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特開2022-71683ステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベア
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  • 特開-ステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベア 図1
  • 特開-ステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベア 図2
  • 特開-ステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベア 図3
  • 特開-ステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベア 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071683
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベア
(51)【国際特許分類】
   B21B 43/00 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
B21B43/00 C
B21B43/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180767
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000182476
【氏名又は名称】寿産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 晴輝
(72)【発明者】
【氏名】正司 信也
(72)【発明者】
【氏名】田元 勝
(72)【発明者】
【氏名】森若 修一
(57)【要約】
【課題】搬送ローラの交換作業を容易に実施できるステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベアを提供する。
【解決手段】回転可能に複数配列された搬送ローラ110で線材1を搬送するステルモアコンベア100の搬送ローラ110であって、回転可能に支持された対をなす軸端部111と、対をなす軸端部111間に配設されると共に軸端部111に同軸をなして着脱可能に連結されて線材1を支承する胴体部112と、軸端部111のフランジ111cと胴体部112のフランジ112cとを着脱可能に連結するねじ部品113とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に複数配列された搬送ローラで線材を搬送するステルモアコンベアの搬送ローラであって、
回転可能に支持された対をなす軸端部と、
対をなす前記軸端部間に配設されると共に前記軸端部に同軸をなして着脱可能に連結されて前記線材を支承する胴体部と、
を備えていることを特徴とするステルモアコンベアの搬送ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のステルモアコンベアの搬送ローラにおいて、
前記搬送ローラの前記胴体部は、
前記線材を支承する胴本体と、
前記胴本体の軸方向両端側に同軸をなしてそれぞれ設けられた支持軸と、
前記支持軸の軸方向外側に同軸をなしてそれぞれ設けられたフランジと、
を備え、
前記搬送ローラの前記軸端部は、
回転可能に支持される軸本体と、
前記胴体部の前記フランジと対向するように前記軸本体に同軸をなして設けられたフランジと、
を備え、
前記搬送ローラは、前記軸端部の前記フランジと前記胴体部の前記フランジとを着脱可能に連結するねじ部品を備えている
ことを特徴とするステルモアコンベアの搬送ローラ。
【請求項3】
請求項2に記載のステルモアコンベアの搬送ローラにおいて、
前記搬送ローラの前記胴体部は、前記支持軸に同軸をなしてそれぞれ設けられた放熱フィンを備えている
ことを特徴とするステルモアコンベアの搬送ローラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステルモアコンベアの搬送ローラにおいて、
前記搬送ローラの前記胴体部は、鋳鉄からなる
ことを特徴とするステルモアコンベアの搬送ローラ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステルモアコンベアの搬送ローラにおいて、
前記搬送ローラの前記軸端部は、硬質鋼からなる
ことを特徴とするステルモアコンベアの搬送ローラ。
【請求項6】
回転可能に複数配列された搬送ローラで線材を搬送するステルモアコンベアにおいて、
前記搬送ローラは、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送ローラである
ことを特徴とするステルモアコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能に複数配列された搬送ローラで線材を搬送するステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
ビレット等の素材から線材を製造する場合、素材を圧延して線材とし、線材をステルモアコンベア上にレイングヘッドでループ状に送り出す。そして、ステルモアコンベアで空冷しながら集束装置まで搬送し、集束装置でコイル状に巻き取って集束するようにしている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-005808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したようなステルモアコンベアにおいては、レイングヘッドから送り出された線材を傷付けないように、搬送ローラに比較的軟質な鋳鉄(FCD)を使用していることから、搬送ローラが比較的摩耗し易くなっている。また、ステルモアコンベアにおいては、隣り合う搬送ローラ間への線材の入り込みを防止するため、隣り合う搬送ローラ間にウェアプレートを配設して、搬送ローラとウェアプレートとの間の隙間の大きさを常に規定値内に収めるように保守管理している。そのため、ステルモアコンベアは、搬送ローラを比較的頻繁に交換しなければならない。
【0005】
このようなステルモアコンベアの搬送ローラを交換する場合、従来は、搬送ローラの両軸端側をそれぞれ回転可能に支持するピローブロックから搬送ローラを取り外すように、搬送ローラを軸方向に移動してピローブロックから引き抜かなければならなかった。そのため、搬送ローラの軸方向に位置する足場の床板をわざわざ取り外す必要があり、非常に手間がかかり、生産性の低下を招く一因となっていた。
このようなことから、本発明は、搬送ローラの交換作業を容易に行うことができるステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための、本発明に係るステルモアコンベアの搬送ローラは、回転可能に複数配列された搬送ローラで線材を搬送するステルモアコンベアの搬送ローラであって、回転可能に支持された対をなす軸端部と、対をなす前記軸端部間に配設されると共に前記軸端部に同軸をなして着脱可能に連結されて前記線材を支承する胴体部と、を備えていることを特徴とする。
また、前述した課題を解決するための、本発明に係るステルモアコンベアは、前記搬送ローラが、前記の本発明に係るステルモアコンベアの搬送ローラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベアは、搬送ローラの胴体部を軸端部に対して着脱可能に連結できることから、連結を解除することにより、回転可能に支持された軸端部を取り外すことなく胴体部のみを取り外すことができる。したがって、本発明に係るステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベアによれば、搬送ローラの交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るステルモアコンベアの主な実施形態の概略構造を表す正面図である。
図2図1の搬送ローラの概略構造を表す外観図である。
図3図1のIII-III線断面矢線視図である。
図4図1のステルモアコンベアの搬送ローラ交換作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベアの実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0010】
〈主な実施形態〉
本発明に係るステルモアコンベアの搬送ローラおよびステルモアコンベアの主な実施形態を図1~4に基づいて説明する。
図1に示すように、ステルモアコンベア100の支持フレーム101上には、ピローブロック102が対をなして立設されている。対をなすピローブロック102間には、搬送ローラ110が配設されている。搬送ローラ110は、搬送ローラ110の軸方向と直交する方向に沿って並ぶように複数配列されている。搬送ローラ110は、ピローブロック102に対して回転可能に支持された対をなす軸端部111と、対をなす軸端部111間に配設されると共に軸端部111に同軸をなして着脱可能に連結されて線材1を支承する胴体部112とを備えている。
【0011】
図1,2に示すように、胴体部112は、線材1を支承する胴本体112aと、胴本体112aの軸方向両端側に同軸をなしてそれぞれ設けられた対をなす支持軸112bとを備えている。さらに、胴体部112は、支持軸112bの軸方向外側に同軸をなしてそれぞれ設けられた対をなすフランジ112cと、支持軸112bに同軸をなしてそれぞれ設けられた複数の放熱フィン112dとを備えている。胴体部112は、FCD450等の鋳鉄からなり、一体的に成型されており、放熱フィン112dが削り出しにより形成されている。
【0012】
軸端部111は、ピローブロック102に回転可能に支持される軸本体111aと、胴体部112のフランジ112cと対向するように軸本体111aに同軸をなして設けられたフランジ111cとを備えている。軸端部111は、S45C等の構造用合金鋼等のような硬質鋼からなっている。
そして、搬送ローラ110は、軸端部111のフランジ111cと胴体部112のフランジ112cとを着脱可能に連結する六角穴付きボルト及びナット等からなるねじ部品113を複数(本実施形態では周方向に等間隔で8組、合計16組)備えている。
【0013】
胴体部112の両方の支持軸112bの軸方向内側端部寄りには、線材1の移動方向を規制する壁板104が対をなすようにしてそれぞれ配設されている。壁板104は、搬送ローラ110の径方向と直交する方向、すなわち、搬送ローラ110の配列方向に沿って長手方向を向けるようにして配設されている。搬送ローラ110の軸方向一方側(図1中、右側)の軸端部111の軸本体111aには、スプロケット105が同軸をなして取り付けられている。
【0014】
図3に示すように、隣り合う搬送ローラ110の胴体部112の胴本体112aの間には、当該間を覆うウェアプレート103が配設されている。搬送ローラ110の胴体部112の胴本体112aとウェアプレート103の端部との間の隙間Cは、規定値内(例えば、1.5mm以上5.0mm以下)に収まるように保守管理されている。
図1に示すように、搬送ローラ110の軸方向一端側(図1中、右側)には、作業用の足場10が配設されている。足場10は、搬送ローラ110の軸方向一端側の軸端部111及びスプロケット105の上方を床板11が覆うようにして設置されている。
【0015】
このような本実施形態に係るステルモアコンベア100においては、ビレット等の素材を圧延してレイングヘッドからループ状に送り出された線材1が搬送ローラ110の胴体部112上へループ状に載せられる。ステルモアコンベア100は、スプロケット105に掛けられた図示しないチェーンを走行駆動することにより、搬送ローラ110を回転させて、線材1を搬送する。
【0016】
このとき、線材1は、隣り合う搬送ローラ110の胴体部112の胴本体112aの間に入り込むことなくウェアプレート103上を移動すると共に、胴本体112a上及びウェアプレート103上から外れないように壁板104で移動方向を規制される。また、ステルモアコンベア100は、図示しない送風手段で搬送ローラ110の下方から空気を送給することにより、搬送ローラ110とウェアプレート103との間の隙間Cから空気を送出して線材1の熱を直接空冷すると共に、放熱フィン112dから放出させる。
ステルモアコンベア100で冷却されながら搬送された線材1は、図示しない集束装置に受け渡され、コイル状に巻き取られて集束される。
【0017】
このようにして線材1を搬送し、搬送ローラ110の胴体部112の胴本体112aが摩耗して、隙間Cが規定値外となったら、搬送ローラ110の交換作業を行う。具体的には、対象となる搬送ローラ110を間に挟むように位置するウェアプレート103及び壁板104を取り外した後、搬送ローラ110の軸端部111及び胴体部112のフランジ111c,112cからねじ部品113を取り外す。
【0018】
次に、搬送ローラ110の胴体部112をそのままの状態で上昇させると(図4参照)、軸端部111をピローブロック102に残したまま胴体部112のみが取り外される。そして、ピローブロック102に支持されている軸端部111間に新たな胴体部112を位置付けるように配設した後、軸端部111及び胴体部112のフランジ111c,112cをねじ部品113で連結固定する。続いて、ウェアプレート103及び壁板104を取り外した位置に戻すように再び配設する。以上により、搬送ローラ110の交換作業が終了する。
【0019】
つまり、本実施形態は、軸端部111と胴体部112とをねじ部品113によりフランジ111c,112cを介して着脱可能に連結できる搬送ローラ110としたのである。
このため、本実施形態に係るステルモアコンベア100は、ピローブロック102から軸端部111を抜き出さなくても、胴体部112を上昇移動させるだけで取り外すことができる。これにより、本実施形態に係るステルモアコンベア100は、搬送ローラ110を軸方向へ引き抜く必要がなく、足場10の床板11や走行駆動用のチェーン等をわざわざ取り外さずに済ますことができる。
【0020】
よって、本実施形態に係るステルモアコンベア100は、搬送ローラ110の摩耗した胴体部112を交換することが容易にできる。したがって、本実施形態に係るステルモアコンベア100によれば、交換に要する手間を従来(1本当たり約8時間)よりも大幅に低減することができるので(1本当たり約4時間)、生産性を大きく向上させることができる。
また、ピローブロック102に回転可能に支持される軸端部111が、S45C等の構造用合金鋼等のような硬質鋼からなるので、従来のような鋳鉄(FCD)の場合よりも、耐摩耗性を著しく向上でき、軸端部111の交換頻度を大幅に低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係るステルモアコンベアの搬送ローラや本発明に係るステルモアコンベアは、搬送ローラの交換作業を容易に行うことができるので、鉄鋼産業等において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 線材
10 足場
11 床板
100 ステルモアコンベア
101 支持フレーム
102 ピローブロック
103 ウェアプレート
104 壁板
105 スプロケット
110 搬送ローラ
111 軸端部
111a 軸本体
111c フランジ
112 胴体部
112a 胴本体
112b 支持軸
112c フランジ
112d 放熱フィン
113 ねじ部材
図1
図2
図3
図4