(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071446
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】殺菌機能付きシールド板
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20220509BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L9/014
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180414
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(71)【出願人】
【識別番号】306009824
【氏名又は名称】田中木材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇文
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC04
4C180CC17
4C180DD03
4C180DD09
4C180EA13X
4C180HH05
4C180HH19
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、室内の空気の除菌、殺菌力を高めることを目的とした殺菌機能付きシールド板を提供することである。
【解決手段】
殺菌機能付きシールド板は、隙間付き2層シールド板1と、隙間付き2層シールド板1の隙間の一部と空気の流通が可能に接続された空気タンク部4と、室内の空気を空気タンク部4内に取り入れる空気取入れ口5と、フィルター6と、ファン7と、前記空気タンク部4の内部に配置されて該空気タンク4の内部の空気に照射して殺菌する深紫外LED8と、殺菌された空気タンク部4内の空気を隙間付き2層シールド板1の隙間に通じて空気排出が可能な隙間付き2層シールド板1に設けられた小穴又はスリット3と、配線、コンセント部9と、深紫外LED8とファン7を制御する制御部11を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間付き多層板部材と、
前記隙間付き多層板部材間の隙間の一部と空気の流通が可能に接続された空気タンク部と、
室内の空気を前記空気タンク部内に取り入れる空気取入れ口と、
フィルターと、
ファンと、
前記空気タンク部の内部に配置されて該空気タンク部の内部の空気に照射して殺菌するLEDと、
殺菌された前記空気タンク部の内の空気を前記隙間付き多層板部材の隙間に通じて空気排出が可能な該隙間付き多層板部材に設けられた小穴又はスリットと、
電源供給部と、
前記LEDと前記ファンを制御する制御部を有する、殺菌機能付きシールド板。
【請求項2】
前記LEDが波長の短い深紫外線、又は近紫外線を発するLEDである、請求項1に記載の殺菌機能付きシールド板。
【請求項3】
前記空気タンク部の内側に、竹炭の粉を塗布して構成される膜を設けた、請求項1または請求項2に記載の殺菌機能付きシールド板。
【請求項4】
前記隙間付き多層板部材を構成する材質は、透明な樹脂、透明又は不透明なガラス、若しくは不透明な金属、樹脂、木質、竹材である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の殺菌機能付きシールド板。
【請求項5】
前記空気タンク部は、前記隙間付き多層板部材の置台部または吊下げ部、若しくは該隙間付き多層板部材と空気が流通できるパイプ又はチューブで接続された位置に設けられる、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の殺菌機能付きシールド板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌機能付きシールド板に関し、特にウイルス菌を殺菌することが可能な殺菌機能付きシールド板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、シールド板は室内に置いて人と人の間の机の上等に設置、又は上方から吊り下げてしてウイルス菌等の飛沫を防止する機能をもつ機器であり、これは新型コロナウイルス等の強い感染力をもつウイルスに対しては、菌を積極的に死滅させたりする機能をもっていない。また、これまで消毒、又は空気中のウイルス等に対して殺菌機能をもち、室内の人と人の間を仕切るパーテーション内に殺菌機能をもつシールド板は、存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-280428号公報
【特許文献2】特開平11-155943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、吸気側に設けられ、通気性と遮光性を有して有害ガス成分を吸着する吸着フィルター層と、通気性を有して前記吸着フィルター層の排気側に積層され、排気側から紫外光を受けて臭気成分を分解する光触媒フィルター層とを備えたことを特徴とする除菌脱臭フィルターである。また前記吸着フィルター層および前記光触媒フィルター層は、全体としてプリーツ状に形成されたことを特徴とする請求項1 に記載の除菌脱臭フィルターである。この場合、感染力の強いウイルス菌を高い確率で死滅させたりする機能を持たず、一般的な空気中の菌の除去と消臭機能を発揮するまでである。
また、特許文献2の場合、光触媒に均一に紫外線を照射できる紫外線発光パネル、該紫外線発光パネルを用い、光触媒と空気との充分な接触が可能な浄化装置を実現するものである。この場合も特許文献1同様に、感染力の強いウイルス菌を高い確率で死滅させたりする機能を持たず、一般的な空気中の菌の除去と空気の浄化機能を発揮するまでである。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、室内の空気の除菌、殺菌力を高めることを目的とした殺菌機能付きシールド板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、
隙間付き多層板部材(1)と、
前記隙間付き多層板部材間の隙間の周囲は密閉されていて、一部のみと空気の流通が可能に接続された空気タンク部(4)と、
室内の空気を前記空気タンク部(4)内に取り入れる空気取入れ口(5)と、
フィルター(6)と、
ファン(7)と、
前記空気タンク部の内部に配置されて該空気タンク部の内部の空気に照射して殺菌するLED(8)と、
殺菌された空気タンク部内の空気を前記隙間付き多層板部材の隙間に通じて空気排出が可能な該隙間付き多層板部材に設けられた小穴又はスリット(3)と、
電源供給部(9)と、
前記LEDと前記ファンを制御する制御部(11)を有する、殺菌機能付きシールド板
によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室内の空気の除菌、殺菌力を高めることを目的とした殺菌機能付きシールド板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態による殺菌機能付きシールド板の外形図である。
【
図2】本発明の実施形態による殺菌機能付きシールド板の置台部12と隙間付き透明2層シールド板1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下
図1~
図2を用いて、本発明の実施形態による殺菌機能付きシールド板を説明する。尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは、適宜異ならせて図示している。
【0010】
図1~
図2に示すように、本実施形態の殺菌機能付きシールド板は、隙間付き2層シールド板1と、隙間2と、小穴/スリット3と、空気タンク部4と、空気取入口5と,フィルター6と、ファン7と、深紫外LED8と、配線コンセント部9と、配線接続部10と,制御部11、置台部12と、で構成される。紫外線LED6は、深紫外線(UV-C:100~280nm)にピーク波長をもつLEDが好適であるが、近紫外線(約300~400nm)にピーク波長をもつLEDであってもよいし、280~315nmにピーク波長をもつLEDであってもよいし、315~400nmにピーク波長をもつLEDであってもよい。隙間付き2層シールド板1は、3層以上の構成であってもよい。また、隙間付き2層シールド板1は、透明樹脂で構成されるが、透明、半透明のガラス又は、不透明な金属、樹脂、木質、又は竹材で構成される場合があってもよい。制御部11は、ファン7と深紫外LED8を制御する制御盤である。置台部12の内部に空気タンク部4が設けられるが、隙間付き2層シールド板1を吊り下げ部を用いて保持する場合にはこの吊り下げ部の内部に空気タンク部4が設けられる場合があってもよいし、空気タンク部4は、隙間付き2層シールド板1と空気が流通できるパイプ又はチューブで接続された位置に設けられる場合があってもよい。隙間2は、3cm程度であるが、空気が流通する間隔があればよく3cm以下でもよいし、3cmより大きい場合があってもよい。
【0011】
本実施形態の殺菌機能付きシールド板は、周囲は密閉されていて、層間に隙間を有する多層透明シールド板と空気の流通が可能に接続された空気タンク内の空気取り入れ口から室内の空気を、フィルターを通過して、ファンの送風によって、取り入れて、一旦空気タンクに貯めて、この空気をタンクの内部に取り付けられた深紫外LEDの照射によって殺菌し、この空気タンク内の殺菌された空気を、接続された多層透明シールド板の隙間に送られ、この多層透明シールド板に設けられた小穴、又はスリットから、室内に殺菌、浄化された空気を排出する。多層透明シールド板は、例えば2層構造であり、層間に隙間を有しており、周囲は密閉されていて、空気タンクとの接続部のみ空気が流通可能な構造となっている。この様に、空気タンク内に設けられたファンによって室内の空気を取り入れ→LEDによって空気の殺菌→多層透明シール板の隙間から殺菌された空気を室内に排出の循環を繰り返すことで、殺菌機能付きシールド板によって室内の空気の殺菌と浄化が進み、快適で安全な空気が提供できる。本実施形態の殺菌機能付きシールド板は、殺菌機能付きシールド板によって、室内の空気を除菌、殺菌を繰り返して循環させることにより、深紫外LEDで感染力の強いウイルス菌に対しても、高い確率で死滅させて室内に戻すため、人体に直接光を照射しないため、人体に対して安全である。また、空気タンク内に竹炭粉膜を取り付けることで、空気の消臭、調湿の機能を発揮することも可能となる。また、この機器は薄型のシールド板の構造になっているため、室内で場所を取らず、広い用途の範囲で取り付けが可能という特徴がある。この実施例では、置台の上に設置する方法であるが、上方から吊り下げて使用することも可能である。更に、多層透明シールド板は透明樹脂であるが、透明、半透明のガラス又は、不透明の材質、例えば、金属、樹脂、木質、又は竹材を選択することも可能である。また、上記の多層透明シールド板の形状は、四角形又は丸形、楕円形などの他の形状で実施することも可能であり、その形状は顧客の好みや用途に合わせて、商品のデザインで決められる場合があってもよい。
【0012】
本実施形態によれば、例えば感染力の強い新型コロナウイルスに対して99.9%まで菌を死滅させることが可能な250nm~320nmという短波長の深紫外LEDを一定時間、室内から空気タンク内に取り込まれた空気に照射させることで、空気中の菌が殺菌されて、その空気を部屋の中に排出することで、殺菌性のある空気除菌、殺菌が可能な殺菌機能付きシールド板を提供することができる。また、設置される場所が薄型となっているため、事務所の人と人の間や、病院、官公庁、ホテルなどの受付窓口の仕切りを目的としたシールド板として設置が可能となり、感染力の強いウイルス菌に対して、高い確率で死滅させることが出来て、世界的なウイルスの感染問題の解決につながる。
【0013】
また、本実施形態によれば、室内の空気中に浮遊しているウイルス菌等を、給気口からフィルターを通して透明シールド板と接続された置台を兼ねた空気タンクに空気を入れて、この空気タンク内に内蔵された深紫外LEDによって空気に照射して完全に菌を死滅させた空気を、多層間の隙間を有する多層透明シールド板に設けられた小穴又はスリットから室内に排出される。この様に、空気取入れ→空気タンク内で空気を殺菌→多層間の隙間を経由して、シールド板に設けられた小穴又はスリットから室内に空気を排出という循環を繰り返すことで室内の空気の除菌、殺菌力を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は産業上では、日常生活において、事務所や受付窓口など人と人の間に設置されてウイルス菌等の飛沫を防止するなど巾広く設置されて、室内の空気の除菌、及び感染力の強いウイルスの菌も死滅させた空気を室内に循環して快適に居住することができる殺菌機能付きシールド板として利用できる。
【符号の説明】
【0015】
1 隙間付き2層シールド板
2 隙間
3 小穴/スリット
4 空気タンク部
5 空気取入口
6 フィルター
7 ファン
8 深紫外LED
9 配線、コンセント部
10 配線接続部
11 制御部
12 置台部