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特開2022-71199スマートプラグの動作のシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071199
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】スマートプラグの動作のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】60
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037278
(22)【出願日】2022-03-10
(62)【分割の表示】P 2021518785の分割
【原出願日】2019-10-01
(31)【優先権主張番号】62/740,201
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/179,567
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/179,598
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/179,619
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ANDROID
3.iPhone
4.WINDOWS
5.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】521135902
【氏名又は名称】センス ラブズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】シュエイター ギンワ ファクフリ
(72)【発明者】
【氏名】ペトリ ヨナ ワイマン
(72)【発明者】
【氏名】ザヴァリアグコス ジョージ
(57)【要約】
【課題】エンドユーザに最大の利益をもたらすために、エンドユーザが個々の装置の電力使用に関する正確な情報を受け取るように、より正確な用途分解法に対するニーズに応える。
【解決手段】スマートプラグが、スマートプラグに接続された装置の電力消費量に関する情報を含むスマートプラグ電力モニタリング信号を提供することができる。スマートプラグ電力モニタリング信号は、建物の電気の主管からの、建物内の装置の動作に関する情報を提供する電力モニタリング信号と共に使用することができる。たとえば、電力モニタリング信号を使用して、(i)スマートプラグに電力を供給している住宅の主管を決定し、(ii)スマートプラグから電力を受け取っている装置を識別し、(iii)装置の状態変化を識別する精度を高め、(iv)装置および装置の状態変化を識別する数理モデルをトレーニングすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートプラグに関連する電力主管を決定するコンピュータ実装方法であって、
建物の電気の主管から電力を受け取って1または2以上の装置に電力を供給している前記スマートプラグとのネットワーク接続を確立することと、
前記ネットワーク接続を介して、前記スマートプラグが前記1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、
前記建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定する第1のセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記建物の第2の電気の主管の電気的特性を測定する第2のセンサからの測定値を使用して第2の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号における事象に対応する複数の事象時点を識別することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応するスマートプラグ部分を収集することと、
前記第1の主管電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応する第1の主管部分を収集することと、
前記第2の主管電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応する第2の主管部分を収集することと、
前記スマートプラグ部分を前記第1の主管部分と比較し、前記スマートプラグ部分を前記第2の主管部分と比較することによって、前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定することと、
前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新することと、
を備える、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記事象は、前記スマートプラグがゼロ電力を供給することから非ゼロ電力を供給することに遷移することに対応する、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記第1の主管電力モニタリング信号の、各第1の基礎電力消費量が前記複数の事象時点のうちの1つの事象時点に対応する複数の第1の基礎電力消費量を計算することと、
前記第2の主管電力モニタリング信号の、各第2の基礎電力消費量が前記複数の事象時点のうちの1つの事象時点に対応する複数の第2の基礎電力消費量を計算することと、
をさらに備え、
前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定することは、前記複数の第1の基礎電力消費量および前記複数の第2の基礎電力消費量を使用することを含む、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
第1の基礎電力消費量を計算することは、対応する事象時点の前の一定期間にわたって前記第1の主管電力モニタリング信号の平均値を計算することを含む、
請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記第1の主管部分を前記スマートプラグ部分のサンプリングレートに一致するようにダウンサンプリングすることによって、第1の主管部分を修正することを備える、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記第1の主管部分と前記スマートプラグ部分とを比較する前に、第1の主管部分またはスマートプラグ部分を変換することを備える、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
第1の主管部分とスマートプラグ部分とを比較することは、前記第1の主管部分と前記スマートプラグ部分との間の距離を計算することを含む、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
第1の主管部分とスマートプラグ部分とを比較することは、
前記第1の主管部分のための第1の特徴ベクトルを計算することと、
前記スマートプラグ部分のための第2の特徴ベクトルを計算することと、
前記第1の特徴ベクトルと前記第2の特徴ベクトルとの間の距離を計算することと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
スマートプラグに関連する電力主管を決定するためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含む少なくとも1つのコンピュータを備え、当該少なくとも1つのコンピュータは、
建物の電気の主管から電力を受け取って1または2以上の装置に電力を供給している前記スマートプラグとのネットワーク接続を確立し、
前記ネットワーク接続を介して、前記スマートプラグが前記1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取り、
前記建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定する第1のセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得し、
前記建物の第2の電気の主管の電気的特性を測定する第2のセンサからの測定値を使用して第2の主管電力モニタリング信号を取得し、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号における事象に対応する複数の事象時点を識別し、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応するスマートプラグ部分を収集し、
前記第1の主管電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応する第1の主管部分を収集し、
前記第2の主管電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応する第2の主管部分を収集し、
前記スマートプラグ部分を前記第1の主管部分と比較し、前記スマートプラグ部分を前記第2の主管部分と比較することによって、前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定し、
前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新する、
ように構成されている、システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1の主管部分と前記スマートプラグ部分との間の距離を計算することによって、第1の主管部分とスマートプラグ部分とを比較するように構成されている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコンピュータは、
前記第1の主管部分と前記スマートプラグ部分との間の第1の複数の距離を計算することによって、前記スマートプラグ部分を前記第1の主管部分と比較し、
前記第2の主管部分と前記スマートプラグ部分との間の第2の複数の距離を計算することによって、前記スマートプラグ部分を前記第2の主管部分と比較する、
ように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのコンピュータは、
前記第1の複数の距離から第1の値を計算し、
前記第2の複数の距離から第2の値を計算し、
前記第1の値と前記第2の値とを比較する、
ことによって、前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定するように構成されている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の値は、前記第1の複数の距離の平均値または中央値である、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1の主管部分と前記スマートプラグ部分とを比較する前に、第1の主管部分またはスマートプラグ部分の振幅をスケーリングするように構成されている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
コンピュータ実行可能命令を含む1または2以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、実行時に少なくとも1つのプロセッサに、
建物の電気の主管から電力を受け取って1または2以上の装置に電力を供給しているスマートプラグとのネットワーク接続を確立することと、
前記ネットワーク接続を介して、前記スマートプラグが前記1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、
前記建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定する第1のセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記建物の第2の電気の主管の電気的特性を測定する第2のセンサからの測定値を使用して第2の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号における事象に対応する複数の事象時点を識別することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応するスマートプラグ部分を収集することと、
前記第1の主管電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応する第1の主管部分を収集することと、
前記第2の主管電力モニタリング信号の、前記複数の事象時点の各事象時点に対応する第2の主管部分を収集することと、
前記スマートプラグ部分を前記第1の主管部分と比較し、前記スマートプラグ部分を前記第2の主管部分と比較することによって、前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定することと、
前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新することと、
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
第1の主管部分とスマートプラグ部分とを比較することは、前記第1の主管部分と前記スマートプラグ部分との間の距離を計算することを含む、
請求項15に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
第1の主管部分とスマートプラグ部分とを比較することは、
前記第1の主管部分のための第1の特徴ベクトルを計算することと、
前記スマートプラグ部分のための第2の特徴ベクトルを計算することと、
前記第1の特徴ベクトルと前記第2の特徴ベクトルとの間の距離を計算することと、
を含む、請求項15に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記動作は、前記スマートプラグ電力モニタリング信号における第2の事象に対応する第2の複数の時点を識別することをさらに含む、
請求項15に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記第2の事象は、前記スマートプラグが非ゼロ電力を供給することからゼロ電力を供給することに遷移することに対応する、
請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定することは、
前記第1の主管電力モニタリング信号からの、事象時点に対応する第1の基礎電力消費量を計算することと、
前記事象時点に対応する第1の主管部分から前記第1の基礎電力消費量を減算することによって、正規化された第1の主管部分を計算することと、
前記事象時点に対応するスマートプラグ部分と前記正規化された第1の主管部分との間の第1の距離を計算することと、
前記第2の主管電力モニタリング信号からの、前記事象時点に対応する第2の基礎電力消費量を計算することと、
前記事象時点に対応する第2の主管部分から前記第2の基礎電力消費量を減算することによって、正規化された第2の主管部分を計算することと、
前記事象時点に対応する前記スマートプラグ部分と前記正規化された第2の主管部分の間の第2の距離を計算することと、
を含み、
前記スマートプラグが前記第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定することは、前記第1の距離および前記第2の距離を使用することを含む、
請求項15に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
第1の装置がスマートプラグに接続されていると判定するコンピュータ実装方法であって、
1または2以上の装置に電力を供給している前記スマートプラグとのネットワーク接続を確立することと、
前記ネットワーク接続を介して、前記スマートプラグが前記1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、
建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号における事象時点に対応するスマートプラグ電力事象を識別することと、
前記事象時点を使用して前記第1の主管電力モニタリング信号における第1の主管電力事象を識別することと、
複数の電力モデルを使用して前記第1の主管電力事象を処理することによって、前記第1の主管電力事象が前記第1の装置に対応すると判定することと、
前記第1の主管電力事象が前記第1の装置に対応するとの前記判定を使用して、前記第1の装置が前記スマートプラグに接続されていると判定することと、
前記第1の装置が前記スマートプラグから電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新することと、
を備える、コンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記第1の装置が前記スマートプラグに接続されていると判定することは、前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することを含む、
請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することは、前記第1の主管電力事象の電力変化を前記スマートプラグ電力事象の電力変化と比較することを含む、
請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することは、ダウンサンプリング、時間的変換または振幅スケーリングのうちの1つまたは2つ以上を実行することを含む、
請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することは、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号の、前記スマートプラグ電力事象に対応するスマートプラグ部分を取得することと、
前記第1の主管電力モニタリング信号の、前記第1の主管電力事象に対応する第1の主管部分を取得することと、
前記スマートプラグ部分と前記第1の主管部分との間の距離を計算することと、
を含む、請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記事象時点を使用して、前記第1の主管電力モニタリング信号における第2の装置の状態変化に対応する第2の第1の主管電力事象を識別することと、
前記スマートプラグ電力事象を前記第1の主管電力事象と比較し、前記スマートプラグ電力事象を前記第2の第1の主管電力事象と比較することによって、前記第1の主管電力事象が前記スマートプラグ電力事象に対応すると判定することと、
を備える、請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記第1の主管電力事象が前記スマートプラグ電力事象に対応すると判定することは、前記第1の装置のワット数モデルおよび前記第2の装置のワット数モデルを使用することを含む、
請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
前記第1の主管電力事象が前記第1の装置に対応すると判定することは、(1)前記複数の電力モデルを使用して前記第1の主管電力事象を処理して、前記複数の電力モデルの各電力モデルのスコアを生成することと、(2)最も高いスコアに対応する電力モデルを選択することと、を含む、
請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項29】
第1の装置がスマートプラグに接続されていると判定するためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含む少なくとも1つのコンピュータを備え、当該少なくとも1つのコンピュータは、
1または2以上の装置に電力を供給している前記スマートプラグとのネットワーク接続を確立し、
前記ネットワーク接続を介して、前記スマートプラグが前記1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取り、
建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得し、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号における事象時点に対応するスマートプラグ電力事象を識別し、
前記事象時点を使用して前記第1の主管電力モニタリング信号における第1の主管電力事象を識別し、
複数の電力モデルを使用して前記第1の主管電力事象を処理することによって、前記第1の主管電力事象が前記第1の装置に対応すると判定し、
前記第1の主管電力事象が前記第1の装置に対応するとの前記判定を使用して、前記第1の装置が前記スマートプラグに接続されていると判定し、
前記第1の装置が前記スマートプラグから電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新する、
ように構成されている、システム。
【請求項30】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することによって、前記第1の装置が前記スマートプラグに接続されていると判定するように構成されている、
請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1の主管電力事象の電力変化を前記スマートプラグ電力事象の電力変化と比較することによって、前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較するように構成されている、
請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのコンピュータは、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号の、前記スマートプラグ電力事象に対応するスマートプラグ部分を取得し、
前記第1の主管電力モニタリング信号の、前記第1の主管電力事象に対応する第1の主管部分を取得し、
前記スマートプラグ部分と前記第1の主管部分との間の距離を計算する、
ことによって、前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較するように構成されている、
請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのコンピュータは、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号における、各スマートプラグ電力事象が前記複数の事象時点のうちの1つの事象時点に対応する、複数の事象時点において発生する複数のスマートプラグ電力事象を識別し、
前記複数の事象時点を使用して、前記第1の主管電力モニタリング信号における複数の第1の主管電力事象を識別し、
前記複数の電力モデルを使用して前記複数の第1の主管電力事象を処理して、各第1の主管電力事象に対応する装置を決定し、
前記第1の装置が前記複数の第1の主管電力事象のうちの1つの第1の主管電力事象に対応する回数をカウントする、
ように構成されており、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1の装置が前記複数の第1の主管電力事象のうちの1つの第1の主管電力事象に対応する前記回数を使用することによって、前記第1の装置が前記スマートプラグから電力を受け取っていると判定するように構成されている、
請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つのコンピュータは、
前記第1の主管電力モニタリング信号における、第2の時点に対応する第2の第1の主管電力事象を識別し、
前記第2の第1の主管電力事象が前記第1の装置の状態変化に対応すると判定し、
前記第1の装置がもはや前記スマートプラグに接続されていないと判定し、
前記データストア内の前記エントリを、前記第1の装置が前記スマートプラグから電力を受け取っていないことを示すように更新する、
ように構成されている、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも1つのコンピュータは、(1)前記複数の電力モデルを使用して前記第1の主管電力事象を処理して、前記複数の電力モデルの各電力モデルのスコアを生成し、(2)最も高いスコアに対応する電力モデルを選択する、ことによって、前記第1の主管電力事象が前記第1の装置に対応すると判定するように構成されている、
請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
コンピュータ実行可能命令を含む1または2以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、実行時に少なくとも1つのプロセッサに、
1または2以上の装置に電力を供給しているスマートプラグとのネットワーク接続を確立することと、
前記ネットワーク接続を介して、前記スマートプラグが前記1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、
建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号における事象時点に対応するスマートプラグ電力事象を識別することと、
前記事象時点を使用して前記第1の主管電力モニタリング信号における第1の主管電力事象を識別することと、
複数の電力モデルを使用して前記第1の主管電力事象を処理することによって、前記第1の主管電力事象が第1の装置に対応すると判定することと、
前記第1の主管電力事象が前記第1の装置に対応するとの前記判定を使用して、前記第1の装置が前記スマートプラグに接続されていると判定することと、
前記第1の装置が前記スマートプラグから電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新することと、
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項37】
前記第1の装置が前記スマートプラグに接続されていると判定することは、前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することを含む、
請求項36に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項38】
前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することは、前記第1の主管電力事象の電力変化を前記スマートプラグ電力事象の電力変化と比較することを含む、
請求項37に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項39】
前記第1の主管電力事象を前記スマートプラグ電力事象と比較することは、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号の、前記スマートプラグ電力事象に対応するスマートプラグ部分を取得することと、
前記第1の主管電力モニタリング信号の、前記第1の主管電力事象に対応する第1の主管部分を取得することと、
前記スマートプラグ部分と前記第1の主管部分との間の距離を計算することと、
を含む、請求項37に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項40】
前記動作は、前記スマートプラグが前記建物の前記第1の電気の主管から電力を受け取っていることを示す情報をデータストアから取得することを含む、
請求項36に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項41】
第1の装置の数理モデルをトレーニングするコンピュータ実装方法であって、
前記第1の装置を含む1または2以上の装置にスマートプラグが供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号がゼロ電力から非ゼロ電力に遷移することに対応する複数のオン作動時点を識別することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号が非ゼロ電力からゼロ電力に遷移することに対応する複数の作動オフ時点を識別することと、
建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記第1の主管電力モニタリング信号における、各電力事象が事象時点に対応する電力事象を識別することと、
前記電力事象を複数のクラスタにクラスタリングすることと、
(i)前記複数のオン作動時点、および(ii)前記第1のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、前記複数のクラスタのうちの第1のクラスタを選択することと、
(i)前記複数の作動オフ時点、および(ii)前記第2のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、前記複数のクラスタのうちの第2のクラスタを選択することと、
前記第1のクラスタの前記電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、前記第1の装置のための第1の遷移モデルをトレーニングすることと、
前記第2のクラスタの前記電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、前記第1の装置のための第2の遷移モデルをトレーニングすることと、
前記第1の遷移モデルおよび前記第2の遷移モデルを使用して装置の状態変化を識別することと、
を備える、コンピュータ実装方法。
【請求項42】
前記第1のクラスタを選択することは、前記第1のクラスタの前記電力事象の事象時点毎に最も近いオン作動時点を決定することを含む、
請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項43】
前記第1の装置の2つの状態を含む状態モデルを作成することと、
前記第1の装置のワット数モデルを計算することと、
前記第1の装置の前記ワット数モデルと前記スマートプラグ電力モニタリング信号との適合度を示すスコアを計算することと、
前記スコアを使用して、前記第1の装置の状態モデルに第3の状態を追加すると決定することと、
を備える、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項44】
(i)前記複数のオン作動時点、(ii)前記複数の作動オフ時点、および(iii)前記第3のクラスタの前記電力事象の事象時点を使用して、前記複数のクラスタのうちの第3のクラスタを選択することを備える、
請求項43に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項45】
前記第3のクラスタの前記電力事象の事象時点毎に、前記事象時点がオン作動時点とその後の作動オフ時点との間に存在するかどうかを判定することを備える、
請求項44に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項46】
前記第1の装置のワット数モデルを計算することは、前記第1の装置が消費する予想電力量を前記第1の主管電力モニタリング信号から計算することを含む、
請求項43に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項47】
前記予想電力量は、前記第1のクラスタの前記電力事象後の前記第1の主管電力モニタリング信号における電力の平均値または中央値である、
請求項46に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項48】
前記予想電力量は、前記オン作動時点後の前記スマートプラグ電力モニタリング信号における電力の平均値または中央値である、
請求項46に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項49】
第1の装置の数理モデルをトレーニングするためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含む少なくとも1つのコンピュータを備え、当該少なくとも1つのコンピュータは、
前記第1の装置を含む1または2以上の装置にスマートプラグが供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取り、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号がゼロ電力から非ゼロ電力に遷移することに対応する複数のオン作動時点を識別し、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号が非ゼロ電力からゼロ電力に遷移することに対応する複数の作動オフ時点を識別し、
建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得し、
前記第1の主管電力モニタリング信号における、各電力事象が事象時点に対応する電力事象を識別し、
前記電力事象を複数のクラスタにクラスタリングし、
(i)前記複数のオン作動時点、および(ii)前記第1のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、前記複数のクラスタのうちの第1のクラスタを選択し、
(i)前記複数の作動オフ時点、および(ii)前記第2のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、前記複数のクラスタのうちの第2のクラスタを選択し、
前記第1のクラスタの前記電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、前記第1の装置のための第1の遷移モデルをトレーニングし、
前記第2のクラスタの前記電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、前記第1の装置のための第2の遷移モデルをトレーニングし、
前記第1の遷移モデルおよび前記第2の遷移モデルを使用して装置の状態変化を識別する、
ように構成されている、システム。
【請求項50】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1の遷移モデルおよび前記第2の遷移モデルを第2の建物に展開するように構成されている、
請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1のクラスタの前記電力事象の事象時点毎に最も近いオン作動時点を決定することによって前記第1のクラスタを選択するように構成されている、
請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
前記少なくとも1つのコンピュータは、
前記第1の装置の2つの状態を含む状態モデルを作成し、
前記第1の装置のワット数モデルを計算し、
前記第1の装置の前記ワット数モデルと前記スマートプラグ電力モニタリング信号との適合度を示すスコアを計算し、
前記スコアを使用して、前記第1の装置の状態モデルに第3の状態を追加すると決定する、
ように構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記第1の装置の前記状態モデルに第4の状態を追加すると決定するように構成されている、
請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記ワット数モデルと前記スマートプラグ電力モニタリング信号の複数の部分との間の距離を計算することによって、前記ワット数モデルの前記適合度を示す前記スコアを計算するように構成されている、
請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記電力事象の各電力事象について特徴を計算するように構成されており、
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記特徴を使用して前記電力事象をクラスタリングするように構成されている、
請求項49に記載のシステム。
【請求項56】
前記電力事象について計算される特徴は、前記電力事象とテンプレートとの間の一致、フーリエ係数、ニューラルネットワーク特徴、或いは前記電力事象の前と後の電力、電流、電圧または位相の変化のうちの1つまたは2つ以上を含む、
請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
コンピュータ実行可能命令を含む1または2以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、実行時に少なくとも1つのプロセッサに、
第1の装置を含む1または2以上の装置にスマートプラグが供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号がゼロ電力から非ゼロ電力に遷移することに対応する複数のオン作動時点を識別することと、
前記スマートプラグ電力モニタリング信号が非ゼロ電力からゼロ電力に遷移することに対応する複数の作動オフ時点を識別することと、
建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、
前記第1の主管電力モニタリング信号における、各電力事象が事象時点に対応する電力事象を識別することと、
前記電力事象を複数のクラスタにクラスタリングすることと、
(i)前記複数のオン作動時点、および(ii)前記第1のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、前記複数のクラスタのうちの第1のクラスタを選択することと、
(i)前記複数の作動オフ時点、および(ii)前記第2のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、前記複数のクラスタのうちの第2のクラスタを選択することと、
前記第1のクラスタの前記電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、前記第1の装置のための第1の遷移モデルをトレーニングすることと、
前記第2のクラスタの前記電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、前記第1の装置のための第2の遷移モデルをトレーニングすることと、
前記第1の遷移モデルおよび前記第2の遷移モデルを使用して装置の状態変化を識別することと、
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項58】
前記第1のクラスタを選択することは、前記第1のクラスタの前記電力事象の事象時点毎に最も近いオン作動時点を決定することを含む、
請求項57に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項59】
前記電力事象をクラスタリングすることは、階層型クラスタリング、重心型クラスタリング、または密度型クラスタリングを使用することを含む、
請求項57に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項60】
前記動作は、前記電力事象の各電力事象について特徴を計算することを含み、
前記電力事象をクラスタリングすることは、前記特徴を使用して前記電力事象をクラスタリングすることを含む、
請求項57に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願(SAGE-0006-WO)は、2018年10月2日に出願された「スマートプラグを用いた電力モニタリング(POWER MONITORING USING SMART PLUGS)」という名称の米国仮特許出願第62/740,201号(SAGE-0006-P01)に対する優先権を主張するものである。
【0002】
また、本出願は、2018年11月2日に出願された「スマートプラグの電力主管の決定(DETERMINING A POWER MAIN OF A SMART PLUG)」という名称の米国非仮特許出願第16/179,567号(SAGE-0006-U01)、2018年11月2日に出願された「スマートプラグに接続された装置の識別(IDENTIFYING DEVICES CONNECTED TO A SMART PLUG)」という名称の米国非仮特許出願第16/179,598号(SAGE-0006-U02)、および2018年11月2日に出願された「スマートプラグを使用する装置の数理モデルのトレーニング(TRAINING A MATHEMATICAL MODEL FOR A DEVICE USING A SMART PLUG)」という名称の米国非仮特許出願第16/179,619号(SAGE-0006-U03)に対する優先権を主張するとともに、これらの継続出願でもある。
【0003】
2018年11月2日に出願された米国非仮特許出願第16/179,567号は、2018年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/740,201号(SAGE-0006-P01)に対する優先権を主張するものである。
【0004】
2018年11月2日に出願された米国非仮特許出願第16/179,598号は、2018年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/740,201号(SAGE-0006-P01)に対する優先権を主張するものである。
【0005】
2018年11月2日に出願された米国非仮特許出願第16/179,619号は、2018年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/740,201号(SAGE-0006-P01)に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0006】
電気または電力使用量の減少は、とりわけ電力会社への支払いが減ることによるお金の節約、そして発電に必要な資源の量が減少することによる環境の保護という利益をもたらす。従って、消費者、企業およびその他の団体などの電力ユーザは、これらの利益を得るために電力消費量を減らしたいと望んでいる。ユーザは、家庭内および建物内のどの装置(たとえば、冷蔵庫、オーブン、食洗機、ボイラー(furnace)および電球)が最も電力を使用しているか、および電力消費量を減らすためにどのような対策を利用できるかに関する情報があれば、より効果的に電力消費量を減らすことができる。
【0007】
建物内の多くの装置が使用する電気に関する情報を取得するには、電気パネルに電力モニタを導入することができる。電気パネル上の電力モニタは、単一のモニタで多くの装置に関する集約的使用情報が得られるため便利である。しかしながら、通常、モニタは、複雑に重複し得る多くの装置の集合的な動作を反映した信号を測定するので、単一の装置による電力使用に関するより詳細な情報を抽出することはさらに困難である。多くの装置による使用に対応する電気信号から単一の装置の電力使用に関する情報を取得するプロセスは、用途分解(disaggregation)と呼ぶことができる。
【0008】
単一の装置の電力使用量を測定するために、個々の装置のための電力モニタを利用することもできる。たとえば、ある装置をスマートプラグに接続して、スマートプラグを壁コンセントに差し込むことができる。これらのスマートプラグは、電力供給先の装置の電力使用に関する情報を提供することができるが、家庭内または建物内の全てのまたは多くの装置をこれらのスマートプラグでモニタするとなると、大量のスマートプラグが必要になってコストが掛かるとともに導入にかなりの手動労力が必要となり得るため現実的ではないと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エンドユーザに最大の利益をもたらすために、エンドユーザが個々の装置の電力使用に関する正確な情報を受け取るように、より正確な用途分解法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
例示的かつ非限定的な実施形態によれば、スマートプラグに関連する電力主管(power main)を決定するコンピュータ実装方法が、建物の電気の主管から電力を受け取って1または2以上の装置に電力を供給しているスマートプラグとのネットワーク接続を確立することと、ネットワーク接続を介して、スマートプラグが1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、建物の第1の電気の主管(electrical main)の電気的特性を測定する第1のセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、建物の第2の電気の主管の電気的特性を測定する第2のセンサからの測定値を使用して第2の主管電力モニタリング信号を取得することと、スマートプラグ電力モニタリング信号における事象(event)に対応する複数の事象時点を識別することと、スマートプラグ電力モニタリング信号の、複数の事象時点の各事象時点に対応するスマートプラグ部分を収集することと、第1の主管電力モニタリング信号の、複数の事象時点の各事象時点に対応する第1の主管部分を収集することと、第2の主管電力モニタリング信号の、複数の事象時点の各事象時点に対応する第2の主管部分を収集することと、スマートプラグ部分を第1の主管部分と比較し、スマートプラグ部分を第2の主管部分と比較することによって、スマートプラグが第1の電気の主管から電力を受け取っていると判定することと、スマートプラグが第1の電気の主管から電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新することと、を含む。
【0011】
別の例示的かつ非限定的な実施形態によれば、第1の装置がスマートプラグに接続されていると判定するコンピュータ実装方法が、1または2以上の装置に電力を供給しているスマートプラグとのネットワーク接続を確立することと、ネットワーク接続を介して、スマートプラグが1または2以上の装置に供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、スマートプラグ電力モニタリング信号における事象時点に対応するスマートプラグ電力事象を識別することと、事象時点を使用して第1の主管電力モニタリング信号における第1の主管電力事象を識別することと、複数の電力モデルを使用して第1の主管電力事象を処理することによって、第1の主管電力事象が第1の装置に対応すると判定することと、第1の主管電力事象が第1の装置に対応するとの判定を使用して、第1の装置がスマートプラグに接続されていると判定することと、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていることを示すようにデータストア内のエントリを更新することと、を含む。
【0012】
別の例示的かつ非限定的な実施形態によれば、第1の装置の数理モデルをトレーニングするコンピュータ実装方法が、第1の装置を含む1または2以上の装置にスマートプラグが供給している電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取ることと、スマートプラグ電力モニタリング信号がゼロ電力から非ゼロ電力に遷移することに対応する複数のオン作動時点を識別することと、スマートプラグ電力モニタリング信号が非ゼロ電力からゼロ電力に遷移することに対応する複数の作動オフ時点を識別することと、建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得することと、第1の主管電力モニタリング信号における、各電力事象が事象時点に対応する電力事象を識別することと、電力事象を複数のクラスタにクラスタリングすることと、(i)複数のオン作動時点、および(ii)第1のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、複数のクラスタのうちの第1のクラスタを選択することと、(i)複数の作動オフ時点、および(ii)第2のクラスタの電力事象の事象時点を使用して、複数のクラスタのうちの第2のクラスタを選択することと、第1のクラスタの電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、第1の装置のための第1の遷移モデルをトレーニングすることと、第2のクラスタの電力事象のうちの1つまたは2つ以上を使用して、第1の装置のための第2の遷移モデルをトレーニングすることと、第1の遷移モデルおよび第2の遷移モデルを使用して装置の状態変化を識別することと、を含む。
【0013】
以下の図を参照することにより、本発明およびそのいくつかの実施形態についての以下の詳細な説明を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングを使用して装置および装置の状態変化を識別するシステム例である。
図2図2は、電気の主管および回路を示す電力モニタリングおよびネットワークモニタリングのためのシステム例である。
図3A図3Aは、主管およびスマートプラグからの電力モニタリング信号の例である。
図3B図3Bは、主管およびスマートプラグからの電力モニタリング信号の例である。
図3C図3Cは、主管およびスマートプラグからの電力モニタリング信号の例である。
図4図4は、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングのサービスのためのシステムの例である。
図5図5は、装置のリスト例である。
図6図6は、スマートプラグに電力を供給する電気の主管を識別する実装例のフローチャートである。
図7図7は、装置がスマートプラグから電力を受け取っていると判定する実装例のフローチャートである。
図8A図8Aは、主管電力モニタリング信号およびスマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の状態変化を識別する実装例のフローチャートである。
図8B図8Bは、主管電力モニタリング信号およびスマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の状態変化を識別する実装例のフローチャートである。
図9図9は、スマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の遷移モデルをトレーニングする実装例のフローチャートである。
図10図10は、スマートプラグ電力モニタリング信号を使用して3または4以上の状態を有する装置の遷移モデルをトレーニングする実装例のフローチャートである。
図11A図11Aは、装置の状態モデル例である。
図11B図11Bは、装置の状態モデル例である。
図12A図12Aは、装置の電力モニタリング信号例である。
図12B図12Bは、装置の電力モニタリング信号例である。
図13図13は、スマートプラグ電力モニタリング信号を処理する装置の例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書では、装置を識別して建物内の装置の状態変化に関する情報を決定する方法について説明する。建物内の装置に関する情報を決定する際の1つのデータソースは、建物内の装置に電力を供給する送電線である。建物に電力を供給している送電線(または複数の送電線)上に電気センサを配置し、用途分解法を使用して建物内の個々の装置に関する情報を決定することができる。たとえば、米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかを使用して、電気計測法を用いて装置に関する情報を決定することができ、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0016】
装置を識別し、または建物内の装置の状態変化に関する情報を決定するための別のデータソースは、建物内のコンピュータネットワークである。建物は、ローカルエリアネットワークなどのネットワークを有することができ、装置は、有線(たとえば、イーサネットケーブル)または無線(たとえば、Wi-Fi)を介してネットワークに接続することができる。建物は、無線ルータによって調整されるローカルエリアネットワーク、協働する他の装置(たとえば、Sonosスピーカ)によって形成されるメッシュネットワーク、またはパーソナルエリアネットワーク(たとえば、装置間のBluetooth接続)などの複数のネットワークを有することができる。たとえば、米国特許第9,699,529号に記載されている方法のうちのいずれか使用して、ネットワークデータを用いて装置に関する情報を決定することができ、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0017】
装置の中には、建物内の送電線によって給電されるがネットワーク接続を有していないものもある(たとえば、従来の冷蔵庫)。装置の中には、建物内の送電線によって給電され、ネットワーク接続を有しているものもある(たとえば、「スマート」冷蔵庫)。装置の中には、ネットワーク接続は有しているが送電線によって給電されないもの(たとえば、スマートフォンなどのモバイル装置)、または時々しか送電線によって給電されないものもある(たとえば、充電時)。本明細書で説明する方法は、送電線からの情報と建物内のネットワークからの情報との組み合わせを使用することによって、建物内の装置に関するより多くの情報および/またはより正確な情報を提供することができる。
【0018】
送電線からの情報と建物内のネットワークからの情報とを使用して、ユーザに建物内の装置の状態について知らせるサービスを提供することができる。ある企業は、建物内に導入して建物の電力線およびコンピュータネットワークの両方に接続できる電力モニタリング装置(または電力モニタ)を提供することができる。電力モニタリング装置は、送電線およびネットワークデータの両方を使用して、建物内にどのような装置が存在するか、および装置の状態(たとえば、オンまたはオフ)に関する情報を決定することができる。その後、この情報は、専用アプリケーションまたは(たとえば、スマートフォン上の)アプリ、或いはウェブページに提示することなどによってユーザが利用できるようにすることができる。このサービスは、装置の状態に関するリアルタイム情報、装置によるリアルタイムな電力使用量、および装置の活動に関する履歴情報などの、建物内の装置に関する情報をユーザに提供することができる。
【0019】
建物は、「スマートプラグ」として知られている装置を含むこともできる。スマートプラグは、スマートプラグから電力を受け取る装置の電力消費量に関する情報を提供することができる。たとえば、スマートプラグは、従来の電源コンセントに差し込んで、装置がスマートプラグに接続できるようにすることができる。従って、装置は、スマートプラグを介して電力を受け取る。スマートプラグは、スマートプラグに接続された装置に供給される電力に関する情報を提供する機能を含むことができる。たとえば、スマートプラグは、スマートプラグに接続された装置に供給される電力の電気的特性(たとえば、電流、電圧または電力)を測定する1または2以上のセンサを含むことができる。このセンサデータを使用して、一定期間にわたって装置が消費した電力量を求めることができる。スマートプラグは、スマートフォンなどの他の装置に接続された装置の電力使用に関する情報を送信するためのネットワーク接続(たとえば、Wi-FiまたはBluetooth)を有することもできる。スマートプラグは、他の機能を有することもできる。たとえば、スマートプラグは、スマートプラグに接続された装置への電気の流れを開始および停止する継電器を有することができ、ユーザは、この継電器をユーザが制御できるようにするスマートフォン上のアプリを有することができる。
【0020】
電力モニタは、スマートプラグから情報を受け取って、自機が提供するサービスを改善することができる。たとえば、電力モニタは、スマートプラグとのネットワーク接続を有し、スマートプラグに接続された装置にスマートプラグが供給した電力量に関する情報をスマートプラグから受け取ることができる。
【0021】
説明を明確にするために、本明細書で説明する方法では、この方法を適用できる建物の例として住宅または家庭を使用するが、本明細書で説明する方法は、以下に限定するわけではないが、企業および商業ビル、庁舎、並びにその他の会場を含む、電気が使用されるあらゆる環境に等しく適用することができる。全体を通じた家庭についての言及は、このような他の会場も含むと理解されたい。
【0022】
電力モニタ環境
図1は、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングを使用して家庭内の装置に関する情報を決定できるシステム100の例である。図1では、電力会社120が住宅110に電力を供給する。電力は、電気パネル140に送電され、ここで住宅内の異なる電気回路に分配することができる。
【0023】
電気パネル140は、建物内で見られるいずれかの電気パネルとすることができる。たとえば、電気パネル140は、単相3線式変圧器(split-phase transformer)を使用して240ボルトの電気信号を単一の接地とそれぞれが120ボルトを供給する2つの主管(或いは位相またはレッグ)とを含む3線式分電(three-wire distribution)に変換する単相3線式電力(split-phase electric power)を実装することができる。住宅内のいくつかの装置は、2つの主管の一方を使用して120ボルトを取得することができ、住宅内の他の装置は、他方の主管を使用して120ボルトを取得することができ、さらに他の装置は、両方の主管を同時に使用して240ボルトを取得することができる。
【0024】
あらゆるタイプの電気パネルを使用することができ、本明細書で説明する方法は、単相3線式電気パネルに限定されるものではない。たとえば、電気パネル140は、単相式、2相式、または3相式とすることができる。また、この方法は、電気パネル140によって提供される主管の数に限定されるものでもない。以下の説明では、2つの主管を有するものとして電気パネル140を説明するが、1つだけの主管を含むあらゆる数の主管を使用することができる。当業者であれば理解するように、他の国または大陸向けなどの他の電圧標準も本明細書に含まれるように意図される。
【0025】
図1には、電気パネル140によって供給される電力を消費している装置を示す。たとえば、電力モニタ150、冷蔵庫160およびストーブ165は、電気パネル140を介して供給される電力を消費することができる。
【0026】
電力モニタ150は、住宅110に接続された送電線の電気的特性を測定するセンサ130に接続することができる。たとえば、センサ130は、電気パネル140に電力を供給する送電線の電圧および/または電流レベルを測定することができる。これらの測定値は、あらゆる利用可能なセンサを使用して取得することができ、この方法は、いずれかの特定のセンサ、またはセンサから取得できるいずれかの特定のタイプの値に限定されるものではない。センサ130は、各主管につき1つまたは2つ以上のセンサなどの複数のセンサを含むことができる。
【0027】
センサ130は、電力モニタ150に、電気パネル140に接続された各主管の電流および/または電圧の測定値などの1または2以上の電力モニタリング信号を提供することができる。電力モニタ150は、電力モニタリング信号を処理してこれらを用途分解し、または家庭内の個々の装置に関する情報を取得することができる。たとえば、電力モニタ150は、午後8:30にテレビがオンになった、または午前10:35と午前11:01に冷蔵庫のコンプレッサが起動したなどの、装置の状態変化を特定することができる。
【0028】
電力モニタ150は、電気パネル140とは別に取得される装置とすることができ、ユーザまたは電気工が電気パネル140に接続するように導入することができる。電力モニタ150は、電気パネル140の一部とすることもでき、電気パネル140のメーカーが導入することもできる。電力モニタ150は、電力会社によって提供されたものなどの電気メータの一部とする(たとえば、一体化または統合する)こともでき、スマートメータと呼ばれることもある。
【0029】
電力モニタ150は、用途分解を実行し、または電力モニタリング信号から個々の装置の電力使用量または状態に関する情報を決定するのに適したいずれかの方法を使用することができる。たとえば、電力モニタ150は、米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかを使用することができる。
【0030】
電力モニタ150は、住宅内のコンピュータネットワークに接続することができる。たとえば、電力モニタ150は、住宅内のルータへの有線接続(たとえば、LANイーサネット)、ネットワークとの無線接続(たとえば、Wi-Fi)、または他の装置との直接ネットワーク接続(たとえば、Bluetooth)を有することができる。これらの実装では、電力モニタ150がネットワークモニタでもあるが、説明を明確にするために、以下の説明では引き続き電力モニタという用語を使用する。
【0031】
図1には、電力モニタと住宅内の他の装置との間のネットワーク接続を示す。この例では、電力モニタ150が、モデム、ルータまたはハブなどの、住宅内のネットワークを容易にするいずれかの装置とすることができるネットワーク装置115とのネットワーク接続を有する。ネットワーク装置115には、住宅内の他の装置を接続することもできる。たとえば、テレビ125(たとえば、スマートテレビ)、コンピュータ135(たとえば、パーソナルコンピュータ)、スマートプラグ145(たとえば、Phillips HueまたはBelkin Wemoスイッチ)、および電話機170(たとえば、Android phoneまたはiPhone)をホームネットワークに接続することもできる。電力モニタ150は、LANイーサネットまたは他の装置との直接接続などのいずれかの適切な有線または無線ネットワーク構成を使用して住宅内の他の装置に接続することができる。いくつかの実装では、電力モニタ150が、複数のネットワーク上で同時に通信することができる(たとえば、ホームルータとのWi-Fi接続および特定の装置へのBluetooth接続)。
【0032】
図2は、システム100の住宅などの住宅の2つの主管および4つの回路を示すシステム200の例である。しかしながら、本明細書で説明する方法は、あらゆる数の主管および回路に適用される。
【0033】
図2では、電力会社120が、たとえば第1の電気の主管および180度位相が異なる第2の電気の主管などの2つの電力電気の主管(electrical mains of power)を提供している。電力モニタ150は、第1の主管の電気的特性を測定して第1の主管電力モニタリング信号を取得する第1のセンサ231と、第2の主管の電気的特性を測定して第2の主管電力モニタリング信号を取得する第2のセンサ232とを有することができる。
【0034】
2つの電力の主管は、複数の電気回路を介して住宅内の装置に分配することができる。たとえば、第1の主管母線(first-main bus bar)211は、第1の主管電力を回路221および回路222に分配することができ、第2の主管母線(second-main bus bar)212は、第2の主管電力を回路233および回路234に分配することができる。図2に示すような電気回路からは、様々な装置が電力を受け取ることができる。なお、複数の装置が単一の回路から電力を受け取ることもでき、いくつかの装置が第1の主管および第2の主管の両方を使用して電力を受け取ることもできるが、説明を明確にするために図2にはこれらの構成を示していない。
【0035】
電力モニタ150は、スマートプラグ145とのネットワーク接続を有することができ、スマートプラグ145に接続された装置155などの1または2以上の装置の電力消費量に関する情報を提供するスマートプラグ電力モニタリング信号をスマートプラグ145から受け取ることができる。従って、電力モニタは、装置155の電力消費量に関する情報を、(1)第1のセンサ231を介して取得される第1の主管電力モニタリング信号、および(2)スマートプラグ145から取得されるスマートプラグ電力モニタリング信号という2つのソースから受け取ることができる。
【0036】
図3A図3Cに、電力モニタ150が処理できる仮想的な第1の主管電力モニタリング信号301、第2の主管電力モニタリング信号302、およびスマートプラグ電力モニタリング信号303の例を示す。
【0037】
図3Aでは、第1の主管電力モニタリング信号301が、オーブントースタおよび白熱電球という2つの装置の状態変化に起因する電力事象を示す。オーブントースタおよび白熱電球は、いずれも建物の第1の電気の主管から電力を受け取る。図3Aでは、HE1で表記する電力事象が、オーブントースタの加熱素子がオンになることに対応し、HE0で表記する電力事象が、ストーブの加熱素子がオフになることに対応する(オーブントースタでは、ユーザには加熱素子がオンであるように見えるかもしれないが、オーブントースタは所望の温度を維持するために周期的に加熱素子をオンおよびオフに切り替えることができる)。I1で表記する電力事象は、白熱電球がオンになることに対応し、I0で表記する電力事象は、白熱電球がオフになることに対応する。
【0038】
電力事象310では、オーブントースタがオンになって加熱素子が電気を消費する。従って、第1の主管電力モニタリング信号301の電力使用量が増加する。電力事象320では、加熱素子がオンである間に白熱電球もオンになって電力使用量がさらに増加する。電力事象330、340、350および360では、加熱素子がオフ、オン、オフ、オンの順で切り替わっている。電力事象370では、白熱電球がオフになり、電力事象380では、オーブントースタがオフになって加熱素子が電気の消費を停止する。
【0039】
図3Bでは、第2の主管電力モニタリング信号302が、建物の第2の電気の主管から電力を受け取る装置の状態変化に起因する電力事象390を示す。たとえば、電力事象390は、電気自動車の充電に対応することができる。図3Aおよび図3Bにおいて状態を変化させる装置は、それぞれ単一の電気の主管から電力を受け取っているので、装置の状態変化に起因する電力事象は図3Aまたは図3Bの一方にしか現れない。両方の電気の主管から電力を受け取る装置(たとえば、電気ドライヤー)では、装置の状態変化に起因する電力事象が図3Aおよび図3Bの両方に現れることができる。
【0040】
図3Cは、図3Aのオーブントースタに接続されたスマートプラグから受け取られるスマートプラグ電力モニタリング信号303である。従って、オーブントースタの状態変化毎に、第1の主管電力モニタリング信号301およびスマートプラグ電力モニタリング信号303の両方に電力事象が現れる。
【0041】
オーブントースタに起因する電力事象は、両方の電力モニタリング信号(第1の主管およびスマートプラグ)に現れるが、これらの電力事象は、2つの電力モニタリング信号に異なる形で現れることができる。たとえば、これらの2つの電力モニタリング信号は、異なる電気的特性(たとえば、電流と電圧)を測定することができ、異なる読み取り値を生じる異なるタイプの物理的センサを使用することができ、ネットワーク送信またはその他の遅延に起因して時間的にシフトまたは変換されることがあり、(たとえば、異なるセンサ利得に起因して)異なる形でスケーリングされることがあり、或いは異なるサンプリングレートでデジタルサンプリングされることがある。たとえば、スマートプラグによっては、低サンプリングレートでは電力事象330、340、350および360がスマートプラグ電力モニタリング信号303に現れず、スマートプラグ電力モニタリング信号が電力事象310と電力事象380との間に比較的一定の値を有することができるものもある。
【0042】
電力モニタリング
電力モニタ150は、第1の主管電力モニタリング信号301および第2の主管電力モニタリング信号302(いずれも電力モニタリング信号と呼ぶことができる)を処理して装置を識別し、および/または装置の状態変化を判定することができる。いくつかの状態変化は、ある人物が装置をオンまたはオフに切り替えることに対応することができ、いくつかの状態変化は、装置の機能の変化(たとえば、加熱素子のサイクルまたは洗濯機の洗濯モードから脱水モードへの変化)に対応することができる。電力モニタ150は、米国特許第9,443,195号に記載されている方法のいずれかなどの、いずれかの適切な方法を使用して電力モニタリング信号から装置を識別し、装置の状態変化を判定することができる。
【0043】
いくつかの実装では、電力モニタ150が、数理モデルを使用して電力モニタリング信号を処理して装置を識別し、装置の状態変化を判定することができる。このようなモデルは電力モデルと呼ばれる。たとえば、電力モニタ150は、異なるタイプの装置(たとえば、ストーブ、食洗機、冷蔵庫など)、異なる型式の装置(たとえば、Kenmoreの食洗機、Maytagの食洗機など)、異なるバージョンの装置(たとえば、Kenmore1000食洗機)、および特定の装置(たとえば、100 Main St.の食洗機)のための電力モデルを有することができる。電力モニタ150は、装置がオンになる、装置がオフになる、または装置が別様に動作を変更する(食洗機の水ポンプがオンまたはオフに切り替わる)などの、特定の状態変化のための電力モデルを有することもできる。一般的には、Kenmore1000食洗機の「1000」は食洗機の「モデル」と呼ぶこともできるが、数理モデルとの混乱を避けるために、本明細書では食洗機の「モデル」を代わりに「バージョン」と呼ぶ。
【0044】
上述した電力モデルのいずれかなどの電力モデルを使用して電力モニタリング信号を処理すると、電力モデルは、電力モデルと電力モニタリング信号との間の一致を示すスコア(たとえば、確率、尤度、信頼度など)を生成することができる。電力モニタリング信号に(図3A図3Cの事象のうちのいずれかなどの)電力事象が発生した時には、その電力事象を含む電力モニタリング信号の一部を様々な電力モデルによって処理することができ、これらの電力モデルの各々がスコアを生成することができる。これらの電力モデルスコアを使用して家庭内の装置を識別し、および/または家庭内の装置の状態変化を判定することができる。
【0045】
いくつかの実装では、電力モニタリングが以下のように進行することができる。電力モニタリング信号を継続的に処理して、電力モニタリング信号の電力事象を識別することができる。電力事象検出コンポーネントが、装置の状態変化に対応する可能性が高い電気信号の変化を検出して、電力モニタリング信号のこれらの部分がさらに処理されるようにすることができる。電力事象検出コンポーネントは、分類器などのいずれかの適切な技術を使用して実装することができる。
【0046】
電力事象が検出された後には、特徴生成コンポーネントを使用して、電力事象を含む電力モニタリング信号の部分から特徴を生成することができる。米国特許第9,443,195号に記載されている特徴のうちのいずれかなどの、いずれかの適切な特徴を計算することができる。
【0047】
その後、1または2以上の電力モデルによって特徴を処理して装置を識別し、または電力事象に対応する装置の状態変化を判定することができる。遷移モデル、(本明細書では状態モデルとも呼ぶ)装置モデル、ワット数モデル、および米国特許第9,443,195号に記載されている従来のモデルなどの、いずれかの適切な電力モデルを使用することができる。たとえば、各電力モデルはスコアを生成することができ、最も高いスコアを有する電力モデルを選択することによって装置の状態変化を判定することができる。
【0048】
以下、電力モデルを使用して家庭内の装置を識別する方法について説明する。いくつかの実装では、電力モニタ150に、住宅内に存在する可能性が高い装置に対応する初期電力モデルセットを導入することができる。
【0049】
いくつかの実装では、電力モデルによって生成されたスコアが閾値を上回る場合に、電力モニタ150が装置を住宅内に存在するものとして識別することができる。たとえば、食洗機モデルは、食洗機が始動したことに対応する電力モニタリング信号の一部を処理した時に、閾値を上回るスコアを生成することができる。この閾値は、食洗機モデルに固有のものとすることも、または全ての電力モデルについて同じものとすることもできる。いくつかの実装では、スコアに加えてまたはスコアの代わりに信頼レベルを計算することもでき、信頼レベルが閾値を上回った時に装置が識別される。
【0050】
いくつかの実装では、装置を識別する前にさらなる基準を考慮することができる。たとえば、電力モニタ150は、異なるタイプの食洗機(たとえば、通常の食洗機およびエネルギー効率のよい食洗機)に対応する複数の食洗機電力モデルを有することができ、或いは異なる型式の食洗機のための電力モデルが存在することもできる。食洗機の始動に対応する電力モニタリング信号を処理すると、複数の食洗機モデルが閾値を上回るスコア(または信頼レベル)を生成することがある。複数の食洗機を識別するのではなく、閾値を上回る最も高いスコアのモデルに対応する単一の食洗機を識別することができる。たとえば、電力モニタ150は、Kenmoreの食洗機およびBoschの食洗機のための電力モデルを有することができる。各モデルが閾値を上回るスコアを生成することもあるが、Kenmoreモデルのスコアの方がBoschモデルのスコアよりも高いことがある。従って、Kenmoreの食洗機を識別することができる。
【0051】
いくつかの実装では、装置が識別された後に、さらなる電力モデルを使用して電力モニタ150を更新することができる。たとえば、住宅内に食洗機が存在すると判定された後に、最も一般的な型式の食洗機に対応する電力モデルを電力モニタ150に追加することができる。その後、異なる型式の食洗機のための電力モデルを使用して電力モニタリング信号を処理し、最も高いスコアの電力モデルを使用して住宅内の食洗機の型式を識別することができる。このプロセスを繰り返して、食洗機のバージョン(たとえば、Kenmore1000食洗機)などの追加情報を決定することができる。
【0052】
住宅内の装置が識別された後に、電力モニタ150は、電力モニタリング信号を処理して、識別された装置の状態変化を判定することができる。電力モニタ150は、特定の装置のための電力モデルを有することに加えて装置の特定の状態変化のためのモデルを有することもでき、これらのモデルを使用して、装置がいつ状態を変化させたかを判定することができる。
【0053】
上述したように、装置の状態変化のための電力モデルを使用して電力モニタリング信号を処理して、考えられる状態変化のスコアを生成することができる。スコア(または信頼レベル)が閾値を上回る場合、電力モニタ150は、モデルに対応する状態変化が発生したと判定することができる。たとえば、電力モニタ150は、食洗機の始動動作および終了動作のための電力モデルを有することができる。食洗機の始動のための電力モデルが閾値を上回るスコアを生成した場合、電力モニタ150は、食洗機が始動したと判定することができる。同様に、食洗機の終了のための電力モデルが閾値を上回るスコアを生成した場合、電力モニタ150は、食洗機がそのサイクルを終了したと判定することができる。
【0054】
状態変化を判定するための電力モデルは、装置を識別するための電力モデルと同じものである必要はなく、状態変化を判定するために使用される閾値は、装置を識別するために使用される閾値と同じものである必要はない。モデルおよび閾値は、精度とエラー率との間の所望のトレードオフが得られるように調整することができる。
【0055】
上述した装置を識別するための動作および装置の状態変化を判定するための動作の態様は、電力モニタ150の代わりに他のコンピュータ(たとえば、電力モニタと共に動作するサーバコンピュータ)が実行することもできる。たとえば、いくつかの実装では、電力モニタ150が別のコンピュータ(たとえば、サーバ)に電力モニタリング信号を供給し、この他のコンピュータが装置および状態変化を識別することができる。いくつかの実装では、他のコンピュータが装置を識別し、電力モニタ150が装置の状態変化を判定することもできる。
【0056】
ネットワークモニタリング
いくつかの実装では、電力モニタ150を住宅内のコンピュータネットワークに接続することができる。たとえば、電力モニタ150は、住宅内のルータへの有線接続(たとえば、LANイーサネット)、ネットワークへの無線接続(たとえば、Wi-Fi)、または他の装置との直接ネットワーク接続(たとえば、Bluetooth)を有することができる。これらの実装では、電力モニタ150がネットワークモニタでもあるが、説明を明確にするために、以下の説明では引き続き電力モニタという用語を使用する。電力モニタ150は、米国特許第9,699,529号に記載されている方法のいずれかなどの、いずれかの適切な方法を使用してネットワークデータから装置を識別し、装置の状態変化を判定することができる。
【0057】
電力モニタ150は、コンピュータネットワークを介して送信されたデータを使用して住宅内の装置について学習することができる。たとえば、電力モニタ150は、他の装置からの同報メッセージをリスンし、他の装置にポーリングを行い、或いは他の装置によって生成されたネットワークデータをリスンすることができる。いくつかの実装では、電力モニタ150が、住宅外のネットワークを介して住宅内の他の装置について間接的に学習することができる。たとえば、住宅内の装置は、この装置と共に動作するサードパーティサーバに情報を送信することができ、サードパーティサーバは、電力モニタ150と共に動作するサーバに情報を送信することができる。これらの各方法を使用して住宅内の装置を識別し、装置の状態変化(たとえば、装置がオンまたはオフのいずれであるか)を判定することができる。
【0058】
いくつかの実装では、住宅内の装置が、装置自体に関する情報を含むデータを送信することができる(たとえば、同報メッセージまたはポーリングへの応答)。たとえば、ネットワーク送信は、状態(たとえば、装置がオンになったばかりである、またはオフになる予定である)、装置が提供するサービス、ユーザ割り当て名(たとえば、「JohnのMac」)、型式、ハードウェアバージョン、ソフトウェアバージョン、ネットワークアドレス(たとえば、IPアドレス)、識別番号(たとえば、MACアドレス、装置のシリアル番号、汎用一意識別子、グローバル一意識別子または一時的識別子)、またはその他の情報(たとえば、(Zeroconfサービス名などの)プロトコル固有の識別、またはSSDPプロトコルと共に使用されるリソースロケータ)、のうちのいずれかを含むことができる。
【0059】
電力モニタ150は、他の装置(放送機器)からの同報メッセージをリスンすることによって、別の装置に関する情報を学習することができる。いくつかの装置は、装置がネットワーク上の他の装置に提供するサービスまたは能力を通知する情報をネットワーク全体にわたって同報通信するように構成することができる。たとえば、あるテレビは、テレビが表示するビデオコンテンツを他の装置(たとえば、電話機またはパーソナルコンピュータ)がテレビにストリーミングできるサービスを提供することができ、このサービスが利用可能であることを他の装置が知るようにネットワークにメッセージを同報通信することができる。
【0060】
この同報メッセージからの情報を使用して、住宅内の装置を識別することができる。たとえば、このメッセージは、装置を説明するテキストまたは識別子などの、装置を識別するために使用できるデータを含むことができる。同報メッセージから情報を使用して、装置の状態を判定することもできる。たとえば、サービス利用可能性の通知は装置がオンであることを示すことができ、サービス撤回の通知は装置がオフであることを示すことができる。いくつかの実装では、同報メッセージが装置に関する何らかの情報を提供することができ、電力モニタ150は、この同報メッセージを受け取ると、装置にポーリングを行って装置の状態に関する追加情報を取得することができる。たとえば、あるネットワークスピーカシステムは、サービスが利用可能である旨を同報通信することができ、すると電力モニタ150は、ネットワークスピーカシステムにポーリングを行って、このネットワークスピーカシステムが現在音楽を再生中であること、および再生中の音楽に関する情報(たとえば、楽曲名、音量など)を発見することができる。
【0061】
電力モニタ150は、ポーリング技術を使用して別の装置に関する情報を学習することもできる。装置へのポーリングは、いずれかの適切なポーリング技術を使用して行うことができる。いくつかの実装では、上述した同報通信技術がポーリングを可能にすることもできる。たとえば、SSDPは、ある装置がネットワーク上の他の装置にポーリングを行って、これらの装置がどのようなサービスを提供しているかを判定できるようにすることができ、これらの装置は、上述した同報メッセージと同様のメッセージで応答することができる。いくつかの実装では、インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)pingまたはアドレス解決プロトコル(ARP)pingなどの低水準プロトコルポーリングを使用することもできる。
【0062】
ポール応答からの情報を使用して住宅内の装置を識別することもできる。たとえば、ポール応答は、装置を説明するテキストまたは識別子などの、装置を識別するために使用できるデータを含むことができる。ポール応答を使用して装置の状態を判定することもできる。たとえば、ポール要求に対する応答が無いことは、装置がオフであることを示すことができ、応答は、装置がオンであることを示すことができ、応答内の情報は、追加情報(たとえば、再生中の楽曲)を提供することができる。
【0063】
電力モニタ150は、装置が他の装置に送信したネットワークデータをモニタすることによって、別の装置に関する情報を学習することもできる。いくつかの実装では、個々の装置モニタリングを、ユーザによる明示的なオプトインと共にのみ使用することができ、或いは過度に多くの情報が収集されるのを避けるために、または機密情報が収集されるのを避けるために、個々の装置モニタリングがネットワークパケットヘッダのみを使用する(そして、パケット本体を使用しない)こともできる。電力モニタ150は、ネットワークパケットを受動的に受け取ることなどによって、このネットワークデータをネットワーク上で受動的に受け取ることができる。
【0064】
電力モニタ150は、受信データを処理して、モニタされる装置に関する情報を決定することができる。この受信データ内の装置を説明するテキストまたは識別子などの情報を使用して装置を識別することができる。受信データを使用して装置の状態を判定することもできる。たとえば、装置がデータを送信中であるという事実は装置がオンであることを示し、装置が一定期間にわたって全くデータを送信しない場合には装置がオフであると判定することができる。
【0065】
いくつかの実装では、電力モニタ150が、サードパーティ装置の公的に利用可能なAPIに関する情報を有することができ、これらのAPIを使用して、このようなサードパーティ装置が住宅内に存在するかどうかを判定することができる。たとえば、電力モニタ150は、NestサーモスタットAPIを使用して定期的に要求を送信して、住宅内にNestサーモスタットが存在するかどうかを判定することができる。住宅内にNestサーモスタットが存在すると判定された後には、さらに頻繁にポーリングを行ってNestサーモスタットの状態または暖房/冷房システムの状態を判定することができる。これらのAPIは、たとえば住宅の温度、ユーザによる所望の温度設定、或いは暖房システムまたは冷房システムの状態(たとえば、現在ボイラーが作動中であるかどうか、またはボイラー動作の開始および停止時刻)を他の装置が判定することを可能にすることができる。電力モニタ150は、専門のAPIを使用して装置に問い合わせを行うことで、装置自体(たとえば、Nestサーモスタット)およびこの装置に接続されている他の装置(たとえば、ボイラー)の状態を判定することができる。
【0066】
いくつかの実装では、電力モニタ150が、本明細書では通知装置と呼ぶサードパーティ装置によって送信された通知に同意することができる。通知装置は、他の装置に(たとえば、定期的にまたは状態変化時に)通知を送信して、他の装置がAPIを使用して通知を受け取ることに署名できるように構成することができる。電力モニタ150は、通知装置が住宅内に存在すると判定すると、装置からの通知を受け取ることに同意することができる。電力モニタ150は、通知装置が存在することを知らずに通知装置から通知を受け取るための要求を送信し、通知装置が存在する場合には、通知を受け取ることに同意することができる。いくつかの通知装置は、ユーザの支援を必要とするペアリング手順を有することができ、電力モニタ150は、ユーザ名およびパスワードを受け取って通知装置とペアリングを行うことなどの、ペアリングプロセスを支援する入力をユーザから受け取るように構成することができる。
【0067】
他のサードパーティ装置は、スマートスイッチ340またはスマート電球(たとえば、Phillips HueまたはBelkin Wemo)などの接続先のまたは制御対象の装置に関する情報を提供することもできる。スマートスイッチは、他の装置によるスマートスイッチとの相互作用を可能にするAPIを有することができ、電力モニタ150は、このAPIを使用して、スイッチの状態、従ってスマートスイッチに接続された装置が電力を消費しているかどうか(たとえば、装置がオンである、装置がオフである、または調光型スイッチが40%のところにある)を判定することができる。他の例としては、暖房または冷房システムを制御して暖房または冷房システムの状態に関する情報を含むネットワークパケットを送信できるスマートサーモスタット、照明(たとえば、LED照明)を制御して照明の状態に関する情報を含むネットワークパケットを送信できる装置、スピーカを制御してスピーカの状態に関する情報を含むネットワークパケットを送信できる装置、プラグに接続された装置への電力の流れを制御して電力の流れが接続装置に対して有効であるか否かに関する情報を含むネットワークパケットを送信できるネットワーク接続プラグ、或いは電気自動車を充電して自動車の電力消費量に関する情報を含むネットワークパケットを送信できる自動車充電器が挙げられる。
【0068】
いくつかの実装では、電力モニタ150が、住宅内のサードパーティ装置と共に動作するサードパーティサーバなどの住宅外部のサーバを介して住宅内の装置に関する情報を受け取ることができる。電力モニタ150は、電力モニタサーバと共に動作することができ、住宅内のサードパーティ装置は、サードパーティサーバと共に動作することができる。たとえば、Nestサーモスタットは、サーモスタットまたは住宅の暖房/冷房システムの状態に関する情報をNest社が運営するサーバに送信することができる。サードパーティサーバは、ユーザが、たとえば電力モニタサーバまたはサードパーティサーバのAPIを使用して、サードパーティサーバから電力モニタサーバへの情報送信を引き起こす構成情報を提供することを可能にすることができる。たとえば、Nestサーバは、定期的にまたはサーモスタットの状態が変化した時(または暖房/冷房システムの状態が変化した時)などに、住宅内のNestサーモスタットから受け取った情報を電力モニタサーバに送信することができる。いくつかの実装では、電力モニタサーバが、サードパーティサーバから通知を受け取る代わりに、サードパーティ装置に関する情報を求める要求をサードパーティサーバに送信することができる。いくつかの実装では、サードパーティ装置が電力モニタサーバと直接通信することができ、または電力モニタ150がサードパーティサーバと直接通信することができる。
【0069】
いくつかの実装では、装置からのネットワーク送信において受け取られた情報を使用して、装置に関するさらなる情報を取得することができる。たとえば、ネットワーク送信は、媒体アクセス制御(MAC)アドレスなどの一意の識別子を含むことができる。一意の識別子を使用して、この一意の識別子を使用する装置に関する情報のデータストアまたはリポジトリを使用して装置に関する追加情報を決定することができる。データストアは、一意の識別子に基づいて、装置のタイプ、型式および/またはバージョンに関する情報を提供することができる。たとえば、MACアドレスでは、連続するMACアドレスのブロックが、装置のタイプ(たとえば、テレビ)、メーカー、または装置のバージョン(たとえば、特定のモデルのテレビ)に固有のものとなり得る。いくつかの実装では、サードパーティサービスなどを通じてMACアドレス情報のデータストアを利用することができ、MACアドレスを使用して装置に関する情報を取得することができる。装置に関する情報を識別子から取得するには、識別子のデータストアを作成し、購入し、または(たとえば、サードパーティサーバを使用して)これにアクセスすることができる。
【0070】
いくつかの実装では、スマートフォンなどのユーザ装置を使用して住宅内の装置に関する情報を決定することができ、スマートフォンがこの情報を電力モニタ150に中継することができる。たとえば、あるスピーカ(たとえば、ポータブルBluetoothスピーカ)は、ネットワーク装置115とのネットワーク接続を有しておらず、代わりにBluetoothネットワークなどの別のネットワークを使用して他の装置と通信することができる。スピーカが電力モニタ150から遠すぎて、電力モニタがスピーカのネットワークを検出できないこともある。電話機170などのユーザ装置をスピーカと同じ部屋に持ち込むと、電話機170は、直接ネットワーク接続を使用してスピーカの存在および/またはスピーカの動作状態を判定することができる。その後、電話機170は、スピーカの存在および/または動作状態に関する情報を電力モニタ150または電力モニタ150と共に機能するサーバに中継することができる。
【0071】
いくつかの実装では、ネットワークモデルを使用してネットワークデータを処理することによって装置を識別し、または装置の状態を判定することができる。ネットワークモデルは、分類器、ニューラルネットワーク、自己組織化マップ、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、ベイズモデル、線形および非線形回帰、並びに混合ガウスモデルなどのいずれかの適切な数理モデルを含むことができる。ネットワークモデルは、ネットワーク送信から取得されたデータを入力として受け取り、装置の識別または装置の状態変化を任意のスコアと共に出力することができる。たとえば、ネットワークモデルは、同報メッセージ、装置から受け取られたポール応答に関する情報(またはその欠如)、またはその装置によって生成されたネットワークデータに関する情報を受け取ることができる。いくつかの実装では、ネットワークモデルが、ネットワーク送信のヘッダのみを受け取ることも、またはネットワーク送信から全てのデータを受け取ることもできる。
【0072】
いくつかの実装では、ネットワークモデルを使用して、装置によって同報通信されたメッセージを使用して装置を識別し、または装置の状態を判定することができる。たとえば、ある装置は、オフになる前に特定数および/または特定タイプのメッセージを送信し、スリープモードに入る時には異なる数および/またはタイプのメッセージを送信することができる。装置がまさにオフになろうとしている時の予想メッセージを記述する第1のネットワークモデルを作成し、装置がまさにスリープモードに入ろうとしている時の予想メッセージを記述する第2のネットワークモデルを作成することができる。装置から同報メッセージを受け取ると、両ネットワークモデルを使用してメッセージを処理して各ネットワークモデルのスコアを生成し、最も高いスコアのネットワークモデルによって状態遷移を判定することができる。
【0073】
上述したネットワーク送信の別の態様を記述するネットワークモデルを作成することもできる。たとえば、装置がポール要求に応答する頻度、およびポール要求の送信と応答の受信との間の予想遅延時間を記述するネットワークモデルを作成することができる。別の例では、特定の状態にある装置の予想されるネットワーク送信を記述するネットワークモデルを作成し、装置のネットワーク送信を受動的にモニタする際にこのネットワークモデルを適用することができる。
【0074】
いくつかの実装では、ルールに基づくアプローチを使用して住宅内の装置を識別し、または装置の状態を判定することもできる。電力モニタ150(または電力モニタと共に動作するサーバ)は、装置のタイプ、装置の型式または装置のバージョンを識別するために作成されたルール、装置の状態変化を判定するためのルール、および装置の他の態様を判定するためのルールを有することができる。装置からの同報メッセージの処理、装置へのポーリング、または装置によって生成されたネットワークデータのモニタリングなどの、上述した方法のうちのいずれかのためのルールを作成することもできる。
【0075】
いくつかのルールは、ルールの条件が満たされているか否かを示すブール値を出力することができる。たとえば、ネットワークデータを送信した装置がテレビであるかどうかを判定するルールを作成し、ルールの条件が満たされた場合には、装置がテレビであると判定することができる。いくつかのルールは、たとえばネットワークデータとルールとの間の一致を示す1~100の段階のスコアを出力することができる。たとえば、ネットワークデータを送信した装置がテレビであるかどうかを判定するルールを作成し、ルールによって生じたスコアを使用して、このスコアを閾値と比較し、またはこのスコアを本明細書で説明したような他のスコアと組み合わせることなどによって判定を行うことができる。
【0076】
判定を行うためのルールは、複数存在することもできる。たとえば、ネットワークデータを送信した装置がテレビであるかどうかを判定するルールが複数存在し、これらのルールのうちのいずれか1つが満たされた場合、装置がテレビであると判定することができる。
【0077】
ネットワーク送信におけるいずれかのデータまたはネットワーク送信に関連するデータをルールへの入力として使用することができる。たとえば、ネットワーク送信から抽出された(ネットワークアドレス、識別子、ヘッダ、文字列などの)情報をルールへの入力として使用することができる。ネットワーク送信が受け取られた時間などの、ネットワーク送信内には存在しないがネットワーク送信に関連する情報を使用することもできる。
【0078】
いくつかの実装では、あるルールが、ルールに対応するために満たす必要がある1または2以上の条件を含むことができる。たとえば、ある条件は、等しくない、等しい、より大きいまたはより小さいなどの、データのあらゆる比較を含むことができる。ルールは、限定するわけではないがブール代数を用いた組み合わせを含む条件のあらゆる組み合わせを採用することができる。ルールの例としては、AFP、HTTPおよびSSHを含むZerconfサービスを同報通信する装置がApple Macコンピュータであること、NetBIOS STATUSポール要求の一部として戻される構造化データがユーザに見えるホスト名を提供すること、DHCP要求を行うそれまで知られていないMACアドレスを有する装置が初めてネットワークに参加する新たな装置であること、および装置のベンダーが既知のMACアドレスベンダープレフィックスを使用して判別されること、が挙げられる。
【0079】
いくつかの実装では、装置フィンガープリント法を使用してネットワーク上の装置を識別することができる。装置フィンガープリントは、MACコンピュータ、WindowsコンピュータおよびLinuxコンピュータなどの既知の装置、また場合によってはそれぞれの異なるオペレーティングシステムバージョンについて作成することができる。フィンガープリントは、たとえば異なるプロトコルおよびポート番号を使用して(たとえば、Nmapなどのプログラムを使用して)各装置に複数の要求を送信することによって作成することができる。各装置の応答を記録して、各装置のフィンガープリントを作成することができる。装置フィンガープリントを作成する際には、装置によって同報通信されたネットワークプロトコルの数およびタイプ、同報通信挙動、異なるタイプの同報通信の回数または頻度、またはネットワーク送信に使用されたパラメータ(たとえば、TCPウィンドウサイズ)などのいずれかの適切なデータを使用することができる。
【0080】
住宅内の未知の装置については、その装置に同様の要求を送信し、応答を使用して未知の装置のフィンガープリントを作成することができる。この未知の装置のフィンガープリントを既知の装置のフィンガープリントと比較して、未知の装置に関する情報を決定することができる。たとえば、未知の装置のフィンガープリントがMACラップトップのフィンガープリントと密接に一致する場合には、未知の装置をMACラップトップとして識別することができる。いくつかの実装では、アドレス解決プロトコル(ARP)を使用してネットワーク上の装置を識別した後に、上述した方法を使用して、識別された各装置のフィンガープリントを採取することができる。
【0081】
上述したネットワークデータを用いた装置の識別方法または装置状態の判定方法では、いずれもデータと識別された装置または状態変化との間の一致を示すスコアを生成することができる。たとえば、同報メッセージにルールを適用すると、80%のスコアでToshibaのテレビであり、または60%のスコアでSonyのテレビであると判定することができる。以下でさらに詳述するように、これらのネットワークモデルによって生成されたスコアは、電力モデルによって生成されたスコアと組み合わせることができる。
【0082】
電力モニタリングとネットワークモニタリングとの組み合わせ
図4に、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングの一方または両方を使用してユーザに家庭内の装置に関する情報を提供するシステム400を示す。図4では、電力モニタ150が、上述した機能のうちのいずれかを有することができる。たとえば、電力モニタ150は、住宅内における装置の存在を識別することができ、住宅内の装置の状態を判定することができ、住宅内の装置の電力消費量を求めることができる。電力モニタ150は、いずれかの既知のネットワーク技術を使用して、家庭内の装置に関する情報をサーバ410に送信することができる。たとえば、電力モニタは、サーバ410に接続するルータへの無線接続を有することができる。
【0083】
サーバ410は、電力モニタ150から受け取った情報を処理し、ユーザ装置440などを通じてユーザに情報を提示することができる。サーバ410は、家庭内の装置の装置リストを維持し、この装置リストを新たに識別された装置または最新の装置の状態で更新することができる。さらに、サーバ410は、装置の状態変化のログを記録し、住宅および個々の装置の電力消費量の履歴を記録し、米国特許第9,443,195号に記載されている他の動作のうちのいずれかを実行することができる。サーバ410は、いくつかの動作を実行するために、サードパーティサーバ430および装置情報データストア420などの他のリソースにアクセスすることができる。
【0084】
ユーザは、ユーザ装置440を使用して住宅内の装置に関する情報を取得することができる。ユーザ装置440は、以下に限定するわけではないが、電話機、タブレット、デスクトップコンピュータおよびウェアラブル装置を含む、ユーザに情報を提供するいずれかの装置とすることができる。ユーザ装置440は、たとえば装置の状態変化およびリアルタイム電力使用に関する情報をユーザに提示することができる。たとえば、ユーザ装置440がユーザにウェブページ提示することもでき、或いはユーザ装置440に専用のアプリを導入することもできる。ユーザ装置440によって提示される情報は、米国特許第9,443,195号に記載されている情報のうちのいずれかを含むことができる。
【0085】
ユーザに家庭内の装置に関する情報を提供するために、家庭内の装置のリストを維持することができる。図5に、装置リスト例500を示す。装置のリストは、以下に限定するわけではないが、(その家庭、またはサービスを提供する企業が知っている全ての装置に特有のものとすることができる)装置ID、名称(たとえば、ユーザが指定した名称)、タイプ、型式、バージョン、装置の状態変化を識別するために使用される1または2以上の電力モデル、ネットワークID(たとえば、ネットワークアドレス、またはMACアドレスなどのその他の識別子)、装置の状態変化を識別するために使用される1または2以上のネットワークモデル、装置に電力を供給する主管(たとえば、第1、第2、両方、または(たとえば、異なる電源コンセントに接続できるポータブル装置については)一方)、装置が接続されているスマートプラグの識別子(または装置がスマートプラグに接続されていない旨の標識)、および装置の状態を含む、家庭内の装置に関するいずれかの情報を含むことができる。
【0086】
装置リスト500は、1または2以上の位置に記憶することができる。たとえば、装置リスト500は、電力モニタ150、サーバ410、装置情報データストア420またはユーザ装置440のうちの1つまたは2つ以上に記憶することができる。異なる位置には、その位置での処理に対応する異なるバージョンの装置リストを記憶することができる。たとえば、電力モニタ150は、装置の状態変化を判定するために不要な場合もあるという理由で、装置の名称、タイプ、型式またはバージョンを記憶しないことができる。ユーザ装置440は、装置の状態変化を判定しないこともあるという理由で、電力モデルおよびネットワークモデルに関する情報を記憶しないことができる。
【0087】
図1では、電力モニタ150が、1または2以上の電力モニタリング信号およびネットワークデータを処理して家庭内の装置を識別し、家庭内の装置の状態変化を識別することができる。電力モニタ150は、住宅110に供給される電力の電気的特性を測定するセンサ130から1または2以上の電力モニタリング信号を受け取ることができる。電力モニタ150は、ネットワーク装置115を介して住宅110内のネットワークにも接続される。電力モニタ150は、(点線によって示すように)ネットワーク装置115を介して他の装置からネットワークデータを受け取ることも、或いは(図1には示していない)他の装置から直接ネットワークデータを受け取ることもできる。
【0088】
家庭内のいくつかの装置については、装置または装置の状態変化を識別する際に、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングのいずれか一方または両方が期待よりも不正確でありまたは高いエラー率を有することがある。電力モニタリングおよびネットワークモニタリングの両方を協調的にまたは同時に使用することにより、装置または装置の状態変化を識別する性能を高めることができる。電力モニタリングとネットワークモニタリングの同時実行は、スコア、ルールまたは投票技術(voting techniques)を組み合わせることなどの、以下でさらに詳述するようないずれかの適切な方法を使用して行うことができる。
【0089】
いくつかの実装では、電力モニタ150の動作が、ユーザが住宅内の装置に関する情報を見るためにユーザ装置440と相互作用しているかどうかによって変化することができる。ユーザがユーザ装置440を使用して家庭内の装置に関する情報を見ている場合には、家庭内の装置に関する情報を見ているユーザがいない時よりも素早く新たな装置または装置の状態変化を識別することが望ましいと考えられる。
【0090】
ユーザがユーザ装置440を使用して家庭内の装置に関する情報を見始めると、ユーザ装置440は、サーバ410とのネットワーク接続を確立することができ、サーバ410は、装置に関する情報をユーザ装置440に送信することができる。サーバ410は、電力モニタ150との(直接的なまたは間接的な)ネットワーク接続を有することもできる。従って、サーバ410は、電力モニタ150に情報を送信して電力モニタ150の動作変更を引き起こすことができる。電力モニタ150のいずれかの動作を変化させて、エンドユーザのユーザ体験を改善することができる。いくつかの実装では、電力モニタ150が、新たな装置および新たな装置の状態変化をより素早く識別するように動作を変更することができる。たとえば、電力モニタは、住宅内の他の装置にポーリングを行うために使用されるポーリング頻度を高めることができる。装置に関する情報を見ているユーザがいない場合には、アップデートを確認するのに5分のポーリング頻度で十分と考えられる。ユーザが装置に関する情報を見始めると、より素早くアップデートを確認できるようにポーリング頻度を高める(たとえば、10秒)ことができる。
【0091】
図1および図2のコンポーネントの配置および特定の機能は、本明細書で説明する方法をどのように実行できるかについての一例を示すものにすぎず、他の構成も可能である。たとえば、電力モニタ150は、サーバ410の動作の一部または全部を実行することもでき、ユーザ装置440に直接情報を提供することもできる。別の例では、電力モニタ150が、ユーザ装置440の機能の一部または全部を含むこともでき、ユーザが電力モニタ150と直接相互作用して装置事象および電力消費量に関する情報を取得することもできる。
【0092】
装置の識別
電力モニタ150が最初に家庭内に導入されると、家庭内の装置の装置リストを作成することができる。いくつかの実装では、空の装置リストを作成することができる。いくつかの実装では、家庭内の1または2以上の人々からの入力に基づく装置で装置リストを初期化することができる。たとえば、ユーザは、住宅内の装置のタイプ、型式および/またはバージョンのうちのいずれかを指定することができる。
【0093】
電力モニタ150は、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングの一方または両方を使用して、本明細書で説明した方法のいずれかを使用して装置リスト内の装置を追加または更新することができる。装置は、電力モニタによって識別された後に装置リストに追加することができ、装置リスト上の装置は、これらに関する追加情報が決定された時にさらに更新することができる。たとえば、電力モニタ150は、最初に住宅内に食洗機が存在すると判定し、その後に住宅内にKenmore1000食洗機が存在すると判定することができる。
【0094】
いくつかの実装では、電力モニタ150が、電力モニタリング信号の電力事象を処理したことに応答して、装置リストに複数の装置を追加することができる。たとえば、2つの電力モデルが閾値を上回るスコアを生じた場合には、各電力モデルに対応する装置を装置リストに追加することができる。いくつかの実装では、電力モデルによって生じたスコアも同様に装置リストに含めることができる。
【0095】
電力モニタ150は、ネットワークデータを処理して住宅内の装置を識別し、これらを装置リストに追加することもできる。たとえば、電力モニタ150は、上述した方法のうちのいずれかを使用して住宅内のネットワークに接続されている装置に関する情報を取得し、その後に住宅の装置リストに装置を追加することができる。
【0096】
いくつかの実装では、電力モニタ150が、ネットワークデータ送信を処理したことに応答して、装置リストに複数の装置を(任意にスコアと共に)追加することができる。たとえば、同報メッセージを処理したことに応答して、Toshibaのテレビを第1のスコアと共に装置リストに追加し、Sonyのテレビを第2のスコアと共に装置リストに追加することができる。
【0097】
装置リスト上の装置のスコアは、時間の経過と共に更新することができる。たとえば、第1の電力事象を処理することで、第1の装置および第2の装置を対応するスコアと共に装置リストに追加することができる。その後の時点で、電力モニタ150は第2の電力事象を処理して、第1および第2の装置の第2のスコアの組を生成することができる。この第2の電力事象を使用して生成された第2のスコアの組を使用して、装置リスト上の第1および第2の装置の全体的スコアを更新することができる。
【0098】
同様に、後の時点におけるネットワークデータ送信を使用して装置リスト上の装置のスコアを更新することもできる。たとえば、第1のネットワーク送信を処理したことに基づいて、第1および第2の装置を対応するスコアと共に装置リストに追加することができる。その後の時点で、電力モニタ150が第2のネットワーク送信を処理して、第1および第2の装置の第2のスコアを生成することができる。上述したように、この第2の電力送信を使用して生成された第2のスコアの組を使用して、装置リスト上の第1および第2の装置の全体的スコアを更新することができる。
【0099】
いくつかの実装では、装置リストの装置が、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングの両方を使用して生成されたスコアを有することができる。ある電力事象を処理した後に、第1の装置を対応するスコアと共に装置リストに追加することができる。その後、第1のネットワーク送信を処理することによって第1の装置のスコアを更新することができる。電力事象の処理およびネットワーク送信事象の処理のいずれかの組み合わせによって、装置リスト上の装置の全体的スコアを生成することができる。
【0100】
スコアは、いずれかの適切な方法を使用して組み合わせることができる。いくつかの実装では、装置の全体的スコアを、その装置について生成された全ての個々のスコアの平均とすることができる。いくつかの実装では、スコア毎に分散を求め、スコアを正規化(たとえば、Zスコア化)してから組み合わせることができる。
【0101】
いくつかの実装では、電力モニタが、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングを両方同時に使用して装置を識別することができる。送電線に接続されていてネットワーク接続を有する装置については、装置が状態変化の頃に電力モニタリング信号の電力事象を引き起こし、ネットワークを介してデータを送信することができる(ネットワーク事象)。電力モニタ150は、電力事象およびネットワーク事象を両方同時に処理して装置を識別することもできる。
【0102】
電力事象およびネットワーク事象は、いずれの順番で現れることもできる。たとえば、電力事象は、テレビがオン作動することに対応することができ、ネットワーク事象は、その後にテレビによる同報メッセージがサービスの利用可能性を通知することに対応することができる。別の例では、ユーザがテレビをオフにすることができ、ネットワーク事象は、同報メッセージがサービスを撤回することとすることができ、電力事象は、その後にテレビがオフになることに対応することができる。
【0103】
電力モニタ150は、電力事象を処理している時に電力事象に時間的に近い(たとえば、1秒以内などの一定の時間間隔内の)ネットワーク事象を探し、これらを同時に処理することができる。たとえば、電力モニタ150は、電力事象の時点とネットワーク事象の時点との間の差分が閾値未満であるネットワーク事象を処理することができる。同様に、電力モニタ150は、ネットワーク事象を処理している時に、ネットワーク事象に時間的に近い電力事象を探すこともできる。
【0104】
いくつかの実装では、電力モニタ150が電力事象を処理して、対応する電力モデルのスコアを生成することができる。その後、電力モニタ150は、電力事象に時間的に近いネットワーク事象を探し、このネットワーク事象からの情報を使用して、電力モデルによって生成されたスコアを調整することができる。たとえば、最も高い2つのスコアの電力モデルがToshibaのテレビおよびSonyのテレビのものであり、これらのスコアが互いに近いものとする。あるネットワーク事象が電力事象の直後に発生し、このネットワーク事象がToshibaのテレビに対応するものとする。電力モニタ150は、このネットワーク事象を使用してToshibaのテレビを識別するためのスコアを高めた後にToshibaのテレビを識別し、これを装置リストに追加することができる。
【0105】
電力事象とネットワーク事象との間の時間差を使用して装置を識別することもできる。ある装置は、電力事象を引き起こした後に一貫した遅延を伴ってネットワーク事象を送信することができ、或いは逆もまた同様である。たとえば、あるテレビは、オン作動すると、電力事象を引き起こした約3.5秒後に一貫してネットワーク事象を送信する(たとえば、サービスを同報通信する)ことができる。電力事象およびネットワーク事象のタイミングは、本明細書で説明する識別方法のいずれかと共に使用できる特徴とすることができる。
【0106】
いくつかの実装では、電力事象に関する情報およびネットワーク事象に関する情報の両方を入力として受け取った後に入力と装置との間の一致を示すスコアを生成する装置識別モデルを使用することができる。たとえば、装置識別モデルは、装置のタイプ、装置の型式、または装置のバージョンについて作成することができる。いくつかの実装では、電力モニタ150が、各装置識別モデルのスコアを計算し、最も高いスコアを有する装置識別モデルを選択し、この最もスコアの高い装置識別モデルを使用して装置を識別することができる。装置識別モデルは、ニューラルネットワーク、自己組織化マップ、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、ベイズモデル、線形および非線形回帰、並びに混合ガウスモデルなどのいずれかの適切な分類法を使用して作成することができる。
【0107】
いくつかの実装では、スコアに加えて信頼レベルを計算し、装置を装置リストに追加すべきかどうか、或いは装置リスト内の装置に関する情報を更新すべきかどうかを判定する際にこの信頼レベルを使用することもできる。たとえば、1つのスコアのみが閾値を上回り、このスコアが他の全てのスコアよりも大幅に高い場合、信頼レベルは高いものとなり得る。複数のスコアが閾値を上回る場合、閾値を上回るスコアが存在しない場合、または最も高いスコアが2番目に高いスコアに近い場合、信頼度は低くなり得る。いずれかの適切な方法を使用して、最もスコアの高い装置の状態変化の信頼レベルを決定することができる。最もスコアの高いモデル(たとえば、電力モデル、ネットワークモデルまたは装置識別モデル)の信頼レベルが低い場合には、装置リストを更新しないこともできる。
【0108】
装置を装置リストから削除することもできる。たとえば、ユーザは、装置リストを見直して、住宅内に存在しない装置を削除することができる。装置を装置リストから自動的に削除することもできる。たとえば、装置が閾値期間よりも長い期間にわたって識別されていない場合、装置の全体的スコアが閾値未満である場合、或いは装置を別の装置と区別するのに十分なデータが取得済みである(たとえば、テレビがToshibaのテレビであってSonyのテレビではないと確信を持って判定するのに十分なデータが収集済みである)場合に、これらの装置を削除することができる。
【0109】
上述した方法は、電力モニタリングとネットワークモニタリングとの組み合わせを使用して、電力モニタリングのみに基づく方法よりも建物内の装置の識別を向上させる。装置の中には、電力モニタリングのみでは全く識別できないもの、または識別できても精度が低いものもある。ネットワークモニタリングと電力モニタリングとを組み合わせると、(機械的コンポーネントを含まないネットワーク装置などの)より多くの装置を識別できるようになり、高い精度で装置を識別することもできる。電力モニタリングおよびネットワークモニタリングの両方からの情報を使用すると、電力モニタリングからの情報しか使用しないモデルおよび/または分類器よりもエラー率の低いモデルおよび/または分類器を作成することができる。
【0110】
装置の状態変化の識別
電力モニタ150は、住宅内の装置を識別することに加えて、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングの一方または両方を使用して住宅内の装置の状態を判定することもできる。いくつかの装置(たとえば、電球)は、オンおよびオフの2つの状態しか有さないことができる。他の装置は、複数の状態を有することができる。たとえば、洗濯機は、選択サイクル、すすぎサイクルおよび脱水サイクルを有することができる。テレビは、オン状態、オフ状態およびスリープ状態を有することができる。
【0111】
電力モニタリングを使用して、本明細書で説明するおよび米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかを使用して状態変化を識別することができる。たとえば、電力モニタ150は、電力モニタリング信号を処理し、最も高いスコアを生じた電力モデルを選択し、このモデルから装置の状態変化を判定し、装置リスト内の装置の状態を更新することができる。
【0112】
ネットワークモニタリングを使用して、本明細書で説明する方法のいずれかを使用して状態変化を識別することもできる。たとえば、上述したように、電力モニタは、同報メッセージを処理し、装置にポーリングを行い、装置ネットワークデータをモニタして、これらのネットワークデータから装置の状態を判定することができる。
【0113】
いくつかの実装では、電力モニタが、電力モニタリングおよびネットワークモニタリングを両方同時に使用して装置の状態変化を識別することができる。送電線およびネットワーク接続の両方に接続された装置については、装置が状態変化の頃に電力モニタリング信号の電力事象を引き起こし、ネットワークを介してデータを送信することができる(ネットワーク事象)。電力モニタは、電力事象およびネットワーク事象の両方を処理して状態変化を識別することができる。上述したように、電力事象およびネットワーク事象はいずれの順番で現れることもできる。
【0114】
上述したように、電力モニタは、電力事象を処理している時に電力事象に時間的に近いネットワーク事象を探し、これらを同時に処理することができる。たとえば、電力モニタは、電力事象の時点とネットワーク事象の時点との間の差分が閾値未満であるネットワーク事象を処理することができる。同様に、電力モニタは、ネットワーク事象を処理している時に、ネットワーク事象に時間的に近い電力事象を探すこともできる。
【0115】
いくつかの実装では、電力モニタが電力事象を処理して、対応する電力モデルのスコアを生成することができる。その後、電力モニタは、電力事象に時間的に近いネットワーク事象を探し、このネットワーク事象からの情報を使用して、電力モデルによって生成されたスコアを調整することができる。たとえば、最も高い2つのスコアの電力モデルが、Toshibaのテレビのオン作動、およびコンピュータのオン作動であり、これらのスコアが互いに近いものとする。あるネットワーク事象が電力事象の直後に発生し、このネットワーク事象がToshibaのテレビのオン作動に対応するものとする。電力モニタは、このネットワーク事象を使用して、Toshibaのテレビのオン作動についてのスコアを高めることができる。たとえば、スコアは、一定の量、パーセンテージだけ高めることも、或いはネットワーク事象処理によって生成されたスコアと組み合わせて装置の状態変化の全体的スコアを生成することもできる。その後、電力モニタは、この状態変化をToshibaのテレビのオン作動に対応するものとして識別することができる。また、本明細書で説明する装置の状態変化の判定方法のうちのいずれかの特徴として、電力事象およびネットワーク事象のタイミングを使用することもできる。
【0116】
装置によっては、装置の状態変化とネットワーク事象との間のタイミングが正確に分からないこともある。たとえば、いくつかの実装では、装置が一定期間にわたってネットワークデータを全く送信していない時に、装置がオフであると判定することができる。従って、装置がその最後のネットワーク送信後しばらくしてオフになったと判定することはできるが、オフになった時点は分からないことがある。いくつかの実装では、電力モニタがネットワーク事象を処理して、時間的に変化するスコアを決定することができる。たとえば、装置の最後のネットワーク送信が第1の時点に行われた場合、電力モニタは、この第1の時点の直後の期間にわたって高いスコアを出力し、その後の時間にわたって指数関数的減衰を伴うスコアなどの低いスコアを出力することができる。
【0117】
いくつかの装置は、装置が提供したサービスを一定の設定時間間隔で再同報通信する既知の再同報通信ウィンドウを有することができる。装置が、同報通信は送信したものの再同報通信ウィンドウ内で別の同報通信を送信していない場合、装置がオフになったと判定することができる。
【0118】
いくつかの実装では、電力事象に関する情報およびネットワーク事象に関する情報の両方を入力として受け取った後に、この入力と装置の状態変化との間の一致を示すスコアを生成する状態変化モデルを使用することができる。たとえば、状態変化モデルは、装置の各状態変化(たとえば、装置のタイプ、装置の型式または装置のバージョンの状態変化)について作成することができる。いくつかの実装では、電力モニタが、各状態変化モデルのスコアを計算し、最も高いスコアを有する状態変化モデルを選択し、この最もスコアの高い状態変化モデルを使用して状態変化を識別することができる。状態変化モデルは、ニューラルネットワーク、自己組織化マップ、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、ベイズモデル、線形および非線形回帰、並びに混合ガウスモデルなどのいずれかの適切な分類法を使用して作成することができる。
【0119】
上述したように、スコアに加えて信頼レベルを計算し、状態変化が発生したかどうかを判定する際にこの信頼レベルを使用することもできる。最もスコアの高いモデル(たとえば、電力モデル。ネットワークモデルまたは状態変化モデル)が低い信頼レベルを有する場合には、状態変化を識別しないこともできる。
【0120】
電力モニタ150は、装置の状態変化を判定する際に、装置の既知の状態のリストと、装置の状態間の可能な遷移とを使用することができる。たとえば、テレビは、オン状態、オフ状態およびスリープ状態という3つの状態を有することができる。しかしながら、テレビの動作方法に起因して、全ての状態遷移が可能なわけではないと考えられる。3つの状態では、6つの状態遷移(オンからオフ、オンからスリープ、オフからオン、オフからスリープ、スリープからオンおよびスリープからオフ)が考えられる。「オフ」状態からは、「オン」状態への遷移のみが可能と考えられる(オフからスリープへは不可能である)。「スリープ」状態からは、「オン」状態への遷移のみが可能と考えられる(スリープからオフへは不可能である)。従って、電力モニタは、装置の可能な状態変化を全て認識する方法(たとえば、モデルまたはルール)を実装することができる。電力モニタは、装置の状態変化を判定する際に、装置の可能な状態変化のリストから1つの状態変化を選択し、状態変化の終了状態から現在の状態を判定することができる(たとえば、オフからオンへの状態変化を選択した場合、装置は現在オンであると決定する)。電力モニタは、装置の状態を判定すると、装置の可能な状態のリストから1つの状態を選択することができる。電力モニタは、実装および/またはモニタされる装置に依存して状態変化または状態を選択することができる。
【0121】
上述した装置の識別方法のいずれかは、装置の状態変化を判定するために使用することもできる。同様に、上述した装置の状態変化の判定方法のいずれかを使用して装置を識別することもできる。
【0122】
上述した方法は、電力モニタリングとネットワークモニタリングとの組み合わせを使用して、電力モニタリングのみに基づく方法よりも建物内の装置の状態変化の識別を向上させる。装置の状態変化の中には、電力モニタリングのみでは全く識別できないもの、または識別できても精度が低いものもある。ネットワークモニタリングと電力モニタリングとを組み合わせると、(機械的コンポーネントを含まないネットワーク装置の状態変化などの)より多くの装置の状態変化を識別できるようになり、高い精度で装置の状態変化を識別することもできる。電力モニタリングおよびネットワークモニタリングの両方からの情報を使用すると、電力モニタリングからの情報しか使用しないモデルおよび/または分類器よりもエラー率の低いモデルおよび/または分類器を作成することができる。
【0123】
スマートプラグの電力モニタリング
住宅内のスマートプラグは、図1および図2のスマートプラグ145などのスマートプラグから電力を受け取る1または2以上の装置に電力を供給することができる。スマートプラグは、単一の装置がスマートプラグに接続することを可能にする単一のソケット(receptacle)を有することも、或いは複数の装置がスマートプラグに接続することを可能にする複数のソケットを有することもできる(これはスマート電源コード(smart power strip)と呼ぶこともできる)。スマートプラグが単一のソケットを有する場合には、スマートプラグに従来の電源コードを差し込んで複数の装置がスマートプラグから電力を受け取れるようにすることもできる。スマートプラグは、従来の電源コンセントと組み合わせて住宅の電力系統に直接配線されるようにすることもできる。
【0124】
本明細書で使用するスマートプラグは、建物の回路(たとえば、図2の回路222)から電力を受け取り、1または2以上の他の装置(接続装置)に電力を供給し、1または2以上の接続装置に送電された電力に関する情報を測定するセンサを有し、測定電力に関する情報を電力モニタなどの他の装置に送信するためにネットワーク接続(有線または無線)を有する装置である。スマートプラグは、スマートプラグ内のリレーを開放することによってユーザが接続装置を効果的にオフにできるようにすることなどの他の機能を提供することもできる。
【0125】
住宅内のスマートプラグは、電力モニタの動作を改善するために使用できる装置の電力消費量に関する追加情報を提供する。スマートプラグは、住宅内の装置のサブセットに関する情報を提供するので、スマートプラグから受け取られた(スマートプラグ電力モニタリング信号などの)情報を使用してスマートプラグに接続された装置に関する情報を決定することが(さらに多くの装置に関する情報を含む主管電力モニタリング信号と比べて)より効果的であると考えられる。しかしながら、スマートプラグによっては、スマートプラグによって提供される情報が電力モニタによって取得される主管電力モニタリング信号よりも詳細でなく(たとえば、サンプリングレートが低く)、および/または正確でない場合もある。従って、スマートプラグからの情報および電気の主管からの情報を両方とも使用することに利点があると考えられる。
【0126】
電力モニタは、いずれかの適切なネットワーク接続および方法を使用してスマートプラグから情報を取得することができる。たとえば、電力モニタは、(たとえば、BluetoothまたはWi-Fiダイレクトを使用して)スマートプラグとの直接ネットワーク接続を確立することも、或いは住宅のローカルエリアネットワークを介して接続することもできる。いくつかの実装では、電力モニタが、住宅外部のサーバコンピュータを介してスマートプラグから情報を受け取ることができる。たとえば、スマートプラグがサーバコンピュータに情報を送信し、サーバコンピュータが電力モニタに情報を送信することができる。サーバは、電力モニタを提供する企業、またはスマートプラグを提供する企業が運用することができる。いくつかの実装では、スマートプラグが、スマートプラグを提供する企業によって運用されるスマートプラグサーバに情報を送信し、スマートプラグサーバが、電力モニタを提供する企業によって運用される電力モニタサーバに情報を送信することができる。電力モニタサーバは、スマートプラグから受け取られた情報に対して必要な処理を実行し、或いはこの情報を処理のために電力モニタに送信することができる。
【0127】
電力事象と電力モニタリング信号との比較
本明細書で説明する方法は、主管電力モニタリング信号(たとえば、第1または第2の主管電力モニタリング信号)を(スマートプラグがこの主管から電力を受け取っている場合)スマートプラグ電力モニタリング信号と比較することができる。たとえば、主管電力モニタリング信号に電力事象が現れた場合、この主管電力事象がスマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象と一致するかどうかを知ることが望ましいと考えられる。2つの電力事象が一致する場合、スマートプラグから電力を受け取った装置によって主管電力事象が引き起こされた可能性が高いと判定することができる。2つの電力事象が一致しない場合、スマートプラグから電力を受け取っていない装置によって主管電力事象が引き起こされた可能性が高いと判定することができる。
【0128】
主管電力モニタリング信号とスマートプラグ電力モニタリング信号との比較は、それぞれの電力モニタリング信号の一部を比較することによって行うことができる。たとえば、ユークリッド距離(2つの電力モニタリング信号間の差分の平方和)、コサイン類似度、または他のいずれかの適切な比較を使用することができる。
【0129】
いくつかの実装では、比較を実行する前にスマートプラグ部分または主管部分を修正することができる。比較される2つの部分が異なるサンプリングレートを有する場合、一方の部分をリサンプリングして他方の部分のサンプリングレートに一致させることができる。たとえば、主管部分がスマートプラグ部分よりも高いサンプリングレートを有していれば、主管部分をスマートプラグ部分のサンプリングレートにダウンサンプリングすることができる。一方または両方の部分は、適切なメトリックを使用してスケーリングすることができる。たとえば、一方または両方の部分は、各部分が同じL2ノルムを有するように修正することができる。より正確な比較を得るために、一方または両方の部分を時間的に変換することができる。たとえば、部分間の類似度を最大化させる時間変換(time translation)を決定し(たとえば、これらの部分の畳み込みを実行することによって変換を決定し)、この時間変換を使用して比較を行うことができる。
【0130】
いくつかの実装では、スマートプラグ電力モニタリング信号および/または主管電力モニタリング信号の基礎値を使用して比較を計算することができる。主管電力モニタリング信号は、スマートプラグに接続されていない住宅内の多くの装置の電力消費量を示すことができ、従って直接スマートプラグと比較できない値を含むことがある。改善された比較を得るために、電力事象前の時点における主管電力モニタリング信号の電力量として主管の基礎電力消費量を計算することができる。たとえば、主管の基礎電力消費量は、電力事象よりも(たとえば、3秒)前の時点における電力値、または電力事象前の(たとえば、電力事象の3~13秒前の)時間ウィンドウ中の平均電力消費量(或いは中央値または最頻値などの他のいずれかの適切な統計値)とすることができる。スマート部分と主管部分との比較時には、主管部分の各電力値から主管の基礎を減算することによって主管部分を正規化することができる。その後、スマートプラグ部分と正規化された主管部分との比較を実行することができる。
【0131】
たとえば、図3Aでは、電力事象310の頃の第1の主管部分を収集することができる。この電力事象よりも前に、第1の主管によって消費される電力量は約1000ワットであった。従って、1000ワットの基礎値を使用して、第1の主管部分の各時系列値から1000ワットを減算することによって第1の主管部分を正規化することができる。
【0132】
主管電力モニタリング信号とスマートプラグ電力モニタリング信号との比較は、それぞれの電力モニタリング信号の電力事象の特徴を比較することによって行うことができる。米国特許第9,443,195号に記載されている特徴のうちのいずれかなどの、いずれかの適切な特徴を計算することができる。たとえば、ある特徴は、主管電力モニタリング信号の電力事象とスマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象との間の時間的な相違または時間遅延とすることができる。別の例では、電力事象の特徴を、電力事象の前と後の電力量の変化とすることができる。電力事象前の電力量は、電力事象前の時点における電力測定値、または電力事象前の時間ウィンドウにわたる平均値(或いは中央値または他の何らかの統計値)を取得することによって求めることができる。電力事象後の電力量も同様に求めることができる。主管電力モニタリング信号をスマートプラグ電力モニタリング信号と比較するには、主管電力モニタリング信号の第1の電力事象を表す第1の電力変化をスマートプラグ電力モニタリング信号の第2の電力事象を表す第2の電力変化と比較することができる。いくつかの実装では、スマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象について第1の特徴ベクトルを作成し、主管電力モニタリング信号の電力事象について第2の特徴ベクトルを作成することができる。これらの特徴ベクトルを使用して、特徴ベクトル間の距離または類似度を計算することなどによって比較を計算することができる。
【0133】
主管電力モニタリング信号は、装置のワット数モデルを使用してスマートプラグ電力モニタリング信号と比較することができる。米国特許第9,443,195号に記載されているワット数モデルなどのいずれかの適切なワット数モデルを使用することができる。ワット数モデルは、装置が状態を変化させた後の一定期間にわたる装置の予想電力消費量を示すことができる。主管電力モニタリング信号は、2つの電力事象が互いに重なり合うように同様の時点で発生した異なる装置からの電力事象を含むことができる。これらのワット数モデルを使用して主管電力モニタリング信号の2つの電力事象を分離して、各電力事象をスマートプラグ電力モニタリング信号と比較できるようにすることができる。
【0134】
スマートプラグの主管の決定
いくつかの実装では、スマートプラグが住宅のどの主管に接続されているかを知ることが望ましいまたは有用であると考えられる。たとえば、スマートプラグが電力を受け取っている主管を知ることで、以下でさらに詳述するようなスマートプラグからの情報を使用する他の方法を改善することができる。(240V装置用のスマートプラグなどの)スマートプラグは、潜在的に住宅の複数の主管から電力を受け取ることができるが、以下の説明は、単一の主管から電力を受け取るスマートプラグに焦点を当てており、複数の主管から電力を受け取るスマートプラグにも同様の方法を適用することができる。
【0135】
スマートプラグの電気の主管は、スマートプラグから受け取られたスマートプラグ電力モニタリング信号を第1の主管電力モニタリング信号および第2の主管電力モニタリング信号と比較することによって決定することができる。スマートプラグに接続された装置では、装置の状態変化からの電力事象が、スマートプラグ電力モニタリング信号と、第1または第2の主管電力モニタリング信号のいずれかとに現れることができる。
【0136】
たとえば、図3A図3Cの電力モニタリング信号について考察する。図3Cでは、スマートプラグ電力モニタリング信号が、スマートプラグに接続されたオーブントースタからの電力事象を示す。スマートプラグは第1の主管から電力を受け取っているので、オーブントースタの電力事象は、図3Aの第1の主管電力モニタリング信号にも出現する。第1の主管電力モニタリング信号は、スマートプラグに接続されていない第1の主管上の他の装置(たとえば、電球)の電力事象も含み、従ってスマートプラグ電力モニタリング信号は、第1の主管電力モニタリング信号に現れる電力事象のサブセットしか含まない。スマートプラグは第2の主管から電力を受け取っていないので、オーブントースタの電力事象は、第2の主管電力モニタリング信号には現れない。
【0137】
スマートプラグからの電力事象は第1の主管電力モニタリング信号にも現れるが、スマートプラグの電力事象がどの主管に現れるかを判定するのは容易でない場合もある。たとえば、主管電力モニタリング信号は、互いに重複する多くの電力事象を含むことができ、住宅内には、スマートプラグに接続された装置の電力事象と同様の特徴(signatures)の電力事象を有するスマートプラグに接続されていない装置が存在することもあり、および/またはスマートプラグ電力モニタリング信号は、主管電力モニタリング信号に対して異なる遅延時間、分解能(たとえば、サンプリングレート)または振幅を有することもある。
【0138】
図6は、スマートプラグに電力を供給している主管を決定する実装例のフローチャートである。図6および本明細書の他のフローチャートでは、ステップの順序は例示的なものであって他の順番も可能であり、全てのステップが必要なわけではなく、実装によってはいくつかのステップを省略しまたは他のステップを追加することもできる。フローチャートのプロセスは、たとえば本明細書で説明するコンピュータまたはシステムのいずれかが実行することができる。
【0139】
ステップ610において、電力モニタとスマートプラグとの間のネットワーク接続を確立する。あらゆる適切なネットワーク接続(たとえば、有線または無線、Wi-Fi、Bluetooth)を使用することができ、ネットワーク接続は直接的なものまたは間接的なものとすることができる。たとえば、ネットワーク接続は、住宅のルータまたは住宅外部のコンピュータを経由することができる。ネットワーク接続は、いずれかの適切な方法を使用して確立することができる。たとえば、ユーザが電力モニタおよびスマートプラグの一方または両方をネットワーク接続を形成するように構成することも、或いは電力モニタおよび/またはスマートプラグが個人による構成を必要とせずに自動的にネットワーク接続を確立することもできる。
【0140】
ステップ615において、電力モニタが、スマートプラグからスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取る。いくつかの実装では、スマートプラグ電力モニタリング信号が、スマートプラグに接続された装置に供給される電力量(または他の電気的特性)のリアルタイム(または近リアルタイム)測定値を提供することができる。いくつかの実装では、供給される電力量がゼロまたは他の何らかの閾値を上回る場合、スマートプラグが電力モニタリング信号のみを送信することができる。図3Cの信号303は、スマートプラグ電力モニタリング信号の一例である。
【0141】
ステップ620において、第1のセンサによる住宅の第1の主管の電気的特性の測定値(たとえば、電流または電圧)を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得する。第1の主管電力モニタリング信号は、第1の主管から電力を受け取っている装置に供給される電力量(または他の電気的特性)のリアルタイム(または近リアルタイム)測定値を提供することができる。図3Aの信号301は、第1の主管電力モニタリング信号の一例である。
【0142】
ステップ625において、第2のセンサが、住宅の第2の主管の電気的特性の測定値(たとえば、電流または電圧)を使用して第2の主管電力モニタリング信号を取得する。第2の主管電力モニタリング信号は、第2の主管から電力を受け取っている装置に供給される電力量(または他の電気的特性)のリアルタイム(または近リアルタイム)測定値を提供することができる。図3Bの信号302は、第2の主管電力モニタリング信号の一例である。
【0143】
ステップ630において、スマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象を検出し、電力事象の事象時点を識別する。電力事象は、装置がオンになること、オフになること、または(オーブントースタがオンである間のオーブントースタの加熱素子のサイクルなどの)オン事象とオフ事象との間の事象などの、スマートプラグに接続された装置のいずれかの状態変化に対応することができる。電力事象は、米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどの、いずれかの適切な方法を使用して識別することができる。
【0144】
電力事象は、そのあらゆるサブセットを使用することができる。たとえば、全てのオン事象を使用することも、全てのオフ事象を使用することも、全てのオンおよびオフ事象を使用することも、または全ての事象を使用することもできる。事象の開始時刻、中間時刻または終了時刻などの各事象の事象時点を識別することができる。たとえば、検出される電力事象は、図3Cの電力事象310、330、340、350、360および380のうちのいずれかとすることができる。
【0145】
オン事象は、ゼロ電力を供給することから非ゼロ電力を供給することへの遷移として決定することができる。同様に、オフ事象は、非ゼロ電力を供給することからゼロ電力を供給することへの遷移として決定することができる。ゼロ電力と非ゼロ電力との間の遷移を決定する際には、適切な閾値を使用することができる。たとえば、たとえスマートプラグに接続された全ての装置がオフである場合でも、スマートプラグは、スマートプラグに接続された装置またはスマートプラグ自体の漏電によって比較的少量の電力が供給されていることを依然として示す場合がある。閾値未満の電力レベルは、たとえ正確にゼロではないとしてもゼロ電力であると判定することができる。
【0146】
スマートプラグに複数の装置が接続されている場合には、第1の装置がオンであり、第2の装置が後でオンになることが考えられる。従って、第2の装置がオンになると、スマートプラグ電力モニタリング信号が非ゼロ電力からより多くの量の電力に遷移するようになる。従って、スマートプラグに複数の装置が接続されている場合、全てのオン事象を選択した時には、ゼロ電力から非ゼロ電力へのオン事象のみを使用し、或いは他の方法を使用して全てのオン事象を取り込むことができる。
【0147】
ステップ635において、事象時点に対応するスマートプラグ電力モニタリング信号の部分(またはスマートプラグ部分)を収集する。たとえば、事象時点の頃のスマートプラグ電力モニタリング信号のウィンドウ(たとえば、10秒間のウィンドウ)を収集することも、或いはオン事象前の時点からオフ事象後の時点までのスマートプラグ電力モニタリング信号の部分を収集することもできる。たとえば、考えられるスマートプラグ部分311、331、341、351、361および381を図3Cに示す。
【0148】
ステップ640において、事象時点に対応する第1の主管電力モニタリング信号の部分(または第1の主管部分)を収集し、ステップ645において、事象時点に対応する第2の主管電力モニタリング信号の部分(または第2の主管部分)を収集する。これらの部分は、スマートプラグ部分と同様の時間フレームまたは異なる時間フレームを使用して収集することができる。
【0149】
ステップ650において、スマートプラグ部分を第1の主管部分および第2の主管部分と比較する。スマートプラグ部分と第1の主管部分および第2の主管部分との比較は、本明細書で説明した方法のうちのいずれかを使用して行うことができる。
【0150】
電力事象毎にスマートプラグ部分と第1の主管部分との間の比較を行い、電力事象毎にスマートプラグ部分と第2の主管部分との間の比較を行うことができる。たとえば、50個の電力事象が存在する場合には、スマートプラグ部分と第1の主管部分との間の比較を50回行い、スマートプラグ部分と第2の主管部分との間の比較を50回行うことができる。各比較は、比較を数字(たとえば、部分間の距離)として表すことなどによるいずれかの適切な方法を使用して表すことができる。
【0151】
ステップ655において、比較の結果を使用して、スマートプラグが第1の主管によって給電されているか、それとも第2の主管よって給電されているかを判定する。あらゆる適切な方法を使用することができる。たとえば、スマートプラグ部分と第1の主管部分との間の比較を使用して第1のスコアを計算し、スマートプラグ部分と第2の主管部分との間の比較を使用して第2のスコアを計算することができる。部分間のユークリッド距離の統計値などのいずれかの適切なスコアを計算することができる。この統計値は、平均値、中央値、平方和、または他のいずれかの適切な統計値とすることができる。いくつかの実装では、第1のスコアが第2のスコアよりも大きい場合、または第1のスコアから第2のスコアを差し引いたものが閾値よりも大きい場合に、スマートプラグが第1の主管から電力を受け取っていると判定することができる。いくつかの実装では、第1のスコアおよび第2のスコアが互いに近すぎる場合、信頼度が低いとして決定を保留し、より信頼度の高い判定を得るためにさらに多くのデータを収集することができる。
【0152】
ステップ660において、図5の装置リストなどの装置リストを、ステップ655において識別された主管からスマートプラグが電力を受け取っていることを示すように更新する。装置リストは、いずれかの適切なデータストアに記憶することができる。判定日などの他のいずれかの適切な情報を記憶することもできる。
【0153】
ステップ665において、本明細書で説明したまたは米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどを使用して、識別された主管からスマートプラグが電力を受け取っている旨を知らせる情報をユーザに提供する。いくつかの実装では、ステップ665を実行せずに、スマートプラグが電力を受け取っている主管についてユーザに知らせないこともできる。
【0154】
少なくとも一部のスマートプラグでは、異なる電源コンセントにプラグを差し込んで異なる主管から電力を受け取ることもできるので、図6のプロセスは他の時点で繰り返すこともできる。たとえば、図6のプロセスは、1日1回または週1回繰り返すことができる。
【0155】
いくつかの実装では、人工ニューラルネットワークを使用して、スマートプラグに電力を供給している主管を決定することができる。再帰型ニューラルネットワーク(recurrent neural network)などのあらゆる適切なニューラルネットワークを使用することができる。ニューラルネットワークは、トレーニングコーパスが複数のトレーニング例を含むトレーニングデータコーパス(training corpus of data)を使用してトレーニングすることができる。各トレーニング例は、スマートプラグ電力モニタリング信号、1または2以上の主管電力モニタリング信号、およびスマートプラグに電力を供給している主管の指示を含むことができる。たとえば、スマートプラグモニタリング信号および主管電力モニタリング信号は、1日または1週間などの一定期間にわたって収集することができる。
【0156】
ニューラルネットワークのパラメータは、誤差逆伝搬および確率的勾配降下法などのいずれかの適切な方法を使用してトレーニングすることができる。ニューラルネットワークをトレーニングするには、ニューラルネットワークの入力を電力モニタリング信号に設定し、ニューラルネットワークの出力を、スマートプラグに電力を供給している主管を示すように設定する(たとえば、スマートプラグに電力を供給している主管に1の値を設定し、他の主管に0の値を設定する)ことができる。その後、トレーニングデータ全体を反復することによってニューラルネットワークのパラメータをトレーニングすることができる。
【0157】
ニューラルネットワークをトレーニングした後には、このニューラルネットワークを使用して、スマートプラグに電力を供給している主管を決定することができる。トレーニングされたニューラルネットワークによる処理のために、スマートプラグモニタリング信号および主管電力モニタリング信号を住宅から収集することができる。ニューラルネットワークは、電力モニタリング信号を処理して、主管がスマートプラグに電力を供給しているかどうかを示すスコアを主管毎に出力することができる。たとえば、これらのスコアは、確率または尤度とすることができる。これらのスコアを使用して、最も高いスコアを有する主管を選択することなどによって、スマートプラグに電力を供給している主管を識別することができる。
【0158】
いくつかの実装では、結果の信頼度を高めるためにさらなる電力モニタリング信号を収集することができる。たとえば、1日分の電力モニタリング信号を処理した後に、スコアが第1の主管については0.6の確率、第2の主管については0.4の確率であったとすることができる。これらのスコアは十分な信頼度を提供していない場合があり、従って追加データを収集することができる。1週間分の電力モニタリング信号を処理した後に、スコアが第1の主管については0.9の確率、第2の主管については0.1の確率であったとすることができる。これらのスコアは判定を行うのに十分な信頼度を提供することができ、従って第1の主管をスマートプラグに電力を供給しているものとして選択することができる。
【0159】
いくつかの実装では、スマートプラグに電力を供給している主管を、以下の条項およびこれらのうちのいずれか2つまたは3つ以上の組み合わせに記載するように識別することができる。
【0160】
スマートプラグに接続された装置の判定
いくつかの実装では、住宅内のどの装置がスマートプラグから電力を受け取っているかを知ることが望ましいと考えられる。たとえば、どの装置がスマートプラグに接続されているかが分かれば、その情報をユーザに提示することができる。この情報を使用してユーザに利益をもたらし、または電力モニタの機能を改善することができる。
【0161】
たとえば、ユーザがスマートプラグにオーブントースタを接続すると、電力モニタは、オーブントースタの状態変化を検出することはできるが、スマートプラグに接続された装置がオーブントースタであると認識していないことがある。電力モニタは、(オーブントースタ、ストーブ、水槽用ヒータまたはヘアアイロンなどの)加熱素子を含む装置の状態変化を検出するための電力モデルを有することができ、これらのモデルは、装置がオーブントースタであることを知らずにオーブントースタの状態変化を検出することができる。電力モニタは、スマートプラグに「加熱素子1」が接続されていることをユーザに報告することができる。ユーザはこれを見て、スマートプラグに接続された装置がオーブントースタであることを示す情報を提供することができる。その後、電力モニタは、「加熱素子1」がオンになったと報告する代わりにオーブントースタがオンになったと報告することができる。
【0162】
スマートプラグに接続された装置がオーブントースタであることが分かると、他のユーザのオーブントースタの状態変化の識別に役立つこともできる。たとえば、電力モニタサービスを提供する企業は、ユーザから受け取られた情報を使用して、ユーザのオーブントースタおよび他のユーザのオーブントースタと共に使用できるオーブントースタの電力モデルを作成することができる。
【0163】
いくつかの事例では、ユーザによって提供された情報を使用して、電力モニタによる誤りを訂正し、ユーザおよび他のユーザの電力モニタの処理を改善することができる。たとえば、電力モニタは、スマートプラグにヘアアイロンが接続されていると誤って判定し、ユーザに知らせることがある。すると、ユーザは、スマートプラグに接続された装置が実際にはオーブントースタであってヘアアイロンではないことを示すことによって、この情報を訂正することができる。電力モニタリングサービスを提供する企業は、この情報を使用して、オーブントースタおよびヘアアイロンをより良く区別できるようにこれらの2つのタイプの装置の電力モデルを改善できる可能性がある。
【0164】
図7は、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていると判定する実装例のフローチャートである。図7のステップを実行する前に、図6のステップを実行することなどによってスマートプラグが第1の主管から電力を受け取っていることを確認することができる。ステップ710において、電力モニタとスマートプラグとの間のネットワーク接続を確立し、ステップ715において、電力モニタがスマートプラグからスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取り、ステップ720において、第1のセンサによる住宅の第1の主管の電気的特性の測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得する。これらのステップは、ステップ610、615および620について上述した方法のうちのいずれかを使用して実行することができる。
【0165】
ステップ725において、スマートプラグ電力モニタリング信号の、事象時点に合わせて発生するスマートプラグ電力事象を識別する。電力事象の識別は、米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどの、いずれかの適切な方法を使用して行うことができる。いくつかの実装では、(たとえば、スマートプラグに接続された装置がオンになることによって生じる)スマートプラグ電力モニタリング信号のゼロ電力から非ゼロ電力への遷移を検出することによって電力事象を識別することができる。いずれかの適切な方法を使用して、電力事象の開始、中間または終了などの事象時点を判定することができる。
【0166】
いくつかの実装では、ステップ725において、複数のスマートプラグ電力事象を識別することができる。たとえば、24時間または7日間などの一定期間にわたってスマートプラグ電力モニタリング信号を処理し、複数のスマートプラグ電力事象を識別することができる。識別されるスマートプラグ電力事象は、同じのタイプの電力事象(たとえば、装置がオンになることまたはゼロ電力から非ゼロ電力への遷移)に対応することも、或いは複数のタイプの電力事象(たとえば、装置がオンになることおよび装置がオフになること)を含むこともできる。
【0167】
スマートプラグが第1の主管から電力を受け取っていることが分かっているので、スマートプラグ電力事象を引き起こした装置は、事象時点辺りで第1の主管電力モニタリング信号にも電力事象を引き起こす。
【0168】
ステップ730において、ステップ725において決定された事象時点を使用して、第1の主管電力モニタリング信号の第1の主管電力事象を識別する。第1の主管電力事象は、いずれかの適切な方法を使用して選択することができる。たとえば、第1の主管電力モニタリング信号は、事象時点の近くに複数の電力事象を含むことができ、事象時点に最も近い電力事象を選択することができる。いくつかの実装では、既知の遅延時間が存在することができ、またはスマートプラグ電力モニタリング信号と第1の主管電力モニタリング信号との間の遅延時間を測定することができる。この既知のまたは測定された遅延時間は、第1の主管電力事象を選択する際に使用することができる。
【0169】
いくつかの実装では、ステップ730として第1の主管電力モニタリング信号の複数の電力事象を識別することができる。たとえば、第1の主管電力モニタリング信号は、第1の第1の主管電力事象と、事象時点と時間的に近い第2の第1の主管電力事象とを含むことができる。この第1の第1の主管電力事象および第2の第1の主管電力事象を、それぞれスマートプラグ電力事象と比較する(または電力事象を含む電力モニタリング信号の部分を比較する)ことができる。スマートプラグ電力事象に最も近い比較結果を有する第1の主管電力事象を選択することができる。
【0170】
ステップ725において複数のスマートプラグ電力事象が識別された場合には、ステップ730において、上述した方法を使用して各スマートプラグ電力事象について第1の主管電力事象を識別することができる。従って、ステップ730の後には、スマートプラグ電力事象と第1の主管電力事象との複数のペアをさらなる処理に利用できるようになる。
【0171】
ステップ735において、識別された第1の主管電力事象を処理して、第1の装置に対応する第1の主管電力事象を決定する。たとえば、第1の主管電力事象は、各電力モデルが装置(たとえば、装置のタイプ(テレビ)、装置の型式/バージョン(Toshibaのテレビ)、または特定の装置(居間のテレビ))に対応する複数の電力モデルによって処理することができる。各電力モデルは、第1の主管電力事象と電力モデルに対応する装置との間の一致を示すスコアを出力することができる。最も高いスコアを有する電力モデルを選択することなどによってこれらのスコアを処理することにより、第1の装置を選択することができる。
【0172】
いくつかの実装では、装置の状態変化を識別することができ、状態変化から装置を識別することができる。たとえば、各電力モデルは装置の状態変化に対応することができ、モデルスコアを使用して電力モデルを選択することができ、状態変化が第1の装置の状態変化に対応する場合には、電力事象が第1の装置に対応すると判定することができる。
【0173】
ステップ725および730においてスマートプラグ電力事象と第1の主管電力事象との複数のペアが識別された場合には、各第1の主管電力事象についてステップ735を実行して、電力事象に対応する(第1の装置または異なる装置とすることができる)装置を識別することができる。
【0174】
ステップ740において、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていると判定する。ステップ735において1つの第1の主管電力事象しか処理されなかった場合には、第1の主管電力事象が第1の装置に対応し、第1の主管電力事象がスマートプラグ電力事象に対応する結果として、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていると判定することができる。
【0175】
ステップ725~735において複数の第1の主管電力事象が識別され処理された場合には、他の方法を使用して第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていると判定することができる。
【0176】
いくつかの実装では、ステップ735において複数の第1の主管電力事象について識別された装置の数を使用して、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていると判定することができる。たとえば、ステップ735において100個の第1の主管電力事象が処理され、75個が第1の装置に対応し、15個が第2の装置に対応し、10個が第3の装置に対応すると判定されたものとする。第1の装置の数が最も多いので、第1の装置をスマートプラグから電力を受け取っているものとして選択することができる。
【0177】
いくつかの実装では、スマートプラグ電力事象と第1の主管電力事象との間の比較を使用して、ステップ740における判定を行うことができる。本明細書で説明した方法のうちのいずれかを使用して、スマートプラグ電力事象および第1の主管電力事象(または電力事象を含む電力モニタリング信号の部分)を比較することができる。各比較は、電力事象(または電力モニタリング信号の対応する部分)間の距離を生成することができる。その後、これらの距離を使用して、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていると判定することができる。
【0178】
たとえば、ステップ735において第1の装置に対応すると判定された各第1の主管電力事象について、第1の主管電力事象と対応するスマートプラグ電力事象との間の距離を計算することができる。この結果、第1の装置について複数の距離を計算することができる。この第1の装置の複数の距離を、ステップ655について上述した方法のいずれかを使用することなどによって組み合わせてスコア化することができる。その後、この第1の装置のスコアを使用して、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っているかどうかを判定することができる。たとえば、第1の装置のスコアを閾値と比較し、または第1の装置の値を他の装置について計算された同様のスコアと比較して、最もスコアの高い装置を選択することができる。
【0179】
いくつかの実装および事例では、スマートプラグが複数の装置に電力を提供することができる(たとえば、スマート電源コード)。このような例では、複数の装置をスマートプラグから電力を受け取っているものとして選択することができる。たとえば、閾値を上回る(たとえば、上述したような距離から計算された)スコアを有する全ての装置をスマートプラグから電力を受け取っているものとして選択することができる。
【0180】
ステップ745において、図5の装置リストなどの装置リストを、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていることを示すように更新する。装置リストは、いずれかの適切なデータストアに記憶することができる。判定日などの他のいずれかの適切な情報を記憶することもできる。
【0181】
その後の時点で、第1の装置をスマートプラグから取り外して直接電源コンセントに差し込むことができる。その後、もはや第1の装置はスマートプラグから電力を受け取っていないと判定し、もはや第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていないことを示すように装置リストを更新することができる。たとえば、事象時点における第1の主管電力モニタリング信号の電力事象を検出することができる。この電力事象を電力モデルを使用して処理し、電力事象が第1の装置のオフ状態からオン状態への遷移に対応し、従って電力事象後に第1の装置が電力を受け取っていると判定することができる。その後、スマートプラグ電力モニタリング信号を処理して、事象時点の頃に第1の装置がオンになったこと対応する電力事象が信号に含まれているかどうかを判定することができる。含まれていない(たとえば、スマートプラグ電力モニタリング信号が、どの装置にも電力が供給されていないことを示す)場合、第1の装置がもはやスマートプラグに接続されていないと判定することができる。
【0182】
ステップ750において、本明細書で説明するまたは米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどを使用して、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていることを知らせる情報をユーザに提供する。いくつかの実装では、ステップ750を実行せずに、第1の装置がスマートプラグから電力を受け取っていることをユーザに知らせないこともできる。
【0183】
いくつかの実装では、スマートプラグに接続された装置を、以下の条項およびこれらのうちのいずれか2つまたは3つ以上の組み合わせに記載するように識別することができる。
【0184】
スマートプラグを用いた装置の状態変化の識別
どの装置がスマートプラグに接続されているに関する情報を使用して、住宅内の装置の状態変化の識別を改善することができる。たとえば、第1の装置が(たとえば、図7の方法を使用して)スマートプラグに接続されており、第2の装置がスマートプラグに接続されていないことが分かっているものとする。
【0185】
どの装置がスマートプラグに接続されているかについての知識と、スマートプラグ電力モニタリング信号との組み合わせを使用して、住宅内の装置の状態変化を識別する精度を高めることができる。第1の装置および第2の装置は同様の電気的特徴を有することができ、従って第1の装置の状態変化が第2の装置の状態変化として(或いはその逆に)誤って識別される可能性は高いと考えられる。第1の装置がスマートプラグに接続されており、第2の装置が接続されていないことが分かっているので、この情報を使用して、第1および第2の装置の状態変化を識別する際に間違いを犯す確率を低下させることができる。
【0186】
たとえば、事象時点に第1の主管電力モニタリング信号の第1の主管電力事象を検出することができる。スマートプラグからの情報を利用できない時には、第1の装置のための第1の電力モデルおよび第2の装置のための第2の電力モデル(および場合によってはその他の電力モデル)を使用してこの第1の主管電力事象を処理して、第1の主管電力事象に対応する装置の状態変化を識別することができる。第1および第2の装置は同様の特徴を有しているので、第1の装置によって生じた第1の主管電力事象を第2の装置の状態変化として誤って識別する恐れがあり、逆もまた同様である。
【0187】
スマートプラグ電力モニタリング信号を使用して、このエラー率を低下させることができる。たとえば、スマートプラグ電力モニタリング信号が、事象時点またはその頃に接続装置に電力が供給されていないことを示す場合、この情報を使用して、第1の主管電力事象からの装置の状態変化を識別する精度を高めることができる。スマートプラグが電力を供給していないことを示しているので、第1の装置はオフであり、従って第1の主管電力事象が第1の装置に対応するはずはないと推定することができる。従って、第1の装置に対応する電力モデルを除く全ての利用可能な電力モデルのサブセットによって第1の主管電力事象を処理することができる。第1の装置に対応する電力モデルが除外されるので、状態変化を識別する際のエラー率を低下させることができる。第1の装置のための第1の電力モデルは使用されていないので、たとえば第1の主管電力事象が第2の装置の状態変化に対応する場合に、これが第1の装置の状態変化として誤って識別されることはあり得ない。
【0188】
図8Aは、スマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の状態変化を判定する実装例のフローチャートである。図8Aのステップを実行する前に、図6のステップを実行することなどによって、スマートプラグが第1の主管から電力を受け取っていることを確認することができる。図7のステップを実行することなどによって、第1の装置がスマートプラグに接続されていることを確認することもできる。
【0189】
ステップ870において、第1の装置がスマートプラグに接続されており、第2の装置がスマートプラグに接続されていないことを示す情報を取得する。たとえば、この情報は、本明細書で説明した装置リストのうちのいずれかなどの装置リストから取得することができる。
【0190】
ステップ872において、電力モニタとスマートプラグとの間のネットワーク接続を確立し、ステップ874において、電力モニタがスマートプラグからスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取り、ステップ876において、第1のセンサによる住宅の第1の主管の電気的特性の測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得する。これらのステップは、ステップ610、615および620について上述した方法のうちのいずれかを使用して実行することができる。
【0191】
ステップ878において、第1の主管電力モニタリング信号の第1の主管電力事象を識別する。第1の主管電力事象の識別は、米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどの、いずれかの適切な方法を使用して行うことができる。
【0192】
ステップ880において、スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定する。いずれかの適切な方法を使用することができる。第1の主管電力事象の第1の時点を使用して、第1の主管電力事象の時点を含むまたはそれに近いスマートプラグ電力モニタリング信号の一部を処理することができる。いくつかの実装では、第1の時点の頃の時間ウィンドウ中にスマートプラグ電力モニタリング信号がゼロの(またはゼロに近い)値を有する場合、スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定することができる。
【0193】
いくつかの実装では、本明細書で説明した方法のうちのいずれかを使用することなどによって、第1の主管電力事象を第1の時点に近いスマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象と比較することができる。第1の主管電力事象がスマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象のいずれにも類似していない場合、スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定することができる。
【0194】
ステップ882において、第1の装置のための少なくとも1つの電力モデルを除外して第2の装置のための少なくとも1つの電力モデルを含む電力モデルのサブセットを複数の電力モデルから選択する。第1の装置のための電力モデルは、たとえば第1の装置がスマートプラグに接続されており、スマートプラグに接続された装置のために電力が消費されていないことをスマートプラグが示すという理由で除外することができる。
【0195】
ステップ884において、電力モデルの選択されたサブセットを使用して第1の主管電力事象を処理することによって、第2の装置が状態を変化させたと判定する。たとえば、各電力モデルは、第1の主管電力事象と装置の状態変化との間の一致を示すスコアを計算し、最も高いスコアに対応する装置の状態変化を選択することができる。
【0196】
ステップ886において、ステップ884における識別された装置の状態変化を使用して装置リストを更新する。装置リストは、いずれかの適切なデータストアに記憶することができる。
【0197】
ステップ888において、本明細書で説明したまたは米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどを使用して、ステップ884において識別された装置の状態変化に関する情報をユーザに提供することができる。いくつかの実装では、ステップ888を実行せずに、装置の状態変化についてユーザに知らせないこともできる。
【0198】
スマートプラグに接続された第1の装置の状態変化を識別する際には、図8Aのフローチャートの変形例を使用することもできる。代わりに、ステップ880において、スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含むと判定することができる。たとえば、第1の主管電力事象をスマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象と比較して、第1の主管電力事象の特徴がスマートプラグ電力事象の特徴に近いと判定することができる。ステップ882において、第2の装置の少なくとも1つの電力モデルを除外して、第1の装置の少なくとも1つの電力モデルを含めることができる。ステップ884において、選択された電力モデルのサブセットを使用して第1の主管電力事象を処理することによって、第1の装置が状態を変化させたと判定することができる。従って、図8Aの処理を使用して、スマートプラグに接続された装置の状態変化と、スマートプラグに接続されていない装置の状態変化とを識別することができる。
【0199】
いくつかの実装では、装置の状態変化を、以下の条項およびこれらのうちのいずれか2つまたは3つ以上の組み合わせに記載するように識別することができる。
【0200】
条項1.建物内の装置の状態変化を識別するコンピュータ実装方法であって、建物の第1の装置がスマートプラグに接続されており、建物の第2の装置がスマートプラグに接続されていないことを示す情報を装置リストから取得するステップと、1または2以上の装置に電力を供給しているスマートプラグとのネットワーク接続を確立するステップと、ネットワーク接続を介して、スマートプラグが1または2以上の装置に一定期間にわたって供給する電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取るステップと、建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得するステップと、第1の主管電力モニタリング信号の、第2の装置の状態変化に対応する第1の主管電力事象を識別するステップと、スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定するステップと、複数の電力モデルから電力モデルのサブセットを選択するステップであって、(i)第1の装置に対応する少なくとも1つの電力モデルを除外することと、(ii)第2の装置に対応する少なくとも1つの電力モデルを含めることとを含むステップと、選択された電力モデルのサブセットを使用して第1の主管電力モニタリング信号を処理して、第1の主管電力事象が第2の装置の状態変化に対応すると判定するステップと、装置リスト内の第2の装置のためのエントリを第2の装置の現在の状態を示すように更新するステップと、を含むコンピュータ実装方法。
【0201】
条項2.スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定するステップは、スマートプラグ電力モニタリング信号が、第1の主管電力事象の頃の時間ウィンドウ中に、スマートプラグに接続された装置に電力を供給していないことを示すと判定するステップを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0202】
条項3.スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定するステップは、スマートプラグ電力モニタリング信号が、第1の主管電力事象の頃の時間ウィンドウ中にゼロの値を有すると判定するステップを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0203】
条項4.スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定するステップは、第1の主管電力事象をスマートプラグ電力モニタリング信号の1または2以上の電力事象と比較するステップを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0204】
条項5.スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定するステップは、第1の主管電力事象の特徴を含む第1の特徴ベクトルを計算するステップと、スマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象の特徴を含む第2の特徴ベクトルを計算するステップと、第1の特徴ベクトルと第2の特徴ベクトルとを比較するステップとを含む、条項4のコンピュータ実装方法。
【0205】
条項6.スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定するステップは、第1の主管電力事象を含む第1の主管電力モニタリング信号の一部とスマートプラグ電力モニタリング信号の一部との間の距離を計算するステップを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0206】
条項7.スマートプラグ電力モニタリング信号が第1の主管電力事象に対応する電力事象を含んでいないと判定するステップは、第1の主管電力事象とスマートプラグ電力モニタリング信号の電力事象との間の時間差を求めるステップを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0207】
条項8.第1の主管電力モニタリング信号の、第1の装置の状態変化に対応する第2の第1の主管電力事象を識別するステップと、スマートプラグ電力モニタリング信号が、第2の第1の主管電力事象に対応する電力事象を含むと判定するステップと、複数の電力モデルから電力モデルの第2のサブセットを選択するステップであって、(i)第1の装置に対応する少なくとも1つの電力モデルを含めることと、(ii)第2の装置に対応する少なくとも1つの電力モデルを除外することとを含むステップと、選択された電力モデルのサブセットを使用して第1の主管電力モニタリング信号を処理して、電力事象が第1の装置の状態変化に対応すると判定するステップと、装置リスト内の第1の装置のためのエントリを、第1の装置の現在の状態を示すように更新するステップとを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0208】
しかしながら、装置リスト内の情報が古く、第1の装置がスマートプラグから取り外されて直接電源コンセントに差し込まれていることも考えられる。第1の装置が取り外された後には、第1の主管電力事象を処理する際に第1の電力モデルを完全に除外するとエラーが生じることがある。いくつかの実装では、電力モデルを完全に除外する代わりに重みを使用してエラーの確率を低下させることができる。重みは、いずれかの適切な方法を使用して選択することができる。たとえば、スマートプラグがいずれの接続装置にも電力を供給していないことを示す場合には、第2の装置に1の重みを使用し、第1の装置に1よりも小さい重みを使用することができる。上述したような厳しい判定を行う代わりに、これらの重みを使用して判定に影響を与えることができる。たとえば、第1の重みと(上述したように)第1の装置のための第1の電力モデルによって計算された第1のスコアとを組み合わせることによって第1の重み付きスコアを計算し、第2の重みと第2の装置のための第2の電力モデルによって計算された第2のスコアとを組み合わせることによって第2の重み付きスコアを計算することができる。その後、これらの重み付きスコアを使用して、電力事象に対応する装置の状態変化を選択することができる。
【0209】
いくつかの実装では、第1の主管電力事象をスマートプラグ電力事象と比較してモデルの重みを決定することができる。たとえば、事象時点に第1の主管電力事象が発生することができる。この第1の主管電力事象を、事象時点に近いスマートプラグ電力事象と比較することができる。第1の主管電力事象がスマートプラグ事象に近い場合、スマートプラグから電力を受け取っている装置の電力モデルに高い重みを与え、スマートプラグから電力を受け取っていない装置の電力モデルに低い重みを与えることができる。これとは逆に、第1の主管電力事象がスマートプラグ事象に近くない場合、スマートプラグから電力を受け取っている装置の電力モデルに低い重みを与え、スマートプラグから電力を受け取っていない装置の電力モデルに高い重みを与えることができる。重みは、たとえば第1の主管電力事象とスマートプラグ電力事象との間の距離を使用して計算することができる。重みは、第1の主管電力事象とスマートプラグ電力事象との間の時間差を使用して計算することもできる。
【0210】
図8Bは、スマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の状態変化を判定する実装例のフローチャートである。図8Bのステップを実行する前に、図6のステップを実行することなどによって、スマートプラグが第1の主管から電力を受け取っていることを確認することができる。また、図7のステップを実行することなどによって、第1の装置がスマートプラグに接続されていることを確認することもできる。
【0211】
ステップ810において、第1の装置がスマートプラグに接続されており、第2の装置がスマートプラグに接続されていないことを示す情報を取得する。たとえば、この情報は、本明細書で説明した装置リストのうちのいずれかなどの装置リストから取得することができる。
【0212】
ステップ815において、電力モニタとスマートプラグとの間のネットワーク接続を確立し、ステップ820において、電力モニタがスマートプラグからスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取り、ステップ825において、第1のセンサによる住宅の第1の主管の電気的特性の測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得する。これらのステップは、ステップ610、615および620について上述した方法のうちのいずれかを使用して実行することができる。
【0213】
ステップ830において、第1の主管電力モニタリング信号の電力事象を識別する。電力事象の識別は、米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどの、いずれかの適切な方法を使用して行うことができる。
【0214】
ステップ835において、第1の主管電力事象およびスマートプラグ電力モニタリング信号を使用して、第1の主管電力事象とスマートプラグ電力モニタリング信号との間の類似度を示す一致スコアを計算する。一致スコアの計算は、本明細書で説明した方法のうちのいずれかを使用して行うことができる。たとえば、一致スコアは、電力事象を含む第1の主管電力モニタリング信号の一部とスマートプラグ電力モニタリング信号の一部との間の距離として計算することができる。一致スコアは、第1の主管電力事象をスマートプラグ電力モニタリング信号のスマートプラグ電力事象と比較する(たとえば、電力事象に起因する電力の変化を比較する)ことによって計算することもできる。
【0215】
ステップ840において、一致スコアと、第1の装置がスマートプラグに接続されており、第2の装置がスマートプラグに接続されていない旨の情報とを使用して、第1の装置について第1の重みを計算し、第2の装置について第2の重みを計算する。重みは、住宅内の他のいずれかの装置について計算することもできる。重みは、いずれかの適切な方法を使用して計算することができる。
【0216】
いくつかの実装では、第1の装置がスマートプラグに接続されているので、一致スコアが高い(第1の主管電力事象とスマートプラグ電力モニタリング信号との間の密接な一致を示す)場合には第1の重みを高くし、一致スコアが低い場合には第1の重みを低くすることができる。たとえば、第1の重みは、一致スコアに等しくすることができる。逆に、一致スコアが高い時には第2の重みを低くし、一致スコアが低い時には第2の重みを高くすることができる。たとえば、一致スコアが0~1の範囲である場合、第2のスコアは、1から一致スコアからを差し引いたものとすることができる。
【0217】
いくつかの実装では、第1の主管電力事象の事象時点の頃の時間ウィンドウ中にスマートプラグ電力モニタリング信号が全く電力を供給していないと判定することができる。このため、第1の装置は電力を消費していない可能性が高く、従って第1の主管電力事象を引き起こさなかった可能性が高いので、第1の重みをゼロに設定することができる。
【0218】
ステップ845において、各モデルが装置の状態変化に対応できる電力モデルを使用して第1の主管電力事象を処理する。各電力モデルは、第1の主管電力事象と対応する装置の状態変化との間の一致を示すスコアを出力することができる。たとえば、電力モデルは、第1の装置の状態変化を表して第1のスコアを出力する第1の電力モデルと、第2の装置の状態変化を表して第2のスコアを出力する第2の電力モデルとを含むことができる。重みがゼロである場合、ゼロの重みは対応する装置が検討から除外されている旨を示すことができるので、電力モデルの処理をスキップすることができる。
【0219】
ステップ850において、第1の重みと、第2の重みと、ステップ845からのスコアとを使用して装置の状態変化を識別する。たとえば、第1のスコアおよび第1の重みを使用して(たとえば、これらを乗算しまたは他のいずれかの適切な組み合わせを適用することによって)第1の重み付きスコアを計算し、第2のスコアおよび第2の重みを使用して第2の重み付きスコアを計算することができる。その後、重み付きスコアを使用して、最も高い重み付きスコアに対応する装置の状態変化を選択することなどによって装置の状態変化を選択することができる。たとえば、第1の重み付きスコアが最も高い場合には第1の装置の状態変化を選択することができ、第2の重み付きスコアが最も高い場合には第2の装置の状態変化を選択することができる。
【0220】
ステップ855において、ステップ850において識別された装置の状態変化を使用して装置リストを更新する。装置リストは、いずれかの適切なデータストアに記憶することができる。
【0221】
ステップ860において、本明細書で説明したまたは米国特許第9,443,195号に記載されている方法のうちのいずれかなどを使用して、ステップ850において識別された装置の状態変化に関する情報をユーザに提供することができる。いくつかの実装では、ステップ860を実行せずに、装置の状態変化についてユーザに知らせないこともできる。
【0222】
いくつかの実装では、装置の状態変化を、以下の条項およびこれらのうちのいずれか2つまたは3つ以上の組み合わせに記載するように識別することができる。
【0223】
条項1.建物内の装置の状態変化を識別するコンピュータ実装方法であって、建物の第1の装置がスマートプラグに接続されており、建物の第2の装置がスマートプラグに接続されていないことを示す情報を装置リストから取得するステップと、1または2以上の装置に電力を供給しているスマートプラグとのネットワーク接続を確立するステップと、ネットワーク接続を介して、スマートプラグが1または2以上の装置に一定期間にわたって供給する電力量を示すスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取るステップと、建物の第1の電気の主管の電気的特性を測定するセンサからの測定値を使用して第1の主管電力モニタリング信号を取得するステップと、第1の主管電力モニタリング信号の、第1の装置の状態変化に対応する第1の主管電力事象を識別するステップと、第1の主管電力事象およびスマートプラグ電力モニタリング信号を使用して一致スコアを計算するステップと、一致スコアを使用して、第1の装置のための第1の電力モデルの第1の重みと、第1の重みよりも小さな、第2の装置のための第2の電力モデルの第2の重みとを計算するステップと、第1の電力モデル、第1の重み、第2の電力モデルおよび第2の重みを使用して第1の主管電力事象を処理して、第1の主管電力事象が第1の装置の状態変化に対応すると判定するステップと、装置リスト内の第1の装置のためのエントリを第1の装置の現在の状態を示すように更新するステップと、を含むコンピュータ実装方法。
【0224】
条項2.一致スコアを計算するステップは、スマートプラグ電力モニタリング信号のスマートプラグ電力事象を識別するステップと、第1の主管電力事象とスマートプラグ電力事象とを比較するステップとを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0225】
条項3.一致スコアを計算するステップは、第1の主管電力事象を含む第1の主管電力モニタリング信号の一部とスマートプラグ電力モニタリング信号の一部との間の距離を計算するステップを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0226】
条項4.一致スコアを計算するステップは、第1の主管電力事象とスマートプラグ電力モニタリング信号のスマートプラグ電力事象との間の時間差を使用するステップを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0227】
条項5.第1の重みは1であり、第2の重みはゼロである、条項1のコンピュータ実装方法。
【0228】
条項6.第1の電力モデル、第1の重み、第2の電力モデルおよび第2の重みを使用して第1の主管電力事象を処理して、第1の主管電力事象が第1の装置の状態変化に対応すると判定するステップは、第1の電力モデルを使用して第1の主管電力事象を処理して第1のスコアを生成するステップと、第1のスコアおよび第1の重みを使用して第1の重み付きスコアを計算するステップと、第2の電力モデルを使用して第1の主管電力事象を処理して第2のスコアを生成するステップと、第2のスコアおよび第2の重みを使用して第2の重み付きスコアを計算するステップと、第1の重み付きスコアおよび第2の重み付きスコアを使用して、第1の主管電力事象が第1の装置の状態変化に対応すると判定するステップとを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0229】
条項7.第1の主管電力モニタリング信号の、第2の装置の状態変化に対応する第2の第1の主管電力事象を識別するステップと、第2の第1の主管電力事象およびスマートプラグ電力モニタリング信号を使用して第2の一致スコアを計算するステップと、第2の一致スコアを使用して、第1の装置のための第1の電力モデルの第3の重みと、第3の重みよりも小さな、第2の装置のための第2の電力モデルの第4の重みとを計算するステップと、第1の電力モデル、第3の重み、第2の電力モデルおよび第4の重みを使用して第2の第1の主管電力事象を処理して、第2の第1の主管電力事象が第2の装置の状態変化に対応すると判定するステップと、装置リスト内の第2の装置のためのエントリを第2の装置の現在の状態を示すように更新するステップとを含む、条項1のコンピュータ実装方法。
【0230】
スマートプラグを用いたモデルのトレーニング
スマートプラグは、装置の数理モデルのトレーニングを支援することができる。装置の数理モデルをトレーニングするには、装置が状態を変化させる(たとえば、オンおよびオフになる)例を含む電力モニタリング信号のトレーニングコーパスを取得することができる。いくつかの装置については、装置のモデルをトレーニングするのに十分な量のトレーニングデータを収集することが比較的容易と考えられる。たとえば、これらの装置は、比較的頻繁に状態を変化させることができ、或いは(たとえば、大きな電力変化または際立った状態遷移の特徴によって)主管電力モニタリング信号において識別するのが比較的容易な電力事象を有することができる。
【0231】
しかしながら、いくつかの装置については、モデルをトレーニングするのに十分な量のトレーニングデータを収集することがさらに困難となり得る。たとえば、これらの装置は、状態を変化させる頻度が比較的低く、状態遷移の電力変化が比較的小さく、或いは状態変化の特徴が他の装置の状態変化に類似することがある。スマートプラグは、このような装置のトレーニングデータの収集を容易にすることができる。
【0232】
ユーザは、装置のモデルをトレーニングする目的で意図的に装置をスマートプラグに接続することができる。たとえば、ユーザは、装置をスマートプラグに接続した後に、電力モニタリングサービスを提供している企業に装置のモデルをトレーニングするための要求を提出することができる。或いは、ユーザが他の理由で装置をスマートプラグに接続し、電力モニタが、スマートプラグに接続された装置の数理モデルが利用可能でないと判定して、装置の数理モデルをトレーニングする目的でスマートプラグからデータを収集し続けることもできる。
【0233】
装置のためのトレーニングできる電力モデルは、遷移モデル、(本明細書では状態モデルと呼ぶ)装置モデルおよびワット数モデルなどの、米国特許第9,443,195号に記載されている数理モデルのうちのいずれかを含む。
【0234】
図9は、スマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の数理モデルをトレーニングする実装例のフローチャートである。ステップ910において、電力モニタが、スマートプラグからスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取る。このステップは、ステップ615について上述した方法のうちのいずれかを使用して実行することができる。たとえば、スマートプラグからスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取る前に、電力モニタとスマートプラグとの間のネットワーク接続を確立することができる。
【0235】
ステップ915において、スマートプラグ電力モニタリング信号を処理することによってオン作動時点を特定する。たとえば、オン作動時点は、スマートプラグ電力モニタリング信号のゼロ電力から非ゼロ電力への遷移に対応する時点として決定することができる。上述したように、ゼロ電力が閾値未満の電力量に対応して正確にゼロである必要がないように、適切な閾値を使用することができる。オン作動時点は、1日、1週間または1ヶ月などの一定期間にわたってスマートプラグ電力モニタリング信号を処理することによって識別することができる。オン作動時点は、全て第1の装置のオン作動に対応することも、または(たとえば、複数の装置がスマートプラグに接続されている場合には)複数の装置のオン作動に対応することもできる。
【0236】
ステップ920において、スマートプラグ電力モニタリング信号を処理することによって作動オフ時点を特定する。たとえば、作動オフ時点は、スマートプラグ電力モニタリング信号の非ゼロ電力からゼロ電力への遷移に対応する時点として(たとえば、適切な閾値を使用して)決定することができる。作動オフ時点は、1日、1週間または1ヶ月などの一定期間にわたってスマートプラグ電力モニタリング信号を処理することによって識別することができる。作動オフ時点は、全て第1の装置の作動オフに対応することも、または(たとえば、複数の装置がスマートプラグに接続されている場合には)複数の装置の作動オフに対応することもできる。
【0237】
ステップ925において、第1の主管電力モニタリング信号を取得する。このステップは、ステップ620について上述した方法のうちのいずれかを使用して実行することができる。いくつかの実装では、本明細書で説明した方法を使用することなどによって以前にスマートプラグが第1の主管から電力を受け取っていると判定されたことがある場合、第1の主管電力モニタリング信号を他の電力モニタリング信号(たとえば、第2の主管電力モニタリング信号)の中から選択することができる。
【0238】
ステップ930において、第1の主管電力モニタリング信号の電力事象を識別する。電力事象は、(スマートプラグから電力を受け取っていることもまたは受け取っていないこともできる)装置がオンまたはオフに切り替わるなど状態を変化させたことを示すことができる。電力事象は、本明細書で説明したまたは米国特許第9,443,195号に記載されているいずれかの方法などのいずれかの適切な方法を使用して識別することができる。各電力事象は事象時点に関連することができ、事象時点は電力事象毎に記憶することができる。電力事象は、1日、1週間または1ヶ月などの一定期間にわたって第1の主管電力モニタリング信号を処理することによって識別することができる。
【0239】
ステップ935において、電力事象を複数のクラスタにクラスタリングする。電力事象のクラスタリングは、電力事象から特徴を計算した後にこれらの特徴を使用してクラスタリングすることなどによる、いずれかの適切な方法を使用して行うことができる。特徴は、電力事象とテンプレートとの間の一致、フーリエ係数、ニューラルネットワークの特徴、或いは電力事象の前と後の電力、電流、電圧または位相の変化などの、いずれかの適切なものを使用することができる。クラスタリング法は、k平均クラスタリング、階層型クラスタリング、重心型クラスタリングまたは密度型クラスタリングなどの、いずれかの適切なものを使用することができる。
【0240】
電力事象のクラスタリングにより、類似する電力事象が同じクラスタ内に存在し、類似しない電力事象が異なるクラスタ内に存在するようにすることができる。たとえば、特定の装置の全てのオン作動電力事象は同じクラスタ内に存在することができる。いくつかの事例では、クラスタが、オーブントースタのオン作動についての電力事象などの、特定の装置の特定の電力事象のみを含むことができる。いくつかの事例では、クラスタが、オーブントースタのオン作動についての電力事象およびヘアアイロンのオン作動についての電力事象などの、複数の装置からの電力事象を含むことができる。
【0241】
ステップ940において、オン作動時点と第1のクラスタ内の電力事象の事象時点とを使用して、複数のクラスタのうちの第1のクラスタを選択する。第1のクラスタは、いずれかの適切な方法を使用して選択することができる。たとえば、第1のクラスタの電力事象の事象時点をオン作動時点と比較することができる。いくつかの実装では、複数のクラスタのうちの、クラスタの電力事象の事象時点とオン作動時点との間の一致を示す各クラスタについてスコアを計算し、最も高いスコアを有するクラスタを選択することができる。たとえば、クラスタのスコアは、オン作動時点の5秒前後などの、オン作動時点の一定の時間ウィンドウ内に存在するクラスタ内の電力事象の割合またはパーセントテージとすることができる。クラスタの多くの事象時点がオン作動時点に近い場合には、このクラスタがスマートプラグに接続された装置のオン作動に対応する可能性が高いと考えられる。
【0242】
ステップ945において、作動オフ時点と第2のクラスタ内の電力事象の事象時点とを使用して複数のクラスタのうちの第2のクラスタを選択する。第2のクラスタは、ステップ940において説明した方法などのいずれかの適切な方法を使用して選択することができる。
【0243】
ステップ950において、第1のクラスタの1または2以上の電力事象を使用して第1の遷移モデルをトレーニングする。本明細書で説明したまたは米国特許第9,443,195号に記載されているいずれかの遷移モデルまたは方法などのいずれかの適切な方法を使用して、いずれかの適切な遷移モデルをトレーニングすることができる。いくつかの実装では、第1のクラスタ内の電力事象のサブセットを使用して第1の遷移モデルをトレーニングすることができる。たとえば、オン作動時点の一定の時間ウィンドウ内に存在する電力事象のみを使用して第1の遷移モデルをトレーニングすることができる。
【0244】
ステップ955において、第2のクラスタの1または2以上の電力事象を使用して第2の遷移モデルをトレーニングする。第2の遷移モデルは、ステップ950において説明した方法などのいずれかの適切な方法を使用してトレーニングすることができる。
【0245】
ステップ960において、第1および第2の遷移モデルを使用して装置の状態変化を識別する。たとえば、第1および第2の遷移モデルを、スマートプラグモニタリング信号および第1の主管電力モニタリング信号を取得した同じ建物内の電力モニタに展開することができる。第1および第2の遷移モデルを使用して、スマートプラグに接続された装置の、またはスマートプラグに接続されていない(またはもはや接続されていない)装置に接続された装置の状態変化(たとえば、オンおよびオフへの切り替え)を識別することができる。
【0246】
いくつかの実装では、第1および第2の遷移モデルを、スマートプラグモニタリング信号および第1の主管電力モニタリング信号を取得した建物とは異なる建物内で使用することができる。たとえば、第1および第2の遷移モデルを第1の建物内のオーブントースタのオンおよびオフへの切り替えに対応する電力事象からトレーニングしておき、これらの第1および第2の遷移モデルを第2の建物内で使用して、オーブントースタのオンおよびオフへの切り替えから電力事象を識別することができる。
【0247】
いくつかの装置では、2つよりも多くの遷移モデルをトレーニングすることが望ましい場合がある。電球のような2つの状態(オンとオフ)しか有していない装置については、2つの遷移モデルで十分と考えられる。第1の遷移モデルは、オフ状態からオン状態への遷移を表すことができ、第2の遷移モデルは、オン状態からオフ状態への遷移を表すことができる。これに比べて、エアコンは、オフ状態である第1の状態と、コンデンサモータが動作していてブロワモータが動作していない第2の状態と、コンデンサモータもブロワモータも動作している第3の状態とを有することができる。エアコンでは、第1の状態(オフ状態)から(コンデンサモータのみが動作している)第2の状態への遷移を表す第1の遷移モデルと、第2の状態から(コンデンサモータに加えてブロワモータもオンになる)第3の状態への遷移を表す第2の遷移モデルと、第3の状態から第1の状態に戻る遷移を表す第3の遷移モデルとを有することが望ましいと考えられる。他の装置では、さらなる装置状態および遷移モデルが望ましい場合もある。
【0248】
図10は、スマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の2つよりも多くの数理モデルをトレーニングする実装例のフローチャートである。図10の処理は、たとえば図9の処理と併用することができる。
【0249】
ステップ1010において、スマートプラグから電力を受け取っている装置の2つの状態を有する状態モデルを初期化する。たとえば、第1の状態は、装置がオフであることに対応することができ、第2の状態は、装置がオンであることに対応することができる。この状態モデルは、第1の状態から第2の状態への第1の遷移と、第2の状態から第1の状態への第2の遷移とを含むことができる。図11Aに、たとえば状態1をオフ状態とすることができ、状態2をオン状態とすることができる2つの状態を有する状態モデルの例を示す。
【0250】
ステップ1015において、第1の遷移を表す電力事象の第1のクラスタを選択し、ステップ1020において、第2の遷移を表す電力事象の第2のクラスタを選択する。ステップ1015および1020は、図9の方法のいずれかなどの本明細書で説明した方法のいずれかを使用することができる。たとえば、電力モニタリング信号のオン作動時点および作動オフ時点を識別することができ、第1の主管電力モニタリング信号の電力事象を識別することができ、電力事象を複数のクラスタにクラスタリングすることができ、オン作動時点、作動オフ時点および電力事象の事象時点を使用して第1および第2のクラスタを選択することができる。
【0251】
ステップ1025において、状態モデルとモデル化する装置との間の適合度を判定する。適合度は、いずれかの適切な方法を使用して判定することができる。
【0252】
装置が2つの状態(たとえば、オンとオフ)しか有していない場合、この装置は、オフの時にはゼロ電力を消費し、オンの時には比較的一定量の電力を消費することができる。第1の遷移は、ゼロ電力から装置の典型的な電力使用量への遷移とすることができる。装置は、典型的な電力使用量からゼロ電力への第2の遷移まで典型的な電力使用量を消費し続けることができる。図12Aに、オフの時に0ワットを消費してオンの時に100ワットを消費する2つの状態を有する装置の電力モニタリング信号の例を示す。2つの状態を含む状態モデルは、図12Aの装置に合致する。
【0253】
装置が2つよりも多くの状態を有する場合には、装置が一定期間にわたって消費する電力量がオンの間に変化することができる。第1の遷移は、ゼロ電力から装置の第1の典型的な電力使用量(たとえば、コンデンサモータ)への遷移とすることができる。装置は、第1の典型的な電力使用量から第2の典型的な電力使用量(たとえば、コンデンサモータおよびブロワモータの両方)への第2の遷移まで典型的な電力使用量を消費し続けることができる。第3の遷移は、ゼロ電力に戻ることとすることができる。図12Bに、オフの時に0ワットを消費し、オンになった後に50ワットを消費し、その後の時点で100ワットを消費する3つの状態を有する装置の電力モニタリング信号の例を示す。2つの状態を含む状態モデルは、図12Bの装置には合致しないと考えられる。
【0254】
適合度は、たとえば装置のワット数モデルを作成することによって判定することができる。本明細書で説明したまたは米国特許第9,443,195号に記載されているいずれかのワット数モデルなどの、いずれかの適切なワット数モデルを使用することができる。ワット数モデルは、第1の状態から第2の状態への遷移に対応する電力消費量の予想変化を計算することによって作成することができる。
【0255】
遷移に対応する電力消費量の予想変化は、いずれかの適切な方法を使用して求めることができ、この予想変化は、スマートプラグ電力モニタリング信号および第1の主管電力モニタリング信号の一方または両方から計算することができる。遷移に対応する電力事象毎に、電力事象の前後両方について電力量を求めることができる。この電力量は、たとえば特定の時点(たとえば、電力事象の2秒前と2秒後)における電力量、または一定の時間ウィンドウ(たとえば、電力事象の1~3秒前から後までのウィンドウ)にわたる電力消費量の平均とすることができる。電力変化は、電力事象の前と後の電力の変化を計算することによって各電力事象について求めることができる。
【0256】
遷移の予想電力消費量変化は、遷移に対応する電力事象の電力変化から計算することができる。電力事象の電力変化の統計値を計算することなどの、いずれかの適切な方法を使用することができる。たとえば、この統計値は、電力事象の電力変化の平均値または中央値とすることができる(そして、異常値を除外することができる)。
【0257】
装置のワット数モデルは、装置が特定の状態にある間に比較的一定の電力量を消費するものとすることができ、予想電力量は、この特定の状態への遷移の電力変化に対応することができる。
【0258】
状態モデルの適合度は、ワット数モデルを電力モニタリング信号によって示される実際の電力消費量と比較することによって判定することができる。たとえば、図12Aの装置のワット数モデルは、(破線によって示すように)装置がオンである間に99ワットを消費すると予想されることを示すことができる。図12Aの電力モニタリング信号では、実際には装置が100ワットを消費しており、従ってワット数モデルは電力モニタリング信号に近く、状態モデルが電力モニタリング信号に合致する。対照的に、図12Bの装置のワット数モデルは、(破線によって示すように)装置がオンである間に90ワットを消費すると予想されることを示すことができる。図12Bの電力モニタリング信号では、実際には装置が50ワットまたは100ワットを消費しており、従って状態モデルは電力モニタリング信号に合致していない。
【0259】
状態モデルと特定の電力モニタリング信号との間の適合度は、いずれかの適切な方法を使用して計算することができる。たとえば、連続間隔で電力モニタリング信号をサンプリングし、これらのサンプルとワット数モデルによって示される予想電力量との間の差分の平方和を計算することによって、ワット数モデルと特定の電力モニタリング信号との間の距離を計算することができる。
【0260】
スマートプラグ電力モニタリング信号は、装置がオンおよびオフになる例を複数有することができ、適合度は、装置がオンおよびオフになる各例について計算することができる。状態モデルと装置との適合度は、状態モデルとスマートプラグ電力モニタリング信号の各例との適合度を組み合わせることによって計算することができる。たとえば、状態モデルと装置との適合度は、スマートプラグ電力モニタリング信号のオン状態にある装置の各例について計算した適合度値の平均値または中央値とすることができる(そして、異常値を除外することができる)。
【0261】
この適合度を使用して、状態モデルに別の状態を追加すべきであるかどうかを判定することができる。たとえば、適合度を閾値と比較することができる。ステップ1025において計算された適合度が十分でない場合、処理はステップ1030に進むことができる。
【0262】
ステップ1030において、状態モデルに新たな状態を追加する。たとえば、図11Bに、図11Aの第2の状態の後に第3の状態を挿入した状態モデルを示す。たとえば、状態1は、依然としてオフ状態に対応することができ、状態2は、(たとえば、コンデンサモータのみが動作中である)第1の動作状態に対応することができ、状態3は、(たとえば、コンデンサモータおよびブロワモータの両方が動作中である)第2の動作状態に対応することができる。従って、状態1から状態2への遷移は、装置がオンになったことに対応することができ、状態2から状態3への遷移は、装置がオンである間の動作の変化に対応することができ、状態3から状態1への遷移は、装置がオフになったことに対応することができる。この例では、状態モデルが図11Bに示す3つの遷移しか含んでいないが、いくつかの実装では、状態ペア間に遷移を追加したりしてさらなる遷移を含めることもできる。
【0263】
第3の状態を追加した後に、状態1から状態2への遷移(装置のオン作動)に電力事象の第1のクラスタを割り当て、状態3から状態1への遷移(装置の作動オフ)に電力事象の第2のクラスタを割り当てることができる。
【0264】
ステップ1035において、新たな状態への遷移(たとえば、図11Bの状態2から状態3への変化)について電力事象のクラスタを選択する。新たな状態への遷移は、装置が既にオンである間に発生するので、この遷移は、一般にオン作動時点とその後の作動オフ時点との間に発生するはずである。従って、第3のクラスタは、選択されたクラスタの電力事象の事象時点とスマートプラグに接続された装置がオン状態にある時間(たとえば、スマートプラグ電力モニタリング信号から取得されたオン作動時点とその後の作動オフ時点との間)とを比較することによって選択することができる。いくつかの実装では、複数のクラスタのうちの、クラスタの電力事象の事象時点と、オン作動時点とその後の作動オフ時点との間の時間との間の一致を示す各クラスタについてスコアを計算することができる。その後、最も高いスコアを有するクラスタを選択することができる。たとえば、クラスタのスコアは、オン作動時点とその後の作動オフ時点との間に存在するクラスタ内の電力事象の割合またはパーセントテージとすることができる。クラスタの多くの事象時点がこの範囲内に存在する場合には、このクラスタが新たな状態への遷移に対応する可能性が高いと考えられる。
【0265】
ステップ1035の後に、処理はステップ1025に戻って、(現在3つの状態を有する)状態モデルと装置との適合度を判定する。状態モデルは、現在2つの動作状態(状態2および3)を有しているので、各動作状態についてワット数モデルを計算し、各ワット数モデルをスマートプラグ電力モニタリング信号の一部と比較することができる。たとえば、状態2のワット数モデルを図12Bの部分1210と比較することができ、状態3のワット数モデルを部分1220と比較することができる。部分1210および1220は、電力事象を使用してこれらの部分を識別することまたはワット数モデルに合致する部分を選択することなどによるいずれかの適切な方法を使用して電力モニタリング信号から識別することができる。依然として適合度が十分でない場合、処理は再びステップ1030に進んで別の状態をモデルに追加することができる。適合度が十分である場合、処理はステップ1040に進むことができる。
【0266】
ステップ1040において、選択されたクラスタ毎に遷移モデルをトレーニングし、ステップ1045において、遷移モデルを使用して装置の状態変化を識別する。ステップ1040および1045は、図9の方法のいずれかなどの、本明細書で説明した方法のいずれかを使用することができる。
【0267】
いくつかの実装では、上述したように2つの状態を使用して状態モデルを初期化する代わりに、2つよりも多くの状態を使用して状態モデルを初期化することができる。初期状態数は、いずれかの適切な方法を使用して決定することができる。
【0268】
いくつかの実装では、スマートプラグ電力モニタリング信号の例における遷移を探すことによって初期状態数を決定することができる。たとえば、各部分がゼロ電力から非ゼロ電力への遷移(装置のオン作動)付近から開始してその後の非ゼロ電力からゼロ電力への遷移(装置の作動オフ)付近で終了するスマートプラグ電力モニタリング信号の部分を取得することができる。これらのスマートプラグ電力モニタリング信号の各部分について、本明細書で説明したいずれかの方法を使用して、装置のオン作動と作動オフとの間の電力事象(内部電力事象)を識別することができる。各部分について、その部分の状態数を内部電力事象の数よりも2だけ多くなるように決定することができる。たとえば、内部電力事象が存在しなければ、その部分の状態数を2(オンおよびオフ)とすることができ、1つの内部電力事象が存在すれば、状態数を3とすることができる。これらのスマートプラグ電力モニタリング信号の部分の状態数を組み合わせて、状態モデルの初期状態数を決定することができる。たとえば、初期状態数は、これらの部分の状態の統計値(たとえば、平均値または中央値)、或いは最大値または最小値とすることができる。
【0269】
いくつかの実装では、クラスタ内の電力事象の時点を使用して初期状態数を決定することができる。たとえば、ステップ940において説明したようなオン作動時点を使用して第1のクラスタを選択することができ、ステップ945において説明したような作動オフ時点を使用して第2のクラスタを選択することができる。他のクラスタの各々について、オン作動時点とその後の作動オフ時点との間にクラスタの電力事象が存在する頻度を求めることができる。オン作動時点とその後の作動オフ時点との間に存在するクラスタ内の電力事象のパーセンテージまたは割合が高い(たとえば、閾値を上回る)場合、そのクラスタは、装置がオンである間の装置の状態変化に対応する可能性が高く、装置が(オン状態に加えて)複数の動作状態を有すると判定することができる。状態モデルの初期状態数は、装置がオンである間の装置の状態変化に対応する可能性が高いクラスタの数よりも2だけ多くなるように決定することができる。たとえば、装置がオンである間の装置の状態変化に対応する可能性が高いクラスタが存在しない場合には初期状態数を2(オンおよびオフ)とすることができ、装置がオンである間の装置の状態変化に対応する可能性が高いクラスタが1つ存在する場合には初期状態数を3とすることができる。
【0270】
初期状態数を決定した後に、初期状態の数が2よりも多い(たとえば、複数の動作状態が存在する)場合には、図9の処理をさらなる遷移モデルをトレーニングするように適合させることができる。図9に示すように、第1の遷移モデルは、オン作動時点に対応するクラスタを使用してトレーニングすることができ、第2の遷移モデルは、作動オフ時点に対応するクラスタを使用してトレーニングすることができる。2つの状態に加えた状態毎に、クラスタの事象時点を使用して(たとえば、事象時点をオン作動時点および作動オフ時点と比較することによって)クラスタを選択することができ、選択されたクラスタの電力事象を使用して遷移モデルをトレーニングすることができる。いくつかの実装では、図10の処理を使用してさらなる状態を追加すると決定し、状態数を初期状態数よりも増加させることができる。
【0271】
いくつかの実装では、初期状態数が多すぎたと判定し、従って状態数を減少させることができる。たとえば、クラスタを選択する際に、(たとえば、利用可能なクラスタの事象時点とオン作動時点および作動オフ時点とを比較することに基づいて)状態遷移に適したクラスタが存在しないと判定し、この結果、状態数を減少させることができる。
【0272】
いくつかの実装では、以下の条項およびこれらのうちのいずれか2つまたは3つ以上の組み合わせに記載するように遷移モデルをトレーニングすることができる。
【0273】
実装
上述した方法の変形例も考えられる。上述した方法では単一のスマートプラグを参照したが、これらの方法は、建物内の複数のスマートプラグと共に使用するように適合させることもできる。たとえば、電力モニタは、2または3以上のスマートプラグとのネットワーク接続を確立し、各スマートプラグからスマートプラグ電力モニタリング信号を受け取り、各スマートプラグ電力モニタリング信号に対して上述した方法のいずれかを実行することができる。
【0274】
上述した方法は、いずれもスマートプラグの代わりにスマート回路遮断器(smart circuit breaker)を使用して実行することもできる。スマート回路遮断器は、この回路遮断器から電力を受け取る装置の電力消費量に関する情報を提供することができる。たとえば、スマート回路遮断器は、電気パネル内に導入されて、スマート回路遮断器に接続された電気回路を介して1または2以上の装置に電力を供給することができる。スマート回路遮断器は、スマート回路遮断器から電力を受け取る装置に供給される電力に関する情報を提供する機能を含むことができる。たとえば、スマート回路遮断器は、回路に供給される電気の電気的特性(たとえば、電流、電圧または電力)を測定する1または2以上のセンサを含むことができる。これらのセンサデータを使用して、回路に接続された装置が一定期間にわたって消費する電力量を求めることができる。スマート回路遮断器は、接続装置の電力使用に関する情報をスマートフォンなどの他の装置に送信するためのネットワーク接続(たとえば、Wi-FiまたはBluetooth)を有することもできる。スマート回路遮断器は、他の機能を有することもできる。たとえば、スマート回路遮断器は、回路への電気の流れを開始および停止する継電器を有することができ、ユーザは、継電器をユーザが制御できるようにするスマートフォン上のアプリケーション(またはアプリ)を有することができる。
【0275】
本明細書で使用するスマート回路遮断器は、(たとえば、図2の第1の主管母線211を介して)建物の主管から電力を受け取り、回路に電力を供給し、回路に接続された1または2以上の装置に送電される電力に関する情報を測定するセンサを有し、測定された電力消費量に関する情報を電力モニタなどの他の装置に送信するためのネットワーク接続(有線または無線)を有する装置である。スマート回路遮断器は、ユーザがスマート回路遮断器内のリレーを開放することによって回路への電力を効果的に切断できるようにすることなどの他の機能を提供することもできる。
【0276】
電力モニタは、スマート回路遮断器(または複数のスマート回路遮断器)とのネットワーク接続を確立して、スマート回路遮断器からスマート回路遮断器電力モニタリング信号を受け取ることができる。電力モニタは、スマート回路遮断器の近く(たとえば、電気パネル内またはその付近)に導入されると、スマート回路遮断器から直接センサデータを受け取ることができ、従ってネットワーク接続が不要になる場合もある。
【0277】
スマート回路遮断器電力モニタリング信号は、スマートプラグ電力モニタリング信号について上述した方法のいずれかを使用して処理することができる。スマート回路遮断器は(スマートプラグに接続された1または2以上の装置に電力を供給するスマートプラグと比べて)回路に電力を供給するので、スマート回路遮断器電力モニタリング信号は、スマートプラグ電力モニタリング信号よりも多くの装置の電力消費量を示すことができる。上述した方法をスマート回路遮断器電力モニタリング信号に拡張することは当業者にとって容易である。
【0278】
図13に、電力モニタまたは電力モニタと共に動作するサーバのいずれかに使用できるコンピュータ装置1300のいくつかの実装のコンポーネントを示す。図13では、コンポーネントを単一のコンピュータ装置上に存在するものとして示しているが、これらのコンポーネントは、上述したいずれかの装置間または複数のサーバコンピュータ装置間などの複数のコンピュータ装置間で分散させることもできる。
【0279】
コンピュータ装置1300は、1または2以上のプロセッサ1311、揮発性または不揮発性メモリ1310、およびコンピュータネットワークに接続するための1または2以上のネットワークインターフェイス1312などの、コンピュータ装置に典型的ないずれかのコンポーネントを含むことができる。コンピュータ装置1300は、ディスプレイ、キーボードおよびタッチ画面などのいずれかの入力および出力コンポーネントを含むこともできる。コンピュータ装置1300は、特定の機能を提供する様々なコンポーネントまたはモジュールを含むこともでき、これらのコンポーネントまたはモジュールは、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの組み合わせで実装することができる。以下では、1つの実装例について複数のコンポーネント例を説明しており、他の実装は、さらなるコンポーネントを含むことも、或いは後述するコンポーネントのいくつかを除外することもできる。
【0280】
コンピュータ装置1300は、電力モニタリング信号を処理して、電力モニタリング信号から装置および装置の状態変化を識別することなどの装置に関する情報を決定するために使用できる電力事象処理コンポーネント1320を含むことができる。コンピュータ装置1300は、コンピュータネットワークからのデータを処理して、ネットワークデータから装置および装置の状態変化を識別することなどの装置に関する情報を決定するために使用できるネットワーク事象処理コンポーネント1321を含むことができる。コンピュータ装置1300は、スマートプラグが電力を受け取っている主管を識別するために使用できる主管識別コンポーネント1322を含むことができる。コンピュータ装置1300は、スマートプラグから電力を受け取っている装置を識別するために使用できる装置識別コンポーネント1323を含むことができる。コンピュータ装置1300は、主管電力モニタリング信号およびスマートプラグ電力モニタリング信号を使用して電力事象に対応する装置の状態変化を判定するために使用できる状態変化コンポーネント1324を有することができる。コンピュータ装置1300は、主管電力モニタリング信号およびスマートプラグ電力モニタリング信号を使用して装置の数理モデルをトレーニングするために使用できるモデルトレーニングコンポーネント1325を有することができる。
【0281】
コンピュータ装置1300は、データストア1330、1331および1332などの様々なデータストアを含み、またはこれらにアクセスすることができる。データストアは、ファイル、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、またはいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体などの、いずれかの既知の記憶技術を使用することができる。たとえば、コンピュータ装置1300は、電力モデルまたは電力モデルに関する情報を記憶する電力モデルデータストア1330を有することができる。コンピュータ装置1300は、ネットワークモデルまたはネットワークモデルに関する情報を記憶するネットワークモデルデータストア1331を有することができる。コンピュータ装置1300は、1または2以上の建物の装置リストなどの装置に関する情報を記憶するために使用できる装置情報データストア1332を有することができる。
【0282】
本発明のほんのわずかな実施形態を図示し説明したが、当業者には、以下の特許請求の範囲に示す本開示の趣旨および範囲から逸脱することなくこれらに多くの変更および修正を行えることが明らかであろう。本明細書で参照した国外および国内両方の全ての特許出願および特許、並びに他の全ての文献は、法律によって認められる最大限の範囲までその全体が本明細書に組み入れられる。
【0283】
本明細書で説明した方法およびシステムは、プロセッサ上でコンピュータソフトウェア、プログラムコードおよび/または命令を実行する機械を通じて部分的または全体的に展開することができる。プロセッサは、サーバ、クラウドサーバ、クライアント、ネットワークインフラストラクチャ、モバイルコンピューティングプラットフォーム、固定コンピューティングプラットフォームまたはその他のコンピューティングプラットフォームの一部とすることができる。プロセッサは、プログラム命令、コードおよびバイナリ命令などを実行できるいずれかの種類の計算または処理装置とすることができる。プロセッサは、シグナルプロセッサ、デジタルプロセッサ、埋め込みプロセッサ、マイクロプロセッサ、またはコプロセッサ(数値演算コプロセッサ、グラフィックコプロセッサおよび通信コプロセッサなど)および記憶されたプログラムコードまたはプログラム命令の実行を直接的または間接的に容易にすることができる同様のものなどのいずれかの変種とすることができ、またはこれらを含むことができる。また、プロセッサは、複数のプログラム、スレッドおよびコードの実行を可能にすることもできる。スレッドは、プロセッサの性能を高めてアプリケーションの同時動作を容易にするように同時に実行することができる。実装として、本明細書で説明した方法、プログラムコードおよびプログラム命令などは、1または2以上のスレッドに実装することができる。スレッドは、関連する優先度を割り当てておくことができる他のスレッドを引き起こすことができ、プロセッサは、優先度またはプログラムコード内に提供される命令に基づく他のいずれかの順序に基づいてこれらのスレッドを実行することができる。プロセッサは、本明細書および他の場所で説明したような方法、コード、命令およびプログラムを記憶するメモリを含むことができる。プロセッサは、本明細書および他の場所で説明したような方法、コードおよび命令を記憶できる記憶媒体にインターフェイスを通じてアクセスすることができる。コンピュータ装置または処理装置が実行できる方法、プログラム、コード、プログラム命令またはその他のタイプの命令を記憶する、プロセッサに関連する記憶媒体としては、以下に限定されるわけではないが、CD-ROM、DVD、メモリ、ハードディスク、フラッシュドライブ、RAM、ROMおよびキャッシュなどのうちの1つまたは2つ以上を挙げることができる。
【0284】
プロセッサは、マルチプロセッサの速度および性能を高めることができる1または2以上のコアを含むことができる。実施形態では、プロセスを、デュアルコアプロセッサ、クアッドコアプロセッサ、その他のチップレベルマルチプロセッサ、および2または3以上の(チップと呼ばれる)独立コアを組み合わせた同様のものとすることができる。
【0285】
本明細書で説明した方法およびシステムは、サーバ、クラウドサーバ、クライアント、ファイヤウォール、ゲートウェイ、ハブ、ルータ、またはその他のこのようなコンピュータハードウェアおよび/またはネットワーキングハードウェア上でコンピュータソフトウェアを実行する機械を通じて部分的または全体的に展開することができる。ソフトウェアプログラムは、ファイルサーバ、プリントサーバ、ドメインサーバ、インターネットサーバ、イントラネットサーバ、並びに二次サーバ、ホストサーバおよび分散サーバなどの他の変種を含むことができるサーバに関連することができる。サーバは、メモリ、プロセッサ、コンピュータ可読媒体、記憶媒体、(物理および仮想)ポート、通信装置、並びに有線または無線媒体を介して他のサーバ、クライアント、機械および装置などにアクセスできるインターフェイスのうちの1つまたは2つ以上を含むことができる。本明細書および他の場所で説明したような方法、プログラムまたはコードは、サーバが実行することもできる。また、本出願で説明した方法の実行に必要な他の装置は、サーバに関連するインフラストラクチャの一部とみなすことができる。
【0286】
サーバは、以下に限定されるわけではないが、クライアント、他のサーバ、プリンタ、データベースサーバ、プリントサーバ、ファイルサーバ、通信サーバおよび分散サーバなどを含む他の装置へのインターフェイスを提供することができる。また、この結合および/または接続は、ネットワークを越えた遠隔的なプログラムの実行を容易にすることもできる。これらの装置の一部または全部のネットワーキングは、本開示の範囲から逸脱することなく、1または2以上の位置におけるプログラムまたは方法の並行処理を容易にすることができる。また、インターフェイスを介してサーバに接続された装置は、いずれも方法、プログラム、コードおよび/または命令を記憶できる少なくとも1つの記憶媒体を含むことができる。異なる装置上で実行されるプログラム命令は、中央リポジトリが提供することができる。この実装では、遠隔リポジトリが、プログラムコード、命令およびプログラムのための記憶媒体として機能することができる。
【0287】
ソフトウェアプログラムは、ファイルクライアント、プリントクライアント、ドメインクライアント、インターネットクライアント、イントラネットクライアント、並びに二次クライアント、ホストクライアントおよび分散クライアントなどの他の変種を含むことができるクライアントに関連することができる。クライアントは、メモリ、プロセッサ、コンピュータ可読媒体、記憶媒体、(物理および仮想)ポート、通信装置、並びに有線または無線媒体を介して他のクライアント、サーバ、機械および装置などにアクセスできるインターフェイスのうちの1つまたは2つ以上を含むことができる。本明細書および他の場所で説明したような方法、プログラムまたはコードは、クライアントが実行することもできる。また、本出願で説明した方法の実行に必要な他の装置は、クライアントに関連するインフラストラクチャの一部とみなすことができる。
【0288】
クライアントは、以下に限定されるわけではないが、サーバ、他のクライアント、プリンタ、データベースサーバ、プリントサーバ、ファイルサーバ、通信サーバおよび分散サーバなどを含む他の装置へのインターフェイスを提供することができる。また、この結合および/または接続は、ネットワークを越えた遠隔的なプログラムの実行を容易にすることもできる。これらの装置の一部または全部のネットワーキングは、本開示の範囲から逸脱することなく、1または2以上の位置におけるプログラムまたは方法の並行処理を容易にすることができる。また、インターフェイスを介してクライアントに接続された装置は、いずれも方法、プログラム、アプリケーション、コードおよび/または命令を記憶できる少なくとも1つの記憶媒体を含むことができる。異なる装置上で実行されるプログラム命令は、中央リポジトリが提供することができる。この実装では、遠隔リポジトリが、プログラムコード、命令およびプログラムのための記憶媒体として機能することができる。
【0289】
本明細書で説明した方法およびシステムは、ネットワークインフラストラクチャを通じて部分的にまたは全体的に展開することができる。ネットワークインフラストラクチャは、当業で周知のコンピュータ装置、サーバ、ルータ、ハブ、ファイヤウォール、クライアント、パーソナルコンピュータ、通信装置、ルーティング装置、並びにその他の能動装置および受動装置、モジュールおよび/またはコンポーネントなどの要素を含むことができる。ネットワークインフラストラクチャに関連する(単複の)コンピュータ装置および/または非コンピュータ装置は、他のコンポーネントとは別に、フラッシュメモリ、バッファ、スタック、RAMおよびROMなどの記憶媒体を含むことができる。本明細書および他の場所で説明したような処理、方法、プログラムコード、命令は、これらのネットワークインフラストラクチャ要素のうちの1つまたは2つ以上が実行することができる。
【0290】
本明細書および他の場所で説明したような方法、プログラムコードおよび命令は、複数のセルを有するセルラーネットワーク上に実装することができる。セルラーネットワークは、周波数分割多重アクセス(FDMA)ネットワークまたは符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワークのいずれかとすることができる。セルラーネットワークは、モバイル装置、セルサイト、基地局、リピータ、アンテナおよびタワーなどを含むことができる。セルラーネットワークは、GSM、GPRS、3G、EVDO、メッシュまたはその他のネットワークタイプを含むことができる。
【0291】
本明細書および他の場所で説明したような方法、プログラムコードおよび命令は、モバイル装置上でまたはモバイル装置を介して実装することができる。モバイル装置は、ナビゲーション装置、セルラー電話機、携帯電話機、携帯情報端末、ラップトップ、パームトップ、ネットブック、ページャ、電子ブックリーダおよび音楽プレーヤなどを含むことができる。これらの装置は、他のコンポーネントとは別に、フラッシュメモリ、バッファ、RAM、ROMおよび1または2以上のコンピュータ装置などの記憶媒体を含むことができる。モバイル装置に関連するコンピュータ装置は、記憶されているプログラムコード、方法および命令を実行することができる。或いは、モバイル装置は、他の装置と協調して命令を実行するように構成することもできる。モバイル装置は、サーバと連動してプログラムコードを実行するように構成された基地局と通信することができる。モバイル装置は、ピアツーピアネットワーク、メッシュネットワークまたはその他の通信ネットワーク上で通信することができる。プログラムコードは、サーバに関連する記憶媒体に記憶し、サーバに組み込まれたコンピュータ装置によって実行することができる。基地局は、コンピュータ装置および記憶媒体を含むことができる。記憶装置は、基地局に関連するコンピュータ装置によって実行されるプログラムコードおよび命令を記憶することができる。
【0292】
コンピュータソフトウェア、プログラムコードおよび/または命令は、何らかの時間間隔にわたって計算に使用されるデジタルデータを保持するコンピュータコンポーネント、装置および記録媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)として知られている半導体ストレージ、光学ディスク、ハードディスク、テープ、ドラム、カードおよびその他のタイプ様の磁気ストレージの形態などの、通常はさらに永続的な記憶のための大容量ストレージ、プロセッサレジスタ、キャッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、CD、DVDなどの光学ストレージ、フラッシュメモリ(たとえば、USBスティックまたはキー)、フロッピーディスク、磁気テープ、紙テープ、パンチカード、スタンドアロン型RAMディスク、Zipドライブ、取り外し可能大容量ストレージおよびオフラインなどの取り外し可能媒体、動的メモリ、静的メモリ、読み取り/書き込みストレージ、可変ストレージ、リードオンリ、ランダムアクセス、順次アクセス、位置アドレス指定可能、ファイルアドレス指定可能、コンテンツアドレス指定可能、ネットワーク接続ストレージ、ストレージエリアネットワーク、バーコード、磁気インクなどの他のコンピュータメモリを含むことができる機械可読媒体に記憶しおよび/または機械可読媒体においてアクセスすることができる。
【0293】
本明細書で説明した方法およびシステムは、物理項目および/または無形項目を1つの状態から別の状態に変換することができる。本明細書で説明した方法およびシステムは、物理項目および/または無形項目を表すデータを、使用データから正規化された使用データセットへなどの1つの状態から別の状態に変換することもできる。
【0294】
図を通じたフローチャートおよびブロック図に示したものを含む、本明細書で説明し図示した要素は、要素間の論理的境界を示唆するものである。しかしながら、ソフトウェアまたはハードウェア工学の慣例に従い、図示の要素およびその機能は、記憶されているプログラム命令を、モノリシックソフトウェア構造、独立ソフトウェアモジュール、或いは外部ルーチン、コードおよびサービスなど、またはこれらのいずれかの組み合わせを採用するモジュールとして実行できるプロセッサを有するコンピュータ実行可能媒体を通じて機械上に実装することができ、全てのこのような実装は、本開示の範囲に含まれるものとすることができる。このような機械の例としては、以下に限定されるわけではないが、携帯情報端末、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、その他のハンドヘルドコンピュータ装置、医療機器、有線または無線通信装置、トランスデューサ、チップ、計算機、衛星、タブレットPC、電子ブック、ガジェット、電子装置、人工知能を有する装置、コンピュータ装置、ネットワーキング装置、サーバおよびルータなどを挙げることができる。さらに、フローチャートおよびブロック図に示した要素または他のいずれかの論理コンポーネントは、プログラム命令を実行できる機械上に実装することもできる。従って、上述した図面および説明には、開示するシステムの機能面を示しているが、明確に示していない限り、或いは文脈から別様に明らかでない限り、これらの説明からこれらの機能面を実装するソフトウェアの特定の構成を推測すべきではない。同様に、上記で識別し説明した様々なステップは変更することができ、ステップの順序は、本明細書に開示した技術の特定の応用に適合することができると理解されるであろう。このような変形および修正は、全て本開示の範囲内に含まれるように意図される。従って、様々なステップの順番の図示および/または説明については、特定の用途に必要でない限り、または明確に示していない限り、或いは文脈から別様に明らかでない限り、これらのステップの特定の実行順を必要とするものであると理解すべきではない。
【0295】
上述した方法および/またはプロセス、およびそのステップは、ハードウェア、ソフトウェア、または特定の応用に適したハードウェアとソフトウェアのあらゆる組み合わせで実現することができる。ハードウェアは、汎用コンピュータおよび/または専用コンピュータ装置、或いは特定のコンピュータ装置または特定のコンピュータ装置の特定の態様またはコンポーネントを含むことができる。これらのプロセスは、1または2以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、埋め込み式マイクロコントローラ、プログラマブルデジタルシグナルプロセッサまたは他のプログラマブル装置において、内部および/または外部メモリと共に実現することができる。これに加えて、またはこれとは別に、これらのプロセスは、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、または電子信号を処理するように構成できる他のいずれかの装置または装置の組み合わせで具体化することもできる。さらに、これらのプロセスの1つまたは2つ以上を、機械可読媒体上で実行できるコンピュータ実行可能コードとして実現することもできると理解されるであろう。
【0296】
コンピュータ実行可能コードは、Cなどの構造化プログラミング言語、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、或いは上記の装置のうちの1つ、並びにプロセッサの異種の組み合わせ、プロセッサアーキテクチャ、または異なるハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、またはプログラム命令を実行できる他のいずれかの機械において実行されるように記憶し、コンパイルし、または解釈することができる(アセンブリ言語、ハードウェア記述言語、およびデータベースプログラミング言語および技術を含む)他のいずれかの高水準または低水準プログラミング言語を用いて作成することができる。
【0297】
従って、1つの態様では、上述した各方法および方法の組み合わせを、1または2以上のコンピュータ装置において実行された時に方法のステップを実行するコンピュータ実行可能コードで具体化することができる。別の態様では、これらの方法を、そのステップを実行するシステム内で具体化し、複数の形で装置全体に分散させることも、または全ての機能を専用のスタンドアロン型装置またはその他のハードウェアに統合することもできる。別の態様では、上述したプロセスに関連するステップを実行する手段が、上述したハードウェアおよび/またはソフトウェアのいずれかを含むことができる。このような置換および組み合わせは、全て本開示の範囲に含まれるように意図される。
【0298】
本明細書で参照した文献は、全て引用により本明細書に組み入れられる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13