(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070840
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】屋根カバー、および、屋根の養生方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/24 20060101AFI20220506BHJP
E04G 21/28 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
E04G21/24 A
E04G21/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175082
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020179967
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227722
【氏名又は名称】株式会社日本ネットワークサポート
(71)【出願人】
【識別番号】394014087
【氏名又は名称】近藤化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】福島 武志
(72)【発明者】
【氏名】市原 賢一
(72)【発明者】
【氏名】澁川 英輝
(72)【発明者】
【氏名】萬本 英人
(72)【発明者】
【氏名】原田 俊彦
(57)【要約】
【課題】
屋根の上に円滑に設置できる屋根カバー、および、屋根の養生方法を提供する。
【解決手段】
屋根カバー1は、屋根の一部Pを覆うためのカバー2と、カバー2に取り付けられたチューブ3とを備える。カバー2が屋根の一部Pを覆った状態で、チューブ3は、屋根の一部Pを囲む。チューブ3は、液体を充填することにより、カバー2を押さえる重りになる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の一部を覆うためのカバーと、
前記カバーに取り付けられたチューブであって、前記カバーが前記屋根の一部を覆った状態で前記屋根の一部を囲むチューブであり、液体を充填することにより、前記カバーを押さえる重りになるチューブを備えることを特徴とする、屋根カバー。
【請求項2】
前記チューブの少なくとも一部は、前記カバーの縁に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の屋根カバー。
【請求項3】
前記チューブは、前記チューブに前記液体を注入するための注入口を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の屋根カバー。
【請求項4】
前記チューブは、前記チューブ内の前記液体を排出するための排出口であって、前記注入口から離れた排出口を有することを特徴とする、請求項3に記載の屋根カバー。
【請求項5】
前記カバーは、
前記チューブに囲まれ、前記屋根の一部を覆う第1部分と、
前記第1部分から延び、前記チューブによる囲みの外側に配置される第2部分と
を有することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の屋根カバー。
【請求項6】
前記カバーは、第1部分と、前記第1部分から延びる第2部分とを有し、
前記チューブは、
前記第1部分を囲み、前記第2部分を囲まない第1形態と、
前記第1部分および前記第2部分を囲む第2形態と
に変形可能である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の屋根カバー。
【請求項7】
前記チューブは、
前記チューブが前記第1形態であるとき、および、前記チューブが前記第2形態であるときに前記カバーの前記第1部分を囲む第1チューブと、
前記第1チューブに連続し、前記チューブが前記第1形態であるときに前記第2部分を囲まず、前記チューブが前記第2形態であるときに前記第2部分を囲む第2チューブと
を有する、請求項6に記載の屋根カバー。
【請求項8】
前記チューブが前記第1形態であるときに、前記第2チューブは、前記第1チューブによる囲みの内側に配置される、請求項7に記載の屋根カバー。
【請求項9】
前記屋根カバーは、
前記チューブが前記第1形態であるときに前記第2チューブを前記カバーに対して固定可能であり、前記チューブが前記第1形態から前記第2形態に変形されるときに前記カバーに対する前記第2チューブの固定を解除可能な固定部材を、さらに備える、請求項7または請求項8に記載の屋根カバー。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の屋根カバーを用いて前記屋根の一部を覆う、屋根の養生方法であって、
前記チューブで前記屋根の一部を囲むように前記屋根カバーを前記屋根の上に載置して、前記カバーで前記屋根の一部を覆う載置工程と、
前記載置工程の後、前記チューブに液体を注入する注入工程と
を含むことを特徴とする、屋根の養生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根カバー、および、屋根の養生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根の棟部を覆うためのシートと、シートに設けられる袋状の重り収容部とを備え、南蛮漆喰等の袋またはのし瓦などの施工中の屋根にある材料を重りとして重り収容部に入れることができる、屋根棟専用養生シートが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の屋根棟専用養生シートでは、屋根棟専用養生シートを屋根の棟部に設置する場合、屋根の上で、屋根棟専用養生シートを広げて、重り収容部に重りを入れるか、または、重りが重り収容部に入った状態の重たい屋根棟専用養生シートを、屋根の上に持ち上げて広げる必要がある。
【0005】
そのため、屋根棟専用養生シートを屋根の棟部に円滑に設置することが困難である。
【0006】
本発明の目的は、屋根の上に円滑に設置できる屋根カバー、および、屋根の養生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、屋根の一部を覆うためのカバーと、前記カバーに取り付けられたチューブであって、前記カバーが前記屋根の一部を覆った状態で、前記屋根の一部を囲むチューブであり、液体を充填することにより、前記カバーを押さえる重りになるチューブとを備える、屋根カバーを含む。
【0008】
このような構成によれば、作業者は、チューブに液体が充填されていない状態で、屋根カバーを、屋根の上に容易に持ち上げて、屋根の上で広げることができる。
【0009】
そのため、作業者は、屋根カバーを屋根の上に円滑に載置できる。
【0010】
そして、屋根カバーが屋根の上に載置された状態で、チューブ内に液体を充填することにより、チューブが、カバーを押さえる重りになる。
【0011】
そのため、作業者は、屋根の上でカバーに重りを付ける必要が無い。
【0012】
その結果、屋根カバーを屋根の上に載置し、チューブに液体を充填するという簡単な工程で、屋根カバーを屋根の上に円滑に設置できる。
【0013】
本発明[2]は、前記チューブの少なくとも一部が、前記カバーの縁に配置される、上記[1]の屋根カバーを含む。
【0014】
このような構成によれば、チューブによってカバーの縁を押さえることができる。
【0015】
そのため、風などによってカバーがめくれてしまうことを抑制できる。
【0016】
本発明[3]は、前記チューブが、前記チューブに前記液体を注入するための注入口を有する、上記[1]または[2]の屋根カバーを含む。
【0017】
このような構成によれば、カバーを屋根の上に載置した後で、注入口から、チューブ内に液体を注入できる。
【0018】
本発明[4]は、前記チューブが、前記チューブ内の前記液体を排出するための排出口であって、前記注入口から離れた排出口を有する、上記[3]の屋根カバーを含む。
【0019】
本発明[5]は、前記カバーが、前記チューブに囲まれ、前記屋根の一部を覆う第1部分と、前記第1部分から延び、前記チューブによる囲みの外側に配置される第2部分とを有する、上記[1]から[4]のいずれか1つの屋根カバーを含む。
【0020】
本発明[6]は、前記カバーが、第1部分と、前記第1部分から延びる第2部分とを有し、前記チューブが、前記第1部分を囲み、前記第2部分を囲まない第1形態と、前記第1部分および前記第2部分を囲む第2形態とに変形可能である、上記[1]から上記[4]のいずれか1つの屋根カバーを含む。
【0021】
このような構成によれば、チューブが第1形態である状態で、第1部分によって、屋根の一部を覆いつつ、第2部分によって、屋根の一部とは別の部分を覆うことができる。
【0022】
また、チューブが第2形態である状態で、カバーの全部(すなわち、第1部分および第2部分)を使って、屋根の一部を覆うことができる。
【0023】
そのため、屋根カバーの設置の自由度を向上させることができる。
【0024】
本発明[7]は、前記チューブが、前記チューブが前記第1形態であるとき、および、前記チューブが前記第2形態であるときに前記カバーの前記第1部分を囲む第1チューブと、前記第1チューブに連続し、前記チューブが前記第1形態であるときに前記第2部分を囲まず、前記チューブが前記第2形態であるときに前記第2部分を囲む第2チューブとを有する、上記[6]の屋根カバーを含む。
【0025】
本発明[8]は、前記チューブが前記第1形態であるときに、前記第2チューブが、前記第1チューブによる囲みの内側に配置される、上記[7]の屋根カバーを含む。
【0026】
本発明[9]は、前記屋根カバーが、前記チューブが前記第1形態であるときに前記第2チューブを前記カバーに対して固定可能であり、前記チューブが前記第1形態から前記第2形態に変形されるときに前記カバーに対する前記第2チューブの固定を解除可能な固定部材を、さらに備える、上記[7]または上記[8]の屋根カバーを含む。
【0027】
本発明[10]は、上記[1]から[9]のいずれか1つの屋根カバーを用いて前記屋根の一部を覆う、屋根の養生方法であって、前記チューブで前記屋根の一部を囲むように前記屋根カバーを前記屋根の上に載置して、前記カバーで前記屋根の一部を覆う載置工程と、前記載置工程の後、前記チューブに液体を注入する注入工程とを含む、屋根の養生方法を含む。
【0028】
このような方法によれば、作業者は、チューブに液体が充填されていない状態で、屋根カバーを、屋根の上に容易に持ち上げて、屋根の上で広げることができる(載置工程)。
【0029】
そのため、作業者は、屋根カバーを屋根の上に円滑に載置できる。
【0030】
そして、屋根カバーが屋根の上に載置された状態で、チューブ内に液体を充填することにより、チューブを、カバーを押さえる重りにできる(注入工程)。
【0031】
そのため、作業者は、屋根の上でカバーに重りを付ける必要が無い。
【0032】
その結果、屋根カバーを屋根の上に載置し、チューブに液体を充填するという簡単な工程で、屋根カバーを屋根の上に円滑に設置できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の屋根カバー、および、屋根の養生方法によれば、屋根の上に円滑に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態の屋根カバーを屋根の上に設置した状態を示す。
【
図3】
図3Aは、
図2のA-A断面図であって、チューブ内に液体が充填されている状態を示す。
図3Bは、
図2のA-A断面図であって、チューブ内の液体が排出された状態を示す。
【
図4】
図4は、変形例を説明するための説明図である。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、変形例を説明するための説明図であって、
図5Aは、ベルトループの代わりに、カバーに穴が形成された状態を示し、
図5Bは、
図5Aに示す穴にチューブが通された状態を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態の屋根カバーの平面図であって、チューブが第1形態である状態を示す。
【
図7】
図7は、
図6に示す屋根カバーであって、チューブが第2形態である状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
1.屋根カバー
図1に示すように、第1実施形態の屋根カバー1は、家屋の屋根の一部Pを覆って保護するために用いられる。屋根の一部Pとしては、例えば、屋根の破損箇所、屋根を改修する場合の施工箇所などが挙げられる。本実施形態では、屋根カバー1を切妻屋根に設置する場合を例に挙げて説明する。
【0036】
図2に示すように、屋根カバー1は、カバー2と、チューブ3と、複数のベルトループ4とを備える。
【0037】
(1)カバー
カバー2は、屋根の一部P(
図1参照)を覆う。カバー2は、屋根の一部Pが濡れることを防ぐ。カバー2の材料としては、例えば、樹脂からなるシート、および、樹脂でコーティングされたシートが挙げられる。カバー2の防水性を確保できれば、樹脂は、限定されない。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。樹脂としては、好ましくは、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルが挙げられる。樹脂がポリエチレンまたはポリ塩化ビニルであると、屋根カバー1の原料コストの低減を図ることができる。本実施形態では、カバー2は、黒色のポリエチレンからなる。これにより、カバー2の耐候性を確保できる。カバー2は、折り畳み可能である。
【0038】
本実施形態では、カバー2は、矩形状を有する。詳しくは、カバー2は、4つのコーナーC1、C2、C3、C4と、4つの辺2A、2B、2C、2Dを有する。辺2Aは、コーナーC1とコーナーC2との間に配置される。辺2Aは、第1方向に延びる。辺2Bは、コーナーC2とコーナーC3との間に配置される。辺2Bは、第2方向に延びる。第2方向は、第1方向と直交する。辺2Cは、コーナーC3とコーナーC4との間に配置される。辺2Cは、第1方向に延びる。辺2Dは、コーナーC4とコーナーC1との間に配置される。辺2Dは、第2方向に延びる。
【0039】
第1方向におけるカバー2の寸法は、例えば、1m以上、好ましくは、2m以上、より好ましくは、3m以上である。第1方向におけるカバー2の寸法は、例えば、10m以下、好ましくは、7m以下、より好ましくは、5m以下である。本実施形態では、第1方向におけるカバー2の寸法は、約3.6mである。
【0040】
第2方向におけるカバー2の寸法は、第1方向におけるカバー2の寸法と同じでもよいし、異なっていてもよい。具体的には、第2方向におけるカバー2の寸法は、例えば、1m以上、好ましくは、2m以上、より好ましくは、3m以上、より好ましくは、5m以上である。第2方向におけるカバー2の寸法は、例えば、10m以下、好ましくは、7m以下である。本実施形態では、第2方向におけるカバー2の寸法は、約5.4mである。
【0041】
なお、カバー2の色、形状およびサイズは、限定されない。
【0042】
(2)チューブ
チューブ3は、カバー2に取り付けられている。本実施形態では、屋根カバー1は、1つのチューブ3を有する。チューブ3が1つであれば、1つの注入口331(後述)から液体を注入し、1つの排出口341(後述)から液体を排出することができる。チューブ3は、樹脂からなるフレキシブルホースである。チューブ3は、所定の形状に屈曲された状態で、カバー2に取り付けられている。所定の形状とは、カバー2が屋根の一部Pを覆った状態で、屋根の一部Pを囲むことができる形状である。これにより、カバー2が屋根の一部Pを覆った状態で、チューブ3は、屋根の一部Pを囲む。本実施形態では、チューブ3は、一端部E1と他端部E2とを有する。チューブ3の一端部E1は、カバー2の辺2Dの途中に位置する。チューブ3の他端部E2は、チューブ3の一端部E1から離れて位置する。本実施形態では、チューブ3の一端部E1と他端部E2との間に、隙間がある。すなわち、「チューブ3が屋根の一部Pを囲む」とは、チューブ3が屋根の一部Pを完全に囲むことに限定されない。屋根に対してカバー2を押さえることができれば、囲みに隙間があってもよい。チューブ3の少なくとも一部は、カバー2の縁に配置される。
【0043】
詳しくは、チューブ3は、一端部E1と他端部E2との間において、複数の直線部分31A~31Eと、複数の屈曲部分32A~32Dを有する。
【0044】
直線部分31Aは、カバー2の辺2Dに沿って延びる。直線部分31Aは、カバー2の縁に配置される。直線部分31Aは、チューブ3の一端部E1と、カバー2のコーナーC1との間に配置される。
【0045】
直線部分31Bは、カバー2の辺2Aに沿って延びる。直線部分31Bは、カバー2の縁に配置される。直線部分31Bは、カバー2のコーナーC1と、カバー2のコーナーC2との間に配置される。
【0046】
直線部分31Cは、カバー2の辺2Bに沿って延びる。直線部分31Cは、カバー2の縁に配置される。直線部分31Cは、カバー2のコーナーC2と、カバー2のコーナーC3との間に配置される。
【0047】
直線部分31Dは、カバー2の辺2Cに沿って延びる。直線部分31Dは、カバー2の縁に配置される。直線部分31Dは、カバー2のコーナーC3と、カバー2のコーナーC4との間に配置される。
【0048】
直線部分31Eは、カバー2の辺2Dに沿って延びる。直線部分31Eは、カバー2の縁に配置される。直線部分31Eは、カバー2のコーナーC4と、チューブ3の一端部E1との間に配置される。
【0049】
屈曲部分32Aは、カバー2のコーナーC1に配置される。屈曲部分32Aは、直線部分31Aと直線部分31Bとの間に配置される。屈曲部分32Aは、直線部分31Aと直線部分31Bとを接続する。
【0050】
屈曲部分32Bは、カバー2のコーナーC2に配置される。屈曲部分32Bは、直線部分31Bと直線部分31Cとの間に配置される。屈曲部分32Bは、直線部分31Bと直線部分31Cとを接続する。
【0051】
屈曲部分32Cは、カバー2のコーナーC3に配置される。屈曲部分32Cは、直線部分31Cと直線部分31Dとの間に配置される。屈曲部分32Cは、直線部分31Cと直線部分31Dとを接続する。
【0052】
屈曲部分32Dは、カバー2のコーナーC4に配置される。屈曲部分32Dは、直線部分31Dと直線部分31Eとの間に配置される。屈曲部分32Dは、直線部分31Dと直線部分31Eとを接続する。
【0053】
チューブ3は、液体を充填することにより、屋根に対してカバー2を押さえる重りになる。液体は、例えば、水道水、工業用水などの水である。詳しくは、チューブ3は、ジョイント33と、バルブ34とを有する。
【0054】
ジョイント33は、チューブ3の一端部E1に取り付けられる。ジョイント33は、チューブ3から取り外し可能であってもよい。ジョイント33は、例えば、水栓に接続されたホースのコネクタと接続可能である。ジョイント33は、逆流防止弁を有していてもよい。ジョイント33は、注入口331を有する。言い換えると、チューブ3は、注入口331を有する。注入口331は、チューブ3に液体を注入するための口である。例えば、水栓に接続されたホースのコネクタにジョイント33が接続された場合、注入口331は、水栓に接続されたホースと通じる。水栓からの水は、ホースおよび注入口331を通って、チューブ3内に入る。
図3Aに示すように、チューブ3内に液体が充填された状態で、チューブ3は、円筒形状を有する。
【0055】
図2に示すように、バルブ34は、チューブ3の他端部E2に取り付けられる。バルブ34は、チューブ3から取り外し可能であってもよい。バルブ34は、排出口341を有する。言い換えると、チューブ3は、排出口341を有する。排出口341は、チューブ3内の液体を排出するための口である。バルブ34が開いた状態で、チューブ3内の液体は、排出口341を通って排出される。排出口341は、注入口331から離れている。
図3Bに示すように、チューブ3内の液体が排出された状態で、チューブ3は、扁平形状を有する。チューブ3内の液体が排出された状態で、チューブ3の径方向両端部E11、E12は、円弧形状を有する。
【0056】
(3)ベルトループ
図2に示すように、複数のベルトループ4は、カシメなどの方法により、カバー2の表面に固定されている。チューブ3は、複数のベルトループ4に通されることにより、カバー2に取り付けられる。複数のベルトループ4は、チューブ3が延びる方向において、互いに所定の間隔を隔てて並ぶ。
【0057】
2.屋根の養生方法
次に、屋根カバー1を用いて屋根の一部Pを覆う方法(屋根の養生方法)について説明する。
【0058】
屋根の養生方法は、載置工程と、注入工程とを含む。
【0059】
図1に示すように、作業者は、チューブ3で屋根の一部Pを囲むように、屋根カバー1を屋根の上に載置して、カバー2で屋根の一部Pを覆う(載置工程)。このとき、チューブ3には、液体は充填されていない。そのため、作業者は、屋根カバー1を、屋根の上に容易に持ち上げることができる。また、作業者は、屋根カバー1を、四つ折りに折り畳んだ状態、または、ロール状に巻いた状態で、屋根カバー1を屋根の上に持ち上げて、屋根の上で、屋根カバー1を広げることができる。そのため、作業者は、屋根カバー1を屋根の上に円滑に載置できる。
【0060】
次に、注入工程では、作業者は、例えば、地上の水栓に接続されたホースのコネクタをジョイント33(
図2参照)に接続し、チューブ3に水を注入する。つまり、作業者は、載置工程の後、チューブ3に液体を注入する(注入工程)。チューブ3内に水が充填されることにより、チューブ3は、屋根に対してカバー2を押さえる重りになる。これにより、作業者は、屋根の上でカバー2に重りを付ける必要が無い。そのため、屋根カバー1を屋根の上に載置し、チューブ3に水を充填するという簡単な工程で、屋根カバー1を屋根の上に円滑に設置できる。
【0061】
3.作用効果
(1)
図1に示すように、屋根カバー1は、チューブ3を有する。チューブ3は、カバー2が屋根の一部Pを覆った状態で、屋根の一部Pを囲む。チューブ3は、液体を充填することにより、カバー2を押さえる重りになる。
【0062】
そのため、屋根カバー1および屋根の養生方法によれば、作業者は、チューブ3に液体が充填されていない状態で、屋根カバー1を、屋根の上に容易に持ち上げて、屋根の上で広げることができる。
【0063】
そのため、作業者は、屋根カバー1を屋根の上に円滑に載置できる。
【0064】
そして、屋根カバー1が屋根の上に載置された状態で、チューブ3内に液体を充填することにより、チューブ3が、カバー2を押さえる重りになる。
【0065】
そのため、作業者は、屋根の上でカバー2に重りを付ける必要が無い。
【0066】
その結果、屋根カバー1を屋根の上に載置し、チューブ3に液体を充填するという簡単な工程で、屋根カバー1を屋根の上に円滑に設置できる。
【0067】
(2)屋根カバー1によれば、
図2に示すように、チューブ3の少なくとも一部が、カバー2の縁に配置される。
【0068】
そのため、チューブ3によってカバー2の縁を押さえることができる。
【0069】
その結果、風などによってカバー2がめくれてしまうことを抑制できる。
【0070】
(3)屋根カバー1によれば、
図2に示すように、チューブ3が、チューブ3に液体を注入するための注入口331を有する。
【0071】
そのため、カバー2を屋根の上に載置した後で、注入口331から、チューブ3内に液体を注入できる。
【0072】
4.変形例
(1)
図4に示すように、屋根カバー10は、家屋の下屋根に設置されてもよい。屋根カバー10のカバー11は、チューブ3に囲まれ、屋根の一部Pを覆う第1部分11Aと、第1部分11Aから延びる第2部分11Bとを備えてもよい。第1部分11Aは、チューブ3による囲みの内側に配置される。第2部分11Bは、チューブ3による囲みの外側に配置される。第2部分11Bは、例えば、屋根の一部Pよりも上に配置される壁Wを覆う。これにより、壁Wに雨などがかかることを抑制できる。その結果、壁Wにかかった雨などが壁Wを伝ってカバー11の下に浸みこんで屋根の一部Pが濡れてしまうことを、抑制できる。
【0073】
(2)チューブ3は、バルブ34および排出口341を有さなくてもよい。言い換えると、チューブ3の他端部E2は、閉じていてもよい。この場合、ジョイント33は、逆流防止弁を有さず、チューブ3内の液体は、ジョイント33の注入口331から排出される。
【0074】
(3)屋根カバー1は、ベルトループ4を有さなくてもよい。例えば、チューブ3は、カバー2に接着されていてもよい。また、
図5Aおよび
図5Bに示すように、チューブ3は、カバー2に形成される1対の穴H1,H2に通されてもよい。穴H1,H2のそれぞれは、例えば、カバー2に切込みを入れることにより形成される。穴H1と穴H2とは、チューブ3が延びる方向において、互いに間隔を隔てて並ぶ。
【0075】
5.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0076】
図6に示すように、第2実施形態では、屋根カバー20は、カバー2と、チューブ3と、複数のベルトループ4と、複数の固定部材5とを備える。第2実施形態では、カバー2は、第1部分21と、第2部分22とを有する。第2部分22は、第1部分21から延びる。
【0077】
5.1 チューブ
図6および
図7に示すように、第2実施形態では、チューブ3は、第1形態(
図6参照)と、第2形態(
図7参照)とに変形可能である。
【0078】
図6に示すように、チューブ3が第1形態である場合、チューブ3は、カバー2の第1部分21を囲み、カバー2の第2部分22を囲まない。チューブ3が第1形態である場合、第2部分22は、チューブ3による囲みの外側に配置される。
【0079】
図7に示すように、チューブ3が第2形態である場合、チューブ3は、カバー2の第1部分21、および、カバー2の第2部分22を囲む。
【0080】
詳しくは、チューブ3は、第1チューブ301と、第2チューブ302とを有する。
【0081】
5.1.1 第1チューブ
図6および
図7に示すように、チューブ3が第1形態であるとき、および、チューブ3が第2形態であるときに、第1チューブ301は、カバー2の第1部分21を囲む。詳しくは、
図6に示すように、第1チューブ301は、複数の直線部分301A~301Eと、複数の屈曲部分301F~301Iとを有する。第1チューブ301は、複数のベルトループ4に通されることにより、カバー2に取り付けられる。
【0082】
直線部分301Aは、カバー2の辺2Dに沿って延びる。直線部分301Aは、カバー2の縁に配置される。直線部分301Aは、チューブ3の一端部E1と、カバー2のコーナーC1との間に配置される。
【0083】
直線部分301Bは、カバー2の辺2Aに沿って延びる。直線部分301Bは、カバー2の縁に配置される。直線部分301Bは、カバー2のコーナーC1と、カバー2のコーナーC2との間に配置される。
【0084】
直線部分301Cは、カバー2の辺2Bに沿って延びる。直線部分301Cは、カバー2の縁に配置される。直線部分301Cは、カバー2のコーナーC2と、カバー2のコーナーC3との間に配置される。
【0085】
直線部分301Dは、カバー2の第1部分21と、カバー2の第2部分22との境界に配置される。直線部分301Dは、カバー2の第1部分21と、カバー2の第2部分22との境界線に沿って延びる。直線部分301Dは、カバー2の辺2Bと、カバー2の辺2Dとの間に配置される。
【0086】
直線部分301Eは、カバー2の辺2Dに沿って延びる。直線部分301Eは、カバー2の縁に配置される。直線部分301Eは、カバー2のコーナーC4と、チューブ3の一端部E1との間に配置される。
【0087】
屈曲部分301Fは、カバー2のコーナーC1に配置される。屈曲部分301Fは、直線部分301Aと直線部分301Bとの間に配置される。屈曲部分301Fは、直線部分301Aと直線部分301Bとを接続する。
【0088】
屈曲部分301Gは、カバー2のコーナーC2に配置される。屈曲部分301Gは、直線部分301Bと直線部分301Cとの間に配置される。屈曲部分301Gは、直線部分301Bと直線部分301Cとを接続する。
【0089】
屈曲部分301Hは、カバー2のコーナーC2と、カバー2のコーナーC3との間に配置される。屈曲部分301Hは、直線部分301Cと直線部分301Dとの間に配置される。屈曲部分301Hは、直線部分301Cと直線部分301Dとを接続する。
【0090】
屈曲部分301Iは、カバー2のコーナーC1と、カバー2のコーナーC4との間に配置される。屈曲部分301Iは、直線部分301Dと直線部分301Eとの間に配置される。屈曲部分301Iは、直線部分301Dと直線部分301Eとを接続する。
【0091】
5.1.2 第2チューブ
第2チューブ302は、第1チューブ301に連続する。チューブ3が第1形態であるときに、第2チューブ302の全部は、第1チューブ301による囲みの内側に配置される。チューブ3が第1形態であるとき、第2チューブ302は、例えば、渦巻状に巻かれて、第1チューブ301による囲みの内側に配置される。チューブ3が第1形態であるときに、第2チューブ302は、第2部分22を囲まない。
【0092】
図7に示すように、チューブ3が第2形態であるときに、第2チューブ302の一部は、第1チューブ301による囲みの外側に配置される。チューブ3が第2形態であるときに、第2チューブ302は、第2部分22を囲む。
【0093】
5.2 固定部材
図6に示すように、複数の固定部材5は、第1チューブ301による囲みの内側に配置される。複数の固定部材5は、チューブ3が第1形態であるときに、第2チューブ302をカバー2に対して固定可能である。固定部材5の材料および形態は、限定されない。本実施形態では、複数の固定部材5のそれぞれは、2つのベルト5A,5Bを有する。2つのベルト5A,5Bのそれぞれは、面ファスナーを有する。ベルト5Aは、面ファスナーによってベルト5Bと接続され、ベルト5Bとともにベルトループを形成する。第2チューブ302は、2つのベルト5A,5Bからなるベルトループに通されることにより、カバー2に固定される。
【0094】
図7に示すように、固定部材5は、チューブ3が第1形態から第2形態に変形されるときに、カバー2に対する第2チューブ302の固定を解除可能である。本実施形態では、ベルト5Aの面ファスナーをベルト5Bの面ファスナーから剥がすことにより、ベルト5Aとベルト5Bとの接続を解除できる。ベルト5Aとベルト5Bとの接続が解除されることにより、第2チューブ302は、固定部材5から取り外し可能になる。これにより、固定部材5は、カバー2に対する第2チューブ302の固定を解除可能である。
【0095】
5.3 屋根の養生方法
第2実施形態では、チューブ3が第1形態である状態(
図6参照)で、
図4に示すように、第1部分21によって、屋根の一部Pを覆いつつ、第2部分22によって、例えば、屋根の一部Pよりも上に配置される壁Wを覆うことができる。
【0096】
また、チューブ3が第2形態である状態(
図7参照)で、カバー2の全部(すなわち、第1部分21および第2部分22)を使って、
図1に示すように、屋根の一部Pを覆うことができる。
【0097】
第2実施形態でも、チューブ3で屋根の一部Pを囲むように屋根カバー20を屋根の上に載置して、カバー2で屋根の一部Pを覆い(載置工程)、その後、チューブ3に液体を注入する(注入工程)。
【0098】
5.4 第2実施形態の作用効果
(1)第2実施形態の屋根カバー20によれば、チューブ3が第1形態である状態(
図6参照)で、
図4に示すように、第1部分21によって、屋根の一部Pを覆いつつ、第2部分22によって、屋根の一部Pとは別の部分(例えば、屋根の一部Pよりも上に配置される壁W)を覆うことができる。
【0099】
また、チューブ3が第2形態である状態(
図7参照)で、カバー2の全部(すなわち、第1部分21および第2部分22)を使って、
図1に示すように、屋根の一部Pを覆うことができる。
【0100】
そのため、屋根カバー20の設置の自由度を向上させることができる。
【0101】
(2)第2実施形態でも、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 屋根カバー
2 カバー
3 チューブ
5 固定部材
10 屋根カバー
11 カバー
11A 第1部分
11B 第2部分
20 屋根カバー
21 第1部分
22 第2部分
301 第1チューブ
302 第2チューブ
331 注入口
341 排出口
P 屋根の一部