(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071596
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】外観検査方法および外観検査装置
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
B23K31/00 K
B23K31/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180645
(22)【出願日】2020-10-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517425446
【氏名又は名称】リンクウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】大熊 克明
(72)【発明者】
【氏名】アヤーデ ヒーブ
(72)【発明者】
【氏名】フォール ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昭英
(57)【要約】
【課題】本溶接により生産されたワークのリペア溶接区間をより効率的に検出する。
【解決手段】外観検査方法は、溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、入力データと良品ワークのマスタデータとを用いて溶接ビードの高さに関する検査判定を実行し、検査判定の結果に基づいて、溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成し、溶接ビードの動作軌跡に略垂直な方向と抽出された過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を過不足箇所ごとに検出し、検出された過不足箇所ごとの複数の交差点の位置情報と動作軌跡とを対応付けて出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、
前記入力データと良品ワークのマスタデータとを用いて前記溶接ビードの高さに関する検査判定を実行し、
前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成し、
前記溶接ビードの動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出し、
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する、
外観検査方法。
【請求項2】
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点のうち最初に交差した交差点をリペア溶接が必要なリペア溶接区間の開始点と判定し、最後に交差した交差点を前記リペア溶接区間の終了点と判定し、
前記リペア溶接区間の前記開始点および前記終了点と前記動作軌跡とを対応付けて出力する、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項3】
前記動作軌跡は、ユーザ操作により入力される、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項4】
前記動作軌跡は、前記溶接を実行した溶接ロボットの溶接動作軌跡である、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項5】
溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力する入力部と、
前記入力データと良品ワークのマスタデータとを用いて、前記溶接ビードの高さに関する検査判定を行う判定部と、
前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成する生成部と、
前記溶接ビードの動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出する検出部と、
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する出力部と、を備える、
外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外観検査方法および外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、溶接ビードにスリット光を投射し、スリット光の走査により溶接ビード上に順次形成される形状線を撮像し、順次形成された各形状線の撮像データに基づいて、溶接ビードの3次元形状を点群データとして取得する形状検査装置が開示されている。この形状検査装置は、点群データに基づいて表示された溶接ビードに、入力に応じて、スリット光の走査により形成された形状線とは異なる任意の切断線を設定し、切断線に対応した点群データにより、切断線における溶接ビードの断面形状を算出する。また、形状検査装置は、算出された断面形状に応じて算出した各種の特徴量を予め登録している各種の特徴量の許容範囲と比較し、特徴量の良否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、本溶接により生産されたワークのリペア溶接区間をより効率的に検出する外観検査方法および外観検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、前記入力データと良品ワークのマスタデータとを用いて前記溶接ビードの高さに関する検査判定を実行し、前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成し、前記溶接ビードの動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出し、検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する、外観検査方法を提供する。
【0006】
また、本開示は、溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力する入力部と、前記入力データと良品ワークのマスタデータとを用いて、前記溶接ビードの高さに関する検査判定を行う判定部と、前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成する生成部と、前記溶接ビードの動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出する検出部と、検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する出力部と、を備える、外観検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、本溶接により生産されたワークのリペア溶接区間をより効率的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施の形態に係る検査制御装置、ロボット制御装置および上位装置の内部構成例を示す図
【
図3】実施の形態に係る溶接システムによる本溶接およびビード外観検査を含む一連の処理手順例を示すシーケンス図
【
図4】リペア溶接区間の検出処理手順例を示すフローチャート
【
図6】リペア溶接区間の箇所の開始点および終了点の検出手順例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至る経緯)
特許文献1のように、本溶接により生産されたワークの溶接ビードの形状に関する特徴量(例えば、ビード幅、ビード高さなど)の算出値が許容範囲内にある時に良品であると判定するなど、溶接ビードの外観形状検査を自動的に行う装置構成は従来から知られている。ところが、溶接ビードの形状は、例えば溶接方法、ワークの形状等により異なる。よって、溶接ビードの外観形状検査では、溶接不良があった箇所の補修用のリペア溶接の区間を溶接ビードの形状だけでは十分に特定することは困難であるため、実際にリペア溶接すべき箇所(区間)の開始点および終了点の判定が困難だった。
【0010】
そこで、以下の実施の形態では、本溶接により生産されたワークのリペア溶接区間をより一層効率的に検出する外観検査方法および外観検査装置の例を説明する。
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る外観検査方法および外観検査装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
実施の形態に係る外観検査装置は、本溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、入力データと良品ワークのマスタデータとを用い、入力データとマスタデータとの比較に基づいて溶接ビードの形状に関するビード外観検査を行う。外観検査装置は、ビード外観検査の結果、溶接ビードの高さが過不足し、リペア溶接が必要であると判定された溶接の不良箇所ごとのリペア溶接区間の情報を含むリペア溶接プログラムを生成して出力する。
【0013】
以下、本溶接される対象物(例えば金属)を「元ワーク」、本溶接により生産(製造)された対象物を「ワーク」とそれぞれ定義する。なお、「ワーク」は、外観検査にて検知された溶接の不良箇所がリペア溶接された「リペアワーク」を含んで定義されてよい。また、「ワーク」は、1回の本溶接により生産されたワークに限らず、2回以上の本溶接により生産された複合的なワークであってもよい。
【0014】
元ワークと他の元ワークとが溶接ロボットにより接合等されてワークを生産する工程を「本溶接」、ワークの不良箇所が溶接ロボットにより補修等の修正がなされる工程を「リペア溶接」と定義する。
【0015】
(溶接システムの構成)
図1は、溶接システム100のシステム構成例を示す概略図である。溶接システム100は、外部ストレージST、入力インターフェースUI1およびモニタMN1のそれぞれと接続された上位装置1と、ロボット制御装置2と、検査制御装置3と、センサ4と、溶接ロボットMC1と、モニタMN2と、を含む構成である。
図1では、センサ4は、溶接ロボットMC1と別体として図示されているが、溶接ロボットMC1と一体化されて設けられてもよい(
図2参照)。なお、モニタMN2は、必須の構成でなく省略されてもよい。
【0016】
上位装置1は、ロボット制御装置2を介して溶接ロボットMC1により実行される本溶接の開始および完了を統括して制御する。例えば、上位装置1は、ユーザ(例えば、溶接作業者あるいはシステム管理者。以下同様。)により予め入力あるいは設定された溶接関連情報を外部ストレージSTから読み出し、溶接関連情報を用いて、溶接関連情報の内容を含めた本溶接の実行指令を生成して対応するロボット制御装置2に送る。上位装置1は、溶接ロボットMC1による本溶接が完了した場合に、溶接ロボットMC1による本溶接が完了した旨の本溶接完了報告をロボット制御装置2から受信し、対応する本溶接が完了した旨のステータスに更新して外部ストレージSTに記録する。
【0017】
なお、上述した本溶接の実行指令は上位装置1により生成されることに限定されず、例えば本溶接が行われる工場等内の設備の操作盤(例えばPLC:Programmable Logic Controller)、あるいはロボット制御装置2の操作盤(例えばTP:Teach Pendant)により生成されてもよい。なお、ティーチペンダント(TP)は、ロボット制御装置2に接続された溶接ロボットMC1を操作するための装置である。
【0018】
また、上位装置1は、ロボット制御装置2、検査制御装置3およびセンサ4を用いたビード外観検査の開始および完了を統括して制御する。例えば、上位装置1は、ロボット制御装置2から本溶接完了報告を受信すると、溶接ロボットMC1により生産されたワークのビード外観検査の実行指令を生成してロボット制御装置2および検査制御装置3のそれぞれに送る。上位装置1は、ビード外観検査が完了した場合に、ビード外観検査が完了した旨の外観検査報告を検査制御装置3から受信し、対応するビード外観検査が完了した旨のステータスに更新して外部ストレージSTに記録する。
【0019】
ここで、溶接関連情報とは、溶接ロボットMC1により実行される本溶接の内容を示す情報であり、本溶接の工程ごとに予め作成されて外部ストレージSTに登録されている。溶接関連情報は、例えば本溶接に使用される元ワークの数と、本溶接に使用される元ワークのID、名前および溶接箇所を含むワーク情報と、本溶接が実行される実行予定日と、被溶接ワークの生産台数と、本溶接時の各種の溶接条件と、を含む。なお、溶接関連情報は、上述した項目のデータに限定されず、例えば本溶接が実行された時の溶接線を示す位置情報、あるいは溶接ロボットMC1の動作軌跡を示す位置情報を含んでもよい。溶接線あるいは動作軌跡を示す位置情報は、溶接ロボットMC1の教示プログラムに含まれていてもよいし、入力インターフェースUI1または他の入力インターフェース(不図示)を介したユーザ操作により入力され、検査制御装置3におけるメモリ32に記憶されてもよい。
【0020】
ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接の実行指令に基づいて、その実行指令で指定される元ワークを用いた本溶接の実行を溶接ロボットMC1に開始させる。なお、上述した溶接関連情報は、上位装置1が外部ストレージSTを参照して管理することに限定されず、例えばロボット制御装置2において管理されてもよい。この場合、ロボット制御装置2は本溶接が完了した状態を把握できるので、溶接関連情報のうち溶接工程が実行される予定の実行予定日の代わりに実際の実行日が管理されてよい。なお、本明細書において、本溶接の種類は問わないが、説明を分かり易くするために、複数の元ワークを接合して1つのワークを生産する工程を例示して説明する。
【0021】
上位装置1は、モニタMN1、入力インターフェースUI1および外部ストレージSTのそれぞれとの間でデータの入出力が可能となるように接続され、さらに、ロボット制御装置2との間でデータの通信が可能となるように接続される。上位装置1は、モニタMN1および入力インターフェースUI1を一体に含む端末装置P1でもよく、さらに、外部ストレージSTを一体に含んでもよい。この場合、端末装置P1は、本溶接の実行に先立ってユーザにより使用されるPC(Personal Computer)である。なお、端末装置P1は、上述したPCに限らず、例えばスマートフォン、タブレット端末等の通信機能を有するコンピュータ装置でよい。
【0022】
モニタMN1は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等の表示用デバイスを用いて構成されてよい。モニタMN1は、例えば上位装置1から出力された、本溶接が完了した旨の通知、あるいはビード外観検査が完了した旨の通知を示す画面を表示してよい。また、モニタMN1の代わりに、あるいはモニタMN1とともにスピーカ(図示略)が上位装置1に接続されてもよく、上位装置1は、本溶接が完了した旨の内容、あるいはビード外観検査が完了した旨の内容の音声を、スピーカを介して出力してもよい。
【0023】
入力インターフェースUI1は、ユーザの入力操作を検出して上位装置1に出力するユーザインターフェースであり、例えば、マウス、キーボードまたはタッチパネル等を用いて構成されてよい。入力インターフェースUI1は、例えばユーザが溶接関連情報を作成する時の入力操作を受け付けたり、ロボット制御装置2への本溶接の実行指令を送る時の入力操作を受け付けたりする。なお、入力インターフェースUI1は、検査制御装置3がビード外観検査を実行するために必要な本溶接が実行された時の溶接線を示す位置情報、あるいは溶接ロボットMC1の動作軌跡を示す位置情報の入力操作を受け付けた場合には、入力された溶接線を示す位置情報、あるいは溶接ロボットMC1の動作軌跡を示す位置情報を検査制御装置3に送る。
【0024】
外部ストレージSTは、例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive)を用いて構成される。外部ストレージSTは、例えば本溶接ごとに作成された溶接関連情報のデータ、本溶接により生産されたワークのステータス(生産状況)、ワークのワーク情報(上述参照)を記憶する。
【0025】
ロボット制御装置2は、上位装置1との間でデータの通信が可能に接続されるとともに、溶接ロボットMC1との間でデータの通信が可能に接続される。ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接の実行指令を受信すると、その実行指令に基づいて対応する溶接ロボットMC1を制御して本溶接を実行させる。ロボット制御装置2は、本溶接の完了を検出すると本溶接が完了した旨の本溶接完了報告を生成して上位装置1に通知する。これにより、上位装置1は、ロボット制御装置2による本溶接の完了を適正に検出できる。なお、ロボット制御装置2による本溶接の完了の検出方法は、例えばワイヤ送給装置300が備えるセンサ(図示略)からの本溶接の完了を示す信号に基づいて判別する方法でよく、あるいは公知の方法でもよく、本溶接の完了の検出方法の内容は限定されなくてよい。
【0026】
また、ロボット制御装置2は、上位装置1から送られたビード外観検査の実行指令を受信すると、ロボット制御装置2により作成あるいは予め準備されている外観検査用プログラムに従い、センサ4が取り付けられた溶接ロボットMC1(
図2参照)を制御して、その実行指令に基づいて対応するワークのビード外観検査を実行する。なお、ビード外観検査が完了した旨の外観検査報告は検査制御装置3から上位装置1に送られるが、ロボット制御装置2自ら、あるいは検査制御装置3からの指示を受けたロボット制御装置2から上位装置1に送られてもよい。これにより、上位装置1は、ビード外観検査の完了を適切に検出できる。
【0027】
溶接ロボットMC1は、ロボット制御装置2との間でデータの通信が可能に接続される。溶接ロボットMC1は、対応するロボット制御装置2の制御の下で、上位装置1から指令された本溶接を実行する。また、センサ4が溶接ロボットMC1に一体的に取り付けられている場合には、溶接ロボットMC1は、外観検査用プログラムに従ってセンサ4を移動することで、上位装置1から指令されたビード外観検査の実行を支援する。
【0028】
外観検査装置の一例としての検査制御装置3は、上位装置1、ロボット制御装置2およびセンサ4のそれぞれとの間でデータの通信が可能に接続される。検査制御装置3は、上位装置1から送られたビード外観検査の実行指令を受信すると、溶接ロボットMC1により生産されたワークの溶接箇所のビード外観検査(例えば、ワークに形成された溶接ビードが既定された溶接基準を満たすか否かの検査)をセンサ4とともに実行する。なお、ビード外観検査の詳細については、
図4~
図6を参照して後述するが、例えば、検査制御装置3は、ビード外観検査の実行指令に基づいて、センサ4により取得された溶接ビードの形状に関する入力データ(例えば、溶接ビードの3次元形状を特定可能な点群データ)を用いて、ワークごとに既定された良品ワークのマスタデータとの比較に基づいてビード外観検査を行う。
【0029】
検査制御装置3は、ビード外観検査を実行した結果を用いて、ビード外観検査の総合判定を行い、ビード外観検査に合格または不合格である旨の情報と、溶接不良がある場合には、溶接不良をリペア溶接するためのリペア溶接区間の情報とを含む総合判定結果とビード外観検査が完了した旨の通知とを含む外観検査報告を生成して上位装置1およびロボット制御装置2のそれぞれに送るとともに、モニタMN2に出力する。
【0030】
また、検査制御装置3は、ワークのビード外観検査によって検知された溶接の不良箇所をリペア溶接するためのリペア溶接区間の情報を用いて、この溶接の不良箇所を含むリペア溶接区間の補修等の修正を行う旨のリペア溶接プログラムを生成する。検査制御装置3は、このリペア溶接プログラムと外観検査結果とを対応付けて上位装置1あるいはロボット制御装置2に送る。
【0031】
センサ4は、検査制御装置3との間でデータの通信が可能に接続される。センサ4が溶接ロボットMC1に取り付けられている場合(
図2参照)、センサ4は、ロボット制御装置2の制御に基づくマニピュレータ200の駆動に応じて、ワークWkが載置された載置台を3次元のスキャンが可能に稼動可能である。センサ4は、ロボット制御装置2の制御に基づくマニピュレータ200の駆動に応じて、載置台(
図2参照)に置かれたワークWkの3次元形状を特定可能なデータ(例えば、点群データ)を取得して検査制御装置3に送る。
【0032】
モニタMN2は、例えばLCDまたは有機EL等の表示用デバイスを用いて構成されてよい。モニタMN2は、例えば検査制御装置3から出力された、ビード外観検査が完了した旨の通知、あるいはその通知とビード外観検査の検査判定結果(例えば上述した総合判定の結果)とを示す画面を表示する。また、モニタMN2の代わりに、あるいはモニタMN2とともにスピーカ(図示略)が検査制御装置3に接続されてもよく、検査制御装置3は、ビード外観検査が完了した旨の通知、あるいはその通知とビード外観検査の検査判定結果との内容を示す音声を、スピーカを介して出力してもよい。
【0033】
図2は、実施の形態に係る検査制御装置3、ロボット制御装置2および上位装置1の内部構成例を示す図である。説明を分かり易くするために、
図2ではモニタMN1,MN2および入力インターフェースUI1の図示を省略する。なお、
図2に示されるワークWkは、ビード外観検査の対象となるワーク(つまり本溶接により生産されたワーク、あるいは1回以上リペア溶接されたワーク)である。
【0034】
溶接ロボットMC1は、ロボット制御装置2の制御の下で、例えば上位装置1から指令された本溶接、ビード外観検査時のセンサ4の移動等の各種の工程を実行する。溶接ロボットMC1は、本溶接の工程において、例えばアーク溶接を行う。しかし、溶接ロボットMC1は、アーク溶接以外の他の溶接(例えば、レーザ溶接、ガス溶接)等を行ってもよい。この場合、図示は省略するが、溶接トーチ400に代わって、レーザヘッドを、光ファイバを介してレーザ発振器に接続してよい。溶接ロボットMC1は、マニピュレータ200と、ワイヤ送給装置300と、溶接ワイヤ301と、溶接トーチ400とを少なくとも含む構成である。
【0035】
マニピュレータ200は、多関節のアームを備え、ロボット制御装置2のロボット制御部24からの制御信号に基づいて、それぞれのアームを可動させる。これにより、マニピュレータ200は、ワークWkと溶接トーチ400との位置関係(例えば、ワークWkに対する溶接トーチ400の角度)をアームの駆動によって変更できる。
【0036】
ワイヤ送給装置300は、ロボット制御装置2からの制御信号に基づいて、溶接ワイヤ301の送給速度を制御する。なお、ワイヤ送給装置300は、溶接ワイヤ301の残量を検出可能なセンサ(図示略)を備えてよい。ロボット制御装置2は、このセンサの出力に基づいて、本溶接の工程が完了したことを検出できる。
【0037】
溶接ワイヤ301は、溶接トーチ400に保持されている。溶接トーチ400に電源装置500から電力が供給されることで、溶接ワイヤ301の先端とワークWkとの間にアークが発生し、アーク溶接が行われる。なお、溶接トーチ400にシールドガスを供給するための構成等は、説明の便宜上、これらの図示および説明を省略する。
【0038】
上位装置1は、ユーザにより予め入力あるいは設定された溶接関連情報を用いて、本溶接、またはビード外観検査の各種の工程の実行指令を生成してロボット制御装置2に送る。なお、上述したように、センサ4が溶接ロボットMC1に一体的に取り付けられている場合には、ビード外観検査の実行指令は、ロボット制御装置2および検査制御装置3の両方に送られる。上位装置1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12とを少なくとも含む構成である。
【0039】
通信部10は、ロボット制御装置2および外部ストレージSTのそれぞれとの間でデータの通信が可能に接続される。通信部10は、プロセッサ11により生成される本溶接、またはビード外観検査の各種の工程の実行指令をロボット制御装置2に送る。通信部10は、ロボット制御装置2から送られる本溶接完了報告、外観検査報告を受信してプロセッサ11に出力する。なお、本溶接の実行指令には、例えば溶接ロボットMC1が備えるマニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および電源装置500のそれぞれを制御するための制御信号が含まれてもよい。
【0040】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11は、メモリ12に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、セル制御部13を機能的に実現する。
【0041】
メモリ12は、例えばプロセッサ11の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の処理を規定したプログラムを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ12は、外部ストレージSTから読み出された溶接関連情報のデータ、ワークのステータス、ロボット制御装置2から送られたワークのワーク情報(上述参照)のデータをそれぞれ記憶する。
【0042】
セル制御部13は、外部ストレージSTに記憶されている溶接関連情報に基づいて、本溶接、ワークのビード外観検査、あるいはリペア溶接を実行するための実行指令を生成する。また、セル制御部13は、外部ストレージSTに記憶されている溶接関連情報に基づいて、ワークWkのビード外観検査時の溶接ロボットMC1の駆動に関する外観検査用プログラム、さらに、この外観検査用プログラムを含む外観検査用プログラムの実行指令を作成する。なお、この外観検査用プログラムは予め作成されて外部ストレージSTに保存されていてもよく、この場合には、セル制御部13は、外部ストレージSTから単に外観検査用プログラムを読み出して取得する。セル制御部13は、溶接ロボットMC1で実行される本溶接の各種の工程ごとに異なる実行指令を生成してよい。セル制御部13によって生成された本溶接の実行指令、あるいは外観検査用プログラムを含む外観検査用プログラムの実行指令は、通信部10を介して、対応するロボット制御装置2、あるいはロボット制御装置2および検査制御装置3のそれぞれに送られる。
【0043】
ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接、またはビード外観検査の実行指令に基づいて、対応する溶接ロボットMC1(例えば、センサ4、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300、電源装置500)の処理を制御する。ロボット制御装置2は、通信部20と、プロセッサ21と、メモリ22とを少なくとも含む構成である。
【0044】
通信部20は、上位装置1、検査制御装置3、溶接ロボットMC1との間でデータの通信が可能に接続される。なお、
図2では図示を簡略化しているが、ロボット制御部24とマニピュレータ200との間、ロボット制御部24とワイヤ送給装置300との間、ならびに、電源制御部25と電源装置500との間は、それぞれ通信部20を介してデータの送受信が行われる。通信部20は、上位装置1から送られた本溶接、あるいはビード外観検査の実行指令を受信する。通信部20は、本溶接により生産されたワークのワーク情報を上位装置1に送る。
【0045】
ここで、ワーク情報には、ワークのIDだけでなく、本溶接に使用される元ワークのID、名前、溶接箇所、本溶接の実行時の溶接条件が少なくとも含まれる。さらに、ワーク情報には、ワークの不良箇所が検出された検出点の位置を示す情報(例えば座標)、あるいはワークの不良箇所を示す区間の情報が含まれてもよい。また、溶接条件は、例えば元ワークの材質および厚み、溶接ワイヤ301の材質およびワイヤ径、シールドガス種、シールドガスの流量、溶接電流の設定平均値、溶接電圧の設定平均値、溶接ワイヤ301の送給速度および送給量、溶接回数、溶接時間等である。また、これらの他に、例えば本溶接の種別(例えばTIG溶接、MAG溶接、パルス溶接)を示す情報、マニピュレータ200の移動速度および移動時間が含まれても構わない。
【0046】
プロセッサ21は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ22と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ21は、メモリ22に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、本溶接プログラム作成部23、ロボット制御部24および電源制御部25を機能的に実現する。また、プロセッサ21は、本溶接プログラム作成部23により生成された本溶接プログラムに基づいて、ロボット制御部24により制御される溶接ロボットMC1(具体的には、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および電源装置500のそれぞれ)を制御するためのパラメータの演算等を行う。
【0047】
メモリ22は、例えばプロセッサ21の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ21の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ21により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ21の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ22は、上位装置1から送られた本溶接、ビード外観検査あるいはリペア溶接の実行指令のデータ、本溶接により生産されたワークのワーク情報のデータをそれぞれ記憶する。また、メモリ22は、溶接ロボットMC1が実行する本溶接の本溶接プログラムを記憶する。本溶接プログラムは、本溶接における溶接条件を用いて複数の元ワークを接合等する本溶接の具体的な手順(工程)を規定したプログラムである。
【0048】
本溶接プログラム作成部23は、通信部20を介して上位装置1から送られた本溶接の実行指令に基づいて、実行指令に含まれる複数の元ワークのそれぞれのワーク情報(例えばID、名前、および元ワークの溶接箇所)を用いて、溶接ロボットMC1により実行される本溶接の本溶接プログラムを生成する。本溶接プログラムには、本溶接の実行中に電源装置500、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300、溶接トーチ400等を制御するための、溶接電流、溶接電圧、オフセット量、溶接速度、溶接トーチ400の姿勢等の各種のパラメータが含まれてよい。なお、本溶接プログラムは、プロセッサ21内に記憶されてもよいし、メモリ22内のRAMに記憶されてもよい。
【0049】
ロボット制御部24は、本溶接プログラム作成部23により生成された本溶接プログラムに基づいて、溶接ロボットMC1(具体的には、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300および電源装置500のそれぞれ)を駆動させるための制御信号を生成する。ロボット制御部24は、この生成された制御信号を溶接ロボットMC1に送る。また、ロボット制御部24は、上位装置1から送られた外観検査用プログラムに基づいて、本溶接プログラムにて規定されている溶接ロボットMC1の動作範囲を対象とするようにビード外観検査中に溶接ロボットMC1のマニピュレータ200を駆動させる。これにより、溶接ロボットMC1に取り付けられたセンサ4(
図2参照)は、溶接ロボットMC1の動作に伴って移動できて、ワークWkの溶接ビードの形状に関する入力データ(例えば溶接ビードの3次元形状を特定可能な点群データ)を取得できる。
【0050】
電源制御部25は、本溶接プログラム作成部23により生成された本溶接プログラムの演算結果に基づいて、電源装置500を駆動させる。
【0051】
検査制御装置3は、上位装置1から送られた外観検査の実行指令に基づいて、溶接ロボットMC1による本溶接により生産されたワークのビード外観検査の処理を制御する。ビード外観検査は、例えば、ワークに形成された溶接ビードが既定の溶接基準(つまり、溶接の品質基準)を満たすか否かの検査であり、上述した検査判定により構成される。以下の説明を簡単にするために、検査制御装置3は、センサ4により取得された溶接ビードの形状に関する入力データ(例えば溶接ビードの3次元形状を特定可能な点群データ)に基づいて、ワークWkに形成された溶接ビードが所定の溶接基準を満たすか否かを、上述した検査判定のそれぞれの結果に基づく総合判定によって判別する。検査制御装置3は、通信部30と、プロセッサ31と、メモリ32と、検査結果記憶部33とを少なくとも含む構成である。
【0052】
出力部の一例としての通信部30は、上位装置1、ロボット制御装置2、センサ4との間でデータの通信が可能に接続される。なお、
図2では図示を簡略化しているが、形状検出制御部34とセンサ4との間は、それぞれ通信部30を介してデータの送受信が行われる。通信部30は、上位装置1から送られたビード外観検査の実行指令を受信する。通信部30は、センサ4を用いたビード外観検査の総合判定結果(例えば、溶接不良の有無、溶接の不良箇所を含むリペア溶接区間の位置の情報等)を上位装置1に送る。
【0053】
プロセッサ31は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ31は、メモリ32に保持されたプログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、形状検出制御部34、データ処理部35、およびリペア溶接プログラム作成部36を機能的に実現する。
【0054】
メモリ32は、例えばプロセッサ31の処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の処理を規定したプログラムを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータが一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の処理を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ32は、上位装置1から送られたワークのビード外観検査の実行指令のデータ、本溶接により生成されたワークのワーク情報のデータをそれぞれ記憶する。
【0055】
メモリ32は、溶接箇所に応じてビード外観検査の処理に用いられる閾値(例えば、リペア溶接区間)を記憶する。それぞれの閾値は、例えば溶接ビードの位置ずれの許容範囲、溶接ビードの長さ、高さ、幅のそれぞれの閾値、穴あき、ピット、アンダーカット、突起のそれぞれの閾値である。メモリ32は、リペア溶接後のビード外観検査時の各閾値として、顧客等から要求される最低限の溶接基準(品質)を満たす許容範囲(例えば、最小許容値、最大許容値など)を記憶してよい。
【0056】
検査結果記憶部33は、例えばハードディスクあるいはソリッドステートドライブを用いて構成される。検査結果記憶部33は、プロセッサ31により生成あるいは取得されるデータの一例として、ワークWk(例えばワーク)における溶接箇所のビード外観検査の結果を示すデータと、リペア溶接すべき過不足箇所を示す過不足分データ等を記憶する。これらのビード外観検査の結果を示すデータおよびリペア溶接すべき過不足箇所を示す過不足分データは、例えばデータ処理部35により生成される。
【0057】
入力部の一例としての形状検出制御部34は、上位装置1から送られたワークWk(例えばワーク)の溶接箇所のビード外観検査の実行指令に基づいて、ビード外観検査においてロボット制御装置2が外観検査用プログラムに基づいてセンサ4が取り付けられた溶接ロボットMC1を動作させている間、センサ4から送られた溶接ビードの形状に関する入力データ(例えば溶接ビードの3次元形状を特定可能な点群データ)を取得する。形状検出制御部34は、上述したロボット制御装置2によるマニピュレータ200の駆動に応じてセンサ4が溶接ビードを撮像可能(言い換えると、溶接箇所の3次元形状を検出可能)な位置に到達すると、例えばレーザ光線をセンサ4から照射させて溶接ビードの形状に関する入力データ(例えば溶接ビードの3次元形状を特定可能な点群データ)を取得させる。形状検出制御部34は、センサ4により取得された入力データ(上述参照)を受信すると、この入力データをデータ処理部35に渡す。
【0058】
判定部、生成部および検出部の一例としてのデータ処理部35は、形状検出制御部34からの溶接ビードの形状に関する入力データ(上述参照)を取得すると、取得された入力データをビード外観検査に適したデータ形式に変換する。なお、データ処理部35は、溶接の不良箇所ごとにビード外観検査の実行回数をカウントし、ビード外観検査の回数がメモリ32に予め記憶された回数を超えても溶接検査結果が良好にならない場合、自動リペア溶接による溶接の不良箇所の修正が困難あるいは不可能と判定してよい。
【0059】
データ処理部35は、メモリ32に記憶されたビード外観検査用の閾値を用いて、センサ4により取得された溶接ビードの形状に関する入力データとワークごとに予め既定された良品ワークのマスタデータとの比較に基づくビード外観検査を行い、溶接ビードの形状信頼性(例えば直線状あるいは曲線状の溶接線に沿っているか否か)、ビード欠け、およびビード位置ずれを検査する。データ処理部35は、データ変換されたデータ(例えば点群データに基づいて生成された画像データ)と良品ワークのマスタデータとの比較(いわゆる画像処理)を行う。
【0060】
データ処理部35は、ビード外観検査の結果、ビード外観検査の検査対象であるワークWkにリペア溶接が必要であるか否かを判定し、リペア溶接が必要であると判定した場合、溶接ビードの高さがメモリ32に記憶された閾値よりも高いまたは低い箇所を、溶接ビードの高さが過分または不足する箇所(以降、「過不足箇所」と表記)であると判定する。データ処理部35は、判定された溶接ビードの過不足箇所を抽出して、溶接ビードの高さの過不足箇所を示す過不足分データを生成する。
【0061】
データ処理部35は、検査対象としてのワークWkが生産された動作軌跡を示す位置情報と、生成された過不足分データとに基づいて、抽出された過不足箇所ごとのリペア溶接区間を判定する。データ処理部35は、動作軌跡に対して略垂直な方向と過不足分データに含まれるそれぞれの過不足箇所とが交差する交差点を検出して、過不足箇所ごとにこの過不足箇所をリペア溶接するためのリペア溶接区間の開始点および終了点を検出する。なお、上述した略垂直は、具体的に動作軌跡に対して垂直な方向から±15°の方向とする。
【0062】
データ処理部35は、検出されたリペア溶接区間の開始点および終了点の位置情報と、動作軌跡が示す位置情報とを、過不足箇所ごとに対応付けたリペア溶接区間の情報を生成する。データ処理部35は、生成されたリペア溶接区間の情報を含む外観検査報告を作成して検査結果記憶部33に記憶するとともに、通信部30を介して上位装置1あるいはロボット制御装置2に送る。また、データ処理部35は、検査対象であるワークWkにリペア溶接が必要でないと判定した場合、ビード外観検査に合格である旨の通知情報を含む外観検査報告を作成して検査結果記憶部33に記憶するとともに、通信部30を介して上位装置1に送る。なお、実施の形態におけるデータ処理部35は、溶接ロボットMC1の動作軌跡を示す位置情報を用いてリペア溶接区間を検出する例について説明するが、これに限定されず、溶接線を示す位置情報を用いてリペア溶接区間を検出してもよい。
【0063】
リペア溶接プログラム作成部36は、データ処理部35によるワークWkの外観検査報告(具体的に、リペア溶接区間の情報)を用いて、溶接ロボットMC1あるいは他のリペア用溶接ロボット(不図示)により実行されるべきワークWkのリペア溶接プログラムを作成する。リペア溶接プログラムには、リペア溶接の実行中に電源装置500、マニピュレータ200、ワイヤ送給装置300、溶接トーチ400等を制御するための、溶接電流、溶接電圧、オフセット量、溶接速度、溶接トーチ400の姿勢等の各種のパラメータが含まれてよい。なお、生成されたリペア溶接プログラムは、プロセッサ31内に記憶されてもよいし、メモリ32内のRAMに記憶されてもよいし、外観検査報告と対応付けられて通信部30を介して上位装置1あるいはロボット制御装置2に送られてもよい。
【0064】
センサ4は、例えば3次元形状センサであり、溶接ロボットMC1の先端に取り付けられ、ワークWk(例えばワーク)上の溶接箇所の形状を特定し得る複数の点群データを取得可能であり、この点群データに基づいて溶接箇所の3次元形状を特定可能な点群データを生成して検査制御装置3に送る。なお、センサ4は、溶接ロボットMC1の先端に取り付けられていなく、溶接ロボットMC1とは別個に配置されている場合には、検査制御装置3から送られた溶接箇所の位置情報に基づいて、ワークWk(例えば、ワークあるいはリペアワーク)上の溶接箇所を走査可能に構成されたレーザ光源(図示略)と、溶接箇所の周辺を含む撮像領域を撮像可能に配置され、溶接箇所に照射されたレーザ光のうち反射されたレーザ光の反射軌跡(つまり、溶接箇所の形状線)を撮像するカメラ(図示略)とにより構成されてよい。この場合、センサ4は、カメラにより撮像されたレーザ光に基づく溶接箇所の形状データ(言い換えると、溶接ビードの画像データ)を検査制御装置3に送る。なお、上述したカメラは、少なくともレンズ(図示略)とイメージセンサ(図示略)とを有して構成される。イメージセンサは、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semi-conductor)等の固体撮像素子であり、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。
【0065】
(溶接システムの動作)
次に、実施の形態に係る溶接システム100による本溶接およびビード外観検査の一連の動作手順について、
図3を参照して説明する。
図3は、実施の形態に係る溶接システム100による本溶接、ビード外観検査を含む一連の処理手順例を示すシーケンス図である。
図3の説明では、複数の元ワークを用いた本溶接、そしてワークのビード外観検査が不合格(つまり溶接不良がある旨の総合判定結果)となったことに基づいて行われるリペア溶接プログラムを含む外観検査報告の生成工程に関して上位装置1とロボット制御装置2と検査制御装置3との間で行われる動作手順を例示して説明する。
【0066】
図3において、上位装置1は、本溶接の対象となる元ワークのワーク情報(例えばID、名前、および元ワークの溶接箇所)をそれぞれ取得し(St1)、元ワークのワーク情報を含む本溶接の実行指令を生成する。上位装置1は、元ワークのワーク情報を含む本溶接の実行指令をロボット制御装置2に送る(St2)。なお、上位装置1を介さずに、ロボット制御装置2が、ステップSt1,St2の処理をそれぞれ実行してもよい。この場合には、ロボット制御装置2のメモリ22には外部ストレージSTに保存されているデータと同じデータが保存されているか、あるいはロボット制御装置2が外部ストレージSTからデータの取得を可能に接続されていることが好ましい。
【0067】
ロボット制御装置2は、上位装置1から送られた本溶接の実行指令を受信すると、その実行指令に含まれる複数の元ワークのそれぞれのワーク情報を用いて、溶接ロボットMC1により実行される本溶接の本溶接プログラムを作成し、その本溶接プログラムに従った本溶接を溶接ロボットMC1に実行させる(St3)。ロボット制御装置2は、種々の公知方法により、溶接ロボットMC1による本溶接の完了を判定すると、本溶接が完了した旨の本溶接完了通知を生成して上位装置1に送る(St4)。上位装置1は、本溶接完了通知を受けると、ワークの外観検査用プログラムを含む外観検査用プログラムの実行指令を生成してロボット制御装置2に送るとともに(St5)、ワークのビード外観検査の実行指令を生成して検査制御装置3に送る(St6)。ロボット制御装置2は、ビード外観検査の開始に伴って上位装置1から受けた外観検査用プログラムを実行して溶接ロボットMC1に取り付けられたセンサ4を溶接線上に沿って動かす(St7)。センサ4は、ロボット制御装置2によりワークの溶接箇所を走査可能に移動させられている間、ワークの3次元形状を特定可能な点群データを取得する(St7)。
【0068】
検査制御装置3は、センサ4により取得された溶接ビードの3次元形状を特定可能な点群データを入力データとして用いて、上述したビード外観検査を実行する(St7)。検査制御装置3は、ステップSt7での個別のビード外観検査の結果に基づいて、ワークの溶接ビードのビード外観検査の検査判定(形状不一致等の溶接不良があるためにリペア溶接が必要であるか否かの判定)を行う(St8)。
【0069】
検査制御装置3は、ステップSt8の検査判定の結果として、ワークには溶接不良があるためにリペア溶接が必要であると判定した場合(St8)、本溶接プログラムをロボット制御装置2から取得、あるいはメモリ32に記憶されたワークが生産された動作軌跡に基づいて、溶接不良の箇所(過不足箇所)をリペア溶接するためのリペア溶接区間の情報を含む外観検査報告を生成する(St9)。なお、検査制御装置3は、ステップSt9において、リペア溶接区間の情報に基づいて、溶接不良の箇所(過不足箇所)をリペア溶接するためのリペア溶接プログラムを生成し、このリペア溶接プログラムとリペア溶接区間の情報とを含む外観検査報告を生成してもよい。一方、検査制御装置3は、ステップSt8の総合判定の結果として、ワークには溶接不良(過不足箇所)がないためにリペア溶接が必要でないと判定した場合(St8)、ビード外観検査の総合判定結果を含む外観検査報告を生成する(St9)。
【0070】
検査制御装置3は、ステップSt8で実行された検査判定の結果とリペア溶接プログラムとを含む外観検査報告を生成してロボット制御装置2に送る(St10)。また、検査制御装置3は、同様に生成された外観検査報告を上位装置1にも送る(St11)。
【0071】
次に、
図3のステップSt9で実行されるリペア溶接区間を判定(検出)する処理の詳細について、
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、リペア溶接区間の検出処理手順例を示すフローチャートである。
図5は、過不足分データの生成手順例を説明する図である。
図6は、リペア溶接区間の開始点および終了点の検出手順例を説明する図である。
【0072】
センサ4により取得された溶接ビードの3次元形状を特定可能な点群データは、ビード外観検査に使用される。形状検出制御部34は、センサ4からの点群データをビード外観検査に適したデータ形式(例えば溶接ビードの3次元形状を示す画像データ)に変換してデータ処理部35に渡す。データ処理部35は、メモリ32に保存されている良品ワークのマスタデータMD(例えば良品ワークの溶接ビードの理想的な3次元形状を示す画像データ)をメモリ32から読み出して取得する(St9-1)。
【0073】
データ処理部35は、形状検出制御部34から取得された入力データRT(検査対象データ)とマスタデータMDとを比較し、メモリ32に記憶された溶接ビードの高さに関する閾値(具体的に、溶接ビードの高さの上限値を示す閾値、溶接ビードの高さの下限値を示す閾値)が示す溶接品質を満たさない過不足箇所を判定する。データ処理部35は、溶接ビードの高さが過不足している過不足箇所(例えば、
図5に示す過不足箇所D1,D2のそれぞれ)を抽出する(St9-2)。なお、
図5に示す入力データRTは、2箇所の過不足箇所D1,D2を有する例を示すが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0074】
データ処理部35は、抽出された過不足箇所に基づいて、溶接ビードの高さが過不足している箇所(つまり、過不足箇所の位置および範囲)を示す過不足分データSDを生成する(St9-3)。なお、
図5に示す過不足分データSDの一例には示していないが、過不足分データSDは、過不足箇所D1,D2のそれぞれに溶接ビードの高さが過分箇所であるか、または不足箇所しているかを示す情報が付与されていてもよい。
【0075】
データ処理部35は、本溶接プログラムに含まれる本溶接実行時の溶接ロボットMC1の動作軌跡を取得する(St9-4)。なお、
図6に示す動作軌跡MTは、一例として本溶接を実行するための溶接ロボットMC1の動作の開始点MTSから動作の終了点MTEまでの直線状の動作軌跡を示しているが、動作軌跡には曲線、直線、あるいは曲線および直線の組み合わせ形状等が任意に含まれてよいことは言うまでもない。
【0076】
データ処理部35は、動作軌跡MTに対して略垂直な方向に過不足分データSDを切断して、過不足分データSDの各過不足箇所D1,D2と動作軌跡MTに対して略垂直な方向とが交差する交差点を検出する(St9-5)。なお、
図6に示す例では、動作軌跡MTに対して略垂直な方向に切断された過不足箇所D1と動作軌跡MTとは、動作軌跡MT上において交差点PP1から交差点PP2までの区間で交差する。同様に、動作軌跡MTに対して略垂直な方向に切断された過不足箇所D2と動作軌跡MTとは、動作軌跡MT上において交差点PP3から交差点PP4までの区間で交差する。
【0077】
データ処理部35は、検出された過不足箇所D1と動作軌跡MTに対して略垂直な方向とが交差する複数の交差点のうち最初に交差した交差点PP1を過不足箇所D1の開始点S1として検出し、複数の交差点のうち最後に交差した交差点PP2を過不足箇所D1の終了点E1として検出する(St9-6)。なお、過不足箇所D1の終了点E1は、過不足箇所D1と動作軌跡MTに対して略垂直な方向とが交差しなくなった点(つまり、交差点PP2の次の点)であってもよい。また同様に、データ処理部35は、検出された過不足箇所D2と動作軌跡MTの略垂直な方向とが交差する複数の交差点のうち最初に交差した交差点PP3を過不足箇所D2の開始点S2として検出し、複数の交差点のうち最後に交差した交差点PP4を過不足箇所D2の終了点E2として検出する(St9-6)。同様に、過不足箇所D2の終了点E2は、過不足箇所D2と動作軌跡MTに対して略垂直な方向とが交差しなくなった点(つまり、交差点PP4の次の点)であってもよい。データ処理部35は、開始点S1から終了点E1までを過不足箇所D1の不良区間と判定し、開始点S2から終了点E2までを過不足箇所D2の不良区間と判定する。データ処理部35は、各不良区間の開始点および終了点の判定結果に基づいて、これらの不良区間をリペア溶接するためのリペア溶接区間の情報を生成する。データ処理部35は、生成されたリペア溶接区間の情報をメモリ32に記憶するとともに、リペア溶接プログラム作成部36に送る。なお、データ処理部35は、生成されたリペア溶接区間の情報を上位装置1またはロボット制御装置2に送ってもよい。
【0078】
リペア溶接プログラム作成部36は、データ処理部35により検出されたリペア溶接区間の情報と、動作軌跡MTの情報とに基づいて、各不良区間(つまり、各過不足箇所D1,D2のそれぞれ)をリペア溶接するためのリペア溶接プログラムを生成する。リペア溶接プログラム作成部36は、生成されたリペア溶接プログラムと、リペア溶接区間の情報およびビード外観検査の結果を含むワークの外観検査報告と、を生成する(St9-7)。
【0079】
以上により、実施の形態に係る外観検査装置の一例としての検査制御装置3は、溶接により生産されたワークWkの溶接ビードに関する入力データRTを入力し、入力データRTと良品ワークのマスタデータMDとを用いて溶接ビードの高さに関する検査判定を実行し、検査判定の結果に基づいて、溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所(例えば、
図5に示す過不足箇所D1,D2)を抽出して、過不足箇所の範囲を示す過不足分データSDを生成し、溶接ビードの動作軌跡MTに略垂直な方向と抽出された過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点(
図6に示す交差点PP1~PP4)を過不足箇所ごとに検出し、検出された過不足箇所ごとの複数の交差点の位置情報と動作軌跡MTとを対応付けて出力する。
【0080】
これにより、実施の形態に係る検査制御装置3は、検査判定の結果に基づいて検出された溶接の不良箇所をリペア溶接するにあたって、複数の交差点の位置情報と動作軌跡MTとを対応付けて出力することで、リペア溶接区間の情報を出力できる。よって、検査制御装置3は、本溶接により生産されたワークのリペア溶接区間をより効率的に検出できる。
【0081】
また、以上により、実施の形態に係る検査制御装置3は、検出された過不足箇所ごとの複数の交差点のうち最初に交差した交差点(例えば、
図6に示す過不足箇所D1における交差点PP1,過不足箇所D2における交差点PP3)をリペア溶接が必要なリペア溶接区間の開始点と判定し、最後に交差した交差点(例えば、
図6に示す過不足箇所D1における交差点PP2,過不足箇所D2における交差点PP4)をリペア溶接区間の終了点と判定し、リペア溶接区間の開始点および終了点と動作軌跡MTとを対応付けて出力する。これにより、実施の形態に係る検査制御装置3は、溶接不良の箇所ごとにリペア溶接区間の開始点および終了点の情報と、動作軌跡MTの情報とを対応づけて出力することで、リペア溶接区間の開始点および終了点と、リペア溶接区間をリペア溶接するためのリペア溶接方向とを出力できる。
【0082】
また、以上により、実施の形態に係る検査制御装置3は、作業員(つまり、ユーザ)操作により入力されて動作軌跡MTの情報を取得する。これにより、実施の形態に係る検査制御装置3は、ロボット制御装置2から本溶接プログラムを取得しない場合であっても、作業員の入力操作により動作軌跡MTを取得できる。また、検査制御装置3は、ロボット制御装置2から本溶接プログラムを取得せず、かつ、メモリ32に動作軌跡MTが記憶されていない場合であっても、作業員の入力操作により動作軌跡MTを取得できる。
【0083】
また、以上により、実施の形態に係る動作軌跡MTは、溶接を実行した溶接ロボットMC1の溶接動作軌跡である。これにより、実施の形態に係る検査制御装置3は、本溶接プログラムに記憶された動作軌跡と、実際に溶接ロボットMC1が溶接を行った溶接動作軌跡との位置がずれている場合であっても、実際に溶接ロボットMC1により行われた溶接の動作軌跡に基づいて、リペア溶接区間を検出できるため、検出されたリペア溶接区間の位置の誤差をより小さくできる。
【0084】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は、本溶接により生産されたワークのリペア溶接区間をより効率的に検出する外観検査方法および外観検査装置として有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 上位装置
2 ロボット制御装置
3 検査制御装置
4 センサ
10,20,30 通信部
11,21,31 プロセッサ
12,22,32 メモリ
23 本溶接プログラム作成部
24 ロボット制御部
25 電源制御部
33 検査結果記憶部
34 形状検出制御部
35 データ処理部
36 リペア溶接プログラム作成部
100 溶接システム
200 マニピュレータ
300 ワイヤ送給装置
301 溶接ワイヤ
400 溶接トーチ
500 電源装置
MC1 溶接ロボット
MN1,MN2 モニタ
ST 外部ストレージ
UI1 入力インターフェース
【手続補正書】
【提出日】2021-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、
前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて前記溶接ビードの高さに関する検査判定を実行し、
前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成し、
前記溶接の動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出し、
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する、
外観検査方法。
【請求項2】
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点のうち最初に交差した交差点をリペア溶接が必要なリペア溶接区間の開始点と判定し、最後に交差した交差点を前記リペア溶接区間の終了点と判定し、
前記リペア溶接区間の前記開始点および前記終了点と前記動作軌跡とを対応付けて出力する、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項3】
前記動作軌跡は、ユーザ操作により入力される、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項4】
前記動作軌跡は、前記溶接を実行した溶接ロボットの溶接動作軌跡である、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項5】
溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力する入力部と、
前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて、前記溶接ビードの高さに関する検査判定を行う判定部と、
前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成する生成部と、
前記溶接の動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出する検出部と、
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する出力部と、を備える、
外観検査装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示は、溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて前記溶接ビードの高さに関する検査判定を実行し、前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成し、前記溶接の動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出し、検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する、外観検査方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
また、本開示は、溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力する入力部と、前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて、前記溶接ビードの高さに関する検査判定を行う判定部と、前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成する生成部と、前記溶接の動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出する検出部と、検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と前記動作軌跡とを対応付けて出力する出力部と、を備える、外観検査装置を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、
本溶接完了通知の後に送られる検査判定の実行指令に基づいて、前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて前記溶接ビードの高さに関する前記検査判定を実行し、
前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成し、
前記溶接を実行した溶接ロボットの動作方向を含む動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出し、
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と、前記動作軌跡と、リペア溶接が必要なリペア溶接区間の開始点および終了点とを対応付けて出力する、
外観検査方法。
【請求項2】
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点のうち最初に交差した交差点を前記リペア溶接区間の前記開始点と判定し、最後に交差した交差点を前記リペア溶接区間の前記終了点と判定する、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項3】
前記動作軌跡は、ユーザ操作により入力される、
請求項1に記載の外観検査方法。
【請求項4】
溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力する入力部と、
本溶接完了通知の後に送られる検査判定の実行指令に基づいて、前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて、前記溶接ビードの高さに関する前記検査判定を行う判定部と、
前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成する生成部と、
前記溶接を実行した溶接ロボットの動作方向を含む動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出する検出部と、
検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と、前記動作軌跡と、リペア溶接が必要なリペア溶接区間の開始点および終了点とを対応付けて出力する出力部と、を備える、
外観検査装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示は、溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力し、本溶接完了通知の後に送られる検査判定の実行指令に基づいて、前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて前記溶接ビードの高さに関する前記検査判定を実行し、前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成し、前記溶接を実行した溶接ロボットの動作方向を含む動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出し、検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と、前記動作軌跡と、リペア溶接が必要なリペア溶接区間の開始点および終了点とを対応付けて出力する、外観検査方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
また、本開示は、溶接により生産されたワークの溶接ビードに関する入力データを入力する入力部と、本溶接完了通知の後に送られる検査判定の実行指令に基づいて、前記入力データと良品ワークの溶接ビードの形状を示す画像データであるマスタデータとを用いて、前記溶接ビードの高さに関する前記検査判定を行う判定部と、前記検査判定の結果に基づいて、前記溶接ビードの高さが過不足する少なくとも1つの過不足箇所を抽出して、前記過不足箇所の範囲を示す過不足分データを生成する生成部と、前記溶接を実行した溶接ロボットの動作方向を含む動作軌跡に略垂直な方向と抽出された前記過不足箇所の範囲とが交差する複数の交差点を前記過不足箇所ごとに検出する検出部と、検出された前記過不足箇所ごとの前記複数の交差点の位置情報と、前記動作軌跡と、リペア溶接が必要なリペア溶接区間の開始点および終了点とを対応付けて出力する出力部と、を備える、外観検査装置を提供する。