(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071807
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/00 20060101AFI20220509BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20220509BHJP
D04B 1/18 20060101ALI20220509BHJP
D01F 8/06 20060101ALI20220509BHJP
D01F 8/12 20060101ALI20220509BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20220509BHJP
D06B 1/04 20060101ALI20220509BHJP
D06P 5/20 20060101ALI20220509BHJP
D06P 3/82 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
D04B1/00 B
D06M15/53
D04B1/18
D01F8/06
D01F8/12 Z
D02G3/04
D06B1/04
D06P5/20 A
D06P3/82 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079416
(22)【出願日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】202011173804.3
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517260180
【氏名又は名称】依美ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 偉
【テーマコード(参考)】
3B154
4H157
4L002
4L033
4L036
4L041
【Fターム(参考)】
3B154AB21
3B154AB27
3B154BA08
3B154BA17
3B154BD01
3B154BE05
4H157AA02
4H157BA08
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4H157CA13
4H157DA01
4H157DA17
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4H157GA07
4H157GA21
4H157HA01
4H157JA10
4H157JB01
4L002AA05
4L002AA07
4L002AB02
4L002AB04
4L002AB05
4L002AC01
4L002AC06
4L002BA01
4L002BB01
4L002DA01
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4L033AB06
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4L033CA48
4L036MA05
4L036MA06
4L036MA33
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4L036MA40
4L036UA23
4L036UA25
4L041BA21
4L041CA19
4L041CA36
(57)【要約】
【課題】裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地とその製造方法とを提供する。
【解決手段】裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地であって、肌側層と、表面層と、これら肌側層および表面層を互いに接続する接続糸とを有する。肌側層はポリエチレン繊維を含み、表面層はポリエステル糸を含み、接続糸は弾性糸にて構成されている。この裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を製造するに際しては、編み立てと、前処理と、染色と、水洗い乾燥と、仕上げセットとをこの順に行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌側層と、表面層と、これら肌側層および表面層を互いに接続する接続糸とを有し、肌側層はポリエチレン繊維を含み、表面層はポリエステル糸を含み、接続糸は弾性糸にて構成されていることを特徴とする裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地。
【請求項2】
肌側層が平編み組織にて構成されていることを特徴とする請求項1記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地。
【請求項3】
接続糸は、波線状であり、表面層と肌側層とを順次貫通していることを特徴とする請求項1または2記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地。
【請求項4】
接続糸はポリウレタン糸であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地。
【請求項5】
表面層のポリエステル糸は、カチオンポリエステル繊維と、カチオンポリエステルおよび普通のポリエステルの複合糸と、ポリエステルの先染め糸とのいずれかまたは少なくとも二つの組み合わせから選択されたものであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地。
【請求項6】
吸湿速乾剤が付着していることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地。
【請求項7】
請求項1に記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を製造するに際し、編み立てと、前処理と、染色と、水洗い乾燥と、仕上げセットとをこの順に行うことを特徴とする裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法。
【請求項8】
編み立てを、16-32ゲージの両面編み機を用いて行うことを特徴とする請求項7記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法。
【請求項9】
前処理を、編み立てられた生地を沸騰した湯の中に入れて煮込みすることにより行うことを特徴とする請求項7または8記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法。
【請求項10】
染色を、前処理後の生地を水に漬けたうえで助剤と染色剤とを順に入れ、100-120℃に昇温したうえで40-50分間温度を保持することにより行うことを特徴とする請求項7から9までのいずれか1項記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法。
【請求項11】
水洗い乾燥を、染色後の生地を熱水で水洗いしてから乾燥することにより行うことを特徴とする請求項7から10までのいずれか1項記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法。
【請求項12】
仕上げセットを、仕上げセット機械を用いて行うことを特徴とする請求項7から11までのいずれか1項記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法。
【請求項13】
編み立てを、ポリエチレン繊維および、またはポリエチレン複合繊維を原材料として肌側層を形成し、カチオンポリエステル糸および、またはカチオンポリエステルと普通ポリエステルの複合糸を原材料として表面層を形成し、弾性糸を接続糸として表面層と肌側層とを順次に貫き、生機生地を得ることにより行い、
前処理を、編み立て後の生機生地を沸騰水中で煮込みし、そのとき浴比を1:(8-12)として行い、
染色を、前処理後の生地を水に浸漬し、助剤と染料とを順に加えて、100-120℃まで昇温し40-50分間保温して行うとともに、そのときの染色の浴比を1:(8-12)とし、
水洗い乾燥を、染色後の生地を沸騰水の中で水洗いし、5-15分経過後に乾燥することにより行い、
仕上げセットを、水洗い乾燥後の生地を100-120℃の条件で、過給量100-120%、速度15-20ヤードでセットすることにより行い、その仕上げセットの過程において、仕上げセット機械の圧延槽に生地の総質量の0.5-5%の吸湿速乾助剤を添加する、
ことを特徴とする請求項7記載の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは世界でよく使われているプラスチックポリマーである。近年、ポリエチレンは、その優れた熱伝導率と接触冷感性能とを利用して、紡績繊維として使われている。ポリエチレンは、過去において、最初は、特に機能性冷感寝装の用途で使われていた。現在、アパレルの分野では、ポリエチレン製の生地を使うことが、ますます多くなっている。ポリエチレン製の生地は、夏の冷感服装に応用される。しかし、ポリエチレン繊維は高温に耐えられず、このためポリウレタン等の弾性糸を加入した後の高温での生地の仕上げセットが難しく、それが原因となって、その応用範囲を制限している。
【0003】
中国特許出願公開第105054427号明細書(特許文献1)は、耐磨耗性混紡生地を開示している。この耐磨耗性混紡生地は、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリプロビレン繊維、ポリエステル繊維の、5種類の繊維の混紡繊維によって、編み立てられている。この生地におけるそれぞれの繊維成分の比率は、ビニロン繊維14-18質量%、ポリエチレン繊維13-16質量%、ポリウレタン繊維17-20質量%、ポリプロピレン繊維9-14質量%、ポリエステル繊維33-45質量%を占めている。この生地は、混紡用にポリエチレン繊維とポリウレタン繊維とを使用しているが、冷感性が無く、また弾力性もない。
【0004】
中国実用新案第210415807号明細書(特許文献2)は、生地と衣類とを開示している。この生地は、第一生地層と第二生地層とを含む。第一生地層は、カチオンポリエステルと普通ポリエステルとの複合糸、またはカチオンポリエステルと吸汗速乾ポリエステルとの複合糸で編成されている。第二生地層は、第一生地層の内側に配置されて、改質性遮熱ポリエステルで編成されている。これら第一生地層と第二生地層とは、直接接続されるか、あるいは接続糸によって接続されている。この生地は冷感性に改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第101054427号明細書
【特許文献2】中国実用新案第210415807号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、弾力性のあるポリエチレン冷感生地を開発する必要がある。すなわち、従来の技術における不足点に対して、本発明の目的は、ポリエチレン繊維を有した弾性ダブルフェース冷感生地とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、肌側層と、表面層と、これら肌側層および表面層を互いに接続する接続糸とを有し、肌側層はポリエチレン繊維を含み、表面層はポリエステル糸を含み、接続糸は弾性糸にて構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法は、上記の冷感生地を製造するに際し、編み立てと、前処理と、染色と、水洗い乾燥と、仕上げセットとをこの順に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地およびその製造方法によれば、同生地は優れた接触冷感性、吸汗速乾性、紫外線透過防止性を有しており、同時に弾性糸を加え入れても仕上げセット出来ないという従来の問題を解決して、生地に優れたストレッチ性をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の構造概略図である。
【
図2】実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の基礎編立図である。
【
図3】実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の基本三角図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地とその製造方法とが提供される。すなわち本発明の生地は、良好な弾力性を持ち、同時に優れた接触冷感性、吸湿速乾性、紫外線透過防止性を持っている。
【0012】
第一に、本発明は、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を提供する。この生地は、衣服にしたときの肌側層と、表面層と、これら肌側層および表面層を互いに接続する接続糸とを含む。肌側層はポリエチレン繊維を含み、表面層はカチオンポリエステル糸を含み、接続糸は弾力性糸である。
【0013】
本発明では、上記のようにポリエチレン繊維にて肌側層を構成する。この肌側層は、ポリエチレンの熱伝導率が高いため、良好な接触冷感性能を有する。また紫外線に対する透過防止性能があり、良好な通気性を持ち、このため非ポリエチレン製繊維よりも優れている。ポリエチレン繊維は優れたソフトタッチ性もあり、この繊維にて作られた生地はより柔らかいものである。
【0014】
表面層は、原則的にカチオンポリエステルを原料とした繊維を主体として構成される。カチオンポリエステルは、常温常圧で低温染色を施すことができ、染料が浸透しやすく、また染色堅牢度が優れている。さらに手触りが柔らかく、色褪せにくく、しかも皺に強い特徴もある。
【0015】
肌側層と表面層とは、弾力性を有する糸を接続糸として連結されている。これにより、生地に優れた弾力性がもたらされている。
【0016】
肌側層について詳細に説明する。肌側層は、平編み組織とすることができる。肌側層のループ長は、好ましくは10cm-15cm/50針であり、例えば、10cm/50針、11cm/50針、12cm/50針、13cm/50針、14cm/50針、15cm/50針などとすることができる。
【0017】
肌側層は、好ましくはポリエチレン繊維および、またはポリエチレン複合繊維によって編成される。ポリエチレン複合繊維としては、芯鞘構造か半芯鞘構造の複合繊維を挙げることができる。たとえば、鞘層はポリエチレンで構成され、芯層はナイロンで構成されているようにすることができる。ポリエチレンを鞘層とすることで、ポリエチレンの熱伝導率は高く、これを0.5W/(m・K)に達するようにすることができるため、より良い接触冷感性を付与できる。また、ナイロンを芯層とすることで、優れた柔軟性を持ち、生地の風合いを高め、肌に優しい生地とすることができる。
【0018】
芯鞘構造の場合に、芯層の直径は複合繊維の直径の20-80%であることが好適である。すなわち、例えば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%などとすることができる。
【0019】
ポリエチレン繊維またはポリエチレン複合繊維の太さ(繊度)は、40-200Dであることが好ましい。すなわち、例えば40D、50D、70D、100D、120D、150D、200Dなどとすることができる。
【0020】
接続糸について詳細に説明する。接続糸は、弾性糸であって、表面層と肌側層を順次貫通したうえで両者を接続一体化するものである。接続糸は波線状の形態であることが好ましい。このような波線状の形態の弾性糸は、表面層と肌側層を順次に貫いて、表面層と肌側層とを連結すると同時に、層側に弾性糸を加え入れても仕上げ出来ないという上記した従来の問題を解決できるだけではなく、生地に良好な弾力性をもたらす。しかも表面層と肌側層との二層間に一定の隙間を与えて、生地の通気性を高める。
【0021】
接続糸は、好ましくはポリウレタン糸にて構成することができる。
【0022】
接続糸のループ長は、5-6cm/50針であることが好ましい。例えば、5cm/50針、5.2cm/50針、5.5cm/50針、5.7cm/50針、5.8cm/50針、6cm/50針などとすることができる。接続糸の太さ(繊度)は、10-40Dであることが好ましい。例えば10D、20D、30D、40Dなどとすることができる。
【0023】
表面層について詳細に説明する。表面層のループ長は、10-15cm/50針であることが好ましい。例えば10cm/50針、11cm/50針、12cm/50針、13cm/50針、14cm/50針、15cm/50針などとすることができる。
【0024】
表面層のポリエステル繊維は、純粋カチオンポリエステル糸、カチオンポリエステルと普通ポリエステルとの複合糸、またはポリエステル先染め糸のいずれか、あるいは少なくとも二つの組み合わせから選択することができる。
【0025】
その中で、カチオンポリエステルと普通ポリエステルとの複合糸は、カチオンポリエステルと普通ポリエステルとを組み合わせて作った複合糸のことで、ここにいう組み合わせとは、2本以上の単糸を合わせて巻いて筒に巻くことを指す。糸の組み合わせで、単糸の数を保証し、各単糸の張力を均衡させ、撚り不均衡を減らし、線の強さを高め、外観を改善することが出来る。本発明において、表面層は以下のいくつかの場合がある。
1.純粋カチオンポリエステルを普通無地色に染色したもの
2.カチオンポリエステル糸と普通ポリエステル糸との複合糸で、カチオンポリエステル糸だけを染めて杢色に染めたもの
3.普通ポリエステル糸の先染め糸で爾後には染めないもの
4.普通のポリエステルで、染めずにプリントしたもの。
【0026】
表面層のポリエステル糸の太さ(繊度)は、40-200Dであることが好ましい。例えば40D、50D、70D、100D、120D、150D、200Dなどとすることができる。
【0027】
表面層は、吸湿速乾剤が付着していることが好ましい。本発明では、仕上げセットの段階で表面層に吸湿速乾剤を加えることにより、生地の各層が平地構造であるため、吸湿速乾剤が表面層と肌側層との間により均一に分散され、それによって吸湿速乾剤が糸の繊維に付着して、生地の吸湿速乾効果を高めることができる。
【0028】
吸湿速乾剤は、たとえば、親水性ポリエステル、親水性ポリマーとポリシロキサンの複合体乳液、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレートの共重合体のいずれかまたは少なくとも二つの組み合わせから選択されるものであることが好ましい。
【0029】
生地における吸湿速乾助の付着量は1-5g/m2であることが好ましく、例えば1g/m2、2g/m2、3g/m2、4g/m2、5g/m2などとすることができる。
【0030】
表面層と肌側層とが弾性接続糸にて一体化された本発明の生地の目付けは、100-200g/m2であることが好ましく、例えば100g/m2、120g/m2、130g/m2、140g/m2、160g/m2、180g/m2、200g/m2などとすることができる。
【0031】
第二に、本発明は、上記第一で述べた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を製造するための製造方法を提供する。その裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法は、編み立て、前処理、染色、水洗い乾燥、仕上げセットを、この順で含む。
【0032】
本発明では、ポリエチレン繊維および、またはポリエチレン複合繊維を原料として肌側層を構成し、カチオンポリエステル糸、またはカチオンポリエステルと普通ポリエステルとの複合糸などにて表面層を構成し、弾性糸を接続糸として表面層と肌側層を順次貫き、それによって表面層と肌側層を繋ぎ、生機生地を形成する。
【0033】
編み立ては、16-32ゲージの丸編み両面機を使用して行うのが好ましい。例えば16ゲージ、18ゲージ、22ゲージ、24ゲージ、26ゲージ、27ゲージ、28ゲージ、29ゲージ、30ゲージ、31ゲージ、32ゲージなどである。
【0034】
次に、前処理として、編み立てられた生地を沸騰した湯の中に入れて煮込むことが好ましい。この前処理の浴比は1:(8-12)であることが好ましく、例えば1:8、1:9、1:10、1:11、1:12などとすることができる。
【0035】
生地の染色工程は、次のようにすることが好ましい。すなわち、上記した前処理の後の生地を水に浸漬して、助剤と染色剤とを順に入れ、100-120℃に温度を上げ(例えば100℃、102℃、104℃、106℃、108℃、110℃、112℃、114℃、116℃、118℃、120℃など)、40-50分間保温して(例えば40分、42分、44分、46分、48分、50分など)、染色する。
【0036】
染色の浴比は1:(8-12)であることが好ましい。例えば1:8、1:9、1:10、1:11、1:12などとすることができる。
【0037】
助剤の水中濃度は、0.1-1g/Lであることが好ましい。例えば0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、0.6g/L、0.7g/L、0.8g/L、0.9g/L、1g/Lなどとすることができる。
【0038】
助剤は、拡散剤および、または均等剤を含むことが好ましい。
【0039】
好適には、拡散剤は拡散剤NNO(「分散剤NNO」とも称し、水中における染色剤の分散力を高める機能を発揮するもの)とすることができ、均等剤は均等剤358(「均等剤DC」とも称し、染色剤を平均的に繊維に付着させるための助剤)とすることができる。
【0040】
水中での染料の濃度は、0.01-10%o.w.f.であることが好ましい。例えば0.01%o.w.f.、0.05%o.w.f.、0.1%o.w.f.、0.5%o.w.f.、1%o.w.f.、2%o.w.f.、3%o.w.f.、4%o.w.f.、5%o.w.f.、6%o.w.f.、7%o.w.f.、8%o.w.f.、9%o.w.f.、10%o.w.f.、などとすることができる。
【0041】
染料はカチオン染料または低温分散染料であることが好ましい。
【0042】
水洗い乾燥の具体的な手順として、染色後の生地を沸騰水などの熱水で水洗いして乾燥する手順が好ましい。水洗いの時間は、5-15分であることが好ましい。例えば5分、7分、9分、11分、13分、15分などとすることが好ましい。
【0043】
仕上げセットは、仕上げセット機械で行うことが好ましい。その仕上げセットの温度は100-120℃であることが好ましい。例えば100℃、105℃、110℃、112℃、114℃、116℃、118℃、120℃などとすることができる。仕上げセット機械の過給量は、100-120%であることが好ましい。例えば100%、105%、110%、115%、120%などとすることができる。仕上げセット機械の速度は15-20ヤードであることが好ましい。例えば15ヤード、16ヤード、17ヤード、18ヤード、19ヤード、20ヤードなどとすることができる。好ましくは、仕上げセットの過程において吸湿速乾剤を加えることが出来る。その場合には、吸湿速乾剤を直接に仕上げセット機械の圧延槽に入ればよい。吸湿速乾剤の添加量は、生地総質量の0.5-5%を占めることが好ましい。例えば0.5%、1%、2%、3%、4%、5%などとすることができる。
【0044】
本発明の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法は、上記した各ステップが詳細には以下のものであることが好ましい。
【0045】
(1)編み立て:ポリエチレン繊維および、またはポリエチレン複合繊維を原材料として肌側層を形成し、カチオンポリエステル糸および、またはカチオンポリエステルと普通ポリエステルの複合糸を原材料として表面層を形成し、弾性糸を接続糸として表面層と肌側層とを順次に貫き、生機生地を得る。
【0046】
(2)前処理:編み立て後の生機生地を沸騰水中で煮込む。前処理の浴比は1:(8-12)とする。
【0047】
(3)染色:前処理後の生地を水に浸漬し、助剤と染料とを順に加えて、100-120℃まで昇温し40-50分間保温して染色する。染色の浴比は1:(8-12)とする。
【0048】
(4)水洗い乾燥:染色後の生地を沸騰水の中で水洗いし、5-15分経過後に乾燥する。
【0049】
(5)仕上げセット:水洗い乾燥後の生地を100-120℃の条件で、過給量100-120%、速度15-20ヤードでセットする。この仕上げセットの過程において、仕上げセット機械の圧延槽に生地の総質量の0.5-5%の吸湿速乾助剤を添加して、ポリエチレン繊維を有した冷感生地を得る。
【0050】
先行技術に対して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0051】
(a)本発明の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、優れた接触冷感性、吸汗速乾性、紫外線透過防止性を有しており、同時に弾性糸を加え入れても仕上げセット出来ないという従来の問題を解決して、生地に優れたストレッチ性をもたらす。
【0052】
(b)本発明の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、接触冷感性の指標となる瞬間最大熱流量は0.39-0.41W/cm2であり、優れた吸湿速乾性を持っていて、吸水性は3-4秒であり、また60分拡散水分残留率は23-28%である。さらに良好な色堅牢度性を有して、色堅牢度は3-4級である(後述の実施例を参照)。加えて、良好な弾力性を持っていて弾力伸張率は72.1-75.7%であり、伸張回復率は84.0-87.2%である。また良好な紫外線防止性能を有して、紫外線遮蔽率は96.4-99.1%である。
【0053】
次に図面を参照して説明する。
図1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の構造概略図において、7は表面層、8は肌側層、9は接続糸である。
【0054】
図2は、後述の実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の基礎編立図であって、図中、2、5はポリエチレン繊維であり、1、4は接続糸であり、3、6はカチオンポリエステル糸である。
【0055】
図3は、後述の実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の基本三角図であって、図中、同様に、2、5はポリエチレン繊維であり、1、4は接続糸であり、3、6はカチオンポリエステル糸である。
【0056】
図1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の構造概略図に示すように、接続糸9は、波線状であり、表面層7と肌側層8とを順次貫くことで、表面層7と肌側層8を接続する。
【実施例0057】
以下の実施例と比較例とにおいて、各繊維、各糸は、以下のようにして入手することができた。すなわち、ポリエチレン繊維は中国KAITAI科技有限公司製、ポリエチレン複合繊維は中国KAITAI科技有限公司製、カチオンポリエステル繊維は中国JINQIHUI有限公司製、カチオンポリエステルと普通ポリエステルの複合糸は中国JINQIHUI有限公司製、ポリウレタン繊維は中国JINQIHUI有限公司製であり、各公司から提供されたものを使用した。
【0058】
また、吸湿速乾助剤は中国伝化智聨有限公司製、染色剤は中国伝化智聨有限公司製、助剤は中国伝化智聨有限公司製であり、各公司から提供されたものを使用した。
【0059】
以下の実施例、比較例において、各物性値の評価は、次のようにして行った。
【0060】
(1)接触冷感:接触冷感性試験機(カトーテック社製の、KES-F7 THERMO LABO II)を用い、温度20℃±2℃、相対湿度65±4%の環境において、生地から各試料をそれぞれ切り取り、標準大気環境において少なくとも1時間、試料を熱板に置いて、JIS L1927I規定される熱流束の最大値であるQ-MAX値を記録した。試料の接触冷感(瞬間最大熱流量)の単位はW/cm2である。各試料についてそれぞれ5回のテストを行い、そのデータの平均値を採用した。
【0061】
(2)吸湿速乾性能:JIS L1907に規定される吸水性試験方法(滴下法)を参照して、生地の吸水性(単位:秒)を試験した。また、拡散性残留水分率装置(早坂理工社製の品番:TS-2016)を用いて、速乾性を試験し、60分後の水分残留率(%)にて評価した。
【0062】
(3)色堅牢度:中国の国家基準であるGB/T3920-2008Aを参照して試験し、「級」を評価レベルとして評価した。
【0063】
(4)伸長弾性率(%)と伸長回復率(%):JIS L1096のB法を参照して、生地の横方向の伸長率(素材定荷重法)と伸長回復率(定長伸長弾性回復率)とを評価した。
【0064】
(5)紫外線遮蔽率:AS/NZS4399-2017法を参照して、抗紫外線測定器で紫外線遮蔽率を測定し、生地を通さない紫外線量と紫外線全体量との比率から計算した。紫外線遮蔽率は、数値が大きければ大きいほど、紫外線遮断機能が高い。
【0065】
実施例1
肌側層と表面層と接続糸とを含む裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。肌側層は、平編構造で太さ(繊度)75Dのポリエチレン繊維によって編み立てられ、この肌側層のループ長は13.5cm/50針であった。表面層は、平編構造で太さ75Dのカチオンポリエステルによって編み立てられ、この表面層のループ長は13.5cm/50針であった。接続糸は、太さ20Dのポリウレタン糸であり、そのループ長は5.5cm/50針であった。そして接続糸は、波線状で、表面層と肌側層とを順次貫くことで、これら表面層と肌側層とを接続した。生地の目付けは160g/m2で、吸湿速乾剤が3.0g/m2で付着しているものとした。
【0066】
詳細には、この裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、次の手法によって製造した。
【0067】
(1)編み立て:34インチ、26ゲージの丸編両面機を用いて編み立てた。ポリエチレン繊維を原材料として肌側層を編み、カチオンポリエステルを原材料として表面層を編み、ポリウレタンを接続糸として表面層と肌側層とを順次貫き、生機生地を得た。
【0068】
(2)前処理:編み立て後の生機を沸騰水中で煮込んだ。浴比は1:10とした。
【0069】
(3)染色:前処理後の生地を水に浸漬した後、助剤と染料とを順に加え、115℃まで温度を上げ、45分間保温して染色した。染色の浴比は1:10とした。そのときの染料は、分散黄棕S-4RL 1.5%o.w.f.、分散紅玉S-5BL 0.8%o.w.f.、分散紅ECT 7.0%o.w.f.にて構成されるものを用いた。助剤は、0.1g/Lの拡散剤NNOと、0.1g/Lの均等剤358とを含むものを使用した。
【0070】
(4)水洗い乾燥:染色後の生地を沸騰水で10分間水洗いしたうえで乾燥させた。
【0071】
(5)仕上げセット:水洗い乾燥後の生地を、115℃の下で、過給量110%、速度18ヤードでセットし、その過程において、仕上げセット機械の圧延槽に、生地総質量の2%を占める吸湿速乾剤を添加した。
【0072】
以上によって、実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。その評価結果を表1に示す。
【0073】
【0074】
図2は、実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の基礎編み立て図であり、
図3は実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の基礎三角図である。
図2と
図3とに示されるように、実施例1の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、6つの給糸からなる循環組織で編み立てられた冷感生地である。そのうち、第3、6の給糸口のカチオンポリエステルを含む糸は、表面層の平地構造を編みたてている。第2、5給糸口のポリエチレン繊維を含む糸は、肌側層の平地構造を編みたてている。第1、4給糸口の接続糸は、平地組織に一緒に編まれて、表面層と肌側層を接続している。
【0075】
実施例2
実施例2の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、実施例1と同様に、肌側層、接続糸、表面層を含む。肌側層は75Dのポリエチレン複合繊維(芯鞘構造で、芯はナイロン、鞘はポリエチレン)で編みたてられた平地構造であり、この肌側層のループ長は13.5cm/50針であった。表面層は75Dのカチオンポリエステルと普通ポリエステルの複合糸で編みたてられた平地構造であり、この表面層のループ長は13.5cm/50針であった。接続糸は、20Dのポリウレタン糸であり、そのループ長は5.5cm/50針であった。接続糸は波線状であり、表面層と肌側層を順次貫いて、表面層と肌側層とを接続した。
【0076】
実施例2の生地の目付けは160g/m2で、吸湿速乾剤が3.0g/m2で付着したものであった。この裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の製造方法は、上記実施例1と同じであった。実施例2の生地の評価結果を表1に示す。
【0077】
実施例3
肌側層は平編構造で太さ70Dのポリエチレン繊維によって編み立て、肌側層のループ長は12.5cm/50針であった。表面層は、平編構造で太さ70Dのカチオンポリエステルによって編みたて、この表面層のループ長は12.5cm/50針であった。接続糸は、太さ30Dのポリウレタン糸であり、ループ長は5.5cm/50針であった。そして接続糸は、波線状で、表面層と肌側層とを順次貫いて、表面層と肌側層とを接続するものとした。
【0078】
実施例3の生地の目付けは150g/m2で、吸湿速乾剤が3.0g/m2で付着したものであった。
【0079】
実施例3の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地のための製造方法は、以下のステップを含むものであった。
【0080】
(1)編み立て:34インチ、26ゲージの丸編両面機を用いて編み立てた。ポリエチレン繊維を原材料として肌側層を編み、カチオンポリエステルを原材料として表面層を編み、ポリウレタンを接続糸として表面層と肌側層を順次貫き、生機生地を得た。
【0081】
(2)前処理:編み立て後の生機を沸騰水中で煮込んだ。浴比は1:12とした。
【0082】
(3)染色:前処理後の生地を水に浸漬した後、助剤と染料とを順に加え、110℃まで温度を上げて50分間保温することで、染色した。染色の浴比は1:12とした。染色に使用した染料は、分散黄棕S-4RL 1.5%o.w.f.、分散紅玉S-5BL0.5%o.w.f.、分散紅ECT6.0%o.w.f.にて構成されたものとした。助剤は、0.1g/Lの拡散剤NNOと、0.1g/Lの均等剤358とを含むものであった。
【0083】
(4)水洗い乾燥:染色後の生地を沸騰水で10分間水洗いして乾燥した。
【0084】
(5)仕上げセット:水洗い乾燥後の生地を115℃の下で、過給量110%、速度18ヤードでセットした。そして、その過程において仕上げセット機械の圧延槽に生地総質量の2%を占める吸湿速乾剤を添加して、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。
【0085】
得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0086】
実施例4
実施例1と比べて、肌側層のポリエチレン繊維を、75Dのポリエチレン複合繊維(芯鞘構造で、芯はナイロン、鞘はポリエチレン)に置き換えた。そして、それ以外は実施例1と同様として、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0087】
実施例5
実施例1と比べて、カチオンポリエステルを、カチオンポリエステルと普通ポリエステルとの複合糸すなわち50Dレギュラーポリエステルと30Dカチオンポリエステルとの混繊糸に置き換えた。そして、それ以外は実施例1と同様として、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0088】
実施例6
実施例1と比べて、肌側層のループ長を9cm/50針に変更し、表面層のループ長を9cm/50針に変更した。そして、それ以外は実施例1と同様として、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0089】
実施例7
実施例1と比べて、肌側層のループ長を16cm/50針に変更し、表面層のループ長を16cm/50針に変更した。そして、それ以外は実施例1と同様として、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0090】
実施例8
実施例1と比べて、接続糸のループ長を4cm/50針に変更した。そして、それ以外は実施例1と同様として、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0091】
実施例9
実施例1と比べて、接続糸のループ長を7cm/50針に変更した。そして、それ以外は実施例1と同様として、裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地を得た。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0092】
実施例10
実施例1と比べて、「(5)仕上げセット」の過程において吸湿速乾剤を添加しなかった。すなわち、吸湿速乾剤を付加しない生地とした。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0093】
実施例11
実施例1と比べて、「(5)仕上げセット」の過程においては吸湿速乾剤を添加せず、それに代えて、「(3)染色」の過程において等量の吸湿速乾助剤を添加した。すなわち、前処理後の生地を水に浸漬して、染色助剤、染色剤、吸湿速乾剤を順次加し、昇温して染色した。得られた裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地の評価結果を表1に示す。
【0094】
比較例1
実施例1に比べて、ポリエチレン繊維を冷感ポリエステル繊維に置き換えた。得られた生地の評価結果を表1に示す。
【0095】
比較例2
実施例1に比べて、接続糸を設けずに、肌側層と表面層を直接熱圧着して接続した。得られた生地の評価結果を表1に示す。
【0096】
表1のデータから分かるように、本発明の実施の形態の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、接触冷感すなわち瞬間最大熱流量は0.37-0.41W/cm2であった。また吸湿速乾性能に優れており、大半の実施例の吸水性は3-4秒であり、60分での水分残留率は23-28%であった。それに、色堅牢度に優れ、その色堅牢度は3-4級であった。本発明の実施の形態の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地は、シルクのような懸垂感があり、風合いが滑らかで、冷たく触ることができ、また速乾性、弾力性、紫外線防止性能もあった。
【0097】
実施例1と実施例6-9との比較から分かるように、ループ長が小さくなると、生地の糸の隙間が緊密で、吸湿速乾機能が多少低下する結果となった。これに対し、ループ長が大きくなると、生地糸の隙間が荒くなり、接触冷感と、表1には示さないが紫外線防止との機能が、多少低下する結果となった。
【0098】
実施例1と実施例10との比較から、本発明においては、生地に吸湿速乾剤を付着させることが効果的であることがわかった。本発明の生地の表面層と肌側層は全部平編み構造であるため、吸湿速乾剤を付着させると、これが生地に均一に分散され、生地の吸湿速乾効果をさらに高めることが出来た。
【0099】
実施例1と実施例11との比較から分かるように、仕上げセット中に吸湿速乾剤を添加せず、染色中に吸湿速乾剤を添加すると、吸湿速乾剤が表面層と肌側層に対して比較的均等に分散しにくいため、生地の吸湿速乾効果は、きわめて良好という程度のものではなかった。
【0100】
実施例1と比較例1との対比から、肌側層のポリエチレン繊維を冷感ポリエステルフィラメントに置き換えると、生地の接触冷感が著しく低下することが分かった。また実施例1と比較例2との対比から、接続糸を設けずに、表面層と肌側層とを直接圧着結合すると、表面層と肌側層の間に隙間が無くて、接触冷感値は明らかに低減した。
【0101】
出願人は、上記の実施例によって本発明の裏ポリエチレン弾性ダブルフェース冷感生地およびその製造方法の具体例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。つまり本発明は、上記した実施例に依存しなければ実施出来ないということを意味するものではないことをここに言明する。当該技術分野の技術者は、本発明のいかなる改善に対しても、本発明の製品の各原料の等価置換や、補助成分の添加や、具体的な方法の選択等は、本発明の保護範囲および開示の範囲内にあることを明らかに認識すべきである。