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特開2022-71337シート搬送装置、及び画像形成装置とシート搬送装置を備えた画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071337
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】シート搬送装置、及び画像形成装置とシート搬送装置を備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/58 20060101AFI20220509BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B65H29/58 B
B65H37/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180238
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】萱森 修
【テーマコード(参考)】
3F053
3F108
【Fターム(参考)】
3F053BA03
3F053BA27
3F053LA01
3F053LB03
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA36
(57)【要約】
【課題】シート搬送装置において、載置トレイ上に載置されたシートの後処理時間を十分に確保し、シート綴じ処理等の後処理の生産性の向上を図る。
【解決手段】待機経路70に待機した待機シートと待機シートに続くシートを所定量重ね合わせた状態で同期させて搬送した後、待機シートを載置トレイ54へ載置すると共に待機シートに続くシートを待機経路70へ待機させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬入される搬入口と、
前記搬入口から搬入されるシートを所定の搬送方向へ搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段によって搬送されるシートを載置するシート載置手段と、
前記シート搬送手段によって搬送されるシートを前記シート載置手段の上流にて前記所定の搬送方向とは反対の方向にスイッチバック搬送するスイッチバック搬送手段と、
前記スイッチバック搬送手段によってスイッチバック搬送されるシートを待機シートとして待機経路へ待機させるシート待機手段と、
前記待機シートと前記待機シートに続く重ね合わせシートを所定量重ね合わせた状態で前記所定の搬送方向へ同期して搬送させた後、前記待機シートを前記シート載置手段へ載置させると共に前記重ね合わせシートを前記待機経路へ待機させるべく前記シート載置手段と前記シート待機手段を制御するシート同時収納手段を制御する制御手段と、
を備えたシート搬送装置。
【請求項2】
前記シート載置手段によって前記載置トレイへ載置される載置シートが前記シート搬送手段によって前記搬入口から搬入されてから前記載置シートに後続する所定の後続シートが前記シート搬送手段によって前記搬入口から搬入される搬入タイミングを認識するシート搬入タイミング認識手段を備え、
前記制御手段は、
前記シート搬入タイミング認識手段によって認識される前記後続シートの搬入タイミングが所定時間以下であると認識した場合に前記シート同時収納手段を実施するように前記シート同時収納手段を制御し、前記後続シートの搬入タイミングが所定時間よりも遅いと認識した場合に前記シート同時収納手段を実施しないように前記シート同時収納手段を制御する請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート載置手段によって載置される載置シートに対して所定の後処理を施すシート後処理手段と、
前記シート後処理手段によって前記載置シートに施される後処理時間を認識するシート後処理時間認識手段を備え、
前記制御手段は、
前記シート後処理時間認識手段によって認識される前記載置シートの後処理時間が所定時間以上であると認識した場合に前記シート同時収納手段を実施するように前記シート同時収納手段を制御し、載置シートの後処理時間が所定時間よりも早いと認識した場合に前記シート同時収納手段を実施しないように前記シート同時収納手段を制御する請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項4】
載置シートの後処理時間が所定時間よりも早い場合は待機シートと重ね合わせシートの重ね合わせ量を増やすことで載置シートの後処理時間を確保する
前記シート載置手段によって載置される載置シートに対して所定の後処理を施すシート後処理手段と、
前記シート後処理手段によって前記載置シートに施される後処理時間を認識するシート後処理時間認識手段と、
前記シート重ね合わせ手段によって搬送される前記待機シートと前記重ね合わせシートの重ね合わせ量を認識する重ね合わせ量認識手段を備え、
前記制御手段は、
前記シート後処理時間認識手段によって認識される前記載置シートの後処理時間が所定時間よりも早いと認識した場合、前記シート後処理時間認識手段によって認識される前記載置シートの後処理時間が所定時間以上であると認識した場合よりも前記重ね合わせ量によって認識される重ね合わせ量が大きくなるべく前記シート重ね合わせ搬送手段を制御する請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記スイッチバック搬送手段による前記重ね合わせシートのスイッチバック搬送完了タイミングを認識するスイッチバック搬送完了タイミング認識手段と、
前記シート同時収納手段によって搬送される前記待機シートと前記重ね合わせシートの重ね合わせ量を認識する重ね合わせ量認識手段を備え、
前記制御手段は、
前記スイッチバック搬送完了タイミング認識手段によって認識されるスイッチバック搬送完了タイミングが所定時間よりも早いと認識した場合、前記スイッチバック搬送完了タイミング認識手段によって認識されるスイッチバック搬送完了タイミングが所定時間以上であると認識した場合よりも前記重ね合わせ量認識手段によって認識される重ね合わせ量が大きくなるべく前記シート同時収納手段を制御する請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記スイッチバック搬送手段によってスイッチバック搬送されるシートと前記シート載置手段が干渉するか否かを認識する干渉認識手段を備え、
前記制御手段は、
前記干渉認識手段によって前記スイッチバック搬送されるシートと前記シート載置手段が干渉しないと認識した場合、
前記スイッチバック搬送されるシートの搬送速度を前記干渉認識手段によって前記スイッチバック搬送されるシートと前記シート載置手段が干渉すると認識した場合よりも
速い速度でスイッチバック搬送すべく前記スイッチバック搬送手段を制御する請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記シート載置手段によって前記載置トレイへ載置される載置シートを前記載置トレイの下流に配置された積載トレイへ排出するシート排出手段と、
前記制御手段は、
前記載置シートと前記待機シートと前記待機シートに続く重ね合わせシートを所定量重ね合わせた状態で前記所定の搬送方向へ同期して搬送させてから前記載置シートを前記積載トレイへ排出した後、前記待機シートを前記載置トレイへ載置させると共に前記重ね合わせシートを前記待機経路へ待機させるべく前記シート排出手段と前記シート載置手段と前記シート待機手段を制御する請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記請求項1乃至7に記載のシート搬送装置を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート搬送装置、及び画像形成装置とシート搬送装置を備えた画像形成システムに係わり、ジョブ全体の生産性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、画像を形成したシートに対し綴じ処理や区分け処理等のシート処理を行うシート搬送装置(以後、シート処理装置という)を備えたものがある。
【0003】
このような画像形成装置では、載置トレイ上での先行する載置シートの綴じまたは区分け処理を行っている間に、後続シートの搬入を遅らせることを少なくするため後続シートを一旦待機させる、いわゆるバッファ処理を行っている。これによれば、載置トレイ上の載置シートに対するシート処理に多少時間がかかったとしても、後続シートを1枚あるいは複数枚待機させて後続シートの搬入を停止することを少なくしている。
【0004】
さらに、近年においてはより高速化、及び大容量化が可能なシート処理装置が求められてきている。この要請に答えるものとして、特許文献1に示す装置が提案されている。この装置にあっては、上述の複数枚の後続シートと載置トレイに載置された載置シートをずらして排紙ローラにニップして同時に第1集積トレイ側に移送する。(特許文献1の図26参照)
【0005】
その後、載置トレイ上の載置シートは第1集積トレイに排出され、この時点で排出ローラの逆転を行って、後続の後続シートを載置トレイに収納している。(特許文献1の図27および図28参照)これによれば、載置トレイからの載置シートの排出と後続シートの移送を同時に行う、いわゆる同時束排出制御(同時束排出処理)を行っているので、載置シートの排出時間を単にバッファ処理するだけのものに比べてより短縮できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特許第4058374号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のものは、載置シートの後処理にかかる時間や待機経路に待機させる待機シートの枚数等の条件によっては載置シートの後処理時間を十分に確保することができないため後続シートの画像形成装置からの受け入れを待たせる必要があり、生産性が著しく低下してしまうという課題があった。この点を本願明細書に添付した図15を用いて説明する。
【0008】
例えば、図15(a)のように、載置シートが2枚(載置シートBP1(P1、P2))であるジョブの場合は、載置シートBP1(P1、P2)に続く1枚の後続シート(P3)を待機経路70へ一時的に待機させた後で後続シート(P3)に続くシート(P4)と共に同時束排出制御(同時束排出処理)を行っているが、綴じ処理を施さない区分け処理や載置シートBP1(P1、P2)の1箇所に対して綴じ処理を施す1箇所綴じ処理の場合は、従来のバッファ処理、及び同時束排出制御(同時束排出処理)でも後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への搬入に対して十分時間を確保することが可能であった。
【0009】
一方、例えば、載置シートBP1(P1、P2)の2箇所に対して綴じ処理を施す2箇所綴じ処理の場合は、1箇所綴じ処理に比べて端面綴じユニット62の移動、及び2箇所目への綴じ処理が加わるため、後処理を施す時間は著しく増加して生産性が著しく低下してしまう。
【0010】
しかしながら、例えば、図15(b)のように、載置シートが3枚(載置シートBP´1(P´1、P´2、P´3))であるジョブの場合は、載置シートBP´1(P´1、P´2、P´3)に続く2枚分の後続シート(P´4、P´5)を待機経路70へ一時的に待機させることで載置シートBP´1(P´1、P´2、P´3)の2箇所綴じ処理にかかる時間を確保した後で後続シートP´4、P´5)に続くシート(P´6)と共に同時束排出制御(同時束排出処理)を行うため、従来のバッファ処理、及び同時束排出制御(同時束排出処理)でも生産性を落とす必要はなかった。
【0011】
ところが、載置シートが2枚(載置シートBP1(P1、P2))であるジョブの場合は、載置シートBP1(P1、P2)に続く1枚の後続シート(P3)を待機経路70へ一時的に待機させた後で後続シート(P3)に続くシート(P4)と共に同時束排出動作を行うことから、載置シートBP1(P1、P2)に対して2箇所綴じ処理にかかる時間を十分に確保することができないため、載置シートBP1(P1,P2)に続く待機経路70に一時的に待機させたシート(P3)を含む後続シート(P3、P4)の画像形成装置からの受け入れを待たせる必要があり、生産性が著しく低下してしまっていた。
【0012】
そこで、本発明では、待機経路70に待機した待機シートと待機シートに続くシートを所定量重ね合わせた状態で同期させて搬送した後、待機シートを載置トレイ54へ載置すると共に待機シートに続くシートを待機経路70へ待機させることで、載置トレイ54に載置された載置シートの後処理時間を確保してジョブ全体の生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明では下記の構成を有する。
シートが搬入される搬入口と、
前記搬入口から搬入されるシートを所定の搬送方向へ搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段によって搬送されるシートを載置するシート載置手段と、
前記シート搬送手段によって搬送されるシートを前記シート載置手段の上流にて前記所定の搬送方向とは反対の方向にスイッチバック搬送するスイッチバック搬送手段と、
前記スイッチバック搬送手段によってスイッチバック搬送されるシートを待機シートとして待機経路へ待機させるシート待機手段と、
前記待機シートと前記待機シートに続く重ね合わせシートを所定量重ね合わせた状態で前記所定の搬送方向へ同期させて搬送させた後、前記待機シートを前記シート載置手段へ載置させると共に前記重ね合わせシートを前記待機経路へ待機させるべく前記シート載置手段と前記シート待機手段を制御するシート同時収納手段を制御する制御手段と、
を備えたシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0014】
この本発明によれば、待機経路に待機した待機シートと待機シートに続くシートを所定量重ね合わせた状態で同期させて搬送した後、待機シートを載置トレイへ載置すると共に待機シートに続くシートを待機経路へ待機させるため、載置トレイに載置された載置シートの後処理時間を十分に確保することでジョブ全体の生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係わる画像形成装置Aとシート処理装置Bを組み合わせた全体構成を示した説明図。
図2】本発明に係わるシート処理装置Bの全体説明図。
図3】シート処理装置Bの載置トレイ54周辺の拡大側面説明図。
図4】搬送ローラ44、分岐ローラ72及び排出ローラ48の駆動説明図。
図5図3の載置トレイ54の基準面側に設けられた端面綴じユニット62のシート幅方向への移動構成の説明図。
図6図3の載置トレイ54に設けられてシート幅方向に移動する整合板58の移動構成の説明図。
図7】載置トレイ54にシートを搬送する際のシート腰付け機構の説明図。図7(a)はシート幅方向の中央付近のシート腰付け機構の斜視図。図7(b)は、シート腰付け機構の断面説明図。
図8図6の整合板58による載置トレイ54の整合板58のシフトによる載置トレイ54に載置されてシフトするシートと、これから排出されて第1集積トレイ24に集積されたシートの説明図。図8(a)は、2枚ごとのシートを4部作成している説明図。図8(b)は、10枚ごとのシートを、2枚ごとにシフトし排出して4部作成している説明図。図8(c)は、10枚ごとのシートを10枚になってから排出して4部作成している説明図。
図9】従来の同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。図9(a)は、1枚目シート(P1)の載置トレイ54側への搬送している説明図。図9(b)は、1枚目シート(P1)が載置トレイ54に搬入され、2枚目シート(P2)が搬送されている説明図。
図10図9に続く同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。図10(a)は、載置トレイ54に2枚の載置シートBP1(P1、P2)処理中に3枚目シート(P3)の搬入が開始される説明図。図10(b)は、引き続き3枚目シート(P3)が排出ローラ48を超えて搬送されている説明図。
図11図10に続く同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。図11(a)は、載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)に綴じ処理を実行し、3枚目シート(P3)をスイッチバック搬送して待機経路70に搬入している説明図。図11(b)は、引き続き載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)に綴じ処理を実行し、4枚目シート(P4)が搬入ローラ34に搬送されている説明図。
図12図11に続く同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。図12(a)は、載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)に綴じ処理が完了し、この載置シートBP1(P1、P2)の押し出しを開始し、2枚の後続シート(P3、P4)は排出ローラ48の位置に搬送されている説明図。図12(b)は、排出ローラ48により載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)を合わせてニップし、第1集積トレイ24側に搬送している説明図。
図13図12に続く同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。図13(a)は排出ローラ48が載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)を第1集積トレイ24に排出し、一旦停止し2枚の後続シート(P3、P4)の載置を開始する説明図。図13(b)は、載置トレイ54に2枚の後続シート(P3、P4)の載置が完了している説明図。
図14】従来の同時束排出制御(同時束排出処理)のフローチャート。
図15図15(a)は載置シートが2枚である場合の同時束排出制御(同時束排出処理)の説明図(待機シートとして3枚目シート(P3)が待機経路70へ待機している)。図15(b)は載置シートが3枚である場合の同時束排出制御(同時束排出処理)の説明図(待機シートとして2枚の後続シート(P3、P4)が待機経路70へ待機している)。
図16】本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。4枚目シート(P4)が搬入ローラ34に搬送されている説明図。
図17図16に続く本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。2枚の後続シート(P3、P4)が待機経路70へのスイッチバック搬送開始位置に到達している状態を示す説明図。
図18図17に続く本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。2枚の後続シート(P3、P4)がスイッチバック搬送完了位置に到達した状態を示す説明図。
図19図18に続く本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)をkpl分重ね合わせた状態で同期させて搬送ローラ44へ向かって搬送する説明図。
図20図19に続く本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。載置シートBP1(P1、P2)への2箇所目の綴じ処理が完了して基準面57にて押し出しを開始している説明図。
図21図20に続く本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。排出ローラ48により載置トレイ54上の載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)を合わせてニップして第1集積トレイ24に搬送している説明図。
図22図21に続く本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)と同時束排出制御(同時束排出処理)を行う排出収納待機並行処理の動作説明図。排出ローラ48を他方回転させることによる2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置を開始すると共に、搬送ローラ44を他方回転させることによる5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送を開始している説明図。
図23図22に続く本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)と同時束排出制御(同時束排出処理) )を行う排出収納待機並行処理の動作説明図。載置シートBP1(P1、P2)の第1集積トレイ24への排出動作、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置動作、5枚目シート(P5)の待機経路70への待機動作の全てが完了している説明図。
図24】本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)のフローチャート。
図25】本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の実施の有無の決定処理の例を示したフローチャート。
図26】2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)のずらし量を変更した場合の本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。wpl2分ずらして重ね合わせた状態で同期させて搬送ローラ44へ向かって搬送している説明図。
図27図26に続く2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)のずらし量を変更した場合の本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。2枚の後続シート(P3、P4)が載置トレイ54への載置開始位置に到達した状態を示した説明図。
図28図27に続く2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)のずらし量を変更した場合の本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作説明図。5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送が完了した状態を示した説明図。
図29】5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送速度とスイッチバック搬送が完了するまでの時間の関係図。
図30図1の全体構成における制御構成のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下発明を実施するための形態について、図面を利用しながら説明する。図1は本発明に係わる画像形成装置Aとシート処理装置Bを備えた画像形成システムを示す全体構成図であり、図2はシート処理装置Bの詳細構成の説明図である。
【0017】
[画像形成システム]
図1に示す画像形成システムは、画像形成装置Aとシート処理装置Bとから構成されている。そして画像形成装置Aの本体排出口3にシート処理装置Bの搬入口30が連結され、画像形成装置Aで画像形成されたシートをシート処理装置Bで綴じ処理等の所定の後処理を施して第1集積トレイ24または第2集積トレイ26に収納するように構成されている。また、第1集積トレイ24の上方には綴じ処理を行わず直接シート収納するエスケープトレイ22が配設されている。
【0018】
[画像形成装置A]
画像形成装置Aについて図1に従って説明する。この画像形成装置Aは、給紙部1からシートを画像形成部2に送り、画像形成部2でシートに印刷した後、本体排出口3から排出するように構成されている。給紙部1は複数サイズのシートが給紙カセット1a、1bに収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部2に給送する。
【0019】
画像形成部2には例えば静電ドラム4と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)5と現像器6と、転写チャージャ7と定着器8が配置されている。画像形成部2は、静電ドラム4上にレーザ発光器5で静電潜像を形成し、これに現像器6でトナーを付着し、転写チャージャ7でシート上に画像を転写し、定着器8で加熱定着し画像形成する。このようにして画像形成されたシートは本体排出口3から順次搬出される。図示9は循環経路であり、定着器8から表面側に印刷したシートを、スイッチバック経路10を介して表裏反転した後、再び画像形成部2に給送してシートの裏面側に印刷する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートはスイッチバック経路10で表裏反転された後、本体排出口3から搬出される。
【0020】
図示11は画像読取装置であり、プラテン12上にセットした原稿シートをスキャンユニット13で走査し、光電変換素子(たとえばCCD)で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ記憶部14に転送され、前記レーザ発光器5に画像信号を送る。また、図示15は原稿送り装置であり、原稿スタッカ16に収容した原稿シートをプラテン12に給送する。
【0021】
上記構成の画像形成装置Aには図30に示す画像形成制御部200が設けられ、コントロールパネル18から入力部203を介して、画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などの印刷条件が設定される。また、画像形成装置Aには上記スキャンユニット13で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ貯蔵部17に蓄積される。このデータ貯蔵部17から画像データはバッファメモリ19に転送され、このバッファメモリ19から順次にレーザ発光器5にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0022】
上記コントロールパネル18からは上述の片面/両面印刷、拡大/縮小印刷、モノクロ/カラー印刷などの画像形成条件と同時にシート処理条件も入力指定される。このシート処理条件は、例えば「プリントアウトモード」「端面綴じモード(第1の処理)」「区分け(ジョグ)モード(第2の処理)」「中綴じモード」等が設定される。なお、これらの処理条件については後述する。
【0023】
[シート処理装置B]
シート処理装置Bは図1及び図2に示す様に、装置フレーム20の一方に設けられたシートの搬入口30と、これと反対の外側に設けられた1枚シートや比較的厚いシートを集積するエスケープトレイ22が配置されている。このエスケープトレイ22の下方には、端面綴じ処理したシートや比較的量が多いシートを集積する昇降可能な第1集積トレイ24が位置している。さらにこの第1集積トレイ24の下方には、中綴じあるいは折り処理されたシートを集積する第2集積トレイ26が設けられている。なお、この発明で端面とは、シートの端部周辺の面、すなわちシート縁部の表裏面を示している(本願明細書においては、特に、この端面の1箇所に対して綴じ処理を施す場合を1箇所綴じ処理、2箇所に対して綴じ処理を施す場合を2箇所綴じ処理と表現する)。
【0024】
[シートの搬送経路]
このシート処理装置Bの上記搬入口30からは搬入経路32から載置トレイ出口50に向かって略直線的に延びる搬送経路42が配置されている。搬入経路32にはパンチユニット31が設けられ、シートの端面や必要に応じて搬送方向の中程にパンチ処理する。このパンチユニット31の搬入経路32を挟んだ下方にはパンチ処理時に発生するパンチ屑を集積するパンチ屑ボックス31bが装置フレーム20に着脱自在に設けられている。
【0025】
上記パンチユニット31の下流側には、シートを搬送する搬入ローラ34が配置されシートを高速で搬送する。この搬入ローラ34の下流側の搬送経路42には、シートを第1処理トレイである載置トレイ54やその下流側の第1集積トレイ24に導く正逆転可能な搬送ローラ44が設けられている。この搬送ローラ44の後方はシートの搬送経路出口46となっている。
【0026】
この搬送経路出口46の下流側には、正逆転可能な排出ローラ48が設けられている。この排出ローラ48は、シートをスイッチバックして載置トレイ54にシートを搬入したり、第1集積トレイ24にストレートで排出したり、あるいは載置トレイ54で端面綴じ処理されたシートの束を載置トレイ54から第1集積トレイ24に排出する。
【0027】
[エスケープ経路、分岐経路]
また、搬送経路42は、シートをエスケープトレイ22に案内するエスケープ経路38と、比較的長いシートを中綴じ処理や折り処理するために第2処理トレイとなるスタッカ84に案内する分岐経路70とに、分岐位置36で分岐されている。この分岐位置36には、シートを搬送経路42にそのまま搬送するか、エスケープ経路38に搬送するか、搬送経路42上でスイッチバックさせて分岐経路70に案内するかを選択するための経路の切り替えゲート37が設けられている。
【0028】
上記分岐経路70は、図2及び図3に示される様に載置トレイ54の側方でこの載置トレイ54を囲うように下側に湾曲した経路であり、後述するように後続シートが待機シートとして待機する待機経路と兼用している(本願明細書においては、待機経路として説明する場合には、分かりやすく待機経路70と表現している)。また、エスケープ経路38には、シートを搬送するエスケープローラ39とエスケープトレイ22にシートを排出するエスケープ排出ローラ40が設けられている。
【0029】
[端面綴じ部]
ところで、搬送経路42の搬送経路出口46の下方には載置トレイ54が設けられその下端側には、この載置トレイ54上に一時集積した載置シートの端面を綴じる端面綴じ部60が位置している。この端面綴じ部60については、追って図3図5により説明する。
【0030】
[中綴じ部]
一方、比較的長いシートを上記の搬送経路42を載置トレイ54方向に一旦搬送し、切り替えゲート37の下流側に搬送後、今度はスイッチバック搬送して分岐経路70に搬送して分岐出口76からスタッカ84(第2処理トレイ)に集積する。このスタッカ84に集積したシートの中ほどを綴じる中綴じ部80が配置されている。図2に示す様に分岐出口76には、分岐排出ローラ74からスタッカ84にシートが搬入される毎にシートを図示左側に付勢して先行シート後端と次シート先端の衝突を防止する変更フラッパ78が設けられている。
【0031】
[スタッカ(第2処理トレイ)]
スタッカ84にはシートの搬入位置を規定するストッパ85が位置している。このストッパ85は、スタッカ84の側方で上プーリ86と下プーリ87に張設された移動ベルト88をストッパ移動モータ(不図示)で駆動することにより図示矢印方向に移動する。ストッパ85の位置は、シートがスタッカ84に搬入の際にシートの後端が上記の変更フラッパ78で変更できる位置、シートの搬送方向の略中央を中綴じユニット82で中綴じを行う位置、及び中綴じされた位置を折りローラ92対に往復動する折りブレード94で押し込んでシートの束を二つ折りする位置に夫々停止する。また、折りローラ92の上下には、シートのスタッカ84の搬入の都度シート幅方向からシートの両側縁を押圧して揃え動作を行う中綴じ整合板81が設けられている。
【0032】
[中綴じユニット]
中綴じ部80には、シートの束を、例えばステープル針を中綴じユニット82内のドライバによって打ち込み、これに対向する位置に設けられステープル針の脚部を折り曲げるアンビル83が設けられている。この中綴じユニット82は既に広く知られているので、ここでの説明を省略するが、綴じ手段としてはステープル針をシート束に貫通して綴じるのみではなく、シートの搬送方向中央に接着剤を塗布して、シートを貼り合せて束とする機構であってもよい。
【0033】
[第2集積トレイ]
上記の中綴じユニット82で綴じられたシート束は、折りローラ92とこれにシート束を押し込む折りブレード94によって、二つ折りにされながらのこの折りローラ92とその下流側に位置する束排出ローラ96によって、第2集積トレイ26に排出される。この第2集積トレイ26には、折り処理されその背側を先端側として排出される折りシート束を第2集積トレイ26に落下させる先端に回転自在のコロを設け揺動自在の押えローラ102と、集積した折りシート束が広がらないように上から押える押えレバー104が取り付けられている。この押えローラ102と押えレバー104により折りシート束が開いてしまうことによる集積性の低下を低減している。
【0034】
[分岐位置と端面綴じ部]
ここで、図3により分岐位置36や端面綴じ部60について、さらに説明を続ける。既に説明したようにここでは、搬入口30から搬入ローラ34が配置された搬入経路32、これから載置トレイ54方向に直線的に延びる搬送経路42、この搬送経路42から図示上方に延びるエスケープ経路38と下方に湾曲してシートをスタッカ84に案内する分岐経路70が示されている。分岐位置36には搬入経路32のシートをエスケープ経路38か搬送経路42か、または搬送経路42をスイッチバック搬送してくるシートを分岐経路70に選択的に位置して案内する切り替えゲート37が配置されている。
【0035】
この実施の形態にあっては、例えば図3に示すように、実線位置でエスケープ経路38を塞いで、シートを搬入経路32から搬送経路42に案内するようになっており、破線位置では搬入経路32から搬送されるシートはエスケープ経路38へ、搬送経路42をスイッチバック搬送されるシートは分岐経路70に案内されることを示している。
【0036】
上述した搬送経路42には、最終端である搬送経路出口46の直前に、正逆転するとともに相互に離接する搬送ローラ44が配置されている。すなわち、この搬送ローラ44が圧接状態での一方向回転で載置トレイ54側にシートを搬送し、他方回転で反対方向にスイッチバック搬送可能となっている。
【0037】
[スイッチバック搬送について]
このスイッチバック搬送は、搬送経路42の切り替えゲート37の直後に配置されたシートセンサ42Sがシート後端の通過を検出した後、搬送ローラ44を他方回転させることよっておこなわれる。この他方回転のときは、切り替えゲート37が搬入経路32を塞ぐ位置(図3破線位置)に移動しており、これによりシートは待機経路70に搬送され、分岐ローラ72によって引き継ぎ搬送される、シート後端が所定位置に到達するとこの分岐ローラ72を停止して、待機経路70でシートを待機状態とする。
【0038】
ところで、搬送ローラ44の下流側であり載置トレイ出口50(載置トレイ54の出口)には、正逆転するとともに相互に離接する排出ローラ48が配置されている。この排出ローラ48は、排出上ローラ48aと排出下ローラ48bとからなり、これらが相互に圧接状態での一方向回転で、上記の搬送ローラ44と協働して第1集積トレイ24にシートを搬送する。また、排出ローラ48は、載置トレイ54に集積して束としたシートを第1集積トレイ24に押し出す移動部材でもある基準面57と協働して排出する際も使用される。
【0039】
[載置トレイ54への搬入]
ここで、載置トレイ54へのシートの搬入について説明する。この載置トレイ54への搬入は、搬送ローラ44から放出したシートを下流側に位置する排出ローラ48の他方回転で載置トレイ54の傾斜面を図3右側に搬送する。この搬送されたシートを、かき込みコロ56を図示反時計方向に回転して移送する。この移送によりシートの搬送方向先端は端面の綴じ基準となる基準面57に当接して停止する。このときかき込みコロ56はシート上を滑り、シート先端が基準面57に当接後に座屈することを防いでいる。このように、排出ローラ48は搬送ローラ44から排出されたシートを載置トレイ54の基準面57に送る機能を有している。
【0040】
[端面綴じユニット移動と綴じ処理]
シートが搬送ローラ44から放出される度に、排出ローラ48とかき込みコロ56の回転によりシートを基準面57に送り載置トレイ54上に積み重ねていく。また、この積み重ね動作に合わせて、整合板58をシート幅方向の両側から当接させてシートを載置トレイ54の幅方向中央に整合する。このような積み重ねと整合を、束とする指定の枚数になるまで繰り返す。指定枚数になると、今度は移動台63の上を載置シートの端面をシート幅方向に移動する端面綴じユニット62を所望の綴じ位置に移動する。この移動は、移動台63にシート幅方向に設けられた図示の溝レールに端面綴じユニット62の移動ピン62bが嵌合して案内されてなされる。
【0041】
端面綴じユニット62の綴じ処理は既に公知なので説明を省略するが、端面綴じユニット62が指定した綴じ位置で停止すると、端面綴じモータ62Mが回転駆動して、図示していないドライバを移動してステープル針を載置シートの束に打ち込み、打ち込まれたステープル針をアンビルによって折り曲げて針綴じ処理する。この綴じ処理は載置シートの角の端面や幅方向の端面の複数位置に行う。
【0042】
[端面綴じシートの排出]
端面綴じユニット62で綴じ処理された載置シートは、載置トレイ54下の右プーリ65と左プーリ66に架け渡された基準面移動ベルト64の図示反時計方向の移動により、この基準面移動ベルト64に連結された基準面57が図示左方向に移動することにより、移動部材として載置シートの綴じ端面側を第1集積トレイ24に向けて移動するように押し出す。この押し出しとともに載置トレイ54の出口に配置された排出ローラ48で綴じられた載置シートを表裏から押圧し、時計方向の回転により第1集積トレイ24に綴じられた載置シートを排出する。
【0043】
[第1集積トレイの昇降]
シート束を集積する第1集積トレイ24について説明する。図3に示す様にこの第1集積トレイ24は載置トレイ54と傾斜角度を略同様にして配置され、載置トレイ54から排出される綴じシート束や搬送経路42から搬送ローラ44、排出ローラ48によって排出される1枚毎のシートも集積する。
【0044】
この第1集積トレイ24の底面側には、第1集積トレイ24を昇降する昇降モータ24Mが設けられ、この駆動は昇降ピニオン109に伝達される。昇降ピニオン109は、装置フレーム20の立ち面28の両側に上下に固定して設けられた昇降ラック107に係合している。また、特に図示していないが、第1集積トレイ24の立ち面28に設けられた昇降レールで上下を案内している。
【0045】
この第1集積トレイ24の位置またはこの第1集積トレイ24に集積されたシートの位置は、立ち面28に設けた紙面センサ24Sによって検出する。そして、この紙面センサ24Sが検出すると昇降モータ24Mを駆動して、昇降ピニオン109を回転して下降するようになっている。図3の状態は、第1集積トレイ24の上面を紙面センサ24Sで検出している状態で、ここから多少下降してシート束を受け入れることになる。従って、載置トレイ54からの出口位置の上面と、第1集積トレイ24の上面は段差を持って位置している。
【0046】
[搬送上ローラの回転駆動]
まず、搬送上ローラ44aと搬送下ローラ44bからなる搬送ローラ44の駆動は、搬送ローラモータ44Mで行われる。この搬送ローラモータ44Mはハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する搬送ローラ速度検出センサ44Sが配置されている。この搬送ローラモータ44Mの駆動は、伝達ギア120、122、伝達ベルト124を介してアームギア126に伝達される。このアームギア126から駆動は、搬送ローラ支持アーム136に支持された搬送上ローラ44aの上ローラ軸44ujに伝達ベルト128で伝達される。
【0047】
[搬送上ローラの離接]
また、搬送上ローラ44aは固定された搬送下ローラ44bに対して離接するためアームギア126の軸を中心に回動されるように取り付けられている。この離接は、アームギア126の軸に取り付けられた後方扇形ギアを有し、先端側の移動アーム先に搬送上ローラ44aを付勢するバネ134が取り付けられた搬送ローラ移動アーム130によって行われる。すなわち、上記の後方扇形ギアに係合する搬送ローラ移動アームモータ130Mを正逆転駆動することにより、一方向回転により矢印Oの解放方向に、他方回転により矢印Cの搬送下ローラ44bに圧接する矢印Cの圧接方向に移動する。なお、搬送ローラ移動アームモータ130Mもステッピングモータで構成されるとともに、搬送ローラ移動アーム130の位置を搬送ローラ移動アームセンサ130Sで検出するようになっている。
【0048】
[搬送下ローラなどの回転駆動]
搬送下ローラ44bの回転駆動は、搬送ローラモータ44Mの駆動を、伝達ギア120、伝達ベルト138を介して搬送下ローラ軸44sjに個設された受けギア142に伝達して行われる。
【0049】
また、この受けギア142からの駆動は、ワンウェイクラッチ付ギア144、伝達ベルトの役割もする突起付ベルト146でかき込みコロ56を回転する。このかき込みコロ56は、ワンウェイクラッチ付ギア144を介して伝達されているので、既に説明したように受けギア142が正逆回転しても図4の実線矢印方向のみにしか回転せず、載置トレイ54の基準面57の方向のみにシートを移送するように回転する。なお、上述の突起付ベルト146は先端にかき込みコロ56を回転するようにしたが、このかき込みコロ56を省略した、円形のかき込みベルトのみを回転させてもよい。
【0050】
また、搬送ローラモータ44Mの駆動は、伝達ギア120、伝達ベルト148を介して、分岐経路70中でシートを搬送する分岐ローラ72の分岐下ローラ72bの分岐下ローラ軸72sjにも伝達される。
【0051】
以上の構成により、搬送ローラモータ44Mの正逆回転に従い、搬送ローラ44、分岐ローラ72は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(スイッチバック方向)に、かき込みローラは実線矢印方向の基準面57方向に回転する。また、この搬送ローラモータ44Mは、シートを載置トレイ54側に搬送する際や分岐経路70側へのスイッチバック搬送の際に、所定の速度でシート搬送ができるよう設定可能となっている。
【0052】
[排出上ローラの回転駆動]
排出上ローラ48aと排出下ローラ48bからなる排出ローラ48の駆動は、排出ローラモータ48Mで行われる。この排出ローラモータ48Mもハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する排出ローラ速度検出センサ48Sも同様に配置されている。この排出ローラモータ48Mの駆動は、伝達ギア150、152、伝達ベルト154を介してアームギア156に伝達される。アームギア156から駆動は、排出ローラ支持アーム166に支持された排出上ローラ48aの排出上ローラ軸48ujに伝達ベルト158で伝達される。
【0053】
[排出上ローラの離接など]
排出上ローラ48aは、固定された排出下ローラ48bに対して離接するためアームギア156の軸を中心に回動されるように取り付けられている。この離接は、アームギア156の軸に取り付けられた後方扇形ギアを有し、先端側の移動アーム先に排出上ローラ48aを付勢するバネ164が取り付けられた排出ローラ移動アーム160によって行われる。上記の後方扇形ギアに係合する排出ローラ移動アームモータ160Mを正逆転駆動することにより、一方向回転により矢印Oの解放方向に、他方回転により矢印Cの排出下ローラ48bに圧接する矢印Cの圧接方向に移動する。なお、排出ローラ移動アームモータ160Mもステッピングモータで構成されるとともに、排出ローラ移動アーム160の位置を排出ローラ移動アームセンサ160Sで検出するようになっている。
【0054】
また、排出下ローラ48bの回転駆動は、排出ローラモータ48Mの駆動を、伝達ギア150、伝達ベルト168を介して排出下ローラ軸48sjに個設された受けギア169に伝達して行われる。
【0055】
[排出ローラモータの速度設定]
以上の構成により、排出ローラモータ48Mの正逆回転に従い、排出ローラ48は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(シートが搬送ローラ44から放出されてから載置トレイ54上で基準面57側への搬送方向)に回転する。また、この排出ローラモータ48Mは、排出ローラ48を所定の速度で駆動するように速度設定が変更可能としている。
【0056】
なお、この実施の態様においては、待機搬送(戻し搬送)する場合のスイッチバック搬送時など搬送ローラ44でシート搬送を行っている場合は、駆動モータが分かれていて連動が難しいので、この排出上ローラ48aは排出下ローラ48bから解放された離間位置に位置している。
【0057】
[待機搬送(戻し搬送)、第2トレイ搬送]
ここで、図3に戻って、上述した端面綴じのためスイッチバック搬送して待機経路70に待機する待機搬送(戻し搬送)について述べる。載置トレイ54の端面綴じユニット62で綴じ処理する場合に、画像形成装置Aの画像形成したシートの搬入する速度が速く、またシート間隔が短いために、先行する載置シートの端面綴じ処理が完了しないのに次のシートが搬入されることを防ぐ必要がある。この為、搬入経路32を経て搬送経路42に搬送されたシートの1枚目または2枚目までを一旦搬送経路42上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを待機経路70に留め置いて待機させることが行われている。そして次の2枚目あるいは3枚目のシートと重ね合わせて送るように待機経路70に待機した待機シートを繰り出す様にしてシート束間の間隔時間を確保する。
【0058】
なお、ここではこの搬送経路42から待機経路70にスイッチバック搬送し、この待機経路70にシートを留め置いて待機させ、この待機した待機シートを搬送経路42に向けて戻すべく、繰り出し搬送することを「待機搬送(戻し搬送)」と言う。スイッチバック搬送を複数回実施し、待機搬送(戻し搬送)をスイッチバック搬送よりも一回少なく実施することで、待機経路70に複数枚のシートで構成されるシート束を待機させることができる。
【0059】
この待機搬送(戻し搬送)を行う端面綴じ用のシートは搬送方向長さが比較的短いシート、例えばA4、B5、レターの各サイズシートが多い。従って、これらのシートは待機搬送(戻し搬送)のためにスイッチバック搬送は、載置トレイ54の下流側に大きくはみ出ることなく行われ、この搬送時にシートが曲がることは少ない。たとえ、多少曲がっても、載置トレイ54迄の距離は比較的短いので、整合板58の整合動作で曲がりが矯正されやすい。
【0060】
また、上記の端面綴じ処理の完了は、載置シートを載置トレイ54から第1集積トレイ24に排出動作が完了するのみではなく、載置トレイ54上の整合板58の初期設定動作や基準面移動ベルト64の初期位置復帰あるいはその他次シートを受け入れるために各機構を初期位置設定することを含む。
【0061】
次に、中綴じユニット82で中綴じを行い、このシートを折りローラ92と折りブレード94で折り処理して折りシート束とするため第2処理トレイであるスタッカ84に搬送する場合について述べる。このスタッカ84への搬送は、搬入経路32を経て搬送経路42に搬送されたシートを一旦搬送経路42上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを分岐経路70からスタッカ84に搬送することになる。このスイッチバック搬送したシートを、分岐経路70を介してスタッカ84に搬送することを、ここでは「第2トレイ搬送」という。
【0062】
[スイッチバック搬送]
なお、この実施の形態においては、搬送ローラ44によりシートは「待機搬送(戻し搬送)」を行う場合には、シート後端が搬送経路42と待機経路70との分岐位置に配置されたシートセンサ42Sに検知されるとシートを待機経路70にスイッチバック搬送して待機経路70に位置する分岐ローラ72にニップさせてその後この分岐ローラ72の回転を停止する。また、待機経路70の下流側に位置するスタッカ84に集積して中綴じ処理を行う「第2トレイ搬送」を行う場合、同様に搬送ローラ44によりスイッチバック搬送されたシートを分岐経路70の分岐ローラ72に送り停止させることなくスタッカ84に送る。
【0063】
また、排出ローラ48も正逆転可能となっていて、搬送ローラ44によって送られてきた後続シート(待機経路70に待機していた待機シート、または搬入経路からのシートあるいはこれらの重ね合わせたシート)の後端が、搬送ローラ44から放出すると、この後続シートを排出ローラ48でニップし、その後逆転するとこれらの後続シートは基準面57側へ搬送されて、載置トレイ54に収納される。
【0064】
[載置シート排出]
また、排出ローラ48は、先に説明したように排出上ローラ48aが揺動可能となっていて、下降して排出下ローラ48bに圧接する圧接位置(図4の破線位置)と、排出下ローラ48bから上昇した離間位置(図4の実線位置)に位置する。そして、載置トレイ54で載置シートに所定の後処理がされた後に、この載置シートを第1集積トレイ24に排出するために、まず基準面57を基準面移動ベルト64により、載置トレイ出口50側に移動して押し上げる。引き続き排出上ローラ48aを圧接位置に下降して、載置シートを排出下ローラ48bと共にニップして載置トレイ出口50側に載置シートを移送して、第1集積トレイ24に束排出する。
【0065】
[シート処理部]
排出ローラ48によって排出される載置シートは、載置トレイ54のシート処理部で後処理される。本実施の態様のシート後処理は、端縁面綴じユニット62で綴じる綴じ処理と、整合板58で載置トレイ54での位置を異ならせて排出して第1集積トレイ24で綴じられることなく区分けする、いわゆるジョグ処理が行われる。なお、このほかにも、糊付けによる貼り合わせやシートに穿孔するパンチ処理などもこのシート後処理に含まれる。
【0066】
[端面綴じユニットの移動]
すでに、この発明のシート処理部として、載置シートを針綴じ処理する端面綴じユニット62について触れているが、ここでこの端面綴じユニット62の載置シートの幅方向の移動について、図5により説明する。この図は載置シートの針綴じを行う端面綴じユニット62が、移動台63上で移動することを示している。この移動台63はシート処理装置Bの装置フレーム20に、図示上部をフロント側として、下部をリア側としている。図3も参照すると、移動台63には端面綴じユニット62側から突出する移動ピン62bを案内する移動溝63bが略直線状に設けられている。この端面綴じユニット62の先端側にガイドピン62cが、移動台63に設けられた姿勢ガイド63eに係合されてある。
【0067】
また、端面綴じユニット62は、ユニット移動モータ63Mによって移動する移動台ベルト63Mbに結合されている。これにより、端面綴じユニット62は、その移動位置によって、リア側のコーナ綴じ位置Cp1、これよりセンター側の範囲にマルチ綴じ範囲Ma1~Ma2、フロント側のコーナ綴じ位置Cp2となっている。さらに、フロント側において端面綴じユニット62の後方を装置外側に向ける針補充位置と、これよりフロント側のマニュアル綴じ位置でもあり綴じ開始前のホームポジション位置HPに位置するように制御される。したがって、この実施態様の装置は、シート処理部の1つとして、載置トレイ54に載置された載置シートの任意の位置で綴じ処理を行う端面綴じユニット62を有している。なお、シート処理部では載置トレイ54にシートの搬入の都度シート揃えを行うシート幅方向に対となる整合板58が配置されている。
【0068】
[整合板]
次に、図6により、載置トレイ54へのシート搬入の都度シート側縁に当接して、シートを整合したり、シートの載置位置を変更したりする整合板58について説明する。図6は、載置トレイ54を上面から見た図で、整合板58は、フロント側のフロント整合板58aとリア側のリア整合板58bとからなる。これらは夫々、シートの側縁に離接するフロント整合面58afとリア整合面58bfを有する。このシート側縁への離接は、フロント整合板58aの底部に設けられ、フロントラックガイド58aRGに案内されるフロント整合板ラック59aRがフロント整合モータ59aMによってギア59aGを介して移動される。同様に、リア整合板58bの底部に設けられ、リアラックガイド58bRGに案内されるリア整合板ラック58bRがリア整合モータ59bMによってギア59bGを介して移動される。
【0069】
このフロント整合板58aとリア整合板58bは、マルチ綴じをするときはシートセンターを基準として整合したり、コーナ綴じのときは、図6のように片側基準として整合したり綴じ方などよって整合の基準を変更することができる。また、シート処理部の1つとして、載置トレイ54に載置された載置シートを片寄せし これを第1集積トレイに排出することによって載置シートを区分けするいわゆるジョグ処理も可能となっている。
【0070】
[区分け処理(第2の処理)]
区分け処理を行う場合は、たとえば図6に示す最大シートを載置トレイ54に搬入後、このシート幅方向外側に位置していたフロント整合板58aを図示Sf1へ移動する。これによってシートはリア側で図示Sf2へ移動し、予め退避していたリア整合板58bにシートの側縁が当接して、リア側に寄せられて載置トレイ54に位置することになる。これとは逆にリア側整合板58bでフロント側に寄せれば、フロント側に位置することになる。これによりシートを区分けすることができる。
【0071】
この区分け処理を、図8によりさらに説明する。図8は、図6の整合板58のシフト移動による載置トレイ54に載置されてシフトするシートと、これから排出されて第1集積トレイ24に集積されたシートを説明する図である。なお、以降の図においてBP数字はシート束を示し、たとえばPB2は2部目のシート束を示している。また、束内のP数字は、最初からの頁数を示し、たとえばP4は、最初から4頁(枚)目であることを示している。
【0072】
さて、図8(a)は、2枚ごとのシート束を4部作成している図である。ここには、すでに載置トレイ54により2枚ずつシフトして第1集積トレイ24に排出された3部シート束が集積されている。載置トレイ54には4部目のシートが載置されると、フロント側整合板58aがリア側にSf1分シフトし、予めシフトしていたリア整合板58bにSf2分シフトして当接する。これを第1集積トレイ24に排出ローラ48で排出すると4部の区分けされたシート束が第1集積トレイ24に区分け(ジョグ処理)して集積できる。
【0073】
図8(b)は、10枚ごとのシート束を、2枚ごとにシフトし排出して4部作成している。図8(a)同様に、載置トレイ54上で2枚ずつ整合板58により区分けシフトし、その後に載置トレイ54から第1集積トレイ24に排出ローラ48で束排出している。これにより、第1集積トレイ24では10枚束のシートが4部区分け(ジョグ処理)できる。
【0074】
次に、図8(c)は、上記図8(b)の束内2枚ごとの排出と異なり、10枚ごとのシート束を10枚になってから排出して4部作成している説明図である。このようにすると、これから説明するが、2枚を待機シートとして2枚排出を行うより、待機シートを多くして排出動作をゆっくり行うことも可能である。
【0075】
[シート腰付け機構]
ここで、再び図6に戻り、続く図7により載置トレイ54にシートを搬送する際のシート腰付け機構を説明する。これは、搬送ローラ44による搬送経路42から搬送ローラ44によって、載置トレイ54にシートを搬入するか、あるいはシート先端を、排出ローラ48を通過させ再び上流側にスイッチバック搬送する際にシートの腰が弱く載置トレイ54出口付近で、シート束が前転するのを防ぐため機構である。
【0076】
この図6では、搬送ローラ44の搬送下ローラ44bとこの搬送下ローラ軸44sj上に腰付けを行う腰付けコロ45がコロアーム45amに支持されていることが示されている。シートは搬送経路42からこの腰付けコロ45を通過して搬送される。
【0077】
次に、図7(a)はシート幅方向の中央付近のシート腰付け機構の斜視図であり、図7(b)は、シート腰付け機構の断面説明図である。これらの図からわかるように、搬送ローラ44を構成する夫々一対の搬送上ローラ44aと搬送下ローラ44bの軸方向の間に、基端部がアーム軸45ajにコロアーム45amが回動可能に軸支されている。このコロアーム45amの先端には、回転自在の腰付けコロ45がコロ軸45kjにより取り付けられている。したがって、シート搬送に応じて腰付けコロ45も回転するので、搬送するシート表面を傷つけることが少ない。
【0078】
さらに、腰付けコロ45を支持するコロアーム45amは基端部において、アーム軸45ajとの間に巻きばね45kbが巻回されている。これにより腰付けコロ45は、図7(b)に示すように矢印方向に常時(搬送するシートを腰付けする程度で)付勢されている。これにより、この腰付けコロ45の位置は、図示のように、搬送上ローラ44aと搬送下ローラ44bとの圧接位置よりも多少搬送上ローラ44a側に入り込んでいる。これにより搬送されるシートは搬送方向と交差するシート幅方向において凹凸に波を打った状態となり腰付けなされることになる。また、巻きばね45kbが巻回されていることにより、シート束が薄く剛性弱い場合には大きな凹凸を作って腰付けし、シートが厚く剛性が強い場合には凹凸を少なくして搬送に支障がない程度に腰付けできる。
【0079】
ここからは、排出ローラ48が、待機経路70に待機していた待機シートおよび搬入経路からのシートと載置トレイ54に載置された載置シートとを合わせてニップ移送して載置シートを第1集積トレイ24に排出する一方、待機シート及び搬入経路からの後続シートは載置トレイ54に載置する「同時束排出制御(同時束排出処理)」について具体例を用いて説明する。図9から図13までの動作説明図と図14のフローチャートにより、2枚束の1箇所綴じジョブにおける「同時束排出制御(同時束排出処理)」を説明する。フローチャートにおいては、2枚束の1箇所綴じジョブにて、1部目(載置シートBP1(P1、P2))は載置トレイ54に載置されており、3枚目シート(P3)は待機経路70に待機されている状態から動作開始することを想定しており、さらには、載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)の同時束排出制御(同時束排出処理)に特化して説明している(分かりやすくするために綴じ処理や整合処理等のフローは含まない)。なお、特に断りのない限り、以下の動作は後述する制御CPU204により実行される。
【0080】
まず、図9は、後続シートと載置トレイ54の載置シートを排出ローラ48により同時にニップして「同時束排出制御(同時束排出処理)」を開始する説明図である。図9(a)は、1枚目シート(P1)が載置トレイ54側へ搬送経路42から搬送ローラ44で搬送されている。この状態で、1枚目シート(P1)の後端がシートセンサ42Sに検出され図示しないカウンターによって所定数カウントされると、搬送ローラ44から載置トレイ54に排出することなる。これと同時に、排出ローラ48の排出上ローラ48aを離間位置(図示実線)から排出下ローラ48bに圧接する圧接位置(図示破線)への移動を開始させる。
【0081】
その後、図9(b)に示すように、搬送ローラ44から放出されたシート(P1)は排出ローラ48によってニップされ、この排出ローラ48の図示反時計方向の回転により搬送され、かき込みコロ56及び突起付ベルト146によってさらに基準面57に向かって搬送され、載置トレイ54に収納載置される。この収納に合わせて、整合板58を移動し、センター揃えを行う。また、次の2枚目シート(P2)が搬入し、シートセンサ42Sに先端が検出されるとこの2枚目シート(P2)の搬入のため、排出上ローラ48aを圧接位置(図示実線位置)から離間位置(図示破線位置)への移動の開始を行う。以後2枚目シート(P2)も図9(a)同様の動作を繰りし、2枚の載置シートBP1(P1、P2)が形成されると図10に進む。
【0082】
図10(a)は、載置トレイ54に2枚の載置シートBP1(P1、P2)処理中に3枚目シート(P3)で、待機シート1枚目(wp1)の搬入が開始される状態を示している。載置トレイ54上の載置シートBP1(P1、P2)は整合を完了し、端面綴じユニット62が、1箇所綴じ位置に移動するなど1箇所綴じ処理の準備をしている。
【0083】
続いて、図10(b)に示すように、引き続き3枚目シート(P3)の先端が搬送ローラ44により、排出ローラ48を超えて搬送される。この3枚目シート(P3)はスイッチバック搬送されるので、搬送経路42と待機経路70の分岐位置に位置する切り替えゲート37は、3枚目シート(P3)を待機経路70に案内する図示の位置に移動する。
【0084】
図11(a)は、載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)に端面綴じユニット62によって端面綴じ処理の実行を開始する。この間3枚目シート(P3)が載置トレイ54に搬入できないので、搬送ローラ44がスイッチバック搬送を継続し、搬送ローラ44の回転と同期した回転をする待機経路70に位置する分岐ローラ72により待機経路70の下流側に移動する。分岐ローラ72に3枚目シート(P3)がニップされると、切り替えゲート37を上昇さて、搬送経路42を解放する。一方、端面綴じユニット62が、載置シートBP1(P1、P2)に1箇所綴じ処理を実行している。
【0085】
図11(b)は、引き続き載置トレイ54の載置シートBP1に1箇所綴じ処理を実行している。一方、4枚目シート(P4)は、搬入ローラ34によって搬送ローラ44に向かって送られてくる(S101)。この4枚目シート(P4)がシートセンサ42Sによって検出されると、予め待機経路70に待機していた待機シートwp1(3枚目シート(P3))との間にwplの差を持って、共に搬送ローラ44に向かって搬送される。ここでの待機シートwp1(3枚目シート(P3))の搬送速度は650mm/sとしてある。また、この段階で載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)への綴じ処理が完了する。
【0086】
図12(a)は、載置トレイ54の載置シートBP1(P1、P2)に1箇所綴じ処理が完了し、この載置シートBP1(P1、P2)を基準面57で押し出しを開始した状態を示している。同時にwpl分ずらして重ね合った2枚の後続シート(P3,P4)は、排出ローラ48位置に搬送されていき(S102)、載置トレイ54上の載置シートBP1(P1、P2)と重なり合う状態になる。
【0087】
[同時束排出制御(同時束排出処理)の実行]
次に、図12(b)は、排出ローラ48により載置トレイ54上の載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)を合わせてニップし、第1集積トレイ24に搬送する、これまでに説明した同時束排出制御(同時束排出処理)に関わる図である。この図にあるように、排出上ローラ48aが排出下ローラ48bに圧接する位置に下降して、載置トレイ54上の載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)を同時にニップし、載置シートBP1(P1、P2)の束排出、及び2枚の後続シート(P3、P4)の排出方向への移送を行う(S103)。ここでの載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)の夫々搬送速度は、600mm/sに減速され、さらに、同時束排出制御(同時束排出処理)の速度は480mm/sで行われる。
【0088】
この同時束排出制御(同時束排出処理)が実行されると、図12に続く図13に示される状態に移行する。まず、図13(a)は排出ローラ48が載置トレイ54に載置されていた載置シートBP1(P1、P2)を第1集積トレイ24に排出する。その後、制御CPU204は、2枚の後続シート(P3、P4)が載置トレイ54への載置開始位置に到達したか否かを判定する(S104)。2枚の後続シート(P3、P4)が載置開始位置に到達していないと判定した場合(S104:N)は処理を再度S104に戻し、2枚の後続シート(P3、P4)が載置開始位置に到達したと判定した場合(S104:Y)は、排出ローラ48はその回転を一旦停止する。この状態は、図示楕円図内に示される様に、2枚の後続シート(P3、P4)はwplの距離をもってずれるように設定されている。その後、排出ローラ48は逆転(図では、反時計方向に回転)を開始し、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置を開始する(S105)。なお、この載置トレイ54の基準面57側へ搬送される速度は600mm/sとされている。
【0089】
この排出ローラ48の逆転により、2枚の後続シート(P3、P4)は載置トレイ54に2部目の載置シートBP2(P3、P4)として、載置トレイ54に図13(b)に示す状態で載置される。この時、制御CPU204は、2枚の後続シート(P3、P4)が載置完了したか否かを判定し(S106)、2枚の後続シート(P3、P4)が載置完了していないと判定した場合(S106:N)は処理を再度S106に戻し、2枚の後続シート(P3、P4)が載置完了したと判定した場合(S106:Y)は、同時束排出制御(同時束排出処理)は完了となる。
【0090】
以上が、同時束排出制御(同時束排出処理)の実行手順であり、2枚の後続シート(P3、P4)と載置トレイ54に載置されていた載置シートBP1(P1、P2)を重ね合わせて処理するので、処理時間の短縮ができ、処理スピードの向上に寄与している。
【0091】
しかし、上述した従来の同時束排出制御(同時束排出処理)では、載置シートBP1(P1、P2)の後処理にかかる時間や待機経路70に待機させる待機シートの枚数等の条件によっては載置シートBP1(P1、P2)の後処理時間を十分に確保することができずに生産性が著しく低下してしまうという課題があった。
【0092】
図9図14の例で説明したように、2枚束の1箇所綴じジョブの場合、1部目載置シートBP1(P1、P2)は載置トレイ54に載置完了すると、続けて載置シートBP1(P1、P2)の端面の1箇所に対して綴じ処理を施している。
【0093】
載置シートBP1(P1、P2)は、待機経路70へ一時的に待機させた3枚目シート(P3)と4枚目シート(P4)と共に同時束排出制御(同時束排出処理)を行っているが、1箇所綴じ処理の場合は、図11(b)で4枚目シート(P4)を受け入れる時点では、載置シートBP1(P1、P2)の綴じ処理は完了している。
【0094】
そのため、載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)による同時束排出制御(同時束排出処理)では、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への搬送を待たせる必要はなかった。
【0095】
しかし、2枚束の2箇所綴じジョブの場合は、1箇所綴じ処理に比べて、端面綴じユニット62の移動、及び2箇所目への綴じ処理が加わるため、後処理を施す時間は著しく増加する。
【0096】
従って、載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)による同時束排出制御(同時束排出処理)を行う場合は、載置シートBP1(P1、P2)に対する2箇所綴じ処理が完了する前に2枚の後続シート(P3、P4)が載置トレイ54へ搬送されることを防止するため、画像形成装置Aからの2枚の後続シート(P3、P4)の受け入れを待たせる必要があり、生産性が著しく低下してしまう。
【0097】
次に、上記問題を解決するための本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)について具体例を用いて説明する。図16図23は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)による動作説明図を、図24は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)のフローチャートを示している。フローチャートにおいては、2枚束の2箇所綴じジョブにて、1部目(載置シートBP1(P1、P2))は載置トレイ54に載置されており、3枚目シート(P3)は待機経路70に待機されている状態から動作開始することを想定しており、さらには、載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)に特化して説明している(分かりやすくするために綴じ処理や整合処理等のフローは含まない)。また、従来の同時束排出制御(同時束排出処理)については、すでに詳細に説明しているため、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)による動作説明図においては、特に従来の同時束排出制御(同時束排出処理)との制御差に特化して説明するものとする。なお、特に断りのない限り、以下の動作は後述する制御CPU204により実行される。
【0098】
図16は、3枚目シート(P3)を待機経路70に待機させた状態で4枚目シート(P4)を受け入れる状態を示している(S201)。
【0099】
続けてS202では、2枚の後続シート(P3、P4)をwpl分ずらして重ね合わせた状態で同期させて搬送ローラ44へ向かって搬送する。なお、この時点で載置シートBP1(P1、P2)への1箇所目の綴じ処理は完了しており、2箇所目の綴じ処理を施すために端面綴じユニット62を移動開始させている。
【0100】
その後、制御CPU204は2枚の後続シート(P3、P4)が待機経路70へのスイッチバック搬送開始位置に到達したか否かを判定する(S203)。2枚の後続シート(P3、P4)がスイッチバック搬送開始位置に到達していないと判定した場合(S203:N)は処理を再度S203に戻し、2枚の後続シート(P3、P4)がスイッチバック搬送開始位置に到達したと判定した場合(S203:Y)は処理をS204へ進める(図17は、2枚の後続シート(P3、P4)がスイッチバック搬送開始位置に到達した状態を示している)。
【0101】
S204では、2枚の後続シート(P3、P4)を搬送ローラ44により同期させて待機経路70へ向けてスイッチバック搬送を開始する。この時、搬送経路42と待機経路70の分岐位置に位置する切り替えゲート37は、2枚の後続シート(P3、P4)を待機経路70へ案内する図17で示す位置に移動する。4枚目シート(P4)は、従来の同時束排出制御(同時束排出処理)においては待機経路70への待機は行わずに、S202にて2枚の後続シート(P3、P4)をwpl分ずらして重ね合わせた状態で同期させて搬送ローラ44へ搬送した後、載置シートBP1(P1、P2)と合わせて同時束排出制御(同時束排出処理)を行っている。しかし、本発明においては、2枚の後続シート(P3、P4)を合わせて待機経路70へ待機させることで載置シートBP1(P1、P2)の2箇所綴じに必要な時間を確保している。
【0102】
スイッチバック搬送により2枚の後続シート(P3、P4)が分岐ローラ72にニップされると、切り替えゲート37を上昇させて搬送経路42を開放する。その後もスイッチバック搬送は継続され、制御CPU204は2枚の後続シート(P3、P4)が待機経路70へのスイッチバック搬送完了位置に到達したか否かを判定する(S205)。2枚の後続シート(P3、P4)がスイッチバック搬送完了位置に到達していないと判定した場合(S205:N)は処理を再度S205に戻し、2枚の後続シート(P3、P4)がスイッチバック搬送完了位置に到達したと判定した場合(S205:Y)は処理を次へ進める(図18は、2枚の後続シート(P3、P4)がスイッチバック搬送完了位置に到達した状態を示している)。なお、この時、端面綴じユニット62の移動は完了して2箇所目の綴じ処理を実行している。
【0103】
その後、更なる後続シートである5枚目シート(P5)を受け入れ(S206)、S207にて2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)をkpl分重ね合わせた状態で同期させて搬送ローラ44へ向かって搬送する(この状態は、図19に示している)。図19のように2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)をkpl分重ね合わせて搬送させた場合、2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)のずらし量は2枚の後続シート(P3、P4)が載置トレイ54への載置開始位置に到達するのと同時に5枚目シート(P5)が分岐位置36に到達、及び、分岐位置36からスイッチバック搬送可能なように設定されているが、このずらし量は任意に決定することが可能であり、詳細については後述する。なお、この時点で載置シートBP1(P1、P2)への2箇所目の綴じ処理は完了している。2箇所目への綴じ処理が完了すると載置シートBP1(P1、P2)は基準面57にて押し出しを開始する(この状態は、図20に示している)。
【0104】
図21は、同時束排出制御(同時束排出処理)を開始している状態を示しており、排出ローラ48により載置トレイ54上の載置シートBP1(P1、P2)と2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)を合わせてニップして第1集積トレイ24に搬送している(S208)。
【0105】
制御CPU204は、S208で実行する同時束排出制御(同時束排出処理)により2枚の後続シート(P3、P4)が載置トレイ54への載置開始位置に到達したか否かを判定する(S209)。2枚の後続シート(P3、P4)が載置開始位置に到達していないと判定した場合(S209:N)は処理を再度209に戻し、2枚の後続シート(P3、P4)が載置開始位置に到達したと判定した場合(S209:Y)はS210にて排出ローラ48を他方回転させることによる2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置を開始すると共に、搬送ローラ44を他方回転させることによる5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送を開始している(この例の場合は、排出ローラ48は5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送の一端を担ってるため搬送ローラ44の搬送速度と同期させる必要がある)。なお、この状態は図22に示しており、この時点で載置シートBP1(P1、P2)の後端は排出ローラ48を抜けているものとする。
【0106】
その後、制御CPU204は、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置が完了したか否かを判定する(S211)。2枚の後続シート(P3、P4)の載置が完了していないと判定した場合(S211:N)は処理を再度S211に戻し、2枚の後続シート(P3、P4)の載置が完了したと判定した場合(S211:Y)は処理をS212へ進める。
【0107】
続けて、S212では、制御CPU204は、5枚目シート(P5)の待機経路70への待機が完了したか否かを判定する。5枚目シート(P5)の待機が完了していないと判定した場合(S212:N)は処理をS212に戻し、5枚目シート(P5)の待機が完了したと判定した場合(S212:Y)はシート同時収納制御(収納待機並行処理)と共に同時束排出制御(同時束排出処理)を行う排出収納待機並行処理を終了する。なお、図23は載置シートBP1(P1、P2)の第1集積トレイ24への排出動作、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置動作、更なる後続シートである5枚目シート(P5)の待機経路70への待機動作の全てが完了した状態を示している。
【0108】
[シート同時収納制御(収納待機並行処理)の実施の有無]
制御CPU204は、載置シート(例えば、図9図14図16図24におけるBP1(P1、P2)など)に続くシート(例えば、図9図14図16図24におけるシート(P3)、シート(P4)、シート(P5)など)の搬入口からの搬入タイミングを認識するシート搬入タイミング認識手段を備えており、シート搬入タイミング認識手段によって認識されるシートの搬入タイミングに基づいて本発明であるシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施するか否かを判定することができる。
【0109】
例えば、2枚目シート(P2)の搬入タイミングから3枚目シート(P3)の搬入タイミングが所定タイミングよりも遅く、即ち2枚目シート(P2)の搬入3枚目シート(P3)の搬入までの時間が所定時間以上である場合(もともと生産性が遅いシステムであったり、3枚目シート(P3)が画像形成装置Aの都合により搬入タイミングが遅れてしまうケースなどが考えられる)、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施しなくても載置シートBP1(P1、P2)の後処理時間を十分に確保可能であると認識した場合は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施しないことも可能である。当然、2枚目シート(P2)の搬入タイミングから3枚目シート(P3)の搬入タイミングが所定タイミングよりも早く、即ち2枚目シート(P2)の搬入3枚目シート(P3)の搬入までの時間が所定時間未満である場合は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施する。
【0110】
また、制御CPU204は、載置シート(例えば、図9図14図16図24におけるBP1(P1、P2)など)に対して所定の後処理を施す際の時間を認識するシート後処理時間認識手段を備えており、シート後処理時間認識手段によって認識される載置シートに施される所定の後処理の時間に基づいて本発明であるシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施するか否かを判定することができる。
【0111】
例えば、図9図14で説明した2枚束の1箇所綴じジョブのように、載置シートBP1(P1、P2)に対して施される後処理時間が所定時間よりも早く、従来通りのタイミングで上流装置である画像形成装置Aからシートが搬入された場合であっても載置シートBP1(P1、P2)の後処理時間を十分に確保可能であると認識した場合は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施しないことも可能である。
【0112】
上述したように、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)は、載置シートに続くシートの搬入タイミングや載置シートに施される後処理の時間によって実施の有無を判定することが可能であるが、ここでは、一つの例として、載置シートに対する後処理モードとシート束の枚数によって本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施するか否かを判定する判定手段を紹介する。なお、シートのサイズ情報やシート種別情報(坪量の厚いシートや薄いシートなど)、その他の後処理モード(パンチや中綴じ処理など)の情報は、説明の簡略化のために省略している。
【0113】
図25は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の実施の有無の決定処理の例を示したフローチャートである。
【0114】
まず、制御CPU204は、S301にて綴じ処理を実施するか否かを判定し、綴じ処理が実施されないと判定した場合(S301:N)は本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)を実施しないように決定する(S305)。
【0115】
S301にて、綴じ処理が実施されると判定した場合(S301:Y)は、続けて2箇所綴じを実施するか否かを判定する(S302)。2箇所綴じ処理が実施されないと判定した場合(S302:N)は、制御CPU204は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)を実施しないように決定する(S305)。
【0116】
S302にて、2箇所綴じ処理が実施されると判定した場合(S302:Y)は、続けて2箇所綴じされる載置シートが2枚束か否かを判定する(S303)。2箇所綴じ処理される載置シートが2枚束より多いと判定した場合(S303:N)は、制御CPU204は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)を実施しないように決定し(S305)、2箇所綴じ処理される載置シートが2枚束である(実際には載置シートが1枚である場合はS301で綴じ処理されないと判定されるため、ここでは2枚束と限定される)と判定した場合(S303:Y)は、S304にて本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)を実施するように決定する。
【0117】
以上より、制御CPU204は、選択されたジョブが2枚束の2箇所綴じであると判定した場合は、シート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)を実施するように決定し、選択されたジョブが2枚束の2箇所綴じ以外であると判定した場合は、シート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)を実施しないように決定する。ただし、上述した例では、載置シートに対する後処理モードとシート束の枚数によって本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施するか否かを判定する判定手段について説明したが、判定基準はこれらに限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の判定基準を設けることが可能である。
【0118】
[シート同時収納制御(収納待機並行処理)のずらし量(重ね合わせ量)]
図16図24の例では、2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)は2枚の後続シート(P3、P4)が載置トレイ54への載置開始位置に到達するのと同時に5枚目シート(P5)が分岐位置36に到達、及び、分岐位置36からスイッチバック搬送可能なようにkpl分重ね合わせた状態で同期させて搬送ローラ44へ向かって搬送させている。しかし、実際には2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量が大きい程(ずらし量が小さい程)、待機経路70からの2枚の後続シート(P3、P4)の待機搬送(戻し搬送)タイミングが遅くなることで2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への搬送が遅れるため、載置シートBP1(P1、P2)の後処理時間をさらに稼ぐことが可能である。
【0119】
制御CPU204は、例えば、図16図24の5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送完了タイミングを認識するスイッチバック搬送完了タイミング認識手段、及び、例えば、図16図24の2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量を認識する重ね合わせ量認識手段を備えており、スイッチバック搬送完了タイミング認識手段によって認識される5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送完了タイミングが5枚目シート(P5)と6枚目シート(P6)の待機搬送(戻し搬送)可能な範囲であれば、重ね合わせ量認識手段によって認識される2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量を増やす(ずらし量を減らす)ことができる。
【0120】
以下、図26図28では、実際に2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量を増やした(ずらし量を減らした)場合の本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)の動作例について説明する。
【0121】
図26は、5枚目シート(P5)を受け入れ、2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)はwpl2分ずらして重ね合わせた状態で同期させて搬送ローラ44へ向かって搬送している状態を示している。
【0122】
シート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施する場合、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置開始位置に到達した際に5枚目シート(P5)のシート後端が搬送ローラ44を抜けてしまうと5枚目シート(P5)を搬送ローラ44にてスイッチバック搬送することが出来なくなってしまうため、2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)のずらし量wpl2は、排出ローラ48から搬送ローラ44の距離よりも大きくなる必要がある(図26図28の例では、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置開始位置に到達した際に5枚目シート(P5)のシート後端が搬送ローラ44の手前10mmの位置に到達するものとする)。
【0123】
図27は、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)を備えた同時束排出制御(同時束排出処理)により2枚の後続シート(P3、P4)が載置トレイ54への載置開始位置に到達した状態を示しており、この時、5枚目シート(P5)のシート後端は搬送ローラ44の手前10mmの位置に到達している。なお、この時点で載置シートBP1(P1、P2)のシート後端は排出ローラ48を抜けているものとする。
【0124】
図28は、5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送が完了した状態を示している(載置シートBP1(P1、P2)は第1集積トレイ24への排出完了、載置シートBP2(P3、P4)は載置トレイ54への載置完了している)。この時、5枚目シート(P5)に続く6枚目シート(P6)は、5枚目シート(P5)が6枚目シート(P6)と重ね合わせた状態で同期させて待機搬送(戻し搬送)可能な搬入タイミングで搬入口より搬入されてくるものとする。
【0125】
よって、スイッチバック搬送完了タイミング認識手段によって認識される5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送完了タイミングが5枚目シート(P5)と6枚目シート(P6)の待機搬送(戻し搬送)可能な範囲内のタイミングであれば(5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送の完了が間に合えば)、2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量を増やす(ずらし量を減らす)ことで載置シートBP1(P1、P2)の後処理時間をさらに稼ぐことが可能となる。
【0126】
第一の時間を要する後処理よりも、第一の時間よりも短い第二の時間を要する後処理の方が、シートの重ね合わせ量を増やす(ずらし量を減らす)ようにして、後処理の処理時間に応じて、シートの重ね合わせ量(ずらし量)を調整するようにしてもよい。
【0127】
以上より、図26図28の例で説明したように、本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)における載置トレイ54へ載置するシート(例えば、図26図28の2枚の後続シート(P3、P4))と待機経路70へスイッチバック搬送するシート(例えば、図26図28の5枚目シート(P5))の重ね合わせ量(ずらし量)は、待機経路70へスイッチバック搬送するシート(例えば、図26図28の5枚目シート(P5))のスイッチバック搬送完了タイミングにより、最適に(若しくは、任意に)決定することが可能である。
【0128】
[シート同時収納制御(収納待機並行処理)のスイッチバック搬送時間の短縮]
本発明のシート同時収納制御(収納待機並行処理)では、図16図24で説明したように、排出ローラ48による2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置を開始すると共に、搬送ローラ44による5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送を開始しているが、排出ローラ48は5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送の一旦を担っているため、搬送ローラ44の搬送速度と同期させる必要があった。(つまり、2枚の後続シート(P3、P4)の載置トレイ54への載置速度と5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送速度は同じ速度である必要がある)。
【0129】
しかし、実際には、排出ローラ48が5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送の一旦を担っているのは5枚目シート(P5)が排出ローラ48を抜けるまでであり、5枚目シート(P5)が排出ローラ48を抜けた後は搬送ローラ44による5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送速度を排出ローラ48と同期させる必要はなく、例えば、スイッチバック搬送する5枚目シート(P5)が排出ローラ48を抜けた後に搬送ローラ44によるスイッチバック搬送速度を加速させることで5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送時間をより短縮することが出来る。
【0130】
5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送完了までの時間が短縮できれば、5枚目シート(P5)に続く6枚目シート(P6)の受け入れに対する時間的余裕が生まれるため、前述したように、2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量を増やす(ずらし量を減らす)ことで載置シートBP1(P1、P2)の後処理時間をさらに稼ぐことが可能となる。
【0131】
図29(a)(b)に、5枚目シート(P5)のスイッチバック搬送速度とスイッチバック搬送が完了するまでの時間の関係図を示す。
【0132】
図29(a)の例では、スイッチバック搬送開始時の速度を600mm/sと設定しており、スイッチバック搬送が完了するまで一定速度であるものとする。なお、この時の5枚目シート(P5)が排出ローラ48を抜けるまでに経過する時間をT1、スイッチバック搬送が完了するまでの時間をT2としている。
【0133】
図29(b)の例では、スイッチバック搬送開始時の速度を600mm/sと設定しており、5枚目シート(P5)が排出ローラ48を抜けた時点でスイッチバック搬送速度を750mm/sに加速しているものとする。なお、この時の5枚目シート(P5)が排出ローラ48を抜けるまでに経過する時間をT´1、スイッチバック搬送が完了するまでの時間をT´2としている。
【0134】
図29(a)(b)の例でも分かるように、T1、T´1、及びT2、T´2の関係は、T1=T´1、及びT2>T´2となり、スイッチバック搬送する5枚目シート(P5)が排出ローラ48を抜けた後に搬送モータ44によるスイッチバック搬送速度を加速させることで5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送速度をより短縮することができる。
【0135】
以上より、5枚目シート(P5)の待機経路70へのスイッチバック搬送完了までの時間をより短縮して2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量を増やす(ずらし量を減らす)ことで載置シートBP1(P1、P2)の後処理時間をさらに稼ぐことを可能としている。
【0136】
[制御構成の説明]
上述した画像形成装置のシステム制御構成を図30のブロック図に従って説明する。図1に示す画像形成装置のシステムは画像形成装置Aの画像形成制御部200とシート処理装置Bのシート処理制御部204(制御CPU)を備えている。画像形成制御部200は、給紙制御部202と入力部203を備えている。そしてこの入力部203に設けられたコントロールパネル18から「プリントモード」「シート処理モード」の設定を行うことは既に述べた通りである。
【0137】
シート処理制御部204は、前述の指定されたシート処理モードに応じてシート処理装置Bを動作させる制御CPUである。このシート処理制御部204は、動作プログラムを記憶したROM206と、制御データを記憶するRAM207とを備えている。また、このシート処理制御部204には、搬入経路32のシートを検出する搬入センサ30S、搬送経路42のシートを検出するシートセンサ42S、分岐経路70のシートを検出する分岐センサ70S、あるいは第1集積トレイ24上の紙面検出する紙面センサ24Sなどの各種センサ入力部からの信号が入力される。
【0138】
このシート処理制御部204は、シートの搬入経路32の搬入ローラモータ34M、搬送経路42と分岐経路の搬送ローラモータ44M、載置トレイ54出口の排出ローラモータ48M、排出上ローラ48aの昇降を行う排出ローラ支持アームモータ160Mを制御するシート搬送制御部210を備えている。また、このシート処理制御部204は、パンチユニット31でシートに穿孔処理を行うパンチモータ(不図示)を制御するパンチ制御部211と、載置トレイ54でシートの集積動作を行う整合板58などを制御する載置トレイ(処理トレイ)制御部212を備えている。また、載置トレイ54上のシート束に端面綴じを行う端面綴じユニット62の端面綴じモータ62Mを制御する端面綴じ制御部213と、端面綴じしたシート束や第1集積トレイ24上へのシートスイッチバックに応じて昇降する昇降モータ24Mを制御する第1集積トレイ昇降制御部214も備えている。
【0139】
また、シート処理制御部204は、中綴じ処理するために第2処理トレイであるスタッカ84に集積するシートの中綴じ整合板81やシート先端を規制するストッパ85制御するスタッカ制御部216と、シート束の搬送方向中程を綴じる中綴じユニット82を制御する中綴じ制御部217を有している。
【0140】
さらに、シート処理制御部204は、中綴じしたシート束を二つ折りにして第2集積トレイ26に排出する折り処理部や束排紙ローラ98を制御する折り・排出制御部218を備えている。これら各制御部と搬送されるシートを検出する各センサと各駆動モータとのつながり等は既に各動作の態様においても述べた通りである。
【0141】
[シート処理モードの説明]
上述のように構成された本実施態様のシート処理制御部204はシート処理装置Bに、例えば「プリントアウトモード」「端面綴じモード(第1の処理)」「区分け(ジョグ)モード」、「中綴じモード」等の後処理を実行させる。以下、この処理モードについて述べる。
(1)「プリントアウトモード」
画像形成装置Aの本体排出口3から画像形成されたシートを受け入れ、このシートを搬送ローラ44や排出ローラ48で第1集積トレイ24に収容する。
【0142】
(2)「端面綴じモード(第1の処理)」
本体排出口3から画像形成されたシートを載置トレイ54に受け入れシートを束状に部揃えして端面綴じユニット62で綴じ処理した後、第1集積トレイ24に収納する。なお、この端面綴じ処理にあっては、本体排出口3からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送して分岐経路70に一時待機して待機シートwpとする「待機搬送(戻し搬送)」を行う。
【0143】
(3)「区分け(ジョグ)モード(第2の処理)」
本体排出口3から画像形成されたシートを載置トレイ54に受け入れシートを1枚ずつフロント側リア側いずれかの方向に片寄せシフトして綴じることなく第1集積トレイ24に収納する。片寄せシフト部材により、第1集積トレイ24上では、図8説明したように区分け(ジョグ)できる。なお、この区分け(ジョグ)にあっても、本体排出口3からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送して待機経路70に一時待機して待機シートとする「待機搬送(戻し搬送)」を行う。
【0144】
(4)「中綴じモード」
画像形成装置Aの本体排出口3から画像形成されたシートをスタッカ84に受け入れ、シートを束状に部揃えし中綴じユニット82でシートの受け入れ搬送方向の略中央を綴じ、冊子状に折り畳んで第2集積トレイ26に収納する。この中綴じ処理にあたっては、本体排出口3からのシートを第1集積トレイ24上に一旦排出し、その後分岐経路70にスイッチバック搬送してスタッカ84に搬送する「第2トレイ搬送」を行っている。
【0145】
以上のように、上述した各実施態様によれば、待機した待機シートと待機シートに続くシートを所定量重ね合わせた状態で同期させて搬送した後、待機シートを載置トレイ54へ載置すると共に待機シートに続くシートを待機経路70へ待機させるため、載置トレイ54に載置された載置シートの後処理時間を十分に確保することでジョブ全体の処理効率を向上させることが可能となる。
【0146】
尚、搬入口からのシートの搬入タイミングを認識するシート搬入タイミング認識手段によって認識されるシートの搬入タイミングに基づいて、2枚目シート(P2)の搬入タイミングから3枚目シート(P3)の搬入タイミングが所定時間より短い場合、本発明であるシート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施することは既に述べたが、所定時間より短い程度に応じて、例えば、2枚目シート(P2)の搬入タイミングから3枚目シート(P3)の搬入タイミングが所定時間より短い第一の時間に対して、更に短い第二の時間であった場合、シート同時収納制御(収納待機並行処理)を実施した上で、2枚の後続シート(P3、P4)と5枚目シート(P5)の重ね合わせ量を増やす(ずらし量を減らす)ことでシート同時収納制御(収納待機並行処理)をより確実に実施できるようにしてもよい。
【0147】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
図1
図2
図3
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図5
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