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特開2022-71539距離画像撮像素子及び距離画像撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071539
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】距離画像撮像素子及び距離画像撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4863 20200101AFI20220509BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220509BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20220509BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20220509BHJP
【FI】
G01S7/4863
H01L27/146 A
G01C3/06 120Q
G01S17/894
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180564
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】大久保 優
(72)【発明者】
【氏名】中込 友洋
【テーマコード(参考)】
2F112
4M118
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA28
2F112EA05
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA35
2F112FA45
4M118AA10
4M118AB03
4M118BA14
4M118CA02
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA33
4M118GA02
4M118GD04
4M118GD07
5J084AA05
5J084AD01
5J084AD05
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA34
5J084BA40
5J084BB02
5J084CA03
5J084CA49
5J084CA70
5J084EA04
(57)【要約】
【課題】電荷蓄積部に蓄積される電荷から測定される距離の精度を向上する距離画像撮像素子を提供する。
【解決手段】本発明は、測定対象の空間から入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、電荷を蓄積する電荷蓄積部と、光電変換素子から電荷を電荷蓄積部に転送する転送経路上に設けられた転送MOSトランジスタ(以下、TR)と、光電変換素子から電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出TRとを少なくとも備える画素回路が半導体基板上に形成された距離画像撮像素子であり、光電変換素子が平面視においてN角形(Nは、5以上の整数)の形状で半導体基板上に形成されており、転送TRと電荷排出TRとの総和がN個以上であり、光電変換素子の辺において、電荷排出MOSトランジスタが設けられた第1辺を除く他の第2辺に、転送TRが1個ずつ設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の空間から入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、前記電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記光電変換素子から前記電荷を前記電荷蓄積部に転送する転送経路上に設けられた転送MOSトランジスタと、前記光電変換素子から前記電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出MOSトランジスタとを少なくとも備える画素回路が半導体基板上に形成された距離画像撮像素子であり、
前記光電変換素子が平面視においてN角形(Nは、5以上の整数)の形状で前記半導体基板上に形成されており、前記転送MOSトランジスタと前記電荷排出トランジスタとの総和がN個以上であり、
前記光電変換素子の辺において、前記電荷排出MOSトランジスタが設けられた第1辺を除く他の第2辺の各々に、前記転送MOSトランジスタがそれぞれ1個ずつ設けられている
ことを特徴とする距離画像撮像素子。
【請求項2】
前記転送MOSトランジスタが、前記N角形のいずれかの辺に垂直で、かつ当該N角形の中心を通る軸に対して、線対称な位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の距離画像撮像素子。
【請求項3】
前記N角形のいずれかの辺が、前記電荷排出トランジスタが配置されている前記第1辺である
ことを特徴とする請求項2に記載の距離画像撮像素子。
【請求項4】
前記電荷蓄積部が前記軸に対して線対称の位置に配置されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の距離画像撮像素子。
【請求項5】
前記画素回路の前記光が入射される面側にマイクロレンズが形成されており、当該マイクロレンズの光軸が、前記光電変換素子の入射面に垂直で、かつ当該入射面の中心を貫通する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の距離画像撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の距離画像撮像素子が備えられた受光部と、
前記距離画像撮像素子が撮像した距離画像から、当該距離画像撮像素子から被写体までの距離を求める距離画像処理部と
を備えることを特徴とする距離画像撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離画像撮像素子及び距離画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光の速度が既知であることを利用し、空間(測定空間)における光の飛行時間に基づいて測定器と対象物との距離を測定する、タイム・オブ・フライト(Time of Flight、以下「TOF」という)方式の距離画像センサが実現されている。TOF方式の距離画像センサでは、測定対象に光(例えば、近赤外光など)パルスを照射し、光パルスを照射した時間と、測定空間における対象物によって反射した光パルス(反射光)が戻ってくる時間との差、つまり、測定器と対象物との間における光の飛行時間に基づいて、測定器と対象物との距離を測定している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような距離画像撮像装置を用いて、所定の距離にある物体までの距離を精度良く測定しようとする場合、上記画素から被写体からの反射光により発生した電荷量を、複数のゲートにより振り替えて精度良く読み出す必要がある。
TOF方式の距離画像センサは、光電変換素子が入射される光の光量を電荷に変換し、変換した電荷を電荷蓄積部に蓄積し、AD変換器により蓄積された電荷の電荷量に対応したアナログ電圧をデジタル値に変換している。
また、TOF方式の距離画像センサは、電荷量に対応したアナログ電圧や、デジタル値に含まれる、測定器と対象物との間における光の飛行時間の情報により、測定器と対象物との距離を求めている。
【0004】
ここで、距離画像撮像装置においては、光パルスを照射した時点から、被写体で反射した光パルスが戻ってくるまでの遅延時間を、光電変換素子が発生した電荷を、所定の周期毎に電荷蓄積部の各々に蓄積し、それぞれの電荷蓄積部に蓄積された電荷量によって求めている。そして、上記遅延時間と光速とを用いて、距離撮像画像装置から被写体までの距離を求めている。
そのため、光電変換素子から電荷蓄積部へ電荷を転送するため、光電変換素子と電荷蓄積部の各々とには電荷を転送する転送ゲート(トランジスタ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4235729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光電変換素子と電荷蓄積部との間に設けられる転送ゲートの転送特性が、レイアウトに起因して異なる場合、正確な距離の測定が行えない。
すなわち、転送ゲートの転送特性にばらつきが存在する場合、光電変換素子が同一の電荷量の電荷を発生しても、それぞれの転送ゲートから各電荷蓄積部に振り替える際、電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量が異なってしまう。
これにより、転送ゲートの転送特性にばらつきが存在することにより、光電変換素子に発生した電荷が正しく電荷蓄積部の各々に転送されず、測定される距離の精度が低減してしまう。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、光電変換素子から電荷蓄積部の各々に電荷を転送する転送ゲートの転送特性を同様とし、光電変換素子が発生した電荷を同一の転送効率により電荷蓄積部に転送し、電荷蓄積部に蓄積される電荷から測定される距離の精度を向上させる距離画像撮像素子及び距離画像撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の距離画像撮像装置は、測定対象の空間から入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、前記電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記光電変換素子から前記電荷を前記電荷蓄積部に転送する転送経路上に設けられた転送MOSトランジスタと、前記光電変換素子から前記電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出MOSトランジスタとを少なくとも備える画素回路が半導体基板上に形成された距離画像撮像素子であり、前記光電変換素子が平面視においてN角形(Nは、5以上の整数)の形状で前記半導体基板上に形成されており、前記転送MOSトランジスタと前記電荷排出トランジスタとの総和がN個以上であり、前記光電変換素子の辺において、前記電荷排出MOSトランジスタが設けられた第1辺を除く他の第2辺の各々に、前記転送MOSトランジスタがそれぞれ1個ずつ設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の距離画像撮像素子は、前記転送MOSトランジスタが、前記N角形のいずれかの辺に垂直で、かつ当該N角形の中心を通る軸に対して、線対称な位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の距離画像撮像素子は、前記N角形のいずれかの辺が、前記電荷排出トランジスタが配置されている前記第1辺であることを特徴とする。
【0011】
本発明の距離画像撮像素子は、前記電荷蓄積部が前記軸に対して線対称の位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の距離画像撮像素子は、前記画素回路の前記光が入射される面側にマイクロレンズが形成されており、当該マイクロレンズの光軸が、前記光電変換素子の入射面に垂直で、かつ当該入射面の中心を貫通することを特徴とする。
【0013】
本発明の距離画像撮像装置は、上記距離画像撮像素子のいずれかの距離画像撮像素子が備えられた受光部と、前記距離画像撮像素子が撮像した距離画像から、当該距離画像撮像素子から被写体までの距離を求める距離画像処理部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、光電変換素子から電荷蓄積部の各々に電荷を転送する転送ゲートの転送特性を同様とし、光電変換素子が発生した電荷を同一の転送効率により電荷蓄積部に転送し、電荷蓄積部に蓄積される電荷から測定される距離の精度を向上させる距離画像撮像素子及び距離画像撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子(距離画像センサ32)の概略構成を示したブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置1に用いられる固体撮像素子である距離画像センサ32(距離画像撮像素子)の受光領域320内に配置された画素回路321の構成の一例を示した回路図である。
図4】第1の実施形態における画素回路321の各トランジスタの配置(レイアウトパターン)の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態における図4における光電変換素子PDと転送トランジスタGと電荷排出トランジスタGDとの配置関係の一例を示す図である。
図6】転送トランジスタGによる光電変換素子PDからフローティングディフュージョンFDへの電荷の転送について説明する図である。
図7】転送トランジスタG1及び電荷排出トランジスタGDによる光電変換素子PDからの電荷の転送について説明する図である。
図8】第2の実施形態における画素回路321の各トランジスタの配置(レイアウトパターン)の一例を示す図である。
図9図8における光電変換素子PDと転送トランジスタGと電荷排出トランジスタGDとの配置関係の一例を示す図である。
図10】画素回路321の光電変換素子PDとマイクロレンズMLとの位置関係を示す図である。
図11】複数の画素回路321が配置された受光領域320の一部分におけるレンズアレイを示す平面図である。
図12図10におけるマイクロレンズMLが設けられた画素回路321のレンズアレイの断面図である。
図13図10におけるマイクロレンズMLが設けられた画素回路321のレンズアレイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の距離画像撮像素子を用いた距離画像撮像装置の概略構成を示したブロック図である。図1に示した構成の距離画像撮像装置1は、光源部2と、受光部3と、距離画像処理部4とを備える。なお、図1には、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象物である被写体Sも併せて示している。距離画像撮像素子は、例えば、受光部3における距離画像センサ32(後述)である。
【0017】
光源部2は、距離画像処理部4からの制御に従って、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sが存在する撮影対象の空間に光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの面発光型の半導体レーザーモジュールである。光源部2は、光源装置21と、拡散板22とを備える。
【0018】
光源装置21は、被写体Sに照射する光パルスPOとなる近赤外の波長帯域(例えば、波長が850nm~940nmの波長帯域)のレーザー光を発光する光源である。光源装置21は、例えば、半導体レーザー発光素子である。光源装置21は、タイミング制御部41からの制御に応じて、パルス状のレーザー光を発光する。
拡散板22は、光源装置21が発光した近赤外の波長帯域のレーザー光を、被写体Sに照射する面の広さに拡散する光学部品である。拡散板22が拡散したパルス状のレーザー光が、光パルスPOとして出射され、被写体Sに照射される。
【0019】
受光部3は、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sによって反射された光パルスPOの反射光RLを受光し、受光した反射光RLに応じた画素信号を出力する。受光部3は、レンズ31と、距離画像センサ32(距離画像撮像素子の一例)とを備える。
レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32に導く光学レンズである。レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32側に出射して、距離画像センサ32の受光領域が備えた各画素回路に受光(入射)させる。
【0020】
距離画像センサ32は、距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子である。距離画像センサ32は、二次元の受光領域に複数の画素回路を備える。距離画像センサ32のそれぞれの画素回路(画素回路321)の中に、1つの光電変換素子と、この1つの光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部と、それぞれの電荷蓄積部に電荷を振り分ける構成要素とが設けられている。
【0021】
距離画像センサ32は、タイミング制御部41からの制御に応じて、光電変換素子が発生した電荷をそれぞれの電荷蓄積部に振り分ける。また、距離画像センサ32は、電荷蓄積部に振り分けられた電荷量に応じた画素信号を出力する。距離画像センサ32には、複数の画素回路が二次元の行列状に配置されており、それぞれの画素回路の対応する1フレーム分の画素信号を出力する。
【0022】
距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1を制御し、被写体Sまでの距離を演算する。
距離画像処理部4は、タイミング制御部41と、距離演算部42とを備える。
タイミング制御部41は、距離の測定に要する様々な制御信号を出力するタイミングを制御する。ここでの様々な制御信号とは、例えば、光パルスPOの照射を制御する信号や、反射光RLを複数の電荷蓄積部に振り分ける信号、1フレームあたりの振り分け回数を制御する信号などである。振り分け回数とは、電荷蓄積部CS(図3参照)に電荷を振り分ける処理を繰返す回数である。
【0023】
距離演算部42は、距離画像センサ32から出力された画素信号に基づいて、被写体Sまでの距離を演算した距離情報を出力する。距離演算部42は、複数の電荷蓄積部CSに蓄積された電荷量に基づいて、光パルスPOを照射してから反射光RLを受光するまでの遅延時間Tdを算出する。距離演算部42は、算出した遅延時間Tdに応じて被写体Sまでの距離を演算する。
【0024】
このような構成によって、距離画像撮像装置1では、光源部2が被写体Sに照射した近赤外の波長帯域の光パルスPOが被写体Sによって反射された反射光RLを受光部3が受光し、距離画像処理部4が、被写体Sと距離画像撮像装置1との距離を測定した距離情報を出力する。
なお、図1においては、距離画像処理部4を内部に備えた構成の距離画像撮像装置1を示しているが、距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1の外部に備える構成要素であってもよい。
【0025】
次に、距離画像撮像装置1において撮像素子として用いられる距離画像センサ32の構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子(距離画像センサ32)の概略構成を示したブロック図である。
図2に示すように、距離画像センサ32は、例えば、複数の画素回路321が配置された受光領域320と、制御回路322と、振り分け動作を有した垂直走査回路323と、水平走査回路324と、画素信号処理回路325とを備える。
【0026】
受光領域320は、複数の画素回路321が配置された領域であって、図2では、8行8列に二次元の行列状に配置された例を示している。画素回路321は、受光した光量に相当する電荷を蓄積する。制御回路322は、例えば、距離画像処理部4のタイミング制御部41からの指示に応じて、距離画像センサ32の各部の動作を制御する。
【0027】
垂直走査回路323は、制御回路322からの制御に応じて、受光領域320に配置された画素回路321を行ごとに制御する回路である。垂直走査回路323は、画素回路321の電荷蓄積部CSそれぞれに蓄積された電荷量に応じた電圧信号を画素信号処理回路325に出力させる。
【0028】
画素信号処理回路325は、制御回路322からの制御に応じて、それぞれの列の画素回路321から対応する垂直信号線に出力された電圧信号に対して、予め定めた信号処理(例えば、ノイズ抑圧処理やA/D変換処理など)を行う。
水平走査回路324は、制御回路322からの制御に応じて、画素信号処理回路325から出力される信号を、順次、時系列に出力させる回路である。これにより、1フレーム分蓄積された電荷量に相当する画素信号が、距離画像処理部4に順次出力される。以下の説明においては、画素信号処理回路325がA/D変換処理を行い、画素信号がデジタル信号であるものとして説明する。
【0029】
ここで、距離画像センサ32に備える受光領域320内に配置された画素回路321の構成について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置1に用いられる個体撮像素子である距離画像センサ32(距離画像撮像素子)の受光領域320内に配置された画素回路321の構成の一例を示した回路図である。図3の画素回路321は、4つの画素信号読み出し部を備えた構成例である。
【0030】
画素回路321は、1つの光電変換素子PDと、電荷排出トランジスタGD(後述するGD1、GD2)と、対応する出力端子Oから電圧信号を出力する4つの画素信号読み出し部RU(RU1、RU2、RU3、RU4)とを備える。画素信号読み出し部RUのそれぞれは、転送トランジスタGと、フローティングディフュージョンFDと、電荷蓄積容量Cと、リセットトランジスタRTと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSLとを備える。フローティングディフュージョンFDと電荷蓄積容量Cとは、電荷蓄積部CSを構成している。
【0031】
図3に示した画素回路321において、出力端子O1から電圧信号を出力する画素信号読み出し部RU1は、転送トランジスタG1(転送MOSトランジスタ)と、フローティングディフュージョンFD1と、電荷蓄積容量C1と、リセットトランジスタRT1と、ソースフォロアトランジスタSF1と、選択トランジスタSL1とを備える。画素信号読み出し部RU1では、フローティングディフュージョンFD1と電荷蓄積容量C1とによって電荷蓄積部CS1が構成されている。画素信号読み出し部RU2、RU3及びRU4も同様の構成である。
【0032】
光電変換素子PDは、入射した光を光電変換して、入射した光(入射光)に応じた電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する埋め込み型のフォトダイオードである。本実施形態においては、入射光は測定対象の空間から入射される。
画素回路321では、光電変換素子PDが入射光を光電変換して発生させた電荷を4つの電荷蓄積部CS(CS1、CS2、CS3、CS4)のそれぞれに振り分け、振り分けられた電荷の電荷量に応じたそれぞれの電圧信号を、画素信号処理回路325に出力する。
また、距離画像センサ32に配置される画素回路の構成は、図3に示したような、4つの画素信号読み出し部RU(RU1、RU2、RU3、RU4)を備えた構成に限定されるものではなく、4個以上の複数の画素信号読み出し部RUを備えた構成の画素回路でもよい。
【0033】
上記距離画像撮像装置1の画素回路321の駆動において、光パルスPOが照射時間Toで照射され、遅延時間Td遅れて反射光RLが距離画像センサ32に受光される。垂直走査回路323は、光パルスPOの照射に同期させて、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の順に、光電変換素子PDに発生する電荷を振り替えて、それぞれに蓄積させる。
このとき、垂直走査回路323は、光電変換素子PDから電荷を電荷蓄積部CS1に転送する転送経路上に設けられた転送トランジスタG1をオン状態にする。これにより、光電変換素子PDにより光電変換された電荷が、転送トランジスタG1を介して電荷蓄積部CS1に蓄積される。その後、垂直走査回路323は、転送トランジスタG1をオフ状態にする。これにより、電荷蓄積部CS1への電荷の転送が停止される。このようにして、垂直走査回路323は、電荷蓄積部CS1に電荷を蓄積させる。他の電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4においても同様である。
【0034】
このとき、電荷蓄積部CSに電荷の振り分けを行なう電荷蓄積期間において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4の各々が、転送トランジスタG1、G2、G3、G4それぞれに供給される蓄積周期が繰返される。
そして、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々を介して、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに、光電変換素子PDから入射光に対応した電荷が転送される。電荷蓄積期間に複数の蓄積周期が繰返される。
これにより、電荷蓄積期間における電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の蓄積周期毎に、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに電荷が蓄積される。
【0035】
また、垂直走査回路323は、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の蓄積周期を繰返す際、電荷蓄積部CS4に対する電荷の転送(振替)が終了した後、光電変換素子PDから電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出トランジスタGD1、GD2をオンさせる。
これにより、電荷排出トランジスタGD1、GD2は、電荷蓄積部CS1に対する蓄積周期が開始される前に、直前の電荷蓄積部CS4の蓄積周期の後に光電変換素子PDに発生した電荷を破棄する(すなわち、光電変換素子PDをリセットさせる)。
【0036】
そして、垂直走査回路323は、受光画素部320内に配置された全ての画素回路321の各々から、それぞれ電圧信号を画素信号処理回路325に、画素回路321の行(横方向の配列)単位で順次出力させる。
そして、画素信号処理回路325は、入力される電圧信号の各々に対してA/D変換処理などの信号処理を行ない、水平走査回路324に対して出力する。
水平走査回路324は、信号処理を行った後の電圧信号を、受光画素部320の列の順番に、順次、距離算出部42出力させる。
【0037】
上述したような、垂直走査回路323による電荷蓄積部CS(CS1、CS2、CS3、CS4)へ電荷の蓄積と光電変換素子PDが光電変換した電荷の破棄とが、1フレームに渡って繰り返し行われる。これにより、所定の時間区間に距離画像撮像装置1に受光された光量に相当する電荷が、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積される。水平走査回路324は、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された、1フレーム分の電荷量に相当する電気信号を、距離演算部42に出力する。
【0038】
光パルスPOを照射するタイミングと、電荷蓄積部CS(CS1、CS2、CS3、CS4)のそれぞれに電荷を蓄積させるタイミングとの関係から、電荷蓄積部CS1には、光パルスPOを照射する前の背景光などの外光成分に相当する電荷量が保持される。また、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4には、反射光RL、及び外光成分に相当する電荷量が振り分けられて保持される。電荷蓄積部CS2及びCS3、あるいは電荷蓄積部CS3及びCS4に振り分けられる電荷量の配分(振り分け比率)は、光パルスPOが被写体Sに反射して距離画像撮像装置1(距離画像センサ32)に入射されるまでの遅延時間Tdに応じた比率となる。
【0039】
距離演算部42は、この原理を利用して、以下の(1)あるいは(2)式により、遅延時間Tdを算出する。
Td=To×(Q3-Q1)/(Q2+Q3-2×Q1) …(1)
Td=To+To×(Q4-Q1)/(Q3+Q4-2×Q1) …(2)
ここで、Toは光パルスPOが照射された期間、Q1は電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量、Q2は電荷蓄積部CS2に蓄積された電荷量、Q3は電荷蓄積部CS3に蓄積された電荷量、Q4は電荷蓄積部CS4に蓄積された電荷量を示す。距離演算部42は、例えば、Q4=Q1である場合、(1)式で遅延時間Tdを算出し、一方、Q2=Q1である場合、(2)式で遅延時間Tdを算出する。
【0040】
(1)式においては、電荷蓄積部CS2及びCS3には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS4には蓄積されない。一方、(2)式においては、電荷蓄積部CS3及びCS4には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS2には蓄積されない。
なお、(1)式あるいは(2)式では、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4に蓄積される電荷量のうち、外光成分に相当する成分が、電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量と同量であることを前提とする。
【0041】
距離演算部42は、(1)式あるいは(2)式で求めた遅延時間Tdに、光速(速度)を乗算させることにより、距離画像センサ32から被写体Sまでの往復の距離を算出する。
そして、距離演算部42は、上記で算出した往復の距離を1/2とすることにより、距離画像センサ32から被写体Sまでの距離を求める。
【0042】
図4は、本実施形態における画素回路321の各トランジスタの配置(レイアウトパターン)の一例を示す図である。
この図4のレイアウトパターンは、図3の画素回路321(すなわち、図2の画素回路321)のレイアウトパターンを示している。
すなわち、図4は、光電変換素子PDに対する転送トランジスタG1、G2、G3、及びG4と、電荷排出トランジスタGD1及びGD2(図3における電荷排出トランジスタGDに相当)との配置の位置関係を示している。
また、図4においては、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4と、ソースフォロアトランジスタSF1、SF2、SF3及びSF4と、選択トランジスタSL1、SL2、SL3及びSL4と、リセットトランジスタRT1、RT2、RT3及びRT4と、電荷排出トランジスタGD1及びGD2と、光電変換素子PDとの各々のパターンの配置が示されている。上述したトランジスタの各々は、すべて、p型の半導体基板上に形成されたnチャネル型のMOSトランジスタである。
【0043】
例えば、リセットトランジスタRT1は、p型の半導体基板上において、ドレインRT1_D(n拡散層(n型不純物の拡散層))と、ソースRT1_S(n拡散層)とゲートRT1_Gとの各々で構成されている。
また。コンタクトRT1_Cは、リセットトランジスタRT1のドレインRT1_D(n拡散層)と、ソースRT1_S(n拡散層)との各々の拡散層に設けられた、不図示の配線と接続するコンタクトを示すパターンである。他の転送トランジスタG1、G2、G3及びG4、ソースフォロアトランジスタSF1、SF3及びSF4、選択トランジスタSL1からSL3、リセットトランジスタRT2、RT3びRT4、電荷排出トランジスタGD1及びGD2も同様の構成をしている。
また、特に、転送トランジスタG1、GD2、G3及びG4と、電荷排出トランジスタGD1及びGD2との構成については後述する。
【0044】
また、転送トランジスタG1は、ドレインとしてのフローティングディフュージョンFD1と、ゲートG1_Gと、ソース(光電変換素子PDのn拡散層)とから形成されている。ここで、フローティングディフュージョンFD1は、転送トランジスタG1のドレインとしての拡散層(n拡散層)であり、光電変換素子PDからの電荷を蓄積する。
また、ドレインG1_Dは、コンタクトG1_Cにより不図示の配線を介して、ソースフォロアトランジスタSF1のゲートSF1_G、及びリセットトランジスタRT1のソースRT1_Sの各々に接続されている。他の転送トランジスタG2、G3及びG4の各々も転送トランジスタG1と同様の構成である。
図4においては、画素回路321の半導体基板上における各トランジスタの各々の配置を示すものであり、図3における配線の配線パターン及び電荷蓄積容量(C1、C2、C3、C4)の各々は省いて示されている。したがって、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々は、フローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3、FD4それぞれの位置に配置されている。
【0045】
本実施形態において、光電変換素子PDは半導体基板上に平面視で、多角形(N角形であり、Nは整数で5以上、すなわち五角形以上)の一例である六角形(N角形のN=6の例、望ましくは正六角形)の形状で形成されている。
上述したように、本発明においては多角形として五角形以上であり、多角形の各々の辺にそれぞれ転送トランジスタGあるいは電荷排出トランジスタGDが1個ずつ形成され、転送トランジスタGが4個以上、電荷排出トランジスタが1個以上である。本実施形態においては、光電変換素子PDは六角形であり、6個の辺に対して、転送トランジスタGが4個の辺にそれぞれ1個配置されて合計4個、電荷排出トランジスタCDが2個の変位それぞれ1個配置されて合計2個の構成となっている。
【0046】
ここで、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4は、それぞれゲートG1_G、G2_G、G3_G、G4_Gをゲートとし、フローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3、FD4(n拡散層)をドレインとし、光電変換素子PDのn拡散層をソースとして形成されている。
図4において、転送トランジスタG1及びG4の各々は、六角形の光電変換素子PDの対向する辺に設けられている。同様に、転送トランジスタG2及びG3の各々は、六角形の光電変換素子PDの対向する辺に設けられている。
また、電荷排出トランジスタGD1及びGD2の配置されている、六角形の形状の光電変換素子PDの辺が平行に形成されており、当該辺の各々に対して直交する軸をy軸とする。かつ、このy軸は、光電変換素子PDの中心Oを通る。
また、上記y軸に直交し、光電変換素子PDの中心Oを通る軸をx軸とする。
【0047】
ここで、フローティングディフュージョンFD1及びFD2の各々は、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、フローティングディフュージョンFD3及びFD4の各々は、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
また、リセットトランジスタRT1及びRT2の各々も、上記y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、リセットトランジスタRT3及びRT4の各々も、上記y軸に対して線対称の位置に配置されている。
【0048】
また、ソースフォロアトランジスタSF1及びSF2の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、ソースフォロアトランジスタSF3及びSF4の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
また、選択トランジスタSL1及びSL2の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、選択トランジスタSL3及びSL4の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
【0049】
図5は、図4における光電変換素子PDと転送トランジスタGと電荷排出トランジスタGDとの配置関係の一例を示す図である。
この図5は、光電変換素子PDに対する転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々と、電荷排出トランジスタGD1、GD2との配置の位置関係を示している。
光電変換素子PDは、図4で説明したように、多角形の一種である六角形の形状で形成されており、辺の各々において、それぞれ転送トランジスタG1、G2、G3及びG4、電荷排出トランジスタGD1、GD2が設けられている。
【0050】
すなわち、光電変換素子PDは、例えば、多角形の一例である六角形の形状で形成されており、辺PDE1と、辺PDE2、辺PDE3と、辺PDE4と、辺PDE5と、辺PDE6とを備えている。
辺PDE1及び辺PDE2の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により形成されている。
同様に、辺PDE3及び辺PDE4の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により形成されている。
一方、辺PDE5及び辺PDE6の各々は、x軸に対して線対称の位置及び線対称の形状で合ってもよいし、それぞれが異なった構成(辺の長さなど)でもよい。
【0051】
転送トランジスタG1は、辺PDE1に形成されている。
転送トランジスタG2は、辺PDE2に形成されている。
そして、転送トランジスタG1及びG2の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により、辺PDE1、辺PDE2それぞれに形成されている。すなわち、転送トランジスタG1及びG2の各々のゲートG1_G、G2_Gそれぞれは、上記y軸に対して、線対称の位置に配置されている。
【0052】
また、転送トランジスタG3は、辺PDE3に形成されている。
転送トランジスタG4は、辺PDE4に形成されている。
そして、転送トランジスタG3及びG4の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により、辺PDE3、辺PDE4それぞれに形成されている。すなわち、転送トランジスタG3及びG4の各々のゲートG3_G、G4_Gそれぞれは、上記y軸に対して、線対称の位置に配置されている。
また、転送トランジスタG1からG4の各々は、同一のサイズのトランジスタ、すなわち、チャネル長及びチャネル幅が同一である。
【0053】
電荷排出トランジスタGD1及びGD2の各々は、辺PDE5、PDE6それぞれに形成されている。
また、電荷排出トランジスタGD1及びGD2は、転送トランジスタG1からG4の各々と同一のサイズのトランジスタであっても、また異なるサイズのトランジスタであってもよい。電荷排出トランジスタGD1及びGD2は、同一のサイズのトランジスタであっても、あるいは同一のサイズでなくともよい。
【0054】
図6は、転送トランジスタGによる光電変換素子PDからフローティングディフュージョンFDへの電荷の転送について説明する図である。
図6(a)は 図5の画素回路321が形成された半導体のA-A’(図4参照)における断面構造を示している。
光電変換素子PDは、例えば、表面にp拡散層(p型不純物の拡散層)の表面保護層が設けられた埋め込み型のフォトダイオードである。
転送トランジスタG2は、光電変換素子PDのn拡散層をソースとし、フローティングディフュージョンFD2のn拡散層をドレインとして形成されている。
【0055】
上記フローティングディフュージョンFD2のn拡散層には、当該n拡散層からの電荷の流出(放電)を抑制する(漏れ電流阻止)ためのSTI(Shallow trench isolation)及びpwell(p型のウェル、p拡散層)が隣接して設けられている。
転送トランジスタG3は、光電変換素子PDのn拡散層をソースとし、フローティングディフュージョンFD3のn拡散層をドレインとして形成されている。
フローティングディフュージョンFD3のn拡散層には、当該n拡散層からの漏れ電流阻止のSTI及びpwellが隣接して設けられている。
【0056】
そして、転送トランジスタG2は、ゲートG2_Gに「H」レベルのゲート電圧が印加されることにより、光電変換素子PDに生成された電荷(電子)を、ドレインであるフローティングディフュージョンFD2に転送する。そして、フローティングディフュージョンFD2は、転送トランジスタG2から転送された電荷を蓄積する。
同様に、転送トランジスタG3は、ゲートG3_Gに「H」レベルのゲート電圧が印加されることにより、光電変換素子PDに生成された電荷(電子)を、ドレインであるフローティングディフュージョンFD3に転送する。そして、フローティングディフュージョンFD3は、転送トランジスタG3から転送された電荷を蓄積する。
【0057】
図6(b)は、図6(a)に示す転送トランジスタG2、光電変換素子PD及び転送トランジスタG3の各々の領域におけるポテンシャルの状態を示している。図6(b)は、横軸が領域における位置を示し、縦軸がポテンシャルの高さ(下に行くほどポテンシャル(電位)が高い)を示している。
図6(b)においては、転送トランジスタG2のゲートG2_Gに「H」レベルのゲート電圧が印加され、一方、転送トランジスタG3のゲートG3_Gに「L」レベルのゲート電圧が印加されている場合のポテンシャルの状態を示している。
【0058】
転送トランジスタG3のゲートG3_Gが「L」レベルのため、ゲートG3_Gの領域にはポテンシャルバリアPBが形成されていて、光電変換素子PDから転送トランジスタG3のドレインであるフローティングディフュージョンFD3に電荷が転送されない(ドレインに電子が流れ込まない)。
一方、転送トランジスタG2のゲートG2_Gが「H」レベルのため、ゲートG2_Gの領域はポテンシャル(電位)が上昇し(ポテンシャルバリアが形成されておらず)、光電変換素子PDから転送トランジスタG2のドレインであるフローティングディフュージョンFD2に電荷が転送される(ドレインに電子が流れ込む)。
【0059】
図7は、転送トランジスタG1及び電荷排出トランジスタGDによる光電変換素子PDからの電荷の転送について説明する図である。
図7(a)は 図5の画素回路321が形成された半導体のy軸における断面構造を示している。
転送トランジスタG1は、光電変換素子PDのn拡散層をソースとし、フローティングディフュージョンFD1のn拡散層をドレインとして形成されている。
フローティングディフュージョンFD1のn拡散層には、当該n拡散層からの漏れ電流阻止のSTI及びpwellが隣接して設けられている。
そして、転送トランジスタG1は、ゲートG1_Gに「H」レベルのゲート電圧が印加されることにより、光電変換素子PDに生成された電荷(電子)を、ドレインであるフローティングディフュージョンFD1に転送する。そして、フローティングディフュージョンFD1は、転送トランジスタG1から転送された電荷を蓄積する。
【0060】
電荷排出トランジスタGD1(あるいはGD2)は、光電変換素子PDのn拡散層をソースとし、電源VDDに接続されたn拡散層をドレインGD_Dとして形成されている。
ドレインGD2_Dのn拡散層には、漏れ電流阻止のSTI及びpwellが隣接して設けられている。
電荷排出トランジスタGD1は、ゲートGD1_Gに「H」レベルのゲート電圧が印加されることにより、光電変換素子PDに生成された電荷(電子)を、ドレインGD1_Dに転送する(光電変換素子PDの電荷を電源VDDに排出する)。
【0061】
図7(b)は、図7(a)に示す電荷排出トランジスタGD1、光電変換素子PD及び電荷排出トランジスタGD2の各々の領域におけるポテンシャルの状態を示している。図7(b)は、横軸が領域における位置を示し、縦軸がポテンシャルの高さを示している(下に行くほどポテンシャル(電位)が高い)。
図7(b)においては、ポテンシャルの形状の説明のため、電荷排出トランジスタGD1のゲートGD1_Gと、電荷排出トランジスタGD2のゲートGD2_Gとの各々に「H」レベルのゲート電圧を印加した状態を示している。
【0062】
電荷排出トランジスタGD1のゲートGD1_Gが「H」レベルのため、ゲートGD1_Gの領域はポテンシャルが低下し(ポテンシャルバリアが形成されておらず)、光電変換素子PDから電荷排出トランジスタGD1を介して電荷排出トランジスタGD1のドレインGD1_Dに電荷が転送される(電源VDDに電荷が排出される)。
同様に、電荷排出トランジスタGD2のゲートGD2_Gが「H」レベルのため、ゲートGD2_Gの領域にはポテンシャルバリアが形成されず、光電変換素子PDから電荷排出トランジスタGD2のドレインGD2_Dに電荷が転送される(電源VDDに電荷が排出される)。
【0063】
図6(b)及び図7(b)の各々のポテンシャルの状態を比較した場合、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々のゲートG1_G、G2_G、G3_G、G4_Gそれぞれの領域におけるポテンシャルの低下の形状(ポテンシャルの傾き)と、電荷排出トランジスタGD1、GD2のゲートGD1_G、GD2_Gそれぞれの領域におけるポテンシャルの低下の形状とが同様に急峻となっている。
この要因としては、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々と、電荷排出トランジスタGD1、GD2の各々が、光電変換素子PDの中心Oからの距離が同様に配置されているためである。
【0064】
すなわち、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々と、電荷排出トランジスタGD1、GD2とから光電変換素子PDの中心Oまでの距離が同様である場合、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々と、電荷排出トランジスタGD1、GD2とから光電変換素子PDの中心O方向に対して拡散層内に延びる電界の強度が同様となっている。
この拡散層内の電界の強度が同様となるため、ゲートG1_G、G2_G、G3_G、G4_G、GD1_G、GD2_Gの各々の領域におけるポテンシャルの低下の形状が同様に急峻となる。
【0065】
本実施形態によれば、転送トランジスタG2及びG3の各々が同一の形状で同一の位置に配置されているため、電荷の転送効率が同一である。
また、転送トランジスタG1及びG4の各々が同一の形状で同一の位置に配置されているため、電荷の転送効率が同一である。
一方、転送トランジスタG2及びG3の各々と、転送トランジスタG1及びG4の各々とが、光電変換素子PDの中心Oからの距離が異なっている場合において、ゲートに電圧が印加された際、生成される電界の形状が転送トランジスタG2及びG3の各々と、転送トランジスタG1及びG4の各々とが異なる。
【0066】
そして、電界の形状が異なることにより、同様にポテンシャル形状も異なり、転送トランジスタG2及びG3の各々と、転送トランジスタG1、G4それぞれと、の電荷の転送効率が同一でなくなってしまう。
しかしながら、転送トランジスタG1、G2、G3、G4の各々が同一のトランジスタサイズであるため、転送トランジスタG1及びG4と、転送トランジスタG2及びG3とのいずれか一方の組の転送効率に他方の組の転送効率を合わせるため、他方の組に対応する電荷蓄積部CSにおける電荷の蓄積量に対して所定の調整係数を乗算し、転送効率を見かけ上において同一とすることが容易に行える。
【0067】
例えば、転送トランジスタG1及びG4の各々の転送効率に合わせて、転送トランジスタG2及びG3が転送した電荷量に調整係数を乗算することにより、容易に転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々の転送効率を揃えて転送の特性を見かけ上、同一にすることが可能となる。
これにより、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4の各々に同一の特性により電荷を転送して蓄積させることが可能となるため、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに転送して蓄積された電荷量を用いて、(1)式及び(2)式により、被写体と距離画像撮像装置との間の距離を高い精度で求めることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々のゲートG1_G、G2_G、G3_G、G4_Gそれぞれから、光電変換素子PDの中心Oまでの距離を同一とした構成の場合、ゲートG1_G、G2_G、G3_G及びG4_Gの各々のポテンシャルの低下形状が同様となり、電荷の転送効率を揃えて転送の特性を同一にすることが可能となる。これにより、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々から、光電変換素子PDに生成された電荷を、フローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3及びFD4それぞれへ高い精度で転送させることができる。
【0069】
この場合、転送トランジスタG1及びG2の各々と、転送トランジスタG3及びG4の各々とがy軸に対して線対称であることに加えて、転送トランジスタG1及びG3の各々はx軸に対して線対称の位置及び線対称の形状で形成されており、転送トランジスタG2及びG4の各々もx軸に対して線対称の位置及び線対称の形状で形成されている。
また、光電変換素子PDを表面視で正六角形に作成することにより、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々のゲートG1_G、G2_G、G3_G、G4_Gそれぞれから、光電変換素子PDの中心Oまでの距離を容易に同一とすることができる。
【0070】
すなわち、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々が、例えば、光電変換素子PDから同一の電荷量の電荷をフローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3、FD4それぞれに転送した場合、フローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3及びFD4に蓄積される電荷量は同一となる。
これにより、本実施形態によれば、光電変換素子PDが生成した電荷を同一の転送効率(転送特性)により、電荷蓄積部CS1からCS4の各々に蓄積させることが可能となるため、電荷蓄積部CS1からCS4それぞれに蓄積された電荷量を用いて、(1)式あるいは(2)式により、被写体と距離画像撮像装置との間の距離を高い精度で求めることができる。
【0071】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
第2の実施形態は、図2における構成と同様の距離画像撮像装置における距離画像撮像素子(距離画像センサ32)であり、図3における構成と同様に、画素信号読み出し部RU1、RU2、RU3及びRU4の各々を有する構成となっている。
このため、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに蓄積された電荷量を用いて、(1)式及び(2)式により、被写体と距離画像撮像装置との間の距離を求める動作については同様である。
【0072】
図8は、実施形態における画素回路321の各トランジスタの配置(レイアウトパターン)の一例を示す図である。
この図8のパターンは、図3に示す画素回路321のレイアウトパターンを示している。
すなわち、図8は、光電変換素子PDに対する転送トランジスタG1、G2、G3、及びG4と、電荷排出トランジスタGDとの配置の位置関係を示している。
【0073】
また、 転送トランジスタG1、G2、G3及びG4と、ソースフォロアトランジスタSF1、SF2、SF3及びSF4と、選択トランジスタSL1、SL2、SL3及びSL4と、リセットトランジスタRT1、RT2、RT3及びRT4と、電荷排出トランジスタGD(第1の実施形態における電荷排出トランジスタGDと同様)との各々は、すべて、p型の半導体基板上に形成されたnチャネル型のMOSトランジスタである。
【0074】
本実施形態において、光電変換素子PDは半導体基板上に平面視で、多角形の一例である五角形(N角形のN=5の例、望ましくは正五角形)の形状で形成されている。
ここで、転送トランジスタG4は、転送トランジスタG1からG3と同様に、ゲートG4_Gをゲートとし、フローティングディフュージョンFD4をドレインとし、光電変換素子PDのn拡散層をソースとして形成されている。
図8において、電荷排出トランジスタGDの配置されている、五角形の形状の光電変換素子PDの辺が平行に形成されており、当該辺に対して直交する軸をy軸とする。かつ、このy軸は、光電変換素子PDの中心Oを通る。
また、上記y軸に直交し、光電変換素子PDの中心Oを通る軸をx軸とする。
【0075】
図8においては、第2の実施形態における画素回路321の半導体基板上における各トランジスタの各々の配置を示すものであり、第1の実施形態と同様に、配線パターン及び電荷蓄積容量(C1からC4)の各々は省いて示されている。したがって、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々は、フローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3、FD4それぞれの位置に配置されている。
【0076】
ここで、フローティングディフュージョンFD1及びFD2の各々は、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、フローティングディフュージョンFD3及びFD4の各々は、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
また、リセットトランジスタRT1及びRT2の各々も、上記y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、リセットトランジスタRT3及びRT4の各々も、上記y軸に対して線対称の位置に配置されている。
【0077】
また、ソースフォロアトランジスタSF1及びSF2の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、ソースフォロアトランジスタSF3及びSF4の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
また、選択トランジスタSL1及びSL2の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
同様に、選択トランジスタSL3及びSL4の各々も、y軸に対して線対称の位置に配置されている。
【0078】
図9は、図8における光電変換素子PDと転送トランジスタGと電荷排出トランジスタGDとの配置関係の一例を示す図である。
光電変換素子PDは、例えば、多角形の一例である五角形の形状で形成されており、辺PDE11と、辺PDE12、辺PDE13と、辺PDE14と、辺PDE15とを備えている。
辺PDE11及び辺PDE12の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により形成されている。
同様に、辺PDE13及び辺PDE14の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により形成されている。
一方、辺PDE15は、辺PDE11及び辺PDE12と、辺PDE13及び辺PDE14との各々と異なる長さでもよい。
【0079】
転送トランジスタG1は、辺PDE11に形成されている。
転送トランジスタG2は、辺PDE12に形成されている。
そして、転送トランジスタG1及びG2の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により、辺PDE11、辺PDE12それぞれに形成されている。すなわち、転送トランジスタG1及びG2の各々のゲートG1_G、G2_Gそれぞれは、上記y軸に対して、線対称の位置に配置されている。
【0080】
また、転送トランジスタG3は、辺PDE13に形成されている。
転送トランジスタG4は、辺PDE14に形成されている。
そして、転送トランジスタG3及びG4の各々は、y軸に対して線対称の位置及び線対称の形状により、辺PDE13、辺PDE14それぞれに形成されている。すなわち、転送トランジスタG3及びG4の各々のゲートG3_G、G4_Gそれぞれは、上記y軸に対して、線対称の位置に配置されている。
また、転送トランジスタG1からG4の各々は、同一のサイズのトランジスタ、すなわち、チャネル長及びチャネル幅が同一である。
【0081】
電荷排出トランジスタGDは、辺PDE15に形成されている。
また、電荷排出トランジスタGDは、転送トランジスタG1からG4の各々と同一のサイズのトランジスタであっても、また異なるサイズのトランジスタであってもよい。
【0082】
本実施形態によれば、転送トランジスタG1及びG2の各々が同一のトランジスタサイズであり、転送トランジスタG1及びG2の各々が同一の形状で同一の位置に配置されているため、電荷の転送効率が同一である。
また、転送トランジスタG3及びG4の各々が同一のトランジスタサイズであり、転送トランジスタG3及びG4の各々が同一の形状で同一の位置に配置されているため、電荷の転送効率が同一である。
一方、転送トランジスタG1及びG2の各々と、転送トランジスタG3及びG4の各々とが、光電変換素子PDの中心Oからの距離が異なっている場合、ゲートに電圧が印加された際、生成される電界の形状が転送トランジスタG1及びG2の各々と、転送トランジスタG3及びG4の各々とが異なる。
【0083】
そして、電界の形状が異なることにより、同様にポテンシャル形状が異なり、電荷の転送効率が同一でなくなってしまう。
しかしながら、転送トランジスタG1からG4の各々が同一のトランジスタサイズであるため、転送トランジスタG1及びG2と、転送トランジスタG3及びG4とのいずれか一方の組の転送効率に他方の組の転送効率を合わせるため、他方の組に対応する電荷蓄積部CSにおける電荷の蓄積量に対して所定の調整係数を乗算し、転送効率を見かけ上において同一とすることが容易に行える。
【0084】
例えば、転送トランジスタG1及びG2の各々の転送効率に合わせて、転送トランジスタG3及びG4が転送した電荷量(電荷蓄積部CSに蓄積された電荷量)に調整係数を乗算することにより、容易に転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々の転送効率を揃えて転送の特性を見かけ上、同一にすることが可能となる。
これにより、電荷蓄積部CS1からCS4の各々に同一の特性により電荷を蓄積させることが可能となるため、電荷蓄積部CS1からCS4それぞれに蓄積された電荷量を用いて、(1)式及び(2)式により、被写体と距離画像撮像装置との間の距離を高い精度で求めることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々のゲートG1_G、G2_G、G3_G、G4_Gそれぞれから、光電変換素子PDの中心Oまでの距離を同一とした構成の場合、ゲートG1_G、G2_G、G3_G及びG4_Gの各々のポテンシャルの低下形状が同様となり、電荷の転送効率を揃えて転送の特性を同一にすることが可能となる。これにより、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々から、光電変換素子PDに生成された電荷を、フローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3及びFD4それぞれへ高い精度で転送させることができる。
【0086】
この場合、転送トランジスタG1及びG2の各々と、転送トランジスタG3及びG4の各々とがy軸に対して線対称であることに加えて、光電変換素子PDを表面視で正五角形に作成することにより、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々のゲートG1_G、G2_G、G3_G、G4_Gそれぞれから、光電変換素子PDの中心Oまでの距離を容易に同一とすることができる。
【0087】
すなわち、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々が、例えば、光電変換素子PDから同一の電荷量の電荷をフローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3、FD4それぞれに転送した場合、フローティングディフュージョンFD1、FD2、FD3及びFD4に蓄積される電荷量は同一となる。
これにより、本実施形態によれば、光電変換素子PDが生成した電荷を同一の転送効率(転送特性)により、電荷蓄積部CS1からCS4の各々に蓄積させることが可能となるため、電荷蓄積部CS1からCS4それぞれに蓄積された電荷量を用いて、(1)式あるいは(2)式により、被写体と距離画像撮像装置との間の距離を高い精度で求めることができる。
【0088】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
第3の実施形態は、図2における構成と同様の距離画像撮像装置における距離画像撮像素子(距離画像センサ32)であり、図4に示す画素回路321の各々に対して、集光用のマイクロレンズが設けられた構成となっている。
図10は、画素回路321の光電変換素子PDとマイクロレンズMLとの位置関係を示す図である。
マイクロレンズMLは、所定の樹脂材料を熱変形することにより生成されており、平面視において、画素回路321の配置領域に対して重なる位置に形成されている。
また、マイクロレンズMLは、光軸(マイクロレンズMLの中心)が、光電変換素子PDの中心Oと平面視において重なる位置に、画素回路321の各々に設けられている。
【0089】
図11は、複数の画素回路321が配置された受光領域320の一部分におけるレンズアレイを示す平面図である。
受光領域320における3×3の一部分におけるマイクロレンズMLがレンズアレイ(マイクロレンズアレイ)として作成された、画素回路321とマイクロレンズMLとの配置関係を示している。
ここで、レンズアレイにおけるマイクロレンズMLの各々の光軸は、平面視においてそれぞれが重なる画素回路321の中心Oと重なっている。
【0090】
図12は、図13におけるマイクロレンズMLが設けられた画素回路321のレンズアレイの断面図である。
この図12は、図11における線分B-B’における画素回路321のレンズアレイの断面の形状を示している。また、図12における距離画像撮像素子である距離画像センサ32は、光電変換素子PDであるフォトダイオードが形成された面から光を入射するFSI(Front Side Illumination:表面照射)型である。
【0091】
そして、半導体層501の上部に、絶縁層により絶縁された配線層502があり、当該配線層502の上部にパッシベーションである誘電体層503が形成されている。そして、上記マイクロレンズMLのレンズアレイは、誘電体層503の上部に形成されている。
レンズアレイにおけるマイクロレンズMLの各々の光軸OAは、半導体層501における光電変換素子PDの表面に対して垂直であり、平面視においてそれぞれが重なる画素回路321の中心Oを貫通している。
【0092】
図13は、図11におけるマイクロレンズMLが設けられた画素回路321のレンズアレイの断面図である。
この図13は、図11における線分B-B’における画素回路321のレンズアレイの断面の形状を示している。また、図10における距離画像撮像素子である距離画像センサ32は、光電変換素子PDであるフォトダイオードが形成された裏面から光を入射するBSI(Back Side Illumination:表面照射)型である。
【0093】
そして、半導体層501の上部に絶縁層により絶縁された配線層502が形成されており、当該半導体層501の下部にパッシベーションである誘電体層504が形成されている。そして、上記マイクロレンズMLのレンズアレイは、誘電体層504の下部に形成されている。
レンズアレイにおけるマイクロレンズMLの各々の光軸OAは、半導体層501における光電変換素子PDの表面に対して垂直であり、平面視においてそれぞれが重なる画素回路321の中心Oを貫通している。
【0094】
上述した構成により、本実施形態によれば、マイクロレンズMLにより、画素回路321に入射される光が集光され、光電変換素子PDに照射されるため、画素回路321に入射される光を効率的に光電変換することが可能となり、入射する光に対する感度を向上させることができる。
本実施形態においては、第1の実施形態の画素回路321に対するマイクロレンズMLの配置を説明したが、第2の実施形態の画素回路321に対しても、同様に配置することにより、第2の実施形態の画素回路321においても、入射する光に対する感度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…距離画像撮像装置
2…光源部
3…受光部
31…レンズ
32…距離画像センサ(距離画像撮像素子)
321…画素回路
322…制御回路
323…垂直走査回路
324…水平走査回路
325…画素信号処理回路
4…距離画像処理部
41…タイミング制御部
42…距離演算部
CS…電荷蓄積部
FD1,FD2,FD3,FD4…フローティングディフュージョン
G1,G2,G3,G4…転送トランジスタ
GD,GD1,GD2…電荷排出トランジスタ
ML…マイクロレンズ
PD…光電変換素子
PO…光パルス
RT1,RT2,RT3,RT4…リセットトランジスタ
RU1,RU2,RU3,RU4…画素信号読出し部
S…被写体
SF1,SF2,SF3,SF4…ソースフォロアトランジスタ
SL1,SL2,SL3,SL4…選択トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13