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特開2022-71855資金交付システム、装置、プログラム、及び方法
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  • 特開-資金交付システム、装置、プログラム、及び方法 図1A
  • 特開-資金交付システム、装置、プログラム、及び方法 図1B
  • 特開-資金交付システム、装置、プログラム、及び方法 図2A
  • 特開-資金交付システム、装置、プログラム、及び方法 図2B
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  • 特開-資金交付システム、装置、プログラム、及び方法 図11B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071855
(43)【公開日】2022-05-16
(54)【発明の名称】資金交付システム、装置、プログラム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220509BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20220509BHJP
   G06Q 40/00 20120101ALI20220509BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q20/38
G06Q40/00 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175041
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020180915
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517420522
【氏名又は名称】きらぼしテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100210675
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 潤
(74)【代理人】
【識別番号】230108442
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 明夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】今井 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 耕
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L055AA71
5L055BB65
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所定の企業で働く従業員への資金交付支援システム、装置、プログラム及び方法を提供する。
【解決手段】企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付する資金交付システムであって、従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力するインターフェイスと、属性データ及び勤怠データに基づいて給与データを算出又は抽出し、給与データ及び交付希望金額データから従業員への資金交付実行の可否を判断し、資金交付実行が可能であると判断した場合、資金交付実行データを作成して、交付可能金額を従業員の口座への振込処理を実行し、資金交付実行データを企業へ送信する処理装置を備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力する手段を備え、
前記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記交付希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する手段を備える、
資金交付システム。
【請求項2】
企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータおよび企業コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力する手段を備え、
前記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する手段を備え、
前記企業コンピュータは、前記資金交付コンピュータとデータ送受信可能なように接続され、インターフェイス、記憶装置、および処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記資金交付実行データを受信して入力する手段を備え、
前記記憶装置は、前記資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルと、前記従業員の給与データを格納する従業員給与データ管理ファイルと、を備え、
前記処理装置は、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして、前記資金交付実行データから、資金交付業者から交付された資金額を抽出し、所定のタイミングで前記交付された資金額を前記資金交付業者へ振込む処理を実効し、前記従業員給与データ管理ファイルにアクセスして、前記従業員の給与データに前記資金交付実行データで特定される交付資金額を差し引いて前記従業員の給与データを更新する手段を備える、資金交付システム。
【請求項3】
前記企業が、フランチャイズ契約を交わす加盟店を複数有し、前記従業員が前記加盟店で働く従業員である、請求項1または2に記載の、資金交付システム。
【請求項4】
前記企業コンピュータにおいて、
前記インターフェイスがさらに前記加盟店の売上額データを入力し、
前記記憶装置がさらに前記加盟店の売上額データおよび経費データを格納する加盟店データ管理ファイルを備え、
前記処理装置がさらに前記加盟店データ管理ファイルにアクセスして、前記売上額データから売上額を抽出し、前記経費データにアクセスして経費を抽出し、前記売上額から前記経費を差し引いた金額を算出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記資金交付実行データで特定される交付資金額を算出し、前記売上額から前記経費および前記交付資金額を差引いて利益額データとして、前記加盟店データ管理ファイルを更新し、前記資金交付業者に前記利益額データに基づく金額について振込依頼を実行する、請求項3に記載の、資金交付システム。
【請求項5】
前記企業コンピュータにおいて、
前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店毎に設定されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の、資金交付システム。
【請求項6】
前記企業コンピュータにおいて、
前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店のオーナー毎に設定されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の、資金交付システム。
【請求項7】
企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムを実行するためのプログラムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータのプロセッサに、
前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行履歴データを入力するステップと、
前記属性データおよび前記勤怠データを労働データ管理ファイルに格納し、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを給与データ管理ファイルに格納し、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを資金交付データ管理ファイルに格納する、ステップと、
前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、資金交付実行履歴データを作成して前記企業へ送信する、ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項8】
企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータおよび企業コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータのプロセッサに、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行履歴データを入力するステップと、
前記属性データおよび前記勤怠データを労働データ管理ファイルに格納し、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを給与データ管理ファイルに格納し、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを資金交付データ管理ファイルに格納する、ステップと、
前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、資金交付実行履歴データを作成して前記企業へ送信する、ステップとを実行させ、
前記企業コンピュータのプロセッサに、
前記資金交付データを入力するステップと、
前記記憶装置は、前記資金交付データを資金交付ファイルに格納し、前記従業員の給与データを従業員給与データ管理ファイルに格納する、ステップと、
前記資金交付ファイルにアクセスして、前記資金交付データから、資金交付業者から交付された資金額を抽出し、所定のタイミングで前記交付された資金額を前記資金交付業者へ振込む処理を実効し、前記従業員給与データ管理ファイルにアクセスして、前記従業員の給与データに前記資金交付データで特定される交付資金額を差し引いて前記従業員の給与データを更新する、ステップと、を実行させプログラム。
【請求項9】
前記企業が、フランチャイズ契約を交わす加盟店を複数有し、前記従業員が前記加盟店で働く従業員である、請求項7または8に記載の、プログラム。
【請求項10】
前記企業コンピュータにおいて、
前記インターフェイスがさらに前記加盟店の売上金額データを入力するステップ、
前記記憶装置がさらに前記加盟店の売上額データおよび経費データを加盟店データ管理ファイルに格納するステップ、
前記処理装置がさらに前記加盟店データ管理ファイルにアクセスして、前記売上額データから売上額を抽出し、前記経費データにアクセスして経費を抽出し、前記売上額から前記経費を差し引いた金額を算出して、利益額データとして、前記加盟店データ管理ファイルを更新し、前記資金交付業者に振込依頼を実行する、ステップと、を実行するプログラム。
【請求項11】
前記企業コンピュータにおいて、
前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店毎に設定されている、請求項7~10のいずれか1項に記載の、プログラム。
【請求項12】
前記企業コンピュータにおいて、
前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店のオーナー毎に設定されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の、プログラム。
【請求項13】
企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力し、
前記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記交付希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する、資金交付方法。
【請求項14】
企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータおよび企業コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力する手段を備え、
前記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する手段を備え、
前記企業コンピュータは、前記資金交付コンピュータとデータ送受信可能なように接続され、インターフェイス、記憶装置、および処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記資金交付実行データを受信して入力し、
前記記憶装置は、前記資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルと、前記従業員の給与データを格納する従業員給与データ管理ファイルと、を備え、
前記処理装置は、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして、前記資金交付実行データから、資金交付業者から交付された資金額を抽出し、所定のタイミングで前記交付された資金額を前記資金交付業者へ振込む処理を実効し、前記従業員給与データ管理ファイルにアクセスして、前記従業員の給与データに前記資金交付実行データで特定される交付資金額を差し引いて前記従業員の給与データを更新する、資金交付方法。
【請求項15】
前記企業が、フランチャイズ契約を交わす加盟店を複数有し、前記従業員が前記加盟店で働く従業員である、請求項13または14に記載の、資金交付方法。
【請求項16】
前記企業コンピュータにおいて、
前記インターフェイスがさらに前記加盟店の売上額データを入力し、
前記記憶装置がさらに前記加盟店の売上額データおよび経費データを格納する加盟店データ管理ファイルを備え、
前記処理装置がさらに前記加盟店データ管理ファイルにアクセスして、前記売上額データから売上額を抽出し、前記経費データにアクセスして経費を抽出し、前記売上額から前記経費を差し引いた金額を算出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記資金交付実行データで特定される交付資金額を算出し、前記売上額から前記経費および前記交付資金額を差引いて利益額データとして、前記加盟店データ管理ファイルを更新し、前記資金交付業者に前記利益額データに基づく金額について振込依頼を実行する、請求項15に記載の、資金交付方法。
【請求項17】
前記企業コンピュータにおいて、
前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店毎に設定されている、請求項13~16のいずれか1項に記載の、資金交付方法。
【請求項18】
前記企業コンピュータにおいて、
前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店のオーナー毎に設定されている、請求項13~16のいずれか1項に記載の、資金交付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の企業で働く従業員への資金交付支援システム、装置、プログラム及び方法に関する。具体的には、フランチャイズ契約をしてサービスを提供する加盟店における従業員への資金交付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
働き方の多様化とともに、労働の対価についての支払いもフレキシブルに行うことで、労働者へのインセンティブを設けるシステムが存在する。本願出願人らによる特許文献1、2および3に記載の発明はこのような利益を労働者に提供するものである。さらに、フレキシブルに支払いできる労働の対価は電子マネーと銀行振込とに分けて受け取れることも可能となっている。しかしながら、これらの特許に記載の発明では、労働者にフレキシブルに労働の対価の支払うことが可能である一方で、支払われた労働の対価は同時に雇用者の口座から引落処理がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3685788号公報
【特許文献2】特許第3857279号公報
【特許文献3】特許第4395413号公報
【特許文献4】特開2019-185540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビジネス形態の一つとしてフランチャイズ契約によるビジネスモデルがある。フランチャイズビジネスモデルとは、本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に対して、商標・商号の使用権、商品やサービスの販売権、それに伴う経営ノウハウの指導・教育などを提供し、加盟店から保証金、ロイヤリティー、商品の仕入れに係る費用などを徴収し、加盟店に利益を分配するシステムのことを言う。具体的には、加盟店は毎月の売り上げを本部に一旦預け、本部は、保証金、ロイヤリティー、および商品の仕入れ額等を売上金より差し引き、残りの額を加盟店に戻す。加盟店はこのようにして得た金額分を自店の利益としている。
ところで、加盟店は自店の運営のために労働者を雇っている。加盟店は労働者の雇用主であるため、労働者に対して労働の対価の支払い義務を負っている。
【0005】
業態別に詳述すると、コンビニエンスストア業界では、加盟店は本部が保有する当該加盟店の勘定へ売上額を一旦預け、本部はこの勘定から保証金、ロイヤルティーを徴収し、商品代金等を立替え払いする。加盟店はこの残余金額分を利益として本部より受領する。
コンビニエンスストア業界以外のフランチャイズビジネスでは、加盟店はロイヤリティー、広告宣伝費、本部を通じた仕入れ代金や賃料等の諸費用を本部に支払う。加盟店は売上金額から上記諸費用を支払った金額から従業員の給与を支払う。
【0006】
加盟店におけるこのような本部との清算のタイミングは通常月に1回である。したがって、加盟店が利益額を受領するのも通常月に1回となっている。このような状況において、労働者の要求により加盟店が給与を分割してフレキシブルに提供するには、あるいは加盟店から労働者への社内融資を提供するためには、加盟店において、一定の原資をストックしておく必要があった。
このために、加盟店には、本部または銀行に対して、原資確保のための資金調達および資金管理に関する手間が発生している。
【0007】
また、労働者の勤務実績管理を、POS端末など各加盟店に設置したシステムによって本部で管理しているケースがある。この場合、加盟店が給与を分割してフレキシブルに労働者に提供した後、あるいは加盟店から労働者への社内融資を実行した後には、それぞれの加盟店が前払実績を本部へ連携し、給与の控除額を計算する必要があった。
【0008】
本願発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、加盟店の資金調達負担を減らすために、本部が振込資金を加盟店へ自動融資する、または立て替える形で支払うものである。
【0009】
また、本部が立て替える形で従業員への支払いを行った場合に、給与計算において立替分を控除して計算を行い、加盟店へ給与データを提供することを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力する手段を備え、
前記記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記交付希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座へ振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する手段を備える、資金交付システムである。
【0011】
また、本発明の一実施態様は、企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータおよび企業コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力する手段を備え、
前記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座へ振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する手段を備え、
前記企業コンピュータは、前記資金交付コンピュータとデータ送受信可能なように接続され、インターフェイス、記憶装置、および処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記資金交付実行データを受信して入力する手段を備え、
前記記憶装置は、前記資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルと、前記従業員の給与データを格納する従業員給与データ管理ファイルと、を備え、
前記処理装置は、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして、前記資金交付実行データから、資金交付業者から交付された資金額を抽出し、所定のタイミングで前記交付された資金額を前記資金交付業者へ振込む処理を実効し、前記従業員給与データ管理ファイルにアクセスして、前記従業員の給与データに前記資金交付実行データで特定される交付資金額を差し引いて前記従業員の給与データを更新する手段を備える、資金交付システムである。
【0012】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付システムにおいて、前記企業が、フランチャイズ契約を交わす加盟店を複数有し、前記従業員が前記加盟店で働く従業員である、資金交付システムである。
【0013】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付システムの前記企業コンピュータにおいて、
前記インターフェイスから前記加盟店の売上額データが入力され、
前記記憶装置がさらに前記加盟店の売上額データおよび経費データを格納する加盟店データ管理ファイルを備え、
前記処理装置がさらに前記加盟店データ管理ファイルにアクセスして、前記売上額データから売上額を抽出し、前記経費データにアクセスして経費を抽出し、前記売上額から前記経費を差し引いた金額を算出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記資金交付実行データで特定される交付資金額を算出し、前記売上額から前記経費および前記交付資金額を差引いて利益額データとして、前記加盟店データ管理ファイルを更新し、前記資金交付業者に前記利益額データに基づく金額について加盟店に振込依頼を実行する、資金交付システムである。
【0014】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付システムにおいて、前記企業コンピュータは、前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店毎に設定されている、資金交付システムである。
【0015】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付システムにおいて、前記企業コンピュータは、前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店のオーナー毎に設定されている、資金交付システムである。
【0016】
また、本発明の一実施態様は、企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムを実行するためのプログラムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータのプロセッサに、
前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行履歴データを入力するステップと、
前記属性データおよび前記勤怠データを労働データ管理ファイルに格納し、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを給与データ管理ファイルに格納し、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを資金交付データ管理ファイルに格納する、ステップと、
前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、資金交付実行履歴データを作成して前記企業へ送信する、ステップと、
を実行させるプログラムである。
【0017】
また、本発明の一実施態様は、企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータおよび企業コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータのインターフェイスに、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行履歴データを入力するステップと、
前記属性データおよび前記勤怠データを労働データ管理ファイルに格納し、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを給与データ管理ファイルに格納し、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを資金交付データ管理ファイルに格納する、ステップと、
前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、資金交付実行履歴データを作成して前記企業へ送信する、ステップとを実行させ、
前記企業コンピュータのプロセッサに、
前記資金交付データを入力するステップと、
前記記憶装置に、前記資金交付データを資金交付ファイルに格納し、前記従業員の給与データを従業員給与データ管理ファイルに格納する、ステップと、
前記処理装置に、前記資金交付ファイルにアクセスして、前記資金交付データから、資金交付業者から交付された資金額を抽出し、所定のタイミングで前記交付された資金額を前記資金交付業者へ振込む処理を実効し、前記従業員給与データ管理ファイルにアクセスして、前記従業員の給与データに前記資金交付データで特定される交付資金額を差し引いて前記従業員の給与データを更新する、ステップと、を実行させプログラムである。
【0018】
また、本発明の一実施態様は、前述のプログラムにおいて、前記企業が、フランチャイズ契約を交わす加盟店を複数有し、前記従業員が前記加盟店で働く従業員である。
【0019】
また、本発明の一実施態様は、前述のプログラムにおいて、前記企業コンピュータが、
前記インターフェイスがさらに前記加盟店の売上金額データを入力するステップ、
前記記憶装置がさらに前記加盟店の売上額データおよび経費データを加盟店データ管理ファイルに格納するステップ、
前記処理装置がさらに前記加盟店データ管理ファイルにアクセスして、前記売上額データから売上額を抽出し、前記経費データにアクセスして経費を抽出し、前記売上額から前記経費を差し引いた金額を算出して、利益額データとして、前記加盟店データ管理ファイルを更新し、前記資金交付業者に振込依頼を実行する、ステップと、を実行する。
【0020】
また、本発明の一実施態様は、前述のプログラムにおいて、前記企業コンピュータにおける前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店毎に設定されている。
【0021】
また、本発明の一実施態様は、前述のプログラムにおいて、前記企業コンピュータにおいて、前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店のオーナー毎に設定されている。
【0022】
また、本発明の一実施態様は、企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスからは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データが入力され、
前記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記交付希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する、資金交付方法である。
【0023】
また、本発明の一実施態様は、企業に属する従業員に希望するタイミングで資金を交付するシステムであって、
前記システムは、資金交付コンピュータおよび企業コンピュータを有し、
前記資金交付コンピュータは、インターフェイス、記憶装置、及び処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記従業員の、属性データ、勤怠データ、交付希望日データ、交付希望額データ、資金交付実行データを入力する手段を備え、
前記憶装置は、前記属性データおよび前記勤怠データを格納する労働データ管理ファイルと、前記労働データ管理ファイルに格納された労働データに基づいて算出または抽出される給与データを格納する給与データ管理ファイルと、前記交付希望日データ、前記交付希望額データ、及び資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルとを備え、
前記処理装置は、前記給与データ管理ファイルにアクセスして前記給与データを抽出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記希望金額データを抽出し、前記給与データおよび前記交付希望金額データから前記従業員への資金交付実行の可否を判断し、前記資金交付実行が可能であると判断された場合、資金交付実行データを作成して、前記交付可能金額を前記従業員の口座への振込処理を実行し、前記資金交付実行データを前記企業へ送信する手段を備え、
前記企業コンピュータは、前記資金交付コンピュータとデータ送受信可能なように接続され、インターフェイス、記憶装置、および処理装置を備え、
前記インターフェイスは、前記記憶装置および/または前記処理装置に接続され、前記資金交付実行データを受信して入力し、
前記記憶装置は、前記資金交付実行データを格納する資金交付データ管理ファイルと、前記従業員の給与データを格納する従業員給与データ管理ファイルと、を備え、
前記処理装置は、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして、前記資金交付実行データから、資金交付業者から交付された資金額を抽出し、所定のタイミングで前記交付された資金額を前記資金交付業者へ振込む処理を実効し、前記従業員給与データ管理ファイルにアクセスして、前記従業員の給与データに前記資金交付実行データで特定される交付資金額を差し引いて前記従業員の給与データを更新する、資金交付方法である。
【0024】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付方法において、前記企業が、フランチャイズ契約を交わす加盟店を複数有し、前記従業員が前記加盟店で働く従業員である。
【0025】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付方法において、前記企業コンピュータにおいて、
前記インターフェイスがさらに前記加盟店の売上額データを入力し、
前記記憶装置がさらに前記加盟店の売上額データおよび経費データを格納する加盟店データ管理ファイルを備え、
前記処理装置がさらに前記加盟店データ管理ファイルにアクセスして、前記売上額データから売上額を抽出し、前記経費データにアクセスして経費を抽出し、前記売上額から前記経費を差し引いた金額を算出し、前記資金交付データ管理ファイルにアクセスして前記資金交付実行データで特定される交付資金額を算出し、前記売上額から前記経費および前記交付資金額を差引いて利益額データとして、前記加盟店データ管理ファイルを更新し、前記資金交付業者に前記利益額データに基づく金額について振込依頼を実行する、資金交付方法である。
【0026】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付方法において、前記企業コンピュータにおいて、前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店毎に設定されている、資金交付方法である。
【0027】
また、本発明の一実施態様は、前述の資金交付方法において、前記企業コンピュータにおいて、
前記記憶装置の前記加盟店データ管理ファイルが、加盟店のオーナー毎に設定されている、資金交付方法である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、フランチャイズビジネスにおける加盟店は従業員に、多様な形態で資金交付することができる。また、加盟店は従業員への資金交付のための原資を銀行からの融資等で用意する必要がない。また、本部である企業が資金交付業者が立替えた交付資金を加盟店の売上から差し引くことにより、加盟店の事務的な負担も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】実施形態における概念構成図である。
図1B】実施形態における概念構成図である。
図2A】実施形態における概念構成図である。
図2B】実施形態における概念構成図である。
図3】実施形態における概念構成図である。
図4図1における資金交付コンピュータの構成ブロック図である。
図5図1における企業コンピュータの構成ブロック図である。
図6】資金交付コンピュータの機能ブロック図である。
図7】企業コンピュータの機能ブロック図である。
図8】加盟店端末の機能ブロック図である。
図9】従業員端末の機能ブロック図である。
図10】資金交付コンピュータの処理フローチャートである。
図11A】企業コンピュータの処理フローチャートである。
図11B】企業コンピュータの処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。本明細書中に記載の資金交付業者とは、所定の期間に企業に代わって、従業員に対して資金交付が可能な者であればよく、銀行、銀行以外の事業者、個人であってもよい。銀行以外の事業者としては、本発明の性質上、従業員が企業から受け取ることができる資金を従業員に何らかの手段で引き渡すことができる事業者であればよく、一例として、資金移動業(資金移動サービス)を業とする者である。
【0031】
本明細書中に記載の資金交付コンピュータは、従業員からの資金交付リクエストに応じて資金を交付することが可能なコンピュータである限り特段限定されるものではなく、銀行コンピュータ、銀行以外の事業者のコンピュータ、個人コンピュータであってもよい。以下において、資金交付コンピュータの一例である銀行コンピュータは銀行システムと同義であり、企業コンピュータは企業システムと同義である。また、本明細書において、アプリケーションとプログラムは同義である。
【0032】
本明細書において、「従業員」とは企業に雇用されているものであり、その形態は問わない。また、「企業に雇用されている」とは、その雇用形態については限定されるものではなく、正社員、パートタイム労働者、派遣労働者、契約社員などを含む。また、雇用形態とは、企業または事業主と雇用契約を交わしたものに限定するものではなく、企業または事業主と請負契約、委任契約、準委任契約などを締結したものも含まれる。
【0033】
本明細書において、「利率」とは、資金交付業者が立替払いした金額に対する利息などの割合を意味する。利率には、これらに限定されるものではないが、例えば、金利、年利、月利、日歩などが含まれる。
【0034】
図1A及び図1Bは、本願の一実施形態の概念構成図を示したものである。従業員、企業、資金交付業者の関係を示したものである。
図1Aでは、資金交付業者が銀行である場合を示している。従業員は企業に雇用されており、企業に労働を提供する。本明細書において、従業員および企業は銀行に口座を有している。従業員は本発明の資金交付システムを利用するために、銀行に勤怠データを提供する。この勤怠データは、従業員の同意のもと、加盟店および/または企業から銀行に提供されてもよい。本実施態様において、従業員は自己の属性データと勤怠データを銀行に提供してもよい。企業は、銀行が従業員に資金交付した額を銀行に返済し、同一の従業員への給与は通常通りに銀行を通じて、従業員の口座に振込みを行う。本実施態様において、企業は銀行が従業員に交付した資金を、当該給与から差し引いて給与を支払うことができる。本願発明において、企業は従業員の給与の支払いのタイミングに合わせて、交付資金を従業員の給与から差し引いて、従業員の給与として銀行へ振込依頼をすることができる。
【0035】
次に図1Bを参照して、銀行以外の資金交付業者である場合を説明する。従業員は企業に雇用されており、企業に労働を提供する。本実施態様において、従業員および企業は資金交付業者に専用の口座を有している。本明細書で用いる「口座」とは、金融機関にて預金者の資金の受け払いおよび資金の残高を管理する区分を意味し、電子決済における、資産を保管しておく仮想的・概念的な場所を意味するウォレットも含まれる。従業員は本発明の資金交付システムを利用するために、資金交付業者に勤怠データを提供する。この勤怠データは、従業員の同意のもと、加盟店および/または企業から資金交付業者に提供されてもよい。本実施態様において、従業員は自己の属性データと勤怠データを資金交付業者に提供してもよい。資金交付業者は、従業員に資金交付した額を企業に請求して返済してもらう。同一の従業員への給与は通常通りに銀行を通じて、企業から従業員の口座に振込みを行う。本実施態様において、企業は資金交付業者が従業員に交付した資金を、当該給与から差し引いて給与を支払う。本実施態様において、企業は従業員の給与の支払いのタイミングに合わせて、交付資金を従業員の給与から差し引いて、従業員の給与として銀行へ振込依頼をすることができる。
【0036】
本実施形態において、見かけ上、資金交付業者は従業員に給与の一部または全部の立替え払いを行っていることになる。このような場合、企業は資金交付業者に立替払い分を借りていることにもなるため、資金交付業者は立替払い分について利息や手数料などを発生させてもよい。しかしながら、本願発明では、企業と資金交付業者との取引に基づき、資金交付業者は任意の利率(例えば、金利)を設定することができる。利率(例えば、金利)を0%とすることも可能である。これまでは、従業員が資金交付リクエストを送付して銀行から、または企業の了承を得た後に、銀行から資金が交付された場合、銀行は加盟店の口座から当該交付資金額を引き落とす処理を行っていた(特許文献1、2および3)。本願発明において、企業は従業員への給与の支払いのタイミングに合わせて、交付資金を従業員の給与から差し引いて、従業員の給与として銀行へ振込依頼をすることができる。
【0037】
図2A及び図2Bは、本発明の他の実施形態の概念構成図が示されている。従業員、加盟店、企業、資金交付業者の関係を示したものである。
図2Aでは、資金交付業者が銀行である場合を示している。従業員は加盟店に雇用されており、加盟店に労働を提供する。加盟店と企業とはフランチャイジーとフランチャイザーとの関係を有する。従って、加盟店は売上額を企業に預けて、企業は保証料、ロイヤリティー、商品仕入れ額等を売上額から差し引いた残余金を加盟店に利益として支払う。本実施形態において、企業はこの利益の中からさらに資金交付業者が従業員へ交付した資金と同額を利益より差引いて加盟店に支払うことができる。このような資金交付の流れを実現することにより、加盟店の資金交付の負担を軽減することができる。
図2Bでは、資金交付業者が銀行以外の者である場合を示している。従業員は加盟店に雇用されており、加盟店に労働を提供する。加盟店と企業とはフランチャイジーとフランチャイザーとの関係を有する。従って、加盟店は売上額を企業に預けて、企業は保証料、ロイヤリティー、商品仕入れ額等を売上額から差し引いた残余金を加盟店に利益として支払う。本実施形態において、企業はこの利益の中からさらに資金交付業者が従業員へ交付した資金と同額を利益より差引いて加盟店に支払うことができる。なお、本実施形態において、当然のことながら、加盟店は、交付資金を従業員の給与から差し引いた額を従業員の給与として、従業員の口座を有する銀行に振込依頼をしてもよい。
【0038】
本実施形態において、見かけ上、資金交付業者は従業員に給与の一部または全部の立替え払いを行っていることになる。このような場合、加盟店は資金交付業者に立替払い分を借りていることにもなるため、資金交付業者は利息や手数料などを発生させてもよい。しかしながら、本願発明では、企業との取引に基づき、または、加盟店から企業への売上額等を担保として、資金交付業者は任意の利率(例えば、金利)を設定することができる。利率(例えば、金利)を0%とすることも可能である。これまでは、従業員が資金交付リクエストを送付して銀行から、または企業の了承を得た後に銀行から資金が交付された場合、銀行は加盟店の口座から当該交付資金額を引き落とす処理を行っていた(特許文献1、2および3)。本願発明において、企業は売上から加盟店の従業員の交付資金を差し引いて処理することから、従業員の給与として銀行へ振込依頼をすることができる。
【0039】
図2A及び図2Bの実施形態では、従業員は企業または加盟店との労働契約に基づき労働を提供する。従業員は、勤怠データを資金交付業者に提供する。本願発明において、勤怠データは、基本的には労働日や労働時間等であるが、従業員の時給や基礎控除額その他の従業員の給与を計算するために必要なデータを含んでいてもよい。源泉徴収票を作成するデータを用いることもできる。本発明において、従業員は自己の属性データと勤怠データを資金交付業者に提供してもよい。勤怠データは従業員が加盟店に対して労働を提供するごとに順次発生し、本願発明における資金交付コンピュータに提供される。資金交付コンピュータでは順次生じた勤怠データを蓄積していき、従業員に交付可能な資金を計算または抽出する。
【0040】
本願発明において、前記勤怠データは企業にも提供される。具体的には、加盟店から企業に前記労働データが共有されたあと、企業から資金交付システムに労働データが提供されてもよい。労働データは加盟店が企業と資金交付コンピュータに同時に共有することもできる。
【0041】
従業員は、適当なタイミングで資金交付リクエストを資金交付業者に送信する。資金交付システムには、従業員が資金の受領を希望する日(交付希望日データ)、交付される資金の額(交付希望額データ)が含まれる。交付希望日は、従業員が加盟店に対して労働を提供した後の任意の日に設定することができる。
【0042】
本実施形態において、資金交付業者は従業員からの希望に応じて資金を従業員の口座に振込むことで従業員の要求を満たす。資金は従業員の労働により生じた資金総計の範囲内で交付されるか、または、従業員の勤怠データに基づき、一定の係数をかけて与信を加味した額を交付可能資金としてもよい。いずれにしても、従業員は自己の労働の対価に基づいて交付される資金を、自己の希望する任意の日に受け取ることが可能である。資金交付業者は、従業員に対して従業員の希望する日に資金を交付した後、資金交付実行データを加盟店又は企業、もしくは両者に対して出力し、資金交付が実行されたことを通知する。なお、加盟店に対する振込データの出力は、従業員の口座への振込に先立って実行してもよく、加盟店の承諾を受信したあとに従業員の口座へ振込処理を実行してもよい。
【0043】
企業は、資金交付コンピュータから従業員への資金交付についての振込データを受信した後、加盟店から売上額を受領した後に、当該売上額から振込データに基づく金額を差引いて加盟店の利益として加盟店に振込を実行する。
【0044】
従業員が自己の給与の前借りを希望する場合、本来は雇用者に対して申し込み、雇用者が支払っていたが、本実施形態では従業員は雇用者である加盟店に申し込むのではなく、資金交付コンピュータに対して資金交付リクエストを送信することで、資金交付業者が従業員への資金交付事務を代行することができる。本願発明においては、資金交付実行データは、加盟店がフランチャイズ契約を交わしている企業に送信され、企業が資金交付コンピュータに資金交付実行データに基づき資金交付実行後が資金交付業者に振込を行う。そして、加盟店の売上から交付された資金相当額を差引いて加盟店の利益額を決定する。加盟店はこの利益額から従業員の給与を支払う。従業員は自己の労働実績に基づいて、必要なときに必要な額の資金交付を受けることができる。また、加盟店が従業員に資金交付をする作業をなくすとともに、フレキシブルなタイミングで要求される資金交付のための原資を用意する必要もない。
【0045】
なお、説明のために、本明細書では従業員へは口座に資金が振り込まれる態様に基づいて説明を行っているが、特許文献4に記載のように、従業員は資金交付の際に電子マネーや仮想通貨等利用可能な対価の受け取り方法が選択可能である。
【0046】
従業員からの資金交付のリクエストは、例えば、従業員の有する携帯電話やPAD、パーソナルコンピュータで行うことができる。
【0047】
次に図3を参照して、本願発明のシステムの一実施態様を説明する。本願発明のシステムおよびプログラムを実施するためには、従業員が所持する従業員端末、加盟店が所有する加盟店端末、企業が有するコンピュータ、資金交付業者が所有する資金交付コンピュータ、および場合により銀行が有する銀行コンピュータ(図示していない)が端末および/またはコンピュータに入力されるデータ等が送受信可能に通信ネットワーク20に接続されていることが好ましい。
【0048】
資金交付コンピュータ10は、インターフェイスと、記録装置と、処理装置とを少なくとも備えている。これらにより、資金交付コンピュータ10は、従業員の資金交付リクエストにより従業員の口座に資金を振込み、企業が振り込まれた資金に相当する金額を資金交付業者に振込むことが可能となる。従って、資金交付コンピュータ10が銀行コンピュータである場合には、加盟店の従業員は銀行に口座を有しており、企業も当該銀行に口座を有している場合が多い。本願発明において、従業員は他行に口座を有していてもよい。そのような場合の従業員への振込部分のみについての説明は、特許文献1に記載がある。
【0049】
企業コンピュータ12は、加盟店から売上を預かり、保証金等の金額を差引いて加盟店に利益を付与する際に、従業員へ資金交付業者が交付した資金相当額を給与計算に反映させ、加盟店からの売上額から差し引いて、銀行の所定の口座に振込みを実施する。
【0050】
加盟店端末16は企業コンピュータが処理した利益額を受領して、従業員に給与を支払う。あるいは銀行に従業員の給与の振込依頼を行うことができる。
【0051】
従業員端末は、資金交付コンピュータに資金交付リクエストを送付するとともに、自分の勤怠データ等を実行プログラム上で資金交付コンピュータと共有している。
【0052】
次に図4を参照して、本願発明における資金交付コンピュータ10を説明する。図10は資金交付コンピュータの構成ブロック図である。資金交付コンピュータ10はCPU10a、ROM10b、RAM10c、入出力インターフェイス(I/F)10d、記憶装置10e、通信I/F10f、入力装置10g、および表示装置10h、を備え、これらはバスで接続される。
【0053】
1又は複数のCPU10aは、ROM10bあるいは記憶装置10eに記憶された処理プログラムを読み出し、RAM12cをワーキングメモリとして用いて各種処理を実行する。各種処理には、労働データの入力、蓄積、従業員毎の給与計算、資金交付リクエストデータの受信及び資金交付可否判断の処理、振込処理、銀行口座への振込処理、企業への通知等が含まれる。
【0054】
入出力I/F10dは、入力装置10gや表示装置12hと接続され、データを入出力する。
【0055】
記憶装置10eは、HDDやSSD等で構成され、各種データを記憶する。
【0056】
通信I/F10fは、通信ネットワークを20介して企業コンピュータ12、加盟店端末、従業員端末、場合により銀行コンピュータとデータを送受信する。通信I/F10fは図3における労働データ入力部120を構成する。
【0057】
資金交付コンピュータ10の記憶装置10eは、労働データ管理ファイル、給与データ管理ファイル、資金交付データ管理ファイルを有する。資金交付コンピュータ10は通常の資金移動処理をすることができる。資金交付コンピュータ10が銀行コンピュータである場合、資金交付コンピュータ10は、資金移動処理、すなわち、自行内の特定の口座ファイルに対して書き込み処理を行うことで引落、あるいは振込、あるいは振替処理を行うことができる。資金移動取引処理を行うべき口座が自行ではなく他行に存在する場合、他行のコンピュータシステムに対して同様の処理を依頼する。資金交付コンピュータ10は、従業員から提供された属性データおよび勤怠データ、並びに交付希望日データおよび交付希望額データを入力するインターフェイスを備える。勤怠データは労働データ管理ファイルに格納され、交付希望日データおよび交付希望額データは資金交付データ管理ファイルに格納される。
【0058】
労働データ管理ファイルは、従業員の勤怠データを管理する。具体的には、従業員の労働日や労働時間等である。また、従業員の属性データ、例えば年齢や時給なども管理する。従業員の時給及び労働時間から、従業員の給与が算出され、給与データ管理ファイルに格納される。本発明の他の態様において、給与の算出は、労働データ管理ファイルや給与データ管理ファイルを管理する他のコンピュータで実行してもよい。
【0059】
資金交付データ管理ファイルは、従業員から提供された資金交付リクエストデータを管理する。この資金交付リクエストデータは、交付希望日データと交付希望額データとを含む。資金交付データ管理ファイルは、この他に実際に資金交付コンピュータ10により実行された資金交付の結果を資金交付実行データとして記憶してもよい。すなわち、実際に資金交付された日と、実際に従業員の口座に振込まれた資金の額を含むデータである。従業員に交付される資金は、原則として従業員の給与の範囲内とすることが好ましいが、従業員の勤続年数およびスキル等により一定の係数をかけた額を利用範囲内とすることもできる。本実施態様では説明のために、従業者に交付される資金は、従業者の給与の範囲内であり、従業員が希望する資金交付額が給与の範囲内であれは、希望額と実際に交付された額は一致する。
【0060】
給与データ管理ファイルは、従業員の労働データから算出された給与データを管理する。従業員が複数回、あるいは複数日にわたって雇用者に労働を提供した場合、勤怠データから労働データ管理ファイルが更新され、これに伴い給与データも順次発生し、給与データ管理ファイルに順次格納されていく。資金交付コンピュータ10は給与データ管理ファイルを参照することで、従業員に対して資金を交付できる限度額を設定することができる。順次発生する給与データに、従業員の勤続年数およびスキル等により一定の係数をかけた額を、給与データ管理ファイルに格納し、これを参照して、従業員の交付希望額の利用範囲内とすることもできる。従業員から提供された交付希望額が交付希望日までの当該従業員の給与の範囲内であれば資金交付コンピュータはその交付希望額を交付希望日に交付する。
【0061】
資金交付コンピュータ10は、従業員に対して従業員の希望する日に資金を交付した後、振込データを企業に対して出力し、資金交付が実行されたことを通知する。なお、企業に対する振込データの出力は、従業員の口座への振込処理に先立って実行してもよく、企業および/加盟店からの承諾を受信した後に振込処理を実行してもよい。
【0062】
図4は本願発明における企業コンピュータの構成ブロック図である。企業コンピュータ12はCPU12a、ROM12b、RAM12c、入出力インターフェイス(I/F)12d、記憶装置12e、通信/F12f、入力装置12g、および表示装置12h、を備え、これらはバスで接続される。
【0063】
1又は複数のCPU12aは、ROM12bあるいは記憶装置12eに記憶された処理プログラムを読み出し、RAM12cをワーキングメモリとして用いて各種処理を実行する。各種処理には、勤怠データの入力、蓄積、労働者毎の給与計算、資金交付実行データの受信、資金交付業者への資金交付返済データの作成および出力、銀行口座への振込処理等、が含まれる。
【0064】
入出力I/F12dは、入力装置12gや表示装置12hと接続され、データを入出力する。
【0065】
記憶装置12eは、HDDやSSD等で構成され、各種データを記憶する。具体的には、労働データ管理ファイル、給与データ管理ファイル、資金交付データ管理ファイル、を有する。これらのファイルは、資金交付コンピュータと共有してもよい。本発明の他の態様において、記憶装置12eは、資金交付コンピュータおよび企業システム以外の独立した記憶装置に格納されて共有されることも可能である。記憶装置12eは、上述のファイル以外にも、加盟店データ管理ファイルを格納することもできる。
【0066】
通信I/F12fは、通信ネットワーク20を介して企業コンピュータ12、加盟店端末、従業員端末とデータを送受信する。
【0067】
図6には、図3における資金交付コンピュータの構成ブロック図が示されている。本実施形態において、資金交付コンピュータ10は、勤怠データ入力部100、交付可能資金計算部101、資金交付リクエスト入力部103、資金交付データ作成部104、労働データ管理ファイル記憶部105、給与データ管理ファイル記憶部106、資金交付データ管理ファイル記憶部107、資金交付データ管理ファイル出力部107、給与振込部108を有する。本実施態様において、説明のためにこれらのブロックを分けて説明しているが、機能が類似するブロックは当然に統合することができ、必要に応じて分けて設定してもよい。
【0068】
勤怠データ入力部100は、従業員の労働に関するデータを入力する。具体的には、労働時間や日時である。勤怠データ入力部100に労働に関するデータの入力があると、労働データ管理ファイル記憶部105にて従業員の労働データ管理ファイルが更新される。本発明において、労働データ管理ファイルは、労働データ管理ファイルには従業員の属性データ(氏名、年齢、住所、時給等)もともに管理される。
【0069】
労働データ管理ファイルが更新されると、このファイルに格納されているデータに基づいて従業員の給与が計算されて、給与データ管理ファイルが更新され、給与データ管理ファイル記憶部106に格納される。
【0070】
従業員が資金交付リクエストを従業員端末から送信すると、資金交付リクエスト入力部102にて情報を受信して、資金交付実行処理部103にこの情報が出力される。資金交付実行処理部103は、給与データ管理ファイル記憶部から給与データを抽出して従業員からの交付希望額との比較を行う。本実施態様においては給与データでの金額が交付希望額より多い場合には、交付を可能とする結果を出力して、従業員の希望日に従業員の口座に振込まれるように、資金交付コンピュータに出力する。本発明において、従業員への口座振り込みは資金交付業者に設定された口座を介して行うことができる。このような口座の一例としては、当座貸越口座、別段預金口座などがある。資金交付業者はこのような口座から従業員に希望額を交付して、企業は当該口座に従業員に付与した資金相当額を振り込むことができる。企業は加盟店からの売上金から交付した資金を回収することができる。
【0071】
資金交付実行処理部103にて資金交付可能であると判断された場合、資金交付データ作成部104にて資金交付実行データが作成される。このデータは、資金交付データ管理ファイル記憶部にて蓄積され、次の資金交付リクエストがあったときに参照される。従業員から資金交付リクエストがない場合には、銀行は、企業の給与振込依頼に基づいて、従業員に給与を振込んでもよい。銀行が資金交付業者を兼ねている場合には、銀行は、企業の給与振込依頼に基づいて、給与データ管理ファイル記憶部から従業員の給与を抽出して、給与振込部にて従業員に給与を振込む。
【0072】
図7は、企業コンピュータの機能ブロック図を示す。本図において、労働データ管理ファイル記憶部125、給与データ管理ファイル記憶部126、資金交付データ管理ファイル127は、資金交付システムにおけるものと共有することもできる。企業コンピュータにおいて、勤怠データ入力部は例えば、加盟店端末16から送信されてくるものでもよい。
【0073】
企業コンピュータにおいて、加盟店の売上、商品の仕入れについてのデータは加盟店データ入力部121にて受信して、加盟店データ管理ファイル記憶部にて逐次更新される。また、加盟店データ管理ファイル記憶部128に格納されたデータは、加盟店利益計算部123にて抽出されて、加盟店の利益データが算出される。
【0074】
本発明において、加盟店の売上額から、当該加盟店の従業員に先に資金交付された額を企業が差引くことができる。この処理は加盟店利益額計算部123にて行われる。企業から資金交付業者への交付資金の返却は、交付資金返却処理部129にて行うことができる。企業は資金交付業者に設定された加盟店の当座貸越口座に交付資金相当額を振り込むことができる。当座貸越口座は、残高が不足した場合でも不足額を自動的に仮入れることができる口座であり、このような口座を設定することで、加盟店は従業員に交付する資金の原資を用意しなくてもよく、フランチャイザーである企業が、当該加盟店の利益から従業員への交付資金相当額を資金交付業者に返却することができる。
【0075】
図8は、本実施態様における、加盟店端末の一例である。加盟店端末は、操作部161、表示部162、および記憶部163を少なくとも備え、企業コンピュータにデータ送信可能に接続されていればよい。本願発明において加盟店端末の種類、構成は特に重要ではなく、任意のタイプの加盟店端末が使用できる。
【0076】
図9は、従業員端末の一例を示す。本願発明において、従業員端末14は通常のスマートフォン、タブレット端末、またはパーソナルコンピュータでよい。従業員端末14は、資金交付コンピュータとデータ通信可能に接続されており、本願発明のシステムを実行することができるプログラムである資金交付アプリケーション141がインストールされており、当該アプリケーションを操作するための操作部142、表示部143、記憶部144を備える。
【0077】
次に、図10を参照して、本願発明の資金交付コンピュータの処理フローを説明する。資金交付コンピュータが勤怠データを受信する(S101)と、従業員ごとの給与を算出する(S102)。当該勤怠データの受信と給与計算は、企業コンピュータからのデータに基づくこともできるし、企業コンピュータと資金交付コンピュータから独立したシステムから抽出してもよい。
【0078】
次に、資金交付コンピュータが従業員端末から資金交付リクエストを受信すると(S103)上述のように交付の可否を判断する(S104)。交付が可能であれば、従業員の口座に資金が交付され(S105)、交付が拒否された場合には再び勤怠データの受信を待つ。資金交付コンピュータは、資金交付の実行が行われたことを企業コンピュータに出力する(S106)。
【0079】
次に、図11Aを参照して、企業コンピュータの資金交付コンピュータへの処理フローを説明する。勤怠データを受信した企業コンピュータは、従業員毎の給与を算出する(S121およびS122)。次に、図10のS106から、資金交付コンピュータが従業員への資金交付を実行した場合、資金交付実行データを受信する(S123)。
【0080】
次に、加盟店の売上を受領して、当該売上から資金交付実行データに基づく交付額を回収する(S124)。回収した資金交付実行相当額を資金交付業者の口座に振込む(S125)。本願発明において、S124およびS125の順序は重要ではない。これらのステップは企業の状態により順番を入れ替えることもできる。
【0081】
次に、図11Bを参照して、企業コンピュータの加盟店に対する処理フローを説明する。企業コンピュータは加盟店から売上データを受信する(S126)。企業は売上データからロイヤリティーや商品の仕入れ金額及び従業員への資金交付が実行された場合には当該資金相当額を回収して加盟店の利益額を決定して、加盟店の口座への振込を実施するまたは銀行に振込依頼を行う(S127および128)。
【符号の説明】
【0082】
10 資金交付コンピュータ、12 企業コンピュータ、14 従業員端末、16 加盟店端末、20 通信ネットワーク。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B