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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071570
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】磁気眼鏡及び眼鏡用パッド
(51)【国際特許分類】
   G02C 11/00 20060101AFI20220509BHJP
   G02C 5/12 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G02C11/00
G02C5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180610
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】520422717
【氏名又は名称】株式会社DOOG
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(74)【代理人】
【識別番号】100182604
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 二美
(72)【発明者】
【氏名】田中一則
(72)【発明者】
【氏名】田中万朝
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AB02
2H006CA04
(57)【要約】
【課題】 テンプルの先端に磁石を設けていることから目の周りの血流を促進させることができないこと。
【解決手段】 この磁気眼鏡100は、フレーム1のうちレンズを保持するリム部2に球状の磁石3が多数埋設された構造である。また、フレーム1のテンプル部4にも球状の磁石3が多数埋設されている。目の周りは、細い静脈や毛細血管が多く皮膚が薄いことから、磁気眼鏡100のフレーム1に磁石3を埋設して磁力を発生させることで当該磁力が血流に作用しやすいものとなる。この磁気眼鏡100では、フレーム1に付与された複数の磁石3により、任意の一方向に磁力の強弱が付与されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目の周りに位置するリム部と、当該リム部と蝶番で連結したテンプル部とを有すると共に、前記リム部又はテンプル部に複数の磁石を埋設し、当該磁石の磁力をリム部又はテンプル部の任意の一方向にかけて強弱の傾斜を設けたことを特徴とする磁気眼鏡。
【請求項2】
磁性粉末を混合した樹脂により成形した目の周りに位置するリム部と、当該リム部と蝶番で連結したテンプル部とを有すると共に、
当該リム部又はテンプル部の任意の一方向にかけて磁力の強弱の傾斜を形成するように着磁したことを特徴とする磁気眼鏡。
【請求項3】
眼鏡のパッドに装着する樹脂製又は布製の本体と、
当該本体に設けた磁石と、
を備えてなることを特徴とする眼鏡用パッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気を用いて目の周囲の血行を良くする磁気眼鏡及び眼鏡用パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に記載されているような眼鏡が知られている。この眼鏡は、眼鏡のフレームのつるの先端に磁石を埋め込んだ構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3024165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の眼鏡では、つるの先端に磁石を設けていることから目の周りに磁気を作用させることができない問題があった。本発明は、係る問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の磁気眼鏡は、目の周りに位置するリム部と、当該リム部と蝶番で連結したテンプル部とを有すると共に、前記リム部又はテンプル部に複数の磁石を埋設し、当該磁石の磁力をリム部又はテンプル部の任意の一方向にかけて強弱の傾斜を設けたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の磁気眼鏡は、磁性粉末を混合した樹脂により成形した目の周りに位置するリム部と、当該リム部と蝶番で連結したテンプル部とを有すると共に、当該リム部又はテンプル部の任意の一方向にかけて磁力の強弱の傾斜を形成するように着磁したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の眼鏡用パッドは、眼鏡のパッドに装着する樹脂製又は布製の本体と、当該本体に設けた磁石とを備えてなることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る磁気眼鏡を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る磁気眼鏡を示す平面図である。
図3】ボール形状の磁石をフレーム内に配置する際に用いる位置固定部材を示す説明図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る磁気眼鏡の変形例を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る眼鏡用パッドを示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る眼鏡用パッドを示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る眼鏡用パッドを示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る眼鏡用パッドを示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態2に係る眼鏡用パッドを示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態3に係る磁気眼鏡を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気眼鏡を示す斜視図である。この磁気眼鏡100は、フレーム1のうちレンズを保持するリム部2に球状の磁石3が多数埋設された構造である。また、フレーム1のテンプル部4にも球状の焼結型の磁石3が多数埋設されている。目の周りは、細い静脈や毛細血管が多く皮膚が薄いことから、磁気眼鏡100のフレーム1に磁石3を埋設して磁力を発生させることで当該磁力が血流に作用しやすいものとなる。
【0010】
この磁気眼鏡100では、図2(a)に示すように、フレーム1に付与された複数の磁石3により、任意の一方向に磁力の強弱が付与されている。リム部2のブリッジ5を有する鼻側(内側)の磁力が弱くなるように磁力の弱いものを用いる。磁力は、磁石3に付与する磁力を弱く設定することで設定できるが、これに限定されず磁石3の個数を増やしたり大きさを弱くすることで磁力を弱くできる。リム部2の耳側(外側)の磁力は強くなるように設定される。当該部分では、磁石3に付与する磁力を比較的強くすることで実現する。磁石3の大きさや個数で調整することもできる。
【0011】
上記構成によりリム部2では、内側から外側に一方向にかけて強弱が設けられる。この強弱は、一定又は段階的に緩やかに増減するものとし且つ途中で増減しないことが好ましい。図2(b)に示すように、テンプル部4にも一方向に磁力の強弱が設定される。この強弱の設定においても上記同様、磁石3の磁力の大きさや個数や磁石3の大きさで調整するものとする。同図では磁石3の個数により強弱を設定してある。テンプル部4では、テンプル部4のモダン側からリム部2に向けて磁力が弱くなるように設定する。
【0012】
磁力の強弱をつけることで静脈への磁気作用に強弱を持たせることができる。また、細い毛細血管に対しても磁気作用を与えることができる。特に、強い磁力が作用する部分は血液の量が多い静脈に作用しやすく好適である。磁力の強弱は、血流を磁力の強弱を付与した一方向に対して作用するものと考えられる。更に、磁石3に焼結磁石を用いることから強い磁力が得られる。
【0013】
図3は、球状の磁石をフレーム内に配置する際に用いる位置固定部材を示す。磁石3をフレーム1内に埋設して成形する場合、成形時に磁石3を固定しなければならない。位置固定部材21は、型内で所定の位置に所定の磁石3が配置され当該位置にて磁石3が埋設成形されるようにするものである。図3(a)に示すように、磁石3を樹脂の膜で作った筒状体に入れて熱を加えてこれを収縮させ磁石3を所定間隔で固定する。
【0014】
この状態で成形時に型内に配置し、フレーム1を構成する樹脂を当該型内に流し込んで成形したフレーム1内に磁石3を埋設する。このようにすれば、磁石3をフレーム1内の所定位置に配置できる。また、図3(b)に示すように、複数設けた区画23を有する短冊状の袋体22に磁石3を入れて埋設しても良い。この場合、区画23内に入れる磁石3の数を任意に決められるので磁石3の強弱の設定を行いやすい。
【0015】
次に、図3(c)に示すように、磁石3を保持する小さいホルダ24を複数備えた棒状の支持体25を用いることもできる。この支持体25は、爪状のホルダ24を所定位置に複数有するものである。ホルダ24には、所定の大きさの磁石3がはめ込まれる。支持体25は、フレーム1と同じ素材しても良いし、強度が異なる素材としても良い。当該支持体25は、フレーム1を成形する際に当該フレーム1内に磁石3と共に埋没する。
【0016】
なお、上記磁石3は球形または両端を丸めた丸棒状態が好ましい。フレーム1の成形の際に巣ができ難くフレーム1の強度低下を防止できるためである。使用する磁石3は、サマリウムコバルト系、ネオジウム系、フェライト系を使用できる。プラスチックの成形温度が100度~350度であるため、これらの磁石3が損傷することはない。
【0017】
更に、フレーム1のブリッジ5に磁石3を埋設しても良い。埋設する磁石3は上記同様の球形の磁石3である。
【0018】
図4は、本発明の実施の形態1に係る磁気眼鏡の変形例を示す斜視図である。この磁気眼鏡150は、板状の磁石3aを半環状かつ帯状に形成すると共にリム部2の耳側から鼻側に向けてその幅が次第に狭くなるようにし、当該磁石3aをテンプル部4に埋設または展着した構造である。磁石3aは、リム部2において上下で一対設けられる。また、板状の磁石3aを帯状に形成すると共にテンプル部4のモダン側からリム部2に向けてその幅が次第に狭くなるようにし、当該磁石3aをテンプル部4に埋設または展着する。
【0019】
磁石3aには、上記のように帯状に形成したラバーマグネットを用いる。磁力を高めるためリム部2及びテンプル部4の樹脂表面に近い部分に埋設するのが好ましい。上記構成によりリム部2及び端プル部4では、内側から外側に一方向にかけて強弱が設けられる。この強弱は、一定又は段階的に緩やかに増減するものとし且つ途中で増減しないことが好ましい。係る構成によれば、マグネットの取り扱いが容易であり製造しやすい。
【0020】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る眼鏡用パッドを示す斜視図である。この眼鏡用パッド50は、同図(a)に示すように、眼鏡Gに設けてあるパッドP(上記パッド62,63の場合も含む)に装着する左右一対のカバー体60である。カバー体60の鼻に接触する部分の内部には磁石3が配置されている。このカバー体60は変形可能な素材からなり好ましくは伸縮性があるものとする。布製にすると汗をかいたときに吸水するので滑り難くなる。カバー体60は空洞状のホルダ部61を有する。パッドPにカバー体60を装着すると、その眼鏡Gに簡単に磁力の機能を設けることができる。このカバー体60を装着した状態で眼鏡Gをすることで、鼻周りに磁力を作用できる。
【0021】
また、この眼鏡用パッド62は、同図(b)に示すように、眼鏡のパッド自体に球状の磁石3を埋設した構造である。係る構成であっても鼻周りに磁力を作用できる。更に、同図(c)に示すように、磁性体粉末を樹脂に混合して成形した眼鏡用パッド63を用いても良い。当該樹脂は成形後に着磁することで磁力を付与され、パッドとして用いることで鼻周りに磁力を作用できる。眼鏡用パッド62,63は、リム部2に対して交換が容易であることから、上記実施の形態1の構成のオプションとして販売しても良い。
【0022】
パッドPに装着するカバー体70は、図6に示すように、帯状の一体形状でも良い。このカバー体70は、鼻の一部を覆うようになる。カバー体70には、(a)に示すように、複数の焼結型の磁石3が内設されている。カバー体70の両端には眼鏡GのパッドPに装着する空洞状のホルダ部71が設けられる。カバー体70は布製にすると汗をかいたときに吸水するので滑り難くなる。磁石3は、鼻の両側に位置するように前記カバー体70に設けられる。前記磁石3aは、(b)に示すように、ラバーマグネットを矩形に切断してカバー体70aに内設する構造でも良い。ラバーマグネットを使用することでカバー体70を薄くできる。特に左右のホルダ部71の間の部分を薄くできるので形がきれいである。
【0023】
更に、(c)に示すように、磁性体粉末を混合した樹脂でカバー体70bを成形し、全体を着磁しても良い。磁性体粉末は、フェライト系、ネオジム系、サマリウムコバルト系等を使用できる。着磁は、強い磁力を生じさせる異方性の着磁方法が好ましい。カバー体70bの両端には眼鏡GのパッドPに装着する空洞状のホルダ部71が設けられる。
【0024】
図7は、カバー体を布製として装飾用のドレスカバーに用いる構成を示す説明図である。ドレスカバー73には、パッドPを挿入する切り込み76が設けられ内部が袋状になるホルダ部71が設けられる。ドレスカバー73は、吸水性の高い布材からなる。冠婚葬祭用に黒または白の布材で構成することもできる。更に、季節により素材を変更しても良い。夏は通気性がよく吸水性が良い素材を用い、冬は暖かい厚手や起毛の素材を用いる。季節により色合いを変更しても良い。ドレスカバー73において磁石は必須ではない。
【0025】
更に、図8に示すように、眼鏡GのパッドPに装着するドレスカバー74により眼鏡Gを装飾しても良い。ドレスカバー74はパッドPを挿入する切り込み76が設けられ内部が袋状になるホルダ部75を有する。ドレスカバー74は、吸水性の高い布材からなる。冠婚葬祭用に黒または白の布材で構成することもできる。更に、季節により素材を変更しても良い。夏は通気性がよく吸水性が良い素材を用い、冬は暖かい厚手や起毛の素材を用いる。季節により色合いを変更しても良い。なお、ドレスカバー74において磁石は必須ではない。
【0026】
係る構成の眼鏡用パッド50は、上記実施の形態1の磁気眼鏡100と一緒に用いても良いし、市販の普通の眼鏡Gと共に使用しても良い。
【0027】
テンプル用の眼鏡用パッド50は、図9に示すように、普通の眼鏡Gのテンプル部Tに挿入するストロー状の本体80としても良い。本体80には、複数の磁石3が埋設してある。本体80は、既存の眼鏡Gのテンプル部Tに挿通して使用する。本体80は前記磁石3の配置、個数を変えたり磁力自体が異なる磁石3を用いたり、磁石3の大きさを変えたりすることにより長手方向に磁力の強弱が形成される。係る構成であれば、ユーザが普段から使用している眼鏡Gに対して簡単に使用できる。
【0028】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る磁気眼鏡を示す平面図である。この磁気眼鏡200は、フレーム1を構成する樹脂に磁性体粉末を混合すると共にこれを着磁して一方向に磁力の強弱を形成した構造である。磁性体粉末は、フェライト系、ネオジム系、サマリウムコバルト系等を使用できる。着磁は、強い磁力を生じさせる異方性の着磁方法が好ましい。
【0029】
図10に示すように、フレーム1の各部位の着磁の際に磁力を調整することで任意の一方向に磁力の強弱が付与されている。リム部2の鼻側(内側)の磁力が弱くなるように着磁する。リム部2の耳側(外側)の磁力が強くなるように着磁する。同図に示すように、リム部2の着磁領域を複数に分割し、着磁機により領域ごとに着磁を行う。その際、着磁の量を調整し、内側から外側に一方向にかけて磁力に強弱の傾きが形成されるようにする。同図では、着磁した磁力の大きさを「強」、「中」、「弱」で示した。この強弱は、緩やかに増加又は減少するものとし且つ途中で増減しないことが好ましい。テンプル部4にも着磁の量を調整することで一方向に磁力の強弱の傾斜が設定される。当該テンプル部4では、テンプル部4のモダン側からリム部2に向けて磁力が弱くなるように設定する。
【0030】
磁性体粉末を混合した樹脂により成形した磁気眼鏡200は、外観は通常の眼鏡と全く異ならない。また、磁石を型内に配置する手間がかからないため、製造しやすい。更に、フレーム1の部分における磁力の分布を着磁機により細かく設定できる。
【0031】
また、磁力の強弱の傾きを磁性体粉末の密度を変更することで実現しても良い。このようにすれば磁性体粉末を無駄に使用しないことからコスト減となり、磁気眼鏡200の軽量化を図ることができる。具体的には、型内の流路から磁性体の密度が異なる樹脂を流し込む。流路は、フレーム1のリム部2であれば鼻側の流路から密度が小さい樹脂を流し、耳側の流路から密度が大きい樹脂を流し、密度に差を設ける。着磁の際は、全てを一体で着磁する。
【0032】
テンプル部4においても同様、モダン側の流路から密度が大きい樹脂を流し、リム側の流路から密度が小さい樹脂を流し、密度に差を設ける。着磁の際は、全てを一体で着磁する。これにより、フレーム1全体として磁力の強弱が形成される。
【0033】
以上、この発明の磁気眼鏡によれば、医療用として用いることができ、疲れて重くなった目の周りの血流をよくすることができる。また、この発明の眼鏡用パッドによれば、医療用として用いることができ、鼻づまりでうっ血した血流をよくすることができる。
【符号の説明】
【0034】
100 磁気眼鏡
1 フレーム
2 リム部
3 磁石
4 テンプル部
5 ブリッジ
6 パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10