(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071899
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220510BHJP
G06F 16/9035 20190101ALI20220510BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F16/9035
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181017
(22)【出願日】2020-10-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [開催日] 令和2年3月2日 [集会名、開催場所] 第12回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム オンライン開催(https://db-event.jpn.org/deim2020/)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.THUNDERBOLT
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進事業、「観光の個人化と分散化を促進する情報推薦基盤と地域観光支援システムの構築」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】山岸 立
(72)【発明者】
【氏名】馬 強
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175HA01
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザの好みに合わせた観光地を教示し、オーバーツーリズムの問題等を抑制可能な情報処理システム等を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、次の各ステップを実行するように構成される。読出ステップでは、ユーザ端末によって入力されたユーザの嗜好情報を読み出す。嗜好情報は、ユーザの観光に対する好みを示す情報である。提案ステップでは、嗜好情報を分析モデルに入力することで、少なくとも1つの観光体験を提案する。提案された観光体験は、観光する場所とこの場所での行動とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
次の各ステップを実行するように構成され、
読出ステップでは、ユーザ端末によって入力されたユーザの嗜好情報を読み出し、ここで前記嗜好情報は、前記ユーザの観光に対する好みを示す情報で、
提案ステップでは、前記嗜好情報を分析モデルに入力することで、少なくとも1つの観光体験を提案し、ここで提案された前記観光体験は、観光する場所とこの場所での行動とを含む、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
次の各ステップをさらに実行するように構成され、
第1の生成ステップでは、観光に関する画像に関する第1の視覚情報を生成し、
第1の受付ステップでは、前記ユーザ端末から前記第1の視覚情報に対する入力を前記嗜好情報として受け付ける、もの。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1の視覚情報は、複数の、前記画像及びオブジェクトを備え、
前記オブジェクトは、前記ユーザが各画像に対する興味の度合いを入力可能に構成される、もの。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1の生成ステップでは、前記ユーザが初めて嗜好情報を入力するユーザであると判断された場合に、前記第1の視覚情報を生成する、もの。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
次の各ステップをさらに実行するように構成され、
第2の生成ステップでは、提案された前記観光体験を含む第2の視覚情報を生成し、
第2の受付ステップでは、前記第2の視覚情報に対して前記ユーザが選択した観光体験を前記嗜好情報として受け付ける、もの。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記第2の視覚情報には、前記ユーザに好ましいと判断された順にソートされた複数の前記観光体験が含まれる、もの。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の情報処理システムにおいて、
前記第2の視覚情報は、前記観光体験に含まれる前記観光する場所を表した地図を含む、もの。
【請求項8】
請求項5~請求項7の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記第2の視覚情報は、前記観光体験に含まれる前記行動を示す単語又は画像のリストを含む、もの。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記提案ステップでは、
前記嗜好情報を前記分析モデルに入力することで、複数のグループのうち、前記ユーザと好みが近い複数人が所属するグループである所属グループを確率的に決定し、
前記所属グループに対して定められた確率分布に基づいて、前記観光体験を提案する、もの。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記観光体験は、観光する時期をさらに含む、もの。
【請求項11】
請求項1~請求項10の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記観光体験は、観光する人の種類をさらに含み、
前記観光する人の種類は、前記所属グループに関する情報である、もの。
【請求項12】
請求項1~請求項11の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記分析モデルは、ソーシャルネットワーキングサービスにおいて複数の者によって投稿された観光地の写真を用いて生成された、もの。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理システムにおいて、
前記分析モデルは、前記観光地の写真を、各写真に含まれる位置情報タグの緯度及び経度からクラスタリングした結果を用いて生成された、もの。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の情報処理システムにおいて、
前記分析モデルは、第1の仮説と、第2の仮説と、第3の仮説と、第4の仮説と、第5の仮説とのうちの少なくとも1つに基づいて生成され、
前記第1の仮説において、趣味嗜好が似ている複数の人が存在し、前記趣味嗜好に基づいて、前記複数の人をグループに分類可能であり、
前記第2の仮説において、人が観光する場所は、前記趣味嗜好に依存し、
前記第3の仮説において、人の行動は、前記趣味嗜好に依存し、
前記第4の仮説において、人が行動する時間は、前記趣味嗜好に依存し、
前記第5の仮説において、前記人の行動は、前記人が観光する場所に依存する、もの。
【請求項15】
プログラムであって、
コンピュータに請求項1~請求項14の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、もの。
【請求項16】
情報処理方法であって、
次の各ステップを備え、
読出ステップでは、ユーザ端末によって入力されたユーザの嗜好情報を読み出し、ここで前記嗜好情報は、前記ユーザの観光に対する好みを示す情報で、
提案ステップでは、前記嗜好情報を分析モデルに入力することで、少なくとも1つの観光体験を提案し、ここで提案された前記観光体験は、観光する場所とこの場所での行動とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
観光において、多くの人は観光する都市が決まったら観光に関するウェブサイトやアプリ等を見て、訪れる予定の場所を決定することが多い。
【0003】
特許文献1には、各観光地と、その人気度とを含む観光情報を提案する先行技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、人気の高い観光地をユーザに一律的に教示することとなり、人気の高い観光地に実際の観光が集中することでオーバーツーリズムの問題等を生じるおそれがある。
【0006】
本発明では上記事情を鑑み、ユーザの好みに合わせた観光地を教示し、オーバーツーリズムの問題等を抑制可能な情報処理システム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、次の各ステップを実行するように構成される。読出ステップでは、ユーザ端末によって入力されたユーザの嗜好情報を読み出す。嗜好情報は、ユーザの観光に対する好みを示す情報である。提案ステップでは、嗜好情報を分析モデルに入力することで、少なくとも1つの観光体験を提案する。提案された観光体験は、観光する場所とこの場所での行動とを含む。
【0008】
このような一態様によれば、人気の高い観光地をユーザに一律的に教示せずに、ユーザの好みに合わせた観光地が教示されるため、オーバーツーリズムの問題等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システム1を表す構成図である。
【
図2】ユーザ端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】サーバ3のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバ3における制御部33等によって実現される機能を示すブロック図である。
【
図5】分析モデルAMの一例であるベースモデルのグラフィカルモデルを示している。
【
図6】分析モデルAMに関する記号の定義をまとめたリストである。
【
図7】分析モデルAMの一例であるベースモデルの生成アルゴリズムを示している。
【
図8】分析モデルAMの一例である場所対応モデルのグラフィカルモデルを示している。
【
図9】分析モデルAMの一例である場所対応モデルの生成アルゴリズムを示している。
【
図10】分析モデルAMの一例である時間対応モデルのグラフィカルモデルを示している。
【
図11】分析モデルAMの一例である時間対応モデルの生成アルゴリズムを示している。
【
図12】情報処理システム1によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。
【
図13】ログイン画面4の一例を示す概要図である。
【
図14】アンケート画面5の一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態のハードウェア構成について説明する。
【0015】
1.1 情報処理システム1
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1を表す構成図である。情報処理システム1はユーザ端末2と、サーバ3とを備え、これらがネットワークを通じて接続されている。これらの構成要素についてさらに説明する。ここで、情報処理システム1に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。したがって、サーバ3単体であってもシステムの一例となる。
【0016】
1.2 ユーザ端末2
図2は、ユーザ端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、表示部24と、入力部25とを有し、これらの構成要素がユーザ端末2の内部において通信バス20を介して電気的に接続されている。通信部21、記憶部22及び制御部23の説明は、サーバ3における通信部31、記憶部32及び制御部33と略同様のため省略する。
【0017】
表示部24は、例えば、ユーザ端末2の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部24は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、ユーザ端末2の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。ここでは、表示部24は、ユーザ端末2の筐体に含まれるものとして説明する。
【0018】
入力部25は、ユーザ端末2の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部25は、表示部24と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部25がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス20を介して制御部23に転送され、制御部23が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0019】
1.3 サーバ3
図3は、サーバ3のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有し、これらの構成要素がサーバ3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0020】
通信部31は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ3は、通信部31を介して、ユーザ端末2とネットワークを介して種々の情報を通信する。
【0021】
記憶部32は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部33によって実行されるサーバ3に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組合せであってもよい。特に、記憶部32は、ログイン画面4、アンケート画面5、推薦画面6又は、これらを生成するためのプログラム等を記憶する。記憶部32は、これ以外にも制御部33によって実行されるサーバ3に係る種々のプログラム等を記憶している。
【0022】
制御部33は、サーバ3に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部33は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部33は、記憶部32に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ3に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部32に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部33によって具体的に実現されることで、制御部33に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部33は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部33を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0023】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、記憶部32に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部33によって具体的に実現されることで、制御部33に含まれる各機能部として実行されうる。
【0024】
図4は、サーバ3における制御部33等によって実現される機能を示すブロック図である。具体的には、情報処理システム1の一例であるサーバ3は、受付部331と、読出部332と、提案部333と、生成部334と、送信部335とを備える。
【0025】
受付部331は、種々の情報を受け付けるように構成される。例えば、受付部331は、ユーザ端末2から送信されたアンケートへの回答やユーザに関する情報を受け付けてもよい。
【0026】
読出部332は、受付部331が受け付けた又は予め記憶部32に記憶された種々の情報を読み出すように構成される。例えば、読出部332は、予め記憶部32に記憶されたユーザの嗜好情報PIを参照することで、ユーザの適切な所属グループBGを決定してもよい。これについては後に更に詳述する。
【0027】
提案部333は、ユーザの嗜好情報PIに基づいて、少なくとも1つの観光体験60(
図15参照)を提案するように構成される。これについては後に更に詳述する。
【0028】
生成部334は、種々の視覚情報を生成するように構成される。視覚情報とは、画面、画像、アイコン、メッセージ等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された情報そのものでもよいし、例えばユーザ端末2の表示部24に画面、画像、アイコン、メッセージ等を表示させるためのレンダリング情報であってもよい。
【0029】
送信部335は、種々の情報をサーバ3とネットワークを介して接続された他の機器に送信するように構成される。例えば、送信部335は、生成部334で生成された視覚情報を、ユーザ端末2に送信してもよい。
【0030】
3.分析モデルAM
本節では、情報処理システム1が提供するサービスに用いられる分析モデルAMについて詳述する。
【0031】
3.1 仮説
分析モデルAMは、ユーザがどのような場所、どのような行動を好むのかを、過去の履歴データから発見するモデルである。本実施形態において、分析モデルAMは、第1の仮説と、第2の仮説と、第3の仮説と、第4の仮説と、第5の仮説のうちの少なくとも1つに基づいて生成されるとよい。
【0032】
(第1の仮説)
第1の仮説において、趣味嗜好が似ている複数の人が存在し、趣味嗜好に基づいて、複数の人をグループに分類可能である。つまり、趣味嗜好が似ている人は、複数人いる。つまり、趣味嗜好(以降トピック)を基準にユーザをいくつかのグループに分割できる。逆にグループは複数のユーザを持ち、特定のトピックを持つことになる。例えば、ある第1のユーザとある第2のユーザの趣味嗜好が似ている場合、第1のユーザと第2のユーザとは同じグループに属し、第1のユーザがある場所である行動を好むのならば、それが第2のユーザにも当てはまる可能性が高い。
【0033】
(第2の仮説)
第2の仮説において、人が観光する場所は、趣味嗜好に依存する。つまり、訪れる場所は、ユーザの趣味嗜好によって決定される。趣味嗜好が似ているならば同じ場所に行く確率は高い。例えば有名場所が好きな人たちは、京都でいう金閣寺や伏見稲荷大社に行くことを好むが、甘味が好きな美食家は美味しい甘味処を優先して観光の計画を立てることが多い。
【0034】
(第3の仮説)
第3の仮説において、人の行動は、趣味嗜好に依存する。つまり、ユーザの行動は、趣味嗜好に依存する。ここでいう行動は、それぞれの訪問場所における、ユーザが行った具体的な動作又はアクションを表す。例えば写真撮影をしたり、甘味を食べたり、座禅を組むことは、観光地におけるよくある行動である。趣味嗜好が似ているユーザは同じ行動を行う確率は高い。また、同じ場所においてユーザが複数の行動を行うこともよくある。
【0035】
(第4の仮説)
第4の仮説において、人が行動する時間は、趣味嗜好に依存する。つまり、行動をする時間は趣味嗜好に影響される。例えばお酒を飲むことが好きな人たちは、夜に当地の居酒屋で飲むのを好んだりする。一方で、朝早くに観光を楽しむ人も存在する。
【0036】
(第5の仮説)
第5の仮説において、人の行動は、人が観光する場所に依存する。つまり、それぞれの場所でする行動はその場所に影響される。その場所でよくある行動であれば、ユーザもその行動を取る可能性が高い。有名スポットで写真をとることはその一つの例である。
【0037】
このような仮説を立てることで、確率分布に基づいた分析モデルAMを適切に生成することができる。
【0038】
3.2 分析手法
3.1節で説明した仮説を踏まえて、分析手法について説明する。分析手法の候補として3つの分析モデルAMを構成した。第1の仮説、第2の仮説及び第3の仮説のみを取り入れてユーザ体験の基本(Who、Where、What)と分析するベースモデル、第5の仮説を取り入れて場所の特徴(空間的制約)を考慮した場所対応(Loacation-Aware)モデル、第4の仮説を取り入れて時間の特徴(時間的制約)を考慮した時間対応(Time-Aware)モデルの3つである。
【0039】
説明するに当たって必要な記号を表1に示す。グループは離散データであり、カテゴリカル分布によって生成される。つまり、数1が成り立つ。
【数1】
【0040】
ベイズ確率モデルを構築するとき、カテゴリカル分布の事前分布は共役事前分布であるディリクレ分布を用いる。それゆえ、g_dの事前分布であるθは、数2で生成される。
【数2】
【0041】
ユーザ、場所及び時間は、離散データであるため、カテゴリカル分布から生成される。それぞれπ_gd,Φ_gd,τ_gdから生成され、その事前分布に、数3のようにディリクレ分布を有する。
【数3】
【0042】
本実施形態の分析モデルAMでは、ユーザ、場所及び行動を表す単語を仮説変数として扱い、主にグループを潜在変数とする。つまり、ユーザの趣味嗜好の部分は、このグループによって抽出される。
図5は、分析モデルAMの一例であるベースモデルのグラフィカルモデルを示している。
図6は、分析モデルAMに関する記号の定義をまとめたリストである。ただし、グラフィカルモデル上のw_d,iというのは、ある投稿d(∈D)における行動を示す単語のうちi番目の単語という意味である。
【0043】
ベースモデルは、第1の仮説、第2の仮説及び第3の仮説に基づいてモデリングしている。第1の仮説は、g_dからu_dへの矢印に対応しており、第2の仮説は、g_dからl_dへの矢印に対応しており、第3の仮説は、g_dからw_d,iへの矢印に対応している。ベースモデルは、観測データ間の影響がないもっともシンプルな状態のモデルである。
【0044】
図7は、分析モデルAMの一例であるベースモデルの生成アルゴリズムを示している。まず、グループの事前分布であるθが生成される。その後、数3と同様にグループごとにユーザ、場所及び行動を示す単語の事前分布を生成する。ここからは、ある投稿データd(∈D)の元で生成していく。グループの生成確率分布からグループg_dを生成し、数4のように表せる。
【数4】
【0045】
ここでのグループは潜在変数であり、ユーザの趣味嗜好が含まれることになる。投稿データのプレート上にあるのはその投稿データのユーザ、場所及び行動であり、そのグループが決まることで趣味嗜好が決まり、それを元にユーザ、場所及び行動が決まるといえる。第1の仮説より、ユーザの趣味嗜好を表すグループにユーザは属する。それゆえ、数5に示される関係が成り立つ。
【数5】
【0046】
同様に、場所も第2の仮説よりグループごとの位置情報の生成確率分布Φ_gdから生成され、数6に示される関係が成り立つ。
【数6】
【0047】
最後に、行動を示す単語はw_d,iで表しているが、この変数が単独でプレートに載っていることから、ユーザや場所が決まる投稿に対して、行動は複数(N_w個)存在することを示している(第3の仮説)。
【0048】
分析モデルAMの別の一例である場所対応モデルは、ベースモデルに対して第5の仮説を導入したものである。
図8は、分析モデルAMの一例である場所対応モデルのグラフィカルモデルを示している。
図9は、分析モデルAMの一例である場所対応モデルの生成アルゴリズムを示している。
【0049】
場所対応モデルの生成過程は、ベースモデルに比べて、行動を生成する部分が複雑になる。第5の仮説は、その場所の特徴もその場で行う行動の意思決定に影響することを表している。そのため、場所対応モデルでは、その行動がどれほどその人の趣味嗜好に受けたか、もしくはどれほどその場所に影響を受けたかを表す潜在変数l_dを導入している。
【0050】
変数l_dは、場所ごとに生成される。場所対応モデルは、行動の場所への依存関係つまりその場所がある行動をすることを目的として来るべき場所なのか、それともその場所にきて色々な行動をするのかをモデリングする。例えば、居酒屋に行けばほとんどの人がご飯を食べるという行動をするであろうし、公園等は、それぞれ過ごし方が好みによって異なる。この変数l_dを用いてw_d,iが生成される。具体的にはg_d,l_dが生成された後、場所ごとに生成された変数l_dを重みとして扱って行動を示す単語を生成する。すなわち、数7に示される関係が成り立つ。ただし、ηはハイパーパラメータである。
【数7】
【0051】
分析モデルAMの別の一例である時間対応モデルは、ベースモデルに時間の影響を考慮したモデルである。
図10は、分析モデルAMの一例である時間対応モデルのグラフィカルモデルを示している。
図11は、分析モデルAMの一例である時間対応モデルの生成アルゴリズムを示している。
【0052】
時間対応モデルでは、観測変数間の影響がベースモデルと同様にない。それゆえ、生成過程はベースモデルの生成過程に時間に関係する要素を加えることが好ましい。あるデータd(∈D)が生成された時間はそのデータが示す観光に関する趣味嗜好g_dに影響されて決定される。ここでは、時間を離散的に考え、カテゴリカル分布から生成されたこととする。この時、t_dを生成する過程が数8のように表される。
【数8】
【0053】
情報処理システム1では、ユーザの操作によって逐次的に推論を行い、よりユーザの趣味嗜好にあった推薦ができるように更新することが好ましい。クリックや推薦へのフィードバックによってユーザの操作が発生したとき、そのデータはユーザの興味を意味する。そのデータに基づいて、ユーザの確率分布を更新することで、よりユーザの趣味嗜好に合ったグループに所属する可能性が高まり、精度の良い推薦が期待されうる。
【0054】
また、分析モデルAMは、ソーシャルネットワーキングサービスにおいて複数の者によって投稿された観光地の写真を用いて生成されてなる。このように、SNSのデータを活用することで、別途の調査やデータベース構築を不要に、多くの情報を予め用意することができる。
【0055】
さらに好ましくは、分析モデルAMは、観光地の写真を、各写真に含まれる位置情報タグの緯度及び経度からクラスタリングした結果を用いて生成されてなる。SNSのデータは、同じ観光地であっても別の写真を撮っている等で、少しずつ異なっているが、写真に付随する位置情報タグを用いることで、同じ観光地に係るものであると推定し、より情報を適切に分析モデルAMの生成に活かすことができる。
【0056】
また、位置情報タグに関連して、1つの写真に対して複数種類のタグ、例えば次に示される3種類のタグ付けがなされていることが好ましい。
(ユーザが付すタグ)ユーザが投稿の際に付すタグである。ユーザが付すタグに制限はなく、自由にタグを付け加えることができる。
(機器が付すタグ)カメラやコンピュータ、その他自動システムによって自動的につけられたタグである。
(画像認識によって付されるタグ)畳み込みニューラルネットワークを用いて画像認識をし、タグ付けしたものである。メタ情報自体は、単数又は複数のタグとそれぞれについて検出確率が付随する。
【0057】
タグの使用は特に限定されるものではなく、例えば、画像認識によって付されるタグを優先し、このタグがない場合はユーザが付すタグを使用し、どちらもない場合に限り機器が付すタグを用いる等適宜実施してよい。
【0058】
4.情報処理方法
本節では、前述した情報処理システム1の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、次の各ステップを備える。読出ステップでは、ユーザ端末2によって入力されたユーザの嗜好情報PIを読み出す。嗜好情報PIは、ユーザの観光に対する好みを示す情報である。提案ステップでは、嗜好情報を分析モデルAMに入力することで、少なくとも1つの観光体験60を提案する。提案された観光体験60は、観光する観光場所61とこの観光場所61での行動(例えば行動を示す行動単語62等)とを含む。
【0059】
図12は、情報処理システム1によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、説明するものとする。ここでは、ユーザは、観光体験のリサーチをしている旅行計画者であるものとして説明する。なお、あくまでも一例でありユーザはこの限りではない。
【0060】
旅行計画者であるユーザが情報処理システム1によって提案されるサービスのURLにアクセスすると、サーバ3において、生成部334がログイン画面4を生成し(アクティビティA101)、送信部335が、これをネットワークを介してユーザ端末2に送信する。つまり、サーバ3における通信部31がユーザ端末2から送信されたURLのリクエストを受信し、サーバ3における制御部33が、リクエストに基づいてログイン画面4を生成し、これが通信部31及びネットワークを介して、ユーザ端末2に送信される。
【0061】
図13は、ログイン画面4の一例を示す概要図である。ログイン画面4は、例えば、ユーザ名を入力する入力欄41と、パスワードを入力する入力欄42と、ログイン時に押下するログインボタン43と、登録時に選択する登録リンク44とを備えている。ユーザが、情報処理システム1によって提案されるサービスに対して、すでにアカウントを有している場合は、入力欄41にユーザ固有のユーザ名を入力し、入力欄42にユーザ名に紐づくパスワードを入力し、ログインボタン43をクリックやタップする等して押下すればよい。一方、ユーザがアカウントを有していない場合は、登録リンク44をクリックやタップする等して選択すればよい。登録リンク44を選択した場合、ユーザ端末2の表示部24にアカウント登録用の画面(不図示)が表示され、ユーザが必要に応じて、ユーザの情報を入力すればよい(アクティビティA102)。
【0062】
アカウント登録に際して、ユーザのアカウントに関する情報の入力が完了されると、ネットワークを介してサーバ3にその情報が送信され、サーバ3における記憶部32にユーザのアカウントに関する情報、例えばユーザ名やパスワード等がデータベースとして記憶される。
【0063】
アカウント登録が完了すると、続いて、サーバ3における生成部334は、第1の生成ステップとして、観光に関する画像51に関するアンケート画面5(第1の視覚情報の一例)を生成する(アクティビティA103)。すなわち、サーバ3における記憶部32にユーザのアカウントに関する情報が記憶された後に、サーバ3における制御部33が、記憶部32に記憶された所定のプログラムを実行することで、アンケート画面5を生成している。送信部335は、アンケート画面5を通信部31及びネットワークを介して、ユーザ端末2に送信する。
【0064】
図14は、アンケート画面5の一例を示す概要図である。ユーザは、表示部24に表示されたアンケート画面5に含まれるアンケートに入力部25を用いて回答する(アクティビティA104)。この回答結果は、ユーザの嗜好情報PIの一例となる。このような態様によれば、アンケートというユーザフレンドリーな形式で、予めユーザの画像51に対するフィードバックがユーザの好みの指標として取得することができる。
【0065】
図14に示されるように、好ましくは、第1の視覚情報の一例であるアンケート画面5は、複数の、画像51及びスライダー52(オブジェクトの一例)を備える。スライダー52は、ユーザが各画像51に対する興味の度合いを入力可能に構成される。このように、単なる好き嫌いの二択ではなく、興味の度合いが入力可能となることで、より精度の高い観光体験60の提案を実現することができる。また、画像51が複数あることに留意されたい。例えば、
図14に示されるように、アンケート画面5は、複数の一例である4つの画像51a,51b,51c,51dを含み、それぞれに対応する、スライダー52a,52b,53c,54dを含む。このように画像51が複数あることで、後述する嗜好情報PIの情報量を高めることができ、より精度の高い観光体験60の提案を実現することができる。
【0066】
続いて、サーバ3における受付部331は、第1の受付ステップとして、ユーザ端末2からアンケート画面5(第1の視覚情報の一例)に対する入力を嗜好情報PIとして受け付ける。具体的には、ネットワークを介してサーバ3にアンケートに対する回答が送信され、サーバ3における記憶部32にアンケートの回答結果が、ユーザと紐付けられて記憶される。
【0067】
ユーザがアカウントを既に有しており、ログインボタン43が押下された場合、提案部333がアンケート画面5等の第1の視覚情報を生成してもよいが、好ましくは、生成部334は、ユーザが初めて嗜好情報PIを入力するユーザであると判断された場合に、アンケート画面5(第1の視覚情報の一例)を生成する。つまり、
図12に示されるように、ユーザがアカウントを既に有している場合は、アンケート画面5の表示が省略されるとよい。このように、アンケートの入力を初回に限定することで、毎回入力する手間が省け、ユーザビリティが向上する。
【0068】
続いて、読出部332は、読出ステップとして、ユーザ端末2によって入力されたユーザの嗜好情報PIを読み出す。具体的には、サーバ3における制御部33が、記憶部32に記憶された嗜好情報PIを読み出す。ここで、嗜好情報PIは、ユーザの観光に対する好みを示す情報である。嗜好情報PIは、例えば、受付部331が受け付けたアンケートの回答結果や、後述する推薦画面6に対するユーザの操作入力に基づいて決定されうる情報である。ユーザが既にアカウントを有している場合は、サーバ3における記憶部32が、前回のサービス利用時におけるユーザの嗜好情報PIを記憶しているため、アンケートの入力がなくても、読出部332が嗜好情報PIを読み出すことが可能である。
【0069】
続いて、提案部333は、提案ステップとして、嗜好情報PIを分析モデルAMに入力することで、少なくとも1つの観光体験60を提案する(アクティビティA105~A106)。ここで、提案された観光体験60は、観光する観光場所61とこの観光場所61での行動(例えば行動を示す行動単語62等)とを含むとよい。そして提案された観光体験60は、推薦画面6という形で、ユーザに視認可能に提供されるとよい。すなわち、生成部334は、第2の生成ステップとして、提案された観光体験60を含む推薦画面6(第2の視覚情報の一例)を生成する(アクティビティA107)。すなわち、サーバ3における制御部33が、記憶部32に記憶された所定のプログラムを実行することで、提案された観光体験60を含む推薦画面6を生成している。そして、送信部335は、推薦画面6を通信部31及びネットワークを介して、ユーザ端末2に送信する。
【0070】
アクティビティA105及びA106に関連して、より好ましくは、提案部333は、嗜好情報PIを分析モデルAMに入力することで、複数のグループのうち、ユーザと好みが近い複数人が所属するグループである所属グループBGを確率的に決定する(アクティビティA105)。あくまでも確率的な決定であり、必ずしも同一の所属グループBGに一意に定まるわけではないことに留意されたい。その後、提案部333は、所属グループBGに対して定められた確率分布に基づいて、観光体験60を提案する(アクティビティA106)。具体的には、サーバ3における制御部33が、記憶部32に記憶された、所属グループBGと、予め定められた確率分布とを参照して、ユーザに好ましいと考えられる観光体験60を特定する。このように、予め複数のグループを用意して、ユーザが所属する所属グループBGを確率的に決めることで、ユーザ自身のフィードバックが不足している際に適切な提案がなされにくい、というコールドスタート問題を解消することができる。また、一意ではなく確率的に提案がなされるため、毎回同じものが提案されない、という点でも、観光という日常と異なる体験にとって好ましいといえる。
【0071】
図15は、推薦画面6の一例を示す概要図である。
図15に示されるように、好ましくは、第2の視覚情報の一例である推薦画面6には、ユーザに好ましいと判断された順にソートされた複数の観光体験60が含まれるとよい。このような態様によれば、ユーザが上から順に提案された観光体験60を参照していけばよく、単に場所の近さ順等でソートする場合に比べて、よりユーザフレンドリーである。さらに好ましくは、第2の視覚情報の一例である推薦画面6は、観光体験60に含まれる行動を示す行動単語62のリストを含むとよい。このような態様によれば、ユーザはパット見でその観光する場所で何をすることが好ましいかを直感的に把握することができる。
【0072】
図15の例では、推薦画面6の左側において、ユーザに対して、商標寺、特許歴史館及び意匠神社が、観光体験60に含まれる観光場所61として提案されている。また、それぞれの観光場所61においてすることが好ましい行動を表す行動単語62が複数記載されている。例えば、商標寺には大きな鐘が存在し、この前で観光写真を撮ることが好ましいため、「鐘」、「撮影」という行動単語62が記載されている。また、商標寺で座禅を組むことができる場合、この座禅が一般的な観光における行動でないとしても、ユーザ又はユーザが所属する所属グループBGにとって好ましいと判断されることで、「座禅」という行動単語62が記載されている。特許歴史館や意匠神社についても、同様に好ましい行動を示す行動単語62が提案されている。
【0073】
また、第2の視覚情報の一例である推薦画面6は、観光体験60に含まれる観光する観光場所61を表した地
図63を含むとよい。
図15の例では、推薦画面6の右側において地
図63が表示され、観光場所61の位置が地
図63上にスポットピンのアイコン64によって、ユーザが把握可能に示されている。このアイコン64は、推薦画面6の左側にある観光体験60の観光場所61に対応させてもよいが、好ましくは、これ以外の、ユーザの好みからは外れていると推定されている観光する観光場所61を含むとよい。このように、好ましい順に観光体験60がソートされて表示される一方で、ユーザの好みに合わせて又は好みと別途に、観光する観光場所61の位置を俯瞰することができるように工夫がなされており、よりユーザフレンドリーである。もちろん、観光体験60を提案する推薦画面6の画面上の位置と、地
図63の推薦画面6の画面上の位置とは単なる一例であり、この限りではない。これは、上下に配置してもよいし、左右逆に配置してもよい。
【0074】
さらに、ユーザは、表示部24に表示された推薦画面6に含まれる観光体験60を、入力部25を用いて選択することができる。これにより、サーバ3における受付部331は、第2の受付ステップとして、推薦画面6に対してユーザが選択した観光体験60を嗜好情報PIとして受け付ける。具体的には、ユーザ端末2からネットワークを介して、サーバ3に観光体験60に対する選択が送信され、サーバ3における記憶部32に観光体験60の選択結果が、ユーザと紐付けられて記憶されるとよい。このような選択が、嗜好情報PIの一例であることが好ましい。このように、推薦画面6に対するユーザの入力をさらにフィードバックさせることで、より精度の高い観光体験60の提案を実現することができる。なお、ユーザは、観光体験60だけでなく、観光場所61、行動単語62又はアイコン64を選択可能に実施されてもよい。
【0075】
なお、好ましくは、
図12に示されるように、ユーザに選択された観光体験60を嗜好情報PIの一例として、ユーザが所属する所属グループBGを更新してもよい。かかる更新は、ユーザによる観光体験60の選択後、逐次実行されてもよいが、好ましくは、観光体験60の選択を蓄積しておいて、所定のタイミングで所属グループBGを更新するようにしてもよい。所定のタイミングは、特に限定されず、情報処理システム1が提供するサービスに、ユーザが再ログインしたときでもよいし、週や月における決まった日時でもよい。
【0076】
従来技術においては、観光する場所の候補がユーザの趣味嗜好と無関係に提案されていた。一方、本実施形態に係る情報処理では、ユーザに対して、ユーザが何処で何をすべきかを考慮した、ユーザの趣味嗜好に合わせた観光体験60を提案することができる。すなわち、以上のような情報処理によって、人気の高い観光地をユーザに一律的に教示せずに、ユーザの好みに合わせた観光地が教示されるため、オーバーツーリズムの問題等を抑制することができる。特に、近年では、ウイルスの流行(パンデミック)を抑制するために、人々が密集することを敬遠する傾向や需要が強く、このような需要にも大きく貢献することができる。
【0077】
5.その他
本実施形態に係る情報処理システム1に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0078】
(1)以上の実施形態では、情報処理システム1の構成として説明したが、コンピュータに、情報処理システム1における各ステップを実行させるプログラムが提供されてもよい。
【0079】
(2)アンケート画面5に含まれるオブジェクトは、好ましくは
図14に示されるようなスライダー52であるが、これに限定されず、ユーザの好みの度合いを入力可能であれば、その形態を問わない。例えば、数値を入力する入力欄でもよいし、晴れ/曇り/雨等の複数のアイコンでもよい。
【0080】
(3)アンケート画面5において、画像51とスライダー52とは、好ましくは
図14に示されるように1対1に対応するとよいが、これに限定されず、1対多や多対1や多対多に対応させてもよい。例えば、1枚の画像51に対して、面白さ、悲しさ、恐怖等というように、異なる尺度の度合いを入力可能に、複数のスライダー52が実施されてもよい。
【0081】
(4)生成部334は、アンケート画面5に代えて、ユーザが好む観光に関する画像を自らアップロードさせる画面を、第1の視覚情報として生成してもよい。すなわち、サーバ3における受付部331は、当該画面を通してユーザがアップロードした画像を嗜好情報PIとして受け付けてもよい。
【0082】
(5)第1の視覚情報は、好ましくは
図14に示されるようなアンケート画面5であるが、これに限定されず、嗜好情報PIとなりうるものであれば、その形態を問わない。例えば、好きな観光地とその感想とを入力する入力欄が複数実施され、これに回答することで嗜好情報PIを収集する形式でもよい。
【0083】
(6)観光体験60は、観光する時期をさらに含むように実施されてもよい。このように、観光体験60に時期を含むことで、ユーザにより好ましい観光体験60を提案することができる。
【0084】
(7)観光体験60は、観光する人の種類をさらに含むように実施されてもよい。ここで、観光する人の種類は、例えば所属グループBGに関する情報であってよい。このように、観光体験60にどのようなタイプ(種類)の人が良いかを含むことで、ユーザが好みのタイプを把握することができ、他の人と、タイプを見比べることで、その観光体験60をともにする同伴者を適切に決めることも可能となる。
【0085】
(8)第2の視覚情報は、観光体験60に含まれる行動を示す行動単語62に代えて、又はこれとともに、観光体験60に含まれる行動を示す画像を含んでもよい。
【0086】
(9)提案部333は、嗜好情報PIを分析モデルAMに入力することで、ユーザが好みそうな場所61及び行動単語62とを含む観光体験60を確率的にスコア化したランキングを提案するように実施してもよい。かかる場合、ユーザ、場所及びタグの種類といったデータごとにグループを生成し、そのグループを元に場所61及び行動を示す行動単語62を生成することが好ましい。それゆえ、場所61及び行動を示す単語62の生成確率を計算するために、グループを周辺化することが好ましい。
【0087】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理システムにおいて、次の各ステップをさらに実行するように構成され、第1の生成ステップでは、観光に関する画像に関する第1の視覚情報を生成し、第1の受付ステップでは、前記ユーザ端末から前記第1の視覚情報に対する入力を前記嗜好情報として受け付ける、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記第1の視覚情報は、複数の、前記画像及びオブジェクトを備え、前記オブジェクトは、前記ユーザが各画像に対する興味の度合いを入力可能に構成される、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記第1の生成ステップでは、前記ユーザが初めて嗜好情報を入力するユーザであると判断された場合に、前記第1の視覚情報を生成する、もの。
前記情報処理システムにおいて、次の各ステップをさらに実行するように構成され、第2の生成ステップでは、提案された前記観光体験を含む第2の視覚情報を生成し、第2の受付ステップでは、前記第2の視覚情報に対して前記ユーザが選択した観光体験を前記嗜好情報として受け付ける、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記第2の視覚情報には、前記ユーザに好ましいと判断された順にソートされた複数の前記観光体験が含まれる、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記第2の視覚情報は、前記観光体験に含まれる前記観光する場所を表した地図を含む、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記第2の視覚情報は、前記観光体験に含まれる前記行動を示す単語又は画像のリストを含む、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記提案ステップでは、前記嗜好情報を前記分析モデルに入力することで、複数のグループのうち、前記ユーザと好みが近い複数人が所属するグループである所属グループを確率的に決定し、前記所属グループに対して定められた確率分布に基づいて、前記観光体験を提案する、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記観光体験は、観光する時期をさらに含む、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記観光体験は、観光する人の種類をさらに含み、前記観光する人の種類は、前記所属グループに関する情報である、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記分析モデルは、ソーシャルネットワーキングサービスにおいて複数の者によって投稿された観光地の写真を用いて生成された、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記分析モデルは、前記観光地の写真を、各写真に含まれる位置情報タグの緯度及び経度からクラスタリングした結果を用いて生成された、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記分析モデルは、第1の仮説と、第2の仮説と、第3の仮説と、第4の仮説と、第5の仮説とのうちの少なくとも1つに基づいて生成され、前記第1の仮説において、趣味嗜好が似ている複数の人が存在し、前記趣味嗜好に基づいて、前記複数の人をグループに分類可能であり、前記第2の仮説において、人が観光する場所は、前記趣味嗜好に依存し、前記第3の仮説において、人の行動は、前記趣味嗜好に依存し、前記第4の仮説において、人が行動する時間は、前記趣味嗜好に依存し、前記第5の仮説において、前記人の行動は、前記人が観光する場所に依存する、もの。
プログラムであって、コンピュータに前記情報処理システムの各ステップを実行させる、もの。
情報処理方法であって、次の各ステップを備え、読出ステップでは、ユーザ端末によって入力されたユーザの嗜好情報を読み出し、ここで前記嗜好情報は、前記ユーザの観光に対する好みを示す情報で、提案ステップでは、前記嗜好情報を分析モデルに入力することで、少なくとも1つの観光体験を提案し、ここで提案された前記観光体験は、観光する場所とこの場所での行動とを含む、方法。
もちろん、この限りではない。
【0088】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0089】
1 :情報処理システム
2 :ユーザ端末
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :制御部
24 :表示部
25 :入力部
3 :サーバ
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :制御部
331 :受付部
332 :読出部
333 :提案部
334 :生成部
335 :送信部
4 :ログイン画面
41 :入力欄
42 :入力欄
43 :ログインボタン
44 :登録リンク
5 :アンケート画面
51 :画像
51a :画像
51b :画像
51c :画像
51d :画像
52 :スライダー
52a :スライダー
52b :スライダー
53c :スライダー
54d :スライダー
6 :推薦画面
60 :観光体験
61 :場所
62 :単語
63 :地図
64 :アイコン
AM :分析モデル
BG :所属グループ
PI :嗜好情報