(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071619
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】車両のセンターピラーの下部の結合構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
B62D25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180683
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】今田 光彦
(72)【発明者】
【氏名】三崎 利次
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 基司
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB13
3D203BB55
3D203BB62
3D203CA53
3D203CA62
3D203CB03
(57)【要約】
【課題】荷重の伝達を効率よく行なう上で有利な車両のセンターピラーの下部の結合構造を提供すること。
【解決手段】サイドシル20の内部に位置するセンターピラーインナロア40の所定箇所に、基準面P0に対して車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する第1ビード4410と、基準面P0に対して車幅方向外側に突出しつつ上下方向に延在する第2ビード4412とが、車両前後方向において交互に設けられている。したがって、例えば車両が横転したときのようなルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重がルーフレール12からセンターピラーインナアッパ38を介してセンターピラーインナロア40に伝達された場合、その荷重は、車幅方向内側に突出する第1ビード4410と車幅方向外側に突出する第2ビード4412との双方に分散されてサイドシル20に効率的に伝達される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターピラーアウタの車幅方向内側に設けられたセンターピラーインナアッパとセンターピラーインナロアとを備え、
前記センターピラーインナロアの下部が、サイドシルインナとサイドシルアウタとの間に挟まれてサイドシルの内部に配置される車両のセンターピラーの下部の結合構造であって、
前記サイドシルの内部に位置する前記センターピラーインナロアの所定箇所に、基準面に対して車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する第1ビードと、前記基準面に対して車幅方向外側に突出しつつ上下方向に延在する第2ビードとが、車両前後方向において交互に設けられている、
ことを特徴とする車両のセンターピラーの下部の結合構造。
【請求項2】
前記第1ビードおよび前記第2ビードは、頂面と前記頂面の両側の側面とを有し、
車両前後方向において隣り合う前記第1ビードの前記側面と前記第2ビードの前記側面とは連続状に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両のセンターピラーの下部の結合構造。
【請求項3】
前記第1ビードおよび前記第2ビードは、頂面と前記頂面の両側の側面とを有し、
前記センターピラーインナアッパから前記センターピラーインナロアの上部にわたって車幅方向一方側に突出し車両前後方向に間隔をおいて上下方向に延在する凸部が設けられ、
前記第1ビードおよび/または前記第2ビードの稜線は、前記凸部の稜線の延長上に位置している、
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両のセンターピラーの下部の結合構造。
【請求項4】
前記凸部は、車幅方向内側に突出している、
ことを特徴とする請求項3記載の車両のセンターピラーの下部の結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のセンターピラーの下部の結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の両側部に、車両骨格部材として、ルーフパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在するルーフレールと、フロアパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在するサイドシルと、上下方向に延在しルーフレールの中間部とサイドシルの中間部とを連結するセンターピラーが設けられた車両が提供されている。
このような車両が例えば横転してルーフクラッシュし、車両側方の斜め上方からの荷重がルーフレールに加わった場合、その荷重は、ルーフレールからセンターピラーを介してサイドシルに伝達される。
この場合、センターピラーとサイドシルの変形を抑制するために、荷重のセンターピラーからサイドシルへの荷重の伝達効率を高める必要がある。
そこで、センターピラーの下部に車幅方向外側に突出して上下方向に延在するビードを設け、センターピラーの下部とサイドシルの結合部の強度剛性を高めることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車体の重量が大きい場合、センターピラーの下部に車幅方向外側に突出するビードを設けるだけでは、荷重の伝達をバランス良く効率よく行なう上で不利があり、センターピラーとサイドシルの変形を抑制する上で改善の余地がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたもので、本発明の目的は、荷重の伝達をバランス良く効率よく行なう上で有利な車両のセンターピラーの下部の結合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、センターピラーアウタの車幅方向内側に設けられたセンターピラーインナアッパとセンターピラーインナロアとを備え、前記センターピラーインナロアの下部が、サイドシルインナとサイドシルアウタとの間に挟まれてサイドシルの内部に配置される車両のセンターピラーの下部の結合構造であって、前記サイドシルの内部に位置する前記センターピラーインナロアの所定箇所に、基準面に対して車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する第1ビードと、前記基準面に対して車幅方向外側に突出しつつ上下方向に延在する第2ビードとが、車両前後方向において交互に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、例えば車両が横転したときのようなルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重がルーフレールからセンターピラーインナアッパを介してセンターピラーインナロアに伝達された場合、その荷重は、車幅方向内側に突出する第1ビードと車幅方向外側に突出する第2ビードとの双方に分散されてセンターピラーインナロアからサイドシルにバランス良く効率的に伝達される。
したがって、センターピラーインナロアが車幅方向外側あるいは内側の一方に折れ曲がりやすくなることを抑制しつつセンターピラーインナロアからサイドシルへ荷重を効率よく伝達する上で有利となり、重量の大きな車体が横転した場合であっても、センターピラーおよびサイドシルが変形することを抑制する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の車両のセンターピラーの下部の結合構造が適用された車両の斜視図である。
【
図2】実施の形態の車両のセンターピラーの下部の結合構造の分解斜視図である。
【
図3】センターピラーインナロアを車幅方向外側から見た平面図である。
【
図4】
図3のA-A断面図であり、サイドシルを含む断面図である。
【
図5】センターピラーインナアッパ、センターピラーロア、サイドシルアウタを車幅方向内側から見た斜視図である。
【
図6】(A)は
図5のA-A線断面図、(B)は
図5のB-B線断面図である。
【
図7】(C)は
図5のC-C線断面図、(D)は
図5のD-D線断面図である。
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下の図面において符号UPは車両上方を示し、符号FRは車両前方を示し、符号INは車幅方向内側、符号OUTは車幅方向外側を示す。
図1に示すように、車両の車体10の車幅方向両側部には、車両骨格部材として、ルーフレール12、フロントピラー14、センターピラー16、リアピラー18、サイドシル20がそれぞれ設けられている。
ルーフレール12は、車室空間の上方を覆うルーフパネル22の車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在している。
フロントピラー14は、上下方向に延在しルーフレール12の前端とサイドシル20の前端とを連結している。
センターピラー16は、上下方向に延在しルーフレール12の中間部とサイドシル20の中間部とを連結している。
リアピラー18は、上下方向に延在しルーフレール12の後端とサイドシル20の後端とを連結している。
サイドシル20は、フロアパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在している。
図2に示すように、サイドシル20は、サイドシルアウタ24と、サイドシルリンフォース26と、サイドシルインナ28と、前蓋部30と、後蓋部32とを備えている。
【0009】
サイドシルアウタ24は、車幅方向外側に凸のハット形状を呈している。
サイドシルアウタ24は、アウタ本体板部2402と、アウタ本体板部2402の上下から車幅方向内側に突出する上下のアウタ側板部2404、2406と、上下のアウタ側板部2404、2406の端部から上方または下方に延在する上下のアウタフランジ部2408、2410とを含んで構成されている。
【0010】
サイドシルリンフォース26は、サイドシルアウタ24の車幅方向内側に配置されている。
サイドシルリンフォース26は、アウタ本体板部2402の車幅方向内側の面に重ね合わされるリンフォース本体板部2602と、上下のアウタ側板部2404、2406にそれぞれ重ね合わされ溶接により接合される上下のリンフォース側板部2604、2606とを含んで構成されている。
【0011】
サイドシルインナ28は、サイドシルアウタ24の車幅方向内側に配置されている。
サイドシルインナ28は、車幅方向内側に凸のハット形状を呈している。
サイドシルインナ28は、インナ本体板部2802と、インナ本体板部2802の上下から車幅方向外側に突出する上下のインナ側板部2804、2806と、上下のインナ側板部2804、2806の端部から上方または下方に延在する上下のインナフランジ部2808、2810とを含んで構成されている。
サイドシルアウタ24の上下のアウタフランジ部2408、2410とサイドシルインナ28の上下のインナフランジ部2808、2810とは接合され、したがって、サイドシルアウタ24とサイドシルインナ28とにより閉断面構造が形成されている。
前蓋部30は、閉断面構造をなすサイドシル20の前端に接合され、後蓋部32は、サイドシル20の後端に接合され、サイドシルアウタ24とサイドシルインナ28とにより形成される閉断面構造の内部空間を車両前端と車両後端とで閉塞している。
【0012】
センターピラー16は、センターピラーアウタ34と、ヒンジリンフォース36と、センターピラーインナアッパ38と、センターピラーインナロア40と、インナリンフォース42とを含んで構成され、断面中空状を呈している。
【0013】
図2、
図6(A)、(B)に示すように、センターピラーアウタ34は、センターピラー16のうち車幅方向の最も外側に位置する部材である。
センターピラーアウタ34は、上下方向に延在するアウタ本体板部3402と、アウタ本体板部3402の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出する一対のアウタ側板部3404と、一対のアウタ側板部3404の車幅方向内側の端部から車両前後方向に突出する一対のアウタフランジ部3406とを備えている。
図2に示すように、アウタ本体板部3402の上部3402Aは、一対のアウタ側板部3404と一対のアウタフランジ部3406よりも上方に突出しており、センターピラーアウタ34の下部3402Bは、一対のアウタ側板部3404と一対のアウタフランジ部3406よりも下方に突出している。
アウタ本体板部3402の上部3402Aはルーフレール12(
図1)に結合され、
図6(A)、(B)に示すように、アウタ本体板部3402の下部3402Bはサイドシル20に接合されている。
【0014】
図2に示すように、ヒンジリンフォース36は、センターピラーアウタ34の車幅方向内側に配置される部材である。
ヒンジリンフォース36は、上下方向に延在するヒンジ本体板部3602と、ヒンジ本体板部3602の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出する一対のヒンジ側板部3604とを備えている。
図7(C)、(D)に示すように、ヒンジリンフォース36のヒンジ本体板部3602は、センターピラーアウタ34の車幅方向内側においてアウタ本体板部3402に接合され、ヒンジリンフォース36の一対のヒンジ側板部3604は、センターピラーアウタ34の一対のアウタ側板部3404に接合されている。
ヒンジリンフォース36の全長は、センターピラーアウタ34の全長よりも短く、ヒンジリンフォース36の上端は、センターピラーアウタ34の上端よりも低い箇所に位置し、
図6(A)、(B)に示すように、ヒンジリンフォース36の下端は、センターピラーアウタ34の下端よりも高い箇所に位置し、サイドシルアウタ24の上方に離れた箇所に位置している。
【0015】
図2、
図6(A)、(B)、
図7(C)、(D)に示すように、センターピラーインナアッパ38は、センターピラー16のうち車幅方向の最も内側に位置する部材である。
センターピラーインナアッパ38は、上下方向に延在するアッパ本体板部3802と、アッパ本体板部3802の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する一対のアッパ突条部3804と、一対のアッパ突条部3804の互いに離れた端部から車両前後方向に突出する一対のアッパフランジ部3806とを備えている。
センターピラーインナアッパ38の下端は、サイドシル20の上方に離れた箇所に位置している。
【0016】
図2、
図6(A)、(B)、
図7(C)、(D)に示すように、インナリンフォース42は、センターピラーインナアッパ38の車幅方向外側に配置される部材である。
インナリンフォース42は、センターピラーインナアッパ38の全長よりも短い長さの全長で形成され、インナリンフォース42の下端は、サイドシル20および後述するセンターピラーインナロア40から上方に離れた箇所に位置している。
インナリンフォース42は、車幅方向外側に凸のハット形状を呈している。
すなわち、インナリンフォース42は、車幅方向外側に位置し上下方向に延在するリンフォース本体板部4202と、リンフォース本体板部4202の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出する一対のリンフォース側板部4204と、一対のリンフォース側板部4204の端部から車両前後方向に突出する一対のリンフォースフランジ部4206とを備えている。
図7(C)に示すように、リンフォース本体板部4202は、ヒンジリンフォース36のヒンジ本体板部3602に重ね合わされて接合され、一対のリンフォースフランジ部4206は、センターピラーインナアッパ38のアッパ突条部3804の外面に車幅方向外側から重ね合わされて接合されている。
また、一対のリンフォース側板部4204のうちリンフォースフランジ部4206寄りの箇所は、センターピラーインナ38の一対のアッパ突条部3804を構成する各側面のうちアッパ本体板部3802側に接続された側面に重ね合わされて接合され、一対のリンフォースフランジ部4206は、センターピラーインナ38の一対のアッパ突条部3804の車幅方向外側に位置する外面に車幅方向内側から重ね合わされて接合されている。
また、一対のリンフォース側板部4204のうちリンフォースフランジ部4206寄りの箇所を除く部分は、他の部材に接合されていない。
なお、センターピラーアッパ38の一対のアッパフランジ部3806は、一対のリンフォースフランジ部4206を介さずにセンターピラーアウタ34の一対のアウタフランジ部3406に車幅方向内側から重ね合わされて接合されている。
【0017】
図6(A)、(B)に示すように、センターピラーインナロア40は、センターピラーインナアッパ38の下部に接合される部材である。
図2、
図3、
図6(A)、(B)、
図7(D)に示すように、センターピラーインナロア40は、センターピラーインナアッパ38のアッパ本体板部3802と連続するロア本体板部4002と、ロア本体板部4002の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する一対のロア突条部4004と、一対のロア突条部4004の端部から車両前後方向に突出する一対のロアフランジ部4006と、ロア本体板部4002、一対のロア突条部4004、一対のロアフランジ部4006の下部に設けられたサイドシル20接合用の取り付け部44とを備えている。
なお、
図3において符号4001はロア本体板部4002に形成された孔を示す。
図7(D)に示すように、センターピラーインナロア40のロア本体板部4002、一対のロア突条部4004、一対のロアフランジ部4006には、車幅方向内側からセンターピラーインナアッパ38の下部のアッパ本体板部3802、一対のアッパ突条部3804、一対のアッパフランジ部3806に重ね合わされて接合されている。
したがって、
図5に示すように、センターピラーインナアッパ38の一対のアッパ突条部3804とセンターピラーインナロア40の一対のロア突条部4004は重ね合わせて接合され、それらアッパ突条部3804とロア突条部4004は上下方向に連続している。
また、センターピラーインナロア40の一対のロアフランジ部4006は、センターピラーアウタ34の一対のアウタフランジ部3406に車幅方向内側から重ね合わされて接合されている。
なお、インナリンフォース42の下端は、センターピラーインナロア40から上方に離れた箇所に位置しているため、
図7(D)にインナリンフォース42は示されていない。
【0018】
図3に示すように、サイドシル20接合用の取り付け部44は、ロア本体板部4002、一対のロア突条部4004、一対のロアフランジ部4006の下端に接続する平坦な上取り付け板部4402と、上取り付け板部4402の下端に接続する補強板部4404と、補強板部4404の下端に接続する平坦な下取り付け板部4406とを備えている。
上取り付け板部4402は、
図6(A)、(B)に示すように、サイドシルアウタ24の上側のアウタフランジ部2408とサイドシルインナ28の上側のインナフランジ部2808とで挟持され重ね合わされて溶接により接合されている。
下取り付け板部4406は、
図6(A)、(B)に示すように、サイドシルアウタ24の下側のアウタフランジ部2410とサイドシルインナ28の下側のインナフランジ部2810とで挟持され重ね合わされて溶接により接合されている。
【0019】
補強板部4404は、サイドシル20の内部に配置される箇所である。
図3、
図4、
図5に示すように、補強板部4404は、車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する第1ビード4410と、車幅方向外側に突出しつつ上下方向に延在する第2ビード4412とが、車両前後方向において交互に設けられることで構成されている。
言い換えると、サイドシル20の内部に位置するセンターピラーインナロア40の所定箇所に、
図4に示すように、基準面P0に対して車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する第1ビード4410と、基準面P0に対して車幅方向外側に突出しつつ上下方向に延在する第2ビード4412とが、車両前後方向において交互に設けられている。
なお、本明細書において、基準面P0とは、第1ビード4410、第2ビード441が形成される前の補強板部4404の板厚の中心を通り補強板部4404の車幅方向外側または内側の面と平行する面(平面または曲面)を言うものとする。
第1ビード4410と第2ビード4412は、上下に縦長に形成されている。
第1ビード4410は、車幅方向内側に突出する上下に縦長の第1周面4410Aと、第1周面4410Aの先端を接続する上下に縦長の第1頂面4410Bを有し、第1頂面4410Bには上下に縦長の孔4410Cが形成されている。
第1ビード4410の孔4410Cは、溶接作業を行なうため、および、軽量化を図るために形成されている。
第2ビード4412は、車幅方向外側に突出する上下に縦長の第2周面4412Aと、第2周面4412Aの先端を接続する上下に縦長の第2頂面4412Bを有している。
車両前後方向において隣り合う第1ビード4410と第2ビード4412は、連続状に設けられている。
すなわち、車両前後方向において隣り合う第1ビード4410と第2ビード4412の間に位置する第1周面4410Aの箇所と第2周面4412Aの箇所とは連続している。
言い換えると、第1ビード4410は、第1頂面4410Aと第1頂面4410Aの両側の側面(第1周面4410A)とを有し、第2ビード4412は、第2頂面4412Aと第2頂面4412Aの両側の側面(第2周面4412B)とを有し、車両前後方向において隣り合う第1ビード4410の側面と第2ビード4412の側面とは連続状に設けられている。
したがって、
図5に示すように、第1ビード4410には、第1頂面4410Bの車両前後部に位置する一対の外縁に沿って上下方向に延在する2本の稜線R1,R1が形成されている。
なお、
図3において符号Xは、上取り付け板部4402と下取り付け板部4406に対して第1周面4410Aおよび第2周面4412Aが立ち上がる境界の箇所を示している。
また、本実施の形態では、
図5に示すように、センターピラーインナアッパ38からセンターピラーインナロア40にわたって、一対のアッパ突条部3804と、この一対のアッパ突条部3804に連続する一対のロア突条部4004が互いに対向する箇所にそれぞれ上下方向に延在する稜線R2、R2が形成されており、それら稜線R2、R2の延長上に、第1ビード4410の2本の稜線のうちの一方の稜線R1が位置するように設けられている。
言い換えると、センターピラーインナアッパ38からセンターピラーインナロア40の上部にわたって車幅方向一方側に突出し車両前後方向に間隔をおいて上下方向に延在する凸部(一対のアッパ突条部3804および一対のロア突条部4004)が設けられ、第1ビード4410の稜線R1は、凸部の稜線R2の延長上に位置している。
また、本実施の形態では、上記凸部(一対のアッパ突条部3804および一対のロア突条部4004)は、車幅方向内側に(センターピラーアウタ34のアウタ本体板部3402から離間する方向に)突出している。
【0020】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、サイドシル20の内部に位置するセンターピラーインナロア40の所定箇所に、基準面P0に対して車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する第1ビード4410と、基準面P0に対して車幅方向外側に突出しつつ上下方向に延在する第2ビード4412とが、車両前後方向において交互に設けられている。
したがって、例えば車両が横転したときのようなルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重がルーフレール12からセンターピラーインナアッパ38を介してセンターピラーインナロア40に伝達された場合、その荷重は、車幅方向内側に突出する第1ビード4410と車幅方向外側に突出する第2ビード4412との双方に分散されてセンターピラーインナロア40からサイドシル20にバランス良く効率的に伝達される。
すなわち、第1ビード4410および第2ビード4412によりセンターピラーインナロア40の強度剛性の向上が図られることは無論のこと、互いに突出方向が反対向きの第1ビード4410と第2ビード4412との双方に荷重が分散されて伝達されるため、荷重がセンターピラーインナロア40の厚さ方向(車幅方向)の両側の一方に偏ることなくバランスよく分散されてサイドシル20に効率的に伝達されることになる。
そのため、センターピラーインナロア40が車幅方向外側あるいは内側の一方に折れ曲がりやすくなることを抑制しつつセンターピラーインナロア40からサイドシル20へ荷重を効率よく伝達する上で有利となり、重量の大きな車体10が横転した場合であっても、センターピラー16およびサイドシル20が変形することを抑制する上で有利となる。
【0021】
また、本実施の形態では、車両前後方向において隣り合う第1ビード4410の側面と第2ビード4412の側面は連続状に設けられているが、第1ビード4410の側面と第2ビード4412の側面との間に平坦な一般面を介在させるようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のように一般面を介在させず車両前後方向において隣り合う第1ビード4410の側面と第2ビード4412の側面とを連続状に設けると、第1ビード4410と第2ビード4412の高さを大きく確保する上で有利となり、補強板部4404の強度剛性を高める上でより有利となる。
したがって、センターピラーインナアッパ38およびセンターピラーインナロア40からサイドシル20へ荷重を効率よく伝達する上でより有利となり、重量の大きな車体10が横転した場合であっても、センターピラー16およびサイドシル20が変形することを抑制する上でより有利となる。
【0022】
また、本実施の形態では、センターピラーインナアッパ38からセンターピラーインナロア40にわたって、一対のアッパ突条部3804と、この一対のアッパ突条部3804に連続する一対のロア突条部4004が互いに対向する箇所にそれぞれ上下方向に延在する稜線R2、R2が形成されており、それら稜線R2、R2の延長上に、第1ビード4410の2本の稜線のうちの一方の稜線R1が位置するように設けられている。
また、本実施の形態では、センターピラーインナアッパ38からセンターピラーインナロア40の上部にわたって車幅方向一方側に突出し車両前後方向に間隔をおいて上下方向に延在する凸部(一対のアッパ突条部3804および一対のロア突条部4004)が設けられ、第1ビード4410の稜線R1は、上記凸部の稜線R2の延長上に位置している。
したがって、ルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重がルーフレール12からセンターピラーインナアッパ38を介してセンターピラーインナロア40に伝達された場合、その荷重は、センターピラーインナアッパ38からセンターピラーインナロア40にわたって連続する稜線R2と、第1ビード4410の稜線R1とに沿って効率よく伝達され、サイドシル20に対する荷重の伝達がより効率よくなされる。
したがって、センターピラー16およびサイドシル20が車幅方向内側に凸状に変形することを抑制する上でより一層有利となる。
なお、本実施の形態では、第1ビード4410の稜線R1が上記凸部の稜線R2の延長上に位置している場合について説明した。
しかしながら、第2ビード4412の稜線が、上記凸部の稜線R2の延長上に位置していても、本実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第1ビード4410の稜線R1および第2ビード4412の双方の稜線が、上記凸部の稜線R2の延長上に位置していても、本実施の形態と同様の効果が奏される。
要するに、第1ビード4410の稜線R1および/または第2ビード4412の稜線が、上記凸部の稜線R2の延長上に位置していればよい。
【0023】
また、センターピラーインナアッパ38からセンターピラーインナロア40の上部にわたって上下方向に延在する凸部(一対のアッパ突条部3804および一対のロア突条部4004)は車幅方向外側に(センターピラーアウタ34のアウタ本体板部3402に近接する方向に)突出してもよい。
しかしながら、本実施の形態のように、上記凸部(一対のアッパ突条部3804および一対のロア突条部4004)が、車幅方向内側に(センターピラーアウタ34のアウタ本体板部3402から離間する方向に)突出していると、センターピラー16の車幅方向における断面係数をより大きく確保でき、センターピラー16およびサイドシル20が車幅方向内側に凸状に変形することを抑制するより有利となる。
【0024】
なお、本実施の形態では、
図6(A)、(B)に示すように、第1ビード4410の第1周面4410Aの上端とサイドシルインナ28の上側のインナ側板部2804との間に隙間が形成されると共に、第2ビード4412の第2周面4412Aの上端と上側のサイドシルアウタ24のアウタ側板部2404との間に隙間が形成されている場合について説明した。
しかしながら、第1ビード4410の第1周面4410Aの上端とサイドシルインナ28のインナ側板部2804とが当接されると共に、第2ビード4412の第2周面4412Aの上端とサイドシルアウタ24のアウタ側板部2404とが当接されていてもよく、この場合にも前記と同様な効果が奏される。
【符号の説明】
【0025】
10 車体
12 ルーフレール
16 センターピラー
20 サイドシル
24 サイドシルアウタ
28 サイドシルインナ
34 センターピラーアウタ
38 センターピラーインナアッパ
3804 アッパ突条部(凸部)
40 センターピラーインナロア
4004 ロア突条部(凸部)
4410 第1ビード
4410A 第1周面(側面)
4412 第2ビード
4412A 第2周面(側面)
R1 第1ビードの稜線
R2 凸部の稜線