(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071794
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】模型車両の走行機構
(51)【国際特許分類】
A63H 18/14 20060101AFI20220509BHJP
A63H 18/02 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A63H18/14 G
A63H18/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020190562
(22)【出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】508099081
【氏名又は名称】株式会社ノエルコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】野々宮 猛
(72)【発明者】
【氏名】八木 哲生
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA08
2C150DA06
2C150DA16
2C150DA18
2C150EB01
2C150EB44
(57)【要約】
【課題】 [0029]
軌道上で安定して浮上する走行体と、それを駆動する自走走行体を用いた小型で簡素な軌道走行玩具を提供する。
【解決手段】磁力で浮上状態にある第一車両12および第一軌道20の直下に、模型車両の磁石と反発する向きに配された磁石5と、動力を有し自走する第二車両7を内蔵した第二軌道30を配する。動力で前進する第二軌道30内の車両の磁石5が、直上の第一軌道20内に浮上する第一車両12の磁石10を反発力で押し、第一車両12は軌道内を浮上状態のまま走行する。自走する第二車両7とその磁石5の反発力を使い浮上状態の第一車両12を走行させることで、総重量35gの第一車両12を秒速30cm程度での安定走行がが可能となった。また自走車両である第二車両7は第二軌道30内にほぼ内包された形で外部から不可視のため、視覚的に第一車両12が浮上したまま自走する状態を実現した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石の反発力で車両を駆動する模型車両の走行機構であって、軌道の両側壁面に磁石を有する第一軌道と、前記第一軌道両側壁面の磁石と内包した磁石との相互の引力で浮上する第一車両を有する模型車両の走行機構において、前記第一軌道と同一の長さと回転半径を有する第二軌道と、原動機により走行し、天面に前記第一車両内の磁石と反発する向きに磁石を配した第二車両を有することを特徴とする模型車両の走行機構。
【請求項2】
請求項1に記載の模型車両の走行機構において、前記第二軌道の直上に前記第一軌道を配する二階建ての構造により、前記第二軌道内を自走する前記第二車両の磁石が、浮上状態の前記第一車両の磁石を反発力で押すことで前記第一車両を駆動することを特徴とする模型車両の走行機構。
【請求項3】
前記第二軌道の構造として、軌道内に動力を有する前記第二車両を流入させる構造と、前記第二車両を排出することのできる構造を有することを特徴とする模型車両の走行機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型車両の走行機構に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道の両側壁面に磁石を有する第一軌道と、軌道壁面から等距離を保ちつつ前記第一軌道両側壁面との摩擦を低減する機能を有する車輪および前記第一軌道両側壁面の磁石と相互に引き合う磁石を有することで、前記第一軌道内に浮上する第一車両を有する模型車両の走行機構。
【先行技術文献】
【特許文献】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
軌道内に磁力により浮上する模型車両を駆動させるには外力が必要になる。磁力で浮上している模型車両にモーター等の動力源を内蔵しようとすると、電源も内蔵する必要があるため重量が増し浮上が不可能となる点に問題がある。また電磁石の反発力を使用すれば走行は可能となるが、装置が大規模となり小型で簡素という要素を満たさない点に問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の解決手段は、軌道両壁面に磁石を有し、磁石を内蔵する第一車両をその吸引力で軌道上に浮上させる第一軌道の直下に、模型車両の磁石と反発する向きに配された磁石と、原動機を有し自走する第二車両を内蔵した第二軌道を配することを特徴とする。
【0005】
第二の解決手段は、さらに動力で前進する第二軌道内の車両の磁石が、直上の第一軌道内に浮上する第一車両の磁石を反発力で押し、第一車両は軌道内を浮上状態のまま走行することを特徴とする。
【0006】
第三の解決手段は、さらに第二軌道の構造として、軌道内に動力を有する第二車両を流入させる構造と、第二車両を排出できる構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第一車両は、自走する第二車両の磁石の反発力で駆動され、重量の増加もない。また第二車両は第二軌道内にほぼ内包された形で外部からほぼ不可視のため、視覚的に浮上した走行状態を実現できる。
【0008】
第二軌道内を走行する第二車両はセンサ等を必要とせず、構造も比較的簡素で小型にでき、さらに第二軌道の構造として、軌道内に動力を有する第二車両を流入させる構造と、排出することのできる構造を有するため、任意のタイミングで第一車両の走行を開始、停止することができ、操作も平易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1b】本発明に係る第一車両の天面図及び複数接続時の連結機構
【
図1c】本発明に係る第一車両の側面図及び複数接続時の連結機構
【
図3】(a)本発明に係る第一軌道の正面図と側面図
【
図3】(b)本発明に係る第二軌道の正面図と側面図
【
図3】(c)第二軌道上に第一軌道を配した二階建て構造の正面図と側面図
【
図4a】本発明に係る第二軌道における第二車両流入路の図
【
図4b】本発明に係る第二軌道における第二車両流入路の流入動作図
【
図5a】本発明に係る第二軌道における第二車両排出構造の図
【
図5b】本発明に係る第二軌道における第二車両の排出構造動作の図
【
図5c】本発明に係る第二軌道における第二車両の走行図
【
図5d】本発明に係る第二軌道における排出構造動作時の第二車両の走行図
【
図5e】本発明に係る第二軌道における第二車両の排出の図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1aにおいて、12は第一車両全体を示す。11はタイヤで車両を軌道両側壁から等距離に保ち、走行を円滑にする。
【0011】
図1bにおいて13は連結体。10は磁石で第一軌道左右に配された磁石と引き合うことにより第一車両12を軌道内に浮上させる。
【0012】
図1cにおいて14は連結軸で連結体の穴に挿入され第一車両12同士を連結する。15は結合部品で連結体13を貫通する連結軸14の上下に嵌入され、連結を保持する。
【0013】
図2aにおいて、7は第二車両全体を示す。3は摩擦抵抗により第二軌道内を走行するためのタイヤ。8はタイヤ両輪と駆動ギアを接続する駆動ギア軸。1はモータ。2はモータからの動力を駆動ギア軸8に伝えるギア群。9はスイッチでモータと電源の間に接続されモータの作動及び停止に使われる。
【0014】
図2bにおいて5は磁石で、
図1における第一車両内の磁石10と反発する向きに配される。6は電源で、接続されるモータ1を駆動するために使われる。
【0015】
【0016】
図3aにおいて、12は
図1における第一車体全体を表す。20は第一軌道を示す。21は軌道内磁石を表す。第一車体内の磁石が軌道内磁石21の引力を両側から受け車体12が軌道内に浮上する。このため第一車体は第二軌道20内を摩擦抵抗が極めて少ない状態で前後方向に運動できる。
【0017】
図3bにおいて、7は
図1における第二車両全体を表す。30は第二軌道を示す。スイッチをONにしモーターが動力を発生することで、第二車両7は第二軌道内をタイヤの摩擦抵抗により前後方向に運動できる。
【0018】
図3cにおいて、第一軌道20と第二軌道30を二階建て構造で接続した場合の、磁石の関係を示す。第一車両12の磁石は第一軌道20内の磁石に左右から引力を受け軌道内に第一車両12を浮上させる。一方第二軌道30内にある第二車両7の磁石は直上の第一車両の磁石と反発する。第二軌道30内の第二車両7が走行を開始すると、第二軌道30内の第二車両7の磁石は第一軌道20内の第一車両12の磁石と反発し第一車両12を押す力が発生する。このため第一車両12は第二車両7の運動に従って浮上状態を保持したまま第一軌道20内を走行する。
【0019】
図4aは第二軌道30における、第二車両7の流入路を示す。41は第二車両7が走行する通常走行路を、40は第二車両7が流入するための開口部を示す。
【0020】
図4bは開口部40から流入する第二車両7の走行軌道を示す。電源が入り駆動状態の第二車両7を流入路である開口部付近40に置くと、自走する第二車両は流入側走路50より直進したのち、軌道壁面に沿って軌道内に流入し、走行側走路51に向け走行する。
【0021】
図5aは第二軌道30における、第二車両7の排出路とその機構を示す。
【0022】
図5bは排出路の動作を示す。電源が入り走行状態の第二車両は、排出用に設定された軌道側壁の片側の開口部と、その一端の垂直軸を回転中心とした湾曲した側壁を軌道内側に回転させる。
【0023】
図5cは排出路とその機構が動作していない状態を示す。
【0024】
図5dは排出路とその機構が動作した状態を示す。排出用に設定された軌道側壁の片側の開口部と、その一端の垂直軸を回転中心とした湾曲した側壁を軌道内側に回転させると、第二車両7は側壁に沿って走行する。
【0025】
図5eは第二車両7が流出する状態を示す。第二車両7が第二軌道30の外に流出路から流出すると、動力源を失った第一車両12は停止する。
【0026】
図6は第一軌道20と第二軌道30の二階建て接続した場合の軌道図である。60は第二軌道30における第二車両7の流入路、61は第二軌道30における第二車両7の流出路を示す。
【実施例0027】
自走車両とその磁石の反発力で浮上状態の車両を走行させることで、総重量35gの第一車両12を秒速30cm程度で安定走行させることがが可能となった。
【0028】
自走車両である第二車両7は第二軌道30内にほぼ内包された形で外部から不可視のため、視覚的に第一車両12が浮上したまま自走する状態を実現した。