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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071295
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】遊技機の球移送装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
A63F7/02 346A
A63F7/02 351A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180179
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】500077959
【氏名又は名称】株式会社MRD
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大藪 修平
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA63
2C088BA96
(57)【要約】
【課題】スクリュー部材の軸部の形状に工夫をしたことにより、遊技球の表面を適切に磨くことができるとともに、遊技球の球詰まりが生じにくくできる遊技機の球移送装置を提供する。
【解決手段】球移送装置1は、駆動源30、駆動源30によって回転駆動されて突起部32に係止される遊技球Bを移送するスクリュー部材3、及び遊技球Bを磨く球磨き部材4を備える。スクリュー部材3の軸部31は、球磨き軸部位313、空間形成軸部位311及び外径増加軸部位312を有する。空間形成軸部位311は、遊技球Bが流入する球流入部位において、球磨き軸部位313よりも外径が小さく形成されている。外径増加軸部位312は、空間形成軸部位311と球磨き軸部位313との間において、空間形成軸部位311の一部の半径が、球磨き軸部位313の半径になるまで、周方向Cの一方側に向けて増加して形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に用いられ、遊技球を移送しながら磨くよう構成された球移送装置であって、
駆動源と、
軸部、及び前記軸部の外周に螺旋状に突出して設けられた突起部を有し、前記駆動源によって回転駆動されるときに、前記突起部に係止される遊技球を移送するスクリュー部材と、
前記スクリュー部材の径方向に対向して配置され、前記突起部によって移送される遊技球を磨く球磨き部材と、を備え、
前記軸部は、
前記球磨き部材との間の隙間を遊技球の外径よりも小さい状態に保つ球磨き軸部位と、
遊技球が流入する球流入部位において、前記球磨き軸部位よりも外径が小さく、前記球磨き部材との間に遊技球が配置される空間を形成する空間形成軸部位と、
前記空間形成軸部位と前記球磨き軸部位との間において、前記空間形成軸部位の一部の半径が、前記球磨き軸部位の半径になるまで、周方向の一方側に向けて増加する外径増加軸部位とを有する、遊技機の球移送装置。
【請求項2】
前記スクリュー部材は、中心軸線が上下方向に向けられていることによって、前記突起部に係止される遊技球を揚送するよう構成されており、
前記球磨き部材は、前記スクリュー部材の前記中心軸線に平行な中心軸線を中心に回転するドラム形状に形成されており、
前記駆動源は、中心軸線が前記上下方向に向けられたモータによって構成されており、かつ、前記スクリュー部材に径方向から対向するとともに前記球磨き部材に軸方向の上方から対向しており、
前記駆動源及び前記球磨き部材は、前記スクリュー部材の、前記上下方向に直交する方向への投影範囲内において、前記上下方向に並んで配置されており、
前記駆動源の回転力は、前記スクリュー部材及び前記球磨き部材の一方である第1部材に伝達され、かつ前記第1部材を介して、前記スクリュー部材及び前記球磨き部材の他方である第2部材に伝達される、請求項1に記載の遊技機の球移送装置。
【請求項3】
前記球移送装置は、前記スクリュー部材及び前記球磨き部材を回転可能に支持するケース部材をさらに備えており、
前記ケース部材には、前記球磨き部材を着脱可能に収容する収容部と、前記収容部内の前記球磨き部材が遊技球に接触するよう、前記収容部の一部が開口された接触用穴とが形成されており、
前記ケース部材における、前記接触用穴の両縁部には、前記収容部から前記球磨き部材が外されたときに、前記収容部への遊技球の流出を阻止する流出阻止突起がそれぞれ設けられている、請求項1又は2に記載の遊技機の球移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の球移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機においては、規定数の遊技球を遊技機内に封入し、遊技機内において規定数の遊技球を繰り返し循環して使用するようにした封入式遊技機がある。封入式遊技機においては、遊技機の外部から遊技機内に遊技球を供給するシステムが不要になり、遊技ホールの省スペース化、遊技球の管理の容易化等が図られる。
【0003】
封入式遊技機においては、限られた少ない数の遊技球が繰り返し使用されるため、遊技球の表面を磨く装置が必要となる。また、遊技球の表面を磨くときには、遊技球を所定の距離だけ移送することが行われる。
【0004】
例えば、特許文献1のクリーニングユニットは、軸方向へ遊技球を移送する移送ローラと、移送ローラによって移送される遊技球に当接して遊技球をクリーニングするクリーニングローラとを備える。クリーニングローラの軸方向は、移送ローラの軸方向と略平行にしている。移送ローラの回転速度とクリーニングローラの回転速度とを異ならせることにより、クリーニングローラにおける遊技球の当接部位を適宜変更して、クリーニングローラに遊技球の汚れが局在化することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-023168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クリーニングユニット等の球移送装置においては、遊技球の磨き及び移送を効率的に行うために、螺旋体等のスクリュー部材を用いることが多い。そして、スクリュー部材の螺旋状の突起部によって遊技球が軸方向に移送されるときに、クリーニングローラ等の球磨き部材によって遊技球の表面が磨かれる。しかし、スクリュー部材を用いた球移送装置においては、特に、スクリュー部材と球磨き部材との間に遊技球を受け入れるときに球詰まりが生じやすいことが判明した。特許文献1のクリーニングユニットにおいては、移送ローラとクリーニングローラとの間に遊技球を受け入れる部分に、特別な工夫はなされていない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、スクリュー部材の軸部の形状に工夫をしたことにより、遊技球の表面を適切に磨くことができるとともに、遊技球の球詰まりが生じにくくすることができる遊技機の球移送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
遊技機に用いられ、遊技球を移送しながら磨くよう構成された球移送装置であって、
駆動源と、
軸部、及び前記軸部の外周に螺旋状に突出して設けられた突起部を有し、前記駆動源によって回転駆動されるときに、前記突起部に係止される遊技球を移送するスクリュー部材と、
前記スクリュー部材の径方向に対向して配置され、前記突起部によって移送される遊技球を磨く球磨き部材と、を備え、
前記軸部は、
前記球磨き部材との間の隙間を遊技球の外径よりも小さい状態に保つ球磨き軸部位と、
遊技球が流入する球流入部位において、前記球磨き軸部位よりも外径が小さく、前記球磨き部材との間に遊技球が配置される空間を形成する空間形成軸部位と、
前記空間形成軸部位と前記球磨き軸部位との間において、前記空間形成軸部位の一部の半径が、前記球磨き軸部位の半径になるまで、周方向の一方側に向けて増加する外径増加軸部位とを有する、遊技機の球移送装置にある。
【発明の効果】
【0009】
前記一態様の遊技機の球移送装置においては、スクリュー部材の軸部における、遊技球を受け入れる部分の形状に工夫をしている。具体的には、スクリュー部材の軸部においては、球磨き軸部位の他に、空間形成軸部位及び外径増加軸部位を形成している。外径増加軸部位は、空間形成軸部位と球磨き軸部位との間において、空間形成軸部位の一部の半径が、球磨き軸部位の半径になるまで、周方向の一方側に向けて増加する形状に形成されている。
【0010】
遊技機において球移送装置が使用されるときには、駆動源によってスクリュー部材が回転駆動され、球移送装置に遊技球が流入する球流入部位においては、軸部の空間形成軸部位と球磨き部材との間の空間に遊技球が流入する。この空間は、空間形成軸部の外径が球磨き軸部位の外径よりも小さいことにより、遊技球が流入する十分な大きさに形成されている。そのため、球移送装置の球流入部位に球詰まりが生じにくくすることができる。
【0011】
次いで、スクリュー部材の螺旋状の突起部によって、遊技球が、空間形成軸部位に対向する位置から外径増加軸部位に対向する位置へ移送される。外径増加軸部位と球磨き部材との間においては、外径増加軸部位の半径の変化の仕方により、空間形成軸部位と球磨き軸部位との間に急激な形状の変化がなく、遊技球をスクリュー部材の径方向の外方へ円滑に移動させることができる。これにより、遊技球が球磨き部材に急激に押し当てられることが緩和され、球詰まりがさらに生じにくくすることができる。
【0012】
次いで、スクリュー部材の螺旋状の突起部によって、遊技球が、球磨き軸部位と球磨き部材との間に移送されたときには、球磨き軸部位によって遊技球が球磨き部材に押し当てられ、遊技球の表面が磨かれる。
【0013】
このように、前記一態様の遊技機の球移送装置においては、スクリュー部材の軸部の形状に工夫をしたことにより、遊技球の表面を適切に磨くことができるとともに、遊技球の球詰まりが生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1にかかる、球移送装置を遊技機の裏面側から見た状態で示す説明図である。
図2図2は、実施形態1にかかる、球移送装置を遊技機の側方から見た状態で示す説明図である。
図3図3は、実施形態1にかかる、球移送装置におけるスクリュー部材の軸部の空間形成軸部位の周辺を、スクリュー部材の軸方向に直交する断面で示す説明図である。
図4図4は、実施形態1にかかる、球移送装置におけるスクリュー部材の軸部の外径増加軸部位の周辺を、スクリュー部材の軸方向に直交する断面で示す説明図である。
図5図5は、実施形態1にかかる、球移送装置におけるスクリュー部材の軸部の球磨き軸部位の周辺を、スクリュー部材の軸方向に直交する断面で示す説明図である。
図6図6は、実施形態1にかかる、外径増加軸部位の形状を示すために、空間形成軸部位の周辺を、スクリュー部材の軸方向に直交する、下方から見た断面で拡大して示す説明図である。
図7図7は、実施形態1にかかる、本体枠に対して前扉が開けられた状態の遊技機における、球移送装置、球供給通路、球回収通路、球発射装置、整流器等を、遊技機の正面側から見た状態で示す説明図である。
図8図8は、実施形態2にかかる、本体枠に対して前扉が開けられた状態の遊技機における、球移送装置、球供給通路、球回収通路、球発射装置、整流器等を、遊技機の正面側から見た状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前述した遊技機の球移送装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態の球移送装置1は、図1図2及び図7に示すように、遊技機6に用いられるものであり、遊技球Bを移送しながら磨くよう構成されている。球移送装置1は、駆動源30、スクリュー部材3及び球磨き部材4を備える。スクリュー部材3は、軸部31と、軸部31の外周に螺旋状に突出して設けられた突起部32とを有する。スクリュー部材3は、駆動源30によって回転駆動されるときに、突起部32に係止される遊技球Bを移送するよう構成されている。球磨き部材4は、スクリュー部材3の径方向Rに対向して配置されており、突起部32によって移送される遊技球Bを磨くよう構成されている。
【0016】
スクリュー部材3の軸部31は、図1に示すように、球磨き軸部位313、空間形成軸部位311及び外径増加軸部位312を有する。球磨き軸部位313は、図5に示すように、球磨き軸部位313と球磨き部材4との間の隙間S2を遊技球Bの外径よりも小さい状態に保つ部位である。空間形成軸部位311は、図3に示すように、スクリュー部材3に遊技球Bが流入する球流入部位201において、球磨き軸部位313よりも外径が小さく形成された部位であり、空間形成軸部位311と球磨き部材4との間には、遊技球Bが配置される空間S1が形成されている。外径増加軸部位312は、図4に示すように、空間形成軸部位311と球磨き軸部位313との間において、空間形成軸部位311の一部の半径が、球磨き軸部位313の半径になるまで、周方向Cの一方側に向けて増加して形成された部位である。
【0017】
図1図7において、遊技機6の上下方向を符号Hによって示し、遊技機の左右方向を符号Wによって示し、遊技機6の奥行方向を符号Dによって示す。また、奥行方向Dの正面側を符号D1によって示す。
【0018】
以下に、本形態の遊技機6の球移送装置1について詳説する。
図7に示すように、本形態の遊技機6は、パチンコ遊技を行うパチンコ遊技機である。遊技機6は、遊技機6内に規定数の遊技球Bを封入し、この規定数の遊技球Bを繰り返し循環して使用する封入式のものである。球移送装置1は、遊技球Bの表面に付着する汚れを除去するために遊技球Bを磨くとともに、遊技球Bを所定の距離だけ移送するものである。
【0019】
遊技機6は、パチンコ遊技を行うための遊技盤612と、遊技盤612が配置される開口穴611が形成された本体枠61と、本体枠61に配置された球移送装置1と、本体枠61に配置されて遊技盤612における遊技領域へ遊技球Bを発射させる球発射装置62と、遊技球Bを1球ずつ整流しながら球発射装置62へ供給する整流器63と、本体枠61に対して開閉可能な状態で、本体枠61の正面に配置された前扉とを備える。前扉の下方には、前面パネルが本体枠61に対して開閉可能に配置されていてもよい。
【0020】
図7に示すように、本体枠61の下部には、遊技盤612における遊技を終えて遊技盤612のアウト口から回収される遊技球Bであるアウト球、及び球発射装置62から遊技盤612に到達せずに回収される遊技球Bであるファール球が集まる球回収通路614が形成されている。球回収通路614は、球移送装置1のケース部材2の球入口203に接続されている。本体枠61の下部であって球回収通路614よりも上方には、球移送装置1のケース部材2の球出口204から遊技球Bが流れ込む球供給通路613が形成されている。球供給通路613は、整流器63へ遊技球Bを供給するよう構成されている。球移送装置1によって磨かれた遊技球Bは、球供給通路613を通って整流器63に供給され、整流器63から球発射装置62へ供給される。
【0021】
遊技盤612には、遊技球Bが入賞する入賞装置等が配置された遊技領域が形成されている。入賞装置等に入った遊技球Bである入賞球は、入賞球センサによって検出される。遊技機6の制御装置は、入賞球センサによる入賞球の検出を受けて入賞の処理を行う。入賞装置等に入った入賞球は、アウト球及びファール球と同様に球回収通路614に回収される。
【0022】
(球検出センサ)
図7に示すように、封入式の遊技機6においては、遊技機6内に存在する遊技球Bが少数であるため、遊技機6内に大きな球タンクは配置されない。そして、球移送装置1から整流器63及び球発射装置62に繋がる球供給通路613は、発射球として遊技に使用される遊技球Bがストックされる部位となる。球供給通路613には、球供給通路613に、例えば10球等の所定数の発射球用の遊技球Bがストックされたことを検出する球検出センサが配置されている。球移送装置1は、球検出センサが所定数の遊技球Bがあることを検出しているときには、駆動源30によるスクリュー部材3の回転を停止させ、球検出センサが所定数の遊技球Bがあることを検出していないときに、駆動源30によるスクリュー部材3の回転を許可するよう構成されている。これにより、球供給通路613にストックされる遊技球Bの数が所定数以内に維持される。
【0023】
(遊技球Bのカウント)
遊技者による操作ハンドルの操作を受けて、球発射装置62によってどれだけ遊技球Bが発射されたかをカウントするために、整流器63が球発射装置62に繋がる部分には、フォトセンサ等による発射球カウントセンサが配置されている。また、ファール球が回収される球回収通路614には、ファール球の数をカウントするファール球カウントセンサが配置されている。遊技機6の制御装置は、遊技球Bの購入数から、発射球カウントセンサによる発射数を差し引くとともに、遊技球Bの購入数に、ファール球カウントセンサによるファール球を追加して、遊技可能な遊技球Bの数を、遊技機6の前面に表示するように構成されている。
【0024】
(球移送装置1)
図1及び図7に示すように、本形態の球移送装置1は、スクリュー部材3によって鉛直方向に沿った上下方向Hに遊技球Bを揚送するよう構成されている。球移送装置1は、遊技機6の遊技盤612における遊技を終えて、遊技機6の下方位置に回収される遊技球Bを磨きながら揚送して、球発射装置62への球供給通路613へ送り出すよう構成されている。図1は、球移送装置1を遊技機6の裏面側から見た断面で示す。図7は、本体枠61に対して前扉(又は前面パネル)が開けられた遊技機6を正面側から見た状態で示す。
【0025】
図1に示すように、球移送装置1は、遊技機6の本体枠61に対して着脱可能に取り付けられている。球移送装置1は、本体枠61に対して前扉を開けた状態において、本体枠61に対して着脱可能である。球移送装置1は、駆動源30、スクリュー部材3及び球磨き部材4が配置されたケース部材2を備える。スクリュー部材3及び球磨き部材4は、ケース部材2内に回転可能に支持されている。ケース部材2の側面の下部には、スクリュー部材3の下端部分に遊技球Bを導入するための球入口203が形成されている。ケース部材2の側面の上部には、スクリュー部材3の上端部分から遊技球Bが導出される球出口204が形成されている。
【0026】
球移送装置1は、遊技機6の本体枠61に対して、遊技機6の正面側から取り付けられている。本体枠61の正面側に配置された前扉(又は前面パネル)が本体枠61に対して開けられたときに、球移送装置1を本体枠61に対して着脱可能である。
【0027】
球移送装置1のケース部材2における球入口203には、球移送装置1を本体枠61から取り外したときに、球入口203の周辺に残留する遊技球Bが、球移送装置1から外部へ零れ落ちることを阻止するシャッター部材が配置されている。このシャッター部材は、球移送装置1が本体枠61から取り外されたときに、バネの付勢力を受けて球入口203の少なくとも一部を塞ぐよう構成されている。
【0028】
本体枠61における、球移送装置1のケース部材2における球入口203に対向する、球回収通路614の端部には、球移送装置1を本体枠61から取り外したときに、球回収通路614内に存在する遊技球Bが、球回収通路614から外部へ零れ落ちることを阻止するシャッター部材が配置されている。このシャッター部材は、球移送装置1が本体枠61から取り外されたときに、バネの付勢力を受けて球回収通路614の少なくとも一部を塞ぐよう構成されている。
【0029】
(駆動源30)
図1に示すように、駆動源30は、中心軸線が上下方向Hに向けられたモータによって構成されている。駆動源30は、スクリュー部材3の上側部分に、スクリュー部材3の径方向Rから対向する位置に配置されている。駆動源30は、球磨き部材4に、球磨き部材4の軸方向Lの上方から対向している。駆動源30を構成するモータの中心軸線は、スクリュー部材3の中心軸線に平行に配置されている。駆動源30を構成するモータの出力軸は上側に向けられており、駆動源30からスクリュー部材3への動力(回転力)の伝達は、ケース部材2の上部において行われる。
【0030】
(スクリュー部材3)
図1及び図2に示すように、スクリュー部材3は、中心軸線が上下方向Hに向けられていることによって、突起部(羽根)32に係止される遊技球Bを揚送するよう構成されている。スクリュー部材3は、ケース部材2に対して回転可能に配置されている。スクリュー部材3の突起部32は、軸方向Lに並ぶ突起部32の部分同士の間に遊技球Bが1球だけ入るピッチで、軸部31の外周に1条の状態で形成されている。スクリュー部材3の軸方向Lの長さは、遊技球Bを上方へ移動させる距離に応じて決定される。スクリュー部材3は、樹脂の成形品によって形成されている。本形態の軸部31は、中心軸部315と、中心軸部315が挿通された外周軸部316とによって形成されている。
【0031】
図1及び図5に示すように、スクリュー部材3の軸部31の球磨き軸部位313は、遊技球Bを球磨き部材4の磨き外周部42に押し当てる部位である。球磨き軸部位313に設けられた突起部32の部分同士の間に配置された遊技球Bは、ケース部材2の内部に設けられた案内壁部21の後述する側部位213と、球磨き軸部位313の外周面と、球磨き部材4の磨き外周部42とに当接しながら、突起部32によってスクリュー部材3の軸方向Lの上側に移動する。
【0032】
図1及び図3に示すように、スクリュー部材3の軸部31の空間形成軸部位311は、ケース部材2内の球流入部位201に対向する位置に配置されている。球流入部位201は、ケース部材2の案内壁部21における後述する底部位211と、後述する角部位212と、空間形成軸部位311の外周面と、最下端に位置する突起部32と、球磨き部材4の磨き外周部42とに囲まれて形成される。球流入部位201における空間S1は、遊技球Bが、ケース部材2の案内壁部21の底部位211及び角部位212と、空間形成軸部位311の外周面と、最下端に位置する突起部32と、球磨き部材4の磨き外周部42とに同時に接触できない大きさに形成されている。
【0033】
図1図4及び図6に示すように、スクリュー部材3の軸部31の外径増加軸部位312は、半径が周方向Cの一方側に向けて徐々に増加する部位である。球磨き軸部位313及び空間形成軸部位311が真円形状の断面を有することに対し、外径増加軸部位312は、偏心、あるいは変形した円形状の断面を有する。
【0034】
外径増加軸部位312は、半径が周方向Cの一方側に向けて徐々に増加し、また、外周面が軸方向Lに対して平行である。この外径増加軸部位312の形状により、遊技球Bがスクリュー部材3の径方向Rの外方に向けて円滑に移動する。また、スクリュー部材3から遊技球Bに、軸方向Lの揚送方向(上方)とは逆向き(下方)の力がほとんど作用せず、外径増加軸部位312の周辺に球詰まりが生じにくい。
【0035】
(球磨き部材4)
図1に示すように、球磨き部材4は、スクリュー部材3の下側部分に、スクリュー部材3の径方向Rから対向する位置に配置されている。球磨き部材4は、ケース部材2に対して回転可能に配置されている。球磨き部材4は、駆動源30に、駆動源30の軸方向Lの下方から対向している。球磨き部材4は、スクリュー部材3の中心軸線に平行な中心軸線を中心に回転するドラム形状に形成されている。駆動源30の動力(回転力)は、スクリュー部材3を介して球磨き部材4に伝達される。スクリュー部材3から球磨き部材4への動力の伝達は、ケース部材2の下部において行われる。
【0036】
球磨き部材4は、円筒形状を有する樹脂の成形品によって構成された円筒軸部41と、円筒軸部41の外周に配置され、球磨き素材によって構成された磨き外周部42とを有する。球磨き素材は、例えば、シート状に成形された繊維によるフェルト(不織布)等によって構成されている。
【0037】
図1図3図5及び図7に示すように、球磨き部材4は、ケース部材2内に形成された収容部22に対して着脱可能に配置されている。ケース部材2における、収容部22を外部に開放するための開放部位221には、開閉蓋222が開閉可能に配置されている。開閉蓋222によって収容部22の開放部位221が開放されたときには、収容部22から球磨き部材4を取り出すことが可能になる。開閉蓋222は、球移送装置1が遊技機6から取り外された状態、及び球移送装置1が遊技機6に取り付けられた状態のいずれにおいても、ケース部材2に対して開閉可能である。
【0038】
図1に示すように、球磨き部材4の円筒軸部41の上端に形成された凸部411は、ケース部材2に形成された凹部に軸支されている。円筒軸部41の下端に形成された凸部412は、後述する最終ギヤ55に付勢バネ44を介して上下方向Hに移動可能な嵌合部材43に嵌合している。球磨き部材4は、嵌合部材43、付勢バネ44及び最終ギヤ55とともにケース部材2に対して回転可能である。
【0039】
球磨き部材4は、付勢バネ44によって上方に付勢された状態でケース部材2に支持されている。球磨き部材4を交換するときには、ケース部材2に支持された球磨き部材4を、付勢バネ44の付勢力に対抗して下方に押し下げてケース部材2から取り外し、その後、別の球磨き部材4を、付勢バネ44の付勢力に対抗して下方に押し下げてケース部材2に取り付ける。
【0040】
図示は省略するが、ケース部材2の適宜箇所には、回転する球磨き部材4の磨き外周部42の表面に当接して、磨き外周部42の表面に付着した汚れ等を取り除く、汚れ除去部材が設けられている。
【0041】
ケース部材2には、球磨き部材4を着脱可能に収容する収容部22の他に、収容部22内の球磨き部材4が遊技球Bに接触するよう、収容部22の一部が開口された接触用穴223が形成されている。接触用穴223は、収容部22を形成する壁部220の一部が切り欠かれ、球磨き部材4の周方向Cの一部がスクリュー部材3に向けて露出されるようにしたものである。
【0042】
ケース部材2における、接触用穴223の両縁部には、収容部22から球磨き部材4が外されたときに、収容部22への遊技球Bの流出を阻止する流出阻止突起224がそれぞれ設けられている。流出阻止突起224は、接触用穴223における、球磨き部材4の周方向Cの両側に位置する、壁部220の両縁部に形成されている。一対の流出阻止突起224の間の隙間は、遊技球Bの直径よりも小さい。スクリュー部材3及び球磨き部材4によって遊技球Bが移動しながら磨かれるときには、遊技球Bは流出阻止突起224に接触しない。
【0043】
一方、収容部22内から球磨き部材4が取り外されたときには、遊技球Bは、流出阻止突起224に接触することによって、収容部22内へ流出することができない。流出阻止突起224の形成により、球磨き部材4をケース部材2の収容部22から取り外したときに、球移送装置1内に残留する遊技球Bが、収容部22を介して球移送装置1の外部へ誤って流出されることを防止することができる。
【0044】
図3図5に示すように、スクリュー部材3と球磨き部材4とは、互いに逆方向であって、これらの間に挟まれる遊技球Bを案内壁部21の側部位213に押し当てる方向に回転する。これにより、遊技球Bを、側部位213に適切に当接させながら、安定して揚送することができる。
【0045】
(駆動源30、スクリュー部材3及び球磨き部材4の配置)
図1に示すように、駆動源30及び球磨き部材4は、スクリュー部材3の、上下方向Hに直交する方向への投影範囲T内において、上下方向Hに並んで配置されている。より具体的には、ケース部材2の上下方向Hの高さは、上下方向Hに軸方向Lが向けられたスクリュー部材3の全体が収まるサイズを有する。駆動源30の少なくとも一部と球磨き部材4の少なくとも一部とは、上下方向Hに重なって配置されている。駆動源30の軸方向Lの長さと球磨き部材4の軸方向Lの長さとの和は、スクリュー部材3の軸方向Lの長さ以下に設定されている。
【0046】
本形態の駆動源30の回転力は、第1部材としてのスクリュー部材3に伝達され、かつスクリュー部材3を介して、第2部材としての球磨き部材4に伝達される。つまり、球磨き部材4には、スクリュー部材3を介して駆動源30の回転力が伝達される。この構成により、駆動源30の下方に球磨き部材4が配置された構成における回転力の伝達を適切にすることができる。
【0047】
スクリュー部材3及び駆動源30の上方には、駆動源30の回転力をスクリュー部材3に伝達する上側動力伝達部材5Aが配置されている。上側動力伝達部材5Aは、駆動源30を構成するモータの出力軸に設けられた出力ギヤ51、及びスクリュー部材3の中心軸部315の上端部に設けられた上側ギヤ53を用いて構成されている。本形態においては、出力ギヤ51と上側ギヤ53との間には、これらのギヤ51,53に噛み合う中間ギヤ52が配置されている。駆動源30の回転力は、出力ギヤ51、中間ギヤ52及び上側ギヤ53を介してスクリュー部材3に伝達される。
【0048】
図1に示すように、スクリュー部材3及び球磨き部材4の下方には、スクリュー部材3の回転力を球磨き部材4に伝達する下側動力伝達部材5Bが配置されている。下側動力伝達部材5Bは、スクリュー部材3の中心軸部315の下端部に設けられた下側ギヤ54、及び球磨き部材4の円筒軸部41の下端部に設けられた最終ギヤ55を用いて構成されている。スクリュー部材3の回転力は、下側ギヤ54及び最終ギヤ55を介して球磨き部材4に伝達される。
【0049】
出力ギヤ51、中間ギヤ52及び上側ギヤ53は、ケース部材2の上端部に配置されており、下側ギヤ54及び最終ギヤ55は、ケース部材2の下端部に配置されている。スクリュー部材3の、上下方向Hに直交する方向への投影範囲Tは、スクリュー部材3における、上側ギヤ53及び下側ギヤ54を含む、上側ギヤ53と下側ギヤ54との間に位置する軸方向Lの範囲として設定される。駆動源30及び球磨き部材4は、スクリュー部材3の投影範囲T内であって、出力ギヤ51と最終ギヤ55との間の軸方向Lの範囲内に配置されている。
【0050】
下側ギヤ54の歯数と最終ギヤ55の歯数とは互いに異なっており、少なくとも一方の歯数は素数である。本形態の下側ギヤ54の歯数は19であり、最終ギヤ55の歯数は36である。そして、下側ギヤ54と最終ギヤ55との噛み合い位置が適宜ずれることにより、スクリュー部材3の回転位置に対する球磨き部材4の回転位置が適宜ずれる。これにより、球磨き部材4の磨き外周部42に遊技球Bが当接する位置を示す傾斜ラインが、球磨き部材4の磨き外周部42の周方向Cにおける多くの位置に形成され、磨き外周部42の全体を球磨きに利用することができる。
【0051】
また、最終ギヤ55のピッチ円直径は、下側ギヤ54のピッチ円直径よりも大きい。これにより、球磨き部材4の回転速度を減速して、球磨き部材4に生じるトルクを大きくすることができる。
【0052】
なお、上側動力伝達部材5A及び下側動力伝達部材5Bによる動力(回転力)の伝達が可能であれば、駆動源30の上部及び球磨き部材4の下部の少なくとも一方は、スクリュー部材3の、上下方向Hに直交する方向への投影範囲T外に配置されていてもよい。
【0053】
(他の構成)
図2に示すように、ケース部材2における、スクリュー部材3によって移送される遊技球Bが接触する案内壁部21は、スクリュー部材3の下端部付近までの底部位211、曲面状の角部位212、及びスクリュー部材3に沿った側部位213へと連続して形成されている。案内壁部21の底部位211は、ケース部材2の球入口203付近からスクリュー部材3の下端部付近に向けて下降傾斜する状態で形成されている。曲面状の角部位212は、側部位213の下端部に形成されている。図2においては、遊技機6の奥行方向をDによって示し、遊技機6の正面側をD1によって示す。
【0054】
スクリュー部材3が駆動源30によって回転して、スクリュー部材3における突起部32の下端部位によって、空間S1の形成位置としての最下端位置にある第1遊技球B1が持ち上げられるときには、この第1遊技球B1が案内壁部21の曲面状の角部位212に沿って、第1遊技球B1に後続する第2遊技球B2から離れる方向に移動する。これにより、第2遊技球B2から第1遊技球B1へ球圧が作用しにくくなる。換言すれば、第1遊技球B1が第2遊技球B2を上流側へと押し戻そうとする力が作用しにくくなる。このような構成によっても、スクリュー部材3の軸部31の空間形成軸部位311の周辺に球詰まりが生じにくくなる。
【0055】
球磨き部材4の中心軸線の位置は、スクリュー部材3の中心軸線の位置よりも、球移送装置1の奥行方向Dの若干奥側(正面側D1)にある。言い換えれば、球磨き部材4の中心軸線と案内壁部21の側部位213との間の距離は、スクリュー部材3の中心軸線と案内壁部21の側部位213との間の距離よりも小さい。遊技球Bは、空間形成軸部位311に対向する位置から外径増加軸部位312に対向する位置に揚送される過程において、案内壁部21の角部位212に沿って上昇することにより、奥行方向Dの奥側へ移動する。また、遊技球Bは、この揚送過程において、外径増加軸部位312に押されて球磨き部材4の側へ若干移動する。
【0056】
これにより、遊技球Bが球磨き軸部位313に対向する位置まで揚送されたときには、遊技球Bは、球磨き軸部位313によって押されて、案内壁部21の側部位213、及び球磨き部材4の磨き外周部42における、最もスクリュー部材3の側に位置する最端部(図4及び図5における左側の頂点部)に当接する。このような構成により、磨き外周部42への遊技球Bの当接が適切に行われる。
【0057】
遊技球Bは、磁石によって吸着される磁性を有する鉄球とする以外にも、磁石によって吸着されない非磁性のステンレス球としてもよい。この場合には、鉄球に対して磁石等の磁力を用いて行う不正行為を低減させることができる。また、この場合には、図7に示すように、球供給通路613等の、遊技機6内における遊技球Bの通路には、不正行為による鉄球を取り除くための球除き部材64を配置することができる。球除き部材64は、磁石又は電磁石によって発生させる磁力によって、通路を流れる鉄球を吸着する構成とし、さらに通路に対して回動することによって、吸着した遊技球Bを取り除く構成とすることができる。
【0058】
(球貯留部7)
図7に示すように、本体枠61の球回収通路614における、遊技球Bの流れの上流側位置には、入賞球、アウト球又はファール球としての遊技球Bが貯留される球貯留部7が配置されている。本体枠61における、球貯留部7の周辺には、球貯留部7内の遊技球Bを、本体枠61の正面側の下方位置に設けられた球排出口701から遊技機6の外部に排出可能な球抜き弁が配置されている。球貯留部7に貯留された遊技球Bは、本体枠61に対して前扉を開けた状態において、操作レバーを操作して球抜き弁を移動させることによって、球排出口701から外部へ抜き出される。また、球貯留部7の上部が開口可能になっていることにより、球貯留部7へ外部から遊技球Bを補充することも可能である。
【0059】
また、球貯留部7内の遊技球Bを遊技機6の外部に抜き出したとしても、球移送装置1内及び球供給通路613内に遊技球Bが残留していることがある。この残留する遊技球Bを球排出口701から外部へ抜き出すために、本体枠61には球回収部材が配置されている。球回収部材は、前扉が本体枠61に閉じられた状態においては、発射経路から退避している。そして、球回収部材は、本体枠61に対して前扉が開けられたときに、バネ等による力を受けて遊技球Bの発射経路内に進入し、球発射装置62から発射される遊技球Bをファール球にするよう構成されている。球発射装置62から発射された遊技球Bは、球回収部材に衝突してファール球となり、球貯留部7へ回収される。
【0060】
このとき、球抜き弁が操作レバーによって操作された状態にあることにより、遊技球Bは、球貯留部7から球排出口701へ排出される。球移送装置1内の遊技球Bのすべてを球供給通路613及び整流器63を経由して球発射装置62へ供給し、球発射装置62からすべての遊技球Bを発射させることにより、遊技機6内のすべての遊技球Bを球排出口701から外部へ排出することができる。なお、球貯留部7は、本体枠61に対して着脱可能にしてもよい。この場合には、本体枠61から球貯留部7を取り外した状態において、球貯留部7内の遊技球Bの取り出し、及び球貯留部7内への遊技球Bの補充を行ってもよい。
【0061】
球貯留部7の底部71には、所定範囲内の数の遊技球Bが貯留されていることを検出するための球過少スイッチ72及び球過多スイッチ73が設けられている。球過少スイッチ72及び球過多スイッチ73は、遊技球Bが載置されたことを検出するよう構成されている。球過少スイッチ72は、球貯留部7内の遊技球Bの貯留数が、所定範囲の下限数よりも少ないときにオフになり、この貯留数が所定範囲の下限数以上になると、遊技球Bによって押されてオンになる。球過多スイッチ73は、球貯留部7内の遊技球Bの貯留数が所定範囲の上限数よりも少ないときにオフになり、この貯留数が所定範囲の上限数以上になると、遊技球Bによって押されてオンになる。
【0062】
遊技機6の制御装置は、球過少スイッチ72がオンになるとともに球過多スイッチ73がオフになるように球移送装置1の駆動源30を動作させる。球過少スイッチ72及び球過多スイッチ73の2つのスイッチを用いることにより、球貯留部7内の遊技球Bの貯留数を、所定範囲内の数にすることが容易になる。
【0063】
(球移送装置1の動作)
図7に示すように、遊技者の操作ハンドルの操作によって、遊技盤612の遊技領域に向けて発射された遊技球Bは、入賞球、アウト球又はファール球となって球回収通路614に回収される。遊技機6の制御装置は、球供給通路613における球検出センサが所定数の遊技球Bを検出していないときには、球移送装置1の駆動源30を動作させて、スクリュー部材3及び球磨き部材4を回転駆動する。そして、図3に示すように、遊技球Bは、球回収通路614からケース部材2の球入口203へ流入し、スクリュー部材3の軸部31の空間形成軸部位311に対向する空間S1に配置される。
【0064】
次いで、図4に示すように、スクリュー部材3の回転を受け、スクリュー部材3の突起部32によって、遊技球Bが、スクリュー部材3の軸部31の外径増加軸部位312に対向する位置まで上昇する。次いで、図5に示すように、スクリュー部材3の突起部32によって、遊技球Bが、外径増加軸部位312から、スクリュー部材3の軸部31の球磨き軸部位313に対向する位置までさらに上昇する。このとき、遊技球Bは、球磨き軸部位313によって球磨き部材4の磨き外周部42に押し当てられ、回転するスクリュー部材3及び球磨き部材4によって上昇しながら磨かれる。
【0065】
その後、図1及び図7に示すように、スクリュー部材3の突起部32によって、遊技球Bは、球磨き軸部位313と対向するとともに球磨き部材4と対向しない位置までさらに上昇し、球流出部位202を経由してケース部材2の球出口204から球供給通路613へ流出する。遊技機6の制御装置は、球供給通路613における球検出センサが所定数の遊技球Bを検出したときには、球移送装置1の駆動源30の動作を停止させて、スクリュー部材3及び球磨き部材4の回転駆動を停止させる。
【0066】
(作用効果)
本形態の遊技機6の球移送装置1においては、スクリュー部材3の軸部31における、遊技球Bを受け入れる部分の形状に工夫をしている。具体的には、スクリュー部材3の軸部31においては、球磨き軸部位313の他に、空間形成軸部位311及び外径増加軸部位312を形成している。外径増加軸部位312は、空間形成軸部位311と球磨き軸部位313との間において、空間形成軸部位311の周方向Cの一部の半径が、球磨き軸部位313の半径になるまで、周方向Cの一方側に向けて増加する形状に形成されている。
【0067】
ケース部材2の球入口203から球移送装置1内に流入した遊技球Bは、案内壁部21の底部位211を流下して、球流入部位201における、軸部31の空間形成軸部位311と球磨き部材4との間の空間S1に配置される。この空間S1は、空間形成軸部位311の外径が球磨き軸部位313の外径よりも小さいことにより、遊技球Bが流入する十分な大きさに形成されている。そのため、空間S1へ遊技球Bが円滑に流入し、球移送装置1の球流入部位201に球詰まりが生じにくくなる。
【0068】
次いで、スクリュー部材3の螺旋状の突起部32によって、遊技球Bが、空間形成軸部位311に対向する位置から外径増加軸部位312に対向する位置へ移送される。外径増加軸部位312と球磨き部材4との間においては、外径増加軸部位312の半径の変化の仕方により、空間形成軸部位311と球磨き軸部位313との間に急激な形状の変化がなく、遊技球Bをスクリュー部材3の径方向Rの外方へ円滑に移動させることができる。これにより、遊技球Bが球磨き部材4に急激に押し当てられることが緩和され、球詰まりがさらに生じにくくなる。
【0069】
次いで、スクリュー部材3の螺旋状の突起部32によって、遊技球Bが、球磨き軸部位313と球磨き部材4との間に移送されたときには、球磨き軸部位313によって遊技球Bが球磨き部材4に押し当てられ、遊技球Bの表面が磨かれる。このように、本形態の球移送装置1においては、スクリュー部材3の軸部31の形状に工夫をしたことにより、遊技球Bの表面を適切に磨くことができるとともに、遊技球Bの球詰まりが生じにくくすることができる。
【0070】
(動力伝達の他の構成)
駆動源30の回転力は、第1部材としての球磨き部材4に伝達され、かつ球磨き部材4を介して、第2部材としてのスクリュー部材3に伝達されてもよい。この場合には、スクリュー部材3には、球磨き部材4を介して駆動源30の回転力が伝達される。
【0071】
この場合には、駆動源30を構成するモータの出力軸は下側に向けられ、出力軸の中心軸線と、球磨き部材4の中心軸線とが同一軸線上に配置される。上側動力伝達部材5Aは用いられず、モータの出力軸と、球磨き部材4とは直接連結されればよい。モータの出力軸と球磨き部材4の円筒軸部41の上端部とは、空転しないように、台形形状、楕円形状、Dカット形状等を用いて嵌合されればよい。
【0072】
下側動力伝達部材5Bには、前述した図1と同様の構造が採用される。この場合には、上側動力伝達部材5Aが不要になり、球移送装置1における部品点数の削減、省スペース化等を達成することができる。
【0073】
<実施形態2>
本形態は、図8に示すように、球供給通路613に、所定数の遊技球Bを貯留することが可能な球貯留部7Aを形成した場合について示す。本形態の球貯留部7Aは、本体枠61に対して着脱可能であり、球貯留部7Aを本体枠61から取り外すことによって、遊技機6内において使用される規定数の遊技球Bを取り出すことが可能である。球貯留部7Aは、本体枠61における球供給通路613を形成する部位に取り付けられた状態において、複数のロック部材74によって位置が固定されている。本形態の球供給通路613は、球貯留部7A内に形成されている。球貯留部7Aの球貯留出口711には、本体枠61から球貯留部7Aを取り外したときに、球貯留部7A内の遊技球Bが零れ落ちることを阻止するシャッター部材75が配置されている。
【0074】
シャッター部材75は、1つのロック部材74に係合しており、球貯留出口711を開口する開口位置と、球貯留出口711を閉口する閉口位置とに移動操作可能である。シャッター部材75は、通常は開口位置に維持されている。シャッター部材75に係合するロック部材74は、シャッター部材75が閉口位置に移動操作されたときに初めて、球貯留部7Aを本体枠61に固定する固定位置から、球貯留部7Aを本体枠61から取り外し可能な取外位置に移動可能である。そして、本体枠61から球貯留部7Aを取り外すときには、シャッター部材75が球貯留出口711を閉口しており、球貯留出口711から遊技球Bが零れ落ちることが阻止される。
【0075】
本形態においては、球貯留部7Aを本体枠61から取り外すときには、遊技機6内におけるすべての遊技球Bを球貯留部7A内に回収することが可能である。球貯留部7Aの球貯留出口711から整流器63及び球発射装置62までの通路に存在する遊技球Bは、球回収通路614に回収し、球移送装置1を介して球貯留部7A内に集められる。本形態の本体枠61にも、実施形態1と同様の球回収部材が配置されている。球回収部材を用いることにより、本体枠61に対して前扉が開けられた状態においても、遊技機6内におけるすべての遊技球Bを球貯留部7A内に回収することができる。また、球貯留部7Aには、遊技球Bの出し入れを可能にする開閉蓋76が設けられている。
【0076】
本形態の遊技機6の球移送装置1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の構成要素と同様である。
【0077】
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。例えば、球移送装置1においては、駆動源30の上方に球磨き部材4が配置されていてもよい。この場合には、下側動力伝達部材5Bによって駆動源30の回転力がスクリュー部材3に伝達され、上側動力伝達部材5Aによってスクリュー部材3の回転力が球磨き部材4に伝達される。
【0078】
また、球移送装置1は、遊技球Bを上方へ移送する以外にも、遊技球Bを斜め上方に移送する構成としてもよい。また、上側動力伝達部材5A及び下側動力伝達部材5Bは、ギヤ以外の部材を用いて構成してもよい。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
【符号の説明】
【0079】
1 球移送装置
2 ケース部材
21 案内壁部
22 収容部
223 接触用穴
224 流出阻止突起
3 スクリュー部材
30 駆動源
31 軸部
311 空間形成軸部位
312 外径増加軸部位
313 球磨き軸部位
32 突起部
4 球磨き部材
5A 上側動力伝達部材
5B 下側動力伝達部材
6 遊技機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8