(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071738
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】ガラスパネルユニットの製造方法、ガラスパネルユニット、ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムの製造方法及びガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルム
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20220509BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C03C27/06 101E
E06B3/663 A
E06B3/663 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180854
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592166137
【氏名又は名称】河村産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瓜生 英一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 将
(72)【発明者】
【氏名】川波 栄治
(72)【発明者】
【氏名】前田 拓也
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA01
2E016EA05
2E016GA01
4G061AA13
4G061BA01
4G061CB02
4G061CD02
4G061CD22
4G061CD23
4G061DA24
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、減圧空間の真空度が悪化しにくく、製造しやすいガラスパネルユニットとその製造方法、ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムとその製造方法を提供することである。
【解決手段】ガラスパネルユニット10の製造方法では、ガラス板上に封着材及びピラー70を配置して、一対のガラス板を対向させ、封着材を溶融させて内部空間500を形成し、内部空間500を減圧して封止する。ピラー70の製造方法は、ポリイミド系フィルムにプラズマ処理を施すプラズマ処理工程、0℃以上80℃以下の温度環境下で、二枚のポリイミド系フィルムを水性液体を介して重ね合わせる重ね合わせ工程、最高到達温度が300℃以上となるように加熱して積層ポリイミド系フィルム92を得る熱処理工程、積層ポリイミド系フィルム92を切断してピラー70を形成するピラー形成工程を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ガラス板又は第2ガラス板上に封着材を配置する封着材配置工程と、
前記第1ガラス板又は前記第2ガラス板上に所定のピラー製造方法により製造されたピラーを配置するピラー配置工程と、
前記第1ガラス板と前記第2ガラス板とを互いに対向するように配置する対向配置工程と、
前記封着材を溶融させ、外部空間に排気可能な排気経路を除いて前記第1ガラス板と前記第2ガラス板と前記封着材とで囲まれた内部空間を形成する接合工程と、
前記内部空間の気体を排出して前記内部空間を減圧する減圧工程と、
減圧した状態を維持したまま前記内部空間を封止し、密閉された減圧空間を形成する封止工程と、を備え、
前記所定のピラー製造方法は、
少なくとも一枚のポリイミド系フィルムの少なくとも片面にプラズマ処理を施してこの面をプラズマ処理面とするプラズマ処理工程と、
0℃以上かつ80℃以下のいずれかの温度環境下で、前記プラズマ処理面を有する前記ポリイミド系フィルムと、このポリイミド系フィルムとは別のポリイミド系フィルムとを、前記プラズマ処理面と前記別のポリイミド系フィルムの表面とが水を主成分とする水性液体を介して対向するように重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚の前記ポリイミド系フィルムと前記水性液体とを、最高到達温度が300℃以上となるように加熱する熱処理工程と、
前記熱処理工程により得られた積層ポリイミド系フィルムを切断して前記ピラーを形成するピラー形成工程と、を有する
ガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項2】
前記所定のピラー製造方法は、巻き取り工程を更に有し、
前記巻き取り工程は、前記熱処理工程より前か又は前記熱処理工程中に、前記重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚の前記ポリイミド系フィルムと前記水性液体とを巻き取る工程である
請求項1記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項3】
前記巻き取り工程において、前記ポリイミド系フィルムと金属箔とを伴巻きする
請求項2記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項4】
前記金属箔がステンレス箔である
請求項3記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項5】
前記ポリイミド系フィルムの表面の任意の10点における平均粗さRzが0.6μm以下である
請求項1~4のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項6】
前記積層ポリイミド系フィルムにおける前記ポリイミド系フィルム同士の接着強度が1.0N/cm以上である
請求項1~5のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項7】
前記プラズマ処理工程において、少なくとも二枚の前記ポリイミド系フィルムにプラズマ処理を施してそれぞれに前記プラズマ処理面を形成し、
前記重ね合わせ工程において、前記プラズマ処理面同士が水性液体を介して対向するように重ね合わせられる
請求項1~6のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法により製造される
ガラスパネルユニット。
【請求項9】
少なくとも一枚のポリイミド系フィルムの少なくとも片面にプラズマ処理を施してこの面をプラズマ処理面とするプラズマ処理工程と、
0℃以上かつ80℃以下のいずれかの温度環境下で、前記プラズマ処理面を有する前記ポリイミド系フィルムと、このポリイミド系フィルムとは別のポリイミド系フィルムとを、前記プラズマ処理面と前記別のポリイミド系フィルムの表面とが水を主成分とする水性液体を介して対向するように重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚の前記ポリイミド系フィルムと前記水性液体とを、最高到達温度が300℃以上となるように加熱する熱処理工程と、を有する
ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムの製造方法により製造される
ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラスパネルユニットとその製造方法、ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラスパネルユニットが開示されている。このガラスパネルユニットは、第1ガラスパネルと、第2ガラスパネルと、第1ガラスパネルと第2ガラスパネルとを枠状に気密に接合するシールと、これらに囲まれた真空空間と、第1ガラスパネルと第2ガラスパネルとの間に配置されたスペーサと、を備えている。スペーサは、少なくとも1つの樹脂フィルムを含む2以上のフィルムの積層体である。樹脂フィルムは、例えばポリイミドフィルムであり、2以上のフィルムは、例えばポリアミド酸からなる接着剤によりで接着されている。
【0003】
このような樹脂フィルムの積層体の製造方法として、特許文献2に開示されるフィルム積層体製造方法が知られている。このフィルム積層体製造方法では、まず、第一のポリイミドフィルムの少なくとも片面に反応性液体を塗布する。反応性液体を塗布した後、5分以内に、第一のポリイミドフィルムの反応性液体塗布面に第二のポリイミドフィルムをロールラミネーターを用いて連続的に積層する。次に、得られた積層フィルムを、CTE(Coefficient of Thermal Expansion)20ppm/℃以上150ppm/℃以下の素材からなるコアに巻き取る。これらの工程を経て、ポリイミドフィルム積層体が得られる。反応性液体としては、シランカップリング剤をはじめ、不飽和二重結合を有する化合物、エポキシ基といった様々な化合物が適用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/084382号
【特許文献2】国際公開第2019/135366号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなフィルム積層体製造方法で製造されたフィルム積層体をガラスパネルユニットのスペーサとして用いると、樹脂フィルム間に介在する接着剤からガスが放出されるおそれがあり、接着剤からガスが放出されると真空空間の真空度が悪化しやすくなるものであった。
【0006】
また、上述したようなフィルム積層体製造方法でフィルム積層体を製造する場合、ポリイミドフィルム間に介在する反応性液体がポリイミドフィルムの端縁からはみ出るおそれがあり、製造しにくいものであった。
【0007】
本開示の課題は、減圧空間の真空度が悪化しにくく、製造しやすいガラスパネルユニットの製造方法、ガラスパネルユニット、ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムの製造方法及びガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るガラスパネルユニットの製造方法は、封着材配置工程と、ピラー配置工程と、対向配置工程と、接合工程と、減圧工程と、封止工程と、を備える。前記封着材配置工程は、第1ガラス板又は第2ガラス板上に封着材を配置する工程である。前記ピラー配置工程は、前記第1ガラス板又は前記第2ガラス板上に所定のピラー製造方法により製造されたピラーを配置する工程である。前記対向配置工程は、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板とを互いに対向するように配置する工程である。前記接合工程は、前記封着材を溶融させ、外部空間に排気可能な排気経路を除いて前記第1ガラス板と前記第2ガラス板と前記封着材とで囲まれた内部空間を形成する工程である。前記減圧工程は、前記内部空間の気体を排出して前記内部空間を減圧する工程である。前記封止工程は、減圧した状態を維持したまま前記内部空間を封止し、密閉された減圧空間を形成する工程である。
【0009】
前記所定のピラー製造方法は、プラズマ処理工程と、重ね合わせ工程と、熱処理工程と、ピラー形成工程と、を有する。前記プラズマ処理工程は、少なくとも一枚のポリイミド系フィルムの少なくとも片面にプラズマ処理を施してこの面をプラズマ処理面とする工程である。前記重ね合わせ工程は、0℃以上かつ80℃以下のいずれかの温度環境下で、前記プラズマ処理面を有する前記ポリイミド系フィルムと、このポリイミド系フィルムとは別のポリイミド系フィルムとを、前記プラズマ処理面と前記別のポリイミド系フィルムの表面とが水を主成分とする水性液体を介して対向するように重ね合わせる工程である。前記熱処理工程は、前記重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚の前記ポリイミド系フィルムと前記水性液体とを、最高到達温度が300℃以上となるように加熱する工程である。前記ピラー形成工程は、前記熱処理工程により得られた積層ポリイミド系フィルムを切断して前記ピラーを形成する工程である。
【0010】
本開示の一態様に係るガラスパネルユニットは、前記ガラスパネルユニットの製造方法により製造される。
【0011】
本開示の一態様に係るガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムの製造方法は、プラズマ処理工程と、重ね合わせ工程と、熱処理工程と、を有する。前記プラズマ処理工程は、少なくとも一枚のポリイミド系フィルムの少なくとも片面にプラズマ処理を施してこの面をプラズマ処理面とする工程である。前記重ね合わせ工程は、0℃以上かつ80℃以下のいずれかの温度環境下で、前記プラズマ処理面を有する前記ポリイミド系フィルムと、このポリイミド系フィルムとは別のポリイミド系フィルムとを、前記プラズマ処理面と前記別のポリイミド系フィルムの表面とが水を主成分とする水性液体を介して対向するように重ね合わせる工程である。前記熱処理工程は、前記重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚の前記ポリイミド系フィルムと前記水性液体とを、最高到達温度が300℃以上となるように加熱する工程である。
【0012】
本開示の一態様に係るガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムは、前記ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムの製造方法により製造される。
【発明の効果】
【0013】
本開示の上記態様によれば、ガラスパネルユニットの減圧空間の真空度が悪化しにくく、ガラスパネルユニット又は積層ポリイミド系フィルムを製造しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aは、第1実施形態に係るガラスパネルユニットの中間体である組立て品を示す平面図である。
図1Bは、
図1AのA-A線断面図である。
【
図2】
図2は、同上のガラスパネルユニットを示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るガラスパネルユニットの製造方法の説明図である。
【
図4】
図4Aは、同上のガラスパネルユニットの製造過程における、ピラー配置工程のうちのセット工程を示す側面図である。
図4Bは、同上のガラスパネルユニットの製造過程における、ピラー配置工程のうちのピラー載置工程を示す側面図である。
図4Cは、同上のガラスパネルユニットの製造過程における、ピラー配置工程のうちの変位工程を示す側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るガラスパネルユニットの製造方法の説明図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るガラスパネルユニットの製造方法の説明図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るガラスパネルユニットの製造方法の説明図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るガラスパネルユニットの製造方法の説明図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るガラスパネルユニットの製造方法の説明図である。
【
図10】
図10は、熱処理時間-アウトガス量の関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、ガラスパネルユニットとその製造方法、ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムとその製造方法に関する。より詳細には、本開示は、第1ガラス板、第2ガラス板、封着材、ピラー及び減圧空間を有するガラスパネルユニットとその製造方法、ガラスパネルユニット用の積層ポリイミド系フィルムとその製造方法に関する。
【0016】
<第1実施形態>
本実施形態に係るガラスパネルユニット10及びその製造方法の概要を説明する。
【0017】
図2に示すように、ガラスパネルユニット10は、第1ガラス板20と、第1ガラス板20に対向する第2ガラス板30と、枠体40と、減圧空間50と、ガス吸着体60と、を備える。枠体40は、第1ガラス板20と第2ガラス板30とを気密に接合する。減圧空間50は、第1ガラス板20と、第2ガラス板30と、枠体40とで囲まれる。ガス吸着体60は、減圧空間50内に配置される。ガス吸着体60は、ゲッタ材を含有する。
【0018】
ガラスパネルユニット10の製造方法は、組立工程(
図3~
図6参照)と、接合工程(第1溶融工程、
図7参照)と、排気工程(減圧工程)(
図7参照)と、封止工程(
図7及び
図8参照)と、除去工程と、を含む。組立工程は、組立て品100を用意する工程である。組立て品100は、第1ガラス板200と、第2ガラス板300と、枠状の周壁410と、内部空間500と、ガス吸着体60と、排気口700とを備える(
図1A及び
図1B参照)。第2ガラス板300は、第1ガラス板200に対向する。周壁410は、第1ガラス板200と第2ガラス板300との間にある。内部空間500は、第1ガラス板200と、第2ガラス板300と、周壁410とで囲まれる。ガス吸着体60は、内部空間500内に配置され、かつ上記のゲッタ材を含有する。排気口700は、内部空間500と外部空間とをつなぐ。接合工程は、周壁410を溶融させて第1ガラス板200と第2ガラス板300とを気密に接合させる工程である。排気工程は、排気口700を介して内部空間500の気体を排出して内部空間500を減圧し、減圧空間50とする工程である。ガラスパネルユニット10の製造方法(以下、製造方法という場合がある)を、
図1~
図9を参照して詳細に説明する。この製造方法は、
図2のようなガラスパネルユニット10を製造する方法である。なお、本実施形態では、方向D1は第1ガラス板200の厚み方向と平行な方向であり、方向D2は、方向D1と直交する方向であり、方向D3は方向D1及び方向D2と直交する方向である。また方向D1は第1方向であってもよく、方向D2は第2方向であってもよく、方向D3は第3方向であってもよい。
【0019】
封止工程までの工程は、
図8に示す仕掛り品110を用意する工程である。仕掛り品110は、
図1A及び
図1Bに示す組立て品100から形成される。すなわち、仕掛り品110はガラスパネルユニット10(
図2参照)を作製するための中間生成物であり、組立て品100は仕掛り品110を作製するための中間生成物である。
【0020】
組立工程は、組立て品100を用意する工程である。組立て品100は、
図1A及び
図1Bに示すように、第1ガラス板200と、第2ガラス板300と、周壁410と、仕切り420と、を備える。また、組立て品100は、第1及び第2ガラス板200,300と周壁410とで囲まれた内部空間500を有する。さらに、組立て品100は、内部空間500内に、ガス吸着体60と、複数のピラー(スペーサ)70と、を備える。さらに、組立て品100は、排気口700を備える。
【0021】
第1ガラス板(第1ガラス基板)200は、後述の第1ガラス板20の基礎となる部材であり、第1ガラス板20と同じ材料で形成されている。第2ガラス板(第2ガラス基板)300は、後述の第2ガラス板30の基礎となる部材であり、第2ガラス板30と同じ材料で形成されている。第1及び第2ガラス板200,300は同じ平面形状である。本実施形態では、第1ガラス板200は、後述の第1ガラス板20を少なくとも1つ形成可能な大きさを有し、第2ガラス板300は、後述の第2ガラス板30を少なくとも1つ形成可能な大きさを有する。
【0022】
第1及び第2ガラス板200,300はいずれも多角形(本実施形態では長方形)の平板状である。
【0023】
第1ガラス板200は、本体210と、低放射膜220とを含む。低放射膜220は、内部空間500内にあり、本体210を覆う。低放射膜220は、本体210に接している。低放射膜220は、赤外線反射膜とも呼ばれ、透光性を有するものの、赤外線を反射する。このため、低放射膜220は、ガラスパネルユニット10の断熱性を向上させることができる。低放射膜220は、例えば、金属製の薄膜である。低放射膜220は、例えば、銀を含有する。低放射膜220の一例は、Low-E膜である。
【0024】
第1ガラス板200は、上記の通り、本体210を含む。本体210は、第1面211と第2面212とを有する。第1面211は、平坦な面であって、低放射膜220に覆われる。第2面212は、第1面211と平行で、かつ平坦な面であって、方向D1において内部空間500と反対側にある。本体210は、第1ガラス板200の主な形状を構成するため、矩形の平板状である。本体210の材料は、例えば、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラム、物理強化ガラスである。
【0025】
第2ガラス板300は、本体310を含む。本体310は、第1面311と第2面312とを有する。第1面311は、平坦な面であって、低放射膜220と対向する。第2面312は、第1面311と平行で、かつ平坦な面であって、方向D1において内部空間500と反対側にある。本体310は、第2ガラス板300の主な形状を構成するため、矩形の平板状である。本体310は、本体210と同形状である。第2ガラス板300は、本実施形態では、本体310のみからなるが、本体310に加えて低放射膜220と同様の低放射膜を備えてもよい。第2ガラス板300が低放射膜を備える場合、この低放射膜は、内部空間500内で、本体310を覆い、かつ本体310に接する。本体310の材料は、例えば、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラム、物理強化ガラスである。
【0026】
周壁410は、第1封着材(第1熱接着剤)を含む。周壁410は、第1ガラス板200と第2ガラス板300との間に配置される。周壁410は、
図1Aに示すように、枠状である。特に、周壁410は、矩形の枠状である。周壁410は、第1及び第2ガラス板200,300の外周に沿って形成されている。これにより、組立て品100では、周壁410と第1ガラス板200と第2ガラス板300とで囲まれた内部空間500が形成される。
【0027】
第1熱接着剤は、例えば、ガラスフリットを含む。ガラスフリットの例としては、低融点ガラスフリットが挙げられる。低融点ガラスフリットの例としては、ビスマス系ガラスフリット、鉛系ガラスフリット、バナジウム系ガラスフリットが挙げられる。本実施形態では、第1熱接着剤はバナジウム系ガラスフリットにより構成される。また、第1熱接着剤は、ガラスフリットに限定されず、例えば、低融点金属、又はホットメルト接着材を含むことができる。第1熱接着剤は、有機バインダ及び有機溶剤のうちの一方または両方をさらに含んでもよい。この場合、封止工程(第2溶融工程)後に有機バインダ及び有機溶剤のうちの一方または両方に由来するガスが減圧空間50に放出されても、このガスをガス吸着体60が吸着することにより、減圧空間50内にガスが残りにくくなる。
【0028】
有機バインダは、例えば樹脂を含む。この樹脂として、例えば、ポリイソブチルメタアクリレート、エチルセルロース、脂肪族ポリカーボネート、アクリル樹脂、及びブチラール樹脂が挙げられる。有機バインダは、上記の樹脂に限らず、任意の成分を含むことができる。有機バインダを構成する樹脂は、低分子量で分解しやすい樹脂であることが好ましい。
【0029】
有機溶剤として、例えば、酢酸ブチルカルビトール、及び酢酸エチルカルビトール等のエステル類が挙げられる。しかし、有機溶剤は、上記の成分に限らず、テルペン系溶剤などの一般的なスクリーン印刷に用いられる溶剤、及びディスペンス塗布に用いられる溶剤のうち少なくとも1種を含んでもよい。
【0030】
周壁410が樹脂をさらに含有する場合、組立工程の後、この樹脂に由来するガスが内部空間500内に放出されても、樹脂に由来するガスは、排気工程によって排気される。排気工程後、樹脂に由来するガスが残留ガスとして減圧空間50内に存在しても、この残留ガスをガス吸着体60が吸着することができる。
【0031】
仕切り420は、内部空間500内に配置される。仕切り420は、内部空間500を、第1空間510と、第2空間(通気空間)520とに仕切る。このため、第1空間510は排気工程で排気される空間であり、第2空間520は第1空間510の排気に使用される空間である。仕切り420は、第1空間510が第2空間520よりも大きくなるように、第2ガラス板300の中央よりも第2ガラス板300の長さ方向(
図1Aにおける左右方向)の第1端側(
図1Aにおける右端側)に形成される。仕切り420は、第2ガラス板300の幅方向(
図1Aにおける上下方向)に沿うようにして内部空間500内に配置される。ただし、仕切り420の長さ方向の両端は、周壁410と接していない。本実施形態では、第2ガラス板300の幅方向は方向D2と平行であり、第2ガラス板300の長さ方向は方向D3と平行である。
【0032】
仕切り420は、その本体を構成する本体部(仕切り本体部)421と、遮断部422とを備える。遮断部422は、第1遮断部4221と、第2遮断部4222とを備える。本体部421は、方向D2に沿う直線状である。この方向D2は、例えば、第2ガラス板300の幅方向である。また、方向D2において、本体部421の両端は、周壁410と接触していない。本体部421の両端のうち、一端から第2空間520に向かって延びるようにして第1遮断部4221が形成され、他端から第2空間520に向かって延びるようにして第2遮断部4222が形成されている。本体部421の一端は第1端であってもよく、他端は第2端であってもよい。
【0033】
仕切り420は、第2封着材(第2熱接着剤)を含む。第2熱接着剤は、例えば、ガラスフリットである。ガラスフリットの例としては、低融点ガラスフリットが挙げられる。低融点ガラスフリットの例としては、ビスマス系ガラスフリット、鉛系ガラスフリット、バナジウム系ガラスフリットが挙げられる。本実施形態では、第2熱接着剤はバナジウム系ガラスフリットにより構成される。また、第2熱接着剤は、ガラスフリットに限定されず、例えば、低融点金属、またはホットメルト接着材であってもよい。なお、本実施形態では、第1熱接着剤と第2熱接着剤とは同じものを使用している。つまり、第1封着材と第2封着材とは、同じ材料である。
【0034】
通気路600は、
図1Aに示すように、内部空間500内で第1空間510と第2空間520とをつなぐ。通気路600は、第1通気路610と、第2通気路620と、を含む。第1通気路610は、仕切り420の第1端(
図1Aの上端)と周壁410との間に介在する隙間である。第2通気路620は、仕切り420の第2端(
図1Aの下端)と周壁410との間に介在する隙間である。
【0035】
排気口700は、第2空間520と外部空間とをつなぐ孔である。排気口700は、第2空間520および通気路600(第1通気路610及び第2通気路620)を介して第1空間510を排気するために用いられる。したがって、通気路600と第2空間520と排気口700とは、第1空間510を排気するための排気路を構成する。排気口700は、第2空間520と外部空間とをつなぐように第2ガラス板300に形成されている。具体的には、排気口700は、第2ガラス板300の角部分にある。
【0036】
ガス吸着体60及び複数のピラー70は第1空間510内に配置されている。特に、ガス吸着体60は、第2ガラス板300の長さ方向の第2端側(
図1Aにおける左端側)に、第2ガラス板300の幅方向に沿って形成されている。つまり、ガス吸着体60は、第1空間510(減圧空間50)の端に配置される。このようにすれば、ガス吸着体60を目立たなくすることができる。また、ガス吸着体60は、仕切り420および通気路600から離れた位置にある。そのため、第1空間510の排気時に、ガス吸着体60が排気を妨げる可能性を低くできる。
【0037】
組立工程は、組立て品100を得るために、第1ガラス板200、第2ガラス板300、周壁410、仕切り420、内部空間500、通気路600、排気口700、ガス吸着体60、及び複数のピラー70を形成する工程である。組立工程は、第1~第6工程を有する。なお、第2~第5工程の順番は、適宜変更してもよい。
【0038】
第1工程は、第1ガラス板200及び第2ガラス板300を形成する工程(基板形成工程)である。例えば、第1工程では、第1ガラス板200及び第2ガラス板300を作製し、必要に応じて、第1ガラス板200及び第2ガラス板300を洗浄する。
【0039】
第2工程は、排気口700を形成する工程(排気口形成工程)である。第2工程では、第2ガラス板300に、排気口700を形成する。また、第2工程では、必要に応じて、第2ガラス板300を洗浄する。
【0040】
第3工程は、第1ガラス板200又は第2ガラス板300上に所定のピラー製造方法により製造されたピラー70を配置する工程(ピラー配置工程)である(
図3参照)。ピラー配置工程について、
図4A~
図4Cに基づいて説明する。このピラー配置工程は、セット工程、ピラー載置工程、変位工程、を順に有する。
【0041】
図4Aに示すセット工程では、第2ガラス板300、抜き型91、積層ポリイミド系フィルム92及びパンチ部93が、この順で下から上に位置するようにセットされる。積層ポリイミド系フィルム92は、抜き型91の上面に被せられる。パンチ部93を構成するパンチ94は、積層ポリイミド系フィルム92を挟んで、抜き型91が備える貫通孔95の真上に位置する。
【0042】
図4Bに示すピラー載置工程では、パンチ部93が、下方に向けて一直線状の軌道で打ち込まれる。パンチ部93が下方に打ち込まれることで、柱状のパンチ94が、積層ポリイミド系フィルム92の一部96を、抜き型91の貫通孔95を通じて下方に打ち抜く(
図4Bの白抜き矢印参照)。
【0043】
パンチ94によって打ち抜かれた積層ポリイミド系フィルム92の一部96は、パンチ94の先端面に当たった状態で、第2ガラス板300の一面97に押し当てられる。
【0044】
積層ポリイミド系フィルム92の一部96は、パンチ94の先端面によって、所定の圧力で所定時間だけ第2ガラス板300の一面97上に押し付けられることで、一面97上に仮固定される。仮固定された積層ポリイミド系フィルム92の一部96は、一面97上のピラー70を構成する。
【0045】
図4Cに示す変位工程では、白抜き矢印で示されるように、パンチ部93が上方に移動した後に、第2ガラス板300と積層ポリイミド系フィルム92が水平方向に移動する。第1実施形態では、第2ガラス板300と積層ポリイミド系フィルム92の互いの移動方向が同一であるが、第2ガラス板300と積層ポリイミド系フィルム92の互いの移動方向が相違することも有り得る。以上が、第3工程であるが、第3工程は上述した工程に限定されない。
【0046】
なお、ピラー70の大きさ、ピラー70の数、ピラー70の間隔、ピラー70の配置パターンは、適宜選択することができる。各ピラー70は、上記所定間隔とほぼ等しい高さを有する円柱状である。例えば、ピラー70は、直径が1mm、高さが100μmである。なお、各ピラー70は、角柱状や球状などの所望の形状であってもよい。ピラー70の製造方法については後述する。
【0047】
第4工程は、ガス吸着体60を形成する工程(ガス吸着体形成工程)である(
図3参照)。第4工程では、ディスペンサなどを利用して、ゲッタペーストを第2ガラス板300上に塗布する。ゲッタペーストは、例えば、ゼオライトと、溶媒(水又は有機溶剤)とを含有する。塗布後のゲッタペーストを乾燥させて溶媒を蒸発させて、ゼオライトの粉末を第2ガラス板300上に付着させることにより、ガス吸着体60が形成される。すなわち、次の第5工程は、ゲッタペーストを乾燥する乾燥工程を含む。ゲッタペーストを乾燥することにより、ゲッタ材のガス吸着性を回復させることができる。また、ゲッタペーストを塗布することにより、ガス吸着体60を小さくできる。したがって、第1空間510が狭くてもガス吸着体60を配置できる。
【0048】
第5工程は、第1ガラス板20又は第2ガラス板30上に封着材(周壁410)を配置する工程(封着材配置工程)である。具体的には、第5工程では、周壁410、及び仕切り420を配置する(
図3参照)。第5工程では、ディスペンサなどを利用して、第1封着材を第2ガラス板300上に塗布し、その後第1封着材を乾燥させて周壁410を形成する。また、ディスペンサなどを利用して、第2封着材を第2ガラス板300上に塗布し、その後第2封着材を乾燥させて仕切り420を形成する。
【0049】
第1工程から第5工程が終了することで、
図3に示されるような、第2ガラス板300が得られる。この第2ガラス板300には、周壁410、仕切り420、通気路600、排気口700、ガス吸着体60及び複数のピラー70が形成されている。
【0050】
第6工程は、第1ガラス板200と第2ガラス板300とを互いに対向するように配置する工程(対向配置工程)である。第6工程では、
図5に示すように、第1ガラス板200と第2ガラス板300とは、互いに平行かつ対向するように配置される。
【0051】
上述した組立工程によって、
図6に示す組立て品100が得られる。そして、組立工程の後には、
図7に示すような、第1溶融工程(接合工程)と、排気工程と、第2溶融工程(封止工程)とが実行される。
【0052】
第1溶融工程は、封着材を溶融させ、外部空間に排気可能な排気経路を除いて第1ガラス板20と第2ガラス板30と封着材(周壁410)とで囲まれた内部空間500を形成する工程である。具体的には、第1溶融工程では、周壁410を一旦溶融させて周壁410で第1ガラス板200と、第2ガラス板300とを気密に接合する。第1ガラス板200及び第2ガラス板300は、溶融炉内に配置され、第1溶融温度Tm1で所定時間(第1溶融時間)tm1だけ加熱される(
図7参照)。本実施形態では、第1封着材と第2封着材とが、上記の通り、同じ材料であるため、第1封着材の軟化点(第1軟化点)は、第2封着材の軟化点(第2軟化点)と同じである。このため、第1溶融温度Tm1は、第1及び第2軟化点以上に設定される。第1溶融温度Tm1が第1及び第2軟化点以上であっても、第1溶融工程では仕切り420は通気路600を塞がない。すなわち、第1溶融工程では通気路600を確保している。第1溶融工程において、例えば、第1及び第2軟化点が265℃で、第1溶融温度Tm1は、290℃に設定される。また、第1溶融時間tm1は、例えば、15分である。
【0053】
本実施形態において、第1軟化点が第2軟化点と同じである態様は、第1軟化点が第2軟化点と厳密に同じである態様だけでなく、第1軟化点が第2軟化点と略同じである態様も含む。
【0054】
第1溶融温度Tm1で周壁410を加熱することにより、仕切り420の変形を抑制しながらも、周壁410を軟化させることができる。これにより、周壁410によって第1ガラス板200と第2ガラス板300とを気密に接合しやすくなる。
【0055】
排気工程は、通気路600と第2空間520と排気口700とを介して第1空間510を排気して第1空間510を減圧空間50とする工程である。排気は、例えば、真空ポンプを用いて行われる。真空ポンプは、
図6に示されるように、排気管810と、シールヘッド820と、により組立て品100に接続される。排気管810は、例えば、排気管810の内部と排気口700とが連通するように第2ガラス板300に接合される。そして、排気管810にシールヘッド820が取り付けられ、これによって、真空ポンプの吸気口が排気口700に接続される。第1溶融工程と排気工程と第2溶融工程とは、組立て品100を溶融炉内に配置したまま行われる。そのため、排気管810は、少なくとも第1溶融工程の前に、第2ガラス板300に接合される。
【0056】
排気工程では、第2溶融工程の開始前までに、排気温度Te以上で所定時間(排気時間)te以上、通気路600と第2空間520と排気口700とを介して第1空間510を排気する(
図7参照)。排気温度Teは、第2封着材の第2軟化点(例えば265℃)より低く設定される。例えば、排気温度Teは、250℃である。このようにすれば、排気工程でも仕切り420は変形しない。排気工程の際、ガス吸着体60中の少なくとも水分が気化して第1空間510内に放出され、第1空間510は、通気路600、第2空間520、及び、排気口700を通じて排出される。ガス吸着体60から放出された水分が排気されることで、ゲッタ材のガス吸着性をさらに回復させることができる。排気時間teは、所望の真空度(例えば、0.1Pa以下の真空度)の減圧空間50が得られるように設定される。例えば、排気時間teは、30分に設定される。また、このときのガス吸着体60の活性化温度は排気温度Teとなる。
【0057】
第2溶融工程(封止工程)は、減圧した状態を維持したまま内部空間500を封止し、密閉された減圧空間50を形成する工程である。具体的には、第2溶融工程では、
図8に示すように、仕切り420を変形させて少なくとも通気路600を塞ぐことで隔壁42を形成して仕掛り品110を得る。つまり、第2溶融工程では、仕切り420を変形させて、通気路600を塞ぐ。言い換えると、変形した仕切り420により第1空間510が塞がれて、第1空間510と第2空間520とが分離される。これにより、減圧空間50を囲む枠体40が形成される(
図8参照)。本実施形態では、仕切り420の長さ方向の両端(第1及び第2遮断部4221、4222)が周壁410に接して一体となるように、仕切り420を変形させている。これによって、内部空間500を第1空間510(減圧空間50)と第2空間520とに気密に分離する隔壁42が形成される。より詳細には、第2封着材の第2軟化点以上の所定温度(第2溶融温度)Tm2で仕切り420を一旦溶融させることで、仕切り420を変形させる。具体的には、第1ガラス板200及び第2ガラス板300は、溶融炉内で、第2溶融温度Tm2で所定時間(第2溶融時間)tm2だけ加熱される(
図7参照)。第2溶融温度Tm2及び第2溶融時間tm2は、仕切り420が軟化し、通気路600が塞がれるように設定される。第2溶融温度Tm2の下限は、第2軟化点(例えば265℃)である。第2溶融温度Tm2は、例えば、300℃に設定される。また、第2溶融時間tm2は、例えば、30分である。本実施形態の封止工程は第2溶融工程であるが、封止工程は、要するに、減圧空間50を、減圧空間50以外の空間から空間的に分離する工程である。減圧空間50以外の空間は、本実施形態では、第2空間520に相当する。
【0058】
本実施形態では、
図7に示すように、排気工程は、第1溶融工程の後に開始され、第2溶融工程の終了とともに終了している。このため、第2溶融工程の際に、通気路600と第2空間520と排気口700とを介して第1空間510が排気されている。そのため、組立て品100の内外の圧力差が生じ、この圧力差によって、第1及び第2ガラス板200,300が互いに接近するように移動させられる。これにより、第2溶融工程では、第2溶融温度Tm2で、通気路600と第2空間520と排気口700とを介して第1空間510を排気しながら、仕切り420を変形させて通気路600を塞ぐ隔壁42を形成する。
【0059】
また、
図7に示す第2溶融工程では、第2溶融時間tm2が経過した後、溶融炉内の温度を室温まで等速で冷却する。そして、シールヘッド820を取り外すことで、第2溶融工程及び排気工程を終了する。
【0060】
第2溶融工程及び排気工程が終了することによって、
図8に示す仕掛り品110が得られる。仕掛り品110は、
図8に示すように、第1ガラス板200と、第2ガラス板300と、周壁41と、隔壁42と、を備える。また、仕掛り品110は、減圧空間50と、第2空間520とを有する。さらに、仕掛り品110は、減圧空間50内に、ガス吸着体60と、複数のピラー70と、を備える。さらに、仕掛り品110は、排気口700を備える。
【0061】
第1及び第2ガラス板200,300はいずれも矩形の平板状である。第1及び第2ガラス板200,300は同じ平面形状である。
【0062】
隔壁42は、減圧空間50を第2空間520から(空間的に)分離する。言い換えれば、仕掛り品110の第2空間520は排気口700を介して外部空間と(空間的に)繋がっているため、隔壁42は、減圧空間50と外部空間とを分離する。そして、隔壁42と周壁410とが一体となって、減圧空間50を囲む枠体40を構成する。枠体40は、減圧空間50を完全に囲むとともに、第1ガラス板200と第2ガラス板300とを気密に接合する。
【0063】
ガス吸着体60は、減圧空間50内に配置される。具体的には、ガス吸着体60は、長尺の平板状であり、第2ガラス板300に配置されている。ガス吸着体60は、不要なガス(残留ガス等)を吸着するために用いられる。不要なガスは、例えば、枠体40となる熱接着剤(第1熱接着剤、及び第2熱接着剤)が加熱される際に、熱接着剤から放出されるガスである。
【0064】
複数のピラー70は、減圧空間50内に配置されている。複数のピラー70は、第1及び第2ガラス板200,300間の距離を所望の値に維持するために使用される。
【0065】
減圧空間50は、上記の通り、第2空間520及び排気口700を介して第1空間510を排気することで形成される。換言すれば、減圧空間50は、真空度が所定値以下の第1空間510である。所定値は、たとえば、0.1Paである。減圧空間50は、第1ガラス板200と第2ガラス板300と枠体40とで完全に密閉されているから、第2空間520及び排気口700から分離されている。
【0066】
除去工程は、第2溶融工程及び排気工程が終了した後に実行される。除去工程は、
図9に示すように、仕掛り品110から第2空間520を有する部分11を除去することで、減圧空間50を有する部分であるガラスパネルユニット10を得る工程である。
【0067】
ガラスパネルユニット10は、第1ガラス板20と、第2ガラス板30と、を備える。第1ガラス板20は、第1ガラス板200のうち第1空間510(減圧空間50)に対応する部分であり、第2ガラス板30は、第2ガラス板300のうち第1空間510(減圧空間50)に対応する部分である。
【0068】
一方、不要な部分11は、第1ガラス板200のうち第2空間520に対応する部分230と、第2ガラス板300のうち第2空間520に対応する部分320と、を含む。なお、ガラスパネルユニット10の製造コストを考慮すれば、不要な部分11は小さいほうが好ましい。
【0069】
除去工程では、具体的には、溶融炉から取り出された仕掛り品110は、隔壁42に沿って切断され、減圧空間50を有する部分(ガラスパネルユニット)10と、第2空間520を有する部分(不要な部分)11と、に分割される。なお、仕掛り品110を切断する部分(切断線)の形状は、ガラスパネルユニット10の形状によって定まる。ガラスパネルユニット10は矩形状であるから、切断線は隔壁42の長さ方向に沿った直線となっている。
【0070】
上述の組立工程~除去工程を経て、
図2に示すガラスパネルユニット10が得られる。
【0071】
図2は、本実施形態のガラスパネルユニット(ガラスパネルユニットの完成品)10を示す。ガラスパネルユニット10は、第1ガラス板20と、第2ガラス板30と、枠体40と、を備える。また、ガラスパネルユニット10は、第1及び第2ガラス板20,30と枠体40とで囲まれた減圧空間50を有する。さらに、ガラスパネルユニット10は、減圧空間50内に、ガス吸着体60と、複数のピラー70と、を備える。ガラスパネルユニット10は、第1及び第2ガラス板20、30に排気口700を備えない。
【0072】
第1及び第2ガラス板20,30はいずれも矩形の平板状である。第1及び第2ガラス板20,30は同じ平面形状である。
【0073】
本実施形態の第1ガラス板20は、除去工程により第1ガラス板200の不要な部分230が除去されたものである。このため、第1ガラス板20は、第1ガラス板200と同様の構成を有する。すなわち、第1ガラス板20は、その主な形状を構成する本体と、低放射膜220とを含む。この本体は、減圧空間50内で低放射膜220により覆われる。第1ガラス板20は、矩形の平板状である。
【0074】
本実施形態の第2ガラス板30は、除去工程により第2ガラス板300の不要な部分320が除去されたものである。このため、第2ガラス板30は、第2ガラス板300と同様の構成を有する。すなわち、第2ガラス板30は、その主な形状を構成する本体を備える。第2ガラス板30は、本実施形態では、その本体のみからなるが、この本体に加えて低放射膜220と同様の低放射膜を備えてもよい。第2ガラス板30が低放射膜を備える場合、この低放射膜は、減圧空間50内で、第2ガラス板30の本体を覆い、かつこの本体に接する。
【0075】
枠体40は、第1ガラス板20と、第2ガラス板30との間にあり、第1ガラス板20と第2ガラス板30とを気密に接合する。これによって、減圧空間50は、第1ガラス板20と、第2ガラス板30と、枠体40とで囲まれている。枠体40は、第1及び第2ガラス板20,30と同様の多角形(本実施形態では四角形)の枠状である。枠体40は、第1及び第2ガラス板20,30の外周に沿って形成されている。
【0076】
複数のピラー70は、減圧空間50内に配置されている。複数のピラー70は、第1及び第2ガラス板20,30間の距離を所望の値に維持するために使用される。
<ピラー製造方法の概要>
以下に、本実施形態のピラー製造方法について説明する。所定のピラー製造方法は、積層ポリイミド系フィルム製造方法が有する工程と、製造した積層ポリイミド系フィルムからピラーを形成するピラー形成工程と、を有する。すなわち、本実施形態のピラー製造方法は、積層ポリイミド系フィルムの製造方法を含む。
【0077】
ピラー形成工程は、積層ポリイミド系フィルムの製造方法により得られた積層ポリイミド系フィルム92を切断してピラー70を形成する工程である。本実施形態では、ピラー配置工程(第3工程)において、ピラー形成工程が並行して行われている。以下に、積層ポリイミド系フィルムの製造方法について説明する。
<積層ポリイミド系フィルムの製造方法の概要>
積層ポリイミド系フィルムの製造方法は、プラズマ処理工程と、重ね合わせ工程と、熱処理工程と、を有する。
【0078】
プラズマ処理工程は、少なくとも一枚のポリイミド系フィルムの少なくとも片面にプラズマ処理を施してこの面をプラズマ処理面とする工程である。
【0079】
重ね合わせ工程は、0℃以上かつ80℃以下のいずれかの温度環境下で、プラズマ処理面を有するポリイミド系フィルムと、このポリイミド系フィルムとは別のポリイミド系フィルムとを、プラズマ処理面と別のポリイミド系フィルムの表面とが水性液体(後で詳述する)を介して対向するように重ね合わせる工程である。
【0080】
熱処理工程は、重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚のポリイミド系フィルムと水性液体とを、最高到達温度が300℃以上となるように加熱する工程である。
【0081】
所定のピラー製造方法は、巻き取り工程を更に有してもよい。巻き取り工程は、熱処理工程より前か又は熱処理工程中に、重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚のポリイミド系フィルムと水性液体とを巻き取る工程である。
【0082】
また、巻き取り工程において、ポリイミド系フィルムと金属箔とを伴巻きすることが好ましい。この時、金属箔がステンレス箔であることが好ましい。
【0083】
また、ポリイミド系フィルムの表面の任意の10点における平均粗さRz(以下、単に「平均粗さRz」とする)が0.6μm以下であることが好ましい。
【0084】
また、積層ポリイミド系フィルム92におけるポリイミド系フィルム同士の接着強度が1.0N/cm以上であることが好ましい。
【0085】
また、プラズマ処理工程において、少なくとも二枚のポリイミド系フィルムにプラズマ処理を施してそれぞれにプラズマ処理面を形成することが好ましい。
【0086】
また、重ね合わせ工程において、プラズマ処理面同士が水性液体を介して対向するように重ね合わせられることが好ましい。
<積層ポリイミド系フィルムの製造方法の詳細>
本開示に用いられるポリイミド系フィルムとは、その構造中にイミド基を含むポリマーのフィルムであり、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0087】
本開示に用いられるポリイミド系フィルムはその表面が平滑である方が積層されたポリイミド系フィルム(積層ポリイミド系フィルム)が強固に接合される傾向にある。具体的には平均粗さRzが0.6μm以下のポリイミド系フィルムを用いることが好ましく、Rzが0.5μm以下であることがより好ましい。
【0088】
次に上記ポリイミド系フィルムにプラズマ処理が施される(プラズマ処理工程)。プラズマ処理の方法については、従来公知の方法が適用可能であり、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理等の、プラズマ処理が適用可能である。そして、本開示の積層ポリイミド系フィルムの製造方法は長尺の積層ポリイミド系フィルムの製造を可能としていることから、ロールツーロール方式でのプラズマ処理を施すことが好ましく、最終的に得られる積層ポリイミド系フィルムの接着力を強固なものとするという観点から、ロールツーロールの真空プラズマ処理を施すことが特に好ましい。
【0089】
プラズマ処理に用いるプラズマガスとしては、特に限定されないが、酸素、窒素、アルゴン、水素、アンモニア、二酸化炭素、メタン、4フッ化メタン、水蒸気などやそれらの混合ガスが挙げられる。
【0090】
プラズマ処理はポリイミド系フィルムの片面にのみ行っても両面に行っても差し支えないが、少なくとも他のポリイミド系フィルムと接合する面にはプラズマ処理が施されている必要がある。例えば、2層のポリイミド系フィルムを積層する場合は、それぞれのポリイミド系フィルムについて、少なくとも接合される面にはプラズマ処理が施される。3層のポリイミド系フィルムを同時に積層する場合は、1層目と3層目の2層については、少なくともそれぞれ2層目のポリイミド系フィルムと接合する面にプラズマ処理が施され、2層目のポリイミド系フィルムについてはその両面にプラズマ処理が施される。
【0091】
次にプラズマ処理を施した上記ポリイミド系フィルム表面に水性液体を付着させる(重ね合わせ工程)。ポリイミド系フィルムに水性液体を均一に付着させるため、水性液体をポリイミド表面に塗布するか、あるいは水性液体にポリイミド系フィルムを浸漬させることにより、ポリイミド系フィルムに水性液体を付着させる。水性液体とは、水単体あるいは水と混和する低級アルコール、ジオール類、ケトン等の他の液体と水からなる混合液体であり、水の含有率が50重量%以上のものを指す。すなわち、「水性液体」には「水単体」が含まれ得る。また、ポリイミド系フィルムへの濡れ性を良くするために、水性液体には界面活性剤や消泡剤等の添加剤を添加することも可能である。
【0092】
ポリイミド系フィルム表面に水性液体を塗布して水性液体を付着させる場合の塗布方法は、任意方法が可能であり、例えば滴下方式、スプレー方式、給水ローラー方式等の方式で塗布することができる。
【0093】
次に水性液体を付着させたポリイミド系フィルムともう1層以上のポリイミド系フィルムとを0~80℃、好ましくは10~70℃、さらに好ましくは10~50℃の温度で重ね合わせる(重ね合わせ工程)。重ね合わせる温度が0℃未満の場合は、ポリイミド系フィルムに付着させた水性液体が凝固するという問題が生じ、重ね合わせる温度が80℃を超える場合は、ポリイミド系フィルムに付着させた水性液体の揮発が顕著となり、製造される積層ポリイミド系フィルムのフィルム間の接着力が低下するという問題が生じるとともに、フィルム間で気泡が生じるおそれがある。
【0094】
ポリイミド系フィルムを重ね合わせる方法は任意の方法が可能であり、2層以上のロール状のポリイミド系フィルムの巻き出し装置、送り装置及び巻取り装置を備えた装置を用いて、巻き出しと巻取りの間で少なくとも1層のポリイミド系フィルムに水性液体を付着させ、その後水性液体を付着させたポリイミド系フィルムを含む2層以上のポリイミド系フィルムを巻取り部で巻取りコアに巻き取りながら重ね合わせる方法、加圧式のロールラミネータを用いて2層以上のポリイミド系フィルムを重ね合わせた後、巻取りコアに巻き取る方法等が挙げられる(巻き取り工程)。
【0095】
次に重ね合わされた2層以上のポリイミド系フィルムの熱処理を行う。ポリイミド系フィルム同志を強固に接合させて積層ポリイミド系フィルムを得るために、熱処理は最高到達温度が300℃以上になるように行う必要があるが、熱処理方法や熱処理の温度履歴は任意に設定することが可能である。
【0096】
特に金属等の耐熱性巻取りコアに巻き取った2層以上のポリイミド系フィルムを耐熱性コアに巻き取ったまま熱処理を行うことで、接合すべきポリイミド系フィルム界面の接合を良好に行うことが可能となり、好ましい。またこの場合、熱処理の際のポリイミド系フィルムへの伝熱を良好に行うともに、接合しないポリイミド系フィルムの界面の保護を目的として、金属箔を積層するポリイミド系フィルムと伴巻きして、熱処理を行うことが好ましい。この場合、伴巻きする金属箔としては、耐熱性、耐腐食性等の観点からステンレス箔を用いることが好ましい。
【0097】
重ね合わせた2層以上のポリイミド系フィルムを最高到達温度300℃以上で熱処理することにより、ポリイミド系フィルム同志が1.0N/cm以上の接合強度で強固に接着した積層ポリイミド系フィルムを製造する。この場合、熱処理の方法としては以下の(1)~(3)のいずれかの方法が例示される。
(1)少なくとも1層に水性液体を付着させた2層以上のプラズマ処理を予め施したポリイミド系フィルムを耐熱性コアに金属箔と一緒に伴巻きし、そのまま巻き取った状態でオーブンに設置して、昇温させながら室温から300℃以上の温度まで昇温させて熱処理する方法。
(2)少なくとも1層に水性液体を付着させた2層以上のプラズマ処理を予め施したポリイミド系フィルムを耐熱性コアに金属箔と一緒に伴巻きし、そのまま巻き取った状態でオーブンに設置して、昇温しながら150℃程度の温度になるまで熱処理して仮接合を行い、その後金軸箔を巻きほどいて取り除き、仮接合したポリイミド系フィルムを再度耐熱性コアに巻き取って、最高到達温度が300℃以上になるように熱処理する方法。
(3)少なくとも1層に水性液体を付着させた2層以上のプラズマ処理を予め施したポリイミド系フィルムを耐熱性コアに金属箔と一緒に伴巻きし、そのまま巻き取った状態でオーブンに設置して、昇温しながら150℃程度の温度になるまで熱処理して仮接合を行い、その後仮接合したポリイミド系フィルムをロールツーロールの熱処理装置で300℃以上の温度になるように熱処理する方法。
【0098】
図10に、熱処理の時間と、発生するガス量(アウトガス量)の関係を示す。横軸は、熱処理の時間(分)であり、縦軸は、アウトガス量(任意単位)である。
図10中の破線が本実施形態の積層ポリイミド系フィルム92から放出されるアウトガス量を示し、一点鎖線が熱可塑性ポリイミド接着剤を用いて接着したポリイミドフィルム積層体から放出されるアウトガス量を示し、実線がポリイミド系フィルム単体から放出されるアウトガス量を示す。
図10の結果より、本実施形態の積層ポリイミド系フィルム92から放出されるアウトガス量は、ポリイミド系フィルム単体から放出されるアウトガス量と殆ど同じであり、接着剤を用いて接着したポリイミドフィルム積層体から放出されるアウトガス量よりも低い。
【0099】
本開示の積層ポリイミド系フィルムの製造方法によると、接着剤を介することなく長尺のポリイミド系フィルム同志を強固に接合することが可能となり、75μm以上の厚膜のポリイミド系フィルムを効率よく生産することが可能となる。そして、本開示の積層ポリイミド系フィルムの製造方法により得られた積層ポリイミド系フィルムは、真空ガラスのピラー等幅広い用途に利用することができる。
【0100】
以下、本開示の積層ポリイミド系フィルムについて、実施例により具体的に説明する。なお、以下の実施例は、理解を容易にするためのものであり、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0101】
(ポリイミド系フィルムの表面粗さ)
ポリイミド系フィルムの平均粗さRzは、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡VK-9510)を用いて、JIS B0601に基づき、スキャン長さMD:210μm、TD:280μm、カットオフ値0.25で測定して求めた。
【0102】
(積層ポリイミド系フィルムの層間接着力)
各実施例もしくは比較例で作成された積層ポリイミド系フィルムを10mm幅×150mm長に切り出して、そのうち約50mmの長さを剥がして層間接着力測定用サンプルとした。次いで、引張試験機(株式会社島津製作所製オートグラフAGS-J)を用いて、90°剥離法により、引き剥がし速度50mm/分で積層ポリイミド系フィルムを引き剥がして、積層ポリイミド系フィルムの層間の接着力を測定した。
【0103】
(実施例1)
厚さ38μmのポリイミド系フィルム(東洋紡株式会社製ゼノマックス)を準備した。本ポリイミド系フィルムの平均粗さRz=0.28μmであった。
【0104】
次に500mm幅×20mの長さの本ポリイミド系フィルム2本を準備して、それぞれのフィルムの片面に、ロールツーロールの真空プラズマ装置を使用し、プラズマガスとして二酸化炭素を20Pa導入してグロー放電によりプラズマ処理を施した。
【0105】
次にプラズマ処理を施したポリイミド系フィルムのプラズマ処理面にスプレー方式でイオン交換水を塗布して水性液体を付着させ、続けてプラズマ処理面同士が重なり合うように室温で、別途準備した厚さ100μmで幅500mmのステンレス箔と伴巻きするように、ステンレス製の巻取りコアに巻き取った。このプロセスにより、2層のポリイミド系フィルムが、フィルム間に水性液体を含む状態でプラズマ処理面同士が重なり合うように重ね合わされ、ステンレス箔と伴巻きされてステレンス製の巻取りコアに巻き取られる形態となっている。
【0106】
次に、ステンレス製の巻取りコアにステンレス箔とともに巻き取られた2層のポリイミド系フィルムを循環式熱風オーブンにセットして、室温から360℃まで10℃/分の速度で昇温させ、さらに360℃で1時間保持して熱処理を行ってポリイミドフィルム同志を強固に接合させて、積層ポリイミドフィルムとした。その後、室温まで冷却してオーブンから取り出し、巻替え装置により巻き替えて、ステンレス箔と積層ポリイミドフィルムとを分け、厚さ76μmの長尺の積層ポリイミド系フィルムとした。
【0107】
本実施例により得られた積層ポリイミド系フィルムは、ポリイミド系フィルム間の接着力が3.0N/cmと強固に接合されていた。
【0108】
(実施例2)
ポリイミド系フィルムに付着させる水性液体をイオン交換水95%、エタノール5%の混合液体に変更した以外は実施例1と同様に行って、厚さ76μmの積層ポリイミド系フィルムを作成した。
【0109】
本実施例により得られた積層ポリイミド系フィルムは、ポリイミド系フィルム間の接着力が2.8N/cmと強固に接合されていた。
【0110】
(実施例3)
実施例1と同様に、実施例1で用いた厚さ38μmのポリイミド系フィルムにプラズマ処理、イオン交換水の付着、厚さ100μmのステンレス箔と伴巻きしながらのステンレス製巻取りコアへの巻取り行い、2層のポリイミド系フィルムのプラズマ処理面同士を重ね合わせた。
【0111】
次に、ステンレス製の巻取りコアにステンレス箔とともに巻き取られた2層のポリイミド系フィルムを循環式熱風オーブンにセットして室温から130℃まで30分かけて昇温させ、さらに130℃で2時間保持して2層のポリイミドフィルムを仮接合した。その後、室温まで冷却してオーブンから取り出した後、仮接合した2層のポリイミドフィルムを、遠赤外線炉を備えたロールツーロールの熱処理装置により、400℃で2分となるように熱処理を行って、ポリイミドフィルム同志を強固に接合させて、厚さ76μmの長尺の積層ポリイミドフィルムとした。
【0112】
本実施例により得られた積層ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルム間の接着力が3.1N/cmと強固に接合されていた。
【0113】
(実施例4)
厚さ38μmのポリイミド系フィルムの代わりに、別の種類の厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製カプトン200H、平均粗さRz=0.38μm)を用いた以外は実施例1と同様に行って、厚さ100μmの積層ポリイミドフィルムを作成した。
【0114】
本実施例により得られた積層ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルム間の接着力が2.9N/cmと強固に接合されていた。
【0115】
(実施例5)
実施例1で用いた厚さ38μmのポリイミド系フィルム500mm幅×20mを3本準備した。そのうち、2本については片面のみ、1本については両面を実施例1に記載の方法及び条件に従いプラズマ処理を施した。
【0116】
次に各ポリイミド系フィルムのプラズマ処理面に水性液体としてイオン交換水を付着させ、両面にプラズマ処理を施したポリイミド系フィルムを中間層とし、片面にのみプラズマ処理を施したポリイミド系フィルムのプラズマ処理面が中間層のポリイミドフィルムのプラズマ処理面と接するようにステンレス製の巻取りコアに巻取りコアに実施例1で用いた厚さ100μmのステンレス箔と一緒に伴巻きした。
【0117】
次に実施例1と同様の方法で熱処理を行い、3層のポリイミドフィルムが接合された厚さ114μmの積層ポリイミド系フィルムを作成した。
【0118】
本実施例により得られた積層ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルム間の接着力が3.0N/cmと強固に接合していた。
【0119】
(実施例6)
厚さ38μmのポリイミド系フィルムの代わりに厚さ50μmの別の種類のポリイミド系フィルム(宇部興産株式会社製ユーピレックス50S、平均粗さRz=0.29μm)を用いた以外は実施例1と同様に行って、2層のポリイミド系フィルムが積層された厚さ100μmの積層ポリイミド系フィルムを作成した。
【0120】
本実施例により得られた積層ポリイミド系フィルムは、ポリイミド系フィルム間の接着力が1.8N/cmと強固に接合していた。
【0121】
<本実施形態のガラスパネルユニットの特徴>
(実施例A)
下記に示す各部材を用いてガラスパネルユニットを作成した。
・第1ガラス板(サイズ;幅×長さ×厚さ=600mm×600mm×3mm)、
・第2ガラス板(サイズ;幅×長さ×厚さ=600mm×600mm×3mm)、
・ピラー(実施例1で作成、サイズ;直径×高さ=1mm×100μm)、
・第1熱接着剤;ビスマス系ガラスフリット(軟化点;434℃)、
・第2熱接着剤;ビスマス系ガラスフリット(軟化点;434℃)。
【0122】
まず、ゲッタ材である銅イオン交換ゼオライトと水とを混合して混合物を得た。その後、排気口を有する第2ガラス板の一面に、第1熱接着剤からなる周壁と、第2熱接着剤からなる仕切りと、通気路と、前記混合物からなるガス吸着体と、複数のピラーとを設けた。次に、一方の面にLow-E膜を形成した第1ガラス板を、Low-E膜が第2ガラス板と対向するように配置させた。これにより、第1ガラス板と第2ガラス板との間に内部空間が形成された組立て品が得られた。また、ピラーを設ける際、隣り合うピラー同士の間隔が20mmとなるようにして複数のピラーを第2ガラス板に配置した。
【0123】
続いて、排気口と排気管の内部とが連通するようにして第2ガラス板に接合された排気管にシールヘッドを取り付けることで内部空間と真空ポンプとを接続させた。そして、組立て品を溶融炉内に配置した。この配置後、組立て品を440℃(第1溶融温度)で10分間加熱することで、周壁を一旦溶融させた。この溶融時に通気路は塞がれていなかった。
【0124】
周壁の溶融後、溶融炉内の温度を排気温度である390℃まで降温させた。そして、真空ポンプを作動させることにより、内部空間を390℃で120分間排気させた。
【0125】
その後、真空ポンプを作動させたまま、溶融炉内の温度を第2溶融温度である460℃まで昇温させ、この温度で組立て品を30分間加熱した。この加熱時に、仕切りを変形させて通気路を塞いで隔壁を形成した。
【0126】
隔壁の形成後、溶融炉内の温度を室温まで降温させた。この降温後、真空ポンプを停止してシールヘッドを脱着させた。シールヘッドの脱着後、切断により不要な部分を取り除くことで、ガラスパネルユニットを作製した。
【0127】
(比較例)
ピラーとして熱可塑性ポリイミド接着剤を用いて接着したポリイミドフィルム積層体(サイズ;直径×高さ=1mm×100μm)を用いた以外は、実施例Aと同様にしてガラスパネルユニットを作製した。
【0128】
(評価)
[熱コンダクタンス]
実施例Aと比較例のガラスパネルユニットの熱コンダクタンスを下記の手順で評価した。測定装置の高温部と低温部とがガラスパネルユニットにより仕切られた状態にし、第1ガラス板の外面に第1温度計を配置し、第2ガラス板の外面に第2温度計及びセンサとを配置した。この配置後、ガラスパネルユニットを介して加温部から冷却部に伝えられた熱の流束をセンサで検出し、第1温度計で第1ガラス板の表面温度を測定し、第2温度計で第2ガラス板の表面温度を測定した。
【0129】
そして、熱流束と、第1ガラス板の表面温度と、第2ガラス板の表面温度と、を下記式(1)に導入することで、ガラスパネルユニットの熱コンダクタンスを算出した。
【0130】
Q=C(T1-T2) ・・・(1)
式(1)中、Qは熱流束(W/m2)を示し、T1は第1ガラス板の表面温度(K)を示し、T2は第2ガラス板の表面温度(K)を示し、Cは熱コンダクタンス(W/m2K)を示す。
【0131】
実施例Aの熱コンダクタンスは0.64W/m2Kであり、比較例の熱コンダクタンスは0.68W/m2Kであった。
【0132】
上述したフィルム積層体の製造方法で製造された積層ポリイミド系フィルム92を切断して得られたピラー70を用いる場合、ポリイミド系フィルムの間に接着剤が介在していないため、接着剤からガスが放出されるといったことが発生しない。このため、接着剤からガスが放出されることによる減圧空間50の真空度の悪化が発生しにくいことが確認できた。
【0133】
また、積層ポリイミド系フィルム92を製造するにあたり、ポリイミド系フィルム間の接着剤がポリイミド系フィルムの端縁からはみ出るといったことがなく、積層ポリイミド系フィルム92の製造がしやすいと共に、ガラスパネルユニット10の製造がしやすい。
【0134】
<ガラスパネルユニットの変形例>
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。なお、以下の説明において、上記実施形態を基本例とする。
【0135】
基本例では、第1及び第2ガラス板200、300のうち、第1ガラス板200だけが低放射膜220を備えているが、変形例では第2ガラス板300も低放射膜を備えてもよい。すなわち、第1及び第2ガラス板200、300の両方が低放射膜を備えてもよい。このため、第1及び第2ガラス板20、30の両方も低放射膜を備えてもよい。
【0136】
基本例では、第1及び第2ガラス板200、300のうち、第1ガラス板200は低放射膜220を備え、第2ガラス板300は低放射膜を備えていない。しかし、変形例では第2ガラス板300が低放射膜を備え、第1ガラス板200が低放射膜220を備えなくてもよい。このため、変形例のガラスパネルユニット10でも、第2ガラス板30が低放射膜を備え、第1ガラス板20が低放射膜220を備えなくてもよい。
【0137】
基本例では、排気工程は第1溶融工程後に開始しているが、変形例では、第1溶融時間tm1が経過した後で、かつ溶融炉内の温度が第1軟化点よりも低ければ、排気工程は第1溶融工程の途中で開始してもよい。
【0138】
基本例では、排気工程は第2溶融工程の終了とともに終了しているが、変形例では、排気工程は、第1溶融工程の後に開始し、第2溶融工程の前に終了してもよい。
【0139】
基本例では、ガラスパネルユニット10は矩形状であるが、変形例では、ガラスパネルユニット10は、円形状や多角形状など所望の形状であってもよい。つまり、第1ガラス板20、及び第2ガラス板30は、矩形状ではなく、円形状や多角形状など所望の形状であってもよい。
【0140】
第1及び第2ガラス板20,30は同じ平面形状および平面サイズを有していなくてもよい。また、第1ガラス板20は、第2ガラス板30と同じ厚みを有していなくてもよい。これらの点は、第1及び第2ガラス板200,300についても同様である。
【0141】
周壁410は、第1及び第2ガラス板200,300と同じ平面形状を有していなくてもよい。
【0142】
周壁410は、芯材等の他の要素をさらに備えていてもよい。
【0143】
また、組立て品100では、周壁410は第1及び第2ガラス板200,300の間にあるだけでこれらを接合していない。しかしながら、組立て品100の段階で、周壁410が第1及び第2ガラス板200,300同士を接合していてもよい。要するに、組立て品100では、周壁410は第1及び第2ガラス板200,300の間にあればよく、これらを接合していることは必須ではない。
【0144】
また、基本例では、仕切り420は、周壁410に接していない。これによって、仕切り420の両端と周壁410との隙間が、通気路610,620を形成している。ただし、仕切り420は、その両端の一方のみが周壁410に連結されていてもよく、この場合、仕切り420と周壁410との間に一つの通気路600が形成されうる。あるいは、仕切り420は、その両端が周壁410に連結されていてもよい。この場合、通気路600は、仕切り420に形成された貫通孔であってもよい。あるいは、通気路600は、仕切り420と第1ガラス板200と間の隙間であってもよい。あるいは、仕切り420は、間隔をあけて配置された2以上の仕切りで形成されていてもよい。この場合、通気路600は、2以上の仕切りの間に介在する隙間であってもよい。
【0145】
基本例では、通気路600は2つの通気路610,620を備えているが、通気路600は、一つの通気路だけで構成されていてもよいし、3以上の通気路で構成されていてもよい。また、通気路600の形状は、特に限定されない。
【0146】
また、基本例では、内部空間500は、一つの第1空間510と一つの第2空間520とに仕切られている。ただし、内部空間500は、仕切り420によって、1以上の第1空間510と1以上の第2空間520とに仕切られていてもよい。内部空間500が2以上の第1空間510を有する場合、1つの仕掛り品110から2以上のガラスパネルユニット10を得ることができる。
【0147】
基本例では、隔壁42で減圧空間50を外部空間から空間的に分離している。しかし変形例では、排気口700に接続された排気管の途中を溶融切断することで形成される封止部により減圧空間50を外部空間から空間的に分離してもよい。すなわち、減圧空間50を外部空間から空間的に分離する部材として、隔壁42は必須ではない。
【0148】
ピラー配置工程(第3工程)では、積層ポリイミド系フィルム92を予め切断して複数のピラー70を形成しておき、チップマウンタなどを利用して、複数のピラー70を、第2ガラス板300の所定位置に配置してもよい。
【0149】
(まとめ)
以上述べた実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様のガラスパネルユニット10の製造方法は、封着材配置工程と、ピラー配置工程と、対向配置工程と、接合工程と、減圧工程と、封止工程と、を備える。封着材配置工程は、第1ガラス板20又は第2ガラス板30上に封着材を配置する工程である。ピラー配置工程は、第1ガラス板20又は第2ガラス板30上に所定のピラー製造方法により製造されたピラー70を配置する工程である。対向配置工程は、第1ガラス板20と第2ガラス板30とを互いに対向するように配置する工程である。接合工程は、封着材を溶融させ、外部空間に排気可能な排気経路を除いて第1ガラス板20と第2ガラス板30と封着材とで囲まれた内部空間500を形成する工程である。減圧工程は、内部空間500の気体を排出して内部空間500を減圧する工程である。封止工程は、減圧した状態を維持したまま内部空間500を封止し、密閉された減圧空間50を形成する工程である。
【0150】
所定のピラー製造方法は、プラズマ処理工程と、重ね合わせ工程と、熱処理工程と、ピラー形成工程と、を有する。プラズマ処理工程は、少なくとも一枚のポリイミド系フィルムの少なくとも片面にプラズマ処理を施してこの面をプラズマ処理面とする工程である。重ね合わせ工程は、0℃以上かつ80℃以下のいずれかの温度環境下で、プラズマ処理面を有するポリイミド系フィルムと、このポリイミド系フィルムとは別のポリイミド系フィルムとを、プラズマ処理面と別のポリイミド系フィルムの表面とが水を主成分とする水性液体を介して対向するように重ね合わせる工程である。熱処理工程は、重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚のポリイミド系フィルムと水性液体とを、最高到達温度が300℃以上となるように加熱する工程である。ピラー形成工程は、熱処理工程により得られた積層ポリイミド系フィルム92を切断してピラー70を形成する工程である。
【0151】
第1の態様によれば、ピラー70に接着剤が残らないため、接着剤からガスが放出されるといったことが発生せず、減圧空間50の真空度が悪化しにくい。
【0152】
第2の態様のガラスパネルユニット10の製造方法は、第1の態様との組み合わせにより実現される。第2の態様では、所定のピラー製造方法は、巻き取り工程を更に有する。巻き取り工程は、熱処理工程より前か又は熱処理工程中に、重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚のポリイミド系フィルムと水性液体とを巻き取る工程である。
【0153】
第2の態様によれば、接合すべきポリイミド系フィルム界面の接合を良好に行うことが可能となる。
【0154】
第3の態様のガラスパネルユニット10の製造方法は、第2の態様との組み合わせにより実現される。第3の態様では、巻き取り工程において、ポリイミド系フィルムと金属箔とを伴巻きする。
【0155】
第3の態様によれば、ポリイミド系フィルムに熱が伝わりやすい。
【0156】
第4の態様のガラスパネルユニット10の製造方法は、第3の態様との組み合わせにより実現される。第4の態様では、金属箔がステンレス箔である。
【0157】
第4の態様によれば、耐熱性、耐腐食性が高い。
【0158】
第5の態様のガラスパネルユニット10の製造方法は、第1~第4のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第5の態様では、ポリイミド系フィルムの表面の任意の10点における平均粗さRzが0.6μm以下である。
【0159】
第5の態様によれば、ポリイミド系フィルムを強固に接合しやすくなる。
【0160】
第6の態様のガラスパネルユニット10の製造方法は、第1~第5のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第6の態様では、積層ポリイミド系フィルム92におけるポリイミド系フィルム同士の接着強度が1.0N/cm以上である。
【0161】
第6の態様によれば、高い接着強度が得られる。
【0162】
第7の態様のガラスパネルユニット10の製造方法は、第1~第6のいずれかの組み合わせにより実現される。第7の態様では、プラズマ処理工程において、少なくとも二枚のポリイミド系フィルムにプラズマ処理を施してそれぞれにプラズマ処理面を形成する。
【0163】
重ね合わせ工程において、プラズマ処理面同士が水性液体を介して対向するように重ね合わせられる。
【0164】
第7の態様によれば、ポリイミド系フィルムを強固に接合しやすくなる。
【0165】
第8の態様のガラスパネルユニット10は、第1~第7のいずれかのガラスパネルユニット10の製造方法により製造される。
【0166】
第8の態様によれば、ピラー70に接着剤が残らないため、接着剤からガスが放出されるといったことが発生せず、減圧空間50の真空度が悪化しにくい。
【0167】
第9の態様のガラスパネルユニット10用の積層ポリイミド系フィルム92の製造方法は、プラズマ処理工程と、重ね合わせ工程と、熱処理工程と、を有する。プラズマ処理工程は、少なくとも一枚のポリイミド系フィルムの少なくとも片面にプラズマ処理を施してこの面をプラズマ処理面とする工程である。重ね合わせ工程は、0℃以上かつ80℃以下のいずれかの温度環境下で、プラズマ処理面を有するポリイミド系フィルムと、このポリイミド系フィルムとは別のポリイミド系フィルムとを、プラズマ処理面と別のポリイミド系フィルムの表面とが水性液体を介して対向するように重ね合わせる工程である。熱処理工程は、重ね合わせ工程により得られた少なくとも二枚のポリイミド系フィルムと水性液体とを、最高到達温度が300℃以上となるように加熱する工程である。
【0168】
第9の態様によれば、積層ポリイミド系フィルム92に接着剤が残らないため、接着剤からガスが放出されるといったことが発生しない。
【0169】
第10の態様のガラスパネルユニット10用の積層ポリイミド系フィルム92は、第9の態様のガラスパネルユニット10用の積層ポリイミド系フィルム92の製造方法により製造される。
【0170】
第10の態様によれば、積層ポリイミド系フィルム92に接着剤が残らないため、接着剤からガスが放出されるといったことが発生しない。
【符号の説明】
【0171】
10 ガラスパネルユニット
20 第1ガラス板
30 第2ガラス板
50 減圧空間
500 内部空間
70 ピラー
92 積層ポリイミド系フィルム