IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

特開2022-71082標識生体分子を提供するための方法及びシステム
<>
  • 特開-標識生体分子を提供するための方法及びシステム 図1
  • 特開-標識生体分子を提供するための方法及びシステム 図2
  • 特開-標識生体分子を提供するための方法及びシステム 図3
  • 特開-標識生体分子を提供するための方法及びシステム 図4
  • 特開-標識生体分子を提供するための方法及びシステム 図5
  • 特開-標識生体分子を提供するための方法及びシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071082
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】標識生体分子を提供するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/532 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
G01N33/532 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031255
(22)【出願日】2022-03-01
(62)【分割の表示】P 2018511683の分割
【原出願日】2016-09-02
(31)【優先権主張番号】62/214,091
(32)【優先日】2015-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ツェルナー,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】アルカデコン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイロード,ブレント エス.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示の態様は、標識生体分子試薬の調製に用いられるシステムを含む。
【解決手段】特定の実施形態に係るシステムは、標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、複数の標識生体分子試薬保管識別子を有するデータセットを保管するためのメモリと、メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼に対応するデータセットから1つ以上の標識生体分子試薬保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、1つ以上の特定された標識生体分子試薬保管識別子を提供するための出力部とを備える。活性化生体分子及び活性化標識から標識生体分子試薬を調製するための試薬調製装置も提示される。標識生体分子試薬の依頼を通信し且つ受け取り、及び主題の標識生体分子試薬を調製する方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識生体分子試薬の調製に用いられるシステムであって、
標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、
複数の標識生体分子保管識別子を含むデータセットを保管するためのメモリと、
前記メモリに通信可能に結合され、且つ前記標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応する前記データセットから1つ以上の標識生体分子保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、
前記特定された標識生体分子保管識別子を提供するための出力部と、
前記特定された標識生体分子保管識別子に基づいて前記標識生体分子試薬を調製する試薬調製装置と
を備える、システム。
【請求項2】
前記入力部は、
単一の標識生体分子依頼と、
複数の標識生体分子依頼と、
単一の生体分子依頼及び単一の標識依頼と、
複数の生体分子依頼及び単一の標識依頼と、
単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼と
のうちの1つ以上を受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力部は、複数のユーザから複数の生体分子依頼及び標識依頼を受け取るように構成される、請求項2に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの分析物アッセイで使用される標識生体分子試薬組成物は、検出可能マーカー化合物にコンジュゲートされている生体分子を含む。生体分子は、生体分子の主鎖又は側鎖との1つ以上の共有結合によって検出可能マーカーにコンジュゲートされるか、又はイオン相互作用若しくは他の非共有結合性の相互作用によって共に結合され得る。多くの場合、生体分子は、目的の分析物に特異的な結合領域を有するプローブ化合物であり、及び検出可能マーカーは、例えば顕微鏡下で、肉眼で、又は何らかの形態の光学的分光法(例えば、紫外-可視、蛍光分光法等)により可視化することができる化合物である。
【0002】
生体液中の分析物の存在及び濃度を決定するアッセイは、多くの場合にプローブ化合物の特異的結合に依存する。目的の分析物によっては、プローブ化合物は、特異的結合領域を各々有する抗体又はオリゴヌクレオチドなどのポリペプチドであり得る。標的分析物の結合を検出するため、可視化することができるマーカー(例えば、分光法によって検出可能なもの)がプローブ化合物にコンジュゲートされる。現在、標識生体分子試薬の調製には、各生体分子(例えば、CD4-RPA-T4)が個別に個々の合成プロトコルによって検出可能標識(PE-Cy5)とコンジュゲートされ、続いて精製される(例えば、カラムクロマトグラフィー)。各標識生体分子試薬が個別に調製及び精製されるため、アッセイに即時使用可能な特異的結合プローブ組成物を提供する方法は、特に小規模の顧客依頼について高価で多大な労力を要するものとなっている。加えて、性能に特化した高品質のプローブ組成物のオンデマンド調製は、標識生体分子の合成及び続く精製に必要なリードタイムの長さに起因して不可能である。商業的には、一般的に用いられる標識生体分子試薬が事前に調製及び保管されており、顧客は、予め合成された標識生体分子試薬組成物の限られたデータベースから選択することのみができる。
【0003】
図1は、実験及び臨床アッセイ用の標識生体分子試薬組成物の提供に用いられている現行の商業的標識生体分子試薬の調製のステップを示す。初めに目的の生体分子(抗体プローブ)が精製され(ステップ101)、その生体分子を5つの異なる検出可能マーカーにコンジュゲートするために十分な反応条件に供されて(ステップ102)、標識生体分子100a、100b、100c、100d及び100eが作製される。次に、標識生体分子100a、100b、100c、100d及び100eが各々精製され(ステップ103)、保管される。顧客からの依頼に応じて標識生体分子100a、100b、100c、100d及び100eが標識生体分子試薬組成物に製剤化され、包装されて顧客に納品される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、広範囲の生体分子及び検出可能標識ポートフォリオにわたって高品質で性能に特化した製品を納品するための迅速で効率が良い且つ規模対応性が極めて高い方法を含む。本発明の実施形態では、標識生体分子の依頼が行われ、その依頼に応えて活性化生体分子及び活性化標識の既存のコレクションから標識生体分子が調製される。図2は、本発明の実施形態に係る方法の図を提供する。図2では、初めに生体分子(201a)のコレクション及び検出可能な標識又はマーカー(201b)のコレクションが精製される(ステップ201)。次に各生体分子が反応性リンカーにコンジュゲートされ、生体分子が反応性部分で機能化される(即ち、生体分子が反応性リンカーL1で活性化される、202a)。次に、活性化生体分子のコレクションが精製され、保管される。別途、検出可能マーカーのコレクションも反応性リンカーにコンジュゲートされ、検出可能マーカーのコレクションが反応性部分で機能化される(即ち、標識が反応性リンカーL2で活性化される、202b)。活性化標識のコレクションも精製され、保管される(ステップ202)。顧客から標識生体分子試薬の依頼があると、活性化生体分子(L1)を活性化標識(L2)と反応させることにより生体分子が標識にコンジュゲートされ(ステップ203)、標識生体分子(連結L1-L2によって結合したもの)が形成される。このように、単純に活性化生体分子を活性化標識と混合することにより、生体分子と検出可能マーカーとの任意の所望の組み合わせをオンデマンドで調製することができる。
【0005】
図3は、カスタマイズ可能な標識生体分子試薬をオンデマンドで提供するための本開示のこのユニークな新規の方法を示している。目的の生体分子が精製され(ステップ301)、次に反応性リンカーで機能化されて(ステップ302)、活性化生体分子300aが作製される。別途、検出可能マーカーを反応性リンカーで機能化することにより活性化標識300b、300c及び300dが調製される。顧客から依頼を受けると、活性化生体分子300aの反応性リンカーを活性化標識300b、300c、300d及び300eの反応性リンカーと反応させることにより、活性化生体分子300aと活性化標識300b、300c、300d及び300eとの任意の組み合わせをオンデマンドで調製することができる。コンジュゲート後、標識生体分子300a-300b、300a-300c、300a-300d及び300a-300eが標識生体分子試薬組成物に製剤化され、包装されて顧客に納品される。
【0006】
本開示の態様は、標識生体分子試薬の調製に用いられるシステムも含む。特定の実施形態に係るシステムは、標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、複数の標識生体分子試薬保管識別子を有するデータセットを保管するためのメモリと、メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼に対応するデータセットから1つ以上の標識生体分子試薬保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、1つ以上の特定された標識生体分子試薬保管識別子を提供するための出力部とを備える。一部の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼には生体分子依頼及び標識依頼が含まれる。他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は標識生体分子依頼である。
【0007】
入力部はウェブサイトメニューインターフェースなどのグラフィカルユーザインターフェースに操作可能に結合されてもよく、ここで、標識生体分子試薬の依頼がインターネットウェブサイトに入力される。一部の実施形態において、入力部は標識生体分子依頼を受け取るように構成される。他の実施形態において、入力部は生体分子依頼及び標識依頼を受け取るように構成される。入力部は、単一のユーザ又は複数のユーザからなど、複数の標識生体分子試薬の依頼を受け取り得る。
【0008】
主題のシステムは、標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識及び反応性リンカーについての保管識別子を含む1つ以上のデータセットを保管するためのメモリを備える。システムは、標識生体分子試薬の依頼の構成要素(例えば、生体分子依頼、標識依頼、標識生体分子依頼等)に対応する1つ以上のデータセットからの保管識別子を特定する、メモリに通信可能に結合された処理モジュールも備える。特定の実施形態において、出力部が通信構成要素に操作可能に結合され、電子ディスプレイ上に又はプリンタで保管識別子を印刷することによるなど、特定された保管識別子を表示する。
【0009】
特定の実施形態において、目的のシステムは、標識生体分子試薬を調製するための、出力部と操作可能に通信する試薬調製装置を更に備える。試薬調製装置は、出力部から特定された保管識別子を受け取り、且つ標識生体分子試薬の依頼に対応する標識生体分子試薬を作製するように構成される。
【0010】
実施形態において、試薬調製装置は、複数の活性化生体分子と、複数の活性化標識と、活性化生体分子及び活性化標識を接触装置に供給するサンプリング機器とを備える。特定の例では、試薬調製装置は、固相液体クロマトグラフィーによるなど、作製された標識生体分子試薬を特徴付けるか、製剤化するか、又は精製するために用いられ得る試薬分析器を備える。
【0011】
生体分子は、ポリペプチド、核酸又は多糖であり得る。特定の実施形態において、生体分子は、オリゴヌクレオチド、DNA又はRNAなどの核酸である。他の実施形態において、生体分子は、タンパク質、酵素又は抗体などのポリペプチドである。標識には、フルオロフォア、発色団、酵素、化学発光基質、電気化学発光基質、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ(例えば、同位体的に純粋な希土類元素)、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子が含まれ得る。標識生体分子試薬は、活性化生体分子を活性化標識と結合することにより調製される。活性化生体分子及び活性化標識は、各々が反応性リンカーを含む。実施形態では、これらの反応性リンカーが反応して活性化生体分子と活性化標識との間に化学的連結を形成する。
【0012】
本開示の態様は、標識生体分子試薬の調製方法も含む。特定の実施形態に係る方法は、標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップと、標識生体分子試薬の依頼の構成要素と一致する保管識別子(例えば、生体分子依頼及び標識依頼に対応する保管識別子)を特定するステップと、1つ以上の特定された保管識別子を出力するステップとを含む。一部の実施形態において、特定された生体分子保管識別子及び標識保管識別子は電子ディスプレイ上に出力されるか、又はプリンタで印刷される。一部の実施形態において、単一のユーザ又は複数のユーザからなど、標識生体分子試薬の複数の依頼が受け取られる。一部の例では、標識生体分子試薬の依頼には複数の生体分子依頼及び複数の標識依頼が含まれ得る。他の例では、標識生体分子試薬の依頼には複数の生体分子依頼及び単一の標識依頼が含まれ得る。更に他の例では、標識生体分子試薬の依頼には単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼が含まれ得る。
【0013】
特定の実施形態において、方法は、活性化生体分子を活性化標識と接触させて標識生体分子試薬を作製するステップを更に有する。一部の実施形態において、活性化生体分子及び活性化標識は試薬調製装置において接触する。一部の例では、標識生体分子試薬は更に精製される。調製後、標識生体分子試薬は包装され、遠隔地に輸送され得る。
【0014】
本開示の態様は、標識生体分子試薬を依頼して受け取る方法も含む。特定の実施形態に係る方法は、標識生体分子試薬の依頼を(例えば、本明細書に記載される主題のシステムのうちの1つに)通信するステップと、標識に共有結合的に結合された生体分子を含む標識生体分子試薬を受け取るステップとを有する。一部の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼を通信するステップは、生体分子依頼及び標識依頼をインターネットウェブサイト上のウェブサイトメニューインターフェースなどのグラフィカルユーザインターフェースに入力するステップを含む。一部の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼を通信するステップは、複数の生体分子依頼及び複数の標識依頼を入力するステップを含む。他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼を通信するステップは、単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼を入力するステップを含む。更に他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼を通信するステップは、複数の生体分子依頼を入力するステップと、単一の標識依頼を入力するステップとを含む。なおも他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼を通信するステップは、標識生体分子依頼を入力するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実験及び臨床アッセイ用の標識生体分子試薬組成物を提供するために用いられる先行技術の標識生体分子試薬の調製のステップを示す。
図2】本発明の実施形態に係る方法の図を提供する。
図3】カスタマイズ可能な標識生体分子試薬をオンデマンドで提供するための本開示の方法を説明する。
図4】本発明の特定の実施形態に係る標識生体分子試薬の依頼の通信用グラフィカルユーザインターフェースを図示する。
図5】本発明の特定の実施形態に係る本開示のコンピュータシステムを図示する。
図6】本発明の特定の実施形態に係る標識生体分子試薬の依頼の受け取り、処理、及び出力に関するフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を更に詳細に説明する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、従って異なり得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は詳細な実施形態を説明することが目的であるに過ぎず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定する意図はないことも理解されるべきである。
【0017】
値の範囲が提供される場合、文脈上特に明確に指示されない限り下限の単位の10分の1に至るまでの、その範囲の上限と下限との間にある各中間値及び任意の他の記載される値又はその記載される範囲の中間値は、本発明の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、記載される範囲における任意の具体的に除外される限界値を条件として、独立にそのより小さい範囲に含まれ得ると共に、同様に本発明の範囲内に包含される。記載される範囲が限界値の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方又は両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0018】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様の又は均等な任意の方法及び材料も本発明の実施又は試験に用いることができるが、ここでは代表的な例示的方法及び材料について記載する。
【0019】
本明細書に引用される全ての刊行物及び特許は、各個別の刊行物又は特許が参照によって援用されることが具体的且つ個別的に指示されたのと同様に本明細書に参照により援用され、及びそれらの刊行物が引用される関連の方法及び/又は材料を開示及び記載するために本明細書に参照により援用される。任意の刊行物の引用は、出願日より前のその開示についてであり、先行発明であることに基づき、本発明がかかる刊行物に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されてはならない。更に、提供される刊行日は実際の刊行日と異なり得るため、実際の刊行日を別途確認する必要があり得る。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上特に明確に指示されない限り複数形の指示対象を含むことが注記される。更に、特許請求の範囲は、いかなる任意選択の要素も除外するように作成され得ることが注記される。そのため、この記載は、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「のみ」などのような排他的な用語の使用、又は「否定的な」限定の使用の先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0021】
本開示を読めば当業者に明らかであるように、本明細書に説明及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく他の幾つかの実施形態のいずれかの特徴と容易に分離し得るか又はそれと組み合わせ得る個別的な構成要素及び特徴を有する。記載されるいずれの方法も、記載されるイベントの順序又は論理的に可能な任意の他の順序で実施することができる。
【0022】
上記に要約したとおり、本開示は、標識生体分子試薬の調製に用いられるシステムを提供する。本開示の実施形態の更なる説明にあたり、初めに、標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、生体分子及び標識保管識別子を提供するための出力部とを備えるシステムについて更に詳細に説明する。次に、活性化生体分子及び活性化標識から標識生体分子試薬を調製するための試薬調製装置について説明する。標識生体分子試薬の依頼を通信し且つ受け取り、及び主題の標識生体分子試薬を調製する方法も提供される。
【0023】
標識生体分子試薬の調製に用いられるシステム
本開示の態様は、標識生体分子試薬の調製に用いられるシステムを含む。特定の実施形態に係るシステムは、標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、標識生体分子試薬の依頼の1つ以上の構成要素(例えば、生体分子、標識等)に対応する複数の保管識別子を有するデータセットを保管するためのメモリと、メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応するデータセットから保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、特定された保管識別子を提供するための出力部とを備える。以下に更に詳細に記載するとおり、用語「標識生体分子」試薬は、検出可能マーカーに(例えば、共有結合性の結合を介して)結合された生体高分子を指す。生体高分子はバイオポリマーであり得る。「バイオポリマー」は、1種類以上の繰り返し単位のポリマーである。バイオポリマーは、典型的には生体システムに見られ、特に多糖類(炭水化物など)、及びペプチド(この用語は、ポリペプチド、及び多糖に付加されているか否かに関わらずタンパク質を含んで用いられる)、及びポリヌクレオチド並びにこれらの類似体、例えば、アミノ酸類似体又は非アミノ酸基、又はヌクレオチド類似体又は非ヌクレオチド基で構成された又はそれらを含有する化合物などが含まれる。これには、通常の主鎖が天然に存在しないか又は合成の主鎖に置き換えられているポリヌクレオチド、及び通常の塩基の1つ以上が、ワトソン・クリック型水素結合相互作用に関与する能力を有する基(天然又は合成の)に置き換えられている核酸(又は合成の若しくは天然に存在する類似体)が含まれる。ポリヌクレオチドは一本鎖又は多重鎖構成を含み、ここで、鎖の1つ以上が別の鎖と完全に整列していることも、又は整列していないこともある。具体的には、「バイオポリマー」には、供給源に関わらず、DNA(cDNAを含む)、RNA及びオリゴヌクレオチドが含まれる。従って、生体分子には、多糖類、核酸及びポリペプチドが含まれ得る。例えば、核酸は、オリゴヌクレオチド、トランケート型又は完全長DNA又はRNAであり得る。実施形態において、オリゴヌクレオチド、トランケート型及び完全長DNA又はRNAは10ヌクレオチドモノマー以上、15以上など、25以上など、50以上など、100以上など、250以上など及び500以上を含めたヌクレオチドモノマーで構成される。例えば、目的のオリゴヌクレオチド、トランケート型及び完全長DNA又はRNAは、長さが10ヌクレオチド~108 ヌクレオチド、102 ヌクレオチド~107 ヌクレオチドなどの103 ヌクレオチド~106 ヌクレオチドを含めた範囲であってもよい。実施形態において、バイオポリマーは単一ヌクレオチド又は短鎖オリゴヌクレオチド(例えば、10ヌクレオチド未満)ではない。「完全長」とは、DNA又はRNAがその完全な配列(自然中に見られるものなど)の70%以上(75%以上など、80%以上など、85%以上など、90%以上など、95%以上など、97%以上など、99%以上など及びDNA又はRNAの完全長配列(自然中に見られるものなど)の100%を含む)を有する核酸ポリマーであることが意味される。
【0024】
ポリペプチドは、特定の例では、トランケート型又は完全長タンパク質、酵素又は抗体であってもよい。実施形態において、ポリペプチド、トランケート型及び完全長タンパク質、酵素又は抗体は、10アミノ酸モノマー以上、15以上など、25以上など、50以上など、100以上など、250以上など及び500以上を含めたアミノ酸モノマーで構成される。例えば、目的のポリペプチド、トランケート型及び完全長タンパク質、酵素又は抗体は、長さが10アミノ酸~108 アミノ酸、102 アミノ酸~107アミノ酸などの103 アミノ酸~106 アミノ酸を含めた範囲であってもよい。実施形態において、バイオポリマーは単一アミノ酸又は短鎖ポリペプチド(例えば、10アミノ酸未満)ではない。「完全長」とは、タンパク質、酵素又は抗体がその完全な配列(自然中に見られるものなど)の70%以上(75%以上など、80%以上など、85%以上など、90%以上など、95%以上など、97%以上など、99%以上など及びタンパク質、酵素又は抗体の完全長配列(自然中に見られるものなど)の100%を含む)を有するポリペプチドポリマーであることが意味される。
【0025】
本開示の実施形態において、標識は、例えば、蛍光発光、吸光度、蛍光偏光、蛍光寿命、蛍光波長、吸光度極大、吸光波長、ストークスシフト、光散乱、質量、分子質量、酸化還元、音響、ラマン、磁性、高周波、酵素反応(化学発光及び電気化学発光を含む)又はこれらの組み合わせに基づき検出可能な検出可能部分又はマーカーである。例えば、標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ(例えば、同位体的に純粋な希土類元素)、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子であってもよい。
【0026】
システムは、標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部を備える。標識生体分子試薬の依頼は1つ以上の構成要素を含み得る。一部の例では、標識生体分子試薬の依頼は単一の構成要素を含み、標識生体分子依頼(即ち、反応性リンカーを介して標識に共有結合的に結合された生体分子の依頼)である。他の例では、標識生体分子試薬の依頼は2つ以上の構成要素を含む。例えば、標識生体分子試薬の依頼には、生体分子依頼と標識依頼とが含まれる。特定の実施形態において、生体分子依頼は、生体分子と反応性リンカーとを含む活性化生体分子依頼であり、及び標識依頼は、標識と反応性リンカーとを含む活性化標識依頼である。
【0027】
語句「標識生体分子依頼」、「生体分子依頼」及び「標識依頼」は、本明細書では、それぞれ特定の標識生体分子、生体分子又は標識に関連する情報又はデータを指して使用される。依頼は、特定の標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーに関連する一続きの1つ以上の文字(例えば、英数字)、記号、画像又は他のグラフィック表現を含み得る。一部の例では、依頼は、標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーの「省略された」呼称である。例えば、依頼は受託番号又はプローブ配列の略称を含み得る。依頼は、化学構造又は反応性などの記述的情報も含み得る。情報又はデータは、特定の実施形態において、標識生体分子、生体分子又は標識の任意の好適な識別子であってもよく、限定されないが、生体分子の名称、モノマー配列、配列識別番号、受託番号又は生物学的供給源、及び標識の名称、化学構造、ケミカルアブストラクツサービス(CAS)登録番号又はマーカークラス(例えば、蛍光、磁性)が含まれ得る。
【0028】
一部の実施形態において、生体分子は目的の分析物に対する生物学的プローブであり、生体分子依頼は、目的の分析物に結合する特異的結合ドメインに関する情報又はデータを含む。目的の特異的結合ドメインとしては、限定されないが、抗体結合剤、タンパク質、ペプチド、ハプテン、核酸等が挙げられる。用語「抗体結合剤」は、本明細書で使用されるとき、ポリクローナル又はモノクローナル抗体又は目的の分析物に結合するために十分な断片を含む。抗体断片は、例えば、モノマーFab断片、モノマーFab’断片、又はダイマーF(ab)’2断片であってもよい。用語「抗体結合剤」の範囲内には、抗体工学によって作製される分子、例えば一本鎖抗体分子(scFv)、又はモノクローナル抗体からキメラ抗体を作製するための重鎖及び軽鎖の定常領域の置換、若しくはヒト化抗体を作製するための定常領域及び可変領域のフレームワーク部分の両方の置換によって作製されるヒト化若しくはキメラ抗体もある。
【0029】
一部の例では、生体分子はポリペプチドであり、生体分子依頼は、ポリペプチド名、タンパク質名、酵素名、抗体名又はこれらのタンパク質、酵素若しくは抗体断片の名称、特定の生体液(例えば、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水、羊膜臍帯血、尿、腟液及び精液)に由来するポリペプチド、特定の種に由来するポリペプチド(例えば、マウスモノクローナル抗体)及びアミノ酸配列識別番号などの情報を含み得る。
【0030】
他の例では、生体分子は核酸であり、生体分子依頼は、オリゴヌクレオチド名、遺伝子名によって特定されるオリゴヌクレオチド、受託番号によって特定されるオリゴヌクレオチド、特定の種(例えば、マウス、ヒト)の遺伝子のオリゴヌクレオチド、特定の組織(例えば、肝臓、脳、心臓)に関連する遺伝子のオリゴヌクレオチド、特定の生理機能(例えば、アポトーシス、ストレス応答)に関連する遺伝子のオリゴヌクレオチド、特定の病状(例えば、癌、心血管疾患)に関連する遺伝子のオリゴヌクレオチド及びヌクレオチド配列などの情報を含み得る。
【0031】
上記で考察したとおり、標識には、例えば、蛍光発光、吸光度、蛍光偏光、蛍光寿命、蛍光波長、吸光波長、ストークスシフト、光散乱、質量、分子質量、酸化還元、音響、ラマン、磁性、高周波、酵素反応(化学発光及び電気化学発光を含む)又はこれらの組み合わせに基づき検出可能な検出可能部分又はマーカーが含まれ得る。例えば、標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ(例えば、同位体的に純粋な希土類元素)、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子であってもよい。特定の実施形態において、標識はフルオロフォア(即ち、蛍光標識、蛍光色素等)である。目的のフルオロフォアとしては、限定されないが、分析適用(例えば、フローサイトメトリー、イメージング等)での使用に好適な色素、例えば、アクリジン色素、アントラキノン色素、アリールメタン色素、ジアリールメタン色素(例えば、ジフェニルメタン色素)、クロロフィル含有色素、トリアリールメタン色素(例えば、トリフェニルメタン色素)、アゾ色素、ジアゾニウム色素、ニトロ色素、ニトロソ色素、フタロシアニン色素、シアニン色素、不斉シアニン色素、キノンイミン色素、アジン色素、ユーロジン(eurhodin)色素、サフラニン色素、インダミン類、インドフェノール色素、フッ素色素、オキサジン色素、オキサゾン色素、チアジン色素、チアゾール色素、キサンテン色素、フルオレン色素、ピロニン色素、フッ素色素、ローダミン色素、フェナントリジン色素、並びに前述の色素の2つ以上を(例えば、タンデムで)組み合わせる色素、1つ以上のモノマー色素単位を有するポリマー色素及びこれらの前述の色素の2つ以上の混合物を挙げることができる。多くの色素が、例えば、Molecular Probes(Eugene、OR)、Dyomics GmbH(Jena、Germany)、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO)、Sirigen,Inc.(Santa Barbara、CA)及びExciton(Dayton、OH)など、種々の供給元から市販されている。例えば、フルオロフォアとしては、4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸;アクリジン及び誘導体、例えば、アクリジン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、アクリジンレッド、及びアクリジンイソチオシアネート;アロフィコシアニン、フィコエリトリン、ペリジニン-クロロフィルタンパク質、5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS);4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5ジスルホネート(ルシファーイエローVS);N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;ブリリアントイエロー;クマリン及び誘導体、例えば、クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクルアリン(trifluoromethylcouluarin)(クマラン(Coumaran)151));シアニン及び誘導体、例えば、シアノシン、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、及びCy7;4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI);5’,5”-ジブロモピロガロール-スルホンフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン;ジエチルアミノクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート;4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸;4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸;5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、塩化ダンシル);4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL);4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC);エオシン及び誘導体、例えば、エオシン及びエオシンイソチオシアネート;エリスロシン及び誘導体、例えば、エリスロシンB及びエリスロシンイソチオシアネート;エチジウム;フルオレセイン及び誘導体、例えば、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、フルオレセインクロロトリアジニル、ナフトフルオレセイン、及びQFITC(XRITC);フルオレサミン;IR144;IR1446;緑色蛍光タンパク質(GFP);造礁サンゴ蛍光タンパク質(RCFP);Lissamine(登録商標);リサミンローダミン、ルシファーイエロー;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4-メチルウンベリフェロン;オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラロザニリン;ナイルレッド;オレゴングリーン;フェノールレッド;B-フィコエリトリン;o-フタルジアルデヒド;ピレン及び誘導体、例えば、ピレン、ピレンブチレート及びスクシンイミジル1-ピレンブチレート;リアクティブレッド4(Cibacron(登録商標)ブリリアントレッド3B-A);ローダミン及び誘導体、例えば、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、4,7-ジクロロローダミンリサミン、ローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、及びテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸及びテルビウムキレート誘導体;キサンテン;イソチオシアン酸フルオレセイン-デキストランなどの色素コンジュゲートポリマー(即ち、ポリマー付加色素)並びに2つ以上の色素を(例えば、タンデムで)組み合わせる色素、1つ以上のモノマー色素単位を有するポリマー色素及び前述の色素の2つ以上の混合物又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0032】
一部の例では、フルオロフォア(即ち色素)は蛍光ポリマー色素である。主題の方法及びシステムにおいて有用性が見出される蛍光ポリマー色素は様々である。本方法の一部の例では、ポリマー色素はコンジュゲートポリマーを含む。コンジュゲートポリマー(CP)は、不飽和結合(例えば、二重及び/又は三重結合)と飽和結合(例えば、単結合)とが交互になった主鎖を含み、π電子が一方の結合から他方の結合へと移ることができる非局在化電子構造によって特徴付けられる。従って、コンジュゲート主鎖はポリマー色素に拡張した線状構造を付与することができ、ここで、ポリマーの繰り返し単位間の結合角は制限されている。例えば、タンパク質及び核酸は、同様にポリマーであるものの、場合により拡張したロッド構造を形成せず、むしろ高次三次元形状に折り畳まれる。加えて、CPは「リジッドロッド」ポリマー主鎖を形成し、ポリマー主鎖に沿ったモノマー繰り返し単位間のツイスト角(例えば、ねじれ角)の制限を受ける。一部の例では、ポリマー色素は、リジッドロッド構造を有するCPを含む。上記に要約したとおり、ポリマー色素の構造特性は分子の蛍光特性に効果を及ぼし得る。
【0033】
主題の方法及びシステムでは、任意の好都合なポリマー色素を利用し得る。一部の例では、ポリマー色素は、光を集めてフルオロフォアの蛍光出力を増幅することが可能な構造を有する多発色団である。一部の例では、ポリマー色素は、光を集めて、それをより長い波長の放射光に効率的に変換することが可能である。一部の場合、ポリマー色素は、エネルギーを隣接した発光種に効率的に移動させることができる集光性多発色団システムを有する(例えば、「シグナリング発色団」)。エネルギー移動機構としては、例えば、共鳴エネルギー移動(例えば、フェルスター(又は蛍光)共鳴エネルギー移動、FRET)、量子電荷交換(デクスター型エネルギー移動)などが挙げられる。一部の例では、これらのエネルギー移動機構は比較的近距離である。即ち、集光性多発色団システムがシグナリング発色団に近接していると、効率的なエネルギー移動がもたらされる。効率的なエネルギー移動条件下では、集光性多発色団システム中の個々の発色団の数が多い場合、シグナリング発色団からの発光の増幅が起こる。即ち、シグナリング発色団からの発光は、入射光(「励起光」)が集光性多発色団システムによって吸収される波長である場合、シグナリング発色団がポンプ光によって直接励起された場合よりも高強度となる。
【0034】
多発色団はコンジュゲートポリマーであってもよい。コンジュゲートポリマー(CP)は非局在化電子構造によって特徴付けられ、化学的及び生物学的標的の高応答性の光学的レポーターとして使用することができる。有効コンジュゲーション長さはポリマー鎖の長さよりも実質的に短いため、主鎖には多数のコンジュゲートセグメントが近接して含まれる。従って、コンジュゲートポリマーは集光に効率的であり、エネルギー移動による光学的増幅が可能である。
【0035】
一部の例では、ポリマーは、直接的な蛍光レポーター、例えば高吸光係数、高輝度等の蛍光ポリマーとして用いられ得る。一部の例では、ポリマーは、色又は光学濃度が指標として用いられる強発色団として用いられ得る。
【0036】
目的のポリマー色素としては、限定されないが、Gaylordらによる米国特許出願公開第2004/0142344号明細書、同第2008/0293164号明細書、同第2008/0064042号明細書、同第2010/0136702号明細書、同第2011/0256549号明細書、同第2012/0028828号明細書、同第2012/0252986号明細書、同第2013/0190193号明細書及び同第2016/0025735号明細書(これらの開示は本明細書に全体として参照により援用される);及びGaylord et al.,J.Am.Chem.Soc.,2001,123(26),pp6417-6418;Feng et al.,Chem.Soc.Rev.,2010,39,2411-2419;及びTraina et al.,J.Am.Chem.Soc.,2011,133(32),pp12600-12607(これらの開示は本明細書に全体として参照により援用される)に記載される色素が挙げられる。
【0037】
一部の実施形態において、ポリマー色素は、第1の光学活性単位が光を吸収して励起状態を形成する第1の吸収波長(例えば、本明細書に記載されるとおりの)を有するコンジュゲートシステムを形成する複数の第1の光学活性単位を含むコンジュゲートポリマーを含む。コンジュゲートポリマー(CP)は、ポリカチオン系、ポリアニオン系及び/又は電荷中性コンジュゲートポリマーであり得る。
【0038】
CPは生体試料への使用向けに水溶性であってもよい。ポリマー色素には、親水性置換基、例えば親水性ポリマー、又は荷電置換基、例えば、水溶液中、例えば生理的条件下で正電荷又は負電荷の基など、水への溶解度の増加をもたらす任意の好都合な置換基が含まれ得る。任意の好都合な水溶性基(WSG)を主題の集光性多発色団において利用し得る。用語「水溶性基」は、水性環境中に良好に溶媒和し、且つそれが付加されている分子に水溶性の向上を付与する官能基を指す。一部の実施形態において、WSGは、WSGを欠く多発色団と比較した場合、主に水性の溶液(例えば、本明細書に記載されるとおりの)に対する多発色団の溶解度を増加させる。水溶性基は、水性環境中に良好に溶媒和する任意の好都合な親水基であってもよい。一部の場合、親水性水溶性基は荷電しており、例えば、正電荷又は負電荷又は両性イオン性である。特定の場合、親水性水溶性基は中性親水基である。一部の実施形態において、WSGは、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース、キトサン、又はこれらの誘導体である。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「ポリエチレングリコール」及び「PEG」は同義的に使用され、式-(CH2 -CH2 -O-)n -によって記載される鎖を含むポリマー又はその誘導体を指す。一部の実施形態において、「n」は、5000以下、例えば1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、例えば5~15、又は10~15である。PEGポリマーは任意の好都合な長さであってよく、限定されないが、アルキル、アリール、ヒドロキシル、アミノ、アシル、アシルオキシ、及びアミド末端基を含めた種々の末端基を含み得ることが理解される。主題の多発色団における使用に適し得る機能化されたPEGには、S.Zalipskyによって“Functionalized poly(ethylene glycol)for preparation of biologically relevant conjugates”,Bioconjugate Chemistry 1995,6(2),150-165に記載されるPEGが含まれる。目的の水溶性基としては、限定されないが、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、エステル、ポリエチレングリコール類(PEG)及び修飾PEG、ヒドロキシル、アミン、アンモニウム、グアニジニウム、ポリアミン及びスルホニウム、多価アルコール類、直鎖又は環状糖類、第1級、第2級、第3級、又は第4級アミン類及びポリアミン類、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、アスコルビン酸基、グリコール類、例えば、ポリエーテル類、-COOM’、-SO3 M’、-PO3 M’、-NR3 +,Y’、(CH2 CH2 O)p R及びこれらの混合物(式中、Y’は任意のハロゲン、硫酸塩、スルホン酸塩、又は酸素含有アニオンであってよく、pは1~500であってよく、各Rは独立にH又はアルキル(メチルなど)であってよく、及びM’はカチオン性対イオン又は水素、-(CH2 CH2 O)yyCH2 CH2 XRyy、-(CH2 CH2 O)yyCH2 CH2 X-、-X(CH2 CH2 O)yyCH2 CH2 -、グリコール、及びポリエチレングリコール(式中、yyは1~1000から選択され,XはO、S、及びNRzzから選択され、且つRzz及びRyyは独立にH及びC1~3アルキルから選択される)であってもよい)が挙げられる。
【0040】
ポリマー色素は任意の好都合な長さを有し得る。一部の場合、ポリマー色素のモノマー繰り返し単位又はセグメントの特定の数は、2~500,000、例えば2~100,000、2~30,000、2~10,000、2~3,000又は2~1,000単位又はセグメント、又は例えば100~100,000、200~100,000、又は500~50,000単位又はセグメントの範囲内に含まれ得る。特定の例では、ポリマー色素のモノマー繰り返し単位又はセグメントの数は、2~1000単位又はセグメント、2~750単位又はセグメントなど、2~500単位又はセグメントなど、2~250単位又はセグメントなど、2~150単位又はセグメントなど、2~100単位又はセグメントなど、2~75単位又はセグメントなど、2~50単位又はセグメントなどの及び2~25単位又はセグメントを含めた範囲内である。
【0041】
ポリマー色素は任意の好都合な分子量(MW)であってよい。一部の場合、ポリマー色素のMWは平均分子量として表され得る。一部の例では、ポリマー色素は、500~500,000、例えば1,000~100,000、2,000~100,000、10,000~100,000の平均分子量又は更には50,000~100,000の平均分子量を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は70,000の平均分子量を有する。
【0042】
特定の例では、ポリマー色素は以下の構造:
【0043】
【化1】
【0044】
を含み、式中、CP1 、CP2 、CP3 及びCP4 は、独立に、コンジュゲートポリマーセグメント又はオリゴマー構造であり、ここで、CP1 、CP2 、CP3 及びCP4 のうちの1つ以上はバンドギャップ修飾nコンジュゲート繰り返し単位である。
【0045】
一部の実施形態において、コンジュゲートポリマーは、数あるコンジュゲートポリマータイプの中でも特に、ポリフルオレンコンジュゲートポリマー、ポリフェニレンビニレンコンジュゲートポリマー、ポリフェニレンエーテルコンジュゲートポリマー、ポリフェニレンポリマーである。
【0046】
一部の例では、ポリマー色素は以下の構造:
【0047】
【化2】
【0048】
を含み、式中、各R1 は独立に可溶化基又はリンカー-色素であり、L1 及びL2 は任意選択のリンカーであり、各R2 は独立にH又はアリール置換基であり、各A1 及びA2 は独立にH、アリール置換基又はフルオロフォアであり、G1 及びG2 は、各々独立に、末端基、πコンジュゲートセグメント、リンカー及び連結された特異的結合メンバーからなる群から選択され、各n及び各mは独立に0又は1~10,000の整数であり、及びpは1~100,000の整数である。目的の可溶化基としては、限定されないが、親水性ポリマー(例えば、ポリアルキレンオキシド、セルロース、キトサン等)などの水溶性官能基、並びにポリアルキレンオキシド(例えば、2~20単位のPEGを含むポリエチルグリコール(polyethylglycol))、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの親水基で更に置換されているアルキル、アリール及び複素環基などが挙げられ、更に荷電(正電荷、負電荷又は両性イオン性)親水性水溶性基などを有する。
【0049】
一部の場合、ポリマー色素は、ポリマー主鎖の一部として、以下の構造:
【0050】
【化3】
【0051】
のうちの1つを有するコンジュゲートセグメントを含み、式中、各R3 は、独立に、親水性ポリマー(例えば、ポリアルキレンオキシド、セルロース、キトサン等)などの任意選択で置換されている水溶性官能基、又はポリアルキレンオキシド(例えば、2~20単位のPEGを含むポリエチルグリコール(polyethylglycol))、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの親水基で更に置換されているアルキル若しくはアリール基であり、更に荷電(正電荷、負電荷又は両性イオン性)親水性水溶性基を有し、Arは、任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリール基であり、及びnは1~10000である。特定の実施形態において、R3 は任意選択で置換されているアルキル基である。特定の実施形態において、R3 は任意選択で置換されているアリール基である。一部の場合、R3 は、ポリエチレングリコール、色素、化学選択的官能基又は特異的結合部分で置換されている。一部の場合、Arは、ポリエチレングリコール、色素、化学選択的官能基又は特異的結合部分で置換されている。
【0052】
一部の例では、ポリマー色素は以下の構造:
【0053】
【化4】
【0054】
を含み、式中、各R1 は可溶化基又はリンカー-色素基であり、各R2 は独立にH又はアリール置換基であり、L1 及びL2 は任意選択のリンカーであり、各A1 及びA3 は独立にH、フルオロフォア、官能基又は特異的結合部分(例えば、抗体)であり、及びn及びmは各々独立に0~10000であり、ここで、n+m>1である。
【0055】
ポリマー色素は、特定の吸収極大波長、特定の発光極大波長、吸光係数、量子収量など、1つ以上の望ましい分光学的特性を有し得る(例えば、Chattopadhyay et al.,“Brilliant violet fluorophores:A new class of ultrabright fluorescent compounds for immunofluorescence experiments.”Cytometry Part A,81A(6),456-466,2012を参照されたい)。
【0056】
一部の実施形態において、ポリマー色素は280~850nmの吸収曲線を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は280~850nmの範囲の吸収極大を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は280~850nmの範囲の波長を有する入射光を吸収し、ここで、目的の吸収極大の具体的な例としては、限定されないが、以下の348nm、355nm、405nm、407nm、445nm、488nm、640nm及び652nmが挙げられる。一部の例では、ポリマー色素は、280~310nm、305~325nm、320~350nm、340~375nm、370~425nm、400~450nm、440~500nm、475~550nm、525~625nm、625~675nm及び650~750nmからなる群から選択される範囲の吸収極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は348nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は355nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は405nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は407nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は445nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は488nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は640nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は652nmの吸収極大波長を有する。
【0057】
一部の実施形態において、ポリマー色素は、400~850nm、例えば415~800nmの範囲の発光極大波長を有し、ここで、目的の発光極大の具体的な例としては、限定されないが、以下の395nm、421nm、445nm、448nm、452nm、478nm、480nm、485nm、491nm、496nm、500nm、510nm、515nm、519nm、520nm、563nm、570nm、578nm、602nm、612nm、650nm、661nm、667nm、668nm、678nm、695nm、702nm、711nm、719nm、737nm、785nm、786nm、805nmが挙げられる。一部の例では、ポリマー色素は、380~400nm、410~430nm、470~490nm、490~510nm、500~520nm、560~580nm、570~595nm、590~610nm、610~650nm、640~660nm、650~700nm、700~720nm、710~750nm、740~780nm及び775~795nmからなる群から選択される範囲の発光極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は395nmの発光極大を有する。一部の例では、ポリマー色素は421nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は478nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は480nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は485nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は496nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は510nmの発光極大波長を有する。一部の場合、ポリマー色素は570nmの発光極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は602nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は650nmの発光極大波長を有する。特定の場合、ポリマー色素は711nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は737nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は750nmの発光極大波長を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は786nmの発光極大波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は421nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は510nm±5nmの発光極大波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は570nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は602nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は650nm±5nmの発光極大波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は711nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の場合、ポリマー色素は786nm±5nmの発光極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は、421nm、510nm、570nm、602nm、650nm、711nm及び786nmからなる群から選択される発光極大を有する。
【0058】
一部の例では、ポリマー色素は、1×106 cm-1-1以上、例えば2×106 cm-1-1以上、2.5×106 cm-1-1以上、3×106 cm-1-1以上、4×106 cm-1-1以上、5×106 cm-1-1以上、6×106 cm-1-1以上、7×106 cm-1-1以上、又は8×106 cm-1-1以上の吸光係数を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、0.95以上、0.99以上などの及び0.999以上を含めた量子収量を有する。例えば、目的のポリマー色素の量子収量は、0.05~1、0.1~0.95など、0.15~0.9など、0.2~0.85など、0.25~0.75など、0.3~0.7などの及び0.4~0.6の量子収量を含めた範囲であってもよい。特定の場合、ポリマー色素は0.1以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.3以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.5以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.6以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.7以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.8以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.9以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.95以上の量子収量を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は1×106 以上の吸光係数及び0.3以上の量子収量を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は2×106 以上の吸光係数及び0.5以上の量子収量を有する。
【0059】
標識生体分子試薬は、活性化生体分子を活性化標識と結合することにより調製される。用語「活性化」は、本明細書では、適切な条件下で実行した場合に第2の反応性リンカー又は第2の反応性部分と反応して、例えばイオン結合(電荷間相互作用)、非共有結合(例えば、双極子間又は電荷-双極子)又は共有結合など、化学的連結を形成する反応性リンカー又は反応性部分を有する生体分子又は標識を指して使用される。一部の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー又は部分は活性化標識の反応性リンカー又は部分と反応してイオン結合を生成する。他の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー又は部分は活性化標識の反応性リンカー又は部分と反応して非共有結合を生成する。更に他の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー又は部分は活性化標識の反応性リンカー又は部分と反応して共有結合を生成する。
【0060】
特定の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー又は部分は活性化標識の反応性リンカー又は部分と反応して共有結合を生成する。活性化生体分子の反応性リンカーと活性化標識の反応性リンカーとの間に共有結合を形成するために好都合な任意のプロトコルを用いることができ、数ある結合形成反応タイプの中でも特に、限定されないが、付加反応、脱離反応、置換反応、ペリ環状反応、光化学反応、酸化還元反応、ラジカル反応、カルベン中間体を介した反応、メタセシス反応が挙げられる。一部の実施形態において、活性化生体分子は反応性連結ケミストリーを用いて活性化標識にコンジュゲートされてもよく、例えば反応性リンカー対としては、限定されないが、マレイミド/チオール;チオール/チオール;ピリジルジチオール/チオール;ヨード酢酸スクシンイミジル/チオール;N-スクシンイミジルエステル(NHSエステル)、スルホジコロルフェノールエステル(sulfodicholorphenol ester)(SDPエステル)、又はペンタフルオロフェニルエステル(PFPエステル)/アミン;ビススクシンイミジルエステル/アミン;イミドエステル類/アミン類;ヒドラジン又はアミン/アルデヒド、ジアルデヒド又はベンズアルデヒド;イソシアネート/ヒドロキシル又はアミン;炭水化物-過ヨウ素酸塩/ヒドラジン又はアミン;ジアジリン/アリールアジドケミストリー;ピリジルジチオール/アリールアジドケミストリー;アルキン/アジド;カルボキシ-カルボジイミド/アミン;アミン/スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート)/チオール及びアミン/BMPH(N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド.TFA)/チオール;アジド/トリアリールホスフィン;ニトロン/シクロオクチン;アジド/テトラジン及びホルミルベンズアミド/ヒドラジノ-ニコチンアミドが挙げられる。特定の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー及び活性化標識の反応性リンカーは、1,3-双極性環化付加(例えば、アジド-アルキンヒュスゲン付加環化)、ディールス・アルダー反応、逆電子要求性ディールス・アルダー付加環化、エン反応又は[2+2]光化学環化付加反応を起こすリンカーを含め、[1+2]付加環化、[2+2]付加環化、[3+2]付加環化、[2+4]付加環化、[4+6]付加環化、又はキレトロピー反応などの環化付加反応を起こす。
【0061】
特定の実施形態において、生体分子依頼及び標識依頼は、活性化生体分子及び活性化標識の反応性リンカーに関する情報又はデータを含む。例えば、生体分子依頼及び標識依頼は、反応性リンカーの名称、化学構造、反応性リンカーの構造記述又は反応性リンカーCAS番号に関する情報又はデータを含み得る。特定の実施形態において、生体分子依頼及び標識依頼は反応性リンカー対の名称を含み、例えば、ここで、反応性リンカー対は、マレイミド/チオール;チオール/チオール;ピリジルジチオール/チオール;ヨード酢酸スクシンイミジル/チオール;N-スクシンイミジルエステル(NHSエステル)、スルホジコロルフェノールエステル(sulfodicholorphenol ester)(SDPエステル)、又はペンタフルオロフェニルエステル(PFPエステル)/アミン;ビススクシンイミジルエステル/アミン;イミドエステル類/アミン類;ヒドラジン又はアミン/アルデヒド、ジアルデヒド又はベンズアルデヒド;イソシアネート/ヒドロキシル又はアミン;炭水化物-過ヨウ素酸塩/ヒドラジン又はアミン;ジアジリン/アリールアジドケミストリー;ピリジルジチオール/アリールアジドケミストリー;アルキン/アジド;カルボキシ-カルボジイミド/アミン;アミン/スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート)/チオール及びアミン/BMPH(N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド.TFA)/チオール;アジド/トリアリールホスフィン;ニトロン/シクロオクチン;アジド/テトラジン及びホルミルベンズアミド/ヒドラジノ-ニコチンアミド;ジエン/ジエノフィル;及び1,3-ダイポール/ダイポーラロフィルから選択され得る。
【0062】
入力部は、標識生体分子の依頼を受け取るように構成される。標識生体分子試薬の依頼を受け取るため、入力部は、1つ以上の標識生体分子試薬の依頼が入力されるグラフィカルユーザインターフェースに操作可能に結合される。特定の例では、標識生体分子試薬の依頼はインターネットウェブサイトメニューインターフェース(例えば、遠隔地にある)で入力され、インターネット又はローカルエリアネットワークを介して入力部に通信される。一部の実施形態において、入力部は複数の標識生体分子試薬の依頼を受け取るように構成される。例えば、入力部は2つ以上の標識生体分子試薬の依頼、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた標識生体分子試薬の依頼を受け取るように構成され得る。
【0063】
標識生体分子試薬の依頼が単一の構成要素のみを含み、且つ標識生体分子依頼である場合、入力部は、2つ以上の標識生体分子依頼、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた標識生体分子依頼を受け取るように構成され得る。標識生体分子試薬の依頼が、生体分子依頼と標識依頼など、2つの構成要素を含む場合、入力部は、2つ以上の生体分子依頼、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた生体分子依頼を受け取るように構成され、且つ2つ以上の標識依頼、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた標識依頼を受け取るように構成され得る。一部の例では、入力部は、単一の生体分子依頼と単一の標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るように構成される。他の例では、入力部は、単一の生体分子依頼と複数の異なる標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るように構成される。更に他の例では、入力部は、複数の異なる生体分子依頼と単一の標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るように構成される。なおも他の例では、入力部は、複数の異なる生体分子依頼と複数の異なる標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るように構成される。入力部は、単一のユーザ又は複数の異なるユーザ、2人以上の異なるユーザなど、5人以上の異なるユーザなど、10人以上の異なるユーザなど、25人以上の異なるユーザなど及び100人以上を含めた異なるユーザから標識生体分子依頼を受け取るように構成される。
【0064】
実施形態において、入力部は、依頼された標識生体分子試薬の所望の量に対応する数量依頼も受け取るように構成される。数量依頼は、数値及び単位(例えば、μg、μモル、μM等)の値をテキストボックスに打ち込むか、適切な数値及び単位値に対応するチェックボックスを選択するか、又は第1のドロップダウンメニューから数値を選択し、且つ第2のドロップダウンメニューから単位値を選択することにより入力され得る。
【0065】
一部の実施形態において、入力部は、標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーの1つ以上の検索可能なデータベース(例えば、カタログ)に操作可能に結合される。特定の例では、入力部は標識生体分子のデータベースを含む。他の例では、入力部は活性化生体分子及び活性化標識のデータベースを含む。更に他の例では、入力部は生体分子、標識及び反応性リンカーのデータベースを含む。
【0066】
標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーの各データベースの全て又は一部が、グラフィカルユーザインターフェース上に、リスト、ドロップダウンメニュー又は他の構成(例えば、タイル)などで表示され得る。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、各標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーのリストを同時に(即ち単一の画面に)表示してもよく、又は標識生体分子試薬の依頼の構成要素毎にドロップダウンメニューを含んでもよい。他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は、適切なテキスト領域に情報を入力するか、チェックボックスを選択するか、ドロップダウンメニューから1つ以上のアイテムを選択するか、又はこれらの組み合わせを用いることにより提供される。
【0067】
一例において、グラフィカルユーザインターフェースはドロップダウンメニューを含み、このドロップダウンメニューから1つ以上の標識生体分子を選択することにより標識生体分子試薬の依頼を入力する。別の例において、グラフィカルユーザインターフェースは生体分子依頼を入力する第1のドロップダウンメニューと、標識依頼を入力する第2のドロップダウンメニューとを含み、入力は、これらの第1及び第2のドロップダウンメニューから1つ以上の生体分子及び1つ以上の標識を選択することによる。更に別の例では、グラフィカルユーザインターフェースは生体分子依頼を入力する第1のドロップダウンメニューと、標識依頼を入力する第2のドロップダウンメニューと、反応性リンカー依頼を入力する第3のドロップダウンメニューとを含み、入力は、これらのドロップダウンメニューから1つ以上の生体分子、1つ以上の標識及び1つ以上の反応性リンカーを選択することによる。なおも別の例において、グラフィカルユーザインターフェースは、活性化生体分子依頼を入力する第1のドロップダウンメニューと、活性化標識依頼を入力する第2のドロップダウンメニューとを含み、入力は、これらの第1及び第2のドロップダウンメニューから1つ以上の活性化生体分子及び1つ以上の活性化標識を選択することによる。
【0068】
別の例において、グラフィカルユーザインターフェースは、データベースで利用可能な標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーのリストを含む。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、各標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーのリストを同時に1つ以上の画面に表示してもよく、又は標識生体分子試薬の依頼の構成要素毎にドロップダウンメニューを含んでもよい。一部の例では、全ての利用可能な標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーのリストが単一のページに表示される。他の例では、全ての利用可能な標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーのリストが、2ページ以上など、3ページ以上など、5ページ以上など、10ページ以上など及び25ページ以上を含め、複数のページに表示される。更に他の例では、全ての利用可能な標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーのリストが各々、単一のページ上の別個のドロップダウンメニューに表示される。
【0069】
図4は、特定の実施形態に係る標識生体分子試薬の依頼を通信するためのグラフィカルユーザインターフェースを示す。標識生体分子試薬の依頼を通信するため、ユーザは生体分子依頼及び標識依頼を依頼フォーム400に入力する。標識依頼は、ドロップダウンメニュー401Aから検出可能マーカー(例えば、フルオロフォア)を選択することにより入力され、生体分子依頼は、ドロップダウンメニュー401Bから生体分子(例えば、抗体プローブ)を選択することにより入力される。依頼フォーム400は、マイクログラム単位での標識生体分子試薬の所望の量に対応する数量依頼402を入力するためのテキストボックスも含む。
【0070】
特定の実施形態において、入力部は、標識生体分子試薬の依頼を検索、追加、又は修正するための、及びユーザクエリ(例えば、グラフィカルユーザインターフェースにローカルで又は遠隔地からインターネット若しくはローカルエリアネットワークを介して入力される)に応答するための検索エンジンを含む。一部の例では、システムメモリ内の各永続オブジェクトがシステムデータベースに関連テーブルを有し、オブジェクト属性がテーブル列にマッピングされる。更なる態様では、各オブジェクトがオブジェクトリレーショナルマッピングファイルを有し、これがそのオブジェクトをデータベースのテーブルに結び付ける。オブジェクトは互いにも関連付けられ、この関連付けがテーブル間の関係としてマッピングされる。オブジェクトは、1対1、1対多、多対1及び多対多など、多くの異なる関係性によっても互いに関連付けられる。ユーザクエリに提供される検索基準は、オブジェクトに関連する属性又はプロパティの記述を含み得るか、又はそれらの属性に対応する値による。関係性も検索基準として用いられ得る。基本的な検索基準はオブジェクトの属性に依存してもよく、高度な検索基準は、例えば関係するオブジェクトのプロパティを検索することによる、そのオブジェクトの他のオブジェクトとの関連付けに依存してもよい。特定の実施形態において、目的の検索エンジンはファインダフレームワークを含み、これが複数の検索可能条件(例えば、可能な全てのクエリ可能条件)を構築することになる。ユーザがあるエンティティ又はオブジェクトを検索するように指定すると、フレームワークがそのオブジェクトについての可能な全ての検索条件を生成し、次にユーザによって選択された条件に従って結果を提供する。
【0071】
システムのユーザは、検索エンジンを使用して、利用可能な標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識及び反応性リンカーを検索することができる。検索エンジンは、保留中の又は完了した標識生体分子試薬の依頼を検索するようにも構成される。加えて、ユーザは検索エンジンを使用して、目的のものであり得る標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識及び反応性リンカーを照会し、探し出すことができる。例えば、ユーザは、特異的抗原プローブとして機能する特定の生体分子又は所定の光波長の蛍光によって検出可能な標識を検索することができる。検索条件はオブジェクト毎に異なってもよく、1つの例では、汎用ファインダフレームワークがかかる検索に対する一般解を提供する。
【0072】
特定の実施形態において、検索エンジンは、標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの特定に用いられるクエリを構築し、クエリを保存し、クエリを修正し、及び/又はクエリを更新することができる。一部の例では、検索結果は共有、比較又は修正することができる。特定の例では、システムは、検索基準をグラフィカルユーザインターフェース上に表示するために適合する検索結果の最大値を設定するように構成される。一部の実施形態において、検索結果は、可能性があるアクションを許容する機能を含むウェブページ上に表示される。かかる機能としては、限定されないが、リンク、ボタン、ドロップダウンメニュー、ユーザから情報を受け取るためのフィールドなどを挙げることができる。特定の態様において、このシステムは、(例えば、ウェブページなどの適切なユーザインターフェースを構築するため、リンクを指定するため、アクション(例えば、「削除する」、「編集する」等)を画像、テキスト、ハイパーリンク及び/又は他の表示と関連付ける方法を提供するために)検索結果をフォーマットする結果フォーマッタを更に含む。
【0073】
本システムは、ウェブページ上に検索下のオブジェクトに関する検索基準も表示し得る。一態様において、本システムはファインダフレームワークから入力データを取得し、そのオブジェクトに関する検索基準を示すウェブページを動的に作成する。別の態様において、ファインダフレームワークは検索下のオブジェクトに関する全ての可能なクエリ可能条件を作成する。これらの条件は検索ウェブページ上に異なるフィールドとして表示される。ユーザはこれらのフィールドについて値を選択又は指定し、検索を実行することができる。表示されることになるフィールドは、ローカライズされた形態のそれらのラベルを有する。フィールドは、「選択」ボックス、又はテキストボックス若しくはテキストを入力するための他の領域の形態であってもよい。例えば、あるユーザが生体分子について検索しようとし得る。検索可能なデータベース内の生体分子は、化合物名又は配列番号(例えば、受託番号)などのクエリ可能条件を含む。
【0074】
一実施形態において、検索エンジンはデータベース内の標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識及び反応性リンカーの各々の検索を補助する。一部の例では、本システムは汎用ファインダフレームワークを提供して、検索下のオブジェクトに関する全てのクエリ可能な条件を作成する。かかる条件は、概してオブジェクトのプロパティ及び他のオブジェクトとのその関係性に依存し得る。他の実施形態において、ファインダフレームワークはこれらの条件に関するローカライズされたフィールド名称及びそれらの順番を取り出し、それらをシステムメモリ(例えば、オブジェクト定義.xmlファイル)に保存する。一例において、フィールドは、ユーザが値を選択又は入力することができる検索パラメータのセットとしてそれらがファイルに保存されている順番で検索ページ上に表示される。検索パラメータはオブジェクトのリストの形態であってもよく、パラメータは属性カテゴリに関係付けられ得る。例えば、標識生体分子を検索するユーザに応答して、本システムはクエリ可能条件:「標識生体分子名」、「検索に用いられるキーワード」、「作成者」、「修正者」、「修正日」、「アノテーション」などを表示し得る。ファインダフレームワークは、属性カテゴリに対応する様々な検索フィールドをローカライズされた形態で列挙又は表現するコレクションの形態のクエリ可能条件を返すことができ、これが検索ページ上に表示され得る。ユーザはこれらのフィールドについて値を入力し、例えば、特定の名称、構造、登録番号等を有する標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識及び反応性リンカーのうちの1つ以上の選択、特定のキーワードの提供、所望のドメイン、作成者、修正日、アノテーションの特定などを実施し得る。本システムは、次に、検索条件を満たす標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーのリストを表示する。特定の実施形態において、本システムは、検索の実施に用いられた基準に関する情報を表示する。
【0075】
特定の実施形態において、入力部は、1つ以上の生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの選択に関する推奨を提供するように構成される標識生体分子設計プラットフォームを含む。一部の例では、この設計プラットフォームは、所望の標識生体分子の1つ以上のパラメータのユーザ入力に基づき、1つ以上の生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの選択に関する推奨を提供するように構成される。例えば、ユーザによって設計プラットフォームに入力され得る所望の標識生体分子のパラメータとしては、限定されないが、標識生体分子の所望の物理的特性(例えば、分子質量、融点、純度等)、標識生体分子の所望の化学的特性(例えば、化学構造、第2の標識生体分子との構造的類似性、イオン化し易さ、溶媒和性、加水分解性、化学反応性、酵素反応性、結合親和性等)、分光学的特性(例えば、吸光波長範囲、吸光度極大、発光波長範囲、発光極大、ストークスシフト、量子収量、モル吸光係数等)を挙げることができる。他の場合、設計プラットフォームは、標識生体分子の利用に基づき、1つ以上の生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの選択に関する推奨を提供するように構成される。例えば、設計プラットフォームは、使用されるであろう機器(例えば、フローサイトメーター、蛍光分光計等)、機器構成、及び実験パラメータ(例えば、細胞上の抗原密度などの目標存在量)に基づき、標識生体分子の各構成要素の選択に関する推奨を提供するように構成されてもよい。グラフィカルユーザインターフェースは、1つ以上の生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの選択に関する推奨を提供するため、設計プラットフォームによって用いられるデータを入力するための1つ以上のテキスト入力フィールド又はドロップダウンメニューを含み得る。
【0076】
標識生体分子設計プラットフォームは、ユーザによって入力される情報(例えば、標識生体分子の特性又は標識生体分子の予想される利用)に基づき、複数の異なる生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーに関する推奨を提供するように構成され得る。例えば、設計プラットフォームは、ユーザによって入力された情報に基づき、2つ以上の異なる生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカー、3つ以上など、4つ以上など、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーを推奨するように構成され得る。
【0077】
特定の実施形態において、標識生体分子設計プラットフォームは、特定の利用(例えば、フローサイトメーターの構成)に最適な生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの組み合わせに関して推奨を提供するように構成される。例えば、設計プラットフォームは、ユーザが1つ以上の生体分子及び1つ以上の標識のリスト並びに利用情報(例えば、機器構成、目標存在量等)を入力し、及び設計プラットフォームが記述された利用に最適な生体分子、標識、活性化標識及び反応性リンカーの組み合わせを出力するように構成されてもよい。特定の実施形態において、標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーに関する推奨はディスプレイ(例えば、電子ディスプレイ)上に表示され、又は人間(紙)が読み取り可能な媒体上に若しくは機械が読み取り可能な形式で(例えば、バーコードとして)など、プリンタで印刷されてもよい。他の実施形態において、標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーに関する推奨は入力部に通信されてもよく、推奨された標識生体分子が上記に記載したとおり調製され得る。
【0078】
本開示のシステムは、標識生体分子試薬の依頼の構成要素と一致する複数の保管識別子を有するデータセットを保管するためのメモリも備える。用語「メモリ」は、本明細書では、その従来の意味において、後にプロセッサによって読み出される情報を保管するデバイスを指して用いられ、磁気的又は光学的デバイス(ハードディスク、フロッピーディスク、CD、又はDVDなど)、又はソリッドステートメモリデバイス(揮発性又は不揮発性RAMなど)が含まれ得る。メモリ又はメモリユニットは、同じ又は異なるタイプの物理的メモリデバイスを2つ以上有し得る(例えば、メモリは、複数のハードドライブ又は複数のソリッドステートメモリデバイス又はハードドライブとソリッドステートメモリデバイスとの何らかの組み合わせなど、複数のメモリデバイスを有し得る)。メモリはコンピュータ可読媒体又は永久メモリであってもよい。実施形態において、メモリは、システムデータベース内の各標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識及び反応性リンカーに対応する複数の保管識別子を有する1つ以上のデータセットを含み得る。
【0079】
メモリに保管されるデータセットは、各標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーと一致する保管識別子を含む。保管識別子は、特定の標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又はリンカーに関連する一続きの1つ以上の文字(例えば、英数字)、記号、画像又は他のグラフィック表現としてデータセットに提供され得る。一部の例では、保管識別子は、標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又はリンカーの略称である。例えば、保管識別子は、受託番号、配列識別番号、識別可能なプローブ配列、CAS登録番号の参照を含んでもよく、又はカスタムの識別コードであってもよい。
【0080】
メモリに保管される各データセット内の保管識別子の数は、保管識別子のタイプに応じて様々であり得る。例えば、複数の標識生体分子保管識別子を有するメモリに保管されたデータセットは、10以上の標識生体分子保管識別子、25以上など、50以上など、100以上などの識別子、250以上など、500以上など及び1000以上を含めた標識生体分子保管識別子を含み得る。複数の生体分子又は活性化生体分子を有するメモリに保管されたデータセットは、25以上の生体分子又は活性化生体分子保管識別子、50以上など、100以上など、250以上など、500以上など及び1000以上を含めた生体分子又は活性化生体分子保管識別子を含み得る。複数の標識又は活性化標識を有するメモリに保管されたデータセットは、5つ以上の標識又は活性化標識保管識別子、10以上など、15以上など、25以上など及び50以上を含めた標識又は活性化標識保管識別子を含み得る。特定の実施形態において、複数の反応性リンカーを有するメモリに保管されたデータセットは、2つ以上の反応性リンカー保管識別子、3つ以上など、5つ以上など、10以上など及び15以上を含めた反応性リンカー保管識別子を含む。
【0081】
メモリは、入力部が受け取った依頼に対応するデータセットから1つ以上の保管識別子を特定する処理モジュールと操作可能に通信している。一部の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は標識生体分子依頼であり、処理モジュールは、複数の標識生体分子保管識別子を有するメモリ内のデータセットから標識生体分子保管識別子を特定する。他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼には生体分子依頼と標識依頼とが含まれ、処理モジュールは、1)複数の生体分子保管識別子を有するメモリ内の第1のデータセットから生体分子保管識別子、及び、2)複数の標識保管識別子を有するメモリ内の第2のデータセットから標識保管識別子を特定する。なおも他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼には生体分子依頼と標識依頼と反応性リンカー依頼とが含まれ、処理モジュールは、1)複数の生体分子保管識別子を有するメモリ内の第1のデータセットから生体分子保管識別子、2)複数の標識保管識別子を有するメモリ内の第2のデータセットから標識保管識別子、及び、3)複数の反応性リンカー保管識別子を有するメモリ内の第3のデータセットから反応性リンカー保管識別子を特定する。
【0082】
標識生体分子依頼、生体分子依頼、標識依頼、活性化生体分子依頼、活性化標識依頼又は反応性リンカー依頼に対応する特定の保管識別子が利用可能でない場合(即ち、処理モジュールがメモリ内のいずれのデータセットからも特定できない場合)、メモリは、代替の標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーの推奨を提供するアルゴリズムを含み得る。この推奨は、化学構造、反応性、プローブ標的、結合親和性、目標存在量、目標密度、標識クロストーク、サイズ、価格等が、依頼された標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーと類似していることに基づき得る。メモリは、依頼された構成要素と利用可能な標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーとの間の類似性に応じて1つ以上の代替物、2つ以上の代替物など、3つ以上の代替物など及び5つ以上を含めた代替物の推奨を提供するように構成され得る。
【0083】
処理モジュールは、Intel Corporation製のプロセッサ、Sun Microsystems製のSPARC(登録商標)プロセッサなど、市販のプロセッサを含んでもよく、又はそれは、利用可能であるか若しくは利用可能になるであろう他のプロセッサのうちの1つであってもよい。プロセッサは、例えば、Microsoft CorporationのWINDOWS(登録商標)タイプのオペレーティングシステム、Unix(登録商標)若しくはLinux(登録商標)タイプのオペレーティングシステム又は将来のオペレーティングシステム、或いはこれらの何らかの組み合わせであり得るオペレーティングシステムを実行する。オペレーティングシステムは周知の方法でファームウェア及びハードウェアとインターフェースし、当該技術分野において公知のとおり、Java、Perl、C++、他の高級又は低級言語、及びこれらの組み合わせなど、種々のプログラミング言語で記述され得る様々なコンピュータプログラムの機能の協調及び実行においてプロセッサを促進する。オペレーティングシステムは、典型的にはプロセッサと協働してコンピュータの他の構成要素の機能を協調させ及び実行する。オペレーティングシステムは、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、及び通信制御及び関連サービスも全て公知の技法に従って提供する。
【0084】
主題のシステムの処理モジュールはハードウェア及びソフトウェアの両方の構成要素を含み、ここで、ハードウェア構成要素は、例えばサーバの形態の1つ以上のプラットフォームの形態をとってもよく、機能要素、即ちシステムの特定のタスク(情報の入出力を管理する、情報を処理する等)を行うシステム要素が、システムの代表される1つ以上のコンピュータプラットフォーム上にまたがるソフトウェアアプリケーションの実行によって行われ得る。主題のシステムに存在する1つ以上のプラットフォームは、任意のタイプの公知のコンピュータプラットフォーム又は将来開発されることになるタイプであってよいが、それらは、典型的には一般にサーバと称されるコンピュータクラスのものであり得る。しかしながら、それらは、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、又は他のコンピュータタイプであってもよい。それらは、ネットワーク化されているにしろ又は他であるにしろ、任意の公知の又は将来型のケーブル配線又はその他の無線システムを含めた通信システムを介して接続されていてもよい。それらはコロケーションされてもよく、又はそれらは物理的に分離されていてもよい。コンピュータプラットフォームのいずれの上でも、恐らく選択のコンピュータプラットフォームのタイプ及び/又は構成に依存して様々なオペレーティングシステムが用いられ得る。適切なオペレーティングシステムとしては、WINDOWS NT(登録商標)、Sun Solaris、Linux、OS/400、Compaq Tru64 Unix、SGI IRIX、Siemens Reliant Unixなどが挙げられる。Sun Microsystems,Inc.のJava(登録商標)2プラットフォームなど、他の開発製品が主題のシステムのプロセッサに用いられてもよく、特に拡張性のある且つ安全な構成要素の実現を増強するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)のスイートを提供し得る。当業者に理解されるであろうとおり、様々な他のソフトウェア開発手法又はアーキテクチャを用いてシステムの機能要素及びそれらの相互接続を実現し得る。
【0085】
本開示のシステムは、処理モジュールから特定された保管識別子を提供する出力部も備える。一部の実施形態において、出力部は電子ディスプレイを含み、特定された保管識別子がその電子ディスプレイ上に出力される。1つ以上の保管識別子は、電子ディスプレイ上に同時に、2つ以上など、3つ以上など、5つ以上など、10以上など、25以上など、100以上など及び500以上を含めた保管識別子が出力され得る。出力部は、単一のユーザ又は複数のユーザ、2人以上のユーザなど、5人以上のユーザなど、10人以上のユーザなど、25人以上のユーザなど及び100人以上を含めたユーザからの標識生体分子試薬の依頼の保管識別子を表示し得る。出力部は、各標識生体分子の依頼に基づき、ユーザ毎又は保管識別子(例えば、標識生体分子保管識別子、生体分子保管識別子、標識保管識別子、反応性リンカー保管識別子)のタイプ毎に保管識別子をグループ化するなど、表示される保管識別子を必要に応じて編成するように構成され得る。他の実施形態において、出力部はプリンタを含み、特定された保管識別子が、人間(紙)が読み取り可能な媒体上に又は機械が読み取り可能な形式で(例えば、バーコードとして)印刷される。
【0086】
特定の実施形態において、出力部は、処理モジュールによってアセンブルされた保管識別子、例えば、1つ以上の標識生体分子保管識別子、生体分子保管識別子、標識保管識別子、反応性リンカー保管識別子を電子的形式でローカルエリアネットワーク又はインターネットを介するなどしてユーザに通信する。出力部によるデータの電子通信は、限定されないが、SQL、HTML若しくはXML文書、電子メール若しくは他のファイル、又は他の形式のデータを含め、従来のプロトコルに従って実施されてもよい。データは、ユーザが遠隔ソースから追加のSQL、HTML、XML、又は他の文書又はデータを取り出し得るようにインターネットURLアドレスも含み得る。
【0087】
標識生体分子試薬の依頼を入力し、標識生体分子試薬の依頼の構成要素と一致する複数の保管識別子を保管し、1つ以上の保管識別子を特定し、及び特定された保管識別子を出力する本開示のシステムは、コンピュータを備える。特定の実施形態では、汎用コンピュータが、本明細書に開示される方法及びプログラムのための機能的配置に構成され得る。かかるコンピュータのハードウェアアーキテクチャは当業者に周知であり、1つ以上のプロセッサ(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、内部又は外部データ記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ)を含めたハードウェア構成要素を含み得る。コンピュータシステムは、グラフィック情報を処理して表示手段に出力するための1つ以上のグラフィックボードも含み得る。上記の構成要素は、コンピュータ内部のバスによって好適に相互接続され得る。コンピュータは、モニタ、キーボード、マウス、ネットワークなど、汎用外部構成要素との通信に好適なインターフェースを更に含み得る。一部の実施形態において、コンピュータは並列処理能力を有してもよく、又は並列若しくは分散コンピューティング用に構成されたネットワークの一部であってもよく、本方法及びプログラムの処理能力を増加させることができる。一部の実施形態において、記憶媒体からのプログラムコード読み出しがコンピュータに挿入された拡張ボード、又はコンピュータに接続された拡張ユニットに提供されるメモリに書き込まれてもよく、及び実際には拡張ボード又は拡張ユニットに提供されるCPUなどがプログラムコードの命令に従って動作の一部又は全てを実施して、以下に記載する機能を達成してもよい。他の実施形態において、本方法はクラウドコンピューティングシステムを用いて実施されてもよい。これらの実施形態では、データファイル及びプログラミングがクラウドコンピュータに移送され、そこでプログラムが実行され、ユーザへの出力が返される。
【0088】
システムは、特定の実施形態において、a)中央演算処理装置、b)1つ以上のハードドライブを含み得る、ソフトウェア及びデータの保管用の主不揮発性記憶ドライブであって、ディスクコントローラによって制御される主不揮発性記憶ドライブ、c)不揮発性記憶ドライブからロードされるプログラム及びデータを含む、システム制御プログラム、データ、及びアプリケーションプログラムを格納するシステムメモリ、例えば高速ランダムアクセスメモリ(RAM)(システムメモリは読出し専用メモリ(ROM)も含み得る)、d)マウス、キーパッド、及びディスプレイなど、1つ以上の入出力デバイスを含めたユーザインターフェース、e)任意の有線又は無線通信ネットワーク、例えばプリンタに接続するための任意選択のネットワークインターフェースカード、及び、f)システムの前述の要素を相互接続するための内部バスを含むコンピュータを備え得る。
【0089】
コンピュータシステムのメモリは、プロセッサによって読み出される情報を格納することができる任意のデバイスであってよく、磁気的又は光学的デバイス、又はソリッドステートメモリデバイス(揮発性又は不揮発性RAMなど)が含まれ得る。メモリ又はメモリユニットは、同じ又は異なるタイプの物理的メモリデバイスを2つ以上有し得る(例えば、メモリは、複数のドライブ、カード、又は複数のソリッドステートメモリデバイス又はこれらの何らかの組み合わせなど、複数のメモリデバイスを有し得る)。コンピュータ可読媒体に関して、「永久メモリ」は、永久的であるメモリを指す。永久メモリは、コンピュータ又はプロセッサへの電気供給が停止しても消去されない。コンピュータハードドライブROM(即ち、仮想メモリとして使用されないROM)、CD-ROM、フロッピーディスク及びDVDは、全て永久メモリの例である。ランダムアクセスメモリ(RAM)は非永久(即ち揮発性)メモリの例である。永久メモリ中のファイルは編集可能且つ書換え可能であり得る。
【0090】
コンピュータの動作は、主に、中央演算処理装置によって実行されるオペレーティングシステムによって制御される。オペレーティングシステムはシステムメモリに格納されていてもよい。一部の実施形態において、オペレーティングシステムはファイルシステムを含む。オペレーティングシステムに加えて、システムメモリの1つの可能な実装としては、以下に記載する方法を実施するための種々のプログラミングファイル及びデータファイルが挙げられる。特定の場合、プログラミングはプログラム(ここで、プログラムは様々なモジュールで構造され得る)、及びプログラムに対する入力又はプログラムが使用するパラメータをユーザが手動で選択又は変更することを可能にするユーザインターフェースモジュールを含み得る。データファイルは、プログラムへの様々な入力を含み得る。
【0091】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法に係る命令はコンピュータ可読媒体に「プログラミング」の形態でコードされ得、ここで、用語「コンピュータ可読媒体」は、本明細書で使用されるとき、実行及び/又は処理のためにコンピュータに命令及び/又はデータを提供することに関与する任意の記憶又は伝送媒体を指す。記憶媒体の例としては、かかるデバイスがコンピュータにとって内部又は外部か否かに関わらず、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、ソリッドステートディスク、及びネットワークアタッチトストレージ(NAS)が挙げられる。ファイルが含む情報はコンピュータ可読媒体に「格納」され得、ここで、「格納する」とは、後日コンピュータによってアクセス可能且つ読出し可能であるように情報を記録することを意味する。
【0092】
本明細書に記載されるコンピュータ実装方法は、あらゆるコンピュータプログラミング言語のうちの1つ以上で記述することができるプログラムを用いて実行し得る。かかる言語としては、例えば、Java(Sun Microsystems,Inc.、Santa Clara、CA)、Visual Basic(Microsoft Corp.、Redmond、WA)、及びC++(AT&T Corp.、Bedminster、NJ)、並びに他にも多数が挙げられる。
【0093】
任意の実施形態において、データは「遠隔地」に転送されてもよく、ここで、「遠隔地」とは、プログラムが実行される場所以外の場所を意味する。例えば、遠隔地は、同じ都市の別の場所(例えば、オフィス、研究室等)、異なる都市の別の場所、異なる州の別の場所、異なる国の別の場所等であってもよい。従って、あるアイテムが別のアイテムから「遠隔」にあると示されるとき、それが意味するのは、それらの2つのアイテムが同じ部屋内にあるが分離されているか、又は少なくとも異なる部屋内又は異なる建物内にあることができ、少なくとも1マイル、10マイル、又は少なくとも100マイル離れていてもよいということである。情報を「通信する」とは、その情報を表すデータを好適な通信チャネル(例えば、プライベート又はパブリックネットワーク)で電気信号として伝送することを指す。アイテムを「転送する」とは、そのアイテムを物理的に輸送するか又は他による(それが可能な場合)かに関わらず、ある場所から次の場所にそのアイテムが到達する任意の手段を指し、少なくともデータの場合、そのデータを載せている媒体を物理的に輸送すること又はデータを通信することが含まれる。通信媒体の例としては、無線又は赤外線伝送路及び別のコンピュータ又はネットワーク化されたデバイスとのネットワーク接続、並びにインターネット(又は電子メール送信を含む)及びウェブサイト上に記録された情報などが挙げられる。
【0094】
一部の実施形態は、単一のコンピュータ、又はコンピュータネットワーク、又はコンピュータネットワークのネットワーク、例えば、ネットワーククラウド、ローカルエリアネットワーク、ハンドヘルドコンピュータデバイス等への実装を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載されるステップの1つ以上がコンピュータプログラムに実装される。かかるコンピュータプログラムが、本明細書に記載されるステップの1つ以上を実行する。一部の実施形態において、主題の方法の実装には、コンピュータ可読媒体にコードされ且つ通信ネットワーク経由で伝送可能な本明細書に記載される様々なデータ構造、カテゴリ、及び修飾子が含まれる。
【0095】
本発明のソフトウェア、ウェブ、インターネット、クラウド、又は他のストレージ及びコンピュータネットワーク実装は、様々な割当て、計算、識別、スコアリング、アクセス、生成又は廃棄ステップを実行するための標準的なプログラミング技法で達成し得る。
【0096】
図5は、特定の実施形態に係る本開示のコンピュータシステム500を示す。このコンピュータシステムは、標識生体分子試薬の依頼を入力するためのキーボード501aと、マウス501bと、モニタ501cとを有するユーザインターフェース501を備える。ユーザインターフェース501は、オペレーティングシステム502aと、システムファイル502bと、標識生体分子試薬の依頼の構成要素:1)標識生体分子依頼502d;2)生体分子依頼502e;3)標識依頼502f;4)活性化生体分子依頼502g;5)活性化標識依頼502h;及び6)反応性リンカー依頼502iに対応する複数の保管識別子を含むデータセットとを含むメモリ502に操作可能に結合される。メモリ502は、標識生体分子502k、生体分子502l、標識502m及び反応性リンカー502nの検索可能な在庫一覧を含むデータベース502jも有する。
【0097】
メモリ及びユーザインターフェースは、ディスクコントローラ505によって制御される記憶ドライブ506を含む接続504を介してプロセッサ503に操作可能に結合される。上記に記載したとおり、プロセッサは、入力部が受け取った依頼に対応するデータセットから1つ以上の保管識別子を特定する。
【0098】
特定された保管識別子を出力するため、この実施形態に係る目的のシステムは、保管識別子を出力するネットワークインターフェースコントローラ507を備える。ネットワークインターフェースコントローラ507は、特定された保管識別子を視覚的に表示するため電子ディスプレイとインターフェースされてもよく、又は特定された保管識別子を人間(紙)が読み取り可能な媒体上に又は機械が読み取り可能な形式で(例えば、バーコードとして)提示するためのプリンタとインターフェースされてもよい。特定の例では、ネットワークインターフェースコントローラ507はローカルエリアネットワーク経由又はインターネット経由などで電子的形式において保管識別子を通信し、限定されないが、SQL、HTML若しくはXML文書、電子メール若しくは他のファイル、又は他の形式のデータを含め、任意の電子的形式により実装され得る。
【0099】
図6は、特定の実施形態に係る標識生体分子試薬の依頼を受け取り、処理し、及び出力するフロー図600を示す。依頼を受け取り処理するステップ601は、標識生体分子試薬の依頼の1つ以上の構成要素を入力するステップから始まる(602)。上記で考察したとおり、標識生体分子試薬の依頼は、1)標識生体分子依頼、及び2)生体分子依頼及び標識依頼のうちの1つ以上を含み得る。一部の例では、生体分子依頼は、生体分子が反応性リンカーに結合されている活性化生体分子依頼である。他の例では、標識依頼は、標識が反応性リンカーに結合されている活性化標識依頼である。
【0100】
システムが標識生体分子試薬の依頼を受け取った後、プロセッサが依頼の構成要素(即ち、標識生体分子依頼;又は生体分子依頼及び標識依頼)を決定し、システムが、その特定の依頼に対応する保管識別子に関してメモリを検索する(603)。適切なデータセットが読み出されると、処理モジュールは、標識生体分子試薬の依頼の構成要素と一致する1つ以上の保管識別子を特定する(604)。単一のユーザによって2つ以上の標識生体分子試薬の依頼が入力された場合、システムは、ユーザの依頼からの全ての保管識別子がプロセッサによってロケート及び特定されるまで上記を繰り返し得る(605)。
【0101】
システムは、ユーザからの標識生体分子試薬の依頼を処理し終えると、特定された保管識別子を出力する(606)ように構成される。出力部が保管識別子を電子ディスプレイ上に表示し、又は保管識別子を印刷し得る(607)。保管識別子は、試薬調製装置に、又はインターネット経由で第三者の製造者になど、電子的に送信されてもよい(608)。
【0102】
一部の実施形態において、システムは、入力部が受け取った依頼された標識生体分子に対応する標識生体分子試薬を調製するための試薬調製装置を含む。試薬調製装置は出力部に操作可能に結合され、特定された保管識別子(例えば、標識生体分子保管識別子、生体分子保管識別子、標識保管識別子、反応性リンカー保管識別子)を受け取り、受け取られた保管識別子に従って標識生体分子試薬を作製するように構成される。これらの実施形態において、試薬調製装置は、ケーブル又はローカルエリアネットワークを介するなどして出力部とローカルで通信してもよく、又は遠隔地にあり、広域ネットワークを介して又はインターネットを介して出力部に接続されてもよい。試薬調製装置と出力部との間の接続を促進するため、システムは、ケーブル、送信機、中継局、ネットワークサーバ、ネットワークインターフェースカード、イーサネットモデム、電話ネットワーク接続及び衛星ネットワーク接続など、任意の好適な接続プロトコルを含み得る。特定の実施形態において、試薬調製装置はグラフィカルユーザインターフェースを含み、出力部からの保管識別子が、試薬調製装置のこのグラフィカルユーザインターフェースに操作可能に結合された入力部に手動で入力される。
【0103】
特定の実施形態において、試薬調製装置は完全に自動化される。「完全に自動化される」とは、人間の介入又は主題のシステムへの手動入力はほとんど乃至全くなしに、試薬調製装置が出力部から特定された保管識別子を受け取り、標識生体分子試薬を調製、製剤化、及び包装することが意味される。特定の実施形態において、主題のシステムは、いかなる人間の介入もなく活性化生体分子及び活性化標識から標識生体分子試薬を調製、精製、及び包装するように構成される。
【0104】
試薬調製装置は、活性化生体分子及び活性化標識を接触装置に供給するサンプリング機器を備える。サンプリング機器は、例えば、活性化生体分子及び活性化標識が入った複数の試薬バイアルを有するハイスループットサンプルチェンジャーなど、活性化生体分子及び活性化標識の各供給源と流体連通する任意の好都合な機器であってよい。サンプリング機器としては、数あるサンプリング機器の中でも特に、マイクロ流体チャネル、シリンジ、針、ピペット、アスピレータも挙げることができる。接触装置は、活性化生体分子を活性化標識に接触させる任意の好適な装置であってよい。例えば、一部の実施形態において、接触装置はサンプルチャンバ(例えば、囲い込まれた、密封された、気密な、開放されたプレート等)である。他の実施形態において、接触装置はマイクロチューブである。他の実施形態において、接触装置は試験管である。更に他の実施形態において、接触装置はガラスフラスコ(例えば、ビーカー、メスフラスコ、三角フラスコ等)である。なおも他の実施形態において、接触装置は96ウェルプレートである。特定の実施形態において、主題のシステムは、作製された標識生体分子試薬を接触装置(例えば、マイクロチューブ、試験管等)に密封するように構成された包装ユニットを更に備え得る。他の実施形態において、作製された標識生体分子試薬は初めに特徴付けられ、更に精製、希釈、濃縮又は再製剤化された後に容器に密封され、包装ユニットで包装される。
【0105】
接触装置は、組み合わせた活性化生体分子と活性化標識とを混合するための撹拌機を更に有し得る。撹拌機は、数ある撹拌プロトコルの中でも特に、限定されないが、ボルテクサー、超音波処理機、振盪機(例えば、手動で、機械的に、又は電気的に作動する振盪機)、揺動機、振動プレート、マグネチックスターラ、静的ミキサー、ローテータ、ブレンダー、ミキサー、タンブラー、オービタルシェーカー、バブル、マイクロ流体フローを含む、主題の組成物を混合するために十分な任意の好都合な撹拌機であってよい。
【0106】
一部の実施形態において、試薬調製装置は、活性化生体分子及び活性化標識の供給源も備える。供給源は複数の活性化生体分子及び活性化標識を含み得る。一部の例では、試薬調製装置は、5つ以上の異なる種類の活性化生体分子、10以上など、100以上など、250以上など、500以上など及び1000以上を含めた異なる種類の活性化生体分子を含有する供給源を備える。例えば、試薬調製装置は、5つ以上の異なる種類の活性化抗体プローブ又は活性化オリゴヌクレオチドプローブ、10以上など、100以など、250以上など、500以上など及び1000以上を含めた異なる種類の活性化抗体プローブ又は活性化オリゴヌクレオチドプローブを含有する供給源を備え得る。
【0107】
一部の実施形態において、試薬調製装置は、5つ以上の異なる種類の活性化標識、10以上など、15以上など、25以上など、50以上など及び100以上を含めた異なる種類の活性化標識を含有する供給源を備える。例えば、試薬調製装置は、5つ以上の異なる種類の活性化フルオロフォア、10以上など、15以上など、25以上など、50以上など及び100以上を含めた異なる種類の活性化フルオロフォアを含有する供給源を備え得る。
【0108】
活性化生体分子及び活性化標識の供給源は、1種類以上の活性化生体分子及び活性化標識を保管して接触装置に供給することが可能な任意の好適なリザーバであってよい。一例において、供給源は、複数の異なる種類の活性化生体分子及び活性化標識を別個の仕切られた試薬チャンバに保管する単一のハイスループットリザーバである。別の例において、活性化生体分子及び活性化標識の供給源は、各活性化生体分子及び各活性化標識の複数の個別のバイアルである。更に別の例では、活性化生体分子及び活性化標識の供給源は、各活性化生体分子及び各活性化標識の予め測定されたアリコートのリザーバである。例えば、このリザーバは、1つ以上の標識生体分子、2つ以上など、5つ以上など、10以上など、25以上など、100以上など、500以上など及び1000以上を含めた標識生体分子を調製するために十分な各活性化生体分子及び各活性化標識の予め測定されたアリコートを含み得る。活性化生体分子及び活性化標識を収容するリザーバの詳細な設計に応じて、試薬調製装置は、活性化生体分子及び活性化標識を接触装置に送るための1つ以上の入口を更に備え得る。
【0109】
試薬調製装置は、1つ以上の試薬精製機も備え得る。目的の試薬精製プロトコルとしては、数ある精製プロトコルの中でも特に、限定されないが、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ろ過(例えば、メンブランフィルタ、サイズ排除ろ過)、液抽出、受動透析、能動透析、遠心、沈殿を挙げることができる。
【0110】
試薬調製装置は、試薬分析器も備え得る。特定の実施形態において、サンプル分析器は、マスサイトメトリー、質量分析法(例えば、TOF質量分析法、誘導結合プラズマ質量分析法)、吸光分光法、蛍光分光法、容量分析、伝導度分析、核磁気共鳴分光法、赤外分光法、紫外可視分光法、比色分析、元素分析、液体クロマトグラフィー-質量分析又はガスクロマトグラフィー-質量分析システムであってもよい。例えば、装置は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、マイクロ又はナノ液体クロマトグラフ又は超高圧液体クロマトグラフ(UHPLC)機器、キャピラリー電気泳動法(CE)、又はキャピラリー電気泳動クロマトグラフ(CEC)装置を含む、液体クロマトグラフ(LC)などの分析的分離機器を含み得る。しかしながら、任意の手動又は自動注入又は分配ポンプシステムが用いられ得る。例えば、主題のサンプルが、特定の実施形態ではナノポンプ又はマイクロポンプを用いることによりLC-MSシステムに適用されてもよい。質量分析計システムは任意の好都合な質量分析システムであってよく、これは、一般に、サンプルをイオン化するためのイオン源、イオンを分離するための質量分析器、及びイオンを検出するための検出器を含む。特定の場合、質量分析計は、プリカーサイオンを分離し、プリカーサイオンをフラグメンテーションし、及びフラグメントプリカーサイオンを分析することが可能である、いわゆる「タンデム」質量分析計であってもよい。イオン源は任意のタイプのイオン化方法に依存するものであってよく、限定されないが、例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、電子衝撃(EI)、大気圧光イオン化(APPI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)又は誘導結合プラズマ(ICP)イオン化、又はこれらの任意の組み合わせ(いわゆる「多モード」イオン化源を提供する)が挙げられる。一実施形態において、プリカーサイオンはEI、ESI又はMALDIによって作られてもよく、選択されたプリカーサイオンが衝突によるか又は光子を用いてフラグメンテーションされるとプロダクトイオンが生成され、続いてそれらが分析され得る。同様に、飛行時間型(TOF)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、イオントラップ、四重極又は二重収束型磁性電極扇形質量分析器、又はこれらの任意のハイブリッドを含め、種々の異なる質量分析器のいずれを用いてもよい。一実施形態において、質量分析器は、扇形、透過四重極、又は飛行時間型質量分析器であってもよい。
【0111】
試薬調製装置は、標識生体分子試薬を、緩衝液、保存剤、乾燥剤などの1つ以上の賦形剤と共に製剤化するようにも構成され得る。特定の実施形態では、試薬調製装置は、標識生体分子試薬を1つ以上の緩衝液と共に製剤化するように構成される。例示的な緩衝液としては、数ある緩衝溶液タイプの中でも特に、限定されないが、PBS(リン酸塩)緩衝液、酢酸塩緩衝液、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)緩衝液、3-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸(TAPS)緩衝液、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、クエン酸塩緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トリス)緩衝液、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)緩衝液、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)緩衝液、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)緩衝液、2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)緩衝液、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)緩衝液、ジメチルアルシン酸(カコジル酸塩)緩衝液、生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液、2(R)-2-(メチルアミノ)コハク酸(コハク酸)緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)緩衝液を挙げることができる。
【0112】
試薬調製装置は、標識生体分子試薬を包装するための包装ユニットも備え得る。特定の実施形態において、包装ユニットは、調製された標識生体分子試薬を包装し、郵送によるなどの出荷用に標識生体分子試薬を調製し得る。特定の例では、調製された標識生体分子試薬は容器内に分配され、密封される。他の例では、標識生体分子試薬は容器内に分配され、密封され、パウチ、バッグ、チューブ、バイアル、マイクロチューブ又はボトルなどに更に包装される。必要に応じて包装は無菌であり得る。
【0113】
特定の実施形態において、目的のシステムは、1)標識生体分子試薬の1つ以上の依頼を受け取り、2)依頼された標識生体分子試薬を調製し、及び3)調製された標識生体分子試薬を依頼者(例えば、顧客)に納品するように構成されたオンデマンドスタンドアロン標識生体分子試薬分配ステーションを含む。例えば、スタンドアロン試薬分配ステーションは、顧客から1つ以上の標識生体分子試薬の依頼を受け取り、依頼された標識生体分子を調製し、及び調製された標識生体分子を顧客に分配するようにオンデマンドに構成された自動販売機であってもよい。目的のスタンドアロン試薬分配ステーションは、標識生体分子試薬の依頼の数及び依頼された各標識生体分子試薬の量に応じて、標識生体分子依頼を入力後の10秒以上で(15秒以上など、30秒以上など、1分以上など、5分以上など、10分以上など、15分以上など、30分以上など及び60分以上を含め、1.5時間以上など、2時間以上など、2.5時間以上など、3時間以上など、4時間以上など、5時間以上など、6時間以上など、8時間以上など、10時間以上など、12時間以上など、16時間以上など、18時間以上など及び24時間以上を含む)オンデマンドで標識生体分子を調製し、依頼者に分配し得る。一部の例では、スタンドアロン試薬分配ステーションは、5秒~60秒の範囲の時間で(10秒~50秒など及び15秒~45秒を含む)オンデマンドで標識生体分子を調製し、依頼者に分配するように構成される。他の例では、スタンドアロン試薬分配ステーションは、1分~60分の範囲の時間で(2分~55分など、5分~50分など、15分~45分など及び20分~40分を含む)オンデマンドで標識生体分子を調製し、依頼者に分配するように構成され、例えば30分で標識生体分子を調製し、依頼者に分配する。更に他の例では、スタンドアロン試薬分配ステーションは、0.5時間~24時間の範囲の時間で(1時間~20時間など、1.5時間~18時間など、2時間~16時間など、2.5時間~12時間など、3時間~10時間など、3.5時間~8時間など及び4時間~6時間を含む)オンデマンドで標識生体分子を調製し、依頼者に分配するように構成される。
【0114】
これらの実施形態において、主題のスタンドアロン試薬分配ステーションは、上記に記載したとおり、標識生体分子試薬の依頼を受け取り、依頼された標識生体分子試薬を調製するための構成要素を含み得る。例えば、スタンドアロン標識生体分子試薬分配ステーションは、標識生体分子の依頼を受け取るための入力モジュール、試薬調製装置、及び包装された標識生体分子を出力するための分配モジュールを備え得る。これらの実施形態において、入力モジュールは、標識生体分子の依頼を受け取るための入力部と、標識生体分子試薬の依頼の1つ以上の構成要素(例えば、生体分子、標識等)に対応する複数の保管識別子を有するデータセットを格納するためのメモリと、メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応するデータセットから保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、特定された保管識別子を提供するための出力部とを備え得る。スタンドアロンステーションは、上記に記載したとおり、標識生体分子依頼をスタンドアロン分配ステーションの入力部に通信するためのグラフィカルユーザインターフェース及びユーザ入力デバイスも備える。
【0115】
実施形態において、出力部は、生体分子、標識、反応性リンカー、活性化生体分子及び活性化標識の1つ以上の供給源を伴って構成されるスタンドアロン試薬分配ステーションの試薬調製装置及び活性化生体分子と活性化標識とを結合して、依頼された標識生体分子を作製するための接触ステーションに通信可能に結合される。特定の実施形態において、スタンドアロン試薬分配ステーションは複数の予め合成された標識生体分子を含み、及びスタンドアロン試薬分配ステーションは、予め合成された標識生体分子試薬の一定量を容器内に分注し、標識生体分子試薬を依頼者に分配するように構成される。
【0116】
スタンドアロン標識生体分子試薬分配ステーションは、包装された標識生体分子試薬を提供するように構成された分配モジュールも含む。実施形態において、分配モジュールは、調製された標識生体分子試薬を包装するための包装ユニットを含み得る。特定の例では、調製された標識生体分子試薬は容器内に分配され、密封される。他の例では、標識生体分子試薬は容器内に分配され、密封され、パウチ、バッグ、チューブ、バイアル、マイクロチューブ又はボトルなどに更に包装される。必要に応じて包装は無菌であり得る。
【0117】
特定の実施形態において、スタンドアロン試薬分配ステーションは完全に自動化され、標識生体分子依頼は別として人間の介入又は主題のシステムへの手動入力はほとんど乃至全くなしに標識生体分子依頼が受け取られ、及びステーションが標識生体分子試薬を調製、精製、及び包装する。
【0118】
標識生体分子試薬の調製方法
本開示の態様は、標識生体分子試薬の調製方法も含む。特定の実施形態に係る方法は、標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップと、標識生体分子を調製するステップとを有する。他の実施形態において、方法は、上記に記載したとおり1つ以上の入力部で標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップと、標識生体分子試薬の依頼と一致する保管識別子を特定するステップと、1つ以上の特定された保管識別子を出力するステップと、特定された保管識別子から標識生体分子を調製するステップとを有する。
【0119】
上記で考察したとおり、標識生体分子試薬は、検出可能マーカーに結合された(例えば、共有結合的に結合された)生体高分子である。一部の実施形態において、方法は、検出可能マーカーに結合されたポリペプチド、検出可能マーカーに結合された核酸、検出可能マーカーに結合された多糖、又はこれらの組み合わせを調製するステップを有する。一例において、生体分子は、オリゴヌクレオチド、トランケート型又は完全長DNA若しくはRNAである。別の例において、生体分子は、ポリペプチド、タンパク質、酵素又は抗体である。特定の例では、生体分子は、目的の分析物に結合するために十分な特異的結合ドメインを有する生物学的プローブである。目的の特異的結合ドメインとしては、限定されないが、抗体結合剤、タンパク質、ペプチド、ハプテン、核酸等が挙げられる。用語「抗体結合剤」は、本明細書で使用されるとき、ポリクローナル又はモノクローナル抗体又は目的の分析物に結合するために十分な断片を含む。抗体断片は、例えば、モノマーFab断片、モノマーFab’断片、又はダイマーF(ab)’2断片、及び抗体工学によって作製される分子、例えば一本鎖抗体分子(scFv)、又はモノクローナル抗体からキメラ抗体を作製するための重鎖及び軽鎖の定常領域の置換、若しくはヒト化抗体を作製するための定常領域及び可変領域のフレームワーク部分の両方の置換によって作製されるヒト化若しくはキメラ抗体であってもよい。
【0120】
目的の標識には、例えば、蛍光発光、蛍光偏光、蛍光寿命、蛍光波長、吸光度極大、吸光波長、ストークスシフト、光散乱、質量、分子質量、酸化還元、音響、ラマン、磁性、高周波、酵素反応(化学発光及び電気化学発光を含む)又はこれらの組み合わせに基づき検出可能な検出可能マーカーが含まれる。目的の標識としては、限定されないが、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ(例えば、同位体的に純粋な希土類元素)、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子を挙げることができる。
【0121】
方法は、標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップを有する。本開示の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は、1)標識生体分子依頼、及び2)生体分子依頼及び標識依頼のうちの1つ以上を含む。一部の例では、生体分子依頼は、生体分子が反応性リンカーに結合されている活性化生体分子依頼である。他の例では、標識依頼は、標識が反応性リンカーに結合されている活性化標識依頼である。標識生体分子試薬の依頼は、限定されないが、標識生体分子試薬の依頼を電話、ファクシミリ、電子メール又は郵便で受け取ることを含め、任意の好都合な通信プロトコルによって受け取られ得る。特定の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は、インターネットウェブサイトを介するなど、コンピュータ上のグラフィカルユーザインターフェースに標識生体分子試薬の依頼を入力することにより通信される。
【0122】
2つ以上の標識生体分子試薬の依頼を受け取るなど、5つ以上など、10以上など及び25以上の標識生体分子試薬の依頼を受け取ることを含め、1つ以上の標識生体分子試薬の依頼が(同時に又は順次)受け取られ得る。標識生体分子試薬の依頼が単一の構成要素のみを含み、且つ標識生体分子依頼である場合、方法は、2つ以上の標識生体分子依頼、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた標識生体分子依頼を受け取るステップを有し得る。標識生体分子試薬の依頼が、生体分子依頼及び標識依頼などの2つの構成要素を含む場合、方法は、2つ以上の生体分子依頼、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた生体分子依頼を受け取るステップを有してもよく、且つ2つ以上の標識依頼、5つ以上など、10以上など及び25以上を含めた標識依頼を受け取るように構成され得る。一部の例では、方法は、単一の生体分子依頼と単一の標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップを有する。他の例では、方法は、単一の生体分子依頼と複数の異なる標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップを有する。更に他の例では、方法は、複数の異なる生体分子依頼と単一の標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップを有する。更に他の例では、方法は、複数の異なる生体分子依頼と複数の異なる標識依頼とを含む標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップを有する。
【0123】
標識生体分子試薬の依頼は単一のユーザ又は複数のユーザから受け取られ、2人以上のユーザなど、5人以上のユーザなど、10人以上のユーザなど、25人以上のユーザなど、及び100人以上のユーザから標識生体分子依頼を受け取ることが含まれる。
【0124】
特定の実施形態では、方法は、標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップと、入力に介する入力部(上記に記載したとおり)のグラフィカルユーザインターフェースに依頼を入力するステップとを有する。他の実施形態では、標識生体分子試薬の依頼を行うユーザが依頼をグラフィカルユーザインターフェースに直接入力する。標識生体分子依頼は、これらの実施形態ではグラフィカルユーザインターフェースに入力され、標識生体分子の一続きの1つ以上の文字(例えば、英数字)、記号、画像又は他のグラフィック表現として入力部に通信される。一部の例では、依頼は、標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーの「省略された」呼称又は他の好適な識別子である。例えば、依頼は、生体分子名、標識名、受託番号、配列識別番号、プローブ配列の略称、化学構造又はケミカルアブストラクツサービス(CAS)登録番号を含み得る。
【0125】
上記に記載したとおり、標識生体分子依頼が入力部によって受け取られた後、主題のシステムの処理モジュールが受け取られた標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応するメモリに保管されているデータセットから1つ以上の保管識別子(例えば、標識生体分子保管識別子、生体分子保管識別子、標識保管識別子、反応性リンカー保管識別子等)を特定する。受け取られた標識生体分子試薬の依頼の各構成要素に対応する保管識別子は出力部によって出力される。一部の例では、各標識生体分子保管識別子はモニタ上に表示される。他の例では、保管識別子は機械(例えば、バーコードとして)又は人間が読み取り可能な形式で印刷することにより出力される。標識生体分子試薬がコンピュータ制御の試薬調製装置(以下に更に詳細に記載するとおり)によって調製される場合、出力部は試薬調製装置に操作可能に結合され、各保管識別子が、限定されないが、SQL、HTML若しくはXML文書、電子メール若しくは他のファイル、又は他の形式のデータを含め、インターネットプロトコルを介するなどして試薬調製装置に電子的に通信され得る。
【0126】
受け取られた標識生体分子依頼の数に応じて、出力部により1つ以上の保管識別子が同時に出力されてもよく、2つ以上など、3つ以上など、3つ以上など、5つ以上など、10以上など、25以上など、100以上など、及び500以上の保管識別子を出力することが含まれる。出力された保管識別子の各組が、単一のユーザ又は複数のユーザからの標識生体分子依頼と一致し得る。
【0127】
特定の実施形態において、出力部は、保管識別子を表示又は印刷する前に所定の基準に基づいて保管識別子を編成する(例えば、1つにグループ化する)。一例において、出力部は、特定のユーザからの保管識別子の全てを1つにグループ化する。別の例において、出力部は、同じ標識生体分子保管識別子の全てを1つにグループ化する。更に別の例では、出力部は、生体分子(例えば、抗体、オリゴヌクレオチド)の名称又はタイプに基づいて保管識別子を編成する。なおも別の例において、出力部は、標識の名称又はタイプ(例えば、フルオレセイン、クマリン)に基づいて保管識別子を編成する。
【0128】
一部の実施形態において、方法は、受け取られた依頼及び/又は出力された保管識別子に従って標識生体分子試薬を調製するステップを有する。一部の実施形態において、標識生体分子試薬を調製するステップは、複数の活性化生体分子及び複数の活性化標識を有する保管部から活性化生体分子及び活性化標識を選択するステップを含む。各標識生体分子試薬は、実験室などで1人以上によって手動で調製されてもよく、又は上記に記載したとおりコンピュータ制御された試薬調製装置(例えば、ハイスループット調製システム)で調製されてもよい。一部の例では、出力された保管識別子が標識生体分子保管識別子である場合、方法は、出力された標識生体分子保管識別子に対応する保管部から標識生体分子を取り出すステップを有する。これらの例では、方法は、必要に応じて保管部から標識生体分子を精製するステップ又は1つ以上の追加の試薬(例えば、緩衝液、抗酸化剤等)を加えるステップを更に有し得る。他の例では、取り出した標識生体分子は更なる精製又は組成物への添加なしに包装され、ユーザに出荷される。
【0129】
他の実施形態において、標識生体分子は、出力された生体分子保管識別子と一致する活性化生体分子を、出力された標識保管識別子と一致する活性化標識と接触させることにより調製される。活性化生体分子と活性化標識との混合には、反応によって活性化生体分子の反応性リンカーと活性化標識の反応性リンカーとの間に共有結合が形成されるために十分である限り、任意の好都合な反応プロトコルを用い得る。混合するステップは、特定の実施形態において、混合物をマグネチック撹拌バーで撹拌するか又は混合物を手動で撹拌するステップと、手動で(即ち手で)又は機械的に(即ち機械的又は電気的に作動する振盪機器による)のいずれかで混合物の撹拌をボルテックスするステップとを含み得る。活性化生体分子及び活性化標識は、活性化生体分子が活性化標識と結合するために十分な時間にわたって(1分以上など、5分以上など、10分以上など及び30分以上を含む)接触する。
【0130】
上記で考察したとおり、活性化生体分子及び活性化標識は、各々が反応性リンカーを含み、これらの反応性リンカーは、適切な条件下で行われる場合に互いに反応して、例えば、イオン結合(電荷間相互作用)、非共有結合(例えば、双極子間又は電荷-双極子)又は共有結合などの化学的連結を形成する。一部の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー又は部分は活性化標識の反応性リンカー又は部分と反応してイオン結合を生成する。他の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー又は部分は活性化標識の反応性リンカー又は部分と反応して非共有結合を生成する。更に他の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカー又は部分は活性化標識の反応性リンカー又は部分と反応して共有結合を生成する。特定の実施形態において、活性化生体分子の反応性リンカーと活性化標識の反応性リンカーとが反応して共有結合を生成する。活性化生体分子の反応性リンカーと活性化標識の反応性リンカーとの間に共有結合を形成するために好都合な任意のプロトコルを用いることができ、数ある結合形成反応タイプの中でも特に、限定されないが、付加反応、脱離反応、置換反応、ペリ環状反応、光化学反応、酸化還元反応、ラジカル反応、カルベン中間体を介した反応、メタセシス反応が挙げられる。一部の実施形態において、活性化生体分子は反応性連結ケミストリーを用いて活性化標識にコンジュゲートされてもよく、例えば反応性リンカー対としては、限定されないが、マレイミド/チオール;チオール/チオール;ピリジルジチオール/チオール;ヨード酢酸スクシンイミジル/チオール;N-スクシンイミジルエステル(NHSエステル)、スルホジコロルフェノールエステル(sulfodicholorphenol ester)(SDPエステル)、又はペンタフルオロフェニルエステル(PFPエステル)/アミン;ビススクシンイミジルエステル/アミン;イミドエステル類/アミン類;ヒドラジン又はアミン/アルデヒド、ジアルデヒド又はベンズアルデヒド;イソシアネート/ヒドロキシル又はアミン;炭水化物-過ヨウ素酸塩/ヒドラジン又はアミン;ジアジリン/アリールアジドケミストリー;ピリジルジチオール/アリールアジドケミストリー;アルキン/アジド;カルボキシ-カルボジイミド/アミン;アミン/スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート)/チオール及びアミン/BMPH(N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド.TFA)/チオール;アジド/トリアリールホスフィン;ニトロン/シクロオクチン;アジド/テトラジン及びホルミルベンズアミド/ヒドラジノ-ニコチンアミドが挙げられる。
【0131】
各それぞれの反応性リンカーの間に化学的連結(例えば、共有結合)が形成されるために十分な時間にわたって活性化生体分子と活性化標識とを接触させた後、標識生体分子は、数ある精製プロトコルの中でも特に、限定されないが、イオン交換クロマトグラフィー、逆相静止カラムを用いた液体クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー及び分取薄層クロマトグラフィー、限外ろ過(サイズカットオフのメンブランフィルタ)を含め、マイクロ抽出、ゲル電気泳動、液液抽出、遠心、沈殿、受動又は能動透析、又は固相クロマトグラフィーによるなどして更に精製されてもよい。
【0132】
方法は、調製された標識生体分子試薬の分析も有し得る。分析とは、限定されないが、調製された試薬組成物中の化合物の量及び種類並びに存在する任意の不純物を含め、標識生体分子試薬の化学組成を特徴付けることを意味する。調製された標識生体分子試薬の分析は、例えば、物理的計測(例えば、質量分析、密度分析、容量分析等)、質量分析法(例えば、TOF質量分析法、誘導結合プラズマ質量分析法)、マスサイトメトリー、吸光分光法、蛍光分光法、伝導度分析、赤外分光法、紫外可視分光法、比色分析、元素分析及び核磁気共鳴分光法によるなど、任意の好都合なプロトコルを用いて行われてもよい。一部の例では、標識生体分子の分析は質量分析法によって行われる。一部の例では、標識生体分子の分析は蛍光分光法によって行われる。一部の例では、標識生体分子の分析はガスクロマトグラフィーによって行われる。一部の例では、標識生体分子の分析は液体クロマトグラフィーによって行われる。一部の例では、標識生体分子の分析は元素分析によって行われる。特定の実施形態において、標識生体分子試薬の分析はガスクロマトグラフィー-質量分析法によって行われる。他の実施形態において、標識生体分子試薬の分析は液体クロマトグラフィー-質量分析法によって行われる。例えば、装置は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、マイクロ又はナノ液体クロマトグラフ又は超高圧液体クロマトグラフ(UHPLC)機器、キャピラリー電気泳動法(CE)、又はキャピラリー電気泳動クロマトグラフ(CEC)装置を含む、液体クロマトグラフ(LC)などの分析的分離機器を含み得る。しかしながら、任意の手動又は自動注入又は分配ポンプシステムが用いられ得る。例えば、主題のサンプルが、特定の実施形態ではナノポンプ又はマイクロポンプを用いることによりLC-MSシステムに適用されてもよい。質量分析計システムは任意の好都合な質量分析システムであってよく、これは、一般に、サンプルをイオン化するためのイオン源、イオンを分離するための質量分析器、及びイオンを検出するための検出器を含む。特定の場合、質量分析計は、プリカーサイオンを分離し、プリカーサイオンをフラグメンテーションし、及びフラグメントプリカーサイオンを分析することが可能である、いわゆる「タンデム」質量分析計であってもよい。イオン源は任意のタイプのイオン化方法に依存するものであってよく、限定されないが、例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、電子衝撃(EI)、大気圧光イオン化(APPI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)又は誘導結合プラズマ(ICP)イオン化、又はこれらの任意の組み合わせ(いわゆる「多モード」イオン化源を提供する)が挙げられる。一実施形態において、プリカーサイオンはEI、ESI又はMALDIによって作られてもよく、選択されたプリカーサイオンが衝突によるか又は光子を用いてフラグメンテーションされるとプロダクトイオンが生成され、続いてそれらが分析され得る。同様に、飛行時間型(TOF)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、イオントラップ、四重極又は二重収束型磁性電極扇形質量分析器、又はこれらの任意のハイブリッドを含め、種々の異なる質量分析器のいずれを用いてもよい。一実施形態において、質量分析器は、扇形、透過四重極、又は飛行時間型質量分析器であってもよい。
【0133】
標識生体分子試薬の調製後(及び必要に応じて精製及び分析後)、各調製された標識生体分子試薬が標識生体分子依頼に従って包装用容器に装填され、納品される(即ち、標識生体分子依頼を発したユーザに輸送される)。特定の実施形態において、標識生体分子試薬は調製され、活性化生体分子を活性化標識と接触させるために使用した容器でユーザに納品される。例えば、標識生体分子試薬は、活性化生体分子を活性化標識と接触させるために使用したマイクロチューブに包装され、納品される。方法は、包装された標識生体分子試薬を郵送によるなどして依頼者に納品するステップも有し得る。
【0134】
調製された標識生体分子試薬は、限定されないが、緩衝液、シリンジ、針、マイクロピペット、スライドグラス、乾燥剤等を含め、標識生体分子試薬を使用又は保管するためなど、他の構成要素と共に包装されてもよい。加えて、包装された標識生体分子試薬は、標識生体分子試薬の保管及び使用に関する説明書を更に含み得る。説明書は、紙又はプラスチック等に印刷されるなど、好適な記録媒体上に記録されてもよい。説明書は、容器のラベル表示などにおける添付文書として存在してもよい。他の実施形態において、説明書は、好適なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、CD-ROM、SDカード、USBドライブ等に存在する電子的保管データファイルとして存在してもよい。更に他の実施形態において、実際の説明書は包装中に存在せず、遠隔ソースから例えばインターネットを介して説明書を入手するための手段が提供される。この実施形態の一例は、説明書を閲覧することができ、及び/又は説明書をダウンロードすることができるウェブアドレスが載った紙又はプラスチックの挿入物である。
【0135】
標識生体分子試薬を依頼して受け取る方法
本開示の態様は、標識生体分子試薬を依頼して受け取る方法も含む。特定の実施形態に係る方法は、標識生体分子試薬の依頼であって、1)標識生体分子依頼、及び2)生体分子依頼及び標識依頼のうちの1つ以上を含む標識生体分子依頼を通信するステップと、標識に共有結合的に結合された生体分子を含む標識生体分子試薬を受け取るステップとを有する。主題の方法の実施において、標識生体分子試薬の依頼は、限定されないが、電話、ファクシミリ、電子メール又は郵便で標識生体分子依頼を通信することを含め、任意の好都合な通信プロトコルによって通信され得る。特定の実施形態において、標識生体分子依頼は、インターネットウェブサイト上など、コンピュータ上のグラフィカルユーザインターフェースに標識生体分子試薬の依頼を入力することにより通信される。
【0136】
2つ以上の標識生体分子試薬の依頼を通信するなど、5つ以上など、10以上など、及び25以上の標識生体分子試薬の依頼を通信することを含め、1つ以上の標識生体分子試薬の依頼が通信され得る。一部の実施形態において、方法は、単一の生体分子依頼及び単一の標識依頼を含む標識生体分子試薬の依頼を通信するステップを有する。他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む。更に他の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び単一の標識依頼を含む。なおも他の実施形態において、標識生体分子依頼は複数の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む。特定の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は1つ以上の標識生体分子依頼を含む。
【0137】
特定の実施形態において、標識生体分子試薬の依頼は、インターネットウェブサイト上などのグラフィカルユーザインターフェースに依頼を入力することにより通信される。グラフィカルユーザインターフェースは、標識生体分子、活性化生体分子、生体分子、活性化標識、標識及び反応性リンカーのデータベース(例えば、カタログ)の全て又は一部を表示し得る。データベースからの各カテゴリが、リスト、ドロップダウンメニュー又は他の構成として表示されてもよい。標識生体分子試薬の依頼は、生体分子及び標識に関連する情報又はデータを適切なテキスト領域に入力することによるか、又はチェックボックスを選択し、若しくはドロップダウンメニューから1つ以上のアイテムを選択することによるか、又はこれらの組み合わせを用いることにより入力され得る。
【0138】
一例において、標識生体分子試薬の依頼は、ドロップダウンメニューから標識生体分子を選択することによりグラフィカルユーザインターフェースに入力される。別の例において、標識生体分子試薬の依頼は、第1のドロップダウンメニューから1つ以上の生体分子を選択し、且つ第2のドロップダウンメニューから1つ以上の標識を選択することによりグラフィカルユーザインターフェースに入力される。更に別の例では、標識生体分子試薬の依頼は、第1のドロップダウンメニューから1つ以上の生体分子を選択し、第2のドロップダウンメニューから1つ以上の標識を選択し、且つ第3のドロップダウンメニューから1つ以上の反応性リンカーを選択することによりグラフィカルユーザインターフェースに入力される。
【0139】
標識生体分子試薬の依頼を入力するために、特定の標識生体分子、生体分子又は標識に関連する情報又はデータがグラフィカルユーザインターフェースに入力される。入力される情報又はデータは、標識生体分子の一続きの1つ以上の文字(例えば、英数字)、記号、画像又は他のグラフィック表現であってもよい。一部の例では、標識生体分子、生体分子、標識、活性化生体分子、活性化標識又は反応性リンカーの「省略された」呼称又は他の好適な識別子が入力される。例えば、生体分子名、標識名、受託番号、配列識別番号、プローブ配列の略称、化学構造又はケミカルアブストラクツサービス(CAS)登録番号が入力され得る。
【0140】
一部の実施形態において、標識生体分子試薬はポリペプチドを含み、及び依頼が、ポリペプチド名、タンパク質名、酵素名、抗体名又はこれらのタンパク質、酵素若しくは抗体断片の名称、特定の生体液(例えば、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水、羊膜臍帯血、尿、腟液及び精液)に由来するポリペプチド、特定の種に由来するポリペプチド(例えば、マウスモノクローナル抗体)及びアミノ酸配列識別番号などの情報を含み得る。特定の実施形態において、標識生体分子試薬は生物学的プローブを含み、及び依頼が、特異的結合ドメインに関連する情報又はデータを含む。
【0141】
他の実施形態において、標識生体分子試薬は核酸を含み、及び依頼が、オリゴヌクレオチド名、遺伝子名によって特定されるオリゴヌクレオチド、受託番号によって特定されるオリゴヌクレオチド、特定の種(例えば、マウス、ヒト)の遺伝子のオリゴヌクレオチド、特定の組織(例えば、肝臓、脳、心臓)に関連する遺伝子のオリゴヌクレオチド、特定の生理機能(例えば、アポトーシス、ストレス応答)に関連する遺伝子のオリゴヌクレオチド、特定の病状(例えば、癌、心血管疾患)に関連する遺伝子のオリゴヌクレオチド及びヌクレオチド配列識別番号などの情報を含み得る。
【0142】
特定の実施形態において、標識生体分子の依頼方法は、標識生体分子依頼に関するアンケート又は調査に記入するステップを更に含む。これらの実施形態において、標識生体分子の依頼者は、標識生体分子依頼に関する一連の質問によるか、又はアンケート若しくは調査の形態のプロンプトを受ける。例えば、アンケート又は調査は、標識生体分子依頼に関する2つ以上の質問など、3つ以上の質問など、4つ以上の質問など及び5つ以上の質問を含め、標識生体分子依頼に関する1つの質問を含み得る。アンケート又は調査の内容は、所望される情報に応じて異なり得る。例えば、アンケート又は調査の質問事項としては、限定されないが、依頼者の試薬在庫の内容の提供依頼、標識生体分子で行われる実験のタイプ及び標識生体分子試薬を使用するタイミングを挙げることができる。このアンケートは、入力用の1つ以上のオープンテキスト領域も含み得る。例えば、アンケートはオープンテキストフィードバック形式であってもよい。
【0143】
一部の実施形態において、方法は、標識生体分子依頼を通信する前に(例えば、グラフィカルユーザインターフェースに入力する前に)依頼者に一連の質問又は調査に記入するようにプロンプトを送るステップを有する。他の実施形態において、方法は、標識生体分子依頼の完了後に依頼者に一連の質問又は調査に記入するようにプロンプトを送るステップを有する。更に他の実施形態において、依頼者は、標識生体分子依頼を通信すると同時に標識生体分子依頼に関する質問のプロンプトを受け得る。例えば、方法は、標識生体分子依頼を通信する場合に依頼者に標識生体分子の具体的な使用(例えば、行われる実験)に関する質問のプロンプトを送るステップを有し得る。
【0144】
上記に記載したとおり、記入された一連の質問又は調査が設計プラットフォームによって用いられ、1つ以上の標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの推奨が提供され得る。例えば、質問又は調査に対する回答が設計プラットフォームによって用いられ、詳細な分析機器(例えば、フローサイトメーター、蛍光分光計)での使用に最適な又は標識生体分子の意図される利用に最適な標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーが推奨され得る。設計プラットフォームは、特定の実施形態において、記入された一連の質問又は調査に対する回答を用いて、目標密度(例えば、細胞上の抗原密度)に基づく標識生体分子、生体分子、活性化生体分子、標識、活性化標識又は反応性リンカーの推奨を提供するように構成される。
【0145】
一連の質問又は調査に対する回答は、標識生体分子依頼の通信に用いられるものと同じ又は異なるプロトコル(例えば、電話、ファクシミリ、電子メール、スタンドアロンステーションにおけるグラフィカルユーザインターフェース、インターネットを介したグラフィカルユーザインターフェース)を用いて通信され得る。例えば、標識生体分子依頼がインターネットを介したグラフィカルユーザインターフェースで通信される場合、一連の質問に対する回答も、ドロップダウンメニュー又はテキスト領域によるなど、グラフィカルユーザインターフェースから入力されてもよい。
【0146】
本開示の実施形態に係る方法は、標識生体分子試薬を受け取るステップも有する。標識生体分子試薬は受け取られて容器に装填されてもよく、及び主題の組成物の使用又は保管のためなど、1つ以上の補助構成要素と共に包装されてもよい。特定の実施形態において、標識生体分子試薬は、緩衝液、シリンジ、針、マイクロピペット、スライドグラス、乾燥剤等と共に受け取られる。包装された標識生体分子試薬は、紙、プラスチック上に印刷された、又はコンピュータ可読媒体(例えば、CD-ROM、SD-カード、USBドライブ)上にある説明書、又はインターネット上など、遠隔ソースから主題の組成物の保管及び使用に関する説明書を取り出すための説明書を提供する挿入物としてなど、標識生体分子試薬の保管及び使用に関する説明書と共に受け取られてもよい。
【0147】
複数の活性化生体分子及び複数の活性化標識を含む保管部
本開示の態様は、複数の活性化生体分子及び複数の活性化標識を含む保管部も含む。上記に詳細に考察したとおり、主題の標識生体分子試薬は、活性化生体分子を活性化標識と接触させることによって調製される。一部の実施形態において、保管部内の活性化生体分子は、反応性リンカーと結合されるポリペプチド、核酸、ポリペプチド又はこれらの組み合わせである。特定の例では、保管部内の活性化生体分子は、反応性リンカーと結合される生物学的プローブであり、ここで、プローブは、抗体結合剤、タンパク質、ペプチド、ハプテン、核酸など、目的の分析物に対する特異的結合ドメインを含む。活性化標識は、例えば、蛍光発光、吸光度、蛍光偏光、蛍光寿命、蛍光波長、吸光度極大、吸光波長、ストークスシフト、光散乱、質量、分子質量、酸化還元、音響、ラマン、磁性、高周波、酵素反応(化学発光及び電気化学発光を含む)又はこれらの組み合わせに基づき検出可能であり得るマーカー化合物である。例えば、標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ(例えば、同位体的に純粋な希土類元素)、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子であってもよい。
【0148】
特定の実施形態において、保管部内の活性化標識は、反応性リンカーと結合されるフルオロフォアである。目的のフルオロフォアとしては、限定されないが、分析適用(例えば、フローサイトメトリー、イメージング等)での使用に好適な色素、例えば、アクリジン色素、アントラキノン色素、アリールメタン色素、ジアリールメタン色素(例えば、ジフェニルメタン色素)、クロロフィル含有色素、トリアリールメタン色素(例えば、トリフェニルメタン色素)、アゾ色素、ジアゾニウム色素、ニトロ色素、ニトロソ色素、フタロシアニン色素、シアニン色素、不斉シアニン色素、キノンイミン色素、アジン色素、ユーロジン色素、サフラニン色素、インダミン類、インドフェノール色素、フッ素色素、オキサジン色素、オキサゾン色素、チアジン色素、チアゾール色素、キサンテン色素、フルオレン色素、ピロニン色素、フッ素色素、ローダミン色素、フェナントリジン色素、並びに2つ以上の色素を(例えば、タンデムで)組み合わせる色素及び1つ以上のモノマー色素単位を有するポリマー色素、及びこれらの2つ以上の色素の混合物を挙げることができる。例えば、フルオロフォアは、4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸;アクリジン及び誘導体、例えば、アクリジン、アクリジンオレンジ、アクリンジンイエロー(acrindine yellow)、アクリジンレッド、及びアクリジンイソチオシアネート;アロフィコシアニン、フィコエリトリン、ペリジニン-クロロフィルタンパク質、5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS);4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5ジスルホネート(ルシファーイエローVS);N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;ブリリアントイエロー;クマリン及び誘導体、例えば、クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクルアリン(trifluoromethylcouluarin)(クマラン(Coumaran)151));シアニン及び誘導体、例えば、シアノシン、Cy3、Cy5、Cy5.5、及びCy7;4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI);5’,5”-ジブロモピロガロール-スルホンフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン;ジエチルアミノクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート;4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸;4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸;5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、塩化ダンシル);4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL);4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC);エオシン及び誘導体、例えば、エオシン及びエオシンイソチオシアネート;エリスロシン及び誘導体、例えば、エリスロシンB及びエリスロシンイソチオシアネート;エチジウム;フルオレセイン及び誘導体、例えば、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、フルオレセインクロロトリアジニル、ナフトフルオレセイン、及びQFITC(XRITC);フルオレサミン;IR144;IR1446;緑色蛍光タンパク質(GFP);造礁サンゴ蛍光タンパク質(RCFP);Lissamine(登録商標);リサミンローダミン、ルシファーイエロー;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4-メチルウンベリフェロン;オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラロザニリン;ナイルレッド;オレゴングリーン;フェノールレッド;B-フィコエリトリン;o-フタルジアルデヒド;ピレン及び誘導体、例えば、ピレン、ピレンブチレート及びスクシンイミジル1-ピレンブチレート;リアクティブレッド4(Cibacron(登録商標)ブリリアントレッド3B-A);ローダミン及び誘導体、例えば、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、4,7-ジクロロローダミンリサミン、ローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、及びテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸及びテルビウムキレート誘導体;キサンテン;イソチオシアン酸フルオレセイン-デキストランなどの色素コンジュゲートポリマー(即ち、ポリマー付加色素)並びに前述の色素の2つ以上を(例えば、タンデムで)組み合わせる色素、1つ以上のモノマー色素単位を有するポリマー色素及びこれらの前述の色素の2つ以上の混合物であってもよい。
【0149】
一部の例では、フルオロフォア(即ち色素)は蛍光ポリマー色素である。主題の方法及びシステムにおいて有用性が見出される蛍光ポリマー色素は様々である。本方法の一部の例では、ポリマー色素はコンジュゲートポリマーを含む。コンジュゲートポリマー(CP)は、不飽和結合(例えば、二重及び/又は三重結合)と飽和結合(例えば、単結合)とが交互になった主鎖を含み、π電子が一方の結合から他方の結合へと移ることができる非局在化電子構造によって特徴付けられる。従って、コンジュゲート主鎖はポリマー色素に拡張した線状構造を付与することができ、ここで、ポリマーの繰り返し単位間の結合角は制限されている。例えば、タンパク質及び核酸は、同様にポリマーであるものの、場合により拡張したロッド構造を形成せず、むしろ高次三次元形状に折り畳まれる。加えて、CPは「リジッドロッド」ポリマー主鎖を形成し、ポリマー主鎖に沿ったモノマー繰り返し単位間のツイスト角(例えば、ねじれ角)の制限を受ける。一部の例では、ポリマー色素は、リジッドロッド構造を有するCPを含む。上記に要約したとおり、ポリマー色素の構造特性は分子の蛍光特性に効果を及ぼし得る。
【0150】
主題の方法及びシステムでは、任意の好都合なポリマー色素を利用し得る。一部の例では、ポリマー色素は、光を集めてフルオロフォアの蛍光出力を増幅することが可能な構造を有する多発色団である。一部の例では、ポリマー色素は、光を集めて、それをより長い波長の放射光に効率的に変換することが可能である。一部の場合、ポリマー色素は、エネルギーを隣接した発光種に効率的に移動させることができる集光性多発色団システムを有する(例えば、「シグナリング発色団」)。エネルギー移動機構としては、例えば、共鳴エネルギー移動(例えば、フェルスター(又は蛍光)共鳴エネルギー移動、FRET)、量子電荷交換(デクスター型エネルギー移動)などが挙げられる。一部の例では、これらのエネルギー移動機構は比較的近距離である。即ち、集光性多発色団システムがシグナリング発色団に近接していると、効率的なエネルギー移動がもたらされる。効率的なエネルギー移動条件下では、集光性多発色団システム中の個々の発色団の数が多い場合、シグナリング発色団からの発光の増幅が起こる。即ち、シグナリング発色団からの発光は、入射光(「励起光」)が集光性多発色団システムによって吸収される波長である場合、シグナリング発色団がポンプ光によって直接励起された場合よりも高強度となる。
【0151】
多発色団はコンジュゲートポリマーであってもよい。コンジュゲートポリマー(CP)は非局在化電子構造によって特徴付けられ、化学的及び生物学的標的の高応答性の光学的レポーターとして使用することができる。有効コンジュゲーション長さはポリマー鎖の長さよりも実質的に短いため、主鎖には多数のコンジュゲートセグメントが近接して含まれる。従って、コンジュゲートポリマーは集光に効率的であり、エネルギー移動による光学的増幅が可能である。
【0152】
一部の例では、ポリマーは、直接的な蛍光レポーター、例えば高吸光係数、高輝度等の蛍光ポリマーとして用いられ得る。一部の例では、ポリマーは、色又は光学濃度が指標として用いられる強発色団として用いられ得る。
【0153】
目的のポリマー色素としては、限定されないが、Gaylordらによる米国特許出願公開第2004/0142344号明細書、同第2008/0293164号明細書、同第2008/0064042号明細書、同第2010/0136702号明細書、同第2011/0256549号明細書、同第2012/0028828号明細書、同第2012/0252986号明細書及び同第2013/0190193号明細書(これらの開示は本明細書に全体として参照により援用される);及びGaylord et al.,J.Am.Chem.Soc.,2001,123(26),pp6417-6418;Feng et al.,Chem.Soc.Rev.,2010,39,2411-2419;及びTraina et al.,J.Am.Chem.Soc.,2011,133(32),pp12600-12607(これらの開示は本明細書に全体として参照により援用される)に記載される色素が挙げられる。
【0154】
一部の実施形態において、ポリマー色素は、第1の光学活性単位が光を吸収して励起状態を形成する第1の吸収波長(例えば、本明細書に記載されるとおりの)を有するコンジュゲートシステムを形成する複数の第1の光学活性単位を含むコンジュゲートポリマーを含む。コンジュゲートポリマー(CP)は、ポリカチオン系、ポリアニオン系及び/又は電荷中性コンジュゲートポリマーであり得る。
【0155】
CPは生体試料への使用向けに水溶性であってもよい。ポリマー色素には、親水性置換基、例えば親水性ポリマー、又は荷電置換基、例えば、水溶液中、例えば生理的条件下で正電荷又は負電荷の基など、水への溶解度の増加をもたらす任意の好都合な置換基が含まれ得る。任意の好都合な水溶性基(WSG)を主題の集光性多発色団において利用し得る。用語「水溶性基」は、水性環境中に良好に溶媒和し、且つそれが付加されている分子に水溶性の向上を付与する官能基を指す。一部の実施形態において、WSGは、WSGを欠く多発色団と比較した場合、主に水性の溶液(例えば、本明細書に記載されるとおりの)に対する多発色団の溶解度を増加させる。水溶性基は、水性環境中に良好に溶媒和する任意の好都合な親水基であってもよい。一部の場合、親水性水溶性基は荷電しており、例えば、正電荷又は負電荷又は両性イオン性である。特定の場合、親水性水溶性基は中性親水基である。一部の実施形態において、WSGは、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース、キトサン、又はこれらの誘導体である。
【0156】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「ポリエチレングリコール」及び「PEG」は同義的に使用され、式-(CH2 -CH2 -O-)n -によって記載される鎖を含むポリマー又はその誘導体を指す。一部の実施形態において、「n」は、5000以下、例えば1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、例えば5~15、又は10~15である。PEGポリマーは任意の好都合な長さであってよく、限定されないが、アルキル、アリール、ヒドロキシル、アミノ、アシル、アシルオキシ、及びアミド末端基を含めた種々の末端基を含み得ることが理解される。主題の多発色団における使用に適し得る機能化されたPEGには、S.Zalipskyによって“Functionalized poly(ethylene glycol)for preparation of biologically relevant conjugates”,Bioconjugate Chemistry 1995,6(2),150-165に記載されるPEGが含まれる。目的の水溶性基としては、限定されないが、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、エステル、ポリエチレングリコール類(PEG)及び修飾PEG、ヒドロキシル、アミン、アンモニウム、グアニジニウム、ポリアミン及びスルホニウム、多価アルコール類、直鎖又は環状糖類、第1級、第2級、第3級、又は第4級アミン類及びポリアミン類、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、アスコルビン酸基、グリコール類、例えば、ポリエーテル類、-COOM’、-SO3 M’、-PO3 M’、-NR3 +,Y’、(CH2 CH2 O)p R及びこれらの混合物(式中、Y’は任意のハロゲン、硫酸塩、スルホン酸塩、又は酸素含有アニオンであってよく、pは1~500であってよく、各Rは独立にH又はアルキル(メチルなど)であってよく、及びM’はカチオン性対イオン又は水素、-(CH2 CH2 O)yyCH2 CH2 XRyy、-(CH2 CH2 O)yyCH2 CH2 X-、-X(CH2 CH2 O)yyCH2 CH2 -、グリコール、及びポリエチレングリコール(式中、yyは1~1000から選択され,XはO、S、及びNRzzから選択され、且つRzz及びRyyは独立にH及びC1~3アルキルから選択される)であってもよい)が挙げられる。
【0157】
ポリマー色素は任意の好都合な長さを有し得る。一部の場合、ポリマー色素のモノマー繰り返し単位又はセグメントの特定の数は、2~500,000、例えば2~100,000、2~30,000、2~10,000、2~3,000又は2~1,000単位又はセグメント、又は例えば100~100,000、200~100,000、又は500~50,000単位又はセグメントの範囲内に含まれ得る。特定の例では、ポリマー色素のモノマー繰り返し単位又はセグメントの数は、2~1000単位又はセグメント、2~750単位又はセグメントなど、2~500単位又はセグメントなど、2~250単位又はセグメントなど、2~150単位又はセグメントなど、2~100単位又はセグメントなど、2~75単位又はセグメントなど、2~50単位又はセグメントなどの及び2~25単位又はセグメントを含めた範囲内である。
【0158】
ポリマー色素は任意の好都合な分子量(MW)であってよい。一部の場合、ポリマー色素のMWは平均分子量として表され得る。一部の例では、ポリマー色素は、500~500,000、例えば1,000~100,000、2,000~100,000、10,000~100,000の平均分子量又は更には50,000~100,000の平均分子量を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は70,000の平均分子量を有する。
【0159】
ポリマー色素は、特定の吸収極大波長、特定の発光極大波長、吸光係数、量子収量など、1つ以上の望ましい分光学的特性を有し得る。
【0160】
一部の実施形態において、ポリマー色素は280~850nmの吸収曲線を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は280~850nmの範囲の吸収極大を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は280~850nmの範囲の波長を有する入射光を吸収し、ここで、目的の吸収極大の具体的な例としては、限定されないが、以下の348nm、355nm、405nm、407nm、445nm、488nm、640nm及び652nmが挙げられる。一部の例では、ポリマー色素は、280~310nm、305~325nm、320~350nm、340~375nm、370~425nm、400~450nm、440~500nm、475~550nm、525~625nm、625~675nm及び650~750nmからなる群から選択される範囲の吸収極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は348nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は355nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は405nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は407nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は445nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は488nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は640nmの吸収極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は652nmの吸収極大波長を有する。
【0161】
一部の実施形態において、ポリマー色素は、400~850nm、例えば415~800nmの範囲の発光極大波長を有し、ここで、目的の発光極大の具体的な例としては、限定されないが、以下の395nm、421nm、445nm、448nm、452nm、478nm、480nm、485nm、491nm、496nm、500nm、510nm、515nm、519nm、520nm、563nm、570nm、578nm、602nm、612nm、650nm、661nm、667nm、668nm、678nm、695nm、702nm、711nm、719nm、737nm、785nm、786nm、805nmが挙げられる。一部の例では、ポリマー色素は、380~400nm、410~430nm、470~490nm、490~510nm、500~520nm、560~580nm、570~595nm、590~610nm、610~650nm、640~660nm、650~700nm、700~720nm、710~750nm、740~780nm及び775~795nmからなる群から選択される範囲の発光極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は395nmの発光極大を有する。一部の例では、ポリマー色素は421nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は478nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は480nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は485nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は496nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は510nmの発光極大波長を有する。一部の場合、ポリマー色素は570nmの発光極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は602nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は650nmの発光極大波長を有する。特定の場合、ポリマー色素は711nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は737nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は750nmの発光極大波長を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は786nmの発光極大波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は421nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は510nm±5nmの発光極大波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は570nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の例では、ポリマー色素は602nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は650nm±5nmの発光極大波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は711nm±5nmの発光極大波長を有する。一部の場合、ポリマー色素は786nm±5nmの発光極大波長を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は、421nm、510nm、570nm、602nm、650nm、711nm及び786nmからなる群から選択される発光極大を有する。
【0162】
一部の例では、ポリマー色素は、1×106 cm-1-1以上、例えば2×106 cm-1-1以上、2.5×106 cm-1-1以上、3×106 cm-1-1以上、4×106 cm-1-1以上、5×106 cm-1-1以上、6×106 cm-1-1以上、7×106 cm-1-1以上、又は8×106 cm-1-1以上の吸光係数を有する。特定の実施形態において、ポリマー色素は、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、0.95以上、0.99以上などの及び0.999以上を含めた量子収量を有する。例えば、目的のポリマー色素の量子収量は、0.05~1、0.1~0.95など、0.15~0.9など、0.2~0.85など、0.25~0.75など、0.3~0.7などの及び0.4~0.6の量子収量を含めた範囲であってもよい。特定の場合、ポリマー色素は0.1以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.3以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.5以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.6以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.7以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.8以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.9以上の量子収量を有する。特定の場合、ポリマー色素は0.95以上の量子収量を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は1×106 以上の吸光係数及び0.3以上の量子収量を有する。一部の実施形態において、ポリマー色素は2×106 以上の吸光係数及び0.5以上の量子収量を有する。
【0163】
実施形態において、標識生体分子試薬の依頼に従って標識生体分子試薬を調製するための活性化生体分子及び活性化標識は保管部から入手される。保管部は、10以上の異なる活性化生体分子、25以上など、50以上など、100以上など、250以上など、500以上など及び1000以上を含めた活性化生体分子を有し得る。一例において、保管部は、10以上の異なる活性化オリゴヌクレオチド、25以上など、50以上など、100以上など、250以上など、500以上など及び1000以上を含めた活性化オリゴヌクレオチドを含む。別の例において保管部は、10以上の異なる活性化ポリペプチド、25以上など、50以上など、100以上など、250以上など、500以上など及び1000以上を含めた活性化ポリペプチドを含む。保管部は、10以上の異なる活性化標識、15以上など、20以上など、30以上など、40以上など及び50以上を含めた異なる活性化標識も含み得る。
【0164】
複数の活性化生体分子及び活性化標識の各々は、保管部内において、必要に応じて活性化生体分子又は活性化標識を保管及び提供することが可能な任意の好適な容器に入って存在し得る。一部の実施形態では、複数の異なる活性化生体分子及び複数の異なる活性化標識が、個別の試薬チャンバに仕切られた単一のリザーバに保管される。他の実施形態では、複数の異なる活性化生体分子及び複数の異なる活性化標識の各々が個別の容器(例えば、ボトル、ジャグ等)に保管される。更に他の実施形態では、複数の異なる活性化生体分子及び複数の異なる活性化標識の各々が複数のバイアルに保管され、各バイアルが各活性化生体分子及び各活性化標識の予め測定されたアリコートを含む。保管部内の各容器は、活性化生体分子又は活性化標識の構成要素を特定するラベル(例えば、生体分子、標識及び反応性リンカーの名称、構造、CAS登録番号、受託番号、プローブ配列等)も含み得る。ラベルは、クイックレスポンス(QR)コード又はバーコードなどの1つ以上の機械可読構成要素も含み得る。
【0165】
一部の実施形態において、保管部は、利用可能な活性化生体分子及び活性化標識のデータベースも含む。データベースは、紙に印刷された又は電子的形式のカタログであってもよく、又はキーワード、化学構造、受託番号、モノマー配列(例えば、アミノ酸又はヌクレオチド配列)によるか、又はCAS化学登録番号によって検索可能など、検索可能な電子データベースであってもよい。
【0166】
有用性
主題のシステム及び方法は、複雑な生物学的試薬(例えば、検出可能マーカーと結合された生体高分子)の調製、大規模に行うと概して時間がかかる、経済的に非効率な且つ多大な労力を要するプロセスにおいて有用性が見出される。本開示は、広範囲の生体分子及び検出可能標識ポートフォリオにわたって高品質で性能に特化した製品を納品するための迅速で効率が良い且つ規模対応性が極めて高い方法を提供する。
【0167】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、カスタマイズされた生物学的試薬を依頼及び提供するユニークな新規の方法も提供する。広範囲のデータベース(例えば、オンラインデータベース)から予め合成された試薬を選択可能であることに加えて、主題のシステム及び方法はユーザカスタマイズ性を提供し、ユーザは任意の所望の標識生体分子をオンデマンドで作成することができる。ユーザは、使い易いグラフィックインターフェース上で生体高分子及び検出可能マーカーを選択するのみで、種々の異なる研究用途及び医学的診断に用いられる任意の標識生体分子を依頼することができる。
【0168】
本開示は、小規模合成によって調製される場合に不可能である複雑な生物学的試薬の大型ポートフォリオへのアクセスも提供する。主題のシステム及び方法は規模対応性が高く、生体分子と検出可能マーカーとの何千もの異なる組み合わせのオンデマンド調製を促進する。特定の実施形態において、主題のシステムは完全に自動化されたプロトコルを提供し、カスタマイズされた検出可能な生体分子プローブの調製に人力の投入は、たとえあったとしても僅かにのみ必要である。
【0169】
本開示は、研究、実験室試験のために又は治療での使用向けに生体試料からの細胞分析が所望され得る適用にも有用性が見出される。一部の実施形態において、主題の方法及びシステムは、癌などの疾患の標本など、体液又は組織試料から得られる細胞の分析を促進し得る。本開示の方法及びシステムは、デノボ合成したプローブ組成物を使用する場合と比較して、生体試料(例えば、器官、組織、組織断片、体液)由来の細胞を高効率及び低コストで分析することも可能にする。
【0170】
添付の請求項にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
1.標識生体分子試薬の調製に用いられるシステムであって、
標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、
複数の標識生体分子保管識別子を含むデータセットを保管するためのメモリと、
メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応するデータセットから1つ以上の標識生体分子保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、
特定された標識生体分子保管識別子を提供するための出力部と
を備えるシステム。
2.標識生体分子試薬の依頼は生体分子依頼及び標識依頼を含む、付記1のシステム。
3.メモリは、複数の活性化生体分子についての複数の生体分子保管識別子を含む第1のデータセットと、複数の活性化標識についての複数の標識保管識別子を含む第2のデータセットとを保管する、付記2のシステム。
4.出力部は、特定された標識生体分子保管識別子を表示するように構成された通信構成要素に操作可能に結合される、付記1~3のいずれか1つのシステム。
5.通信構成要素は電子ディスプレイである、付記4のシステム。
【0171】
6.通信構成要素はプリンタである、付記4のシステム。
7.入力部はグラフィカルユーザインターフェースに操作可能に結合されている、付記1~6のいずれか1つのシステム。
8.グラフィカルユーザインターフェースはインターネットウェブサイトメニューインターフェースを含む、付記1~7のいずれか1つのシステム。
9.入力部は複数の標識生体分子依頼を受け取るように構成される、付記1~8のいずれか1つのシステム。
10.入力部は複数の生体分子依頼及び標識依頼を同時に受け取るように構成される、付記9のシステム。
【0172】
11.入力部は同じユーザから複数の生体分子依頼及び標識依頼を受け取るように構成される、付記9のシステム。
12.入力部は複数のユーザから複数の生体分子依頼及び標識依頼を受け取るように構成される、付記9のシステム。
13.メモリは、生体分子依頼に対応する生体分子保管識別子が利用可能でない場合に代替の生体分子の推奨を提供するアルゴリズムを含む、付記1~12のいずれか1つのシステム。
14.メモリは、標識依頼に対応する標識保管識別子が利用可能でない場合に代替の標識の推奨を提供するアルゴリズムを含む、付記1~13のいずれか1つのシステム。
15.標識生体分子試薬を調製するための試薬調製装置であって、出力部に操作可能に結合され、且つ
特定された生体分子保管識別子及び標識保管識別子を受け取ることと、
受け取られた生体分子保管識別子及び標識保管識別子に対応する標識生体分子試薬を作製することと
を行うように構成される試薬調製装置を更に含む、付記1~14のいずれか1つのシステム。
【0173】
16.試薬調製装置は、活性化生体分子及び活性化標識を接触装置に供給するように構成されたサンプリング機器を有する、付記15のシステム。
17.活性化生体分子を活性化標識と接触させて標識生体分子試薬を作製するように構成された接触装置を更に備える、付記16のシステム。
18.標識生体分子試薬分析器を更に備える、付記16又は17のシステム。
19.分析器は、標識生体分子試薬を精製するための精製構成要素を含む、付記18のシステム。
20.精製構成要素は液体クロマトグラフィーを含む、付記19のシステム。
【0174】
21.1つ以上の溶媒を接触装置に供給するように構成された溶媒チャンバを更に備える、付記16~20のいずれか1つのシステム。
22.接触装置はマイクロチューブである、付記16~21のいずれか1つのシステム。
23.作製された標識生体分子試薬を容器に密封するように構成された試薬包装ユニットを備える、付記15~22のいずれか1つのシステム。
24.生体分子は、ポリペプチド、核酸及び多糖からなる群から選択される化合物である、付記1~23のいずれか1つのシステム。
25.核酸はオリゴヌクレオチド、DNA又はRNAである、付記24のシステム。
【0175】
26.生体分子はオリゴヌクレオチドである、付記25のシステム。
27.ポリペプチドはタンパク質、酵素又は抗体である、付記24のシステム。
28.生体分子は抗体である、付記27のシステム。
29.標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子からなる群から選択される化合物である、付記1~28のいずれか1つのシステム。
30.メモリは25以上の生体分子保管識別子を含む、付記1~29のいずれか1つのシステム。
【0176】
31.メモリは25以上の抗体保管識別子を含む、付記30のシステム。
32.メモリは10以上の標識保管識別子を含む、付記1~31のいずれか1つのシステム。
33.メモリは25以上のフルオロフォア保管識別子を含む、付記32のシステム。
34.活性化生体分子及び活性化標識は、各々独立に、共有結合的に結合された反応性リンカーを含む、付記1~33のいずれか1つのシステム。
35.標識生体分子試薬の依頼を通信するステップであって、依頼は、標識生体分子依頼と、生体分子依頼及び標識依頼とのうちの1つ以上を含む、ステップと、
1つ以上の標識生体分子試薬を受け取るステップであって、各標識生体分子試薬は、リンカーを介して標識に共有結合的に結合された生体分子を含む、ステップと
を有する方法。
【0177】
36.複数の標識生体分子保管識別子を含む第1のデータセットから標識生体分子試薬を選択するステップを更に有する、付記35の方法。
37.複数の生体分子保管識別子を含む第2のデータセットからの生体分子と、複数の標識保管識別子を含む第3のデータセットからの標識とを選択するステップを更に有する、付記35又は36の方法。
38.依頼を通信するステップは、標識生体分子試薬の依頼を受け取るように構成されたシステムの入力部に操作可能に結合されたグラフィカルユーザインターフェースに標識生体分子試薬の依頼を入力するステップを含む、付記35~37のいずれか1つの方法。
39.グラフィカルユーザインターフェースはインターネットウェブサイトメニューインターフェースを含む、付記38の方法。
40.標識生体分子試薬の依頼を通信するステップは、標識生体分子試薬の依頼を郵送、電子メール、又は電話で提供するステップを含む、付記35~39のいずれか1つの方法。
【0178】
41.複数の標識生体分子試薬の依頼を通信するステップを有する、付記35~40のいずれか1つの方法。
42.複数の標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記41の方法。
43.複数の標識生体分子試薬の依頼は単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記41の方法。
44.複数の標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び単一の標識依頼を含む、付記41の方法。
45.受け取られた標識生体分子試薬が容器に密封される、付記35~44のいずれか1つの方法。
【0179】
46.生体分子は、ポリペプチド、核酸及び多糖からなる群から選択される化合物である、付記35~44のいずれか1つの方法。
47.核酸はオリゴヌクレオチド、DNA又はRNAである、付記46の方法。
48.生体分子はオリゴヌクレオチドである、付記46の方法。
49.ポリペプチドはタンパク質、酵素又は抗体である、付記46の方法。
50.生体分子は抗体である、付記46の方法。
【0180】
51.標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子からなる群から選択される化合物である、付記35~50のいずれか1つの方法。
52.標識はフルオロフォアである、付記51の方法。
53.標識生体分子試薬の依頼をシステムに通信するステップであって、システムは、標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、複数の標識生体分子保管識別子を含むデータセットを保管するためのメモリと、メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応するデータセットから1つ以上の標識生体分子保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、特定された標識生体分子保管識別子を提供するための出力部とを備える、ステップと、
標識に共有結合的に結合された生体分子を含む標識生体分子試薬を受け取るステップと
を有する方法。
54.標識生体分子試薬の依頼は生体分子依頼及び標識依頼を含む、付記53の方法。
55.メモリは、複数の活性化生体分子についての複数の生体分子保管識別子を含む第1のデータセットと、複数の活性化標識についての複数の標識保管識別子を含む第2のデータセットとを保管する、付記53又は54の方法。
【0181】
56.標識生体分子試薬の依頼を通信するステップは、入力部に操作可能に結合されたグラフィカルユーザインターフェースに、標識生体分子依頼、生体分子依頼及び標識依頼のうちの1つ以上を入力するステップを含む、付記53~55のいずれか1つの方法。
57.グラフィカルユーザインターフェースはインターネットウェブサイトメニューインターフェースを含む、付記56の方法。
58.複数の標識生体分子試薬の依頼を通信するステップを有する、付記53~57のいずれか1つの方法。
59.複数の標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記58の方法。
60.複数の標識生体分子試薬の依頼が単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記58の方法。
【0182】
61.複数の標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び単一の標識依頼を含む、付記58の方法。
62.受け取られた標識生体分子試薬が容器に密封される、付記53~61のいずれか1つの方法。
63.生体分子は、ポリペプチド、核酸及び多糖からなる群から選択される化合物である、付記53~62のいずれか1つの方法。
64.核酸はオリゴヌクレオチド、DNA又はRNAである、付記63の方法。
65.生体分子はオリゴヌクレオチドである、付記64の方法。
【0183】
66.ポリペプチドはタンパク質、酵素又は抗体である、付記63の方法。
67.生体分子は抗体である、付記66の方法。
68.標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子からなる群から選択される化合物である、付記53~67のいずれか1つの方法。
69.標識はフルオロフォアである、付記68の方法。
70.標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップであって、依頼は、標識生体分子依頼と、生体分子依頼及び標識依頼とのうちの1つ以上を含む、ステップと、
標識生体分子試薬の依頼に対応する標識生体分子試薬を、活性化生体分子を活性化標識と接触させて標識生体分子試薬を作製することによって調製するステップであって、複数の活性化生体分子及び複数の活性化標識を含む保管部から活性化生体分子及び活性化標識を選択するステップを含む、ステップと
を有する方法。
【0184】
71.複数の標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップを有する、付記70の方法。
72.複数の標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記71の方法。
73.複数の標識生体分子試薬の依頼は単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記71の方法。
74.複数の標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び単一の標識依頼を含む、付記71の方法。
75.接触させるステップは、接触装置において活性化生体分子を活性化標識と手動で組み合わせるステップを含む、付記70~74のいずれか1つの方法。
【0185】
76.接触装置はマイクロチューブである、付記75の方法。
77.活性化生体分子と活性化標識とが試薬調製装置の接触装置においてコンピュータ制御サンプリング機器によって接触する、付記70~76のいずれか1つの方法。
78.標識生体分子試薬を精製するステップを更に有する、付記70~77のいずれか1つの方法。
79.標識生体分子試薬を遠隔地に輸送するステップを更に有する、付記70~78のいずれか1つの方法。
80.標識生体分子試薬の依頼がインターネットウェブサイトを介して受け取られる、付記70~79のいずれか1つの方法。
【0186】
81.標識生体分子試薬の依頼が電話で受け取られる、付記70~80のいずれか1つの方法。
82.標識生体分子試薬の依頼が郵便で受け取られる、付記70~81のいずれか1つの方法。
83.標識生体分子試薬の依頼が電子メールで受け取られる、付記70~82のいずれか1つの方法。
84.依頼に対応する標識生体分子が利用可能でない場合に代替の標識生体分子の推奨を提供するステップを更に有する、付記70~83のいずれか1つの方法。
85.生体分子依頼に対応する生体分子が利用可能でない場合に代替の生体分子の推奨を提供するステップを更に有する、付記70~84のいずれか1つの方法。
【0187】
86.標識依頼に対応する標識が利用可能でない場合に代替の標識の推奨を提供するステップを更に有する、付記70~85のいずれか1つの方法。
87.生体分子は、ポリペプチド、核酸及び多糖からなる群から選択される化合物である、付記70~86のいずれか1つの方法。
88.核酸はオリゴヌクレオチド、DNA又はRNAである、付記87の方法。
89.生体分子はオリゴヌクレオチドである、付記88の方法。
90.ポリペプチドはタンパク質、酵素又は抗体である、付記87の方法。
【0188】
91.生体分子は抗体である、付記90の方法。
92.標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子からなる群から選択される化合物である、付記70~91のいずれか1つの方法。
93.標識はフルオロフォアである、付記92の方法。
94.システムで標識生体分子試薬の依頼を受け取るステップであって、システムは、標識生体分子試薬の依頼を受け取るための入力部と、複数の標識生体分子保管識別子を含むデータセットを保管するためのメモリと、メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応するデータセットから1つ以上の標識生体分子保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、出力部とを備える、ステップと、
標識生体分子試薬の依頼と一致する標識生体分子保管識別子を特定するステップと、
特定された標識生体分子試薬保管識別子を出力するステップと
を有する方法。
95.標識生体分子試薬の依頼は生体分子依頼及び標識依頼を含む、付記94の方法。
【0189】
96.出力された標識生体分子試薬保管識別子を電子ディスプレイ上に表示するステップを更に有する、付記94又は95の方法。
97.出力された標識生体分子試薬保管識別子を印刷するステップを更に有する、付記94~96のいずれか1つの方法。
98.標識生体分子試薬の複数の依頼を受け取るステップを有する、付記94~97のいずれか1つの方法。
99.複数の依頼が同じユーザから受け取られる、付記98の方法。
100.複数の依頼が異なるユーザから受け取られる、付記98の方法。
【0190】
101.標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記98の方法。
102.標識生体分子試薬の依頼は単一の生体分子依頼及び複数の標識依頼を含む、付記98の方法。
103.標識生体分子試薬の依頼は複数の生体分子依頼及び単一の標識依頼を含む、付記94~102のいずれか1つの方法。
104.生体分子保管識別子に関連する活性化生体分子を、標識保管識別子に関連する活性化標識と接触させて標識生体分子試薬を作製するステップを更に有する、付記103の方法。
105.接触させるステップは、接触装置において活性化生体分子を活性化標識と手動で組み合わせるステップを含む、付記104の方法。
【0191】
106.接触装置はマイクロチューブである、付記105の方法。
107.活性化生体分子と活性化標識とは試薬調製装置の接触装置においてコンピュータ制御サンプリング機器によって接触する、付記105の方法。
108.標識生体分子試薬を精製するステップを更に有する、付記105の方法。
109.標識生体分子試薬を遠隔地に輸送するステップを更に有する、付記94~108のいずれか1つの方法。
110.標識生体分子試薬の依頼がインターネットウェブサイトを介して受け取られる、付記94~109のいずれか1つの方法。
【0192】
111.標識生体分子試薬の依頼が電話で受け取られ、且つ入力部に入力される、付記94~110のいずれか1つの方法。
112.標識生体分子試薬の依頼が郵便で受け取られ、且つ入力部に入力される、付記94~111のいずれか1つの方法。
113.標識生体分子試薬の依頼が電子メールで受け取られ、且つ入力部に入力される、付記112の方法。
114.標識生体分子依頼に対応する標識生体分子保管識別子が利用可能でない場合にデータベースから代替の標識生体分子の推奨を提供するステップを更に有する、付記94~113のいずれか1つの方法。
115.生体分子依頼に対応する生体分子保管識別子が利用可能でない場合にデータベースから代替の生体分子の推奨を提供するステップを更に有する、付記94~114のいずれか1つの方法。
【0193】
116.標識依頼に対応する標識保管識別子が利用可能でない場合にデータベースから代替の標識の推奨を提供するステップを更に有する、付記94~115のいずれか1つの方法。
117.生体分子は、ポリペプチド、核酸及び多糖からなる群から選択される化合物である、付記94~116のいずれか1つの方法。
118.生体分子は核酸である、付記117の方法。
119.核酸はオリゴヌクレオチド、DNA又はRNAである、付記118の方法。
120.生体分子はオリゴヌクレオチドである、付記119の方法。
【0194】
121.ポリペプチドはタンパク質、酵素又は抗体である、付記117の方法。
122.生体分子は抗体である、付記121の方法。
123.標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子からなる群から選択される化合物である、付記94~122のいずれか1つの方法。
124.標識はフルオロフォアである、付記123の方法。
125.複数の活性化生体分子と、
複数の活性化標識と、
標識生体分子試薬を調製するための試薬調製装置であって、特定された生体分子保管識別子及び標識保管識別子を受け取ることと、受け取られた生体分子保管識別子及び標識保管識別子に対応する標識生体分子試薬を作製することとを行うように構成される試薬調製装置と
を備えるシステム。
【0195】
126.試薬調製装置は、活性化生体分子及び活性化標識を接触装置に供給するように構成されたサンプリング機器を有する、付記125のシステム。
127.試薬調製装置は、活性化生体分子を活性化標識と接触させて標識生体分子試薬を作製するように構成された接触装置を有する、付記126のシステム。
128.標識生体分子試薬分析器を更に備える、付記127のシステム。
129.分析器は、標識生体分子試薬を精製するための精製構成要素を有する、付記128のシステム。
130.作製された標識生体分子試薬を容器に密封するように構成された試薬包装ユニットを備える、付記125又は126のシステム。
【0196】
131.試薬調製装置が、標識生体分子試薬の依頼を受け取るためのシステムに操作可能に結合され、
システムが、
標識生体分子試薬の生体分子依頼及び標識依頼を受け取るための入力部と、
複数の活性化生体分子についての複数の生体分子保管識別子を含む第1のデータセットと、複数の活性化標識についての複数の標識保管識別子を含む第2のデータセットとを保管するためのメモリと、
メモリに通信可能に結合され、且つ生体分子依頼及び標識依頼に対応する第1のデータセット及び第2のデータセットから生体分子保管識別子及び標識保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、
特定された生体分子保管識別子及び標識保管識別子を提供するための出力部と
を備える、付記125~130のいずれか1つのシステム。
132.1000以上の異なる活性化生体分子を含む、付記125~131のいずれか1つのシステム。
133.生体分子は、ポリペプチド、核酸及び多糖からなる群から選択される、付記125~132のいずれか1つのシステム。
134.生体分子はオリゴヌクレオチドである、付記133のシステム。
135.1000以上の異なる種類のオリゴヌクレオチドを含む、付記134のシステム。
【0197】
136.生体分子は抗体である、付記133のシステム。
137.1000以上の異なる種類の抗体を含む、付記136のシステム。
138.各活性化生体分子は反応性リンカーを含む、付記125~137のいずれか1つのシステム。
139.100以上の異なる活性化標識を含む、付記125~138のいずれか1つのシステム。
140.標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子からなる群から選択される、付記139のシステム。
【0198】
141.活性化標識は反応性リンカーを含む、付記125~140のいずれか1つのシステム。
142.複数の活性化生体分子と、
複数の活性化標識と
を含む保管部。
143.1000以上の異なる活性化生体分子を含む、付記142の保管部。
144.生体分子は、ポリペプチド、核酸及び多糖からなる群から選択される、付記142又は143の保管部。
145.生体分子はオリゴヌクレオチドである、付記144の保管部。
【0199】
146.1000以上の異なる種類のオリゴヌクレオチドを含む、付記145の保管部。
147.生体分子は抗体である、付記144の保管部。
148.1000以上の異なる種類の抗体を含む、付記147の保管部。
149.各活性化生体分子は反応性リンカーを含む、付記142~148のいずれか1つの保管部。
150.100以上の異なる活性化標識を含む、付記142~149のいずれか1つの保管部。
【0200】
151.活性化標識の標識は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子からなる群から選択される、付記150の保管部。
152.標識生体分子の依頼を受け取るための入力モジュールと、
試薬調製装置と、
包装された標識生体分子を出力するための分配モジュールと
を備える標識生体分子試薬分配システム。
153.入力モジュールは、
標識生体分子依頼を入力部に通信するためのグラフィカルユーザインターフェースと、
標識生体分子依頼を受け取るための入力部と、
標識生体分子試薬の依頼の1つ以上の構成要素に対応する複数の保管識別子を有するデータセットを保管するためのメモリと、
メモリに通信可能に結合され、且つ標識生体分子試薬の依頼の構成要素に対応するデータセットから保管識別子を特定するように構成された処理モジュールと、
特定された保管識別子を提供するための出力部と
を有する、付記152の標識生体分子試薬分配システム。
154.試薬調製装置は、標識生体分子の供給源、生体分子の供給源、標識の供給源、反応性リンカーの供給源、活性化生体分子の供給源及び活性化標識の供給源のうちの1つ以上を有する、付記152又は153の標識生体分子試薬分配システム。
155.試薬調製装置は、活性化生体分子及び活性化標識を接触装置に供給するように構成されたサンプリング機器を有する、付記152~154のいずれか1つの標識生体分子試薬分配システム。
【0201】
156.活性化生体分子を活性化標識と接触させて標識生体分子試薬を作製するように構成された接触装置を更に備える、付記155の標識生体分子試薬分配システム。
157.標識生体分子試薬分析器を更に備える、付記155又は156の標識生体分子試薬分配システム。
158.分析器は、標識生体分子試薬を精製するための精製構成要素を有する、付記157の標識生体分子試薬分配システム。
159.精製構成要素は液体クロマトグラフィーを含む、付記158の標識生体分子試薬分配システム。
160.1つ以上の溶媒を接触装置に供給するように構成された溶媒チャンバを更に備える、付記153~159のいずれか1つの標識生体分子試薬分配システム。
【0202】
161.分配モジュールは、作製された標識生体分子試薬を容器に密封するように構成された試薬包装ユニットを有する、付記152~160のいずれか1つの標識生体分子試薬分配システム。
162.容器は、パウチ、バッグ、チューブ、バイアル、マイクロチューブ又はボトルからなる群から選択される、付記161の標識生体分子試薬分配システム。
163.包装ユニットは、標識生体分子を含む密封された容器を第2の容器に分配するように更に構成される、付記161の標識生体分子試薬分配システム。
164.第2の容器は、パウチ、バッグ、チューブ、バイアル、マイクロチューブ又はボトルからなる群から選択される、付記163の標識生体分子試薬分配システム。
【0203】
前述の本発明は、理解を明確にするために説明及び例として幾らか詳細に記載されているが、当業者には、本開示の教示を踏まえて、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、それらに対する特定の変更形態及び改良形態がなされ得ることは容易に明らかである。
【0204】
従って、上記は単に本発明の原理を説明しているに過ぎない。本明細書に明示的に記載又は図示されないが、本発明の原理を具体化し、且つその趣旨及び範囲内に含まれる様々な変形形態を考案することが当業者には可能であることが理解されるであろう。更に、本明細書に記載される全ての例及び条件付きの文言は、主に読者が本発明の原理を理解することを促進することが意図され、かかる具体的に記載される例及び条件に限定するものではない。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態並びにそれらの具体的な例を記載する本明細書における全ての記述は、それらの構造的均等物及び機能的均等物の両方を包含することが意図される。加えて、かかる均等物には、現在公知の均等物及び将来開発される均等物の両方、即ち、構造に関わらず同じ機能を果たす開発される任意の要素が含まれることが意図される。従って、本発明の範囲が本明細書に図示及び記載される例示的実施形態に限定されることは意図されない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲によって具体化される。
【0205】
関連出願の相互参照
本願は、2015年9月3日に出願された米国仮特許出願第62/214,091号明細書に対する優先権を主張するものであり、この仮特許出願の開示は参照により本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6