(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071310
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】モジュール
(51)【国際特許分類】
H03H 9/25 20060101AFI20220509BHJP
H03H 9/72 20060101ALI20220509BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20220509BHJP
H03H 9/70 20060101ALI20220509BHJP
H03H 9/54 20060101ALI20220509BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20220509BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/25 C
H03H9/72
H03H9/17 F
H03H9/70
H03H9/54 Z
H04B1/38
H01L25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180199
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】金原 兼央
【テーマコード(参考)】
5J097
5J108
5K011
【Fターム(参考)】
5J097AA01
5J097AA29
5J097BB02
5J097BB14
5J097BB15
5J097DD21
5J097EE08
5J097FF04
5J097JJ06
5J097JJ09
5J097KK09
5J097KK10
5J097LL01
5J097LL04
5J097LL06
5J097LL07
5J097LL08
5J108AA07
5J108BB08
5J108DD01
5J108EE04
5J108EE07
5J108JJ04
5K011AA06
5K011DA02
5K011DA12
5K011DA27
5K011EA06
5K011JA01
(57)【要約】
【課題】より小型化され、かつ、配線自体の挿入損失が低減されたインピーダンスマッチング用インダクタを有するモジュールを提供する。
【解決手段】複数の外部接続端子を備える配線基板と、前記配線基板に実装され、弾性波素子を備える弾性波素子基板と、前記弾性波素子基板上に実装された受動部品と、を有するモジュールであって、前記弾性波素子基板は、前記配線基板に対向する主面上に形成された第1配線パターン、前記弾性波素子基板の厚み方向の面上に形成された第2配線パターン及び前記弾性波素子基板の前記受動部品が実装された主面上に形成された第3配線パターンを有し、前記受動部品は、前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して前記弾性波素子と電気的に接続されているモジュール。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外部接続端子を備える配線基板と、
前記配線基板に実装され、弾性波素子を備える弾性波素子基板と、
前記弾性波素子基板上に実装された受動部品と、
を有するモジュールであって、
前記弾性波素子基板は、
前記配線基板に対向する主面上に形成された第1配線パターン、
前記弾性波素子基板の厚み方向の面上に形成された第2配線パターン及び
前記弾性波素子基板の前記受動部品が実装された主面上に形成された第3配線パターンを有し、
前記受動部品は、前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して前記弾性波素子と電気的に接続されているモジュール。
【請求項2】
前記受動部品はチップインダクタである請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記受動部品は、IPD(Integrated Passive Device)である、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記弾性波素子基板は圧電基板と支持基板を含み、前記支持基板はサファイア、アルミナ、スピネルまたは高抵抗シリコンからなる基板である請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記弾性波素子が弾性表面波共振器である請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記弾性波素子が弾性薄膜共振器である請求項1に記載のモジュール。
【請求項7】
前記弾性波素子は、第1のバンドパスフィルタ及び第2のバンドパスフィルタを備えており、
前記弾性波素子基板は、少なくともそれぞれ4つの前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを備えており、
前記受動部品は、
前記第1のバンドパスフィルタと、第1の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して電気的に接続され、第2の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して外部接続端子と電気的に接続された第1のインダクタ、並びに、
前記第2のバンドパスフィルタと、第3の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して電気的に接続され、第4の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して、前記第1のインダクタが電気的に接続された外部接続端子とは別の外部接続端子と電気的に接続された第2のインダクタを備える、
請求項1に記載のモジュール。
【請求項8】
スイッチング回路及びローノイズアンプを含む集積回路部品を備える、請求項1に記載のモジュール。
【請求項9】
前記配線基板と前記弾性波素子基板が接合する領域の少なくとも一部の領域と、前記弾性波素子基板と前記受動部品が接合する領域の少なくとも一部の領域が、平面透視図上重なり合う請求項1に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントエンドモジュールを含む、モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信端末に代表されるスマートフォンなどでは、複数の高周波数帯における通信に対応することが要請される。このため、高周波の周波数帯域の通信を通過させる複数のバンドパスフィルタを搭載したフロントエンドモジュールが用いられている。
【0003】
また、フロントエンドモジュールでは、バンドパスフィルタとローノイズアンプ(Low Noise Amplifer)の間に、バンドパスフィルタおよびローノイズアンプをインピーダンスマッチングするためのインダクタが用いられている。
【0004】
また、近年のスマートフォンの薄型化、集積化の要請から、フロントエンドモジュールに対しても小型化の要請が強く、インピーダンスマッチング用のインダクタは、IPD(Integrated Passive Device)化が進んでいる。
【0005】
特許文献1には、フロントエンドモジュールのインピーダンスマッチングに関する技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする主たる課題について説明する。
【0008】
近年では、フロントエンドモジュールに実装される素子、例えば、バンドパスフィルタ、ローノイズアンプなどの集積回路には、インピーダンスマッチングをするためのインダクタが、ほぼ必須となっている。
【0009】
しかし、移動体通信端末のさらなる高集積化、小型化の要請から、フロントエンドモジュールにも、さらなる小型化の要請が高い。
【0010】
また、配線自体の挿入損失を低減するため、インピーダンスマッチングのための配線パターンについても、より短距離での配線が望まれている。
【0011】
図1は、従来のモジュールの一例を示す図である。
図1に示すように、2つのバンドパスフィルタBPFと、2つのバンドパスフィルタBPFそれぞれについてインピーダンスマッチング用のIPDを搭載したモジュールは、必要な面積が大きくなる。また、バンドパスフィルタBPFからIPDまでの配線も必要になる。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、より小型化され、かつ、配線自体の挿入損失が低減されたインピーダンスマッチング用インダクタを有するモジュールやフロントエンドモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するために、本発明にあっては、
複数の外部接続端子を備える配線基板と、
前記配線基板に実装され、弾性波素子を備える弾性波素子基板と、
前記弾性波素子基板上に実装された受動部品と、
を有するモジュールであって、
前記弾性波素子基板は、
前記配線基板に対向する主面上に形成された第1配線パターン、
前記弾性波素子基板の厚み方向の面上に形成された第2配線パターン及び
前記弾性波素子基板の前記受動部品が実装された主面上に形成された第3配線パターンを有し、
前記受動部品は、前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して前記弾性波素子と電気的に接続されていることを特徴とする、モジュールとした。
【0014】
前記受動部品はチップインダクタであることが、本発明の一形態とされる。
【0015】
前記受動部品は、IPD(Integrated Passive Device)であることが、本発明の一形態とされる。
【0016】
前記弾性波素子基板は圧電基板と支持基板を含み、前記支持基板はサファイア、アルミナ、スピネルまたは高抵抗シリコンからなる基板であることが、本発明の一形態とされる。
【0017】
前記弾性波素子が弾性表面波共振器であることが、本発明の一形態とされる。
【0018】
前記弾性波素子が弾性薄膜共振器であることが、本発明の一形態とされる。
【0019】
前記弾性波素子は、第1のバンドパスフィルタ及び第2のバンドパスフィルタを備えており、
前記弾性波素子基板は、少なくともそれぞれ4つの前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを備えており、
前記受動部品は、
前記第1のバンドパスフィルタと、第1の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して電気的に接続され、第2の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して外部接続端子と電気的に接続された第1のインダクタ、並びに、
前記第2のバンドパスフィルタと、第3の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して電気的に接続され、第4の前記第1配線パターン、前記第2配線パターン及び前記第3配線パターンを介して、前記第1のインダクタが電気的に接続された外部接続端子とは別の外部接続端子と電気的に接続された第2のインダクタを備えることが、本発明の一形態とされる。
【0020】
スイッチング回路及びローノイズアンプを含む集積回路部品を備えることが、本発明の一形態とされる。
【0021】
前記配線基板と前記弾性波素子基板が接合する領域の少なくとも一部の領域と、前記弾性波素子基板と前記受動部品が接合する領域の少なくとも一部の領域が、平面透視図上重なり合うことが、本発明の一形態とされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低コストで最適なインダクタンス値によりインピーダンスマッチングがされたフロントエンドモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、従来のモジュールの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施例にかかるモジュール1の断面図である。
【
図3】
図3は、弾性波素子基板5の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、弾性波素子52が弾性表面波共振器である例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、弾性波素子52が圧電薄膜共振器である例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本実施例にかかる弾性波素子基板5の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施例にかかるモジュール1の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2にかかるモジュール100の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例2にかかるモジュール100の平面図である。
【
図10】
図10は、フロントエンドモジュール200の回路構成の概略を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例3にかかるフロントエンドモジュール200の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施の形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
(実施例1)
図2は、本実施例にかかるモジュール1の断面図である。
【0026】
図2に示すように、本実施例にかかるモジュール1は、配線基板3と、配線基板3上に実装された、弾性波素子基板5を備える。また、弾性波素子基板5上に実装された、受動部品7を備える。
【0027】
配線基板3は、例えば、樹脂からなる多層基板、または、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)多層基板等が用いられる。また、配線基板3は、複数の外部接続端子31を備える。
【0028】
弾性波素子基板5は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶、あるいは圧電セラミックスからなる基板を用いることができる。また、弾性波素子基板5は、圧電基板と支持基板が接合された基板を用いてもよい。支持基板は、例えば、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板または高抵抗シリコン基板を用いることができる。また、高抵抗シリコンとは、体積抵抗率が1000Ω・cm以上であるシリコンを意味するものとする。
【0029】
弾性波素子基板5は、バンプ15を介して、配線基板3にフリップチップボンディングにより実装されている。
【0030】
バンプ15は、例えば、金バンプを用いることができる。バンプ15の高さは、例えば、20μmから50μmである。
【0031】
受動部品7は、例えば、チップインダクタやIPDを用いることができる。また、ミアンダパターンなど、メタルパターンによりインダクタを形成してもよい。受動部品7は、弾性波素子基板5の厚み方向の面上に形成された第2配線パターン11を介して、弾性波素子(ここでは図示せず)に電気的に接続されている。また、別の第2配線パターン11を介して、配線基板3の外部接続端子31と電気的に接続されている。受動部品7の弾性波素子基板5への実装は、例えば、ハンダバンプを用いて実装することができる。
【0032】
図2に示すように、配線基板3と弾性波素子基板5が接合する領域であるバンプ15の領域と、弾性波素子基板5と受動部品7が接合する領域が重なり合う領域Aがある。領域Aを設けることにより、受動部品7を弾性波素子基板5へ実装する際の弾性波素子基板5の破壊を抑制することができる。
【0033】
弾性波素子基板5と受動部品7を覆うように、封止部17が形成されている。封止部17は、例えば、合成樹脂等の絶縁体により形成してもよく、金属を用いてもよい。合成樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミドなどを用いることができるが、これらに限るものではない。好ましくは、エポキシ樹脂を用い、低温硬化プロセスを用いて封止部17を形成する。
【0034】
図3は、弾性波素子基板5の構成を説明するための図である。
【0035】
図3(a)は、弾性波素子基板5の配線基板3に対向する主面の例を示す。また、
図3(b)は、弾性波素子基板5の厚み方向の面の例を示す。また、
図3(c)は、弾性波素子基板5の受動部品7が実装された主面の例を示す。
図3(a)における弾性波素子基板5の一主面を示す略四角形の下辺が、
図3(b)における弾性波素子基板5の厚み方向の面を示す略四角形の上辺と一致する。また、
図3(b)における弾性波素子基板5の厚み方向の面を示す略四角形の下辺が、
図3(c)における弾性波素子基板5の一主面を示す略四角形の上辺と一致する。また、
図3(c)に示す受動部品7は、上面透視図により示されている。
【0036】
図3(a)に示すように、弾性波素子基板5上に、第1配線パターン9、弾性波素子52および配線パターン54が形成されている。
【0037】
配線パターン54上に、絶縁体56が形成されている。絶縁体56は、例えば、ポリイミドを用いることができる。絶縁体56は、例えば、1000nmの膜厚で形成する。
【0038】
絶縁体56上にも配線パターン54が形成されており、絶縁体56を介して立体的に交差するように配線が形成されている。
【0039】
第1配線パターン9、弾性波素子52および配線パターン54は、銀、アルミニウム、銅、チタン、パラジウムなどの適宜の金属もしくは合金からなる。また、これらの金属パターンは、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成されてもよい。第1配線パターン9、弾性波素子52および配線パターン54は、その厚みが、例えば、150nmから400nmとすることができる。
【0040】
配線パターン54は、入力パッドIn、出力パッドOutおよびグランドパッドGNDを構成する配線を含んでいる。また、第1配線パターン9および配線パターン54は、弾性波素子52と電気的に接続されている。
【0041】
図3(a)に示すように、弾性波素子52を複数形成することで、例えば、バンドパスフィルタを構成することができる。バンドパスフィルタは、入力パッドInから入力された電気信号のうち、所望の周波数帯域のみの電気信号を通過させるように設計されている。
【0042】
入力パッドInから入力された電気信号は、バンドパスフィルタを通過し、所望の周波数帯域の電気信号が、第1配線パターン9に出力される。
【0043】
第1配線パターン9に出力された電気信号は、
図3(b)に示す第2配線パターン11、
図3(c)に示す第3配線パターン13を介して、受動部品7に入力される。受動部品7でインピーダンスマッチングがなされた電気信号は、別の第1~第3配線パターン、出力パッドOutを介して、配線基板3の外部接続端子31から出力される。
【0044】
図4は、弾性波素子52が弾性表面波共振器である例を示す平面図である。
【0045】
図4に示すように、弾性波素子基板5上に、弾性表面波を励振するIDT(Interdigital Transducer)52aと反射器52bが形成されている。IDT52aは、互いに対向する一対の櫛形電極52cを有する。櫛形電極52cは、複数の電極指52dと複数の電極指52dを接続するバスバー52eを有する。反射器52bは、IDT52aの両側に設けられている。
【0046】
IDT52aおよび反射器52bは、例えば、アルミニウムと銅の合金からなる。IDT52aおよび反射器52bは、その厚みが、例えば、150nmから400nmの薄膜である。IDT52aおよび反射器52bは、他の金属、例えば、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金を含んでもよく、これらの合金により形成されてもよい。また、IDT52aおよび反射器52bは、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成されてもよい。
【0047】
図5は、弾性波素子52が圧電薄膜共振器である例を示す断面図である。
【0048】
図5に示すように、チップ基板60上に圧電膜62が設けられている。圧電膜62を挟むように下部電極64および上部電極66が設けられている。下部電極64とチップ基板60との間に空隙68が形成されている。下部電極64および上部電極66は、圧電膜62内に、厚み縦振動モードの弾性波を励振する。
【0049】
チップ基板60は、例えば、シリコン等の半導体基板、または、サファイア、アルミナ、スピネルもしくはガラス等の絶縁基板を用いることができる。圧電膜62は、例えば、窒化アルミニウムを用いることができる。下部電極64および上部電極66は、例えば、ルテニウム等の金属を用いることができる。
【0050】
弾性波素子52は、所望のバンドパスフィルタとしての特性が得られるよう、適宜、多重モード型フィルタやラダー型フィルタに採用されることができる。
【0051】
次に、本実施例にかかるモジュール1の製造方法について説明する。
【0052】
図6は、本実施例にかかる弾性波素子基板5の製造方法の一例を説明するための図である。
【0053】
本実施例のモジュール1の製造方法においては、まず、
図6(a)に示すように、弾性波素子基板5の個片化する前の基板70を用意する。基板70を貫通するように、レーザ等による穴あけ加工を行う。穴あけ加工は、第2配線パターン11が形成される領域72に行う。領域72に形成された貫通孔表面にメッキ処理を行い、第2配線パターン11を形成する。
【0054】
次に、
図6(b)に示すように、第1配線パターン9、弾性波素子52および配線パターン54をスパッタリング法などにより形成する。
【0055】
次に、
図6(c)に示すように、受動部品7が実装される主面側に、第3配線パターン13をスパッタリング法などにより形成する。図示はしないが、メタルパターンにより受動部品7を形成するときは、第3配線パターン13の形成と同時に受動部品7を形成することもできる。基板70をダイシングし個片化することで弾性波素子基板5を得る。
【0056】
図7は、本実施例にかかるモジュール1の製造方法の一例を説明するための図である。
【0057】
図7(a)に示すように、配線基板3となる配線基板アレイ80上に、弾性波素子基板5をフリップチップボンディングにより実装する。弾性波素子基板5の配線基板3へのボンディングは、例えば、金バンプを用いることができる。
【0058】
次に、
図7(b)に示すように、受動部品7を弾性波素子基板5上に実装する。受動部品7の弾性波素子基板5への実装は、例えば、ハンダバンプを用いてハンダリフロー処理により実装することができる。
【0059】
次に、
図7(c)に示すように、シート状の樹脂を適宜加熱しながら押圧し、さらに、熱処理により硬化することで樹脂封止部82が形成される。配線基板アレイ80をダイシングし個片化することでモジュール1を得る。
【0060】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、より小型化され、かつ、配線自体の挿入損失が低減されたインピーダンスマッチング用インダクタを有するモジュールが提供される。
【0061】
(実施例2)
次に、本発明の別の実施形態である実施例2について説明する。
【0062】
図8は、本発明の実施例2にかかるモジュール100の断面図である。
図8に示すように、配線基板130の主面上に、弾性波素子基板150が実装されている。配線基板130は、複数の外部接続端子131を有している。
【0063】
弾性波素子基板150の配線基板130と対向する主面上には、図示はしないが、配線パターン、少なくとも4つの第1配線パターン、第1のバンドパスフィルタBPF1および第2のバンドパスフィルタBPF2が形成されている。また、弾性波素子基板150の別の主面上には、受動部品である、第1のインダクタ170および第2のインダクタ171が実装されている。
【0064】
弾性波素子基板150の厚み方向の面上には、少なくとも4つの第2配線パターン111が形成されている。また、弾性波素子基板150の受動部品が実装されている主面上には、図示はしないが、少なくとも4つの第3配線パターンが形成されている。
【0065】
第1の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、第1のバンドパスフィルタBPF1と、第1のインダクタ170の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0066】
第2の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、第1のバンドパスフィルタBPF1の入力又は出力のための外部接続端子131と、第1のインダクタ170の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0067】
第3の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、第2のバンドパスフィルタBPF2と、第2のインダクタ171の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0068】
第4の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、第2のバンドパスフィルタBPF2の入力又は出力のための外部接続端子131と、第2のインダクタ171の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0069】
図9は、本発明の実施例2にかかるモジュール100の平面図である。
【0070】
図9に示すように、配線基板130の主面上に、弾性波素子基板150が実装されている。弾性波素子基板150の配線基板130と対向する主面上には、第1のバンドパスフィルタBPF1および第2のバンドパスフィルタBPF2が形成されている。弾性波素子基板150上に、第1のインダクタ170および第2のインダクタ171が実装されている。
【0071】
ここで、従来例として示した
図1と比較すると、本実施例にかかるモジュールの面積は、概ね半分程度に小型化されていることがわかる。また、バンドパスフィルタと受動部品との配線長は、従来は、例えば、220μmから270μm程度であった。本実施例にかかるモジュールにおいては、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。すなわち、2分の1から4分の1程度にまで、短くすることができる。よって、配線自体の挿入損失が低減されたモジュールを提供することができる。
【0072】
実施例2にかかるモジュールは、2つのバンドパスフィルタを有するモジュールの例を示した。かかる2つのバンドパスフィルタは、デュプレクサとして用いてもよく、両方とも送信用フィルタあるいは受信フィルタとして用いてもよい。また、本発明にかかるモジュールは、2つのバンドパスフィルタに限らず、4つのバンドパスフィルタを備える、クワトロプレクサあるいはデュアルデュプレクサを備えるモジュールとしてもよい。
【0073】
(実施例3)
次に、本発明の別の実施形態である実施例3について説明する。
【0074】
図10は、フロントエンドモジュール200の回路構成の概略を示す図である。
【0075】
図10に示すように、フロントエンドモジュール200の共通入力端子201(外部接続端子231)は、アンテナ端子ANTに接続されている。第1出力端子203および第2出力端子205(外部接続端子231)は、図示はしないが、信号処理回路に接続されている。
【0076】
共通入力端子201から、スイッチング回路SWによって、第1のバンドパスフィルタBPF21を通過する信号と、第2のバンドパスフィルタBPF22を通過する信号が切り分けられる。
【0077】
第1のバンドパスフィルタBPF21を通過した信号は、第1のインダクタ270によってインピーダンスマッチングがされ、第1のローノイズアンプLNA1により増幅され、第1出力端子203から出力される。或いは、第1のバンドパスフィルタBPF21が送信用フィルタである場合には、第1出力端子203は入力端子として機能し、第1のローノイズアンプLNA1により増幅され、かつ、第1のインダクタ270によってインピーダンスマッチングがされた信号が、第1のバンドパスフィルタBPF21を通過し、アンテナ端子から発信される。
【0078】
第2のバンドパスフィルタBPF22を通過した信号は、第2のインダクタ271によってインピーダンスマッチングがされ、第2のローノイズアンプLNA2により増幅され、第2出力端子205から出力される。或いは、第2のバンドパスフィルタBPF22が送信用フィルタである場合には、第2出力端子205は入力端子として機能し、第2のローノイズアンプLNA2により増幅され、かつ、第2のインダクタ271によってインピーダンスマッチングがされた信号が、第2のバンドパスフィルタBPF22を通過し、アンテナ端子から発信される。
【0079】
図11は、実施例3にかかるフロントエンドモジュール200の断面図である。
【0080】
図11に示すように、フロントエンドモジュール200は、配線基板230の主面上に、弾性波素子基板250が実装されている。配線基板230は、複数の外部接続端子231を有している。
【0081】
弾性波素子基板250の配線基板230と対向する主面上には、図示はしないが、配線パターン、少なくとも4つの第1配線パターン、第1のバンドパスフィルタBPF21および第2のバンドパスフィルタBPF22が形成されている。また、弾性波素子基板250の別の主面上には、受動部品である、第1のインダクタ270および第2のインダクタ271が実装されている。
【0082】
弾性波素子基板250の厚み方向の面上には、少なくとも4つの第2配線パターン211が形成されている。また、弾性波素子基板250の受動部品が実装されている主面上には、図示はしないが、少なくとも4つの第3配線パターンが形成されている。
【0083】
第1の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、第1のバンドパスフィルタBPF21と、第1のインダクタ270の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0084】
第2の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、スイッチング回路又はローノイズアンプを介して第1のバンドパスフィルタBPF21の入力又は出力のための外部接続端子231と、第1のインダクタ270の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0085】
第3の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、第2のバンドパスフィルタBPF22と、第2のインダクタ271の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0086】
第4の第1配線パターン、第2配線パターンおよび第3配線パターンは、スイッチング回路又はローノイズアンプを介して第2のバンドパスフィルタBPF22の入力又は出力のための外部接続端子231と、第2のインダクタ271の入力又は出力端子に、電気的に接続されている。
【0087】
配線基板230の内部に、集積回路部品ICが実装されている。集積回路部品ICは、スイッチング回路SW、第1のローノイズアンプLNA1および第2のローノイズアンプLNA2を含む。
【0088】
配線基板230の他の主面上には、複数の外部接続端子231(共通入力端子201、第1出力端子203および第2出力端子205を含む。)が形成されており、移動通信端末のマザーボードに実装される構成となっている。
【0089】
その他の構成は、実施例1又は2で説明した内容と重複するため、省略する。
【0090】
以上説明した本発明の実施形態によれば、より小型化され、かつ、配線自体の挿入損失が低減されたインピーダンスマッチング用インダクタを有するフロントエンドモジュールを提供することができる。
【0091】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【0092】
また、少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面を上述したが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本発明の範囲内にあることが意図される。理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。また、ここで使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。前後左右、頂底上下、および横縦への言及はいずれも、記載の便宜を意図しており、本発明の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は例示にすぎない。
【符号の説明】
【0093】
1 100 モジュール
3 130 230 配線基板
5 150 250 弾性波素子基板
7 受動部品
9 第1配線パターン
11 111 211 第2配線パターン
13 第3配線パターン
15 バンプ
17 封止部
50 圧電基板
52 弾性波素子
54 配線パターン
56 絶縁体
60 チップ基板
62 圧電膜
64 下部電極
66 上部電極
68 空隙
200 フロントエンドモジュール
201 共通入力端子
203 第1出力端子
205 第2出力端子
170 270 第1のインダクタ
171 271 第2のインダクタ
ANT アンテナ端子
SW スイッチング回路
BPF1 BPF21 第1のバンドパスフィルタ
BPF2 BPF22 第2のバンドパスフィルタ
LNA1 第1のローノイズアンプ
LNA2 第2のローノイズアンプ
IC 集積回路部品