す図である。
図3は、評価サーバ2の機能的構成の例を示す図である。
図4は、端末装置3のハードウェア構成の例を示す図である。
図5は、端末装置3の機能的構成の例を示す図である。
【0013】
図1に示す栄養評価支援システム1は、ユーザの栄養状態を評価するシステムである。疾患の有無、年齢、性別などの属性に関わらず様々な人が栄養評価支援システム1を使用することができる。栄養評価支援システム1は、評価サーバ2、複数の端末装置3(3a、3b、3c、…)、および通信回線4などによって構成される。
【0014】
評価サーバ2および端末装置3は、通信回線4を介してデータをやり取りすることができる。通信回線4として、インターネット、公衆回線、またはLAN(Local Area Network)などが用いられる。
【0015】
評価サーバ2は、所定の質問に対してユーザが回答した内容などに基づいてユーザの栄養状態などを評価しユーザへアドバイスする。評価サーバ2として、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、またはクラウドサーバなどが用いられる。以下、評価サーバ2としてパーソナルコンピュータが用いられる場合を例に説明する。
【0016】
評価サーバ2は、
図2に示すように、プロセッサ20、RAM(Random Access Memory)21、ROM(Read Only Memory)22、補助記憶装置23、ネットワークアダプタ24、キーボード25、ポインティングデバイス26、およびディスプレイ27などによって構成される。
【0017】
ROM22または補助記憶装置23には、オペレーティングシステムのほか評価プログラム2Pなどのコンピュータプログラムが記憶されている。評価プログラム2Pは、
図3に示すユーザデータ記憶部201、評価用情報記憶部202、新規ユーザ登録部203、身体基本情報受付部204、生活情報受付部205、食事摂取情報受付部206、身体健康評価部281、身体等評価データ送信部282、栄養摂取量算出部283、栄養摂取量データ送信部284、アドバイス文生成部285、アドバイスデータ送信部286、および結果データ記憶部287などの機能を実現するためのプログラムである。補助記憶装置23として、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0018】
RAM21は、評価サーバ2のメインメモリである。RAM21には、適宜、評価プログラム2Pなどのコンピュータプログラムがロードされる。
【0019】
プロセッサ20は、GPU(Graphics Processing Unit)またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであって、RAM21にロードされたコンピュータプログラムを実行する。
【0020】
ネットワークアダプタ24は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで端末装置3またはウェブサーバなどの装置と通信する。ネットワークアダプタ24として、NIC(Network Interface Card)またはWi-Fi用の通信装置が用いられる。
【0021】
キーボード25およびポインティングデバイス26は、コマンドまたは情報などをオペレータが入力するための入力装置である。
【0022】
ディスプレイ27は、コマンドもしくはデータを入力するための画面またはプロセッサ20による演算の結果を示す画面などを表示する。
【0023】
図1に戻って、端末装置3は、ユーザが質問に対して回答したり評価(アセスメント)を確認したりするための装置である。端末装置3として、タブレットコンピュータ、スマートフォン、またはパーソナルコンピュータなどが用いられる。以下、端末装置3としてスマートフォンが用いられる場合を例に説明する。
【0024】
端末装置3は、
図4に示すように、プロセッサ30、RAM31、ROM32、フラッシュメモリ33、タッチパネルディスプレイ34、ネットワークカード35、音声処理ユニット36、携帯電話通信ユニット37、およびデジタルカメラ38などによって構成される。
【0025】
ROM32またはフラッシュメモリ33には、オペレーティングシステムのほかクライアントプログラム3Pなどのコンピュータプログラムが記憶されている。クライアントプログラム3Pは、
図5に示す固定情報提供部301、身体基本情報提供部302、生活情報提供部303、食事摂取情報提供部304、身体等評価提示部305、栄養摂取量提示部306、アドバイス提示部307、およびユーザデータ記憶部308などの機能を実現するためのプログラムである。
【0026】
クライアントプログラム3Pは、インターネット上のアプリケーションサーバから端末装置3へダウンロードされ、インストーラによってフラッシュメモリ33にインストールされる。インストーラは、クライアントプログラム3Pとともにアプリケーションサーバからダウンロードされてもよいし、予めROM32またはフラッシュメモリ33に用意されていてもよい。
【0027】
RAM31は、端末装置3のメインメモリである。RAM31には、適宜、クライアントプログラム3Pなどのコンピュータプログラムがロードされる。プロセッサ30は、RAM31にロードされたコンピュータプログラムを実行する。
【0028】
タッチパネルディスプレイ34は、コマンドまたは情報をユーザが入力するためのタッチパネルおよび画面を表示するためのディスプレイなどによって構成される。
【0029】
ネットワークカード35は、TCP/IPなどのプロトコルで評価サーバ2などの装置と通信する。ネットワークカード35として、Wi-Fi用の通信装置が用いられる。
【0030】
音声処理ユニット36は、音声処理装置、マイクロフォン、およびスピーカなどによって構成される。マイクロフォンによってキャプチャされた音声が音声処理装置によって音声データにエンコードされ、他の装置から送信されてきた音声データが音声処理装置によって音声にデコードされスピーカによって音声が再生される。
【0031】
携帯電話通信ユニット37は、いわゆる携帯電話網を介して通信を行う。デジタルカメラ38は、被写体を撮影し被写体の画像データを生成する。
【0032】
図3および
図5それぞれに示す機能などによって栄養などに関する評価(アセスメント)のサービスがユーザへ提供される。以下、これらの機能について説明する。
【0033】
〔データの登録および管理〕
〔ユーザのデータ〕
図6は、ユーザ固有情報テーブル501、身体基本情報テーブル502、生活情報テーブル503、および食事摂取情報テーブル504の例を示す図である。
図7は、新規登録画面61、第一の身体基本情報登録画面62A、第二の身体基本情報登録画面62B、および質問画面63の例を示す図である。
図8は、健康等に関する質問の例を示す図である。
図9は、食事に関する質問の項目の例を示す図である。
図10~
図14は、食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
図15は、質問画面64~67の例を示す図である。
【0034】
評価サーバ2のユーザデータ記憶部201(
図3参照)は、ユーザごとに、
図6に示すような1組のユーザ固有情報テーブル501、身体基本情報テーブル502、生活情報テーブル503、および食事摂取情報テーブル504が記憶される。
【0035】
ユーザ固有情報テーブル501には、
図6(A)のように、ユーザの氏名、性別、および生年月日など、固定的な情報が示される。また、ユーザ固有情報テーブル501には、これが割り当てられたユーザを識別するための会員コードが対応付けられている。例えば、あるユーザP1のユーザ固有情報テーブル501は、次のように生成される。
【0036】
ユーザP1は、自分の端末装置3である端末装置3aにクライアントプログラム3Pを起動させ、新規登録コマンドを端末装置3aに入力する。なお、ユーザP1本人の代わりに家族または介護者などが入力してもよい。以下、同様である。
【0037】
すると、端末装置3aにおいて、固定情報提供部301(
図5参照)は、ユーザP1の固定的な情報を評価サーバ2へ提供するための処理を次のように実行する。
【0038】
固定情報提供部301は、
図7(A)のような新規登録画面61をタッチパネルディスプレイ34に表示させる。ここで、ユーザP1は、自分自身の氏名、性別、および生年月日をそれぞれテキストボックス611、612、および613に入力する。そして、ユーザP1が登録ボタン614を押すと、固定情報提供部301は、入力された氏名、性別、および生年月日を示す固定データ71を評価サーバ2へ送信する。
【0039】
評価サーバ2において、新規ユーザ登録部203は、固定データ71を端末装置3aから受信すると、ユーザP1のためにユニークな会員コードを発行するとともに、ユーザP1のユーザ固有情報テーブル501、身体基本情報テーブル502、生活情報テーブル503、および食事摂取情報テーブル504を1組、新たに生成し、ユーザデータ記憶部201に記憶させる。この際に、これら4つのテーブルのすべてに、発行した会員コードを対応付ける。さらに、固定データ71に示される氏名、性別、および生年月日をユーザ固有情報テーブル501に書き込む。なお、この時点では、身体基本情報テーブル502、生活情報テーブル503、および食事摂取情報テーブル504は空である。
【0040】
そして、新規ユーザ登録部203は、発行した会員コードを示す会員コードデータ72を端末装置3aへ送信する。
【0041】
端末装置3aにおいて、会員コードデータ72は、ユーザデータ記憶部308に記憶される。ユーザデータ記憶部308には、固定データ71も記憶される。
【0042】
なお、ユーザ固有情報テーブル501への情報の登録は原則的に、ユーザが評価のサービスを初めて使用する際にのみ、行えばよい。
【0043】
身体基本情報テーブル502には、
図6(B)のように、ユーザの身長および体重など、ユーザの身体の基本的な情報が示される。疾患がある場合は、さらに、その疾患が示される。医師、管理栄養士、または栄養士などの専門家からエネルギー(カロリー)およびたんぱく質などの一日当たりの目標または制限の摂取量(以下、「目標摂取量」と記載する。)を指示されている場合は、それぞれの目標摂取量が示される。
【0044】
生活情報テーブル503には、
図6(C)のように、ユーザの最近の生活の状況などに関する情報として、後述の所定の質問に対する回答が示される。本実施形態では、「7~16歳」、「17~64歳」、および「65歳以上」の3つの年齢区分が定義されており、生活情報テーブル503には、さらに、これらの年齢区分のうちのユーザが回答の時点で属する年齢区分が示される。以下、「7~16歳」、「17~64歳」、および「65歳以上」それぞれの年齢区分を「学童期」、「成人期」、および「高齢期」と記載する。
【0045】
食事摂取情報テーブル504には、
図6(D)のように、ユーザの最近の食事の飲食(摂取)量などに関する情報として、後述の所定の質問に対する回答が示される。
【0046】
身体基本情報テーブル502、生活情報テーブル503、および食事摂取情報テーブル504への情報の登録は、原則として、ユーザが評価のサービスを使用するごとに行う。ここで、ユーザP1がサービスを使用する場合を例に、身体基本情報テーブル502、生活情報テーブル503、および食事摂取情報テーブル504への情報の登録の処理について説明する。
【0047】
ユーザP1は、自分の端末装置3である端末装置3aにクライアントプログラム3Pを起動させ、評価開始コマンドを端末装置3aに入力する。
【0048】
すると、端末装置3aにおいて、身体基本情報提供部302は、ユーザP1の身体の基本的な情報を評価サーバ2へ提供する処理を次のように実行する。
【0049】
身体基本情報提供部302は、
図7(B)のような第一の身体基本情報登録画面62Aおよび
図7(B)のような第二の身体基本情報登録画面62Bを順にタッチパネルディスプレイ34に表示させる。ここで、ユーザP1は、自分自身の身長および体重をそれぞれテキストボックス62A1および62A2に入力する。身長または体重を測定できない場合は、ふくらはぎの周囲長をテキストボックス62A3に入力する。身長および体重が入力され、またはふくらはぎの周囲長が入力されると、BMI(Body Mass Index)が公知の演算式によって算出され、テキストボックス62A4に表示される。
【0050】
リストボックス62A5をタッチすると、日常の活動量の選択肢が表示されるので、ユーザP1は、自分自身の活動量を選択する。選択肢は、「高い」、「普通」、および「低い」であって、それぞれ、日頃、「社外での移動や立位が多い仕事またはスポーツ等の活発な活動をしている場合」、「職場内での移動や家事、買物等の活動をしている場合」、および「デスクワークが中心であって、あまり動かない場合」に選択される。
【0051】
ユーザP1は、妊娠期または授乳期であれば、リストボックス62A5をタッチする。すると、「妊娠初期」、「妊娠中期」、「妊娠後期」、および「授乳期」の選択肢が表示されるので、自らの状態に合った選択肢を選択する。
【0052】
さらに、ユーザP1は、疾患がある場合は、自らの疾病を、チェックボックス群62B1の中の対応するボタンをタッチすることによって選択する。
【0053】
また、エネルギー、たんぱく質、脂質、塩分、およびカリウムについて目標摂取量がある場合は、ユーザP1は、選択ボタン群62B2の中から「あり」をチェックし、テキストボックス62B3~62B7にそれぞれの目標摂取量を入力する。
【0054】
そして、ユーザP1が送信ボタン62B8を押すと、身体基本情報提供部302は、ユーザデータ記憶部308に記憶されている会員コードデータ72に示される会員コードを抽出し、入力されまたは選択された内容および抽出した会員コードを示す身体基本データ73を生成し評価サーバ2へ送信する。
【0055】
評価サーバ2において、身体基本情報受付部204は、身体基本データ73を受信すると、身体基本データ73に示される会員コードに対応する身体基本情報テーブル502に新たなレコード(行)を追加する。そして、このレコードに、身体基本データ73を受信した日付を回答日として書き込み、身体基本データ73に示される身長および体重を書き込む。疾患が示される場合は、さらに疾患を書き込み、エネルギー等の目標摂取量が示される場合は、それぞれの摂取量を書き込む。
【0056】
端末装置3aにおいて、身体基本データ73が評価サーバ2へ送信されると、生活情報提供部303は、ユーザP1の最近(例えば、過去3ヶ月間)の生活の状況などに関する情報を評価サーバ2へ提供する処理を次のように実行する。
【0057】
生活情報提供部303は、ユーザP1の年齢区分を、ユーザP1の生年月日および本日の日付に基づいて判別する。なお、ユーザP1の生年月日は、ユーザデータ記憶部308に記憶されている固定データ71に示されている。
【0058】
そして、生活情報提供部303は、予め用意された複数の質問のうちのユーザP1の年齢区分に応じた質問をユーザP1へ与え、ユーザP1に回答させることによって情報を収集する。
【0059】
具体的には、
図8に示すように、8つの項目についての質問が予め用意されている。各質問には「Q1」、「Q2」、…、「Q8」の質問コードが予め対応付けられている。以下、各質問を「質問Q1」、「質問Q2」、…、「質問Q8」のように、対応する質問コードを付すことによって区別して記載する。年齢区分ごとに、これらの質問Q1~Q8のうちのどれを与えるのかが「○」によって設定されている。例えば、成人期のユーザに対しては、質問Q1、Q3~Q7を与え、質問Q2、Q8を与えないと、設定されている。
【0060】
そこで、生活情報提供部303は、ユーザP1の年齢区分が成人期である場合は、質問Q1、Q3~Q7を順次与えて回答させることによって情報を収集する。例えば、1つ目の質問(本例では、質問Q1)を、
図7(C)のような質問画面63をタッチパネルディスプレイ34に表示させることによって与える。質問画面63には、その質問の内容すなわち「過去3ヶ月間で(中略)減少しましたか?」および選択肢631~635などが配置されている。ユーザP1は、その質問に対する回答を選択肢631~635の中から選択し、回答ボタン636を押す。
【0061】
生活情報提供部303は、与えるべき質問のうちの2つ目以降も同様に、質問の内容および選択肢が配置された質問画面を表示させることによって与える。ユーザP1は、その質問に対する回答を選択肢の中から選択し、回答ボタンを押す。
【0062】
そして、与えるべき質問のすべてに対してユーザP1が回答を完了したら、生活情報提供部303は、ユーザデータ記憶部308に記憶されている会員コードデータ72に示される会員コードを抽出し、それぞれの質問の質問コードおよび回答と、ユーザP1の年齢区分と、抽出した会員コードとを示す生活回答データ74を生成し、評価サーバ2へ送信する。
【0063】
評価サーバ2において、生活情報受付部205は、生活回答データ74を受信すると、生活回答データ74に示される会員コードに対応する生活情報テーブル503に新たなレコード(行)を追加する。そして、このレコードに、生活回答データ74に示される年齢区分を書き込み、生活回答データ74を受信した日付を回答日として書き込む。さらに、生活回答データ74に示される回答を質問に対応するフィールド(欄)に書き込む。つまり、質問Qxに対する回答を、回答Axのフィールドに書き込む。
【0064】
端末装置3aにおいて、生活回答データ74が評価サーバ2へ送信されると、食事摂取情報提供部304は、ユーザP1の最近の食事の食事量(摂取量)などに関する情報を評価サーバ2へ提供する処理を次のように実行する。
【0065】
食事摂取情報提供部304は、予め用意された複数の質問をユーザP1へ与え、ユーザP1に回答させることによって情報を収集する。
【0066】
具体的には、
図9に示す20個の項目それぞれについて尋ねる1つまたは複数の質問が
図10~
図14のように予め用意されている。各項目には「Q01」、「Q02」、…の順に項目コードが付されており、さらに、同じ項目に属する質問には「1」、「2」、…の順に枝番が付されている。つまり、各質問は、項目コードおよび枝番によって識別される。以下、各質問を「質問Q01-1」、「質問Q01-2」、…のように、対応する項目コードおよび枝番を付すことによって区別して記載する。
【0067】
食事摂取情報提供部304は、ユーザP1の年齢区分などに関わらず、これらのすべての質問を項目の昇順かつ枝番の昇順にユーザP1へ与え、ユーザP1に回答させることによって情報を収集する。ユーザP1は、これらの質問のうちのほとんどに対して、選択肢を選択することによって回答することができるが、一部に対しては、量を入力しまたは順位を指定するなどして回答する。
【0068】
例えば、食事摂取情報提供部304は、
図10(A)の質問Q01-1を、
図15(A)のような質問画面64を表示させることによって与える。質問画面64には、質問の内容すなわち「主食を食べていますか?」および選択肢641~644などが配置されている。ユーザP1は、その質問に対する回答を選択肢641~644の中から選択し、回答ボタン645を押す。
図10~
図13に示す他の質問も質問Q01-1と同様、ユーザに選択肢を押して選択させるタイプである。
図14(G)に示す質問も、同様である。なお、
図10~
図14に示すコロン「:」およびその右側の数値は、質問画面64などには配置されない。この数値はパラメータ値であって、評価の計算のために用いられる。これについては、後述する。
【0069】
または、食事摂取情報提供部304は、
図14(A)の質問Q06-3を、
図15(B)のような質問画面65を表示させることによって与える。質問画面65には、質問の内容すなわち「食べる頻度の多い順に順位を付けてください」およびテキストボックス651~653などが配置されている。ユーザP1は、テキストボックス651~653へ、その質問に対する回答すなわち「1」、「2」、および「3」のいずれかを重複しないように入力し、回答ボタン654を押す。
図14(B)~(D)に示す各質問も質問Q06-3と同様、順位をユーザに入力させるタイプである。
【0070】
または、食事摂取情報提供部304は、
図14(E)の質問Q13-2を、
図15(C)のような質問画面66を表示させることによって与える。質問画面66には、質問の内容すなわち「食べる頻度を選んでください」とともに、4種類の油物およびそれぞれに対応するテキストボックス661~664ならびに複数の選択肢などが配置されている。ユーザP1は、4種類の油物それぞれに該当する選択肢をテキストボックス661~664へ入力し、回答ボタン665を押す。
【0071】
または、食事摂取情報提供部304は、
図14(F)の質問Q20-2を、
図15(D)のような質問画面67を表示させることによって与える。質問画面67には、質問の内容すなわち「1日の合計量は?」とともに、5種類のアルコール飲料およびそれぞれに対応するテキストボックス671~675などが配置されている。ユーザP1は、5種類のアルコール飲料それぞれの1日の飲食量をテキストボックス671~675へ入力し、回答ボタン676を押す。このように質問Q20-2は、選択肢のないタイプである。
【0072】
そして、すべての質問に対してユーザP1が回答を完了したら、食事摂取情報提供部304は、ユーザデータ記憶部308に記憶されている会員コードデータ72に示される会員コードを抽出し、それぞれの質問の識別子(項目コードおよび枝番)および回答ならびに抽出した会員コードを示す食事摂取回答データ75を生成し評価サーバ2へ送信する。
【0073】
評価サーバ2において、食事摂取情報受付部206は、食事摂取回答データ75を受信すると、食事摂取回答データ75に示される会員コードに対応する食事摂取情報テーブル504に新たなレコードを追加する。そして、このレコードに、食事摂取回答データ75を受信した日付を回答日として書き込む。さらに、食事摂取回答データ75に示される回答を質問に対応するフィールドに書き込む。つまり、質問Qy-zに対する回答を、回答Ay-zのフィールドに書き込む。
【0074】
〔健康学または栄養学のデータ〕
図16は、身体点数テーブル511および状況点数テーブル512の例を示す図である。
図17は、平均栄養量テーブル513の例を示す図である。
図18は、アドバイステーブル514の例を示す図である。
【0075】
評価用情報記憶部202は、身体点数テーブル511、状況点数テーブル512、平均栄養量テーブル513、およびアドバイステーブル514が記憶されている。
【0076】
身体点数テーブル511は、
図16(A)のように体重増減率の値ごとの点数が示される。具体的には、体重増減率の取り得る範囲を5つの区域に分割し、5つの区域それぞれに、「2点」、「4点」、「6点」、「8点」、および「10点」のいずれかを重複しないように設定されている。さらに、体重増減率と同様に、BMIの値ごとの点数およびカウプ指数の値ごとの点数が、身体点数テーブル511に示される。
【0077】
状況点数テーブル512には、
図16(B)のように、質問Q1~Q8(
図8参照)に対する回答A1~A8それぞれの選択肢ごとの点数が示される。なお、身体点数テーブル511、状況点数テーブル512に示される点数は、高いほど好ましい。
【0078】
平均栄養量テーブル513は、
図17のように、食品群ごとの100グラム当たりの栄養成分(各種の栄養素およびエネルギー)それぞれの含有量(100グラム当たりの含有率)を示す。
図17には一部の食品群および栄養素のみを例示しているが、本実施形態では、ごはん、パン、麺類、その他穀類、芋類、砂糖類、納豆・大豆、豆腐・大豆(全粒以外)加工品、その他大豆製品、種実類、野菜類(緑黄・淡色)、漬物類、果実類、きのこ・藻類、青魚類、白身魚類、いか・貝・エビ類、牛肉類、豚肉類、鶏肉類、魚加工品類、肉加工品類、卵類、牛乳・乳製品、油脂類、和菓子類、洋菓子類、スナック菓子類、ビール、焼酎・酎ハイ、ワイン、日本酒、ウイスキー、嗜好飲料(その他)、および調味料・香辛料の35の食品群がある。また、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、レチノール当量、ビタミンD、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、コレステロール、および食物繊維総量の22の栄養素がある。
【0079】
アドバイステーブル514は、
図18のように各年齢区分のユーザへの、体格および体重増減などの事項に関する状態またはアドバイスの文言を示す。
図18には一部の事項および年齢区分のみを例示しているが、アドバイステーブル514は、学童期、成人期、および高齢期それぞれのユーザへの、体格、体重増減、食欲不振、自立歩行、ストレス、神経・精神問題、朝食抜き、食べる速度、夕・就寝前食、および疲れに関する文言を示す。
【0080】
〔評価(アセスメント)のデータ〕
図19は、身体健康評価テーブル521および栄養摂取量テーブル522の例を示す図である。
【0081】
結果データ記憶部287は、
図19に示すような、ユーザごとの身体健康評価テーブル521および栄養摂取量テーブル522を記憶する。身体健康評価テーブル521および栄養摂取量テーブル522は、
図6に示したユーザ固有情報テーブル501などと同様、新たなユーザの会員コードが発行された際に生成され、その会員コードと対応付けられて結果データ記憶部287に記憶される。この時点では、身体健康評価テーブル521および栄養摂取量テーブル522は、空である。
【0082】
〔評価の処理〕
図20は、身体等評価画面68、栄養摂取量画面69、およびアドバイス画面60の例を示す図である。
【0083】
身体基本データ73、生活回答データ74、および食事摂取回答データ75が端末装置3から送信されてくると、上述の通り、身体基本情報テーブル502、生活情報テーブル503、および食事摂取情報テーブル504に情報が書き込まれる。書込み後、身体健康評価部281および栄養摂取量算出部283によって、評価のための処理が行われる。
【0084】
〔身体および健康の評価〕
身体健康評価部281は、身体および健康に関する評価を行う。具体的には、体格および体重増減それぞれの評価値のほか、
図8に示した8つの項目のうちの評価の対象であるユーザ(以下、「対象ユーザ」と記載する。)の年齢区分に応じた5~6の項目それぞれの評価値を決定する。
【0085】
身体健康評価部281は、体格の評価値を次のように決定する。対象ユーザの身体基本情報テーブル502(
図6(B)参照)から最新の身長および体重を読み出す。身長または体重が身体基本情報テーブル502に示されない場合は、ふくらはぎ周囲長を読み出す。読み出した身長、体重、またはふくらはぎ周囲長に基づいて、対象ユーザの年齢区分が成人期または高齢期である場合はBMIを算出し、学童期である場合はカウプ指数を算出する。なお、BMIもカウプ指数も、体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割った値である。または、ふくらはぎ周囲長を公式に代入することによって算出される。
【0086】
そして、身体健康評価部281は、身体点数テーブル511(
図16(A)参照)の中から、算出したBMIまたはカウプ指数が属するフィールドを判別し、体格の評価値を、そのフィールドに対応する点数に決定する。例えば、算出したBMIが「21.0」である場合は、このBMIが「21.5>K≧20」に該当するので体格の評価値を「8点」に決定する。
【0087】
身体健康評価部281は、体重増減の評価値を次のように決定する。対象ユーザの身体基本情報テーブル502から最新の体重およびその1つ前の体重を読み出し、
R=(Wn-Wn-1)/Wn
を算出する。「R」は、体重増減率であり、「Wn」および「Wn-1」は、それぞれ、読み出した最新の体重およびその1つ前の体重である。
【0088】
そして、身体健康評価部281は、身体点数テーブル511の中から、算出した体重増減率の絶対値が属するフィールドを判別し、体重増減の評価値を、そのフィールドに対応する点数に算出する。
【0089】
身体健康評価部281は、食欲不振の評価値を次のように決定する。対象ユーザの生活情報テーブル503(
図6(C)参照)から食欲不振に関する質問Q1に対する回答A1の最新の値を読み出す。そして、状況点数テーブル512(
図16(B)参照)の回答A1のレコードの中の、読み出した値が属するフィールドを判別し、食欲不振の評価値を、そのフィールドに対応する点数に決定する。例えば、読み出した値が「3」である場合は、食欲不振の評価値を「6点」に決定する。
【0090】
自立歩行、ストレス、神経・精神問題、朝食抜き、食べる速度、夕・就寝前食、および疲れの各項目についても食欲不振と同様に評価値が決定される。すなわち、身体健康評価部281は、質問Q2、Q3、…、Q8それぞれに対する回答A2、A3、…、A8の最新の値を読み出す。状況点数テーブル512の回答A2、A3、…、A8それぞれのレコードの中の、読み出した値が属するフィールドに対応する点数を評価値に決定する。
【0091】
各項目の評価値が決定されると、新たなレコードが対象ユーザの身体健康評価テーブル521(
図19(A)参照)に追加され、各項目の評価値がこのレコードに書き込まれる。さらに、当日の日付が評価日として書き込まれる。
【0092】
身体等評価データ送信部282は、身体健康評価部281によって決定された、各項目の評価値および評価日を示す身体等評価データ761を、対象ユーザの端末装置3へ送信する。さらに、対象ユーザの身体健康評価テーブル521から前回の評価値および評価日を読み出し、読み出した評価値および評価日を示す身体等評価データ762を、対象ユーザの端末装置3へ送信する。
【0093】
端末装置3において、身体等評価提示部305は、身体等評価データ761、762を受信すると、
図20(A)のような、前回および今回それぞれの評価値、合計点、および評価日をグラフまたは数値で表わす身体等評価画面68をタッチパネルディスプレイ34に表示させる。
【0094】
〔栄養摂取の評価〕
評価サーバ2の栄養摂取量算出部283は、対象ユーザの一日当たりのエネルギーおよび上述の22の栄養素それぞれの摂取量を次のように算出(推定)する。
【0095】
栄養摂取量算出部283は、ユーザデータ記憶部201に記憶されている対象ユーザの食事摂取情報テーブル504(
図6(D)参照)から、直近に追加されたレコードを読み出す。読み出したレコードに示される各値を次の式(1)~(35)に代入することによって、上述の35の食品群それぞれの、対象ユーザが一日に飲食(摂取)する平均量(一日平均量)を算出する。以下の式においては、食品群それぞれの一日平均量を「ごはん量M1」、「パン量M2」、「麺類量M3」、…、「調味料・香料量M35」と記載する。
ごはん量M1=(A01_1-A01_3-A01_4)・A01_2_1/7 … (1)
パン量M2=A01_3・A01_2_2/7 … (2)
麺類量M3=A01_4・A01_2_3/7 … (3)
その他穀物量M4=B4 … (4)
芋類量M5=A02_1・A02_2+B5 … (5)
砂糖類量M6
=A16_1_1+A19_1・A19_2・A19_3+A19_4・A19_5・A19_6 … (6)
納豆・大豆量M7=A03_1・A03_2 … (7)
豆腐・大豆(全粒以外)加工品量M8=A04_1・A04_2 … (8)
その他大豆製品量M9=B9 … (9)
種実類量M10=A12_1・A12_2 … (10)
野菜類量M11=A9_1・A9_2 … (11)
漬物類量M12=A15_1・A15_2 … (12)
果実類量M13=A10_1・A10_2 … (13)
きのこ・藻類量M14=A11_1・A11_2 … (14)
青魚類量M15=A06_1・A06_2・A06_3_A … (15)
白身類量M16=A06_1・A06_2・A06_3_B … (16)
いか・貝・えび類量M17 =A06_1・A06_2・A06_3_C … (17)
牛肉類量M18=A07_1・A07_2・A07_3_A … (18)
豚肉類量M19=A07_1・A07_2・A07_3_B … (19)
鶏肉類量M20=A07_1・A07_2・A07_3_C … (20)
魚加工品類量M21=A08_1・A08_2・A08_3_A … (21)
肉加工品類量M22=A08_1・A08_2・A08_3_B … (22)
卵類量M23=A05_1・A05_2+B23 … (23)
牛乳・乳製品量M24=A14_1・A14_2+B24 … (24)
油脂類量M25=A13_1・(B25_1・A13_2_A+B25_2・A13_2_B+B25_3・A13_2_C
+B25_4・A13_2_D) … (25)
和菓子類量M26=A18_1・A18_2・A18_3_A … (26)
洋菓子類量M27=A18_1・A18_2・A18_3_B … (27)
スナック菓子類量M28=A18_1・A18_2・A18_3_C … (28)
ビール量M29=B29・A20_1・A20_2_A・A20_3_A … (29)
焼酎・酎ハイ量M30=B30・A20_1・A20_2_B・A20_3_B … (30)
ワイン量M31=B31・A20_1・A20_2_C … (31)
日本酒量M32=B32・A20_1・A20_2_D … (32)
ウイスキー量M33=B33・A20_1・A20_2_E … (33)
嗜好飲料量M34=B34 … (34)
調味料・香料量M35=B35+A16_1_2+A17_1・A17_2 … (35)
「Ay_z」は、
図10~
図14に示した、質問Qy-zへのユーザの回答(選択肢)に対応するパラメータ値である。例えば、「A01_1」は、質問Q01-1への回答に対応するパラメータ値であって、読み出した食事摂取情報テーブル504の回答A01-1のフィールドに例えば「3」が示される場合は、
図10(A)より「7」に決まる。
【0096】
「Ay_z_i」は、質問Qy-zへのユーザの回答(選択肢)に対応する複数のパラメータ値のうちのi番目のパラメータ値である。例えば、「A01_2_3」は、質問Q01-2への回答に対応する複数のパラメータ値のうちの3番目のパラメータ値であって、読み出した食事摂取情報テーブル504の回答A01-2のフィールドに例えば「5」が示される場合は、
図10(B)より「250,150,300」のうちの3番目のパラメータ値すなわち「300」に決まる。
【0097】
「Ay_z_A」、「Ay_z_B」、…、「Ay_z_E」は、それぞれ、質問Qy-zの中の項目A、B、…、Eそれぞれについての回答(選択肢)に対応するパラメータ値である。例えば、「A13_2_C」は、
図14(E)の質問Q13-2の中の項目Cすなわち「天ぷら(15g)」への回答に対応するパラメータ値であって、読み出した食事摂取情報テーブル504の回答A13-2のフィールドに例えば「d」が示される場合は、「0.75」に決まる。
【0098】
ただし、
図14(F)の質問Q20-2の各項目の回答すなわち「A20_2_A」、「A20_2_B」、…、「A20_2_E」は、例外的に、ユーザの回答がそのまま用いられる。例えば、「A20_2_D」は、読み出した食事摂取情報テーブル504の回答A20-2のフィールドに、Dに対応する値として「3」が示される場合は、「3」に決まる。
【0099】
また、
図14(G)の質問Q20-3についての回答からは、2つの値「A20_3_A」および「A20_3_B」が得られる。「A20_3_A」および「A20_3_B」は、それぞれ、回答A20-3のフィールドに「1」が示される場合は、AおよびBそれぞれの、「1」に対応するパラメータ値すなわち「0.6」および「0.8」に決まる。「2」が示される場合は、AおよびBそれぞれの、「2」に対応するパラメータ値すなわち「0.5」および「0.7」に決まる。「3」が示される場合は、AおよびBそれぞれの、「3」に対応するパラメータ値すなわち「1」および「1」に決まる。
【0100】
「Bs」および「Bs_t」は、定数である。
【0101】
35の食品群は、一日平均量の算出方法によって次のように6つのグループに大別することができる。
【0102】
第一のグループは、1週間当たりの食事(飲食)の回数を7日で割った値(以下、「一日平均食事回数」と記載する。)と食事1回当たりの飲食量との積が一日平均量として算出されるグループである。式(7)、(8)、(10)~(14)、
図10(G)~(J)、
図11(G)~(L)、
図12(A)、(B)、(F)、(G)の通り、納豆・大豆、種実類、野菜類、漬物類、漬物類、果実類、およびきのこ・藻類が第一のグループに該当する。
【0103】
第二のグループは、一日平均食事回数と食事1回当たりの飲食量との積に定数を加えた値が一日平均量として算出されるグループである。式(5)、(23)、(24)、
図10(E)、(F)、(K)、(L)、
図12(D)、(E)の通り、芋類、卵類、および牛乳・乳製品が第二のグループに該当する。
【0104】
第三のグループは、一日平均量が、1つの項目の質問に対する回答に基づいて他の食品群の一日平均量とともに算出されるグループである。ごはん、パン、麺類、青魚類、白身類、他の魚介類、牛肉類、豚肉類、鶏肉類、魚加工品類、肉加工品類、和菓子類、洋菓子類、スナック菓子類、ビール、焼酎・酎ハイ、ワイン、日本酒、およびウイスキーが第四のグループに該当する。第四のグループは、さらに次の3つの小グループに分類される。
【0105】
ごはん、パン、および麺類は、第一の小グループに分類される。ごはん、パン、および麺類それぞれの一日平均量M1、M2、M3は、式(1)~(3)、
図10(A)~(D)の通り、主食に関する質問Q01-1~Q01-4に対する回答に基づいて算出される。
【0106】
すなわち、一日平均量M1は、1週間の食事の回数と1週間の食事において主食としてパンまたは麺類を採る回数との差を、1週間の食事において主食としてごはんを採る回数として求め、ごはんを採る回数に食事1回当たりのごはんの飲食量を掛けることによって算出される。一日平均量M2は、1週間の食事において主食としてパンを採る回数に食事1回当たりのパンの飲食量を掛けることによって算出される。一日平均量M3は、1週間の食事において主食として麺類を採る回数に食事1回当たりの麺類の飲食量を掛けることによって算出される。
【0107】
青魚類、白身類、および他の魚介類は、第二の小グループに分類される。青魚類、白身類、および他の魚介類それぞれの一日平均量M15、M16、M17は、式(15)~(17)、
図11(A)、(B)、
図14(A)の通り、魚介類に関する質問Q06-1~Q06-3に対する回答に基づいて算出される。
【0108】
すなわち、一日平均量M15、M16、M17は、一日平均食事回数と食事1回当たりの魚介類の飲食量との積に、それぞれ、青魚類、白身類、およびいか・貝・えび類それぞれのパラメータ値を掛けることによって算出される。これら3つのパラメータ値は、食べる頻度の多い順に「0.6」、「0.3」、および「0.1」であり、合計が「1」である。つまり、食べる頻度の多い順に、10回の食事のうち6回、3回、1回、飲食しているものとみなして、一日平均量M15、M16、M17が算出される。
【0109】
同様に、牛肉類、豚肉類、および鶏肉類それぞれの一日平均量M18、M19、M20は、式(18)~(20)、
図11(C)、(D)、
図14(B)の通り、肉類に関する質問Q07-1~Q07-3に対する回答に基づいて算出される。同様に、魚加工品類および肉加工品類それぞれの一日平均量M21、M22は、式(21)、(22)、
図11(E)、(F)、
図14(C)の通り、肉魚加工品に関する質問Q08-1~Q08-3に対する回答に基づいて算出される。同様に、和菓子類、洋菓子類、およびスナック菓子類それぞれの一日平均量M26、M27、M28は、式(26)~(28)、
図12(K)、(L)、
図14(D)の通り、菓子類に関する質問Q18-1~Q18-3に対する回答に基づいて算出される。
【0110】
ビール、焼酎・酎ハイ、ワイン、日本酒、およびウイスキーは、第三の小グループに分類される。ビール、焼酎・酎ハイ、ワイン、日本酒、およびウイスキーそれぞれの一日平均量M29、M30、M31、M32、M33は、式(29)~(33)、
図13(G)、
図14(F)、(G)の通り、アルコール類に関する質問Q20-1~Q20-3に対する回答に基づいて算出される。
【0111】
すなわち、一日平均量M31、M32、M33は、それぞれ、一日平均食事回数と飲酒1回当たりの日本酒、ワイン、およびウイスキーそれぞれの飲食量との積である。一日平均量M29、M30は、一日平均食事回数と、飲酒1回当たりのビールおよび焼酎・酎ハイそれぞれの飲食量との積に、ビールおよび焼酎・酎ハイそれぞれのカロリーオフまたは糖分オフに応じたパラメータ値を掛けることによって算出される。
【0112】
第四のグループは、ユーザの回答に関わらず定数が一日平均量として算出されるグループである。式(4)、(9)、(34)の通り、その他穀物、その他大豆製品、および嗜好飲料量が第三のグループに該当する。
【0113】
第五のグループは、複数の項目の質問に対する回答に基づいて一日平均量が算出されるグループである。式(6)、(35)、
図12(H)~(J)、
図13(A)~(F)の通り、砂糖類および調味料・香料が第五のグループに該当する。
【0114】
第六のグループは、その他のグループであって、油脂類が該当する。油脂類の一日平均量M25は、式(25)、
図12(C)、
図14(E)の通り、複数の油物の料理(炒め物、唐揚げ、天ぷら、フライなどのメニュー)それぞれの1食当たりの油脂の含有量と飲食する頻度に応じたパラメータ値との積の総和である。
【0115】
なお、油脂類量M25は、油脂(オリーブ油、大豆油、調合油、バター、マーガリンなど)の含有量であって、上記のメニューで使用される牛肉、豚肉、鶏肉、青魚類、白身類、および野菜などの素材の含有量ではない。後述する油脂類量N26も同様である。
【0116】
栄養摂取量算出部283は、上述の35の食品群それぞれの一日平均量を算出すると、これらの一日平均量および評価用情報記憶部202に記憶されている平均栄養量テーブル513(
図17参照)に基づいて、対象ユーザの一日当たりのエネルギーの摂取量SDおよび上述の22の栄養素それぞれの摂取量TDを、次の式(36)および式(37)によって算出する。
【0117】
【0118】
「Sk」は、平均栄養量テーブル513に示される、k番目の食品群の100グラム当たりのエネルギー量である。「TDj」は、対象ユーザの一日当たりのj番目の栄養素の摂取量である。「Tj_k」は、平均栄養量テーブル513に示される、k番目の食品群の100グラムに含まれるj番目の栄養素の量である。
【0119】
そして、栄養摂取量算出部283は、算出した摂取量SD、TDj(ただし、j=1、2、…、22、である。)を対象ユーザの栄養摂取量テーブル522(
図19(B)参照)に書き込む。さらに、評価日として当日の日付を書き込む。
【0120】
栄養摂取量データ送信部284は、栄養摂取量算出部283によって算出された摂取量SD、TDj、および対象ユーザの目標摂取量を示す栄養摂取量データ77を対象ユーザの端末装置3へ送信する。目標摂取量は、次のように決定され、栄養摂取量データ77に示される。
【0121】
対象ユーザの身体基本情報テーブル502(
図6(B)参照)にエネルギーおよびたんぱく質などの目標摂取量が示される場合は、これらの目標摂取量が栄養摂取量データ77に示される。身体基本情報テーブル502に目標摂取量が示されないが疾患が示される場合は、その疾患および対象ユーザの体重等に応じたエネルギーおよびたんぱく質などの目標摂取量が栄養摂取量データ77に示される。このような目標摂取量は、栄養学の公知のデータから算出される。一般に、発熱、炎症、または褥瘡があると、それを治癒させる分、必要な栄養素の量が増加する。そこで、標準的な目標摂取量に対象ユーザの症状に応じた係数を掛けた値を、対象ユーザの目標摂取量としてもよい。また、活動の状況(社内での移動や立位が多い仕事、デスクワークなど)によっても、必要なエネルギーおよび各栄養素の量が増減する。そこで、第一の身体基本情報登録画面62A(
図7(B)参照)で選択された対象ユーザの活動に応じた係数を標準的な目標摂取量に掛けた値を、対象ユーザの目標摂取量としてもよい。身体基本情報テーブル502に目標摂取量も疾患も示されない場合は、対象ユーザの身長および体重などに応じたエネルギーおよびたんぱく質などの標準的な摂取量が目標摂取量が栄養摂取量データ77に示される。このような摂取量も、栄養学の公知のデータから算出される。
【0122】
端末装置3において、栄養摂取量提示部306は、栄養摂取量データ77を受信すると、
図20(B)のような、エネルギーの摂取量SD、目標摂取量、および摂取率(目標摂取量に対する摂取量の割合)ならびに各栄養素の摂取量TDj、目標摂取量、および摂取率を示す栄養摂取量画面69をタッチパネルディスプレイ34に表示させる。このように、対象ユーザの推定される必要栄養量に対して、対象ユーザが入力して得られた栄養素等摂取量が比較表示されるので、対象ユーザは、自己の状態をより容易に把握することができる。
【0123】
なお、どの栄養素の摂取量TDjおよび目標摂取量を提示するのかを、ユーザの疾患または年齢区分に応じて変更できるようにしてもよい。すなわち、ユーザの疾患を治癒しまたは現状を維持するために注目すべき栄養素の摂取量TDjおよび目標摂取量を優先的に提示するようにしてもよい。
【0124】
〔アドバイス〕
評価サーバ2において、アドバイス文生成部285は、対象ユーザへのアドバイス文を次のように生成する。
【0125】
アドバイス文生成部285は、身体健康評価テーブル521または栄養摂取量テーブル522(
図19参照)に書き込まれた、対象ユーザの身体もしくは健康の最新の評価または栄養の最新の摂取量に応じた文言を、アドバイステーブル514(
図18参照)から抽出する。例えば、対象ユーザの年齢区分が成人期であり、対象ユーザのBMI、体重増減率、および食欲不振の評価値がそれぞれ「18」、「-0.06」、「4点」である場合は、「やせ傾向にあります」、「体重減少が見られます」、「食欲不振や消化器症状が続いているので、医師または管理栄養士に相談しましょう」を抽出する。
【0126】
そして、アドバイス文生成部285は、抽出した各文言を定型文の所定の位置に差し込む。これにより、アドバイス文が生成される。例えば、「あなたは、最近、{A}。{B}。{C}。」という定型文の{A}、{B}、{C}のそれぞれに、上記の抽出した文言を順に差し込む。
【0127】
アドバイスデータ送信部286は、アドバイス文生成部285によって生成されたアドバイス文を示すアドバイスデータ78を対象ユーザの端末装置3へ送信する。
【0128】
端末装置3において、アドバイス提示部307は、アドバイスデータ78を受信すると、
図20(C)のような、アドバイスデータ78に示されるアドバイス文を次回の入力の予定日などとともに記したアドバイス画面60をタッチパネルディスプレイ34に表示させる。この予定日は、今回の入力日から所定の期間後(例えば、1ヶ月後)である。
【0129】
なお、タッチパネルディスプレイ34が右へフリックされるごとに、身体等評価画面68、栄養摂取量画面69、およびアドバイス画面60が順に表示されるようにしてもよい。または、複数の画面の内容が纏めて表示されるようにしてもよい。
【0130】
または、アドバイス文生成部285は、今回の評価または摂取量SD、TDjと前回の評価または摂取量SD、TDjとを比較し、改善した項目および悪化した項目を抽出し、抽出結果に基づいてアドバイス文を生成してもよい。例えば、炭水化物の摂取量TD3が前回は基準を超えていたが今回は基準の範囲内である場合は、「炭水化物の摂取が改善されました。この調子で頑張って下さい。」のようなアドバイス文を生成すればよい。
【0131】
アドバイス提示部307は、3大栄養素、すなわち、たんぱく質、脂質、および炭水化物の摂取量TD1、TD2、TD3を表わすレーダチャートまたは円グラフをアドバイス画面60に配置してもよい。
【0132】
〔評価サーバ2の全体的な処理の流れ〕
図21は、評価プログラム2Pによる全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0133】
次に、評価サーバ2の全体的な処理の流れを、ユーザP1が栄養評価支援システム1を使用する場合を例に、フローチャートを参照しながら説明する。評価サーバ2は、評価プログラム2Pに基づいて、
図21のフローチャートに示す手順で処理を実行する。
【0134】
ユーザP1が初めて栄養評価支援システム1を使用する場合は(
図21の#801でYes)、評価サーバ2は、新規登録画面61(
図7(A)参照)を端末装置3aに表示させ(#802)、ユーザP1が入力した氏名などの情報を示す固定データ71を端末装置3aから受信する(#803)。そして、ユーザP1のためのユーザ固有情報テーブル501ないし食事摂取情報テーブル504(
図6参照)を生成し(#804)、固定データ71に示される情報およびユーザP1の新たな会員コードをユーザ固有情報テーブル501に書き込む(#805)。そして、この会員コードを示す会員コードデータ72を端末装置3aへ送信する(#806)。
【0135】
一方、ユーザP1が既に栄養評価支援システム1を使用したことがある場合は(#802でNo)、評価サーバ2は、ステップ#802~#805をスキップする。
【0136】
評価サーバ2は、第一の身体基本情報登録画面62Aおよび第二の身体基本情報登録画面62Bを順次、端末装置3aに表示させ(#807)、ユーザP1が入力した身長などの情報を示す身体基本データ73を端末装置3aから受信する(#808)。そして、身体基本データ73に示される情報を身体基本情報テーブル502に書き込む(#809)。
【0137】
評価サーバ2は、質問画面63などを順次、端末装置3aに表示させ(#810)、ユーザP1が入力した回答を示す生活回答データ74を端末装置3aから受信する(#811)。そして、生活回答データ74に示される情報を生活情報テーブル503に書き込む(#812)。
【0138】
評価サーバ2は、質問画面64~67(
図15参照)などを順次、端末装置3aに表示させ(#813)、ユーザP1が入力した回答を示す食事摂取回答データ75を端末装置3aから受信する(#814)。そして、食事摂取回答データ75に示される情報を食事摂取情報テーブル504に書き込む(#815)。
【0139】
評価サーバ2は、ユーザP1の身体および健康を評価し(#816)、その結果を示す身体等評価画面68(
図19参照)を端末装置3aに表示させる(#817)。さらに、ユーザP1の栄養の摂取量などを算出し(#818)、その結果を示す栄養摂取量画面69を端末装置3aに表示させる(#819)。そして、ユーザP1へのアドバイス文を生成し(#820)、その結果を示すアドバイス画面60を端末装置3aに表示させる(#821)。
【0140】
本実施形態によると、各栄養素の摂取量TDを算出する際の、ユーザの入力の負担を従来よりも軽減することができる。これは、質問の項目を
図9に示した通り、20個に絞り、さらに、項目ごとの質問の個数を概ね2~3個に絞っているからである。
【0141】
具体的には、例えば、ごはん、パン、および麺類それぞれの一日平均量M1、M2、M3を、共通の質問Q1-1~Q1-4に対する回答に基づいて算出する。よって、食品群ごとに独立した質問を与える場合よりもユーザの入力の負担を軽減することができる。すべての質問に回答するのに約5分/回であり、端末装置3があれば、いつでも、どこでも、いつからでもサービスを受けることができる。これにより、ユーザは、栄養管理支援のプログラムを従来よりも簡便にかつ継続的に使用することができる。
【0142】
質問の項目数は、任意であるが、15~25個程度が望ましいと考えられる。15個よりも少ないと、摂取量SD、TDjの算出の精度が低くなり過ぎ、25個よりも多いと簡便性が低くなり継続的な使用が期待できなくなるからである。
【0143】
さらに、栄養アセスメント(算出した摂取量SD、TD(栄養素等摂取量)および評価値)をユーザ自身に把握させ、ユーザにとって好ましい食習慣または生活スタイルなどのアドバイスを年齢区分または疾患に応じて提案するので、ユーザへ自己管理または行動変容を促してユーザに自分自身の健康状態の維持および改善を促し、QOL(Quality Of Life)の向上を図ることができる。そして、栄養評価支援システム1を普及させることにより、国民の自助および共助を促し、健康寿命の延伸に繋げることができる。
【0144】
〔変形例〕
図22は、食事に関する質問の項目の例を示す図である。
図23~
図28は、食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値の組合せの例を示す図である。
図29は、平均栄養量テーブル513の例を示す図である。
図30は、質問画面の例を示す図である。
図31は、平均栄養量テーブル513の例を示す図である。
図32は、質問画面6A~6Dの例を示す図である。
図33は、質問画面6E~6Gの例を示す図である。
【0145】
本実施形態では、3つの年齢区分に年齢層を区切ったが、4つ以上の年齢区分であってもよい。例えば、0~1歳、2~6歳、7~16歳、16~21歳、22~44歳、45~64歳、65歳以上の7つの年齢区分であってもよい。この場合は、健康等に関する質問の組合せ(
図8参照)および評価値等に基づくアドバイス(
図18参照)を7つの年齢区分ごとに用意し、適用すればよい。または、健康等に関する質問を、年齢区分に関わらずすべてのユーザに対して与え、すべての回答に基づいて評価を行うようにしてもよい。
【0146】
本実施形態では、健康等に関する質問の組合せおよび評価値等に基づくアドバイスを年齢区分ごとに用意し適用したが、さらに、食事に関する質問の項目(
図9参照)ならびに食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値(
図10~
図14参照)も年齢区分ごとに用意し適用してもよい。
【0147】
例えば、
図9に示した食事に関する質問の項目、
図10~
図14に示した食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値、ならびに
図17に示した平均栄養量テーブル513を、7~64歳の年齢層のために使用するものとする。さらに、0~6歳児の年齢層のために、
図22に示す食事に関する質問の項目、
図23~
図28に示す食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値、ならびに
図29の平均栄養量テーブル513を用意する。
【0148】
図29の平均栄養量テーブル513には、ごはん、パン、麺類、芋類、カボチャ、トウモロコシ、納豆・大豆、豆腐・大豆(全粒以外)加工品、その他大豆製品、野菜類、果実類、きのこ・藻類、赤身魚、小魚、他の魚介類、牛肉類、豚肉類、鶏肉類、魚加工品類、肉加工品類、卵黄、全卵、牛乳、ヨーグルト、チーズ、油脂類、母乳、粉ミルク、乳幼児菓子、および乳幼児飲料それぞれの100グラム当たりの各種の栄養素およびエネルギーそれぞれの含有量(100グラム当たりの含有率)が示される。そのほか、味付け量が示される。これは、味付けに使用する調味料(食塩、醤油、味噌、ソースなど)の100グラム当たりの各種の栄養素およびエネルギーそれぞれの含有量である。
【0149】
対象ユーザ(評価の対象のユーザ)が7~64歳の年齢層に該当する場合は、評価サーバ2および端末装置3において上述の通りの処理が行われる。つまり、
図10~
図14に示す質問に対する回答および上述の式(1)~(35)に基づいて35の小分類それぞれの一日平均量が算出され、一日当たりのエネルギーの摂取量SDおよび上述の22の栄養素それぞれの摂取量TDが上述の式(36)および式(37)によって算出する。
【0150】
ただし、対象ユーザが飲酒できない年齢(日本では、20歳未満)である場合は、質問Q20-1~Q20-3すなわちアルコール類に関する質問をスキップしてもよい。そして、質問Q20-1(飲酒の頻度)に対する回答を「5」(ほとんど飲まない)に設定し、質問Q20-2(1回当たりの量)に対する回答をすべて「0」に設定し、質問Q20-3(カロリーオフ等)に対する回答を任意の選択肢、例えば「3」(どちらでもない)に設定すればよい。
【0151】
一方、対象ユーザが0~6歳児の年齢層に該当する場合は、食事摂取情報提供部304は、
図23~
図28に示す質問を対象ユーザの保護者などへ与えて回答させることによって食事摂取回答データ75を生成し、評価サーバ2へ送信する。すると、評価サーバ2において、対象ユーザの食事摂取情報テーブル504(
図6(D)参照)に、食事摂取回答データ75に基づいて新しいレコードが登録される。
【0152】
ただし、質問Q02-8に対して「2」(いいえ)が回答された場合に、食事摂取情報提供部304は、この質問に関連する残りの質問Q02-9~Q02~14をすべてスキップし、これらの質問のうち質問Q02-9、Q02-12、Q02-14に対する回答をすべて「7」(ほとんど食べず)に設定し、残りの質問に対する回答を任意に(例えば、「1」に)設定すればよい。
【0153】
また、質問Q02-1のように「ほとんど食べず」という選択肢を有する質問に対してこの選択肢が選択された場合は、食事摂取情報提供部304は、この質問に関連する残りの質問をスキップし、これらの質問に対する回答を任意に(例えば、「1」に)設定してもよい。すなわち、例えば質問Q02-1に対して「7」(ほとんど食べず)が回答(選択)された場合は、質問Q02-2およびQ02-3をスキップし、これらの質問に対する回答を任意に設定すればよい。質問Q01-1に対して「4」(飲んでいない)が回答された場合も同様に、質問Q01-2および質問Q01-3に対する回答を任意に設定すればよい。
【0154】
質問Q04-2、Q04-4、Q04-6、およびQ04-08には、写真またはイラストなどの画像が含まれている。食事摂取情報提供部304は、このような質問をユーザに与える際に、
図30のように、含まれる画像を配置した状態で質問画面を表示する。本例では、これら4つの質問にのみ画像を配置しているが、量を回答するための他の質問においても同様に、画像を配置してもよい。
【0155】
図10~
図14に示した質問においても同様に、ほとんど食べない、または、食べない、という旨の選択肢が選択された場合は、この質問に関連する残りの質問をスキップし、これらの質問に対する回答を任意に設定してもよい。また、同様に、適宜、画像を配置してもよい。
【0156】
栄養摂取量算出部283は、このレコードに示される値またはそれに対応するパラメータ値を次の式(38)~(67)に代入することによって、対象ユーザの、
図22に示す30の小分類それぞれの一日平均量であるN1ないしN31を算出する。代入の方法および各値の意味は、(1)~(35)において説明した通りである。なお、「Cs」および「Cs_t」は、定数である。
ごはん量N1=(A02_1・A02_2・A02_3+A02_9・A02_10・A02_11)/7 … (38)
パン量N2=(A02_4・A02_5+A02_12・A02_13)/7 … (39)
麺類量N3=(A02_6・A02_7+A02_14・A02_15)/7 … (40)
芋類量N4=(A04_1・A04_2+A04_7・A04_8・A04_9_A)/7 … (41)
カボチャ量N5=(A04_3・A04_4+A04_7・A04_8・A04_9_B)/7 … (42)
トウモロコシ量N6=(A04_5・A04_6+A04_7・A04_8・A04_9_C)/7 … (43)
納豆・大豆量N7=(A05_1・A05_2)/7 … (44)
豆腐・大豆(全粒以外)加工品量N8=(A06_1・A06_2)/7 … (45)
その他大豆製品量N9=C9 … (46)
野菜類量N10=(A11_1・A11_2)/7 … (47)
果実類量N11=(A12_1・A12_2)/7 … (48)
きのこ・藻類量N12=(A13_1・A13_2)/7 … (49)
赤身魚量N13=(A08_1・A08_2・A08_3_A)/7 … (50)
小魚量N14=(A08_1・A08_2・A08_3_B)/7 … (51)
他の魚介類量N15=(A08_1・A08_2・A08_3_C)/7 … (52)
牛肉類量N16=(A09_1・A09_2・A09_3_A)/7 … (53)
豚肉類量N17=(A09_1・A09_2・A09_3_B)/7 … (54)
鶏肉類量N18=(A09_1・A09_2・A09_3_C)/7 … (55)
魚加工品類量N19=(A10_1・A10_2・A10_3_A)/7 … (56)
肉加工品類量N20=(A10_1・A10_2・A10_3_B)/7 … (57)
卵黄量N21=(A07_1・A07_2_A)/7+C21 … (58)
全卵量N22=(A07_1・A07_2_B)/7+C22 … (59)
牛乳量N23=A15_1 … (60)
ヨーグルト量N24=A15_2 … (61)
チーズ量N25=A15_3 … (62)
油脂類量N26=A14_1・(C26_1・A14_2_A+C26_2・A14_2_B+C26_3・A14_2_C
+C26_4・A14_2_D)/7 … (63)
味付け量N27=C27・A16_1
母乳量N28=A01_1_A・A01_2・A01_3 … (64)
粉ミルク量N29=A01_1_B・A01_2・A01_3 … (65)
乳幼児菓子量N30=(A03_1・A03_2)/7 … (66)
乳幼児飲料量N31=(A17_1・A17_2)/7 … (67)
そして、栄養摂取量算出部283は、対象ユーザの一日当たりのエネルギーの摂取量SDおよび上述の22の栄養素それぞれの摂取量TDを、式(38)~(67)で算出した各小分類の一日平均量N1~N31を次の式(68)および式(69)に代入することによって算出する。
【0157】
【0158】
「Sk」は、上述の通り、平均栄養量テーブル513に示される、k番目の食品群の100グラム当たりのエネルギー量である。「TDj」は、対象ユーザの一日当たりのj番目の栄養素の摂取量である。「Tj_k」は、平均栄養量テーブル513に示される、k番目の食品群の100グラムに含まれるj番目の栄養素の量である。ただし、式(68)および(69)においては、
図29に示す平均栄養量テーブル513が用いられる。
【0159】
式(38)~(67)を式(1)~(35)と比較すると、これら30の小分類が0~6歳児すなわち乳幼児の食事の特性に応じて選出されていることが分かる。
【0160】
例えば、乳幼児は短期間(例えば1日~1週間)に牛乳、ヨーグルト、およびチーズをまんべんなく飲食する機会が多いので、牛乳、ヨーグルト、およびチーズそれぞれを1つの小分類として別個に一日平均量を算出している。同様の理由で、カボチャおよびトウモロコシについてもそれぞれ別個に一日平均量を算出している。
【0161】
また、母乳、乳幼児菓子、および乳幼児飲料などを0~6歳児のための小分類として独自に選出し一日平均量を算出している。一方、ビール、焼酎・酎ハイ、およびワインなどアルコールに属する小分類は選出せず、これらの一日平均量も算出しない。
【0162】
さらに、一部の小分類については、一日平均量を算出する式を0~6歳児の食事の特性に応じて変更している。例えば、魚介類の一日平均量を、青魚・赤身魚、白身魚、およびいか・貝・えび(
図14(A)参照)それぞれを飲食した量ではなく、赤身魚、小魚、および他の魚介類(
図26(H)参照)それぞれを飲食した量に基づいて算出する。ごはん量N1は、10倍粥、7倍粥、…などの種類を考慮して算出する(
図23(E)参照)。
【0163】
65歳以上の年齢層(高齢者層)についても、0~6歳の年齢層および7~64歳の年齢層と同様に、食事に関する質問の項目、食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値、ならびに平均栄養量テーブル513などを用意し、対象ユーザの一日当たりのエネルギーの摂取量および各栄養素の摂取量を算出すればよい。
【0164】
特に、高齢者は、サプリメント(栄養補助食品)を常用していることが多い。そこで、常用しているサプリメントおよび量の質問を設け(
図33(C)参照)、栄養摂取量算出部283は、その質問に対する回答に基づいて、式(36)または式(68)によって算出したエネルギーの摂取量、および、式(37)または式(69)によって算出した各栄養素の摂取量を補正し、出力してもよい。高齢者に限らず、他の年齢層についても同様に補正してもよい。
【0165】
平均栄養量テーブル513(
図17参照)を地域ごとに用意し、ユーザの出身地または居住地の属する地域の食文化に応じて使い分けるようにしてもよい。
【0166】
例えば、
図31に示すテーブルを沖縄県の平均栄養量テーブル513として用意しておく。沖縄県の平均栄養量テーブル513は、35の小分類それぞれのエネルギーおよび上述の22の栄養素の含有率(100グラム当たりの含有量)が示されるが、いずれも、沖縄県の食文化に応じて定められている。例えば、沖縄県では、麺類全体の消費量に対する中華麺の消費量の割合が全国平均の割合よりも高い。また、野菜全体の消費量に対するゴーヤの消費量の割合が全国平均の割合よりも高い。
図31の平均栄養量テーブル513に示される各値は、このような傾向に合わせて定められている。
【0167】
そして、栄養摂取量算出部283は、対象ユーザが沖縄県の在住者である場合に、
図17の平均栄養量テーブル513の代わりに
図31の平均栄養量テーブル513に基づいて、対象ユーザの一日当たりのエネルギーの摂取量SDおよび22の栄養素それぞれの摂取量TDを式(36)および式(37)によって算出する。
【0168】
なお、対象ユーザの地域は、予め、固定情報提供部301(
図5参照)が氏名、性別、および生年月日などとともに対象ユーザに回答させることによって取得し、固定データ71(
図6(A))に示されるようにすればよい。または、対象ユーザの現在地を端末装置3のGPS(Global Positioning System)機能によって取得し、現在地を対象ユーザの地域として用いてもよい。GPS機能によると、旅行先または転居先での食事情報をより容易に反映させることができる。
【0169】
また、食事に関する質問の内容、選択肢、およびパラメータ値を、地域ごとに用意し適用してもよい。例えば、北海道用の質問Q08-3の選択肢として、牛肉、豚肉、鶏肉、および羊肉を用意し、羊肉のエネルギーおよび各栄養素の100グラム当たりの量を含むテーブルを北海道用の平均栄養量テーブル513として用意し、羊肉の一日平均量M38を算出する式として、羊肉類量M38=A07_1・A07_2・A07_3_4、を用意する。
【0170】
そして、評価サーバ2は、エネルギーの摂取量SDおよび各栄養素の摂取量TDを、1~35それぞれの一日平均量および羊肉類量M38ならびに北海道用の平均栄養量テーブル513に基づいて算出する。
【0171】
または、主にうどんの各栄養素の含有率が麺類についての各栄養素の含有率として示されるように香川県の平均栄養量テーブル513を用意し、主に蕎麦の各栄養素の含有率が麺類についての各栄養素の含有率として示されるように長野県の平均栄養量テーブル513を用意してもよい。
【0172】
または、各地域の平均栄養量テーブル513を味付けの濃淡に応じて用意してもよい。例えば、従来から、味付けが濃い地域が幾つか知られている。そこで、味付けの濃い地域の平均栄養量テーブル513として、一般よりも塩分が多い漬物類または調味料・香辛料のテーブルを用意し、味付けの濃い地域の平均栄養量テーブル513として、一般よりも塩分が少ない漬物類または調味料・香辛料のテーブルを用意してもよい。
【0173】
または、和菓子の飲食の頻度が多いことが知られている地域では、和菓子の飲食の頻度が3番目であっても他の地域よりも飲食量が多くなるようにしてもよい。
【0174】
または、平均栄養量テーブル513を基準とした、各項目の重み付けを地域ごとに用意し、ユーザの出身地または居住地の属する地域の重み付けを平均栄養量テーブル513に適用(加算または乗算)して用いてもよい。
【0175】
このように、食事に関する質問の内容、選択肢、もしくはパラメータ値または平均栄養量テーブル513などを全地域で共通に使用するのではなく地域ごとに用意し使用することによって、地域ごとの食文化に応じたユーザの栄養摂取量の評価を行うことができる。特に、地域ごとに平均栄養量テーブル513を使い分けることによって、質問数をあまり増やすことなく、地域により適した栄養摂取量を算出することができる。また、地域に関連のない質問を省くことができるので、質問数を減らすことができる。なお、地域は、日本国内に限られない。世界の国または地域であっても構わない。
【0176】
さらに、地域ごとかつ年齢層ごとに平均栄養量テーブル513を用意し適用してもよい。例えば、沖縄県、鹿児島県、…、北海道それぞれについて0~6歳児の平均栄養量テーブル513、7~16歳の平均栄養量テーブル513、…を用意し、これらの平均栄養量テーブル513の中から対象ユーザの居住地および年齢に応じて平均栄養量テーブル513を適用してもよい。
【0177】
本実施形態では、第三のグループに属する食品群のうち、ごはん、パン、および麺類のそれぞれの一日平均量を第一の小グループの方法で算出し、ビール、焼酎・酎ハイ、ワイン、日本酒、およびウイスキーそれぞれの一日平均量を第三の小グループの方法で算出し、それ以外の食品群それぞれの一日平均量を第二の小グループの方法で算出した。しかし、これらの食品群それぞれの一日平均量を、これらの小グループの方法のうちの任意の方法で算出することができる。
【0178】
身体点数テーブル511または状況点数テーブル512(
図16参照)を年齢区分ごとに用意して使い分けてもよい。または、疾患ごとに用意して使い分けてもよい。または、年齢区分と疾患との組合せごとに用意して使い分けてもよい。
【0179】
端末装置3において、第一の身体基本情報登録画面62A、第二の身体基本情報登録画面62B、質問画面63~67などの画面に、前回またはそれ以前に入力された内容がデフォルトで入力された状態になるようにしてもよい。この場合は、評価サーバ2は、その端末装置3を使用するユーザのテーブルから情報を読み出し、その端末装置3へ送信すればよい。
【0180】
本実施形態では、端末装置3は、
図10~
図14に示した各質問を項目コードの順にユーザへ提示した。つまり、食品群それぞれの飲食する頻度(飲食頻度)の質問を纏めて連続的に提示するのではなく、かつ、食品群それぞれの飲食する一回の量(単位飲食量)の質問を纏めて連続的に提示するのではなく、例えば、芋類を食べる頻度、芋類を食べる一回の量、納豆・大豆を食べる頻度、納豆・大豆を食べる一回の量、…の各質問をこの順に提示したように、断続的に提示した。しかし、食品群それぞれの飲食頻度を纏めて連続的に提示し、その後、食品群それぞれの単位飲食量を纏めて連続的に提示してもよい。
【0181】
例えば、端末装置3は、
図32または
図33に示す質問画面6A、6B、6C、6D、6E、6F、および6Gを順に表示する。質問画面6Bには、芋、納豆・大豆、豆腐、…、果物それぞれの一週間の飲食頻度を尋ねる質問が列挙されている。また、質問画面6Cには、きのこ・海藻、ピーナッツ、揚物、…、アルコールそれぞれの一週間の飲食頻度を尋ねる質問が列挙されている。つまり、端末装置3は、これらの食品群それぞれの一週間すなわち同一の長さの期間における飲食頻度を2つの画面によって纏めてかつ連続的にユーザに尋ねる。
【0182】
同様に、質問画面6Dには、芋、納豆・大豆、豆腐、…、果物それぞれの単位飲食量を尋ねる質問が列挙されている。また、質問画面6Eには、きのこ・海藻、ピーナッツ、揚物、…、アルコールそれぞれの単位飲食量を尋ねる質問が列挙されている。つまり、端末装置3は、単位飲食量を2つの画面によって纏めてかつ連続的にユーザに尋ねる。
【0183】
なお、端末装置3のタッチパネルディスプレイ34の表示面のサイズに応じて、これらの食品群それぞれの飲食頻度の質問をすべて1つの画面で提示してもよいし、3つ以上の画面に分けて提示してもよい。これらの食品群それぞれの単位飲食量の質問も同様に、すべて1つの画面で提示してもよいし、3つ以上の画面に分けて提示してもよい。
【0184】
このように、各食品群の所定の期間の飲食頻度の質問を一律化して纏めて連続的に提示し、その後に、各食品群の単位飲食量の質問を一律化して纏めて連続的に提示することによって、ユーザは、これらの質問に対して従来よりも回答しやすくなることがある。ユーザは、まず、各食品群の飲食頻度にのみ神経を集中させて各食品群の飲食頻度の高低を相対的に調整しつつ、回答することができるからである。そして、その次に、各食品群の単位飲食量にのみ神経を集中させて各食品群の単位飲食量を回答することができるからである。しかも、飲食頻度の質問も一律化して飲食量の質問も一律化しているので、ユーザにとって、これらの質問に対する回答が考えやすい。
【0185】
なお、各食品群の単位飲食量の「多い」、「やや多い」、「普通」、「やや少ない」、および「少ない」がどれくらいの量であるのかを分かりやすくするために、端末装置3は、食品群の名称がタッチされると、それぞれの量をポップアップ表示してもよい。例えば、
図33(D)において「芋類」がタッチされると、芋類の「多い」、「やや多い」、「普通」、「やや少ない」、および「少ない」として、「180グラム」、「150グラム」、「120グラム」、「90グラム」、および「60グラム」をポップアップ表示してもよい。または、それぞれの量を表わす芋類の画像を表示してもよい。
【0186】
一方、芋類を食べる頻度、芋類を食べる一回の量、納豆・大豆を食べる頻度、納豆・大豆を食べる一回の量、…の例のように、1つの食品群ごとに頻度および量を1セットで順に尋ねると、飲食頻度および単位飲食量を同時に考えなければならず、より高い集中力が要求される。しかし、飲食頻度および単位飲食量を同時に考えほうが向いているユーザも、いる。
【0187】
そこで、1つの食品群ごとに頻度および量の質問を1セットで順に提示するモードと、質問画面6B~6Eのように各食品群の飲食頻度の質問を纏めて連続的に提示し各食品群の単位飲食量の質問を纏めて連続的に提示するモードとを用意し、ユーザの好みのモードで質問が提示されるようにしてもよい。
【0188】
ただし、主食の質問については、他の食品群の質問と纏めずに提示したほうが好ましい。主食は、他の食品群とは異なり、毎日必ず食べることが多いので、一週間の飲食頻度を尋ねるよりも一日の飲食頻度を尋ねたほうがよいからである。つまり、飲食頻度の単位期間が異なるからである。
【0189】
そこで、例えば、端末装置3は、他の食品群の質問よりも先に、質問画面6Aを表示することによって主食の飲食頻度および単位飲食量などの質問をユーザに提示する。
【0190】
なお、主食以外の食品群すべてについて、飲食頻度を纏めて連続的に尋ね、単位飲食量を纏めて連続的に尋ねるのではなく、一部の食品群については、例外的に別途、尋ねる。例えば、アルコールの単位飲食量の質問は、質問画面6Fのように、他の食品群の単位飲食量と分けて提示する。
【0191】
また、質問画面6A~6Fによって質問を提示する場合も、
図10~
図14に示した各質問を提示する場合と同様に、選択肢ごとに予めパラメータ値を対応付けておく。そして、評価サーバ2の栄養摂取量算出部283は、選択された選択肢に対応するパラメータ値を所定の式に代入することによって、食品群それぞれの一日平均量を算出する。
【0192】
例えば、
図32(A)の4つの小問のうち1問目「1日に主食を何回とりますか?」の選択肢「3食」、「2食」、「1食」、および「食べない」それぞれに対して
図10(A)の各選択肢と同様にパラメータ値として「21」、「14」、「7」、および「0」を対応付けておく。同様に、2問目の5つの選択肢それぞれに対して
図10(B)の各選択肢と同様にパラメータ値を対応付けておく。3問目および4問目についても、同様である。
【0193】
そして、栄養摂取量算出部283は、これら4つの小問それぞれに対する回答(選択された選択肢)に対応するパラメータ値を式(1)~(3)に代入することによって、ごはん、パン、および麺類それぞれの一日平均量すなわちごはん量M1、パン量M2、および麺類量M3を算出する。
【0194】
または、
図32(B)の9つの小問のうち1問目すなわち芋類の飲食頻度の小問の5つの選択肢それぞれに対して
図10(E)の各選択肢と同様にパラメータ値を対応付けておく。さらに、
図32(D)の9つの小問のうち1問目すなわち芋類の単位飲食量の小問の5つの選択肢「少ない」、「やや少ない」、「普通」、「やや多い」、「多い」それぞれに対して「60」、「90」、「120」、「150」、および「180」をパラメータ値として対応付けておく。
【0195】
そして、栄養摂取量算出部283は、これら2つの小問それぞれに対する回答(選択された選択肢)に対応するパラメータ値を式(5)に代入することによって、芋類の一日平均量すなわち芋類量M5を算出する。
【0196】
他の食品群についても基本的に同様に、それぞれについての小問の各選択肢にパラメータ値を対応付けておき、回答に対応するパラメータ値を、それぞれに対応する式に代入することによって一日平均量を代入する。
【0197】
なお、栄養摂取量算出部283が式(15)~(22)、(25)~(30)を使用するために、端末装置3は、質問画面6Fを表示した後に
図14(A)~(E)に示す質問の画面を表示し、質問画面6Gにおいてアルコールのカロリーオフまたは糖質オフに関する質問(
図14(G)と同様の質問)を提示し、ユーザに回答させてもよい。
【0198】
また、
図32~
図33の各質問において、単位飲食量として、一回の食事における飲食量の代わりに一日における飲食量を回答させてもよいし、一日における飲食量の代わりに一回の食事における飲食量を回答させてもよい。
図10~
図14に示した各質問においても、同様である。いずれの場合も、上述の各式を、回答のパラメータ値または係数を適宜変更して用いればよい。
【0199】
本実施形態では、評価サーバ2がテーブルの管理、健康等の評価、および栄養素等の摂取量の算出を行ったが、端末装置3がスタンドアロンで行えるようにしてもよい。この場合は、評価プログラム2P(
図3参照)に相当するプログラムを端末装置3に用意し実行すればよい。または、評価サーバ2の機能を複数のサーバに分散して実現してもよい。例えば、各テーブルをストレージサーバで管理し、評価および算出の処理を他のサーバで実行してもよい。
【0200】
評価サーバ2に記憶されるすべてのテーブルを医療機関と共有できるようにしてもよい。例えば、医療機関の端末装置から評価サーバ2の各テーブルへアクセスできるようにしてもよい。これにより、ユーザ本人だけでなく医師、管理栄養士、栄養士、看護師、薬剤師、保健師、またはケアマネジャーなどの医療関係者がユーザの情報を参照することができ、疾病の予防および治療ならびに健康の維持を支援し、さらなる健康政策の高度化を図ることができる。
【0201】
本実施形態では、一部の質問が1週間単位の飲食量を回答させるものであったが(
図10(D)など参照)、他の期間を単位としてもよい。例えば、2週間単位であってもよいし、1ヶ月単位であってもよい。
【0202】
本実施形態では、例えば
図14(A)~(C)などに示したように、一部の質問において、各選択肢に対応する食品群を飲食する相対的な頻度の順位を対象ユーザに回答させた。そして、順位の高い選択肢から順にパラメータ値を与えた。
【0203】
しかし、飲食の頻度を他の方法で回答させてもよい。例えば、各選択肢に対応する食品群を飲食する回数の比を回答させてもよい。そして、総和が1になるように、回答した比を調整し、選択肢に対応する食品群のパラメータ値として与えてもよい。例えば、牛肉、豚肉、および鶏肉それぞれの比としてγ1、γ2、およびγ3が回答された場合は、それぞれのパラメータ値としてγ1/(γ1+γ2+γ3)、γ2/(γ1+γ2+γ3)、およびγ3/(γ1+γ2+γ3)を与えればよい。
【0204】
その他、栄養評価支援システム1、評価サーバ2、端末装置3の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、テーブルの構成などは本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0205】
1 栄養評価支援システム(栄養成分摂取量算出システム)
206 食事摂取情報受付部(回答取得手段)
283 栄養摂取量算出部(飲食量算出手段、摂取量算出手段)
284 栄養摂取量データ送信部(出力手段)
286 アドバイスデータ送信部(第二の出力手段)