(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071415
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】熱転写プリンタおよび熱転写リボン
(51)【国際特許分類】
B41J 2/325 20060101AFI20220509BHJP
B41J 17/32 20060101ALI20220509BHJP
B41J 17/36 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J17/32 A
B41J17/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180366
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】星野 文哉
【テーマコード(参考)】
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065DA11
2C065DA22
2C068AA02
2C068AA06
2C068AA08
2C068AA15
2C068EE03
2C068NN03
2C068NN08
2C068NN11
2C068NN15
2C068NN17
2C068NN20
2C068NN24
(57)【要約】
【課題】高価なICチップなどを使用せず、比較的安価な方法で、海賊版とも呼ばれる非正規品の熱転写リボンの使用を確実に排除できる熱転写プリンタおよび熱転写リボンの構成を提供する。
【解決手段】装着された熱転写リボンRのインクリボン1に形成された暗号化された鍵番号を読み取る読取り手段s2と、該熱転写リボンの巻き芯9に形成された暗号化された鍵番号を読み取る読取り手段s1と、読み取った両鍵番号を復号する復号手段と、装着された熱転写リボンに個別に定められた番号を登録する登録部と、該番号が既に登録部に登録されていなければ当該熱転写リボンが未使用品であると判定し、復号された両鍵番号から当該熱転写リボンに個別に定められた番号が特定できれば当該熱転写リボンが正規品と判定する判定部を有し、装着された熱転写リボンが未使用品であり、かつ、正規品であると判定された後に印画動作を開始する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱転写リボンの熱転写インクをサーマルヘッドにより熱転写する熱転写プリンタであって、装着された熱転写リボンのインクリボンに形成された暗号化された鍵番号を読み取る読取り手段と、該熱転写リボンの巻き芯に形成された暗号化された鍵番号を読み取る読取り手段と、読み取った両鍵番号を復号する復号手段と、装着された熱転写リボンに個別に定められた番号を登録する登録部と、該番号が既に登録部に登録されていなければ当該熱転写リボンが未使用品であると判定し、復号された両鍵番号から当該熱転写リボンに個別に定められた番号が特定できれば当該熱転写リボンが正規品と判定する判定部を有し、装着された熱転写リボンが未使用品であり、かつ、正規品であると判定された後に印画動作を開始することを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項2】
装着された熱転写リボンと巻き芯の前記鍵番号を、熱転写リボンの使用後に再読み取りが不可能な様に消去することを特徴とする請求項1に記載の熱転写プリンタ。
【請求項3】
前記読取り手段が磁気ヘッドであり、前記鍵番号を、熱転写リボンの使用後に該磁気ヘッドで磁気的に上書きして消去することを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写プリンタ。
【請求項4】
前記読取り手段が光学的読取り装置であり、前記鍵番号を、熱転写リボンの使用後に前記サーマルヘッドにより熱転写して消去することを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写プリンタ。
【請求項5】
長尺のリボン状の耐熱性の支持体の一表面に、それぞれ熱転写インクからなるシアン、マゼンタ、イエロー、墨の各熱転写インク層と、接着層であるプライマ層とが面順次に塗り分けられ、あらかじめ個別に定められた番号が暗号化された鍵番号が形成された暗号化番号層がさらに塗り分けられ、巻き芯にロール状に巻回され、前記巻き芯に前記番号が暗号化された鍵番号が形成された暗号化番号部が設けられてなる熱転写リボン。
【請求項6】
前記暗号化番号層が熱転写インクで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の熱転写リボン。
【請求項7】
前記暗号化番号層および暗号化番号部に、暗号化された鍵番号が磁気情報として形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の熱転写リボン。
【請求項8】
前記暗号化番号層および暗号化番号部に、暗号化された鍵番号が光学的情報として形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の熱転写リボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接転写方式の熱転写プリンタおよびそれに使用する熱転写リボンに関し、特に、正規品でない熱転写リボンの使用を排除できる熱転写プリンタおよび熱転写リボンに関する。
【背景技術】
【0002】
間接熱転写方式を採用するプリンタは、主にパスボートやIDカードなどの個人認証媒体等の記録媒体に対して、多色画像を形成する手段として用いられてきた。その際、中間転写フィルムには記録媒体の記録面のサイズに合わせた記録エリアが設定され、熱転写リボンにはシアン、マゼンタ、イエロー、墨などの各色インクパネルが記録エリアのサイズに合わせた大きさで面順次に形成されていた。そして各色の熱転写インクを記録エリアに重ねて熱転写することで、フルカラー画像や文字画像などを中間転写フィルム上に形成し、次いで記録媒体の記録面に熱圧転写して記録を完成している。
【0003】
このような従来の間接熱転写方式においては、消耗品である中間転写フィルムや熱転写リボンを、規定枚数分使用後に新しいものに付け替えるなどをして、大量の印字を可能としている。ところが、パスポートやIDカードなどに使用されるプリンタであるにもかかわらず、これらの消耗品として、正規品でない、いわゆる海賊版が非正規品として出回るなどして、偽造品が作られてしまったり、また安価で低品質な非正規品の熱転写リボンを使用することで、場合によっては機器の故障や破損すら招く可能性が存在していた。
【0004】
そこで、従来から、熱転写リボンの巻き芯であるプラスチックコア等に対してICチップを搭載し、正規品の認証を行うといった方式が存在する。しかしながら、消耗品である熱転写リボン毎に高価なICチップを搭載するとなると、単価が上がりやすく、また一つのプラスチックコアを別の機器に再利用出来てしまうといった懸念が存在する。また、ほかにも熱転写リボンにチェックデジットや暗号化されたシリアル番号を搭載し、それを入力することで正規品の判定を行うといった技術も存在する(特許文献1)が、同一のシリアル番号を別の機器へ転用できてしまうといった懸念も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高価なICチップなどを使用せず、比較的安価な方法で、海賊版とも呼ばれる非正規品の熱転写リボンの使用を確実に排除できる熱転写プリンタおよび熱転写リボンの構成を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一側面は、
熱転写リボンの熱転写インクをサーマルヘッドにより熱転写する熱転写プリンタであって、装着された熱転写リボンのインクリボンに形成された暗号化された鍵番号を読み取る読取り手段と、該熱転写リボンに形成された暗号化された鍵番号を読み取る読取り手段と、読み取った両鍵番号を復号する復号手段と、装着された熱転写リボンに個別に定められた番号を登録する登録部と、該番号が既に登録部に登録されていなければ当該熱転写リボンが未使用品であると判定し、復号された両鍵番号から当該熱転写リボンに個別に定められた番号が特定できれば当該熱転写リボンが正規品と判定する判定部を有し、装着された熱転写リボンが未使用品であり、かつ、正規品であると判定された後に印画動作を開始することを特徴とする熱転写プリンタである。
【0008】
上記熱転写プリンタにおいて、装着された熱転写リボンと巻き芯の前記鍵番号を、熱転写リボンの使用後に再読み取りが不可能な様に消去するものであって良い。
【0009】
上記熱転写プリンタにおいて、前記読取り手段が磁気ヘッドであり、前記鍵番号を、熱転写リボンの使用後に該磁気ヘッドで磁気的に上書きして消去するものであって良い。
【0010】
上記熱転写プリンタにおいて、前記読取り手段が光学的読取り装置であり、前記鍵番号を、熱転写リボンの使用後に前記サーマルヘッドにより熱転写して消去するものであって良い。
【0011】
また本発明の別側面は、
長尺のリボン状の耐熱性の支持体の一表面に、それぞれ熱転写インクからなるシアン、マゼンタ、イエロー、墨の各熱転写インク層と、接着層であるプライマ層とが面順次に塗り分けられ、あらかじめ一意に定められた番号が暗号化された鍵番号が形成された暗号化番号層がさらに塗り分けられ、巻き芯にロール状に巻回され、前記巻き芯に前記番号が暗号化された鍵番号が形成された暗号化番号部が設けられてなる熱転写リボンである。
【0012】
上記熱転写リボンにおいて、前記暗号化番号層が熱転写インクで形成されていて良い。
【0013】
上記熱転写リボンにおいて、前記暗号化番号層および暗号化番号部に、暗号化された鍵番号が磁気情報として形成されていて良い。
【0014】
上記熱転写リボンにおいて、前記暗号化番号層および暗号化番号部に、暗号化された鍵番号が光学的情報として形成されていて良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱転写プリンタおよび熱転写リボンによれば、非正規品の熱転写リボンの使用を確実に排除することが可能になる。また、正規品の判定には高価なICチップを使用せず、機器内部の再生・コード判定回路にて比較的安価に実現することが可能となる。
【0016】
具体的には、熱転写リボン、その巻き芯であるコアの双方に、対応した鍵情報を暗号化して搭載し、消耗品交換時にその情報を読み取り、熱転写リボンが正規品であることの判定と登録を行うことで、非正規品の使用を防止するプリンタおよび熱転写リボンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の熱転写リボンの一構成例を示す平面図である。
【
図2】本発明の熱転写リボンの巻き芯(コア)の一構成例を示す断面図である。
【
図3】本発明の熱転写プリンタの一構成例を示す概略図である。
【
図4】本発明の熱転写プリンタの別の構成例を示す概略図である。
【
図5】本発明の熱転写プリンタでの判定工程の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件では
ない。
【0019】
図1は本発明の熱転写リボンの一例を示す平面図である。熱転写リボンRは、長尺のリボン状の耐熱性の支持体の一表面側に、それぞれ熱転写インクからなるシアンC、マゼンタM、イエローY、墨Bkのインク層、接着層であるプライマ層Pが面順次に塗り分けられ、また暗号化番号層がリーダーテープの部分とプライマ層Pに隣接する部位に設けられたインクリボン1が、巻き芯であるコア9にロール状に巻回されている。
【0020】
支持体には従来から熱転写リボンに一般に用いられているものを使用することができるが、特に好ましいものとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルムが例示できる。その厚みは2~50μmのものを用いることができるが、より好ましくは2~16μmである。また支持体の裏面側に、熱転写時の走行性を考慮してバックコート層を設けても良い。
【0021】
C、M、Yの各色のカラーインクは、フルカラー画像を表現するための減色混合の3原色として知られているものを使用できる。また必要に応じてこれ以外の特色インク層を設けることもできる。以上の各熱転写インクは、昇華転写型、溶融転写型のいずれのタイプのインクであっても良いが、個人認証用の情報記録体に用いる場合は、高い耐久性を有する溶融転写型がより好ましい。また、
図1は模式的な図であり、各熱転写インク層の面積は、最終的に記録が形成される記録媒体の記録面の全面に記録するのに十分な面積として良い。
【0022】
また、暗号化番号層は、熱転写性のインクで形成されていても良いが、熱転写性の無いインクで形成されていても良い。またそれらを組み合わせて形成されていても良い。例えば熱転写性インク層上に熱転写性でないインクによりパターンを形成した形態などとすることができる。その位置は他のインク層に対して任意の位置でよく、インクリボン1をロールから巻き出したときの先頭部分であるリーダーテープに設けたり、または他のインク層に隣接する部位に他のインク層と同様に周期的に設けたりすることができ、
図1の例の様にその両方に設けることもできる。
【0023】
暗号化番号層には、転写リボンのロールごとに個別に定められた番号(以下、「ロール番号」という。)から所定のアルゴリズムで導出された、暗号化された鍵番号の情報が形成されている。ここで、「転写リボンのロールごとに個別に定められた番号」とは、典型的には製造時に付与される製造番号であるが、それとは別に販売業者などが転写リボンのロールごとに別に定めて付与した番号であっても良く、ロールを特定し得るものであれば特に限定はない。暗号化のアルゴリズム自体は公知のものから適宜採用して良い。
【0024】
またインクリボン1の巻き芯であるプラスチック製のコア9には、
図2にその一例を示す様な暗号化番号部が形成されており、暗号化番号部にも、ロール番号から暗号化番号層の鍵番号を導出したものとは異なるアルゴリズムで導出された、暗号化された鍵番号の情報(以下、インクリボンに形成したものも併せ特に区別せず「暗号化情報」ともいう。)が形成されている。暗号化番号部には、ここでは筒状となったコア9の内面に形成されている。
【0025】
暗号化番号部の鍵番号と転写リボンの暗号化番号層の鍵番号とは、互いに異なるアルゴリズムで暗号化されているため、復号化前の情報としては必ずしも同じではないが、後述する熱転写プリンタ内部の暗号情報処理回路を通じて復号した後、ロール番号と正しく対応してロール番号が特定できれば、両鍵番号が正規な番号であり、当該転写リボンは正規品であると判定される。
【0026】
コア9に暗号化番号部を設ける位置は、例示した様な内面以外の位置でも良く、特に限定するものではないが、筒状部分の外面の熱転写リボンが巻回されている部位以外の端部側や、縁部9a、9bなどでも良い。
【0027】
暗号化番号層および暗号化番号部に形成される暗号化情報の形態は、暗号化されていれば特に限定はなく、例えば支持体上に暗号化された番号を印字した形態、支持体上に磁性インク層を設け、暗号化された磁気情報でエンコードした形態、支持体上に熱転写インクにより暗号化された光学的なパターン、例えば文字、記号、図形、バーコード、2次元バーコードなどを形成した形態など、種々な形態をとり得る。また、暗号化番号層および暗号化番号部に形成される暗号化情報の形態を互いに異なる形態のものとすると、より偽造防止効果は高まるものの、その場合は熱転写プリンタ側に2種類の情報再生処理回路を設ける必要があり、構成が複雑となり高コストとなるため、必ずしも好ましいとは言えない。
【0028】
図3は、本発明の熱転写プリンタの一構成例を示す概略図である。
図3は熱転写プリンタを間接転写方式のプリンタで構成した例である。熱転写プリンタ10において、インクリボン1は、巻出しロールから巻き出され、インクリボン1の暗号化番号層に形成された暗号化情報を読み取るセンサs2を通過し、中間転写フィルム5への熱転写プリントを行う一次転写部のサーマルヘッド2とプラテンローラ3の間を通過して巻取りロールに巻き取られる。また熱転写リボンRのコア9が装着されるシャフトにはコア9に形成された暗号化情報を読み取るセンサs1が装着されている。
【0029】
図3の例では、センサs1、s2は磁気情報を読み取る磁気ヘッドである。従って
図3の熱転写プリンタで使用される熱転写リボン1には、インクリボン1に形成される暗号化番号層、コア9に形成される暗号化番号部共に、磁性インク層に暗号化情報が磁気情報にエンコードされて形成されている。
【0030】
また中間転写フィルム5が、巻出しロールから巻き出され、一次転写部のサーマルヘッド2とプラテンローラ3の間をインクリボン1と対向して通過して、二次転写部で熱圧転写を行うヒートローラ6と記録媒体7の間を通り、巻取りロールに巻き取られる。
【0031】
一次転写部においては、熱転写リボン1から中間転写フィルム5に墨K、シアンC、マゼンタM、イエローYの4色のインクパネルからカラー画像や文字等のパターンが転写される。各パターンが形成された中間転写フィルム5は二次転写部に搬送され、ヒートローラ6により、搬送テーブル8で搬送される記録媒体7に熱圧着されることで、一次転写部で形成された各パターンが転写される。カラー画像や文字等のパターンは、サーマルヘッド2を適宜制御することで任意のパターンとすることができ、任意の個別情報を中間転写フィルム5に、そして記録媒体7に形成することができる。
【0032】
また、熱転写プリンタ10は暗号情報処理回路を有し、該暗号情報処理回路は、熱転写リボンRの巻出しロール側のコア9に形成された暗号化番号部から暗号化情報である磁気情報を読み取るセンサs1と、インクリボン1に形成された暗号化番号層から暗号化情報である磁気情報を読み取るセンサs2とにより読み取られた磁気情報を再生する磁気情報再生処理回路、暗号化されている磁気情報を復号する復号回路、復号された両方の磁気情報から得られた番号が、装着されている熱転写リボンRのロール番号と正しく対応してロール番号が特定できれば、熱転写リボンRが正規品であると判定し、また未使用品か否かを判定する正規・未使用判定回路を有している。未使用品か否かの判定は、過去に使用した熱転写リボンのロール番号が登録されているメモリ装置などの登録部(図示せず)に、熱転写リボンRのロール番号を装着する際に登録し、過去の記録と照合することで判定できる。登録部としては、熱転写プリンタ10の内部に設けても良いが、PCなどの外部装置を利用することもできる。また登録部への入力は、熱転写プリンタ10にタッチパネル等の入力装置を設けても良く、接続されるPCなどを介して入力しても良い。
【0033】
インクリボン1、コア9に形成された暗号化情報を読み取る際の工程を、暗号化情報が磁気情報として記録されている場合について具体的に説明する。暗号化情報の処理の工程としては、概して暗号化情報の処理、復号、判定の3つに分かれている。インクリボンの任意の位置にある暗号化番号層の暗号化情報およびコアの表層に形成された暗号化番号部の暗号化情報を磁気ヘッドなどのセンサなどで読み取り、磁気情報再生処理回路にかける。その後、復号回路に通した結果、リボン製造時に付加されたロール番号を特定できる情報であること、かつ未だ使用されていない状態であることを正規・未使用判定回路に通すことで使用可能かどうかを判断する。
【0034】
また、同様な処理の流れであれば、暗号化情報は磁気情報でなくとも良く、例えば可視可能なデータの印字、あるいは紫外線照射をしなければ浮かび上がらないUV印字データでなどの光学的なパターンであっても良い。その場合は読み取り用のセンサを光学的に読み取るセンサとすると共にそれに対応した処理回路が必要となる。
【0035】
図4は、本発明の熱転写プリンタの別の構成例を示す概略図である。熱転写プリンタ10´では、暗号化情報を磁気情報でなく、可視可能な光学的なパターンとして暗号化した番号印字データとした例である。この場合の読み取り用のセンサs3、s4は、それぞれ暗号化情報を光学的なパターンとして読み取るセンサであり、例えば接触型CCDセンサ、CCDカメラなどが例示でき、暗号情報処理回路には光学的なパターンを解析する画像情報解析処理回路を有している。暗号情報処理回路での処理は、磁気情報が光学的なパターンの情報に変わった以外は
図3に示した例と基本的に同様であるので省略する。
【0036】
図4の熱転写プリンタに装着される熱転写リボンRとしては、インクリボン4に形成される暗号化番号層、コア9に形成される暗号化番号部共に、支持体上に熱転写インクにより、ロール番号などを暗号化した光学的なパターンを形成したものを使用する。
【0037】
暗号情報処理回路における判定方法のスタートからの流れの一例について、
図5に示すフローチャート図を用いて説明する。まず、熱転写プリンタの電源を入れ、電源がONであると判定されなければ何らかの故障が想定できるのでエラー情報を出す。正常に電源が入って起動したら、熱転写リボンの入れ替えを作業者が行っていたかどうかを判定する。そして、所定のイニシャライズを行うことで熱転写リボンの入れ替えがあったことが判定された場合、ロール番号を入力し、登録部に登録する。
【0038】
次いで熱転写リボンの暗号化番号層に存在する暗号化された鍵番号E1を所定の方法にて認識し、熱転写プリンタ内の復号回路内で復号する。続いて同様に、熱転写リボンのコアの暗号化番号部に存在する暗号化された鍵番号E2も同様に復号する。これらの値からロール番号が正しく特定されれば正規のリボンであると判定され、かつ動作する熱転写プリンタに対して初めて使用される番号である場合、未使用の熱転写リボンと判定され、熱転写プリンタの印字動作が開始される。いずれかの判定でNoの判定がなされた場合は、使用できない熱転写リボンと判定され、エラーを出力する。
【0039】
熱転写リボンのロール番号がプリンタに初めて登録される番号であった場合、その判定と同時にインクリボンの暗号化番号層に存在する暗号化された鍵番号E1、またはコアの暗号化番号部に存在する暗号化された鍵番号E2を所定の方法で消去することで、当該鍵番号が登録されていない別のプリンタでの使用を行えなくすることも可能となる。その具体的な方法としては、例えば熱転写プリンタにおいては標準で搭載されているサーマルヘッドで、該当の番号部分に熱を加えてかき消す方式でも良いし、通常の印字と同様に番号部分を中間転写フィルムに転写し、リボン上からなくす方法でも良い。磁気インク層で形成された暗号化鍵番号である場合は、少し構成が複雑になるものの、磁気ヘッドを用いて該当部を上書きする方法で番号をかき消すといったこともできる。
【符号の説明】
【0040】
R・・・熱転写リボン
1、4・・・インクリボン
2・・・サーマルヘッド
3・・・プラテンローラ
5・・・中間転写フィルム
6・・・ヒートローラ
7・・・記録媒体
8・・・搬送テーブル
9・・・コア(巻き芯)
10、10´・・・熱転写プリンタ
E1、E2・・・暗号化された鍵番号
s1、s2、s3、s4・・・センサ