(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071503
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】報知装置
(51)【国際特許分類】
G08B 25/14 20060101AFI20220509BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20220509BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20220509BHJP
G08B 21/16 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G08B25/14 Z
H04M9/00 D
G08B17/00 Z
G08B21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180511
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 稔
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 千洋
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5G405
5K038
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA02
5C086BA01
5C086DA16
5C086EA41
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA11
5C087AA11
5C087AA32
5C087DD04
5C087DD07
5C087DD24
5C087EE16
5C087FF01
5C087FF04
5C087FF24
5C087GG28
5C087GG51
5G405AA06
5G405AB02
5G405AB03
5G405CA26
5G405DA21
5G405DA22
5K038AA06
5K038CC12
5K038DD13
5K038DD15
5K038DD16
5K038DD18
5K038EE02
5K038GG02
(57)【要約】
【課題】火災・ガス漏れ警報という主機能に影響を与えずに付属機能のソフトウェア更新が可能な報知装置を提供する。
【解決手段】報知装置2Aは、センサ8からの検出信号を受信する警報I/F21と、警報情報を出力するスピーカ22a,ランプ22bと、スピーカ22a,ランプ22bを制御する第一ソフトウェアが組み込まれたセキュリティCPU23と、外部機器からの信号を受信する外部機器I/F31と、セキュリティCPU23と通信可能且つ独立して設けられ、スピーカ22aとランプ22bとディスプレイ32を制御する第二ソフトウェアが組み込まれた付属CPU33とを備えている。外部機器とのインターフェースを介して第二ソフトウェアの更新が可能であり、第二ソフトウェアの更新がセキュリティCPU23の第一ソフトウェアで発揮される機能に影響を与えないようにセキュリティCPU23及び付属CPU33が構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災及びガス漏れの少なくとも一方を検出するセンサと通信可能に接続された報知装置であって、
前記センサから送信された検出信号を受信する第一受信部と、
火災又はガス漏れが発生したことを示す警報情報を出力する出力部と、
前記検出信号に基づいて前記出力部を制御するための第一ソフトウェアが組み込まれた第一制御部と、
前記センサ以外の外部機器から送信された信号を受信する第二受信部と、
前記第一制御部と通信可能且つ独立して設けられた制御部であって、前記第二受信部で受信した前記信号に基づいて前記出力部または前記出力部以外の機器を制御するための第二ソフトウェアが組み込まれた第二制御部と、
を備え、
前記外部機器とのインターフェースを介して前記第二制御部の前記第二ソフトウェアの更新が可能であるとともに、前記第二ソフトウェアの更新が前記第一制御部の前記第一ソフトウェアで発揮される機能に影響を与えないように前記第一制御部及び前記第二制御部が構成されている、報知装置。
【請求項2】
前記第一制御部と前記第二制御部との間の通信のための所定の通信コマンドが規定され、
前記第一制御部は、前記所定の通信コマンド以外の通信コマンドが前記第二制御部から送信された場合には、当該通信コマンドを破棄する、または当該通信コマンドによる処理を実行しないように構成されている、請求項1に記載の報知装置。
【請求項3】
前記第二制御部は、前記出力部に関する信号を前記外部機器から受信した場合には、前記出力部を制御するためのコマンドを前記第一制御部へと送信するように構成され、
前記第一制御部は、前記第二制御部から前記コマンドを受信した場合でも、前記第一ソフトウェアによる前記出力部の制御を優先するように構成されている、請求項1または2に記載の報知装置。
【請求項4】
前記第一制御部は、第一条件を満たす場合には、前記コマンドに基づいて前記出力部を制御するように構成されている、請求項3に記載の報知装置。
【請求項5】
前記第一制御部は、前記第一ソフトウェアにより前記出力部を制御している途中で前記第二制御部から前記コマンドを受信したとき、または前記コマンドに基づいて前記出力部を制御している途中で前記第一ソフトウェアによる前記出力部の制御が開始されたときには、前記第一条件を満たしていないと判断する、請求項4に記載の報知装置。
【請求項6】
前記第一制御部は、第二条件を満たす場合には、前記第二制御部から前記出力部へ向けて送信される制御信号を遮断するように構成されている、請求項1または2に記載の報知装置。
【請求項7】
前記第一制御部は、前記第一ソフトウェアにより前記出力部を制御している途中で前記制御信号が前記出力部に送信されたとき、または前記制御信号に基づいて前記出力部を制御している途中で前記第一ソフトウェアによる前記出力部の制御が開始されたときに、前記第二条件を満たしていると判断する、請求項6に記載の報知装置。
【請求項8】
前記インターフェースは、前記報知装置が設置される各住居のインターネット回線である、請求項1から7のいずれか一項に記載の報知装置。
【請求項9】
前記第一制御部及び前記第二制御部へと電源を供給するための単一の電源回路をさらに備えている、請求項1から8のいずれか一項に記載の報知装置。
【請求項10】
前記第一制御部へと電源を供給するための第一電源回路と、
前記第一電源回路とは別個で設けられて、前記第二制御部へと電源を供給するための第二電源回路と、
をさらに備えている、請求項1から8のいずれか一項に記載の報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、感知器及び感知器の発報に連動して制御される被制御機器が接続される火災受信機が開示されている。特許文献1の火災受信機は、感知器と通信するインターフェースと、感知器及び被制御機器に関するデータを記憶する記憶部と、感知器の発報に関する情報及び被制御機器の動作に関する情報を表示する表示部と、これらを制御する制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような火災受信機には、主機能である火災報知以外の付属機能として、呼出通話機能や防犯機能等が搭載される場合がある。これらの付属機能の仕様変更に伴い、制御部で実行されるソフトウェアのバージョンアップが必要となるが、主機能に影響を与える可能性があるため、制御部のソフトウェアの更新は困難であり、従来は、火災受信機の機器交換で対応する必要があった。しかしながら、機器交換は高額な上、共同住宅においてはすべての住戸に入室し交換する作業が必要であるため、現実的ではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、火災警報やガス漏れ警報という主機能に影響を与えることなく付属機能のソフトウェア更新が可能な報知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の報知装置は、
火災及びガス漏れの少なくとも一方を検出するセンサと通信可能に接続された報知装置であって、
前記センサから送信された検出信号を受信する第一受信部と、
火災又はガス漏れが発生したことを示す警報情報を出力する出力部と、
前記検出信号に基づいて前記出力部を制御するための第一ソフトウェアが組み込まれた第一制御部と、
前記センサ以外の外部機器から送信された信号を受信する第二受信部と、
前記第一制御部と通信可能且つ独立して設けられた制御部であって、前記第二受信部で受信した前記信号に基づいて前記出力部または前記出力部以外の機器を制御するための第二ソフトウェアが組み込まれた第二制御部と、
を備え、
前記外部機器とのインターフェースを介して前記第二制御部の前記第二ソフトウェアの更新が可能であるとともに、前記第二ソフトウェアの更新が前記第一制御部の前記第一ソフトウェアで発揮される機能に影響を与えないように前記第一制御部及び前記第二制御部が構成されている。
【0007】
上記構成によれば、第一制御部の第一ソフトウェアで発揮される火災警報やガス漏れ警報といった主機能に影響を与えることなく、第二制御部の第二ソフトウェアで発揮される付属機能(呼出通話機能や防犯機能)のバージョンアップが可能となる。これにより、報知装置自体を交換することなく、付属機能の仕様変更等に対応することができる。
【0008】
また、本発明の報知装置において、
前記第一制御部と前記第二制御部との間の通信のための所定の通信コマンドが規定され、
前記第一制御部は、前記所定の通信コマンド以外の通信コマンドが前記第二制御部から送信された場合には、当該通信コマンドを破棄する、または当該通信コマンドによる処理を行わないように構成されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、第二制御部から新規なコマンド(例えば、悪意のあるコマンド)が送信された場合に当該コマンドを破棄することで第一制御部により実施される報知装置の主機能への影響を確実に防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の報知装置において、
前記第二制御部は、前記出力部に関する信号を前記外部機器から受信した場合には、前記出力部を制御するためのコマンドを前記第一制御部へと送信するように構成され、
前記第一制御部は、前記第二制御部から前記コマンドを受信した場合でも、前記第一ソフトウェアによる前記出力部の制御を優先するように構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、第二制御部から送信されるコマンドに影響されることなく、第一制御部による主機能の制御を実施できる。
【0012】
また、本発明の報知装置において、
前記第一制御部は、第二条件を満たす場合には、前記コマンドに基づいて前記出力部を制御するように構成成されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第一制御部において第二制御部から送信されたコマンドに基づく主機能の制御の要否を決定するため、主機能の制御を優先的に実施できる。
【0014】
また、本発明の報知装置において、
前記第一制御部は、前記第一ソフトウェアにより前記出力部を制御している途中で前記第二制御部から前記コマンドを受信したとき、または前記コマンドに基づいて前記出力部を制御している途中で前記第一ソフトウェアによる前記出力部の制御が開始されたときには、前記第二条件を満たしていないと判断してもよい。
【0015】
上記構成によれば、簡便な制御で主機能の制御を優先的に実施できる。
【0016】
また、本発明の報知装置において、
前記第一制御部は、第一条件を満たす場合には、前記第二制御部から前記出力部へ向けて送信される制御信号を遮断するように構成されていてもよい。
【0017】
上記構成によっても、第一制御部により実行される報知装置の主機能への影響を確実に防ぐことができる。
【0018】
また、本発明の報知装置において、
前記第一制御部は、前記第一ソフトウェアにより前記出力部を制御している途中で前記制御信号が前記出力部に送信されたとき、または前記制御信号に基づいて前記出力部を制御している途中で前記第一ソフトウェアによる前記出力部の制御が開始されたときに、前記第一条件を満たしていると判断してもよい。
【0019】
これらの条件のときに第二制御部からの第一制御信号を遮断するのが好ましい。
【0020】
また、本発明の報知装置において、
前記インターフェースは、前記報知装置が設置される各住居のインターネット回線であってもよい。
【0021】
上記構成によれば、第二ソフトウェアの更新を外部から遠隔で行うことができる。
【0022】
また、本発明の報知装置において、
前記第一制御部及び前記第二制御部へと電源を供給するための単一の電源回路をさらに備えていてもよい。
【0023】
上記構成によれば、単一の電源回路により第一制御部及び第二制御部への電源供給がなされるため、両制御部の起動のタイミングを合わせやすくなり、また個別の電源回路を備えるよりも低コストとなる。
【0024】
また、本発明の報知装置において、
前記第一制御部へと電源を供給するための第一電源回路と、
前記第一電源回路とは別個で設けられて、前記第二制御部へと電源を供給するための第二電源回路と、をさらに備えていてもよい。
【0025】
上記構成によれば、第一制御部と第二制御部との電源供給が個別でなされるため、両制御部の機能の干渉が起こりにくくなり、またフェールセーフの観点からも望ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、火災警報やガス漏れ警報という主機能に影響を与えることなく付属機能のソフトウェア更新が可能な報知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係るインターホンシステムの概要ブロック図である。
【
図2】インターホンシステムに含まれる第一実施形態に係る居室親機(報知装置)のブロック図である。
【
図3】インターホンシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】第二実施形態に係る居室親機のブロック図である。
【
図5】第三実施形態に係る居室親機のブロック図である。
【
図6】変形例に係るインターホンシステムの概要ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係るインターホンシステムについて、図面を参照して説明する。
図1は、インターホンシステム50の構成を示す概要ブロック図である。
図1に示すように、インターホンシステム50は、居室親機2(報知装置の一例)と、集合玄関機4(外部機器の一例)と、制御装置6(外部機器の一例)と、センサ8と、を備えている。インターホンシステム50は、マンション等の集合住宅Mに設置されているシステムである。本実施形態における居室親機2は、基本的なインターホン親機の機能以外に、例えば、自動火災報知設備やガス漏れセンサ又は防犯センサ等の警報設備、非常時の通報機能など各種機能が搭載された総合的な情報機器であり、住宅情報盤と呼ばれる場合もある。
【0029】
居室親機2は、集合住宅Mの各住戸S内の居室等に設置されている。居室親機2は、インターホン回線Lにより、制御装置6に通信可能に接続されている。居室親機2は、制御装置6を介して集合玄関機4に通信可能に接続されている。居室親機2は、センサ8に通信可能に接続されている。さらに、居室親機2は、ルータ11及びHUB12を介して、インターネット(インターネット回線)Nに通信可能に接続されている。
【0030】
居室親機2は、集合玄関機4からの呼び出しに居住者が応答するための通話装置として機能する。さらに、居室親機2は、例えば、センサ8から送信される報知情報(例えば、火災情報、ガス漏れ情報等)を報知するための報知装置として機能する。
【0031】
集合玄関機4は、来訪者が集合住宅Mの居住者を呼び出して通話するためなどに用いられる。集合玄関機4には、部屋番号を入力するためのテンキーや、来訪者の映像を撮像するカメラ等が設けられている。集合玄関機4は、集合住宅Mの集合玄関や共用スペース等に設置されている。なお、図示は省略されているが、集合住宅Mの各住戸Sには、各住戸Sの居室親機2に通信可能に接続される玄関子機が各玄関に設けられている。
【0032】
制御装置6は、インターホン回線Lを介して接続されている居室親機2と集合玄関機4との間の通信を制御する。また、制御装置6は、ルータ11を介して、インターネットNに通信可能に接続されている。
【0033】
センサ8は、例えば、集合住宅Mの集合玄関、共用スペース等に設置されている。また、センサ8は、集合住宅Mの各住戸S内に設置されてもよい。センサ8としては、例えば、設置された区画で発生した煙を感知する火災感知器、発生したガスを感知するガス漏れセンサ等が含まれる。
【0034】
(第一実施形態)
次に、
図2を参照して、居室親機2Aについて詳しく説明する。
図2は、第一実施形態に係る居室親機2Aのブロック図である。
図2に示すように、居室親機2Aは、センサ8から送信された検出信号を受信する警報インターフェース21(第一受信部の一例)と、警報情報を出力するスピーカ22a,ランプ22b(出力部の一例)と、スピーカ22a,ランプ22bを制御するセキュリティCPU(Central Processing Unit)23(第一制御部の一例)と、を有している。以下、インターフェースをI/Fと表記する。また、居室親機2Aは、外部機器から送信された外部信号を受信する外部機器I/F31a,31b(第二受信部の一例、以下、外部機器I/F31と称する場合もある。)と、外部情報を表示するディスプレイ32(第二出力部の一例)と、スピーカ22a,ランプ22bおよびディスプレイ32を制御する付属CPU33(第二制御部の一例)と、を有している。さらに、居室親機2Aは、セキュリティCPU23及び付属CPU33に電圧を供給する電源回路39を有している。
【0035】
警報I/F21は、セキュリティCPU23に接続されている。警報I/F21は、センサ8から受信した検出信号、例えば、火災感知器から受信した火災検出信号やガス漏れ警報器から受信したガス漏れ検出信号をセキュリティCPU23に送信する。セキュリティCPU23には、警報I/F21の他に、例えば浴室、トイレ、キッチン等に設置されたコールボタンから送信されるコール信号を受信可能なサービスI/F24が接続されている。
【0036】
スピーカ22a及びランプ22bは、セキュリティCPU23に接続されている。スピーカ22aは、警報音源25とパワーアンプ26を介してセキュリティCPU23に接続されている。スピーカ22aは、センサ8から受信された検出信号の種類に応じて選択される所定の警報音を出力する。さらに、スピーカ22aは、付属CPU33からセキュリティCPU23に送信されたスピーカ22aを制御するための制御信号に応じて選択される所定の音声(例えば、呼出音、通話音)を出力する。ランプ22bは、例えば、LED(Light Emitting Diode)から構成され、センサ8から受信された検出信号の種類に応じて選択される所定の色、所定の発光パターンの警報光を出力する。さらに、ランプ22bは、付属CPU33からセキュリティCPU23に送信されたランプ22bを制御するための制御信号に応じて選択される所定の色、所定の発光パターンの光を出力する。
【0037】
セキュリティCPU23は、居室親機2Aの各部の動作を制御するための制御部であり、例えば1以上のプロセッサを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。セキュリティCPU23は、複数のCPUコアによって構成されてもよい。セキュリティCPU23は、例えば、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及び/又はTPU(Tensor Processing Unit)であってもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。また、セキュリティCPU23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路からなるハードウェア資源によって構成されてもよい。さらに、セキュリティCPU23は、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。
【0038】
付属CPU33は、居室親機2Aの各部の動作を制御するためにセキュリティCPU23とは別個で設けられた制御部である。セキュリティCPU23と同様に、付属CPU33は、例えば1以上のプロセッサを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでいればよい。
【0039】
セキュリティCPU23には、センサ8から送信されて警報I/F21で受信された検出信号に基づいて、スピーカ22aやランプ22b等の出力部を制御するための第一ソフトウェアが組み込まれている。セキュリティCPU23は、例えば、警報I/F21から受信した検出信号の種類等に基づいてスピーカ22aから所定の警報音が出力されるように警報音源25及びスピーカ22aを制御する。また、セキュリティCPU23は、警報I/F21から受信した検出信号の種類等に基づいてランプ22bから所定の警報光が出力されるようにランプ22bを制御する。
【0040】
セキュリティCPU23は、付属CPU33から受信した制御信号に基づいてスピーカ22aから所定の音声(例えば、呼出音、通話音)が出力されるように警報音源25及びスピーカ22aを制御する。さらに、セキュリティCPU23は、付属CPU33から受信した制御信号に基づいてランプ22bから所定の光(例えば、呼出光等)が出力されるようにランプ22bを制御する。
【0041】
本例では、セキュリティCPU23は、付属CPU33から送信されてくる通信コマンドの応否を判断するように構成されている。例えば、セキュリティCPU23は、付属CPU33との間で通信するための所定の通信コマンドを規定して、その通信コマンド以外の通信コマンドが付属CPU33から送信された場合には、当該通信コマンドを破棄するように構成されている。
【0042】
セキュリティCPU23は、付属CPU33から所定の通信コマンドを受け付けた場合でも、セキュリティCPU23の制御状態に応じて、付属CPU33からの制御信号に基づくスピーカ22aやランプ22bの制御の要否を判断する。付属CPU33からの制御信号に基づく各出力部(スピーカ22aやランプ22b)の制御の要否の判断方法については後述する。
【0043】
さらに、セキュリティCPU23は、パワーアンプ26に供給される電源電圧あるいはスピーカ22aに入力されるパワーアンプ26からの出力を、スイッチ27a,27bの切り替えによってオフさせることができるように構成されている。
【0044】
外部機器I/F31a,31bは、付属CPU33に接続されている。外部機器I/F31a,31bは、外部機器から受信した外部信号、例えば、集合玄関機4から制御装置6を介して受信した呼出信号や、来訪者と居住者との通話データや、来訪者を撮像した映像データ等を付属CPU33に送信する。
【0045】
ディスプレイ32には、付属CPU33に接続されている。ディスプレイ32は、集合玄関機4で撮像された来訪者の映像や、インターネットNから送信された情報が表示される。ディスプレイ32はタッチパネル32aとして構成されている。
【0046】
付属CPU33には、居室親機2Aを制御するための制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)34aと、制御プログラムや制御データ等が一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)34bが接続されている。付属CPU33は、ROM34aに記憶された各種制御プログラムから指定されるプログラムをRAM34b上に展開し、RAM34bとの協働で各種処理を実行するように構成されている。
【0047】
付属CPU33には、外部機器から送信されて外部機器I/F31a,31bで受信された信号に基づいてスピーカ22a,ランプ22bおよびディスプレイ32等を制御するための第二ソフトウェアが組み込まれている。上述の通り、付属CPU33は、セキュリティCPU23から独立して設けられ、セキュリティCPU23に通信可能に接続されている。付属CPU33は、セキュリティCPU23との間で規定された所定の通信コマンドに基づいて、セキュリティCPU23と通信を行うことができるように構成されている。
【0048】
付属CPU33は、スピーカ22aやランプ22b等の出力部に関する信号を外部機器から受信した場合、当該信号を当該出力部を制御するための所定の通信コマンド(制御信号)へと変換してセキュリティCPU23へ送信する。さらに、付属CPU33は、外部機器から受信した信号に基づいてディスプレイ32を制御するための制御信号をディスプレイ32へ送信する。例えば、付属CPU33は、集合玄関機4から呼出信号を受信した場合には、当該呼出信号を予め規定された所定の通信コマンドに変換し、当該通信コマンドをスピーカ22aやランプ22bを制御するための制御信号としてセキュリティCPU23へ送信する。さらに、付属CPU33は、集合玄関機4を操作した来訪者と呼び出された居住者との間の通話データを、所定の通信コマンドによりセキュリティCPU23へ送信する。また、付属CPU33は、集合玄関機4から呼出信号を受信した場合には、集合玄関機4で撮像された来訪者の映像データをディスプレイ32へ送信する。
【0049】
付属CPU33に組み込まれている第二ソフトウェアは、外部機器とのインターフェースを介して更新することができるように構成されている。例えば、第二ソフトウェアは、制御装置6に接続される外部機器I/F31を介して更新することができる。更新作業は、制御装置6に作業用のパーソナルコンピュータを接続して、当該パーソナルコンピュータから行うことができる。また、第二ソフトウェアは、インターネットNに接続される外部機器I/F31を介して更新することができる。インターネットNを介して第二ソフトウェアを更新する場合、外部機器はサーバやクラウド等である。付属CPU33とセキュリティCPU23との間の通信は上述したように所定の通信コマンドによって規定されている。このため、付属CPU33に組み込まれている第二ソフトウェアを更新する場合、セキュリティCPU23から独立して設けられている付属CPU33に外部機器を接続し、外部機器と付属CPU33との間で所定の通信コマンド以外の通信コマンドを用いて更新処理することにより、第二ソフトウェアの更新処理がセキュリティCPU23の第一ソフトウェアで発揮される機能に影響を与えることはない。
【0050】
電源回路39は、セキュリティCPU23及び付属CPU33の両CPUに対して所定の電圧を供給する単一の電源回路である。電源回路39の電源は、スイッチ39aの切り替えにより通常の電源(例えば、AC100V)または非常電源が選択されるように構成されている。ただし、非常電源を必要としない場合もあり、この場合は、スイッチ39aの切り替えはなくてもよい。
【0051】
次に、
図3のフローチャートを参照して、居室親機2Aの動作例について説明する。
例えば、集合住宅Mを訪れた来訪者が集合玄関機4の操作部を操作して特定の居住者を呼び出すために部屋番号を入力する。入力された部屋番号がインターホン回線Lを介して集合玄関機4から制御装置6へ送信される。制御装置6は、受信した部屋番号に基づいてその部屋番号の居住者を呼び出す呼出信号を、インターホン回線Lを介してその居住者の住戸Sに設置されている居室親機2Aへ送信する。
【0052】
居室親機2Aの付属CPU33は、外部機器I/F31を介して呼出信号を受信する(ステップS10)。
【0053】
付属CPU33は、受信された信号が呼出信号であると判断すると、セキュリティCPU23との間で通信を行うための所定の通信コマンドを生成する(ステップS11)。
【0054】
付属CPU33は、生成された所定の通信コマンドをセキュリティCPU23へ送信する(ステップS12)。当該通信コマンドは、呼出音(例えば「ピンポン」)をスピーカ22aから出力させるとともに呼出光をランプ22bから出力させるための制御信号である。
【0055】
セキュリティCPU23は、付属CPU33から通信コマンドを受信すると、現在、例えば火災感知器から受信した火災検出信号やガス漏れ警報器から受信したガス漏れ検出信号に基づいて、スピーカ22a及び/又はランプ22bを使用して警報動作を実行している最中であるか否かを判断する(ステップS13)。
【0056】
ステップS13において、火災検出信号やガス漏れ検出信号に基づいて警報動作中であると判断された場合(ステップS13のYes)、セキュリティCPU23は、付属CPU33から受信した通信コマンドを破棄し、検出信号に基づく警報動作を継続する(ステップS14)。すなわち、セキュリティCPU23は、現在処理している検出信号に基づく警報動作(主機能)を優先して実行し、途中で要求された制御信号に基づく呼出動作(付属機能)の処理を実行しない。
【0057】
一方、ステップS13において、検出信号に基づく警報動作を実行していないと判断された場合(ステップS13のNo)、セキュリティCPU23は、付属CPU33から受信した通信コマンドが予め規定された所定の通信コマンドであるか否かを判断する(ステップS15)。
【0058】
ステップS15において、付属CPU33から受信した通信コマンドが所定の通信コマンドではないと判断された場合(ステップS15のNo)、セキュリティCPU23は、付属CPU33から受信した通信コマンドを破棄し、付属CPU33からの制御信号に基づく呼出動作及びその後の通話動作の処理を実行しない(ステップS16)。
【0059】
一方、ステップS15において、付属CPU33から受信した通信コマンドが所定の通信コマンドであると判断された場合(ステップS15のYes)、セキュリティCPU23は、付属CPU33から受信した制御信号に基づいてスピーカ22a及びランプ22bによる呼出動作の処理を開始する(ステップS17)。
【0060】
なお、ステップS17でスピーカ22a及びランプ22bによる呼出動作を実行している最中に、あるいは、呼出動作の後に実行される来訪者と居住者による通話動作の最中に、警報動作を行うための検出信号を受信した場合、セキュリティCPU23は、実行している呼出動作を中断あるいは停止して、スピーカ22a及びランプ22bによる警報動作を優先して実行する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係るインターホンシステム50が備える居室親機2Aは、火災及びガス漏れの少なくとも一方を検出するセンサ8と通信可能に接続されており、センサ8から送信された検出信号を受信する警報I/F21と、火災又はガス漏れが発生したことを示す警報情報を出力するスピーカ22a,ランプ22bと、検出信号に基づいてスピーカ22a,ランプ22bを制御するための第一ソフトウェアが組み込まれたセキュリティCPU23を備えている。さらに、居室親機2Aは、センサ8以外の外部機器から送信された信号を受信する外部機器I/F31と、セキュリティCPU23と通信可能且つ独立して設けられた制御部であって、外部機器I/F31で受信した信号に基づいてスピーカ22a,ランプ22bまたはスピーカ22a,ランプ22b以外の機器を制御するための第二ソフトウェアが組み込まれた付属CPU33を備えている。そして、外部機器とのインターフェースを介して付属CPU33の第二ソフトウェアの更新が可能であるとともに、第二ソフトウェアの更新がセキュリティCPU23の第一ソフトウェアで発揮される機能に影響を与えないようにセキュリティCPU23及び付属CPU33が構成されている。このような構成によれば、付属CPU33がセキュリティCPU23から独立して設けられており、付属CPU33の外部機器I/F31に外部機器を接続することで第二ソフトウェアの更新が実行される。そのため、報知装置としての居室親機2Aにおいて、セキュリティCPU23の第一ソフトウェアで発揮される火災警報やガス漏れ警報といった主機能に影響を与えることなく、付属CPU33の第二ソフトウェアで発揮される付属機能(呼出通話機能や防犯機能)のバージョンアップが可能となる。これにより、居室親機2A自体を交換することなく、付属機能の仕様変更やセキュリティ確保(脆弱性対応)等に対応することができる。
【0062】
また、居室親機2Aによれば、セキュリティCPU23と付属CPU33との間の通信のための所定の通信コマンドが規定され、セキュリティCPU23は、所定の通信コマンド以外の通信コマンドが付属CPU33から送信された場合には、当該通信コマンドを破棄する、または当該通信コマンドによる処理を実行しないように構成されている。このため、付属CPU33からセキュリティCPU23に対して新規なコマンドとして例えば、悪意のあるコマンドが送信された場合には当該悪意のあるコマンドによる動作が実行されることがない。そのため、セキュリティCPU23における主機能の動作への悪影響を確実に防ぐことができる。
【0063】
また、居室親機2Aによれば、付属CPU33は、スピーカ22a及びランプ22bに関する信号を集合玄関機4等の外部機器から受信した場合には、スピーカ22a及びランプ22bを制御するためのコマンドをセキュリティCPU23へと送信するように構成され、セキュリティCPU23は、付属CPU33から送信されたコマンドに基づいてスピーカ22a及びランプ22bを制御するか否かを判断するように構成されている。このように、セキュリティCPU23は、付属CPU33から送信された信号に基づくスピーカ22a及びランプ22bの制御(すなわち、主機能に関連する制御)の要否を判断しているので、付属CPU33から送信されるコマンド(制御信号)に影響されることなく、セキュリティCPU23における制御状況に応じて主機能の制御を優先的に実施することができる。
【0064】
また、居室親機2Aによれば、セキュリティCPU23は、所定の条件(第一条件の一例)を満たす場合には、付属CPU33から送信されたコマンドに基づいてスピーカ22a及びランプ22bを制御するように構成されている。例えば、セキュリティCPU23に組み込まれた第一ソフトウェアによりスピーカ22a及びランプ22bを制御している途中で付属CPU33からのコマンドを受信したとき、または当該コマンドに基づいてスピーカ22a及びランプ22bを制御している途中で第一ソフトウェアによるスピーカ22a及びランプ22bの制御が開始されたときには、セキュリティCPU23は、当該所定の条件を満たしていないと判断する。すなわち、セキュリティCPU23は、第一ソフトウェアによりスピーカ22a及びランプ22bを制御している途中で付属CPU33からのコマンドを受信したとき、または当該コマンドに基づいてスピーカ22a及びランプ22bを制御している途中で第一ソフトウェアによるスピーカ22a及びランプ22bの制御が開始されたときには、付属CPU33からのコマンドに基づいてスピーカ22a及びランプ22bを制御しないと判断する。この構成によれば、セキュリティCPU23の制御状況に応じて、簡便な制御で付属CPU33の制御よりもセキュリティCPU23による主機能の制御を優先的に実施することができる。
【0065】
また、居室親機2Aによれば、居室親機2Aが設置される各住居のインターネットNを、付属CPU33に組み込まれる第二ソフトウェアを更新するためのインターフェースとすることができる。このため、例えば集合住宅Mに対しては、現地を訪れることなく、さらには各住居に入室することなく各居室親機2Aの付属CPU33の第二ソフトウェアを外部から遠隔で更新することができる。
【0066】
また、インターホンシステム50は、居室親機2Aと集合玄関機4との間を中継するよう居室親機2A及び集合玄関機4に通信可能に接続された外部機器としての制御装置6をさらに備え、制御装置6を介しても第二ソフトウェアの更新が可能である。この構成によれば、付属CPU33に組み込まれた第二ソフトウェアの更新をインターホンシステム50が設置された現場(集合住宅M)においても簡便に実行することができる。
【0067】
また、居室親機2Aは、セキュリティCPU23及び付属CPU33へと電源を供給するための単一の電源回路39をさらに備えている。この構成によれば、単一の電源回路39によりセキュリティCPU23及び付属CPU33への電源供給がなされるため、両CPUの起動のタイミングを合わせやすくなり、また個別の電源回路を備えるよりも低コストとなる。
【0068】
なお、セキュリティCPU23及び付属CPU33に対して電圧を供給する電源回路は、単一ではなく複数設けられた構成であってもよい。例えば、セキュリティCPU23に電圧を供給するためのセキュリティ電源回路(第一電源回路)と、セキュリティ電源回路とは別個で設けられて、付属CPU33に電圧を供給するための付属電源回路(第二電源回路)と、を有していてもよい。この構成によれば、セキュリティCPU23と付属CPU33との電源供給が個別でなされるため、両CPUの機能の干渉が起こりにくくなり、またフェールセーフの観点からも望ましい。なお、複数の電源回路を直列的に配置し、当該複数の電源回路が両CPUに対して共通の電源回路となるように構成してもよい。例えば、AC-DC変換のための電源回路であるAC/DCコンバータと電圧調整のための電源回路であるDC/DCコンバータとを直列配置して、AC/DCコンバータとDC/DCコンバータとによりセキュリティCPU23及び付属CPU33への電源供給を共通して行うことで、居室親機2Aの動作電圧範囲の要求を満たしつつ、両CPUの起動のタイミングを合わせやすくなる。
【0069】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る居室親機について
図4を参照して説明する。
図4は、第二実施形態に係る居室親機(報知装置)2Bのブロック図である。第一実施形態に係る居室親機2Aと同様の機能を有する構成要素については同一の参照符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0070】
図4に示すように、居室親機2Bは、付属CPU133がセキュリティCPU123を介さずにスピーカ22a及びランプ22bを直接制御することができるように構成されている点において上述した第一実施形態の居室親機2Aと相違している。その他の構成は居室親機2Aと同様であり、居室親機2Bは、センサ8から送信された検出信号を受信する警報I/F21と、警報情報を出力するスピーカ22a及びランプ22bと、スピーカ22aおよびランプ22bを制御するセキュリティCPU123と、を有している。さらに、居室親機2Bは、外部機器(集合玄関機4、制御装置6)から送信された外部信号を受信する外部機器I/F31a,31bと、外部情報を出力するディスプレイ32と、スピーカ22a、ランプ22bおよびディスプレイ32を制御する付属CPU133と、を有している。さらに、居室親機2Bは、セキュリティCPU123及び付属CPU133に電圧を供給する電源回路39を有している。
【0071】
付属CPU133は、スピーカ22aやランプ22b等の出力部に関する信号を外部機器から受信した場合には、当該出力部を制御することを通知する通知信号をセキュリティCPU123へ送信する。また、付属CPU133は、スピーカ22aやランプ22b等の出力部に関する信号を外部機器から受信した場合には、当該出力部を制御するための制御信号をスピーカ22a及びランプ22bに直接送信する。このように、付属CPU133は、外部機器から受信した信号に基づいて、ディスプレイ32だけでなくスピーカ22a及びランプ22bも直接制御できるように構成されている。
【0072】
例えば、付属CPU133は、集合玄関機4から呼出信号を受信した場合には、スピーカ22aやランプ22bを制御することを通知する通知信号を、規定されている所定の通信コマンドによりセキュリティCPU123へ送信する。また、付属CPU133は、集合玄関機4を操作した来訪者と呼び出された居住者との間で通話を開始することを通知する通知信号を、所定の通信コマンドによりセキュリティCPU123へ送信する。
【0073】
さらに、付属CPU133は、集合玄関機4から呼出信号を受信した場合には、スピーカ22aを制御するための制御信号をスピーカ22aへ向けて送信し、スピーカ22aから所定の音声(例えば、呼出音、通話音)が出力されるようにスピーカ22aを制御する。また、付属CPU133は、集合玄関機4から呼出信号を受信した場合には、ランプ22bを制御するための制御信号をランプ22bへ向けて送信し、ランプ22bから所定の光(例えば、呼出光等)が出力されるようにランプ22bを制御する。また、付属CPU133は、集合玄関機4から呼出信号を受信した場合には、ディスプレイ32を制御するための制御信号をディスプレイ32へ向けて送信し、集合玄関機4で撮像された来訪者の映像を表示させるようにディスプレイ32を制御する。
【0074】
セキュリティCPU123は、付属CPU133からスピーカ22a及びランプ22bへ向けて送信される制御信号を、セキュリティCPU123の制御状態に応じて遮断する。
【0075】
例えば、セキュリティCPU123は、第一ソフトウェアによりスピーカ22a及びランプ22bを制御して警報処理を実行している途中で付属CPU133から呼出処理を実行するための通知信号を受信したときは、スイッチ27cをオフにして、付属CPU133からスピーカ22aに向けて送信される呼出処理を実行するための制御信号を遮断する。また、セキュリティCPU123は、第一ソフトウェアによりスピーカ22a及びランプ22bを制御して警報処理を実行している途中で付属CPU133から呼出処理を実行するための通知信号を受信したときは、スイッチ27dをオフにして、付属CPU133からランプ22bに向けて送信される呼出処理を実行するための制御信号を遮断する。
【0076】
また、セキュリティCPU123は、付属CPU133からスピーカ22aに向けて送信された呼出処理を実行するための制御信号に基づいてスピーカ22aが制御されている途中で第一ソフトウェアによるスピーカ22aの制御により警報処理が開始されたときは、スイッチ27cをオフして、付属CPU133からスピーカ22aに向けて送信されている呼出処理を実行するための制御信号を遮断し、付属CPU33によるスピーカ22aの制御を中断あるいは停止する。また、セキュリティCPU123は、付属CPU133からランプ22bに向けて送信された呼出処理を実行するための制御信号に基づいてランプ22bが制御されている途中で第一ソフトウェアによるランプ22bの制御により警報処理が開始されたときは、スイッチ27dをオフして、付属CPU133からランプ22bに向けて送信されている呼出処理を実行するための制御信号を遮断し、付属CPU133によるランプ22bの制御を中断あるいは停止する。
【0077】
このように、第二実施形態に係る居室親機2Bによれば、セキュリティCPU123は、所定条件(第二条件の一例)を満たす場合には、付属CPU133からスピーカ22a及びランプ22bへ向けて送信される制御信号を遮断するように構成されている。このような構成によっても、セキュリティCPU123の第一ソフトウェアで発揮される火災警報やガス漏れ警報といった主機能の動作への悪影響を防ぐことができる。
【0078】
また、居室親機2Bによれば、付属CPU133から送信される制御信号を遮断する所定条件は、第一ソフトウェアによりスピーカ22a及びランプ22bを制御している途中で付属CPU133からの制御信号が送信されたとき、または付属CPU133からの制御信号に基づいてスピーカ22a及びランプ22bを制御している途中でセキュリティCPU123の第一ソフトウェアによるスピーカ22a及びランプ22bの制御が開始されたときである。これらの条件のときに付属CPU133からの制御信号を遮断するのが好ましい。これにより、セキュリティCPU123の制御状況に応じて、簡便な制御で付属CPU133の制御よりもセキュリティCPU123による主機能の制御を優先的に実施することができる。
【0079】
なお、第二実施形態においては、付属CPU133が集合玄関機4から呼出信号を受信した場合には、スピーカ22aやランプ22bを制御することを通知する通知信号を、付属CPU133からセキュリティCPU123へ送信する構成となっているがこれに限られない。付属CPU133からセキュリティCPU123へは通知信号を送信せずに、第一ソフトウェアによるスピーカ22aやランプ22bの制御により警報処理が開始されたときには、付属CPU133からスピーカ22aやランプ22bへ制御信号が送信されているかどうかにかかわらず、セキュリティCPU123はスイッチ27c,27dを常にオフするようにしてもよい。
【0080】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態に係る居室親機について
図5を参照して説明する。
図5は、第三実施形態に係る居室親機(報知装置)2Cのブロック図である。第一実施形態に係る居室親機2Aまたは第二実施形態に係る居室親機2Bと同様の機能を有する構成要素については同一の参照符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0081】
図5に示すように、第三実施形態に係る居室親機2Cは、パワーアンプ26に電源電圧を供給するためのスイッチ27aとスピーカ22aにパワーアンプ26の出力を入力するためのスイッチ27bを、OR回路28a,28bに入力されるセキュリティCPU223の制御信号と付属CPU233の制御信号とによって切り替えている点で上述した第二実施形態の居室親機2Bと相違している。その他の構成は居室親機2Bと同様である。すなわち、居室親機2Cは、センサ8から送信された検出信号を受信する警報I/F21と、警報情報を出力するスピーカ22aおよびランプ22bと、スピーカ22aおよびランプ22bを制御するセキュリティCPU223と、を有している。また、居室親機2Bは、外部機器から送信された外部信号を受信する外部機器I/F31a,31bと、外部情報を出力するディスプレイ32と、スピーカ22a、ランプ22bおよびディスプレイ32を制御する付属CPU233と、を有している。さらに、居室親機2Bは、セキュリティCPU223及び付属CPU233に電圧を供給する電源回路39を有している。
【0082】
セキュリティCPU223は、パワーアンプ26に供給される電源電圧からの出力を、スイッチ27aの切り替えでオン/オフさせることができるように構成されている。さらに、セキュリティCPU223は、スピーカ22aに入力されるパワーアンプ26からの出力を、スイッチ27bの切り替えでオン/オフさせることができるように構成されている。同様に、付属CPU233は、パワーアンプ26に供給される電源電圧あるいはスピーカ22aに入力されるパワーアンプ26からの出力を、スイッチ27a,27bの切り替えでオン/オフさせることができるように構成されている。
【0083】
第三実施形態に係る居室親機2Cによれば、セキュリティCPU223及び付属CPU233がそれぞれの制御によりスピーカ22aを動作させようとする場合、セキュリティCPU223及び付属CPU233から制御信号をOR回路28a,28bに入力することによって、スイッチ27a,27bがオンされる。これにより、必要な状況においてスピーカ22aを確実に動作させることができる。なお、
図5に示す第三実施形態では、パワーアンプ26に電源電圧を供給するためのスイッチ27aとスピーカ22aにパワーアンプ26の出力を入力するためのスイッチ27bの双方にOR回路28a,28bが設けられているが、どちらか一方のみOR回路が設けられる構成であってもよい。
【0084】
(変形例)
次に、
図6を参照して、インターホンシステムの変形例について説明する。
図6は、変形例に係るインターホンシステム60の概要ブロック図である。
図6に示すように、インターホンシステム60は、集合住宅Mの管理室に設置される管理室親機302と、管理室親機302を呼び出すための管理室子機304と、を備えている。管理室親機302は、インターホン回線Lを介して制御装置6(
図1参照)に通信可能に接続されている。また、管理室親機302は、ルータ11を介して、インターネットNに通信可能に接続されている。
【0085】
管理室親機302は、上記インターホンシステム50で説明した居室親機2A~2Cと同様に報知装置としても機能するように構成されている。管理室親機302は、例えば
図2に示す居室親機2Aと同様に、警報I/F21、スピーカ22a、ランプ22b、セキュリティCPU23、外部機器I/F31a,31b、ディスプレイ32、付属CPU33、電源回路39等の各構成を有している。管理室親機302には、センサ8が接続されている。
【0086】
管理室親機302の付属CPU33に組み込まれている第二ソフトウェアは、外部機器とのインターフェースを介して更新することができるように構成されている。例えば、第二ソフトウェアは、外部機器I/F31に接続されている制御装置6を介して更新することができる。また、第二ソフトウェアは、外部機器I/F31に接続されるインターネットNを介して更新することができる。
【0087】
このような構成を備えるインターホンシステム60の場合にも、上記インターホンシステム50と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0089】
上記の各実施形態や変形例においては、インターホンシステム50,60に備えられた居室親機2や管理室親機302がセキュリティCPU23,123,223及びセキュリティCPU23,123,223とは別個で設けられた付属CPU33,133,233を有し、セキュリティCPU23,123,223の機能に影響を与えずに付属CPU33,133,233のソフトウェアの更新を可能とする構成を説明したが、この例に限られない。例えば、一般的な火災報知設備やガス漏れ警報設備に上記の実施形態の構成を採用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
2(2A~2C):居室親機(報知装置の一例)、4:集合玄関機(外部機器の一例)、6:制御装置(外部機器の一例)、8:センサ、11:ルータ、12:HUB、21:警報インターフェース(第一受信部の一例)、22a:スピーカ(出力部の一例)、22b:ランプ(出力部の一例)、23,123,223:セキュリティCPU(第一制御部の一例)、25:警報音源、26:パワーアンプ、28a,28b:OR回路、31a,31b:外部機器I/F(第二受信部の一例)、32:ディスプレイ(第二出力部の一例)、33,133,233:付属CPU(第二制御部の一例)、39:電源回路、50,60:インターホンシステム、302:管理室親機、304:管理室子機、L:インターホン回線、N:インターネット、M:集合住宅、S:住戸