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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071817
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20220509BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128467
(22)【出願日】2021-08-04
(62)【分割の表示】P 2020180395の分割
【原出願日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】305032254
【氏名又は名称】サンスター技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】宇佐 智治
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝浩
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180CC03
4C180CC11
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH17
4C180HH19
(57)【要約】
【課題】設置面積が小さく、人が臭気を感じやすい高さの空気を清浄化できる空気清浄機を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る空気清浄機は、清浄機本体と、清浄機本体の上に鉛直に延びるよう配設される吸引パイプと、を備え、清浄機本体は、前記吸引パイプと略同軸に配置される棒状の光源と、光源の外側に間隔を空けて配置される触媒部材と、触媒部材のさらに外側に間隔を空けて配置される筒状の流路形成部材と、吸引パイプ及び流路形成部材を通して直線的に空気を吸い込んで触媒部材に沿う空気の流れを形成し、軸方向視で流路形成部材よりも外側に空気を吐出する遠心送風機と、流路形成部材と平行に配置され、遠心送風機が吐出した空気を上方に案内する排気パイプと、吸引パイプの下端部の周囲に排気パイプから流出する空気を案内し、多方向から吸引パイプに向かって空気を吹き出させる排気流路を画定する排気案内部材と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で空気を清浄化する清浄機本体と、
前記清浄機本体の上に鉛直に延びるよう配設される吸引パイプと、
を備え、
前記清浄機本体は、
前記吸引パイプの下方に前記吸引パイプと略同軸に配置される棒状の光源と、
両端が開放された筒状に形成されるメッシュ状の担持体及び前記担持体の表面に担持される光触媒を有し、前記光源の外側に間隔を空けて配置される触媒部材と、
前記触媒部材のさらに外側に間隔を空けて配置される筒状の流路形成部材と、
前記流路形成部材と略同軸に回転するインペラ、及び前記流路形成部材の下端に接続される吸込口が形成されたハウジングを有し、前記吸引パイプ及び前記流路形成部材を通して直線的に前記空気を吸い込んで、前記触媒部材に沿う前記空気の流れを形成し、軸方向視で前記流路形成部材よりも外側に前記空気を吐出する遠心送風機と、
前記流路形成部材の外側に前記流路形成部材と平行に配置され、前記遠心送風機が吐出した前記空気を、上方に案内する排気パイプと、
前記排気パイプと連通し、前記吸引パイプの下端部の周囲に前記排気パイプから流出する前記空気を案内し、多方向から前記吸引パイプに向かって前記空気を吹き出させる排気流路を画定する排気案内部材と、
を有する、空気清浄機。
【請求項2】
前記遠心送風機を収容する下端部材と、
前記下端部材又は前記遠心送風機に固定される固定部、及び前記固定部から上方に延び、前記流路形成部材を保持する上伸部を有する支持部材と、
前記支持部材の上端に固定される上端部材と、
前記吸引パイプの下端に一体に固定され、前記排気パイプと前記排気流路とを連通させる穴状又は切り欠き状の連通部を有し、前記上端部材に着脱可能に取り付けられる接続フランジと、
をさらに備える、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記光源及び前記触媒部材は、前記接続フランジを前記上端部材から取り外した状態で、前記流路形成部材の中に上方から挿入及び引抜可能に取り付けられる、請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記清浄機本体の下端に取り付けられ、軸方向視で前記清浄機本体よりも外側に延びる複数の脚部材を有する脚体をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フィルタによるろ過、紫外線照射による有機物等の分解等により空気を清浄化する空気清浄機の利用が一般家庭等にも広がっている。空気清浄機は、壁に取り付けられる場合もあるが、一般家庭等では床に置いて使用されることが通常である。
【0003】
空気清浄機には、空気中の微粒子の除去だけでなく、空気中の臭気成分の除去も求められる。人は、顔の高さ付近の空気を吸い込むため、顔の高さの空気の臭気成分を取り除くことがより効果的である。そこで、特許文献1は、比較的高い位置の空気を吸い込んで臭気成分を取り除くことができるような高さに空気清浄機を配置するために、空気清浄機本体をその高さ及び上下方向傾斜角度を調節可能に支持するスタンドを使用することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-316962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、スタンドにより空気清浄機を高い位置に保持すると、スタンドが転倒しやすくなる。スタンドの脚の広がりを大きくすることによって転倒し難くすることはできるが、設置面積が大きくなるという不都合が生じる。特に、一般家庭等で使用する場合、大きな設置場所を確保することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、設置面積が小さく、人が臭気を感じやすい高さの空気を清浄化できる空気清浄機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る空気清浄機は、内部で空気を清浄化する清浄機本体と、前記清浄機本体の上に鉛直に延びるよう配設される吸引パイプと、を備え、前記清浄機本体は、前記吸引パイプの下方に前記吸引パイプと略同軸に配置される棒状の光源と、両端が開放された筒状に形成されるメッシュ状の担持体及び前記担持体の表面に担持される光触媒を有し、前記光源の外側に間隔を空けて配置される触媒部材と、前記触媒部材のさらに外側に間隔を空けて配置される筒状の流路形成部材と、前記流路形成部材と略同軸に回転するインペラ、及び前記流路形成部材の下端に接続される吸込口が形成されたハウジングを有し、前記吸引パイプ及び前記流路形成部材を通して直線的に前記空気を吸い込んで、前記触媒部材に沿う前記空気の流れを形成し、軸方向視で前記流路形成部材よりも外側に前記空気を吐出する遠心送風機と、前記流路形成部材の外側に前記流路形成部材と平行に配置され、前記遠心送風機が吐出した前記空気を、上方に案内する排気パイプと、前記排気パイプと連通し、前記吸引パイプの下端部の周囲に前記排気パイプから流出する前記空気を案内し、多方向から前記吸引パイプに向かって前記空気を吹き出させる排気流路を画定する排気案内部材と、を備えてもよい。
【0008】
上述の空気清浄機は、前記遠心送風機を収容する下端部材と、前記下端部材又は前記遠心送風機に固定される固定部、及び前記固定部から上方に延び、前記流路形成部材を保持する上伸部を有する支持部材と、前記支持部材の上端に固定される上端部材と、前記吸引パイプの下端に一体に固定され、前記排気パイプと前記排気流路とを連通させる穴状又は切り欠き状の連通部を有し、前記上端部材に着脱可能に取り付けられる接続フランジと、をさらに備えてもよい。
【0009】
上述の空気清浄機において、前記光源及び前記触媒部材は、前記接続フランジを前記上端部材から取り外した状態で、前記流路形成部材の中に上方から挿入及び引抜可能に取り付けられてもよい。
【0010】
上述の空気清浄機は、前記清浄機本体の下端に取り付けられ、軸方向視で前記清浄機本体よりも外側に延びる複数の脚部材を有する脚体をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る空気清浄機は、設置面積が小さく、人が臭気を感じやすい高さの空気を清浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る空気清浄機を示す斜視図である。
図2図1の空気清浄機の分解斜視図である。
図3図1の空気清浄機の清浄機本体の断面図である。
図4図1の空気清浄機の排気案内部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る空気清浄機Aを示す斜視図である。図2は、空気清浄機Aの分解斜視図である。
【0014】
空気清浄機Aは、内部で空気を清浄化する清浄機本体1と、清浄機本体1の上に鉛直に延びるよう配設される吸引パイプ3と、清浄機本体1の下端に取り付けられる脚体5と、を備える。清浄機本体1は、吸引パイプ3を通して空気を吸い込み、清浄化した空気を吸引パイプ3の下端部の周囲から排出する。
【0015】
空気清浄機Aを床面に配置した状態における吸引パイプ3の上端の高さ、つまり空気清浄機Aが外気を吸い込む位置の高さの下限としては、人の顔の高さに近付けるために、1.0mが好ましく、1.2mがより好ましい。また、吸引パイプ3の上端の高さの上限としては、一般家庭等においても天井に近付きすぎないよう、2.0mが好ましく、1.8mがより好ましい。
【0016】
清浄機本体1は、図3に詳しく示すように、光源11と、触媒部材12と、流路形成部材13と、保持具14と、遠心送風機15と、下端部材16と、排気パイプ17と、支持部材18と、上端部材19と、接続フランジ20と、排気案内部材21と、外装部材22と、上部カバー23と、を備える。
【0017】
清浄機本体1の高さの下限としては、触媒部材12の面積を確保するために、0.2mが好ましく、0.3mがより好ましい。また、清浄機本体1の高さの上限としては、空気清浄機Aの重心を低くして空気清浄機Aの転倒を防止するために、0.6mが好ましく、0.5mがより好ましい。
【0018】
光源11は、鉛直に延びる棒状に形成され、吸引パイプ3の下方に、吸引パイプ3と略同軸に、つまり吸引パイプ3の中心軸上に存在するよう配置される。光源11は、後述する触媒部材12の光触媒を活性化させる光、例えば紫外光を発する。光源11は、平面視で全ての方向に略均等に光を発することが好ましい。光源11としては、典型的には低圧水銀灯、紫外線発光ダイオードアレイ等の紫外線ランプが用いられる。
【0019】
触媒部材12は、両端が開放された筒状に形成されるメッシュ状の担持体及び担持体の表面に担持される光触媒を有する。触媒部材12は、全体としても、光が通過する多数の開口を有するメッシュ状の筒状体である。この触媒部材12は、後で詳しく説明するように、光源11の外側に間隔を空けて、光源11と略同軸に配置される。なお、「メッシュ状」とは、多数の開口が平面的に形成されたシート状を意味し、線状の材料を縦横に組み合わせて形成される形状に限られない。触媒部材12の開口率(光が通過する面積の割合)としては、例えば15%以上55%以下とすることができ、20%以上50%以下がより好ましい。これにより、光源11から発せられて触媒部材12を透過した光が後述する流路形成部材13によって反射されて触媒部材12の外面側に照射されるので、触媒部材12の光触媒作用が活性化されて有機物等を分解する効果が向上する。
【0020】
具体例として、担持体としては、金属箔をエッチングしてランダムな微細開口を形成したシート、ワイヤーメッシュ、樹脂成形メッシュ、パンチングメタル等を用いることができるが、光触媒を担持する能力、機械的特性及び経済性に優れるエキスパンドメタルが特に好適に用いられる。担持体をチタンにより形成し、その表面を酸化処理すれば、担持体と光触媒との密着性を向上することができる。また、担持体をアルミニウムによって形成すれば、比較的安価で加工性に優れた触媒部材12を得ることができる。
【0021】
担持体は、多重(本実施形態では2重)に巻回して筒状に形成されることが好ましい。開口率が大きい担持体を多重に巻回することにより、触媒部材12の光透過率を適切な範囲内にすることができると共に、空気の光触媒への接触面積を大きくすることができる。触媒部材12は、先に多重に巻回された担持体の表面に光触媒を担持させてもよいが、長尺帯状の担持体の表面に光触媒を担持させた後、担持体を適切な長さに切断して巻回することで、比較的容易に所望形状の触媒部材12を得ることができる。具体例としては、担持体の表面に光触媒を担持した開口率45%以上55%の帯状の材料を2重に巻回することで、適切な開口率を有し、活性化した光触媒に効率よく空気を接触させられる触媒部材12を形成することができる。
【0022】
光触媒としては、特に限定されないが、現時点で優れた光触媒作用を有する材料として知られるアナターゼ型酸化チタンを用いることができる。空気との接触面積を大きくするために、光触媒は、担持体の表面を覆う粒子状体又は粉状体であることが好ましい。このような光触媒は、焼結により担持体の表面に固定されてもよい。具体的には、担持体に光触媒の粒子を分散したスラリーを塗布したものを焼成することによって、担持体の表面に光触媒を固定した触媒部材12を得ることができる。
【0023】
光源11と触媒部材12との間隔の下限としては、空気の流量を確保するために10mmが好ましく15mmがより好ましい。一方、光源11と触媒部材12との間隔の上限としては、空気を光触媒に効率よく接触させるために50mmが好ましく30mmがより好ましい。
【0024】
触媒部材12の厚みの下限としては、機械的な強度を担保するために0.3mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。一方、触媒部材12の厚みの上限としては、触媒部材12に沿って流れる空気と光触媒とを効率的に接触させるために3mmが好ましく2mmがより好ましい。
【0025】
触媒部材12の軸方向の長さを大きくするほど、空気と光触媒との接触が増大するので有機物等の分解効果は増大するが、空気中の有機物濃度は下流側に向かって減少するので体積効率は減少する。触媒部材12の軸方向の長さの下限としては、空気と光触媒との接触を確保するために、触媒部材12の内径の5倍が好ましく、8倍がより好ましい。一方、触媒部材12の軸方向の長さの上限としては、空気清浄機Aを小型化するために、触媒部材12の内径の20倍が好ましく、15倍がより好ましい。
【0026】
流路形成部材13は、概略筒状に形成され、触媒部材12のさらに外側に間隔を空けて、光源11及び触媒部材12と略同軸に配置される。流路形成部材13は、光源11から発せられて触媒部材12を通過した光を反射することが好ましい。これにより、触媒部材12の外側の光触媒を活性化することができ、有機物等を分解する効果を向上することができる。また、流路形成部材13は、後述する保持具14を受け入れて支持する受入構造を有することが好ましい。
【0027】
なお、「光を反射する」とは、光触媒の吸収率が最大となる波長における反射率が50%以上であることを意味するものとする。流路形成部材13の内面の光反射率としては、光触媒の吸収率が最大となる波長において、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。光触媒の活性化の観点からは、流路形成部材13の光反射率は大きい程よいが、製造コスト及び汚れ等による能力のばらつきを考慮すると必ずしも鏡面加工等を行うことが好ましいとは限らない。つまり、流路形成部材13は、アルミニウム板やステンレス板等の通常の金属材料を加工して形成することができ、そのような材料を前提として最適設計を行うことで、汚れ等による能力低下が小さい空気清浄機Aが得られる。また、流路形成部材13の内面の反射は、正反射に限られず拡散反射を含んでもよい。
【0028】
触媒部材12と流路形成部材13との間隔の下限としては、触媒部材12の開口を通過して流路形成部材13で反射した光を触媒部材12の開口以外の部分に照射するために、触媒部材12の厚みの1倍が好ましく、1.5倍がより好ましい。一方、触媒部材12と流路形成部材13との間隔の上限としては、触媒部材12の面積(径)を大きくするために、10mmが好ましく5mmがより好ましい。つまり、触媒部材12と流路形成部材13との距離が近すぎる場合、正反射した反射光が触媒部材12の開口を通過し、触媒部材12の外側の光触媒に当たらないおそれがある。逆に、触媒部材12と流路形成部材13との距離が遠すぎる場合、後述する遠心送風機15に対応して定められる流路形成部材13の内径に対して触媒部材12の径を小さくする必要があるため、触媒部材12の有効面積が小さくなる。
【0029】
保持具14は、触媒部材12を保持し、流路形成部材13の中に軸方向に引き出し可能に挿入される。保持具14は、触媒部材12の外周に巻き付けられるよう配置される複数の帯状部と、複数の帯状部を連結するよう軸方向に延び、流路形成部材13の保持溝に嵌合する一対の接続部とを有する構成とすることができる。この構成により、触媒部材12を取り出して容易にクリーニングすることができる。
【0030】
また、保持具14は、保持具14と共に光源11を流路形成部材13から引き抜くことを可能にするために、光源11の遠心送風機15側に配置される掻き出し部を有することができる。つまり、保持具14は、光源11及び触媒部材12を、流路形成部材13の中に上方から挿入及び引抜可能に取り付けることを可能にする。
【0031】
遠心送風機15は、流路形成部材13と略同軸に回転するインペラ151、及び流路形成部材13の一端に接続される吸込口152が形成されたハウジング153を有する。遠心送風機15の吸込口152は、流路形成部材13の下端に実質的に直接、つまり流路を画定する他の構成要素を介さずに接続される。流路形成部材13の下端に吸込口152を接続するよう配置することで吸込口152に流路を接続するための構成を有しない市販の遠心送風機15を使用することができるので、空気清浄機Aの製造コストを低減することができる。
【0032】
遠心送風機15は、軸方向に空気を吸い込んで、インペラ151により径方向外側に空気を移動させ、インペラ151の接線方向に空気を吐出する。このため、吸引パイプ3及び流路形成部材13を通して直線的に空気を吸い込んで、流路形成部材13の中に触媒部材12に沿う空気の流れを形成する。このように、流路形成部材13の内部に触媒部材12に沿う空気の流れを形成することで、空気と光触媒との接触を促進することができるので、空気清浄機Aは、効率よく空気中の有機物等を分解できる。このような空気の直線的な流れを形成するために、遠心送風機15は、流路形成部材13よりも大きい径を有するインペラ151を有し、軸方向視で流路形成部材13よりも外側に空気を吐出する。空気清浄機Aは、このような遠心送風機15を用いて空気を吸引及び排気するため、駆動音が小さく、消費電力も小さい。
【0033】
遠心送風機15としては、プレートファン(ラジアル送風機/径向き送風機)、シロッコファン(多翼送風機/前向き送風機)、ターボファン(後向き送風機)等を挙げることができ、中でもシロッコファンが特に好適に用いられる。なお、「略同軸」とは、厳密な軸の一致を要求せず、インペラ151の回転中心線が流路形成部材13の内部空間を貫通すればよい。
【0034】
下端部材16は、遠心送風機15を収容し、遠心送風機15吐出した空気を排気パイプ17に接続する流路を画定する。
【0035】
排気パイプ17は、流路形成部材13の外側に流路形成部材13と平行に配置され、遠心送風機15が吐出した空気を、上方に案内する。排気パイプ17の内径の下限としては、排気抵抗を抑制するために、流路形成部材13の内径の0.6倍が好ましい。また、排気パイプ17の内径の上限としては、清浄機本体1を小型化するために、流路形成部材13の内径の1.0倍が好ましい。
【0036】
支持部材18は、下端部材16又は遠心送風機15に固定される固定部181と、固定部181から上方に延び、流路形成部材を保持する上伸部182と、を有する。支持部材18は、下端部材16と上端部材19とを接続し、清浄機本体1の形状を保持する構造材である。また、支持部材18は、光源11、遠心送風機15等に電力を供給する電気部品183を保持することができる。
【0037】
上端部材19は、支持部材18の上端に固定される。上端部材19は、流路形成部材13と吸引パイプ3とを連通させると共に、光源11及び触媒部材12を保持する保持具14を流路形成部材13内に着脱するための吸入開口191と、排気パイプ17と連通又は排気パイプ17が貫通する排気開口192と、を有する。
【0038】
接続フランジ20は、吸引パイプ3の下端に一体に固定され、上端部材19に着脱可能に取り付けられる。つまり、接続フランジ20は、吸引パイプ3を清浄機本体1に取り付けるための部材である。この接続フランジ20を上端部材19から取り外した状態で、光源11及び触媒部材12の流路形成部材13への挿入及び引抜が可能となる。このため、接続フランジ20は、上端部材19に対して、例えばつまみねじ、蝶ねじ等の容易に取り外しできる固定手段を用いて取り付けられることが好ましい。
【0039】
空気清浄機Aは、接続フランジ20が取り外されたときに電源が遮断されるよう構成されることが好ましい。これにより、光源11及び触媒部材12のメンテナンスを行う際の安全性を確保できる。
【0040】
接続フランジ20は、排気パイプ17と排気案内部材21とを連通させる穴状又は切り欠き状の連通部201を有する。また、接続フランジ20と上端部材19との間に、エアフィルタ202が配置されてもよい。
【0041】
排気案内部材21は、接続フランジ20の上に配置され、排気パイプ17と連通する排気流路211を画定する。図4に示すように、排気流路211は、排気パイプ17から流出した空気を吸引パイプ3の下端部の周囲に案内し、多方向から吸引パイプ3に向かって空気を吹き出させるよう、複数の吹出口212を有する。このように、多方向から吸引パイプ3に向かって空気を吹き出させることで、清浄化された空気の流速を低減できるため、周囲の塵埃を巻き上げることを防止できる。
【0042】
外装部材22は、筒状に形成され、その一端が下端部材16に、他端が上端部材19に嵌合し、流路形成部材13、排気パイプ17、支持部材18等の構成要素を覆う。外装部材22は、ユーザが内部の電気部品183に触れることを防止すると共に、空気清浄機Aの美観を向上する。
【0043】
上部カバー23は、排気案内部材21を覆い、美観を向上する。上部カバー23は、排気案内部材21の外面に意匠性を付与できる場合には省略できる。しかしながら、上述のような複雑な排気流路211を有する排気案内部材21を樹脂成形体により安価に形成する場合には、排気案内部材21とは別に形成される上部カバー23を用いることで、空気清浄機Aにより高度な美観を付与できる。
【0044】
吸引パイプ3は、清浄機本体1の上に鉛直に延びるよう配設され、上端から空気を吸い込んで、清浄機本体1よりも高い位置の空気を清浄機本体1に導入する。吸引パイプ3は、上端に吸込キャップ31を有する。また、吸引パイプ3の上部には、例えばUSBジャック等の付帯装置32を設けてもよい。
【0045】
吸込キャップ31は、吸引パイプ3に吸い込まれる空気中から大きな異物を取り除くプレフィルタ311を有することが好ましい。また、吸込キャップ31は、所望の物品を保持するためのフック等を有してもよい。空気清浄機Aは、フック等を有する吸込キャップ31をオプションとして提供することで、使用場所を広げることができる。例として、点滴パックを吊り下げるフックを有する吸込キャップ31を用いることで、空気清浄機Aは、点滴スタンドとしても使用することができる。これにより、点滴を受ける患者が吸い込む空気を清浄化できる。また、衣類ハンガーを掛けられる吸込キャップ31を提供すれば、空気清浄機Aをコートハンガーとして使用できる。
【0046】
付帯装置32は、空気清浄機Aの用途を広げるために設けることができる。例として、付帯装置32がUSBジャックである場合、空気清浄機Aを点滴スタンドとして使用する際に、付帯装置32他の医療機器を使用するための電源を提供できる。付帯装置32は、部分的に吸引パイプ3の流路を制限するが、全体としての流路抵抗を大きく増大させるものではない。
【0047】
脚体5は、清浄機本体1の下端に取り付けられ、軸方向視で清浄機本体1よりも外側に延びる複数の脚部材51を有する。脚部材51は、それぞれ車輪52を有してもよい。脚体5は、空気清浄機Aの重心をできるだけ低くできるよう、床面と清浄機本体1の下端との距離を必要最小限に留めるよう構成されることが好ましい。このような脚体5を備えることにより、空気清浄機Aの転倒を防止できる。
【0048】
以上の構成を備える空気清浄機Aは、清浄機本体1から上方に鉛直に延びるよう吸引パイプ3を有するため、人が臭いを感じやすい高さの空気を吸引して清浄化するため、効果的に室内の臭いを低減できる。また、空気清浄機Aは、上部の吸引パイプ3の重量が小さく、重心が低いため、脚体5の平面視での大きさを小さくしても転倒を防止できる。これにより、空気清浄機Aは、設置面積を小さくできる。
【0049】
以上、本発明の一実施形態に係る空気清浄機Aについて説明したが、本発明に係る空気清浄機の構成及びその効果は、上述したものに限定されない。例として、本発明に係る空気清浄機は、例えば皿形の脚体を有してもよく、清浄機本体の下端部材が脚として機能を有してもよい。
【符号の説明】
【0050】
A 空気清浄機
1 清浄機本体
11 光源
12 触媒部材
13 流路形成部材
14 保持具
15 遠心送風機
151 インペラ
152 吸込口
153 ハウジング
16 下端部材
17 排気パイプ
18 支持部材
181 固定部
182 上伸部
183 電気部品
19 上端部材
191 吸入開口
192 排気開口
20 接続フランジ
201 連通部
202 エアフィルタ
21 排気案内部材
211 排気流路
212 吹出口
22 外装部材
23 上部カバー
3 吸引パイプ
31 吸込キャップ
311 プレフィルタ
32 付帯装置
5 脚体
51 脚部材
52 車輪
図1
図2
図3
図4