(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071770
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】昇降台装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/075 20060101AFI20220509BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20220509BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B66F9/075 L
B66F9/06 P
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020180916
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】597048986
【氏名又は名称】株式会社シィップ
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 真人
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB03
3F333BD02
3F333CA15
3F333DB10
(57)【要約】
【課題】支持脚の昇降機構を簡素化した昇降台装置を提供する。
【解決手段】四隅に前支持脚6B及び後支持脚7Bが配設された枠体5を有する本体部2と、本体部2の上方に配設されたシザースリンク機構3と、シザースリンク機構3によって支持された作業台4と、を備える昇降台装置1であって、シザースリンク機構3には、前側リフト機構と、前側押圧部79と、が設けられ、前側リフト機構は、第3ローラ78と、加力部75Bと、を有し、前側押圧部79が第3ローラ78を押圧することにより、加力部75Bが枠体5に上方向の力を付与することにより、前支持脚6B及び後支持脚7Bを昇降させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅に支持脚が配設された枠体を有する本体部と、
前記本体部の上方に配設されたリンク機構と、
前記リンク機構によって支持された作業台と、を備える昇降台装置であって、
前記リンク機構には、前側リフト機構と、前側押圧部と、が設けられ、
前記前側リフト機構は、前側被押圧部と、加力部と、を有し、
前記前側押圧部が前記前側被押圧部を押圧することにより、前記加力部が前記枠体に上方向の力を付与することを特徴とする昇降台装置。
【請求項2】
前記前側リフト機構は、回動軸を中心に回動自在なリフト回動部を有し、
前記前側被押圧部が前記前側押圧部により下方向に押圧されると前記リフト回動部が回動し、
前記前側被押圧部が降下すると共に前記加力部が上昇することを特徴とする請求項1に記載の昇降台装置。
【請求項3】
前記前側被押圧部が前記前側押圧部により押圧されていないときに、前記加力部が前記リフト回動部の回動中心よりも下方に位置していることを特徴とする請求項2に記載の昇降台装置。
【請求項4】
前記リンク機構に前輪が設けられ、
前記本体部に後輪が設けられ、
前記枠体が前記後輪に対し昇降可能であり、
前記リンク機構が折り畳まれることにより、前記前輪が地面に接地すると共に前記加力部が前記枠体に上方向の力を付与することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の昇降台装置。
【請求項5】
前記前側リフト機構が前記リンク機構の2段目リンクに設けられ、
前記前側押圧部が前記リンク機構の3段目リンクに設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の昇降台装置。
【請求項6】
前記前側被押圧部が左右の何れかに1つ設けられ、
前記加力部が左右に各1つ設けられていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の昇降台装置。
【請求項7】
前記前側リフト機構が左右方向に延設された回動部本体と、前記回動部本体と直角方向に延設された前側リフトアームと、を備え、
前記前側被押圧部が前記前側リフトアームに設けられ、
前記加力部が前記回動部本体に設けられていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の昇降台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外で高所作業等に使用する移動式の昇降台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外で高所作業等をする際に使用する走行可能な昇降台装置として、作業台を上昇させた時には支持脚が地面(床面)に接地して昇降台装置の安定性を図り、作業台を下降させた時には支持脚を上昇させて昇降台装置の車輪により走行可能とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された昇降台装置(1)は、シザースリンク機構(4)が折り畳まれて作業台(5)が降下した状態で、押圧部(35)がリフトアーム(10)の第2ローラ(33)を下方に押し下げる。第2ローラ(33)が下方に押し下げられると、第1ローラ(29)が連結杆(9)に当接した状態でテコの原理の支点として機能し、リフトアーム(10)の軸受部(15)側が持ち上がる。そして、下側の回動規制部(28)が軸受部(15)に当接して軸受部(15)を持ち上がり、枠体(6)を介して軸受部(15)に接続した支持脚(7)が持ち上がるようになっている(特許文献1の明細書段落[0036]及び
図6を参照)。
【0004】
また、シザースリンク機構(4)が伸長して作業台(5)が上昇した状態では、押圧部(35)がシザースリンク機構(4)と共に上昇して第2ローラ(33)から離れる。この状態では、押圧部(35)の第2ローラ(33)に対する押圧が解除されるため、枠体(6)と接続した昇降駆動装置(3)や支持脚(7)などの重量によりリフトアーム(10)の軸受部(15)側が下降し、支持脚(7)が降下して床面などに接地するようになっている(特許文献1の明細書段落[0037]及び
図7を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、支持脚(7)を上昇させる機構であるリフトアーム(10)は、細板部(25)、第1ローラ(29)や第2ローラ(33)等、部品点数が多いことから製造コストを抑制し難いという問題があった。また、部品点数が多いことから重量が重くなるという問題点もあった。
【0007】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、支持脚の昇降機構を簡素化した昇降台装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る昇降台装置は、四隅に支持脚が配設された枠体を有する本体部と、前記本体部の上方に配設されたリンク機構と、前記リンク機構によって支持された作業台と、を備える昇降台装置であって、前記リンク機構には、前側リフト機構と、前側押圧部と、が設けられ、前記前側リフト機構は、前側被押圧部と、加力部と、を有し、前記前側押圧部が前記前側被押圧部を押圧することにより、前記加力部が前記枠体に上方向の力を付与することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る昇降台装置は、前記前側リフト機構は、回動軸を中心に回動自在なリフト回動部を有し、前記前側被押圧部が前記前側押圧部により下方向に押圧されると前記リフト回動部が回動し、前記前側被押圧部が降下すると共に前記加力部が上昇する場合がある。
【0010】
また、本発明に係る昇降台装置は、前記前側被押圧部が前記前側押圧部により押圧されていないときに、前記加力部が前記リフト回動部の回動中心よりも下方に位置している場合がある。
【0011】
また、本発明に係る昇降台装置は、前記リンク機構に前輪が設けられ、前記本体部に後輪が設けられ、前記枠体が前記後輪に対し昇降可能であり、前記リンク機構が折り畳まれることにより、前記前輪が地面に接地すると共に前記加力部が前記枠体に上方向の力を付与する場合がある。
【0012】
また、本発明に係る昇降台装置は、前記前側リフト機構が前記リンク機構の2段目リンクに設けられ、前記前側押圧部が前記リンク機構の3段目リンクに設けられている場合がある。
【0013】
また、本発明に係る昇降台装置は、前記前側被押圧部が左右の何れかに1つ設けられ、
前記加力部が左右に各1つ設けられている場合がある。
【0014】
また、本発明に係る昇降台装置は、前記前側リフト機構が左右方向に延設された回動部本体と、前記回動部本体と直角方向に延設された前側リフトアームと、を備え、前記前側被押圧部が前記前側リフトアームに設けられ、前記加力部が前記回動部本体に設けられている場合がある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明により、支持脚の昇降機構を簡素化することができる。
【0016】
請求項2に係る発明により、シザースリンク機構を折り畳む方向の力を前側押圧部から前側被押圧部に伝達し、前側被押圧部が降下することで加力部が上昇し、加力部が上昇する力を枠体に付与して枠体を上昇させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明により、シザースリンク機構の駆動時に、前側リンク機構における加力部の位置を一定にし、枠体等の他の部品に接触することを防止することができる。
【0018】
請求項4に係る発明により、シザースリンク機構が伸長した状態では、前輪が地面から離れ、支持脚と後輪が地面に接地させ、シザースリンク機構が折り畳まれた状態では、支持脚と前輪を地面から離し、後輪を地面に接地させることができる。
【0019】
請求項5に係る発明により、3段以上のシザースリンク機構であれば、請求項1~4に係る発明の作用・効果を発揮することができる。
【0020】
請求項6に係る発明により、加力部を上方に移動させるための前側押圧部による押圧力を1つの前側被押圧部により2つの加力部に伝達することができる。そのため、前側被押圧部を左右一対に設けた場合と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0021】
請求項7に係る発明により、前側リフトアームの前側被押圧部が前側押圧部により下方に押圧されることで、回動部本体と前側リフトアームが一体となって回動し、加力部により枠体に対して上方向の力を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例1のシザースリンク機構を折り畳んだ状態の昇降台装置の右側面図である。
【
図2】実施例1のシザースリンク機構を伸長した状態の昇降台装置の右側面図である。
【
図3】実施例1のシザースリンク機構を伸長した状態の本体部及びシザースリンク機構を示す昇降台装置の後側斜視図である。
【
図4】実施例1の載置台及びバッテリーを引き出した状態の昇降台装置の前側斜視図である。
【
図6】実施例1のシザースリンク機構を伸長した状態の本体部及び後輪ユニットを示す昇降台装置の右側斜視図である。
【
図8】実施例1の前側リフト機構の左側斜視図である。
【
図9】実施例1の前側リフト機構の左側斜視図である。
【
図10】実施例1の前側リフト機構及び後側リフト機構の作用を説明するため、構成部品を一部除去した本体部及びシザースリンク機構の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について、添付の
図1~
図10を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。本実施例では、
図1及び
図2の左側を昇降台装置1の前側、右側を昇降台装置1の後側とし、昇降台装置1の前側に向かって左側を昇降台装置1の左側、右側を昇降台装置1の右側として説明する。
【実施例0024】
図1及び
図2は、本実施例の昇降台装置1を示しており、昇降台装置1は、本体部2と、本体部2の上方に配設されたリンク機構であるシザースリンク機構3と、シザースリンク機構3によって支持された作業台4とを備えている。
【0025】
図3に示すように、本体部2は、角筒状の前杆5A、後杆5B、左杆5C及び右杆5Dを有する枠体5を備えている。左杆5Cと右杆5Dは、前杆5Aと後杆5Bの上面に架設されており、前杆5Aと後杆5Bが平行に配置され、左杆5Cと右杆5Dが平行に配置されている。枠体5は、平面視において略矩形環状に形成されている。
【0026】
前杆5Aの左右両側の内部には、左右方向に出し入れ自在の前側延長部(図示せず)が配設されており、この前側延長部に直角方向(下方向)に延設された前支持脚6A,6Bが設けられている。また、後杆5Bの左右両側の内部には、左右方向に出し入れ自在の後側延長部(図示せず)が配設されており、この後側延長部に直角方向(下方向)に延設された後支持脚7A,7Bが設けられている。前側延長部、前支持脚6A,6B、後側延長部及び後支持脚7A,7Bは、いわゆるアウトリガーである。
【0027】
左杆5Cと右杆5Dの前後方向中央部には、昇降駆動装置8が取り付けられている。昇降駆動装置8は、モータ、ポンプ、バルブ、タンク等の油圧ユニット(図示せず)を備え、シザースリンク機構3を伸縮させて作業台4を昇降させる。
図1に示すように、昇降駆動装置8は、シザースリンク機構3が完全に折り畳まれた状態において、前輪9A,9Bと後輪10A,10Bの間であって、左杆5Cと右杆5Dの下方に配置されている。
【0028】
図4に示すように、前杆5Aの左右方向中央部には、昇降駆動装置8に給電する電源装置11が取り付けられている。電源装置11は、前杆5Aの上面と、前杆5Aから後方に延設された左右2つの載置部12A,12Bに載置された状態で固定されている。電源装置11は、中空直方体形状の収容部13を有しており、収容部13は、昇降台装置1の前側が開口した収容部本体13Aと、収容部本体13Aの開口部13Bを開閉する蓋体13Cを有している。開口部13B及び蓋体13Cは、昇降台装置1の前側方向に向いて配置されている。蓋体13Cは、ボルト等の固定部材(図示せず)により、収容部本体13Aに着脱自在に取り付けられている。蓋体13Cの上面14A及び前面14Bには、滑り止め加工がなされている。蓋体13Cの前面14Bは前杆5Aの前面部15と略面一となっている。
【0029】
収容部本体13Aの内部下側には、バッテリー16を載置する載置台17が設けられ、この載置台17は、スライドレール18により開口部13Bから収容部本体13Aの外部へ引き出し可能となっている。バッテリー16を載置する載置台17を収容部本体13Aに押し込み蓋体13Cを取り付けることにより、バッテリー16を収容部13に収容することができる。また、
図1に示すように、シザースリンク機構3を完全に折り畳んだ状態では、作業台4と収容部13との間には、足(特につま先等)を挿入可能な隙間Sが形成されている。また、収容部13の上面19は平坦に形成され、地面G(床面)から上面19までの高さHは地面G(床面)に起立した大人の膝の高さ程度(約30cm~50cm)であり、収容部13は、昇降台装置1の使用者が作業台4に乗降する際の踏み台として使用される。なお、本実施例の上面19は平坦状に形成されているが、足を掛ける踏み台として使用できれば凹凸状等、他の形状であってもよい。
【0030】
図5に示すように、前杆5Aの後面部20であって、左右方向中央部にはブレーキ操作体21が取り付けられている。ブレーキ操作体21は、略矩形板状の踏板部21Aを有しており、この踏板部21Aを踏み込んで踏板部21Aを下方に押し下げると、後輪10A,10Bのブレーキがかかると共に、踏板部21Aはその位置(ブレーキ位置)で保持される。また、ブレーキ位置にある踏板部21Aをつま先等で上方に移動させると後輪10A,10Bのブレーキが解除され、踏板部21Aはその位置(ブレーキ解除位置)で保持される。ブレーキ操作体21に対する操作による動力は、伝達部22A,22Bを介してブレーキ板23A,23Bに伝達される。
【0031】
後杆5Bと昇降駆動装置8との間には、後輪ユニット24が配設されている。後輪ユニット24は、左右の後輪10A,10Bと、左右の後輪10A,10Bのフォーク部25A,25Bと、フォーク部25A,25Bの後側部分に上方に延設された支柱部26A,26Bと、左右のフォーク部25A,25Bを連結する連結体27と、を有している。後輪10A,10Bは、水平方向には回転しない固定式の車輪である。支柱部26A,26Bは、角筒状に形成されており、後杆5Bに設けられた角筒状の挿通杆28A,28Bに挿通されている。支柱部26A,26Bの上端部分には、支柱部26A,26Bが挿通杆28A,28Bから抜けるのを防止する矩形板状の抜止部29A,29Bが設けられている。支柱部26A,26Bと挿通杆28A,28Bは固定されておらず、後輪ユニット24は、本体部2には固定されていない独立のユニットであるため、枠体5の昇降時にも、後輪10A,10Bは常に地面G(床面)に接地している。連結体27は下方が開口した溝形鋼により形成されている。
【0032】
フォーク部25A,25Bの前側部分には、後輪10A,10Bに押し当てて後輪10A,10Bの回転を停止させるブレーキ板23A,23Bが設けられている。ブレーキ板23A,23Bは、矩形の板材を折り曲げて形成されており、後輪10A,10Bに押し当てた際に上下2箇所が当接するようになっている。ブレーキ操作体21の踏板部21Aを踏み込むことで、伝達部22A,22Bによりブレーキ板23A,23Bが後方向に押圧されて移動し、後輪10A,10Bに押し当てられてブレーキがかかる。踏板部21Aを上方に移動させると、伝達部22A,22Bによりブレーキ板23A,23Bが後輪10A,10Bから離れ、ブレーキが解除される。
【0033】
図6に示すように、後杆5Bには、後側リフト機構を構成する左右一対の後側リフトアーム31A,31Bが取り付けられている。後側リフトアーム31A,31Bは、後杆5Bに設けられた軸保持部32A,32Bの前側部分に取付軸部33A,33Bにより回動自在に軸支されている。軸保持部32A,32Bは、平行に対向させた2枚の板部材により形成されている。
【0034】
後側リフトアーム31A,31Bは、平行に対向させた2枚の板状部材である本体板部34A,34Bと、本体板部34A,34Bの長手方向に延設された板状の長リブ部35A,35Bと、本体板部34A,34Bの短手方向に延設された板状の短リブ部36A,36Bと、本体板部34A,34Bに回動自在に軸支された第1ローラ37A,37B及び後側被押圧部である第2ローラ38A,38Bを有している。
【0035】
本体板部34A,34Bの前側部分に第2ローラ38A,38Bが取り付けられ、本体板部34A,34Bの前後方向中間部分に第1ローラ37A,37Bが取り付けられている。取付軸部33A,33Bと第1ローラ37A,37Bの間に長リブ部35A,35Bが設けられ、第1ローラ37A,37Bと第2ローラ38A,38Bの間に短リブ部36A,36Bが設けられている。後側リフトアーム31A,31Bの支点部である第1ローラ37A,37Bは軸部材である支点軸39A,39Bにより軸支され、後側リフトアーム31A,31Bの力点部である第2ローラ38A,38Bは軸部材である力点軸40A,40Bにより軸支されている。本実施例の第1ローラ37A,37B及び第2ローラ38A,38Bは、合成樹脂製のローラであるが、他の材質のものであってもよい。
【0036】
前支持脚6A,6B及び後支持脚7A,7Bを昇降させる際には、第1ローラ37A,37Bが連結体27の上面部27Aに当接し(
図10参照)、後側リフトアーム31A,31Bの前後が第1ローラ37A,37Bを支点として上下する。第2ローラ38A,38Bは、作業台4が降下した際にシザースリンク機構3に設けられた後側押圧部41A,41B(
図3参照)によって押圧されて、いわゆるテコの原理の力点として機能する。本実施例の後側リフト機構は、連結体27、後側リフトアーム31A,31B、軸保持部32A,32B、取付軸部33A,33Bから構成されている。
【0037】
主に
図3に示すように、左杆5Cの上面部には、下側ローラ45Aが転動する下側転動レール42Aが設けられている。下側転動レール42Aは内側(右杆5D側)が開口した溝形鋼である。右杆5Dの上面部にも同様に、下側ローラ45Bが転動する下側転動レール42Bが設けられている。下側転動レール42Bは内側(左杆5C側)が開口した溝形鋼である。下側転動レール42Aは左杆5Cと略同一の長さに形成され、下側転動レール42Bは、右杆5Dと略同一の長さに形成されている。
【0038】
次に、
図2、
図3及び
図7に基づいてシザースリンク機構3について説明する。シザースリンク機構3は、4段リンク機構で、1段目内側リンク51A,51Bと1段目外側リンク52A,52B、2段目内側リンク53A,53Bと2段目外側リンク54A,54B、3段目内側リンク55A,55Bと3段目外側リンク56A,56B、4段目内側リンク57A,57B、4段目外側リンク58A,58B、の4組8本が左右にそれぞれ配設されている。そして、1段目内側リンク51A,51Bと1段目外側リンク52A,52Bの交差部はリンク軸59Aにより左右一対に軸支され、3段目内側リンク55A,55Bと3段目外側リンク56A,56Bの交差部はリンク軸59Bにより左右一対に軸支され、4段目内側リンク57A,57Bと4段目外側リンク58A,58Bの交差部はリンク軸59Cにより左右一対に軸支され、1段目内側リンク51A,51Bと2段目外側リンク54A,54Bの接続部はリンク軸59Dにより左右一対に軸支され、1段目外側リンク52A,52Bと2段目内側リンク53A,53Bの接続部はリンク軸59Eにより左右一対に軸支され、2段目内側リンク53A,53Bと3段目外側リンク56A,56Bの接続部はリンク軸59Fにより左右一対に軸支され、2段目外側リンク54A,54Bと3段目内側リンク45の接続部はリンク軸59Gにより左右一対に軸支され、3段目内側リンク55A,55Bと4段目外側リンク58A,58Bの接続部はリンク軸59Hにより左右一対に軸支され、3段目外側リンク56A,56Bと4段目内側リンク57A,57Bの接続部はリンク軸59Iにより左右一対に軸支されている。また、2段目内側リンク53A,53Bと2段目外側リンク54A,54Bの交差部は、短リンク軸60A,60Bにより左右別体に軸支されている。
【0039】
1段目内側リンク51A,51Bの下端部分は、左杆5C及び下側転動レール42Aと、右杆5D及び下側転動レール42Bに固定された被力付与部である下側固定軸パイプ43(
図3及び
図6参照)に軸支されている。また、1段目外側リンク52A,52Bの下端部分は、下側可動軸パイプ44に軸支され、下側可動軸パイプ44の左右両端には、下側転動レール42A,42B内を移動する合成樹脂製の下側ローラ45A,45Bが回動自在に取り付けられている。シザースリンク機構3が折り畳まれると下側ローラ45A,45Bが後側へ移動し、シザースリンク機構3が伸長すると下側ローラ45A,45Bが前側へ移動するようになっている。
【0040】
図3に示すように、左右の1段目内側リンク51A,51Bの上部分には、下連結杆61が接続されている。また、左右の3段目内側リンク55A,55Bの下部分には、上連結杆62が接続されている。そして、下連結杆61に油圧シリンダ63の下端部が取り付けられ、上連結杆62に油圧シリンダ63の上端部が取り付けられている。この油圧シリンダ63が収縮するとシザースリンク機構3が折り畳まれ、油圧シリンダ63が伸長するとシザースリンク機構3が伸長するようになっている。油圧シリンダ63は、昇降駆動装置8との間で圧油を送受することによって伸縮する。
【0041】
図7に示すように、4段目外側リンク58A,58Bの上端部分は、作業台4の底板部4Aの左右両端部分に取り付けられた上側転動レール64A,64Bに固定された上側固定軸パイプ65に軸支されている。また、4段目内側リンク57A,57Bの上端部分は、上側可動軸パイプ66に軸支され、上側可動軸パイプ66の左右両端には、上側転動レール64A,64B内を移動する合成樹脂製の上側ローラ67A,67Bが回動自在に取り付けられている。シザースリンク機構3が折り畳まれると上側ローラ67A,67Bが後側へ移動し、シザースリンク機構3が伸長すると上側ローラ67A,67Bが前側へ移動するようになっている。
【0042】
図3に示すように、左右の2段目内側リンク53A,53Bの内側面であって短リンク軸60A,60Bよりもやや上側部分には、シザースリンク機構3が折り畳まれた際に第2ローラ38A,38Bを下方に押圧する後側押圧部41A,41Bが設けられている。
【0043】
図8及び
図9に示すように、左右の2段目内側リンク53A,53Bには、前輪9A,9Bが取り付けられている。前輪9A,9Bは、水平方向に回動可能な自在車輪である。前輪9A,9Bは、左右の2段目内側リンク53A,53Bに取り付けられたコ字型に形成された前輪取付部68に取り付けられている。前輪取付部68は、左側の2段目内側リンク53Aに取り付けられた左側板部68Aと、右側の2段目内側リンク53Bに取り付けられた右側板部68Bと、左側板部68Aの下端と右側板部68Bの下端に接続された底板部68Cと、を一体に有している。前輪9A,9Bは、底板部68Cの下面部分に取り付けられている。前輪9Aと前輪9Bは、地面G(床面)に接地していない状態の時には自重により平行になる。
【0044】
左側板部68Aの内側面と右側板部68Bの内側面には、前側リフト機構が取り付けられている。前側リフト機構は、後側リフト機構と共にシザースリンク機構3を折り畳んだ時に、枠体5、前支持脚6A,6B、後支持脚7A,7B等を有する本体部2を上昇させるものである。
【0045】
本実施例の前側リフト機構は、前支持脚6A,6Bと、前輪取付部68と、取付基部69と、左右一対の軸取付部70A,70Bと、左右一対の回動軸71A,71Bと、回動部本体72と、回動板部73と、前側リフトアーム74と、左右一対の加力部75A,75Bと、を有している。このうち、回動部本体72と回動板部73と前側リフトアーム74と加力部75A,75Bがリフト回動機構を構成する。
【0046】
取付基部69は、溝形鋼により形成され、左側板部68Aの内側面と右側板部68Bの内側面に取り付けられている。軸取付部70Aは2枚の板状部材を平行に配置して形成されており、取付基部69の上面に立設されている。軸取付部70Bも同様に、2枚の板状部材を平行に配置して形成されており、取付基部69の上面に立設されている。回動板部73と前側リフトアーム74は、回動軸71A,71Bにより軸取付部70A,70Bに回転自在に軸支されている。回動部本体72の左右両端は、回動板部73と前側リフトアーム74に連結されており、回動部本体72と回動板部73と前側リフトアーム74と加力部75A,75Bは、回動中心である回動軸71A,71Bを中心に一体となって回動可能となっている。すなわち、リフト回動機構が回動可能となっている。
【0047】
回動板部73は、2枚の板状部材を平行に配置して形成されている。前側リフトアーム74は、回動板部73よりも長い2枚の板状部材を平行に対向させた本体板部76A,76Bと、本体板部76A,76Bの長手方向に延設された板状のリブ部77と、本体板部76A,76Bに回動自在に軸支された被押圧部である第3ローラ78を有している。また、回動板部73には左側の加力部75Aが取り付けられ、本体板部76A,76Bには右側の加力部75Bが取り付けられている。本実施例の加力部75A,75Bは、各々2枚の矩形板状部材と円形板状部材から形成されているが、下側固定軸パイプ43に当接して上方向に押圧することができるものであれば、湾曲した凹状等、他の形状であってもよい。また、加力部75Aと加力部75Bは、1部品により一体に形成してもよい。本実施例の第3ローラ78は、合成樹脂製のローラであるが、他の材質のものであってもよい。
【0048】
右側の3段目内側リンク45Bには、シザースリンク機構3を折り畳んだ時に、前側リフトアーム74の第3ローラ78を押圧する前側押圧部79(
図3参照)が設けられている。この前側押圧部79により第3ローラ78が押圧されると、回動部本体72と回動板部73と前側リフトアーム74が回動軸71A,71Bを中心に回動する。リフト回動機構は、回動軸71A,71Bを中心として、前側リフトアーム74の第3ローラ78側よりも加力部75A,75B側が重くなるように、リフト回動機構の各構成部品の重量や回動軸71A,71Bの位置等、重心バランスが調整されている。そのため、第3ローラ78が押圧されていない状態では、加力部75A,75Bが第3ローラ78よりも下方の位置となる。
【0049】
本実施例の前側リフトアーム74は、回動軸71Bにより軸取付部70Bに取り付けられているが、前側リフトアーム74を、回動軸71Aにより軸取付部70Aに取り付け、回動板部73を回動軸71Bにより軸取付部70Bに取り付けることで、回動板部73と前側リフトアーム74の取り付け位置を反対にし、前側押圧部79を左側の3段目内側リンク45Aに設けてもよい。
【0050】
図1等に示すように、作業台4は、矩形板状の底板部81と、底板部81の上部周縁部分に立設された周壁部82と、周壁部82の上部に設けられた落下防止柵83と、を有している。落下防止柵83は、円筒状のパイプ部材により形成されており、落下防止柵83の前側部分には、開閉可能な扉部84が配設されている。扉部84には、扉部84を開閉する際に把持する把持部85が設けられている。電源装置11は、扉部84の下方に位置している。シザースリンク機構3を折り畳んだ状態では、作業台4が収容部13に接近しているため、作業者は、収容部13に足を掛けて作業台4に乗り降りすることができる。そのため、作業台4への乗降のための専用の足掛部は設けられていない。
図1に示すように、収容部13の蓋体13Cの前面14Bと、周壁部82の前面82Aは、前後方向において略同一平面上に位置している。
【0051】
ここで、前支持脚6A,6B及び後支持脚7A,7Bを昇降させる前側リフト機構及び後側リフト機構の機能について説明する。
図2は、シザースリンク機構3が完全に伸長した状態を示しており、この状態から、昇降駆動装置8により油圧シリンダ63を収縮させることにより、前側リフト機構が降下する。シザースリンク機構3が完全に折り畳まれる直前に前輪9A,9Bが地面(床面)に当接し、加力部75A,75Bが下側固定軸パイプ43の下方に位置し、前側押圧部79が第3ローラ78に当接する。シザースリンク機構3の収縮によりリフト回動機構が下降するときには加力部75A,75Bがリフト回動機構の最も下側の位置となっており、加力部75A,75Bは略前側に向いている。そのため、加力部75A,75Bは下側固定軸パイプ43に接触することなく、下側固定軸パイプ43の下方に配置される。その後、シザースリンク機構3が完全に折り畳まれる過程で、
図10に示すように、前側押圧部79が第3ローラ78を下方に押圧することで、リフト回動部64の回動部本体65側が上方に移動し、加力部75A,75Bが下側固定軸パイプ43の下側に当接した後、加力部75A,75Bから下側固定軸パイプ43に対して上向きに力が付与される。
【0052】
油圧シリンダ63が収縮すると共にシザースリンク機構3が折り畳まれることで、後側押圧部41A,41Bが第2ローラ38A,38Bに当接する。その後、シザースリンク機構3が完全に折り畳まれる過程で、
図10に示すように、後側押圧部41A,41Bが第2ローラ38A,38Bを下方に押圧して押し下げる。そして、第1ローラ37A,37Bを支点として軸保持部32A,32B側が枠体5と共に上昇する。
【0053】
前側リフト機構と後側リフト機構は、シザースリンク機構3を折り畳むことで略同時に上記のように作用し、枠体5を上昇させる。シザースリンク機構3は、前支持脚6A,6B及び後支持脚7A,7Bが地面G(床面)から離れた後、完全に折り畳まれる。
【0054】
図1に示すように、シザースリンク機構3が完全に折り畳まれた状態から、昇降駆動装置8により油圧シリンダ63を伸長させていくと、シザースリンク機構3が伸長していき、前側押圧部79が第3ローラ78から離れると共に、前輪9A,9Bが地面(床面)から離れる。また、略同時に、後側押圧部41A,41Bが第2ローラ38A,38Bから離れる。これにより、枠体5を上昇させる力が付与されなくなり、枠体5は自重により降下する。
【0055】
このように、昇降台装置1は、ブレーキ機構が設けられていない前輪9A,9Bを取り付けた前輪取付部68を、後輪ユニット24と比較して構成を簡素化することができる。
【0056】
以上のように、本実施例の昇降台装置1は、四隅に前支持脚6A,6B及び後支持脚7A,7Bが配設された枠体5を有する本体部2と、本体部2の上方に配設されたシザースリンク機構3と、シザースリンク機構3によって支持された作業台4と、を備える昇降台装置1であって、シザースリンク機構3には、前側リフト機構と、前側押圧部79と、が設けられ、前側リフト機構は、第3ローラ78と、加力部75A,75Bと、を有し、前側押圧部79が第3ローラ78を押圧することにより、加力部75A,75Bが枠体5に上方向の力を付与して前支持脚6A,6B及び後支持脚7A,7Bを昇降させることができる。
【0057】
また、本実施例の昇降台装置1は、前側リフト機構は、回動軸71A,71Bを中心に回動自在なリフト回動部を有し、第3ローラ78が前側押圧部79により下方向に押圧されるとリフト回動部が回動し、第3ローラ78が降下すると共に加力部75A,75Bが上昇することにより、シザースリンク機構3を折り畳む方向の力を前側押圧部79から第3ローラ78に伝達し、第3ローラ78が降下することで加力部75A,75Bが上昇し、加力部75A,75Bが上昇する力を枠体5に付与して枠体5を上昇させることができる。
【0058】
また、本実施例の昇降台装置1は、第3ローラ78が前側押圧部79により押圧されていないときに、加力部75A,75Bがリフト回動部の回動軸71A,71Bよりも下方に位置していることにより、シザースリンク機構3の駆動時に、加力部75A,75Bが他の部品に接触することを防止することができる。そのため、シザースリンク機構3を収縮させてリフト回動部を降下させる時に、加力部75A,75Bが枠体5に設けられた下側固定軸パイプ43に接触しないため、加力部75A,75Bを下側固定軸パイプ43の下方に確実に配置することができる。
【0059】
また、本実施例の昇降台装置1は、シザースリンク機構3に前輪9A,9Bが設けられ、本体部2に後輪10A,10Bが設けられ、枠体5が後輪10A,10Bに対し昇降可能であり、シザースリンク機構3が折り畳まれることにより、前輪9A,9Bが地面Gに接地すると共に加力部75A,75Bが枠体5に上方向の力を付与する。これにより、シザースリンク機構3が伸長した状態では、前輪9A,9Bを地面Gから離し、前支持脚6A,6B及び後支持脚7A,7Bと後輪10A,10Bが地面Gに接地させ、シザースリンク機構3が折り畳まれた状態では、前支持脚6A,6B及び後支持脚7A,7Bを地面Gから離し、前輪9A,9Bと後輪10A,10Bを地面Gに接地させることができる。
【0060】
また、本実施例の昇降台装置1は、前側リフト機構がシザースリンク機構3の2段目内側リンク53A,53Bに設けられ、前側押圧部79がシザースリンク機構3の3段目内側リンク55Bに設けられていることにより、3段以上のシザースリンク機構3であれば、本発明の作用・効果を発揮することができる。
【0061】
また、本実施例の昇降台装置1は、第3ローラ78が左右の何れかに1つ設けられ、加力部75A,75Bが左右に各1つ設けられていることにより、加力部75A,75Bを上方に移動させるための前側押圧部79による押圧力を1つの第3ローラ78により加力部75A,75Bに伝達することができる。そのため、第3ローラ78を左右一対に設けた場合と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0062】
また、本実施例の昇降台装置1は、前側リフト機構が左右方向に延設された回動部本体72と、回動部本体72と直角方向に延設された前側リフトアーム74と、を備え、第3ローラ78が前側リフトアーム74に設けられ、加力部75A,75Bが回動部本体72に設けられていることにより、前側リフトアーム74の第3ローラ78が前側押圧部79により下方に押圧されることで、回動部本体72と前側リフトアーム74が一体となって回動し、加力部75A,75Bにより枠体5に対して上方向の力を付与することができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、シザースリンク機構3の段数を5段以上としてもよい。