(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071364
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20220509BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220509BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220509BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220509BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20220509BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G21/00 510
G03G15/00 680
G03G21/16 120
G03G21/16 133
G03G21/18 185
B41J29/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180271
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061CG03
2C061CG11
2H171FA01
2H171FA02
2H171FA05
2H171FA09
2H171FA14
2H171HA08
2H171HA14
2H171HA20
2H171HA23
2H171JA23
2H171JA29
2H171JA49
2H171JA50
2H171JA51
2H171MA02
2H171MA07
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA09
2H171QB32
2H171QB59
2H171QC03
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA32
2H270KA04
2H270KA58
2H270LA01
2H270LA24
2H270LA54
2H270LA66
2H270LA70
2H270LA99
2H270LD05
2H270LD08
2H270NC11
2H270RA03
2H270RA10
2H270RA11
2H270RA12
2H270RA13
2H270RA15
2H270RA19
2H270RA27
2H270RB04
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】カートリッジのメモリを保護し、ドロワ側コネクタと筐体側コネクタの接続状態を利用して、ドロワが引き出されたか否かを判定すること。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、本体筐体10の開口10Aを開閉するカバー11と、メモリM1を有するカートリッジ50を保持し本体筐体10から引き出し可能なドロワ60を備える。ドロワ60は、温度センサSE1と、メモリM1および温度センサSE1と導通するドロワ側コネクタCN1を備える。本体筐体10は、制御部100と、制御部100と導通する筐体側コネクタCN2を備える。各コネクタCN1,CN2は、ドロワ60が画像形成用位置にあるときに接触し、ドロワ60が引き出されたときに離れる。制御部100は、カバー11が開けられたときに、メモリM1への通電を停止し、温度センサSE1から信号が得られなくなった場合に、ドロワ60が引き出されたと判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
前記本体筐体の開口を開閉するカバーと、
メモリを有するカートリッジを保持し前記本体筐体の画像形成用位置から前記開口を通して前記本体筐体の外に引き出し可能なドロワと、
前記ドロワに設けられた温度センサと、
前記ドロワに設けられ、前記メモリおよび前記温度センサと導通するドロワ側コネクタと、
前記本体筐体に設けられた制御部と、
前記本体筐体に設けられ、前記制御部と導通する筐体側コネクタと、を備え、
前記ドロワ側コネクタと前記筐体側コネクタは、前記ドロワが前記画像形成用位置にあるときに接触し、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたときに離れ、
前記制御部は、
前記カバーが開けられたときに、前記メモリへの通電を停止し、
前記温度センサから信号が得られなくなった場合に、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドロワは、感光体を備え、
前記本体筐体は、前記感光体に接する転写装置を備え、
前記制御部は、
前記感光体と前記転写装置の間にシートが残留しているときにジャムエラーと判定し、
前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたと判定したことに基づいて、前記ジャムエラーを解除することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されてからの経過時間が所定時間以上であると判定したことに基づいて、前記ジャムエラーを解除することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出される前と、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出された後の、前記感光体と前記転写装置の間のインピーダンスの変化に基づいて、前記ジャムエラーを解除することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度センサから信号が得られなくなっている状態から得られる状態になった場合に、前記ドロワが前記画像形成用位置に配置されたと判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ドロワが前記画像形成用位置に配置された後、前記カバーが閉められたときに、前記メモリへの通電を開始することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カートリッジは、現像剤を収容する収容部を有し、前記ドロワに着脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ドロワは、ドロワ用メモリを備え、
前記ドロワ側コネクタは、前記ドロワ用メモリに導通し、
前記制御部は、
前記カバーが開けられたときに、前記ドロワ用メモリへの通電を停止することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
本体筐体と、
前記本体筐体の開口を開閉するカバーと、
半導体素子を有するカートリッジを保持し前記本体筐体の画像形成用位置から前記開口を通して前記本体筐体の外に引き出し可能なドロワと、
前記ドロワに設けられた受動素子と、
前記ドロワに設けられ、前記半導体素子および前記受動素子と導通するドロワ側コネクタと、
前記本体筐体に設けられた制御部と、
前記本体筐体に設けられ、前記制御部と導通する筐体側コネクタと、を備え、
前記ドロワ側コネクタと前記筐体側コネクタは、前記ドロワが前記画像形成用位置にあるときに接触し、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたときに離れ、
前記制御部は、
前記カバーが開けられたときに、前記半導体素子への通電を停止し、
前記受動素子から信号が得られなくなった場合に、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記受動素子は、抵抗素子であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記抵抗素子は、温度により抵抗値が変わるサーミスタであることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジを保持するドロワを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メモリを有するカートリッジと、カートリッジが着脱可能なドロワと、ドロワを移動可能に支持する本体筐体と、を備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、ドロワは、メモリと導通するドロワ側コネクタを備え、本体筐体は、ドロワ側コネクタが接続される筐体側コネクタを備えている。そして、ドロワを画像形成用位置から引き出すと、ドロワ側コネクタが筐体側コネクタから外れる構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本願発明者は、ドロワ側コネクタと筐体側コネクタの接続状態を利用して、ドロワが画像形成用位置から引き出されたか否かを判定することができないかを検討している。しかしながら、半導体であるメモリは、電力が供給されている状態で各コネクタの接続が切られると、データが破損するおそれがある。また、メモリに電力を供給していない状態では、制御部が、各コネクタの接続が切られたか否かを判定することができないため、ドロワの引き出しを判定することができない。
【0005】
そこで、本発明は、カートリッジに設けたメモリなどの受動素子を保護しつつ、ドロワ側コネクタと筐体側コネクタの接続状態を利用して、ドロワが画像形成用位置から引き出されたか否かを判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、本体筐体と、前記本体筐体の開口を開閉するカバーと、メモリを有するカートリッジを保持し前記本体筐体の画像形成用位置から前記開口を通して前記本体筐体の外に引き出し可能なドロワと、前記ドロワに設けられた温度センサと、前記ドロワに設けられ、前記メモリおよび前記温度センサと導通するドロワ側コネクタと、前記本体筐体に設けられた制御部と、前記本体筐体に設けられ、前記制御部と導通する筐体側コネクタと、を備える。
前記ドロワ側コネクタと前記筐体側コネクタは、前記ドロワが前記画像形成用位置にあるときに接触し、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたときに離れる。
前記制御部は、前記カバーが開けられたときに、前記メモリへの通電を停止し、前記温度センサから信号が得られなくなった場合に、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたと判定する。
【0007】
この構成によれば、カバーが開けられたときにメモリへの通電を停止することで、カバーを開けた後にドロワが引き出されて各コネクタの接続が切られても、メモリへの通電が停止された状態であるので、メモリを保護することができる。また、ドロワが引き出された場合には、各コネクタの接続が切られて、温度センサから信号を得られなくなるので、制御部は、各コネクタの接続状態を利用して、ドロワが引き出されたか否かを判定することができる。なお、温度センサについては、電力供給中に各コネクタの接続が切られても、データ破損の問題がなく、その後も問題なく使用することができる。
【0008】
また、前記ドロワは、感光体を備え、前記本体筐体は、前記感光体に接する転写装置を備え、前記制御部は、前記感光体と前記転写装置の間にシートが残留しているときにジャムエラーと判定し、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたと判定したことに基づいて、前記ジャムエラーを解除してもよい。
【0009】
この構成によれば、ドロワが引き出されない限りジャムエラーが解除されないので、シートが感光体と転写装置の間に残った状態で印刷が開始されるのを抑制することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されてからの経過時間が所定時間以上であると判定したことに基づいて、前記ジャムエラーを解除してもよい。
【0011】
感光体と転写装置の間で詰まったシートを取り除く作業を行うには、ある程度時間が必要なので、ドロワが引き出されてからの経過時間をジャムエラー解除の条件とすることで、シートが感光体と転写装置の間に残った状態で印刷が開始されるのをより抑制することができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出される前と、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出された後の、前記感光体と前記転写装置の間のインピーダンスの変化に基づいて、前記ジャムエラーを解除してもよい。
【0013】
感光体と転写装置の間にシートがある場合とない場合とでは、感光体と転写装置の間のインピーダンスが異なるので、インピーダンスの変化をジャムエラー解除の条件とすることで、シートが感光体と転写装置の間に残った状態で印刷が開始されるのをより抑制することができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記温度センサから信号が得られなくなっている状態から得られる状態になった場合に、前記ドロワが前記画像形成用位置に配置されたと判定してもよい。
【0015】
ドロワが画像形成用位置に配置された場合には、各コネクタが接続して、温度センサから信号が得られなくなっている状態から得られる状態になるので、制御部は、各コネクタの接続状態を利用して、ドロワが画像形成用位置に配置されたか否かを判定することができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記ドロワが前記画像形成用位置に配置された後、前記カバーが閉められたときに、前記メモリへの通電を開始してもよい。
【0017】
例えばドロワが画像形成用位置に配置されたときにメモリへの通電を開始する形態では、ドロワを画像形成用位置に配置した直後に画像形成用位置から引き出した場合などにおいて、メモリの通電が強制的に遮断され、データが破損するおそれがある。これに対し、前述した構成では、カバーが閉められてドロワの引き出しができない状態になった後にメモリへの通電が開始されるので、メモリを保護することができる。
【0018】
また、前記カートリッジは、現像剤を収容する収容部を有し、前記ドロワに着脱可能であってもよい。
【0019】
この構成によれば、ドロワを本体筐体の外に引き出してカートリッジを着脱する際には、メモリへの通電が停止された状態であるため、メモリを保護することができる。
【0020】
また、前記ドロワは、ドロワ用メモリを備え、前記ドロワ側コネクタは、前記ドロワ用メモリに導通し、前記制御部は、前記カバーが開けられたときに、前記ドロワ用メモリへの通電を停止してもよい。
【0021】
この構成によれば、カバーが開けられたときにドロワ用メモリへの通電を停止することで、カバーを開けた後にドロワが引き出されて各コネクタの接続が切られても、ドロワ用メモリへの通電が停止された状態であるので、ドロワ用メモリを保護することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、本体筐体と、前記本体筐体の開口を開閉するカバーと、半導体素子を有するカートリッジを保持し前記本体筐体の画像形成用位置から前記開口を通して前記本体筐体の外に引き出し可能なドロワと、前記ドロワに設けられた受動素子と、前記ドロワに設けられ、前記半導体素子および前記受動素子と導通するドロワ側コネクタと、前記本体筐体に設けられた制御部と、前記本体筐体に設けられ、前記制御部と導通する筐体側コネクタと、を備える。
前記ドロワ側コネクタと前記筐体側コネクタは、前記ドロワが前記画像形成用位置にあるときに接触し、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたときに離れる。
前記制御部は、前記カバーが開けられたときに、前記半導体素子への通電を停止し、前記受動素子から信号が得られなくなった場合に、前記ドロワが前記画像形成用位置から引き出されたと判定する。
【0023】
この構成によれば、カバーが開けられたときに半導体素子への通電を停止することで、カバーを開けた後にドロワが引き出されて各コネクタの接続が切られても、半導体素子への通電が停止された状態であるので、半導体素子を保護することができる。また、ドロワが引き出された場合には、各コネクタの接続が切られて、受動素子から信号を得られなくなるので、制御部は、各コネクタの接続状態を利用して、ドロワが引き出されたか否かを判定することができる。なお、受動素子については、電力供給中に各コネクタの接続が切られても、データ破損等の問題がなく、その後も問題なく使用することができる。
【0024】
また、前記受動素子は、抵抗素子であってもよい。
【0025】
また、前記抵抗素子は、温度により抵抗値が変わるサーミスタであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、カートリッジに設けたメモリなどの受動素子を保護しつつ、ドロワ側コネクタと筐体側コネクタの接続状態を利用して、ドロワが画像形成用位置から引き出されたか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】制御部、ドロワ回路基板、および4つのトナー回路基板の間の電気的接続を示したブロック図である。
【
図5】ジャムエラー判定処理を示すフローチャートである。
【
図6】エラー解除処理を示すフローチャートである。
【
図7】エラー解除処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体筐体10と、シートPを供給する供給部20と、シートPに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成されたシートPを排出する搬送部90と、制御部100とを備えている。
【0029】
本体筐体10は、開口10Aと、開口10Aを開閉するカバー11とを有している。開口10Aは、後述するユニットUが通過可能な開口である。カバー11は、開口10Aを開ける開位置と、開口10Aを閉じる閉位置との間で回動可能となっている。
【0030】
供給部20は、シートPを収容する供給トレイ21と、供給トレイ21からシートPを画像形成部30へ搬送するシート搬送機構22とを備えている。
【0031】
画像形成部30は、スキャナユニット40と、ユニットUと、転写装置70と、定着装置80とを備えている。
【0032】
スキャナユニット40は、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。スキャナユニット40は、レーザビームを各感光ドラム61の表面上に照射する。
【0033】
ユニットUは、開口10Aを通して本体筐体10から引き出し可能となっている。ユニットUは、4つのカートリッジ50と、ドロワ60とを備えている。
【0034】
カートリッジ50は、ドロワ60に着脱可能となっている。カートリッジ50は、現像剤の一例としてのトナーを収容する収容部51と、現像ローラ52と、現像ローラ52に接触して現像ローラ52上のトナーの層厚を規制する層厚規制ブレード53と、半導体素子の一例としてのメモリM1とを備えている。4つのカートリッジ50の収容部51内には、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが収容されている。
【0035】
カートリッジ50は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが入った50Y,50M,50C,50Kの符号で示すものがシートPの搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。メモリM1には、トナーの残量などの、カートリッジ50の寿命に関する情報が記憶されている。
【0036】
ドロワ60は、各カートリッジ50を保持する部材である。ドロワ60は、本体筐体10の画像形成用位置から開口10Aを通して本体筐体10の外に、上下方向に直交した方向に引き出し可能となっている。ドロワ60は、各カートリッジ50が本体筐体10の内部に位置する画像形成位置と、各カートリッジ50が本体筐体10の外部に露出する交換用位置との間を移動可能である。ここで、画像形成用位置は、画像形成を行うときのドロワ60の位置をいう。交換用位置は、各カートリッジ50の交換を行うときのドロワ60の位置をいう。ドロワ60は、感光体の一例としての感光ドラム61と、図示せぬ帯電器と、4つのカートリッジ50を着脱可能に保持するフレーム62と、受動素子の一例としての温度センサSE1と、ドロワ用メモリM2と、ドロワ側コネクタCN1とを備えている。感光ドラム61および帯電器は、フレーム62に、4つの現像ローラ52に対応して4つ設けられている。
【0037】
フレーム62は、上下方向に直交した方向において、本体筐体10に移動可能に支持されている。温度センサSE1は、抵抗素子である。具体的には、温度センサSE1は、温度により抵抗値が変わるサーミスタである。温度センサSE1は、本体筐体10内の温度である機内温度を取得する。ドロワ用メモリM2には、感光ドラム61の総回転回数などの、感光ドラム61の寿命に関する情報が記憶されている。
【0038】
ドロワ側コネクタCN1は、配線を介して温度センサSE1、メモリM1およびドロワ用メモリM2と導通している。なお、各カートリッジ50のメモリM1は、
図3に示すように、各カートリッジ50に設けられたコネクタCN3と、ドロワ60に設けられたコネクタCN4とが接続されることで、ドロワ側コネクタCN1と導通する。
【0039】
図1に戻って、本体筐体10は、制御部100と、制御部100と配線を介して導通する筐体側コネクタCN2を備えている。ドロワ側コネクタCN1は、ドロワ60が本体筐体10の画像形成用位置に配置された状態で、筐体側コネクタCN2に接続されている。詳しくは、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたとき、ドロワ側コネクタCN1が筐体側コネクタCN2に接触する。
【0040】
また、
図2に示すように、ドロワ60が本体筐体10から引き出され、ドロワ60が交換用位置に配置された状態では、ドロワ側コネクタCN1は、筐体側コネクタCN2から離れている。詳しくは、ドロワ60が画像形成用位置から引き出され、画像形成用位置と交換用位置の間である分離位置となったとき、ドロワ側コネクタCN1が筐体側コネクタCN2から離れる。分離位置は、各カートリッジ50が本体筐体10の内部に位置する位置であり、画像形成が実行できない位置である。
【0041】
図1に戻って、転写装置70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、エンドレスベルトである。駆動ローラ71および従動ローラ72は、搬送ベルト73を回転させるローラである。転写ローラ74は、対応する感光ドラム61との間で搬送ベルト73を挟持するローラであり、各感光ドラム61に対向して4つ配置されている。転写装置70は、搬送ベルト73の上面が各感光ドラム61に接するように配置されている。
【0042】
定着装置80は、シートPにトナー像を定着させる装置である。定着装置80は、ヒータHで加熱される加熱ローラ81と、加熱ローラ81に押圧される加圧ローラ82とを備えている。
【0043】
ドロワ60が、本体筐体10の画像形成用位置にあるとき、カラープリンタ1は画像形成が可能である。画像形成用位置は、感光ドラム61と転写装置70とが接触している位置であり、スキャナユニット40が感光ドラム61の所定位置を露光可能な位置である。画像形成部30では、まず、各感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット40で露光される。これにより、各感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、現像ローラ52によって、収容部51内のトナーが、感光ドラム61上の静電潜像に供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が形成される。
【0044】
次に、搬送ベルト73上に供給されたシートPが各感光ドラム61と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム61上に形成されたトナー像がシートP上に転写される。そして、シートPが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、シートP上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0045】
搬送部90は、画像形成部30から搬出されたシートPを本体筐体10の排出トレイ13に排出する排出機構として機能するとともに、画像形成部30により一方の面に画像が形成されたシートPの表裏を反転させた状態で当該シートPを画像形成部30へ再度搬送する再搬送手段として機能している。具体的に、搬送部90は、搬送経路91と、排出ローラ92と、再搬送経路93と、を主に備えている。
【0046】
搬送経路91は、定着装置80から排出トレイ13に向けてシートPを案内する経路である。
【0047】
排出ローラ92は、正逆両方に回転可能に構成されており、正回転時には画像形成部30から搬出されたシートPを排出トレイ13に向けて排出し、逆回転時にはシートPを本体筐体10内に引き込むように搬送する。
【0048】
再搬送経路93は、画像形成部30により一方の面に画像が形成されたシートPを、供給部20の下を通して再び画像形成部30へ案内するように構成されている。
【0049】
また、カラープリンタ1は、カバー11の開閉を検知するカバー開閉センサSE2と、第1シートセンサSE3と、第2シートセンサSE4とをさらに備えている。
【0050】
カバー開閉センサSE2は、カバー11が閉じているときカバー11の一部が当たって制御部100にON信号を出力する。カバー開閉センサSE2は、カバー11が開いているときカバー11が離間して制御部100にOFF信号を出力する。
【0051】
第1シートセンサSE3および第2シートセンサSE4は、シートの有無を検知するセンサである。第1シートセンサSE3および第2シートセンサSE4は、例えば、シートPに接触することで揺動する揺動部材と、揺動部材の揺動を検知する光センサとを有する。本実施形態では、各シートセンサSE3,SE4は、揺動部材がシートPで倒されているときにON信号を出力し、揺動部材が倒されていないときにOFF信号を出力することとする。
【0052】
第1シートセンサSE3は、シートPの搬送方向において、感光ドラム61よりも上流に位置する。第2シートセンサSE4は、シートPの搬送方向において、第1シートセンサSE3よりも下流、詳しくは、加熱ローラ81よりも下流に位置する。
【0053】
図3に示すように、制御部100は、メイン回路基板101と、CPU等のプロセッサ102と、記憶媒体である本体メモリ103とを有する。制御部100は、プログラムに従ってプロセッサ102が動作することにより、様々な処理を実行する。ドロワ60は、ドロワ用メモリM2および温度センサSE1を有するドロワ回路基板601を備えている。各カートリッジ50は、メモリM1を有するトナー回路基板501を備えている。
【0054】
メイン回路基板101は、メイン端子510を有する。トナー回路基板501は、トナー端子550を有する。ドロワ回路基板601は、配線およびコネクタCN1,CN2を介してメイン端子510に接続される第1端子520と、配線およびコネクタCN3,CN4を介して各カートリッジ50のそれぞれのトナー端子550に接続される4つの第2端子530と、第1端子520と各第2端子530を繋ぐ中継線540とを有する。
【0055】
メイン端子510は、メイン電圧端子511、メイン接地端子512、メインクロック端子513、5つのメイン信号端子514および2つのメインセンサ端子515を含む。第1端子520は、第1電圧端子521、第1接地端子522、第1クロック端子523、5つの第1信号端子524および2つの第1センサ端子525を含む。コネクタCN1,CN2が接続された状態において、電圧端子511,521と、接地端子512,522と、クロック端子513,523と、信号端子514,524と、センサ端子515,525は、それぞれ電気的に接続されている。
【0056】
第2端子530は、各カートリッジ50に対応した位置にそれぞれ1つずつ、合計4つ設けられている。第2端子530は、第2電圧端子531、第2接地端子532、第2クロック端子533および第2信号端子534を含む。電圧端子521,531と、接地端子522,532と、クロック端子523,533と、信号端子524,534は、それぞれ中継線540を介して電気的に接続されている。
【0057】
また、第1電圧端子521、第1接地端子522、第1クロック端子523および第1信号端子524は、中継線540を介してドロワ用メモリM2に電気的に接続されている。第1センサ端子525は、配線を介して温度センサSE1に電気的に接続されている。
【0058】
トナー端子550は、トナー電圧端子551、トナー接地端子552、トナークロック端子553およびトナー信号端子554を含む。コネクタCN3,CN4が接続された状態において、電圧端子531,551と、接地端子532,552と、クロック端子533,553と、信号端子534,554は、それぞれ電気的に接続されている。また、トナー電圧端子551、トナー接地端子552、トナークロック端子553およびトナー信号端子554は、メモリM1に電気的に接続されている。
【0059】
なお、前述した電圧端子511,521,531,551は、電源電圧を供給するための端子である。接地端子512,522,532,552は、接地電圧を供給するための端子である。クロック端子513,523,533,553は、一定の時間間隔でクロック信号を供給するための端子である。信号端子514,524,534,554は、種々の情報を示す信号を送受信するための端子である。センサ端子515,525は、温度センサSE1に通電するための端子である。
【0060】
制御部100は、カバー11が開けられたときに、各メモリM1,M2への通電を停止し、温度センサSE1から信号が得られなくなった場合に、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されたと判定する機能を有している。詳しくは、制御部100は、カバー開閉センサSE2からの信号に基づいてカバー11が開けられたと判定すると、各端子511~514への通電を停止することで各メモリM1,M2への通電を停止し、メインセンサ端子515への通電は継続することで温度センサSE1への通電は継続する。そして、ドロワ60が引き出されることによりコネクタCN1,CN2が外れると、制御部100は、温度センサSE1から信号を得ることができなくなるので、信号が得られなくなったことに基づいて、ドロワ60が引き出されたと判定する。温度センサSE1から信号が得られない状態は、具体的にはサーミスタである温度センサSE1の抵抗値が所定の範囲を超えた状態である。
【0061】
制御部100は、印刷中にシートPが停止するジャムエラーが発生したか否かを判定する機能を有している。詳しくは、制御部100は、第1シートセンサSE3付近でシートPが詰まる第1ジャムエラーと、第1シートセンサSE3と第2シートセンサSE4の間でシートPが詰まる第2ジャムエラーと、第2シートセンサSE4付近でシートPが詰まる第3ジャムエラーと、を判定可能となっている。
【0062】
制御部100は、第1シートセンサSE3からON信号が出力されている時間が、シート長さ時間を超えた場合、つまり、シートPが第1シートセンサSE3付近で詰まって第1シートセンサSE3が倒れっぱなしになっている場合に、第1ジャムエラーと判定する。ここで、シート長さ時間は、シートPの長さに対応した時間である。シートPが第1シートセンサSE3を正常に通過する場合には、シートPの長さをシートPの搬送速度で割った時間だけ、第1シートセンサSE3がONになるため、この時間よりも長い時間にシート長さ時間が設定されている。
【0063】
制御部100は、第1シートセンサSE3で所定のシートPが検知されてから所定時間以内に第2シートセンサSE4で所定のシートPが検知されなかった場合、つまり、シートPが第1シートセンサSE3を正常に通過したが、第2シートセンサSE4に達する前に詰まった場合に、第2ジャムエラーが発生したと判定する。そのため、制御部100は、感光ドラム61と転写装置70の間にシートPが残留しているときに第2ジャムエラーと判定する。
【0064】
制御部100は、第2シートセンサSE4からON信号が出力されている時間が、シート長さ時間を超えた場合、つまり、シートPが第2シートセンサSE4付近で詰まって第2シートセンサSE4が倒れっぱなしになっている場合に、第3ジャムエラーと判定する。
【0065】
制御部100は、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されたと判定したことに基づいて、ジャムエラーを解除する機能を有している。詳しくは、制御部100は、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されてからの経過時間が所定時間以上であると判定したことに基づいて、ジャムエラーを解除する機能を有している。ここで、所定時間は、本体筐体10内で詰まったシートPをユーザが取り除くために最低限必要な時間に設定されている。
【0066】
なお、本実施形態において、ジャムエラーの解除条件は、前述したドロワ60が引き出されたこと、および、経過時間が所定時間以上であることを含む他、カバー11の開閉の条件と、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたことと、各シートセンサSE3,SE4がOFFであることを含んでいる。
【0067】
制御部100は、温度センサSE1から信号が得られなくなっている状態から得られる状態になった場合に、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたと判定する機能を有している。詳しくは、ドロワ60が画像形成用位置に配置されるとコネクタCN1,CN2が接続されて、温度センサSE1から信号を得ることが可能となるので、制御部100は、信号が得られなくなっている状態から得られる状態になったことに基づいて、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたと判定する。
【0068】
制御部100は、ドロワ60が画像形成用位置に配置された後、カバー11が閉められたときに、各メモリM1,M2への通電を開始する機能を有している。
【0069】
次に、制御部100の動作について詳細に説明する。
制御部100は、印刷指令を受けると、
図4に示す印刷処理を実行する。
【0070】
印刷処理において、制御部100は、まず、印刷を開始させる(S1)。ステップS1の後、制御部100は、ジャムエラー判定処理を実行する(S2)。なお、ジャムエラー判定処理については、後で詳述する。
【0071】
ステップS2の後、制御部100は、ジャムエラーが発生したか否か、詳しくはジャムエラー判定処理においてジャムエラーが発生したと判定したか否かを判定する(S3)。ステップS3においてジャムエラーが発生したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、印刷を中止する(S4)。
【0072】
ステップS4の後、制御部100は、エラー解除処理を実行する(S5)。なお、エラー解除処理については、後で詳述する。
【0073】
ステップS5の後、制御部100は、エラー解除処理においてジャムエラーが解除されたか否かを判定する(S6)。ステップS6においてジャムエラーが解除されていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS5の処理に戻る。
【0074】
ステップS6においてジャムエラーが解除されたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、印刷を再開する(S7)。ステップS7の後、または、ステップS3でNoと判定した場合には、制御部100は、印刷が終了したか否かを判定する(S8)。
【0075】
ステップS8において印刷が終了していないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS2の処理に戻る。ステップS8において印刷が終了したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、本処理を終了する。
【0076】
図5に示すように、ジャムエラー判定処理において、制御部100は、まず、第1シートセンサSE3がONになったか否かを判定する(S31)。ステップS31において第1シートセンサSE3がONになっていないと判定した場合には(No)、制御部100は、本処理を終了する。
【0077】
ステップS31において第1シートセンサSE3がONになったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1シートセンサSE3のON時間がシート長さ時間を超えたか否かを判定する(S32)。ステップS32において第1シートセンサSE3のON時間がシート長さ時間を超えたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1ジャムエラーが発生したと判定して(S33)、本処理を終了する。
【0078】
ステップS32において第1シートセンサSE3のON時間がシート長さ時間を超えていないと判定した場合には(No)、制御部100は、第1シートセンサSE3がOFFになったか否かを判定する(S34)。
【0079】
ステップS34において第1シートセンサSE3がOFFになっていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS32の処理に戻る。ステップS34において第1シートセンサSE3がOFFになったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1シートセンサSE3がONになってから所定時間以内に第2シートセンサSE4がONになったか否かを判定する(S35)。
【0080】
ステップS35において第1シートセンサSE3のONから所定時間以内に第2シートセンサSE4がONにならなかったと判定した場合には(No)、制御部100は、第2ジャムエラーが発生したと判定して(S36)、本処理を終了する。ステップS35でYesと判定した場合には、制御部100は、第2シートセンサSE4のON時間がシート長さ時間を超えたか否かを判定する(S37)。
【0081】
ステップS37において第2シートセンサSE4のON時間がシート長さ時間を超えたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第3ジャムエラーが発生したと判定して(S38)、本処理を終了する。ステップS37でNoと判定した場合には、制御部100は、第2シートセンサSE4がOFFになったか否かを判定する(S39)。
【0082】
ステップS39において第2シートセンサSE4がOFFになっていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS37の処理に戻る。ステップS39において第2シートセンサSE4がOFFになったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、本処理を終了する。
【0083】
図6に示すように、エラー解除処理において、制御部100は、まず、カバー開閉センサSE2からの信号に基づいて、カバー11が開けられたか否かを判定する(S61)。ステップS61においてカバー11が開けられていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ジャムエラーを解除せずに、本処理を終了する。
【0084】
ステップS61においてカバー11が開けられたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、各メモリM1,M2への通電を停止する(S62)。ステップS62の後、制御部100は、各コネクタCN1,CN2の接続状態に基づいて、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されたか否かを判定する(S63)。詳しくは、ステップS63において、制御部100は、ドロワ60に設けた温度センサSE1から応答があるか否かを判定し、応答がない場合に、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されたと判定する。ステップS63においてドロワ60が引き出されていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ジャムエラーを解除せずに、本処理を終了する。
【0085】
ステップS63においてドロワ60が引き出されたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、ドロワ60が引き出されてからの経過時間の計測を開始する(S64)。ステップS64の後、制御部100は、各コネクタCN1,CN2の接続状態に基づいて、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたか否かを判定する(S65)。詳しくは、ステップS65において、制御部100は、ドロワ60に設けた温度センサSE1から応答があるか否かを判定し、応答がある場合に、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたと判定する。
【0086】
ステップS65においてドロワ60が画像形成用位置に配置されていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS65の処理を繰り返す。ステップS65においてドロワ60が画像形成用位置に配置されたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、カバー開閉センサSE2からの信号に基づいて、カバー11が閉じられたか否かを判定する(S66)。
【0087】
ステップS66においてカバー11が閉じられていないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS65の処理に戻る。ステップS66においてカバー11が閉じられたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、各メモリM1,M2への通電を開始する(S67)。
【0088】
ステップS67の後、制御部100は、ドロワ60が引き出されてからの経過時間が所定時間以上であるか否かを判定する(S68)。ステップS68において経過時間が所定時間以上でないと判定した場合には(No)、制御部100は、ジャムエラーを解除せずに、本処理を終了する。
【0089】
ステップS68において経過時間が所定時間以上であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、各シートセンサSE3,SE4がOFFであるか否かを判定することで、第1シートセンサSE3または第2シートセンサSE4の揺動部材を倒した状態に保持しているシートPが取り除かれたか否かを判定する(S69)。なお、ステップS69の処理は、第1ジャムエラーまたは第3ジャムエラーの発生時に特に有効であるが、第2ジャムエラー発生時においても、エラーの原因となっているシートP以外のシートPが揺動部材を倒した状態で止まっている場合もあるので有効である。
【0090】
ステップS69において各シートセンサSE3,SE4がOFFであると判定した場合には(Yes)、制御部100は、ジャムエラーを解除し(S70)、経過時間をリセットして(S71)、本処理を終了する。ステップS68,S69においてNoと判定した場合には、制御部100は、ジャムエラーを解除せずに、本処理を終了する。
【0091】
次に、制御部100の動作の一例について詳細に説明する。
制御部100は、印刷中にジャムエラーが発生した場合には、印刷を中止する(
図4のS2~S4)。ジャムエラーにより印刷が中止された場合、ユーザは、
図1および
図2に示すように、カバー11を開ける。これにより、カバー開閉センサSE2からOFF信号が制御部100に出力されるので、制御部100は、カバー11が開けられたと判定して、各メモリM1,M2への通電を停止する(
図6のS61,S62)。
【0092】
その後、ユーザが、ドロワ60を画像形成用位置から引き出すと、ドロワ側コネクタCN1が筐体側コネクタCN2から外れる。これにより、制御部100は、温度センサSE1から応答を得られなくなるので、ドロワ60が画像形成用位置から引き出されたと判定して、経過時間の計測を開始する(S63,S64)。
【0093】
ユーザは、ドロワ60を引き出した後、本体筐体10内で詰まったシートPを取り除く。シートPを取り除く除去作業にかかる時間は、所定時間以上となる。なお、この例では、除去作業において、本体筐体10内に詰まったすべてのシートPが取り除かれたこととする。
【0094】
ユーザは、シートPを取り除くと、ドロワ60を画像形成用位置に戻す。これにより、ドロワ側コネクタCN1が筐体側コネクタCN2に接続されるので、制御部100は、温度センサSE1から応答を得ることが可能となって、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたと判定する(S65)。
【0095】
ユーザは、ドロワ60を画像形成用位置に戻した後、カバー11を閉める。これにより、カバー開閉センサSE2からON信号が制御部100に出力されるので、制御部100は、カバー11が閉められたと判定して、各メモリM1,M2への通電を開始する(S66,S67)。つまり、制御部100は、カバー11が閉められることでユーザがドロワ60にアクセスできない状態になった後に、各メモリM1,M2への通電を開始する。
【0096】
その後、制御部100は、ステップS68で経過時間が所定時間以上であると判定した後(S68:Yes)、各シートセンサSE3,SE4がOFFになっていると判定して(S69:Yes)、ジャムエラーを解除する(S70)。なお、ユーザがドロワ60を引き出した後、除去作業を行わずに、ドロワ60を画像形成用位置に戻してカバー11を閉めた場合には、経過時間が所定時間以上にならないので、制御部100は、ステップS68でNoと判定して、ジャムエラーを解除しない。また、除去作業において第1シートセンサSE3または第2シートセンサSE4付近で詰まったシートPを取り除かれなかった場合には、制御部100は、ステップS69でNoと判定して、ジャムエラーを解除しない。
【0097】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
カバー11が開けられたときに各メモリM1,M2への通電を停止することで、カバー11を開けた後にドロワ60が引き出されて各コネクタCN1,CN2の接続が切られても、各メモリM1,M2への通電が停止された状態であるので、各メモリM1,M2を保護することができる。また、ドロワ60が引き出された場合には、各コネクタCN1,CN2の接続が切られて、温度センサSE1から信号を得られなくなるので、制御部100は、各コネクタCN1,CN2の接続状態を利用して、ドロワ60が引き出されたか否かを判定することができる。なお、温度センサSE1については、電力供給中に各コネクタCN1,CN2の接続が切られても、データ破損の問題がなく、その後も問題なく使用することができる。
【0098】
ジャムエラー発生後、ドロワ60が引き出されない限りジャムエラーが解除されないので、シートPが本体筐体10内に残った状態で印刷が開始されるのを抑制することができる。
【0099】
本体筐体10内で詰まったシートPを取り除く作業を行うには、ある程度時間が必要なので、ドロワ60が引き出されてからの経過時間をジャムエラー解除の条件とすることで、シートPが本体筐体10内に残った状態で印刷が開始されるのをより抑制することができる。
【0100】
ドロワ60が画像形成用位置に配置された場合には、各コネクタCN1,CN2が接続して、温度センサSE1から信号が得られなくなっている状態から得られる状態になるので、制御部100は、各コネクタCN1,CN2の接続状態を利用して、ドロワ60が画像形成用位置に配置されたか否かを判定することができる。
【0101】
例えばドロワ60が画像形成用位置に配置されたときに各メモリM1,M2への通電を開始する形態では、ドロワ60を画像形成用位置に配置した直後に画像形成用位置から引き出した場合などにおいて、各メモリM1,M2の通電が強制的に遮断され、データが破損するおそれがある。これに対し、本実施形態では、カバー11が閉められてドロワ60の引き出しができない状態になった後に各メモリM1,M2への通電が開始されるので、各メモリM1,M2を保護することができる。
【0102】
ドロワ60を本体筐体10の外に引き出してカートリッジ50を着脱する際には、各メモリM1,M2への通電が停止された状態であるため、各メモリM1,M2を保護することができる。
【0103】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造や処理には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0104】
ジャムエラーの解除条件は、前記実施形態に限定されない。例えば、
図7に示すように、ジャムエラーの解除条件は、前述した各条件に加えて、感光ドラム61と転写装置70の間のインピーダンスの条件を含んでいてもよい。
【0105】
具体的に、この形態では、制御部100は、ドロワ60が画像形成用位置から引き出される前と、ドロワ60が画像形成用位置から引き出された後のインピーダンスの変化に基づいて、ジャムエラーを解除する。詳しくは、制御部100は、
図7に示すエラー解除処理を実行する。
図7に示すエラー解除処理は、
図6に示すエラー解除処理におけるステップS61~S71を有する他、新たなステップS91~S95の処理を有する。
【0106】
図7に示すエラー解除処理において、制御部100は、まず、ジャムエラーの種類が第2ジャムエラーであるか否かを判定する(S91)。言い換えると、ステップS91において、制御部100は、実質、感光ドラム61と転写装置70の間にシートPが存在するか否かを判定している。
【0107】
ステップS91において第2ジャムエラーであると判定した場合には(Yes)、制御部100は、感光ドラム61と転写装置70の間に電流を流すことで、第2ジャムエラーが発生してからドロワ60が画像形成用位置から引き出される前までの期間におけるインピーダンスである第1インピーダンスZ1を測定する(S92)。ここで、感光ドラム61と転写装置70の間にシートPが存在する場合には、シートPが存在しない場合よりも、インピーダンスの値は大きくなる。
【0108】
ステップS92の後、制御部100は、ステップS61~ステップS68の処理を適宜実行する。また、ステップS91において第2ジャムエラーでないと判定した場合には(No)、制御部100は、第1インピーダンスZ1を測定せずに、ステップS61~ステップS68の処理を適宜実行する。
【0109】
ステップS68においてYesと判定した場合には、制御部100は、ジャムエラーの種類が第2ジャムエラーであるか否かを判定する(S93)。ステップS93において第2ジャムエラーであると判定した場合には(Yes)、制御部100は、ドロワ60が画像形成用位置から引き出された後のインピーダンスである第2インピーダンスZ2を測定する(S94)。
【0110】
ステップS94の後、制御部100は、第2インピーダンスZ2が第1インピーダンスZ1よりも小さいか否かを判定する(S95)。ここで、感光ドラム61と転写装置70の間にあるシートPがユーザにより取り除かれると、第2インピーダンスZ2が第1インピーダンスZ1よりも小さくなる。そのため、ステップS95において、制御部100は、実質、感光ドラム61と転写装置70の間からシートPが取り除かれたか否かを判定している。
【0111】
ステップS95においてZ1>Z2でないと判定した場合には(No)、制御部100は、第2ジャムエラーを解除することなく、本処理を終了する。ステップS95においてZ1>Z2であると判定した場合(Yes)、または、ステップS93でNoと判定した場合には、制御部100は、ステップS69~S71の処理を適宜実行する。
【0112】
以上、
図7の形態によれば、インピーダンスの変化を第2ジャムエラーの解除条件とするので、シートPが感光ドラム61と転写装置70の間に残った状態で印刷が開始されるのをより抑制することができる。
【0113】
半導体素子は、メモリM1,M2に限らず、どのような半導体素子であってもよい。また、受動素子は、サーミスタに限らず、サーミスタ以外の抵抗素子であってもよいし、抵抗素子以外の受動素子であってもよい。
【0114】
前記実施形態では、感光体として感光ドラム61を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
【0115】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0116】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 カラープリンタ
10 本体筐体
10A 開口
11 カバー
50 カートリッジ
60 ドロワ
100 制御部
CN1 ドロワ側コネクタ
CN2 筐体側コネクタ
M1 メモリ
SE1 温度センサ