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特開2022-71847絶縁リボンケーブルに接触するための圧接コンタクト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071847
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】絶縁リボンケーブルに接触するための圧接コンタクト
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/2441 20180101AFI20220509BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20220509BHJP
【FI】
H01R4/2441
H01R12/77
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021173565
(22)【出願日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】20204434.3
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503168201
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ネーデルランド ビーヴイ
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Nederland BV
【住所又は居所原語表記】Rietveldenweg 32,NL-5222 AR’s-Hertogenbosch,The NETHERLANDS,
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ディルク イエーガー
【テーマコード(参考)】
5E012
5E223
【Fターム(参考)】
5E012AA03
5E012AA32
5E223AB01
5E223AB21
5E223AB54
5E223BA04
5E223BB11
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB39
5E223CB53
5E223CC13
5E223CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】絶縁リボンケーブルの導体線の確実で安全な接触を可能にする、小型の圧接コンタクトを提供する。
【解決手段】絶縁リボンケーブルに接触するための圧接コンタクトに関し、圧接コンタクトは管状体2を備え、管状体は少なくとも2つの別個の刃先を含む開口端に向かって長手方向軸L2に沿って延び、管状体の対向する側面に、スロット12、14が形成されている。対向する側面のうちの一方の側面のスロット12は接触スロット16として形成され、対向する側面のうちの他方の側面スロット14は位置決めスロット18として形成され、接触スロットの内法が位置決めスロットの内法よりも小さい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁リボンケーブル(48)の導体線(52)に接触するための圧接コンタクト(1)であって、
前記圧接コンタクト(1)は管状体(2)を有し、前記管状体(2)は、少なくとも2つの別個の刃先(6)を含む開口端(4)に向かって長手方向軸(L)に沿って延び、
前記管状体(2)の対向する側面(8、10)に、前記開口端(4)まで延びるスロット(12、14)が設けられ、前記スロット(12、14)は前記少なくとも2つの刃先(6)の間に位置し、
前記対向する側面のうちの一方の側面(8)の前記スロット(12)は接触スロット(16)として形成され、前記対向する側面のうちの他方の側面(10)の前記スロット(14)は位置決めスロット(18)として形成され、前記接触スロット(16)の内法(19)が前記位置決めスロット(18)の内法(21)よりも小さい、
圧接コンタクト(1)。
【請求項2】
前記接触スロット(16)は前記開口端(4)と反対側の第1の端部(26)を有し、
前記位置決めスロット(18)は前記開口端(4)と反対側の第2の端部(28)を有し、
前記第1の端部(26)と前記第2の端部(28)とは前記長手方向軸(L)に沿って互いにずれている、
請求項1に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項3】
前記第1の端部(26)は、前記第2の端部(28)よりも前記開口端(4)からさらに離間している、
請求項2に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項4】
前記接触スロット(16)と前記位置決めスロット(18)とは互いに位置合わせされている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの刃先(6)が非対称であり、
前記少なくとも1つの刃先(6)は前記長手方向軸(L)に沿って半径方向内方に先細になっている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項6】
前記接触スロット(16)と前記位置決めスロット(18)とは前記刃先(6)に向かって広がっている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項7】
前記接触スロット(16)と前記位置決めスロット(18)とは、それぞれの前記側面(8、10)に偏心して配置されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項8】
前記管状体(2)は、前記長手方向軸(L)に沿って延びるスリット(36)を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項9】
前記スリット(36)と前記位置決めスロット(18)とは、前記長手方向軸(L)に沿って互いに位置合わせされている、
請求項8に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項10】
前記スリット(36)は、前記開口端(4)の反対側で前記位置決めスロット(18)に開口している、
請求項8または9に記載の圧接コンタクト(1)。
【請求項11】
長手方向軸(L2)に沿って互いに平行に延びる複数の導体線(50)を有する絶縁リボンケーブル(48)を備えるコネクタアセンブリ(46)であって、
少なくとも2つの隣接する導体線(52)が所定のピッチ(54)で互いに横方向に離間し、
前記コネクタアセンブリ(46)は、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも2つの圧接コンタクト(1)をさらに備え、
前記少なくとも2つの圧接コンタクト(1)は、前記所定のピッチ(54)よりも大きいピッチ(58)で互いに横方向に離間している、
コネクタアセンブリ(46)。
【請求項12】
請求項11に記載のコネクタアセンブリ(46)、または長手方向軸(L2)に沿って互いに平行に延びる複数の導体線(50)を有する絶縁リボンケーブル(48)を備えるコネクタアセンブリ(46)であって、
少なくとも2つの隣接する導体線(52)が所定のピッチ(54)で互いに横方向に離間し、
前記コネクタアセンブリ(46)は、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの圧接コンタクト(1)をさらに備え、
前記少なくとも1つの圧接コンタクト(1)のスロット(12、14)と対応する前記導体線(52)とは互いに横方向にずれている、
コネクタアセンブリ(46)。
【請求項13】
少なくとも2つの圧接コンタクト(1)が設けられ、
前記少なくとも2つの圧接コンタクト(1)は、前記絶縁リボンケーブル(48)の前記長手方向軸(L2)に沿って互いにずれている、
請求項11または12に記載のコネクタアセンブリ(46)。
【請求項14】
少なくとも対応する前記導体線(52)に接触する前に、前記位置決めスロット(18)の側縁部(62)が、前記隣接する導体線(52)に面した対応する前記導体線(52)の側縁部(64)に位置合わせされている、
請求項11から13のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ(46)。
【請求項15】
長手方向軸(L2)に沿って互いに平行に延びる複数の導体線(50)を有する絶縁リボンケーブル(48)に接触するための電気コネクタ(66)であって、
少なくとも2つの隣接する導体線(52)が所定のピッチ(54)で互いに横方向に離間し、
前記電気コネクタ(66)は、コンタクトアセンブリ(68)と、前記コンタクトアセンブリ(68)に取り付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも2つの圧接コンタクト(1)とを備え、
前記少なくとも2つの圧接コンタクト(1)は、前記所定のピッチ(54)よりも大きいピッチ(58)で互いに横方向に離間している、
電気コネクタ(66)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁リボンケーブルの導体に接触するための圧接コンタクト(insulation displacement contact)に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁リボンケーブルは、一般的に、互いに平行に延びる複数の導体線を含む。導体線は、導体線間の短絡を防ぐために、互いに離間している。単一の導体線に接触するために、圧接コンタクトが使用され、圧接コンタクトは、絶縁体を貫通するための刃先を含み、導体線を接触スロット内に受け入れる。圧接コンタクトは、導体線に確実に接触するために、十分な垂直力(normal force)を提供するように構成される必要がある。このために、現況技術で知られている圧接コンタクトは、導体線に垂直な大きい幅を有する。
【0003】
しかしながら、絶縁リボンケーブルは小型化に向かう傾向にあり、例えば、シグナルインテグリティ要件により、比較的大きい直径を有する最近の導体線は、小さいピッチで互いに隣接して、すなわち互いに近接して配置されるようになっている。しかしながら、現在の圧接コンタクトは、短絡を防ぐために隣接する導体線から安全に離間しつつ、十分な垂直力で1本の導体線に接触することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、絶縁リボンケーブルの導体線の確実で安全な接触を可能にする、小型の圧接コンタクトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、絶縁リボンケーブルの導体線に接触するための本発明の圧接コンタクトによって解決される。圧接コンタクトは管状体(tubular body)を有し、管状体は、少なくとも2つの別個の刃先を含む開口端に向かって長手方向軸に沿って延びる。管状体の対向する側面に、開口端まで延びるスロットが設けられ、これらのスロットは刃先の間に位置する。対向する側面のうちの一方の側面のスロットは接触スロットとして形成され、対向する側面のうちの他方の側面のスロットは位置決めスロットとして形成され、接触スロットは位置決めスロットよりも小さい内法を有する。
【0006】
本発明の解決策によれば、管状体の湾曲部によって接触垂直力(contacting normal force)が増加する。同時に、圧接コンタクトの全幅を減少させることができるため、隣接する導体線との接触が避けられる。さらに、位置決めスロットを接触スロットに対向して設け、位置決めスロットが接触スロットよりも大きい内法を有することにより、接触スロットのみが導体線に接触することが保証される。垂直力は2つの別個の接触スロットに配分されない。さらに、位置決めスロットの縁部が導体線にひずみを加えすぎることなく、導体線を位置決めスロットにおいて支持することができる。したがって、本発明の圧接コンタクトは、少なくとも導体線に接触する部分で、導体線に損傷を与えることなく導体線を押し離すことができる。
【0007】
本発明は、それぞれの技術的効果に関して互いに独立し、任意に組み合わせることのできる以下の特徴によってさらに改良することができる。
【0008】
スロットの内法は、それぞれの側面に基本的に平行に、かつ管状体の長手方向軸に基本的に垂直に延びていてよい。
【0009】
「管状(tubular)」という用語は、長手方向軸に基本的に垂直な円形断面に限定されるものと解釈すべきではないことに留意されたい。管状体は、代わりに、例えば、長手方向軸に基本的に垂直な多角形断面を有することができる。特に有利な実施形態によれば、管状体は、長手方向軸に基本的に垂直な、基本的に四辺形、より詳細には矩形またはさらには正方形の断面を含むことができる。この場合、側面を互いに接続する管状体の急な湾曲部によって、管状体の剛性をさらに強化することができる。したがって、接触スロットにおいて導体線に接触するための垂直力をさらに増加させることができる。
【0010】
特に、接触スロットと位置決めスロットとは開口端に向かって開いて、導体線を圧接コンタクトの長手方向軸に沿って対応するスロットに容易に挿入できるようにすることができる。
【0011】
接触スロットは、開口端と反対側の第1の端部を含むことができ、位置決めスロットは第1の端部と反対側の第2の端部を含むことができ、第1の端部と第2の端部とは長手方向軸に沿って互いにずれることができると好ましい。特に、第1の端部は、第2の端部よりも開口端からさらに離れていてよい。言い換えると、接触スロットは第1の深さを有することができ、位置決めスロットは第2の深さを有することができ、第1の深さは第2の深さよりも大きい。したがって、接触スロットにおいて導体線に接触するときに、第2の端部は導体線の支持体として機能することができる。接触プロセス中、導体線は、通常、接触スロットの第1の端部まで押されることはない。むしろ、導体線は、開口端と第1の端部との間の中間部分に保持される。したがって、導体線に接触するときに、第2の端部が導体線の座部として機能するように構成されるよう、第2の端部を位置決めすることができる。
【0012】
管状体の開口端は、長手方向軸に垂直な断面において平面であってよい。この場合、刃先は長手方向軸に沿って同じ高さに配置されているため、絶縁リボンケーブルの絶縁体を同時に切断する。したがって、絶縁体への切断力の均等な力配分が実現される。
【0013】
導体線を圧接コンタクトにまっすぐに通すために、接触スロットと位置決めスロットとを互いに位置合わせすることができる。特に、長手方向軸に基本的に垂直な、接触スロットの中央線と位置決めスロットの中央線とを位置合わせすることができる。したがって、位置決めスロットと接触スロットとの間の導体線に曲げひずみが加わることがない。
【0014】
特に有利な実施形態によれば、少なくとも1つの刃先が非対称であってよく、少なくとも1つの刃先は長手方向軸に沿って半径方向内方に先細になっている。本実施形態において、前記刃先が貫通する絶縁体は管状体に押し込まれない。むしろ、絶縁体は隣接する導体線に向かって外方に押される。したがって、絶縁体の大部分を圧接コンタクトと隣接する導体線との間に配置することができ、これにより、圧接コンタクトが隣接する導体線に接触して、場合によっては短絡を引き起こすことをさらに防ぐことができる。
【0015】
刃先は、特に単一のベベルを含むことができ、管状体の内面は、長手方向軸に基本的に平行に刃先まで連続してまっすぐに延びることができる。
【0016】
刃先は約30°のベベル角度(bevel angle)を含むことができ、刃先が、一方で、過度の力を必要とすることなく絶縁体を切断するのに十分鋭利であり、他方で、圧接コンタクトと隣接する導体線との間で絶縁体を基本的に半径方向外方に案内するための案内斜面を形成するようになっていることが好ましい。
【0017】
一方の刃先を隣接する導体線の近位に配置することができ、他方の刃先を、導体線の長手方向軸に基本的に垂直な方向で、隣接する導体線の遠位に配置することができる。短絡の危険をさらに減らすために、少なくとも隣接する導体線の近位にある刃先が非対称であってよい。
【0018】
さらに有利な実施形態によれば、スロットは刃先に向かって広がっていてよい。したがって、導体線をそれぞれのスロットに向かって、より詳細にはそれぞれのスロットの中央線に向かって案内するための入口ガイドを形成することができる。一実施形態において、スロットは、別個の刃先に向かって、ここでは少なくとも隣接する導体線の近位に配置されている刃先に向かって、非対称に広がっていてもよく、斜面は、導体線をそれぞれのスロットに向かって緩やかに案内するように構成されていてもよい。
【0019】
面取り部がそれぞれのスロットから刃先まで延びることができ、面取り部は斜面を有し、この斜面に沿って、導体線が滑ることができ、それぞれのスロットに向けられる。代替としてまたは追加として、例えば角丸の形状の移行ゾーンをスロットと刃先との間に設けることができる。これは、鋭利な角部による導体線の損傷を防ぐことができるため、特に有利であり得る。
【0020】
導体線を隣接する導体線からさらに変位させるために、スロットを対応する側面に偏心して配置することができ、これは、接触スロットの中央線を、接触スロットを特徴とする管状体の長手方向軸に基本的に平行な側面の中央線から横方向にずらすことができ、位置決めスロットの中央線を、位置決めスロットを担持する管状体の長手方向軸に基本的に平行な側面の中央線から横方向にずらすことができることを意味する。スロットが、他方の刃先よりも一方の刃先からさらに離れていてもよく、より詳細には、スロットを、近位の刃先よりも遠位の刃先に近接して配置することができると好ましい。したがって、絶縁リボンケーブルに接触するときに、圧接コンタクトの全幅を増加させる必要なく、対応する導体線を、導体線の長手方向軸に基本的に垂直にさらに変位させることができる。
【0021】
対応する導体線に接触するときに、圧接コンタクトは高い機械的応力を受けるため、特に長期使用を考慮すると、圧接コンタクトの過大応力または大きい永久変形および故障が生じるおそれがある。したがって、管状体は、長手方向軸に基本的に平行に延びるスリットを含むことができる。スリットは、管状体を周方向に分割することができる。
【0022】
スリットと位置決めスロットとを同じ側面に配置し、したがって、位置決めスロットの広がりによって圧接コンタクトの応力を軽減することができると好ましい。
【0023】
スリットと位置決めスロットとを、特に長手方向軸に沿って互いに位置合わせすることができる。例えば、スリットは、開口端の反対側で位置決めスロットに開口することができる。したがって、スリットを設けると、導体線を接触させ得る垂直力に与える影響が小さくなる。しかしながら、スリットを接触スロットと同じ側面に配置すると、接触垂直力(contacting normal force)が大幅に低下するため、導体線に十分に接触しないというリスクがある。
【0024】
さらに有利な実施形態において、圧接コンタクトを打抜き曲げ部品として形成することができる。特に、スリットを設けることにより、周方向に沿った2つの対向する端部の困難かつ費用のかかる接合を防ぐことができるため、圧接コンタクトの特に容易な製造が可能になる。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、複数の導体線を有する絶縁リボンケーブルを備え、少なくとも2つの隣接する導体線が所定のピッチで互いに対して横方向に離間している、コネクタアセンブリを提供することができる。コネクタアセンブリは、上記実施形態のいずれか1つに記載の、少なくとも2つの隣接する導体線に接触するための少なくとも2つの圧接コンタクトをさらに備えることができ、少なくとも2つの圧接コンタクトは、所定のピッチよりも大きいピッチで互いに横方向に離間している。
【0026】
代替としてまたは追加として、複数の導体線を有する絶縁リボンケーブルを備え、少なくとも2つの隣接する導体線が所定のピッチで互いに対して横方向に離間している、コネクタアセンブリを提供することができる。コネクタアセンブリは、少なくとも2つの隣接する導体線のうちの1つに接触するための少なくとも1つの圧接コンタクトをさらに備えることができ、少なくとも1つの圧接コンタクトは、対応する導体線から横方向にずれている。
【0027】
管状体の長手方向軸に基本的に垂直かつ導体線の長手方向軸に基本的に平行な圧接コンタクトの中央線が、導体線の中央線から横方向にずれることができると好ましい。
【0028】
コネクタアセンブリについての上記の選択肢に関し、対応する導体線は、接触スロットに入るときに圧接コンタクトに接触すると、横方向に変位する。したがって、隣接する導体線までの導体線の距離は、少なくとも圧接コンタクトが導体線に接触する部分で増加する。これは、導体線間の空間がより大きいと、圧接コンタクトが隣接する導体線に接触するリスクがさらに減るため、特に有利であり得る。
【0029】
隣接する導体線は、約1.2mmのピッチで互いに離間していてよく、導体線は比較的大きい導体サイズを有することができる。導体線を標準化することができ、例えば、導体線は24以下のアメリカンワイヤゲージ(AWG:American Wire Gauge)を有することができる。
【0030】
短絡のリスクをさらに減らすために、少なくとも2つの圧接コンタクトは、導体線の長手方向軸に基本的に平行な方向で互いにずれていてもよい。したがって、2つの圧接コンタクトは、導体線の長手方向軸に基本的に垂直な単一の平面に配置されず、これにより、さらに小さい所定のピッチで互いに対して配置されている導体線に接触することが可能になる。
【0031】
対応する導体線に接触する前に、位置決めスロットの側縁部、好ましくは入口ガイドを、隣接する導体線に面した導体線の側縁部に位置合わせすることができると好ましい。したがって、接触中、導体線は入口ガイドに沿ってスロット内へ滑り、導体線の接触部分が隣接する導体線から離れて横方向に変位することを保証することができる。
【0032】
所定のピッチで互いに横方向に離間している少なくとも2つの隣接する導体線を有する絶縁リボンケーブルに接触するための電気コネクタであって、コンタクトアセンブリと、上記実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも2つの圧接コンタクトとを備える電気コネクタを提供することができる。少なくとも2つの圧接コンタクトをコンタクトアセンブリに取り付けることができ、少なくとも2つの圧接コンタクトは、所定のピッチよりも大きいピッチで互いに対して横方向に離間することができる。コンタクトアセンブリは、圧接コンタクトを取り付けることのできる回路基板、特にプリント回路基板などの任意の種類の導体であってよい。したがって、絶縁リボンケーブルは、終端時に圧接コンタクトを介してコンタクトアセンブリに電気的に結合される。
【0033】
代替としてまたは追加として、所定のピッチで互いに横方向に離間している少なくとも2つの隣接する導体線を有する絶縁リボンケーブルに接触するための電気コネクタを提供することができる。電気コネクタは、導体線の長手方向軸に基本的に平行に延びる中央線を有する少なくとも1つの圧接コンタクトを備えることができ、圧接コンタクトの中央線は導体線の長手方向軸に対して横方向にずれている。
【0034】
以下で、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態について説明する。図示し説明する実施形態は、例示のためのものに過ぎない。実施形態に示す特徴の組合せを、上記の説明に従って変更することができる。例えば、実施形態に示さないが上記した特徴を、この特徴に関連する技術的効果が特定の適用に有利であれば追加することができ、逆も同様である(実施形態の一部として示す特徴を、この特徴に関連する技術的効果が特定の適用に必要でなければ、上記のように省略することができる)。
【0035】
図面において、機能および/または構造に関して互いに対応する要素は同じ参照符号で示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による圧接コンタクトの例示的な実施形態の概略斜視図である。
図2図1に示す例示的な実施形態の概略側面図である。
図3図1および図2に示す例示的な実施形態のさらなる概略側面図である。
図4図1図3に示す圧接コンタクトの切刃の拡大図である。
図5】コネクタアセンブリの例示的な実施形態の概略斜視図である。
図6図5に示すコネクタアセンブリの例示的な実施形態の一部の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
最初に、図1図4に示す例示的な実施形態を参照しながら、圧接コンタクト1の構造について説明する。
【0038】
圧接コンタクト1は管状体2を備え、管状体2は、少なくとも2つの別個の刃先6を含む開口端4に向かって長手方向軸Lに沿って延び、管状体2の対向する側面8、10に、スロット12、14が形成されている。対向する側面のうちの一方の側面8のスロット12は接触スロット16として形成され、対向する側面のうちの他方の側面10のスロット14は位置決めスロット18として形成され、接触スロット16の内法(clear width)19は位置決めスロット18の内法(clear width)21よりも小さい。
【0039】
管状体2に湾曲部を設けることにより、接触スロット16において導体線に接触するための垂直力を増加させ、同時に圧接コンタクト1の全幅を減少させることができる。位置決めスロット18が接触スロット16よりも大きい内法21を含むため、十分な垂直力が、接触スロット16にもたらされ、同じ内法を有する2つの接触スロットに均等に配分されないことを保証することができる。
【0040】
図1に見られるように、管状体2は、長手方向軸Lに基本的に垂直な平面に四辺形の断面を特に含むことができる。したがって、管状体2は4つの湾曲縁部20を含み、縁部20の各々が、圧接コンタクト1の剛性をさらに高め、したがって垂直力を増加させる。
【0041】
接触スロット16と位置決めスロット18とは、開口端4に向かって開いて、導体線を対応するスロットにおいて圧接コンタクトの長手方向軸に沿って容易に挿入できるようにすることができる。
【0042】
図2および図3は各々、圧接コンタクト1の側面図であり、図2は接触スロット16を有する側面8側の図であり、図3は位置決めスロット18を有する側面10側の図である。
【0043】
接触スロット16が長手方向軸Lに基本的に平行な第1の深さ22を含むことができ、位置決めスロット18が長手方向軸Lに基本的に平行な第2の深さ24を含むことができると好ましい。長手方向軸Lに沿った同じ高さから始まって、第1の深さ22は第2の深さ24よりも大きくてよい。したがって、接触スロット16は、位置決めスロット18の第2の端部28よりも開口端4からさらに離れている第1の端部26を含むことができる。
【0044】
したがって、接触スロット16において導体線に接触するときに、第2の端部28は導体線の支持体として機能することができる。接触プロセス中、導体線は、通常、接触スロット16の第1の端部まで押されることはない。むしろ、導体線は、開口端4と第1の端部26との間の中間部分に保持される。したがって、導体線に接触するときに、第2の端部28が導体線の座部として機能するように構成されるよう、第2の端部28を位置決めすることができる。
【0045】
導体線を圧接コンタクト1にまっすぐに通すために、接触スロット16と位置決めスロット18とを互いに位置合わせすることができる。特に、長手方向軸Lに基本的に垂直な、接触スロット16の中央線と位置決めスロット18の中央線とを位置合わせすることができる。したがって、位置決めスロット18と接触スロット16との間の導体線に曲げひずみが加わることがない。
【0046】
図2および図3に示すように、スロット12、14は、刃先6に向かって広がり、導体線をそれぞれのスロット12、14に向かって、より詳細にはそれぞれのスロットの中央線に向かって案内するための入口ガイド30を形成することができる。本実施形態において、スロット12、14はそれぞれの側面8、10の中央に配置され、スロット12、14は刃先6に対して対称に広がることができる。
【0047】
例えば角丸(rounded corner)34の形状の移行ゾーン32をスロットと刃先6との間に設けることができる。これは、鋭利な角部による導体線への損傷を防ぐことができるため、特に有利であり得る。
【0048】
対応する導体線に接触するときに、圧接コンタクト1は高い機械的応力を受けるため、特に長期使用を考慮すると、圧接コンタクト1の大きい永久塑性変形および故障が生じるおそれがある。管状体2は、長手方向軸Lに基本的に平行に延びて管状体2を周方向に分割するスリット36を含むことができる(図3参照)。
【0049】
例示的な本実施形態において、スリット36と位置決めスロット18とが同じ側面10に配置され、したがって、圧接コンタクト1にひずみを加えすぎることなく、スリット36によって位置決めスロット18の広がりが可能になる。
【0050】
スリット36と位置決めスロット18とは、長手方向軸Lに沿って互いに位置合わせされ、スリット36は開口端4の反対側で位置決めスロット18に開口している。したがって、スリット36を設けると、導体線を接触させ得る垂直力に与える影響が小さくなる。
【0051】
圧接コンタクト1を打抜き曲げ部品として形成することができると好ましい。特に、スリット36を設けることにより、周方向に沿った2つの対向する端部の困難かつ費用のかかる接合を防ぐことができるため、圧接コンタクト1の特に容易な製造が可能になる。圧接コンタクトをブランクから形成することができ、接触スロット16をベースに配置することができ、位置決めスロット18およびスリット36を含む側面10を2つのフランクから形成することができる。これら2つのフランクは、ベースの対向する面から延びて曲げられ、管状体が形成され、フランクの自由端部が互いに対向し、各自由端部が位置決めスロット18およびスリット36の停止部を形成するようになっている。
【0052】
図4を参照して、刃先6の構造についてより詳細に説明する。
【0053】
図4は、図3において囲まれた部分の拡大図である。
【0054】
刃先6は非対称であってよく、少なくとも1つの刃先6は長手方向軸Lに沿って半径方向内方に先細になっている。本実施形態において、前記刃先6が貫通する絶縁体は、両面切刃の場合のように、管状体2に押し込まれない。むしろ、絶縁体は隣接する導体線に向かって外方に押される。したがって、絶縁体の大部分を圧接コンタクト1と隣接する導体線との間に配置することができ、これにより、圧接コンタクト1が隣接する導体線に接触して、場合によっては短絡を引き起こすことをさらに防ぐことができる。
【0055】
刃先6は、特に単一のベベル38を含むことができ、管状体2の内面40は、長手方向軸Lに基本的に平行に刃先6まで連続してまっすぐに延びることができる。
【0056】
刃先6は約30°のベベル角度42を含むことができ、刃先6が、一方で、過度の力を必要とすることなく絶縁体を切断するのに十分鋭利であり、他方で、圧接コンタクト1と隣接する導体線との間で絶縁体を基本的に半径方向外方に案内するための案内斜面44を形成するようになっていることが好ましい。
【0057】
本実施形態において、各刃先6が単一のベベル38を含み、スロット12、14がそれぞれの側面の中央に配置されている、対称の圧接コンタクト1が示されている。しかしながら、スロット12、14が他方の刃先6よりも一方の刃先6からさらに離れている、非対称の圧接コンタクト1を設けてもよい(図示せず)。その実施形態においては、圧接コンタクト1のサイズを増加させることなく、導体線を横方向にさらに変位させることができる。
【0058】
以下で、図5および図6に関して、コネクタアセンブリ46の例示的な実施形態についてさらに説明する。図5はコネクタアセンブリ46の概略斜視図であり、図6はコネクタアセンブリ46の簡略化した概略上面図である。
【0059】
コネクタアセンブリ46は、複数の導体線50を有する絶縁リボンケーブル48を含む。少なくとも2つの隣接する導体線52は、所定のピッチ54で互いに対して離間している。絶縁リボンケーブル48は長手方向軸L2に沿って延びることができ、複数の導体線50を互いに平行に配置し、絶縁体56によって互いに分離させて、導体線52間の直接の接触を防ぐことができる。少なくとも2つの隣接する導体線52は、複数の導体線50の各対のうちの、最も小さいピッチを有する導体線として規定される。所定のピッチ54は、例えば約1.2mmであってよく、複数の導体撚線から構成され得る導体線50は、AWG24導体などの比較的大きい導体サイズを有することができる。特にこれらの寸法について、隣接する導体線に当接することなく、場合によっては短絡を引き起こすことなく、導体線50に接触することができる圧接コンタクトを提供しようと努力している。
【0060】
このために、コネクタアセンブリ46は、少なくとも2つの隣接する導体線52に接触するための、上記実施形態による少なくとも2つの圧接コンタクト1をさらに備えることができ、少なくとも2つの圧接コンタクト1は、所定のピッチ54よりも大きいピッチ58で互いに横方向に離間している。ピッチ58は、圧接コンタクト1の長手方向軸Lおよび絶縁リボンケーブル48の長手方向軸L2に基本的に垂直な方向の距離として規定される。
【0061】
代替としてまたは追加として、少なくとも1つの圧接コンタクト1は、対応する導体線52から横方向にずれていてもよい。
【0062】
管状体2の長手方向軸Lに基本的に垂直かつ導体線の長手方向軸L2に基本的に平行な圧接コンタクト1、特にスロット12、14の中央線が、導体線の中央線から横方向にずれることができると好ましい。
【0063】
したがって、対応する導体線52は、位置決めスロット18および接触スロット16に入るために、圧接コンタクト1に接触すると、横方向に変位する。したがって、隣接する導体線52までの導体線52の距離は、少なくとも導体線52が圧接コンタクト1によって保持される部分60で増加する。これは、導体線間の空間がより大きいと、圧接コンタクト1が隣接する導体線に接触するリスクがさらに減るため、特に有利であり得る。
【0064】
短絡のリスクをさらに減らすために、少なくとも2つの圧接コンタクト1は、導体線50の長手方向軸L2に基本的に平行な方向で互いにずれていてもよい。したがって、少なくとも2つの圧接コンタクト1は、導体線50の長手方向軸L2に基本的に垂直な単一の平面に配置されず、これにより、さらに小さい所定のピッチで互いに対して配置されている導体線52に接触することが可能になる。
【0065】
対応する導体線に接触する前に、位置決めスロットの側縁部62、好ましくは入口ガイド30を、隣接する導体線52に面した導体線52の側縁部64に位置合わせすることができると好ましい。したがって、接触中、導体線52は入口ガイド30に沿ってスロット14内へ滑り、導体線52の接触部分60が隣接する導体線52から離れて横方向に変位することを保証することができる。
【0066】
少なくとも2つの圧接コンタクト1は、少なくとも2つの圧接コンタクト1が取り付けられるコンタクトアセンブリ68を備える電気コネクタ66の一部であってよく、少なくとも1つの圧接コンタクト1は、対応する導体線52の中央線から横方向にずれ、かつ/または少なくとも2つの圧接コンタクト1間のピッチ58は所定のピッチ54よりも大きくてよい。
【符号の説明】
【0067】
1 圧接コンタクト
2 管状体
4 開口端
6 刃先
8 側面
10 側面
12 スロット
14 スロット
16 接触スロット
18 位置決めスロット
19 内法
20 湾曲縁部
21 内法
22 第1の深さ
24 第2の深さ
26 第1の端部
28 第2の端部
30 入口ガイド
32 移行ゾーン
34 角丸
36 スリット
38 単一のベベル
40 内面
42 ベベル角度
44 案内斜面
46 コネクタアセンブリ
48 リボンケーブル
50 導体線
52 隣接する導体線
54 所定のピッチ
56 絶縁体
58 ピッチ
60 部分
62 側縁部
64 側縁部
66 電気コネクタ
68 コンタクトアセンブリ
L 管状体の長手方向軸
L2 絶縁リボンケーブルの長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】