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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071642
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】三方弁、配管装置、及び、給水装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/085 20060101AFI20220509BHJP
   E03B 5/00 20060101ALI20220509BHJP
   F16K 11/087 20060101ALI20220509BHJP
   F16K 5/04 20060101ALI20220509BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
F16K11/085 Z
E03B5/00 B
F16K11/087 Z
F16K5/04 E
F16K5/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180707
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000133939
【氏名又は名称】テラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】中原 利博
【テーマコード(参考)】
3H054
3H067
【Fターム(参考)】
3H054AA01
3H054AA02
3H054BB01
3H054CA03
3H054CB06
3H054CB34
3H054CB35
3H054GG02
3H054GG14
3H067AA23
3H067AA24
3H067AA32
3H067BB02
3H067BB12
3H067CC01
3H067DD02
3H067DD12
3H067DD23
3H067DD43
3H067EA06
3H067EB04
3H067EB24
3H067EB25
3H067EC25
3H067FF11
3H067GG13
3H067GG21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】三方弁の少なくとも1つの弁箱流路において弁箱流路が完全に閉止されるのを防止できる、三方弁、配管装置、及び、給水装置を、提供する。
【解決手段】弁箱室を内部に区画する弁箱Aと、弁体Bとを備えた三方弁Vであって、弁箱Aは、弁箱室に連通する第1弁箱流路AD1を区画する第1弁箱口AE1と、第1弁箱流路AD1の流路軸線に直交する方向において互いに対向する第2弁箱流路AD2及び第3弁箱流路AD3をそれぞれ区画する第2弁箱口AE2及び第3弁箱口AE3とを有し、弁体Bは、弁体室BCに連通する第1開口BF1と、第1開口BF1の中心軸線に直交する方向の第2開口BF2及び第3開口BF3と、弁体室BCを介して第1開口BF1と対向する閉止壁BWと、を有し、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、互いに連通状態になる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱室を内部に区画する、弁箱と、
前記弁箱室の内部に回転軸線周りに回転可能に配置され、弁体室を内部に区画する、弁体と、
を備えた、三方弁であって、
前記弁箱は、
前記弁箱室に連通する第1弁箱流路を区画する、第1弁箱口と、
それぞれ前記弁箱室に連通するとともに前記第1弁箱流路の流路軸線に直交する方向において互いに対向する第2弁箱流路及び第3弁箱流路をそれぞれ区画する、第2弁箱口及び第3弁箱口と、
を有し、
前記弁体は、
前記弁体室に連通する、第1開口と、
それぞれ前記弁体室に連通するとともに前記第1開口の中心軸線に直交する方向において互いに対向する、第2開口及び第3開口と、
前記弁体室を介して前記第1開口と対向する、閉止壁と、
を有し、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、互いに連通状態になる、三方弁。
【請求項2】
前記弁体の前記閉止壁を前記第1弁箱流路に対向させた状態において、前記第1弁箱流路と前記弁体室とは、前記閉止壁によって互いに非連通状態にされ、
前記弁体の前記閉止壁を前記第3弁箱流路に対向させた状態において、前記第3弁箱流路と前記弁体室とは、前記閉止壁によって互いに非連通状態にされる、請求項1に記載の三方弁。
【請求項3】
前記弁体は円筒型であり、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記弁体の前記閉止壁と前記弁箱との間に形成される隙間を介して、互いに連通状態になる、請求項1又は2に記載の三方弁。
【請求項4】
前記第2弁箱流路の流路断面積は、前記第1弁箱流路及び前記第3弁箱流路のそれぞれの流路断面積よりも、大きい、請求項3に記載の三方弁。
【請求項5】
前記弁体の前記閉止壁は、
外周側壁部と、
前記外周側壁部に対して内周側に位置する、内周側壁部と、
を有し、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路の流路断面積は、前記外周側壁部における前記第2弁箱流路の流路軸線方向の投影面積よりも、大きく、かつ、前記外周側壁部における前記第2弁箱流路の流路軸線方向の投影面積は、前記内周側壁部における前記第2弁箱流路の流路軸線方向の投影面積よりも、小さい、請求項4に記載の三方弁。
【請求項6】
前記弁箱は、
前記弁箱室を介して前記第1弁箱流路と対向する、対向壁と、
前記対向壁と前記第2弁箱口とを連結する、連結壁と、
を有しており、
前記連結壁と前記対向壁のうち少なくとも前記連結壁に連続する部分とは、前記弁体から外周側に離れて位置している、請求項3又は4に記載の三方弁。
【請求項7】
前記弁体はボール型であり、
前記弁箱は、前記弁箱室を介して前記第1弁箱流路と対向する、弁蓋を有しており、
前記弁蓋は、弁蓋流路を区画しており、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記弁蓋流路を介して、互いに連通状態になる、請求項1又は2に記載の三方弁。
【請求項8】
前記弁体はボール型であり、
前記弁体は、1つ又は複数の弁体貫通穴をさらに有しており、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記1つ又は複数の弁体貫通穴を介して、互いに連通状態になる、請求項1、2、又は7に記載の三方弁。
【請求項9】
前記弁体はボール型であり、
前記三方弁は、
前記第2弁箱口の内周側に設けられた、円筒状の支持部材と、
前記支持部材によって支持されるとともに、前記弁体を前記第2弁箱流路側から回転可能に支持する、弁座と、
をさらに備え、
前記支持部材の周壁は、1つ又は複数の支持部材貫通穴を有しており、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記1つ又は複数の支持部材貫通穴を介して、互いに連通状態になる、請求項1、2、7、又は8に記載の三方弁。
【請求項10】
前記三方弁は、給水装置の配管装置に用いられるものであり、
前記給水装置は、
前記配管装置と、
吸込配管と、
吐出配管と、
前記吸込配管及び前記吐出配管に前記配管装置を介して接続された、1号ポンプ及び2号ポンプと、
を備え、
前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吸込口に接続され、
前記第2弁箱口は、前記吸込配管に接続され、
前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吸込口に接続される、請求項1~9のいずれか一項に記載の三方弁。
【請求項11】
前記三方弁は、給水装置の配管装置に用いられるものであり、
前記給水装置は、
前記配管装置と、
吸込配管と、
吐出配管と、
前記吸込配管及び前記吐出配管に前記配管装置を介して接続された、1号ポンプ及び2号ポンプと、
を備え、
前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吐出口に接続され、
前記第2弁箱口は、前記吐出配管に接続され、
前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吐出口に接続される、請求項1~9のいずれか一項に記載の三方弁。
【請求項12】
それぞれ請求項1~9のいずれか一項に記載の三方弁からなる、第1三方弁及び第2三方弁を備えた、配管装置であって、
前記第1三方弁及び前記第2三方弁は、前記回転軸線に沿って配列されており、それぞれの前記回転軸線が一致する、配管装置。
【請求項13】
前記配管装置は、給水装置に用いられるものであり、
前記給水装置は、
前記配管装置と、
吸込配管と、
吐出配管と、
前記吸込配管及び前記吐出配管に前記配管装置を介して接続された、1号ポンプ及び2号ポンプと、
を備え、
前記第1三方弁の前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吸込口に接続され、
前記第1三方弁の前記第2弁箱口は、前記吸込配管に接続され、
前記第1三方弁の前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吸込口に接続され、
前記第2三方弁の前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吐出口に接続され、
前記第2三方弁の前記第2弁箱口は、前記吐出配管に接続され、
前記第2三方弁の前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吐出口に接続される、請求項12に記載の配管装置。
【請求項14】
請求項13に記載の配管装置と、
前記吸込配管と、
前記吐出配管と、
前記1号ポンプ及び前記2号ポンプと、
を備えた、給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方弁、配管装置、及び、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三方弁を備えた配管装置がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6185750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の三方弁は、三方弁の3つの弁箱流路のそれぞれを完全に閉止することができるように構成されていた。そのため、例えば、配管装置が一時的に断水状態になるおそれがある等の課題があった。
【0005】
本発明は、三方弁の少なくとも1つの弁箱流路において弁箱流路が完全に閉止されるのを防止できる、三方弁、配管装置、及び、給水装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の三方弁は、
弁箱室を内部に区画する、弁箱と、
前記弁箱室の内部に回転軸線周りに回転可能に配置され、弁体室を内部に区画する、弁体と、
を備えた、三方弁であって、
前記弁箱は、
前記弁箱室に連通する第1弁箱流路を区画する、第1弁箱口と、
それぞれ前記弁箱室に連通するとともに前記第1弁箱流路の流路軸線に直交する方向において互いに対向する第2弁箱流路及び第3弁箱流路をそれぞれ区画する、第2弁箱口及び第3弁箱口と、
を有し、
前記弁体は、
前記弁体室に連通する、第1開口と、
それぞれ前記弁体室に連通するとともに前記第1開口の中心軸線に直交する方向において互いに対向する、第2開口及び第3開口と、
前記弁体室を介して前記第1開口と対向する、閉止壁と、
を有し、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、互いに連通状態になる。
【0007】
本発明の三方弁においては、
前記弁体の前記閉止壁を前記第1弁箱流路に対向させた状態において、前記第1弁箱流路と前記弁体室とは、前記閉止壁によって互いに非連通状態にされ、
前記弁体の前記閉止壁を前記第3弁箱流路に対向させた状態において、前記第3弁箱流路と前記弁体室とは、前記閉止壁によって互いに非連通状態にされていてもよい。
【0008】
本発明の三方弁においては、
前記弁体は円筒型であり、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記弁体の前記閉止壁と前記弁箱との間に形成される隙間を介して、互いに連通状態になってもよい。
【0009】
本発明の三方弁においては、
前記第2弁箱流路の流路断面積は、前記第1弁箱流路及び前記第3弁箱流路のそれぞれの流路断面積よりも、大きくてもよい。
【0010】
本発明の三方弁においては、
前記弁体の前記閉止壁は、
外周側壁部と、
前記外周側壁部に対して内周側に位置する、内周側壁部と、
を有し、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路の流路断面積は、前記外周側壁部における前記第2弁箱流路の流路軸線方向の投影面積よりも、大きく、かつ、前記外周側壁部における前記第2弁箱流路の流路軸線方向の投影面積は、前記内周側壁部における前記第2弁箱流路の流路軸線方向の投影面積よりも、小さくてもよい。
【0011】
本発明の三方弁においては、
前記弁箱は、
前記弁箱室を介して前記第1弁箱流路と対向する、対向壁と、
前記対向壁と前記第2弁箱口とを連結する、連結壁と、
を有しており、
前記連結壁と前記対向壁のうち少なくとも前記連結壁に連続する部分とは、前記弁体から外周側に離れて位置していてもよい。
【0012】
本発明の三方弁においては、
前記弁体はボール型であり、
前記弁箱は、前記弁箱室を介して前記第1弁箱流路と対向する、弁蓋を有しており、
前記弁蓋は、弁蓋流路を区画しており、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記弁蓋流路を介して、互いに連通状態になってもよい。
【0013】
本発明の三方弁においては、
前記弁体はボール型であり、
前記弁体は、1つ又は複数の弁体貫通穴をさらに有しており、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記1つ又は複数の弁体貫通穴を介して、互いに連通状態になってもよい。
【0014】
本発明の三方弁においては、
前記弁体はボール型であり、
前記三方弁は、
前記第2弁箱口の内周側に設けられた、円筒状の支持部材と、
前記支持部材によって支持されるとともに、前記弁体を前記第2弁箱流路側から回転可能に支持する、弁座と、
をさらに備え、
前記支持部材の周壁は、1つ又は複数の支持部材貫通穴を有しており、
前記弁体の前記閉止壁を前記第2弁箱流路に対向させた状態において、前記第2弁箱流路と前記弁体室とは、前記1つ又は複数の支持部材貫通穴を介して、互いに連通状態になってもよい。
【0015】
本発明の三方弁においては、
前記三方弁は、給水装置の配管装置に用いられるものであり、
前記給水装置は、
前記配管装置と、
吸込配管と、
吐出配管と、
前記吸込配管及び前記吐出配管に前記配管装置を介して接続された、1号ポンプ及び2号ポンプと、
を備え、
前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吸込口に接続され、
前記第2弁箱口は、前記吸込配管に接続され、
前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吸込口に接続されてもよい。
【0016】
本発明の三方弁においては、
前記三方弁は、給水装置の配管装置に用いられるものであり、
前記給水装置は、
前記配管装置と、
吸込配管と、
吐出配管と、
前記吸込配管及び前記吐出配管に前記配管装置を介して接続された、1号ポンプ及び2号ポンプと、
を備え、
前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吐出口に接続され、
前記第2弁箱口は、前記吐出配管に接続され、
前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吐出口に接続されてもよい。
【0017】
本発明の配管装置は、
それぞれ上記の三方弁からなる、第1三方弁及び第2三方弁を備えた、配管装置であって、
前記第1三方弁及び前記第2三方弁は、前記回転軸線に沿って配列されており、それぞれの前記回転軸線が一致する。
【0018】
本発明の配管装置においては、
前記配管装置は、給水装置に用いられるものであり、
前記給水装置は、
前記配管装置と、
吸込配管と、
吐出配管と、
前記吸込配管及び前記吐出配管に前記配管装置を介して接続された、1号ポンプ及び2号ポンプと、
を備え、
前記第1三方弁の前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吸込口に接続され、
前記第1三方弁の前記第2弁箱口は、前記吸込配管に接続され、
前記第1三方弁の前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吸込口に接続され、
前記第2三方弁の前記第1弁箱口は、前記1号ポンプの吐出口に接続され、
前記第2三方弁の前記第2弁箱口は、前記吐出配管に接続され、
前記第2三方弁の前記第3弁箱口は、前記2号ポンプの吐出口に接続されてもよい。
【0019】
本発明の給水装置は、
上記の配管装置と、
前記吸込配管と、
前記吐出配管と、
前記1号ポンプ及び前記2号ポンプと、
を備えている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、三方弁の少なくとも1つの弁箱流路において弁箱流路が完全に閉止されるのを防止できる、三方弁、配管装置、及び、給水装置を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る給水装置を示す、正面図である。
図2図1の給水装置において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態の流路を示す、模式図である。
図3図1の給水装置に備えられる、本発明の第1実施形態に係る三方弁及び配管装置を示す、斜視図である。
図4図3の配管装置を分解して示す、分解斜視図である。
図5図3の配管装置のうち吸込側部分を、図2の状態で示す、断面図である。
図6図3の配管装置のうち吐出側部分を、図2の状態で示す、断面図である。
図7図2の給水装置において、1号ポンプへの流路を閉止する操作の途中の状態(弁体の閉止壁を第2弁箱流路に対向させた状態)の流路を示す、模式図である。
図8図3の配管装置のうち吸込側部分の一部を、図7の状態で示す、断面図である。
図9図3の配管装置のうち吐出側部分の一部を、図7の状態で示す、断面図である。
図10図2の給水装置において、1号ポンプへの流路を閉止した状態の流路を示す、模式図である。
図11図3の配管装置のうち吸込側部分の一部を、図10の状態で示す、断面図である。
図12図2の給水装置において、2号ポンプへの流路を閉止した状態の流路を示す、模式図である。
図13図3の配管装置のうち吸込側部分の一部を、図12の状態で示す、断面図である。
図14図8に対応する図面であり、本発明の第1実施形態の一変形例に係る三方弁を説明するための図面である。
図15図8に対応する図面であり、本発明の第1実施形態の他の変形例に係る三方弁を説明するための図面である。
図16】本発明の第2実施形態に係る給水装置において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態の流路を示す、模式図である。
図17図16の給水装置に備えられる、本発明の第2実施形態に係る三方弁及び配管装置を示す、斜視図である。
図18図17の配管装置を、弁箱のうち弁蓋以外の部分を省略して示す、斜視図である。
図19図18の弁体及び弁蓋を示す、斜視図である。
図20図17の配管装置のうち吸込側部分を、図16の状態で示す、断面図である。
図21図17の配管装置のうち吐出側部分を、図16の状態で示す、断面図である。
図22図16の給水装置において、1号ポンプへの流路を閉止する操作の途中の状態(弁体の閉止壁を第2弁箱流路に対向させた状態)の流路を示す、模式図である。
図23図17の配管装置のうち吸込側部分の一部を、図22の状態で示す、断面図である。
図24図17の配管装置のうち吐出側部分の一部を、図22の状態で示す、断面図である。
図25図16の給水装置において、1号ポンプへの流路を閉止した状態の流路を示す、模式図である。
図26図16の給水装置において、2号ポンプへの流路を閉止した状態の流路を示す、模式図である。
図27図23に対応する図面であり、本発明の第2実施形態の一変形例に係る三方弁を説明するための図面である。
図28図27の配管装置を断面とともに示す、断面斜視図である。
図29図18に対応する図面であり、本発明の第2実施形態の他の変形例に係る三方弁を説明するための図面である。
図30図29の配管装置を断面とともに示す、断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の三方弁及び配管装置は、任意の流体に利用することができるが、液体、特には水に利用すると好適である。また、本発明の三方弁及び配管装置は、任意の用途に利用することができるが、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するための給水装置に、好適に利用することができる。
本発明の給水装置は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために、好適に利用することができる。
以下、本発明に係る、三方弁、配管装置、及び、給水装置の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0023】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態に係る三方弁V、配管装置2、及び、給水装置1について、図1図13を参照しつつ、説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る給水装置1の外観を示している。図2は、図1に示す本発明の第1実施形態に係る給水装置1の流路の模式図を示している。本実施形態の給水装置1は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するための給水装置として構成されている。給水装置1は、コンパクト性への要求が高いものである。
図1及び図2に示すように、本実施形態において、給水装置1は、吸込配管3と、吐出配管4と、本実施形態の配管装置2と、1号ポンプP1と、2号ポンプP2と、逆流防止器5と、仕切弁6と、圧力タンク7と、を備えている。吸込配管3は、上水道配水管に接続される。吐出配管4は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先の配管に接続される。配管装置2と、逆流防止器5と、仕切弁6と、圧力タンク7とは、吸込配管3と吐出配管4との間の流路に配置されている。1号ポンプP1及び2号ポンプP2は、吸込配管3及び吐出配管4に、配管装置2を介して接続されている。逆流防止器5は、配管装置2の上流側に配置されている。仕切弁6及び圧力タンク7は、配管装置2の下流側に配置されている。仕切弁6は、圧力タンク7の上流側に配置されている。
1号ポンプP1及び2号ポンプP2は、それぞれ縦型に構成されており、それぞれの吸込口及び吐出口が、下側を向いている。
給水装置1は、図1に示すように、キャビネット型に構成されており、具体的には、吸込配管3から吐出配管4までの配管を収容するキャビネット8を、備えている。
ただし、給水装置1は、キャビネット型に構成されていなくてもよい。
【0024】
なお、給水装置1は、図1及び図2に示すものに限られず、本明細書で説明する任意の例の配管装置2を備えるとともに、1号ポンプP1及び2号ポンプP2が吸込配管3及び吐出配管4に配管装置2を介して接続されている限り、任意の構成を有してよい。
【0025】
本明細書において、「接続」とは、複数の流路どうしが直接接続される場合に限られず、複数の流路どうしが延長管等の部品を介して接続される場合も含む。
【0026】
図2に示すように、本発明の第1実施形態の配管装置2は、2つの三方弁Vと、ハンドル21と、バイパス管22と、逆止弁23と、2つの延長管24と、を備えている。各三方弁Vは、それぞれ本発明の第1実施形態に係る三方弁Vである。
2つの三方弁Vどうしは、構造が実質的に同じであり、接続先の流路が異なるのみである。
2つの三方弁のうちの第1三方弁V1は、吸込側三方弁であり、吸込配管3と、1号ポンプP1の吸込口と、2号ポンプP2の吸込口とに、接続されている。2つの三方弁のうちの第2三方弁V2は、吐出側三方弁であり、吐出配管4と、1号ポンプP1の吐出口と、2号ポンプP2の吐出口とに、接続されている。第1三方弁V1及び第2三方弁V2は、それぞれ、回転軸線Oの周りに回転されるように構成されている。また、第1三方弁V1及び第2三方弁V2は、回転軸線Oに沿って配列されており、それぞれの回転軸線Oが一致する。本実施形態において、第1三方弁V1及び第2三方弁V2は、回転軸線O周りに同時に回転されるように構成されている。
ハンドル21は、第1三方弁V1及び第2三方弁V2を回転軸線O周りに同時に回転させる際に操作者によって操作されるように構成されている。バイパス管22及び逆止弁23は、第1三方弁V1と第2三方弁V2との間に接続されている。一方の延長管24は、第1三方弁V1と2号ポンプP2の吸込口との間に接続されている。他方の延長管24は、第2三方弁V2と2号ポンプP2の吐出口との間に接続されている。
【0027】
つぎに、図3図6を参照しつつ、本実施形態の三方弁V及び配管装置2の具体的な構造について説明する。なお、上述のとおり、第1三方弁V1及び第2三方弁V2どうしは、構造が実質的に同じであり、接続先の流路が異なるのみである。以下において、三方弁Vについて説明する場合には、特に断りが無い限り、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれについて説明しているものとする。
【0028】
図3図6に示すように、三方弁Vは、弁箱Aと、弁体Bと、を備えている。
【0029】
図4図6に示すように、弁箱Aは、弁箱室ACを内部に区画している。弁箱室ACは、弁箱Aの弁箱本体部AMによって区画されている。弁箱Aは、第1弁箱流路AD1を区画する第1弁箱口AE1と、第2弁箱流路AD2を区画する第2弁箱口AE2と、第3弁箱流路AD3を区画する第3弁箱口AE3と、を有している。第1弁箱口AE1と第2弁箱口AE2と第3弁箱口AE3とは、それぞれ弁箱本体部AMに連結している。第1弁箱流路AD1と第2弁箱流路AD2と第3弁箱流路AD3とは、それぞれ、弁箱室ACに連通している。第2弁箱流路AD2及び第3弁箱流路AD3は、第1弁箱流路AD1の流路軸線に直交する方向において互いに対向している。弁箱Aの第1弁箱口AE1と第2弁箱口AE2と第3弁箱口AE3とは、回転軸線Oを中心とする周方向に沿って配列されている。弁箱本体部AMは、弁箱室ACを介して第1弁箱流路AD1と対向する対向壁AWを有している。
【0030】
図4図6に示すように、弁体Bは、弁箱室ACの内部に配置されている。弁体Bは、回転軸線Oの周りに回転可能に構成されている。弁体Bは、ハンドル21の操作によって回転される。弁体Bは、弁体室BCを内部に区画している。弁体Bは、第1開口BF1と、第2開口BF2と、第3開口BF3と、閉止壁BWと、を有している。第1開口BF1と第2開口BF2と第3開口BF3とは、それぞれ弁体室BCに連通している。第2開口BF2及び第3開口BF3は、第1開口BF1の中心軸線に直交する方向において互いに対向している。閉止壁BWは、弁体室BCを介して第1開口BF1と対向している。弁体Bの第1開口BF1と第2開口BF2と第3開口BF3と閉止壁BWとは、回転軸線Oを中心とする周方向に沿って配列されている。
【0031】
本実施形態において、弁体Bは、円筒型に構成されている。弁体Bのなす円筒形状の中心軸線は、回転軸線Oと一致する。これに伴い、弁箱本体部AMも、弁体Bと同軸の円筒型に構成されている。
【0032】
第1三方弁V1の弁箱本体部AMは、回転軸線方向における第2三方弁V2とは反対側の端壁AJが、弁箱本体部AMの他の部分に対して脱着可能に構成されている(図4)。
第2三方弁V2の弁箱本体部AMは、回転軸線方向における第1三方弁V1とは反対側の端壁AJが、弁箱本体部AMの他の部分に対して脱着可能に構成されている(図4)。
ここで、「回転軸線方向」とは、回転軸線Oに平行な方向を指す。
【0033】
配管装置2は、弁棒BSを有している(図4)。弁棒BSは、第1三方弁V1の弁体Bに連結されている。弁棒BSの中心軸線は、回転軸線Oと一致する。弁棒BSには、ハンドル21が取り付けられており、ハンドル21の操作によって弁棒BSを回転軸線O周りに回転させ、ひいては、弁体Bを回転軸線O周りに回転させることができるようにされている。
【0034】
第1三方弁V1において、第1弁箱口AE1は、1号ポンプP1の吸込口に接続され、第2弁箱口AE2は、吸込配管3に接続され、第3弁箱口AE3は、2号ポンプP2の吸込口に接続される(図5)。第1三方弁V1の第3弁箱口AE3は、延長管24を介して、2号ポンプP2の吸込口に接続される。
第2三方弁V2において、第1弁箱口AE1は、1号ポンプP1の吐出口に接続され、第2弁箱口AE2は、吐出配管4に接続され、第3弁箱口AE3は、2号ポンプP2の吐出口に接続される(図6)。第2三方弁V2の第3弁箱口AE3は、延長管24を介して、2号ポンプP2の吐出口に接続される。
【0035】
第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aは、それぞれの第1弁箱口AE1どうし、それぞれの第2弁箱口AE2どうし、かつ、それぞれの第3弁箱口AE3どうしが、それぞれ同じ方向を向くとともに回転軸線方向に沿って配列されるように指向される。
三方弁Vは、第1弁箱口AE1が上側を向き、第2弁箱口AE2及び第3弁箱口AE3が水平方向において互いに反対側を向くように、指向される。
第1三方弁V1の第3弁箱口AE3と2号ポンプP2の吸込口との間に接続された延長管24は、2号ポンプP2の吸込口側の接続口が、上側を向いている。
第2三方弁V2の第3弁箱口AE3と2号ポンプP2の吐出口との間に接続された延長管24は、2号ポンプP2の吐出口側の接続口が、上側を向いている。
第3弁箱口AE3と延長管24とは、一体に構成されている。ただし、第3弁箱口AE3と延長管24とは、互いに別体に構成されて、互いに接続されていてもよい。
第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aは、互いに一体に構成されている。ただし、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aは、互いに別体に構成されてもよい。
【0036】
第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁体Bは、互いに連結されており、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aに対して、回転軸線Oの周りに同時に回転されるように構成されている。
第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁体Bは、それぞれの第1開口BF1どうし、それぞれの第2開口BF2どうし、それぞれの第3開口BF3どうし、かつ、それぞれの閉止壁BWどうしが、それぞれ回転軸線方向に沿って配列されるように指向される。
【0037】
図4に示すように、第1三方弁V1の弁体Bと第2三方弁V2の弁体Bとは、バイパス管22を介して互いに連結されている。バイパス管22は、第1三方弁V1の弁箱Aの弁箱本体部AMと第2三方弁V2の弁箱Aの弁箱本体部AMとの連結部分の内周側に配置される。バイパス管22の内周側には、逆止弁23が収容されている。逆止弁23は、第1三方弁V1の弁体室BCから第2三方弁V2の弁体室BCへの流体の流れのみを許容し、その逆の流体の流れを阻止するように構成されている。
【0038】
給水装置1においては、通常、1号ポンプP1及び2号ポンプP2が交互もしくは同時に運転される。このとき、給水装置1は、図2図5、及び図6に示すように、1号ポンプP1及び2号ポンプP2への流路を開放した状態にされる。この状態において、三方弁Vの弁体Bは、閉止壁BWが弁箱Aの対向壁AWに対向し、第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3が、それぞれ、第1弁箱流路AD1、第2弁箱流路AD2、及び第3弁箱流路AD3に対向するように、指向される(図5図6)。そして、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、第1三方弁V1を介して、1号ポンプP1の吸込口と2号ポンプP2の吸込口に流れる(図5)。一方、第2三方弁V2側においては、1号ポンプP1の吐出口と2号ポンプP2の吐出口とからの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れる(図6)。また、この状態において、ポンプ停止中は、第1三方弁V1の弁体室BC内の流体が、バイパス管22及び逆止弁23を介して、第2三方弁V2の弁体室BCへ流れ、その後、吐出配管4に流れる。
【0039】
給水装置1においては、例えば1号ポンプP1を点検する際等において、1号ポンプP1が停止され、2号ポンプP2のみが運転される。このとき、給水装置1は、図10図11に示すように、1号ポンプP1への流路を閉止した状態にされる。この状態において、三方弁Vの弁体Bは、閉止壁BWが第1弁箱流路AD1に対向し、第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3が、それぞれ、弁箱Aの対向壁AW、第3弁箱流路AD3、及び第2弁箱流路AD2に対向するように、指向される(図11)。第1弁箱流路AD1と弁体室BCとは、閉止壁BWによって互いに非連通状態にされる。そして、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、1号ポンプP1の吸込口には流れずに、第1三方弁V1を介して、2号ポンプP2の吸込口に流れる(図11)。一方、第2三方弁V2側においては、詳細の図示は省略するが、1号ポンプP1の吐出口から流体が流入せずに、2号ポンプP2の吐出口からの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れる。また、この状態において、ポンプ停止中は、第1三方弁V1の弁体室BC内の流体が、バイパス管22及び逆止弁23を介して、第2三方弁V2の弁体室BCへ流れ、その後、吐出配管4に流れる。
給水装置1において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態(図2図5、及び図6)から1号ポンプへの流路を閉止した状態(図10図11)に移行する際には、三方弁Vの弁体Bが、回転軸線O周りに周方向一方側(図の例では、時計回り)に180度回転される。
【0040】
給水装置1においては、例えば2号ポンプP2を点検する際等において、2号ポンプP2が停止され、1号ポンプP1のみが運転される。このとき、給水装置1は、図12図13に示すように、2号ポンプP2への流路を閉止した状態にされる。この状態において、三方弁Vの弁体Bは、閉止壁BWが第3弁箱流路AD3に対向し、第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3が、それぞれ、第2弁箱流路AD2、弁箱Aの対向壁AW、及び第1弁箱流路AD1に対向するように、指向される(図13)。第3弁箱流路AD3と弁体室BCとは、閉止壁BWによって互いに非連通状態にされる。そして、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、2号ポンプP2の吸込口には流れずに、第1三方弁V1を介して、1号ポンプP1の吸込口に流れる(図13)。一方、第2三方弁V2側においては、詳細の図示は省略するが、2号ポンプP2の吐出口から流体が流入せずに、1号ポンプP1の吐出口からの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れる。また、この状態において、ポンプ停止中は、第1三方弁V1の弁体室BC内の流体が、バイパス管22及び逆止弁23を介して、第2三方弁V2の弁体室BCへ流れ、その後、吐出配管4に流れる。
給水装置1において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態(図2図5、及び図6)から2号ポンプへの流路を閉止した状態(図12図13)に移行する際には、三方弁Vの弁体Bが、回転軸線O周りに周方向他方側(図の例では、反時計回り)に90度回転される。
【0041】
図7図9は、三方弁Vの弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態を示している。この状態は、給水装置1において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態(図2図5、及び図6)から、三方弁Vの弁体Bを、回転軸線O周りに周方向一方側(図の例では、時計回り)に90度回転させた状態であり、すなわち、1号ポンプP1への流路を閉止する操作の途中の状態である。この状態においては、三方弁Vの弁体Bの第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3は、それぞれ、第3弁箱流路AD3、第1弁箱流路AD1、及び弁箱Aの対向壁AWに対向する。また、この状態においては、三方弁Vにおいて、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとが、互いに連通状態になる。すなわち、三方弁Vが、疑似的に四方弁となる。よって、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、第1三方弁V1を介して、2号ポンプP2の吸込口に流れることができる(図8)。一方、第2三方弁V2側においては、2号ポンプP2の吐出口からの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れることができる(図9)。また、この状態において、ポンプ停止中は、第1三方弁V1の弁体室BC内の流体が、バイパス管22及び逆止弁23を介して、第2三方弁V2の弁体室BCへ流れ、その後、吐出配管4に流れることができる。
【0042】
仮に、三方弁Vが、従来のように、3つの弁箱流路AD1~AD3のそれぞれを完全に閉止することができるように構成されている場合、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとが、閉止壁BWによって互いに非連通状態となる。そうすると、吸込配管3からの流体が1号ポンプP1及び2号ポンプP2のいずれにも流れ込まず、配管装置2が断水状態となる。すなわち、1号ポンプP1への流路を閉止する操作の途中において、配管装置2が一時的に断水状態となるおそれがある。配管装置2が一時的に断水状態になると、例えば、配管装置2の吐出圧力を検出する圧力センサ(図示せず)によって配管装置2の吐出圧力が所定値未満となったことが検出されて、警報が発せられるおそれや、水撃(ウォーターハンマー)が生じて、給水装置1の配管等が破損するおそれ等がある。
これに対し、本実施形態によれば、三方弁Vは、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとが、互いに連通状態になるようにされており、ひいては、三方弁Vにおける1つの弁箱流路(第2弁箱流路AD2)において弁箱流路(第2弁箱流路AD2)が完全に閉止されるのを防止できる。それにより、1号ポンプP1への流路を閉止する操作の途中において配管装置2が断水状態となるのを防止することができる。よって、警報の発生や水撃の発生を抑制できる。
【0043】
以下、上述した図1図13の例の三方弁V、配管装置2、及び給水装置1に加えて、図14に示す一変形例や、図15に示す他の変形例についても、併せて説明する。図14及び図15の各例は、三方弁Vの構造のみが、図1図13の例とは異なる。図14及び図15の各例は、以下に説明する点を除き、図1図13の例と、同様である。図14及び図15の各例においても、弁体Bは、円筒型に構成されている。
【0044】
図1図15の各例においては、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、弁体Bの閉止壁BWと弁箱Aとの間に、隙間Gが形成される。そして、この状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、この隙間Gを介して、互いに連通状態になる(図8図9図14図15)。
なお、図1図15の各例においては、弁体Bの閉止壁BWを第1弁箱流路AD1に対向させた状態や、弁体Bの閉止壁BWを第3弁箱流路AD3に対向させた状態において、弁体Bの閉止壁BWと弁箱Aとの間に、隙間Gは形成されない(図11図13)。
【0045】
図1図13の例においては、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、第1弁箱流路AD1及び第3弁箱流路AD3のそれぞれの流路断面積よりも、大きい。弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、閉止壁BWにおける第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の投影面積よりも、大きい。これにより、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、弁体Bの閉止壁BWと弁箱Aとの間に、隙間Gが形成されるようにされている(図8図9)。
また、図1図13の例においては、弁体Bの閉止壁BWを第1弁箱流路AD1に対向させた状態において、第1弁箱流路AD1の流路断面積は、閉止壁BWにおける第1弁箱流路AD1の流路軸線方向の投影面積以下(好適には、未満)である。これにより、その状態において、弁体Bの閉止壁BWと弁箱Aとの間に、隙間Gが形成されないようにされている(図11)。
また、図1図13の例においては、弁体Bの閉止壁BWを第3弁箱流路AD3に対向させた状態において、第3弁箱流路AD3の流路断面積は、閉止壁BWにおける第3弁箱流路AD3の流路軸線方向の投影面積以下(好適には、未満)である。これにより、その状態において、弁体Bの閉止壁BWと弁箱Aとの間に、隙間Gが形成されないようにされている(図13)。
なお、第1弁箱流路AD1、第2弁箱流路AD2、及び第3弁箱流路AD3の流路断面積は、それぞれ第1弁箱流路AD1、第2弁箱流路AD2、及び第3弁箱流路AD3における弁箱室AC側の端部での流路断面積を指すものとする。
【0046】
図14の例においては、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、第1弁箱流路AD1及び第3弁箱流路AD3のそれぞれの流路断面積よりも、大きい。弁体Bの閉止壁BWは、外周側壁部BWOと、外周側壁部BWOに対して内周側に位置する、内周側壁部BWIと、を有する。弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、外周側壁部BWOにおける第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の投影面積よりも、大きく、かつ、外周側壁部BWOにおける第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の投影面積は、内周側壁部BWIにおける第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の投影面積よりも、小さい。これにより、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、弁体Bの閉止壁BW(具体的には外周側壁部BWO及び内周側壁部BWI)と弁箱Aとの間に、隙間Gが形成されるようにされている。この状態において、内周側壁部BWIにおける第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の投影面積は、第2弁箱流路AD2の流路断面積以上(図14の例では、超)であってもよいし、あるいは、第2弁箱流路AD2の流路断面積未満であってもよい。
また、図14の例においては、図示は省略するが、弁体Bの閉止壁BWを第1弁箱流路AD1に対向させた状態において、第1弁箱流路AD1の流路断面積は、外周側壁部BWOにおける第1弁箱流路AD1の流路軸線方向の投影面積以下(好適には、未満)である。これにより、その状態において、弁体Bの閉止壁BW(具体的には、外周側壁部BWO)と弁箱Aとの間に、隙間Gが形成されないようにされている。
また、図14の例においては、図示は省略するが、弁体Bの閉止壁BWを第3弁箱流路AD3に対向させた状態において、第3弁箱流路AD3の流路断面積は、外周側壁部BWOにおける第3弁箱流路AD3の流路軸線方向の投影面積以下(好適には、未満)である。これにより、その状態において、弁体Bの閉止壁BW(具体的には、外周側壁部BWO)と弁箱Aとの間に、隙間Gが形成されないようにされている。
ここで、「内周側」とは、回転軸線Oに近い側を指しており、「外周側」とは、回転軸線Oから遠い側を指している。
【0047】
図15の例においては、弁箱Aが、対向壁AWと第2弁箱口AE2とを連結する連結壁AKを有している。連結壁AKと対向壁AWのうち少なくとも連結壁AKに連続する部分とは、弁体Bから外周側に離れて位置している。これにより、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、弁体Bの閉止壁BWと弁箱A(図15の例では、連結壁AK)との間に、隙間Gが形成されるようにされている。
図15の例では、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、閉止壁BWにおける第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の投影面積以下(具体的には、未満)である。ただし、この状態において、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、閉止壁BWにおける第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の投影面積よりも大きくてもよい。
図15の例では、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、第1弁箱流路AD1及び第3弁箱流路AD3のそれぞれの流路断面積と、同じである。ただし、第2弁箱流路AD2の流路断面積は、第1弁箱流路AD1及び第3弁箱流路AD3のそれぞれの流路断面積よりも大きくてもよい。
【0048】
第1実施形態では、上述のように、バイパス管22が、第1三方弁V1と第2三方弁V2との間に接続されている。これにより、例えば後述の第2実施形態(図16図17)のようにバイパス管22が2つの延長管24どうしの間に接続されている場合等に比べて、バイパス管22をコンパクト化でき、ひいては、配管装置2のコンパクト化や低コスト化が可能になる。
【0049】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係る三方弁V、配管装置2、及び給水装置1について、図16図26を参照しつつ、説明する。第2実施形態は、配管装置2において、三方弁Vが円筒型ではなくボール型である点と、バイパス管22及び逆止弁23が、2つの三方弁Vどうしの間ではなく、2つの延長管24どうしの間に接続されている点のみが、第1実施形態と異なる。給水装置1のうち配管装置2以外の部分については、第1実施形態で説明したものと同じでよい。
なお、第1実施形態と同様に、第1三方弁V1及び第2三方弁V2どうしは、構造が実質的に同じであり、接続先の流路が異なるのみである。以下において、三方弁Vについて説明する場合には、特に断りが無い限り、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれについて説明しているものとする。
【0050】
図17図21に示すように、三方弁Vは、第1実施形態と同様に、弁箱Aと、弁体Bと、を備えている。
【0051】
図20図21に示すように、第1実施形態と同様に、弁箱Aは、弁箱室ACを内部に区画している。弁箱室ACは、弁箱Aの弁箱本体部AMによって区画されている。弁箱Aは、第1弁箱流路AD1を区画する第1弁箱口AE1と、第2弁箱流路AD2を区画する第2弁箱口AE2と、第3弁箱流路AD3を区画する第3弁箱口AE3と、を有している。第1弁箱口AE1と第2弁箱口AE2と第3弁箱口AE3とは、それぞれ弁箱本体部AMに連結している。第1弁箱流路AD1と第2弁箱流路AD2と第3弁箱流路AD3とは、それぞれ、弁箱室ACに連通している。第2弁箱流路AD2及び第3弁箱流路AD3は、第1弁箱流路AD1の流路軸線に直交する方向において互いに対向している。弁箱Aの第1弁箱口AE1と第2弁箱口AE2と第3弁箱口AE3とは、回転軸線Oを中心とする周方向に沿って配列されている。
【0052】
図20図21に示すように、第1実施形態とは異なり、弁箱Aの弁箱本体部AMは、弁箱室ACを介して第1弁箱流路AD1と対向する弁蓋ALを有している。弁蓋ALは、弁箱本体部AMの他の部分に対して脱着可能に構成されている。
弁蓋ALは、弁蓋流路ALPを区画している。
【0053】
図20図21に示すように、第1実施形態と同様に、弁体Bは、弁箱室ACの内部に配置されている。弁体Bは、回転軸線Oの周りに回転可能に構成されている。弁体Bは、ハンドル21の操作によって回転される。弁体Bは、弁体室BCを内部に区画している。弁体Bは、第1開口BF1と、第2開口BF2と、第3開口BF3と、閉止壁BWと、を有している。第1開口BF1と第2開口BF2と第3開口BF3とは、それぞれ弁体室BCに連通している。第2開口BF2及び第3開口BF3は、第1開口BF1の中心軸線に直交する方向において互いに対向している。閉止壁BWは、弁体室BCを介して第1開口BF1と対向している。弁体Bの第1開口BF1と第2開口BF2と第3開口BF3と閉止壁BWとは、回転軸線Oを中心とする周方向に沿って配列されている。
【0054】
本実施形態においては、上述のとおり、第1実施形態とは異なり、三方弁Vの弁体Bがボール型である。三方弁Vの弁箱Aの弁箱本体部AMは、円筒型に構成されている(図17)。弁箱本体部AMのなす円筒形状の中心軸線は、第1弁箱口AE1の中心軸線と一致する。ただし、本実施形態において、弁箱本体部AMの形状は、このような円筒型に限られず、任意でよい。
【0055】
配管装置2は、第1弁棒BS1及び第2弁棒BS2を有している(図18図19)。第1弁棒BS1は、第1三方弁V1の弁体Bに連結されている。第2弁棒BS2は、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁体Bどうしを連結している。第1三方弁V1及び第2三方弁V1のそれぞれの弁体室BCどうしは連通されていない。第1弁棒BS1及び第2弁棒BS2の中心軸線は、それぞれ回転軸線Oと一致する。第1弁棒BS1には、ハンドル21が取り付けられており、ハンドル21の操作によって第1弁棒BS1を回転軸線O周りに回転させ、ひいては、弁体B及び第2弁棒BS2を回転軸線O周りに回転させることができるようにされている。
【0056】
図20図21に示すように、三方弁Vは、第1弁座S1を有している。第1弁座S1は、弁体Bを第1弁箱流路AD1側から回転可能に支持する。第1弁座S1は、環状に構成されており、第1弁箱口AE1と同軸に、第1弁箱口AE1に取り付けられている。第1弁座S1は、弁体Bと第1弁箱口AE1との間を、流体密に封止している。第1弁座S1は、弾性材料(ゴム、樹脂等)から構成されると好適であり、例えばパッキンからなる。
三方弁Vは、第1支持部材M1と、第2弁座S2と、を有している。第1支持部材M1は、円筒状に構成されており、第3弁箱口AE3と同軸に、第3弁箱口AE3の内周側に設けられている。第2弁座S2は、弁体Bを第3弁箱流路AD3側から回転可能に支持する。第2弁座S2は、環状に構成されており、第3弁箱口AE3及び第1支持部材M1と同軸に、第1支持部材M1に取り付けられている(すなわち、第1支持部材M1によって支持されている)。第2弁座S2は、弁体Bと第1支持部材M1との間を、流体密に封止している。第2弁座S2は、弾性材料(ゴム、樹脂等)から構成されると好適であり、例えばパッキンからなる。
三方弁Vは、第3弁座S3を有している。第3弁座S3は、弁体Bを弁蓋AL側から回転可能に支持する。第3弁座S3は、環状に構成されており、弁蓋ALに取り付けられている。第3弁座S3は、弁体Bと弁蓋ALとの間を、流体密に封止している。第3弁座S3は、弾性材料(ゴム、樹脂等)から構成されると好適であり、例えばパッキンからなる。第3弁座S3の中心穴は、弁蓋流路ALPと連通している。
【0057】
第1実施形態と同様に、第1三方弁V1において、第1弁箱口AE1は、1号ポンプP1の吸込口に接続され、第2弁箱口AE2は、吸込配管3に接続され、第3弁箱口AE3は、2号ポンプP2の吸込口に接続される(図20)。第1三方弁V1の第3弁箱口AE3は、延長管24を介して、2号ポンプP2の吸込口に接続される。
第1実施形態と同様に、第2三方弁V2において、第1弁箱口AE1は、1号ポンプP1の吐出口に接続され、第2弁箱口AE2は、吐出配管4に接続され、第3弁箱口AE3は、2号ポンプP2の吐出口に接続される(図21)。第2三方弁V2の第3弁箱口AE3は、延長管24を介して、2号ポンプP2の吐出口に接続される。
【0058】
図17に示すように、第1実施形態と同様に、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aは、それぞれの第1弁箱口AE1どうし、それぞれの第2弁箱口AE2どうし、かつ、それぞれの第3弁箱口AE3どうしが、それぞれ同じ方向を向くとともに回転軸線方向に沿って配列されるように指向される。
三方弁Vは、第1弁箱口AE1が上側を向き、第2弁箱口AE2及び第3弁箱口AE3が水平方向において互いに反対側を向くように、指向される。
第1三方弁V1の第3弁箱口AE3と2号ポンプP2の吸込口との間に接続された延長管24は、2号ポンプP2の吸込口側の接続口が、上側を向いている。
第2三方弁V2の第3弁箱口AE3と2号ポンプP2の吐出口との間に接続された延長管24は、2号ポンプP2の吐出口側の接続口が、上側を向いている。
第3弁箱口AE3と延長管24とは、別体に構成されて、互いに接続されている。ただし、第3弁箱口AE3と延長管24とは、互いに一体に構成されてもよい。
第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aは、互いに別体に構成されて、互いに接続されている。ただし、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aは、互いに一体に構成されてもよい。
【0059】
図19に示すように、第1実施形態と同様に、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁体Bは、互いに連結されており、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁箱Aに対して、回転軸線Oの周りに同時に回転されるように構成されている。
第1実施形態と同様に、第1三方弁V1及び第2三方弁V2のそれぞれの弁体Bは、それぞれの第1開口BF1どうし、それぞれの第2開口BF2どうし、それぞれの第3開口BF3どうし、かつ、それぞれの閉止壁BWどうしが、それぞれ回転軸線方向に沿って配列されるように指向される。
【0060】
図16図17に示すように、2つの延長管24は、バイパス管22を介して互いに連結されている。バイパス管22の内周側には、逆止弁23が収容されている。逆止弁23は、第1三方弁V1に接続された延長管24から第2三方弁V2に接続された延長管24への流体の流れのみを許容し、その逆の流体の流れを阻止するように構成されている。
【0061】
図16図20、及び図21は、1号ポンプP1及び2号ポンプP2への流路を開放した状態を示している。この状態において、三方弁Vの弁体Bは、閉止壁BWが弁箱Aの弁蓋ALに対向し、第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3が、それぞれ、第1弁箱流路AD1、第2弁箱流路AD2、及び第3弁箱流路AD3に対向するように、指向される(図20図21)。そして、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、第1三方弁V1を介して、1号ポンプP1の吸込口と2号ポンプP2の吸込口に流れる(図20)。一方、第2三方弁V2側においては、1号ポンプP1の吐出口と2号ポンプP2の吐出口とからの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れる(図21)。また、この状態において、ポンプ停止中は、第1三方弁V1に接続された延長管24内の流体が、バイパス管22及び逆止弁23を介して、第2三方弁V2に接続された延長管24へ流れ、その後、第2三方弁V2、さらには、吐出配管4に流れる。
【0062】
図25は、1号ポンプP1への流路を閉止した状態を示している。詳細の図示は省略するが、この状態において、三方弁Vの弁体Bは、閉止壁BWが第1弁箱流路AD1に対向し、第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3が、それぞれ、弁箱Aの弁蓋AL、第3弁箱流路AD3、及び第2弁箱流路AD2に対向するように、指向される。第1弁箱流路AD1と弁体室BCとは、閉止壁BWによって互いに非連通状態にされる。そして、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、1号ポンプP1の吸込口には流れずに、第1三方弁V1を介して、2号ポンプP2の吸込口に流れる。一方、第2三方弁V2側においては、1号ポンプP1の吐出口から流体が流入せずに、2号ポンプP2の吐出口からの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れる。また、この状態において、ポンプ停止中は、第1三方弁V1に接続された延長管24内の流体が、バイパス管22及び逆止弁23を介して、第2三方弁V2に接続された延長管24へ流れ、その後、第2三方弁V2、さらには、吐出配管4に流れる。
給水装置1において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態(図16図20、及び図21)から1号ポンプへの流路を閉止した状態(図25)に移行する際には、三方弁Vの弁体Bが、回転軸線O周りに周方向一方側(図の例では、時計回り)に180度回転される。
【0063】
図26は、2号ポンプP2への流路を閉止した状態を示している。詳細の図示は省略するが、この状態において、三方弁Vの弁体Bは、閉止壁BWが第3弁箱流路AD3に対向し、第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3が、それぞれ、第2弁箱流路AD2、弁箱Aの弁蓋AL、及び第1弁箱流路AD1に対向するように、指向される。第3弁箱流路AD3と弁体室BCとは、閉止壁BWによって互いに非連通状態にされる。そして、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、2号ポンプP2の吸込口には流れずに、第1三方弁V1を介して、1号ポンプP1の吸込口に流れる。一方、第2三方弁V2側においては、2号ポンプP2の吐出口から流体が流入せずに、1号ポンプP1の吐出口からの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れる。バイパス管22及び逆止弁23には、流体が流れない。
給水装置1において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態(図16図20、及び図21)から2号ポンプへの流路を閉止した状態(図26)に移行する際には、三方弁Vの弁体Bが、回転軸線O周りに周方向他方側(図の例では、反時計回り)に90度回転される。
【0064】
図22図24は、三方弁Vの弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態を示している。この状態は、給水装置1において、1号ポンプ及び2号ポンプへの流路を開放した状態(図16図20、及び図21)から、三方弁Vの弁体Bを、回転軸線O周りに周方向一方側(図の例では、時計回り)に90度回転させた状態であり、すなわち、1号ポンプP1への流路を閉止する操作の途中の状態である。この状態においては、三方弁Vの弁体Bの第1開口BF1、第2開口BF2、及び第3開口BF3は、それぞれ、第3弁箱流路AD3、第1弁箱流路AD1、及び弁箱Aの弁蓋ALに対向する。また、この状態においては、三方弁Vにおいて、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとが、互いに連通状態になる。すなわち、三方弁Vが、疑似的に四方弁となる。よって、第1三方弁V1側においては、吸込配管3からの流体が、第1三方弁V1を介して、2号ポンプP2の吸込口に流れることができる(図23)。一方、第2三方弁V2側においては、2号ポンプP2の吐出口からの流体が、第2三方弁V2を介して、吐出配管4に流れることができる(図24)。また、この状態において、ポンプ停止中は、第1三方弁V1に接続された延長管24内の流体が、バイパス管22及び逆止弁23を介して、第2三方弁V2に接続された延長管24へ流れ、その後、第2三方弁V2、さらには、吐出配管4に流れる。
【0065】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、三方弁Vは、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとが、互いに連通状態になるようにされており、ひいては、三方弁Vにおける1つの弁箱流路(第2弁箱流路AD2)において弁箱流路(第2弁箱流路AD2)が完全に閉止されるのを防止できる。それにより、1号ポンプP1への流路を閉止する操作の途中において配管装置2が断水状態となるのを防止することができる。よって、警報の発生や水撃の発生を抑制できる。
【0066】
以下、上述した図16図26の例の三方弁V、配管装置2、及び給水装置1に加えて、図27図28に示す一変形例や、図29図30に示す他の変形例についても、併せて説明する。図27図30の各例は、三方弁Vの構造のみが、図16図26の例とは異なる。図27図30の各例は、以下に説明する点を除き、図16図26の例と、同様である。図27図30の各例においても、弁体Bは、ボール型に構成されている。
【0067】
図16図30の各例においては、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、弁蓋ALの弁蓋流路ALPを介して、互いに連通状態になる(図23図24図27図30)。具体的に、この状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、弁蓋ALの弁蓋流路ALPと第3弁座S3の中心穴と弁体Bの第3開口BF3とを介して、互いに連通状態になる。
【0068】
図27図28の例においては、弁体Bは、1つ又は複数の弁体貫通穴BHをさらに有している。弁体貫通穴BHは、弁体Bを貫通している。弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、当該1つ又は複数の弁体貫通穴BHを介して、互いに連通状態になる。具体的に、この状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、当該1つ又は複数の弁体貫通穴BHと、弁体B及び弁箱本体部AMどうしの間の隙間と、を介して、互いに連通状態になる。
弁体貫通穴BHは、弁体Bにおける回転軸線方向の少なくとも一方側の部分に形成されていると好適である。図27図28の例では、弁体貫通穴BHは、弁体Bにおける回転軸線方向の第2弁棒BS2側の部分に、形成されている。
図27図28の例では、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、弁蓋ALの弁蓋流路ALPを介して互いに連通状態になることに加えて、当該1つ又は複数の弁体貫通穴BHを介して互いに連通状態になるので、図16図26の例に比べて、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとの間を流れる流体の流量を向上できる。
ただし、図27図28の例では、弁蓋ALが弁蓋流路ALPを区画していなくてもよく、言い換えれば、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、弁蓋ALの弁蓋流路ALPを介して互いに連通状態になるようにされていなくてもよい。
【0069】
図29図30の例においては、三方弁Vは、第2支持部材(支持部材)M2と、第4弁座(弁座)S4(図30)と、を有している。第2支持部材M2は、円筒状に構成されており、第2弁箱口AE2と同軸に、第2弁箱口AE2の内周側に設けられている。第4弁座S4は、弁体Bを第2弁箱流路AD2側から回転可能に支持する。第4弁座S4は、環状に構成されており、第2弁箱口AE2及び第2支持部材M2と同軸に、第2支持部材M2に取り付けられている(すなわち、第2支持部材M2によって支持されている)。第4弁座S4は、弁体Bと第2支持部材M2との間を、流体密に封止している。第4弁座S4は、弾性材料(ゴム、樹脂等)から構成されると好適であり、例えばパッキンからなる。
第2支持部材M2の周壁は、1つ又は複数の支持部材貫通穴MHを有している。支持部材貫通穴MHは、第2支持部材M2の周壁を貫通している。弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、当該1つ又は複数の支持部材貫通穴MHを介して、互いに連通状態になる。具体的に、この状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、当該1つ又は複数の支持部材貫通穴MHと、弁蓋ALの弁蓋流路ALPと、第3弁座S3の中心穴と、弁体Bの第3開口BF3と、を介して、互いに連通状態になる。
図29図30の例では、支持部材貫通穴MHによって第2弁箱流路AD2と弁体室BCとの連通を可能にしつつ、第4弁座S4によって弁体Bを第2弁箱流路AD2側から支持するようにしたので、第2弁座S2及び第4弁座S4によって弁体Bが第2弁箱流路AD2の流路軸線方向の両側から支持されることなり、弁体Bがより安定的に支持される。
なお、図29図30の例では、弁体Bは、図27図28の例のように、1つ又は複数の弁体貫通穴BHをさらに有していてもよい。その場合、弁体Bの閉止壁BWを第2弁箱流路AD2に対向させた状態において、第2弁箱流路AD2と弁体室BCとは、当該1つ又は複数の支持部材貫通穴MHと、弁蓋ALの弁蓋流路ALPと、第3弁座S3の中心穴と、弁体Bの第3開口BF3と、を介して、互いに連通状態になることに代えて又は加えて、当該1つ又は複数の支持部材貫通穴MHと、当該1つ又は複数の弁体貫通穴BHと、弁体B及び弁箱本体部AMどうしの間の隙間と、を介して、互いに連通状態になってもよい。
【0070】
第2実施形態では、上述のように、バイパス管22が、2つの延長管24どうしの間に接続されており、ひいては、三方弁Vと2号ポンプP2との間に配置されている(図16)。これにより、バイパス管22の内周側に配置された逆止弁23を交換する際には、図26に示すように、2号ポンプP2への流路を閉止し、かつ、1号ポンプP1への流路を開放した状態にすればよいので、配管装置2を断水状態にする必要なしに、逆止弁23の交換が可能になる。なお、第1実施形態では、バイパス管22が第1三方弁V1と第2三方弁V2との間に接続されているため(図2)、バイパス管22の内周側に配置された逆止弁23を交換する際には、配管装置2を断水状態にする必要があり、配管装置2を断水状態にするためには、別途バルブを例えば配管装置2の上流側等に設ける必要がある。
また、第2実施形態では、バイパス管22が、2つの延長管24どうしの間に接続されており、ひいては、三方弁Vと2号ポンプP2との間に配置されていることにより、もともと必要となる1号ポンプP1及び2号ポンプP2の吸込口どうしの間隔や吐出口どうしの間隔を利用して、バイパス管22を配置することができるので、バイパス管22のために別途スペースを確保する必要がなく、その分、配管装置2のコンパクト化や低コスト化が可能となる。
【0071】
本発明の三方弁、配管装置、及び、給水装置は、上述したものに限られず、様々な変形例が可能である。
例えば、第1三方弁V1と第2三方弁V2とは、同時に回転されるように構成されていなくてもよく、互いに独立して回転されるように構成されてもよい。
また、三方弁Vや配管装置2は、図1図2を参照しつつ説明した給水装置1とは異なる構成の給水装置1に用いられてもよいし、あるいは、給水装置1以外の用途に用いられてもよい。
また、三方弁Vの各弁箱口AE1~AE3は、それぞれ任意の流路に接続されてよい。
また、三方弁Vは、第1弁箱口AE1が上側以外の任意の方向を向くように、指向されてもよい。
また、三方弁Vは、第2弁箱流路AD2において弁箱流路(第2弁箱流路AD2)が完全に閉止されるのを防止できるように構成されていることに加えて、第1弁箱流路AD1又は第3弁箱流路AD3において弁箱流路(第1弁箱流路AD1又は第3弁箱流路AD3)が完全に閉止されるのを防止できるように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の三方弁及び配管装置は、任意の流体に利用することができるが、液体、特には水に利用すると好適である。また、本発明の三方弁及び配管装置は、任意の用途に利用することができるが、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するための給水装置に、好適に利用することができる。
本発明の給水装置は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 給水装置
2 配管装置
V 三方弁
V1 第1三方弁
V2 第2三方弁
A 弁箱
AC 弁箱室
AD1 第1弁箱流路(弁箱流路)
AD2 第2弁箱流路(弁箱流路)
AD3 第3弁箱流路(弁箱流路)
AE1 第1弁箱口
AE2 第2弁箱口
AE3 第3弁箱口
AM 弁箱本体部
AW 対向壁
AJ 端壁
AK 連結壁
AL 弁蓋
ALP 弁蓋流路
B 弁体
BC 弁体室
BF1 第1開口
BF2 第2開口
BF3 第3開口
BW 閉止壁
BWO 外周側壁部
BWI 内周側壁部
BH 弁体貫通穴
BS 弁棒
BS1 第1弁棒(弁棒)
BS2 第2弁棒(弁棒)
M1 第1支持部材(支持部材)
M2 第2支持部材(支持部材)
MH 支持部材貫通穴
S1 第1弁座(弁座)
S2 第2弁座(弁座)
S3 第3弁座(弁座)
S4 第4弁座(弁座)
G 隙間
O 回転軸線
21 ハンドル
22 バイパス管
23 逆止弁
24 延長管
3 吸込配管
4 吐出配管
5 逆流防止器
6 仕切弁
7 圧力タンク
8 キャビネット
P1 1号ポンプ
P2 2号ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
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図28
図29
図30