(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071008
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】PDE4抑制活性を有する化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 303/40 20060101AFI20220506BHJP
C07C 311/08 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
C07C303/40 CSP
C07C311/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025240
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2020173216の分割
【原出願日】2014-10-17
(31)【優先権主張番号】13189784.5
(32)【優先日】2013-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515140484
【氏名又は名称】チエシ ファルマスティスィ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ファルチ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ルテロ,エミリオ
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ,エマヌエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ピヴェッティ,ファウスト
(72)【発明者】
【氏名】ブッソラーティ,ロッコ
(72)【発明者】
【氏名】マリアーニ,エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッキ,オルソラ
(72)【発明者】
【氏名】バッペルト,エアハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントリッチ,カテリーナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ホスホジエステラーゼ(PDE4)抑制活性が付与された化合物を合成する際の中間体の製造方法を提供する。
【解決手段】下式(III)
(式中、Xは-NHSO
2Meである)の製造方法であって、対応する誘導体(ここでは、Xは-NO
2である)をアミノ誘導体に還元すること、及びメタンスルホニルハライドを用いた後続反応を含む、製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)の化合物
【化1】
(式中、Xは-NHSO
2Meである)の製造方法であって、
対応する誘導体(ここでは、Xは-NO
2である)をアミノ誘導体に還元すること、及びメタンスルホニルハライドを用いた後続反応を含む、製造方法。
【請求項2】
式(III)の化合物
【化2】
(式中、Zは-OHである)の製造方法であって、
対応するエステル誘導体の加水分解反応を含む、製造方法。
【請求項3】
式(III)の化合物(式中、Zはメトキシである)の対応するエステル誘導体の加水分解反応は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムから選択される塩基;及び水単独又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン及びそれらの混合物と混合した水から選択される溶媒の存在下で達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
遊離酸へのエステル誘導体の加水分解反応(ここでは、Zは-OHである)は、NaOHを用いて、THF及び水の中で行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(III)の化合物
【化3】
(式中、Zは、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C
1~C
6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシである)の製造方法であって、
エステル化反応又はエステル転移反応法に従って、又は3-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸の関連するエステルから出発して、達成される、製造方法。
【請求項6】
式(III)の中間化合物
【化4】
(式中、Xは-NHSO
2Me及び-NO
2から選択され、Zは、-OH、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C
1~C
6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシから選択される)の製造方法。
【請求項7】
Xは-NHSO2Meである、請求項6に記載の式(III)の中間化合物。
【請求項8】
Xは-NHSO2Meであり、Zは-OHである、請求項6又は7に記載の式(III)の中間化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の化合物の溶媒和化合物及び結晶形態に関する。これらの合成生成物は、例えば呼吸器疾患の治療における医薬的用途での使用に適する。
【背景技術】
【0002】
本発明により得られる、化学名(S)-3-シクロプロピルメトキシ-4-メタンスルホニルアミノ-安息香酸1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-(3,5-ジクロロ-1-オキシ-ピリジン-4-イル)-エチルエステル及び(S)-3-シクロプロピルメトキシ-4-メタンスルホニルアミノ-安息香酸1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-(3,5-ジクロロ-ピリジン-4-イル)-エチルエステルを有する、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)
【0003】
【化1】
は、呼吸障害、例えば慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、すべてのタイプの喘息及びアレルギー性病態、例えばアトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎を含めた幅広い状態に対する、予防目的又は症状緩和のために使用することができる。
【0004】
前記化合物は、優れたLPDE4選択性を有する強力なPDE4阻害剤として、特許文献1に開示された。
【0005】
式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)及びその類似体の製造方法も、特許文献1に開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0008】
特に、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1であり、以下の式においてアステリスクで印を付けたキラル炭素原子は(S)配置を示す)の製造方法に関する。
【0009】
【0010】
PDE4阻害剤としてのその作用故に、前記化合物は治療的に有用であり、したがって、前記化合物を含む関連医薬組成物は、COPD(慢性気管支炎及び気腫)、喘息、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎などの吸器疾患;アレルギー性病態、炎症性関節炎;クローン病;心筋及び脳の再灌流傷害;嚢胞性線維症、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、角化症、リウマチ性脊椎炎、骨関節症、発熱(pyresis)、糖尿病、じん肺症、毒性及びアレルギー性の接触湿疹;全身性エリテマトーデス、濾胞性及び広領域の膿皮症、内因性及び外因性の座瘡、酒土性座瘡、ベーチェット病(Beghet’s disease)、アナフィラクトイド紫斑病性腎炎、炎症性腸疾患、白血病、多発性硬化症、胃腸疾患、自己免疫疾患;神経系及び精神系障害;卒中及び脊髄損傷の予防及び治療において使用することができる。
【0011】
本発明は、上記で引用した先行技術文献に開示されている製造方法に代わる、式(I)の化合物の特に効率的な製造方法に関する。
【0012】
この方法は、プロセスパラメーターの制御及び再現性が改善され、合成ステップ及び中間体分離の数が減り、原子効率がより高く、溶媒量が低減し、生成物形成の収率がより高く、及び不純物が低減した、より簡単且つより安全な手順を提供するので、既知の方法と比較して特に有利である。
【0013】
この方法はまた、工業規模の製造に特に適している。
【0014】
以降形態Aと称される、高レベルの化学的純度及び結晶化度並びに医薬用途に関する良好な操作性を特徴とする式(I)の化合物(式中、nは1である)の熱力学的に安定な結晶形態を、本発明の方法に従って得ることができる。
【0015】
以下の詳細なセクションのように、X線粉末回折(XRPD)パターンにおけるその特徴的なピーク及び溶融区間を持つ本発明の結晶形態Aを、適切な溶媒及び操作条件を使用することによる結晶化を介して、選択的に精製することができる。
【0016】
したがって、本発明は、選択された条件下での結晶化又は再結晶化を含む、前記形態Aの製造方法にも関する。
【0017】
予防的又は治療的目的に前記結晶形態Aを使用することができるので、本発明は、さらに、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性又は閉塞性の呼吸器疾患の予防及び/又は治療に関する医薬の製造における、式(I)の化合物(式中、nは1である)の結晶形態Aの使用を含む。
【0018】
さらに他の態様では、本発明は、有効量の結晶形態Aの吸入投与を含む、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性又は閉塞性の呼吸器疾患を予防及び/又は治療する方法を含む。
【0019】
式(I)の化合物(式中、nは1である)の溶媒和化合物も、適切な溶媒を用いて操作することにより得られる。
【0020】
したがって、本発明は前記溶媒和化合物の製造方法にも関する。
【0021】
特に、式(I)の化合物の溶媒和化合物はエタノールから得られ、X線粉末回折(XRPD)パターンにおけるその特徴的なピーク及びその特徴的な溶融区間に基づいて識別可能である。
【0022】
定義
別段定義されない限りは、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、それが、本主題が属する当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0023】
用語「高レベルの化学的純度」は、薄層クロマトグラフィー(TLC)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの標準的分析方法によって決定される場合に、容易に検出することができる不純物の総量が、5w/w%未満、有利には2.5w/w%未満、さらに1.0w/w%未満、より好ましくはさらに0.5w/w%未満である結晶形態を指す。
【0024】
用語「高レベルの結晶化度」は、X線粉末回折又はマイクロカロリメトリーなどの標準的分析方法によって決定される場合に、結晶化度のパーセンテージが90w/w%以上、好ましくは95w/w%以上である結晶形態を指す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】式(I)の化合物(式中、nは1である)の、エタノールからの溶媒和化合物の示差走査熱量測定(DSC)の熱曲線を示す図である。
【
図2】式(I)の化合物(式中、nは1である)の、エタノールからの溶媒和化合物のラマンスペクトルを示す図である。
【
図3】式(I)の化合物(式中、nは1である)の、エタノールからの溶媒和化合物のXRPDパターンを示す図である。
【
図4】酢酸エチル/n-ヘプタンからの結晶形態Aの示差走査熱量測定(DSC)の熱曲線を示す図である。
【
図5】酢酸エチル/n-ヘプタンからの結晶形態Aのラマンスペクトルを示す図である。
【
図6】X線回折管KFL Cu 2k型を有するBruker D8 Advanceで記録した、酢酸エチル/n-ヘプタンからの結晶形態AのXRPDパターンを示す図である。
【
図7】酢酸イソプロピルからの結晶形態AのXRPDパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、式(I)の化合物
【0027】
【化3】
(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、
a)式(II)の化合物
【0028】
【化4】
(式中、nは0又は1である)を、式(III)の化合物
【0029】
【化5】
(式中、Xは-NHSO
2Me及び-NO
2から選択され、Zは、-OH、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C
1~C
6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシから選択される)と反応させて、式(I)の化合物(式中、nは0若しくは1である)又は式(IV)の化合物
【0030】
【化6】
(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、並びにステップ(a)において式(IV)の化合物が得られる場合、
b)それを対応する式(V)の化合物
【0031】
【化7】
(式中、nは0又は1である)に還元し、これをメタンスルホニルハライドと反応させて、式(I)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ることを含み、
ここでは、ステップ(a)の式(II)の化合物が、代替ステップ(c1)又は(c2)又は(c3)のうちのいずれか1つに従って、
c1)式(VI)の化合物
【0032】
【化8】
(式中、nは0若しくは1である)を酸化して、式(VII)の化合物
【0033】
【化9】
(式中、nは0若しくは1である)を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、又は
c2)式(VI)の化合物(式中、nは0若しくは1である)をクロマトグラフィーによって分離して、式(II)の化合物及び式(VIII)の化合物
【0034】
【化10】
(式中、nは上で報告した意味を有する)の両方を得ること、
及び任意選択で、ステップ(c2)で得られた式(VIII)の化合物を対応する式(VII)の化合物に酸化し、続いて、式(VI)の化合物(式中、nは0若しくは1である)に還元し、次のクロマトグラフィー分離方法で再処理すること、又は
c3)式B”の中間体
【0035】
【0036】
【化12】
(式中、Rは直鎖状若しくは分枝状の(C
1~C
6)アルキル基若しくはアリールアルキル基であり、nは上で報告した意味を有する)と反応させて、直接的に式(VII)の化合物を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、
によって得られ、
ここでは、nが1である、式(I)、(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)のすべての化合物が、nが0である対応する化合物を酸化することによって得ることができる製造方法を提供する。
【0037】
本明細書では、別段の定めがない限り、式(VI)において記号
【0038】
【化13】
を有する結合は、2つの鏡像異性体(R)及び(S)のラセミ混合物を示す。
【0039】
式(I)及び(II)において記号
【0040】
【化14】
を有する結合は、鏡像異性体(S)を示し、一方、式(VIII)において記号
【0041】
【化15】
を有する結合は、鏡像異性体(R)を示す。
【0042】
直鎖状又は分枝状の(C1~C6)アルキル基という用語は、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどを表す。
【0043】
(C1~C6)アリールアルキルという用語は、さらにアリールによって置換された(C1~C6)アルキル基を指す。
【0044】
直鎖状又は分枝状の(C1~C6)アルコキシ基という用語は、アルキルが、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブトキシ、isoブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシなど、好ましくはメトキシを表す、任意のアルキルオキシ鎖を意味する。
【0045】
アリールオキシ基という用語は、酸素原子を介して残りの分子に連結した任意のアリール基、すなわちアリール-O-基を意味する。この点で、別段の定めがない限り、アリールは、例えば、N、NH、O又はSから選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子基を有する5又は6員環を含む、芳香族炭素環又は芳香族複素環を表す。フェノキシ基が好ましい。
【0046】
アリールアルコキシという用語は、上記で定義されたような、1つ又は複数のアリール基によって置換された、任意の(C1~C6)アルコキシを意味する。ベンジルオキシが好ましい。
【0047】
アリールアルキルカルボニルオキシという用語は、上記で定義されたような、1つ又は複数のアリール基によって置換された、任意の(C1~C6)アルキルカルボニルオキシ、好ましくはベンジルカルボニルオキシを意味する。
【0048】
ハライドという用語は、本発明の方法のステップ(b)におけるメタンスルホニルハライドに言及する場合、クロリド及びブロマイドを意味する。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、ステップ(a)において、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を、式(III)の化合物(XはNHSO2Meであり、Zは上で報告した意味を有する)と反応させることを含む製造方法を提供する。
【0050】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、ステップ(a)において、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を、式(III)の化合物(Xは-NO2であり、Zは上で報告した意味を有する)と反応させることを含む製造方法を提供する。
【0051】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、式(VI)の化合物を式(VII)の化合物に酸化すること、及び式(VII)の化合物を、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)にエナンチオ選択的に還元することによって、ステップ(c1)により得られた式(II)の化合物を反応させることを含む製造方法を提供する。
【0052】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、式(VI)の化合物をクロマトグラフィーによって分離して、式(II)の化合物及び式(VIII)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)の両方を得ることによって、ステップ(c2)により得られた式(II)の化合物を反応させることを含む、製造方法を提供する。
【0053】
さらにより好ましくは、このクロマトグラフィーによる分離の実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、式(VI)の化合物をクロマトグラフィーによって分離して、式(II)の化合物及び式(VIII)の化合物の両方を得ること(式中、nは上で報告した意味を有する)によって、及び次いで、式(VIII)の化合物を対応する式(VII)の化合物に酸化して、続いて、さらなるクロマトグラフィー分離で再利用され得る式(VI)の化合物に還元することによって、ステップ(c2)により得られた式(II)の化合物を反応させることを含む製造方法を提供する。
【0054】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の製造方法であって、ステップ(c3)により得られた式(II)の化合物を反応させること、式B”の中間体
【0055】
【0056】
【化17】
と反応させて、直接的に式(VII)の化合物を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(II)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ることを含む製造方法を提供する。
【0057】
さらなる好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、式(I)の化合物(式中、nは0である)を酸化することを含む製造方法を提供する
【0058】
あるいは、本発明は、式(II)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(II)の化合物が、対応する式(II)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0059】
あるいは、本発明は、式(IV)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(IV)の化合物が、対応する式(IV)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0060】
あるいは、本発明は、式(V)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(V)の化合物が、対応する式(V)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0061】
あるいは、本発明は、式(VI)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(VI)の化合物が、対応する式(VI)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0062】
あるいは、本発明は、式(VII)の化合物(式中nは1である)から出発することによる式(I)の化合物(式中、nは1である)の製造方法であって、この式(VII)の化合物が、対応する式(VII)の化合物(式中、nは0である)の酸化によって得られる、製造方法を提供する。
【0063】
本発明のステップ(a)によれば、この方法は、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることによる、式(I)又は式(IV)の化合物の製造を提供する(式中、n、X及びZは上で報告した意味を有する)。
【0064】
より詳細には、式(III)の化合物(式中、Zは-OHである)が使用される場合、反応は、DCC、CDI、HATU、HBTU、TBTU、DMTMM、COMU、EDCIから選択されるカップリング試薬の存在下で、HOBtを用いて又は用いずに、TEA、DIPEA、NMM、DBU、DBO、ピリジン及びDMAPのような有機塩基を用いて又は用いずに、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物から選択される溶媒中で行われる。
【0065】
式(III)の化合物が塩化アシル若しくは臭化アシル又は活性化エステル及び混合無水物である場合、反応は、カップリング試薬を用いずに、上記のように行われる。
【0066】
好ましくは、式(III)の化合物(式中、Xは-NHSO2Meである)との上記の反応は、CDI及びDBUを用いて、酢酸エチル中で行われる。
【0067】
別の好ましい実施形態では、式(IV)の化合物を生じさせるために、反応が式(III)の化合物(式中、Xは-NO2である)と行われる場合、上記の反応は、EDCI及びDMAPを用いて、DMF中で達成される。
【0068】
方法のステップ(b)によれば、ステップ(a)の式(III)の化合物(式中、Xは-NO2である)から出発する場合に任意選択で行うために、最初に、式(IV)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を対応する式(V)のアミノ誘導体に還元し、次いで、メタンスルホニルハライドと適切に反応させて、式(I)の化合物を得る。
【0069】
好ましくは、還元ステップは、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム、ギ酸、鉄、二塩化スズ、スズ、塩化ニッケル、ニッケル、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム及びハイドロサルファイトナトリウムから選択される還元剤を用いて行われる。
【0070】
さらに好ましい実施形態では、反応が、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム及びギ酸を用いて行われる場合は、反応は、パラジウムベース、白金ベース又はニッケルベースの触媒から選択される、又はパラジウム/炭素、パラジウム/硫酸バリウム及びパラジウム/炭酸カルシウムからなる群から選択される触媒の存在下で行われる。
【0071】
さらにより好ましい実施形態では、ギ酸が使用される場合、反応は、アンモニア又はアミン、好ましくはトリエチルアミンの存在下で行われる。
【0072】
上記の還元ステップに適した溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物から選択される。
【0073】
より好ましくは、反応は、水素、パラジウム/チャコールを用いて、酢酸エチル中で行われる。
【0074】
メタンスルホニルハライドとの式(V)の化合物の後続反応は、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N-メチルモルホリン)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン及びDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)から選択される塩基の存在下で行われる。ピリジンが過度に使用される場合は、他の溶媒を避けることができる。
【0075】
好ましくは、反応は、トリエチルアミンを用いて、ジクロロメタン中で行われる。
【0076】
式(II)の化合物の製造のためのステップ(c1)によれば、最初に、式(VI)の化合物を対応する式(VII)のケト誘導体に酸化し、次いでこれを、式(II)の化合物にエナンチオ選択的に還元する。
【0077】
酸化は、MnO2などの金属酸化物、2-ヨードキシ安息香酸(IBX)又はデス-マーチンペルヨージナンのような高原子価ヨウ素、三酸化硫黄ピリジン錯体のようなジメチルスルホキシドベースの酸化体(Swern)、から選択される酸化剤の存在下で、水、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、THF、ジオキサン及びそれらの混合物から選択される溶媒中で、好ましくは行われる。
【0078】
さらにより好ましくは、反応は、MnO2を用いてトルエン中で、又はSwern酸化体を用いてDMSO中で行われる。
【0079】
式(VI)の化合物は、特許文献1に記載されているように、式Bの中間体
【0080】
【0081】
【0082】
式(II)の化合物の製造のためのステップ(c3)によれば、式B’の中間体
【0083】
【0084】
【化21】
に変換され、これは、塩化チオニル、塩化水素、硫酸と、他の溶媒を用いて又は用いずに、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール中で反応させること、又は適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N-メチルモルホリン)、ピリジンから選択される塩基の存在下で、関連するアルキルハライドと反応させることによる。
【0085】
より好ましくは、上記の反応は、炭酸カリウムを用いて、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド中で行われる。
【0086】
中間体B’は、過酸化水素、過酢酸若しくはm-クロロ過安息香酸のような有機過酸、又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO5
*1/2KHSO4
*1/2K2SO4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、適切な溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物の存在下で、中間体Bを酸化することによって得ることができる。より好ましくは、上記の反応は、Oxone(商標)を用いて、メタノール中で達成される。
【0087】
あるいは、中間体B”は、Oxone(商標)を用いて、溶媒としての対応するアルキルアルコール中で酸化することによって、中間体Bから直接的に製造することができる。
【0088】
あるいは、中間体B”は、中間体C”
【0089】
【化22】
への中間体C’の変換から製造することができ、これは、溶媒としての対応するアルキルアルコール中で硫酸を用いるピナー反応、それに続いて、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N-メチルモルホリン)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン及びDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)から選択される塩基の存在下で、シクロプロピルブロマイドを用いてアルキル化することによる。
【0090】
次いで、中間体B”は、好ましくは、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、ペンチルリチウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムt-ブチレートから選択される塩基の存在下で、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチル-テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物の存在下で、中間体Dと反応させることによって、対応する式(VII)のケト誘導体に変換される。
【0091】
より好ましくは、上記の反応はLHMDSを用いて、THF中で行われる。その後のエナンチオ選択的還元ステップは、水素から選択される還元剤を用いて、インサイチュで予め形成された又は形成される重金属キラル錯体の存在下で、好ましくは行われる。インサイチュでの形成は、Ru-、Rh-又はIr錯体、例えばRuCl2(PPh3)3、[Ru(p-シメン)Cl2]2、[RhCI2(Cp*)]2又は[IrCI2(Cp*)]2を、キラル配位子、例えば、SL-N004-1((R)-4-tert-ブチル-2-[(R)-2-(ビス(1-フェニル)ホスフィノ)フェロセン-l-イル]オキサゾリン)、SL-N003-1((R)-4-イソプロピル-2-[(R)-2-(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン-l-イル]オキサゾリン)、(S,S)-Ts-DPEN((1S,2S)-(-)-N-p-トシル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン)、(S,S)-Ms-DPEN((1S,2S)-(-)-N-メシル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン)、(R)-DAIPEN((2R)-(-)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-3-メチル-1,2-ブタンジアミン)、(1R,2S)-1-アミノ(アミノ基)-2-インダノールと反応させることにより、生じ得る。
【0092】
上記の還元反応は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムC1~C4アルコラート、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムC1~C4アルコラート、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムC1~C4アルコラート、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、トリエチルアミン、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジンから選択される塩基の存在下で、好ましくは行われる。
【0093】
さらにより好ましい実施形態では、反応は、トルエン中で、水酸化ナトリウム水溶液の存在下において、RuCl2(PPh3)3及びキラル配位子SL-N004-1を反応させることによってインサイチュで形成される錯体を用いて行われる。
【0094】
あるいは、式(II)及び(VIII)の化合物を分取キラルクロマトグラフィーによって分離することができ、いくつかの運転においてキラルカラムをラセミ(VI)の溶液で装填して、及び分離された鏡像異性体の溶出画分を収集して、バッチ手順を取り入れることができる。大量の材料を分離するために、擬似移動床(SMB)の手順を考慮すべきである。
【0095】
有利なことに、方法発明の別の実施形態によれば、分取キラルHPLC法によって一旦式(II)及び(VIII)の化合物が分離されれば、式(VIII)の化合物を、対応する式(VII)の誘導体への酸化及びその後の還元を介して、式(VI)の化合物に都合よく再変換することができ、先に報告したように、次のクロマトグラフィー分離方法で再処理することができる。
【0096】
水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムを用いて、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物のような溶媒中で、還元を続けることができる。
【0097】
nが0である本発明のすべての化合物を、過酸化水素、過酢酸若しくはm-クロロ過安息香酸のような有機過酸又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO5
*1/2KHSO4*1/2K2SO4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、酢酸及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で酸化することによって、式中nが1である対応する化合物に変換することができることを理解されたい。
【0098】
より好ましくは、上記の反応は、Oxone(商標)を用いて、水及びメタノール中で、(I)又は(II)(式中、nは0である)に関して達成される。
【0099】
上記のすべてのことから、前述の方法の変形型のうちのいずれか1つに従って式(I)の化合物を製造する場合、望まれない副反応を生じさせる可能性のある、出発物質又はその中間体中の任意の官能基は、従来の技法に従って適切に保護される必要があることは明らかである。同様に、こうした保護された化合物の脱保護された遊離化合物への変換は、既知の手順に従って行うことができる。
【0100】
式(IV)及び(V)の中間体化合物(式中、nは0又は1である)は新規であり、したがって、本発明のさらなる目的に相当する。
【0101】
【0102】
本方法の出発物質としての式(VI)の化合物は、既知であるか、既知の方法に従って製造することができる。
【0103】
一例を挙げると、式(VI)の化合物及びその製造は、特許文献1に開示されている。
【0104】
式(III)の化合物(式中、Xは-NHSO2Meであり、Zは-OHである)は、本発明のさらなる目的に相当する。
【0105】
式(III)の他の出発物質は、既知であるか、既知の方法に従って容易に製造される。
【0106】
さらなる例として、式(III)の化合物(式中、Xは-NHSO2Meである)は、対応する誘導体(ここでは、Xは-NO2である)から、これらの誘導体をアミノ誘導体に還元すること、及び基本的に先に報告したように、メタンスルホニルハライドを用いるその後続反応によって、製造することができる。
【0107】
同様に、式(III)の化合物(式中、Zは-OHである)の製造は、対応するエステル誘導体の従来の加水分解によってもたらされ得る。
【0108】
この点で、例えば式(III)の化合物(式中、Zはメトキシである)に対して生じる加水分解反応は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムから選択される適切な塩基;水単独又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン及びそれらの混合物と混合した水から選択される溶媒の存在下で容易に達成され得る。
【0109】
より好ましくは、遊離酸へのエステルの加水分解反応(ここでは、Zは-OHである)は、NaOHを用いて、THF及び水の中で行われる。
【0110】
同様に、式(III)の化合物(式中、Zは-OH以外である)の製造は、周知のエステル化反応又はエステル転移反応法に従って、又は3-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸の関連するエステルから出発して、達成され得る。
【0111】
本発明は、上記の式(I)の化合物に関して、式(I)のシクロプロピルメチル基及びジフルオロメチル基の代わりにさらなるR1及びR2基を有する、さらなる式(XI)の化合物の製造方法も提供する。
【0112】
前記式(XI)の化合物は、呼吸障害、例えば慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、すべてのタイプの喘息及びアレルギー性病態、例えばアトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎を含めた幅広い状態に対する、予防目的又は症状緩和のために使用することができる。
【0113】
したがって、本発明は、式(XI)の化合物
【0114】
【化24】
(式中、nは0又は1であり、R
1及びR
2は、H、直鎖状又は分枝状の(C
1~C
6)アルキル(ハロゲン原子から選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている)、(C
3~C
7)シクロアルキル;(C
5~C
7)シクロアルケニル;直鎖状又は分枝状の(C
2~C
6)アルケニル;アリール(C
2~C
6)アルケニル及び直鎖状又は分枝状の(C
2~C
6)アルキニルからなる群において、独立に選択される)の製造方法であって、
a)式(X)の化合物
【0115】
【化25】
(式中、nは0又は1である)を式(III)の化合物
【0116】
【化26】
(式中、Xは-NHSO
2Me及び-NO
2から選択され、Zは、-OH、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C
1~C
6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C
1~C
6)アルキルカルボニルオキシから選択される)と反応させて、式(XI)の化合物(式中、nは0若しくは1である)又は式(XII)の化合物
【0117】
【化27】
(式中、R1、R2及びnは上で報告した意味を有する)を得ること、並びにステップ(a)において式(XII)の化合物が得られる場合、
b)それを対応する式(XIII)の化合物
【0118】
【化28】
(式中、R1、R2及びnは上で報告した意味を有する)に還元し、これをメタンスルホニルハライドと反応させて、式(XI)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ることを含み、
ここでは、ステップ(a)の式(X)の化合物が、代替ステップ(c1)又は(c2)に従って、
c1)式(XIV)の化合物
【0119】
【化29】
(式中、nは0若しくは1である)を酸化して、式(XV)の化合物(
【0120】
【化30】
式中、nは0若しくは1である)を得、続いて、エナンチオ選択的にそれを還元して、式(X)の化合物(式中、nは上で報告した意味を有する)を得ること、又は
c2)式(XIV)の化合物(式中、nは0若しくは1である)をクロマトグラフィーによって分離して、式(X)の化合物及び式((XVI)の化合物
【0121】
【化31】
(式中、nは上で報告した意味を有する)の両方を得ること、
及び任意選択で、ステップ(c2)で得られた式(XVI)の化合物を対応する式(XV)の化合物に酸化し、続いて、式(XIV)の化合物(式中、nは0又は1である)に還元し、次のクロマトグラフィー分離方法で再処理すること、
によって得られ、
ここでは、nが1である、式(XI)、(X)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)又は(XVI)のすべての化合物が、nが0である対応する化合物を酸化することによって得ることができる製造方法を提供する。
【0122】
上記のすべてのことから、式(I)の化合物の製造方法の前述のステップに適用可能な操作条件は、同様に、式(XI)の化合物の製造にも適用できることは明らかである。
【0123】
式(XII)及び(XIII)の中間体化合物(式中、nは0又は1である)は新規であり、したがって、本発明のさらなる目的に相当する。
【0124】
【0125】
式(X)の出発物質は、既知であるか、既知の方法に従って容易に製造される。
【0126】
さらにより一層好ましい実施形態では、化合物(I)(式中、nは0又は1である)が得られる場合、好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、脂肪族若しくは芳香族炭化水素(好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される)又はそれらの混合物から選択される1種又は複数の溶媒からの結晶化又は破砕により、この化合物(I)を精製することができる。
【0127】
反応は、好ましくは、酢酸エチル中でn-ヘプタンを用いて行われる。
【0128】
別の好ましい実施形態では、本発明は、化合物(I)の結晶化による分離方法、及び適切な担体又はビヒクルと組み合わせて吸入用の医薬組成物を製造するためのその使用に関する。
【0129】
別の好ましい実施形態では、本発明は、以下の特徴的なXRPDピーク:7,48;7,93;10,15;10,32;12,72;13,51;16,18;16,46;18,08;18,53;18,94;8,55;17,79;19,89;19,1;20,2;21,37;22,96;23,63;24,87;26,51;28,09;28,61及び25,82±0.2度/2θを特徴とする、酢酸エチル及びn-ヘプタンからの結晶形態Aの製造方法に関する。
【0130】
別の好ましい実施形態では、本発明は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性又は閉塞性の呼吸器疾患の予防及び/又は治療のための、結晶形態Aの使用に関する。
【0131】
さらに他の態様では、本発明は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性又は閉塞性の呼吸器疾患を予防及び/又は治療する方法であって、有効量の結晶形態Aの吸入投与を含む方法に関する。
【0132】
別の好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の化合物の溶媒和化合物の製造方法に関する。
【0133】
別の好ましい実施形態では、本発明は、以下の特徴的なXRPDピーク:7,45;7,87;8,51;10,12;10,28;12,66;13,29;13,45;14,95;16,14;16,34;17,05;17,74;18,05;18,48;18,88;19,05;19,33;19,85;20,18;20,65;21,3;22,96;23,55;23,87;24,41;24,66;24,88;25,62;25,82;26,45;28,12及び28,53±0.2度/2θを特徴とする、エタノールからの式(I)の化合物の溶媒和化合物の製造方法に関する。
【0134】
医薬組成物は、本発明に従って製造された式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)と1種又は複数の医薬的に許容可能な適切な賦形剤を混合することによって製造することができる。治療すべき医学的疾患又は状態の性質及び患者のタイプに応じて、経口、静脈内、非経口、吸入、鼻腔内、局所、皮下、筋肉内、直腸、腟を含めた任意の適切な経路で送達されるように、医薬組成物を製剤化することができる。適切な剤形としては、既知の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、持続性放出製剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、坐剤、点眼剤、経皮パッチ、シロップ剤、液剤、懸濁剤、エアロゾル剤、ネブライザー用液剤、鼻腔用スプレー剤などが挙げられる。好ましい実施形態では、組成物は、吸入又は鼻腔内経路による送達のために、例えば吸入用の乾燥散剤としてエアロゾル剤、液剤若しくは懸濁剤中に、又は鼻腔用スプレー剤中に製剤化される。
【0135】
適切な賦形剤としては、担体、希釈剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、被覆剤、フィラー、流動促進剤、潤滑剤、崩壊剤、防腐剤、界面活性剤、pH緩衝物質などが挙げられる。賦形剤の例及びその使用は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th ed.(2006),Ed.Rowe et al,Pharmaceutical Pressに提供されている。
【0136】
本発明の化合物の投薬量は、治療される特定の疾患、症状の重症度、投与経路、投与間隔の頻度、利用される特定の化合物、化合物の有効性、毒性プロファイル及び薬物動態プロファイルを含めた様々な因子に依存し得る。
【0137】
有利なことに、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)を、例えば、0.001~1000mg/日の間、好ましくは0.1~500mg/日の間、さらにより好ましくは0.2~2000mg/日の間、さらにより好ましくは0.1~4000mg/日の間に含まれる投薬量で投与することができる。
【0138】
本発明により得られる式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)は、呼吸障害、例えば慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及びすべてのタイプの喘息を含めた幅広い状態に関して、予防目的又は症状緩和のために使用することができる。しかし、式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)は、PDE4受容体の活性が関与しており、PDE4受容体活性の阻害が所望される任意の疾患、又はPDE4活性によって媒介される病態(例えば、PDE4が過剰発現しているか、過剰活性である病態)の予防及び/又は治療のために投与することができる。そうした疾患の例としては、以下が挙げられる:アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎などのアレルギー性病態、好酸球性肉芽腫、乾せん、炎症性関節炎、関節慢性糸球体腎炎、内毒素性ショック、嚢胞性線維症、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、角化症、リウマチ性脊椎炎、骨関節症、発熱、糖尿病、じん肺症、毒性及びアレルギー性接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純性苔癬、日焼け、肛門性器部のかゆみ、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、濾胞性及び広領域の膿皮症、内因性及び外因性の座瘡、酒土性座瘡、ベーチェット病、アナフィラクトイド紫斑病性腎炎、炎症性腸疾患、白血病、多発性硬化症、胃腸疾患、自己免疫疾患など。
【0139】
これらとしては、神経系及び精神系障害、例えば、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症(MSA)、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、うつ病、卒中及び脊髄損傷も挙げられる。
【0140】
一実施形態では、本発明は、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、すべてのタイプの喘息、アトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎のうちのいずれかの予防又は治療のための医薬の製造における、本発明の方法のうちのいずれかに従って製造された式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)の使用を提供する。
【0141】
さらなる実施形態では、本発明は、患者における、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、すべてのタイプの喘息、アトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎のうちのいずれかの治療の予防方法であって、本発明の方法のうちのいずれかに従って製造された、治療有効量の式(I)の化合物(式中、nは0又は1である)を患者へ投与することを含む方法を提供する。
【0142】
「治療有効量」の物質は、治療される状態の1種若しくは複数の臨床症状の検出可能な改善につながる量、又は疾患状態若しくはその症状の発症の確率を測定可能な程度に低減させる量として、本明細書で定義される。
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
本発明は、以下のステップに従って、一般式(I)(式中、nは0又は1である)の化合物を製造するための方法を提供する。
【0150】
経路A-特許文献1の実施例1に記載されている手順に従って得られた中間体(VI)(式中、nは0又は1である)を、MnO2などの金属酸化物、2-ヨードキシ安息香酸(IBX)又はデス-マーチンペルヨージナンのような高原子価ヨウ素、三酸化硫黄ピリジン錯体のようなジメチルスルホキシドベースの酸化体(Swern)から選択される酸化剤の存在下で、(VII)(式中、nは0又は1である)に酸化する。合成は、水、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン及びそれらの混合物から選択される溶媒中で、好ましくは行われる。反応は、MnO2を用いてトルエン中で、又はSwern酸化体を用いてDMSO中で、好ましくは行われる。
【0151】
あるいは、式(VII)の化合物は、式B”の中間体
【0152】
【化39】
(式中、Rは直鎖状又は分枝状の(C
1~C
6)アルキル基又はアリールアルキル基である)を、式Dの中間体
【0153】
【化40】
(式中、nは上で報告した意味を有する)と、好ましくは、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、ペンチルリチウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)-アミド、カリウムt-ブチレートから選択される塩基の存在下で、適切な溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチル-テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物の存在下で反応させて、得ることができる。
【0154】
より好ましくは、Rはメチルであり、上記の反応は、LHMDSを用いてTHF中で達成される。
【0155】
化合物B”は、塩化チオニル、塩酸、硫酸と、他の溶媒を用いて又は用いずに、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール中で反応させることによって、又は適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン及びそれらの混合物、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N-メチルモルホリン)、ピリジンから選択される塩基の存在下で、関連するアルキルハライドと反応させることによって、化合物B’から得ることができる。
【0156】
より好ましくは、上記の反応は、炭酸カリウムを用いて、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド中で行われる。
【0157】
化合物B’は、過酸化水素、過酢酸若しくはm-クロロ過安息香酸のような有機過酸又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO5*1/2KHSO4
*1/2K2SO4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、適切な溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物の存在下で、化合物Bから得ることができる。より好ましくは、上記の反応は、Oxone(商標)を用いて、メタノール中で達成される。
【0158】
あるいは、式B”の中間体は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N-メチルモルホリン)、ピリジン、DBU、DBO、DMAPから選択される塩基の存在下で、適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン及びそれらの混合物中で、ブロモ-メチルシクロプロパンを用いてアルキル化することによって、式C”の中間体から得ることができる。より好ましくは、上記の反応は、炭酸カリウムを用いて、ジメチルホルムアミド中で達成される。
【0159】
中間体C”は、アルコール、及び塩化水素、臭化水素、硫酸、メタンスルホン酸のようなアルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、三臭化アルミニウム、三塩化アルミニウム、チタン(IV)テトラクロリド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、塩化スズ(IV)、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、アルミニウムイソプロポキシド、塩化チオニル、塩化オキサリル、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)、トリメチルシリルトリフラート(Me3SiOTf)から選択されるルイス酸の存在下で、適切な溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物を用いて又は用いずに、ピナー反応によって中間体C’から得ることができる。より好ましくは、上記の反応は硫酸を用いてメタノール中で達成される。
【0160】
その後の(VII)(式中、nは0又は1である)のエナンチオ選択的還元は、単一の鏡像異性体(II)(式中、nは0又は1である)を提供する。
【0161】
還元剤は、Ru-、Rh-又はIr錯体、例えばRuCl2(PPh3)3、[Ru(p-シメン)Cl2]2、[RhCI2(Cp*)]2又は[IrCI2(Cp*)]2を、キラル配位子、例えば、SL-N004-1((R)-4-tert-ブチル-2-[(R)-2-(ビス(1-フェニル)ホスフィノ)フェロセン-l-イル]オキサゾリン)、SL-N003-1((R)-4-イソプロピル-2-[(R)-2-(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン-l-イル]オキサゾリン)、(S,S)-Ts-DPEN((1S,2S)-(-)-N-p-トシル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン)、(S,S)-Ms-DPEN((1S,2S)-(-)-N-メシル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン)、(R)-DAIPEN((2R)-(-)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-3-メチル-1,2-ブタンジアミン)、(1R,2S)-1-アミノ-2-インダノールと反応させてインサイチュで予め形成された又は形成される重金属キラル錯体の存在下における水素から選択される。反応は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムC1~C4アルコラート、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムC1~C4アルコラート、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムC1~C4アルコラート、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、トリエチルアミン、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジンから選択される塩基の存在下で行われる。
【0162】
合成は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物から選択される溶媒中で、好ましくは行われる。
【0163】
反応は、トルエン中で、水酸化ナトリウム水溶液の存在下において、RuCl2(PPh3)3及びキラル配位子SL-N004-1を反応させることによってインサイチュで形成される錯体を用いて、好ましくは行われる。
【0164】
あるいは、(II)(式中nは1である)は、過酸化水素、過酢酸若しくはm-クロロ過安息香酸のような有機過酸又は過硫酸若しくはOxone(商標)(KHSO5
*1/2KHSO4
*1/2K2SO4)のような無機過酸から選択される酸化剤を用いて、(II)(式中、nは0である)の酸化によって得られる。反応溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、酢酸及びそれらの混合物から選択される。反応は、Oxone(商標)を用いて水及びメタノール中で、好ましくは行われる。
【0165】
経路B-経路Aの代わりに、中間体(II)及び(VIII)(式中、nは0又は1である)は、鏡像異性体の分取キラルHPLC分離によって、(VI)(式中、nは0又は1である)から得られる。
【0166】
いくつかの運転においてキラルカラムをラセミ(VI)の溶液で装填して、及び分離された鏡像異性体の溶出画分を収集して、バッチ手順を取り入れることができる。大量の材料を分離するために、擬似移動床(SMB)の手順を考慮すべきである。
【0167】
分取キラルHPLC法によって一旦式(II)及び(VIII)の化合物が分離されれば、式(VIII)の化合物を、対応する式(VII)の誘導体への酸化及びその後の還元を介して、式(VI)の化合物に都合よく再変換することができ、先に報告したように、クロマトグラフィー分離方法で再処理することができる。
【0168】
このようにして、(VIII)を再利用することによって、式(I)の化合物の最終的な収率は、さらに増大し得る。
【0169】
中間体(III)(ここでは、Xは-NHSO2Meであり、Zは、-OH、塩素、臭素、直鎖状又は分枝状の(C1~C6)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、(C1~C6)アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ及びアリール(C1~C6)アルキルカルボニルオキシから選択される)では、Zは、Theodora W.Greene(Wiley-Interscience,New York,1981)による「Protective Groups in Organic Synthesis」及びJ.F.W.McOmie(Plenum Press,London,1973)による「Protective Groups in Organic Chemistry」に従って、標準的な手順を使用して導入及び除去することができる、保護基である。
【0170】
したがって、中間体(III)(ここでは、Xは-NHSO2Meであり、Zは上記で定義された通りである)は、国際公開第2007/089107号の実施例18に記載されているように又は3-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸の関連するエステルから出発する同じ合成経路に従って得られる3-シクロプロピルメトキシ-4-メタンスルホニルアミノ-安息香酸メチルエステルから出発する周知の条件下で、得ることができる。
【0171】
中間体(III)(ここでは、Xは-NHSO2Meであり、Zは上記で定義された通りである)は、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムから選択される塩基中での加水分解によって、(III)(ここでは、Zは-OHである)に変換し、溶媒は、水単独又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルスルホキシド、スルホラン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン及びそれらの混合物と混合した水からなる群から選択される。好ましい実施形態では、反応は、NaOHを用いてTHF及び水の中で行われる。
【0172】
経路C-化合物(I)(ここでは、nは0又は1である)は、CDI(1,1’-カルボニルジイミダゾール)、HATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸)、HBTU(O-(ベンゾトリアゾル-l-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸)、TBTU(O-(ベンゾトリアゾル-l-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、DMTMM(4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド)、COMU((1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸)、EDCI(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドハイドロクロライド)及びDCC(N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド)から選択されるカップリング試薬、又は塩化アシル、臭化アシル、活性化エステル若しくは混合無水物にカルボン酸を変換することができるの試薬存在下で、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)を用いて又は用いずに、TEA、DIPEA、NMM、DBU、DBO、ピリジン及DMAPのような有機塩基を用いて又は用いずに、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で、中間体(III)(ここでは、Xは-NHSO2Meであり、Zは-OHである)を(II)(ここでは、nは0又は1である)と縮合することにより得られる。
【0173】
式(III)の化合物が塩化アシル若しくは臭化アシル又は活性化エステル及び混合無水物である場合、反応は、カップリング試薬を用いずに、上記のように行われる。
【0174】
好ましい実施形態では、反応は、CDI及びDBUを用いて、酢酸エチル中で達成される。
【0175】
中間体(IV)(式中、nは0又は1である)は、(II)との(III)(ここでは、Xは-NHSO2Meである)の縮合に関して上で述べたものと同じ条件下における、(II)(ここでは、nは0又は1である)との(III)(ここでは、Xは-NO2である)の縮合によって得られる。好ましい実施形態では、反応は、EDCI及びDMAPを用いて、DMF中で行われる。
【0176】
中間体(V)(ここでは、nは0又は1である)は、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム、ギ酸、鉄、二塩化スズ、スズ、塩化ニッケル、ニッケル、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム、ハイドロサルファイトナトリウムからなる群選択される還元剤を用いて、(IV)(ここでは、nは0又は1である)を還元することによって得られる。水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム及びギ酸を用いる場合は、反応は、好ましくはパラジウムベース、白金ベース又はニッケルベースの触媒、より好ましくはパラジウム/炭素、パラジウム/硫酸バリウム及びパラジウム/炭酸カルシウムから選択される触媒の存在下で行われる。ギ酸が使用される場合は、反応は、アンモニア又はアミン、好ましくはトリエチルアミンの存在下で行われる。
【0177】
上記の還元ステップに適した溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トルエン、ベンゼン、キシレン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル及びそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態では、反応は、水素を用いて、酢酸エチル中で硫化されたパラジウム5%/活性炭粉末、A103038型を用いて行われる。
【0178】
別の好ましい実施形態では、反応は、水素を用いて、白金/炭を用いて、酢酸エチル中で行われる。
【0179】
化合物(I)(ここでは、nは0又は1である)は、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン及びそれらの混合物から選択される適切な溶媒、並びに、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、TEA(トリエチルアミン)、DIPEA(ヒューニッヒ塩基、ジイソプロピルエチルアミン)、NMM(N-メチルモルホリン)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピリジン及びDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)、ピリジンからなる群から選択される塩基の存在下で、(V)(ここでは、nは0又は1である)をメタンスルホニルクロリドと反応させることによって得られる。ピリジンが過度に使用される場合は、他の溶媒を避けることができる。
【0180】
反応は、トリエチルアミンを用いて、ジクロロメタン中で好ましくは行われる。
【0181】
化合物(II)(式中nは1である)への化合物(II)(式中、nは0である)の酸化に関して上で述べたように、nが1である、式(I)、(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)のすべての化合物が、nが0である対応する化合物を酸化することによって得ることができる。
【0182】
化合物(I)(ここでは、nは0又は1である)が得られる場合、好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、ジオキサン、2-メトキシエチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、脂肪族若しくは芳香族炭化水素(好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される)又はそれらの混合物から選択される1種又は複数の溶媒からの結晶化又は破砕により、この化合物(I)を精製することができる。反応は、酢酸エチル中でn-ヘプタンを用いて、好ましくは行われる。
【0183】
したがって、例えば、結晶形態Aは、酢酸エチル/ヘプタン又は酢酸イソプロピルの存在下で製造され得る。
【0184】
反応は、反応器中で行うことができ、ここでは、式(I)の化合物を、上記のリストから選択される1種又は複数の溶媒とともに装填し、この懸濁液を、固体が完全に溶解するまで、50~90℃の間の温度に加熱しながら攪拌することができる。この懸濁液を、0~5℃の間に1~5時間冷却し、濾過し、乾燥することができる。
【0185】
結晶化がエタノールの存在下で行われる場合、式(I)の化合物の溶媒和化合物を得ることができる。
【0186】
反応は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びジクロロメタンからなる群から選択される1種又は複数の溶媒中で、式(I)の化合物から出発して行うことができ、濃縮し、次いでエタノールを加えることができる溶液を得る。この溶液を濃縮することができ、得られた懸濁液を0~10℃の間の温度で冷却し、1~5時間攪拌することができる。固体を濾過し、エタノールで洗浄し、25~55℃の間の温度で10~30時間乾燥する。
【0187】
本発明を、下記の実施例において、より詳細に以下に説明する。
【実施例0188】
3-(シクロプロピルメトキシ)-4-(メチルスルホンアミド)安息香酸(中間体(III)、X=-NHSO2Me、Z=-OH)の製造
【0189】
【0190】
(III)(式中、Xは-NHSO2Meであり、Zは-OMeである)を、国際公開第2010/08910号の実施例18に記載されているように得た。この(III)(6.0kg)及び18LのTHFを反応器に装填した。別々に、6.6kgの35%w/w水酸化ナトリウム及び21Lの精製水を混合し、反応器に移し、すべてのTHFを留去しながら、この混合物を65℃まで加熱した。加水分解反応が完了した後、この塩基性溶液を24Lの精製水及び7.2kgの37%w/w塩酸の溶液を含む別の反応器にゆっくりと移し、40℃以下の温度に維持し、15分間撹拌した。得られた固体を濾過し、24Lの水で洗浄した。この湿潤固体(III)(16.6kg wet)を60Lの酢酸エチルとともに反応器に再装填し、次いで、還流するまで加熱して、30Lの溶媒を留去した。12.6Lのヘプタンを反応器に装填し、この混合物を、15~30分間撹拌しながら維持した。次いでこれを5℃に冷却し、撹拌しながら2時間維持した。得られた固体を濾過し、反応器及びケークを12Lのヘプタンで洗浄した。湿潤固体を、静置棚乾燥機において真空下で乾燥した。6235gの白色固体を得た(収率93.9%)。
【0191】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm 12.85(br.s.,1H)、9.03(s,1H)、7.40-7.71(m,2H)、7.35(d,J=8.16Hz,1H)、3.91(d,J=6.84Hz,2H)、3.07(s,3H)、1.11-1.42(m,1H)、0.50-0.67(m,2H)、0.18-0.41(m,2H)。
1-(3-(シクロプロピルメトキシ)-4-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-2-(3,5-ジクロロ-1-ピリジン-4-イル)エタノン(中間体(VII)、n=0)の製造
3,5-ジクロロ-4-メチル-ピリジン(0.5g、3.08mmol)及びOxone(商標)(1.5g、4.62mmol)を、25mlフラスコ中のメタノール及び水(5.5ml)の8:3混合物に懸濁した。この懸濁液を攪拌し、10~15時間55℃に温めた。溶媒を減圧下で除去し、得られた粗製の固体を、高温のトルエン(80℃)中に、撹拌しながら20分間懸濁した。次いで、この不均一な高温の溶液を濾液し、母液を室温に冷却し、固体の沈殿を得た。0~5℃で30分間撹拌し、濾過した後に、純粋な生成物を白色固体として得た(0.43g、収率78%)。
窒素雰囲気下の三つ口50mlフラスコ中に、中間体A(0.4g、2.25mmol)及び中間体B(0.78g、3.22mmol)を加え、乾燥THF(5ml)に溶解した。攪拌したこの溶液を-35℃に冷却した。カリウムtert-ブチレート(0.3g、2.67mmol)を、この溶液に10分かけて小量ずつ加えた。-35℃で60分反応させた後に、この溶液を25%NH4Cl水溶液(10ml)でクエンチする。EtOAc(8ml)及び水(8ml)をこの懸濁液に加え、攪拌し、相を分離し、有機相を抽出し、5%NaCl水溶液(10ml)で洗浄した。次いで、有機溶媒をNa2SO4で無水化し、減圧下で除去して、粗製の白色固体を得た。これを高温のトルエンから結晶化し、白色固体を得た(0.40g、収率42%)。