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特開2022-71083うつ病を予防または治療するための安息香酸またはその塩および誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071083
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】うつ病を予防または治療するための安息香酸またはその塩および誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20220506BHJP
   A61K 31/235 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20220506BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20220506BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220506BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/138 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/15 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/4525 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/335 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/554 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 36/38 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/235
A61K31/196
A61P25/24
A61P25/28
A61P43/00 121
A61K31/381
A61K31/165
A61K31/137
A61K31/343
A61K31/138
A61K31/15
A61K31/4525
A61K31/553
A61K31/55
A61K31/335
A61K31/496
A61K31/495
A61K31/42
A61K31/4985
A61K31/5513
A61K31/554
A61K31/40
A61K31/5375
A61K31/7076
A61K36/38
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/20
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031267
(22)【出願日】2022-03-01
(62)【分割の表示】P 2020546266の分割
【原出願日】2018-11-22
(31)【優先権主張番号】62/589,933
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520178504
【氏名又は名称】林 潔欣
【氏名又は名称原語表記】LIN, Chieh-Hsin
(71)【出願人】
【識別番号】519320620
【氏名又は名称】藍 先元
【氏名又は名称原語表記】Hsien-Yuan LANE
(71)【出願人】
【識別番号】519320608
【氏名又は名称】科進製藥科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】EXCELSIOR PHARMATECH LABS
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】林 潔欣
(72)【発明者】
【氏名】藍 先元
(57)【要約】      (修正有)
【課題】うつ病を予防または治療する方法、そのための組成物を提供する。
【解決手段】有効量の安息香酸またはその塩および誘導体を対象に投与することを含む、必要のある対象におけるうつ病を予防または治療する方法を提供する。さらに、うつ病を予防または治療するための追加の有効成分と組み合わせた組成物を提供する。一つの実施態様においては安息香酸またはその塩及び誘導体の投与は、うつ病を予防または治療するための追加の療法(心理療法、電気けいれん療法脳部刺激療法、光療法等)と組み合わされる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の安息香酸またはその塩および誘導体と、
薬学的に許容される賦形剤と
を含み、
必要のある対象におけるうつ病を予防または治療すると同時に前記対象の認知障害を改善するための、組成物であって、
前記うつ病は、大うつ病性障害(MDD)であり、
前記安息香酸またはその塩および誘導体は、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、2-アミノベンゾアート、3-アミノベンゾアート、4-アミノベンゾアート、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸メチルまたは4-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムである、組成物。
【請求項2】
前記うつ病は、晩年うつ病(late-life depression)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記安息香酸の塩は、安息香酸ナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記安息香酸またはその塩および誘導体は、100mg/日~2500mg/日の量で対象に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記安息香酸またはその塩および誘導体は、250mg/日~1500mg/日の量で対象に投与される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記安息香酸またはその塩および誘導体は、500mg/日~1000mg/日の量で対象に投与される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記薬学的に許容される賦形剤は、充填材、結合剤、防腐剤、崩壊剤、潤滑剤、懸濁剤、湿潤剤、溶媒、界面活性剤、酸、香味剤、ポリエチレングリコール(PEG)、アルキレングリコール、セバシン酸、ジメチルスルホキシド、アルコール、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記安息香酸またはその塩および誘導体は、組成物におけるうつ病を予防または治療するための唯一の有効成分として機能する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記安息香酸またはその塩および誘導体は、うつ病を予防または治療するための追加の有効成分と組み合わされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記追加の有効成分は、デュロキセチン(duloxetine)、レボミルナシプラン(levomilnacipran)、ベンラファキシン(venlafaxine)、デスベンラファキシン(desvenlafaxine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、フルオキセチン(fluoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、セルトラリン(sertraline)、アミトリプチリン(amitriptyline)、アモキサピン(amoxapine)、クロミプラミン(clomipramine)、デシプラミン(desipramine)、ドキセピン(doxepin)、イミプラミン(imipramine)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、プロトリプチリン(protriptyline)、トリミプラミン(trimipramine)、マプロチリン(maprotiline)、ブプロピオン(bupropion)、ビラゾドン(vilazodone)、ネファゾドン(nefazodone)、トラゾドン(trazodone)、ボルチオキセチン(vortioxetine)、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、フェネルジン(phenelzine)、セレギリン(selegiline)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、アリピプラゾール(aripiprazole)、スルピリド(sulpiride)、フルペンチキソール(flupentixol)、メリトラセン(melitracen)、アゴメラチン(agomelatine)、モクロベミド(moclobemide)、セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)、S-アデノシルメチオニン(S-adenosyl-L-methionine)、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記安息香酸またはその塩および誘導体の投与は、うつ病のための追加の療法と組み合わされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記追加の療法は、心理療法、電気けいれん療法(ECT)、脳部刺激療法、光療法、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記脳部刺激療法は、脳深部刺激、侵襲的迷走神経刺激、経頭蓋磁気刺激、経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋交流電気刺激、電気けいれん治療、磁気発作療法、経頭蓋電気刺激または非侵襲的迷走神経刺激である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも2ヶ月にわたって毎日投与される、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うつ病の予防または治療に関し、特に、安息香酸またはその塩および誘導体を含む組成物を必要のある対象に投与することにより、うつ病を予防または治療する方法に関する。また、本発明は、必要のある対象におけるうつ病を予防または治療するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大うつ病性障害(major depressive disorder、以下、MDDとも称する)は、重篤で一般的な精神障害である。MDDは、特に、高齢者の場合では、自殺の主因であり(Harwood, Hawton et al. 2001;Waern, Runeson et al. 2002)、障害と痛み(Ohayon and Schatzberg 2003)、認知障害(Steffens, Skoog et al. 2000;Mecocci, Cherubini et al. 2004)、および医療資源や社会福祉の不必要な使用(VanValkenburg, Akiskal et al. 1984;Saravay and Lavin、1994)に関連する。うつ病は、その過剰な罹患率および死亡率のため(Miu and Chan 2010)、政府や民衆が真剣に対処すべき重大な公衆衛生問題になっている。
【0003】
MDDは、複雑で多因子性の疾患であり、その病因を単一な遺伝子または単一な環境因子では説明できない(Dagyte, Den Boer et al. 2011)。現在、多くの抗うつ薬は、ほとんどはモノアミン(例えば、セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン)の仮説に基づくものである(Charney 1998)。しかしながら、その有効性は、通常、3~4週間を超えてからようやく発揮され、また、約30%~60%のMDD患者が回復しないため(Riihimaki, Vuorilehto et al. 2014;Keller, Lavori et al. 1992)、モノアミンの仮説ではうつ病の病因を完全に説明できないことが示唆されている。Lancetで発表した研究では、認知症患者のうつ病の治療に対するセルトラリン(sertraline)、ミルタザピン(mirtazapine)およびプラセボの有効性を比較した。結果、抗うつ薬群(すなわち、セルトラリンおよびミルタザピン)は、うつ症状スコアの減少においてプラセボ群と差異がなく(Banerjee, Hellier et al. 2011)、また、抗うつ薬群は、プラセボ群に比べて有意に多い有害反応を示した(42%対26%)。このようなサンプル数が多くて長時間にわたって追跡した研究の否定的な結果から、アルツハイマー病におけるうつの第一選択治療として抗うつ薬を使用することについては、再考すべきと暗示されている。多くの患者は、抗うつ薬による治療の後に、胃腸の不快感、心臓毒性、抗コリン作用、鎮静または興奮、不眠症、および低ナトリウム血症のような顕著な副作用があるため、治療の動機および服薬アドヒアランスを妨げる。よって、MDD患者のために、モノアミン理論以外のメカニズムを介して、より良い有効性およびより安全的な有害作用プロファイルを有する新規な治療法の開発は大きなニーズがある。
【0004】
グルタミン酸(glutamate)は、哺乳動物の脳内で最も豊富なアミノ酸神経伝達物質である。N-メチル-D-アスパラギン酸(N-methyl-D-aspartate、以下、NMDAとも称する)受容体は、イオンチャネル型グルタミン酸受容体のサブタイプであり、神経認知および神経毒性において重要な役割を果たしている。うつ病は、NMDA機能のアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションの両方が関与するため、複雑な神経基質を有する可能性がある。NMDA受容体は、皮質辺縁系回路(corticolimbic circuitries)に広く分布し、うつ病のような複雑な行動障害に、逆方向のレギュレーションを有する可能性がある複数のNMDA受容体回路が関与していることは驚くべきことではない。
【0005】
NMDAの機能低下(hypofunction)は、うつ病の病態生理学に関連している可能性がある。重症のうつ病に罹った対象の死後の脳において、NMDA受容体1および2Aサブユニットの発現量が減少し(Beneyto & Meador-Woodruff 2008)、また、自殺した犠牲者において、NMDA受容体の結合が減少した(Nowak, Ordway et al. 1995)。NMDA強化のための手段は、うつ病の治療の新規な治療アプローチを示している。
【0006】
D-アミノ酸オキシダーゼ(D-amino acid oxidase、以下、DAAOとも称する)は、哺乳動物の脳、腎臓および肝臓に存在するペルオキシソームのフラビン酵素であり、D-セリン(D-serine)、D-アラニン(D-alanine)および他のD-アミノ酸(D-amino acids)の分解を担当している(Fukui & Miyake 1992; Vanoni, Cosma et al. 1997)。NMDA機能を強化する方法の一つは、DAAOの活性を抑制することである。安息香酸および安息香酸ナトリウムは、DAAOの活性を抑制することにより、D-セリンおよび他のD-アミノ酸のシナプス濃度を高めることができる(Bartlett 1948; Van den Berghe-Snorek & Stankovich 1985)。安息香酸は、多くの植物や動物に自然に発生する。このため、それは乳製品を含む多くの食品の天然成分である(IPCS 1993)。安息香酸および安息香酸ナトリウムは、米国(Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives. 1965, 1973)、台湾(衛生署)および世界保健機関(IPCS 1993)において合法的な食品添加物であり、フルーツゼリー、バター、醤油および加工肉等の製造に広く使用されている。
【0007】
うつ病に対して安息香酸またはその塩および誘導体が有益であるか否かを検証するために、本発明の試験により、うつ病患者に対する有効性および安全性の調査が行われている。
【発明の概要】
【0008】
上記の内容を考慮して、本発明は、有効量の安息香酸またはその塩および誘導体と、薬学的に許容される賦形剤とを、必要のある対象に投与することを含む、うつ病を予防または治療する方法を提供する。
【0009】
本発明の一つの実施態様において、対象は、認知症と診断されている。一つの実施態様において、前記認知症は、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、混合型認知症、病状もしくは物質使用による認知症、正常圧水頭症、パーキンソン病認知症、梅毒またはクロイツフェルト・ヤコブ病を含むが、これらに限定されない。
【0010】
本発明の一つの実施態様において、安息香酸の塩およびその誘導体は、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、2-アミノベンゾアート、3-アミノベンゾアート、4-アミノベンゾアート、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸メチルまたは4-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムであるが、これらに限定されない。
【0011】
本発明のもう一つの実施態様において、安息香酸の塩およびその誘導体は、安息香酸ナトリウムである。
【0012】
本発明の一つの実施態様において、うつ病は、大うつ病性障害(MDD)、老年期うつ病(geriatric depression)、高齢者うつ病(elderly depression)または晩年うつ病(late-life depression)を含むが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の一つの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体は、必要のある対象に対して、100mg/日~2500mg/日、200mg/日~2000mg/日、250mg/日~1500mg/日、250mg/日~1000mg/日、500mg/日~1000mg/日または600mg/日~800mg/日の量で投与される。
【0014】
本発明の一つの実施態様において、薬学的に許容される賦形剤は、充填材、結合剤、防腐剤、崩壊剤、潤滑剤、懸濁剤、湿潤剤、溶媒、界面活性剤、酸、香味剤、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、以下、PEGとも称する)、アルキレングリコール(alkylene glycol)、セバシン酸(sebacic acid)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、アルコール、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる。
【0015】
本発明の一つの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体は、組成物におけるうつ病を予防または治療するための唯一の有効成分(active ingredient)として機能するか、あるいは、安息香酸またはその塩および誘導体は、うつ病を予防または治療するための追加の有効成分と組み合わされる。一つの実施態様において、前記の追加の有効成分は、デュロキセチン(duloxetine)、レボミルナシプラン(levomilnacipran)、ベンラファキシン(venlafaxine)、デスベンラファキシン(desvenlafaxine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、フルオキセチン(fluoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、セルトラリン(sertraline)、アミトリプチリン(amitriptyline)、アモキサピン(amoxapine)、クロミプラミン(clomipramine)、デシプラミン(desipramine)、ドキセピン(doxepin)、イミプラミン(imipramine)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、プロトリプチリン(protriptyline)、トリミプラミン(trimipramine)、マプロチリン(maprotiline)、ブプロピオン(bupropion)、ビラゾドン(vilazodone)、ネファゾドン(nefazodone)、トラゾドン(trazodone)、ボルチオキセチン(vortioxetine)、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、フェネルジン(phenelzine)、セレギリン(selegiline)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、アリピプラゾール(aripiprazole)、スルピリド(sulpiride)、フルペンチキソール(flupentixol)、メリトラセン(melitracen)、アゴメラチン(agomelatine)、モクロベミド(moclobemide)、セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)、S-アデノシルメチオニン(S-adenosyl-L-methionine)、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明の一つの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体の投与は、うつ病を予防または治療するための追加の療法と組み合わされる。一つの実施態様において、前記の追加の療法は、心理療法、電気けいれん療法(electroconvulsive therapy、以下、ECTとも称する)、脳部刺激療法、光療法、およびこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。一つの実施態様において、前記脳部刺激療法は、脳深部刺激、侵襲的迷走神経刺激、経頭蓋磁気刺激、経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋交流電気刺激、電気けいれん治療、磁気発作療法(magnetic seizure therapy)、経頭蓋電気刺激または非侵襲的迷走神経刺激である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記の実施態様は、本発明を例示するために使用される。当業者は、本明細書の開示内容に基づいて、本発明の他の利点を予想できる。本明細書の記載のように、本発明は、異なる実施態様において説明されるように実施または適用できる。本発明の精神と範疇に反せず、異なる態様および適用において、本発明を実施するための例を修飾および/または変更できる。
【0018】
本明細書で使用される説明的用語または技術的用語を含むすべての用語は、当業者に明らかな意味を有すると解釈されるべきである。しかし、これらの用語は、当業者の意図、事例の前例、または新しい技術の出現に応じて、異なる意味を有する場合がある。また、いくつかの用語は、出願人が任意に選択してもよく、この場合、選択された用語の意味は、本発明の詳細な説明で詳しく説明される。したがって、本明細書で使用される用語は、用語の意味および本明細書全体の説明に基づいて定義する必要がある。
【0019】
また、本願において、成分または工程を「含有する」または「含む」場合、明記されていない限り、他の成分または他の工程をさらに含むことができ、これらの他の成分または他の工程を除外するものではない。
【0020】
さらに、対象が単一であると特別にまたは明確に限定されていない限り、本明細書で使用されている単数形式の「一つ」(a)、「一つ」(an)および「前記」(the)は複数の対象を含むことにに留意されたい。文脈がそうでないと明記されていない限り、「または」という用語と「および/または」という用語は互換に使用できる。
【0021】
本発明は、うつ病またはMDDに罹っている対象におけるMDDなどのうつ病を治療または予防する方法を提供する。本発明のいくつかの実施態様において、対象は、うつ病またはMDDなどのうつ病に関連する気分障害に罹っていると臨床的に診断されている。本明細書で使用されている「うつ病」という用語とは、まん延する低い気分、日常活動に対する興味や楽しみの喪失、罪悪感や自己価値の低下感、睡眠や食欲の障害、元気不足および集中力低下によって、特徴付けられる一般的な精神障害である。うつ病は、様々な感情および体の問題を引き起こす可能性があり、職場や家庭における人の能力を低下させる可能性がある。最悪の場合、うつ病は自殺につながる可能性がある。また、「うつ病」という用語は、うつ性障害、例えば、気分障害、気分変調性障害およびMDD(一般的には、大うつ病性障害または臨床的うつ病と称する)をも含む。MDDに罹っている人は、少なくとも2週間の抑うつ気分を有するか、またはほとんどの活動に対して興味や楽しみを失う。
【0022】
本発明のいくつかの実施態様において、上記の方法は、前記対象に有効量の安息香酸またはその塩および誘導体を投与することを含む。本発明のいくつかの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体の有効量は、100mg/日~2500mg/日、例えば、200mg/日~2000mg/日、250mg/日~1500mg/日、250mg/日~1500mg/日、250mg/日~1000mg/日、500mg/日~1000mg/日、500mg/日~900mg/日、600mg/日~800mg/日、または約900mg/日、約775mg/日、約500mg/日、または約250mg/日であってもよい。本発明のいくつかの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体の有効量は、約250mg/日、約500mg/日、約750mg/日、約1000mg/日、約1250mg/日、または約1500mg/日である。本発明のいくつかの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体の有効量の下限は、100mg/日、200mg/日、250mg/日、500mg/日、600mg/日、750mg/日、775mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1250mg/日、1500mg/日、または2000mg/日であり、また、安息香酸またはその塩および誘導体の有効量の上限は、2500mg/日、2000mg/日、1500mg/日、1250mg/日、1000mg/日、900mg/日、800mg/日、775mg/日、750mg/日、600mg/日、500mg/日、250mg/日、または200mg/日である。
【0023】
本発明のいくつかの実施態様において、対象に投与される安息香酸またはその塩および誘導体は、医薬組成物に含まれる。本発明の医薬組成物は、安息香酸またはその塩および誘導体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。一つの実施態様において、本発明の組成物は、経口投与に適した形態で製剤化されるため、組成物は、経口投与により前記対象に投与できる。あるいは、組成物は、乾燥粉末剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、顆粒剤または丸剤の形態で製剤化できる。薬学的に許容される賦形剤は、充填材、結合剤、防腐剤、崩壊剤、潤滑剤、懸濁剤、湿潤剤、溶媒、界面活性剤、酸、香味剤、ポリエチレングリコール、アルキレングリコール、セバシン酸、ジメチルスルホキシド、アルコール、およびこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0024】
本発明のいくつかの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体を含む組成物の投与は、例えば、一日1回、一日2回、一日3回または一日4回で行ってもよい。本発明のいくつかの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体の投与は、少なくとも4週間にわたって毎日である。本発明のいくつかの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体の投与は、8週間にわたって毎日である。
【0025】
本発明のいくつかの実施態様において、組成物は、うつ病を予防または治療するのに十分な期間で対象に投与されてもよい。前記の十分な期間は、前記対象の種族、性別、体重もしくは年齢、疾患の病期、症状もしくは重症度、および投与の経路、タイミングもしくは頻度に依存し得る。本発明のいくつかの実施態様において、組成物の投与は、少なくとも1ヶ月間にわたって毎日である。組成物の投与期間は、治療期間中に副作用が発生しない限り、例えば、1、2、3、4もしくは6ヶ月間であるか、または1、2、3もしくは4年間であるか、あるいはもっと長く続いてもよい。本発明の例示的な実施態様において、前記期間は、4週間~2年間の範囲であり得る。もう一つの実施態様において、前記期間は、2ヶ月間~12ヶ月間の範囲である。さらにもう一つの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体の投与は、12週間にわたって毎日である。
【0026】
本発明の医薬組成物は、うつ病を予防または治療するための有効成分として、安息香酸またはその塩および誘導体のみを含んでもよい。言い換えれば、安息香酸またはその塩および誘導体を、組成物におけるうつ病のための唯一の有効成分として機能する。この実施態様において、本発明は、有効成分として安息香酸またはその塩および誘導体のみを使用することにより、うつ病を予防または治療するための安全かつ効果的な治療法を提供する。
【0027】
あるいは、もう一つの実施態様において、本発明の効果が阻害されない限り、組成物は、他の有効成分と組み合わされて一緒に対象に投与されてもよい。安息香酸またはその塩および誘導体と他の有効成分は、単一の組成物または別々の組成物で提供されてもよい。このような組成物の例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸アログリプチン(alogliptin benzoate)、安息香酸ベタメタゾン(betamethasone benzoate)、安息香酸ベンジル(benzyl benzoate)、塩酸メトホルミン(metformin hydrochloride)、塩酸ピオグリタゾン(pioglitazone hydrochloride)、安息香酸リザトリプタン(rizatriptan benzoate)、フェニル酢酸ナトリウム、塩酸ピオグリタゾン、およびこれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0028】
一つの実施態様において、本発明の医薬組成物は、有効量の本発明の医薬組成物を含む適切な剤形で調整される。
【0029】
適切な剤形の例としては、経口投与用の錠剤、カプセル剤、コーティング錠、顆粒剤、溶液およびシロップ剤;経皮投与用の薬用こう薬、ペースト剤、クリーム剤および軟膏剤;直腸投与用の坐剤;ならびに注射またはエーロゾル経路による投与用の無菌溶液を含むが、これらに限定されない。
【0030】
適切な剤形の別の例としては、経口または注射による投与用の徐放剤またはリポソームに基づくものを含むが、これらに限定されない。
【0031】
剤形は、他の従来の成分、例えば、防腐剤、安定剤、界面活性剤、緩衝剤、浸透圧調節塩、乳化剤、甘味料、着色剤、香味剤などをも含んでもよいが、これらに限定されない。
【0032】
一つの実施態様において、本発明によって提供される方法において、安息香酸またはその塩および誘導体の投与は、うつ病の任意の適切な治療法と組合せることができる。
【0033】
本明細書において、数値または範囲が記載されている場合、当業者は、本発明の属する特定の技術分野における適切で合理的な範囲を含むことが意図されていることを理解できる。
【0034】
「少なくとも100mgから2500mgまで」とは、その範囲内の全ての整数単位量が本発明の一部として具体的に記載されていることを意味する。よって、100、101、102、……、250、251、252、……、1000、1001、1002、……、2497、2498、2499および2500の単位量は、本発明の実施態様として含まれる。
【0035】
「治療する」(treating)または「治療」(treatment)という用語とは、必要のある対象に有効量の安息香酸またはその塩および誘導体を投与することにより、疾患、症状または傾向を治癒(cure)、緩和(alleviate)、軽減(relieve)、救済(remedy)、または改良(ameliorate)することを指す。そのような対象は、任意の適切な診断方法による結果に基づいて、医療専門家によって特定できる。
【0036】
「有効量」という用語とは、治療を受ける対象に治療効果を与えるために必要とされる有効成分の量を指す。当業者に理解されているように、有効量は、投与経路、賦形剤の使用および他の治療方法との併用の可能性によって変化するであろう。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様において、前記方法は、安息香酸、安息香酸の塩またはその誘導体、すなわち、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、2-アミノベンゾアート、3-アミノベンゾアート、4-アミノベンゾアート、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸メチルおよび4-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムからなる群から選ばれるものを使用することを含むが、これらに限定されない。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様において、安息香酸またはその塩および誘導体は、経口剤形で投与される。
【0039】
本発明を説明するために多くの例が使用されてきた。下記の実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
(実施例)
【0040】
本発明は、MDDの治療のためのDAAO阻害剤である安息香酸ナトリウムの有効性および安全性を検証した。
【0041】
台湾で、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。安息香酸ナトリウムまたはプラセボを使用して、各群それぞれ20人の患者で、合計40人のMDD患者に、8週間にわたって治療を行った。ベースライン時と2、4、6および8週目の終わりに、うつ病の17項目版ハミルトン評価尺度(HAMD-17)(Hamilton 1960)、知覚ストレス尺度(perceived stress scale、以下、PSSとも称する)および機能の全体的評定尺度(global assessment of function、以下、GAFとも称する)が手配された。
【0042】
参加者
この研究は、MDDの治療のための安息香酸ナトリウムの検証を目的とする8週間のパイロット試験であった。患者に、徹底的な医学的および神経学的精密検査を行った後、研究精神科医により評価された。診断のために、DSM-IVの構造的臨床面接(strucured clinical interview for DSM-IV、以下、SCIDとも称する)(アメリカ精神医学会、1994)を行い、DSM-IV(アメリカ精神医学会、1994b)によりMDDと診断された適格患者を採用した。全ての患者は、プラセボ群または安息香酸ナトリウム群(250~1500mg/日、例えば、250mg/日、500mg/日、750mg/日、1000mg/日、1250mg/日または1500mg/日)の二つの群にランダムに割り当てられた。臨床評価に基づいて、試験薬の投与量を調整した。
【0043】
評価
MDDの治療に対する安息香酸ナトリウムの有効性は、2、4、6および8週目の終わりに、HAMD-17、PSSおよびGAFにより評価された。
【0044】
また、全身性副作用の評価は、所定の身体的および神経学的検査とUKU(Udvalg for Kliniske Undersogelser)副作用評価尺度(Lingjaerde, Ahlfors et al. 1987)により、隔週で(biweekly)検査された。ベースライン時および8週目の終わりに、全血球算定(complete blood count、以下、CBCとも称する)、生化学、尿検査および心電図(electrocardiogram、以下、EKGとも称する)を含む所定の実験室試験を行った。
【0045】
さらに、安全性の臨床評価は、研究期間において、面談または電話インタビューにより毎週行われた。研究の継続について、明らかに危険性が有益性を上回ると見なされる場合、研究精神科医または患者の判断により、試験を離脱する。
【0046】
データ分析
データ分析は、治療意図解析の原則(intent-to-treat principle)に基づいた。最後の観測結果は、サンプル全体から利用可能な全てのデータを分析するために使用された(すなわち、完全なデータと不完全なデータがあるケース)。統計的有意性の全ての分析は、タイプIのエラーの0.05レベル(両側値)を採用した。人口統計的特性、ベースラインおよびエンドポイントの症候学は、連続変数についてのT検定(またはマン・ホイットニーのU検定)およびカテゴリー変数についてのカイ二乗検定(またはフィッシャーの正確確率検定)により、二つの群の間で比較された。
【0047】
結果
下記の表1に示すように、安息香酸ナトリウム群とプラセボ群とは、人口統計データおよび教育レベルが類似しており(p>0.05)、また、エンドポイントでの安息香酸ナトリウムの平均投与量は775.0±213.1であった。
【0048】
【表1】
【0049】
HAMD-17、GAFおよびPSSの評価結果を下記の表2に示す。これは、0週目(ベースライン)においては、二つの患者群間でHAMD、GAFおよびPSSの平均±SD点数に有意差がないことを示した。
【0050】
しかしながら、HAMD-17点数において、安息香酸ナトリウム群およびプラセボ群(p=0.011)のベースラインと8週間治療後との平均点数の差異は、それぞれ、7.5±4.9および2.8±6.1であった。このことから、プラセボ療法に比べて、安息香酸ナトリウムでは、HAMD-17点数において大幅な改善をもたらすことがわかった。
【0051】
また、PSS点数において、安息香酸ナトリウム群およびプラセボ群(p=0.022)のベースラインと8週間治療後との平均点数の差異は、それぞれ、6.4±9.9および0.4±4.6であった。このことから、プラセボ療法に比べて、安息香酸ナトリウムでは、PSS点数において大幅な改善をもたらすことがわかった。
【0052】
さらに、GAF点数において、安息香酸ナトリウム群およびプラセボ群(p=0.022)のベースラインと8週間治療後との平均点数の差異は、それぞれ、5.5±6.0および1.9±7.7であった。これにより、プラセボ療法に比べて、安息香酸ナトリウムでは、GAF点数においてやや大きな改善をもたらすことが示された。
【0053】
【表2】
略称:HAMD-17は、うつ病の17項目版ハミルトン評価尺度(17-item Hamilton Rating Scale for Depression)であり;GAFは、機能の全体的評定尺度(global assessment of function)であり;PSSは、知覚ストレス尺度(perceived stress scale)である。
【0054】
安息香酸ナトリウムを用いる治療群の20人の対象のうち、一人の58歳の男性は、安息香酸ナトリウムを8週間使用した後、HAMD-17点数が24から4までに減少した。同時に、認知機能障害の評価に用いられるミニメンタルステート検査(mini-mental state examination、以下、MMSEとも称する)点数が26から30までに改善された。治療群の別の対象である77歳の老年男性は、HAMD-17点数が31から15まで16点も減少し、MMSE点数が23から25までに改善された。また、一人の80歳の老年女性は、HAMD-17点数が26から12までに減少し、MMSE点数が23から26までに増加することで示されるように、認知機能が改善された。よって、安息香酸ナトリウムの治療により、治療を受けた対象におけるうつ病の改善のみならず、その認知機能も改善した。
【0055】
治療で発生した有害事象は、UKU副作用評価尺度により評価され、その評価結果は、副作用が軽度であり、医学的治療を正当化する必要がないことを示した。それらは偶然の観察であると見なされるべきだった。また、安息香酸ナトリウムによる治療の後、所定のCBC、生化学およびEKG検査の値はいずれも正常範囲内であり、有意な変化はなかった。副作用により離脱する人はなかった。また、一般的な抗うつ薬でよくある副作用、例えば、吐き気、神経質、落ち着きのなさ、心拍数不整、発汗、および便祕のような消化管の問題は、いずれも治療群の対象では観察されなかった。
【0056】
具体的な実施態様の上記の説明内容は、単に本発明の原理と作用を説明するために示され、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の開示内容における精神と原理に基づく全ての修飾と変化は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを当業者が理解するべき。本発明の明細書と実施例は例示的なものに過ぎず、本発明の実際の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0057】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]有効量の安息香酸またはその塩および誘導体と、
薬学的に許容される賦形剤と
を含み、
必要のある対象におけるうつ病を予防または治療するための、組成物。
[2]前記うつ病は、大うつ病性障害(MOD)、老年期うつ病、晩年うつ病または高齢者うつ病である、[1]に記載の組成物。
[3]前記治療は、対象の認知を改善する、[1]に記載の組成物。
[4]前記安息香酸またはその塩および誘導体は、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、2-アミノベンゾアート、3-アミノベンゾアート、4-アミノベンゾアート、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、4-ヒドロキシ安息香酸メチルまたは4-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムである、[1]に記載の組成物。
[5]前記安息香酸の塩は、安息香酸ナトリウムである、[1]に記載の組成物。
[6]前記安息香酸またはその塩および誘導体は、100mg/日~2500mg/日の量で対象に投与される、[1]に記載の組成物。
[7]前記安息香酸またはその塩および誘導体は、250mg/日~1500mg/日の量で対象に投与される、[6]に記載の組成物。
[8]前記安息香酸またはその塩および誘導体は、500mg/日~1000mg/日の量で対象に投与される、[7]に記載の組成物。
[9]前記薬学的に許容される賦形剤は、充填材、結合剤、防腐剤、崩壊剤、潤滑剤、懸濁剤、湿潤剤、溶媒、界面活性剤、酸、香味剤、ポリエチレングリコール(PEG)、アルキレングリコール、セバシン酸、ジメチルスルホキシド、アルコール、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる、[1]に記載の組成物。
[10]前記安息香酸またはその塩および誘導体は、組成物におけるうつ病を予防または治療するための唯一の有効成分として機能する、[1]に記載の組成物。
[11]前記安息香酸またはその塩および誘導体は、うつ病を予防または治療するための追加の有効成分と組み合わされる、[1]に記載の組成物。
[12]前記追加の有効成分は、デュロキセチン(duloxetine)、レボミルナシプラン(levomilnacipran)、ベンラファキシン(venlafaxine)、デスベンラファキシン(desvenlafaxine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、フルオキセチン(fluoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、セルトラリン(sertraline)、アミトリプチリン(amitriptyline)、アモキサピン(amoxapine)、クロミプラミン(clomipramine)、デシプラミン(desipramine)、ドキセピン(doxepin)、イミプラミン(imipramine)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、プロトリプチリン(protriptyline)、トリミプラミン(trimipramine)、マプロチリン(maprotiline)、ブプロピオン(bupropion)、ビラゾドン(vilazodone)、ネファゾドン(nefazodone)、トラゾドン(trazodone)、ボルチオキセチン(vortioxetine)、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、フェネルジン(phenelzine)、セレギリン(selegiline)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、アリピプラゾール(aripiprazole)、スルピリド(sulpiride)、フルペンチキソール(flupentixol)、メリトラセン(melitracen)、アゴメラチン(agomelatine)、モクロベミド(moclobemide)、セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)、S-アデノシルメチオニン(S-adenosyl-L-methionine)、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる、[11]に記載の組成物。
[13]前記安息香酸またはその塩および誘導体の投与は、うつ病のための追加の療法と組み合わされる、[1]に記載の組成物。
[14]前記追加の療法は、心理療法、電気けいれん療法(ECT)、脳部刺激療法、光療法、およびこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる、[13]に記載の組成物。
[15]前記脳部刺激療法は、脳深部刺激、侵襲的迷走神経刺激、経頭蓋磁気刺激、経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋交流電気刺激、電気けいれん治療、磁気発作療法、経頭蓋電気刺激または非侵襲的迷走神経刺激である、[14]に記載の組成物。
【0058】
本発明において、以下に挙げられる参考文献は、それぞれ個別に組み込まれるように、参照により本明細書に組み込まれる。
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