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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071672
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】天板付き什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20220509BHJP
   A47B 9/00 20060101ALI20220509BHJP
   A47B 13/02 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A47B13/00 A
A47B9/00 Z
A47B13/02
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180753
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】富樫 駿輔
(72)【発明者】
【氏名】関川 秀峰
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NB00
3B053NM02
3B053NP02
3B053NQ04
3B053NR00
3B053NR01
(57)【要約】
【課題】傾動天板の傾動前後の使用感を損なわず、且つ、安全性も損なわない天板付き什器を提供する。
【解決手段】天板付き什器1によれば、幅方向に離間すると共に高さ方向に伸縮可能な一対の伸縮脚2と、一対の伸縮脚2の上端部2aに支持された支持構造体3と、支持構造体3に対し、幅方向に延びる軸回りに傾動可能に取り付けられた傾動天板4Bと、を備え、支持構造体3は、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に位置する手前側延出領域3Aに配置されて、傾動天板4Bの奥行方向における中間部または該中間部より手前側を傾動可能に軸支する枢軸33eを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に離間すると共に高さ方向に伸縮可能な一対の伸縮脚と、
前記一対の伸縮脚の上端部に支持された支持構造体と、
前記支持構造体に対し、幅方向に延びる軸回りに傾動可能に取り付けられた傾動天板と、を備え、
前記支持構造体は、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に位置する手前側延出領域に配置されて、前記傾動天板の奥行方向における中間部または該中間部より手前側を傾動可能に軸支する枢軸を備える、ことを特徴とする天板付き什器。
【請求項2】
前記支持構造体は、前記一対の伸縮脚のそれぞれの上端部に支持され、前記奥行方向に延出する天板支持部材を備え、
前記手前側延出領域は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の天板付き什器。
【請求項3】
前記支持構造体は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分同士を連結する連結部材を備え、
前記手前側延出領域は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分と、前記連結部材と、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の天板付き什器。
【請求項4】
前記支持構造体は、前記連結部材から奥行方向の手前側に延出するアーム本体及び前記枢軸を介して前記アーム本体に傾動可能に支持されると共に前記傾動天板に固定されたアーム先端を有するアーム部を備え、
前記手前側延出領域は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分と、前記連結部材と、前記アーム部と、を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の天板付き什器。
【請求項5】
前記支持構造体は、前記手前側延出領域以外の領域において、前記一対の伸縮脚のそれぞれの上端部に支持された天板支持部材同士を連結する第2の連結部材を備える、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の天板付き什器。
【請求項6】
前記一対の伸縮脚は、床面に接地する共に、奥行方向に延在する接地部を備え、
前記接地部は、奥行方向において前記枢軸よりも手前側に位置する第1端部を備える、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の天板付き什器。
【請求項7】
前記接地部は、奥行方向において前記傾動天板よりも奥側に位置する第2端部を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の天板付き什器。
【請求項8】
前記一対の伸縮脚は、床面に接地する共に、奥行方向に延在する接地部を備え、
前記接地部は、奥行方向において前記傾動天板よりも奥側に位置する第2端部を備える、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の天板付き什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板付き什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、主脚の上端に伸縮自在に嵌挿した伸縮脚の上端部に回転不能に貫通した締着ボールトに、発条を介して嵌挿した抱持片に天板の下面に固定した支片を嵌合し、締着ボールトに螺合した締着ナットによって締着けるようにして成る二脚型作業用テーブル等の天板調整装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51-149303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記天板調整装置は、伸縮脚の上端部において、天板の奥行方向の中間部を傾動可能に軸支している。この天板を傾動させると、奥行方向奥側の端部が上側に変位すると共に、同じ変位量で奥行方向手前側の端部が下側に変位する。例えば、天板の奥行方向手前側でノートパソコンなどを載置して作業をしていた場合、天板を傾動させた後は、キーのタッチ位置が下がって使用感が変わることがあり、伸縮脚を伸長させるなどして天板の高さを再度調整する必要があった。
【0005】
また、天板の奥行方向手前側は、使用者が手を置くなどして、天板の面直方向に大きな荷重が入力される。したがって、使用者は、天板のガタツキを感じやすくなる。一方で、天板の奥行方向手前側のガタツキを少なくするため(使用者の手から受ける天板の曲げモーメントを小さくするため)、伸縮脚の上端部から天板の奥行方向手前側を短くすることが考えられる。そうすると、天板の奥行方向手前側に対して奥行方向奥側が相対的に長くなることとなり、天板の重心が、伸縮脚の上端部から奥行方向奥側に移動し、什器全体が奥行方向奥側に倒伏する虞があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、傾動天板の傾動前後の使用感を損なわず、且つ、安全性も損なわない天板付き什器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る天板付き什器は、幅方向に離間すると共に高さ方向に伸縮可能な一対の伸縮脚と、前記一対の伸縮脚の上端部に支持された支持構造体と、前記支持構造体に対し、幅方向に延びる軸回りに傾動可能に取り付けられた傾動天板と、を備え、前記支持構造体は、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に位置する手前側延出領域に配置されて、前記傾動天板の奥行方向における中間部または該中間部より手前側を傾動可能に軸支する枢軸を備える。
【0008】
本態様によれば、枢軸が、傾動天板に対しては奥行方向の中間部か、または中間部よりも手前を軸支するので、傾動天板の手前側の変位量を、奥側の変位量以下に抑えることができる。また、枢軸に対し傾動天板の奥行方向の奥側が手前側に対して相対的に長くなったとしても、枢軸が一対の伸縮脚よりも手前側に配置されるため、その分、天板の重心が一対の伸縮脚に対し奥行方向の奥側に移動することを抑制できる。このため、傾動天板を傾動させた後に、例えばノートパソコンのキーのタッチ位置が下がるなどの使用感が変わることを抑制でき、また、傾動天板に荷重が入力されても、傾動天板のガタツキが生じたり、天板付き什器が倒伏することを抑制できる。
【0009】
上記一態様の天板付き什器において、前記支持構造体は、前記一対の伸縮脚のそれぞれの上端部に支持され、前記奥行方向に延出する天板支持部材を備え、前記手前側延出領域は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分を含んでもよい。
本態様によれば、天板支持部材の奥行方向の長さを適宜設定することによって、手前側延出領域の奥行方向の範囲を適宜設定できるので、枢軸を配置する位置に関する設計自由度を高められる。
【0010】
上記一態様の天板付き什器において、前記支持構造体は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分同士を連結する連結部材を備え、前記手前側延出領域は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分と、前記連結部材と、を含んでもよい。
本態様によれば、手前側延出領域において天板支持部材同士が連結部材によって連結されることにより、支持構造体自体の堅牢性が増す。したがって、手前側延出領域において傾動天板を堅牢に支持できる。
【0011】
上記一態様の天板付き什器において、前記支持構造体は、前記連結部材から奥行方向の手前側に延出するアーム本体及び前記枢軸を介して前記アーム本体に傾動可能に支持されると共に前記傾動天板に固定されたアーム先端を有するアーム部を備え、前記手前側延出領域は、前記天板支持部材における、前記一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に延出する部分と、前記連結部材と、前記アーム部と、を含んでもよい。
本態様によれば、一対の伸縮脚よりも奥行方向の手前側に位置する枢軸によって軸支された傾動天板を、奥行方向の手前側に延出するアーム部によって堅牢に支持することができる。
【0012】
上記一態様の天板付き什器において、前記支持構造体は、前記手前側延出領域以外の領域において、前記一対の伸縮脚のそれぞれの上端部に支持された天板支持部材同士を連結する第2の連結部材を備えてもよい。
本態様によれば、手前側延出領域以外において天板支持部材同士が第2の連結部材によって連結されることにより、支持構造体自体の堅牢性がさらに増す。したがって、傾動天板を堅牢に支持できる。
【0013】
上記一態様の天板付き什器において、前記一対の伸縮脚は、床面に接地する共に、奥行方向に延在する接地部を備え、前記接地部は、奥行方向において前記枢軸よりも手前側に位置する第1端部を備えてもよい。
本態様によれば、傾動天板に使用者が手を置くなどして、枢軸に大きな荷重が入力されても、当該枢軸に対し、接地部の第1端部が奥行方向の手前側に位置するので、その荷重に起因して天板付き什器が奥行方向の手前側に倒伏することを抑制できる。
【0014】
上記一態様の天板付き什器において、前記接地部は、奥行方向において前記傾動天板よりも奥側に位置する第2端部を備えてもよい。
本態様によれば、傾動天板の奥行方向の奥側に、接地部の第2端部に位置するので、傾動天板の奥行方向の奥側を長くしても、天板付き什器が奥行方向の奥側に倒伏することを抑制できる。
【0015】
上記一態様の天板付き什器において、前記一対の伸縮脚は、床面に接地する共に、奥行方向に延在する接地部を備え、前記接地部は、奥行方向において前記傾動天板よりも奥側に位置する第2端部を備えてもよい。
本態様によれば、傾動天板の奥行方向の奥側に、接地部の第2端部に位置するので、傾動天板の奥行方向の奥側を長くしても、天板付き什器が奥行方向の奥側に倒伏することを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、傾動天板の傾動前後の使用感を損なわず、且つ、安全性も損なわない天板付き什器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る天板付き什器の斜視図である。
図2】一実施形態に係る傾動天板が傾動した状態の天板付き什器の斜視図である。
図3】一実施形態に係る天板付き什器の分解斜視図である。
図4】一実施形態に係る天板付き什器の正面図である。
図5】一実施形態に係る天板付き什器の底面図である。
図6】一実施形態に係る天板付き什器の左側面図である。
図7図5に示すVII-VII断面図である。
図8】一実施形態の一変形例に係る天板付き什器の側断面図である。
図9】一実施形態の一変形例に係る天板付き什器の底面側斜視図である。
図10】一実施形態の一変形例に係る天板付き什器の底面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る天板付き什器1の斜視図である。
図1に示す天板付き什器1は、一対の伸縮脚2と、支持構造体3と、天板4と、を備えている。天板4は、支持構造体3に対して傾動不能な固定天板4Aと、支持構造体3に対して傾動可能な傾動天板4Bと、を備えている。
【0019】
一対の伸縮脚2は、互いに離間している。以下、一対の伸縮脚2が離間する方向を幅方向(矢印LHが左側)と称する。また、一対の伸縮脚2が伸縮する方向を高さ方向(矢印UPが上側)と称する。また、幅方向及び高さ方向と直交する方向を奥行方向(矢印FRが手前側)と称する。
【0020】
一対の伸縮脚2は、高さ方向に伸縮可能な構成となっている。一対の伸縮脚2は、複数の筒体が入れ子状(テレスコピック状)になっており、内部に伸縮機構(例えば、シリンダ機構、ラックピニオン機構、ボールねじ機構等)を収容している。一対の伸縮脚2の下端部には、接地部21が設けられている。
【0021】
接地部21は、伸縮脚2の下端部から奥行方向の両側に延びている。接地部21は、伸縮脚2に対して奥行方向の手前側の床面に接地する第1端部21aと、伸縮脚2に対して奥行方向の奥側の床面に接地する第2端部21bと、を有している。第1端部21a及び第2端部21bは、図示しないねじによって高さを調節可能なアジャスター付きパッドとなっている。
【0022】
一対の伸縮脚2の上端部2aには、支持構造体3が支持されている。支持構造体3には、固定天板4Aと、傾動天板4Bと、が支持されている。固定天板4Aは、傾動天板4Bに対し隙間をあけて、傾動天板4Bより奥行方向の奥側に配置された第1部分41と、第1部分41から奥行方向の手前側に延出し、傾動天板4Bに対し隙間をあけて、傾動天板4Bの幅方向の一方側(右側)に配置された第2部分42と、を備えている。
【0023】
天板4は、固定天板4A及び傾動天板4Bを含め、全体として幅方向に延びる平面視矩形状に形成されている。傾動天板4Bは、平面視矩形状に形成されると共に、天板4における奥行方向の手前側、且つ、幅方向の他方側(左側)に配置されている。固定天板4Aは、傾動天板4Bの奥行方向の奥側及び幅方向の右側を囲うように、平面視L字状に形成されている。
【0024】
傾動天板4Bには、例えば、ノートパソコンなどを載置することができる。固定天板4Aの第1部分41には、例えば、照明器具などを載置することができる。また、固定天板4Aの第2部分42には、例えば、飲み物やメモ帳、筆記具、携帯電話などを載置することができる。
【0025】
図2は、一実施形態に係る傾動天板4Bが傾動した状態の天板付き什器1の斜視図である。
図2に示すように、天板付き什器1は、傾動天板4Bのみが部分的に傾動するため、固定天板4Aに飲み物や照明器具等の物品を載置した場合、傾動天板4Bの傾動に合わせて、固定天板4Aに載置した物品を載置し直す必要はない。
【0026】
図3は、一実施形態に係る天板付き什器1の分解斜視図である。図4は、一実施形態に係る天板付き什器1の正面図である。図5は、一実施形態に係る天板付き什器1の底面図である。図6は、一実施形態に係る天板付き什器1の左側面図である。図7は、図5に示すVII-VII断面図である。
図3に示すように、支持構造体3は、固定天板4Aが傾動不能に取り付けられた第1支持部30Aと、傾動天板4Bが傾動可能に取り付けられた第2支持部30Bと、を備えている。
【0027】
支持構造体3は、平面視で矩形の枠状に形成されている。支持構造体3は、一対の伸縮脚2のそれぞれの上端部2aに設けられた天板支持部材31、及び、天板支持部材31の間を連結する連結部材32を含んでいる。天板支持部材31は、奥行方向に延びると共に、幅方向の間隔をあけて一対で設けられている。連結部材32は、幅方向に延びる共に、奥行方向に間隔をあけて一対で設けられている。
【0028】
天板支持部材31は、伸縮脚2の上端部2aに対して奥行方向の両側に延びている。連結部材32は、一対の天板支持部材31の奥行方向の手前側の端部同士を幅方向に接続すると共に、一対の天板支持部材31の奥行方向の奥側の端部同士を幅方向に接続している。つまり、天板支持部材31(第1支持部30A)が伸縮脚2から奥行方向の両側に延びて、連結部材32は各天板支持部材31において奥行方向の同じ位置に連結されている。
【0029】
天板支持部材31は、伸縮脚2の上端部2aの直上に配置された下部31aと、下部31aの幅方向の内側の領域に平面視で重なると共に、奥行方向の両側に延びた上部31bと、を備えている。下部31a及び上部31bにおける伸縮脚2の上端部2aと平面視で重なる領域には、伸縮脚2の上端部2aに固定するための複数の第1固定孔31cが形成されている。
【0030】
天板支持部材31の上部31bの奥行方向の両側の端部には、固定天板4Aを固定するための一対の第2固定孔31dが形成されている。第2固定孔31dには、固定天板4Aが傾動不能に取り付けられる。つまり、天板支持部材31は、第1支持部30Aを形成している。なお、本実施形態では、幅方向の左側に配置された天板支持部材31の奥行方向手前側の端部に配置された第2固定孔31dは、傾動天板4Bが重なるため使用しない。
【0031】
固定天板4Aは、幅方向の左側に配置された天板支持部材31の奥行方向の奥側の端部、奥行方向の奥側に配置された連結部材32、幅方向の右側に配置された天板支持部材31、及び、奥行方向の手前側に配置された連結部材32の幅方向の右側の端部に支持されている。
【0032】
傾動天板4Bは、幅方向の左側に配置された天板支持部材31における奥行方向の奥側の端部を除く部分に水平状態(初期位置)で重なると共に、奥行方向の手前側に配置された連結部材32の複数の第2支持部30Bに傾動可能に取り付けられている。この傾動天板4Bは、一対の伸縮脚2の一方側(左側)の上端部2aに重なる姿勢に変位可能とされている。
【0033】
図4に示すように、第1支持部30Aには、傾動天板4Bが上端部2aに重なる領域のうち、少なくとも幅方向の外側の領域において、傾動天板4Bの下面に対して離間する空間部31fが形成されている。空間部31fは、上述した天板支持部材31の下部31a及び上部31bの段差によって形成される空間である。
【0034】
空間部31fは、傾動天板4Bの幅方向の左側の端部に使用者が手を掛けた場合の指挟みを防止する。天板支持部材31の上部31bは、例えば、傾動天板4Bの幅方向の左側の端部から60mm程内側に配置されているとよい。また、天板支持部材31の下部31aは、例えば、傾動天板4Bの下面に対して25mm程下側に配置されているとよい。
【0035】
図3に示すように、第2支持部30Bは、幅方向において第1支持部30A(天板支持部材31)同士の間に配置されている。第2支持部30Bは、連結部材32における第1支持部30Aと離間した位置に設けられている。第2支持部30Bは、第1支持部30Aから分離していればよく、伸縮脚2同士の間で高さや傾きに不整合がわずかでも生じた場合に、第1支持部30Aから負荷などを直接受けなければよい。第2支持部30Bは、連結部材32から奥行方向の手前側に延出し、傾動天板4Bに取り付けられる手前側支持部33と、連結部材32から奥行方向の奥側に延出し、傾動天板4Bに取り付けられる奥側支持部34と、を備える。
【0036】
手前側支持部33は、連結部材32の奥行方向の手前側を向く面に、幅方向において間隔をあけて一対で設けられている。奥側支持部34は、連結部材32の奥行方向の奥側を向く面に、幅方向において一対の手前側支持部33の中間部に設けられている。手前側支持部33は、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に位置し、傾動天板4Bの奥行方向における中間部より手前側を支持している。
【0037】
手前側支持部33(アーム部)は、連結部材32に固定されたアーム本体33aと、アーム本体33aに対して幅方向に延びる軸回りに傾動可能に取り付けられたアーム先端33bと、を備えている。アーム本体33aには、連結部材32に固定するための複数の本体側固定孔33cが形成されている。アーム本体33aは、連結部材32から奥行方向の手前側に延出している。
【0038】
手前側支持部33は、図5に示すように、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に位置する、支持構造体3の手前側延出領域3Aに配置されている。図5に示す手前側延出領域3Aは、天板支持部材31における、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に延出する部分と、当該奥行方向の手前側において天板支持部材31同士を連結する連結部材32Aと、手前側支持部33と、を含む。なお、以下の説明で、手前側延出領域3Aに配置された連結部材32A(第1の連結部材)と区別するため、手前側延出領域3A以外の領域に配置されたもう一つの連結部材32を、第2の連結部材32Bと称する場合がある。
【0039】
アーム先端33bには、図5に示すように、傾動天板4Bの下面に固定するための複数の先端側固定孔33dが形成されている。図7に示すように、アーム先端33bは、アーム本体33aに設けられた枢軸33eに対し、水平姿勢から上側に向かって傾動可能に連結されている。枢軸33eは、アーム本体33aから幅方向両側に延びている。アーム先端33bは、幅方向両側に延びた枢軸33eに係合する一対の軸受孔を備えている。
【0040】
枢軸33eは、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に位置すると共に、傾動天板4Bの奥行方向の手前側を傾動可能に軸支している。手前側支持部33は、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側にアーム状に延出している。接地部21は、天板付き什器1の倒伏防止のために、奥行方向において手前側支持部33の枢軸33e及びアーム先端33bよりも手前側に位置する第1端部21aを備えている。また、接地部21は、傾動天板4Bの奥行方向における奥側の端部よりも奥側に位置する第2端部21bを備えている。
【0041】
奥側支持部34は、枢軸33eを中心とする傾動天板4Bの傾動に応じて伸縮するガススプリング34c(伸縮部)を備えている。ガススプリング34cは、傾動天板4Bの奥側を上側に向かって押し上げて、傾動天板4Bの傾動をアシストする。また、奥側支持部34は、図5に示すように、ガススプリング34cの伸長に応じて伸長する引張ばね34d(伸縮部)を備えている。引張ばね34dは、傾動天板4Bの奥側を下側に向かって付勢し、傾動時の振動を防止する共に、水平姿勢への復帰時の戻りをアシストする。
【0042】
奥側支持部34は、連結部材32に固定された第1固定部34aと、傾動天板4Bに固定された第2固定部34bと、を備えている。第1固定部34aには、連結部材32に固定するための複数の固定孔34eが形成されている。第2固定部34bには、傾動天板4Bに固定するための複数の固定孔34fが形成されている。
【0043】
第1固定部34aは、ガススプリング34cの長手方向の一端部を、幅方向に延びる軸回りに回転可能に支持している。第2固定部34bは、ガススプリング34cの長手方向の他端部を、幅方向に延びる軸回りに回転可能に支持している。引張ばね34dは、第1固定部34aと第2固定部34bとの間に架設され、ガススプリング34cと平行に延びている。
【0044】
図5に示すように、固定天板4Aの下面には、電気系統支持部材5が設けられている。電気系統支持部材5には、一対の伸縮脚2の駆動部22を制御する制御ユニット6や、制御ユニット6に接続された各種ケーブルなどが支持されている。電気系統支持部材5は、固定天板4Aの下面において、幅方向に間隔をあけて一対で設けられている。
【0045】
電気系統支持部材5は、固定天板4Aの下面において、一対の伸縮脚2及び奥行方向の奥側に配置された連結部材32よりも、奥行方向の奥側に位置している。電気系統支持部材5は、固定天板4Aの第1部分41に取り付けられている。図7に示すように、傾動天板4Bと第1部分41との間には隙間があるが、当該隙間からは連結部材32のみが見え、電気系統支持部材5は見えないようになっている。
【0046】
電気系統支持部材5は、図6に示すように、固定天板4Aの下面において、奥行方向の奥側に向けて開口する奥側開口部50を備えている。電気系統支持部材5は、図7に示すように、クランク状に折れ曲がっており、天板4の下面に連結された被連結部51と、被連結部から垂設された垂設部52と、垂設部52から奥行方向の奥側に延設された延設部53と、を備えている。
【0047】
被連結部51には、図5に示すように、固定天板4Aに連結するための複数の連結孔51aが形成されている。垂設部52は、図7に示すように、連結部材32の下端よりも下側まで延びている。延設部53は、幅方向に延びる突起部53aと、固定天板4Aの下面に向かって斜め上方に反り上がった先端部53bと、を備えている。
【0048】
図5に示すように、電気系統支持部材5の幅方向の両側は開放されており、ケーブルなどが延出可能とされている。制御ユニット6から延出したケーブルは、電気系統支持部材5の幅方向の両側から延び、天板支持部材31の下面に形成されたケーブル案内溝31iを通って伸縮脚2の上端部2aから内部に進入し、伸縮脚2の内部の駆動部22に接続されている。
【0049】
制御ユニット6を操作する操作部61は、固定天板4Aの下面における奥行方向の手前側の端部に配置されている。操作部61は、制御ユニット6と無線接続されていてもよいし、有線接続されていてもよい。また、この操作部61には、ガススプリング34cのロックを解除するボタンが設けられていてもよい。なお、ガススプリング34cのロックを解除するボタンは、傾動天板4Bの下面における奥行方向の手前側の端部に配置された取手部43に設けられていてもよい。
【0050】
上記構成の天板付き什器1によれば、図7に示すように、枢軸33eが、傾動天板4Bに対しては奥行方向の中間部よりも手前側を軸支するので、傾動天板4Bの手前側の変位量を、奥側の変位量以下に抑えることができる。また、枢軸33eに対し傾動天板4Bの奥行方向の奥側が手前側に対して相対的に長くなっているが、枢軸33eが一対の伸縮脚2よりも手前側に配置されるため、その分、傾動天板4Bの重心が一対の伸縮脚2に対し奥行方向の奥側に移動することを抑制できる。このため、傾動天板4Bを傾動させた後に、例えばノートパソコンのキーのタッチ位置が下がるなどの使用感が変わることを抑制でき、また、傾動天板4Bに荷重が入力されても、傾動天板4Bのガタツキが生じたり、天板付き什器1が倒伏することを抑制できる。
【0051】
このように、本実施形態の天板付き什器1によれば、幅方向に離間すると共に高さ方向に伸縮可能な一対の伸縮脚2と、一対の伸縮脚2の上端部2aに支持された支持構造体3と、支持構造体3に対し、幅方向に延びる軸回りに傾動可能に取り付けられた傾動天板4Bと、を備え、支持構造体3は、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に位置する手前側延出領域3Aに配置されて、傾動天板4Bの奥行方向における中間部または該中間部より手前側を傾動可能に軸支する枢軸33eを備える、という構成を採用することによって、傾動天板4Bの傾動前後の使用感を損なわず、且つ、安全性も損なわない天板付き什器1が得られる。
【0052】
また、本実施形態においては、支持構造体3は、一対の伸縮脚2のそれぞれの上端部2aに支持され、奥行方向に延出する天板支持部材31を備え、手前側延出領域3Aは、天板支持部材31における、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に延出する部分を含む。この構成によれば、天板支持部材31の奥行方向の長さを適宜設定することによって、手前側延出領域3Aの奥行方向の範囲を適宜設定できるので、枢軸33eを配置する位置に関する設計自由度を高められる。
【0053】
また、本実施形態においては、支持構造体3は、天板支持部材31における、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に延出する部分同士を連結する連結部材32Aを備え、手前側延出領域3Aは、天板支持部材31における、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に延出する部分と、連結部材32Aと、を含む。この構成によれば、手前側延出領域3Aにおいて天板支持部材31同士が連結部材32Aによって連結されることにより、支持構造体3自体の堅牢性が増す。したがって、手前側延出領域3Aにおいて傾動天板4Bを堅牢に支持できる。
【0054】
また、本実施形態においては、支持構造体3は、連結部材32Aから奥行方向の手前側に延出するアーム本体33a及び枢軸33eを介してアーム本体33aに傾動可能に支持されると共に傾動天板4Bに固定されたアーム先端33bを有する手前側支持部33を備え、手前側延出領域3Aは、天板支持部材31における、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に延出する部分と、連結部材32Aと、手前側支持部33と、を含む。この構成によれば、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に位置する枢軸33eによって軸支された傾動天板4Bを、奥行方向の手前側に延出する手前側支持部33によって堅牢に支持することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、支持構造体3は、手前側延出領域3A以外の領域において、一対の伸縮脚2のそれぞれの上端部2aに支持された天板支持部材31同士を連結する第2の連結部材32Bを備える。この構成によれば、手前側延出領域3A以外において天板支持部材31同士が第2の連結部材32Bによって連結されることにより、支持構造体3自体の堅牢性がさらに増す。したがって、傾動天板4Bを堅牢に支持できる。
【0056】
また、本実施形態においては、一対の伸縮脚2は、床面に接地する共に、奥行方向に延在する接地部21を備え、接地部21は、奥行方向において枢軸33eよりも手前側に位置する第1端部21aを備える。この構成によれば、傾動天板4Bに使用者が手を置くなどして、枢軸33eに大きな荷重が入力されても、当該枢軸33eに対し、接地部21の第1端部21aが奥行方向の手前側に位置するので、その荷重に起因して天板付き什器1が奥行方向の手前側に倒伏することを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態においては、接地部21は、奥行方向において傾動天板4Bよりも奥側に位置する第2端部21bを備える。この構成によれば、傾動天板4Bの奥行方向の奥側に、接地部21の第2端部21bに位置するので、傾動天板4Bの奥行方向の奥側を長くしても、天板付き什器1が奥行方向の奥側に倒伏することを抑制できる。
【0058】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
図8は、一実施形態の一変形例に係る天板付き什器1の側断面図である。
例えば、図8に示すように、天板付き什器1は、傾動天板4Bの奥行方向の長さをLとしたときに、傾動天板4Bの奥行方向の長さL/2の位置(中間部)を軸支する枢軸33eを備えていても構わない。
【0060】
また、例えば、固定天板4Aは無くてもよく、傾動天板4Bの奥行方向の奥側の端部が、図7に示す固定天板4Aの奥行方向の奥側の端部があった位置まで延在していても構わない。
【0061】
図9は、一実施形態の一変形例に係る天板付き什器1の底面側斜視図である。
図9に示す天板付き什器1は、固定天板4Aが無く、傾動天板4Bのみを備えている。この天板付き什器1では、天板支持部材31における、一対の伸縮脚2よりも奥行方向の手前側に延出する部分(手前側延出領域3A)に枢軸33eが配置され、当該枢軸33eを介して傾動片31Aが連結されている。幅方向に離間する天板支持部材31の傾動片31A同士は、連結部材32Aによって連結されている。連結部材32Aには、傾動天板4Bを固定するための複数の固定孔32A1が形成されている。この構成においても、枢軸33eが手前側延出領域3Aに配置されているため、傾動天板4Bの傾動前後の使用感を損なわず、且つ、安全性も損なわない天板付き什器1が得られる。
【0062】
図10は、一実施形態の一変形例に係る天板付き什器1の底面側斜視図である。
図10に示す天板付き什器1は、上述した傾動片31Aに、傾動天板4Bを固定するための複数の固定孔31A1が形成され、連結部材32Aを介さずに傾動天板4Bが直接固定されている。図10に示す天板付き什器1の支持構造体3は、天板支持部材31の奥行方向の中間部(手前側延出領域3A以外の部分)同士を連結する第2の連結部材32Bのみを備えている。この構成においても、枢軸33eが手前側延出領域3Aに配置されているため、傾動天板4Bの傾動前後の使用感を損なわず、且つ、安全性も損なわない天板付き什器1が得られる。
【0063】
また、例えば、固定天板4Aが、傾動天板4Bの幅方向の両側に配置された一対の第2部分42を備えていても構わない。すなわち、固定天板4Aは、平面視でコの字状に形成されていてもよい。この構成よれば、傾動天板4Bの幅方向の両側に、物品を載置できるため利便性が高まる。
【符号の説明】
【0064】
1 天板付き什器
2 伸縮脚
2a 上端部
3 支持構造体
3A 手前側延出領域
4 天板
4A 固定天板
4B 傾動天板
5 電気系統支持部材
21 接地部
21a 第1端部
21b 第2端部
30A 第1支持部
30B 第2支持部
31 天板支持部材
31f 空間部
32 連結部材
32A 第1の連結部材
32B 第2の連結部材
33 手前側支持部(アーム部)
33a アーム本体
33b アーム先端
33e 枢軸
34 奥側支持部
34c ガススプリング(伸縮部)
34d 引張ばね(伸縮部)
41 第1部分
42 第2部分
50 奥側開口部
51 被連結部
52 垂設部
53 延設部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10