(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071569
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】加工食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20220509BHJP
【FI】
A23L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180609
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】303036670
【氏名又は名称】合同酒精株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 早織
(72)【発明者】
【氏名】菊池 友希
(72)【発明者】
【氏名】馬場 将弘
(72)【発明者】
【氏名】平間 岳史
【テーマコード(参考)】
4B016
【Fターム(参考)】
4B016LC03
4B016LG05
4B016LG08
4B016LG09
4B016LK18
4B016LP02
4B016LP03
4B016LP04
4B016LP05
4B016LP13
(57)【要約】
【課題】 本発明は、タマネギ等の野菜の褐変を促進することができる簡便な加工食品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを添加する第一の工程と、当該野菜にイヌリナーゼを反応させる第二の工程と、イヌリナーゼを反応させた後の酵素処理野菜を加熱する第三の工程と、を行う加工食品の製造方法。前記イヌリンを含む野菜がゴボウ、玉ネギ、ニンニクから選択される少なくとも一つである加工食品の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを添加する第一の工程と、
当該野菜にイヌリナーゼを反応させる第二の工程と、
イヌリナーゼを反応させた後の酵素処理野菜を加熱する第三の工程と、
を行う加工食品の製造方法。
【請求項2】
前記イヌリンを含む野菜がゴボウ、玉ネギ、ニンニクから選択される少なくとも一つである請求項1に記載の加工食品の製造方法。
【請求項3】
上記イヌリナーゼがタラロマイセス属アメストルキア、ペニシリウム属パープロゲナム、アスペルギルス属ニガー、クリベロマイセス属マーキシアヌス、バチルス属サーキュランスから選択される少なくとも一つに由来する請求項1に記載の加工食品の製造方法。
【請求項4】
上記第二の工程における反応温度が0℃超~70℃の範囲内にある請求項1に記載の加工食品の製造方法。
【請求項5】
上記第二の工程における反応時間が10分間~48時間の範囲内にある請求項1または2に記載の加工食品の製造方法。
【請求項6】
イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを添加する第一の工程と、
当該野菜にイヌリナーゼを反応させる第二の工程と、
を行う、オリゴ糖量を増大させた加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソテーしたタマネギの製法に関する特許が開示されている。
例えば、特許文献1には、タマネギに加水して所定の条件で加熱抽出した後、得られた抽出液を濃縮しタマネギ固形分とあわせてソテーする方法が開示されている。
特許文献2には、タマネギの水分含有量と水分蒸発速度を所定の値にしてソテーすることで、これまでにない甘味に優れ、苦味やエグミ等の無い高品質の炒めタマネギが得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4452950号
【特許文献2】特許第4489602号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載された発明は、いずれもタマネギの熱処理条件に特徴がある。しかしながら、特許文献1の発明は操作方法が煩雑であることが課題であり、特許文献2の発明はタマネギの甘味向上が課題であった。また、両特許文献においては、ソテーしたタマネギが有する褐変については何ら記載が無い。
【0005】
そこで本発明は、タマネギ等の野菜の褐変を促進することができる簡便な加工食品の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、タマネギ等の野菜の褐変を促進することができる、オリゴ糖量を向上させることができる加工食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、野菜に酵素を反応させることで単糖やオリゴ糖を増やし、これらの単糖やオリゴ糖を利用することで褐変した加工食品を効率よく製造することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
(1)イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを添加する第一の工程と、当該野菜にイヌリナーゼを反応させる第二の工程と、イヌリナーゼを反応させた後の酵素処理野菜を加熱する第三の工程と、を行う加工食品の製造方法。
(2)前記イヌリンを含む野菜がゴボウ、玉ネギ、ニンニクから選択される少なくとも一つである前記(1)に記載の加工食品の製造方法。
(3)上記イヌリナーゼがタラロマイセス属アメストルキア、ペニシリウム属パープロゲナム、アスペルギルス属ニガー、クリベロマイセス属マーキシアヌス、バチルス属サーキュランスから選択される少なくとも一つに由来する前記(1)に記載の加工食品の製造方法。
(4)上記第二の工程における反応温度が0℃超~70℃の範囲内にある前記(1)に記載の加工食品の製造方法。
(5)上記第二の工程における反応時間が10分間~48時間の範囲内にある前記(1)または前記(2)に記載の加工食品の製造方法。
(6)イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを添加する第一の工程と、当該野菜にイヌリナーゼを反応させる第二の工程と、を行う、オリゴ糖量を増大させた加工食品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タマネギ等の野菜の褐変を促進することができる簡便な加工食品の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、オリゴ糖量を向上させることができる加工食品の製造方法を提供することができる。オリゴ糖量を向上させることによって、タマネギ等の野菜の褐変を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る加工食品の製造方法は、イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを添加する第一の工程と、当該野菜にイヌリナーゼを反応させる第二の工程と、イヌリナーゼを反応させた後の酵素処理野菜を加熱する第三の工程と、を行う。これによって褐変した加工食品を製造することができる。また、オリゴ糖量を増大させた加工食品を製造することができる。
イヌリナーゼは液体であっても固体であっても良い。いずれを使用しても酵素反応は進行する。液体のイヌリナーゼは、野菜に対する酵素反応を均一化させることができる。固体のイヌリナーゼは、後述する固液分離工程を省略することができる。
第二の工程に使用するイヌリナーゼが液体である場合、第二の工程と第三の工程の間に、酵素処理野菜とイヌリナーゼ液を分離する固液分離工程を設けることが好ましい。これによって第三の工程における加熱時間を短縮することができる。固液分離工程において、酵素処理野菜とイヌリナーゼ液を完全に分離する必要はない。第三の工程においてイヌリナーゼ液に含まれる水分は蒸発する。
【0011】
第一の工程及び第二の工程を行うことによって、イヌリンを含む野菜から単糖またはオリゴ糖の少なくとも一方が遊離する。
遊離した単糖またはオリゴ糖は酵素処理野菜の内部及び表面に存在する。イヌリナーゼが液体である場合、野菜から遊離した単糖またはオリゴ糖は、酵素処理野菜の内部または表面と、イヌリナーゼ液に含まれる。固液分離工程を行うことで、酵素処理野菜の内部及び表面に単糖またはオリゴ糖を存在させることができる。
酵素処理野菜を加熱した加工食品は褐変する。液体のイヌリナーゼを使用した場合でも大差は無い。褐変する理由は、遊離した単糖またはオリゴ糖と酵素処理野菜に含まれるアミノ酸によるメイラード反応と、遊離した単糖またはオリゴ糖同士による反応によるカラメル化反応である。
本発明において得られる加工食品の褐変は主にメイラード反応によるものである。第二の工程後において、酵素処理野菜は温度に依存して褐変が進行する。常温でも当該酵素処理野菜は緩やかに褐変するが、第三の工程における加熱温度はメイラード反応を促進する。第三の工程後においても加工食品は緩やかに褐変する。
【0012】
<第一の工程>
第一の工程は、イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを添加する工程である。
【0013】
(イヌリン)
イヌリンはフルクトース重合体の一末端にグルコースが一分子結合した構成をとる。フルクトース重合体を構成するフルクトースの数は特に制限されないが、例えば2~140程度である。
本発明におけるイヌリンを含む野菜とは、イヌリンを含んでいればよく、野菜の種類、含有量、野菜の形状等に制限はない。イヌリンを含む野菜としては、例えば、キクイモ、チコリ、ゴボウ、タマネギ、ニンニク等から選択される一種または二種以上を使用することができる。
【0014】
イヌリンを含む野菜を細断することが好ましい。当該野菜の表面に加え内部にイヌリナーゼが浸透し、イヌリンを分解しやすくなることで、糖およびオリゴ糖が遊離する。細断後の野菜の形状は問わない。細断後の野菜の厚さは0.1mm~10cmの範囲にあることが好ましく、0.2mm~8cmの範囲にあることがより好ましく、0.3mm~6cmの範囲にあることがより好ましい。
【0015】
(イヌリナーゼ)
野菜に添加するイヌリナーゼの添加量は0.01~500unit/gの範囲にすることが好ましく、0.1~100unit/gの範囲にすることがより好ましく、0.5~50unit/gの範囲にすることがさらに好ましく、1~25unit/gの範囲にすることが特に好ましい。当該範囲にすることによって、野菜に含まれるイヌリンから、オリゴ糖または糖類を遊離させることができる。
イヌリナーゼの添加量は固体であっても液体であっても上記の範囲にすることが好ましい。固体のイヌリナーゼと液体のイヌリナーゼを併用しても良い。
【0016】
イヌリナーゼはエンド型でもエキソ型であっても良い。エキソ型はインベルターゼと呼ばれることもあり、グルコースとショ糖間の結合に作用する。加工食品に含まれるオリゴ糖を増やす目的ではエンド型のイヌリナーゼを使用することが好ましい。加工食品の褐変を促進させる場合はエンド型のイヌリナーゼとともにエキソ型のイヌリナーゼを使用しても良い。
【0017】
添加するイヌリナーゼの起源は特に限定されないが、植物由来または微生物由来の酵素を使用することができる。微生物由来のイヌリナーゼは、安定的に製造することができることから好ましい。イヌリナーゼを産生する微生物としては、例えば、タラロマイセス属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、クリベロマイセス属、バチルス属、ストレプトマイセス属、アルスロバクター属等が挙げられる。
これらのなかでもタラロマイセス属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、クリベロマイセス属、バチルス属が好ましい。より詳細にはタラロマイセス・アメストルキア、ペニシリウム・パープロゲナム、アスペルギルス・ニガー、クリベロマイセス・マーキシアヌス、バチルス・サーキュランスに由来するイヌリナーゼを使用することが好ましい。
【0018】
<第二の工程>
第二の工程は、イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを反応させる工程である。
野菜中のイヌリンにイヌリナーゼが反応すると、フルクトース重合体の一部が加水分解され、イヌリンが低分子化したオリゴ糖または単糖を得ることができる。イヌリナーゼを反応させた後のオリゴ糖を構成する糖の数は、天然物であることから一概には言えないが、例えば、2~30である。
イヌリンを含む野菜にイヌリナーゼを反応させた場合、野菜から遊離する主な単糖はフルクトースおよびグルコースである。主な二糖はスクロースであり、本発明においては二糖以上をオリゴ糖という。
【0019】
第二の工程におけるイヌリナーゼの濃度は第一の工程と同じであるか、または水等により希釈して調節しても良い。第一の工程で固体のイヌリナーゼを添加した後、第二の工程で水や調味液等を添加しても良い。
第二の工程は、イヌリンを分解する反応が進行すればよく、イヌリナーゼの一部が失活しても構わない。イヌリンを分解する反応が進行した後であれば、イヌリナーゼの全部が失活していてもよい。第二の工程における反応温度、反応時間、反応pHおよび反応時の圧力は以下の範囲で行うことが好ましい。
第二の工程における反応温度は、0℃超70℃以下であること好ましく、15℃以上65℃以下であることがより好ましく、20℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。
第二の工程における反応時間は、10分間~48時間の範囲にあることが好ましく、30分間~36時間の範囲にあることがより好ましく、1時間~24時間の範囲にあることがさらに好ましい。
第二の工程における反応pHは、2.5~8.0の範囲内にあることが好ましく、3.5~7.0の範囲内にあることが好ましく、4.0~6.5の範囲内にあることが好ましい。
第二の工程における反応時の圧力は、特に制限されない。常圧であっても、加圧または減圧してもよい。加圧すると酵素反応が促進することから好ましい。
【0020】
<第三の工程>
第三の工程は、イヌリナーゼを反応させた後の酵素処理野菜を加熱する工程である。
第二の工程終了後、第三の工程を進める前に、酵素処理野菜とイヌリナーゼ液を分離する固液分離工程を設けても良いし、水や調味液等を添加しても良い。
第三の工程において、酵素処理野菜の褐変が進行しやすくなる。第三の工程において酵素活性は完全に失活する。
第三の工程における加熱温度は、100℃~250℃の範囲内にあることが好ましく、120℃~200℃の範囲内にあることがより好ましく、130℃~180℃の範囲内にあることがさらに好ましい。
第三の工程における加熱時間は、1分間~12時間の範囲内になることが好ましく、5分間~6時間の範囲内にあることがより好ましく、10分間~3時間の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0021】
<他の工程等>
第三の工程が終了した加工食品は、所定の容器に容器詰めされる。容器の材質、形状は特に限定されない。
【0022】
上記の各工程において、必要に応じて適宜添加物を添加しても良い。各工程に添加する添加物としては、塩、しょう油、味噌、酒、みりん等の調味料、pH調整剤、保存安定剤、酸化防止剤、糖類、増粘剤、イヌリナーゼ以外の他の酵素等を添加することができる。
【0023】
他の酵素としては、例えば、プロテアーゼ、イソアミラーゼ、ペクチナーゼ、ポリガラクチュロナーゼ、ラクターゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼから選択される1種又は複数種であり、市販の製品を用いることができる。各酵素は動植物階に存在する酵素を使用することができる。
【実施例0024】
以下、実施例及び比較例によって、本発明を説明するが、本発明は実施例、比較例に限定されるものではない。
【0025】
<実施例1>
市販の玉ねぎの皮をむき、薄切りで厚さ2mm程度になるようにした。薄切りにしたタマネギ100gに水200mlを添加後、イヌリナーゼ(合同酒精株式会社製 商品名:GODO-INUL)を1質量%加え(終濃度2.9unit/g)、混合した。50℃で4時間酵素を反応させた後、氷中で急冷し、金ざるで固液分離した。目盛2にしたIHクッキングヒーター(Panasonic株式会社製 商品名:KZ―D60KM)に、固液分離後の酵素処理野菜を置き5分間加熱後、目盛3でさらに18分間加熱し、実施例1の加工食品を得た。
【0026】
<実施例2>
イヌリナーゼを3質量%加えた以外は実施例1と同様にして、実施例2の加工食品を得た。
【0027】
<実施例3>
イヌリナーゼを5質量%加えた以外は実施例1と同様にして、実施例3の加工食品を得た。
【0028】
<比較例1>
イヌリナーゼを加えなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の加工食品を得た。
【0029】
<評価1>
実施例1~3及び比較例1の加工食品(炒めた玉ねぎ)の外観及び官能評価を行った。官能評価は分析型 順位法で行った。評価は酵素を使用した食品の研究開発に携わる者3名が行った。
【0030】
各加工食品の外観を
図1に示した。左上が比較例1、右上が実施例1、左下が実施例2、右下が実施例3である。イヌリナーゼの添加量に応じて褐変が増すことを確認した。
全ての評価者が、実施例1~2は比較例1に比べイヌリナーゼの濃度依存的に甘味が増大したと評価した。
実施例3においては、コゲも出るため、やや苦味が発生した。
実施例2および3において、飴色玉ねぎ特有のコクが出た。
玉ねぎにイヌリナーゼを作用させることで、後述の測定方法において、スクロース等の特定の糖量が増大したことを確認した。玉ねぎから遊離したスクロース等の特定の糖が、褐変を促進させ、加熱して炒めた玉ねぎにおける甘味の増大やコクに作用しているものと推測された。
【0031】
<実施例4>
市販のにんにくの皮をむき、半月切りで厚さ1.5mm程度になるようにした。半月切りにしたにんにく5gに水20mlを添加後、イヌリナーゼ(合同酒精株式会社製 商品名:GODO-INUL)を1質量%加え(終濃度1.5unit/g)、混合した。50℃で24時間酵素を反応させた後、氷中で急冷し、金ざるで固液分離した。目盛4にしたIHクッキングヒーター(Panasonic株式会社製 商品名:KZ―D60KM)に、固液分離後の酵素処理野菜を置き7分間加熱し、実施例4の加工食品を得た。
【0032】
<実施例5>
イヌリナーゼを3質量%加えた以外は実施例4と同様にして、実施例5の加工食品を得た。
【0033】
<実施例6>
イヌリナーゼを5質量%加えた以外は実施例4と同様にして、実施例6の加工食品を得た。
【0034】
<比較例2>
イヌリナーゼを加えなかった以外は実施例4と同様にして、比較例2の加工食品を得た。
【0035】
<評価2>
実施例4~6及び比較例2の加工食品(炒めたにんにく)の外観を評価した。
【0036】
各加工食品の外観を
図2に示した。上段から順に比較例2、実施例4、実施例5、実施例6である。評価したにんにくの数はそれぞれ6~7個である。イヌリナーゼの添加量に応じて褐変が増すことを確認した。
【0037】
<実施例7>
市販のごぼうの両端1/4を切断・破棄し、残りを8等分にぶつ切りした(厚さ4~5cm程度)。ぶつ切りにしたごぼう80gに水300mlを添加後、イヌリナーゼ(合同酒精株式会社製 商品名:GODO-INUL)を1質量%加え(終濃度1.5unit/g)、混合した。5℃で24時間酵素を反応させた後、氷中で急冷し、金ざるで固液分離した。固液分離した液を浸漬液とした。
固液分離後の酵素処理したごぼうをすりつぶしたもの7gに水7mlを加えさらにすりつぶした。これをThrmo SCIENTIFIC SORVALL LEGEND MICRO 21R Centrifugeを用いて14,000rpmで1分間遠心分離し、得られた上清を抽出物とした。
【0038】
<実施例8>
市販のにんにくの皮をむき、半月切りで厚さ1.5mm程度になるようにした。薄切りにしたにんにく50gに水300mlを添加した以外は実施例7と同様にして、浸漬液を得た。
【0039】
<比較例3~4>
実施例7~8において、それぞれイヌリナーゼを添加しなかった以外は同様にしたものを比較例3~4とした。
【0040】
<評価3>
実施例7~8および比較例3~4における浸漬液および抽出物について、遊離した単糖及びオリゴ糖を分析した。分析方法は以下の方法で行った。
装置名:ダイオネクスイオンクロマトグラフ(DIONEX ICS-6000)
カラム:糖質ICカラム(Dionex CarboPa PA1 BioL)
移動相:A:100 mM 水酸化ナトリウム溶液
B:100 mM 水酸化ナトリウム含有 600 mM 酢酸ナトリウム溶液
C:水
D:50 mM 酢酸ナトリウム溶液
流速 :1.0 mL / min
検出器:パルスドアンペロメトリ検出器
注入量:25 μL
上記の移動相はA~Dを単独またはA~Dのうち複数を混合して使用した。経過時間に対し、使用した移動相を表1に示した。
【0041】
【0042】
表2にごぼう浸漬液、表3にごぼう抽出物の結果をまとめた。保持時間は高いピークを示したものを対象にその面積を記載した。
ごぼう浸漬液はフルクトース及びオリゴ糖が酵素添加により増加した。オリゴ糖の合計は約7.4倍となった。
ごぼう抽出物はグルコース、フルクトース及びオリゴ糖が酵素添加により増加した。オリゴ糖の合計は約1.3倍となった。
【0043】
【0044】
【0045】
表4ににんにく浸漬液の結果をまとめた。にんにく浸漬液はピークにばらつきがあったため、保持時間15分~45分の間のピーク全てを記載した。
にんにく浸漬液はグルコース、フルクトース及びオリゴ糖が酵素添加により増加した。オリゴ糖の合計は約3.4倍となった。
【0046】