(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071246
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】殺菌機能付き衝立
(51)【国際特許分類】
A47G 5/00 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
A47G5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180083
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】301032735
【氏名又は名称】プラス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋一
(57)【要約】
【課題】 人に対して害を与えずに、付着したウイルスの殺菌処理ができる衝立を提供することを目的とする。
【解決手段】 衝立は、板部と、該板部の端部に備えられ、前記板部内部で疑似紫外線に変化する青色光線を照射する青色光線照射部と、を備え、前記青色光線照射部は、前記板部内部に向けて前記青色光線を照射することを特徴とする。これにより、疑似紫外線が板部の外に漏れても、青色光線に変わるため、人に害を与えることを防止できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板部と、
該板部の端部に備えられ、前記板部内部で疑似紫外線に変化する青色光線を照射する青色光線照射部と、
を備え、
前記青色光線照射部は、前記板部内部に向けて前記青色光線を照射することを特徴とする衝立。
【請求項2】
前記板部の端部側面に、前記板部内部から出た青色光線を反射する反射部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の衝立。
【請求項3】
前記板部は、板を3枚積み重ねて形成され、中央の板に表示のための粗面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の衝立。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌機能を備えた衝立に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から勉強、読書、食事、又は作業などを行うにあたり、周りの視線等を気にせず集中できるように机上に置くことができる衝立が知られている。例えば、特許文献1には、折り畳み可能な衝立が開示されている。
【0003】
具体的には、背面基板に対して、左右に左基板及び右基板が連設されており、机の前面だけでなく、側面からも覆うように形成される。また、最近はウイルスの飛沫感染防止目的で、透明なアクリル板を衝立として使用されている。
【0004】
一方で、ウイルスの殺菌として、紫外線照射装置が知られている。例えば、特許文献2には、床面を殺菌処理するための紫外線照射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6209750号公報
【特許文献2】特開2019-216831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の衝立において、ウイルスの殺菌処理を行う場合、殺菌消毒液を湿らせた布で拭く作業以外に、特許文献2の紫外線照射装置を使用することも考えられる。しかし透明なアクリル板を使用した衝立の場合、紫外線が反対側に漏れてしまい、人に対して害を与えてしまいかねない。
【0007】
本発明は、人に対して害を与えずに、付着したウイルスの殺菌処理ができる衝立を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る衝立は、板部と、該板部の端部に備えられ、前記板部内部で疑似紫外線に変化する青色光線を照射する青色光線照射部と、を備え、前記青色光線照射部は、前記板部内部に向けて前記青色光線を照射することを特徴とする。
【0009】
請求項2の記載の発明に係る衝立において、前記板部の端部側面に前記板部内部から出た青色光線を反射する反射部を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る衝立において、前記板部は、板を3枚積み重ねて形成され、中央の板に表示のための粗面が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、衝立は、板部と、該板部の端部に備えられ、前記板部内部で疑似紫外線に変化する青色光線を照射する青色光線照射部と、を備える。前記青色光線照射部は、前記板部内部に向けて前記青色光線を照射する。この結果、前記板部内部の疑似紫外線が板部の外に漏れても、青色光線に変わるため、人に害を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る衝立を表面から見た図である。
【
図2】第1実施形態に係る衝立の断面図である。
図1のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態に係る衝立1について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1の各図に示すX方向を左右方向と、Y方向を上下方向と、Z方向を前後方向と表現して説明する。
図1に示す衝立1は、利用者が向かい合って話をする際に、利用者間に配置されている。この衝立1は、利用者同士の会話の際の飛沫感染を防止する。
【0014】
衝立1は、板部2と青色光線照射部3と反射部4とを備える。
【0015】
板部2は、
図2に示すように、前後方向に3枚の板21、板22及び板23が積み重ねられて形成される。板21、板22及び板23は、それぞれ導光板であり透明なアクリル板で形成されている。中央に備えられる板23には、粗面24が形成されている。
【0016】
青色光線照射部3は、板部2の上端部に備えられ、青色光線を板部2の下方向に照射する。青色光線照射部3から照射された青色光線は、板部2内部で疑似紫外線に変化し、板部2内部で反射を繰り返す。
【0017】
青色光線が、板部内部で疑似紫外線に変化するのは、空気中の波長が、導光板の屈折率により、導光板内部で波長が短くなること利用している。ここで、疑似紫外線とは、波長は紫外線と同じであるものの、振動数が紫外線と異なるものをいう。
【0018】
具体的には、光速=波長×振動数の関係式により、空気中の光が屈折1.5の媒体内部に入射すると、媒体内部では、光速が1/1.5になる。光速が1/1.5になると、波長も1/1.5になる。振動数は、空気中及び媒体内部で変わらない。例えば、空気中で波長470nmの青色光線が、屈折率1.5の導光板である板部2の内部では波長313nmになり紫外線と同じ波長になる。一方で振動数は、空気中の青色光線と同じであり、紫外線の振動数と異なる。ウイルスの殺菌には、波長が効くことを利用している。
【0019】
青色光線照射部3には、青色光線を照射するLEDが備えられている。LEDは、板21、板22及び板23をそれぞれ照射するために、板21の上端部と、板22の上端部と、板23の上端部とに、それぞれ備えられている。LEDの表面に、レンズが配置される。レンズは、LEDからの入射角を、板部2の臨界角よりも大きくさせる。これにより、板部2内部の疑似紫外線が板部2に屈折して外に漏れないようにし、板部2内部の全面に疑似紫外線の反射箇所が生じるようにしている。また、青色光線照射部3は、操作ボタン31を備える。利用者によって操作ボタン31が操作され、青色光線の照射開始又は照射終了が操作される。
【0020】
反射部4は、
図1に示すように板部2の左右方向の両端部側面及び上下方向の両端部側面に備えられている。反射部4は、ミラーで形成される。また、板部2の上下方向の両端部側面のうち、上の端部側面に備えられた反射部4は、青色光線照射部3から青色光線の照射を妨げないように、LEDの配置位置以外の場所に備えられる。
【0021】
板部2の端部側面では、疑似紫外線の入射角が板部2の臨界角より小さくなるため、疑似紫外線が板部2の端部側面で反射されずに外に出てしまう。このため、照射効率が悪くなるために殺菌効果が悪くなる。照射効率を良くするため、板部2内部で疑似紫外線の反射が繰り返されるよう、板部2の端部側面から一旦外に出た青色光線を板部2内部へ反射させる反射部4が板部2の端部側面に備えられている。
【0022】
青色光線照射部3から照射された青色光線は、板部2内部で疑似紫外線に変化し、板部2内部で反射を繰り返し、板部2内部全面に行き渡る。また、板部2の表面には、疑似紫外線が反射した部分の板部2表面に染み出た光(エバネッセント光)が生じる。この染み出した光は疑似紫外線であることから、板部2の表面に付着したウイルスが殺菌される。このため、疑似紫外線の反射箇所が板部2の全面に生じるようにすると、染み出た光が板部2の表面全面に生じる。
【0023】
染み出した光が板部2の表面全面に生じるようにするため、
図2に示すように、板部2の上下方向の長さLが疑似紫外線32の光路長T(板21の前後の面に1回ずつ反射して元の位置に戻ったときの長さ)の逓倍にならないようにLEDの照射角度を設定する。
図2に示した疑似紫外線32は、説明の簡略のために板21のみに示しているが、板22及び板23にも同様に疑似紫外線32が照射されている。
【0024】
板部2の板23には、粗面24が形成されている。この粗面には、「殺菌中」などの文字が施されている。青色光線照射部3から照射され板23内部で変化した疑似紫外線が、反射しながら粗面24に照射されると、粗面24により拡散される。この拡散により、疑似紫外線が板部2の外に出て可視光である青色光線に変わる。これにより、青色光線照射部3の操作部31が操作され、青色光線が照射されている間、利用者に、殺菌中であることを知らせることができる。
【0025】
(変形例1)
本実施形態において、青色光線照射部3は板部2の上端部に備えられる。この実施形態に代えて、青色光線照射部3は、板部2の側端部又は下端部に備えられても良い。
【0026】
(変形例2)
本実施形態において、板部2は透明なアクリル板で形成されている。この実施形態に代えて、板部2は、青色光線の透過率の高い材質、例えばガラスなどで形成されても良い。
【0027】
(変形例3)
本実施形態において、板部2の上端部側面には反射部、上端部には青色光線照射部3におけるLED及びレンズが備えられている。この実施形態に代えて、端部側面を凸形状にして、凸形状の頂点からLEDを照射させても良い。これにより、レンズを不要にすることができる。
【0028】
本実施形態において、板部2は、四角の形状である。この実施形態に代えて、板部2の端部に開口部21が形成されても良い。
【0029】
本実施形態において、板部2は、板21、板22及び板23で形成されている。この実施形態に代えて、板部2は板23のみで形成しても良い。
【0030】
本実施形態において、反射部4はミラーで形成されている。この実施形態に代えて、板部2の端面をプリズムで形成して疑似紫外線を反射しても良い。
【0031】
本実施形態において、青色光線照射部3は、板部2を照射する。具体的には板21、板22及び板23を照射する。この実施形態に代えて、青色光線照射部3は、板21及び板22に青色光線を照射し、板23に赤色、黄色などの青色以外の光線を照射しても良い。
【符号の説明】
【0032】
1・・・衝立、2・・・板部、21~23・・・板、24・・・粗面、3・・・青色光線照射部、31・・・操作ボタン、32・・・疑似紫外線、4・・・反射部