(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071325
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】単焦点レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20220509BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20220509BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180222
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 健
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087LA01
2H087MA08
2H087PA11
2H087PA12
2H087PA16
2H087PB15
2H087PB16
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
(57)【要約】
【課題】 F1.4程度と大口径比で素早いオートフォーカスが可能な諸収差を良好に補正した単焦点レンズを提供する。
【解決手段】 物体側から像側へ順に、正のパワーの第1レンズ群G1と正のパワーの第2レンズ群G2から成り、第1レンズ群G1は物体側から像側へ順に、負のパワーの1Aレンズ群G1Aと正のパワーの1Bレンズ群G1Bとから成り、1Aレンズ群G1Aと1Bレンズ群G1Bは第1レンズ群G1内で最大の空気間隔で隔てられており、第2レンズ群G2は物体側から像側へ順に、2Aレンズ群G2Aと開口絞りSと2Bレンズ群G2Bから成り、開口絞りSの像側に隣接するレンズの物体側面は物体側に凸面を向けており、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、第1レンズ群G1は像面に対して固定であり、第2レンズ群G2は物体側に移動し、所定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、全体として正のパワーを有する第1レンズ群G1と全体として正のパワーを有する第2レンズ群G2から成り、前記第1レンズ群G1は物体側から像側へ順に、全体として負のパワーを持つ1Aレンズ群G1Aと全体として正のパワーを持つ1Bレンズ群G1Bとから成り、前記1Aレンズ群G1Aと前記1Bレンズ群G1Bは前記第1レンズ群G1内で最大の空気間隔で隔てられており、前記第2レンズ群G2は物体側から像側へ順に、2Aレンズ群G2Aと開口絞りSと2Bレンズ群G2Bから成り、前記開口絞りSの像側に隣接するレンズの物体側面は物体側に凸面を向けており、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、前記第1レンズ群G1は像面に対して固定であり、前記第2レンズ群G2は物体側に移動し、以下の条件式を満足することを特徴する単焦点レンズ。
(1) -2.0<fG1A/fG1B<-1.0
fG1A:1Aレンズ群G1Aの焦点距離
fG1B:1Bレンズ群G1Bの焦点距離
【請求項2】
前記第1レンズ群G1の最も物体側のレンズが正レンズであり、以下の条件式を満たす満足する請求項1に記載の単焦点レンズ。
(2) 1.0<fp1/f<3.0
fp1:第1レンズ群G1の最も物体側のレンズの焦点距離
f:単焦点レンズの無限遠合焦時の焦点距離
【請求項3】
下記以下の条件式を満たす満足する請求項1又は2に記載の単焦点レンズ。
(3) 1.5<Pext/BFL<2.0
Pext:単焦点レンズの無限遠合焦時の空気換算した射出瞳から像までの光軸上の距離
BFL:空気換算のバックフォーカス
【請求項4】
下記以下の条件式を満たす満足する請求項1乃至3のいずれかに記載の単焦点レンズ。
(4) 0.70<fG2B/fG2<1.0
fG2B:2Bレンズ群G2Bの焦点距離
fG2:第2レンズ群G2の焦点距離
【請求項5】
前記開口絞りSの像側に隣接するレンズは接合レンズであり、前記接合レンズのすべての面が物体側に凸面を向けていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の単焦点レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、シネマカメラなどに用いられる撮影レンズに好適な単焦点レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラをはじめとする光学機器に用いられる単焦点の撮影光学系においては高速撮影やボケを生かした表現に対応できるように大口径比であることが求められている。さらに撮像素子の高画素密度化に伴い、諸収差をより一層補正して高性能であることが要求されている。従来、一眼レフカメラ用の撮像光学系においてはミラーの可動範囲としてバックフォーカスを確保する必要からレトロフォーカスタイプをとることが多い。レトロフォーカスタイプを採用して長いバックフォーカスと大口径比、高性能化を図った撮影レンズが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-57802号公報
【特許文献2】特開2019-139158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では標準画角のレンズに多く採用されてきたダブルガウスタイプのレンズ構成の物体側に凹レンズと凸レンズ成分からなるワイドコンバーターの役割をもつレンズ構成を有する実施例が開示されている。この光学系はFNOが1.4程度と大口径を実現している。しかしながら主にサジタル方向の収差補正が不十分で周辺像高部で像の広がりが大きい。特許文献2では特許文献1と同様にダブルガウスタイプの物体側にワイドコンバーターの役割をもつレンズ構成を有する光学系が開示されている。この光学系はワイドコンバーターの役割をもつレンズ群を構成するレンズ枚数を多くし特許文献1よりも近接撮影が可能になっているもののサジタル方向の収差補正が不十分で周辺像高部での像の広がりが大きい。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、F1.4程度と大口径比で素早いオートフォーカスが可能な諸収差を良好に補正した単焦点レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明を実施の単焦点レンズは、物体側から像側へ順に、全体として正のパワーを有する第1レンズ群G1と全体として正のパワーを有する第2レンズ群G2から成り、前記第1レンズ群G1は物体側から像側へ順に、全体として負のパワーを持つ1Aレンズ群G1Aと全体として正のパワーを持つ1Bレンズ群G1Bとから成り、前記1Aレンズ群G1Aと前記1Bレンズ群G1Bは前記第1レンズ群G1内で最大の空気間隔で隔てられており、前記第2レンズ群G2は物体側から像側へ順に、2Aレンズ群G2Aと開口絞りSと2Bレンズ群G2Bから成り、前記開口絞りSの像側に隣接するレンズの物体側面は物体側に凸面を向けており、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、前記第1レンズ群G1は像面に対して固定であり、前記第2レンズ群G2は物体側に移動し、以下の条件式を満足することを特徴する。
(1) -2.0<fG1A/fG1B<-1.0
fG1A:1Aレンズ群G1Aの焦点距離
fG1B:1Bレンズ群G1Bの焦点距離
【0007】
また、本発明を実施の単焦点レンズは、好ましくは、前記第1レンズ群G1の最も物体側のレンズが正レンズであり、以下の条件式を満足する。
(2) 1.0<fp1/f<3.0
fp1:第1レンズ群G1の最も物体側のレンズの焦点距離
f:単焦点レンズの無限遠合焦時の焦点距離
【0008】
また、本発明を実施の単焦点レンズは、好ましくは、以下の条件式を満足することを特徴する。
(3) 1.5<Pext/BFL<2.0
Pext:単焦点レンズの無限遠合焦時の空気換算した射出瞳から像までの光軸上の距離
BFL:空気換算のバックフォーカス
【0009】
また、本発明を実施の単焦点レンズは、好ましくは、以下の条件式を満足することを特徴する。
(4) 0.70<fG2B/fG2<1.0
fG2B:2Bレンズ群G2Bの焦点距離
fG2:第2レンズ群G2の焦点距離
【0010】
また、本発明を実施の単焦点レンズは、好ましくは、前記開口絞りSの像側に隣接するレンズは接合レンズであり、前記接合レンズのすべての面が物体側に凸面を向けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明を実施の単焦点レンズによれば、F1.4程度と大口径比で素早いオートフォーカスが可能な諸収差を良好に補正した単焦点レンズを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の単焦点レンズの実施例1に係るレンズ構成図である。
【
図2】実施例1の単焦点レンズの撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図3】実施例1の単焦点レンズの撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図4】本発明の単焦点レンズの実施例2に係るレンズ構成図である。
【
図5】実施例2の単焦点レンズの撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図6】実施例2の単焦点レンズの撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図7】本発明の単焦点レンズの実施例3に係るレンズ構成図である。
【
図8】実施例3の単焦点レンズの撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図9】実施例3の単焦点レンズの撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図10】本発明の単焦点レンズの実施例4に係るレンズ構成図である。
【
図11】実施例4の単焦点レンズの撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図12】実施例4の単焦点レンズの撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図13】本発明の単焦点レンズの実施例5に係るレンズ構成図である。
【
図14】実施例5の単焦点レンズの撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図15】実施例5の単焦点レンズの撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図16】本発明の単焦点レンズの実施例6に係るレンズ構成図である。
【
図17】実施例6の単焦点レンズの撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図18】実施例6の単焦点レンズの撮影距離無限遠における横収差図である。
【
図19】本発明の単焦点レンズの実施例7に係るレンズ構成図である。
【
図20】実施例7の単焦点レンズの撮影距離無限遠における縦収差図である。
【
図21】実施例7の単焦点レンズの撮影距離無限遠における横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の単焦点レンズは、物体側から像側へ順に、全体として正のパワーを有する第1レンズ群G1と全体として正のパワーを有する第2レンズ群G2から成り、第1レンズ群G1は物体側から像側へ順に、全体として負のパワーを持つ1Aレンズ群G1Aと全体として正のパワーを持つ1Bレンズ群G1Bとから成り、1Aレンズ群G1Aと1Bレンズ群G1Bは第1レンズ群G1内で最大の空気間隔で隔てられており、第2レンズ群G2は物体側から像側へ順に、2Aレンズ群G2Aと開口絞りSと2Bレンズ群G2Bから成り、開口絞りSの像側に隣接するレンズの物体側面は物体側に凸面を向けており、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、第1レンズ群G1は像面に対して固定であり、第2レンズ群G2は物体側に移動し、以下の条件式を満足することを特徴としている。
(1) -2.0<fG1A/fG1B<-1.0
fG1A:1Aレンズ群G1Aの焦点距離
fG1B:1Bレンズ群G1Bの焦点距離
【0014】
本発明の単焦点レンズは1Aレンズ群G1Aを負パワーとし1Bレンズ群G1B及び第2レンズ群G2を正パワーとすることでいわゆるレトロフォーカス型のパワー配置としている。また1Aレンズ群G1Aを負のパワーとし1Bレンズ群G1Bを正のパワーとすることで第1レンズ群G1がワイドコンバーターに近い役割を果たしバックフォーカスを確保しつつ広角化を実現している。
【0015】
上述した通り第1レンズ群G1がワイドコンバーターの役割を果たすことから1Bレンズ群G1B内において軸上光束が太くなり、また第1レンズ群G1から射出される軸上光束も太くなる。そのため開口絞りSは入射する軸上光束が細くなる第2レンズ群G2のレンズ間に配置することで小径化することができる。
【0016】
ダブルガウスタイプのレンズ構成は絞りの前後のパワー配置の対称性が良く歪曲収差やコマ収差が補正しやすいためF1.4程度の大口径比の標準画角の単焦点レンズのレンズ構成として多く採用されてきた。一方ダブルガウスタイプのレンズは本質的にサジタルコマフレアが補正しづらくサジタル方向に像が広がりやすい。そこで本単焦点レンズでは第2レンズ群G2をダブルガウスタイプのレンズ構成とし開口絞りSの像側に物体側に凸面を向けたレンズ成分を配置することで対称に近い配置を残しつつも典型的なダブルガウスとは性格の異なる収差補正を可能としサジタル方向の像の広がりを小さくした。これにより画面周辺部まで高結像性能を実現している。
【0017】
無限遠物体から近距離物体への合焦の際に光束径の大きい第1レンズ群G1を像面に対して固定し、第2レンズ群G2を物体側に移動させることでフォーカス群の小型軽量化を図ることができる。またリアフォーカスとすることで防塵防滴機能をレンズ鏡筒に付与しやすい。
【0018】
条件式(1)はバックフォーカスを確保しつつ第1レンズ群G1から射出される軸上マージナル光線の高さを適切にすることで第2レンズ群G2の径の増大を防ぎフォーカス群を小型軽量化するための条件を規定している。条件式(1)の上限を越えて1Aレンズ群の負のパワーが弱くなるとバックフォーカスの確保が困難になる為好ましくない。条件式(1)の下限を越えて1Aレンズ群の負のパワーが強くなるとワイドコンバーターに近い役割を果たす第1レンズ群G1のアフォーカル倍率が大きくなる。このとき第1レンズ群G1から射出される軸上光束径が大きくなり1Bレンズ群G1Bや第2レンズ群G2の径が大きくなってしまい好ましくない。
【0019】
なお、上述した条件式(1)について、その下限値をさらに-1.5に、また上限値を-1.1に限定することで、上述の効果をより確実にすることが可能となるため、より望ましい。
【0020】
さらに本発明の単焦点レンズは第1レンズ群G1の最も物体側のレンズが正レンズであり、以下の条件式を満足することが望ましい。
(2) 1.0<fp1/f<3.0
fp1:第1レンズ群G1の最も物体側のレンズの焦点距離
f:単焦点レンズの無限遠合焦時の焦点距離
【0021】
レトロフォーカス型のレンズでは物体側に負のパワー、像側に正のパワーを配置し非対称なパワー配置となるため負の歪曲収差が発生しやすい。第1レンズ群G1の最も物体側に正レンズを配置することで正の歪曲収差を発生させ、レトロフォーカス型の非対称なパワー配置で発生する負の歪曲収差を補正しやすくしている。また第1レンズ群G1の最も物体側に正レンズを配置することで第1レンズ群G1を通る光束径を下げることができ、第1レンズ群G1の小型化に有利になる。
【0022】
条件式(2)は第1レンズ群G1の最も物体側に配置された正レンズのパワーを規定し、歪曲収差を良好に補正するための条件である。条件式(2)の上限を超え第1レンズ群G1の最も物体側に配置された正レンズのパワーが弱くなると負の歪曲収差の補正が不十分となる。また条件式(2)の下限を越え第1レンズ群G1の最も物体側に配置された正レンズのパワーが強くなると1Aレンズ群は全体として負のパワーを有するため1Aレンズ群内の負レンズのパワーも強くなる。このため正レンズ、負レンズの偏芯誤差敏感度が大きくなるため好ましくない。
【0023】
なお、上述した条件式(2)について、その下限値をさらに1.3に、また上限値を2.1に限定することで、上述の効果をより確実にすることが可能となるため、より望ましい。
【0024】
さらに本発明の単焦点レンズは下記の条件式を満足することが望ましい。
(3) 1.5<Pext/BFL<2.0
Pext:単焦点レンズの無限遠合焦時の空気換算した射出瞳から像までの光軸上の距離
BFL:空気換算のバックフォーカス
【0025】
大口径比の標準レンズでは周辺減光の少なさも重要視される。周辺減光を少なくするということは周辺画角の光束を太くすることになりレンズ系の各所の径が大きくなりやすい。
【0026】
条件式(3)は単焦点レンズの射出瞳と像面の光軸上の距離とバックフォーカスの比を規定し、2Bレンズ群G2Bの径を小型化するための条件である。条件式(3)の上限を超え射出瞳と像面の光軸上の距離が大きくなると2Bレンズ群G2Bにおいて周辺光束が高い位置を通り径を小型化することが困難になるため好ましくない。条件式(3)の下限を越えバックフォーカスが大きくなると全系の全長の短縮に不利になるため好ましくない。
【0027】
なお、上述した条件式(3)について、その下限値をさらに1.6に、また上限値を1.9に限定することで、上述の効果をより確実にすることが可能となるため、より望ましい。
【0028】
さらに本発明の単焦点レンズは下記の条件式を満足することが望ましい。
(4) 0.70<fG2B/fG2<1.0
fG2B:2Bレンズ群G2Bの焦点距離
fG2:第2レンズ群G2の焦点距離
【0029】
条件式(4)は第2レンズ群G2に対する2Bレンズ群G2Bの焦点距離を規定し、バックフォーカスを確保しつつ収差補正を良好に行うための条件式である。本発明の単焦点レンズは合焦時固定群である第1レンズ群G1と可動群である第2レンズ群G2はそれぞれ収差を補正している。条件式(4)の下限を越えfG2Bが小さくなると特に負の歪曲収差が補正しづらくなるため望ましくない。条件式(4)の上限を超えfG2Bが大きくなるとレトロフォーカス型のパワー配置が弱まる為バックフォーカスを確保しづらく望ましくない。
【0030】
なお、上述した条件式(4)について、その下限値をさらに0.80に限定することで、上述の効果をより確実にすることが可能となるため、より望ましい。なお、上述した条件式(4)について、その上限値をさらに0.90に限定することで、上述の効果をより確実にすることが可能となるため、より望ましい。
【0031】
さらに本発明の単焦点レンズは、開口絞りSの像側に隣接するレンズは接合レンズであり、接合レンズのすべての面が物体側に凸面を向けていることを特徴とする。
【0032】
接合レンズのすべての面が物体側に凸面を向けていることでアプラナティックに近い形状となり接合レンズで発生する球面収差とコマ収差を抑えやすくなる。またこれにより接合レンズの偏心誤差敏感度を小さくすることができるため望ましい。
【0033】
本発明の単焦点レンズでは、第2レンズ群G2は2Aレンズ群と2Bレンズ群でそれぞれ発生する収差を打ち消し合い収差補正を行っている。一般的にレンズの可動部に使われるメカパーツにはクリアランスが必要であり、クリアランスが有るということは姿勢差等の環境の違いにより固定部のパーツとの相対的な位置が変化しやすい。そのため製造誤差敏感度の観点から合焦時に第2レンズ群G2は一体として移動することが望ましい。
【0034】
次に、本発明の単焦点レンズに係る実施例のレンズ構成について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像側の順番で記載する。
【実施例0035】
図1は、本発明の実施例1の単焦点レンズのレンズ構成図である。
【0036】
第1レンズ群G1は、全体として負のパワーを有する1Aレンズ群G1Aと、全体として正のパワーを有する1Bレンズ群G1Bから構成されている。1Aレンズ群G1Aは、両凸形状の正レンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL13とにより構成されている。1Bレンズ群G1Bは、両凹形状の負レンズL14と両凸形状の正レンズL15とからなる接合レンズ成分と、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL16と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL17から成る接合レンズ成分と、両凸形状の正レンズL18により構成されている。第1レンズ群G1は、合焦時に像面に対して固定されている。
【0037】
第2レンズ群G2は、全体として正のパワーを有する2Aレンズ群G2Aと、開口絞りSと、全体として正のパワーを有する2Bレンズ群G2Bとから構成されている。2Aレンズ群G2Aは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21と、両凸形状の正レンズL22と両凹形状の負レンズL23とからなる接合レンズ成分とにより構成されている。2Bレンズ群G2Bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL25とからなる接合レンズ成分と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL26と、両凸形状の正レンズL27と、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL28により構成されている。また像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL28の物体側面と像側面の両面は所定の非球面形状となっている。第2レンズ群G2は、遠距離から近距離の合焦時に光軸上を物体側に向かって移動する。
第1レンズ群G1は、全体として負のパワーを有する1Aレンズ群G1Aと、全体として正のパワーを有する1Bレンズ群G1Bから構成されている。1Aレンズ群G1Aは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL13とにより構成されている。1Bレンズ群G1Bは、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15とからなる接合レンズ成分と、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL16と両凹形状の負レンズL17から成る接合レンズ成分と、両凸形状の正レンズL18により構成されている。第1レンズ群G1は、合焦時に像面に対して固定されている。
第2レンズ群G2は、全体として正のパワーを有する2Aレンズ群G2Aと、開口絞りSと、全体として正のパワーを有する2Bレンズ群G2Bとから構成されている。2Aレンズ群G2Aは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21と、両凸形状の正レンズL22と両凹形状の負レンズL23とからなる接合レンズ成分とにより構成されている。2Bレンズ群G2Bは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL25とからなる接合レンズ成分と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL26と、両凸形状の正レンズL27により構成されている。また両凸形状の正レンズL27の物体側面と像側面の両面は所定の非球面形状となっている。第2レンズ群G2は、遠距離から近距離の合焦時に光軸上を物体側に向かって移動する。