(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071088
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/485 20060101AFI20220506BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220506BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20220506BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220506BHJP
A61K 9/58 20060101ALI20220506BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220506BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K31/485
A61P25/04
A61P25/36
A61K9/16
A61K9/58
A61K47/34
A61K47/32
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031397
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2018544783の分割
【原出願日】2017-02-23
(31)【優先権主張番号】62/298,777
(32)【優先日】2016-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509019783
【氏名又は名称】バイオデリバリー サイエンシーズ インターナショナル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バシッシュト,ニラジ
(72)【発明者】
【氏名】フィン,アンドリュー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】短期及び長期の安定な放出速度論を有するブプレノルフィンの投与方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ブプレノルフィン、代謝産物又はそれらのプロドラッグを約7日~約6ヶ月の期間送達することができる持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することを含み、該製剤は、ブプレノルフィン、及び24,000~38,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含み、血漿濃度が投与後12時間の間に10ng/mlを超えない、方法。
【請求項2】
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することを含み、該製剤は、ブプレノルフィン、及び7,000~17,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含み、ブプレノルフィンの血漿濃度が投与後12時間の間に10ng/mlを超えない、方法。
【請求項3】
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量のSRBM製剤を投与することを含み、該SRBM製剤は、ブプレノルフィン、24,000~38,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)及び7,000~17,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含む、方法。
【請求項4】
SRBM製剤が、ポリビニルアルコールをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
SRBM製剤が、酢酸エチルをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
疼痛が、慢性疼痛である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
疼痛が、オピオイド依存症の対象における慢性疼痛である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、30日のうち29日間、実質的に治療範囲内に留まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
治療範囲が、約1ng/ml~約8ng/mlを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
治療範囲が、オピオイド依存症の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
治療範囲が、疼痛の治療のための約1ng/ml~約5ng/mlを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
治療範囲が、オピオイド依存症の対象における疼痛の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
SRBM製剤が、約1ミリグラム~約600ミリグラムのブプレノルフィンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ブプレノルフィンが、遊離塩基又は薬学的に許容可能な塩の形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
SRBM製剤を対象に約7日毎に1回、注射により投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
SRBM製剤を対象に約30日毎に1回、注射により投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
SRBM製剤を対象に約60日毎に1回、注射により投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
SRBM製剤を対象に約120日毎に1回、注射により投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
SRBM製剤を対象に約180ヶ月毎に1回、注射により投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
SRBM製剤が、対象への投与後30日間持続する実質的に直線的な放出プロファイルを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
SRBM製剤が、投与後少なくとも約15日、30日、45日、60日、90日、120日又は180日に二度目に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
投与が、皮下注射又は筋肉内注射である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
投与が、27ゲージを用いた皮下注射である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
投与が、約23~約27ゲージの針を用いた皮下注射である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
投与後最初の1時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、10ng/ml未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約9ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約8ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約7.5ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約7ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約6.5ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約6ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約5.5ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約5ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
投与後最初の1時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、7.5ng/ml未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約10ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約9ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
投与後1~12時間の間のブプレノルフィンの血漿濃度が、(最低濃度から達成された最高濃度まで)8ng/mlを超えて変化しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
投与後30分~約12時間のブプレノルフィンの血漿濃度が、7.5ng/mlを超えて変化しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後6時間以内に治療レベルに又は治療レベルの近くに達し、維持される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後2日目から30日目までの間、治療レベルの近くに留まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
治療レベルが、約1ng/ml~約8ng/mlを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
治療レベルが、オピオイド依存症の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
治療レベルが、疼痛の治療のための約1ng/ml~約5ng/mlを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
治療レベルが、オピオイド依存症の対象における疼痛の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約2日目から30日目まで実質的に治療レベルに留まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約12時間から約35日目まで実質的に治療レベルに留まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約5日目から約40日目まで実質的に治療レベルに留まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約2日目から約30日目、又は約40日目、又は約60日目、又は約120日目、又は約180日目まで実質的に治療レベルに留まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約12時間から約30日目、又は約40日目、又は約60日目、又は約120日目、又は約180日目まで実質的に治療レベルに留まる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
Cmaxが、10ng/ml、9ng/ml、8ng/ml、7ng/ml、6.25ng/ml、6ng/ml、5.75ng/ml、5.5ng/ml、5.25ng/ml、5ng/ml、4.75ng/ml、4ng/ml、3ng/ml、又は2ng/mlを超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
第二又はそれ以降の有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することをさらに含み、第二又はそれ以降の投与後のCmaxが、10ng/ml未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
第二又はそれ以降の投与後のCmaxが、第一又はそれ以前の投与からの残存量を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
有効量が、約1mg~約600mgである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
SRBM製剤が、約12~約100μmの直径を有する粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
SRBM製剤が、約15~約80μmの直径を有する粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
SRBM製剤が粒子を含み、該粒子の大部分が約20~約40μmの直径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月23日に出願された米国仮出願第62/298,777号に対する優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ブプレノルフィンはいくつかの商品名で販売されており、その1つはオピオイド依存症の維持治療のためのBunavail(登録商標)である。ブプレノルフィンHClは、分子式C29H41NO4HClを有し、分子量は504.10である。これは白色又はオフホワイトの結晶性粉末で、水に溶けにくく、メタノールに溶けやすく、アルコールに可溶性で、シクロヘキサンにほとんど溶けない。ブプレノルフィンは、オピオイド依存症及び疼痛を治療するために使用されている。利用可能な錠剤製剤、舌下経口フィルム及び頬側フィルム製剤、並びに7日間の経皮パッチがある。経口製剤は、1日1回又は2回投与について承認されているが、場合によっては1日3回投与されてもよく、変動する薬物動態のために、経皮パッチは7日間の疼痛制御をしばしば提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、短期及び長期の安定な放出速度論を有するブプレノルフィンの投与方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
要約
治療レベルの薬学的に活性な薬剤を最大30日間又はそれを超える期間提供する持続放出性製剤でオピオイド依存症及び/又は疼痛を治療する方法が本明細書に提供される。一実施形態では、投与直後及び最初の12時間、放出される薬学的に活性な薬剤の実質的なバーストはない。
【0005】
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することを含み、該製剤は、ブプレノルフィン、及び24,000~38,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含み、血漿濃度が投与後12時間の間に10ng/mlを超えない、方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、血漿濃度は、投与後12時間の間に8ng/mlを超えない。特定の実施形態では、血漿濃度は、投与後12時間の間に7.5ng/mlを超えない。特定の実施形態では、血漿濃度は、投与後12時間の間に約5~約8ng/mlを超えない。
【0006】
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することを含み、該製剤は、ブプレノルフィン、及び7,000~17,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含み、ブプレノルフィンの血漿濃度が投与後12時間の間に10ng/mlを超えない、方法が本明細書に提供される。
【0007】
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することを含み、該SRBM製剤は、ブプレノルフィン、24,000~38,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)及び7,000~17,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、投与後12時間の間に10ng/mlを超えない。
【0008】
一実施形態では、SRBM製剤は、ポリビニルアルコールをさらに含む。
【0009】
一実施形態では、SRBM製剤は、酢酸エチルをさらに含む。
【0010】
一実施形態では、疼痛は、慢性疼痛である。
【0011】
一実施形態では、疼痛は、オピオイド依存性対象における慢性疼痛である。
【0012】
一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、31日のうち27日間、実質的に治療範囲内に留まる。一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、28日を超える期間、実質的に治療範囲内に留まる。
【0013】
一実施形態では、治療範囲は、約1ng/ml~約8ng/mlを含む。一実施形態では、治療範囲は、オピオイド依存症の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む。一実施形態では、治療範囲は、疼痛の治療のための約1ng/ml~約5ng/mlを含む。治療範囲は、オピオイド依存症対象における疼痛の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む。
【0014】
一実施形態では、組成物SRBM製剤は、約1ミリグラム~約600ミリグラムのブプレノルフィンを含む。
【0015】
一実施形態では、ブプレノルフィンは、遊離塩基又は薬学的に許容可能な塩の形態である。
【0016】
一実施形態では、SRBM製剤の投与後、ブプレノルフィンの血漿濃度は、7日間、実質的に治療範囲内に留まる。
【0017】
一実施形態では、SRBM製剤の投与後、ブプレノルフィンの血漿濃度は、3~7日間、実質的に治療範囲内に留まる。
【0018】
一実施形態では、本方法は、SRBM製剤を対象に約7日毎に1回、注射により投与することを含む。
【0019】
一実施形態では、本方法は、SRBM製剤を対象に約30日毎に1回、注射により投与することを含む。
【0020】
一実施形態では、本方法は、SRBM製剤を対象に約60日毎に1回、注射により投与することを含む。
【0021】
一実施形態では、本方法は、SRBM製剤を対象に約120日毎に1回、注射により投与することを含む。
【0022】
一実施形態では、本方法は、SRBM製剤を対象に約180ヶ月毎に1回、注射により投与することを含む。
【0023】
一実施形態では、SRBM製剤は、対象への投与後30日間持続する実質的に直線的な放出プロファイルを有する。
【0024】
一実施形態では、治療上有効用量のSRBM製剤は、投与後少なくとも約15日、30日、45日、60日、90日、120日又は180日に二度目に投与される。
【0025】
一実施形態では、第二の投与は、以前の投与からの対象の血漿濃度に相加的なバーストを有する。
【0026】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を10ng/ml未満超える。
【0027】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を9ng/ml未満超える。
【0028】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を8ng/ml未満超える。
【0029】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を7ng/ml未満超える。
【0030】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を6ng/ml未満超える。
【0031】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を約3.5ng/ml~約10ng/ml超える。
【0032】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を約4ng/ml~約10ng/ml超える。
【0033】
一実施形態では、投与は、約23~約27ゲージの針を用いた皮下注射である。
【0034】
一実施形態では、投与は、27ゲージの針を用いた皮下注射である。
【0035】
一実施形態では、投与は、26ゲージの針を用いた皮下注射である。
【0036】
一実施形態では、投与は、25ゲージの針を用いた皮下注射である。
【0037】
一実施形態では、投与は、24ゲージの針を用いた皮下注射である。
【0038】
一実施形態では、投与は、23ゲージの針を用いた皮下注射である。
【0039】
一実施形態では、投与後最初の1時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、10ng/ml未満である。
【0040】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約9ng/mlを超えない。
【0041】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約8ng/mlを超えない。
【0042】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約7.5ng/mlを超えない。
【0043】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約7ng/mlを超えない。
【0044】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約6.5ng/mlを超えない。
【0045】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約6ng/mlを超えない。
【0046】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約5.5ng/mlを超えない。
【0047】
一実施形態では、投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度は、約5ng/mlを超えない。
【0048】
一実施形態では、投与後1~12時間の間のブプレノルフィンの血漿濃度は、最低濃度から達成された最高濃度まで10ng/mlを超えて変化しない。
【0049】
一実施形態では、投与後30分~約12時間のブプレノルフィンの血漿濃度は、最低濃度から達成された最高濃度まで10ng/mlを超えて変化しない。
【0050】
一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、投与後2日目から30日目までの間、治療レベルの近く又は実質的に近くに留まる。
【0051】
一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、投与後約2日目から30日目まで実質的に治療レベルに留まる。
【0052】
一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、投与後約12時間から約35日目まで実質的に治療レベルに留まる。
【0053】
一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、投与後約5日目から約40日目まで実質的に治療レベルに留まる。
【0054】
一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、投与後約2日目から約30日目、又は約40日目、又は約60日目、又は約120日目、又は約180日目まで実質的に治療レベルに留まる。
【0055】
一実施形態では、ブプレノルフィンの血漿濃度は、投与後約12時間から約30日目、又は約40日目、又は約60日目、又は約120日目、又は約180日目まで実質的に治療レベルに留まる。
【0056】
一実施形態では、治療レベルは、約1ng/ml~約8ng/mlを含む。一実施形態では、治療レベルは、オピオイド依存症の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む。一実施形態では、治療レベルは、疼痛の治療のための約1ng/ml~約5ng/mlを含む。一実施形態では、治療レベルは、オピオイド依存症の対象における疼痛の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む。
【0057】
一実施形態では、Cmaxは、10ng/ml、9ng/ml、8ng/ml、7ng/ml、6.25ng/ml、6ng/ml、5.75ng/ml、5.5ng/ml、5.25ng/ml、5ng/ml、4.75ng/ml、4ng/ml、3ng/ml、又は2ng/mlを超えない。
【0058】
一実施形態では、SRBM製剤は、約12~約100μmの直径を有する粒子を含む。
【0059】
一実施形態では、SRBM製剤は、約15~約80μmの直径を有する粒子を含む。
【0060】
一実施形態では、SRBM製剤は粒子を含み、該粒子の大部分は約20~約40μmの直径を有する。
【0061】
他の実施形態が以下に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、ブプレノルフィン血漿濃度(ng/mL)×時間(hr)(グループ1 - 1068-57)を示す。
【
図2】
図2は、ブプレノルフィン血漿濃度(ng/mL)×時間(hr)(グループ2 - 1068-60)を示す。
【
図3】
図3は、ブプレノルフィン血漿濃度(ng/mL)×時間(hr)(グループ3 - 1068-78)を示す。
【
図4】
図4は、ブプレノルフィン血漿濃度(ng/mL)×時間(hr)を示す: グループ1、グループ2、及びグループ3について組み合わせた性別(線形目盛)。
【
図5】
図5は、ブプレノルフィン血漿濃度(ng/mL)×時間(hr)を示す: グループ1、グループ2、及びグループ3について組み合わせた性別(対数目盛)。
【
図6】
図6は、投与後、ブプレノルフィンデポー注射が、約35日間、安定な放出速度論、及び治療標的レベルの近くの安定な血漿レベルを示すことを示す。
【
図7】
図7は、ゲッチンゲンミニブタにおける単一用量SRBM製剤投与後の血漿ブプレノルフィン濃度対時間プロファイルを示す。
【
図8】
図8は、第一用量の投与時のSRBM製剤の24時間バースト効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
詳細な説明
雄性及び雌性ゲッチンゲンミニブタにおける持続放出性ブプレノルフィンデポーミクロスフェア(SRBM)の2つの3mg/kg皮下注射の単回投与後60日までの間、血漿ブプレノルフィン及びその主要代謝産物であるノルブプレノルフィンの薬物動態(PK)を評価するための研究によって証明されるような持続放出性プロファイルを有する製剤によるオピオイド依存症及び/又は疼痛について対象を治療する方法が本明細書に記載される。
【0064】
【0065】
本明細書に記載される投薬形態及び製剤は、例えば、US 6,495,155; US 8,916,196; US 8,703,843; US 2010-0069602 A1; US 2010-0189800 A1; US 2013-0059008 A1; US 2012-0178629 A1; US 2011-0204533 A1; US 2015-0072928 A1及びUS 2012-0082731 A1(これらの全てはその全体が参照により組み込まれる)に記載される以下の方法のうちの1つ以上によって作製してもよい。微粒子は、米国特許第5,407,609号に記載されているような方法によって調製してもよく、これはその全体が参照により組み込まれる。
【0066】
一実施形態では、ヒト対象について、投与される用量は、20~約40日用量について約60mg~240mgである。参考までに、約240mg用量のSRBMは、1日当たり16~24mgの経口フィルム又は経口舌下錠剤製剤を摂取する対象に対応する。別の実施形態では、約180mg用量のSRBMは、12~16mgの経口フィルム又は経口舌下錠剤を摂取する対象に対応する。別の実施形態では、180mg用量のSRBMは、8~12mg用量の経口フィルム又は経口舌下錠剤製剤を摂取する対象に対応する。別の実施形態では、60mg用量のSRBMは、4~8mgの一日用量の経口フィルム又は経口舌下錠剤を摂取する対象に対応する。
【0067】
賦形剤、放出調節剤、可塑剤、細孔形成剤、ゲル化液体、非活性増量剤、及び他の成分も、ブプレノルフィン持続放出送達システム内に含まれ得る。流動性組成物の投与時に、これらの追加成分のいくつか、例えばゲル化液体及び放出調節剤は、埋込物と共に留まるべきであり、一方、他の成分、例えば細孔形成剤は、有機液体と共に別々に分散及び/又は拡散すべきである。
【0068】
例示的な製剤は、例えば、ブプレノルフィン遊離塩基、ブプレノルフィン塩酸塩、又はそれらの代謝産物若しくは誘導体; 例えば、Resomer RG 503H、Resomer RG 502H、MW 24,000~38,000若しくはMW 7,000~17,000を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、又はポリ(D,L-ラクチド)のうちの1種以上で作られたミクロスフェア; ポリビニルアルコール; 酢酸エチル若しくは他の薬学的に許容可能な溶媒、並びに水を含む。ミクロスフェアを製造するために使用されるポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)は、酸終端でもよい。ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)は、50:50のラクチド:グリコリドを有してもよい。ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)は、Mw 24,000~38,000又はMw 7,000~17,000を有してもよい。ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)の混合物を使用してもよい。比は、例えば、1:99~99:1のMw 24,000~38,000:Mw 7,000~17,000であり得る。一実施形態では、Mw 24,000~38,000:Mw 7,000~17,000を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)の比は、1:1、0:1、1:0又はそれらの間の任意の比であり得る。
【0069】
微粒子は、適切なビヒクル中で製剤化され、例示的なビヒクル製剤は、以下の実施例に見出すことができる。ブプレノルフィン遊離塩基、ブプレノルフィン塩酸塩又はそれらの代謝産物若しくは誘導体は、単一用量について約10mg~1gであってよい。製剤は、ナルトレキソンをさらに含んでもよく、これは約150~300mgの範囲であり得る。ビヒクルは、微粒子を投与するための、実施例に例示されるような、滅菌水、リン酸緩衝生理食塩水、又は他のビヒクルであってもよい。添加剤は、微粒子の懸濁性を改善し、微粒子の沈降を遅らせ、注射による不快感を減少させるために存在してもよい。マンニトールは、ビヒクルの約2~10重量%で存在してもよい。他の生理学的に許容可能な添加剤は、ビヒクルの約0~約0.05~0.2重量%で存在し得る、非イオン性界面活性剤、例えばTween、ビヒクルの約0.1~1重量%の範囲の、粘性増強剤、例えばカルボキシメチルセルロース、及び他の添加剤を適宜含み得る。ビヒクルの量は、一般に約1~5mL、通常1~3.5mLの範囲内である。微粒子は、使用直前にビヒクル中に分散される。滅菌微粒子は、セプタムを有する滅菌バイアル中に保存することができ、ここで微粒子はビヒクルと混合され、次いで注射器に抜き取られてもよい。
【0070】
微粒子は、エマルションベースのプロセスであるプロセスによって調製してもよく、このプロセスは、水性連続相(水並びに界面活性剤及び/又は増粘剤)及び疎水相(ポリマー溶媒、ポリマー及び薬物)を含むエマルションの調製を含む。エマルションの形成後、ポリマー溶媒は、水性抽出相に抽出される。十分な量のポリマー溶媒が抽出されて微粒子を硬化させた後、微粒子はふるい上に回収され、微粒子の表面に残っている界面活性剤を除去するために洗浄される。次いで、微粒子は窒素ストリームで長期間、例えば約12時間乾燥され、次いで、真空オーブン中で室温にて、少なくとも実質的に乾燥するまで、簡便には約3日間乾燥される。
【0071】
異なるストリームについての保存容器、管系、三方弁及びホモジナイザーを使用して、微粒子製造システムが組み立てられる。有機溶液は、三方弁に接続された最初の管に導入され、この三方弁は、水性連続相及びホモジナイザーに接続する。ホモジナイザーを接続するラインへの2つのストリームの流速を制御することによって、2つのストリームの比、及びホモジナイザーにおける滞留時間を制御することができる。ホモジナイザーからの流出物は、水流が導入される三方弁に接続するラインを通って出る。流速比は、ホモジナイザー流出物ストリームへの水の量を制御する。水抽出ステップの滞留時間は、管系の長さ、及び組み合わされたストリームの流速によって制御される。次いで、所望の範囲外の微粒子を排除する2つ以上のふるいを通過させることによって、微粒子はサイズによって分離される。
【0072】
微粒子の調製のために、分散相は、例えば、約1~10重量%の薬物及び約20重量%の、溶媒(例えば酢酸エチル)中に分散又は溶解された(以下、溶媒中のポリマーを分散されたものとして言及する場合、両者が含まれる)ポリマーを含有してもよい。連続相は、約1~10重量%のポリ(ビニルアルコール)の水溶液であり、酢酸エチルを1~7.5重量%で含有する。抽出相は、水又は他の溶媒であってもよい。薬物の量は、微粒子中の最終薬物を約10~50重量%超過してもよい。温度は周囲温度、例えば約15~30℃であってもよい。
【0073】
微粒子が回収され、乾燥された後、それらは、酸素及び水のない環境で、周囲温度、特に約0~20℃の範囲で保存してもよく、又は適切な容器中のアリコートに分けて、滅菌してもよい。様々な滅菌法を用いることができ、ガンマ線照射が便利である。
【0074】
SRBM製剤は、筋肉内注射又は皮下注射によって投与してもよい。薬学的に有効な量の製剤は、薬学的に許容可能な部位、例えば臀筋に直接注射される。その後、その量が治療範囲内にあることを確実にするために、対象を、薬物血漿濃度についてモニターしてもよい。薬物血漿濃度が治療範囲を下回る場合、その後の注射が行われてもよく、このプロセスは治療期間中繰り返される。治療期間は、1~5日、15日、30日、45日、60日、90日、120日、180日、1~30日、1~60日、1~90日、1~120日、又は1~180日であってもよい。
【0075】
本明細書に開示されるSRBMの製剤はシリンジで吸引可能であり、例えば、粒径及び粒子分布が
図9に示される。これにより、23~27ゲージの針におけるSRBM製剤の投与が可能になる。一実施形態では、製剤は、27ゲージの針で投与される。別の実施形態では、製剤は、26ゲージの針で投与される。別の実施形態では、製剤は、25ゲージの針で投与される。別の実施形態では、製剤は、24ゲージの針で投与される。別の実施形態では、製剤は、23ゲージの針で投与される。
【0076】
一実施形態では、製剤は、約30日のオピオイド依存症治療のためのものである。例えば、製剤は、約5~約10ng/mlのCmax、及び約>1ng/mlのCtroughを有する。一実施形態では、製剤は、約30日のオピオイド依存症の対象における疼痛治療のためのものである。例えば、製剤は、約2~約3ng/mlのCmax、及び約>0.25ng/mlのCtroughを有する。
【0077】
一実施形態では、製剤は、約30日の対象における慢性疼痛治療のためのものである。例えば、製剤は、約2~約3ng/mlのCmax、及び約>0.25ng/mlのCtroughを有する。例えば、オピオイド依存症、オピオイド依存症の対象における疼痛、及び/又は慢性疼痛の治療のためのこれらの製剤のそれぞれは、十分に制御された24時間放出を有し、また、投与後に最小限のバーストを有する。
【0078】
一実施形態では、オピオイド依存症の治療は、オピオイド依存症の維持治療のためのものである。別の実施形態では、オピオイド依存症の治療は、オピオイド依存症の治療の開始のためのものである。
【0079】
製剤は、例えば、予め充填された注射器又はバイアル中にパッケージングされてもよい。バイアルは、再構成されるために乾燥されていてもよく、又はそれは液体製剤におけるものであってもよい。製剤は、例えば、診療所で、医療専門家によって、又は対象若しくは他の人によって投与されてもよい。
【0080】
製剤は、例えば、注射部位での反応又は刺激を減少させるために、少ない注射体積を有する。体積は、約0.25ml~約2.5mlである。例えば、注射体積は約1.5mL以下であってもよい。製剤は、例えば、室温で保存されるか、又は冷蔵されるか、又はその間のある温度で保存される。
【0081】
一実施形態では、第二の投与は、以前の投与からの対象の血漿濃度に相加的なバーストを有する。
【0082】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を10mg/ml未満超える。
【0083】
一実施形態では、バーストは、第二用量の投与時の対象の血漿濃度を約4ng/ml~約10mg/ml超える。
【0084】
本明細書で使用される場合、バーストは、定常状態で放出される用量よりも高い持続放出製品からの活性医薬成分の初期吸収を含む。バーストはまた、薬物の初期急速放出を含み、これは次いで治療レベルへ又は治療レベルの近くへ達する。本明細書に記載される製剤は、バースト効果を最小化する。本明細書に記載される製剤は、投与時に放出される毒性レベルを回避する。製剤はまた、バースト効果の副作用、例えば悪心及び/又は嘔吐を回避する。第一の投与のバースト(第一用量の前に摂取されたブプレノルフィンがない、又は以前に投与された全てのブプレノルフィンがもはや存在しないか、若しくは検出可能でないと仮定して)は、例えば血液レベルを測定することによって決定することができる。第二及びそれ以降の用量又は用量曝露では、以前の投与間隔の終了時の既存の濃度がある。バーストは、例えば、血漿濃度がこの点から増加する量である。
【0085】
本明細書に記載されるSRBM製剤は、約15~約80μmの直径を有する粒子を含む。一実施形態では、粒子は、約12~約100μmの直径を有する。一実施形態では、粒子の大部分は、約20~約40μmの直径を有する。
【実施例0086】
毒性学研究のこの部分の目的は、雄性及び雌性ゲッチンゲンミニブタにおける1日目の持続放出性ブプレノルフィンデポーミクロスフェア(SRBM)の2つの3mg/kg皮下注射の単回投与後60日までの間、血漿ブプレノルフィン及びその主要代謝産物であるノルブプレノルフィンの薬物動態(PK)を評価することであった。SRBMの3つの異なる製剤のPKを評価し、比較した。
【0087】
血液サンプルを、時間0(投与前)及び投与後0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12及び24時間に採取した。また、血液サンプルを、投与後48、72、120及び168時間に採取し、その後は研究の残りの期間、ほぼ毎週採取した。血漿濃度×時間データブプレノルフィンを評価した。
【0088】
グループ1製剤1068-57(5.3~7.1ng/mL)のCmax値は、グループ2製剤1068-60(25.0~32.5ng/mL)及びグループ3製剤1068-78(8.8~32.5ng/mL)と比較して、著しくより低かった。グループ1製剤1067-58(168~696時間)のTmax値は、グループ2製剤1067-60及びグループ3製剤1067-78(120~168時間)と比較して、より大きかった。グループのそれぞれにおける変動量を考慮すると、ブプレノルフィンへの総曝露(AUC0-INF)は、グループ1、2及び3を比較した場合、同様であった。3つのグループを比較した場合、ブプレノルフィンへの総曝露は同様であったが、グループ1をグループ2及び3と比較した場合、血漿濃度×時間曲線の形状は大きく異なった。グループ2及び3と比較して、グループ1は、Cmax値がずっと低く、またTmax値がより長かった。ブプレノルフィンの消失の終末相半減期は、グループ2製剤1068-60(59~270時間)及びグループ3製剤1068-78(78~186時間)と比較して、グループ1製剤1068-57(57~79時間)が最も低く、最も変動が小さかった。全ての3つのグループについて定量可能な血漿ノルブプレノルフィン濃度への曝露は低かった(定量の下限(LLOQ)未満から0.05ng/mLのLLOQよりも約7倍大きい)が、血漿濃度は、グループ2製剤1068-60及びグループ3製剤1068-78と比較した場合、グループ1製剤1068-57について最も小さかった。
【0089】
研究は、2匹の動物/性別/グループを有する、3つの処置グループからなった。ブプレノルフィン及びその主要代謝産物であるノルブプレノルフィンのPKを評価するために、動物は、1日目に2回の3mg/kg皮下注射(合計6mg/kg)を受け、続いて、少なくとも60日間の観察及び定期採血を受けた。研究設計を以下の表にまとめる:
【0090】
【0091】
試験材料を(投与日に)ビヒクル中に再懸濁し、30mg/mLの各試験材料の濃度を達成した。動物は、投与体積0.1mL/kg/注射部位(2つの注射部位)で投与される場合、6mg/kg SRBMの総用量に相当する、以下のSRBM製剤、すなわち、30mg/mL 1068-57、30mg/mL 1068-60及び30mg/mL 1068-78のうちの1つの、2回の3mg/kgの注射を受けた。
【0092】
【0093】
【0094】
薬物動態(PK)
各サンプル時点で全血を採取した。血液サンプルを分析のために調製した。Phoenix WinNonlin(登録商標)、バージョン6.3(Pharsight Corporation, Mountain View, CA)を用いて、血漿ブプレノルフィンPKパラメータを評価した。この代謝産物のPK評価を行うには、血漿ノルブプレノルフィンのレベルが不十分であった。ブプレノルフィンのPK評価には、名目用量レベル及び採血時間を用いた。定量の下限(0.05ng/mL)未満の血漿ブプレノルフィン濃度には、0の値を割り当てた。
【0095】
製剤1068-57(グループ1)、1068-60(グループ2)、及び1068-78(グループ3)の6mg/kgの単一皮下注射後のブプレノルフィンpKパラメータの比較(表4~6及び
図1~5)を実施した。グループ1製剤1068-57(5.3~7.1ng/mL)のC
max値は、グループ2製剤1068-60(25.0~32.5ng/mL)及びグループ3製剤1068-78(8.8~32.5ng/mL)と比較して、著しくより低かった。グループ1及び2のC
max値には性別に関連する明らかな差異はなかった。
【0096】
グループ1製剤1067-58(168~696時間)のTmax値は、グループ2製剤1067-60及びグループ3製剤1067-78(120~168時間)と比較して、より大きかった。グループ2及び3のTmax値には性別に関連する明らかな差異はなかった。
【0097】
グループ2製剤1068-60のTlast値は変動した(528~1440時間)。グループ3製剤1068-78のTlast値も変動し、696~1440時間の範囲であった。グループ1製剤1068-57のTlast値は最も変動が小さく、1200~1368時間の範囲であった。
【0098】
グループのそれぞれにおける変動量を考慮すると、ブプレノルフィンへの総曝露(AUC0-INF)は、グループ1、2及び3を比較した場合、同様であった。値は、グループ1製剤1068-57について2613~4300hr*ng/mL、グループ2製剤1068-60について3457~4789hr*ng/mL、及びグループ3製剤1068-78について3281~5104hr*ng/mLの範囲であった。3つのグループを比較した場合、ブプレノルフィンへの総曝露は同様であるように見えるが、グループ1をグループ2及び3と比較した場合、血漿濃度×時間曲線の形状は異なる。グループ2及び3と比較して、グループ1のCmax値はずっと低く、Tmax値はより長かった。
【0099】
グループのそれぞれにおける変動を考慮すると、クリアランス値(Cl_Fobs)は、グループ1~3について同様であるように見えた。クリアランスは、一次消失速度論によって一定のままである。単位時間当たりに消失する薬物の量は、血漿中の薬物の濃度によって変化する。
【0100】
ブプレノルフィンの消失の終末相半減期は、グループ2製剤1068-60(59~270時間)及びグループ3製剤1068-78(78~186時間)と比較して、グループ1製剤1068-57(57~79時間)が最も短く、最も変動が小さかった。グループ2における変動は、主に、このグループにおける他の動物(59~72時間)と比較した、雌第9番(t1/2=270時間)によるものであった。
【0101】
6mg/kgのSRBM製剤1068-57(グループ1)、1068-60(グループ2)、及び1068-78(グループ3)の単一皮下注射後のノルブプレノルフィン血漿濃度の比較(表7~9)を実施した。低血漿濃度のノルブプレノルフィン(0.05~0.07ng/mL)が、グループ1製剤1068-57で観察され、最大血漿ブプレノルフィン濃度と一致した(雄性動物1及び2について7日目; 雄性動物2並びに雌性動物7及び8について29日目)。グループ1動物の研究を通して、任意の他の時点で観察されたLLOQ(0.05ng/mL)を超えるノルブプレノルフィンの他の測定可能な血漿濃度はなかった。
【0102】
定量可能な血漿ノルブプレノルフィン濃度は、グループ2製剤1068-60について、早くも投与後0.5時間に開始し、7日目(雄性動物3及び4、並びに雌性動物10)又は15日目(雌性動物9)までも続いて観察された。雄の血漿ノルブプレノルフィン濃度は0~0.32ng/mLの範囲であり、一方、雌の値は0~0.36ng/mLの範囲であった。グループ2の曝露期間(日数)及び曝露レベル(ng/mL血漿ノルブプレノルフィン)は、グループ1と比較してずっと大きかった。
【0103】
血漿ノルブプレノルフィンの低濃度は、グループ3製剤1068-78について、雌第5番(0.10ng/mL)及び雄第12番(0.16ng/mL)で、早くも投与後0.5時間に観察された。全ての4匹の動物が、5及び7日目に定量可能な血漿ノルブプレノルフィン濃度を有した(雄について0.10~0.17ng/mL、雌について0.07~0.20ng/mL)。雌第11番は、研究の最終サンプル時点であった60日目まで定量可能な血漿ノルブプレノルフィンレベルを有し続けた(0.07~0.26ng/mL)。グループ3の曝露期間(日数)及び曝露レベル(ng/mL血漿ノルブプレノルフィン)は、グループ1と比較してより大きかったが、グループ2より小さかった。
【0104】
結論
グループ1製剤1068-57(5.3~7.1ng/mL)のCmax値は、グループ2製剤1068-60(25.0~32.5ng/mL)及びグループ3製剤1068-78(8.8~32.5ng/mL)と比較して、著しくより低かった。グループ1製剤1067-57(168~696時間)のTmax値は、グループ2製剤1067-60及びグループ3製剤1067-78(120~168時間)と比較して、より大きかった。グループのそれぞれにおける変動量を考慮すると、ブプレノルフィンへの総曝露(AUC0-INF)は、グループ1、2及び3を比較した場合、同様であった。
【0105】
3つのグループを比較した場合、ブプレノルフィンへの総曝露は同様であったが、グループ1をグループ2及び3と比較した場合、血漿濃度×時間曲線の形状は大きく異なった。グループ2及び3と比較して、グループ1のCmax値はずっと低く、Tmax値はより長かった。
【0106】
グループ1製剤1068-57(57~79時間)のブプレノルフィンの消失の終末相半減期は、グループ2製剤1068-60(59~270時間)及びグループ3製剤1068-78(78~186時間)と比較して、最も低く、最も変動が小さかった。
【0107】
全ての3つのグループについて定量可能な血漿ノルブプレノルフィン濃度への曝露は低かった(0.05ng/mLのLLOQ未満からLLOQよりも約7倍大きい)が、それは、グループ2製剤1068-60及びグループ3製剤1068-78と比較して、グループ1製剤1068-57が最も小さかった。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【表11】
(付記)
(付記1)
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することを含み、該製剤は、ブプレノルフィン、及び24,000~38,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含み、血漿濃度が投与後12時間の間に10ng/mlを超えない、方法。
(付記2)
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することを含み、該製剤は、ブプレノルフィン、及び7,000~17,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含み、ブプレノルフィンの血漿濃度が投与後12時間の間に10ng/mlを超えない、方法。
(付記3)
対象におけるオピオイド依存症及び/又は疼痛の治療方法であって、該方法は、治療上有効量のSRBM製剤を投与することを含み、該SRBM製剤は、ブプレノルフィン、24,000~38,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)及び7,000~17,000のMWを有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含む、方法。
(付記4)
SRBM製剤が、ポリビニルアルコールをさらに含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記5)
SRBM製剤が、酢酸エチルをさらに含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記6)
疼痛が、慢性疼痛である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記7)
疼痛が、オピオイド依存症の対象における慢性疼痛である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記8)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、30日のうち29日間、実質的に治療範囲内に留まる、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
治療範囲が、約1ng/ml~約8ng/mlを含む、付記8に記載の方法。
(付記10)
治療範囲が、オピオイド依存症の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、付記8に記載の方法。
(付記11)
治療範囲が、疼痛の治療のための約1ng/ml~約5ng/mlを含む、付記8に記載の方法。
(付記12)
治療範囲が、オピオイド依存症の対象における疼痛の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、付記8に記載の方法。
(付記13)
SRBM製剤が、約1ミリグラム~約600ミリグラムのブプレノルフィンを含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記14)
ブプレノルフィンが、遊離塩基又は薬学的に許容可能な塩の形態である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記15)
SRBM製剤を対象に約7日毎に1回、注射により投与することを含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記16)
SRBM製剤を対象に約30日毎に1回、注射により投与することを含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記17)
SRBM製剤を対象に約60日毎に1回、注射により投与することを含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記18)
SRBM製剤を対象に約120日毎に1回、注射により投与することを含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記19)
SRBM製剤を対象に約180ヶ月毎に1回、注射により投与することを含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記20)
SRBM製剤が、対象への投与後30日間持続する実質的に直線的な放出プロファイルを有する、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記21)
SRBM製剤が、投与後少なくとも約15日、30日、45日、60日、90日、120日又は180日に二度目に投与される、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記22)
投与が、皮下注射又は筋肉内注射である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記23)
投与が、27ゲージを用いた皮下注射である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記24)
投与が、約23~約27ゲージの針を用いた皮下注射である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記25)
投与後最初の1時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、10ng/ml未満である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記26)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約9ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記27)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約8ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記28)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約7.5ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記29)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約7ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記30)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約6.5ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記31)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約6ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記32)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約5.5ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記33)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約5ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記34)
投与後最初の1時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、7.5ng/ml未満である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記35)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約10ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記36)
投与後最初の12時間以内のブプレノルフィンの血漿濃度が、約9ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記37)
投与後1~12時間の間のブプレノルフィンの血漿濃度が、(最低濃度から達成された最高濃度まで)8ng/mlを超えて変化しない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記38)
投与後30分~約12時間のブプレノルフィンの血漿濃度が、7.5ng/mlを超えて変化しない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記39)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後6時間以内に治療レベルに又は治療レベルの近くに達し、維持される、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記40)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後2日目から30日目までの間、治療レベルの近くに留まる、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記41)
治療レベルが、約1ng/ml~約8ng/mlを含む、付記40に記載の方法。
(付記42)
治療レベルが、オピオイド依存症の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、付記40に記載の方法。
(付記43)
治療レベルが、疼痛の治療のための約1ng/ml~約5ng/mlを含む、付記40に記載の方法。
(付記44)
治療レベルが、オピオイド依存症の対象における疼痛の治療のための約1ng/ml~約8ng/mlを含む、付記40に記載の方法。
(付記45)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約2日目から30日目まで実質的に治療レベルに留まる、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記46)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約12時間から約35日目まで実質的に治療レベルに留まる、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記47)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約5日目から約40日目まで実質的に治療レベルに留まる、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記48)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約2日目から約30日目、又は約40日目、又は約60日目、又は約120日目、又は約180日目まで実質的に治療レベルに留まる、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記49)
ブプレノルフィンの血漿濃度が、投与後約12時間から約30日目、又は約40日目、又は約60日目、又は約120日目、又は約180日目まで実質的に治療レベルに留まる、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記50)
C
maxが、10ng/ml、9ng/ml、8ng/ml、7ng/ml、6.25ng/ml、6ng/ml、5.75ng/ml、5.5ng/ml、5.25ng/ml、5ng/ml、4.75ng/ml、4ng/ml、3ng/ml、又は2ng/mlを超えない、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記51)
第二又はそれ以降の有効量の持続放出性ブプレノルフィンミクロスフェア(SRBM)製剤を投与することをさらに含み、第二又はそれ以降の投与後のC
maxが、10ng/ml未満である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記52)
第二又はそれ以降の投与後のC
maxが、第一又はそれ以前の投与からの残存量を含む、付記51に記載の方法。
(付記53)
有効量が、約1mg~約600mgである、付記51に記載の方法。
(付記54)
SRBM製剤が、約12~約100μmの直径を有する粒子を含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記55)
SRBM製剤が、約15~約80μmの直径を有する粒子を含む、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記56)
SRBM製剤が粒子を含み、該粒子の大部分が約20~約40μmの直径を有する、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。