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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071365
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】磁石列ユニットおよび電磁装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20220101AFI20220509BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20220509BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20220509BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H02K1/27 502A
H02K21/22 M
H02K41/03 A
H02K21/14 M
H02K1/27 501A
H02K1/27 501M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180272
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】516360616
【氏名又は名称】橘コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】石山 里丘
【テーマコード(参考)】
5H621
5H622
5H641
【Fターム(参考)】
5H621AA02
5H621BB07
5H621HH01
5H622AA02
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CB02
5H622DD02
5H622QB02
5H641BB06
5H641GG02
5H641HH03
5H641HH05
(57)【要約】
【課題】従来よりも生産性を向上させ、コストを低減することができる等のハルバッハ配列磁石列ユニットまたはそれを適用した電磁装置を提供すること。
【解決手段】
複数の永久磁石11を所定の配列方向にそれぞれの磁極の向きを90°ずつ回転させて配列してなるハルバッハ配列において、互いに隣接する2つの永久磁石11の間に、着磁されていない磁性体12を配置する。電磁装置30は、回転軸311を中心とした円筒状のアウターロータ31と、アウターロータ31の内側でコイル322を磁石列に対向して配置された円筒状のステータ32とを備え、アウターロータ31の磁石列に上記のハルバッハ配列を適用する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の永久磁石を所定の配列方向に配列してなる磁石列ユニットであって、
前記各永久磁石が、その磁極の向きを前記配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている磁石列ユニット。
【請求項2】
前記配列方向に沿う配列線と前記各永久磁石の磁極の向きとが45°で交差している、請求項1に記載の磁石列ユニット。
【請求項3】
回転軸を中心とした所定半径の配列線に沿って複数の永久磁石が環状に配列されて円筒状の磁石列をなし、前記回転軸を中心に回転可能に設けられたアウターロータと、
円筒状のコアおよび前記コアの外周沿って環状に配列された複数のコイルを有し、前記アウターロータの内側で前記コイルが前記磁石列に対向して配置されたステータとを備えた電磁装置であって、
前記アウターロータの磁石列を構成する前記各永久磁石が、その磁極の向きを前記配列線に沿う配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている、回転電磁装置。
【請求項4】
前記アウターロータの磁石列を構成する前記永久磁石の個数がn個の場合において、互いに隣接する2つの前記永久磁石の磁極の向きがなす角度が90°+360°/nである、請求項3に記載の回転電磁装置。
【請求項5】
回転軸を中心とした所定半径の配列線に沿って複数の永久磁石が環状に配列されて円筒状の磁石列をなし、前記回転軸を中心に回転可能に設けられたインナーロータと、
円筒状のコアおよび前記コアの内周に沿って環状に配列された複数のコイルを有し、前記インナーロータの外側で前記コイルが前記磁石列に対向して配置されたステータとを備えた電磁装置であって、
前記インナーロータの磁石列を構成する前記各永久磁石が、その磁極の向きを前記配列線に沿う配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている、回転電磁装置。
【請求項6】
前記インナーロータの磁石列を構成する前記永久磁石の個数がn個の場合において、互いに隣接する2つの前記永久磁石の磁極の向きがなす角度が90°-360°/nである、請求項5に記載の回転電磁装置。
【請求項7】
長手方向に沿って複数のコイルが配列されてなる固定子と、
前記コイルに対向し前記長手方向に沿って移動可能に設けられ、複数の永久磁石が直線状に配列されてなる可動子とを備えたリニアモータであって、
前記可動子の磁石列を構成する前記各永久磁石が、その磁極の向きを配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている、リニアモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機、発電機、電磁誘導装置またはMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の強磁界電磁機器・装置の磁気回路に好適に利用可能な磁石配列構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機または発電機等の電磁機器におけるエネルギー変換効率の向上のため、ハルバッハ配列という周期的な強磁界を生じさせる永久磁石の配列法が知られている。一般的な磁石配列では、複数の永久磁石をN極とS極との向きがそれぞれ交互に反転するように配置しているが、ハルバッハ配列においては、磁石の各磁極を配列方向に90°ずつ回転させて配置している。このような磁石の配列により、磁石列の片面側に磁束を集中させることができる(図1参照)。また、2つのハルバッハ磁石列を対向させて得られる正弦波状の磁界は、界磁ギャップ長を広げても磁束密度があまり低下しないことが知られている。このような特性を利用して、これまでに、例えばデュアルハルバッハ配列と電機子コイルとの鎖交磁束数の最適化を図った電磁誘導装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-215021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようにハルバッハ配列では、互いに隣接する永久磁石の磁極の向きが90°異なっている。そのような磁極配列の構造上、特にネオジム磁石等の強い磁力を有する永久磁石を配列する場合には、互いの磁力の相互作用(反発力と吸着力)が甚大となり、そのため磁石列の製造を自動化することは容易ではなかった。また、ハルバッハ配列された磁石列ユニットは、N極とS極が交互に反転する一般的な磁石列よりも使われる永久磁石の量が多く、コストが嵩むという課題もある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、従来よりも生産性を向上させることができ、またコストを低減することができる等の磁石列ユニットおよびそれを用いた電磁装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、複数の永久磁石を所定の配列方向に配列してなる磁石列ユニットであって、前記各永久磁石が、その磁極の向きを前記配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている磁石列ユニットである。
【0007】
磁石列ユニットは、前記配列方向に沿う配列線と前記各永久磁石の磁極の向きとが45°で交差しているものでもよい。
【0008】
また、本発明は、回転軸を中心とした所定半径の配列線に沿って複数の永久磁石が環状に配列されて円筒状の磁石列をなし、前記回転軸を中心に回転可能に設けられたアウターロータと、円筒状のコアおよび前記コアの外周沿って環状に配列された複数のコイルを有し、前記アウターロータの内側で前記コイルが前記磁石列に対向して配置されたステータとを備えた電磁装置であって、前記アウターロータの磁石列を構成する前記各永久磁石が、その磁極の向きを前記配列線に沿う配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている、回転電磁装置である。
【0009】
回転電磁装置は、前記アウターロータの磁石列を構成する前記永久磁石の個数がn個の場合において、互いに隣接する2つの前記永久磁石の磁極の向きがなす角度が90°+360°/nであることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、回転軸を中心とした所定半径の配列線に沿って複数の永久磁石が環状に配列されて円筒状の磁石列をなし、前記回転軸を中心に回転可能に設けられたインナーロータと、円筒状のコアおよび前記コアの内周に沿って環状に配列された複数のコイルを有し、前記インナーロータの外側で前記コイルが前記磁石列に対向して配置されたステータとを備えた電磁装置であって、前記インナーロータの磁石列を構成する前記各永久磁石が、その磁極の向きを前記配列線に沿う配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている、回転電磁装置である。
【0011】
回転電磁装置は、前記インナーロータの磁石列を構成する前記永久磁石の個数がn個の場合において、互いに隣接する2つの前記永久磁石の磁極の向きがなす角度が90°-360°/nであることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、長手方向に沿って複数のコイルが配列されてなる固定子と、前記コイルに対向し前記長手方向に沿って移動可能に設けられ、複数の永久磁石が直線状に配列されてなる可動子とを備えたリニアモータであって、前記可動子の磁石列を構成する前記各永久磁石が、その磁極の向きを配列方向に90°ずつ回転させて配置されており、かつ、互いに隣接する2つの永久磁石の間に着磁されていない磁性体が配置されている、リニアモータである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりも生産性を向上させることができ、また製造コストを低減させた磁石列ユニット、回転電磁装置またはリニアモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のハルバッハ配列及び発生する磁界を説明するための図である。
図2】本発明の第1の実施形態による磁石列ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図3図2の磁石列ユニットの配列方向を直線に展開した場合の断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態による磁石列ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図5図4の磁石列ユニットの配列方向を直線に展開した場合の断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態による回転電磁装置の構成を模式的に示す断面図である。
図7】比較例による回転電磁装置の構成を模式的に示す断面図である。
図8】本発明の第4の実施形態による回転電磁装置の構成を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の第5の実施形態によるリニアモータの構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態をいくつか説明する。参照される各図面において、共通しまたは対応する構成要素については同一の符号を付している。また、各図面において、磁石列を構成する永久磁石要素に付した矢印の方向は、当該永久磁石が着磁しているS極からN極に向かう磁極の向きを示している。
【0016】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態による磁石列ユニット10を模式的に示す断面図である。図3は、図2の磁石列の配列方向を直線に展開した場合の断面図である。本実施形態において磁石列ユニット10は、着磁された永久磁石11と、着磁されていない磁性体12とが、交互に、仮想の配列線13に沿って複数配列して形成されている。複数の永久磁石11、11、・・・は、それぞれの磁極の向きが配列線13の方向(これを「配列方向」という。)に沿って90°ずつ回転させて配置された、いわゆるハルバッハ配列を構成している。
【0017】
ここで、ハルバッハ配列では、永久磁石11、11、・・・が配列方向に沿ってそれぞれの磁極の向きを90°ずつ回転させて配置されることから、配列の一方の側(例えば図2では外側、図3では上側)に強められた周期的な磁界を生じさせ、配列の他方の側(例えば図2では内側、図3では下側)では発生する磁界が弱められる。
【0018】
永久磁石11は、例えばネオジム磁石(Nd-Fe-B)、サマコバ磁石(Sm-Co)、フェライト磁石等であるが、強磁界を生じさせるものであればこれらに限定されない。
【0019】
互いに隣接する2つの永久磁石11、11の間には、着磁されていない磁性体12が配置されている。磁性体12の材料としては、純鉄、工業用純鉄、電気鉄、低炭素鋼、ケイ素鋼等の強磁性体を用いることができる。
【0020】
永久磁石11と磁性体12とは、例えば樹脂系接着材で互いに接着されている。また、図示はしないが、アルミニウムやステンレス等の非磁性体または鉄などの強磁性体の基板上に永久磁石11および磁性体12を接着・固定してもよい。
【0021】
永久磁石と着磁されていない磁性体の割合(容積比)は永久磁石を1とすると1:0.5~1:1.5、好ましくは1:0.8~1:1.2、最も好ましくは1:0.9~1:1.1とする磁石列ユニットである。着磁されていない磁性体の割合が小さいと出力のトルクは大きくなるが、コストも高くなる。また、着磁されていない磁性体の割合が大きいと、コストは安くなるが出力トルクがちいさくなる。トルクリップルは着磁されていない磁性体の割合が大きすぎても小さすぎても増大する。
【0022】
本実施形態の磁石列ユニット10によれば、次の有利な効果を奏する。
(1)磁極の向きがそれぞれ異なる2つの永久磁石11、11の間に、着磁されていない磁性体12を介在させてハルバッハ配列を構成するようにした。それにより、永久磁石11を装着する際の反発力を低減させ、逆に磁性体12に対しては吸着力が作用するため、磁石列のアッセンブルが容易となる。
(2)また、従来のハルバッハ配列よりも永久磁石の量を少なくすることができ、製造コストを抑えることができる。
(3)また、着磁されていない磁性体12が、両端の永久磁石11、11によってなだらかに分極し、正弦波に近い磁界を生じさせることができる。したがって、モータ等の磁気回路に用いた場合に、コギングやトルクリップル(脈動)の発生を従来よりも低減させることができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態による磁石列ユニット20の模式断面図である。図5は、図4の磁石列の配列方向を直線に展開した場合の断面図である。本実施形態において磁石列ユニット20は、互いに隣接する2つの永久磁石11、11の間に、着磁されていない磁性体12が配置されている。永久磁石11、11、・・・は、それぞれの磁極の向きが、配列方向に90°ずつ回転させて配置されている。ただし、各永久磁石11の磁極の向きは、それらの配列方向に沿う配列線13に対し45°で交差している。
【0024】
第2の実施形態による磁石列ユニット20も、上述の第1の実施形態による磁石列ユニット10と同様に従来よりも製造し易く、コストを低減することができる。また、ハルバッハ配列させた永久磁石11の磁極の向きを配列線13に対し45°に交差させたことにより、磁界をより滑らかな正弦波に近づけることができる。
【0025】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、シングルハルバッハ配列アウターロータ型の回転電磁装置30を説明する。ここで、図6は、回転電磁装置30の構成を模式的に示す断面図である。回転電磁装置30は、例えば回転モータであるが、例えば図示しないタービンにアウターロータ31を連結させた発電機に本磁気回路を応用してもよい。なお、図6は、アウターロータ31の回転軸311に直交する面で切断した場合の断面を示している。
【0026】
アウターロータ31は、上述した第1の実施形態の磁石列を、回転軸311を中心軸とする所定半径の円筒状に形成したものである。すなわち、複数の永久磁石11、11、・・・は、回転軸311を中心とした円状の配列線312に沿って、その磁極の向きを90°ずつ回転させて等間隔に配置されている。また、互いに隣接する2つの永久磁石11、11の間には、着磁されていない磁性体12が配置されている。
【0027】
アウターロータ31の磁石列を構成する永久磁石11、11、・・・の個数をn個(nは正の整数である。)とした場合、互いに隣接する2つの永久磁石11、11の磁極の向きがなす角度は、配列線に沿って配列方向に90°ずつ回転されて配置されることから、90°+360°/nとすることが好ましい。このような磁石列により、アウターロータ31の半径方向の内側に滑らかな正弦波状の強い磁界を生じさせることができる。
【0028】
なお、図6には8個(n=8)の永久磁石11が例示され、隣接する2つの永久磁石11、11の磁極の向きがなす角度は135°(配列線に対して90°)である。ただし、永久磁石11の個数はこの個数に限定されない。
【0029】
アウターロータ31の内側には、上述の磁石列にコイル322、322、・・・を対向させたステータ32が配置されている。ステータ32は、円筒状の例えば鉄製ヨークであるコア321を有し、コイル322、322、・・・は、コア321の外周沿って環状に配列されている。
【0030】
表1に、本発明の実施例と比較例とによるシングルハルバッハ配列アウターロータ型回転モータの仕様を示す。なお、比較例の回転モータでは、図7に示すように、永久磁石11、11間に磁性体を用いていない。
【表1】
【0031】
実施例と比較例とで測定したモータ性能(逆起電力定数とトルクリップル)を表2に示す。
【表2】
【0032】
表2の結果によれば、実施例では、永久磁石の量を減らしたにも拘わらず、比較例とほぼ同一の出力が得られ、トルクリップルはやや小さく改善されている。
【0033】
なお、第2の実施形態として説明したような、永久磁石11、11、・・・の磁極の向きを、円状の配列線312に対し45°で交差させた磁石列をアウターロータ31に使用してもよい。
【0034】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、シングルハルバッハ配列インナーロータ型の回転電磁装置40を説明する。図8は、回転軸411に直交する面で切断した場合の回転電磁装置40の模式断面図である。回転電磁装置40は、第3の実施形態と同様に、回転モータまたは発電機とすることができる。
【0035】
インナーロータ41は、上述した第1の実施形態または第2の実施形態の磁石列を、回転軸411を中心軸とする所定半径の円筒状に形成したものである。すなわち、複数の永久磁石11、11、・・・は、回転軸411を中心とした円状の配列線412に沿って、その磁極の向きを90°ずつ回転させて等間隔に配置され、そして互いに隣接する2つの永久磁石11、11の間には、着磁されていない磁性体12が配置されている。
【0036】
インナーロータ41の磁石列を構成する永久磁石11、11、・・・の個数をn個(nは正の整数である。)とした場合、互いに隣接する2つの永久磁石11、11の磁極の向きがなす角度は、配列線に沿って配列方向に90°ずつ回転されて配置されることから、90°-360°/nとすることが好ましい。このような磁石列により、インナーロータ41の半径方向の外側に滑らかな正弦波状の強い磁界を生じさせることができる。
【0037】
インナーロータ41の外側には、上述の磁石列にコイル422、422、・・・を対向させたステータ42が配置されている。ステータ42は、円筒状の例えば鉄製ヨークであるコア421を有し、コイル422、422、・・・は、コア421の内周沿って環状に配列されている。
【0038】
この第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、高トルクでトルクリップルが小さく低コストの回転電磁装置40を提供することができる。
【0039】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態として、上述した第1の実施形態または第2の実施形態の磁石列を応用したリニアモータ50を説明する。図9は、本実施形態によるリニアモータ50の模式断面図である。リニアモータ50は、長尺状の固定子51と、固定子51の長手方向に沿って移動可能に設けられた可動子52とを備えている。なお、図9は、固定子51の長手方向、すなわち可動子52の移動線を含む面で切断した場合の断面を示している。
【0040】
固定子51は、長尺状の鉄製板材であるヨーク511と、ヨーク511の上面でその長手方向に沿って配列された複数のコイル512、512、・・・とを有している。
【0041】
可動子52は、着磁された永久磁石11と、着磁されていない磁性体12とが、交互に、直線状に複数配列して形成される。また、複数の永久磁石11、11、・・・は、それぞれの磁極の向きが配列方向に90°ずつ回転させて配置されることにより、ハルバッハ配列を構成している。図9の例では、強磁界を発生させる磁石列の下側面が、固定子52の複数のコイル512、512、・・・に対向している。
【0042】
また、互いに隣接する2つの永久磁石11の間には、着磁されていない磁性体12が配置されている。これにより、可動子52を構成する磁石列のアッセンブルを容易にすることができる。また、磁性体12は、両端の永久磁石11、11によって内部でなだらかに分極し、正弦波に近い磁界を生じさせることができる。したがって、コギングをなくして可動子52を円滑に移動させることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 磁石列ユニット(第1の実施形態)
11 永久磁石
12 磁性体
13 磁石列の配列線
20 磁石列ユニット(第2の実施形態)
30 回転電磁装置(第3の実施形態)
31 アウターロータ
32 ステータ
40 回転電磁装置(第4の実施形態)
41 インナーロータ
42 ステータ
50 リニアモータ(第5の実施形態)
51 固定子
52 可動子
311 回転軸
312 配列線
321 コア(鉄製ヨーク)
322 コイル
411 回転軸
412 配列線
421 コア(鉄製ヨーク)
422 コイル
511 ヨーク
512 コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9