(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071243
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】シート綴じ折り処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 45/28 20060101AFI20220509BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20220509BHJP
B42B 4/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B65H45/28
B65H37/04 D
B42B4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180079
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅央
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA09
3F108BB05
3F108CB02
3F108CD02
3F108CD07
3F108GB01
3F108GB03
3F108HA02
3F108HA32
3F108HA39
(57)【要約】
【課題】シート綴じ折り処理装置の構成を用いて、袖ページを追加した中綴じ製本冊子の形成処理を実現し、装置の利便性を向上させる。
【解決手段】スタッカ部に束内紙(定型シート)と束内紙(定型シート)よりも搬送方向に長い表紙(長尺シート)とを混載し、束内紙(定型シート)の領域に中綴じ処理を施す。そして、表紙(長尺シート)と束内紙(定型シート)と重ならない領域に袖ページを形成する折り処理を施す。その後、束内紙(定型シート)の領域に中折り処理を施すと袖ページを追加した中綴じ冊子を形成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定型シートを所定の搬送方向に搬送すると共に、前記搬送方向において前記定型シートよりも長い長尺シートを前記搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記長尺シートと前記定型シートの前記搬送方向における一端を共に揃え且つ前記長尺シートの一方の面側にのみ複数の定型シートを収納してシート束を形成するスタッカ部と、
前記スタッカ部により形成された前記シート束に対して、前記シート束を構成する前記複数の定型シートの前記搬送方向における中央の綴じ位置に綴じ処理を施し、綴じ処理済シート束を形成する綴じ手段と、
前記綴じ手段により形成された前記綴じ処理済シート束を前記搬送方向または前記搬送方向と反対方向に移動して、前記シート束の位置を調整する移動手段と、
前記移動手段により位置を調整された前記綴じ処理済シート束の前記複数の定型シートと前記長尺シートとが重複しない位置に設定される第1の折り位置と、前記移動手段により位置を調整された前記綴じ処理済シート束の前記綴じ位置に設定される第2の折り位置を前記綴じ処理済シート束の厚み方向において、前記定型シート側から前記長尺シート側に向けて突き出す突き出し部材と、
前記突き出し部材により突き出された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り位置をニップして第1の折り目を形成し、前記突き出し部材により突き出された前記第2の折り位置をニップして第2の折り目を形成する折り処理を施すニップ部を備え、前記折り処理を施す第1方向と前記第1の折り目を形成された前記綴じ処理済シート束を前記スタッカ部に戻す前記第1方向とは反対の第2方向とに回転自在な折りローラ対と、
前記綴じ処理済シート束に前記第1の折り目を形成した後、更に前記第2の折り目を形成すべく、前記移動手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する制御手段と、
を備えたシート綴じ折り処理装置。
【請求項2】
前記定型シートの枚数を認識する枚数認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により認識された枚数が所定の枚数を超えた場合、所定の枚数以下の場合よりも前記増し折り手段が前記第1の折り目に加える圧力を高くすべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項3】
前記定型シートの枚数を認識する枚数認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により認識された枚数が所定の枚数を超えた場合、所定の枚数以下の場合よりも前記増し折り手段が前記第1の折り目に圧力を加える回数を多くすべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項4】
前記定型シートの枚数を認識する枚数認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により認識された枚数が所定の枚数を超えた場合、所定の枚数以下の場合よりも前記増し折り手段が前記第1の折り目に圧力を加える時間を長くすべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項5】
前記定型シートの厚さを認識する厚さ認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記厚さ認識手段により認識された厚さが所定の厚さを超えた場合、所定の厚さ以下の場合よりも前記増し折り手段が前記第1の折り目に加える圧力を高くすべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項6】
前記定型シートの厚さを認識する厚さ認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記厚さ認識手段により認識された厚さが所定の厚さを超えた場合、所定の厚さ以下の場合よりも前記増し折り手段が前記第1の折り目に圧力を加える回数を多くすべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項7】
前記定型シートの厚さを認識する厚さ認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記厚さ認識手段により認識された厚さが所定の厚さを超えた場合、所定の厚さ以下の場合よりも前記増し折り手段が前記第1の折り目に圧力を加える時間を長くすべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項8】
前記定型シートの枚数を認識する枚数認識手段を更に備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により認識された枚数が所定の枚数を超えた場合、前記第1の折り目を形成した後、前記スタッカ部で前記定型シートと共に揃えられる前記搬送方向における前記長尺シートの一端に対向する前記長尺シートの他端が前記スタッカ部内にある間に前記折りローラ対を前記第2方向に回転することにより、前記第1の折り目を開きながら前記第1の折り目を形成された前記綴じ処理済シート束を前記スタッカ部に戻すべく、前記移動手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項9】
前記定型シートの厚さを認識する厚さ認識手段を更に備え、
前記制御手段は、前記厚さ認識手段により認識された厚さが所定の厚さを超えた場合、
前記第1の折り目を形成した後、前記スタッカ部で前記定型シートと共に揃えられる前記搬送方向における前記長尺シートの一端に対向する前記長尺シートの他端が前記スタッカ部内にある間に前記折りローラ対を前記第2方向に回転することにより、前記第1の折り目を開きながら前記第1の折り目を形成された前記綴じ処理済シート束を前記スタッカ部に戻すべく、前記移動手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項10】
前記定型シートの枚数を認識する枚数認識手段を更に備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により認識された枚数が所定の枚数を超えた場合、前記綴じ処理済シート束に前記第1の折り目を形成することを禁止すべく、前記移動手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項11】
前記定型シートの厚さを認識する厚さ認識手段を更に備え、
前記制御手段は、前記厚さ認識手段により認識された厚さが所定の厚さを超えた場合、前記綴じ処理済シート束に前記第1の折り目を形成することを禁止すべく、前記移動手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項12】
前記定型シートの枚数を認識する枚数認識手段を更に備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により認識された枚数が所定の枚数を超えた場合、
所定の枚数以下の場合よりも前記第1の折り目の位置を前記搬送方向上流側とすべく前記移動手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項13】
前記定型シートの厚さを認識する厚さ認識手段を更に備え、
前記制御手段は、前記厚さ認識手段により認識された厚さが所定の厚さを超えた場合、
所定の枚数以下の場合よりも前記第1の折り目の位置を前記搬送方向上流側とすべく前記移動手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項14】
前記定型シートの枚数を認識する枚数認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記枚数認識手段により認識された枚数が所定の枚数を超えた場合、前記第1の折り目に前記増し折り処理を施すべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【請求項15】
前記定型シートの厚さを認識する厚さ認識手段と、
前記折りローラ対により前記折り処理を施された前記綴じ処理済シート束の前記第1の折り目と前記第2の折り目の少なくとも一方に圧力を加える増し折り処理を施す増し折り手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記厚さ認識手段により認識された厚さが所定の厚さを超えた場合、前記第1の折り目に前記増し折り処理を施すべく前記増し折り手段を制御する請求項1に記載のシート綴じ折り処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート綴じ折り処理装置等のシート処理装置に係り、特に、簡単な構成を有しながらも中綴じ冊子の表紙(長尺シート)に三つ折り処理を施し、袖ページを形成するシート綴じ折り処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート(シート束を含む)に対して三つ折り処理を施すために、一対の折りローラ対を用いて、第一の折り位置に折り処理を施し、用紙を再びスタッカ部に戻した後、第2の折り位置まで用紙を搬送し、折りローラ対により第2の折り位置に折り処理を行う装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーによって、中綴じ冊子の表紙(長尺シート)に巻三つ折りを施し表紙(長尺シート)に袖ページを追加し、表紙(長尺シート)の紙面を拡大し広告やクーポン券などの情報を記載している。しかしながら、上記のような冊子の形成には専用の装置が必要であり、オフィスなど各ユーザーの用途によって様々な機能が求められる環境において、専用の装置を設置するのは利便性の点で問題があった。
【0005】
本発明は、上述事情に鑑みてなされたもので、専用の装置を用いず、オフィスで用いられる背景技術のシート綴じ折り処理装置の構成により、袖ページを追加した中綴じ冊子の形成を実現するシート綴じ折り処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記シートを所定の搬送方向に案内する搬送経路と、
前記搬送手段により搬送された複数のシートを収納した後、前記搬送手段により搬送され、前記搬送方向において前記複数のシートよりも長い長尺シートとを合わせてシート束を形成するスタッカ部と、
前記スタッカ部により形成されたシート束を所定のスタック位置に位置決めした後、前記シート束を前記搬送方向または前記搬送方向と反対方向に移動して、前記シート束の位置を調整するシート移動手段と、
前記スタッカ部により形成された前記シート束を構成する前記複数のシートの前記搬送方向における中央の綴じ位置に綴じ処理を施す綴じ手段と、
前記綴じ手段により前記綴じ処理を施された『綴じ処理済シート束』の前記複数のシートと前記長尺シートが重複しない第1領域に設定される第1の折り位置と、前記複数のシートと前記長尺シートとが重複する第2領域に設定される第2の折り位置をニップして折り処理を施すニップ部を備え、前記折り処理を施す第1方向と前記折り処理を施された前記『綴じ処理済シート束』を前記スタッカ部に戻す前記第1方向とは反対の第2方向とに回転自在な折りローラ対と、
前記シート移動手段により第1位置に移動された『前記綴じ処理済シート束』の前記第1の折り位置と前記シート移動手段により第2位置に移動された『前記綴じ処理済シート束』の前記第2の折り位置を前記折りローラ対の前記ニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、
前記搬送方向において前記第1領域の所定位置を前記第1の折り位置とし、前記搬送方向において前記第2領域の中央を前記第2の折り位置として設定し、前記折りローラ対を前記第1方向に回転させて前記突き出し部材により突き出された『前記綴じ処理済シート束』の前記第1の折り位置が前記ニップ部を通過することにより、前記第1の折り位置に前記第1の折り目を形成した後、前記折りローラ対を前記第2方向に回転させることにより、前記第1の折り位置に前記折り処理を施された『前記綴じ処理済シート束』を前記スタッカ部へ戻し、再度、前記折りローラ対を前記第1方向に回転させて前記突き出し部材により突き出された『前記綴じ処理済シート束』の前記第2の折り位置が前記ニップ部を通過することにより、前記第2の折り位置に前記第2の折り目を形成すべく、前記シート移動手段、前記綴じ手段、前記突き出し部材及び前記折りローラ対を制御する制御手段と、
を備えた事を特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、専用の装置を用いず、背景技術のシート綴じ折り処理装置の構成を用いて、袖ページを追加した中綴じ製本冊子の形成処理を実現し、装置の利便性を向上させることができるという効果を得る。スタッカ部に束内紙(定型シート)と束内紙(定型シート)よりも搬送方向に長い表紙(長尺シート)とを混載し、束内紙(定型シート)の領域に中綴じ処理を施す。そして、表紙(長尺シート)と束内紙(定型シート)と重ならない領域に袖ページを形成する折り処理を施す。その後、束内紙(定型シート)の領域に中折り処理を施すと袖ページを追加した中綴じ冊子を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るシート処理装置の構成を概略的に示す側面図。
【
図2】折りローラ対及びその近傍部位を示す平面図。
【
図3】シート束に対する折り処理の動作を説明する概略側面図である。(a)はスタッカ部における折り処理前のシート束を示し、(b)はスタッカ部にシートが更に集められた状態を示し、(c)はシート束に第1の折り位置に折り目を形成する工程を示している。
【
図4】従来技術の一対の折りローラ対と切り替えフラッパによるシートに対する三つ折り処理の動作の説明図。(a)はスタッカ部における折り処理前のシートを示し、(b)はシートに第1の折り位置に折り目を形成する工程を示し、(c)は第1の折り位置に折り目を形成したシートをスタッカ部に戻す工程を示している。(d)は第1の折り位置に折り目を形成したシートをスタッカ部に戻した後の状態を示し、(e)は第2の折り位置に折り目を形成する前のシートを示し、(f)はシートに第2の折り位置に折り目を形成する工程を示し、(g)はシートに第1の折り位置に折り目を形成したのち、第1の折り位置の折り目が折りローラを通過する工程を示し、(h)は三つ折り処理後のシートを示している。
【
図5】本発明の実施形態の説明図。(a)は束内紙(定型シート)と束内紙(定型シート)よりも搬送方向に長い表紙(長尺シート)をスタッカ部に収納する工程を示し、(b)はそのシート束の束内紙(定型シート)の中綴じ位置に中綴じ処理を施す工程を示している。(c)はシート束の表紙(長尺シート)の第1領域に第1の折り目を形成するため、シート束を移動する工程を示し、(d)は第1の折り目を形成する工程を示している。(e)は第1の折り目を形成したシート束をスタッカ部に戻す工程を示している。(f)はシート束の束内紙(定型シート)の第2領域に第2の折り目を形成するためにシート束を移動する工程を示し、(g)はシート束に第2の折り目を形成する工程を示している。(h)はシート束に第2の折り目を形成した後、第1の折り目が折りローラ対を通過する工程を示し、(i)はすべての折り処理後のシート束の形状を示している。
【
図6】
図1の装置における制御装置の構成説明図を示している。
【
図7】束内紙(定型シート)増加に対応した第1領域に施す折り処理の一例を示す図。
【
図8】第1領域に折り目を形成する際の折り処理決定フロー1。
【
図9】第1領域に折り目を形成する際の折り処理決定フロー2。
【
図10】第1領域に折り目を形成する際の折り処理決定フロー3。
【
図11】第1領域に折り目を形成する際の折り処理決定フロー4。
【
図12】重ねたシートに折り処理を施す際のはみ出し量(後述する)増加の様子を示している。
【
図13】第1領域に折り目を形成する際の折り処理決定フロー5。
【
図14】第1領域に折り目を形成する際の折り処理決定フロー6。
【
図15】増し折りの圧力の変更によって増し折りの強さを制御する説明図。
【
図16】増し折りの回数の変更によって増し折りの強さを制御する説明図。
【
図17】増し折りの時間の変更によって増し折りの強さを制御する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るシート処理装置としてのシート綴じ折り処理装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、
図1は、本実施形態におけるシート綴じ折り処理装置の構成を概略的に示す側面図である。
【0010】
図1に示すように、シート綴じ折り処理装置(シート処理装置)2は、複写機、プリンタや印刷装置等の画像形成装置1に接続された状態で使用される。この画像形成装置1は、画像形成等を施したシートをシート綴じ折り処理装置2側に排出するために、排紙ローラ1aと、該排紙ローラ1aに押圧されて圧接する排紙コロ1bとを備えている。
【0011】
シート綴じ折り処理装置2は、フレーム8の内部上方に、排紙ローラ1aと排紙コロ1bとのニップ部に対向するようにシート導入部を備えており、このシート導入部に、回動軸3aを中心として回動自在に支持された入口フラッパ3を備えている。この入口フラッパ3は、入口ソレノイド(図示せず)に連繋されており、入口ソレノイドに供給される電源のON、OFFによって、整本モード又はスタックモードへの切り換え、即ち、排紙ガイド4と第1の搬送経路201何れかへの経路の切り換えを実行している。
【0012】
[スタックモードの構成]
排紙ガイド4の下流側には、スタッカ排出ローラ5とスタッカ排出コロ6とが配置されている。フレーム8の上部側には、外方に突出するように、スタッカ排出ローラ5から排紙されたシートを積載するスタッカトレイ7が配設されている。排紙ガイド4には、シートを検知センサ84が配置されている。
【0013】
[整本モードの構成]
画像形成装置1側の排紙ローラ1aと排紙コロ1bとのニップ部からシートが排出されると、このシートは、
図1に実線で示す位置に回動したフラッパ3に案内されて、シートガイド11,12に導入される。シートガイド11,12の搬送方向下流側には、回転軸13aを中心に回転する搬送ローラ13と、この搬送ローラ13に押圧されて圧接する搬送コロ14とが配設されている。
【0014】
そして、シートガイド11,12から続くように上シートガイド34,35が配設されている。これら上シートガイド34,35の内方には、上切換えフラッパ15と下切換えフラッパ16とが配設されている。上切換えフラッパ15及び下切換えフラッパ16には、不図示の切換えソレノイドがそれぞれに連繋されている。そして、対応する切換えソレノイドが電気的信号でON又はOFFされると、上切換えフラッパ15又は下切換えフラッパ16が、
図1における一点鎖線位置と実線位置とに切り換えられるように構成されて
いる。
【0015】
上述したシートガイド11,12,34,35は、図中下方に位置するシートガイド20,21とで第1の搬送経路201を構成している。この第1の搬送経路201には、スポンジ状のゴム材質で形成された弾性ローラ17a,22aが配設されている。そして、これら弾性ローラ17a,22aに対向する位置には、弾性部材17d,22dがそれぞれ弾接付勢した状態で配設されている。
【0016】
上記弾性ローラ17aの図中下方には、内部に不図示のステイプル針とモータとを備えた綴じ手段18が配設されている。この綴じ手段18は、回転軸18aを中心に揺動可能に構成されており、制御手段としてのCPU200によって作動制御される。この綴じ手段18に対向するように、シートガイド21にはアンビル19が配置されている。このアンビル19は、型面19aを有しており、ステイプル18によってシート束をステイプルする際に、ステイプル針の先端を型面19aによってガ
イドした状態で潰す機能を有している。
【0017】
そして、綴じ手段18の下流側には、上記したシートガイド20,21が配置されており、これらシートガイド20,21には幅寄せ部材24が配置されている。この幅寄せ部材24は、第1の搬送経路201内に案内され、スタッカ部100内に収納されたシートの両サイドを押さえ、それらシートを整合するように構成されており、綴じ手段18等によるシート処理に先立って、CPU200からの信号で作動させられる。
【0018】
上記幅寄せ部材24よりも図中下方には、ストッパ部材であるシート移動手段23が配置されている。このシート移動手段23は、シートガイド20,21間に進入してきたシートの先端を当接させて、スタッカ部100内のシートの位置決めを行なう部材である。第1の搬送経路201の最下部付近には、シート移動手段23の最下端位置を検知するセンサ63が配設されている。
【0019】
シート移動手段23は、綴じ手段18で針打ちする際のシート位置決めと、シート折り処理の際のシート位置決めのために、シートガイド20,21に沿って図中矢印a方向に移動し得るように構成されている。シートガイド20,21の近傍には、CPU200によって作動制御されるモータ23cが配置されており、シート移動手段23には、このモータ23c側に延設されて上下方向に延びるようにラック23dが形成されている。このラック23dに、モータ23cの回転軸に固定されたピニオンギヤ23bが噛合してラックアンドピニオン(rack and pinion)が構成されている。シート移動手段23は、ラック23dの内側に上下一対のコロ23aを有しており、これらコロ23aを、フレーム8に形成されたガイド溝(図示せず)に案内されることにより、矢印a方向に円滑に移動させられる。シートガイド20,21の中央部分には、第1の搬送経路201を搬送されてきたシートの先端を検知する先端検知センサ85が配置されている。
【0020】
第1の搬送経路201の途中から第2の搬送経路202が分岐して設けられている。この第2の搬送経路202の分岐部203側には、CPU200により作動制御され、かつ所定の圧力で互いに押圧されて圧接される上下一対の折りローラ26,27(以下、折りローラ対26,27と称する)が配置されている。折りローラ対26,27の図中左側には、第2の搬送経路202を構成する排出ガイド28が配置されている。この排出ガイド28は、折りローラ対26,27を介して排出トレイ32側に排出されるシート(或いはシート束)を、排出ローラ30とコロ31とのニップ間に案内する。
【0021】
第2の搬送経路202の分岐部203に対向する位置には、突き出し部材25aを有する突き出しユニット25が配置されている。この突き出し部材25aは、
図1の紙面奥-手前方向に長尺(少なくともシートの幅寸法程度の長さ)に形成されている。突き出しユニット25の近傍には、突き出し部材25aを折りローラ対26,27のニップ部に向けて進退動作させるためのモータ73aが配設されている。突き出しユニット25は、CPU200によって制御されるモータ73aの駆動により、シート折り処理の実行前には、突き出し部材25aを、シートガイド(ガイド面)21(
図4参照)に形成された開口部37bから外側に退避させる。そして、シート折り処理の実行時には、折りローラ対26,27のニップ部直前まで突出させる。
【0022】
折りローラ対26,27と排出ローラ30,コロ31との間には、シート(シート束)の前端及び後端を検知する排出センサ29が配設されている。フレーム8の下部側には、排出ローラ30,コロ31のニップ部を通って排出されたシート(シート束)を積載する排出トレイ32が配設されている。
【0023】
第2の搬送経路202の分岐部203近傍には、この分岐部203を開閉するシャッター手段としての折りローラカバー33が配置されている。折りローラカバー33は、折りローラ対26,27と開口部37a(
図4参照)との間を覆って第1の搬送経路201から仕切ることで、シートガイド20を上下方向に真直ぐにつなぐ。これにより、第1の搬送経路201を搬送されてくるシートが折りローラ対26,27に引っ掛かるような不都合を防ぐように機能する。一方、シート束の折り動作が実行される際には、折りローラカバー33の駆動用モータ61がCPU200の制御で駆動されることにより、折りローラカバー33が分岐部203(つまり、開口部37a)を開口する。
【0024】
[折りローラカバー駆動機構]
ここで、折りローラカバー33を駆動する駆動機構について、
図1及び
図2を参照して説明する。なお、
図2は、折りローラ対及びその近傍部位を示す平面図である。
【0025】
折りローラカバー33は、上述したように、シートガイド34,35間から第1の搬送経路201に進入してきたシートの先端が折りローラ26,27に引っ掛かるような不都合を防ぐように機能する。両図に示すように、折りローラカバー33は、その両端に複数のコロ33aが回転自在に取付けられており、それらコロ33aがフレーム8に形成された溝部(図示せず)に案内されることにより第1の搬送経路201に沿ってスライド移動する。
【0026】
折りローラカバー33の両端にはラック91が設けられている(
図2には不図示)。また、折りローラカバー33には、その幅方向(
図2の左右方向)に沿って軸33cが設けられており、この軸33cの両端にはピニオンギヤ33bがそれぞれ固着され、これらピニオンギヤ33bは軸33cと共に一体回転するようになっている。上記軸33cの両端のラック91は、これら2つのピニオンギヤ33bにそれぞれ噛合している。
【0027】
また、軸33cの一端(
図2の左側)には、フレーム8の外側において折りローラカバーギヤ33dが固着されている。折りローラカバーギヤ33dの近傍には、ステッピングモータからなる折りローラカバーモータ61が配設されており、このモータ61の回転軸に固着されたピニオンギヤ62には、折りローラカバーギヤ33dが噛合している。また、折りローラカバー33の一部にはフラグが形成されており、折りローラカバー33がホームポジションまで到達したときに、不図示の折りローラカバーホームセンサによって上記フラグを検知するようになっている。
【0028】
従って、折りローラカバーモータ61が回転駆動すると、その駆動力は、ピニオンギヤ62、折りローラカバーギヤ33d、及び軸33cを介してピニオンギヤ33bに伝達される。これにより、左右のラック91が移動させられ、折りローラカバー33が
図1の上下方向に移動することとなる。
【0029】
[動作概要]
次に、
図1乃至
図3を用いて、本実施の形態に係るシート綴じ折り処理装置2の動作の概要について説明する。なお、
図3は、シート束に対する折り処理の動作を説明する概略側面図である。(a)はスタッカ部100内における折り処理前のシート束を示し、(b)はスタッカ部100内にシートが更に集められた状態を示し、(c)はシート束に第1の折り目を形成する工程を示している。
【0030】
まず、画像形成装置1から排出されたシートSは、搬送ローラ13及び弾性ローラ17a,22a等により搬送され、その先端がストッパ部材に当接することで(
図1参照)、シート束の位置決めがなされる。そして、シート束の搬送方向の長さ(幅)の中央位置(半分の位置)が綴じ手段18により針綴じできるように収納される。この際、折りローラカバー33は、
図3(a)に示すように折りローラ対26,27を覆う位置に停止されており、従って、第1の搬送経路201を搬送されているシートSがカール等により曲っていても、そのシートが折りローラに引っ掛かることはない。
【0031】
次いで、
図3(b)に示すように所定枚数のシートSがスタッカ部100内に収納されると、その後、綴じ手段18によってシート束の針綴じが行なわれる。そして、針綴じされたシート束の折り畳み動作のためにシート移動手段23が下方に移動する際に、折りローラカバー33も下方に移動して、この折りローラカバー33が突き出しユニット25の折り畳み動作を妨げない位置で停止する。
【0032】
引き続き、シート束の中央位置が折りローラ対26,27のニップ部に重なる位置でシート移動手段23が停止される。その後、突き出しユニット25が作動させられて、突き出しユニット25が、第1方向A1,A2に予め回転している折りローラ対26,27のニップ部にシート束を押して送り込む。これにより、
図3(c)に示すように、折りローラ対26,27がシート束を引き込み、その折り畳み動作を行う。
【0033】
このようにして折り畳まれたシート束は、排出ローラ30及び排出コロ31を介して排出トレイ32上に排出され、これにより、二つ折り処理に係る一連のシート折り動作が終了する。
【0034】
次に、従来の三つ折り処理について、
図4を参照して説明する。ここでは、等間隔の三つ折り処理を例に挙げる。また、シート束に代えて1枚のシートSに関して説明するが、以下の処理は、複数枚のシートを束ねたシート束に対しても同様に実行され得ることは勿論である。
【0035】
なお、
図4は、シートに対する三つ折り処理の動作を説明する概略側面図である。(a)はスタッカ部100内における折り処理前のシートを示し、(b)はシートに第1の折り目を形成する工程を示し、(c)は第1の折り目を形成したシートをスタッカ部100内に戻す工程を示している。(d)は第1の折り位置に折り目を形成したシートをスタッカ部100内に戻した後の状態を示し、(e)は第2の折り位置へ折り目を形成する前のシートを示し、(f)はシートに第2の折り位置に折り目を形成する工程を示し、(g)はシートに第2の折り位置折り目を形成したのち、第1の折り位置の折り目が折りローラ対26,27を通過する工程を示し、(h)は三つ折り処理後のシートを示している。
【0036】
シート綴じ折り処理装置2は、第1の搬送経路201におけるシートガイド20,21の対向する部位に開口部37a,37bを有すると共に、上述した折りローラ対26,27と、シート移動手段23と、突き出しユニット25の突き出し部材25aとを有している。折りローラ対26,27は、開口部37aを臨む位置に配置され、スタッカ部100内からシートSを引き込む第1方向A1,A2と、スタッカ部100内にシートSを戻す第2方向B1,B2とに回転自在に構成される。
図4(c)に示すように、折りローラ26の斜め上部には軸38aが設けられており、軸38aには、この軸38aを中心として回動するフラッパ38が固着されている。
【0037】
シート移動手段23は、折りローラ対26,27のニップ部39から、予め定められた距離だけ離間する第1位置(
図4(a))と、第1位置より折りローラ対26,27側に近接する第2位置(
図4(e))とに切り換えられる。このように移動し停止されて第1位置又は第2位置に切り換えられたシート移動手段23は、第1の搬送経路201内を搬送されてくるシートSの先端を当接させ、スタッカ部100内に収納する。そして、突き出し部材25aは、開口部37bを臨む位置に配置されており、スタッカ部100内に収納したシートSを、予め設定されたタイミングでニップ部39に向けて突き出すように作動する。
【0038】
第1位置は、シート移動手段23に先端が当接した折り処理前のシートSの全長Lの当該先端から2/3の長さに対応する位置である。また第2位置は、シート移動手段23に先端が当接した折り処理前のシートSの全長の当該先端から1/3の長さに対応する位置である。
【0039】
そして、使用者が、画像形成装置1に備えている操作パネル(図示せず)から、シートSのサイズと、等間隔の三つ折り処理とを選択して入力すると、それらの情報がCPU200に伝達され、このCPU200の制御によって以下の作動が実行される。
【0040】
即ち、
図4(a)に示すように、搬送手段(入口ローラ対)210aによりスタッカ部100内に搬送してきたシートをCPU200の制御によるモータ23cの駆動で、シート移動手段23を、シート全長Lの先端から2/3の長さに対応する第1の折り位置に切り換えてシートを位置決めする。そして、この状態で折りローラ対26,27を第1方向A1,A2に回転させるように制御する。
【0041】
次いで、CPU200が、
図4(b)に示すように、折りローラ対26,27を第1方向A1,A2に回転させた状態で、モータ73a(
図1参照)を回転駆動し、突き出し部材25aを図の左方に突出作動させるように制御する。これにより、シート移動手段23に先端を当接させたシートSは、シート全長Lの後端から1/3の部位を折り込まれ、第1の折り位置に折り目f1が形成される。この際、シートSの後端S1が折りローラ対26,27のニップ部39のニップ点から手前に(即ち、分岐部203内に)残っている時点で、折りローラ対26,27の回転が停止される。これにより、後のローラ逆転時にも、シートSの搬送が適正に行われることになる。
【0042】
CPU200は、
図4(c)に示すように、軸38aを中心にフラッパ38を時計回り方向に回転させると共に、折りローラ対26,27を第2方向B1,B2に回転させ、シートSをフラッパ(摺接部材)38に摺接させつつスタッカ部100内に戻すように制御する。つまり、折りローラ対26,27の逆転前には、第1の搬送経路201の外方に回転して待機していたフラッパ38が、CPU200の制御に基づく駆動機構(図示せず)の駆動で、破線で示す初期位置から実線で示す作動位置に回転する。このため、戻されるシートSは、スタッカ部100内に適正に導かれる。そして、フラッパ38は、シートSが安定した時点で、再び初期位置(
図4(c)の破線位置)に復帰するように回転する。
【0043】
図4(d)に示すように、第1の搬送経路201に導かれスタッカ部100に収納されたシートSは、突き出し部材25aより2/3L以上離れた位置でシート移動手段23により位置決めされる。
【0044】
引き続き、CPU200は、
図4(e)に示すように、シート移動手段23を、シート全長Lの先端から1/3の長さに対応する第2位置に切り換えるように、モータ23cを作動させて停止することによりシートSを第2の折り位置まで移動させる。
【0045】
更にこの状態で、折りローラ対26,27を第1方向A1,A2に回転させると共に、突き出し部材25aを突出作動させる。これにより、
図4(f)に示すように、シート移動手段23に先端を当接させたシートSは、シート全長Lの先端から1/3の部位を折り込まれ、第2の折り位置に折り目f2が形成される。
【0046】
その後も、CPU200は、折りローラ対26,27を第1方向A1,A2に続けて回転させるように制御する。これにより、三つ折り処理を施されたシートS(
図4(h)参照)が
図4(g)に示すように第1及び第2の折り位置の折り目f1,f2は折りローラ対26,27のニップ部を通過し、排紙ローラ対210bを通過する。
【0047】
更にこの状態で、折り目の品位を向上させるために排紙ローラ対210bの近傍にある増し折り手段100bを第1方向A1,A2に回転させる。この増し折り手段100bは増し折りモータ100aにて駆動している。排紙ローラ対210bにより搬送されてきたシートSの第1及び第2の折り位置の折り目f1,f2は、増し折り手段100bにより増し折り処理を施される。第1及び第2の折り位置の折り目f1,f2に増し折り処理を施されたシートSは、排出トレイ32上に排出される。
【0048】
この増し折り手段100bは、第1方向A1,A2に正転させるだけでなく、排紙ローラ対210bと共に逆転方向である第2方向B1,B2(図示せず)に回転させ、シートを戻し、再び第1方向A1,A2に正転することも可能であり、これを繰り返すことにより更なる折りを施すことができる。
【0049】
また、この増し折り手段100bは、シートの搬送方向と直行する方向に動作する増し折り手段や、シートに垂直な方向に動作する増し折り手段などで代替可能である。
【0050】
さらに、増し折り手段100bは、シートの搬送方向、ニップの圧力、速度などが変更可能である。
【0051】
増し折りの強さを強くする方法として(1)増し折りの圧力の変更、(2)増し折り回数の変更、(3)増し折り時間の変更を行う方法が挙げられる。
【0052】
図15は、(1)に挙げた圧力の変更によって増し折りの強さを制御する方法を示している。
図15の(a)、(b)はシート束の折り目に施す圧力を変更する増し折り工程を示す。
図15の(a)で施す増し折り圧力が
図15の(b)で施す増し折り圧力より強くなるよう制御することで、シートの折り目をより強く折ることができる。
【0053】
図16は、(2)に挙げた回数の変更によって増し折りの強さを制御する方法を示している。
図16の(a)、(b)はシート束の折り目に施す増し折り回数を変更する増し折り工程を示す。
図16の(a)で施す増し折り回数が
図16(b)で施す増し折り回数より多くなるよう制御することで、シートの折り目をより強く折ることができる。
【0054】
図17は、(3)に挙げた時間の変更によって増し折りの強さを制御する方法を示している。
図17の(a)、(b)はシート束の折り目に施す増し折り時間を変更する増し折り工程を示す。
図17(a)で施す増し折り時間が
図17(b)で施す増し折り時間より長くなるよう制御することで、シートの折り目をより強く折ることができる。
【0055】
以上により、増し折り手段100bによって各折り目に施す折りの強さを変化させることができる。
【0056】
上記構成の画像形成装置1とシート綴じ折り処理装置2の構成を
図6に従って説明する。CPU200にて構成される制御部は、ROM55に記憶している制御プログラムを実行することで、搬送モータ13b、位置決めモータ23c、フラッパモータ38b、折りモータ26a、突き出しモータ73a、掻き込みモータ75aの制御を行う。RAM56には制御プログラムの実行に必要なデータが記憶されている。シート綴じ折り処理装置2は、上記の他にもモータの制御を行っているが、ここでは省力する。
【0057】
[袖ページ付き折り製本処理]
次に、袖ページ付き中綴じ製本処理について、
図5を参照して説明する。
【0058】
図5は、シートに対する袖ページ付き中綴じ製本処理の動作を説明する概略側面図である。(a)は束内紙(定型シート)と束内紙(定型シート)よりも搬送方向に長い表紙(長尺シート)をスタッカ部100に収納する工程を示し、(b)はそのシート束の束内紙(定型シート)の中綴じ位置に中綴じ処理を施す工程を示している。(c)はシート束の表紙(長尺シート)の第1領域に第1の折り目を形成するため、シート束を移動する工程を示し、(d)は第1の折り目を形成する工程を示している。(e)は第1の折り目を形成したシート束をスタッカ部100に戻す工程を示している。(f)はシート束の束内紙(定型シート)の第2領域に第2の折り目を形成するためにシート束を移動する工程を示し、(g)はシート束に第2の折り目を形成する工程を示している。(h)はシート束に第2の折り目を形成した後、第1の折り目が折りローラ対26,27を通過する工程を示し、(i)はすべての折り処理後のシート束の形状を示している。
【0059】
本発明の実施形態はシートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段210と、搬送手段210により搬送されるシートを搬送方向に案内する第1の搬送経路201と、搬送手段210により搬送されるシートをスタッカ部100内で位置決めするシート移動手段23と、シート移動手段23により位置決めされたシートを綴じる綴じ手段18と、同シートを突き出す突き出し部材25aと、折り処理を行う折りローラ対26,27と、第1領域に第1の折り目を形成する折り処理を施したシートを再度スタッカ部100内へ戻し、シートに第2領域に第2の折り目を形成する折り処理を施すべく、綴じ手段18、搬送手段210、シート移動手段23及び折りローラ対26,27を制御する制御手段とで構成されている。
【0060】
次に実際の用紙の流れに沿って、動きを説明していく。
図5(a)に示すように搬送手段210aにより、第1の搬送経路201にシートを案内し、シート先端をシート移動手段23に突き当て、スタッカ部100にシート束を収納する。シート束は表紙(長尺シート)Slと束内紙(定型シート)Ssからなり、表紙(長尺シート)Slは束内紙(定型シート)Ssよりも搬送方向に長いシートであり、
図5(a)
図5(b)に示すように、表紙(長尺シート)Slと束内紙(定型シート)Ssの先端がシート移動手段23により揃えられた状態で、スタッカ部100内に収納したシート束の表紙(長尺シート)Slが折りローラ対26,27に対して最も近くなるように収納する。
【0061】
その後、
図5(b)で示すようにCPU200の制御によりモータ23cを駆動させ、シート移動手段23によってシート束を移動し、綴じ手段18で束内紙(定型シート)Ssの中綴じ位置に綴じ処理を施す。
【0062】
図5(c)では、束内紙(定型シート)Ssと表紙(長尺シート)Slが重複しない第1領域に突き出し部材25aを突き出すべくシート移動手段23を動かし、シート束の位置決めをする。
【0063】
その後、
図5(d)で示すように突き出し部材25aでシート束を折りローラ対26,27へ向けて突き出し、折りローラ対26,27でニップした状態でA1、A2方向へ搬送することにより第1領域に第1の折り目を形成する折り処理を施す。
【0064】
図5(e)では、第1領域に第1の折り目を形成する折り処理を施したシート束を搬送手段210b及び折りローラ対26,27をB1、B2方向へ回転し、スタッカ部100内へ搬送する。
【0065】
図5(f)では、束内紙(定型シート)Ssと表紙(長尺シート)Slとが重複する第2領域に突き出し部材25aを突き出すべくシート移動手段23を動かし、シート束の位置決めをする。
【0066】
図5(g)では、突き出し部材25aでシート束を折りローラ対26,27へ向けて突き出し、折りローラ対26,27でニップした状態でA1、A2方向へ搬送することにより第2領域に第2の折り目を形成する折り処理を施す。
【0067】
図5(h)では第2領域に第2の折り目を形成する折り処理を施したシート束を排出する為、搬送手段210b、及び折りローラ対26,27によりA1,A2方向へ搬送し、
図5(i)に示すような袖ページ付き中綴じ冊子が排出トレイ32上に排出される。
【0068】
以上のように本発明によれば、スタッカ部に束内紙(定型シート)と束内紙(定型シート)よりも搬送方向に長い表紙(長尺シート)とを混載し、中綴じ処理を施した後、表紙(長尺シート)と束内紙(定型シート)と重ならない領域に袖ページを形成する折り処理と、表紙(長尺シート)と束内紙(定型シート)と重なる領域に中折り処理を施すことにより袖ページを持つ中綴じ冊子が形成できる。
【0069】
袖ページを持つ中綴じ冊子の形成において、束内紙(定型シート)の枚数が増えるほど、あるいは厚さが厚くなるほど、第1領域の折り位置で折られた袖ページに挟まれる束内紙(定型シート)の厚みが増加するため、第1領域の折り位置に施す折り目が広がってしまう。すると、第2領域の折り位置に折り処理を施し、シート束を排出する際、第1領域の折り位置に近い側のシート端縁がローラ対26,27に引っかかり搬送不良が発生してしまうことがある。
【0070】
そこで、
図8、
図9のフローに示すように、CPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数または、厚さが所定値を超えた場合、増し折り手段100bにより第1の折り目に増し折り処理を施し、第1の折り目の広がりを抑止し、上記の搬送不良を防ぐ。この場合、CPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数または、厚さが所定値を超えた場合、増し折り手段100bにより第1の折り目に増し折り処理を施し、CPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数または、厚さが所定値以下である場合、増し折り手段100bにより第1の折り目に増し折り処理を一切施さない制御と、CPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数または、厚さが所定値を超えた場合、増し折り手段100bにより第1の折り目に増し折り処理を施すのに要する圧力をCPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数または、厚さが所定値以下である場合、増し折り手段100bにより第1の折り目に増し折り処理を施すのに要する圧力よりも高くする制御が含まれる。
【0071】
また、同問題に対する別の手法について、
図7を使って説明する。CPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数または、厚さが所定値を超えた場合、
図5(a)~(h)に示した通常の袖ページ付き中綴じ冊子形成処理の
図5(d)第1領域の折り位置に対する折り処理以降の処理を
図7(d)~(h)に示す処理に変化させる。
図7(d)に示す第一の折り目の折り処理で、折りローラ対26,27を第1方向A1,A2に回転させ、第1領域の折り位置に折り目を形成し、第1領域の折り位置が折りローラ対のニップ点を通過した後、シートSlの後端Stが第1の搬送経路201やスタッカ部100を通過するまで搬送することなく第1の搬送経路201やスタッカ部100内にある間に折りローラ対26,27の回転を停止する。その後、
図7(e)に示すように折りローラ対26、27を第2方向B1,B2に回転させシート束をスタッカ部100内に搬送する。すると束内紙(定型シート)が第1領域の折り位置で折られた袖ページに挟まれない形状でスタッカ部100に収納される。
【0072】
図7(f)では、束内紙(定型シート)Ssと表紙(長尺シート)Slとが重複する第2領域に突き出し部材25aを突き出すべくシート移動手段23を動かし、シート束の位置決めをする。
【0073】
図7(g)では、突き出し部材25aでシート束を折りローラ対26,27へ向けて突き出し、折りローラ対26,27でニップした状態でA1、A2方向へ搬送することにより第2領域に第2の折り目を形成する折り処理を施す。
【0074】
図7(h)では第2領域に第2の折り目を形成する折り処理を施したシート束を排出する為、搬送手段210b、及び折りローラ対26,27によりA1,A2方向へ搬送する工程を示す。この時、シート束は
図7(h)に示すように搬送方向に対して第1領域の折り位置に近い側のシート端縁が搬送方向に対して下流側に向いた状態で搬送されるため、同端縁が搬送中にローラ対26,27に引っかかることなく搬送され、搬送不良を防ぐことができる。
図7(i)にこの方法により排出された袖ページ付き中綴じ冊子を示す。
【0075】
さらに、同問題に対する別の手法として、
図10、
図11のフローに示すように、CPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数または、厚さが所定値を超えた場合、CPU200は第1領域に第1の折り目を施す折り処理を行わないように制御することで、第1の折り目を付けることなく排出し、第1の折り目の膨らみによる搬送不良を防ぐことができる。
【0076】
また、シート束に中折り処理を施す際、シートの枚数が増えるほど、あるいは厚さが厚くなるほど、シートを重ねて折り曲げたときに内側の用紙が外側の用紙に比べて外にはみ出してしまう。袖ページを持つ中綴じ冊子の形成時においては、重ねた束内紙(定型シート)に折り処理を施す第2領域の折り位置への折り処理で同様の現象が発生する。
図12はシート束の枚数、または厚さの増加によるはみ出し量の増加を示している。このはみ出し量の増加に対応し、第1領域の折り位置で折られた袖ページの中に束内紙(定型シート)を収めるため、
図12(a)、
図12(b)に示すように第1領域の折り位置を搬送方向上流側に移動させなければならない。そこで、
図13、
図14のフローで示すようにCPU200で認識した束内紙(定型シート)の枚数、または厚さが所定値を超えた場合は、所定値以下の場合よりも第1領域の折り位置を搬送方向上流側に移動すべく、シート移動手段23の位置を調整する。
【0077】
本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
画像形成装置
1a 排紙ローラ(画像形成装置)
1 b 排紙コロ(画像形成装置)
2 シート綴じ折り処理装置
3 入口フラッパ
3a 回転軸
4 排紙ガイド
5 スタッカ排出ローラ
6 スタッカ排出コロ
7 スタッカトレイ
8 フレーム
11 シートガイド
12 シートガイド
13 搬送ローラ(スタッカ)
13a 回転軸
14 搬送コロ(スタッカ)
15 上切替えフラッパ
16 下切替えフラッパ
17a 弾性ローラ
17d 弾性部材
18 綴じ手段
18a 回転軸
19 アンビル
19a 型面
20 シートガイド
21 シートガイド
21b ガイド面
22a 弾性ローラ
22d 弾性部材
23 シート移動手段
23a 上下一対のコロ
23b ピニオンギア
23c モータ
23d ラック
24 幅寄せ部材
25 突き出しユニット
25a 突き出し部材
26,27 折りローラ対
28 排出ガイド
29 排出センサ
32 排出トレイ
33 折りローラカバー
33a 複数のコロ
33b ピニオンギア
33c 軸
33d 折りローラカバーギア
34 上シートガイド
35 上シートガイド
37a,37b 開口部
38 フラッパ
38a 軸
39 ニップ部
61 モータ
62 ピニオンギア
63 最下端検知センサ
73a モータ
84 シート検知センサ
85 先端検知センサ
91 ラック
100 スタッカ部
100b 増し折り手段
200 CPU
201 第1の搬送経路
202 第2の搬送経路
203 分岐部
210 搬送手段
210a 搬送手段(入口ローラ対)
210b 搬送手段(排紙ローラ対)
211 ニップ解除手段
A1,A2 第1方向
B1,B2 第2方向
f1 第1の折り位置の折り目
f2 第2の折り位置の折り目
S シート
Sl 表紙(長尺シート)
Ss 束内紙(定型シート) シートの長さ(搬送方向) S1 > Ss