IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新明和工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車止め 図1
  • 特開-車止め 図2
  • 特開-車止め 図3
  • 特開-車止め 図4
  • 特開-車止め 図5
  • 特開-車止め 図6
  • 特開-車止め 図7
  • 特開-車止め 図8
  • 特開-車止め 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071677
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】車止め
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220509BHJP
   E04H 6/06 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
E04H6/42 A
E04H6/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180758
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
(57)【要約】
【課題】任意の位置に固定できる車止めを提供する。
【解決手段】ここに開示する車止め1は、車両9のタイヤ91のトレッド面に当接し、停車中の車両が移動することを抑制する当接部11と、車両が載置される載置面に対し、磁力によって固定される磁気固定具2と、を備えている。磁気固定具が固定できる範囲においては、車止めは、載置面における任意の位置に固定できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤのトレッド面に当接し、停車中の前記車両が移動することを抑制する当接部と、
前記車両が載置される載置面に対し、磁力によって固定される磁気固定具と、を備えている
車止め。
【請求項2】
請求項1に記載の車止めにおいて、
前記磁気固定具は、前記載置面に固定されない消磁状態と、前記載置面に固定される励磁状態とを切り替えるスイッチを有している
車止め。
【請求項3】
請求項2に記載の車止めにおいて、
前記スイッチは、前記当接部に対して反対側を向いて設けられている
車止め。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車止めにおいて、
前記磁気固定具が取り付けられる取付部と、
前記取付部と前記当接部とをつなぐ連結部と、を備えている
車止め。
【請求項5】
請求項4に記載の車止めにおいて、
前記取付部は、前記磁気固定具の上面に当接する水平板によって構成されかつ、当該上面にボルトによって固定され、
前記連結部は、前記水平板の両側縁のそれぞれに対して固定されかつ、上下方向に広がる一対の側板によって構成され、
前記当接部は、前記一対の連結部の縁同士を掛け渡すように設けられかつ、水平方向に対して傾斜した傾斜板によって構成されている
車止め。
【請求項6】
請求項5に記載の車止めにおいて、
前記水平板、及び、前記一対の側板はそれぞれ、非磁性材料によって構成されている
車止め。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の車止めにおいて、
前記水平板の上方において、前記一対の連結部の間を連結するように設けられた把手をさらに備えている
車止め。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、車止めに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固定する位置を変更できる車止めが記載されている。この車止めは、機械式駐車設備の車両搭載用のパレットに固定される。
【0003】
特許文献1の車止めは、停車用車止めと、逆走防止用車止めとが一体化している。停車用車止めは、例えば後退入庫する車両の後輪に当たって、車両がそれ以上に後退することを阻止する。逆走防止用車止めは、車両が前進方向へ移動することを抑止する。特許文献1の車止めには、ボルトが貫通するボルト穴が、複数個、並んで設けられ、パレットには、ボルトが螺合する固定部が、複数個、並んで設けられている。ボルトによって固定するボルト穴の位置と固定部の位置とを変えることにより、車止めを固定する位置が変わる。特許文献1の車止めは、パレットに搭載される車両に応じた位置に固定することができる。
【0004】
特許文献1の車止めは、例えば集合住宅に併設された機械式駐車設備に用いられる。このような機械式駐車設備は、パレットと、そこに搭載される車両とが対で契約される。契約期間中は、パレットには同じ車両が搭載されるため、車止めの位置を、一旦、固定すれば、当該車止めの位置を変更する必要はない。しかし、例えば契約の終了等の事情によってパレットに搭載される車両が変更される場合、変更後の車両に適した位置に、車止めの位置を変更する必要がある。特許文献1の車止めは、車止めの位置を変更したいという要求を満たすことができる。
【0005】
特許文献2には、車両の保管設備が記載されている。この保管設備は、特許文献1に記載されているような機械式駐車設備に類似した構造を有している。つまり、保管設備は、車両が搭載されるパレットと、パレットを搬送する搬送機構とを備えている。但し、この保管設備においては、パレットの一側から、パレットの上に載った車両が、パレットの他側から退出する。つまり、車両がパレットの上を通過する点で、特許文献2に記載された保管設備は、特許文献1に記載された機械式駐車設備と異なる。
【0006】
特許文献2にはまた、パレットに取り付けられる車止めが記載されている。車止めは、パレットに対して脱着可能に取り付けられる。より詳細に、車止めは、棒材をU字状に折り曲げられて構成されており、パレットには、U字状の車止めの二つの端部それぞれが挿入される一対の挿入穴が、形成されている。一対の挿入穴は、車長方向に位置を変えて、複数、パレットに形成されている。車止めは、パレットに搭載された車両の車輪の位置に対応する位置に取り付けられる。尚、特許文献2の保管装置において、車止めは、車両が前後それぞれの方向に動くことを防止するために、例えば前輪と後輪とのそれぞれに当たるよう、2箇所に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-219940号公報
【特許文献2】特開2019-194420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されている車止めは、パレットへの取り付け及び取り外しに手間がかかるため、特許文献2に記載されているような、車両を一時的に停車するための保管設備に適用することは難しい。
【0009】
特許文献2に記載されている車止めは、パレットへの取り付け及び取り外しは容易であるが、予め決められた場所にしか、車止めを固定することができない。
【0010】
特許文献2に記載されているような保管設備は、様々な車種の車両をパレットに搭載する。ホイールベースの長さ(つまり、前後の車軸間の距離)、フロントオーバーハング(つまり、前輪の車軸から車体最前部までの距離)、リアオーバーハング(つまり、後輪の車軸から車体最後部までの距離)、及び、トレッド幅(つまり、左右の車輪の接地面の中心間距離)は、車種によって異なる。特許文献2に記載されている車止めは、様々な車種の車両に対応できない恐れがある。例えば特許文献2に記載されている車止めは、後退方向に対しては、車輪に当たる位置に車止めを設置したとしても、前進方向に対しては、車輪に当たらない位置に車止めを設置しなければならない場合が起こり得る。尚、特許文献1の車止めも同様の技術的課題を有する。
【0011】
一方で、停車中に車両が動き出すことを一時的に防止する、いわゆる輪止めは、車両の載置面に固定されずに、載置面の上に置かれているだけである。このような固定されない輪止めは、停車中の車両の移動を十分に抑制できない恐れがある。
【0012】
ここに開示する技術は、任意の位置に固定できる車止めを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここに開示する車止めは、車両のタイヤのトレッド面に当接し、停車中の前記車両が移動することを抑制する当接部と、
前記車両が載置される載置面に対し、磁力によって固定される磁気固定具と、を備えている。
【0014】
この構成によると、磁気固定具は、載置面に磁力によって固定される。載置面は、その全体が磁性体によって構成されていてもよいし、載置面において、少なくともタイヤが位置する箇所、換言すれば、少なくとも磁気固定具が固定される箇所が磁性体によって構成されていてもよい。磁性体によって構成されている範囲においては、車止めは、載置面における任意の位置に固定できる。
【0015】
車止めを載置面における任意の位置に固定できるため、例えば第1及び第2の二つの車止めを用いて、停車中の車両の前進方向に対して、第1の車止めを、その当接部がタイヤに当接するように固定し、車両の後退方向に対して、第2の車止めを、その当接部がタイヤに当接するように固定することができる。複数の車止めのそれぞれを、タイヤに当接させて固定できるため、この車止めを用いることにより、停車中の車両の移動を十分に抑制することができる。
【0016】
前記磁気固定具は、前記載置面に固定されない消磁状態と、前記載置面に固定される励磁状態とを切り替えるスイッチを有している、としてもよい。
【0017】
こうすることで、作業者は、スイッチ操作によって磁気固定具を消磁状態にして、車止めを所望の位置に配置することができる。磁気固定具が消磁状態であるため、作業者は、車止めの位置決めを容易に行うことができる。
【0018】
磁気固定具を所望の位置に配置すれば、作業者は、スイッチを操作することにより、磁気固定具を消磁状態から励磁状態に切り替える。所望の位置に配置した車止めを固定することができる。
【0019】
前記スイッチは、前記当接部に対して反対側を向いて設けられている、としてもよい。
【0020】
この構成によって、車止めの当接部をタイヤに当接させた状態において、スイッチは、タイヤから離れた位置に位置する。作業者は、車止めの当接部をタイヤに押し当てながら、スイッチの操作をしやすい。
【0021】
前記車止めは、
前記磁気固定具が取り付けられる取付部と、
前記取付部と前記当接部とをつなぐ連結部と、を備えている、としてもよい。
【0022】
連結部及び取付部は、当接部と磁気固定具とを互いに連結し、車両が移動しようとしたときの荷重を、当接部から磁気固定具へ確実に伝達できる。車止めが、車両からの荷重を受けて動いてしまうことが抑制される。
【0023】
前記取付部は、前記磁気固定具の上面に当接する水平板によって構成されかつ、当該上面にボルトによって固定され、
前記連結部は、前記水平板の両側縁のそれぞれに対して固定されかつ、上下方向に広がる一対の側板によって構成され、
前記当接部は、前記一対の連結部の縁同士を掛け渡すように設けられかつ、水平方向に対して傾斜した傾斜板によって構成されている、としてもよい。
【0024】
連結部が上下方向に広がる一対の側板によって構成されるため、車止めを固定した状態において、上下方向及び前後方向に、高い剛性が確保される。連結部は、当接部から磁気固定具へ確実に荷重を伝達する。また、取付部、連結部、及び、当接部がそれぞれ板材によって形成されるため、車止めの軽量化が図られる。
【0025】
前記水平板、及び、前記一対の側板はそれぞれ、非磁性材料によって構成されている、としてもよい。
【0026】
こうすることで、磁気固定具の周囲の部材が非磁性材料であるため、磁気固定具を、載置面に対し、磁力によってしっかりと固定できる。載置面に固定した車止めが動いてしまうことが抑制される。
【0027】
前記水平板の上方において、前記一対の連結部の間を連結するように設けられた把手をさらに備えている、としてもよい。
【0028】
作業者は、把手を持って車止めを運んだり、把手を持って車止めの位置を調整したりすることができるから、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、前記の車止めは、磁気固定具によって、車止めを任意の位置に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、車止めを上方から見た斜視図である。
図2図2は、車止めを下方から見た斜視図である。
図3図3は、図1のIII-III断面図である。
図4図4は、車止めの背面図である。
図5図5は、磁気固定具の消磁状態と励磁状態との切り替えを説明する図である。
図6図6は、車止めの使用状態を説明する側面図である。
図7図7は、車止めの使用状態を説明する側面拡大図である。
図8図8の上図は、保管設備の平面図、下図は、保管設備の正面図である。
図9図9は、パレットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、車止めの実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する車止めは例示である。
【0032】
(車止めの構造)
図1~4は、車止め1を例示している。図1は、車止め1を上方から見た場合の斜視図である。図2は、車止め1を下方から見た場合の斜視図である。図3は、図1のIII-III断面図である。図4は、車止め1を後ろから見た背面図である。車止め1は、図6又は図7に例示するように、停車中の車両9のタイヤ91に当てて配設され、停車中に、車両9が、前進方向及び後退方向のそれぞれに移動することを抑制する。
【0033】
尚、以下の説明では、図1における紙面左手前を前、紙面右奥を後、紙面右手前を右、紙面左奥を左と呼ぶ。つまり、前は、車止め1において、タイヤ91に当接する側に相当する。
【0034】
車止め1は、本体部10と、磁気固定具2とを備えている。磁気固定具2は、本体部10に取り付けられている。
【0035】
本体部10は、当接部11、連結部12、及び、取付部14を備えている。当接部11は、図7に例示するように、タイヤ91のトレッド面に当接する。当接部11は、水平方向に対して傾斜している(図3のθ参照)。
【0036】
当接部11は、平らな金属板によって構成された傾斜板111を有している。傾斜板111は、車止め1が載置される載置面40(図7参照)の近くから、斜め上方に向かって広がっている。図7から明らかなように、平らな傾斜板111は、タイヤ91のトレッド面に対し、その一部が当接する。タイヤ91の大きさ等によって、トレッド面の当接する位置は傾斜板111の下部から上部の間で変動する。例えば、想定される最大径のタイヤ91でも、そのトレッド面が傾斜板111に当接するように、傾斜板111の高さと傾斜角度が設定される。
【0037】
連結部12は、当接部11に接続している。連結部12は、当接部11と取付部14とを連結する。連結部12は、第1側板121と第2側板122とを有している。第1側板121及び第2側板122は共に、上下方向及び前後方向に広がる、平らな金属板から構成されている。第1側板121と第2側板122とは、左右方向に間隔を空けて向かい合って配設されている。第1側板121及び第2側板122は、同じ形状を有している。第1側板121及び第2側板122は、側面視で、略台形状を有している(図7も参照)。より詳細に、第1側板121及び第2側板122は、水平な上辺と、水平な下辺と、垂直な後辺と、傾斜した前辺と、を有している。
【0038】
傾斜板111は、第1側板121の前辺と、第2側板122の前辺とを、左右方向に掛け渡すように設けられている。当接部11及び連結部12は、所定の形状に切り出した一枚の平板を、前記二つの前辺の位置のそれぞれにおいて略90度に折り曲げ加工することにより、作成することができる。
【0039】
取付部14は、水平板141を有している。水平板141は、前後方向及び左右方向に広がっている。水平板141は、図4に示すように、第1側板121と第2側板122とを連結する。水平板141は、例えば溶接によって、第1側板121及び第2側板122に固定してもよい。水平板141と第1側板121、及び、水平板141と第2側板122はそれぞれ、直交している。
【0040】
取付部14には、磁気固定具2が取り付けられる。磁気固定具2は、後述するように、磁性体からなる載置面40に、磁力によって車止め1を固定する。ここで例示する車止め1は、二つの磁気固定具2を有している。二つの磁気固定具2は、左右方向に並んで配設されている。二つの磁気固定具2の間には、所定の隙間が設けられている。二つの磁気固定具2を左右方向に並べることにより、車止め1の設置面積が拡大することとあいまって、車止め1の磁気吸着力を高めることができ、車止め1を、載置面40に強固に固定することができる。載置面40に固定した車止め1が、載置面40の上をスライドするように動いたり、載置面40の上で回るように動いたりすることが抑制される。
【0041】
水平板141は、二つの磁気固定具2に跨がって、二つの磁気固定具2それぞれの上面に当接している。二つの磁気固定具2はそれぞれ、水平板141に対しボルト142によって取り付けられている。尚、図例では、一つの磁気固定具2は、その前後方向の中央部が、一つのボルト142によって水平板141に取り付けられているが、複数のボルト142を用いて、二つの磁気固定具2のそれぞれを水平板141に取り付けてもよい。
【0042】
水平板141の下面には、仕切部材143が固定されている。仕切部材143は、水平板141の左右の中央位置において、前後方向に延びている。仕切部材143は、例えば角材によって構成されており、図3及び図4に示すように、水平板141の下面から下方に突出している。仕切部材143は、二つの磁気固定具2の間に位置し、磁気固定具2それぞれの側部に当接する。仕切部材143は、二つの磁気固定具2それぞれの位置を規制すると共に、ボルト142によって磁気固定具2を水平板141に取り付ける際には、磁気固定具2の回り止めとして機能する。車止め1を製造する際の組み付け性が向上する。
【0043】
磁気固定具2は、前後方向に細長い略直方体形状を有している。磁気固定具2は、磁力によって磁性体に固定される励磁状態と、磁性体に固定されない消磁状態とに、状態が切り替わるように構成されている。図5は、磁気固定具2の内部構造を模式的に例示する図である。図5の上図は、磁気固定具2の消磁状態を示している。図5の下図は、磁気固定具2の励磁状態を示している。
【0044】
磁気固定具2は、横断面円形状の磁石22と、一対の磁性部23と、非磁性部24と、を有している。非磁性部24は、一対の磁性部23、23に狭持されている。一対の磁性部23と非磁性部24とによって固定具本体20が構成されている。固定具本体20の中央には、収納部25が設けられている。収納部25は、横断面が円形状を有している。磁石22は、収納部25に収納されている。収納部25に収納されている磁石22は、前後方向(つまり、図5の紙面に直交する方向)に延びる仮想軸を中心に回転可能に構成されている。また、固定具本体20の下面には、凹陥部26が設けられている。この凹陥部26の両側に、磁性体からなる載置面40に接して、当該載置面40に吸着される脚部27、27が設けられる。
【0045】
磁気固定具2は、図2等に示すように、スイッチ28を有している。スイッチ28は、つまみを有する回転式のスイッチであり、磁石22と同様に、前後方向に延びる仮想軸を中心に回転する。スイッチ28は、磁気固定具2の後端に設けられている。車止め1において、スイッチ28は、当接部11とは反対側に設けられている。
【0046】
作業者がスイッチ28を回すと、収納部25に収納されている磁石22が回転する。磁気固定具2は、スイッチ28の操作によって磁石22の磁極の向きを変えることにより、消磁状態と励磁状態とに切り替わる。具体的には、図5の上図に示すように、スイッチ28の操作によって、磁極の向きが垂直方向となるように磁石22を位置づけると、磁石22のN極からS極に向かう磁場は、同図に実線の矢印で示すように、磁性部23、23の内部を通過し、一対の脚部27、27の間を通過しない。この場合、磁気固定具2は、吸着作用が解除された消磁状態となる。磁気固定具2は、載置面40に固定されない。
【0047】
これに対し、図5の下図に示すように、スイッチ28の操作によって、磁極の向きが水平方向となるように磁石22を位置づけると、磁石22のN極からS極に向かう磁場は、同図に実線の矢印で示すように、脚部27、27の間を通過する。この場合、磁気固定具2は、吸着作用が発揮された励磁状態となる。磁気固定具2は、載置面40に対し、磁力によって固定される。
【0048】
このような磁気固定具2には、例えば市販のマグネットベースを流用することが可能である。
【0049】
磁気固定具2が取り付けられる車止め1の本体部10の特に磁気固定具2を囲繞する部位は、磁気固定具2の吸着力を高める観点から、非磁性体からなることが好ましい。本体部10の内、つまり、第1側板121、第2側板122、及び、水平板141は、例えばステンレス鋼板製としてもよい。また、傾斜板111も、例えばステンレス鋼板製としてもよい。
【0050】
ステンレス鋼板製の傾斜板111には、滑り止めのための高摩擦部材が貼り付けられている。この構成例において、高摩擦部材は、ゴムシート112である。傾斜板111に貼り付けたゴムシート112は、当接部11とタイヤ91との間の摩擦力を高めることにより、車両9が動いてしまうことを、より効果的に抑制できる。ゴムシート112は、図3に例示するように、傾斜板111の前面(つまり、トレッド面に当接する当接面)の全体にわたって貼付されていると共に、傾斜板111の上端及び下端のそれぞれにおいて折り返されて、傾斜板111の後面の一部に貼付されている。このようにゴムシート112を傾斜板111に貼り付けることで、ゴムシート112を、傾斜板111に強固に固定することができ、車止め1の使用中に、ゴムシート112が傾斜板111から剥がれることが抑制される。
【0051】
車止め1は、把手15を有している。把手15は、第1側板121と第2側板122との間を連結するように、第1側板121と第2側板122との間に設けられている。より詳細に、この構成例において、把手15は、横断面円形状の丸棒から構成されており、把手15は、第1側板121及び第2側板122の後端上部の隅部に設けられている。車止め1は、当接部11の後ろ側でかつ取付部14の上側に、第1側板121と第2側板122とに挟まれる空き空間を有しており、把手15は、この空き空間内に設けられている。空き空間は、上方及び後方に開放されており、作業者は、上方及び/又は後方から空き空間内に手を入れて、把手15をつかむことができる。この把手15は、車止め1における上部であって、タイヤ91に当接する当接部11から離れた位置に設けられている。作業者は、車止め1を設置する際に、把手15をつかんで、車止め1の当接部11をタイヤ91に当てることができる。つまり、把手15は、車止め1において、手でつかみやすい位置に設けられているため、作業者の作業性が向上する。
【0052】
また、前述したように、磁気固定具2のスイッチ28は、車止め1の後ろを向いて設けられている。つまり、当接部11は、車止め1の前側を向いて設けられ、スイッチ28は、当接部11に対して反対側を向いて設けられている。車止め1をタイヤ91のトレッド面に当てて設置した状態において、作業者は、スイッチ28を操作しやすい。
【0053】
当接部11の傾斜角度θは、この構成例では、40度に設定されている。傾斜角度θが大きすぎると、当接部11とタイヤ91のトレッド面との、必要な当接面積を確保するには、車止め1の全高を高くしなければならない。車止め1の全高が高いと、例えば最低地上高が低い車に対し、車止め1が設置しにくい。車止め1の全高は、低い方が好ましい。一方、傾斜角度が小さすぎると、当接部11とタイヤ91のトレッド面との、必要な当接面積を確保するには、車止め1の前後長を長くしなければならない。車止め1が大型化するため、扱いにくくなる。車止め1は、その設置のしやすさを考慮すれば、コンパクトであることが好ましい。
【0054】
また、傾斜角度θが大きいと、車両9から車止め1へ荷重が加わった際に、車止め1に作用する水平方向の分力が大きくなるから、車止め1の移動を抑制する点で不利になる。
【0055】
傾斜角度θは、これらの要件を考慮して適宜の大きさに設定することが好ましい。傾斜角度θを45度以下35度以上にすれば、車止め1のコンパクト化と、車止め1の移動の抑制とを両立することができる。
【0056】
次に、図6及び図7を参照しながら、車止め1を使用する場合の手順を説明する。図6は、対象となる車両9を横から見た側面図である。車止め1は、一台の車両9について、前進方向の移動を抑制するために一つ、後退方向の移動を抑制するために一つ、用いられる。図6の例において、車止め1は、左前輪のタイヤ91を前後に挟むように、タイヤ91の前側と後側とのそれぞれに設置されている。
【0057】
尚、二つの車止め1は、一つのタイヤ91の前後に設置することに限らない。一つの車止め1を、第1のタイヤ91の前側に設置し、もう一つの車止め1を、第2のタイヤ91の後側に設置してもよい。第1のタイヤ91と第2のタイヤ91の選択は、自由に行ってもよい。一例として、第1のタイヤ91と第2のタイヤ91とは、対角に配置された二つのタイヤ91としてもよい。また、第1のタイヤ91と第2のタイヤ91とは、前輪の二つのタイヤ91としてもよいし、後輪の二つのタイヤ91としてもよい。さらに、第1のタイヤ91と第2のタイヤ91とは、左側の二つのタイヤ91としてもよいし、右側の二つのタイヤ91としてもよい。
【0058】
車両9は、例えば機械式駐車設備のパレットの上に停車している。車両が載置される載置面40において、少なくとも車止め1が固定される箇所は磁性体からなる。磁気固定具2を有する車止め1は、磁性体からなる載置面40の上に、磁力によって固定される。
【0059】
作業者は、車止め1を消磁状態にし、当接部11がタイヤ91のトレッド面に当たるように、車止め1を載置面40の上に置く。このときに、図7に拡大して示すように、当接部11の一部が、タイヤ91のトレッド面に当接する。
【0060】
車止め1を所望の位置に設置すれば、作業者は、磁気固定具2のスイッチ28を操作して、車止め1を消磁状態から励磁状態へ切り替える。車止め1は、磁力によって載置面40に固定される。
【0061】
この構成の車止め1は、磁力によって載置面40に固定できる。車止め1が固定できる位置を、磁性体によって構成されている範囲を限度として、載置面40における任意の位置に設定できる。このため、複数の車止め1のそれぞれを、車両9の車輪の位置に合わせて、確実にタイヤ91に当たった状態で載置面40に固定することができる。車止め1をタイヤ91に当てておけば、車両9に外力が作用して車両9が移動しようとした場合においても、車両9は動かず、車両9に加速度が発生しない。このため、確実にタイヤ91に当たった状態で固定される車止め1は、車両9が前進方向に移動することも、後退方向に移動することも、より効果的に、抑制できる。
【0062】
また、車止め1の磁気固定具2は、スイッチ操作によって、励磁状態と消磁状態とに切り替わるから、作業者は、消磁状態の車止め1を、所望の位置に容易に設置でき、その所望の位置に設置した車止め1を、そのまま励磁状態へ切り替えて、車止め1を固定できる。作業者の作業性が向上する。
【0063】
また、車止め1のスイッチ28は、当接部11とは逆側の後側を向いているため、当接部11をタイヤ91に当てて車止め1を設置した状態でも、作業者は、スイッチ28を容易に操作することができる。また、車止め1の後面に設けたスイッチ28の操作を行うことに伴い、車止め1をタイヤ91に押しつけることになるから、スイッチ28の操作時に、車止め1の位置がずれてしまうことが抑制される。
【0064】
また、車止め1の把手15も、当接部11とは逆の後側の上部に配置されているため、作業者は、把手15をつかんで、当接部11がタイヤ91に当たるように、車止め1を動かすことができる。車止め1の設置が容易である。
【0065】
車止め1を取り外す場合、作業者は、スイッチ28を操作して車止め1を消磁状態にすれば、車止め1を、載置面から容易に外すことができる。例えば磁力によって固定されている車止め1を、力任せに取り外そうとすれば、車止め1を車両9のボディに当ててしまう恐れもあるが、前記構成の車止め1は、そうした問題が発生することを未然に回避することができる。
【0066】
脱着可能な車止め1は、載置面40に固定されているため、車両9を長時間に亘って保持する場合にも利用でき、また、スイッチ28の操作により、脱着が容易であるため、車両9を一時的に保持する場合にも利用できる。車止め1は、様々な用途に用いることができ、有用性が高い。
【0067】
また、この構成の車止め1は、載置面40が磁性体であれば、任意の位置に固定できる。車止めの固定のために、載置面40に孔を開けるといった加工を行う必要がない。
【0068】
尚、前記の構成において、本体部10は、非磁性の金属板によって構成されているが、本体部10、特に水平板141、及び、一対の側板121、122は、非金属の非磁性材料(例えば樹脂)によって構成されてもよい。
【0069】
また、磁気固定具2は、磁石22、つまり永久磁石を有しているが、磁気固定具は、磁石22を有する構成に限定されない。磁気固定具は、例えば電磁石を有する構成としてもよい。電磁石を有する磁気固定具も、スイッチ操作によって消磁状態と励磁状態とに切り替えることができる。
【0070】
尚、スイッチの構成は、前述した回転式のスイッチに限らず、様々な形式、例えばスライド式、シーソー式、押しボタン式、トグル式等のスイッチを、適宜採用することが可能である。
【0071】
また、磁気固定具のスイッチを省略し、磁気固定具は、常時、励磁状態であってもよい。
【0072】
(車止めを利用可能な設備等の例)
次に、前述した構成の車止め1の利用に関する説明をする。前記の車止め1は、車両9の載置面40、より正確には、載置面40において、少なくとも磁気固定具2が固定される範囲が磁性体から構成され、磁気固定具2が磁力によって載置面40に固定されるのであれば、様々な状況において利用することができる。
【0073】
例えば商業施設及び集合住宅を含む、各種の施設等に付帯して設けられている駐車施設又は駐車場において、車止め1は、利用することができる。駐車施設は、常設の駐車施設に限らず、臨時の駐車施設を含む。
【0074】
また、駐車施設に限らず、車両9を運搬する車、又は、船等において、車両9の運搬中の車止めとして、前記の車止め1を利用することもできる。
【0075】
車止め1を好適に利用できる駐車施設の一例は、例えば特許文献1に記載されているような、機械式駐車設備である。機械式駐車設備は、車両9が載置されるパレットと、パレットを搬送する搬送機構とを備えている。パレット上に載置された車両9のタイヤ91に当たるように、車止め1をパレットに固定することにより、例えばパレットの搬送中に車両9が動いてしまうことが抑制できる。
【0076】
特に機械式駐車設備では、パレットに載置している車両9が、パレットからはみ出すことを防止することが要求される。パレットに載置される車両9の、ホイールベースの長さ、フロントオーバーハング、リアオーバーハング、及び、トレッド幅は、車種によって異なる。
【0077】
従来の機械式駐車設備は、車止めの位置が変えられないか、位置が変えられるとしても、位置を変更できる自由度は低かった。車両9は、そのホイールベースの長さ、フロントオーバーハング、リアオーバーハング等にかかわらず、車止めにタイヤが当たるような位置でパレット上に載置される。従来の機械式駐車設備では、様々な車種が駐車可能となるように、つまり、車両9がパレットからはみ出さないように、パレットの大きさは、大きめにしておかなければならなかった。パレットが大きくなれば、一つの機械式駐車設備に収容できるパレットの数は減ってしまう。
【0078】
これに対し、前記の車止め1は、車両9のタイヤ91の位置に合わせて、車止め1の位置を変えて、パレットに固定することができる。従って、パレットは、ホイールベースの長さ、フロントオーバーハング、リアオーバーハング、及び、トレッド幅等とは無関係に、車両9の全長及び全幅が収まる大きさを確保すればよい。前記の車止め1を用いると、パレットの大きさを小さくすることができる。パレットの大きさが小さくなれば、一つの機械式駐車設備に収容できるパレットの数を増やすことができる。
【0079】
尚、機械式駐車設備は、タワー方式、地下方式、及び、平面往復方式等の様々な方式が存在するが、車止め1が利用できる機械式駐車設備の方式に、特に制限はない。また、機械式駐車設備の搬送機構の方式にも、エレベーター方式、垂直循環方式、水平循環方式、及び、箱形循環方式等の様々な方式が存在するが、車止め1が利用できる搬送機構の方式に、特に制限はない。
【0080】
機械式駐車設備等の自動車を保管する設備の中でも、車止め1が特に好適に利用できる設備は、例えば特許文献2に記載されているような、保管設備である。次に、図8及び図9を参照しながら、保管設備の構成について説明をする。図8の上図は、保管設備3の平面図、下図は、保管設備3の正面図であり、図9は、保管設備3に用いられるパレット4の斜視図である。
【0081】
保管設備3は、例えば、陸揚げされた輸入自動車の洗浄や各種検査、整備、型式指定完成検査などを行うPDI(Pre-Delivery Inspection:出荷前点検)センターに設置されたり、自動車製造工場において、製品検査や、自動車の改造、整備、試験などを行う設備や装置の近くに設置されたりする。
【0082】
例えば測定室のシャシダイナモメータ上で自動車を走行させて排気ガス成分測定等の各種測定を行う場合、温度などの環境を一定にして試験を行うために、エンジンを停止した状態で温度又は湿度又はその両方を一定にした収容室6において所定時間保管し、自動車がその環境となった後、各種機器によって性能試験が行われる。保管設備3は、内部を一定の温度等に保つ収容室6内に設置され、そこにおいて複数台の自動車を上下方向に階層状をなして収容する。
【0083】
図8に例示する保管設備3は、左右方向に3列、上下方向に2段の構成であり、合計6箇所の保管部31を有している。6箇所の保管部31に対し、パレット4は5箇所に設けられており、1箇所の保管部31は空スペースである。地上段の1段目F1における中央列の2列目L2が入出庫部32である。2列目L2は、1列目L1と3列目L3に比べて支柱間ピッチが広い。これは、後述するように、入出庫部32に、及び、入出庫部32から車両9を移動させる作業が、作業者による手押し作業であって、入出庫部32において作業者が車両9の側方に立つ通路幅を確保するためである。支柱間ピッチを広げることによって、入出庫部32における車両9の手押し作業をしやすくなる。
【0084】
図8の下図に示すように、保管設備3は、1段目F1と2段目F2では、各パレット4を1列目L1と2列目L2、及び2列目L2と3列目L3との間で個別に矢印Wで示すように横行させることができる。この横行は、詳細な図示を省略する横行装置によって行われる。横行装置の構造としては、様々な構造を適宜採用することができる。
【0085】
保管設備3は、1列目L1と3列目L3とでは、各パレット4を1段目F1と2段目F2との間で、矢印Hで示すように昇降させることができる。この昇降は、詳細な図示を省略する昇降装置によって行われる。昇降装置の構造としては、様々な構造を適宜採用することができる。これらの横行装置及び昇降装置により、全てのパレット4が入出庫部32に移動可能となっている。
【0086】
保管設備3には、入出庫部32の後方に第1ゲート33が設けられ、前方に第2ゲート34が設けられている。第1ゲート33及び第2ゲート34は、図示しない駆動機によって、下降させて入出庫部32の前後を閉鎖した状態と、上昇させて入出庫部32の前後を開放した状態とにできる。
【0087】
パレット4は、図9に例示するように、前後方向に延びる長方形状に形成されている。パレット4の中央部41を挟んだ左右の両側には、車路部42が設けられている。パレット4に載置される車両9のタイヤ91は、車路部42の上を通る。車止め1は、車路部42の上に取り付けられる。
【0088】
車路部42の左右方向外側には、デッキ部43が設けられている。デッキ部43は、作業者が車両9を手押しで移動させるときに歩く部分である。デッキ部43の表面には、作業者の滑り止めのために、ノンスリップテープ等を設けてもよい。パレット4は、中央部41、車路部42及びデッキ部43の上面が平坦に形成されたフラットパレットである。パレット4の上面をフラットにすることで、パレット4に車両9を手押しで入庫させ、パレット4から車両9を手押しで出庫させることが容易にできる。尚、車路部42の上面とデッキ部43の上面とを同じ高さにする一方、中央部41の上面を、車路部42及びデッキ部43の上面よりも高くまたは低くなるように構成してもよい。
【0089】
パレット4は、例えば鋼板から構成される。車止め1の磁気固定具2を、パレット4の上面、より正確には、車路部42の上面に固定することができる。パレット4において、中央部41及び/又はデッキ部43の上面は、例えば縞鋼板によって構成してもよい。一方、少なくとも車路部42の上面は、凹凸のない平らな鋼板によって構成されている。磁気固定具2を、磁力によって強固に車路部42に固定するためである。
【0090】
次に、保管設備3の動作について簡単に説明をする。車両9の入庫時に、作業者は先ず、図示省略の操作盤を操作し、車両9をこれから載置するパレット4を選択する。パレット4の選択は、それぞれのパレットに付されている固有のパレット番号に基づいて行えばよい。保管設備3の横行装置及び昇降装置は、指定されたパレット4を入出庫部32へ搬送する。パレット4が入出庫部32に到着すると、保管設備3は、第1ゲート33を開ける。作業者は、例えば手押しで、車両9を、第1ゲート33を通じて入出庫部32へ移動させ、パレット4の上に載置する。
【0091】
車両9をパレット4上の所定の位置に位置づければ、作業者は、当該車両9のいずれかの車輪に対して車止め1を取り付ける。前述したように、磁気固定具2を消磁状態にした上で、作業者は、車止め1の当接部11がタイヤ91のトレッド面に当たるように、パレット4の車路部42の上に置き、その状態で、スイッチ28を操作することで、磁気固定具2を励磁状態にする。車止め1がパレット4に固定される。車止め1を固定し終われば、作業者は入出庫部32から退出し、保管設備3は、第1ゲート33を閉じる。こうして、保管設備3への車両9の入庫が完了する。
【0092】
保管設備3は、車両9が載置されたパレット4を搬送する。車止め1は、磁力によってパレット4に固定されているため、搬送中の振動等によって、パレット4の上で車止め1の位置がずれたり、車止め1が回ったりすることが抑制される。また、前進方向の移動を抑制する車止め1、及び、後退方向の移動を抑制する車止め1はそれぞれ、車両9の車輪に当たっているため、パレット4の搬送中に、(例えばサイドブレーキのかけ忘れた)車両9が前進方向又は後退方向に動き出そうとしても、その動き自体を止めることができ、車両9に加速度が発生することを抑制できる。車止め1は、パレット4上の車両9の移動を、効果的に抑制できる。
【0093】
車両9の出庫時に、作業者は先ず、図示省略の操作盤を操作し、出庫対象の車両9が載置されているパレット4を選択する。保管設備3の横行装置及び昇降装置は、指定されたパレット4を入出庫部32へ搬送する。パレット4が入出庫部32に到着すると、保管設備3は、第2ゲート34を開ける。
【0094】
作業者は先ず、パレット4に取り付けられている車止め1を取り外す。スイッチ28を操作することによって消磁状態にすれば、車止め1はパレット4に固定されていないため、作業者は、車止め1をパレット4から容易に取り外すことができる。車止め1を取り外した後、作業者は、例えば手押しで、車両9を、第2ゲート34を通じて入出庫部32から移動させる。
【0095】
車両9の出庫が完了すれば、保管設備3は、第2ゲート34を閉じる。車両9の出庫が完了する。
【0096】
このように保管設備3においては、車両9が、パレット4の上を前後方向に通過する。車止め1が、パレット4に脱着可能であることにより、車両9をパレット4の上で前後方向に通過させることが実現する。脱着可能な車止め1は、保管設備3において、特に好適に用いることができる。
【0097】
尚、前記の実施形態は一例であり、車止めの構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことは可能である。本発明は前述した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0098】
1 車止め
11 当接部
111 傾斜板
12 連結部
121 第1側板
122 第2側板
14 取付部
141 水平板
15 把手
2 磁気固定具
28 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9