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特開2022-71825機器診断装置、遠隔機器監視方法、遠隔機器監視システム及び機器診断プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071825
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】機器診断装置、遠隔機器監視方法、遠隔機器監視システム及び機器診断プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/00 20220101AFI20220509BHJP
   H04L 13/00 20060101ALI20220509BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
H04L12/26
H04L13/00 313
G06F11/07 140Q
G06F11/07 175
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149787
(22)【出願日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】20204451.7
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】521406178
【氏名又は名称】フルノヘラス エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】Furuno Hellas S.A.
【住所又は居所原語表記】10 Thetidos str. 16675 Glyfada, Greece
(74)【代理人】
【識別番号】100204825
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス スタブロウ
【テーマコード(参考)】
5B042
5K030
5K035
【Fターム(参考)】
5B042KK13
5B042MA08
5B042MA09
5B042MC40
5K030GA12
5K030JA10
5K030MB20
5K030MC09
5K035AA03
5K035DD01
5K035FF04
5K035JJ01
5K035MM03
(57)【要約】
【課題】
水上の移動体にある舶用電子機器の故障に関する情報を提供し、遠隔機器監視センターとの間で通信し、故障した舶用電子機器の効率的なトラブルシューティングを可能にする。
【解決手段】
機器診断装置103は、遠隔機器監視センター113から、水上を移動する移動体101上の一つ又は複数の舶用電子機器107を監視するために提供される。機器診断装置103は、舶用電子機器107から一つ又は複数のメッセージを受信する受信部123と、一つ又は複数のメッセージに基づいて舶用電子機器107の故障を検出する検出部125と、故障の診断結果を示す故障検出情報を遠隔機器監視センター113に送信する送信部127とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載された1又は複数の電子機器を診断する機器診断装置であって、
前記電子機器を識別する識別データと、前記電子機器の警報状態を示す警報状態データを含む1又は複数のメッセージを電子機器から受信する受信部と、
前記警報状態データが示す、第1の時点における警報状態と該第1の時点より以前の第2の時点における警報状態との比較に基づいて前記電子機器の故障を検出し故障検出情報を出力する検出部と、
前記故障検出情報の出力を契機に、前記故障検出情報を故障が検出された前記電子機器の識別データとともに遠隔機器監視センターに送信する送信部と、
を備える機器診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機器診断装置であって、
前記受信部は、バックグラウンドプロセスにより前記メッセージを受信する、
機器診断装置。
【請求項3】
移動体に搭載された1又は複数の電子機器を診断する機器診断装置であって、
前記電子機器を識別する識別データと、前記電子機器の警報状態を示す警報状態データを含む1又は複数のメッセージを前記電子機器から前記メッセージを予定された時間間隔で受信する受信部と、
前記時間間隔に基づいて定められた受信の時点を示すタイムスタンプのうち、第1のタイムスタンプと該第1のタイムスタンプが示す時点よりも以前の時点の第2のタイムスタンプとの間で前記警報状態データに変化があるかを前記メッセージに基づいて検知して故障検出情報を出力する検出部と、
前記故障検出情報の出力を契機に、前記故障検出情報を故障が検出された前記電子機器の識別データとともに前記遠隔機器監視センターに送信する送信部と、
を備える機器診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の機器診断装置であって、
前記検出部はさらに、前記変化を検出したとき、
前記第1の時点の警報状態と前記第2の時点の警報状態をそれぞれデータベースに保存し、
前記メッセージを受信する毎に前記第1の時点の警報状態と前記第2の時点の警報状態を順次更新する、
機器診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の機器診断装置であって、
検出部はさらに、前記警報状態の変化に対応するタイムスタンプをデータベースに記憶する、
機器診断装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかの請求項に記載の機器診断装置であって、
前記送信部はさらに、衛星通信リンクを使用して前記遠隔機器監視センターに前記故障検出情報を送信する、
機器診断装置。
【請求項7】
請求項5に記載の機器診断装置であって、
前記送信部はさらに、
前記電子機器と前記受信部との接続を管理するデバイスマネジメントデータと、
前記送信部と前記衛星通信リンクとの接続を管理するコネクティビティデータと、
を含むIoTポータルデータを前記遠隔機器監視センターに送信する、
機器診断装置。
【請求項8】
請求項6に記載の機器診断装置であって、
前記送信部は、
前記故障検出情報を第1の衛星通信リンクにより前記遠隔機器監視センターに送信し、
前記IoTポータルデータを前記第1の衛星通信リンクとは異なる第2の衛星通信リンクにより前記遠隔機器監視センターに送信する、
機器診断装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項に記載の機器診断装置であって、
前記移動体は水上を移動する船舶である、機器診断装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれかの請求項に記載の機器診断装置であって、
前記メッセージのメッセージタイプは、
前記電子機器から前記機器診断装置への1対1のデータ送信に関連付けられているUNICASTメッセージタイプ、又は
データ送信が同時に前記複数の電子機器のグループにアドレス指定されるグループ通信に関連付けられるMULTICASTメッセージタイプ
のうち、少なくともいずれかを含む、
機器診断装置。
【請求項11】
請求項9に記載の機器診断装置であって、
前記検出部はさらに、
前記各メッセージのメッセージタイプをターゲットメッセージのタイプと比較し、
前記メッセージタイプがターゲットメッセージタイプと一致する場合、前記メッセージを解析し、
前記メッセージタイプがターゲットメッセージタイプと一致しない場合、前記メッセージを無視する、
機器診断装置。
【請求項12】
請求項9又は請求項10に記載の機器診断装置であって、
前記メッセージは、NATIONAL MARINE ELECTRONICS ASSOCIATION(NMEA)0183メッセージに基づく、
機器診断装置。
【請求項13】
請求項11に記載の機器診断装置であって、
前記検出部は、
前記解析に基づいて、前記メッセージの各メッセージにカプセル化されたNMEA0183メッセージを識別して抽出し、
前記NMEA0183メッセージを事前定義された有効なNMEA0183メッセージタイプと比較し、
前記NMEA0183メッセージが有効なNMEA0183メッセージタイプの定義済みセットに属している場合は、NMEA0183メッセージの解析を続行し、
前記NMEA0183メッセージタイプが有効なNMEA0183メッセージタイプの定義済みセットに属していない場合は、NMEA0183メッセージの解析を停止する、
機器診断装置。
【請求項14】
移動体に搭載された1又は複数の電子機器を遠隔から監視する遠隔機器監視システムであって、
請求項1乃至請求項12のいずれかの請求項に記載の機器診断装置から送信される前記故障検出情報を受信する遠隔受信部と、
前記メッセージを分析して前記電子機器のトラブルシューティング情報を決定して該電子機器を遠隔監視する遠隔分析部と、
を備える遠隔機器監視システム。
【請求項15】
請求項13に記載の遠隔機器監視システムであって、さらに、
前記電子機器のモデル及び該モデルに対応して故障を特定するアラームコードが保存された構成管理データベースを備え、
前記遠隔分析部は、前記メッセージが示す前記電子機器のモデル及びアラームコードに基づいて、前記構成管理データベースにあるトラブルシューティング指示を検索して前記電子機器のトラブルシューティング情報を決定する、
遠隔機器監視システム。
【請求項16】
移動体に搭載された1又は複数の電子機器を遠隔から監視する遠隔機器監視方法であって、
前記電子機器を識別する識別データと、前記電子機器の警報状態を示す警報状態データを含む1又は複数のメッセージを電子機器からバックグラウンドプロセスで受信し、
前記警報状態データが示す第1の時点における警報状態と該第1の時点より以前の第2の時点における警報状態との比較に基づいて前記電子機器の故障を検出して故障検出情報を出力し、
前記故障検出情報の出力を契機に、前記故障検出情報を故障が検出された前記電子機器の識別データとともに前記遠隔機器監視センターに送信し、
前記移動体とは無線通信を介してデータが授受される遠隔機器監視センターにおいて、前記故障検出情報を受信し、
前記メッセージを分析して前記電子機器のトラブルシューティング情報を決定する、
遠隔機器監視方法。
【請求項17】
請求項15に記載の遠隔機器監視方法であって、
構成管理データベースに保存された前記電子機器のモデル及び該モデルに対応して故障を特定するアラームコードと前記メッセージが示す前記電子機器のモデル及びアラームコードとを照合して前記構成管理データベースにあるトラブルシューティング指示を検索して前記電子機器のトラブルシューティング情報を決定する、
遠隔機器監視方法。
【請求項18】
移動体に搭載された1又は複数の電子機器を診断する遠隔機器監視方法であって、
前記電子機器から前記電子機器を識別する識別データと、前記電子機器の警報状態を示す警報状態データを含む1又は複数のメッセージを予定された時間間隔で受信し、
前記時間間隔に基づいて定められた受信の時点を示すタイムスタンプのうち、第1のタイムスタンプと該第1のタイムスタンプが示す時点よりも以前の時点の第2のタイムスタンプとの間で前記警報状態データに変化があるかを前記メッセージに基づいて検知して故障検出情報を出力し、
前記故障検出情報の出力を契機に、前記故障検出情報を含むメッセージを前記遠隔機器監視センターに送信し、
前記移動体とは無線通信を介してデータが授受される遠隔機器監視センターにおいて、前記故障検出情報を受信し、
前記メッセージを分析して前記電子機器のトラブルシューティング情報を決定する、
遠隔機器監視方法。
【請求項19】
請求項16又は請求項17に記載の遠隔機器監視方法であって、
前記変化を検出したとき、
前記第1の時点の警報状態と前記第2の時点の警報状態をそれぞれデータベースに保存し、
前記メッセージを受信する毎に前記第1の時点の警報状態と前記第2の時点の警報状態を順次更新する、
遠隔機器監視方法。
【請求項20】
請求項15乃至請求項18のいずれかの請求項に記載の遠隔機器監視方法であって、
前記故障検出情報と前記識別データを、第1の衛星通信リンクを使用して前記遠隔機器監視センターに送信し、
さらに、
前記電子機器と前記受信部との接続を管理するデバイスマネジメントデータと、
前記送信部と前記衛星通信リンクとの接続を管理するコネクティビティデータと、
を含むIoTポータルデータを、前記第1の衛星通信リンクとは異なる第2の衛星通信リンクにより前記遠隔機器監視センターに送信する、
遠隔機器監視方法。
【請求項21】
請求項15乃至請求項19のいずれかの請求項に記載の機器診断装置であって、
前記移動体は水上を移動する船舶である、
遠隔機器監視方法。
【請求項22】
請求項20に記載の遠隔機器監視方法であって、
前記メッセージのメッセージタイプは、
前記電子機器から前記機器診断装置への1対1のデータ送信に関連付けられているUNICASTメッセージタイプ、又は
データ送信が同時に前記複数の電子機器のグループにアドレス指定されるグループ通信に関連付けられるMULTICASTメッセージタイプ
のうち、少なくともいずれかを含む、
遠隔機器監視方法。
【請求項23】
請求項21に記載の遠隔機器監視方法であって、
前記各メッセージのメッセージタイプをターゲットメッセージのタイプと比較し、
前記メッセージタイプがターゲットメッセージタイプと一致する場合、前記メッセージを解析し、
前記メッセージタイプがターゲットメッセージタイプと一致しない場合、前記メッセージを無視する、
遠隔機器監視方法。
【請求項24】
請求項22に記載の遠隔機器監視方法であって、
前記メッセージは、NATIONALMARINEELECTRONICSASSOCIATION(NMEA)0183メッセージに基づき、
前記解析に基づいて、前記メッセージの各メッセージにカプセル化されたNMEA0183メッセージを識別して抽出し、
前記NMEA0183メッセージを事前定義された有効なNMEA0183メッセージタイプと比較し、
前記NMEA0183メッセージが有効なNMEA0183メッセージタイプの定義済みセットに属している場合は、NMEA0183メッセージの解析を続行し、
前記NMEA0183メッセージタイプが有効なNMEA0183メッセージタイプの定義済みセットに属していない場合は、NMEA0183メッセージの解析を停止する、
遠隔機器監視方法。
【請求項25】
移動体に搭載された1又は複数の電子機器を診断するプログラムをコンピュータに実行させる機器診断プログラムであって、
前記電子機器を識別する識別データと、前記電子機器の警報状態を示す警報状態データを含む1又は複数のメッセージを電子機器からバックグラウンドプロセスにより受信させ、
前記警報状態データが示す第1の時点における警報状態と該第1の時点より以前の第2の時点における警報状態との比較に基づいて前記電子機器の故障を検出し故障検出情報を出力させ、
前記故障検出情報の出力を契機に、前記故障検出情報を故障が検出された前記電子機器の識別データとともに前記遠隔機器監視センターに送信させる、
機器診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の診断装置、遠隔機器監視方法、遠隔機器監視システム及び機器診断プログラムに関するものであり、より具体的には、水上を移動する船舶などの移動体等における機器の故障を判定し、陸上又は左記船舶以外の移動体設置される機器監視センターからトラブルシューティング指示を提供する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海運会社の乗組員は、船舶の完全性、安全性、及び可用性を確保するために専門化されているが、船舶には、船舶の安全性と効率的な作業を確保する多くの電子機器、すなわち舶用電子機器が搭載、設置されている。船舶に搭載されている舶用電子機器は、一般にその性能と機能の維持状況に応じて必要な部品を交換して使用される。
【0003】
乗組員は、舶用電子機器に異常が発生した場合、その状況を船舶管理会社に連絡する。その後、海運会社は、装置の故障をトラブルシューティングするための指示を得るために、取得した情報を機器監視センターに提供する。次いで、機器監視センターから船舶に対してトラブルシューティングに関する適切な指示がなされる。
【0004】
しかし、船舶会社と船舶との間のコミュニケーションは状況によって異なり、しばしば複雑で困難な状況に陥る。多くの場合、船舶の乗組員の作業負荷が高いために、装置の故障が報告されずに残ったり、時には誤報が機器監視センターに送られたりすることがあり、多くの場合、船舶が突然故障する結果を生じさせかねない。
【0005】
また、船舶の装置に問題があって装置を破損したことについて乗組員が非難されたくない場合、乗組員は装置が故障したことを入港時まで知らせることを躊躇するということも全くないわけではない。
【0006】
従って、船舶から得られる情報は、装置の故障に関連する詳細を欠いている可能性がある。舶用電子機器の障害に関連する完全な情報が不足しているため、舶用電子機器の障害の正確な原因を診断し、障害のトラブルシューティングに対応するガイダンスや指示を提供することが困難になりかねない。
【0007】
ところで、現在、衛星通信リンクは機器の遠隔機器監視のために船舶上の舶用電子機器に関連するリアルタイム情報を遠隔機器監視センターに提供するために使用されている。しかし、一般に、遠隔地の機器監視センターが受け取ったデータには大量の情報が含まれている可能性がある半面、それらのデータすべてが故障や診断に関連するとは限らない。
【0008】
そのような大容量のデータを処理するためには、高価なインフラストラクチャと、すべてのデータをふるいにかけて装置のデータ関連の故障を識別しトラブルシューティングの指示を提供する高度な処理能力を必要とする。また、一般的に、衛星通信を経由した通信は通信費用が高く、大量のデータ伝送には必ずしも適していない。従って、装置の故障を効果的かつ時間内にトラブルシューティングするために、船舶と機器監視センターとの間の直接的な双方向通信を提供する費用対効果の高いシステムとアーキテクチャが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公表2014―203990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
遠隔から船舶等の移動体に搭載される電子機器の障害の有無とその正確な原因を適宜に診断し、監視する機器診断装置、遠隔機器監視方法、遠隔機器監視システム及び機器診断プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題を解決するために、本発明は、対象となる船舶等から衛星通信等の無線通信で繋げられた遠隔機器監視センターにより船舶上に搭載される1又は複数の舶用電子機器を監視する機器診断装置、及び遠隔機器監視方法、遠隔機器監視システム及び機器診断プログラムを提供する。
【0012】
本発明の機器診断装置は、1又は複数の電子機器から1又はそれ以上のメッセージを受信するように構成された受信部を含む。メッセージは識別データと呼ばれる、メッセージに関する情報、すなわちメッセージの送信方法、電子機器を識別するための識別番号若しくは機器名等を含む情報と、警報状態データである、機器の誤動作もしくは故障(アラーム)に関する或いは電子機器の測定値もしくは読み取り値(プロパティ)により警報状態を示す、電子機器自体の状態に関する情報から構成される。
【0013】
機器診断装置はさらに、識別データと警報状態データに基づいて1又は複数の舶用電子機器の故障を検出する検出部を含む。そして、故障が検出されたことを契機に、故障に関連する情報を遠隔機器監視センターに送信するように構成された送信部を備える。
【0014】
本発明の遠隔通信装置において、識別データと警報状態データは、米国海洋電子機器協会(NatIonal Marine Electronics AssociatIon:NMEA)により規定され管理される、0183メッセージに基づいてもよい。これは、音波探査機、ソナー、風速計、ジャイロコンパス、自動操舵装置、GPS受信機その他海洋に関連する電子機器における、データに関する仕様である。
【0015】
本発明の機器診断装置において、検出部は、各メッセージのメッセージタイプをターゲットメッセージタイプと比較し、ここで、メッセージタイプがターゲットメッセージタイプと一致する場合、検出部はメッセージを解析し、メッセージタイプがターゲットメッセージタイプと一致しない場合、検出部はメッセージを無視するようにしてもよい。
【0016】
本発明の遠隔通信装置によれば、メッセージタイプは、UNICASTメッセージタイプか、MULTICASTメッセージタイプのうち、少なくとも1つを含むことができる。ここで、UNICASTメッセージタイプは、舶用電子機器から機器診断装置への1対1の送信に関連している。また、MULTICASTメッセージタイプは、データ送信が電子機器に対して同時に送信されるグループ通信に関連している。
【0017】
本発明の遠隔通信装置において、検出部は構文解析に基づいて、1又はそれ以上のメッセージの各メッセージ内に(オブジェクト指向プログラミングにより)カプセル化されたNMEA0183メッセージを識別するようにしてもよい。すなわち、オブジェクト指向プログラミングにおいて、互いに関連するデータの集合とそれらに対する操作をオブジェクトとして一つのメッセージ単位にまとめ、外部に対して必要な情報や手続きのみを提供することでNMEA0183メッセージを識別するのである。
【0018】
さらに、検出部は、NMEA0183メッセージを、有効なNMEA0183メッセージタイプの予め定められたセットと比較することができる。NMEA0183メッセージが有効なNMEA0183メッセージタイプの所定のセットに属している場合、検出部はNMEA0183メッセージの解析を続行する。NMEA0183メッセージが有効なNMEA0183メッセージタイプの所定のセットに属していない場合、検出部はNMEA0183メッセージを無視する。
【0019】
本発明の機器診断装置において、検出部は第1のトリガー及び第2のトリガーを含むことができる。第1のトリガーは、バックグラウンドプロセスとして常に動作して、1又は複数の電子機器から、警報状態データを含む1又はそれ以上のメッセージを受信する。第1のトリガーは、警報状態データを用いて現在の警報状態(第1の時点における警報状態)と以前の警報状態(第1の時点より以前の第2の時点における警報状態)との比較に基づいてメッセージを処理することができる。
【0020】
第2のトリガーは、予定された間隔で実行されてもよく、これらの間隔はユーザによって事前定義されていてもよい。第2のトリガーは、メッセージを処理して最後に予定されたタイムスタンプと現在の予定されたタイムスタンプとの間で警報状態データに変化があるかどうかをチェックする。
【0021】
検出部は、第1のトリガー及び第2のトリガーによるメッセージの処理に基づいて、1又は複数の電子機器の故障に関連する情報を含むメッセージを、当該故障の診断をされた電子機器を識別するデータとともに遠隔機器監視センターに送信する。
【0022】
本発明の機器診断装置によれば、検出部は、1又は複数のメッセージに対する現在の警報状態及び以前の警報状態をデータベースに格納するようにしてもよい。そして、1又はそれ以上のメッセージを受信するたびに現在の警報状態を更新する。
【0023】
本発明の機器診断装置によれば、検出部は警報状態の変化をタイムスタンプで記憶させるようにしてもよい。最後の警報状態のタイムスタンプはデータベースにおいて書き換えられる。本発明の機器診断装置は、送信部は衛星通信リンクを使用して遠隔機器監視センターに情報を送信する。
【0024】
本発明の遠隔機器監視方法は、遠隔機器監視センターから船舶等の移動体にある1又は複数の電子機器から1又は複数のメッセージを受信する。ここで、各メッセージは、メッセージの送信方法、各電子機器を識別するための識別番号若しくは機器名等を含む情報から構成される電子機器との間の通信のための識別データと、機器の誤動作もしくは故障(アラーム)に関する、或いは電子機器の測定値もしくは読み取り値(プロパティ)に関する、電子機器の状態に関する情報から構成される警報状態データとがカプセル化されている。識別データと警報状態データとの組み合わせに基づいて、電子機器の故障を検出し、障害に関連する情報を遠隔機器監視センターに送信する。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、1又は複数の電子機器の障害を検出する際に、各メッセージのタイプをターゲットメッセージのタイプと比較するステップと、メッセージタイプがターゲットメッセージタイプに一致する場合にメッセージを解析し、一致しない場合はメッセージを無視する。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、1つ以上の電子機器を監視するための遠隔機器監視センターは陸上、又は対象となる船舶等以外の船舶にあり、対象となる船舶等にある1又は複数の電子機器を監視する。遠隔機器監視センターは、遠隔受信部によって1又はそれ以上のメッセージを受信する。上記メッセージは電子機器の故障に関連する情報を含んでおり、遠隔機器監視センターはさらに、受信されたメッセージを分析する遠隔分析部を含む。
【0027】
さらに、遠隔機器監視センターは解析された1つ以上のメッセージを解析し、解析に基づいて電子機器の故障を判定するように構成された遠隔アプリケーション部を含むことができる。ここで、1つ以上の船舶装置の故障の判定は、陸上又は対象となる船舶以外の船舶上にある遠隔機器監視センターから対象とする船舶等にある電子機器を監視する。
【0028】
本発明の遠隔機器監視方法によれば、遠隔機器監視センターから船舶等に搭載される1又は複数の電子機器を遠隔機器監視する方法であって、電子機器から1又はそれ以上のメッセージを受信する。1又はそれ以上のメッセージの各メッセージは船舶にある電子機器の故障に関連する情報を含んでおり、これらのメッセージを分析しその分析結果に基づいて電子機器を遠隔機器監視するためのトラブルシューティング情報を決定する。
【0029】
本発明の遠隔機器監視方法によれば、機器診断装置を使用して、機器診断装置と通信する電子機器を監視するハイブリッドアーキテクチャを構成する。機器診断装置は、1又は複数の電子機器から受信した1又はそれ以上のメッセージの解析に基づいて電子機器の故障を判定する。
【0030】
電子機器の故障が判定されると、機器診断装置は、第1の衛星通信リンクを使用して対応する電子装置の故障に関する情報を遠隔機器監視センターに直接提供する。この方法では、電子機器の障害に関連する関連情報のみが遠隔機器監視センターに提供され、遠隔機器監視センターが問題を診断してトラブルシューティング手順を短時間で提供できるようになる。
【0031】
さらに、デバイスWISE(DW)ゲートウェイに対するデバイスマネジメント(DM)サービスとコネクティビティマネジメント(CM)サービスは、第2の衛星通信リンクによって提供される。このように、第1の衛星通信リンクは、機器診断装置を用いて提供される電子機器の障害の遠隔機器監視及びトラブルシューティングに専用に使用されるので、DM/CMサービスに依存することなく、デバイスの障害の迅速な監視及びトラブルシューティングを可能にする。
【0032】
異常が本発明による課題の解決手段であるが、あくまでも上記の要約は例示のみであり、いかなる点においても限定することを意図していない。上述の例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、及び特徴は、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0033】
本発明の機器診断装置、遠隔機器監視方法及び遠隔機器監視プログラムによれば、電子機器の遠隔機器監視及び診断のための装置及び方法を提供することができる。この装置は、主として船舶などの海上移動体に設置される電子機器を遠隔機器監視するために使用される。本発明の機器診断装置等は、電子機器の故障に関する情報を提供し、故障した電子機器を動作させるためのトラブルシューティング指示を得るために、遠隔機器監視センターと直接通信し、故障した電子機器の効率的かつ効果的なトラブルシューティングを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本実施形態の開示は一例として図示するものであり、添付図面の図面に限定されるものではない。
図1】本発明の一実施形態による船舶の遠隔機器監視のための機器監視装置と遠隔機器監視センターとの関係を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による船舶の遠隔機器監視のために実装されたハイブリッドアーキテクチャを示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態による機器診断装置のブロック図を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態によるDWコアの構成要素を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による遠隔機器監視センターからなる異なる構成要素を示す。
図6】本発明の一実施形態によるトラブルシューティング命令を提供するために遠隔機器監視センターによって実行される方法のステップを示す。
図7】本発明の一実施形態による船舶加入者に通知を提供するために遠隔機器監視センターによって実行される方法のステップを示す。
図8】本発明の一実施形態による船舶の遠隔機器監視のためのIoTポータルのブロック図を示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態による一以上の舶用電子機器と通信する機器診断装置を例示的に示す概略図である。
図10】本発明の一実施形態による機器診断装置の初期化手順を例示的に示す概略図である。
図11】本発明の一実施形態による船舶内の装置から機器診断装置によって受信される例示的なメッセージを示す。
図12】本発明の一実施形態による第1のトリガーによって実行される方法のステップを示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態による第1のトリガーによって実行される機器故障診断と故障検出情報の送信を示す図である。
図14】本発明の一実施形態による第2のトリガーによって実行される方法のステップを示すフローチャートである。
図15】本発明の一実施形態による第2のトリガーによって実行される機器故障診断と故障検出情報の送信を示す図である。
図16】本発明の一実施形態による警報状態を決定するために第2のトリガーによって使用される例示的な装置警報状態を示す。
図17】本発明の一実施形態による20分間の警報状態変化のための第2のトリガーの動作を示す例示的なテーブルを示す。
図18】本発明の一実施形態による、トリガーによって処理され、ローカルデータベースに記録されるデータを含む例示的なテーブルを示す。
図19】本発明の一実施形態による舶用電子機器からのデータが機器診断装置によって受信されるときの例示的な捕捉タイムチャートを示す。
図20】本発明の一実施形態による初期化プロシージャの例示的なコールフローを示す。
図21】本発明の一実施形態によるステータス取得コマンドの実行ステップを示す。
図22】本発明の一実施形態によるログリストコマンドの実行ステップを示す。
図23】本発明の一実施形態によるデータダウンロードコマンドの実行ステップを示す。
図24】本発明の一実施形態によるエクスポート設定コマンドの実行ステップを示す。
図25】本発明の一実施形態による船舶の遠隔機器監視のための方法ステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明は、本発明の完全な理解を促すために多数の具体的な例が詳細に記載される。本発明のシステム及び方法は、実施形態の開示が不明瞭になることを回避するためにのみブロック図形式で示される。
【0036】
本明細書の様々な箇所における「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではなく、別個の実施形態又は代替の実施形態が他の実施形態と相互に排他的であるわけでもない。いくつかの実施形態の要件であってもよいが、すべての要件ではない様々な要件が記載されている。
【0037】
以下、本発明のいくつかの実施形態について図面を参照してより詳細に説明する。添付図面には、本開示のいくつかの実施形態が示されているが、すべてではない。実際、本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同じ参照番号は、全体を通して同じ要素を参照する。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「データ」、「コンテンツ」、「情報」及び同様の用語は、本発明の実施形態に従って送信、受信及び/又は記憶することができるデータを指すために互換的に使用することができる。さらに、「プロセッサ」、「コントローラ」及び「処理回路」という用語及び同様の用語は、本発明の実施形態に従って情報を処理することができるプロセッサを指すために互換的に使用され得る。さらに、用語「電子機器」、「電子デバイス」及び「デバイス」は、本発明の実施形態によるシステムによって監視される電子機器を指すために互換的に使用される。
【0039】
以下の本発明の実施形態の説明では、遠隔機器監視の対象は船舶等に装備される舶用電子機器であるが、船舶に限らず、海洋、湖水、河川を含む広く水上を移動する移動体に適用され得るし、さらにオフショアなどの固定物にも適用され得る。
【0040】
電子機器も通信可能であればエンジンやポンプなどに備わる計器類であってもよいし、0183メッセージが想定する、音波探査機、ソナー、風速計、ジャイロコンパス、自動操舵装置、GPS受信機その他海洋に関連する電子機器を含むが、ここでは舶用電子機器と記す。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態による船舶の遠隔機器監視のための機器監視装置と遠隔機器監視センターとの関係を示す概略図である。
【0042】
船舶101上には1又は複数の舶用電子機器a―nが搭載されており、これらの機器は遠隔機器監視センターと衛星通信リンクを介して通信が可能である。舶用電子機器107a―nは、一つの船舶にあるとは限らず、他の船舶102等複数の船舶にそれぞれ搭載されていることも想定される。
【0043】
衛星による通信は、複数の通信衛星301a―nから経由する衛星通信を適宜選定可能であり、例えば、イリジウム衛星通信システムやインマルサットを用いることにより、一つの通信経路に限らず複数の経路から選定することが可能である。そして、機器診断装置103と遠隔機器監視センター113との通信は、その経路の全てが衛星通信リンクであってもよいし、一部に衛星通信リンクを含むものであってよい。
【0044】
本発明の遠隔機器監視システムのためのハイブリッドアーキテクチャは、1つ以上の舶用電子機器の遠隔機器監視及び診断のための遠隔機器監視センターへの直接的に衛星通信リンク(経路)を使用して、船舶内の1つ以上の舶用電子機器の故障に関連する情報を提供する機器診断装置を使用する。
【0045】
監視の対象となる舶用電子機器は、一つであってもよいし複数であってもよいが、複数であるのが一般的であるし、本発明の遠隔機器監視機器もより効果を発揮することになる。以下の本発明の各実施形態の説明では、舶用電子機器は1つであっても複数であってもよいことを前提とする。
【0046】
機器診断装置は船舶側に設置されており、船舶に搭載される1又は複数の各舶用電子機器と通信し機能における異常を判定する。さらに、舶用電子機器に関連する異常に関連する情報を、衛星通信リンクを介して遠隔機器監視センターに直接送信する。
【0047】
遠隔機器監視システムは、上記船舶とは離れた陸上、又は水上の別の移動体、例えば遠隔監視を行う専用船に設置されており、機器診断装置とは衛星通信リンクなどの無線通信を介してデータ授受を可能とする。
【0048】
次いで、データベースに接続する機器診断装置は、衛星通信リンクを介して、舶用電子機器に関連する異常に関連するトラブルシューティング指示を取得する。
【0049】
機器診断装置と遠隔機器監視システムとの間の直接的な通信を提供するハイブリッドアーキテクチャは、直接的な通信リンクのために、舶用電子機器の異常の原因を診断する効率を高める。直接通信をすることにより、デバイスの障害に関連する情報をリアルタイムで提供できトラブルシューティング時間を短縮することができる。すなわち、機器診断装置と遠隔機器監視センター間の直接通信リンクによる効果的な診断により、船舶が寄港する港湾でデバイスの問題を修正するために物理的な支援が必要な場合のトラブルシューティングの時間を短縮することができる。
【0050】
舶用電子機器が故障した場合は、トラブルシューティングのアドバイスとともに乗務員に警告が出され、最後に搭乗が必要な場合は、搭乗前に故障の正確な症状が特定され、エンジニアが正しいスペアパーツを準備し提供することができるようになる。
【0051】
図2を参照して、船舶の遠隔機器監視のためのハイブリッドアーキテクチャの詳細な構成と動作を以下に示す。
【0052】
図2は、本発明の一実施形態による、船舶の遠隔機器監視のために実装されたハイブリッドアーキテクチャ100を示す概略図である。
【0053】
ハイブリッドアーキテクチャ100は、船舶101と、遠隔機器監視センター113と、いわゆるIoT(モノのインターネット)ポータル115との間の通信リンクを含んでいる。遠隔機器監視センター113は、ここでは陸上に遠隔配置されており、海上の船舶101内の1又は複数の舶用電子機器107を監視する。船舶101は、ゲートウェイ装置111を含み、このゲートウェイ装置111は舶用電子機器107からデータを収集するハードウェア(スマートデバイス)である。
【0054】
ゲートウェイ装置111はDWゲートウェイ121を含んでおり、このDWゲートウェイ121はゲートウェイ装置111として機能しこれらの装置にアクセスする。そして、ユーザと1又は複数の舶用電子機器107との中間プロトコルにあるものとして機能し、ユーザは1又は複数の舶用電子機器107の故障について通知される。
【0055】
DWゲートウェイ121は、舶用電子機器を監視するためにユーザをDWゲートウェイ121に接続するのに用いられる任意のアプリケーション間の中間プロトコル的位置づけとして動作する、DWゲートウェイ121のサブ部であるDWコア119を含んでいる。このことは、ビジネスアプリケーションの選択からもたらされるデータを意味する。
【0056】
DWゲートウェイ121はさらに、DWコア119との直接的な通信を行うデータベース109を含んでいる。DWコア119は、機器診断装置103における診断機能及びプラグイン105を含む。なお、機器診断装置103は舶用電子機器107の診断を行って外部にその情報を送信する最小限の機能を備えたイベントトリガーモジュールとして機能する。
【0057】
ハイブリッド・アーキテクチャ100は、機器診断装置103が、舶用電子機器107の故障に関する情報を遠隔機器監視センター113に直接的に送信することを可能にする。機器診断装置103と遠隔機器監視センター113との間の直接的リンクは、システムの可搬性を高め、全体的なアーキテクチャを単純化する。これは、ハイブリッドアーキテクチャ100が、トラブルシューティング命令を提供する際にリスクを引き起こす可能性のある障害の中間プロトコル点を排除するためである。
【0058】
さらに、ハイブリッド・アーキテクチャ100は、例えば、舶用電子機器107に関連する情報にアクセスしながら、データ保護及びパスワード・ポリシーを利用することによって、遠隔機器監視システム全体のセキュリティを強化する。そして、第1の衛星通信リンクを介して遠隔機器監視センター113にルーティングされたトラフィックデータと、第2の衛星通信リンクを介してIoTポータル115にルーティングされたトラフィックデータとの間のトラフィックの適切な分離を確実ならしめる。ここで、各ゲートウェイ装置111は、各衛星通信リンクに登録された固有のトークン(Think Key)を有しており、通常は認証と管理目的で同じトークンが使用される。
【0059】
2つの異なる衛星通信リンクを使用して、トラフィックを遠隔機器監視センター113に送信されるデータとIoTポータル115に送信されるデータとを分離する利点は、ハイブリッドアーキテクチャがプラットフォーム(113及び115)のそれぞれの長所を利用することである。すなわち、ここでは2つのポータルを使用し独自のプラットフォーム、Azureユーザインターフェースとデータアナリティクスそれぞれを構成し、機器管理と接続管理を実現している。IoTポータル115からゲートウェイ装置111を介して舶用電子機器107に直接リモートアクセスサービスを開始する。これがこの2つの互いに異なる通信衛星リンクを利用する理由である。一つは遠隔機器監視センター113へのデータ送信(アウトゴーイングトラフィック)用であり、いま一つはTR―50による遠隔アクセスサービス(インバウンドトラフィック)とIoTポータル115によるVPNトンネリングである。ここで、DMコア119を介して送信されるデータのルートが制御される。
【0060】
衛星通信リンクは、インマルサットFBBからVSATまで、あらゆる衛星通信事業者のネットワークが利用可能であり、イリジウム(Iridium Certus)衛星を利用してもよい。
【0061】
遠隔機器監視センター113は、ユーザインターフェース、データアナリティクス、トラブルシューティングを提供する。IoTポータル115はデバイスマネジメント(デバイスマネジメントデータ)とコネクティビティマネジメント(コネクティビティデータ)を含むIoTポータルデータ提供するものであり、遠隔機器監視センター113はこのIoTポータル115を含んでいる。
【0062】
DWコア119は、船舶101に設置されたコンピュータ操作可能なユニットにインストールされたソフトウェアであってもよい。機器診断装置103は、舶用電子機器107から1又はそれ以上のメッセージを受信するが、これらのメッセージには船舶101にある舶用電子機器107との通信のための識別データと、機器の誤動作もしくは故障(アラーム)に関する、或いはデバイスの測定値もしくは読み取り値(プロパティ)に関する、デバイスの状態に関する情報から構成される警報状態データとが結合されたデータを含んでおり、識別データと警報状態データの組み合わせはNMEA0183メッセージに基づいている。
【0063】
より具体的には、各メッセージは2つの異なるカテゴリのデータの組合せを含んでいる。一つは、第1の識別データと呼ばれ、メッセージに関する情報、すなわちメッセージの送信方法、機器名等を含む情報から構成される。
【0064】
一つは、警報状態データと呼ばれ、機器の誤動作もしくは故障(アラーム)に関する、或いはデバイスの測定値もしくは読み取り値(プロパティ)に関する、デバイスの状態に関する情報から構成される。これは、デバイスの誤動作や障害(アラーム)、又はデバイスの測定値や読み取り値(プロパティ)などデバイスの状態に関する情報で構成されている。
【0065】
機器診断装置103は、識別データと警報状態データに基づいて、舶用電子機器107の故障を検出し、次いで、舶用電子機器107の故障に関連する情報を遠隔機器監視センター113に送信する。この際、舶用電子機器107の故障に関連する情報は第1の衛星通信リンクを用いて送信される。
【0066】
さらに、機器診断装置103は、舶用電子機器107から1又はそれ以上のメッセージを受信すると、解析されるメッセージのタイプを決定し、それに応じてメッセージを解析する。メッセージのタイプは、ユニキャストメッセージタイプとマルチキャストメッセージタイプの少なくとも1つが含まれている。
【0067】
ユニキャストメッセージタイプは、舶用電子機器107から機器診断装置103への1対1の送信に関連し、マルチキャストメッセージタイプは、データ送信が同時に舶用電子機器107のグループに向けられるグループ通信に関連する。
【0068】
機器診断装置103はさらに、構文解析に基づいて1又は複数のメッセージの各メッセージにあるカプセル化されたNMEA0183メッセージを識別する。機器診断装置103は、NMEA0183メッセージタイプを有効なNMEA0183メッセージタイプの所定のセットと比較する。
【0069】
NMEA0183メッセージタイプが、有効なNMEA0183メッセージタイプの予め定義されたセットに属する場合、機器診断装置103はNMEA0183メッセージの解析を継続する。NMEA0183メッセージタイプが、有効なNMEA0183の予め定義されたセットに属さない場合、機器診断装置103はメッセージを無視する。
【0070】
有効なNMEA0183メッセージタイプの事前の定義済みセットには、アラームタイプ、プロパティタイプ、及び接続タイプが含まれる。機器診断装置103は、警報タイプメッセージの受信時にトリガーを実行して、1又は複数の舶用電子機器107に故障があるかどうかを判定する。さらに、機器診断装置103は、メッセージを解析することによって故障中の装置の識別を行う。機器診断装置103はさらに、舶用電子機器107に関連する警報状態を遠隔機器監視センター113に通知するかどうかを決定する。
【0071】
機器診断装置103は、舶用電子機器107の現在の警報状態(ON又はOFF)を機器の以前の警報状態と比較するように構成してもよい。すなわち、第1のトリガーは、警報状態データを用いて現在の警報状態(第1の時点における警報状態)と以前の警報状態(第1の時点より以前の第2の時点における警報状態)との比較に基づいてメッセージを処理することができる。
【0072】
そして、警報状態に変化があって現在の警報状態が装置の故障を示す場合、機器診断装置103は故障中の装置に関連する警報状態を遠隔機器監視センター113に通知する。
【0073】
さらに、機器診断装置103は、1又はそれ以上のメッセージに対する現在の警報状態及び以前の状態をデータベース109に格納する。機器診断装置103が遠隔機器監視センター113と切断される時間スパンにおいて、データベース109は、機器診断装置103が遠隔機器監視センター113への接続を回復するまでデータをローカルに保持することができる。また、データベース109は、舶用電子機器107のタイプ、機器の識別、機器の位置等の情報を記憶してもよく、これらの情報は機器診断装置103によって活用されてもよい。
【0074】
機器診断装置103は、メッセージが受信されるたびに現在の警報状態及び以前の警報状態を更新することができる。そして、機器診断装置103は、デバイスの故障に関連する情報を第1の衛星通信リンクを介して遠隔機器監視センター113に送信する。
【0075】
ここでは、メッセージのタイプに対応するメッセージの構造が予め定められている。従って、機器診断装置103が、例えばマルチキャストタイプのメッセージを受信すると、機器診断装置103はマルチキャストタイプのメッセージに対して予め定義されたメッセージの構造に従ってこれらのメッセージを解析する。同様に、ユニキャスト型メッセージの構造についても事前定義されている。
【0076】
プラグイン105はDWコア119の機能を拡張し、舶用電子機器107と通信し、相互に作用し合うように用いられる。プラグイン105はユーザから1又はそれ以上のコマンドを受け取ることができ、コマンドは舶用電子機器107によって実行される特定のアクションに対応することができる。従って、プラグイン105は上記コマンドを舶用電子機器107にさらに送り、舶用電子機器107によって返されたデータを処理し、対応する結果につきそれらをリクエストしたユーザにさらに提供する。
【0077】
ユーザは、船舶101内の乗組員であってもよいし、遠隔機器監視センター113で操作するエンジニアであってもよい。プラグイン105、DWコア119及び機器診断装置103は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態において、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの両方の組み合わせとしてそれぞれ実装され得る。
【0078】
DWコア119は、ユーザ独自のコンポーネント、部、及び舶用電子機器107と通信し対話するためのプラグインを作成するために、ユーザの要件に応じて開発者が修正し得る。ユーザには船舶101内に設置される舶用電子機器107の供給者、船舶を供給する造船会社等も含まれる。
【0079】
DWコア119は、1又は複数の舶用電子機器107に直接アクセスし、ユーザ、1又は複数のトリガー及び1又は複数の舶用電子機器107の中間プロトコルとして機能する。実施形態の変形例として、DWコア119は、別のプラグインと1又は複数の舶用電子機器107との間の中間プロトコルとして機能し、それらのプラグインは舶用電子機器107との通信に使用する。
【0080】
DWゲートウェイ121は、デバイスマネジメント(DM)サービスのためのIoTポータル115への接続性と、機器診断装置103の遠隔機器監視センター113への接続性を管理するために使用される接続性管理サービスとを提供する。
【0081】
第2の衛星通信リンクは、IoTポータル115へのトラフィックを遠隔機器監視センター113へのトラフィックから分離するために使用され、舶用電子機器107の故障に関連する情報を遠隔機器監視センター113へ送信する効率を高める。
【0082】
第2の衛星通信リンクは、遠隔機器監視センター113の認証された人員によって使用されて、複数の船舶の遠隔機器監視のためにこれらの船舶に設置される複数の機器診断装置の大規模な装置管理及び接続性管理要件をサポートする。
【0083】
接続性管理では、TR―50プロトコルを使用して接続サービスを管理する。さらに、ユーザはデバイスマネジメント(DM)を介してソフトウェア更新パッケージを起動させ、DWゲートウェイ121へのライセンスを追加してゲートウェイ装置111のハードウェア情報を取得する。DWゲートウェイ121は、ユーザに提供される舶用電子機器107から対応するデータを受信する。
【0084】
DWゲートウェイ121及びIoTポータル115は、DWワークベンチ117に接される。DWワークベンチ117は、トリガーなどを使用して警報状態情報にアクセスするなどのリクエスト(要求)の「クライアント」として機能する。DWワークベンチ117は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)をユーザに提供して、機器診断装置103のための特定のトリガーアルゴリズム、1又は複数のプロシジャー、及び1又は複数の舶用電子機器107上で処理を実施する。また、DWワークベンチ117は、プラグイン105に構成情報を提供し、プラグイン105は1又は複数の舶用電子機器107と通信することで相互に作用しあう。
【0085】
さらに、遠隔機器監視センター113は、舶用電子機器107の故障に関連する情報をメッセージの形式で受信するように構成されており、船舶101から受信したメッセージを分析する。
【0086】
さらに、遠隔機器監視センター113はメッセージを解析し、機器診断装置103によって識別される舶用電子機器107の故障を判定する。舶用電子機器107の故障に関連する情報を取得すると、遠隔機器監視センター113は遠隔機器監視センター113のローカルデータベースからトラブルシューティング指示を取得し、第1の衛星通信リンク(経路)を介して船舶101にトラブルシューティング指示を提供する。
【0087】
ケースによっては、遠隔機器監視センター113は舶用電子機器107の故障に関連する情報を診断エンジニアに提供する。そして、遠隔機器監視センター113は診断エンジニアが船舶の一人以上の乗組員にトラブルシューティングの指示を与えることを可能にする。トラブルシューティング指示は第1の衛星通信リンクを使用して船舶101にいる乗組員に提供される。このようにして、陸上等に配置される遠隔機器監視センター113は、海上にある船舶101上の1又は複数の舶用電子機器107を監視する。
【0088】
図3は、本発明の一実施形態による、機器診断装置103の概略を示すブロック図を示す。
【0089】
機器診断装置103は、受信部123、検出部125、及び送信部127を含んでいる。受信部123は1又は複数の舶用電子機器107から1又はそれ以上のメッセージを受信するように構成されており、各メッセージは船舶101上の舶用電子機器107との通信のための識別データと警報状態データが結合されたデータを有している。
【0090】
検出部125は識別データ及び警報状態データに基づいて、舶用電子機器107の故障を検出する。このために、検出部125は各メッセージタイプをターゲットメッセージタイプと比較するように構成されており、メッセージタイプがターゲットメッセージタイプに一致するときメッセージを解析し、メッセージタイプがターゲットメッセージタイプに一致しないときはメッセージを無視する。検出部125は、メッセージを解析して、舶用電子機器107の故障を示す警報事象の発生を判定する。これを達成するために、検出部125はトリガーを実行する。
【0091】
検出部125が実行するトリガーには第1のトリガーと第2のトリガーとがある。第1のトリガーは、1又は複数の舶用電子機器107から一以上のメッセージを受信するバックグラウンドプロセスとして常に動作するように構成されている。1又はそれ以上のメッセージのそれぞれには警報状態データが含まれており、第1のトリガーは警報状態データを使用し、現在の警報状態と以前の警報状態との比較に基づいてメッセージを処理する。
【0092】
検出部125はさらに、すべてのアラームの現在の状態及び以前の状態をデータベース109に記憶し、1又はそれ以上のメッセージが受信されるたびに現在の警報状態及び以前の状態を更新する。
【0093】
第2のトリガーは予定された時間間隔で動作し、1又は複数の舶用電子機器107(1又は複数の舶用電子機器107は互換的で相互に参照される)から1又はそれ以上のメッセージを受信する。第2のトリガーはメッセージを処理し、最後に(直近に)予定されたタイムスタンプと現在の予定されたタイムスタンプの間で警報状態データに変更があるかどうかをチェックする。
【0094】
さらに、検出部125は第1のトリガー及び第2のトリガーによるメッセージの処理に基づいて、舶用電子機器107の故障に関連する情報を含むメッセージを出力する。
【0095】
機器診断装置103は、送信部127を用いて舶用電子機器107の故障に関連する情報を遠隔機器監視センター113に送信する。送信部127は、故障に関する情報の出力を契機に、第1の衛星通信リンクを使用して舶用電子機器107の故障に関連する情報を遠隔機器監視センター113に送信する。
【0096】
機器診断装置103は、第1のトリガー及び第2のトリガーを使用して、障害に関連する関連情報を決定する。次いで、機器診断装置103は装置の故障に関連する関連情報のみを遠隔機器監視センター113に送信する。これらのトリガーは、1又は複数の警報タイプメッセージの受信時に実行される1又は複数のソフトウェアプロセス、サブルーチン、ファンクション、サービス、及びアルゴリズムのいずれであってもよい。トリガーは、DWコア105の一部をなすプラグイン105を使用して定義することができる。
【0097】
DWコア119の詳細な機能について、図4を参照して以下に説明する。
【0098】
図4は、本発明の機器診断装置の一実施形態による、DWコア119の構成要素を示す。図から分かるように、DWコア119は、プラグイン105及び機器診断装置103の二つのコンポーネントを含んでいる。
【0099】
本発明の一実施形態では、プラグイン105は舶用電子機器と通信するために1又は複数のプラグインを使用する。プラグイン105は、4つのプラグインを使用して船舶101における舶用電子機器107と通信する。4つのプラグインは、4つの個別のコマンドを実装する。プラグイン105は、プラグインを使用してDWコア119を介して、対応するコマンドを舶用電子機器107に送信する。
【0100】
さらに、舶用電子機器107は、対応するデータをプラグイン105に返信する。プラグイン105は舶用電子機器107との間の通信のためだけでなく、舶用電子機器107によって返信されたデータを処理するための機能も果たす。プラグイン105と舶用電子機器107との間のすべての通信はネットワークを介して行われるので、プラグイン105と舶用電子機器107との間には安全な接続を確立する必要がある。
【0101】
図5は、本発明の一実施形態による、遠隔機器監視センター113からなる異なる構成を示す。遠隔機器監視センター113は、いわゆるモノのインターネット(IoT)ハブ129、イベントハブ131、ファンクション部133、コスモスデータベース135、構成管理データベース(CMDB)137、ウェブアプリケーション139、アプリケーションゲートウェイ141、及びAzure(登録商標)データレイクストレージ(ADLS)143を含んでいる。なお、AzureはMicrosoft(登録商標)社が提供するクラウドサービスである。同様の機能を有するものであれば、Azureに限らず本発明の機器診断装置に適用することができる。
【0102】
IoTハブ129は、舶用電子機器107の故障に関する情報を船舶101から取得する。この情報は装置故障の原因を決定し、さらに装置故障のトラブルシューティングのための指示を与えるために遠隔機器監視センター113において用いられる。IoTハブ129は、船舶101内にある1又は複数の舶用電子機器107に対して中央管理するように配置されている。
【0103】
IoTハブ129は、デバイス認証又は承認、デバイスプロビジョニング、DWコア119との双方向通信、モジュール(部)レジストリ、デバイス結合等のいくつかの機能を有する。IoTハブ129は、イベントハブ131にデータをルーティングする。IoTハブ129は、船舶101から1又はそれ以上のメッセージを受信する遠隔受信部として構成されている。メッセージには舶用電子機器107の故障に関する情報を含んでいる。
【0104】
イベントハブ131は、メッセージなどの形でIoTハブ129から来るデータを分配するように構成してもよい。IoTハブ129は、ファンクション部133に接続されたシングルイベントハブ131のエンドポイントのみを有する。イベントハブ131は、舶用電子機器107の故障に関連する情報をAzureデータレイクストレージ(ADLS)143及びAzureコスモスデータベース135に格納する。
【0105】
ファンクション部133は、イベントハブ131からのデータポイントを処理し、コスモスデータベース(グローバルな分散型マルチモデルデータベース)135に転送する。ファンクション部133は、遠隔解析部として機能しIoTハブから順番にやって来てイベントハブ131から受信される1又はそれ以上のメッセージを解析する。ファンクション部133はMicrosoftAzureポータル上にNETCOREを実装され、サーバレス演算オプションとして使用される。なお、コスモスデータベース135は、Azureプラットフォームに基づくデータベースであり、これはグローバルに分散されたマルチモデルのデータベースサービスである。
【0106】
ファンクション部133は、イベントハブ131から受信したデータを処理し、IoT運用のための異なるシステムと連携し様々なプロセスやシステムを統合する。ファンクション部133は、さらに、単純なアプリケーションインターフェース及びマイクロサービスの構築を可能にする。ファンクション部133は、遠隔機器監視センター113においてより多くの機能を実装することを可能にし、より多くのオプションと形態を提供するストリーム分析に使用することができる。
【0107】
ファンクション部133はさらに、イベント駆動型プログラミングで使用され、httpリクエスト、タイマ、イベントハブ入力(ファンクション部133内に実装された関数のトリガー)などによってトリガーされる。ファンクション部133はさらに、入力処理を可能にし、それをユーザが選択する記憶装置に保存することができる。
【0108】
ファンクション部133は、入力データを操作しそれをアプリケーションの構成管理データベース(CMDB)137から受領したデータとマッピングし、船舶の高リスク警報に加入をしたユーザに対して送信される電子メール警報のようなリアルタイム機能を追加する能力、機能性を提供する。なお、構成管理データベース(Configuration Management Database)とは、情報システムの全コンポーネントに関する情報の統合された保管・管理(構成管理)を行うデータベースを指す。
【0109】
クエリ実行が非常に高速であるため、どのAzure領域でもマルチマスターレプリケーションが可能であり、ユーザの場所に迅速にクエリを実行できる。通常はJSONドキュメントのテレメトリに依存するモノのインターネット(IoT)ベースのシナリオを処理する機能を備えている。
【0110】
コスモスデータベース135は、ウェブアプリケーション139のための1次データストアとして機能し得る。ウェブアプリケーション139は、ファンクション部133から来るメッセージを解析及び分析するために構成された遠隔アプリケーション部である。コスモスデータベース135はまた、機器診断装置103からの「生」データを格納し、より深く、より記述的なデータポイント(事前に集約されたデータポイント)を捕捉する、より豊かな分析を可能にする。なお、コスモスデータベースとはAzureの基盤上で動作可能であり、例えば、NoSQLを採用したデータベースサービスを指す。
【0111】
遠隔機器監視センター113は、構成管理データベース(CMDB)137を含んでおり、Azureプラットフォームをベースにすることもできる。構成管理データベース(CMDB)137は、ウェブアプリケーション139の構成管理データベース(CMDB)をホストする。さらに、プレゼンテーションのための迅速な検索を可能にするために、1つ以上のユーザ、顧客、船舶、及び機器のマッピングと最新のアラートをホストする。
【0112】
ウェブアプリケーション139は、上述したように、異なるデータベースから、解析されたメッセージの形式など、1又は複数の舶用電子機器107の故障に関連するすべての情報を取得する。ウェブアプリケーション139はさらに、この情報を使用して一つ以上の舶用電子機器107の故障の考えられる原因を特定する。
【0113】
さらに、ウェブアプリケーション139は、第1の衛星通信リンクを介して舶用電子機器107の故障をトラブルシューティングするための指示を与える。別の実施形態としては、ウェブアプリケーション139は取得した情報をエンジニアに提供し、エンジニアは一以上の舶用電子機器107の故障をトラブルシューティングするための手順を段階的に船舶101の乗組員に提供することもできる。
【0114】
ウェブアプリケーション139は、ポータルの柔軟なウェブホスティングを可能にするAzureウェブアプリ上でホストされ得る。Azureウェブアプリケーションは、ウェブアプリケーション139の自動スケーリングのような機能を提供する。ユーザ定義のルールを使用することにより、ポータルユーザからの着信要求に応じて、ウェブアプリケーション139をスケールアウト及びスケールインすることができる。さらに、アプリケーションのより新しいバージョンを古いバージョンと共存させることができるため、通常の運用を中断することなく、本番環境でのテストをシームレスに実行することができる。他の実施形態として、AzureDevops、Git、TFS、Githubなどを使用して、CI/CDシナリオを簡単に有効化することができる。
【0115】
本一実施形態では、遠隔機器監視センター113は、Azureアプリケーションインサイトインサイトを備えることもできる。Azureアプリケーションインサイトは、Azure監視機能であり、この機能使用して実行中のアプリケーションを監視することが可能になる。Azureアプリケーションインサイトには、複数のプラットフォームでのウェブ開発のための拡張可能なアプリケーションパフォーマンス管理(APM)サービスを含んでもよい。
【0116】
Azureアプリケーションインサイトにより、ライブWEBアプリケーションの監視などの機能を実現することができ、パフォーマンス異常を自動的に検出して問題の診断に役立つ強力な分析を実行し、ユーザがWEBアプリケーション139などで実際に何をしているかを理解するために使用することができる。Azureアプリケーションインサイトは、などのさまざまなプログラミング技術をサポートする可能性を有している。NET、Node.js、JavaEE、ホストされたオンプレミス、ハイブリッド、任意のパブリッククラウドなどが含まれる。
【0117】
アプリケーションゲートウェイ141は、ウェブアプリケーション139を一般的なエクスプロイト及び脆弱性から集中的に保護するウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)を提供する。これは、一般的に知られている脆弱性を悪用する悪意のある攻撃からウェブアプリケーション139を保護する。アプリケーションゲートウェイ141が保護を提供するいくつかの一般的な攻撃としては、SQLインジェクション及びクロスサイトスクリプティングが挙げられる。
【0118】
Azureデータレイクストレージ(ADLS)143は非常にスケーラブルなデータストレージソリューションである。容量に制限のない任意の形式でデータを保存できる。これは、ビッグデータ及びアドバンスト・アナリティクスのシナリオのために構築されたアーキテクチャと組み合わされ、船舶101から来るデータのような大量のデータを処理するための高性能サービスを提供する。その目的のためにADLS143を使用してイベントハブ131から来る生データ(未加工データ)ポイントを格納し、機械学習サービスなどのサービスがこのデータを利用できるようにすることができる。
【0119】
本一実施形態では、遠隔機器監視センター113は、エンジニアへの報告/ダッシュボードプレゼンテーションのために、例えば、パワーBI(登録商標)(マイクロソフト社が提供するセルフサービスとエンタープライズのビジネスインティジェンス)などの1又はそれ以上のビジネスインテリジェンスツールをさらに含むことができる。このツールは、ウェブアプリケーション139に埋め込むことができ、ADLS143からデータを得ることができる。
【0120】
遠隔機器監視センター113は、ビジネスインテリジェンスツールを使用して、一つ以上の舶用電子機器107の故障のダッシュボード表示をエンジニアに提供することができ、故障の原因をより容易に理解することができる。そして、船舶101の乗組員に対して、エンジニアが効果的なトラブルシューティング指示を行うことができる。
【0121】
図6は、本発明の一実施形態に従った、遠隔機器監視センター113によって実行され、船舶101上の1又は複数の舶用電子機器107を監視し、トラブルシューティング命令を提供する方法100eのステップを示す。
【0122】
方法100eは、ステップ145において、船舶101から一つ以上のメッセージ、例えば、舶用電子機器107の故障に関する情報を含む警報タイプのメッセージを受信すると開始する。
【0123】
ステップ147において、受信された警報状態に基づいて警報状態がオンかオフかを判断する。警報状態がオフである場合、本方法はステップ149で終了する。警報状態がオンである場合、方法はステップ151に進む。
【0124】
ステップ151において、メッセージは、例えば、メッセージで受信された機器モデル及びアラームコードに基づいて構成管理データベース(CMDB)137内のトラブルシューティング指示を検索することによって、このメッセージは分析され得る。
【0125】
遠隔機器監視センター113は第1の衛星通信リンクを経由して船舶101から機器モデル及び警報コードを直接取得することができる。さらに、ステップ153において、トラブルシューティング情報は、上記メッセージの分析に基づいて、舶用電子機器(107)の遠隔機器監視のために決定されてもよい。例えば、トラブルシューティングのステップが見つかったか否かを判断することができる。
【0126】
トラブルシューティングのステップがデータベースに見つからない場合、ステップ155において、遠隔機器監視センター113のエンジニアに、トラブルシューティングのステップを提供するように通知することができる。エンジニアは、トラブルシューティングのステップを決定し、それらを第1の衛星通信リンクを介して船舶101にいる乗組員に提供することができる。トラブルシューティングのステップが構成管理データベース(CMDB)137内に見つかると、ステップ157で、トラブルシューティング・ガイドが第1の衛星通信リンクを介して船舶101の乗組員に表示される。
【0127】
図7は、本発明の一実施形態による、船舶加入者に通知を提供するために遠隔機器監視センターによって実行される方法100fのステップを示す。本方法は、ステップ159で開始する。ステップ161において、本方法は、イベントハブ131からデータを取得するステップを含む。
【0128】
データは、船舶101内の舶用電子機器107の故障に関連する情報を含むことができる。ステップ163で、データの直列化を実行することができる。ステップ165では、何らかのイベントが存在するかどうかを判定することができる。イベントが存在しないと判定されると、方法はステップ167で終了する。
【0129】
一方、イベントが存在する場合には、ステップ169に進む。ステップ169で、イベントのタイプを決定することができる。イベントタイプが「接続済み」である場合、ステップ171で、キャッシュされた接続性が更新され、メソッドは次のイベントの読み取りを継続する。イベントタイプが「プロパティ」である場合、ステップ173で、キャッシュされたプロパティが更新され、メソッドは次のイベントの読み込みを継続する。
【0130】
さらに、イベントタイプがアラームである場合、方法はステップ175に進む。ステップ175で、キャッシュされたアラームを更新することができる。さらに、検出されたアラームイベントについては、ステップ177において、そのアラームイベントが高リスクイベントに対応するか否かが判断される。アラームイベントが高リスクイベントに対応しない場合、メソッドは次のアラームイベントの読み込みを継続してもよい。
【0131】
一方、アラームイベントがハイリスクイベントである場合には、ステップ179に進む。ステップ179において、警報イベントに関連する通知が、船舶101の加入者に送信され得る。通知は、電子メール、SMSなどの形式で行われます。船舶101の加入者は、船舶101の所有者、船舶製造業者等を含むことができる。その後、メソッドは次のイベントの読み込みを続行する。
【0132】
図8は、本発明の一実施形態による、船舶101の遠隔機器監視のためのIoTポータル115のブロック図を示す概略図である。IoTポータル115は、DWゲートウェイ121とIoTポータル115とを繋ぐ第2の衛星通信リンクを介してデバイス管理及び接続性管理を提供するために使用される。
【0133】
IoTポータル115は、メッセージキュー遠隔測定トランスポート(MQTT)フロントエンド201と、接続管理部203と、デバイス管理部205と、IoT管理ポータル207と、IOTプラットフォームマシンーマシン(M2M)サービスアプリケーションインターフェース(API)209とを含む。IoTポータル115は、遠隔機器監視センター113と通信する。MQTTフロントエンド201は、MQTTプロトコルを用いてIoTポータル115とゲートウェイ装置111との間の通信を確立する。
【0134】
MQTTは非常にシンプルで軽量なパブリッシュ/サブスクライブ・メッセージング・プロトコルであり、制約のあるデバイスや低帯域幅、高レイテンシー、又は信頼性の低いネットワーク向けに設計されている。なお、レイテンシー(遅延時間)とはリクエスト(データの送信、処理をリクエストする通知を発出)されたリソースが目的地に到達するまでにかかるネットワーク時間のことで、低レイテンシーとは良好な状態で遅延時間がほとんどないか、またはまったくないことを意味し、逆に高レイテンシーは悪い状態で、リクエストされたリソースが目的地に到達するまでに長い時間がかかることを意味する。
【0135】
設計の原則は、ネットワーク帯域幅とデバイスリソースの要件を最小限に抑えながら、信頼性と配信のある程度の保証を確保することである。これらの原則はまた、「マシンーマシン」(M2M)又は「モノのインターネット(IoT)」関連のアプリケーション、及び帯域幅と電力が高価なアプリケーションにとって、プロトコルを理想的なものにする。MQTTプロトコルの基本的な利点は軽量であることで、リソース帯域幅が非常に少ないデバイス向けに設計されている。これはIoTの世界における通信のデフォルト標準でもある。
【0136】
MQTTプロトコルはまた、複数の船舶に設置された複数の機器診断装置のための大規模な接続性管理及びデバイス管理のために、接続管理部203及びデバイス管理部205によって使用される。さらに、IoT管理ポータル207は、IoTポータルに接続されているすべてのDWゲートウェイ及び接続を表示及び管理するために使用され得るウェブベースのアプリケーションである。IoT管理ポータル207を使用すると、IoTポータル115に接続されているすべてのDWゲートウェイの表示と管理が容易になる。IoT管理ポータル207は、デバイスの管理に役立つだけでなく、ユーザの管理、ファームウェアの更新、及び機器診断装置上で実行する必要がある他のすべてのバッチタイプ処理にも役立つ。
【0137】
さらに、IoTプラットフォームM2MサービスAPI209は、新しいデバイス、例えば、新しいゲートウェイデバイスがIoTポータル115に接続することを可能にし、モバイル及びデスクトップアプリケーションが利用可能なデータと対話することを可能にするために使用されるAPIのセットを含む。従って、IoTプラットフォームM2MサービスAPI209は、アプリケーションプログラムによって使用され、IoTポータル115とのインターフェースをする。
【0138】
図9は、本発明の一実施形態による、舶用電子機器107a―107nと通信する機器診断装置103を例示的に示す概略図である。
【0139】
機器診断装置103は、常にネットワークを監視し、1又は複数の舶用電子機器107a―107nからのデータを待機するサーバとして機能し得る。機器診断装置103が舶用電子機器107a―107nから1又はそれ以上のメッセージ(データ)を受信すると、機器診断装置103はデータを解析する。換言すれば、舶用電子機器107はそれが収集するデータのタイプのみを送信することができ、機器診断装置103は、それに応じて各舶用電子機器107からの各メッセージデータブロックを解析することができる。従って、機器診断装置103は、舶用電子機器107a―107nのそれぞれに対して別々のアルゴリズムを実施することができる。
【0140】
舶用電子機器107a―107nは、機器診断装置103との通信にNMEA0183規格を使用することができる。1又はそれ以上のメッセージにはNMEAメッセージが含まれており、故障中の機器の名称、警報状態、アラームの説明など、デバイスの故障に関連する情報を提供する。舶用電子機器107a―107nは、他の装置からの異なるタイプのデータを測定することを担当するセンサであってもよい。
【0141】
図10は、本発明の一実施形態による、機器診断装置103の初期化手順を例示的に示す概略図である。
【0142】
機器診断装置103がメッセージのタイプに基づいてメッセージを解析するために、ユーザは、DWワークベンチ117によって提供されるUIを介して解析されるメッセージのタイプを設定することができる。すべてのメッセージ・タイプは、ドロップダウンリストの形式でユーザに提供される。
【0143】
加えて、機器診断装置103は、マシンのネットワークインターフェースを介してネットワークに接続することができる。ユーザは、再びUI(ユーザインターフェース)を介して機器診断装置103のネットワークインターフェース、IPアドレス及びポート番号を設定して、機器からのメッセージを聴くことができる。
【0144】
従って、初期化手順には機器診断装置103のための5つのパラメータを設定することを含まれている。図10に示すように、5つのパラメータは、インターフェースアドレス(インターフェース)301、メッセージタイプ303、UDP送信305、グループアドレス307、及びポート番号(ポート)309である。初期化手順は、一以上の舶用電子機器107から一以上のメッセージを受信するために機器診断装置103を配備する前に完了しなければならない。初期化手順の完了後にのみ、機器診断装置103は、舶用電子機器107と通信することができる。
【0145】
インターフェース301は、ホスト(すなわち、機器診断装置103)、より具体的にはホストのネットワークインターフェースを識別するIPアドレスを含み、ネットワーク内のホストの位置、いわばそのホストへの接続を確立する能力を提供する。メッセージタイプ303は、NMEA0183メッセージのタイプを定義する。
【0146】
NMEA0183メッセージタイプを定義することにより、機器診断装置103は、特定のイベントについてのみ舶用電子機器107を監視することができる。例えば、メッセージタイプ303をALRとして定義することによって、機器診断装置103は、アラームタイプメッセージのみを決定することができる。
【0147】
さらに、UDP送信305は、メッセージタイプを定義するために使用される。舶用電子機器107からメッセージを受信すると、機器診断装置103は受信したメッセージのタイプが定義されたUDP送信タイプと一致するかどうかをチェックする。機器診断装置103は受信メッセージのタイプがUDP送信メッセージのタイプと一致する場合にだけ受信メッセージの解析を継続する。なお、グループアドレス307はIPマルチキャストグループアドレスである。
【0148】
さらに、グループ・アドレス307は機器診断装置103及び舶用電子機器107によって、マルチキャスト・メッセージを送受信するために使用される。機器診断装置103は、そのデータパケット内のIP宛先アドレスとしてグループアドレス307を使用する。舶用電子機器107は、このグループアドレス307を使用して、そのグループからのパケットの受信及びそのグループへのパケットの送信に関心があることをネットワークに通知する。ポート309は、特定のプロセス又はネットワークサービスのタイプを識別する論理構造である。
【0149】
初期化手順の完了後、機器診断装置103は、舶用電子機器107から1かそれ以上のメッセージを受信することができる。メッセージを受信すると、機器診断装置103は、所定の構造に基づいてメッセージを解析する。定義済みの論理構造は、メッセージのどの部分又はブロックにどの情報が含まれるかが定義されている。この予め定義された構造は一意であり実行中のプロセス全体を通して変化せず、これにより機器診断装置103は各メッセージを正しく解析することができる。
【0150】
定義済みの構造はメッセージのタイプによって異なる場合がある。異なるタイプのメッセージは機器診断装置103に向けて舶用電子機器107の故障についての警告を示す警告タイプのメッセージであり得る。
【0151】
他のタイプのメッセージは、船舶の航海(例えば、GPS、深度、速度等)に関連するデータを提供する特性タイプのメッセージを含んでもよい。さらに、メッセージのタイプは船舶101が遠隔機器監視センター113と接続されているか切断されているかの情報を提供する接続型メッセージであってもよい。
【0152】
本発明の一実施形態では、ユーザが船舶101内の舶用電子機器107の故障について船舶101を監視したい場合、ユーザは、図10に示すように、機器診断装置103のメッセージタイプ303をUI(ユーザインターフェース)上で「ALR」に設定する。機器診断装置103は、メッセージが舶用電子機器107のいずれかから受信されたときにトリガーされる。機器診断装置103は、最初にメッセージを送信するために使用されるIPサービスのタイプを決定する。IPサービスのタイプは、ユニキャスト又はマルチキャストである。
【0153】
IPサービスのタイプを決定するために、機器診断装置103は、以下の規則のセットを使用する。
1.メッセージの先頭の確認
a メッセージが'$'又は'!'で始まる場合、UNICAST IPサービスを用いてメッセージを解析
b メッセージが"UdPbC\0\s"(\0はNULL)で始まる場合、UNICAST IPサービスを用いてメッセージを解析
【0154】
メッセージがUNICASTIPサービスを使用している場合、機器診断装置103は、以下のように構成される。
1.メッセージ内の第2の'$'を検索する。これは、読み取るNMEAメッセージの開始を示す。
2.NMEAメッセージを読み取り、メッセージのタイプを判別する(NMEAメッセージのインデックス3ー6)。
3.ステップ1で決定したメッセージのタイプとターゲットメッセージのタイプ(例えば、「ALR」)を比較する。
a 一致が続く場合はメッセージを無視し、解析を停止する。
4.メッセージのタイプに基づいてNMEAメッセージを解析する
【0155】
メッセージがMULTIICAST IPサービスを使用している場合、機器診断装置103は、以下のように構成される。
1. メッセージの前面("「UdPbC\0\s:")を除外する。
2. メッセージの"\s:"をスキャンして、最初のメッセージの最後を見つける。
a メッセージがNULLの場合、終了する。
b "\s:"が見つからない場合、メッセージは1つだけである。
3.デバイス名とIDの検索
a "UdPbC\0\s"の次の6文字を読んで機器名とIDを確認する。
4.NMEAメッセージを見つける。
a NMEAメッセージの開始を示す最初の'$'文字を検索する。
b NMEAメッセージを読み取り、メッセージのタイプを判別する(NMEAメッセージのインデックス3ー6)。
c メッセージのタイプとターゲットメッセージのタイプを比較する(例えば、「ALR」)。
d 一致する場合は、メッセージのタイプに基づいてNMEAメッセージの解析を続行する。一致しない場合は、メッセージを無視して解析を停止する。
5. メッセージポインタをメッセージの末尾('\s:'で示される)に移動し、ステップ2を繰り返する。
【0156】
NMEAメッセージを解析するためのルールセットは次のとおりである。
1. メッセージの先頭の文字が'$'又は'!'かチェックする。
a 見つからない場合は解析を停止する。
2. '*'文字を検索してチェックサムを検索及び保存する。チェックサムは'*'に続く2つの数字で示され、'*'をNULLに置き換える。
3. トーカーを得る。1又はそれ以上のメッセージを機器診断装置103に送信する装置である。舶用電子機器の名前は、'$'又は'!'の後の2文字を解析して決定される。NMEAメッセージのインデックス1と2
4. パラメータの先頭に移動(インデックス6、NMEAメッセージの開始を示す'$'又は'!'の文字の後)
5.','又はNULLを読み取り
a','が見つかった場合は、ステップ4を繰り返してパラメータを保存し、次のパラメータに移動する。
b NULLが検出された場合、メッセージが解析され、終了する。
【0157】
本発明の一実施形態では、機器診断装置103は、"ALR"タイプのメッセージを受信するように初期化されてもよい。
【0158】
図11は、本発明の一実施形態による、船舶内の装置から機器診断装置103によって受信される例示的なメッセージ300cを示す。
【0159】
表1は、本発明の一実施形態による、受信メッセージごとに機器診断装置103によって処理及び格納されるパラメータを含む例示的な表である。
【0160】
【表1】
【0161】
この段階で、機器診断装置103はUIを使用する初期化プロセス(パラメータ2,3,4,7,9)の間、又は実行時(パラメータ1及び6)の間のいずれかにおいて、表1のパラメータ1から5、7及び9の値を既に設定している。パラメータNo.8が真でない場合、機器診断装置103はメッセージを解析することに注意する必要がある。
【0162】
NMEAメッセージの構文解析は、図11に示されるメッセージを使用して例示的に示すことができる。メッセージ300cは、識別データ及び警報状態データを示す複数のフィールドを含む。
【0163】
メッセージ300cは"UdPbC.\s:"で始まる。機器診断装置103はパラメータNo.7をMULTICASTに設定する。"UdPbC.\s:"の後の6文字は、機器名と機器のID(アイデンティティ)である。例示的なメッセージ300cによれば、機器名及びそのIDは"GP0001"であり、ここで、"GP"は機器名であり、"0001"はアイデンティティである。
【0164】
次に、機器診断装置103は、NMEAメッセージの開始についてメッセージ300cを検索する。NMEAメッセージの開始は"$"で示される。"$"の後の最初の2文字は機器名である。例示的なメッセージ300cでは機器名は"GP"である。次の3文字はNMEAメッセージのタイプを示す。図示の例では、NMEAメッセージタイプは"ALR"である。NMEAメッセージの本体、すなわちアラームイベント自体の値は最初のコンマの後、メッセージの最後の"*"の前に含まれる。これらの値はすべてカンマで区切られ、イベントが発生した時刻から始まり、アラーム番号、アラーム条件、アラーム確認応答状態、アラームの説明が続く。従って、舶用電子機器107からの1又はそれ以上のメッセージは特定のタイプのメッセージを所定の規則に基づいて構文解析される。
【0165】
別の実施形態では、機器診断装置103は、例えばALR型メッセージ(図11で上述したように)を舶用電子機器107から受信すると、第1のトリガー及び第2のトリガーを実行する。第1のトリガーは、舶用電子機器107から1又はそれ以上のメッセージを受信するバックグラウンドプロセスとして常に動作するように構成される。1又はそれ以上のメッセージからの各メッセージは警報状態データを含んでおり、第1のトリガーは警報状態データを使用して現在の警報状態と以前の警報状態との比較に基づいてメッセージを処理する。
【0166】
さらに、機器診断装置103は第2のトリガーを実行するように構成されており、第2のトリガーは一以上の舶用電子機器107からメッセージを受信するために、予定された時間間隔で動作する。第2のトリガーは、最後に(直近に)予定されたタイムスタンプと現在の予定されたタイムスタンプの間で警報状態データに変更があるかどうかをチェックするためにメッセージを処理するように設定されている。そして、検出部125は第1のトリガー及び第2のトリガーによるメッセージの処理に基づいて、舶用電子機器107の故障に関連する情報を含むメッセージを遠隔機器監視センター113に送信する。
【0167】
最後に、機器診断装置103はローカルデータベース109にアクセスし、具体的には、データベース109に格納される以下の3つのテーブル、1.機器警報状態テーブル、2.アラームキー、3.機器警報状態リクエストにアクセスする。
【0168】
[機器警報状態テーブル]
機器警報状態テーブルは、舶用電子機器107に関連する情報と、機器診断装置103によって受信されたアラームの現在の状態及び以前の状態とを含んでいる。機器警報状態テーブルに含まれる情報の詳細を以下に示す。このテーブルには、次の10のフィールドがある。
【0169】
【表2】
【0170】
[アラームキーテーブル]
このテーブルは、各アラーム番号を特定のアラームキーにマッピングするために使用する。このテーブルには、次の3つのフィールドがある。
【0171】
【表3】
【0172】
[機器警報状態リクエストテーブル]
このテーブルには、警報状態の予定されたリクエストが最後に実行された時刻を保持するカラムがある。このテーブルには1つのフィールドがある。
【0173】
【表4】
【0174】
図12は、本発明の一実施形態による、第1のトリガーによって実行される方法400aのステップを示すフローチャートである。図13は、メッセージの受信と第1のトリガーによって実行される警報状態の送信を示す図である。
【0175】
機器診断装置103は、警告メッセージの受信を決定するために、バックグラウンドプロセスとして第1のトリガーを継続的に実行する。機器診断装置103が警告メッセージを受信すると、ステップ401において機器診断装置103はトリガーが掛かり最初のトリガーを実行する。
【0176】
ステップ403で、受信されたアラームの状態がもしあれば、"機器警報状態テーブル"から検索(又は選択)され得る。これらのレコードは、機器から受信されたたアラームに関連付けられデータベース109に格納される。
【0177】
ステップ405において、上記レコードに基づいて、舶用電子機器107に対応するアラートタイプメッセージが機器診断装置103によって受信されたとき、受信したアラートメッセージが最初であるかどうかを判断することができる。そのために、機器診断装置103は、機器警報状態テーブル内の舶用電子機器107に対応する多数の警報状態レコードをチェックする。
【0178】
警報状態レコードの数が0(すなわち、舶用電子機器107に対応する警報状態の記録がない)である場合、機器診断装置103は受信したアラートメッセージが舶用電子機器107に対応するアラートタイプメッセージを受信した最初のものであると判断する。この場合、方法はステップ407に進む。ステップ407では、舶用電子機器107に対応する新たな警報状態を装置警報状態テーブルに挿入することができ、この方法はステップ415で終了する。
【0179】
一方、警報状態の数が0より大きい場合、機器診断装置103は、以前(又は以前のタイムスタンプ時)に1又は複数の舶用電子機器に対応するアラートタイプメッセージがあったと判断する。この場合、方法400aはステップ409に進む。
【0180】
ステップ409では現在の警報状態が機器警報状態テーブルからの以前の警報状態と比較され得る。さらに、ステップ411では舶用電子機器107に対応する1又は複数の警報状態が変化したかどうかを判定することができる。警報状態が変更されていないと判定された場合、プロセスは415で終了する。
【0181】
一方、警報状態が変化したと判定された場合、ステップ413において装置警報状態テーブル内の警報状態を更新することができ、本方法はステップ415で終了する。
【0182】
図14は、本発明の一実施形態による、第2のトリガーによって実行される方法400bのステップを示すフローチャートである。図15は、メッセージの受信と第1のトリガーによって実行される警報状態の送信を示す図である。
【0183】
第2のトリガーは、舶用電子機器107から1又はそれ以上のメッセージを受信するために予定された時間間隔で動作する。第2のトリガーは、最後に(直近に)予定されたタイムスタンプと現在の予定されたタイムスタンプの間で警報状態データに変更があるかどうかをチェックするためにメッセージを処理する。
【0184】
第2のトリガーによるメッセージの処理に基づいて、検出部125はさらに、舶用電子機器107の故障に関連する情報を含むメッセージを遠隔機器監視センター113に送信する。そのために、ステップ417において第2のトリガーが実行を開始する。
【0185】
ステップ419で、現在スケジュールされているリクエストの時刻を取得することができる。ステップ421では、機器警報状態リクエストテーブルからのすべてのレコードが読み取られ、第2のトリガーのために予定されたリクエストが最後に実行された時刻が決定される。ステップ423では、受信した予定されたリクエストが機器診断装置103によって予定されたリクエストが受信された最初のときであるかどうかを、装置警報状態リクエストテーブル内にレコードが存在するかどうかをチェックすることによって決定することができる。
【0186】
予定されたリクエストの数が0である場合、機器診断装置103は、受信された予定されたリクエストが、予定されたリクエストを受信した最初のものであると判断する。この場合、方法はステップ425に進む。
【0187】
ステップ425で、現在の予定されているリクエストタイムスタンプを機器警報状態リクエストテーブルに挿入することができる。さらに、ステップ427において、以前に予定されたリクエストのタイムスタンプは、現在予定されたリクエストのタイムスタンプから所定の時間を減算することによって計算され、次いで、本方法はステップ429に進む。
【0188】
一方、予定されたリクエストの数がゼロでない場合、すなわち、現在予定されたリクエストが最初に予定されたリクエストでない場合、方法は直接ステップ429に進む。ステップ429で、機器警報状態テーブルからのすべてのアラームを読み出すことができる。
【0189】
ステップ431では、アラームイベントタイムスタンプが直前に予定されたリクエストタイムスタンプより後であるかどうかを判定することができる。機器診断装置103が、アラームイベントタイムスタンプが前に予定されたリクエストタイムスタンプより後でないと判断した場合(つまり、直前に予定されたリクエストタイムスタンプの前)、方法400bは、次のアラームイベントの読み取りを継続してもよい(フローチャートのA)。
【0190】
一方、機器診断装置103が、アラームイベントタイムスタンプが前に予定されたリクエストタイムスタンプより後であると判断した場合、方法400bはステップ433に進む(フローチャートのB)。ステップ433では、アラームイベントタイムスタンプが現在予定されたリクエストタイムスタンプより前であるかどうかが判定される。
【0191】
機器診断装置103が、アラームイベントタイムスタンプが現在予定されたリクエストタイムスタンプより前でないと判断した場合、方法400bは、次のアラームイベントの読み取り(A)を継続する。一方、機器診断装置103が、アラーム・イベントタイムスタンプが現在予定されたリクエストタイムスタンプより前であると判断した場合、方法はステップ435に進む。
【0192】
ステップ435では、警報状態が変化したかどうかを判定する。機器診断装置103は警報状態が変化していないと判断した場合、メソッドは次のアラームイベントの読み取りを継続する。
【0193】
一方、機器診断装置103は、警報状態が変化したと判定した場合、ステップ437に進む。ステップ437では、アラームメッセージを遠隔機器監視センター113に送信することができる。ステップ439で、装置警報状態リクエストテーブルを現在予定されたリクエストタイムスタンプで更新することができ、方法はステップ441で終了する。
【0194】
図16は、本発明の一実施形態による、警報状態を決定するために第2のトリガーによって使用される例示的な装置警報状態表400cを示す。
【0195】
図に示されるように、舶用電子機器におけるEI0001の機器警報状態を考慮して、第2のトリガーは、EI0001のアラームNo.380に対して現在の警報状態がV(OFF)であり、タイムスタンプ:2020―02―27 11:37:01.974.であると決定する。しかし、同じアラームNo.380最後の変化アラーム条件が最後の変化タイムスタンプ:2020―02―27 11:36:58.000.でアラームの状態が確認されたので、最後の警報条件はA(ON)である。
【0196】
第2のトリガーは、現在の警報状態がアラームを発行する前の予定されたタイムスタンプと現在の予定されたタイムスタンプの間にあるかどうかをさらにチェックする。これがtrueである場合、この期間中にアラーム条件の状態が変化したかどうかを確認する。YESの場合、アラームが公開(通知)され、最後の警報条件領域はA(ON)に設定される。
【0197】
表5は、本発明の一実施形態による、20分間の警報状態変化に対する第2のトリガーの動作を示す例示的なテーブル400dを示している。
【0198】
【表5】
【0199】
ここでは例示的に、第2のトリガーは5分のスケジュール間隔を有すると仮定している。従って、第2のトリガーは5分毎に舶用電子機器107のうちの特定の機器の現在の警報状態と前の警報状態との間の警報状態の変化をチェックする。
【0200】
表からわかるように、0分から5分の間にある最初のタイムスタンプ間隔では、現在の警報状態は1(つまり、特定の機器に対応する警報状態が設定又はオンになっている)で、以前の(又は最後の)警報状態は0(つまり、特定の機器に対応する警報状態は、以前はOFFであった。)ということになる。第2のトリガーは5分間の終わりに警報状態の変化を決定し、さらに現在の警報状態が1であると決定して最後の警報状態を1に設定し、そしてアラームを遠隔機器監視センター113に発する。
【0201】
5から7分の間の第2のタイムスタンプ間隔においては、警報状態に変化があるが、この警報状態の変化は、第2のトリガーの次の予定された間隔の前である。従って、機器診断装置103は、10分で始まる次の予定された間隔を待つ。
【0202】
7から10分の間の3番目のタイムスタンプ間隔では現在の警報状態は1で、以前の警報状態は0である。10分経過した時点で、次のトリガーは警報状態に変化があり、現在の状態が1であると判断する。従って、第2のトリガーは最後のアラーム条件を1に設定しアラームを発する。
【0203】
10から15分の間の4番目のタイムスタンプ間隔においては、現在の警報状態と以前の警報状態に変化がないため、第2のトリガーは警報状態を発しない。さらに、15から20分の間の5番目のタイムスタンプ間隔では、現在の警報状態は0で、以前の警報状態は1である。この場合、20分後の第2のトリガーは、現在の警報状態が0(OFFF)であると判断しアラート状態を発する。
【0204】
図17は、本発明の一実施形態による、1又は複数の用電子機器107からのデータが機器診断装置103によって受信されるときの例示的な捕捉タイムチャートを示す。
【0205】
機器診断装置103は、舶用電子機器107からデータを受信するために、図10に関して前述したように初期化される。図17は、ある時間間隔(X軸)の間に受信されたデータのバイト数(Y軸)を示している。この実施形態では3つの舶用電子機器からのデータのみがUDPポート番号60004で受信されると考えられる。タイムチャートからわかるように、3つのデバイスからの平均遷移バイトは1秒間隔で約9Kバイトである。
【0206】
図18は、本発明の一実施形態による、トリガーによって処理され、ローカルデータベースに記録されるデータを含む例示的なテーブル400fを示す。
【0207】
図から分かるように、機器診断装置103は26行のALRログをデータベース109に格納されている機器状態テーブルに記録する。機器状態テーブルには、アラーム番号、警報状態、アラーム確認状態、最終警報条件、タイムスタンプ、最終変更タイムスタンプ、ログ、説明等の情報が格納される。
【0208】
図19は、本発明の一実施形態による機器診断装置103が遠隔機器監視センター113にデータを発するときの例示的な捕捉タイムチャートを示す。
【0209】
図から分かるように、以前の予定されたタイムスタンプ内と現在の予定されたタイムスタンプ内で状態に変化が生じたときに、必要な情報が最終的に1回だけ発せられる。
【0210】
図20は、本発明の一実施形態による、初期化手順の例示的なコールフローを示す。
【0211】
初期化手順にはソケットの作成、認証、プロポーザル(提案)、及びコマンド送信の各手順が含まれる。ステップ501で、舶用電子機器107との接続が確立される。ソケットクリエーションの作成では、プラグインと舶用電子機器107との間の通信に使用されるソケットを作成する。ここでいうソケットは、ソケットインターネットがTCP/IPと呼ぶ通信プロトコルを利用する際にそのTCP/IPをプログラムから利用するためのプログラムの世界とTCP/IPの世界を結ぶ特別な出入り口を指す。
【0212】
上記作成をするために、プラグインには舶用電子機器107に関連付けられたインターネットプロトコル(IP)アドレスとポート番号が提供される。IPアドレスとポート番号は、プラグインに対して事前に定義されている場合がある。他の実施形態として、ユーザは、DWワークベンチ117のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のいずれかを介してIPアドレス及びポート番号をリアルタイムで提供してもよい。
【0213】
ソケットを作成するために、ステップ501において、デバイスとの接続確立のリクエストがプラグインによって送られてもよい。ステップ503で、デバイスからの接続リクエストに対する肯定応答がプラグインによって受信されソケットが作成される。
【0214】
ソケットが正常に作成された後の次のステップは認証ステップである。認証中に、ステップ505において、「認証」リクエストにおけるユーザ名及びパスワードがプラグインによって舶用電子機器107に送信される。これらユーザ名及びパスワードの2つの値が正しければ、ステップ507で「認証―OK」メッセージの肯定応答がプラグインによって受信される。認証が成功すると次のステップが実行される。そうでなければ舶用電子機器107が接続を「ドロップ」する。
【0215】
ユーザ名とパスワードは、プラグインのプログラミングコード内で静的に事前定義できる。他の実施形態として、ユーザは、DWワークベンチ117のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のいずれかを介してこれらの2つの値をリアルタイムで提供してもよい。
【0216】
認証が成功した後の次のステップとして、プロポーザル(又はネゴシエーション)ステップに移る。プロポーザル時に、プラグインは暗号化を使用するかどうかを決定する。プラグインが暗号化を使用することを決定した場合、プラグインはさらに、舶用電子機器107との通信に使用する暗号化のタイプを決定する。
【0217】
ステップ509では、プロポーザル時に、舶用電子機器107との通信に使用するために決定された暗号をプラグインによって送信することができる。さらに、デバイスが暗号化をサポートする場合、ステップ511において、舶用電子機器107からの「提案OK」メッセージの肯定応答がプラグインによって受信され得る。
【0218】
次のステップ513では、プラグインによって舶用電子機器107上で実行されるアクションのコマンド番号が舶用電子機器107に送信される。図18から分かるように、コマンドがプラグインによって舶用電子機器107に送信され、ステップ515で1又はそれ以上のコマンドに対応する応答がプラグインによって受信される。
【0219】
各コマンドの詳細について、図21図24及び表6を参照して以下に説明する。
【0220】
表6は、本発明の一実施形態による、プラグインに関連するコマンドを、それらに対応するコマンド番号及び説明と共に示す例示的な表である。
【0221】
【表6】
【0222】
各コマンドに対応するコマンド番号は予め定義されており、プラグイン及び舶用電子機器107に提供される。受信したコマンド番号に基づいて、舶用電子機器107は異なる結果を送信する。
【0223】
図21図24は、いくつかの実施形態による、各コマンドの使用の詳細な図を示す。
【0224】
図21は、本発明の一実施形態による、ステータス取得コマンドの実行ステップを示す。
【0225】
ステップ517で、プラグイン105によって、ステータス取得コマンドが舶用電子機器107に送信される。ステータス取得コマンドは、舶用電子機器107のステータスを取得するために使用される。コマンドを受信した舶用電子機器107は、ステータス取得コマンドに対応するコマンド番号を決定し、ステップ519で舶用電子機器107のステータスをプラグイン105によって受信する。舶用電子機器107の状態は、JavaScriptオブジェクト表記(JSON)フォーマット文字列であってもよい。
【0226】
図22は、本発明の一実施形態による、ログリストコマンドの実行ステップを示す。ステップ521で、舶用電子機器107に関連するログを取得するためにプラグイン105によって舶用電子機器107にログリストコマンドを送信する。これに応答して、ステップ523で、舶用電子機器107からのログリストデータがプラグイン105によって受信され得る。ログリストデータには、tar.gzファイルの名前が含まれている。このファイルは舶用電子機器107に関連するログを含むので、データダウンロードコマンドのパラメータとして使用することができる。
【0227】
図23は、本発明の一実施形態による、データダウンロードコマンドの実行ステップを示す。プラグイン105はデータダウンロードコマンドを舶用電子機器107に送信する。データダウンロードコマンドは舶用電子機器107でログリストコマンドを実行するために使用される。さらに、データダウンロードコマンドは舶用電子機器に関連するログを含むtar.gzファイルをデータベース109に格納する。
【0228】
図24から分かるように、ステップ525において、データダウンロードコマンド(DataDownloading command)はプラグイン105によって舶用電子機器107に送信される。これに応答して、ステップ527において、tar.gzの名前及びtar.gzの内容を含むデータダウンロードデータ(Data Downloading data)がプラグイン105によって受信され得る。さらに、ステップ529では、プラグイン105によってハードディスク上のtar.gzを保存してもよい。
【0229】
図24は、本発明の一実施形態によるエクスポート設定コマンドの実行ステップを示す。
【0230】
エクスポート設定コマンドは舶用電子機器107に関連する設定を取得し、その設定を記憶するために使用される。ステップ531ではプラグイン105によって舶用電子機器107に設定のエクスポートコマンドが送信される。これに応答して、ステップ533で、舶用電子機器107に関連するエクスポート設定データがコアプラグイン105によって受信される。データは舶用電子機器107に関連する設定情報を含む別のtar.gzファイルを含んでいる。さらに、ステップ535で、tar.gzファイルをプラグイン105によってハードディスクに保存してもよい。
【0231】
図25は、本発明の一実施形態による、船舶の遠隔機器監視のための方法600のステップを示す概略図である。
【0232】
ステップ601において、舶用電子機器107からのメッセージが機器診断装置103によって受信される。各メッセージは、船舶101上の1又は複数の舶用電子機器107を識別するための識別データと、機器診断装置103と舶用電子機器107との間で通信を行うための警報状態データとを含んでいる。さらに、各メッセージは船舶101上の舶用電子機器107の故障を示すNMEA0183メッセージを含んでいる。さらに、各メッセージを解析して識別データ及び警報状態データを取得することができる。
【0233】
ステップ603において、識別データ及び警報状態データに基づいて、舶用電子機器107の故障が判定され得る。図11に示されるメッセージ300cは、識別データ及び警報状態データを指定する複数のフィールドを含む例示的なメッセージである。
【0234】
そのために、方法600は第1のトリガー及び第2のトリガーを実行する。第1のトリガーは、舶用電子機器107から1又はそれ以上のメッセージを受信するためのバックグラウンドプロセスとして常に動作する。1つ以上のメッセージからの各メッセージは警報状態データを含んでいる。さらに、第1のトリガーは警報状態データを用いて現在の警報状態と以前の警報状態との比較に基づいてメッセージを処理する。第2のトリガーは舶用電子機器107からメッセージを受信するように、予定された時間間隔で動作する。第2のトリガーはメッセージを処理して、最後に(直近に)予定されたタイムスタンプと現在の予定されたタイムスタンプの間で警報状態データに変更があるかどうかをチェックする。
【0235】
ステップ605では、第1のトリガー及び第2のトリガーによるメッセージの処理に基づいて、舶用電子機器107の故障に関連する情報を含むメッセージを遠隔機器監視センター113に送信する。従って、方法600は、一つ以上の舶用電子機器107の故障が発生した場合にのみ関連情報のみを遠隔機器監視センター113に送信し、これにより資源の有効利用が確保される。
【0236】
従って、本発明の一実施形態は、機器診断装置103を使用して、船舶にある舶用電子機器107の遠隔機器監視を提供することができる。機器診断装置103は舶用電子機器107と通信しており、さらに、第1の衛星通信リンクを介して遠隔機器監視センター113に直接的に接続されている。直接的な通信は、船舶101における舶用電子機器107の故障に関連する正確なリアルタイム情報を提供し、これにより、遠隔機器監視センターは舶用電子機器の故障の原因を効果的に判定し、それに応じて対応する正確なトラブルシューティング指示を提供することができる。さらに、直接的な通信は、1又は複数の舶用電子機器107の障害のトラブルシューティングに必要な時間を短縮する可能性のある障害点を排除する。従って、本一実施形態によれば、船舶における1つ以上の装置の遠隔機器監視のための改善された方法をもたらす。
【0237】
以上説明した実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されており、多くのバリエーションに従う。本発明の思想或いは範囲から逸脱することなく、適用又は実施をカバーすることを意図した、種々の省略及び同等物の置換が考えられる。さらに、ここで使用される用語及び用語は説明の目的のためのものであり、限定的なものとみなすべきではないことは理解され得る。この説明の中で使用される見出しは、便宜のためだけのものであり、法的又は限定的な効果はない。
【0238】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、用語「例えば。」、並びに動詞「含む」、「有する」、「含む」、及びそれらの他の動詞形態は、1又は複数の構成要素又は他の項目のリストと併せて使用される場合、それぞれ、オープンエンドと解釈されるべきであり、これは、リストが他の追加の構成要素又は項目を除外するものとみなされるべきではないことを意味する。他の用語は、異なる解釈を必要とする文脈において使用されない限り、最も広い合理的な意味を用いて解釈されるべきである。
【0239】
遠隔機器監視及び支援システムのために提案されたハイブリッドアーキテクチャは、船主及び船舶管理会社に、船舶上のあらゆる種類の電子機器への直接アクセス及び制御を提供する。ハイブリッドアーキテクチャにより、遠隔機器監視及び支援システムは、船舶上に配置されたスマートデバイスを介して船舶に関する重要なデータを収集することができる。データはクラウドデータベースに転送されて保存され、ウェブポータルを通じて利用可能になる。
【0240】
船舶に搭載された電子機器の状態は陸上の遠隔機器監視センターで常時監視されており、異常が発生した場合には速やかに故障原因を分析し、修理の手配を行います。ハイブリッドアーキテクチャは、船内の電子機器をスマートデバイスに接続するモノのインターネット(IoT)と、電子機器の遠隔機器監視を可能にするウェブポータルにスマートデバイスをベースにしている。
【0241】
しかしながら、電子機器の効率的な遠隔機器監視を実施し、遠隔機器監視センターからリクエストされたときに正確なトラブルシューティング指示をより短時間で得るために、スマートデバイスは、遠隔機器監視センターと直接通信する必要がある。さらに、スマートデバイスは、関連する情報のみを遠隔機器監視センターに送信できる必要がある。これにより、スマートデバイスと遠隔機器監視センター間の衛星通信に提供される帯域幅をタイムリーにトラブルシューティングし、有効に利用することができる。
【0242】
本明細書に記載される本発明の多くの変更及び他の実施形態は、これらの発明が関係する当業者には、上記の説明及び関連する図面に示される教示の利益を有することが思い付くであろう。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。
【0243】
さらに、上述の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせに関連して本発明の一実施形態を説明しているが、要素及び/又は機能の異なる組み合わせが、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態によって提供され得ることを理解されたい。この点に関して、例えば、上述したものとは異なる要素及び/又は機能、ツール、ソフトウェア、及びサービスの組み合わせもまた、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載され得るように企図される。本明細書では特定の用語を使用するが、それらは、限定の目的ではなく、一般的かつ記述的な意味でのみ使用される。
【符号の説明】
【0244】
100 ハイブリッドアーキテクチャ
101 船舶(移動体)
103 機器診断装置
105 プラグイン
107 舶用電子機器(電子機器)
107a―107n 舶用電子機器
109 データベース
111 ゲートウェイデバイス
113 遠隔機器監視センター
115 IoTポータル
117 DWワークベンチ
119 DWコア
121 DWゲートウェイ
123 受信部
125 検出部
127 送信部
129 IoTハブ
131 イベントハブ
133 ファンクション部
135 コスモスデータベース
137 構成管理データベース(CMDB)
141 アプリケーションゲートウェイ
201 MQTTフロントエンド
203 接続性管理部
205 デバイス管理部
207 IoT管理ポータル
209 IoTプラットフォームM2MサービスAPI
301a―n 通信衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25