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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071300
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】制御プログラム、端末
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220509BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
G06F13/00 540P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180185
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘和
【テーマコード(参考)】
5B084
5C062
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA06
5B084AA11
5B084AB06
5B084AB21
5B084BA09
5B084BB01
5B084CA07
5B084DB01
5B084DC02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB17
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC34
5C062AE01
(57)【要約】
【課題】スキャナにプッシュスキャン処理を実行させることが可能な端末において、端末を操作するユーザの利便性を高めることを目的とする。
【解決手段】端末側CPU12は、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータを、通信IF16を介してサーバ30から取得する。端末側CPU12は、自装置をスキャンデータの宛先とするプッシュスキャン処理におけるジョブ情報を、通信IF16を介してサーバ30から取得し、ジョブ情報に基づいて、プッシュスキャン処理の実行状態をユーザインタフェースに表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信インタフェースとユーザインタフェースとを備える端末のコントローラにより実行可能な制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、
前記コントローラに、スキャナのプッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータを、前記通信インタフェースを介してサーバから取得するデータ取得処理を実行させ、前記プッシュスキャン処理は、前記スキャナに、前記スキャンデータを作成させ、作成された前記スキャンデータをサーバにアップロードさせる処理であり、
前記コントローラに、
自装置を前記スキャンデータの宛先とする前記プッシュスキャン処理におけるジョブ情報を、前記通信インタフェースを介して取得するジョブ情報取得処理と、
前記ジョブ情報に基づいて、前記プッシュスキャン処理の実行状態を前記ユーザインタフェースに表示させる表示処理と、を実行させる制御プログラム。
【請求項2】
前記サーバは、前記スキャンデータを前記制御プログラム又は前記端末を識別する識別情報に関連付けて保存しており、
前記ジョブ情報取得処理では、前記識別情報を含む前記ジョブ情報の取得要求を、前記通信インタフェースを介して前記サーバに送信することで、自装置を宛先とする前記ジョブ情報を前記サーバから取得する請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記表示処理では、前記実行状態として、前記ジョブ情報に基づいて、前記プッシュスキャン処理の履歴画面を前記ユーザインタフェースに表示させる請求項1又は2に記載の制御プログラム。
【請求項4】
前記ジョブ情報取得処理は、前記ユーザインタフェースを介して前記履歴画面を表示させる指示操作を受付けたことを契機に実行される請求項3に記載の制御プログラム。
【請求項5】
前記サーバ又は前記スキャナは、前記プッシュスキャン処理により前記スキャンデータがアップロードされた場合に、プッシュ通知を前記端末に送信し、
前記ジョブ情報取得処理では、前記プッシュ通知を受信したことを契機に、前記サーバから前記ジョブ情報を取得する請求項1~4のいずれか一項に記載の制御プログラム。
【請求項6】
前記サーバ又は前記スキャナは、前記プッシュスキャン処理により前記スキャンデータがアップロードされた場合に、前記ジョブ情報を含むプッシュ通知を前記端末に送信し、
前記ジョブ情報取得処理では、受信した前記プッシュ通知に含まれる前記ジョブ情報を取得する請求項1~4に記載の制御プログラム。
【請求項7】
前記表示処理では、前記ジョブ情報取得処理により前記ジョブ情報を取得できないことを少なくとも1つの条件として、前記スキャンデータが既にダウンロードされていると判断し、判断結果に応じて前記スキャンデータのダウンロードの有無を前記実行状態として前記ユーザインタフェースに表示させる請求項1~6のいずれか一項に記載の制御プログラム。
【請求項8】
前記制御プログラムは、前記コントローラに、前記実行状態としてダウンロードされていないことが表示されているスキャンデータに対して、ダウンロードの指示操作を受付けた場合に、前記サーバに対して、前記指示操作を受けたスキャンデータに対するダウンロード要求を送信させる請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記制御プログラムは、前記コントローラに、前記実行状態として、ダウンロードされていることが表示されているスキャンデータに対して指示操作が行われた場合に、前記ユーザインタフェースに、前記指示操作を受けた前記スキャンデータのプレビュー画面を表示させる請求項7又は8に記載の制御プログラム。
【請求項10】
前記アップロードされたスキャンデータは、保存期間が定めらており、
前記ジョブ情報には、前記プッシュスキャン処理の実行日時を含み、
前記表示処理では、前記プッシュスキャン処理の前記実行日時と、前記スキャンデータの前記保存期間とに基づいて、前記スキャンデータのダウンロードの可否を判断し、判断結果を前記実行状態として前記ユーザインタフェースに表示させる請求項1~9のいずれか一項に記載の制御プログラム。
【請求項11】
前記ジョブ情報には、前記プッシュスキャン処理の実行日時を含み、
前記制御プログラムは、前記コントローラに、既に前記実行状態が表示された前記スキャンデータのうち、現在から前記実行日時までの期間が所定期間以上となるスキャンデータに対して、前記実行状態を表示しない請求項1~10のいずれか一項に記載の制御プログラム。
【請求項12】
前記端末は、前記通信インタフェースを介して、前記スキャナに実行要求を送信することで前記スキャナにプルスキャン処理を実行させ、前記プルスキャン処理により作成された前記スキャンデータを保存可能であり、
前記表示処理では、前記プッシュスキャン処理の前記実行状態に加え、前記プルスキャン処理におけるジョブ情報に基づいて、前記プルスキャン処理の前記実行状態を前記ユーザインタフェースに表示させる請求項1~11のいずれか一項に記載の制御プログラム。
【請求項13】
通信インタフェースとユーザインタフェースと、コントローラとを備え、
前記コントローラは、スキャナのプッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータを、前記通信インタフェースを介してサーバから取得するデータ取得処理を実行し、前記プッシュスキャン処理は、前記スキャナに前記スキャンデータを作成させ、作成された前記スキャンデータをサーバにアップロードさせる処理であり、
前記コントローラに、
自装置を前記スキャンデータの宛先とする前記プッシュスキャン処理におけるジョブ情報を、前記通信インタフェースを介して取得するジョブ情報取得処理と、
取得された前記ジョブ情報に基づいて、前記プッシュスキャン処理の実行状態を前記ユーザインタフェースに表示させる表示処理と、を実行する端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読取ることでスキャンデータを作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スキャナにより作成されたスキャンデータを、サーバにアップロードする、所謂プッシュスキャン処理を実行することが可能な装置が記載されている。これにより、例えば、ユーザが装置から離れた場所に位置する場合でも、端末を操作してサーバにアクセスすることで、サーバに保存されたスキャンデータを端末にダウンロードすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-195100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端末を操作するユーザが、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータにおける現在の状態を把握しにくい場合がある。例えば、アップロードされたスキャンデータが多数となる場合に、端末を操作するユーザは、各スキャンデータがどのような状態であるかを把握しにくくなることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、スキャナにプッシュスキャン処理を実行させることが可能な端末において、端末を操作するユーザの利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、通信インタフェースとユーザインタフェースとを備える端末のコントローラにより実行可能な制御プログラムであって、制御プログラムは、コントローラに、スキャナのプッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータを、通信インタフェースを介してサーバから取得するデータ取得処理を実行させる。プッシュスキャン処理は、スキャナに、スキャンデータを作成させ、作成されたスキャンデータをサーバにアップロードさせる処理である。制御プログラムは、コントローラに、自装置をスキャンデータの宛先とするプッシュスキャン処理におけるジョブ情報を、通信インタフェースを介して取得するジョブ情報取得処理と、ジョブ情報に基づいて、プッシュスキャン処理の実行状態をユーザインタフェースに表示させる表示処理と、を実行させる。
【0007】
上記構成では、端末のコントローラは、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータを、通信インタフェースを介してサーバから取得する。コントローラは、自装置をスキャンデータの宛先とするプッシュスキャン処理におけるジョブ情報を、通信インタフェースを介して取得し、取得されたジョブ情報に基づいて、プッシュスキャン処理の実行状態をユーザインタフェースに表示させる。これにより、ユーザは、端末を閲覧することで、プッシュスキャン処理の実行状態を把握することができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0008】
本発明は、種々の形態により実現することが可能であり、コンピュータが実行する制御プログラムの発明以外にも、情報処理装置の発明としても実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
プッシュスキャン処理を実行する場合のユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スキャンシステムの構成図。
図2】ジョブ管理テーブルを説明する図。
図3】登録処理を説明するタイミングチャート。
図4】履歴画面の表示手順を説明するタイミングチャート。
図5】機能選択画面を説明する図。
図6】履歴画面を説明する図。
図7図4のS29での処理を説明するフローチャート。
図8】履歴画面の操作を受付けたことを契機に実行される処理を説明するフローチャート。
図9】プレビュー画面を説明する図。
図10】スキャン設定画面を説明する図。
図11】第2実施形態に係る履歴画面の表示手順を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態係に係るスキャンシステムを、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1に示すスキャンシステム100は、端末10と、サーバ30と、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)50とを備えている。端末10と、サーバ30と、MFP50とはネットワーク200に接続されている。本実施形態では、ネットワーク200は、インターネットであってもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよいし、LANとインターネットとの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク200は、有線の他、無線でもよいし有線と無線の組み合わせにより構成されていてもよい。本実施形態は、端末10とMFP50とは、ネットワークの一部を構成する不図示のルータとの間で無線により接続されており、端末10又はMFP50とサーバ30とは、インターネットを介して接続されているものとする。本実施形態では、MFP50がスキャナ装置の一例である。
【0013】
MFP50のハードウェア構成について説明する。MFP50は、バス51、通信IF52、プリンタ部53、読取部54、FAX部55、ユーザIF56、コントローラ57及びメモリ58を備えている。MFP50を構成する各部は、バス51を介して通信可能に接続されている。IFは、Interfaceの略称である。
【0014】
通信IF52は、所定の通信プロトコルに準拠して、MFP50をネットワーク200に接続する。ユーザIF56は、MFPのコントローラ57とユーザとの間に介在するインタフェースであり、本実施形態では、タッチパネルや、操作キーを備えている。コントローラ57は、プリンタ部53、読取部54、FAX部55、ユーザIF56の各動作を制御する。
【0015】
プリンタ部53は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷するプリント動作を実行する。プリンタ部53の記録方式としては、記録媒体としてのインクを被記録媒体に吐出するインクジェット方式や、感光体にトナー像を形成し、形成されたトナー像を被記録媒体に転写する電子写真方式などを採用することができる。読取部54は、原稿に記録されている画像を読み取ってスキャンデータを作成するスキャン動作を実行する。MFP50のコントローラ57は、読取部54に、ADF(Auto Document Feeder)又は読取り台にセットされた原稿を読み取らせることで、スキャンデータを作成させ、作成されたスキャンデータを、通信IF52を介してサーバ30又は端末10に送信することができる。FAX部55は、FAXプロトコルに準拠した方式で画像データを送受信する。また、MFP50は、複数の動作を組み合わせた複合動作を実行可能であってもよい。プリンタ部53によるプリント動作と、読取部54によるスキャン動作とを組み合わせたコピー動作は、複合動作の一例である。
【0016】
本実施形態では、MFP50に実行させるスキャン動作として、プッシュスキャン処理と、プルスキャン処理とを実行させることが可能である。プッシュスキャン処理は、ユーザIF56を介してユーザからスキャン動作の実行指示を受け付けたことを契機に、MFP50に、スキャンデータを作成させ、作成されたスキャンデータをサーバ30にアップロードさせる処理である。サーバ30にアップロードされたスキャンデータは、端末10を操作することによりダウンロードすることが可能である。プルスキャン処理は、端末10のユーザIF13を介してユーザからスキャン動作の実行指示を受け付けたことを契機に、端末10がMFP50にスキャン動作の実行指示を送信し、それに応じてMFP50がスキャンデータを作成し、作成されたスキャンデータを端末10に送信させる処理である。
【0017】
コントローラ57は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成されており、MFP50を構成する各部を制御する。メモリ58は、コントローラ57が実行する各種プログラムを保存している。
【0018】
本実施形態において、メモリ58は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリーが組み合わされて構成されている。また、メモリ58は、コンピュータであるコントローラ57が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。ストレージ媒体とは、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。以下、後述するメモリ17,35においても同様である。
【0019】
メモリ58には、コントローラ57が参照するデータとして、宛先情報41と、能力情報42とが記憶されている。宛先情報41は、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータの宛先候補となる装置を識別する情報である。宛先情報41は、例えば、『表示名』、『プログラムID』の各項目を含んでいる。『表示名』は、宛先候補の装置をユーザIF56に表示させる際の名称を示す情報である。『プログラムID』は、宛先候補の装置により記憶されている制御プログラムを識別するIDである。例えば、端末10では、プログラムIDは、制御プログラム21を識別するIDである。
【0020】
能力情報42は、MFP50の性能を示す複数の項目を含んでおり、例えば、構造体形式の情報である。能力情報42には、スキャン動作に関係する項目として、『原稿サイズ』、『解像度』、『カラー設定』、『読取り形式』、『ファイル形式』、『ADF傾き補正』の各項目が記憶されている。『原稿サイズ』は、MFP50がスキャン動作を実行する際の原稿の読取り範囲を示す情報である。例えば、『A4』は、A4サイズの読取り範囲で原稿を読取ることを示す情報であり、『自動』は、読取り範囲を原稿に合わせて自動で調整できることを示す情報である。『解像度』は、スキャン動作を実行する際のスキャンデータの解像度を示す情報である。『カラー設定』は、MFP50がスキャン動作を実行する際のスキャンデータの色の有無を設定する情報であり、例えば、『カラー』や、『モノクロ』を含んでいる。『読取り形式』は、MFP50がスキャン動作を実行する際の原稿の読取り面(両面、片面)を示す情報である。『ファイル形式』は、MFP50がスキャン動作を実行する際のスキャンデータのファイル形式(JPEG,TIFE)を示す情報である。『ADF傾き補正』は、ADFにセットした原稿を読取る際に、読取られた画像に対する傾きを補正するか否かを示す情報である。なお、能力情報42の項目として、『明るさ』、『コントラスト』、『白紙除去』の項目が含まれていてもよい。
【0021】
次に、サーバ30のハードウェア構成を説明する。サーバ30は、バス31と、サーバ側CPU32と、ユーザIF33と、通信IF34と、メモリ35とを備えている。サーバ30を構成する各部は、バス31を介して通信可能に接続されている。
【0022】
メモリ35のデータ記憶領域には、図2に示すジョブ管理テーブル40が記憶されている。ジョブ管理テーブル40は、プッシュスキャン処理の実行によりサーバ30にアップロードされたスキャンデータに関する情報である。ジョブ管理テーブル40については後述する。
【0023】
次に、端末10について説明する。端末10は、スマートフォンやタブレット端末である。端末10は、バス11と、端末側CPU12と、ユーザIF13と、通信IF16と、メモリ17とを備えている。これらの構成要素は、バス11を介して互いに通信可能にされている。
【0024】
ユーザIF13は、タッチパネル14と、操作キー15とを備えている。タッチパネル14は、タッチセンサを有しており、タッチセンサによる検出結果に応じた信号を出力する。なお、本実施形態における「タッチ」とは、入力媒体をタッチパネル14の表示画面に接触させる操作全般を含む。具体的には、タッチした入力媒体を所定時間内にタッチパネル14から離間させるタップ操作をタッチの一例として説明するが、ロングタッチ操作、スライド操作、フリック操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作等であってもよい。また、入力媒体をタッチパネル14との間の距離がごく僅かな位置まで入力媒体を近接させることを、前述の「タッチ」の概念に含めてもよい。さらに入力媒体とは、ユーザの指であってもよいし、タッチペン等であってもよい。
【0025】
通信IF16は、例えば、IEEEの802.11の規格およびそれに準ずる規格に基づいて、Wi-Fi(R)(登録商標)方式の無線通信を行うことが可能とされている。また、通信IF16は、MFP50との間でBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行うものであってもよいし、基地局を介した移動通信システムを利用した無線通信を行うものであってもよい。
【0026】
端末側CPU12は、メモリ17に記憶されたプログラムを実行することで、端末10の各部を制御する。本実施形態では、端末側CPU12が、コントローラの一例である。
【0027】
メモリ17には、OS20(Operating System)と、制御プログラム21とが記憶されている。以下では、プログラムを実行するCPUのことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「制御プログラム21が」という記載は、「制御プログラム21を実行する端末側CPU12が」ということを意味する場合がある。
【0028】
なお、本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったCPUの処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPUやコントローラの処理を表している。CPUによる処理は、OS20を介したハードウェア制御も含む。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、制御プログラム21が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能な形式で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0029】
OS20は、制御プログラム21に対して、OS20が備える機能の利用、サーバ30及びMFP50との通信、及び他のプログラムの機能の利用を可能にするAPI(Application Programming Interface)を備えている。制御プログラム21は、OS20の機能により、通信IF16を介して接続可能なMFP50に対して、プリント動作、スキャン動作、FAX動作等を実行させる。また、制御プログラム21は、MFP50によりプッシュスキャン処理が実行された場合に、サーバ30にアップロードされたスキャンデータを、ダウンロードさせるための処理を実行することができる。
【0030】
次に、図3を用いて、端末10と、サーバ30と、MFP50との間で実行される登録処理を説明する。登録処理は、サーバ30及びMFP50に、プッシュスキャン処理により作成されるスキャンデータの宛先候補を登録させる処理である。図3に示す各処理のうち、端末10が実行する処理は、制御プログラム21により実行される。なお、端末10とMFP50との間で実行される処理は、Wi-Fiや近距離無線通信等のローカル通信により行われる。
【0031】
ステップS10(以下、単にS10と称す。)では、端末側CPU12(制御プログラム21)は、ユーザIF13に登録画面を表示し、ユーザによる登録情報の入力操作を、ユーザIF13を介して受け付ける。登録画面は、ユーザによる操作に応じて、端末10をMFP50の宛先情報41に登録するための画面である。例えば、登録画面上で、登録先となる装置の選択と、宛先情報41に登録される『表示名』の入力とを受付ける。なお、『プログラムID』は、制御プログラム21により自動で設定される。
【0032】
S11では、制御プログラム21は、登録先として選択したMFP50に、S10で設定した項目を、登録要求とともに送信する。S12では、MFP50のコントローラ57は、端末10から送信された項目を、宛先情報41に記憶する登録処理を行う。これにより、MFP50では、端末10が宛先候補として登録される。S13では、コントローラ57は、S12で登録した項目とMFP50の識別情報とを、登録要求とともにサーバ30に送信する。
【0033】
S14では、サーバ側CPU32は、MFP50から送信された項目を、メモリ35に記憶することで、端末10に関する宛先情報41を記憶する。これにより、サーバ30では、MFP50の宛先候補として、端末10が登録されたことを判断することができる。S15では、サーバ側CPU32は、MFP50に対して登録が完了したことを示す完了通知を行う。S16では、MPF50のコントローラ57は、端末10に対して、登録が完了したことを示す完了通知を行う。
【0034】
次に、図4を用いて、プッシュスキャン処理の実行の際に、端末10、サーバ30及びMFP50の間で実行される処理を説明する。図4に示す処理は、MFP50のユーザIF56に表示された操作画面上で、プッシュスキャン処理の実行を指示する操作が行われたことを契機に開始される。また、図4の処理に先立って、図3に示す処理により、端末10がプッシュスキャン処理の宛先候補として登録されているものとする。
【0035】
S20では、MFP50のコントローラ57は、ユーザIF56に宛先一覧を表示させる。ユーザIF56に表示される宛先一覧では、宛先情報41に記憶された宛先候補の表示名が一覧表示される。
【0036】
ユーザが、ユーザIF56を操作して、宛先一覧に表示された表示名のうち端末10に対応する表示名を指定すると、S21では、コントローラ57は、MFP50のスキャン設定をユーザIF56に表示させる。本実施形態では、S21で表示されるスキャン設定は、プッシュスキャン処理におけるスキャン設定として、予め設定されているスキャン設定である。例えば、『原稿サイズ』、『解像度』、『カラー設定』、『読取り形式』、『ファイル形式』、『ADF傾き補正』の各設定値が表示される。表示された各設定値は、能力情報42に含まれる設定値の範囲内で、ユーザ操作により変更が可能である。これ以外にも、宛先として指定された表示名に関連付けらえたプログラムIDを読み出し、このプログラムIDに関連づけられたスキャン設定をユーザIF56に表示するものであってもよい。
【0037】
ユーザが、プッシュスキャン処理の実行を確定するアイコンを操作すると、S22では、コントローラ57は、例えば、原稿台にセットされた原稿を読取部54に読取らせることでスキャンデータを作成する。なお、ユーザが、スキャン動作の実行をキャンセルするアイコンをタッチ操作した場合、コントローラ57はスキャン動作を実行しない。
【0038】
S23では、コントローラ57は、S22で作成されたスキャンデータを、ユーザにより指定された端末(本実施形態では、端末10)を宛先に指定して、サーバ30に送信する。具体的には、コントローラ57は、S22で作成されたスキャンデータとともに、宛先情報41上で指定された表示名に関連付けられたプログラムIDをサーバ30に送信する。
【0039】
本実施形態では、スキャンデータには、原稿を読取ることで作成された画像データの他、サムネイル画像、ラベル名、モデル名、実行日時、データサイズを含んでいる。ラベル名は、スキャンデータを識別する情報であり、コントローラ57によりスキャンデータの作成の際に設定される。モデル名は、プッシュスキャン処理を実行した装置の名称であり、本実施形態では、MFP50のモデル名である。実行日時は、プッシュスキャン処理が実行された日時を示す情報である。
【0040】
サーバ30のサーバ側CPU32は、MFP50から送信されたスキャンデータを受信すると、S24で、ジョブ管理テーブル40にジョブ情報の登録を行う。具体的には、スキャンデータに含まれる、ラベル名、モデル名、実行日時、データサイズ、サムネイル画像を、ジョブ情報として、S23で送信されたプログラムIDに関連づけて、ジョブ管理テーブル40に記憶する。図2に示すように、ジョブ管理テーブル40には、ラベル名に関連づけて、サムネイル画像、モデル名、実行日時、データサイズ、及びプログラムIDが記憶されている。
【0041】
図4に戻り、S25では、サーバ側CPU32は、MFP50から送信されたスキャンデータをメモリ35に記憶することで、スキャンデータをアップロードする。アップロードされたスキャンデータは、ジョブ管理テーブル40のラベル名に関連づけてメモリ35に保存される。なお、サーバ30は、スキャンデータを管理サーバ等の他のサーバに保存させることで、スキャンデータのアップロードを行ってもよい。
【0042】
次に、サーバ30にアップロードされたスキャンデータに応じたジョブ情報を、端末10の操作により取得するジョブ情報取得処理の手順を説明する。本実施形態では、制御プログラム21は、取得されたジョブ情報によりスキャン処理の実行状態を示す履歴画面をユーザIF13に表示する。
【0043】
制御プログラム21は、ユーザIF13を介して受付けた起動を指示する操作により、図5に示す機能選択画面60をユーザIF13に表示させる。機能選択画面60は、装置指定領域61と、機能表示領域62と、を含んでいる。装置指定領域61は、制御対象となる装置が表示される領域である。図5に示す機能選択画面60では、制御対象となるMFP50のモデル名として、「MFP-0001」が表示されている。制御プログラム21は、ユーザIF13を介して受付けた操作により、装置指定領域61に表示されるモデル名を変更することができる。機能表示領域62は、装置指定領域61上で指定された装置の機能に関する指示を受付けるアイコンが表示される領域である。図5に示す機能表示領域62では、指定されたMFP50に対して、「プリント動作」を実行させるための指示を受付ける操作アイコン63と、「プルスキャン処理」を実行させるための指示を受付ける操作アイコン64と、「コピー動作」を実行させるための指示を受付ける操作アイコン65とが表示されている。また、機能表示領域62には、スキャン動作における履歴画面に対する表示指示を受付ける履歴表示アイコン66が表示されている。履歴画面については後述する。
【0044】
図4に戻り、制御プログラム21は、ユーザIF13を介して、機能選択画面60上で、履歴表示アイコン66に対する指示操作を受付けると、S26で、自装置を宛先とするスキャンデータに関するジョブ情報の要求を、サーバ30に送信する。具体的には、制御プログラム21は、ジョブ情報の要求とともに、プログラムIDをサーバ30に送信する。
【0045】
サーバ側CPU32は、ジョブ情報の要求とともに、プログラムIDを受信すると、S27で、メモリ35に記憶されたジョブ管理テーブル40を参照し、送信されたプログラムIDに関連づけられたジョブ情報を読み出す。プッシュスキャン処理が実行されていない場合、スキャンデータはアップロードされておらず、ジョブ情報も記憶されていない。また、本実施形態では、サーバ30は、ダウンロード済みのスキャンデータに対してはジョブ情報を削除する。そのため、前回、履歴表示アイコンを表示させたタイミングから今回のタイミングまでの間に、プッシュスキャン処理が実行されている場合、メモリ35のジョブ管理テーブル40には、ジョブ情報が登録されているため、ジョブ情報を読み出す。一方、前回、履歴表示アイコンを表示させたタイミングから、今回のタイミングまでの間に、プッシュスキャン処理が実行されていなければ、ジョブ管理テーブル40には、ジョブ情報が登録されていないため、ジョブ情報を読み出さない。
【0046】
S28では、サーバ側CPU32は、S26でのジョブ情報の要求に対する応答を行う。S27で、ジョブ情報を読み出していない場合、S28では、端末10を宛先とするスキャンデータのジョブ情報を送信することなく、端末10に応答を返す。一方、S27で、ジョブ情報を読み出している場合、S28では、端末10を宛先とするスキャンデータのジョブ情報を、端末10に送信する。本実施形態では、端末側CPU12が、S26で実行する処理がジョブ情報取得処理の一例である。なお、S26の要求に対して一定期間経過してもS28の応答が受信されない場合、S29に進む代わりに、端末10は、後述する履歴情報に「未ダウンロード」であることが記憶されている表示欄について、サーバとの接続エラーを示す情報を追加して後述する履歴画面70を表示する。
【0047】
制御プログラム21は、サーバ30から送信された応答を受信すると、S29で、図6に示す履歴画面70の表示処理を行う。履歴画面70は、プッシュスキャン処理及びプルスキャン処理の実行状態を示す画面である。履歴画面70には、スキャンデータに係る情報を表示するための表示欄を有している。本実施形態では、表示欄は、高さ方向に並ぶ矩形状の領域である。履歴画面70には、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータに係る情報が表示されるプッシュスキャン表示欄72と、プルスキャン処理により作成されたスキャンデータに係る情報が表示されるプルスキャン表示欄73とがある。
【0048】
プッシュスキャン表示欄72には、履歴情報として、サムネイル画像170、モデル名171、ラベル名172、実行日時173、及びステータス情報174が表示される。サムネイル画像170、モデル名171、ラベル名172、実行日時173は、スキャンデータに係るジョブ情報である。ステータス情報174は、プッシュスキャン処理のステータスを示す情報であり、本実施形態では、「未ダウンロード」、「ダウンロード済み」、「有効期限切れ」の各ステータスを示す情報を含んでいる。なお、本実施形態では、一番上のプッシュスキャン表示欄72において「ダウンロード済み」を示すステータス情報174を表示する代わりに、ダウンロードしたスキャンデータのラベル名172が表示されている。このように、ステータス情報174はスキャンデータのダウンロード状態を直接示す文字列でなくてもよい。また、上から2つ目のプッシュスキャン表示欄72において、「有効期限切れ」を示すステータス情報174が表示されている。「有効期限切れ」とは、サーバ30にアップロードされたスキャンデータがダウンロードされることなく、プッシュスキャン処理の実行日時から所定の保存期間(例えば1週間)経過したことにより、サーバ30からスキャンデータが自動的に削除されたことを示す。この場合、スキャンデータのみが削除され、ジョブ情報のみが残される。また、上から3つめのプッシュスキャン表示欄72において、「サーバとの接続エラー」が表示されている。また、ジョブ情報及びステータス情報以外にも、ユーザにより「お気に入り登録」の設定を、ユーザIF13を介して受付けた場合、表示欄72,73にお気に入り登録の表示を行うものであってもよい。
【0049】
プルスキャン表示欄73には、履歴情報として、サムネイル画像180、モデル名181、実行日時182が表示される。情報180,181,182それぞれは、プッシュスキャン表示欄72に表示される情報170,171,173それぞれと同様の情報である。プルスキャン表示欄73には、ステータス情報が表示されてもよい。この場合において、プルスキャン表示欄73に表示されるステータス情報は、例えば、既にプルスキャンを実行した後に、追加のプルスキャンを実行した場合の、「更新日時」であってもよい。
【0050】
なお、履歴画面70上で、アイコン74が操作された場合、制御プログラム21は、機能選択画面60をユーザIF13に表示させる。即ち、画面遷移を一つ前の状態に戻す。
【0051】
図7は、制御プログラム21が、S29で実行する表示処理の手順を説明するフローチャートである。S40では、履歴画面70に対してプッシュスキャン表示欄72の追加が必要か否かを判断する。S26によるジョブ情報の要求に対して、ジョブ情報を取得しており、取得されたジョブ情報が既に取得しているジョブ情報でなければ、S40を肯定判定して、S41に進む。これは、サーバ30からスキャンデータがダウンロードされることなく、保存されている場合、履歴画面70を表示させるタイミングで、同じスキャンデータに対してジョブ情報を複数回取得する場合が起こりうるためである。なお、S40にて、S26によるジョブ情報の要求に対して、ジョブ情報を取得していない、又は、取得されたジョブ情報が既に取得済みのジョブ情報である場合、S40を否定判定し、S42に進む。
【0052】
S41では、新たに取得されたジョブ情報を用いてプッシュスキャン表示欄72を作成する。本実施形態では、履歴画面70を表示するための履歴画面データ内にプッシュスキャン表示欄72に対応するデータを追加する。S41を終了すると、S42に進む。
【0053】
S42では、履歴画面70に対してプルスキャン表示欄73の追加が必要か否かを判断する。プルスキャン処理で作成されたスキャンデータのなかに、プルスキャン表示欄73が未作成のものがあれば、S42を肯定判定して、S43に進む。S43では、メモリ17に記憶されているジョブ情報を用いてプルスキャン表示欄73を作成する。S43の処理を終了した場合や、S42を否定判定すると、S44に進む。
【0054】
S44では、表示欄72,73を作成済みのスキャンデータのうち、ステータス情報を更新する対象である対象データを設定する。本実施形態では、プッシュスキャン表示欄72及びプルスキャン表示欄73が表示されている全てのスキャンデータを対象として、ステータス情報の更新を行う。
【0055】
制御プログラム21は、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータとジョブ情報とをサーバ30からダウンロードした場合、およびプルスキャン処理によりスキャンデータが作成された場合に、各データそれぞれを専用フォルダに保存し、履歴情報を作成する。履歴情報には、サーバから取得されたジョブ情報、ステータス情報、「お気に入り登録」の設定、表示欄の作成日時などが含まれる。そして、制御プログラム21は、履歴情報を参照することで、各スキャンデータのダウンロードの有無を判断することができる。サーバ30のサーバ側CPU32は、ダウンロードされたスキャンデータに対して、ジョブ管理テーブル40からジョブ情報を削除する。
【0056】
S45は、表示欄72,73が表示期間中であるか否かを判断する。本実施形態では、履歴情報に含まれる表示欄72,73の作成日時から、所定の表示期間が経過している場合、S45を否定判定し、S47に進む。対象データが、プルスキャン処理により作成されたスキャンデータの場合、表示期間を判断する日時は、実行日時以外にも後述する追加スキャンを行った日時である更新日時であってもよい。一方、S45を肯定判定する場合、S46に進む。なお、端末側CPU12による表示欄72,73の自動削除は、機能選択画面60の設定により実行の有無を設定することができる。S47では、履歴画像データに含まれる対象データの表示欄を削除する。S47の処理後、S54に進む。
【0057】
S46では、対象データは、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータであるか否かを判断する。S46を否定判定する場合、即ち、対象データがプルスキャン処理により作成されたスキャンデータであれば、S54に進む。一方、S46を肯定判定すると、S48に進む。
【0058】
S48では、対象データは、サーバ30から未ダウンロードであるか否かを判断する。本実施形態では、今回のS26での要求に対して、サーバ30からジョブ情報が送信されておらず、かつ履歴情報にダウンロード済み、または有効期限切れであることが記憶されている場合、ダウンロード済みであるとしてS48を否定判断する。一方、サーバ30からジョブ情報が送信されており、かつ履歴情報にダウンロード済み、または有効期限切れであることが記憶されていない場合、未ダウンロードであるとしてS48を肯定判断する。
【0059】
S48を否定判定して、S49に進む場合、履歴画面データにおけるプッシュスキャン表示欄72に対応する領域に、履歴情報に含まれるステータス情報を示すテキストを追加する。具体的には、ダウンロード済み、又は有効期限切れのテキストを追加する。なお、本実施形態のように、ダウンロード済みであることを示すテキストの代わりにダウンロードしたスキャンデータのラベル名を追加してもよい。S49の処理を終了すると、S54に進む。
【0060】
一方、S48で、サーバ30からジョブ情報が送信されており、履歴情報にダウンロード済み又は有効期限切れであることが記憶されていない場合は肯定判定して、S50に進む。S50では、履歴情報に含まれるステータス情報として、未ダウンロードを記録する。そして、履歴画像データにおけるプッシュスキャン表示欄72に対応する領域に、ステータス情報として、未ダウンロードであることを示すテキストを追加する。「未ダウンロード」のテキストはタウンロードが可であること示す情報の一例である。S50の処理を終了すると、S51に進む。
【0061】
S51では、ジョブ情報のうち、「実行日時」を用いて、保存期間の超過の有無を判断する。例えば、サーバ30におけるスキャンデータの保存期間が、保存期間T1と定められている場合、現在の時刻から「実行日時」までの期間である算出期間が、保存期間T1以上であるか否かを判断する。本実施形態では、算出期間が保存期間T1以上であり、保存期間が超過している場合、対象データはサーバ30から削除されており、対象データをサーバ30からダウンロードすることができない。
【0062】
S52では、対象データをダウンロード可能であるか否かを判断する。S51での判断により算出期間が保存期間を超過していると判断すると、S52を否定判定し、S53に進み、履歴情報に含まれるステータス情報として、有効期限切れを記録する。そして、履歴画像データにおけるプッシュスキャン表示欄72に対応する領域に、ステータス情報として、スキャンデータのダウンロードが不可であることを示すテキストを追加する。本実施形態では、ステータス情報として、S48で履歴画面データに追加した「未ダウンロード」のテキストに代えて、「有効期限切れ」のテキストを追加する。「有効期限切れ」のテキストはタウンロードが不可であること示す情報の一例である。S53の処理を終了すると、S54に進む。一方、S52を肯定判定する場合も、S54に進む。
【0063】
S54では、全ての対象データに対して、処理が実行されたか否かを判断する。S54を否定判定する場合、S55に進み対象データを変更し、S45に戻る。そして、新たな対象データに対して、S45-S53までの処理を実行する。S45-S53までの処理を繰り返すことにより、全ての対象データに対して処理を実行している場合、S54を肯定判定し、S56に進む。S56では、更新された履歴画面データを用いて、ユーザIF13に履歴画面70を表示させる。そして、S29の理を終了する。なお、S56での各表示欄72,73の表示順序は、ジョブ情報に応じて変更することも可能である。この場合、例えば、「モデル名」、「ラベル名」、「実行日時」、「データサイズ」のいずれかの情報で示される順序に応じて、各表示欄72,73の表示順序を定めればよい。
【0064】
次に、履歴画面70に含まれる表示欄72,73をタッチ操作することにより、制御プログラム21により実行される処理を、図8を用いて説明する。図8に示す処理は、端末10のユーザIF13に履歴画面70が表示されていることを契機に実行される。
【0065】
S60では、ユーザIF13を介して、表示欄72,73のうち、いずれかの表示欄に対するタッチ操作を受付けたか否かを判断する。S60を否定判定する場合、待機する。S60を肯定判定すると、S61に進み、タッチ操作による指示は、プッシュスキャン表示欄72であるか否かを判断する。
【0066】
S61を肯定判定した場合、S62に進み、タッチ操作により指定されたスキャンデータは、未ダウンロード状態であるか否かを判断する。具体的には、プッシュスキャン表示欄72に関連づけられた「ステータス情報」に、「未ダウンロード」がある場合、S62を肯定判定する。
【0067】
S62を肯定判定すると、S63に進み、指定されたスキャンデータに対するダウンロード要求を、サーバ30に送信する。具体的には、ダウンロード要求と共に、スキャンデータを識別するためのラベル名と、自装置を識別するためのプログラムIDを送信する。なお、ラベル名は、タッチ操作されたプッシュスキャン表示欄72に関連づけられたジョブ情報である。本実施形態では、端末側CPU12がS63で実行する処理がデータ取得処理の一例である。
【0068】
S64では、サーバ30から指定されたスキャンデータがダウンロードされた否かを判断する。S64を否定判定すると、S65に進み、ダウンロードがエラー状態であるか否かを判断する。ダウンロードのエラー状態は、サーバ30との間で通信接続ができないことに起因した「接続エラー」や、サーバ側で既にスキャンデータが削除されてしまったことを示す「ダウンロードエラー」がある。これ以外にも、端末10とサーバ30との間の通信に、トークン等の認証を必要とする場合、認証が不成功であることをエラー状態としてもよい。S65を肯定判定した場合、S66に進み、プッシュスキャン表示欄72にエラー状態を表示する。一方、S65を否定判定すると、S64に戻る。そして、サーバ30から、指定されたスキャンデータを受信した場合、S64を肯定判定し、S67に進む。
【0069】
サーバ30のサーバ側CPU32は、端末10からのダウンロードの要求を受けると、ラベル名と、プログラムIDと用いて、ジョブ管理テーブル40からダウンロード対象となるスキャンデータを特定し、特定されたスキャンデータとジョブ情報とを端末10に送信する。これにより、端末10には、タッチ操作により指定されたスキャンデータがダウンロードされる。
【0070】
S67では、スキャンデータとジョブ情報とを受信すると、ダウンロードされたスキャンデータにおけるステータス情報を「ダウンロード済み」に変更する。これにより、以後の処理において、制御プログラム21が、S26でジョブ情報の取得を要求した場合、S29で表示される履歴画面には、ステータ情報として、「ダウンロード済み」が表示される。S67の処理を終了すると、S68に進む。
【0071】
S68では、第1プレビュー画面を、ユーザIF13に表示させる。第1プレビュー画面は、プッシュスキャン処理により作成されたスキャンデータにおけるプレビュー画面である。図9に示すように、第1プレビュー画面80は、ダウンロードされたスキャンデータが表示されるプレビュー領域81を含んでいる。プレビュー領域81には、1回のプッシュスキャン処理(即ち、1ジョブ)において、スキャンされたスキャン画像が表示される。例えば、1回のプッシュスキャン処理において、複数枚の原稿がスキャンされた場合、プレビュー領域81には、複数枚の原稿に対応するスキャン画像が表示される。なお、図9では、プレビュー領域81には、3枚のスキャン画像を表示させることができる。ユーザは、プレビュー領域81をスクロール操作することで、スキャン画像の表示を切換えることができる。
【0072】
第1プレビュー画面80上において、操作アイコン82が操作された場合、制御プログラム21は、ユーザIF13に、機能選択画面60を表示させる。また、第1プレビュー画面80において、操作アイコン83が操作された場合、制御プログラム21は、ユーザIF13に、履歴画面70を表示させる。第11プレビュー画面80における、スキャン画像の表示形式は、図9に示したもの以外にも、複数のスキャン画像を一覧表示させるものであってもよい。
【0073】
一方、S62を否定判定した場合、タッチ操作により指定されたスキャンデータは、端末10にダウンロード済みであるため、S68に進み、タッチ操作により指定されたスキャンデータに対する第1プレビュー画面80を表示させる。この場合においても、ユーザIF13には、図9に示す第1プレビュー画面80が表示される。S68の処理を終了すると、図8に示す処理を終了する。
【0074】
S61に戻り、タッチ操作されたのがプルスキャン表示欄73である場合、S69に進む。S69では、第2プレビュー画面を、ユーザIF13に表示させる。第2プレビュー画面は、プルスキャン処理により作成されたスキャンデータにおけるプレビュー画面である。第2プレビュー画面は、第1プレビュー画面80と同様、ダウンロードされたスキャンデータが表示されるプレビュー領域を含んでいる。一方、第2プレビュー画面は、第1プレビュー画面と異なり、原稿に対する追加スキャンを受付けるスキャン指示アイコンを含んでいる。スキャン指示アイコンに対する指示操作を、ユーザIF13を介して受付けた場合、制御プログラム21は、図10に示す実行指示画面90をユーザIF13に表示させる。
【0075】
図10に示すように、実行指示画面90は、追加スキャンに対する実行指示を受付ける画面である。実行指示画面90には、キャンセル操作受付領域91と、スキャン設定領域92と、実行操作受付領域93と、を含んでいる。キャンセル操作受付領域91は、追加スキャンの実行に対するキャンセルを受付ける領域である。実行操作受付領域93は、追加スキャンの実行を受付ける領域である。スキャン設定領域92は、追加スキャンにおけるスキャン設定の変更操作を受付ける領域である。図10では、スキャン設定領域92には、MFP50に対する原稿のセット方向を図示する領域95と、『カラー設定』の変更操作を受付ける領域96と、『原稿サイズ』の変更操作を受付ける領域97と、『読取り形式』の変更操作を受付ける領域98と、『解像度』の変更操作を受付ける領域99とを備えている。各スキャン設定は、能力情報に記憶されている範囲において変更が可能である。なお、スキャン設定領域92は、『ファイル形式』、『ADF傾き補正』の各設定値の変更を受付ける領域を含んでいてもよい。S69の処理を終了すると、図8の処理を終了する。
【0076】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
端末10の端末側CPU12は、自装置をスキャンデータの宛先とするプッシュスキャン処理におけるジョブ情報を、通信IF16を介してサーバから取得し、取得されたジョブ情報に基づいて、プッシュスキャン処理の実行状態をユーザIF13に表示させる。これにより、ユーザは、端末10を閲覧することで、プッシュスキャン処理の実行状態を把握することができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0077】
サーバ30は、スキャンデータをプログラムIDに関連付けて保存しており、端末側CPU12は、プログラムIDに対応するジョブ情報の取得要求を、通信IF16を介してサーバ30に送信することで、自装置を宛先とするスキャンデータにおけるジョブ情報をサーバ30から取得する。これにより、サーバ30に対して複数の端末がアクセス可能な構成においても、自装置を宛先とするスキャンデータのジョブ情報を取得することができる。
【0078】
端末側CPU12は、ユーザIF13を介して履歴画面70を表示させる指示操作を受付けたことを契機に、ジョブ情報の取得を行う。これにより、端末10に履歴画面70が表示される都度、サーバ30からジョブ情報が取得されるため、ユーザが履歴画面70を閲覧するタイミングに合わせて、リアルタイムにプッシュスキャン処理の実行状態を端末10に表示させることができる。
【0079】
端末側CPU12は、ジョブ情報を取得できない場合に、スキャンデータが既にダウンロードされていると判断し、判断結果に応じてスキャンデータのダウンロードの有無を実行状態としてユーザIF13に表示させる。これにより、ユーザは、端末10の表示によりスキャンデータに対してダウンロード済みが否かを把握することができる。
【0080】
端末側CPU12は、履歴画面70に未ダウンロードが表示されているスキャンデータに対して、ダウンロードの指示操作を受付けた場合に、サーバ30に対して、指示操作を受けたスキャンデータに対するダウンロード要求を送信する。これにより、履歴画面70上での操作により、スキャンデータのダウンロードを開始することができる。
【0081】
端末側CPU12は、プッシュスキャン処理の実行日時と、スキャンデータの保存期間とに基づいて、スキャンデータのダウンロードの可否を判断し、判断結果を実行状態としてユーザIF13に表示する。これにより、ユーザは、スキャンデータに対してダウンロード可能か否かを履歴画面70上で把握することができる。
【0082】
端末側CPU12は、既に履歴画面70に表示されたスキャンデータのうち、現在から実行日時までの期間が所定期間以上となるスキャンデータに対して、実行状態を表示しない。これにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【0083】
端末側CPU12は、プッシュスキャン処理の実行状態に加え、プルスキャン処理におけるジョブ情報に基づいて、プルスキャン処理の実行状態をユーザIF13に表示させる。これにより、端末10とMFP50との間で実行されるプルスキャン処理で作成されたスキャンデータに対しても実行状態を表示させることができる。
【0084】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、履歴画面70には、プッシュスキャン表示欄72とプルスキャン表示欄73とを表示させた。これに代えて、履歴画面70には、プッシュスキャン表示欄72のみを表示するものであってもよい。
【0085】
第1実施形態では、端末側CPU12は、図4のS26で、プログラムIDを用いて自装置を宛先とするスキャンデータのジョブ情報を要求した。これに代えて、端末側CPU12は、S26で、装置のシリアル番号等、プログラムID以外の識別情報を用いて自装置を宛先とするスキャンデータのジョブ情報を要求してもよい。この場合において、宛先情報41にプログラムID以外の識別情報が登録されていればよい。
【0086】
端末側CPU12は、S29で、ステータス情報として、「未ダウンロード」、「ダウンロード済み」、「有効期限切れ」に加えて、「ダウンロード中」を表示してもよい。この場合において、プッシュスキャン表示欄72が操作されてダウンロードが開始された場合に、プッシュスキャン表示欄72に「ダウンロード中」のステータス情報を表示すればよい。
【0087】
端末側CPU12は、図7のS45で、表示欄72,73の削除の有無を判断する場合に、表示期間の経過の有無に加えて、スキャンデータのデータサイズに応じて、表示欄72,73の削除の有無を判断してもよい。この場合において、例えば、実行日時が表示期間を超過しており、かつデータサイズがサイズ判定値以上である場合に、表示欄72,73を削除してもよい。また、所定の表示期間が経過しているかどうかの判断の代わりに、表示欄の数が所定数以上である場合に表示欄72,73を削除してもよい。
【0088】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第2実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0089】
第2実施形態では、サーバ30は、プッシュスキャン処理によりスキャンデータをアップロードした場合に、端末10に対してプッシュ通知を通知する。プッシュ通知サーピスを提供する仕組みの一例としては、APNS(Apple Push Notification Service)や、GCM(Google Cloud Messaging for Android)を用いることができる。本実施形態では、APNSやGCMのサービスを利用する場合、サーバ30は、サービスを利用する端末10の所在を示すアドレス等を既に登録しているものとする。また、プッシュ通知は、APNSやGCMのプロトコルに応じた通知である。
【0090】
次に、図11を用いて、本実施形態に係るプッシュスキャン処理の実行の際に、端末10、サーバ30及びMFP50の間で実行される処理を説明する。S25では、サーバ側CPU32は、MFP50から送信されたスキャンデータをメモリ35に記憶することで、スキャンデータをアップロードする。アップロードされたスキャンデータは、ジョブ管理テーブル40のラベル名に関連づけてメモリ35に保存される。
【0091】
S70では、サーバ側CPU32は、APNSやGCMのサービスを利用したプッシュ通知を、端末10に送信する。本実施形態では、S70で送信されるプッシュ通知には端末10を宛先とするスキャンデータに係るジョブ情報が含まれている。例えば、制御プログラム21は、プッシュ通知を受信すると、S71で、プッシュ通知に含まれるジョブ情報をメモリ17に保存する。
【0092】
制御プログラム21は、S70でサーバ30から送信されたプッシュ通知を受信した場合に、サーバ30に対して、ジョブ情報の取得要求を送信してもよい。この場合において、ジョブ情報の取得要求とともに、プログラムIDを送信すればよい。
【0093】
その後、ユーザIF13を介して、機能選択画面60上で、履歴表示アイコン66に対する指示操作を受付けると、S72で、S71で保存済みのジョブ情報を用いて、履歴画面70の表示処理を行う。本実施形態では、S72で実行される履歴画面70の表示処理は、第1実施形態において、S29で実行された処理と同様である。
【0094】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。サーバ30は、プッシュスキャン処理によりスキャンデータがアップロードされた場合に、プッシュ通知を端末10に送信する。端末側CPU12は、プッシュ通知を受信したことを契機に、サーバ30からジョブ情報を取得する。これにより、スキャンデータがアップロードされたタイミングで、ジョブ情報をリアルタイムに取得することができる。
【0095】
端末側CPU12は、サーバ30から受信したプッシュ通知に含まれるジョブ情報を取得し、取得されたジョブ情報を用いて履歴画面70を表示させる。これにより、スキャンデータがサーバ30にアップロードされる都度、端末とサーバ30との間で行われる通信の回数を低減することができ、ひいては、端末の処理負荷の増加を抑制することができる。
【0096】
(第2実施形態の変形例)
上述の第2実施形態では、図11のS70でサーバ30によりプッシュ通知が端末10に送信された。これに代えて、MFP50がプッシュ通知を端末10に送信してもよい。この場合において、図11のS23においてMFP50のコントローラ57は、サーバ30に対してスキャンデータを送信した後、ジョブ情報を含むプッシュ通知を、端末10に送信すればよい。また、S70の処理を削除すればよい。
【0097】
(その他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
MFP50をスキャナとして説明したことは一例であり、スキャナは、スキャン動作のみを備える装置であってもよい。
【0098】
上述した各実施形態では、プッシュスキャン処理の実行状態を履歴画面により表示した。これに代えて、履歴画面以外の画面によりプッシュスキャン処理の実行状態を表示してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…端末、12…端末側CPU、13…ユーザIF、30…サーバ、50…MFP、ジョブ管理テーブル40
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11