(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071189
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
G08B17/00 B
G08B17/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036787
(22)【出願日】2022-03-10
(62)【分割の表示】P 2018092725の分割
【原出願日】2018-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】松崎 彰子
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】溝口 英史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】受信機データを変更する場合に、運用中に受信機で変更されたデータを考慮した適切なデータ変更を可能とする火災報知設備を提供する。
【解決手段】火災報知設備には、受信機10から引き出された伝送路12-1~12-3にアナログ火災感知器14や連動機器を含む端末が接続され、受信機10に端末のデータが受信機データ50として記憶され、受信機データ50を用いて火災を監視する。受信機データ50は運用中にディスプレイ36の画面を使用して変更される場合がある。受信機データ50を変更する場合、相違データ検出部52が、USBメモリ56から読み込まれた更新データ60と受信機データ50を端末単位に比較して相違する更新データと受信機データの組を検出し、データ変更部54が、相違する更新データと受信機データを並べてディスプレイ36に画面表示して何れか一方の選択を可能とし、選択された更新データ又は受信機データに変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機に火災感知器を含む端末が接続され、前記受信機に前記端末のデータが受信機データとして記憶され、前記受信機データを用いて火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機データの更新用のデータである更新データに基づいて、前記受信機データを更新する場合、
前記受信機は、
外部から読み込まれた前記更新データと前記更新データが読み込まれた時点で記憶している受信機データを端末単位に比較して、前記更新データと前記記憶している受信機データが異なる端末を検出し、
検出された前記更新データと前記記憶している受信機データが異なる端末に関する前記更新データと前記記憶している受信機データを画面表示することを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
請求項1記載の火災報知設備に於いて、
前記受信機は、
前記画面表示された前記更新データと前記記憶している受信機データの何れか一方の選択が可能であり、
前記更新データが選択された場合は、これから用いる受信機データを前記更新データに変更することを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
受信機に中継盤が接続され、前記中継盤に前記受信機とは異なる接続方法で火災感知器を含む端末が接続され、前記中継盤に前記端末のデータが中継盤データとして記憶され、前記中継盤が前記中継盤データを用いて火災を監視すると共に、前記中継盤で火災を検出した場合に前記受信機に通知して火災警報を出力させる火災報知設備であって、
前記中継盤データの更新用のデータである中継盤更新データに基づいて、前記中継盤データを更新する場合、
前記受信機は、
前記中継盤に記憶されている中継盤データを前記中継盤から取得し、
外部から読み込まれた前記中継盤更新データと前記中継盤から取得した前記中継盤データを端末単位に比較して、前記中継盤更新データと前記中継盤から取得した中継盤データが異なる端末を検出し、
検出された前記中継盤更新データと前記中継盤から取得した中継盤データが異なる端末に関する前記中継盤更新データと前記中継盤から取得した中継盤データを画面表示することを特徴とする火災報知設備。
【請求項4】
請求項3記載の火災報知設備に於いて、
前記受信機は、
前記画面表示された前記中継盤更新データと前記中継盤データの何れか一方の選択が可能であり、
前記中継盤更新データが選択された場合は、前記中継盤更新データを前記中継盤に送信して、これから用いる中継盤データを送信した前記中継盤更新データに変更させることを特徴とする火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機から引き出された伝送路に固有のアドレスが設定された火災感知器や防排煙機器等の端末を接続して火災を監視する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R型として知られた火災報知設備にあっては、受信機から引き出された伝送路に、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する火災感知器等の端末を接続し、火災検出時には、例えば火災感知器からの火災割込みに基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定し、受信機で火災代表灯を点灯して主音響警報を出力し、更に、受信機に設けられたディスプレイに、火災発生メッセージ、火災発生場所、火災発生時刻、受信機操作ガイダンス等を表示した火災警報画面を表示させている。
【0003】
また、R型の火災報知設備にあっては、受信機で火災監視制御を行うため、火災感知器のデータが必要であり、アドレス、煙か熱かの種別、ブロック番号、連動先、メッセージなどのデータを製造段階で火災感知器毎に準備し、USBメモリ等の不揮発メモリに格納して受信機にセットし、受信機の電源投入に伴う立上げ時に、不揮発メモリからRAM等の揮発メモリに読出して展開し、火災監視に必要な受信機データを得るようにしている。
【0004】
ところで、R型の火災報知設備にあっては、火災報知設備を設置した後の運用中に、設置している建物や施設のテナントが変わってフロアの間仕切り変更などで行われる場合、これに伴って火災感知器を例えばそれまでの熱感知器から煙感知器に変更したり、新たに火災感知器を追加したり、撤去する場合がある。
【0005】
このような火災感知器の変更、追加、撤去に対しては、受信機に登録している受信機データを変更する必要があり、火災報知設備の設置時に使用した受信機データは製造元の工場等でパーソナルコンピュータで作成された後に保存していることから、前回の受信機データを火災感知器の変更、追加、撤去に応じて変更してUSBメモリに格納し、受信機にセットして運能中の受信機データを変更するようにしている。
【0006】
また、受信機データは受信機自体でも変更することが可能であり、受信機を通常の監視モードから保守点検のためのメンテナンスモードに変更し、ディスプレイに変更を必要とする受信機データをRAM等の揮発メモリから読み出して表示して変更するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-265353号公報
【特許文献2】特開2007-219870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような火災報知設備にあっては、火災感知器の変更、追加、撤去に応じて製造元で変更した受信機データを、USBメモリに格納して受信機にセットして変更する場合、変更対象となる受信機データが運用中に受信機で変更されていた場合、製造元で変更対象とした受信機データには、受信機自体で変更された受信機データは反映されておらず、運用中に受信機で変更された受信機データが元の受信機データや別の受信機データに変更されてしまい、運用中に受信機自体で変更された受信機データが考慮されることなくデータ変更が行われてしまう問題がある。
【0009】
本発明は、受信機データを変更する場合に、運用中に受信機で変更されたデータを考慮した適切なデータ変更を可能とする火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(火災報知設備)
本発明は、受信機に火災感知器を含む端末が接続され、受信機に端末のデータが受信機データとして記憶され、受信機データを用いて火災を監視する火災報知設備であって、
受信機データの更新用のデータである更新データに基づいて、受信機データを更新する場合、
受信機は、
外部から読み込まれた更新データと更新データが読み込まれた時点で記憶している受信機データを端末単位に比較して、更新データと記憶している受信機データが異なる端末を検出し、
検出された更新データと記憶している受信機データが異なる端末に関する更新データと記憶している受信機データを画面表示することを特徴とする。
【0011】
(受信機データの更新)
受信機は、
画面表示された更新データと記憶している受信機データの何れか一方の選択が可能であり、
これから用いる受信機データを、選択された更新データ又は受信機データに変更する。
【0012】
(中継盤を有する火災報知設備)
本発明は、受信機に中継盤が接続され、中継盤に受信機とは異なる接続方法で火災感知器を含む端末が接続され、中継盤に端末のデータが中継盤データとして記憶され、中継盤が中継盤データを用いて火災を監視すると共に、中継盤で火災を検出した場合に受信機に通知して火災警報を出力させる火災報知設備であって、
中継盤データの更新用のデータである中継盤更新データに基づいて、中継盤データを更新する場合、
受信機は、
中継盤に記憶されている中継盤データを中継盤から取得し、
外部から読み込まれた中継盤更新データと中継盤から取得した中継盤データを端末単位に比較して、中継盤更新データと中継盤から取得した中継盤データが異なる端末を検出し、
検出された中継盤更新データと中継盤から取得した中継盤データが異なる端末に関する中継盤更新データと中継盤から取得した中継盤データを画面表示することを特徴とする。
【0013】
(中継盤データの更新)
受信機は、
画面表示された中継盤更新データと中継盤データの何れか一方の選択が可能であり、
中継盤更新データが選択された場合は、中継盤更新データを中継盤に送信して、これから用いる中継盤データを送信した中継盤更新データに変更させる。
【発明の効果】
【0014】
(基本的な効果)
本発明は、受信機から引き出された伝送路に火災感知器及び連動機器を含む端末が接続され、受信機に端末のデータが受信機データとして記憶され、受信機データを用いて火災を監視する火災報知設備に於いて、受信機に、外部から読み込まれた更新データと受信機データを端末単位に比較して相違する更新データと受信機データの組を検出する相違データ検出部と、相違データ検出部により検出された相違する更新データと受信機データの組を画面表示して何れか一方の選択を可能とし、選択された更新データ又は受信機データに変更するデータ変更部とが設けられたため、工場等の製造元で更新データを作製して受信機に読み込むと、そのとき受信機に記憶されている受信機データとの相違が端末単位に検出されて画面表示され、運用中に受信機自体で変更していた受信機データについても更新データとの相違が検出されて画面表示され、担当者は更新データを使用するか受信機自体で変更された受信機データを使用するかを判断して選択することで、適切なデータに変更することができ、運用中に受信機自体で変更された受信機データを考慮した適切なデータ変更を効率良く行うことができる。
【0015】
(グループ分け表示の効果)
また、データ変更部は、所定のグループ分けに従って相違する受信機データと更新データの組を画面表示させるようにしたため、例えば、住棟、階別、地区、感知器種別、感度等のグループ分けに従って相違する受信機データと更新データを画面表示され、更新データと受信機データの相違点がどこにあるかが簡単且つ明確に把握でき、更新データと受信機データの選択を、運用中に受信機自体で変更された受信機データを考慮して適切に行うことができる。
【0016】
(運用中の受信機データの変更による効果)
また、受信機は、火災報知設備の運用中に、受信機データを選択的に画面表示して変更する運用データ変更部を備えるようにしたため、運用中に必要に応じて受信機データを、受信機画面を使用して簡単且つ容易に行うことができ、外部から更新データにより受信機データを変更する場合にも、運用中に受信機自体で変更された受信機データと更新データの相違が表示されて選択可能となることから、製造元によるデータ変更を意識することなく、必要に応じて受信機自体で受信機データを変更することができる。
【0017】
(変更済データのバックアップによる効果)
更に、データ変更部により変更された受信機データを読み出して外部の記憶媒体に記憶させるバックアップ部が設けられたため、データ変更後に受信機障害等で変更済みの受信機データが失われても、受信機データがバックアップされたUSBメモリを受信機にセットして簡単に回復させることができる。
【0018】
(分散システムの中継盤データの変更による効果)
また、受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、中継盤から引き出された伝送路に火災感知器及び連動機器を含む端末が接続され、中継盤に端末のデータが中継盤データとして記憶され、中継盤データを用いて中継盤が火災を監視すると共に中継盤で火災を検出した場合に受信機に通知して火災警報を出力させる分散システムが構成されており、相違データ検出部は、外部から読み込まれた中継盤更新データと中継盤に記憶された中継盤データを端末単位に比較して相違する中継盤更新データと中継盤データの組を検出し、データ変更部は、相違データ検出部により検出された相違する中継
盤更新データと中継盤データの組を画面表示して何れか一方の選択を可能とし、選択された中継盤更新データ又は中継盤データを前記中継盤に送信して変更させるようにしたため、分散システムの中継盤についても、工場等の製造元で中継盤の更新データを作製して受信機に読み込むと、そのとき中継盤に記憶されている中継盤データとの相違が端末単位に検出されて受信機に画面表示され、運用中に受信機で変更していた中継盤データについても更新データとの相違が検出されて画面表示され、担当者は更新データを使用するか運用中に受信機で変更された中継盤データを使用するかを判断して選択することで、適切なデータに変更することができ、運用中に受信機で変更された中継盤データを考慮した適切なデータ変更を効率良く行うことができる。
【0019】
(グループ分け表示の効果)
また、相違データ検出部は、所定のグループ分けに従って相違する中継盤データと中継盤更新データの組を画面表示させるようにしたため、例えば、住棟、階別、地区、感知器種別、感度等のグループ分けに従って相違する中継盤データと更新データが画面表示され、中継盤の更新データと運用中の中継盤データの相違点がどこにあるかが簡単且つ明確に把握でき、中継盤の更新データと中継盤データの選択を、運用中に受信機自体で変更された中継盤データを考慮して適切に行うことができる。
【0020】
(運用中の中継盤データの変更による効果)
また、受信機は、火災報知設備の運用中に、中継盤データを選択的に画面表示して変更する運用データ変更部を備えたため、運用中に必要に応じて中継盤データを受信機画面を使用して簡単且つ容易に行うことができ、外部から中継盤更新データにより中継盤データを変更する場合にも、運用中に受信機で変更された中継盤データと中継盤更新データの相違が表示されて選択可能となることから、製造元によるデータ変更を意識することなく、必要に応じて受信機で中継盤データを変更することができる。
【0021】
(中継盤変更済データのバックアップによる効果)
更に、受信機に、データ変更部により変更された中継盤データを読み出して外部の記憶媒体に記憶させるバックアップ部が設けられたため、データ変更後に中継盤障害等で変更済みの中継盤データが失われても、中継盤データがバックアップされたUSBメモリを受信機にセットして簡単に回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】受信機のデータを変更する火災報知設備の実施形態を示した説明図
【
図2】受信機に記憶された受信機データの一例を示した説明図
【
図5】
図1の受信機によるデータ変更制御を示したフローチャート
【
図6】中継盤のデータを受信機からの制御により変更する火災報知設備の実施形態を示した説明図
【
図7】
図6の受信機による中継盤データの変更制御を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
[火災報知設備]
(火災報知設備の概要)
図1は受信機のデータを変更する火災報知設備の実施形態を示した説明図である。
図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の一階の管理人室などには例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて伝送路12-1~12-3が引き出されている。
【0024】
伝送路12-1には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数のアナログ火災感知器14が接続され、また、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16から引き出された感知器回線17にオンオフ火災感知器18及び発信機20が接続されている。
【0025】
伝送路12-2には複数のアナログ火災感知器14の接続に加え、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアドレッサブル発信機22が接続されている。更に、伝送路12-3には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介して防排煙機器24が接続されている。
【0026】
ここで、伝送路12-1~12-3に接続されるアナログ火災感知器14、中継器16等の端末機器に設定される最大アドレス数は例えば255としており、伝送路12には最大255台のアナログ火災感知器14を含む端末機器が接続できる。なお、以下の説明では、伝送路12-1~12-3を区別する必要がない場合は、伝送路12という場合がある。
【0027】
(受信機の機能構成)
受信機10には、メインCPU26と複数のサブCPU基板28-1~28-3が設けられ、サブCPU基板28-1~28-3にはサブCPU30-1~30-3と伝送部32-1~32-3が設けられている。
【0028】
メインCPU26とサブCPU30-1~30-3は、シリアル転送バス34で接続されており、相互にデータを送受信する。なお、以下の説明では、サブCPU30-1~30-3及び伝送部32-1~32-3を区別する必要がない場合はサブCPU30及び伝送部32という場合がある。
【0029】
メインCPU26には、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ36、火災、ガス漏れ、障害の代表灯、LED表示灯等が設けられた表示部38、火災監視に必要な各種のスイッチが設けられた操作部40、スピーカが設けられた音響警報部42、及び、移報部44が接続されている。
【0030】
また、メインCPU26にはUSBポート46が設けられ、可搬自在なUSBメモリ56をセットすることでデータの読出しや書込みを可能としている。
【0031】
メインCPU26にはプログラムの実行により実現される機能として火災監視制御部48が設けられる。また、メインCPU26には、火災監視制御に使用するアナログ火災感知器14、オンオフ火災感知器18が接続された中継器16、アドレッサブル発信機22、防排煙機器24が接続された中継器16等の端末機器に関する受信機データ50が記憶されている。
【0032】
メインCPU26に対する受信機データ50の記憶は、火災報知設備の施工段階で工場等の製造元にて作製され、USBメモリ56に格納して受信機10のUSBポート46にセットし、受信機10を所定の操作により施工モードで立ち上げた状態で、USBメモリ56から受信機データを読み出し、メインCPU26のメモリ上に受信機データ50を記憶している。
【0033】
図2は受信機に記憶された受信機データの一例を示した説明図である。
図2に示すように、受信機データ50は、系統、アドレス、種別、回線、棟、階、地区毎に分けられており、任意番号となる表示メッセージとして例えば「1階ロビー」「1階 第1会議室 東」といった地区名が格納され、続いて、連動先の機器情報として系統とアドレスを組み合
わせた「1-111」「1-112」「1-113」といった連動先が格納されている。
【0034】
また、メインCPU26は運用データ変更部の機能を備え、メインCPU26に記憶された受信機データ50は、火災報知設備の運用中に、必要に応じて受信機10自体で変更することができる。運用データ変更部による受信機データ50の変更は、所定の操作により受信機10を施工モードに切り替え、この状態で変更を必要とする端末の受信機データ50をディスプレイ36上に表示し、例えば表示メッセージとして示された火災感知器の任意番号を変更して書き込むことで行う。このため運用中に受信機10で変更された受信機データ50は、その後、製造元で作製される更新データに反映されることはない。
【0035】
(受信機の火災監視制御)
サブCPU基板28-1のサブCPU30-1を例にとると、伝送部32-1に指示してアナログ火災感知器14との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、火災監視制御を行っている。伝送部32-1からアナログ火災感知器14に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送路12-1の線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0036】
これに対しアナログ火災感知器14から伝送部32-1に対する上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送路12-1に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送される。
【0037】
サブCPU30-1による火災監視制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部32-1に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信したアナログ火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、サブCPU30-1は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0038】
アナログ火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を伝送部32-1に送信する。また、アナログ火災感知器14は火災を検出すると伝送部32-1に対し火災割込み信号を送信する。
【0039】
サブCPU30-1は伝送部32-1を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14のアドレスを特定してセンサのアナログデータを集中的に収集し、シリアル転送バス34を介してメインCPU26に送信する。
【0040】
メインCPU26はサブCPU30-1から受信したアナログデータを所定の火災判定レベルと比較しており、アナログデータが火災判定レベルに達した場合に火災と判定し、表示部38の火災代表灯を点灯し、音響警報部42のスピーカから火災発生を示す所定の主音響警報を出力させ、ディスプレイ36に火災が検出された感知器アドレスに基づき火災発生場所を含む火災警報情報を表示させ、更に、移報部44により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0041】
サブCPU基板28-2に設けられたサブCPU30-2と伝送部32-2による火災監視制御も、前述したサブCPU基板28-1の場合と同じになる。また、サブCPU基板28-3に設けられたサブCPU30-3と伝送部32-3については、メインCPU26で火災が検知された場合に
図2に示した受信機データ50の連動先に基づき防排煙機
器24の連動制御が行なわれる。
【0042】
[受信機データの変更]
(データ変更の制御機能)
受信機10に設けられたメインCPU26には、施工モードで記憶された受信機データ50を変更するため、プログラムの実行により実現される機能として、相違データ検出部52とデータ変更部54が設けられる。
【0043】
受信機データ50を変更する場合には、火災監視モードで動作している運用中の受信機10を所定の操作により施工モードに切替え、続いて、USBポート46に製造元の工場等で作成した更新データ60が格納されたUSBメモリ56をセットし、所定のデータ変更操作行うことでデータ変更制御が開始される。
【0044】
データ変更制御が開始されると、相違データ検出部52は、USBメモリ56から更新データ60を読み込み、受信機データ50と端末単位に比較し、相違する端末単位の更新データと受信機データの組を検出する。
【0045】
例えば、
図2の受信機データ50を例と取ると、各行の「系統、アドレス、種別、回線、棟、階、地区、表示メッセージ、連動先」からなるデータが一つの端末データであり、これを更新データ60の中の同じ端末データと比較し、データ内容の少なくとも一つが相違した場合に、相違する端末単位の受信機データと更新データの組として検出する制御を行う。
【0046】
データ変更部54は、相違データ検出部52により検出された相違する端末単位の受信機データと更新データの組をディスプレイ36に画面表示し、何れか一方の選択を可能とし、選択された受信機データ又は更新データに変更する制御を行う。
【0047】
(データ選択画面)
図3は変更データ選択画面の一例を示した説明図、
図4は変更データ選択画面の他の例を示した説明図である。
【0048】
図3に示すように、データ選択画面62は、施工モードからデータ管理に入ることで表示され、画面上部にガイダンス64として「盤内のデータと以下の内容が異なります。どちらのデータを反映しますか?」が表示され、その下に、データの中の何が相違するかを示す相違項目66として「火災感知器の任意番号」が表示される。
【0049】
続いて、表形式で受信機データを示す盤内のデータ68として「00-01-127-1#32 1F105号室」が表示され、これに並べて更新データを示すUSBメモリのデータ70として「00-01-127-1#32 1F115号室」が表示される。
【0050】
この場合、盤内のデータ68は火災感知器の任意番号となる表示メッセージが「1F105号室」であるのに対し、USBメモリのデータ70は同じ火災感知器の任意番号となる表示メッセージが「1F115号室」と異なっている。
【0051】
このようなデータ選択画面62の表示に対し、担当者は盤内のデータ68とUSBメモリのデータ70を比較し、正しい方のデータを画面のタッチ操作等により選択すると、選択されたデータによる受信機データ50の変更が行われる。
【0052】
図4に示すデータ選択画面74は、相違項目66として「感度」が表示されており、この場合、盤内のデータ68とUSBメモリのデータ70を比較すると、同じアナログ火災
感知器「01-02-225-2」であるが、盤内のデータ68は感度を決める煙濃度[%/m]の値が「注意5.2 火災7.5 連動15.0」であるのに対し、USBメモリのデータ70は「注意2.7 火災5.0 連動15.0」となっている。
【0053】
このようなデータ選択画面74の感度が相違したデータの表示に対し、担当者は盤内のデータ68とUSBメモリのデータ70を比較し、正しい方のデータを画面のタッチ操作等により選択すると、選択されたデータによる受信機データ50の変更が行われる。
【0054】
本実施形態のデータ選択画面にあっては、端末単位で比較した受信機データと更新データの相違を検出した場合に、両方のデータをそのまま表示せず、データの中のどの部分が相違しているかをグループ分けして相違項目として示しており、受信機データと更新データとの比較判断が簡単且つ容易にしかも誤りなくできる。
【0055】
このようにデータ選択画面を使用して全ての相違する受信機データと更新データの組についてのデータ選択が終了すると、選択されたデータを有効な更新データとして受信機データ50の変更が行われる。
【0056】
また、メインCPU26は、更新データ60による受信機データ50のデータ変更が完了すると、USBポート46にセットしているUSBメモリ56に変更の済んだ受信機データ50をバックアップデータとして書き込むバックアップ制御を行い、USBメモリ56によりバックアップデータとして管理することを可能とする。
【0057】
更に、受信機データ50の更新データ60に基づくデータ変更が完了した場合には、所定の操作により、施工モードを解除して火災監視モードに切り替えることで、データ変更の済んだ受信機データ50を使用した火災監視制御が開始される。
【0058】
(データ変更制御)
図5は
図1の受信機によるデータ変更制御を示したフローチャートであり、メインCPU26による制御動作となる。
【0059】
図6に示すように、施工モードに切り替えられた状態でメインCPU26はステップS1でUSBポート46に対する更新データ60を格納したUSBメモリ56のセットありを判別するとステップS2に進み、所定のデータ読込み操作を判別するとステップS3に進んでUSBメモリ56から更新データ60を読込み、ステップS4で更新データ60と受信機データ50を端末単位に比較し、端末単位の相違するデータの組を検出し、ステップS5で相違データの組を、
図3又は
図4に示したように、ディスプレイ36にデータ選択画面として表示する。
【0060】
続いて、メインCPU26は、ステップS6でデータ選択画面に対する選択操作を判別するとステップS7に進み、選択データを更新データとして保持し、ステップS8で全ての相違データの選択が済むまでステップS6からの処理を繰り返した後、ステップS9でデータ変更操作を判別するとステップS10に進んで受信機データを更新データに変更し、ステップS11でUSBメモリ56に変更済みの受信機データをバックアップデータとして出力して書き込むバックアップを行い、一連のデータ変更処理を終了する。
【0061】
[受信機と中継盤で構成された分散システムのデータ変更]
図6は中継盤のデータを受信機からの制御により変更する火災報知設備の実施形態を示した説明図である。
【0062】
監視対象とする施設が複数の住棟に分かれる等して大規模になる場合には、
図6に示す
ように、防災センター等に設置した受信機10に対し例えば住棟毎に分けて中継盤100が設置され、受信機10と中継盤100の間をイーサネット(登録商標)等のネットワーク回線106により通信接続している。
【0063】
受信機10は
図1に示したと同じであり、これに対し中継盤100は
図1の受信機10からディスプレイ36、表示部38、操作部40及び音響警報部42を含む操作表示機能を除いた構成となり、それ以外は、受信機10と基本的に同じとなり、警戒区域に引き出された伝送路102にアナログ火災感知器14を含む端末機器が受信機10と同様に接続され、更に、中継盤100毎に受信機データ50に相当する中継盤データ104が記憶されている。
【0064】
また、受信機10は、火災報知設備の運用中に、中継盤データ104を選択的に画面表示して変更する運用データ変更部の機能を備えている。
【0065】
このため受信機10の受信機データ50と同様に、中継盤100の伝送路に接続されたアナログ火災感知器14を含む端末機器の変更、追加、撤去に対しては、中継盤100に記憶している中継盤データ104を変更する必要がある。
【0066】
中継盤100に記憶されている中継盤データ104のデータ変更は、受信機10に設けられた相違データ検出部52及びデータ変更部54により行われる。
【0067】
中継盤データ104を変更する場合には、火災監視モードで動作している運用中の受信機10及び中継盤100を所定の操作により施工モードに切替え、続いて、受信機10のUSBポートに製造元の工場等で作成した中継盤100の更新データが格納されたUSBメモリ56をセットし、所定のデータ変更操作行うことでデータ変更制御が開始される。
【0068】
データ変更制御が開始されると、相違データ検出部52は、USBメモリ56から更新データ60を読み込み、続いて、指定された中継盤100にネットワーク回線106によりデータ転送要求を行って中継盤データ104を取得し、更新データと中継盤データ104と端末単位に比較し、相違する端末単位の更新データと受信機データの組を検出する。
【0069】
続いてデータ変更部54が、相違データ検出部52により検出された相違する端末単位の更新データと中継盤データの組を、
図3又は
図4に示した同様に、受信機10のディスプレイ36に画面表示し、何れか一方のデータの選択を可能とし、選択された更新データ又は中継盤データに変更する制御を行う。
【0070】
図7は
図6の受信機による中継盤データ変更制御を示したフローチャートである。
図7に示すように、受信機10及び中継盤100が施工モードに切り替えられた動作状態で受信機10はステップS21でUSBポートに対する中継盤100の更新データを格納したUSBメモリ56のセットありを判別するとステップS22に進み、所定のデータ読込み操作を判別するとステップS23に進み、USBメモリから中継盤100の更新データを読込み、ステップS24で中継盤100からネットワーク回線106を介して中継盤データ104を取得する。
【0071】
続いて、受信機10はステップS25で更新データと中継盤データ104を端末単位に比較し、端末単位の相違するデータの組を検出し、ステップS26で相違データの組を
図3又は
図4に示したようにディスプレイにデータ選択画面を表示する。
【0072】
続いて、受信機10は、ステップS27でデータ選択画面に対する選択操作を判別するとステップS28に進み、選択データを更新データとして保持し、ステップS29で全て
の相違データの選択が済むまでステップS27からの処理を繰り返した後、ステップS30でデータ変更操作を判別するとステップS31に進んで選択された更新データをネットワーク回線106を介して中継盤100に送信して中継盤データ104を変更し、ステップS32でUSBメモリ56に変更済みの中継盤データをバックアップデータとして出力して書き込むバックアップを行い、一連の中継盤100に対するデータ変更処理を終了する。
【0073】
[本発明の変形例]
(P型受信機)
上記の実施形態は、R型の受信機からの伝送路を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した火災報知設備についても、同様に、受信機に格納された受信機データを外部から読み込んだ更新データにより変更する場合に、外部から読み込まれた更新データと受信機データを比較して相違する更新データと受信機データの組を検出し、相違する更新データと受信機データの組を画面表示して何れか一方の選択を可能とし、選択された更新データ又は受信機データに変更するようにしても良い。
【0074】
(USBメモリ)
上記の実施形態は、更新データをUSBメモリに格納して受信機にセットしているが、USBメモリ以外の可搬型の不揮発メモリであれば、適宜の記憶媒体が使用できる。また、記憶媒体を使用せず、有線又は無線の通信回線を使用して更新データを受信機に送るようにしても良い。
【0075】
(受信機データ)
受信機データは全て、もしくは特定の条件で抽出して一覧表示できるようにしても良い。その際、直前の更新データを反映した項目を強調表示するようにしても良い。また、受信機データの一覧表示結果や更新データを反映した結果を印字するようにしても良い。
【0076】
また、更新データと受信機データとの比較更新の選択結果を記憶するようにしても良い。さらに、過去に比較されて採用されなかった更新データと、新たに外部から読み込まれた更新データが同じ内容であった場合、相違する更新データと受信機データの一覧表示に当該データを表示しないようにする設定手段を有するようにしても良い。
【0077】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0078】
10:受信機
12,12-1~12-3:伝送路
14:アナログ火災感知器
16:中継器
17:感知器回線
18:オンオフ火災感知器
20:発信機
22:アドレッサブル発信機
24:防排煙機器
26:メインCPU
28-1~28-3:サブCPU基板
30-1~30-3:サブCPU
32-1~32-3:伝送部
34:シリアル転送バス
36:ディスプレイ
38:表示部
40:操作部
42:音響警報部
44:移報部
46:USBポート
48:火災監視制御部
50:受信機データ
52:相違データ検出部
54:データ変更部
56:USBメモリ
60:更新データ
62,74:データ選択画面
64:ガイダンス
66:相違項目
100:中継盤
104:中継盤データ
106:ネットワーク回線