(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071164
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】ワイヤレスで送達される電力を受信するためのアンテナとして、音発生デバイスのワイヤを利用するためのシステム、方法、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20220506BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220506BHJP
H02J 50/15 20160101ALI20220506BHJP
H02J 50/30 20160101ALI20220506BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J7/00 301D
H02J50/15
H02J50/30
H04R1/10 104E
H04R1/10 101B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034817
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2019570911の分割
【原出願日】2018-06-25
(31)【優先権主張番号】15/631,992
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】514160238
【氏名又は名称】エナージャス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リーブマン,マイケル,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ホッセイニ,アリスター
(57)【要約】
【課題】より効果的なワイヤレス充電システムを構築しながらコストを低減する。
【解決手段】ワイヤレス電力受信機は、音発生デバイスの少なくとも1つのワイヤを含む。少なくとも1つのワイヤは、音声信号を伝達すること、又は音発生デバイスの少なくとも一部をユーザに固定することと、電力波を受信することと、の両方のために構成されている。ワイヤレス電力受信機は、少なくとも1つのワイヤ及びバッテリのような電子デバイスの電源と結合された電力捕獲回路もまた含む。電力捕獲回路は、受信された電力波を伝達された音声信号から絶縁するように構成され、受信された電力波を使用可能なエネルギーに変換するように構成され、且つ、この使用可能なエネルギーを電子デバイスの電源に供給するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力受信機であって、
音発生デバイスの少なくとも1つのワイヤであって、音声信号を伝達するか、又は前記音発生デバイスの少なくとも一部をユーザに固定するために構成され、且つ、
電力波を受信するために構成された前記少なくとも1つのワイヤと、
(i)前記少なくとも1つのワイヤ及び(ii)電子デバイスの電源と結合された電力捕獲回路であって、前記受信された電力波を使用可能なエネルギーに変換するように構成され、且つ、前記使用可能なエネルギーを前記電子デバイスの前記電源に供給するように構成された前記電力捕獲回路と、
を備えるワイヤレス電力受信機。
【請求項2】
前記電力捕獲回路が、前記受信された電力波を前記伝達された音声信号から絶縁するようにもまた構成された、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項3】
前記少なくとも1つのワイヤが前記音発生デバイスの外部ワイヤを含む、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項4】
前記少なくとも1つのワイヤが、電力波を受信するように適合された導電性シールドを含み、前記電力捕獲回路が、前記導電性シールドを介して前記電力波を受信するように構成された、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項5】
前記音発生デバイスが、前記少なくとも1つのワイヤに結合されたスピーカをさらに備え、前記少なくとも1つのワイヤが、音に変換するために、前記電気信号を前記スピーカに伝送するように構成された、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項6】
前記音発生デバイスが、
ヘッドホンと、
イヤバッドと、
1対のヘッドホンと、
1対のイヤバッドと、
補聴器と、
からなる群から選択される、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項7】
前記電子デバイスが、
移動電話と、
タブレット型コンピュータと、
ラップトップコンピュータと、
ハンドヘルド電子デバイスと、
携帯用電子デバイスと、
からなる群から選択される、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項8】
前記音発生デバイスが、ヘッドホン端子を介して前記電子デバイスに結合されている、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項9】
前記電力捕獲回路が、2つ以上のタイプの電力波からのエネルギーを変換するように構成された、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項10】
前記電力捕獲回路が、整流器と、電力変換装置とを含む、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項11】
前記電力捕獲回路が、統合型ワイヤレス電力受信回路の構成要素である、請求項1に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項12】
前記統合型ワイヤレス電力受信回路が、前記統合型ワイヤレス電力受信回路による電力変換を管理するように構成されたコントローラを含む、請求項11に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項13】
前記統合型ワイヤレス電力受信回路が、前記少なくとも1つのワイヤの周波数に整合するように適合された整合回路を含む、請求項11に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項14】
前記統合型ワイヤレス電力受信回路が、前記電力波を前記少なくとも1つのワイヤに沿って移動する他の電気信号から絶縁するように構成された、請求項11に記載のワイヤレス電力受信機。
【請求項15】
音発生デバイスの少なくとも1つのワイヤであって、前記音発生デバイスとは別個の電子デバイスの電源にその後さらに結合されている電力捕獲回路に結合された前記少なくとも1つのワイヤを、ワイヤレスで送達される電力を受信するためのアンテナとして利用する方法であって、
前記音発生デバイスの動作中に前記少なくとも1つのワイヤを使用することと、
前記少なくとも1つのワイヤによって、電力波を受信することと、
前記電力捕獲回路によって、前記電力波を使用可能な電気に変換することと、
前記使用可能な電気を前記電子デバイスの前記電源に供給することと、
を含む方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのワイヤが、前記音発生デバイスのスピーカと結合され、前記音発生デバイスの動作中に前記少なくとも1つのワイヤを使用することが、音に変換するために、前記少なくとも1つのワイヤを介して電気信号を前記スピーカに伝送することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電力波が、前記音発生デバイスの近傍で建設的に干渉するように伝送される無線周波数信号である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ又は複数の電力波が、915MHz、2.4GHz、又は5.8GHzの周波数を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記電力波が、遠距離場電力送信機から受信される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記電力波が、近距離場電力送信機から受信される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのワイヤによって、前記電力波を受信することが、前記少なくとも1つのワイヤをモノポールアンテナとして利用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのワイヤが、2つのワイヤを含み、前記1つ又は複数の電力波を受信することが、前記2つのワイヤをダイポールアンテナとして利用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記音発生デバイスの動作中に前記少なくとも1つのワイヤを使用することが、前記少なくとも1つのワイヤを利用して、前記音発生デバイスをユーザの耳に固定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
ワイヤレスで送達される電力を受信するように構成された音発生デバイスであって、
スピーカと、
電力捕獲回路と、
前記スピーカ、及び前記電力捕獲回路に結合された少なくとも1つのワイヤであって、
可聴音に変換するために、前記スピーカに電気信号を伝達するように構成され、且つ、
アンテナとして動作して電力波を受信するように構成された前記少なくとも1つのワイヤと、
前記少なくとも1つの電力捕獲回路に結合された、前記音発生デバイス音に電力を供給するように構成された電源と、
を備えるとともに、前記電力捕獲回路が、
前記受信された電力波を前記電気信号から絶縁するように構成され、
前記絶縁された電力波を使用可能な電気に変換するように構成され、且つ、
前記使用可能な電気を前記電源に供給するように構成された、音発生デバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つのワイヤが、前記音発生デバイスをユーザの耳に固定するようにさらに構成された、請求項24に記載の音発生デバイス。
【請求項26】
前記電力捕獲回路が、2つ以上のタイプの電力波からのエネルギーを変換するように構成された、請求項24に記載の音発生デバイス。
【請求項27】
前記電力捕獲回路が、整流器と、電力変換装置とを含む、請求項24に記載の音発生デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
[0001] 開示されている実施形態は、概して、ワイヤレス電力伝送システムにおけるアンテナに関する。特に、開示されている実施形態は、ワイヤレスで送達される電力を受信するためのアンテナとして、音発生デバイスに見られるワイヤを流用する(ことで、これらの流用されているワイヤが、電気信号を伝達すること、及び/又は音発生デバイスをユーザの耳に固定することなど、本来意図した機能を依然として果たしながら、アンテナとして動作するようにする)ことに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] ラップトップコンピュータ、移動電話、タブレット、及びその他の電子デバイスなどの携帯用電子デバイスは、蓄電部品(例えば、バッテリ)を動作させるために、頻繁に充電することが必要である。電子デバイスの多くは、1日に1回以上充電することが必要である。電子デバイスの充電には、有線で充電するケーブルを使用して、電子デバイスをコンセント又はその他の電源に手動で接続しなければならない場合が多い。場合によっては、蓄電部品、例えば、バッテリを関連付けされている電子デバイスから取り外し、充電装置に挿入して充電することもある。ユーザは複数の充電ケーブル及び/又はその他の充電デバイスを持ち運ばなければならず、また、ユーザは電子デバイスの充電に適した電源、例えば、壁コンセントを見つけなければならない場合が多いため、このような充電は非効率的である。加えて、従来の充電技術では、充電している間、ユーザはデバイスが使用できず、及び/又は、ユーザは自身の電子デバイス又は他の充電装置が接続されている壁コンセント又はその他の電源のすぐ近くにとどまっていなければならない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 民生用デバイスにワイヤレス充電システムを構築するには通常、ワイヤレスで送達される電力を民生用デバイスで受信するアンテナ部品を追加する必要であるが、このアンテナ部品は複雑で、高価である場合が多い。また、これらの民生用デバイスの多くは小型、コンパクトであり、及び/又は、アンテナ部品を追加するための十分なスペースがない。このため、前述の短所に対処するワイヤレス充電システムを提供すれば、それは望ましいことであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] それに応じて、電子デバイスをワイヤレスで充電するための、及びこのようなシステムをコスト効率良く構築するための方法、装置、及びシステムが必要とされている。このため、本明細書に記載の実施形態のうちのいくつかに従って、電子デバイス及び/又は音発生デバイスの既存の構成要素(例えば、ヘッドホン、補聴器、又はイヤホンからのワイヤ)を流用することは、より効果的なワイヤレス充電システムを構築しながらコストを低減することに役立つ。場合によっては、既存の構成要素を利用することにより、ワイヤレス電力受信機のコストを低減し、より小型でコンパクトなワイヤレス電力受信機の開発が可能になり、ユーザにとってさらに便利である。イヤインタフェースデバイス(ear-interface device)(本明細書では音発生デバイス、音伝達デバイス、及び音生成デバイスとも呼ばれる)の例には、限定ではないが、ヘッドホン、補聴器、及びイヤホンが含まれるが、これらの多くは、その構造に導電性ワイヤを有する。これらの既存の導電性ワイヤは、ワイヤレス通信(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、及びGSM)、並びにワイヤレス充電(例えば、遠距離場充電システム、中距離場充電システム、及び近距離場充電システム)など、様々なワイヤレス用途のための受信アンテナとして使用することができる。1つの例として、電子デバイス(例えば、移動電話)をワイヤレスで充電する方法は、電子デバイスに結合された、音発生デバイスの1つ又は複数のワイヤ(例えば、ヘッドホンの一部のワイヤの1つ)を流用して、電力波を受信することを含むことができ、また、それらの電力波からのエネルギーは、その後捕獲され、電力変換回路によって、電子デバイスへの電力供給又は充電に使用可能な電気に変換される。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態では、既存のワイヤは、整合ネットワーク(例えば、信号反射を最小化するように構成されたインピーダンス整合ネットワーク)、及び任意に絶縁フィルタ又は絶縁回路を通して、電力変換回路(又は、Wi-Fi、Bluetooth、若しくはGSM信号の受信のような、特定の用途に適した他の回路若しくは集積回路)に接続されている。例えば、既存のワイヤが音発生デバイスのための信号の伝達を目的としていないのであれば、絶縁フィルタは必要ない場合がある。別の例として、既存のワイヤが、スピーカによって音に変換される電気信号の伝達を目的としているのであれば、絶縁フィルタを利用して、受信された電力波(又は、受信されている信号のタイプに応じて他のタイプの信号)を、スピーカ向けの電気信号から絶縁することができる。
【0006】
[0006] 音発生デバイスの既存のワイヤ又は導体は、多数の異なる長さを有することができる。しかしながら、所望の周波数に基づく適切な整合ネットワークがあれば、これらのワイヤを整調して、以下でより詳細に説明するいくつかの実施形態に従って、1つ又は複数の所望の周波数で信号、及び/又は電力を受信することができる。例えば、2つのイヤホンが音量/マイクロホン制御に結合されたヘッドホンでは、2つのイヤホンをヘッドホンの音量/マイクロホン制御部品に接続するワイヤから、ダイポールアンテナが形成される。いくつかの実施形態では、整合回路及び/又は電力変換回路(整合回路を含んでもまたよい)は、音量/マイクロホン制御部品の内部に位置する。
【0007】
[0007] 本発明のいくつかの実施形態は、ワイヤレス電力受信機に関する。ワイヤレス電力受信機は、音発生デバイス(例えば、ヘッドホン、補聴器、イヤホン、又は、人工内耳若しくは他のインプラント)、及び電力捕獲回路のうちの少なくとも1つのワイヤを含む。少なくとも1つのワイヤは、音声信号を伝達するか、又は、音発生デバイスの少なくとも一部をユーザに固定するように構成されている。少なくとも1つのワイヤは、(その本来意図した機能に加えて)追加の機能を果たすこと、例えば、音発生デバイスへの電力供給に使用される電力波を受信するという追加の機能を果たすこともまた目的としている。電力捕獲回路は、少なくとも1つのワイヤ、及び電子デバイスの電源、例えば、充電式バッテリに結合されている。電力捕獲回路は、受信された電力波を使用可能なエネルギーに変換するように構成され、且つ、この使用可能なエネルギーを電子デバイスの電源に供給するように構成されている。これにより、(その本来意図した機能を依然として果たしながら)電力を受信するために同じワイヤを再利用することにより、デバイスのサイズを維持しながら、追加のアンテナの必要性を減らし、コストを低減することが可能になる。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスの外部ワイヤを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、電力波を受信するように適合された導電性シールドを含み、電力捕獲回路は、この導電性シールドを介して電力波を受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、音発生デバイスは、少なくとも1つのワイヤに結合されたスピーカをさらに備え、この少なくとも1つのワイヤは、音に変換するために、電気信号をスピーカに伝送するように構成されている。いくつかの実施形態では、音発生デバイスは、ヘッドホン、イヤバッド(earbud)、1対のヘッドホン、1対のイヤバッド、1つ又は複数のイヤホン、又は補聴器である。いくつかの実施形態では、電子デバイスは、移動電話、タブレット型コンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルド電子デバイス、又は携帯用電子デバイスである。いくつかの実施形態では、音発生デバイスは、ヘッドホン端子を介して電子デバイスに結合されている。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路は、2つ以上のタイプの電力波からのエネルギーを変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路は、整流器と、電力変換装置とを含む。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路は、統合型ワイヤレス電力受信回路の構成要素である。いくつかの実施形態では、統合型ワイヤレス電力受信回路は、統合型ワイヤレス電力受信回路による電力変換を管理するように構成されたコントローラを含む。いくつかの実施形態では、統合型ワイヤレス電力受信回路は、少なくとも1つのワイヤの周波数に整合するように適合された整合回路を含む。いくつかの実施形態では、統合型ワイヤレス電力受信回路は、電力波を少なくとも1つのワイヤに沿って移動する他の電気信号から絶縁するように構成されている。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態は、音発生デバイスの少なくとも1つのワイヤを、ワイヤレスで送達される電力を受信するためのアンテナとして利用する方法を提供する。少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスとは別個の電子デバイスの電源にその後さらに結合されている電力捕獲回路に結合されている。最初に、少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスの動作中に使用される。少なくとも1つのワイヤは、電力波もまた受信する。電力捕獲回路は、次に、電力波(又は電力波から抽出されるエネルギー)を使用可能な電気に変換し、この使用可能な電気が電子デバイスの電源に供給される。例えば、少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスのスピーカと結合され、動作時に少なくとも1つのワイヤを使用することは、音に変換するために、少なくとも1つのワイヤを介して電気信号をスピーカに伝送することを含む。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、電力波は、音発生デバイスの近傍で建設的に干渉するように伝送される無線周波数信号である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力波は、915MHz、2.4GHz、又は5.8GHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、電力波は、遠距離場電力送信機から受信される。いくつかの実施形態では、電力波は、近距離場電力送信機から受信される。いくつかの実施形態では、電力波を受信することは、少なくとも1つのワイヤをモノポールアンテナとして利用することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、2つのワイヤを含み、1つ又は複数の電力波を受信することは、この2つのワイヤをダイポールアンテナとして利用することを含む。いくつかの実施形態では、音発生デバイスの動作中に少なくとも1つのワイヤを使用することは、少なくとも1つのワイヤを利用して、音発生デバイスをユーザの耳に固定することを含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態は、ワイヤレスで送達される電力を受信するように構成された音発生デバイスを提供する。音発生デバイスは、スピーカと、電力捕獲回路と、スピーカ及び電力捕獲回路に結合された少なくとも1つのワイヤと、を含む。少なくとも1つのワイヤは、可聴音に変換するために、スピーカに電気信号を伝達するように構成され、且つ、アンテナとして動作して電力波を受信するように構成されている。音発生デバイスは、少なくとも1つの電力捕獲回路に結合された、音発生デバイス音に電力を供給するように構成された電源もまた含む。電力捕獲回路は、受信された電力波を電気信号から絶縁するように構成され、絶縁された電力波を使用可能な電気に変換するように構成され、且つ、この使用可能な電気を電源に供給するように構成されている。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスをユーザの耳に固定するようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路は、2つ以上のタイプの電力波からのエネルギーを変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路は、整流器と、電力変換装置とを含む。
【0013】
[0013] 別の態様では、いくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法を実行するための手段を有するワイヤレス電力受信機を含む。別の態様では、いくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法を実行するための手段を有するワイヤレス電力伝送システムを含む。
【0014】
[0014] したがって、デバイス、回路、及びシステムには、受信アンテナとして機能するように音発生デバイスの1つ又は複数のワイヤを流用することにより、電力(及び/又はデータ)を電子デバイスにワイヤレスで伝達するための方法が提供され、これにより、有効性、効率、並びにこのようなシステム及びデバイスに対するユーザの満足度が向上する。このような方法は、電子デバイスに電力を伝達するための従来の方法を補完、又は従来の方法に置換することができる。
【0015】
[0015] 上記で説明した様々な実施形態は、本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせることが可能であることに留意されたい。本明細書で説明する特徴及び利点は、すべてが包括的なものではなく、特に、図面、明細書、及び特許請求の範囲を考慮すると、多くの追加の特徴及び利点が当業者に明らかになるであろう。さらに、本明細書において使用される文言は、主として読みやすさ及び教示的な目的で選択されたものであり、本発明の主題を線引き又は境界決めするために選択されているのではないことに留意されたい。
【0016】
図面の簡単な説明
[0016] 本開示をより詳細に理解できるように、様々な実施形態の特徴を参照することにより、より特定的な説明を得ることができ、それら様々な実施形態のいくつかが、添付の図面に図示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示に関連する特徴を単に図示しているものであり、したがって、限定と見なされないものとする。なぜなら、説明は他の有効な特徴を認める場合があるからである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[0017]いくつかの実施形態に従う、ワイヤレス電力伝送システムの代表的な構成要素を図示するブロック図である。
【
図2A】[0018]いくつかの実施形態に従う、受信アンテナとして機能するように流用されているワイヤを含む代表的な音発生デバイスを図示するブロック図である。
【
図2B】[0018]いくつかの実施形態に従う、受信アンテナとして機能するように流用されているワイヤを含む代表的な音発生デバイスを図示するブロック図である。
【
図3A】[0019]いくつかの実施形態に従う、
図2Bの代表的な音発生デバイスの動作を図示するブロック図である。
【
図3B】[0019]いくつかの実施形態に従う、
図2Bの代表的な音発生デバイスの動作を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0020] 慣例に従って、図面に図示されている様々な特徴は、縮尺通りに描かれていない場合がある。それに応じて、様々な特徴の寸法は、明瞭にするために任意に拡大又は縮小されている場合がある。加えて、図面のいくつかは、所与のシステム、方法又はデバイスの構成要素のすべてを描写していない場合がある。最後に、同様の参照番号が、明細書及び図面全体にわたって同様の特徴を表示するために使用される場合がある。
【0019】
詳細な説明
[0021] 添付の図面に図示されている例示的な実施形態を完全に理解できるようにするために、本明細書では、多くの詳細が説明されている。しかしながら、いくつかの実施形態は具体的な詳細の多くを伴わずに実践してもよく、特許請求の範囲は、請求項に具体的に記載されている特徴及び態様によってのみ限定される。さらに、周知のプロセス、構成要素、及び材料は、本明細書に記載の実施形態の関連する態様を不必要に曖昧にしないように、遺漏なく詳細に説明されてはいない。
【0020】
[0022] 簡潔にするために、以下の詳細な説明は、信号(例えば、補聴器デバイスの音声信号)を伝送するためのワイヤを含む電子デバイス向けの実施形態を説明するが、これらの実施形態では、ワイヤは、電力波(本明細書では、互換的に電力信号、電力波、又は送電波ともまた呼ばれる)からのエネルギーを捕獲するようにもまた流用されている。追加の電力捕獲機能を果たすように既存のワイヤを流用することにより、電力波を受信するための別々のアンテナが必要なくなる。本明細書で使用する場合、ワイヤの「流用」とは、追加の目的のために、すなわち、その本来の目的(例えば、音発生デバイスのための信号を伝送するという本来の目的)に加えて、ワイヤを使用することを意味する。
【0021】
[0023]
図1は、いくつかの実施形態に従う、例示的なワイヤレス電力伝送システム100の構成要素を図示する。ワイヤレス電力伝送システム100は、例えば、送信機102(例えば、送信機102a、102b...102n)と、ワイヤレス電力を受信するように構成されたデバイスと、を含む。ワイヤレス電力を受信するように構成されたデバイスは、音発生デバイス150(例えば、補聴器、又は、ヘッドセット若しくはヘッドホン)であって、(音発生デバイス150のための既存の機能を有するが、)受信アンテナとしてもまた動作するように流用されているワイヤ152を有する音発生デバイスと、流用されているワイヤ152を介して受信した信号(例えば、受信RF電力波)を処理するのに使用される電力捕獲回路120と、を含むことができる。ワイヤレス電力を受信するように構成されたデバイスは、任意選択的に、電子デバイス122に結合された音発生デバイス151であって、受信アンテナとして動作するように流用されているワイヤ157を有する音発生デバイス151を含んでもまたよい。いくつかの実施形態では、音発生デバイス151は、流用されているワイヤ157を介して受信した電力波を処理するのに使用される電力捕獲回路120-aを含む電子デバイス122と結合されている。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120(又はその構成要素)は、音発生デバイス151に含まれているが、他の実施形態では、電力捕獲回路120の構成要素は、音発生デバイス151と電子デバイス122とに分かれている。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力伝送システム100は、それぞれの電力捕獲回路120を含む複数のデバイスを含む。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力受信機は、ワイヤレス電力を受信することが可能なデバイス、例えば、電力捕獲回路120、又は、別々の電子デバイス122(これらはそれぞれ、120-a、120-bに電力捕獲回路の構成要素を含むことができる)と結合された音発生デバイス151を含む音発生デバイス150などを含む。
【0022】
[0024] 例示的な送信機102(例えば、送信機102a)は、例えば、1つ又は複数のプロセッサ104と、メモリ106と、1つ又は複数のアンテナアレイ110(好ましくは複数のアンテナ)と、1つ又は複数の通信部品112、及び/又は、1つ又は複数の送信機センサ114と、を含む。いくつかの実施形態では、これらの構成要素は、通信バス108を介して相互接続されている。「送信機102のこれらの構成要素」と言う場合、これらの構成要素(及びそれらの組み合わせ)のそれぞれの1つ、又は2つ以上が含まれる実施形態を網羅する。
【0023】
[0025] いくつかの実施形態では、メモリ106は、1つ又は複数のプログラム(例えば、命令のセット)、及び/又は本明細書では総称して「モジュール」と呼ばれるデータ構造を格納する。いくつかの実施形態では、メモリ106、又はメモリ106の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、及びデータ構造、すなわち、
・電力捕獲回路120を有するデバイスから受信した(例えば、通信信号118aを介して受信した)情報、
・送信機センサ114から受信した情報、
・1つ又は複数の送信機102によって送信された1つ又は複数の電力波を調節する、適応型ポケット形成モジュール、及び/又は
・電力捕獲回路120を有するデバイス(例えば、1つ又は複数の送信機102の送信場内に位置するデバイス)を検出するための、及び/又はデバイスと通信するための通報信号118を送信するビーコン送信モジュール、又はそれらのサブセット若しくはスーパーセット、を格納する。
【0024】
[0026] 上記のモジュール(例えば、データ構造、及び/又は命令のセットを含むプログラム)は、別々のソフトウエアプログラム、手順、又はモジュールとして実装する必要がなく、したがって、これらのモジュールの様々なサブセットは、組み合わせて、又はそれ以外の方法で、様々な実施形態で再編成することができる。いくつかの実施形態では、メモリ106は、上記のモジュールのサブセットを格納する。いくつかの実施形態では、送信機102のそれぞれに(又は、送信機102aの通信部品112などの、その通信部品に)通信可能に接続されている外部マッピングメモリ(図示せず)が、上記の1つ又は複数のモジュールを格納する。さらに、メモリ106及び/又は外部マッピングメモリは、上記で記載されていない追加のモジュールを格納することができる。いくつかの実施形態では、メモリ106、又はメモリ106の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納されたモジュールは、以下で説明する方法でそれぞれの動作を実装するための命令を提供する。いくつかの実施形態では、モジュール機能の一部又は全部を包括する専用ハードウェア回路を用いて、これらのモジュールのいくつか又はすべてを実装することができる。上記の要素のうちの1つ又は複数は、プロセッサ104のうちの1つ又は複数によって実行することができる。いくつかの実施形態では、メモリ106に関して説明したモジュールのうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の送信機102に通信可能に結合されたサーバ(図示せず)のメモリ上に、及び/又は、電子デバイス122のメモリ、及び/又は電力捕獲回路120に関連付けされたメモリによって実装される。
【0025】
[0027] いくつかの実施形態では、単一のプロセッサ104(例えば、送信機102aのプロセッサ104)が、複数の送信機102(例えば、送信機102b...102n)を制御するためのソフトウェアモジュールを実行する。いくつかの実施形態では、単一の送信機102(例えば、送信機102a)は、(例えば、アンテナアレイ110による波116の伝送を制御するように構成された)1つ又は複数の送信機プロセッサなどの複数のプロセッサ104と、(例えば、通信部品112によって伝送された通信を制御するように構成され、及び/又は、通信部品112を介して通信を受信するように構成された)1つ又は複数の通信部品プロセッサ、及び/又は、(例えば、送信機センサ114の動作を制御するように構成され、及び/又は、送信機センサ114からの出力を受信するように構成された)1つ又は複数のセンサプロセッサ、を含む。
【0026】
[0028] 電力捕獲回路120(例えば、電子デバイス122に関連付けされた電力捕獲回路120-a、又は、音発生デバイス150と結合された電力捕獲回路120)は、送信機102によって送信された電力波116、及び/又は通信118(例えば、118a及び118b)を受信する。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120は、音発生デバイスの流用されているワイヤ(例えば、音発生デバイス151の受信アンテナとして流用されているワイヤ157)で構成された少なくとも1つのアンテナを含む、1つ又は複数のアンテナと、任意に1つ又は複数の受信機センサと、を含む。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120は、電力変換回路126(本明細書では、互換的に電力変換装置126とも呼ばれる)、信号絶縁回路123、及び周波数整合回路125、のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120の様々な構成要素は、2つ以上の別個のデバイス内に位置している(例えば、いくつかの構成要素は音発生デバイス151とともに位置しており、他の構成要素は電子デバイス122内に位置している)。「電力捕獲回路120のこれらの構成要素」と言う場合、これらの構成要素(及びそれらの組み合わせ)のそれぞれの1つ、又は2つ以上が含まれる実施形態を網羅する。電力捕獲回路120は、受信波116(例えば、電力波)からのエネルギーを電気エネルギーに変換して、電子デバイス(例えば、電子デバイス122又は音発生デバイス150)に電力供給、及び/又は充電する。例えば、電力変換回路126を使用して、電力波116から捕捉されたエネルギーを、電子デバイスに電力供給、及び/又は充電するために使用可能な交流(AC)電気又は直流(DC)電気に変換する。電力変換回路126の非限定的な例には、適切な回路及びデバイスのうち、整流器、整流回路、電圧調整器が含まれる。
【0027】
[0029] いくつかの実施形態では、任意選択の周波数整合回路125は、限定された向き/用途(例えば、遠距離場及び近距離場用途)用の、特定の流用されているワイヤ(例えば、152又は157)アンテナの性能及び/又は整合を整調する固定広帯域整合回路を備える。いくつかの実施形態では、整合回路125は、(例えば、リアルタイムで)より広範囲の用途及び向きのセットに整合するように整調する、適応型整合チップ、及び/又は(例えば、バラクターを使用して)再構成可能な整合回路を備える。いくつかの実施形態では、このような回路は、受信電力をモニタリングするフィードバックループに接続されている(例えば、フィードバックループは、電力伝送効率を制御するために、1つ又は複数の送信機102と、受信機との間に、ワイヤレスチャネル、例えば、BLUETOOTH、又はBLUETOOTH Low Energy(BLE)を介して形成されている)。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送信機、及び受信機は、フィードバックループを介してデータをやり取りして、送信機(例えば、電力波を受信機に送信するために使用される特性を整調する)、及び受信機(例えば、受信機が受信した電力が閾値レベル未満である場合、受信電力が閾値レベルに達するまで、適応型/再構成可能な回路が変更される)を整調する。
【0028】
[0030] いくつかの実施形態では、エネルギーの集積又はポケットから電力波116が受信された後、及び/又はエネルギーが捕獲された後、電力捕獲回路120の回路(例えば、集積回路、増幅器、整流器、及び/又は電圧調整器)は、電力波のエネルギー(例えば、無線周波数電磁放射)を使用可能な電力(例えば、電気)に変換し、この使用可能な電力が、電子デバイス122若しくは音発生デバイス150に直接供給、及び/又は、バッテリ130若しくはバッテリ131に蓄積される。いくつかの実施形態では、電力変換回路126の整流回路は、電子デバイス122が使用するために電気エネルギーをACからDCに変換する。いくつかの実施形態では、電力変換回路126とともに含まれる電圧調節回路が、バッテリ130又は131によって必要とされる通りに電気エネルギーの電圧を増減させる。いくつかの実施形態では、電力変換回路126の継電器を使用して、電気エネルギーをバッテリ130又は131に伝達する。
【0029】
[0031] いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120は、音発生デバイス(電子デバイスに結合されている場合もあれば、結合されていない場合もある)の構成要素であり、信号処理回路は、電子デバイスの構成要素であり(例えば、電力捕獲回路120-aは、電子デバイス122の構成要素である)。或いは、電力捕獲回路120は、電子デバイスと音発生デバイスとに分かれている場合がある。いくつかの実施形態では、電子デバイス122は、複数の送信機102から電力を得る(他の実施形態では、それぞれの送信機を割り当てて、流用されているワイヤアンテナを用いてワイヤレス電力を特定の電子デバイス又は音発生デバイスに送信することができる)。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力伝送システム100は、複数の電子デバイス122及び音発生デバイス150を含み(音発生デバイス151と結合された電子デバイスを含んでもまたよい)、それぞれ、送信機102からの電力波を電子デバイス122の充電に使用可能な電力内に捕獲するために使用される、少なくとも1つのそれぞれの電力捕獲回路120を有する。
【0030】
[0032] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送信機は、電力波を生成して、目標位置でエネルギーのポケットを形成するとともに、感知されたデータに基づいて電力波の生成を調節して、安全、確実、且つ、効率的にワイヤレスで送達される電力を受信機(及び受信機に関連付けされたデバイス)に供給する。いくつかの実施形態では、制御された「エネルギーのポケット」(例えば、電力波の建設的干渉のために利用可能な電力が高い領域、又は集中している領域)、及び/又は零空間(例えば、電力波の相殺的干渉のために利用可能な電力が低い領域、又は存在しない領域)が、1つ又は複数の送信機の送信場内に伝送された電力波の収束によって形成される場合がある。いくつかの実施形態では、送信電力波の収束によって生じた建設的干渉のパターンのために、エネルギーのポケットが2次元的又は3次元的な場の中の1つ又は複数の位置で形成される。送信電力波からのエネルギーは、1つ又は複数の位置で受信機によって捕獲すること(すなわち、受信し、使用可能な電力に変換すること)ができる。
【0031】
[0033] いくつかの事例では、2つ以上の電力波116の位相が互いに合っており、合成波へと収束して、この合成波の振幅が、電力波の単一の振幅よりも大きくなっているとき、電力波の建設的干渉が生じる。例えば、複数のアンテナからある位置に到達するシヌソイド波形の正及び負のピークは、「相互に加算」されて、より大きな正及び負のピークを生み出す。いくつかの実施形態では、エネルギーのポケットは、電力波の建設的干渉が生じる送信場内の位置で形成される。
【0032】
[0034] いくつかの事例では、2つ以上の電力波の位相がずれており、合成波へと収束して、この合成波の振幅が、電力波の単一の振幅よりも小さくなっているとき、電力波の相殺的干渉が生じる。例えば、電力波は「互いに相殺」され、これにより、送信場内の位置に集中するエネルギーの量が減少する。いくつかの実施形態では、相殺的干渉を使用して、電力波が収束する送信場内の位置で生成するエネルギーを無視できる量、又は「零」にする。
【0033】
[0035] いくつかの実施形態では、例えば、電力波送信を調節することによって適応型ポケット形成を実行して、1つ又は複数の送信機によって送信された電力波のうちの少なくともいくつかの目標電力レベルを達成する。例えば、適応型ポケット形成のためのシステムは、センサを含む。いくつかの実施形態では、センサが、エネルギーのポケットから、電力波のうちの1つ又は複数から、又は送信機から所定の距離(例えば、1~5フィートの範囲内の距離)内にある対象物、例えば、感応性対象物(例えば、人、動物、電力波感応装置など)を検出すると、1つ又は複数の送信機のそれぞれの送信機は、送信電力波の1つ又は複数の特性を調節する。1つ又は複数の特性の非限定的な例には、電力波を送信するために1つ又は複数の送信機の、1つ又は複数のアンテナによって使用される周波数、振幅、軌道、位相、及びその他の特性が含まれる。1つの例として、1つ又は複数の送信機のそれぞれの送信機による電力波の送信を調節するべきであることを表示する受信情報(例えば、センサが、それぞれの目標位置から所定の距離内にある感応性対象物を感知すること)に応答して、適応型ポケット形成プロセスは、1つ又は複数の特性を相応に調節する。
【0034】
[0036] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特性を調節することは、目標位置で収束する1つ又は複数の送信電力波を調節することによって、ある位置で現在生成されている電力のレベルを下げることを含む。いくつかの実施形態では、現在生成されている電力のレベルを下げることは、少なくとも1つの他の送信電力波との相殺的干渉を生み出す電力波を送信することを含む。例えば、電力波は、目標位置で現在生成されている電力のレベルを減らすか、又はなくすために、少なくとも1つの他の電力波の第2の位相に対してずれている第1の位相で送信されて、少なくとも1つの他の電力波と相殺的に干渉する。
【0035】
[0037] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特性を調節することは、送信電力波のうちのいくつかの電力のレベルを上げて、受信機(例えば、電力捕獲回路120を有する)が、受信機に関連付けされた電子デバイスの蓄電部品を急速に充電するのに足りる十分なエネルギーを確実に受信できるようにすることを含む。
【0036】
[0038] いくつかの実施形態では、対象物が「タグ付けされ」(例えば、フラグに関連して対象物の識別子がメモリに格納され)て、検出された対象物が感応性対象物であることを表示する。目標位置から所定距離内の特定の対象物の検出に応答して、この特定の対象物が感応性対象物であるかどうかに関して判定が下される。いくつかの実施形態では、この判定は、メモリ内のルックアップを実行して、特定の対象物が以前にタグ付けされているかどうか、したがって、感応性対象物として既知であるかどうかを調べることを含む。特定の対象物が感応性対象物であるという判定に応答して、電力波の送信に使用される1つ又は複数の特性を相応に調節する。
【0037】
[0039] いくつかの実施形態では、感応性対象物を感知することは、1つ又は複数のセンサからの一連のセンサ読み取り値を使用して、1つ又は複数の送信機の送信場内の対象物の動きを判定することを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサからのセンサ出力を使用して、エネルギーのポケットから、又はエネルギーのポケットの形成に使用される電力波から所定の距離内に接近している対象物の動きを検出する。感応性対象物が接近している(例えば、エネルギーのポケットから事前に定義された距離に向かって、及び/又は距離内で動いている)という判定に応答して、エネルギーのポケットの位置で現在生成されている電力のレベルを下げる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサは、1つ又は複数の送信機、受信機の内部にあるセンサ、及び/又は、1つ又は複数の送信機、及び受信機の外部にあるセンサを含み、サーマルイメージングセンサ、光センサ、レーダーセンサ、及び送信場内の対象物の検出が可能な他のタイプのセンサを含むことができる。
【0038】
[0040] 本明細書におけるいくつかの実施形態は、主要な例としてRFベースの波伝送技術の使用を含むが、使用し得るワイヤレス充電技法は、RFベースの技術及び伝送技法に限定されないことを理解されたい。むしろ、受信機が伝送されたエネルギーを電力に変換することができるように、エネルギーをワイヤレスで伝送するための任意の適切な技術及び技法を含めた、追加的又は代替的なワイヤレス充電技法を利用し得ることを理解されたい。このような技術又は技法は、以下の非限定的な例、すなわち、超音波、マイクロ波、レーザー光、赤外線、又はその他の形式の電磁エネルギーを含む、様々な形式のワイヤレスで伝送されるエネルギーを伝送することができる。
【0039】
[0041] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送信機102は、電力波116の1つ又は複数の特性(例えば、位相、利得、方向、及び/又は周波数)を調節する。例えば、送信機102(例えば、送信機102a)は、アンテナアレイ110のうちの1つ又は複数のアンテナ素子のサブセットを選択して、電力波116の送信を開始し、電力波116の送信を停止し、及び/又は、電力波116の送信に使用される1つ又は複数の特性を調節する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送信機102が、電力波116の軌道を送信場内の所定の位置(例えば、空間内の位置又は領域)で収束させるように、電力波116を調節することで、建設的干渉パターン又は相殺的干渉パターンが制御される。
【0040】
[0042] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送信機102のそれぞれのアンテナアレイ110は、1つ又は複数の送信機102のそれぞれの送信場内に電力波116を伝送するように構成された、1つ又は複数のアンテナのセットを含むことができる。コントローラ回路及び/又は波形発生器など、それぞれの送信機102の集積回路(図示せず)は、アンテナの挙動を制御することができる。例えば、受信機から通信信号118を介して受信した情報に基づいて、コントローラ回路は、電力捕獲回路120及び電子デバイス122に有効に電力を供給するだろう電力波116の送信に使用される、1つ又は複数の特性若しくは波形特性(例えば、数ある特性の中でもとりわけ振幅、周波数、軌道、位相)のセットを判定することができる。コントローラ回路は、電力波116を送信する際に有効であろうアンテナのサブセットをアンテナアレイ110から識別してもまたよい。別の例として、プロセッサ104に結合されたそれぞれの送信機102の波形発生器回路は、エネルギーを変換し、コントローラによって識別された波形特性を有する電力波116を生成し、次に、送信のためにアンテナアレイ110に電力波を供給することができる。
【0041】
[0043] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送信機102は、2つ以上の個別の送信場(例えば、一部重複する及び/又は重複しない個別の送信場)を生み出す電力波116を送信する。いくつかの実施形態では、第1の送信場は、第1の送信機(例えば、送信機102a)の第1のプロセッサ104によって管理され、また第2の送信場は、第2の送信機(例えば、送信機102b)の第2のプロセッサ104によって管理される。いくつかの実施形態では、(例えば、一部重複する及び/又は重複しない)2つ以上の個別の送信場は、単一の送信場として送信機プロセッサ104によって管理される。
【0042】
[0044] いくつかの実施形態では、通信部品112は、有線及び/又はワイヤレス通信接続を介して通信信号118を電力捕獲回路120に伝送する。いくつかの実施形態では、通信部品112は、電力捕獲回路120の三角測量に使用される通信信号118を生成する。いくつかの実施形態では、通信信号118を使用して、送信機102と、電力捕獲回路120との間で、(例えば、電力波116の送信に使用される1つ又は複数の特性を調節するための)情報を伝達する。いくつかの実施形態では、通信信号118は、状況、効率、ユーザデータ、電力消費量、支払い請求、地理上の位置に関する情報、及び他のタイプの情報を含む。
【0043】
[0045] いくつかの実施形態では、通信部品112(例えば、送信機102aの通信部品112)は、電力捕獲回路120及び/又は他の送信機102(例えば、送信機102b~102n)と通信するための通信部品アンテナを含む。いくつかの実施形態では、これらの通信信号118は、送信機102によって送信される信号の、電力波116の送信に使用される信号のチャンネルから独立した別個のチャネルを表す。
【0044】
[0046] いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120は、受信機側通信部品(図示せず)を含み、受信機側通信部品は、送信機102のうちの1つ又は複数と、受信機側通信部品によって生成されたそれぞれの通信信号118を通して、様々なタイプのデータを通信するように構成されている。データは、電力捕獲回路120、又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイス(例えば、音発生デバイス150、音発生デバイス151、及び/又は電子デバイス122)の位置インジケータと、電力捕獲回路120、又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイス(例えば、音発生デバイス150、音発生デバイス151、及び/又は電子デバイス122)の電力の状況、電力捕獲回路120、又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイス(例えば、音発生デバイス150、音発生デバイス151、及び/又は電子デバイス122)の状況の情報、電力捕獲回路120、又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイス(例えば、音発生デバイス150、音発生デバイス151、及び/又は電子デバイス122)の状況の情報、電力波116の送信又は受信に関する状況の情報、及び/又は、エネルギーのポケットの状況の情報を含むことができる。言いかえれば、電力捕獲回路120は、通信信号118を介して、電力伝送システム100の現在の動作に関するデータを送信機102に提供することができ、これらのデータには、電力捕獲回路120、又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイス(例えば、音発生デバイス150、音発生デバイス151、及び/又は電子デバイス122)の現在位置を識別する情報、電力捕獲回路120によって受信されたエネルギーの量、及び、他のタイプの情報を含んでいる、考え得る数あるデータポイントの中でもとりわけ、電力捕獲回路120に関連付けされたデバイス(例えば、音発生デバイス150、音発生デバイス151、及び/又は電子デバイス122)によって受信及び/又は使用された電力の量が含まれる。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120、又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイスによって送られた通信信号118は、例えば、電力捕獲回路120、又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイスが、送信場に入ったこと、又はまさに入ろうとしていることを送信機102に警告し、受信された電力波116の有効性を表示し、及び/又は更新された特性、若しくは1つ又は複数の送信機102が電力波116の送信の調節に使用し得る送信パラメータを提供するためのデータを含むことができる。
【0045】
[0047] いくつかの実施形態では、特定の音発生デバイス(例えば、150又は151)のワイヤもまた、(ヘッドホンの音声データ又は信号を伝達したり、補聴器に対する固定機能を果たしたり、といったような、その本来の機能を引き続き果たしながら、)上記で説明した通信及び制御信号118用の、受信アンテナ又は送信アンテナとして機能するように、流用することができる。例えば、ワイヤ152又は157は、電力捕獲回路120と送信機102との間でデータパケットを送信及び/又は受信するように、流用することができる。
【0046】
[0048] いくつかの実施形態では、(電力捕獲回路120の構成要素である場合もある)送信機センサ114及び/又は受信機センサは、電子デバイス122、音発生デバイス150又は151、電力捕獲回路120、送信機102、及び/又は送信場の状態を検出、及び/又は識別する。いくつかの実施形態では、送信機センサ114及び/又は受信機センサによって生成されたデータは、送信機102によって使用されて、電力波116の送信に使用される1つ又は複数の特性に対する適切な調節を判定する。送信機102によって受信される送信機センサ114及び/又は受信機センサからのデータは、例えば、生のセンサデータ、及び/又は、センサプロセッサのようなプロセッサ104によって処理されたセンサデータを含む。処理されたセンサデータは、例えば、センサデータ出力に基づく判定を含む。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120及び送信機102の外部にあるセンサから受信したセンサデータ(例えば、サーマルイメージングデータ、光センサからの情報等)もまた、使用される。
【0047】
[0049] いくつかの実施形態では、受信機センサは、方位データ(例えば、3軸方位データ)などの生のデータを提供するジャイロスコープを含み、この生のデータを処理することは、方位データを使用して、電力捕獲回路120、及び/又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイスの位置を判定することを含むことができる。受信機センサは、(例えば、サーマルイメージング情報を出力する)1つ又は複数の赤外線センサもまた含む場合があり、この赤外線センサデータを処理することは、人を識別すること(例えば、人の存在を表示すること、及び/又は人の識別を表示すること)、若しくは、サーマルイメージング情報に基づいて他の感応性対象物を識別することを含む。いくつかの実施形態では、受信機センサは追加的に、又は代替的に、電力捕獲回路120、及び/又は電力捕獲回路に関連付けされたデバイスに方位データを提供する加速度計を含むことができる(受信した方位情報を使用して、電子デバイス122、及び/又は、音発生デバイス150若しくは151が、テーブルの上に平らに置かれているのか、動作中であるのか、及び/又は使用中であるのかを判定することができる)。
【0048】
[0050] 送信機センサ114及び/又は受信機センサの非限定的な例には、例えば、赤外線センサ、焦電センサ、超音波センサ、レーザーセンサ、光センサ、ドップラーセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、マイクロ波センサ、ミリメートル波センサ、RF定在波センサ、共振LCセンサ、容量センサ、及び/又は誘導センサが含まれる。いくつかの実施形態では、送信機センサ114及び/又は受信機センサのための技術は、人間又は他の感応性対象物の位置など、立体センサデータを取得するバイナリセンサを含む。
【0049】
[0051] いくつかの実施形態では、送信機センサ114及び/又は受信機センサは、(例えば、人と、家具などの他の対象物とを区別することが可能な)人間の認識に対して構成される。人間の認識対応型センサによって出力されるセンサデータの例には、体温データ、赤外線距離計データ、動作データ、活動認識データ、シルエット検出及び認識データ、ジェスチャーデータ、心拍数データ、携帯用デバイスデータ、及び、ウェアラブルデバイスデータ(例えば、生体計測の読み取り値及び出力、加速度計データ)が含まれる。
【0050】
[0052] いくつかの実施形態では、送信機102は、電力波116の送信に使用される1つ又は複数の特性を調節して、人間の被験者に対する電磁場(EMF)曝露防護基準が確実に遵守されるようにする。最大曝露限度が、電力密度限度及び電場限度(並びに磁場限度)に関して米国及び欧州の基準によって定められている。これらは、例えば、最大許容曝露量(MPE:maximum permissible exposure)に関して米国連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)によって確立された限度、及び放射線曝露に関する欧州の監督機関によって確立された限度を含む。MPEに関してFCCによって確立されている限度は、47 CFR §1.1310(米国連邦規則集第47編§1.1310)で成文化されている。マイクロ波領域内の電磁場(EMF)周波数に関しては、電力密度を使用して曝露の強度を表現することができる。電力密度は、単位面積当たりの電力として定められている。例えば、電力密度は、1平方メートル当たりのワット数(W/m2)、1平方センチメートル当たりのミリワット数(mW/cm2)、又は1平方センチメートル当たりのマイクロワット数(μW/cm2)に換算して一般に表現することができる。いくつかの実施形態では、送信機センサ114及び/又は受信機センサからの出力が送信機102によって使用されて、人又は他の感応性対象物が電力伝送領域(例えば、送信機102、送信機102によって生成された電力波、及び/又は、エネルギーのポケットから所定の距離内の位置)に入っているかどうかを検出する。いくつかの実施形態では、人又は他の感応性対象物が電力伝送領域に入っていることの検出に応答して、送信機102は、(例えば、電力波の送信を停止し、電力波の送信を減らし、及び/又は電力波の1つ又は複数の特性を調節することによって)1つ又は複数の電力波116を調節する。いくつかの実施形態では、人又は他の感応性対象物が電力伝送領域に入っていることの検出に応答して、送信機102は、(例えば、送信機102の構成要素である拡声器に、又は、送信機102から遠隔した警報装置に信号を送信することによって)警告を発動する。いくつかの実施形態では、人又は他の感応性対象物が電力伝送領域に入っていることの検出に応答して、送信機102は、デジタルメッセージをシステムログ又は管理電算装置に送信する。
【0051】
[0053] いくつかの実施形態では、アンテナアレイ110は、1つにまとまってアンテナアレイを形成する複数のアンテナ素子(例えば、構成可能な「タイル」)を含む。アンテナアレイ110は、例えば、RF電力波、超音波電力波、赤外線電力波、及び/又は磁気共鳴電力波を生成する。いくつかの実施形態では、(例えば、送信機102aのような単一の送信機の、及び/又は、送信機102a、102b、...、102nのような複数の送信機の)アンテナアレイ110のアンテナは、定められた位置(例えば、電力捕獲回路120の検出された位置に対応する位置)で交差する2つ以上の電力波を送信し、これにより、定められた位置でエネルギーのポケットを形成する。
【0052】
[0054] いくつかの実施形態では、送信機102は、アンテナアレイ110のアンテナ素子の第1のサブセットに第1のタスクを割り当て、アンテナアレイ110のアンテナ素子の第2のサブセットに第2のタスクを割り当て、等々の割り当てを行うことで、アンテナアレイ110を構成するアンテナが、様々なタスク(例えば、以前に検出されなかった電力捕獲回路120の位置を判定すること、及び/又は1つ又は複数の電力捕獲回路120に電力波116を送信すること)を実行するようになっている。1つの例として、10個のアンテナを有するアンテナアレイ110では、9個のアンテナが、エネルギーのポケットを形成する電力波116を送信し、10個目のアンテナが通信部品112と連携して動作して、送信場内の新たな受信機を識別する。別の例では、10個のアンテナ素子を有するアンテナアレイ110は、5個のアンテナ素子からなる2つの群に分かれ、そのそれぞれが、送信場内の2つの異なる電力捕獲回路120に電力波116を送信する。
【0053】
[0055] ここで、
図2A~
図2Bに移ると、例示的な音発生デバイスを図示するブロック図が示されている。これらの例示的な音発生デバイスは、いくつかの実施形態に従って受信アンテナとして機能するように流用されているワイヤを含む。
図2Aは、(例えば、音発生デバイス150によって伝達される信号を制御するための)音発生デバイス制御回路204と、電力捕獲回路120と、ワイヤ152と、を有する代表的な音発生デバイス150(例えば、補聴器)を示す。いくつかの実施形態に従って、電力捕獲回路120は、任意に、流用されているワイヤ152で構成されたアンテナを介して受信した信号を、音発生デバイス150によって伝達された信号から絶縁するように構成された信号絶縁回路123と、流用されているワイヤ152を介して受信した信号の周波数に整合するように構成された周波数整合回路125、及び/又は、流用されているワイヤ152を介して受信した電力を、音発生デバイス150に直接電力供給するために、及び/又は、音発生デバイス150に関連付けされたバッテリ(例えば、
図1のバッテリ130)に充電するために使用可能なエネルギーに変換するように構成された電力変換回路126、を任意選択的に含む。
【0054】
[0056] いくつかの実施形態では、ワイヤ152は、音発生デバイスの信号を伝達するように(例えば、音発生デバイス150によって受信、及び増幅された音声信号をユーザの耳の中のスピーカに伝達するように)適合されている。いくつかの実施形態では、
図1を参照して上記で説明したように、電力変換回路126は、整流器、及び/又は電力変換装置を含む。いくつかの実施形態では、電力変換回路126は、ワイヤ152を介して受信した電力を捕獲し、この電力を音発生デバイス150のために使用可能なエネルギーに変換する。
【0055】
[0057] いくつかの実施形態では、ワイヤ152は、音発生デバイス150をユーザの耳に固定し易くするために使用されるワイヤであり、音声信号を伝達するためには使用されない。このようにして、いくつかの実施形態は、その時点では電気信号を伝達するためには使用されないワイヤを、その後で、例えば、ワイヤレス電力の受信用の受信アンテナとして機能するように流用することが可能である。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120は、ワイヤ152の導電性シールドに結合され、この導電性シールドを介して受信した電力波からエネルギーを捕獲するように構成されている。
【0056】
[0058] やはり
図2Aに示されているように、音発生制御回路204は、電力捕獲回路120に結合されている。
図3A~
図3Bを参照してより詳細に説明するように、この結合により、信号絶縁回路123は、絶縁された(すなわち、同じ流用されているワイヤ152に沿って移動し得る電力波から、又は、電力波から派生した信号から絶縁された)音声データ及び信号を、音発生回路204に供給することが可能になる。
【0057】
[0059]
図2Bは、ワイヤ210を介して電子デバイス122に結合されている代表的な音発生デバイス151(例えば、ヘッドホン)を示し、この音発生デバイスは、音発生デバイス制御回路204と、電力捕獲回路120-bと、イヤホン212及び214と、イヤホン212及び214を音発生デバイス制御回路204に結合しているワイヤ206及び206と、を有する。いくつかの実施形態では、ワイヤ206及び208は、イヤホン212及び214を、物理的に、且つ、通信上、音発生デバイス制御回路204に結合している。いくつかの実施形態では、また、
図1を参照して上記で説明したように、電力捕獲回路120の一部は、音発生デバイス151及び電子デバイス122のいずれか一方、又は両方に含まれている場合がある。この例では、音発生デバイス151は、省略可能な構成要素を有する電力捕獲回路120-bを含むものとして示され、電子デバイス122は、省略可能な構成要素を有する電力捕獲回路120-aを含むものとして示されている。
【0058】
[0060]
図2Bは、電力捕獲回路120-a及び120-bはそれぞれ、流用されているワイヤ(例えば、ワイヤ206、208、及び210は、
図1に示されるワイヤ157として使用することができる)で構成されたアンテナを介して受信した信号を、音発生デバイス151によって伝達された信号から絶縁するように構成された信号絶縁回路123-a、123-bと、流用されているワイヤ157を介して受信した信号の周波数に整合するように構成された周波数整合回路125-a、125-b、及び/又は、流用されているワイヤ157を介して受信した電力を、(例えば、電子デバイス122に電力供給するために、又は、この電子デバイスに関連付けされたバッテリ131に充電するために)使用可能なエネルギーに変換するように構成された電力変換回路126-a126-b、を任意に含む場合があることもまた示す。例えば、絶縁回路123-a、123-bは、イヤホン212及び214によって音に変換される信号を、ワイヤ206及び208で受信した電力波から分離する。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120-bは、ワイヤ206、208、及び/又は210の導電性シールドに結合され、この導電性シールドを介して受信した電力波からエネルギーを捕獲するように構成されている。いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120-a及び/又は120-bは、ワイヤ206、208、及び210のうちの、1つ又は複数に結合され、それらのワイヤを介して受信した電力波からエネルギーを捕獲するように構成されている。
【0059】
[0061]
図2Bでは、信号処理回路204は音発生デバイス制御回路204内に示されているが、いくつかの実施形態では、電力捕獲回路120-bは、音発生デバイス151内の異なる位置に位置し、及び/又は、信号処理回路の構成要素は、音発生デバイス151と電子デバイス122とに分かれている。例えば、いくつかの実施形態に従って、電力捕獲回路120-aは、電力変換回路126-aを含むとともに、電子デバイス122の音声接続子(例えば、ヘッドホン端子)及びデバイス122のバッテリ131と結合されており、また、電力捕獲回路120-bは、信号絶縁回路123-b及び周波数整合回路125-bを含む。このようにして、システムは、音発生デバイス151内で絶縁し、整合機能を果たすこともまたできるとともに、電子デバイス122内のバッテリが位置する場所の近くで電力変換機能を果たすことができる(いくつかの実施形態では、これは、電力の向きを変えることに起因する余分な電力損を低減するのにもまた役立ち、また設計者は、電力漏出を制限するための制御を強化することも可能である)。
【0060】
[0062] いくつかの実施形態では、イヤホン212及び/又は214は、スピーカを含み、ワイヤ206及び208のうちの、1つ又は複数は、スピーカに信号を伝送するように適合されている。いくつかの実施形態では、イヤホン212及び/又は214は、マイクロホンを含み、ワイヤ206及び208のうちの、1つ又は複数は、マイクロホンから信号を伝送するように適合されている。いくつかの実施形態では、音発生デバイス制御回路204は、音声チップセット、音量制御回路、マイクロホン制御回路、及び/又はスピーカ制御回路を含む。
【0061】
[0063] いくつかの実施形態では、音発生デバイス151は、音声ポート又は音声接続子(例えば、ヘッドホン端子)を介して電子デバイス122に結合されている。いくつかの実施形態では、音発生デバイス151は、ワイヤ210で構成された音声ポートを介して電子デバイス122に結合されている。
【0062】
[0064] いくつかの実施形態では、ワイヤ206、208、及び210のうちの、1つ又は複数は、導電性シールド(例えば、金属製シールド)で遮蔽されている。いくつかの実施形態では、ワイヤ206、208、及び210のうちの、1つ又は複数は、絶縁性シールド(例えば、ゴム又はプラスチック製シールド)で遮蔽されている。様々な実施形態では、ワイヤ206、208、及び210(又はワイヤの導電性シールド)のうちの、1つ又は複数は、(例えば、
図1の、電力捕獲回路120を有する)ワイヤレス電力受信機のためのアンテナ(例えば、
図1の、流用されているワイヤ157)として利用される。いくつかの実施形態では、音発生デバイス151の複数のワイヤは、アンテナとして使用される(例えば、同時に使用される)。例えば、ワイヤ206は、第1の周波数(例えば、915MHz)の電力波を受信するために使用し、ワイヤ210のうちの1つ又は複数は、第2の周波数(例えば、2.4GHz)の電力波を受信するために使用する。いくつかの実施形態では、ワイヤ(例えば、ワイヤ206)は、複数の周波数(例えば、915MHz及び2.4GHz)の電力波を受信するために使用する。
【0063】
[0065] いくつかの実施形態では、ワイヤ206及び208は、ダイポールアンテナとして動作する場合がある(すなわち、流用されているワイヤ157からなるアンテナは、ダイポールアンテナとして動作するワイヤ206及び208を含む)。これらの実施形態では、(1対のヘッドホンの音量制御ユニットとすることができる)制御回路204は、ダイポール励起点としての機能を果たし、電力捕獲回路120-bは、関連付けされた電子デバイス(例えば、デバイス122)に使用可能な電力を送り返すために使用される。例えば、900MHzでは、1つの例示的な実装形態に従って、これら2つのワイヤがダイポールアンテナを形成するとき、標準的な2ワイヤ式ヘッドホンから2.82dBiの遠距離場利得を観測することができる。
【0064】
[0066] いくつかの実施形態では、ワイヤ210は、PCBのアースに関してモノポールアンテナとして動作する場合がある(すなわち、流用されているワイヤ157からなるアンテナは、モノポールアンテナとして動作するワイヤ210を含む)。これらの実施形態では、関連付けされたデバイスのヘッドホン端子(例えば、デバイス122のヘッドホン端子)は、モノポール励起点としての機能を果たし、電力捕獲回路120-aは、関連付けされた電子デバイス(例えば、デバイス122)に使用可能な電力を送り返すために使用される。一例として、1つの例示的な実装形態に従って、このワイヤがモノポールアンテナの形成に使用されるとき、900MHzで、2.2dBiの遠距離場利得を達成することができる。
【0065】
[0067]
図3A~
図3Bは、実施形態に従う、
図2Bの代表的な音発生デバイスの仮想的な動作(prophetic operation)を図示するブロック図である。
図3Aは、電子デバイス122から音声データ302(例えば、デジタル及び/又はアナログ音声データ)を受信する音発生デバイス151を示す。
図3Aはまた、音声データは、同じワイヤ(例えば、本明細書で説明した、流用されているワイヤのうちの1つ)に沿って移動する他の信号から、(例えば、信号絶縁回路123-bを使用して)絶縁することができ、次に、音発生デバイス151は、音声データ302に対応する音声信号304を(例えば、音発生デバイス制御回路204を介して)生成し、この音声信号304を、流用されているワイヤ244を通してイヤホン245に伝達することも示している。
図3Aはまた、音声信号304に対応する音306を生成するイヤホン245も示している。ワイヤ244は、例示目的で示されており、
図2Bに示されているワイヤ206、208、及び210のうちのいずれか(並びに流用されているワイヤ157からなるアンテナの動作の設計方法に応じて、それらの組み合わせ)に対応することができる。
【0066】
[0068]
図3Bは、音声データ302の受信、及び対応する音306の生成を継続している音発生デバイス151を示す。
図3Bはまた、流用されているワイヤ244での電力波308(例えば、
図1の電力波116)の受信、及び、ワイヤ244から電力捕獲回路120-bに伝達された対応する電力信号310も示している。
図3Bはまた、音発生デバイス151から電子デバイス122に伝送された、電力信号310に対応する電気312の伝送も示している。いくつかの実施形態では(図示せず)、音発生デバイス151は、電力波308を受信し、音発生デバイス151が音声データ302を受信していないとき、及び/又は、対応する音306を生成していないとき、対応する電気312を電子デバイス122に伝送する。いくつかの実施形態では(図示せず)、音発生デバイス151は、通信波を受信し、対応する通信信号を電子デバイス122に伝送する。
【0067】
[0069] いくつかの実施形態では、ワイヤ243は、デバイス122の電源(例えば、バッテリ)に電気312を伝達するために使用され、これにより、電気312を使用して電源に充電できるようにしている。いくつかの実施形態では、ワイヤ243は、電気及び音声データの両方を伝達する。
【0068】
[0070] 図面を参照して上記で説明した原理に照らし合わせて、ここで、ある例示的な実施形態を取り上げることにする。
【0069】
[0071] 1つの態様では、いくつかの実施形態は、音発生デバイスの少なくとも1つのワイヤ(例えば、
図2Aの音発生デバイス150のワイヤ152)を、ワイヤレスで送達される電力を受信するためのアンテナとして流用する方法を含む。この方法は、(1)音発生デバイスの少なくとも1つのワイヤ(例えば、
図2Aのワイヤ152、又は、流用されているワイヤ157からなるアンテナとして動作するワイヤ206及び208)を、電力変換回路(例えば、
図2Aの電力変換回路126)であって、音発生デバイスとは別個の電子デバイスの電源(例えば、
図1の電子デバイス122のバッテリ131)に結合された電力変換回路と結合することと、(2)少なくとも1つのワイヤによって、1つ又は複数の電力波(例えば、
図3Bの電力波308)を受信することと、(3)電力変換回路によって、1つ又は複数の電力波からのエネルギーを使用可能な電気に変換することと、(4)この使用可能な電気を、(例えば、
図2Bのワイヤ210を介して)電子デバイスの電源に供給することと、を含む。例えば、いくつかの実施形態に従って、(
図1のワイヤ157として動作している)
図2Bのワイヤ206及び208はいずれも、1つ又は複数の電力波を受信し、電力捕獲回路(例えば、120、120-a、及び/又は120-b)は、電力波を使用可能な電気に変換し、ワイヤ210は、この使用可能な電気を電子デバイス122に供給する。いくつかの実施形態では、電源は音発生デバイスの電源であり、使用可能な電気は、こうした電源に(例えば、
図1の音発生デバイス150のバッテリ130に)供給される。
【0070】
[0072] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤが音発生デバイスのスピーカと結合されており、方法は、(1)少なくとも1つのワイヤを介してスピーカに電気信号を伝送することと、(2)スピーカによって、電気信号を音に変換することと、をさらに含む。例えば、
図2Bの(ワイヤ157として動作している)ワイヤ206、208は、イヤホン212と結合されており、いくつかの実施形態に従って、これらのワイヤは、イヤホン212、214に電気信号を伝達し、イヤホンは、電気信号をユーザに対する音に変換する。いくつかの実施形態では、伝送は受信と同時に発生する。
【0071】
[0073] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力波(例えば、
図3Bの電力波308)は、無線周波数信号を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力波は、915MHz、2.4GHz、及び/又は5.8GHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、電力波は、遠距離場電力送信機から受信される。いくつかの実施形態では、電力波は、近距離場電力送信機から受信される。
【0072】
[0074] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤによって、1つ又は複数の電力波を受信することは、少なくとも1つのワイヤをモノポールアンテナとして利用することを含む。例えば、いくつかの実施形態に従って、
図2Aのワイヤ152(又は、ワイヤ210は
図2Bである)は、モノポールアンテナとして利用されて、電力波(例えば、
図1の電力波116)を受信する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、2つのワイヤを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力波を受信することは、この2つのワイヤをダイポールアンテナとして利用することを含む。例えば、いくつかの実施形態に従って、
図2Bのワイヤ206及び208は、ダイポールアンテナとして利用されて、電力波(例えば、
図1の電力波116)を受信する。
【0073】
[0075] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスをユーザに固定するように適合されたワイヤを含む。例えば、いくつかの実施形態に従って、
図2Aのワイヤ152は、音発生デバイス150をユーザの耳に固定するのに利用される。これらの実施形態では、流用されているワイヤ152は、これまで電気信号の伝達に使用されていなかったが、ここでは、ワイヤレス電力及び/又はデータ信号を受信するための受信アンテナとしてもまた機能するように流用されている。
【0074】
[0076] 別の態様では、ワイヤレス電力受信機(例えば、電力捕獲回路120を含む音発生デバイス150、又は、デバイス122と結合された音発生デバイス151(それぞれ
図1の電力捕獲回路120-a、120-bに構成要素を含み得る)は、(1)音発生デバイス(例えば、
図3Aの音発生デバイス151)の少なくとも1つのワイヤ(例えば、
図3Aのワイヤ244)であって、電力波(例えば、
図3Bの電力波308)を受信するためにワイヤレス電力受信機によって使用される少なくとも1つのワイヤと、(2)(i)少なくとも1つのワイヤ及び(ii)音発生デバイスとは別個の電子デバイス(例えば、
図3Aの電子デバイス122)の電源と結合された電力捕獲回路(例えば、電力捕獲回路120)、又は電力変換回路(例えば、電力変換回路126)と、を含み、電力変換回路が、(a)受信された電力波からのエネルギーを使用可能な電気に変換するように構成され、且つ、(b)この使用可能な電気を、(例えば、
図3Aのワイヤ243を介して)電子デバイスの電源に供給するように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスの外部ワイヤである。例えば、
図3Aのワイヤ244は、制御回路204をイヤホン245に結合する外部ワイヤである。
【0075】
[0077] いくつかの実施形態では、音発生デバイスは、少なくとも1つのワイヤに結合されたスピーカ(例えば、
図3Aのイヤホン245)をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、スピーカに、電気信号(例えば、
図3Aの音声信号304)であって、スピーカによって音に変換される電気信号を伝送するように適合されている。
【0076】
[0078] いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力受信機は、少なくとも1つのワイヤがスピーカに電気信号を伝送している間に、電力波(例えば、
図3Bの電力波308)を受信及び変換するように適合されている。いくつかの実施形態では、音発生デバイスは、ヘッドホン、イヤバッド、1対のヘッドホン、補聴器、及び/又は、1対のイヤバッドである。いくつかの実施形態では、音発生デバイスは、ウェアラブルスピーカを含む。
【0077】
[0079] いくつかの実施形態では、電子デバイスは、移動電話、タブレット型コンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルド電子デバイス、及び/又は、携帯用電子デバイスである。いくつかの実施形態では、音発生デバイスは、音声ポート(例えば、3.5mmヘッドホン端子)を介して電子デバイスに結合されている。
【0078】
[0080] いくつかの実施形態では、電力波は、無線周波数信号(例えば、915MHzの信号)を含む。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、2つ以上のタイプの電力波(例えば、周波数が2.4GHz及び5.8GHzであるなど、異なる伝送特性を有する電力波)からのエネルギーを変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、2つ以上のタイプは、音発生デバイスがユーザによって使用中でないとき、又は着用中でないときには強度が大きくなり、音発生デバイスが使用中であるとき、又は着用中であるときには強度が小さくなるなど、異なる強度を有する電力波を含む。適応型整合回路を使用して、これらの動作モードに対するシステムを最適化することが可能であり、例えば、これらのワイヤアンテナの負荷は、人体の近くに配置されると大幅に変化することになるため、いくつかの実施形態では、適応型整合回路を使用して、このような動作モード(例えば、ワイヤが人体の近くに配置されるとき)用に動作を整調することができる。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、整流器と、電力変換装置とを含む。いくつかの実施形態では、電力変換回路は、統合型ワイヤレス電力受信回路、又は信号処理回路の構成要素である(例えば、各図面に示されている電力捕獲回路120、120-a、120-b)。いくつかの実施形態では、統合型ワイヤレス電力受信回路は、統合型ワイヤレス電力受信回路による電力変換を管理するように構成されたコントローラを含む。いくつかの実施形態では、統合型ワイヤレス電力受信回路は、音発生デバイスの周波数に整合するように適合された周波数整合回路(例えば、
図1の整合回路125)を含む。いくつかの実施形態では、統合型ワイヤレス電力受信回路は、音発生デバイスのインピーダンスに整合するように適合されたインピーダンス整合回路(例えば、
図1の整合回路125)を含む。
【0079】
[0081] いくつかの実施形態では、電力捕獲回路は、電力波を、少なくとも1つのワイヤに沿って移動する他の電気信号から絶縁又はフィルタリングするように構成されている。例えば、
図3Bの電力捕獲回路120-bは、電力信号310を音声信号304から絶縁するための絶縁回路123-bを含む。
【0080】
[0082] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、導電性シールドを含み、電力変換回路は、この導電性シールドを介して電力波を受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、非導電性シールドに封入されたワイヤを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのワイヤは、音発生デバイスの吊りワイヤ(例えば、音声信号の伝達には使用されないワイヤ)を含む。
【0081】
[0083] 別の態様では、ワイヤレス電力送達のためのシステムは、(1)1つ又は複数の電力波(例えば、
図1の波116)を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機(例えば、
図1の送信機102a)と、(2)ワイヤレス電力送信機から遠隔したワイヤレス電力受信機であって、(a)音発生デバイスの少なくとも1つのワイヤ(例えば、
図2Bの、音発生デバイス200のワイヤ208)を介して1つ又は複数の電力波を受信するように構成され、(b)受信された電力波からのエネルギーを、(例えば、
図2Bの電力捕獲回路120を介して)使用可能なエネルギーに変換するように構成され、且つ、(c)電子デバイス(例えば、
図2Bの電子デバイス122)であって、音発生デバイスに結合された電子デバイスの電源に使用可能なエネルギーを供給するように構成されたワイヤレス電力受信機と、を含む。
【0082】
[0084] いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機は、(1)(例えば、音発生デバイスの向き又は位置、人体への近接度に基づいて、又は音発生デバイスから、若しくは、音発生デバイスに接続されたデバイス122のようなデバイスから受信したデータ信号に基づいて)音発生デバイスが使用中であるかどうかを判定するように構成され、(2)音発生デバイスが使用中であるという判定に従って、第1の特性を有する電力波を送信するように構成され、且つ、(3)音発生デバイスが使用中であるという判定に従って、第2の特性を有する電力波を送信するようにさらに構成されている。例えば、電力送信機は、音発生デバイスが使用中であるという判定に従って、相対強度が低い電力信号を送信するように構成され、且つ、音発生デバイスが使用中でないという判定に従って、相対強度が高い電力信号を送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、送信機は、(例えば、
図1の信号118を介して)音発生デバイスから動作データを受信する。例えば、音発生デバイスは動作中にのみ特定の信号を伝送し、送信機は、信号の存在の有無を使用して、音発生デバイスが使用中であるかどうかを判定する。
【0083】
[0085] いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力受信機は、第1の特性又は第2の特性のいずれかを有する電力波からのエネルギーを、受信及び変換するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態に従って、
図2Aの電力捕獲回路120は、複数の強度及び/又は複数の周波数を有する電力信号を受信及び変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機は、音発生デバイスの向きに基づいて電力波の特性を調節するように構成されている。例えば、音発生デバイスが水平の向きにある場合、ワイヤレス送信機は、音発生デバイスがユーザによって使用中でないと判定し、一方、音発生デバイスが垂直の向きにある場合、送信機は、音発生デバイスが使用中であると判定する。いくつかの実施形態では、送信機は、(例えば、
図1の信号118を介して)音発生デバイスから方位データを受信する。第2の例として、アンテナは使用中、(人体に近接しているため)可変負荷を認識するので、いくつかの実施形態では、システムが使用中か使用中でないかを判定することができる。
【0084】
[0086] いくつかの代替的な実施形態では、流用されているワイヤを追加的又は代替的に使用して、遠隔デバイスから通信信号/データ信号を受信する。例えば、既存のワイヤは、(例えば、BLUETOOTHプロトコルを使用する)ポイントツーポイント通信の受信のために、及び/又は、(例えば、WI-FIプロトコルを使用する)ブロードバンド通信を受信するために使用される。このような実施形態では、当業者であれば理解するように、
図1の電力変換回路126は、所望のタイプの通信信号を処理するための適切な信号処理回路に置き換えられる。一例として、ヘッドセットをスマートフォンに結合するワイヤを流用することで、ワイヤが、スマートフォンからヘッドセットのスピーカに音声信号を伝達することに加えて、処理されて(例えば、ユーザへの提示のために)スマートフォンに伝達されるポイントツーポイント通信を受信するためのアンテナとしてもまた使用されるようにする。
【0085】
[0087] 本発明の特徴は、本明細書に提示されている特徴のいずれかを実行するように処理システムをプログラムするのに使用可能な命令を格納させた記憶媒体、若しくはコンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータプログラム製品において、コンピュータプログラム製品を使用して、又はコンピュータプログラム製品の補助を伴って実装することができる。記憶媒体(例えば、メモリ106)は、限定ではないが、DRAM、SRAM、DDR RAM、又はその他のランダムアクセスソリッドステート記憶デバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、1つ又は複数の磁気ディスク記憶デバイス、光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、又はその他の不揮発性ソリッドステート記憶デバイスなどの不揮発性メモリを含んでもよい。メモリ106は任意に、CPU若しくはプロセッサ104から遠隔して位置した1つ又は複数の記憶デバイスを含む。メモリ106、又は代替としてメモリ106内の不揮発性メモリデバイスは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を備える。
【0086】
[0088] 機械可読媒体のうちのいずれか1つに格納されているので、本発明の特徴は、(送信機102及び/又は電力捕獲回路120に関連付けされた構成要素などの)処理システムのハードウェアを制御するための、及び処理システムが本発明の結果を利用して他のメカニズムと対話できるようにするためのソフトウェア及び/又はファームウェアに組み込むことができる。このようなソフトウェア又はファームウェアは、アプリケーションコード、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及び実行環境/容器を含むことができるが、これらに限定されない。
【0087】
[0089] 本明細書で言及される通信システム(例えば、
図1の、通信部品112)は任意に、有線及び/又はワイヤレス通信接続を介して通信する。通信システムは任意に、ワールドワイドウェブ(WWW)とも呼ばれるインターネット、イントラネット、及び/又は携帯電話ネットワーク、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)などのワイヤレスネットワーク、及び/又はメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)などのネットワークと通信するとともに、ワイヤレス通信により他のデバイスと通信する。ワイヤレス通信接続は任意に、限定ではないが、無線周波数(RF)、無線周波数識別(RFID)、赤外線、レーダー、音声、移動通信用グローバルシステム(GSM)、エンハンストデータGSM環境(EDGE)、高速下りリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速上りリンクパケットアクセス(HSUPA)、エボリューション、データオンリー(EV-DO)、HSPA、HSPA+、デュアルセルHSPA(DC-HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離場通信(NFC)、ジグビー(ZigBee)、広帯域符号分割多元アクセス(W-CDMA)、符号分割多元アクセス(CDMA)、時分割多元アクセス(TDMA)、Bluetooth、ワイヤレスフィーディリティ(Wi-Fi)(例えば、IEEE102.11a、IEEE102.11ac、IEEE102.11ax、IEEE102.11b、IEEE102.11g、及び/又はIEEE102.11n)、ボイスオーバインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)及び/又はポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、拡張可能メッセージング及びプレゼンスプロトコル(XMPP)、拡張を利用したインスタントメッセージング及びプレゼンスのためのセッション開始プロトコル(SIMPLE)、インスタントメッセージング及びプレゼンスサービス(IMPS))、及び/又はショートメッセージサービス(SMS)、又は本文書の出願日時点ではまだ開発されていない通信プロトコルを含む任意の他の適切な通信プロトコルを含む複数の通信規格、プロトコル、及び技術のいずれかを使用する。
【0088】
[0090] 様々な要素を説明するために、「第1の」、「第2の」等の用語が本明細書で使用される場合があるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されないものとすることが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されているにすぎない。
【0089】
[0091] 本明細書に使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、特許請求の範囲を限定することを意図していない。実施形態の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明白にそうでないことが示されない限り、複数形も同様に含むことを意図している。本明細書で使用する場合、「及び/又は」という用語が、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の可能なありとあらゆる組み合わせを指し、可能なありとあらゆる組み合わせを包含することもまた理解されよう。「comprises(備える、含む)」及び/又は「comprising(備える、含む)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を具体的に挙げるが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在若しくは追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0090】
[0092] 本明細書で使用する場合、用語「~である場合(if)」は、文脈に応じて、記載の先行条件が真である「ときに(when)」、又は真である「とすると(upon)」、又は真である「という判定に応答して(in response to determining)」、又は真である「という判定に従って(in accordance with a determination)」、又は真である「ことの検出に応答して(in response to detecting)」を意味すると解釈され得る。同様に、「[記載の先行条件が真である]と判定された場合(if it is determined[that a stated condition precedent is true)」、又は「[記載の先行条件が真である]場合(if [a stated condition precedent is true)」、又は「[記載の先行条件が真である]とき(when[a stated condition precedent is true])」という語句は、文脈に応じて、記載の先行条件が真である「と判定すると(upon determining)」、又は真である「という判定に応答して(in response to determining)」、又は真である「という判定に従って(in accordance with a determination)」、又は真である「と検出すると(upon detecting)」、又は真である「ことの検出に応答して(in response to detecting)」を意味すると解釈され得る。
【0091】
[0093] 上記の説明は、説明の便宜上、具体的な実施形態に関して記載されている。しかしながら、上記例示的な説明は、網羅的であること、又は開示された厳密な形態に特許請求の範囲を限定することを意図していない。上記の教示を考慮して、多くの修正及び変更が可能である。実施形態は、動作の原理及び実際の適用を最も良く説明し、これにより、他の当業者が使用可能であるようにするために選択及び説明されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスで送達される無線周波数(RF)電力波を利用するための補聴器であって、
ユーザの耳に結合されるように構成されたスピーカと、
第1の信号のセットを音声信号に変換するように構成された音発生制御回路であって、前記音声信号は前記スピーカによって音に変換される、音発生制御回路と、
第2の信号のセットを、前記補聴器に電力供給するために使用可能なエネルギーに変換するように構成された電力捕獲回路であって、前記電力捕獲回路は、前記第1の信号のセットが前記音発生制御回路に到達する前に前記電力捕獲回路を通過するように、前記音発生制御回路に結合される、電力捕獲回路と、
前記スピーカと前記音発生制御回路との間に結合されたワイヤであって、
前記ワイヤは、前記第1及び第2の信号のセットを受信するように構成され、前記第2の信号のセットは、ワイヤレス電力送信機によって供給されるRF電力波であり、且つ、
前記ワイヤは、前記第2の信号のセットを前記電力捕獲回路に伝達するように構成される、ワイヤと、
を備える補聴器。
【請求項2】
前記電力捕獲回路は、前記第2の信号のセットを前記第1の信号のセットから絶縁するようにさらに構成される、請求項1に記載の補聴器。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記補聴器の外部ワイヤである、請求項2に記載の補聴器。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記第2の信号のセットを受信するように適合された導電性シールドを含み、
前記電力捕獲回路は、前記導電性シールドを介して前記第2の信号のセットを受信するように構成される、請求項2に記載の補聴器。
【請求項5】
前記ワイヤは、
RF電力波である第3の信号のセットを受信し、且つ、
前記第3の信号のセットを前記電力捕獲回路に伝達するようにさらに構成され、
前記電力捕獲回路は、前記第3の信号のセットを前記補聴器に電力供給するために使用可能なエネルギーに変換するようにさらに構成される、請求項2に記載の補聴器。
【請求項6】
前記ワイヤは、
RF電力波である第4の信号のセットを受信し、且つ、
前記第4の信号のセットを前記電力捕獲回路に伝達するようにさらに構成され、
前記電力捕獲回路は、前記第4の信号のセットを前記補聴器に電力供給するために使用可能なエネルギーに変換するようにさらに構成される、請求項5に記載の補聴器。
【請求項7】
前記第2の信号のセットは2.4ギガヘルツ(GHz)の周波数を含み、前記第3の信号のセットは5.8GHzの周波数を含み、前記第4の信号のセットは915メガヘルツ(MHz)の周波数を含む、請求項6に記載の補聴器。
【請求項8】
前記電力捕獲回路は、整流器と、電力変換装置とを含む、請求項2に記載の補聴器。
【請求項9】
前記ワイヤは、前記補聴器を前記ユーザの耳に固定するようにさらに構成される、請求項2に記載の補聴器。
【請求項10】
前記ワイヤレス電力送信機は、遠距離場電力送信機又は近距離場電力送信機である、請求項2に記載の補聴器。
【請求項11】
前記第2の信号のセットは、前記第2の信号のセットが前記補聴器の近傍で建設的に干渉するように伝送される、請求項2に記載の補聴器。
【請求項12】
前記ワイヤは、モノポールアンテナとして動作する、請求項2に記載の補聴器。
【請求項13】
前記電力捕獲回路によって変換された前記使用可能なエネルギーを利用して充電されるように構成されたバッテリをさらに備える、請求項2に記載の補聴器。
【請求項14】
ワイヤレス電力を捕獲する方法であって、
請求項1~13のいずれかに記載の補聴器を使用して、
前記ワイヤによって、第1の信号のセットと、ワイヤレス電力送信機によって供給される無線周波数(RF)電力波である第2の信号のセットとを受信することと、
前記ワイヤによって、前記第1の信号のセットを前記音発生制御回路に伝達することであって、前記第1の信号のセットは前記音発生制御回路に到達する前に前記電力捕獲回路を通過する、前記第1の信号のセットを伝達することと、
前記音発生制御回路によって、前記第1の信号のセットを音声信号に変換することであって、前記音声信号は前記スピーカによって音に変換される、前記第1の信号のセットを変換することと、
前記ワイヤによって、前記第2の信号のセットを前記電力捕獲回路に伝達することと、
前記電力捕獲回路によって、前記第2の信号のセットを前記補聴器に電力供給するために使用可能なエネルギーに変換することと、を含む動作を行うことを含む、方法。
【請求項15】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記命令は、請求項1~13のいずれかに記載の補聴器と通信する1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記補聴器に、
前記ワイヤによって、第1の信号のセットと、ワイヤレス電力送信機によって供給される無線周波数(RF)電力波である第2の信号のセットとを受信することと、
前記ワイヤによって、前記第1の信号のセットを前記音発生制御回路に伝達することであって、前記第1の信号のセットは前記音発生制御回路に到達する前に前記電力捕獲回路を通過する、前記第1の信号のセットを伝達することと、
前記音発生制御回路によって、前記第1の信号のセットを音声信号に変換することであって、前記音声信号は前記スピーカによって音に変換される、前記第1の信号のセットを変換することと、
前記ワイヤによって、前記第2の信号のセットを前記電力捕獲回路に伝達することと、
前記電力捕獲回路によって、前記第2の信号のセットを前記補聴器に電力供給するために使用可能なエネルギーに変換することと、を行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。
【外国語明細書】