(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071900
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】推定システム、及び推定プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220510BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220510BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20220510BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20220510BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20220510BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20220510BHJP
G01R 31/387 20190101ALI20220510BHJP
G01R 31/371 20190101ALI20220510BHJP
G01R 31/3842 20190101ALI20220510BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20220510BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20220510BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/00 Y
H02J7/00 P
H01M10/48 P
B60L58/12
B60L58/16
B60L53/68
G01R31/392
G01R31/387
G01R31/371
G01R31/3842
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181018
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】520054703
【氏名又は名称】シェアード・モビリティ・ネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】畑 翼
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA02
2G216BA03
2G216BA04
2G216BA22
2G216BA61
2G216CA01
2G216CA04
2G216CB34
2G216CC04
2G216CD01
2G216CD03
5G503BB02
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC08
5H125BC09
5H125BC24
5H125BE01
5H125CC04
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE30
(57)【要約】
【課題】バッテリの充電残量又は劣化の推定精度を向上させることを可能にする推定システム、及び推定プログラムを提供する事を目的とする。
【解決手段】車両1のバッテリ11の充電残量又は劣化を推定するサーバ装置4であって、少なくとも、バッテリ11の放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、バッテリ11の放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する取得部431と、取得部431が取得した放電時電流情報及び放電時電圧情報に基づいて、バッテリ11の充電残量又は劣化を推定する推定部432と、を備え、推定部432は、取得部431が取得した放電時電流情報及び放電時電圧情報に基づいてバッテリ11の放電量を演算し、演算されたバッテリ11の放電量と、バッテリ11の最大の充電容量であるものと推定される推定満充電容量とに基づいて、バッテリ11の充電残量を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両のバッテリの充電残量又は劣化を推定する推定システムであって、
少なくとも、前記バッテリの放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、前記バッテリの放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて、前記バッテリの充電残量又は劣化を推定する推定手段と、
を備える推定システム。
【請求項2】
前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて前記バッテリの放電量を演算し、演算された前記バッテリの放電量と、前記バッテリの最大の充電容量であるものと推定される推定満充電容量とに基づいて、前記バッテリの充電残量を推定する、
請求項1に記載の推定システム。
【請求項3】
前記バッテリの暫定充電残量と前記バッテリの放電時の暫定電圧値との関係を示す関係情報を格納する関係情報格納手段と、
前記推定満充電容量を修正する第1修正手段と、を更に備え、
前記第1修正手段は、
前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する第1修正手段側第1処理と、
前記第1修正手段側第1処理において特定された前記暫定充電残量と、前記推定満充電容量と、前記バッテリの放電量と、所定の基準に対する前記バッテリの放電量の割合とに基づいて、前記推定満充電容量を修正する第1修正手段側第2処理と、を行い、
前記推定手段は、前記第1修正手段側第2処理で修正された前記推定満充電容量に基づいて、前記バッテリの充電残量を推定する、
請求項2に記載の推定システム。
【請求項4】
前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報を修正する第2修正手段、を備え、
前記第2修正手段は、
前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する第2修正手段側第1処理と、
前記第2修正手段側第1処理において特定された前記暫定充電残量と、前記推定満充電容量と、前記バッテリの放電量と、所定の基準に対する前記バッテリの放電量の割合とに基づいて、前記関係情報を修正する第2修正手段側第2処理と、を行い、
前記第1修正手段は、前記第1修正手段側第1処理において、前記第2修正手段側第2処理にて修正された前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する、
請求項3に記載の推定システム。
【請求項5】
前記推定手段は、前記第1修正手段側第2処理で修正された前記推定満充電容量と、閾値とに基づいて、前記バッテリの劣化を推定する、
請求項3又は4に記載の推定システム。
【請求項6】
電動車両のバッテリの充電残量又は劣化を推定する推定プログラムであって、
コンピュータを、
少なくとも、前記バッテリの放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、前記バッテリの放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて、前記バッテリの充電残量又は劣化を推定する推定手段と、
として機能させる推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定システム、及び推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搭載したバッテリに充電された電力を利用して走行する電動車両が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、特許文献1の電動車両を含めて、バッテリに充電された電力を利用して走行する電動車両においては、例えば、1台の電動車両を複数名で共有して利用させるいわゆるシェアリングサービスにて利用される場合があった。
【0004】
このようにシェアリングサービスにて電動車両を利用する場合、電動車両を適切に走行させる観点から、当該電動車両に搭載されているバッテリにおける充電されているエネルギーの残量(以下、充電残量)又は当該バッテリの劣化を管理する必要があった。
【0005】
この充電残量又は劣化については、従来は、バッテリの電圧を測定し、当該測定した電圧に基づいて推定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来は電圧に基づいて充電残量又は劣化を推定していたので、バッテリの個体差等に起因して当該バッテリの充電残量又は劣化の推定精度が低下する可能性があった。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みなされたもので、バッテリの充電残量又は劣化の推定精度を向上させることを可能にする推定システム、及び推定プログラムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の推定システムは、電動車両のバッテリの充電残量又は劣化を推定する推定システムであって、少なくとも、前記バッテリの放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、前記バッテリの放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて、前記バッテリの充電残量又は劣化を推定する推定手段と、を備える。
【0010】
請求項2に記載の推定システムは、請求項1に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて前記バッテリの放電量を演算し、演算された前記バッテリの放電量と、前記バッテリの最大の充電容量であるものと推定される推定満充電容量とに基づいて、前記バッテリの充電残量を推定する。
【0011】
請求項3に記載の推定システムは、請求項2に記載の推定システムにおいて、前記バッテリの暫定充電残量と前記バッテリの放電時の暫定電圧値との関係を示す関係情報を格納する関係情報格納手段と、前記推定満充電容量を修正する第1修正手段と、を更に備え、前記第1修正手段は、前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する第1修正手段側第1処理と、前記第1修正手段側第1処理において特定された前記暫定充電残量と、前記推定満充電容量と、前記バッテリの放電量と、所定の基準に対する前記バッテリの放電量の割合とに基づいて、前記推定満充電容量を修正する第1修正手段側第2処理と、を行い、前記推定手段は、前記第1修正手段側第2処理で修正された前記推定満充電容量に基づいて、前記バッテリの充電残量を推定する。
【0012】
請求項4に記載の推定システムは、請求項3に記載の推定システムにおいて、前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報を修正する第2修正手段、を備え、前記第2修正手段は、前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する第2修正手段側第1処理と、前記第2修正手段側第1処理において特定された前記暫定充電残量と、前記推定満充電容量と、前記バッテリの放電量と、所定の基準に対する前記バッテリの放電量の割合とに基づいて、前記関係情報を修正する第2修正手段側第2処理と、を行い、前記第1修正手段は、前記第1修正手段側第1処理において、前記第2修正手段側第2処理にて修正された前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する。
【0013】
請求項5に記載の推定システムは、請求項3又は4に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記第1修正手段側第2処理で修正された前記推定満充電容量と、閾値とに基づいて、前記バッテリの劣化を推定する。
【0014】
請求項6に記載の推定プログラムは、電動車両のバッテリの充電残量又は劣化を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、少なくとも、前記バッテリの放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、前記バッテリの放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて、前記バッテリの充電残量又は劣化を推定する推定手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の推定システム、及び請求項6に記載の推定プログラムによれば、放電時電流情報及び放電時電圧情報に基づいて、バッテリの充電残量又は劣化を推定することにより、例えば、電圧に加えて電流も考慮して推定することができるので、バッテリの充電残量又は劣化の推定精度を向上させることが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の推定システムによれば、バッテリの放電量と推定満充電容量とに基づいてバッテリの充電残量を推定することにより、例えば、比較的単純な処理にてバッテリの充電残量を推定することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の推定システムによれば、推定満充電容量を修正する第1修正手段を備えることにより、例えば、推定満充電容量を適切に修正することができるので、バッテリの充電残量の推定精度を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の推定システムによれば、関係情報を修正する第2修正手段を備えることにより、例えば、関係情報を適切に修正することができるので、バッテリの充電残量の推定精度を向上させることが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の推定システムによれば、推定満充電容量と閾値とに基づいてバッテリの劣化を推定することにより、例えば、比較的単純な処理にてバッテリの劣化を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に係る管理システムを機能概念的に示すブロック図である。
【
図3】電圧充電残量関係情報を説明するためのグラフである。
【
図4】推定満充電容量特定情報を例示した図である。
【
図7】車載機情報格納処理のフローチャートである。
【
図8】バッテリにおける放電側端子の電圧値の時間変化を例示した図である。
【
図9】バッテリにおける放電側端子の電圧値の時間変化を例示した図である。
【
図11】バッテリ履歴情報格納処理のフローチャートである。
【
図15】修正後の電圧充電残量関係情報を例示した図である。
【
図16】修正後の電圧充電残量関係情報を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る電動車両の推定システム及び推定プログラムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、推定システム、及び推定プログラムに関する。本発明に係る推定システムは、バッテリの充電残量又は劣化を推定するシステムであり、例えば、電動車両のバッテリの充電残量又は劣化を推定するための専用システム、あるいは、汎用的に用いられるコンピュータ(一例としては、サーバ、分散配置されたコンピュータから成るクラウドコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の如き携帯端末等)に対してバッテリの充電残量又は劣化を推定するための機能を実装することにより実現されるシステム等を含む概念である。
【0023】
「バッテリ」とは、エネルギーを蓄積する蓄積手段であり、具体的には、電動車両を動作させるための電力が蓄電されている蓄電手段であり、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、及びリチウムイオン電池等を用いて構成することができる。
【0024】
「電動車両」とは、バッテリに充電されている電力を主な動力源として走行する車両を示す概念であり、例えば、電動2輪車、電動3輪車、電動4輪車、及び電動アシスト自転車等を含む概念である。
【0025】
「バッテリの残量」とは、例えば、バッテリにおける充電されているエネルギーの残量を示す概念である。「バッテリの劣化」とは、バッテリの品質又は性能が基準よりも悪くなることを示す概念である。また、「バッテリの劣化を推定する」とは、バッテリの劣化に関する推定を行うことを示す概念であり、例えば、バッテリの劣化の有無を推定することを含む概念である。
【0026】
この推定システムの適用例は任意であり、例えば、電動車両の予約管理を行う公知のシステムに適用してもよいし、他の公知のシステムに適用してもよいが、本実施の形態では、公知のシステムによって実現される内容については説明を省略し、バッテリの充電残量又は劣化を推定する内容について説明する。
【0027】
「推定システム」とは、例えば、取得手段、及び推定手段を備えており、任意で、関係情報格納手段、第1修正手段、及び第2修正手段を備える。
【0028】
===各手段===
「取得手段」とは、少なくとも、バッテリの放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、バッテリの放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する手段等を含む概念である。
【0029】
「推定手段」とは、取得手段が取得した放電時電流情報及び放電時電圧情報に基づいて、バッテリの充電残量又は劣化を推定する手段等を含む概念である。また、「推定手段」とは、例えば、取得手段が取得した放電時電流情報及び放電時電圧情報に基づいてバッテリの放電量を演算し、演算されたバッテリの放電量と、推定満充電容量とに基づいて、バッテリの充電残量を推定する手段等を含む概念である。また、「推定手段」とは、例えば、第1修正手段側第2処理で修正された推定満充電容量に基づいて、バッテリの充電残量を推定する手段等を含む概念である。また、「推定手段」とは、例えば、第1修正手段側第2処理で修正された推定満充電容量と、閾値とに基づいて、バッテリの劣化を推定する手段等を含む概念である。
【0030】
「バッテリの放電量」とは、バッテリから放電された電力の量等を含む概念である。「推定満充電容量」とは、バッテリの最大の充電容量(つまり、満充電容量)であるものと推定される容量等を含む概念である。
【0031】
「関係情報格納手段」とは、関係情報を格納する手段等を含む概念である。「関係情報」とは、バッテリの暫定充電残量とバッテリの放電時の暫定電圧値との関係を示す情報等を含む概念である。「バッテリの暫定充電残量」とは、例えば、バッテリにおける暫定的な充電残量を示す概念であり、また、推定満充電容量を修正する場合に用いられる概念である。「バッテリの放電時の暫定電圧値」とは、例えば、バッテリにおける暫定的な放電時の電圧値を示す概念であり、また、推定満充電容量を修正する場合に用いられる概念である。また、これらのバッテリの暫定充電残量とバッテリの放電時の暫定電圧値との関係を示す関係情報としては任意の情報を用いることができるが、以下に示す実施の形態では、初期
情報として予め定められている情報を用い、この初期情報を適宜更新して用いる場合について説明する。
【0032】
「第1修正手段」とは、例えば、推定満充電容量を修正する手段等を含む概念であり、また、第1修正手段側第1処理と、第1修正手段側第2処理とを行う手段等を含む概念であり、また、第1修正手段側第1処理において、第2修正手段側第2処理にて修正された関係情報に基づいて、取得手段が取得した放電時電圧情報に対応する暫定充電残量を特定する手段等を含む概念である。
【0033】
「第1修正手段側第1処理」とは、例えば、関係情報格納手段に格納されている関係情報に基づいて、取得手段が取得した放電時電圧情報に対応する暫定充電残量を特定する処理等を含む概念である。「第1修正手段側第2処理」とは、例えば、第1修正手段側第1処理において特定された暫定充電残量と、推定満充電容量と、バッテリの放電量と、所定の基準に対するバッテリの放電量の割合とに基づいて、推定満充電容量を修正する処理等を含む概念である。
【0034】
「所定の基準」とは、バッテリの放電量の割合を定める基準であり、具体的には、バッテリの放電量と比べられる対象等を含む概念であり、任意に設定することができるが、以下に示す実施の形態では、所定の基準が「実測満充電容量」である場合について説明する。なお、「実測満充電容量」については後述する。
【0035】
「第2修正手段」とは、例えば、関係情報格納手段に格納されている関係情報を修正する手段等を含む概念であり、また、第2修正手段側第1処理と、第2修正手段側第2処理とを行う手段等を含む概念である。
【0036】
「第2修正手段側第1処理」とは、例えば、関係情報格納手段に格納されている関係情報に基づいて、取得手段が取得した放電時電圧情報に対応する暫定充電残量を特定する処理等を含む概念である。「第2修正手段側第2処理」とは、例えば、第2修正手段側第1処理において特定された暫定充電残量と、推定満充電容量と、バッテリの放電量と、所定の基準に対するバッテリの放電量の割合とに基づいて、関係情報を修正する処理等を含む概念である。
【0037】
そして、以下の実施の形態において、「電動車両」が電動2輪車である場合において、「推定システム」が電動車両のバッテリの充電残量及び当該バッテリの劣化の両方を推定する場合について説明する。
【0038】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0039】
(構成)
まず、本実施の形態に係る管理システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る管理システムを機能概念的に示すブロック図である。なお、車両1の個数は任意であり、多数設けられているが、ここでは、一部の構成要素のみを代表して具体的に図示して説明する。また、車両101~102を相互に区別する必要がない場合、車両1と総称して説明する。
【0040】
図1の管理システム100は、電動車両を管理するためのシステムであり、例えば、車両1、端末装置3、及びサーバ装置4を備える。
【0041】
(構成‐車両)
車両1は、電動車両であり、例えば、ユーザによって必要に応じて使用される電動2輪車である。この車両1の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、
図1に示すように、バッテリ11、モータ12、及び車載機2を備える。
【0042】
(構成‐車両‐バッテリ)
バッテリ11は、車両1を動作させて走行させるためのエネルギー(具体的には電力)を蓄積する蓄積手段であり、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、又はリチウムイオン電池等を用いて構成することができる。このバッテリ11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、バッテリ11の電力を放電するための放電側端子、及び当該バッテリ11の電力を充電するための充電側端子(放電側端子とは別体となっている端子)が設けられていることとして説明する。
【0043】
(構成‐車両‐モータ)
モータ12は、車両1を駆動して走行させるための駆動手段であり、例えば、バッテリ11に蓄積されてエネルギーに基づく電力を利用して、車両1の車輪を回転させることにより当該車両1を走行させるものである。
【0044】
(構成‐車両‐車載機)
車載機2、車両1を制御するための装置であり、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0045】
(構成‐車両‐車載機‐通信部)
通信部21は、外部装置との間で通信を行う通信手段であり、例えば、サーバ装置4との間で無線通信を行うものである。なお、ここでの通信手法は任意であるが、例えば、いわゆるLTE(Long Term Evolution)回線を介して通信する手法を適用してもよいし、あるいは、インターネット回線を介して通信する手法を適用してもよい。
【0046】
(構成‐車両‐車載機‐記録部)
記録部22は、車載機2の動作(つまり、車両1の動作)に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、フラッシュメモリ又は外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成することができる。そして、この記録部22には、
図1に示されているように、バッテリIDが格納されている。「バッテリID」とは、車載機2が搭載されている車両1に設けられているバッテリ11を一意に識別するためのバッテリ識別情報(以下、識別情報を「ID」とも称する)である。ここでは、例えば、車両101に搭載されている車載機2の記録部22には、車両101に搭載されているバッテリ11を一意に識別する「バッテリID」として「IDb001」が格納されており、また、車両102に搭載されている不図示の車載機2の記録部には、車両102に搭載されている不図示のバッテリ11を一意に識別する「バッテリID」として「IDb002」が格納されていることとして説明する。
【0047】
(構成‐車両‐車載機‐制御部)
制御部23は、車載機2を制御する(つまり、車両1を制御する)制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(他の装置の制御部も同様とする)。そして、このような制御部23により実行される処理については後述する。
【0048】
(構成‐端末装置)
端末装置3は、ユーザに携帯される携帯端末であり、例えば、タブレット端末又はスマートフォン等である。この端末装置3の具体的な構成としては、公知の構成を適用することができるので、詳細の説明を省略する。
【0049】
(構成-サーバ装置)
サーバ装置4は、前述の推定システムであり、例えば、通信部41、記録部42、及び制御部43を備える。
【0050】
(構成-サーバ装置-通信部)
図1の通信部41は、外部装置との間で通信するための通信手段であり、例えば、車両1の車載機2、及び端末装置3との間で無線通信を行うものである。
【0051】
(構成-サーバ装置-記録部)
図1の記録部42は、サーバ装置4の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、電圧充電残量関係情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)DB421、推定満充電容量特定情報DB422、車載機情報DB423、及びバッテリ履歴情報DB424を備える。
【0052】
(構成-サーバ装置-記録部-電圧充電残量関係情報DB)
図1の電圧充電残量関係情報DB421とは、前述の関係情報格納手段であり、電圧充電残量関係情報を格納する電圧充電残量関係情報格納手段である。「電圧充電残量関係情報」とは、前述の関係情報であり、バッテリ11の暫定充電残量とバッテリ11の放電時の暫定電圧値との関係を示す情報である。
図2は、電圧充電残量関係情報を例示した図であり、
図3は、電圧充電残量関係情報を説明するためのグラフである。例えば、各車両1に設けられている各バッテリ11に関する電圧充電残量関係情報が格納されており、すなわち、
図1の車両101のバッテリ11に関する電圧充電残量関係情報、及び
図1の車両102の不図示のバッテリ11に関する電圧充電残量関係情報等が格納されているが、説明の便宜上、車両101のバッテリ11に関する電圧充電残量関係情報のみを図示して説明する。なお、この電圧充電残量関係情報については、バッテリIDと関連付けられた状態で格納されており、当該バッテリIDに基づいて各バッテリ11に関連付けられている電圧充電残量関係情報を特定して情報処理を行うことが可能となっていることとしてもよい。
【0053】
なお、
図2の電圧充電残量関係情報においては、
図3に例示されている電圧充電残量関係情報を示す各情報がテーブル形式で例示されており、「・・・」と図示されている部分にも実際には1個の以上の情報が格納されていることとする。なお、他の図における「・・・」と図示されている部分も同様とする。また、各図に具体的に図示されている数値情報の絶対値は、本願の特徴を説明するための便宜上の値等が例示されており、本願の技術の実際の適用状況に応じて様々な絶対値となることが想定される。
【0054】
「電圧充電残量関係情報」においては、例えば、
図2に示すように、項目「暫定電圧値情報」に対応する情報と、項目「暫定充電残量情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。項目「暫定電圧値情報」に対応する情報は、バッテリ11の放電時の暫定電圧値を示す暫定電圧値情報である(
図2では、バッテリ11の放電側端子の暫定電圧値を示す情報であり、単位が「V」であり「48」等)。項目「暫定充電残量情報」に対応する情報は、バッテリ11における暫定的な充電残量を示す暫定充電残量情報である(
図2では、単位が「Wh」であり「600」等)。
【0055】
そして、このような
図2の電圧充電残量関係情報については、バッテリ11の放電時の暫定電圧値が「48」の場合、当該暫定電圧値に対応する暫定充電残量情報が「600」であることが示されている。なお、このような電圧充電残量関係情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、初期値として予め定められている情報が任意の手法(例えば、所定の記録媒体を用いて格納する手法、あるいは、他のコンピュータとの間で通信する手法等)で格納され、後述する修正処理において修正されて更新される場合について説明する。
【0056】
(構成-サーバ装置-記録部-推定満充電容量特定情報DB)
図1の推定満充電容量特定情報DB422とは、推定満充電容量特定情報を格納する推定満充電容量特定情報格納手段である。「推定満充電容量特定情報」とは、各バッテリ11の前述の推定満充電容量を特定する情報である。
図4は、推定満充電容量特定情報を例示した図である。「推定満充電容量特定情報」においては、例えば、
図4に示すように、項目「バッテリID」に対応する情報と、項目「推定満充電容量情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。項目「バッテリID」に対応する情報は、前述のバッテリIDである(
図4では、「IDb001」等)。項目「推定満充電容量情報」に対応する情報は、関連付けられているバッテリIDが識別するバッテリ11の現在の推定満充電容量を示す推定満充電容量情報である(
図4では、単位が「Wh」であり「600」等)。
【0057】
そして、このような推定満充電容量特定情報の最上段の情報(つまり、「IDb001」及び「600」の組み合わせの情報)については、「IDb001」が識別する
図1の車両101に搭載されているバッテリ11の現在の推定満充電容量が「600」であることが示されている。なお、このような推定満充電容量特定情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、前述の電圧充電残量関係情報と同様にして、初期値として予め定められている情報が任意の手法で格納され、後述する修正処理において修正されて更新される場合について説明する。
【0058】
(構成-サーバ装置-記録部-車載機情報DB)
図1の車載機情報DB423は、車載機情報を格納する車載機情報格納手段である。「車載機情報」とは、車載機側で測定等されるバッテリ11の物理量等に関する情報であり、具体的には、バッテリ11の充電残量及び当該バッテリ11の劣化を推定するために用いられる情報である。
図5は、車載機情報を例示した図である。「車載機情報」においては、例えば、
図5に示すように、項目「バッテリID」に対応する情報と、項目「受信日時情報」に対応する情報と、項目「放電側電圧情報」に対応する情報と、項目「放電側電流量情報」に対応する情報と、項目「充電側電圧情報」に対応する情報と、項目「充電側電流量情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。
【0059】
項目「バッテリID」に対応する情報は、
図4の同一名称の情報と同様である(
図5では、「IDb001」等)。項目「受信日時情報」に対応する情報は、車載機情報に含まれる各情報を車載機側から受信した日時を示す受信日時情報である(
図5では、便宜上の記載であり、「t1」等)。項目「放電側電圧情報」に対応する情報は、バッテリ11の放電側端子の電圧値(つまり、バッテリ11の放電側端子に発生する電圧の値)を示す放電側電圧情報である(
図5では、単位が「V」であり「48.0」等)。項目「放電側電流量情報」に対応する情報は、バッテリ11の放電側端子から出力される電流量を示す放電側電流量情報である(
図5では、単位が「mAs」であり「210」等)。項目「充電側電圧情報」に対応する情報は、例えば、バッテリ11の充電側端子の電圧値(つまり、バッテリ11の充電側端子に印加される電圧の値)を示す充電側電圧情報である(
図5では、単位が「V」であり「48.0」等)。項目「充電側電流量情報」に対応する情報は、例えば、バッテリ11の充電側端子に供給される電流量を示す充電側電流量情報である(
図5では、単位が「mAs」であり「200」等)。
【0060】
そして、このような車載機情報の最上段の情報(つまり、「IDb001」、「t1」、「48.0」、「210」、「48.0」、及び「200」の組み合わせの情報)については、当該最上段の情報の受信日時が「t1」であることが示されており、また、「IDb001」が識別する
図1の車両101に搭載されているバッテリ11について、放電側電圧情報、放電側電流量情報、充電側電圧情報、及び充電側電流量情報が、「48.0」、「210」、「48.0」、及び「200」であることが示されている。なお、このような車載機情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述する車載機情報格納処理を実行することにより格納される。
【0061】
(構成-サーバ装置-記録部-バッテリ履歴情報DB)
図1のバッテリ履歴情報DB424は、バッテリ履歴情報を格納するバッテリ履歴情報格納手段である。「バッテリ履歴情報」とは、バッテリ11に関して推定等された履歴の情報である。
図6は、バッテリ履歴情報を例示した図である。「バッテリ履歴情報」においては、例えば、項目「バッテリID」に対応する情報と、項目「推定日時情報」に対応する情報と、項目「推定充電残量値情報」に対応する情報と、項目「推定充電残量割合情報」に対応する情報と、項目「推定満充電容量情報」に対応する情報と、項目「満充電フラグ情報」に対応する情報と、項目「交換フラグ情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。
【0062】
項目「バッテリID」に対応する情報は、
図4の同一名称の情報と同様である(
図6では、「IDb001」等)。項目「推定日時情報」に対応する情報は、バッテリ履歴情報に含まれる各情報を推定等した日時を示す推定日時情報である。この推定日時情報としては任意の情報を用いることができるが、例えば、後述するように、
図5の車載機情報が格納される毎に、当該格納された車載機情報に基づくバッテリ履歴情報が生成されて格納されることになるので、
図5の受信日時と同じ情報を用いる場合について説明する(
図6では、「t1」等)。項目「推定充電残量値情報」に対応する情報は、推定したバッテリ11の充電残量の値を示す推定充電残量値情報である(
図6では、単位が「Wh」であり「600」等)。項目「推定充電残量割合情報」に対応する情報は、推定したバッテリ11の充電残量の割合を示す推定充電残量割合情報である(
図6では、推定満充電容量情報が示す推定充電容量に対する割合であって単位が「%」であり「100」等)。項目「推定満充電容量情報」に対応する情報は、
図4の同一名称の情報と同様である(
図6では、「600」等)。
【0063】
項目「満充電フラグ情報」に対応する情報は、バッテリが満充電状態となっているか否かを示す満充電フラグ情報である。「満充電状態」とは、例えば、バッテリ11が当該バッテリ11の最大の充電容量まで充電された状態を示す概念である。この満充電フラグ情報としては任意の情報を用いることができるが、例えば、満充電状態であることを示す「満」、及び満充電状態でないことを示す「―」を用いる場合について説明する。
【0064】
項目「交換フラグ情報」に対応する情報は、バッテリ11の交換の必要性を示す交換フラグ情報である。この交換フラグ情報としては任意の情報を用いることができるが、例えば、バッテリ11が劣化しているために当該バッテリ11の交換が必要であることを示す「交換」(
図6では不図示)、及びバッテリ11が劣化しているわけではない(つまり、バッテリ11が劣化していない)ために当該バッテリ11の交換が必要でないことを示す「―」を用いる場合について説明する。
【0065】
そして、このようなバッテリ履歴情報の最上段の情報(つまり、「IDb001」、「t1」、「600」、「100」、「600」、「満」、及び「―」の組み合わせの情報)については、当該最上段の情報の推定日時が「t1」であることが示されており、また、「IDb001」が識別する
図1の車両101に搭載されているバッテリ11について、推定充電残量値情報、推定充電残量割合情報、及び推定満充電容量情報が、「600」、「100」、「600」であることが示されており、また、当該バッテリ11が満充電状態であることが示されており、また、バッテリ11が劣化しているわけではないために当該バッテリ11の交換が必要でないことが示されている。なお、このようなバッテリ履歴情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述するバッテリ履歴情報格納処理を実行することにより格納される。
【0066】
(構成-サーバ装置-制御部)
図1の制御部43は、サーバ装置4を制御する制御手段である。制御部43は、機能概念的に、例えば、取得部431、推定部432、及び修正部433を備える。取得部431は、少なくとも、バッテリ11の放電時の実測電流量を示す放電時電流情報(本実施の形態では、例えば、放電時に対応する放電側電流量情報)と、バッテリ11の放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報(本実施の形態では、例えば、放電時に対応する放電側電圧情報)とを取得する取得手段である。推定部432は、取得部431が取得した放電時電流情報及び放電時電圧情報に基づいて、バッテリ11の充電残量又は劣化を推定する推定手段である。修正部433とは、推定満充電容量を修正する第1修正手段であり、また、電圧充電残量関係情報DB421に格納されている電圧充電残量関係情報を修正する第2修正手段である。なお、この制御部43の各部によって実行される具体的な処理については後述する。
【0067】
(処理)
続いて、本実施の形態に係る管理システム100によって実行される車載機情報格納処理、及びバッテリ履歴情報格納処理について説明する。
【0068】
(処理-車載機情報格納処理)
まず、車載機情報格納処理について説明する。
図7は、車載機情報格納処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「車載機情報格納処理」とは、概略的には、車載機2及びサーバ装置4によって実行される処理であり、例えば、
図1の車載機情報DB423における車載機情報を格納するための処理である。この車載機情報格納処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、繰り返し起動を開始することとし、車載機情報格納処理が起動されたところから説明する。
【0069】
図8は、バッテリにおける放電側端子の電圧値の時間変化を例示した図である。ここでは、例えば、
図8に示すように、
図1の車両101について、不図示の充電装置の充電用プラグをバッテリ11の充電側端子に接続して充電することによりバッテリ11が満充電状態となった後に、充電用プラグを取り外して走行を開始し、この後に再度充電することにより、当該バッテリ11が満充電状態になる場合を例示して説明する。特に、バッテリ11の放電側端子の電圧値は、当該バッテリ11に充電されている電力の充電残量に応じて変動するので、走行により放電して充電残量が減少する場合に例えば「48」から「Vmin1」(具体的な電圧値についての、便宜上の記載である)まで減少し、充電により充電残量が増加して、これにより「48」まで増加する場合を例示して説明する。
【0070】
また、各バッテリ11に関する車載機情報を格納する処理は相互に同様であるので、
図1の車両101に搭載されているバッテリ11に関する車載機情報を格納する処理について説明する。
【0071】
===SA1===
まず、
図7のSA1において車載機2の制御部23は、第1実測情報を取得して、取得した当該第1実測情報を記録部22に格納する。
【0072】
=情報=
「第1実測情報」とは、車載機2側での実測結果を示す情報であり、例えば、放電側第1実測電圧情報、放電側第1実測電流量情報、充電側第1実測電圧情報、及び充電側第1実測電流量情報を含む情報である。「放電側第1実測電圧情報」とは、例えば、バッテリ11における放電側端子に発生した電圧(放電側電圧)を実測した値を示す情報であり、また、「放電側第1実測電流量情報」とは、バッテリ11における放電側端子から出力された電流(放電側電流)を実測した値を示す情報である。また、「充電側第1実測電圧情報」とは、例えば、バッテリ11における充電側端子に印加された電圧(充電側電圧)を実測した値を示す情報であり、また、「充電側第1実測電流量情報」とは、バッテリ11における充電側端子に供給された電流(充電側電流)を実測した値を示す情報である。
【0073】
=処理=
SA1の処理について具体的には任意であるが、例えば、車載機2に対してバッテリ11の各端子(放電側端子及び充電側端子)の電圧及び電流を第1時間(予め定められた時間であり、例えば、1秒)毎に実測する測定手段(例えば、測定機能又は測定装置等)が設けられていることとし、当該測定手段の測定結果を示す各情報を、第1時間毎に取得して記録部22に格納する。詳細には、測定手段に実測された放電側端子に発生した電圧の値を示す情報を放電側第1実測電圧情報として取得し、また、測定手段に実測された放電側端子から出力された電流の値を示す情報を放電側第1実測電流量情報として取得し、また、測定手段に実測された充電側端子に印加された電圧の値を示す情報を充電側第1実測電圧情報として取得し、また、測定手段に実測された充電側端子に供給された電流の値を示す情報を充電側第1実測電流量情報として取得して、取得した各情報を記録部22に格納する。
【0074】
ここでは、例えば、
図1の車両101について、車載機2の不図示の測定手段が、放電側端子の電圧及び電流として「48」及び「15」を測定し、また、充電側端子の電圧及び電流として「48」及び「13」を測定した場合、車載機2の制御部23は、「放電側第1実測電圧情報」=「48」、「放電側第1実測電流量情報」=「15」、「充電側第1実測電圧情報」=「48」、及び「充電側第1実測電流量情報」=「13」を取得して記録部22に格納する。
【0075】
===SA2===
次に、
図7のSA2において車載機2の制御部23は、第2実測情報を送信するか否かを判定する。
【0076】
=情報=
「第2実測情報」とは、第2時間(予め定められた前述の第1時間よりも長い時間であり、例えば、15秒)分の第1実測情報(例えば15個分の第1実測情報)に基づく情報であり、例えば、放電側第2実測電圧情報、放電側第2実測電流量情報、充電側第2実測電圧情報、及び充電側第2実測電流量情報を含む情報である。「放電側第2実測電圧情報」とは、例えば、第2時間分の放電側第1実測電圧情報(例えば15個分の放電側第1実測電圧情報)が示す電圧の値の平均値を示す情報であり、また、「放電側第2実測電流量情報」とは、例えば、第2時間分の放電側第1実測電流量情報(例えば15個分の放電側第1実測電流量情報)が示す電流の値の累計を示す情報である。「充電側第2実測電圧情報」とは、例えば、第2時間分の充電側第1実測電圧情報(例えば15個分の充電側第1実測電圧情報)が示す電圧の値の平均値を示す情報であり、また、「充電側第2実測電流量情報」とは、例えば、第2時間分の充電側第1実測電流量情報(例えば15個分の充電側第1実測電流量情報)が示す電流の値の累計を示す情報である。
【0077】
=処理=
SA2の処理について具体的には任意であるが、例えば、以前に送信された第2実測情報の基となっていない第2時間分(例えば15個分)の第1実測情報(以下、「未送信第1実測情報」とも称する)が記録部22に記録されているか否かに基づいて判定する。そして、第2時間分(例えば15個分)の「未送信第1実測情報」が未だ記録部22に記録されていない場合、第2実測情報を送信しないものと判定し(SA2のNO)、SA1に移行する。また、第2時間分(例えば15個分)の「未送信第1実測情報」が記録部22に記録されている場合、第2実測情報を送信するものと判定し(SA2のYES)、SA3に移行する。
【0078】
ここでは、例えば、前述の例示した第1実測情報(「放電側第1実測電圧情報」=「48」、「放電側第1実測電流量情報」=「15」、「充電側第1実測電圧情報」=「48」、及び「充電側第1実測電流量情報」=「13」)を含めて「未送信第1実測情報」が15個格納されている場合、第2実測情報を送信するものと判定する。
【0079】
===SA3===
次に、
図7のSA3において車載機2の制御部23は、第2実測情報を生成する。具体的には任意であるが、例えば、繰り返し行われるSA1で記録部22に格納された15個の「未送信第1実測情報」を取得し、取得した「未送信第1実測情報」に基づいて第2実測情報を生成する。詳細には、15個の放電側第1実測電圧情報が示す電圧の値の平均値を演算し、演算した当該平均値を示す放電側第2実測電圧情報を生成し、また、15個の放電側第1実測電流量情報が示す電流の値の累計を演算し、演算した当該累計を示す放電側第2実測電流量情報を生成する。次に、15個の充電側第1実測電圧情報が示す電圧の値の平均値を演算し、演算した当該平均値を示す充電側第2実測電圧情報を生成し、また、15個の充電側第1実測電流量情報が示す電流の値の累計を演算し、演算した当該累計を示す充電側第2実測電流量情報を生成する。このようにして、第2実測情報を生成する。
【0080】
ここでは、例えば、「放電側第1実測電圧情報」=「48」を含む15個の放電側第1実測電圧情報に基づいて「放電側第2実測電圧情報」=「48」を生成し、また、「放電側第1実測電流量情報」=「15」を含む15個の放電側第1実測電流量情報に基づいて「放電側第2実測電流量情報」=「210」を生成する。また、例えば、「充電側第1実測電圧情報」=「48」を含む15個の充電側第1実測電圧情報に基づいて「充電側第2実測電圧情報」=「48」を生成し、また、「充電側第1実測電流量情報」=「13」を含む15個の充電側第1実測電流量情報に基づいて「充電側第2実測電流量情報」=「200」を生成する。
【0081】
===SA4===
次に、
図7のSA4において車載機2の制御部23は、バッテリID及び第2実測情報を、通信部21を介してサーバ装置4に送信する。具体的には任意であるが、例えば、自己の記録部22に記録されているバッテリIDを取得し、また、SA3で生成した第2実測情報を取得し、取得したバッテリID及び第2実測情報をサーバ装置4に送信する。
【0082】
ここでは、例えば、車両101の車載機2の制御部23は、自己の記録部22に記録されている「バッテリID」=「IDb001」を取得し、また、SA3で生成した第2実測情報(「放電側第2実測電圧情報」=「48」、「放電側第2実測電流量情報」=「210」、「充電側第2実測電圧情報」=「48」、及び「充電側第2実測電流量情報」=「200」)(以下、「例示の第2実測情報」とも称する)を取得し、取得した「バッテリID」=「IDb001」及び「例示の第2実測情報」をサーバ装置4に送信する。
【0083】
===SB1===
一方、
図7のSB1においてサーバ装置4の制御部43は、SA4で送信されたバッテリID及び第2実測情報を、通信部41を介して受信する。
【0084】
ここでは、例えば、車両101の車載機2から送信された「バッテリID」=「IDb001」及び「例示の第2実測情報」を受信する。
【0085】
===SB2===
次に、
図7のSB2においてサーバ装置4の制御部43は、SB1で受信した情報に基づいて、
図1の車載機情報DB423に車載機情報を格納する。具体的には任意であるが、例えば、任意の手法(例えば、サーバ装置4の不図示の計時手段(タイマ等)の計時結果を参照する手法)に基づいてSB1で情報を受信した日時を特定した上で、SB1で受信したバッテリIDを、
図5のバッテリIDとして格納し、また、特定した日時を、
図5の受信日時情報として格納し、また、SB1で受信した第2実測情報の放電側第2実測電圧情報、放電側第2実測電流量情報、充電側第2実測電圧情報、及び充電側第2実測電流量情報を、
図5の放電側電圧情報、放電側電流量情報、充電側電圧情報、充電側電流量情報として格納する。
【0086】
ここでは、例えば、任意の手法に基づいてSB1で情報を受信した日時として「t1」を特定した場合、この特定した「t1」、及びSB1で受信した「バッテリID」=「IDb001」及び「例示の第2実測情報」に基づいて、
図5の最上段の情報(つまり、「IDb001」、「t1」、「48.0」、「210」、「48.0」、及び「200」の組み合わせの情報)を格納する。
【0087】
そして、前述の各処理を繰り返すことにより、
図8の例示に対応する情報として、例えば
図5の「t1」~「t6」等に関連付けられている情報が格納されることになる。
【0088】
図9は、バッテリにおける放電側端子の電圧値の時間変化を例示した図である。この
図9は、
図8に続く状態が例示されており、すなわち、
図8でバッテリ11が満充電状態となった後に、充電用プラグを取り外して走行を開始し、再度充電することにより、当該バッテリ11が満充電状態になる場合を例示している。この
図9では、特に、バッテリ11の放電側端子の電圧値は、走行により放電して充電残量が減少する場合に例えば「48」から「Vmin2」(具体的な電圧値についての、便宜上の記載であり、
図8の「Vmin1」よりも低い値)まで減少し、充電により充電残量が増加し、これにより「48」まで増加する場合が例示されている。
【0089】
図10は、車載機情報を例示した図である。前述の各処理を繰り返すことにより、
図8に続く
図9の例示に対応する情報として、例えば
図10の「t11」~「t16」等に関連付けられている情報が格納されることになる。これにて、車載機情報格納処理を終了する。
【0090】
(処理-バッテリ履歴情報格納処理)
次に、バッテリ履歴情報格納処理について説明する。
図11は、バッテリ履歴情報格納処理のフローチャートである。「バッテリ履歴情報格納処理」とは、概略的には、サーバ装置4によって実行される処理であり、例えば、
図1のバッテリ履歴情報DB424におけるバッテリ履歴情報を格納するための処理である。このバッテリ履歴情報格納処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、前述の車載機情報格納処理の
図7のSB2において車載機情報が格納される度に起動を開始することとし、バッテリ履歴情報格納処理が起動されたところから説明する。
【0091】
ここでは、例えば、
図1の電圧充電残量関係情報DB421、及び推定満充電容量特定情報DB422に、
図2の電圧充電残量関係情報及び
図4の推定満充電容量特定情報が格納されている場合を適宜例示して説明する。
【0092】
===SC1===
まず、
図11のSC1においてサーバ装置4の取得部431は、車載機情報を取得する。具体的には任意であるが、例えば、バッテリ履歴情報格納処理の起動の直近に格納された車載機情報(以下、「対象車載機情報」とも称する)に含まれるバッテリIDを取得し、取得したバッテリIDが識別するバッテリ11を、処理対象となるバッテリ11である「処理対象バッテリ」として特定し、
図1の車載機情報DB423を参照して、当該特定した処理対象のバッテリ11のバッテリIDと同じバッテリIDが関連付けられている車載機情報を取得する。
【0093】
ここでは、例えば、
図5の「t3」に関連付けられている車載機情報(つまり、「IDb001」、「t3」、「46.0」、「45000」、「0」、及び「0」の組み合わせの情報)(以下、「「t3」の車載機情報」とも称し、他の情報も同様にして称する)が格納されてバッテリ履歴情報格納処理が起動された場合、当該「t3」の車載機情報が「対象車載機情報」となるので、当該「t3」の車載機情報に含まれる「バッテリID」=「IDb001」を取得し、取得した「バッテリID」=「IDb001」が識別する
図1の車両101のバッテリ11を「処理対象バッテリ」として特定し、
図1の車載機情報DB423を参照して、
図5の車載機情報において、当該特定した処理対象のバッテリ11の「バッテリID」=「IDb001」と同じバッテリIDが関連付けられている車載機情報を取得する。ここでは、例えば、「t1」~「t3」等の車載機情報等を取得する。なお、「t1」、「t2」、及び「t3」の相互間の受信日時情報に関連付けられている車載機情報も存在するので、この車載機情報も取得する。
【0094】
===SC2===
次に、
図11のSC2においてサーバ装置4の推定部432は、SC1において特定した「処理対象バッテリ」の推定充電残量を推定する。具体的には任意であるが、概略的には、
図5の放電側電圧情報と放電側電流量情報との積に対応する演算結果をバッテリ11から放電した電力量である放電量とし、また、
図5の充電側電圧情報と充電側電流量情報との積に対応する演算結果をバッテリ11に充電した電力量である充電量として演算した上で、推定満充電容量情報が示す推定満充電容量から前述の放電量を減算した上で、前述の充電量を加算する演算を行い、演算結果を推定充電残量とする。詳細には、「SC2の第1処理」~「SC2の第3処理」を実行する。
【0095】
=SC2の第1処理=
「SC2の第1処理」においては、SC1で取得した車載機情報から、直近の満充電時(つまり、満充電状態となった時)後において、充電用プラグを取り外した時以降の情報として格納された車載機情報を特定する。この特定処理は任意であるが、例えば、前述したように、
図6の推定日時情報としては、バッテリ履歴情報を生成する基となる
図5の車載機情報の受信日時情報と同じ情報が格納されていることに着目して、
図6のバッテリ履歴情報において、「満充電フラグ情報」=「満」が関連付けられている推定日時情報の内の、直近の日時(現在の日時又は「処理対象バッテリ」に関連付けられている受信日時情報が示す日時を基準にした直近の日時)を示す推定日時情報を特定し、この特定した推定日時情報が示す日時を直近の満充電時とし、SC1で取得した車載機情報から、この満充電時よりも後の日時を示す受信日時情報(満充電時の日時を示す受信日時情報は含まない)が関連付けられている車載機情報を特定する。
【0096】
なお、より詳細には、充電用プラグを取り外した場合に、
図5の充電側電流量情報が「0」になる点に着目して、充電用プラグを取り外した時以降の車載機情報を特定するように処理することが好ましい。このように処理することにより、満充電時の車載機情報(つまり、充電用プラグが未だ取り付けられている場合の車載機情報)が含まれないことになるので、満充電時においても存在する僅かな放電量又は充電量が、後述する「SC2の第2処理」での演算に含まれないことになるので、推定充電残量の推定精度を向上させることが可能となる。
【0097】
ここでは、例えば、
図6のバッテリ履歴情報において、「満充電フラグ情報」=「満」が関連付けられている推定日時情報の内の、直近の日時を示す推定日時情報として「t2」を特定した場合、この特定した推定日時情報が示す日時である「t2」を直近の満充電時とし、SC1で取得した車載機情報から、この満充電時である「t2」よりも後の日時を示す受信日時情報が関連付けられている車載機情報として、「t2」及び「t3」の間の受信日時情報に関連付けられている車載機情報、及び「t3」の車載機情報を特定する。
【0098】
=SC2の第2処理=
「SC2の第2処理」においては、「SC2の第1処理」で特定した車載機情報に基づいて、直近の満充電時の後の放電量及び充電量(詳細には、直近の満充電時の後において、充電用プラグを取り外した時以降の放電量及び充電量)を演算する。詳細には、「SC2の第1処理」で特定した車載機情報に含まれている、
図5の放電側電圧情報と放電側電流量情報との積に対応する演算結果の累計を放電量として演算し、また、当該車載機情報に含まれている、
図5の充電側電圧情報と充電側電流量情報との積に対応する演算結果の累計を充電量として演算する。
【0099】
ここでは、例えば、「放電量」=「90」(単位は「Wh」)及び「充電量」=「0」(単位は「Wh」)を演算することとする。
【0100】
=SC2の第3処理=
「SC2の第3処理」においては、
図4の推定満充電容量特定情報を参照して、SC1において特定した「処理対象バッテリ」を識別するバッテリIDと同じバッテリIDに関連付けられている推定満充電容量情報を取得し、取得した推定満充電容量情報が示す推定満充電容量に関して「SC2の第2処理」で演算した放電量を減算し、更に、「SC2の第2処理」で演算した充電量を加算する演算(つまり、「推定満充電容量」-「放電量」+「充電量」)の演算を行い、演算結果を推定充電残量として推定する。
【0101】
ここでは、例えば、
図4の推定満充電容量特定情報を参照して、SC1において特定した「処理対象バッテリ」である
図1の車両101のバッテリ11を識別する「バッテリID」=「IDb001」と同じバッテリIDに関連付けられている「推定満充電容量情報」=「600」を取得し、取得した推定満充電容量情報が示す推定満充電容量に関して「SC2の第2処理」で演算した放電量を減算し、更に、「SC2の第2処理」で演算した充電量を加算する演算(つまり、「600」-「90」+「0」)の演算を行い、演算結果である「510」を推定充電残量として推定する。
【0102】
===SC3===
次に、
図11のSC3においてサーバ装置4の修正部433は、SC1において特定した「処理対象バッテリ」が、現時点で満充電状態であるか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、バッテリ11を充電する場合、満充電状態に近づくにつれて、
図5の充電側電流情報と放電側電流量情報とが相互に近くなり、満充電状態になった場合に理論的には相互に一致する点に着目して判定する。
【0103】
詳細には、「対象車載機情報」の充電側電流量情報が一定の閾値(例えば、1400~1500等)以上となった場合に、
図1の記録部42に充電中フラグ(充電中であることを示す情報)を格納し、一方、充電側電流量情報が「0」となった場合に、充電用プラグが取り外されているので、充電中フラグを消去する処理を行うように構成されていることとする。そして、「対象車載機情報」に含まれ放電側電流量情報及び充電側電流量情報を取得し、放電側電流量情報及び充電側電流量情報の差分値を演算し、当該演算した差分値と前述の充電中フラグに基づいて判定する。
【0104】
そして、充電中フラグが格納されており、且つ、演算した差分値が所定の閾値(比較的小さい値であり例えば「50」等)以下である場合、バッテリ11が充電中であるにも関わらず当該バッテリ11側に供給される電流量が僅かとなっているので、「処理対象バッテリ」が満充電状態であるものと判定し(SC3のYES)、SC5に移行する。また、「充電中フラグが格納されており、且つ、演算した差分値が所定の閾値以下である場合」以外の場合(つまり、充電中フラグが格納されていない場合、あるいは、演算した差分値が所定の閾値より大きい場合)、「処理対象バッテリ」が満充電状態でないものと判定し(SC3のNO)、SC4に移行する。
【0105】
ここでは、例えば、「対象車載機情報」(
図5の「t3」の車載機情報)の時点では、「処理対象バッテリ」が満充電状態でないものと判定する。
【0106】
===SC4===
次に、
図11のSC4においてサーバ装置4の推定部432は、SC2で推定した推定充電残量等に基づいて、
図1のバッテリ履歴情報DB424のバッテリ履歴情報を格納する。具体的には任意であるが、例えば、「SC4の第1処理」及び「SC4の第2処理」を行う。
【0107】
=SC4の第1処理=
「SC4の第1処理」においては、まず、「対象車載機情報」に含まれているバッテリID、及び受信日時情報を取得し、また、「SC2の第3処理」で取得した推定満充電容量情報を取得し、また、当該「SC2の第3処理」で推定した推定充電残量を取得した上で、取得した推定満充電容量情報が示す推定満充電容量に対する当該取得した推定充電残量の割合を演算する。次に、
図6のバッテリ履歴情報におけるバッテリID、推定日時情報、推定充電残量値情報、推定充電残量割合情報、及び推定満充電容量情報として、前述の取得したバッテリID、前述の取得した受信日時情報、前述の取得した推定充電残量情報自体を示す情報、前述の演算した推定充電残量の割合を示す情報、前述の取得した推定満充電容量情報を格納する。
【0108】
ここでは、例えば、
図5の「t3」の車載機情報が「対象車載機情報」であるので、「バッテリID」=「IDb001」、及び「受信日時情報」=「t3」を取得し、また、「SC2の第3処理」で取得した「推定満充電容量情報」=「600」を取得し、また、当該「SC2の第3処理」で推定した「推定充電残量」=「510」を取得した上で、取得した「推定満充電容量情報」=「600」に対する当該取得した「推定充電残量」=「510」の割合を求める演算として、「510」÷「600」の演算を行い、当該演算の結果である「85」(単位は「%」であり)を演算する。次に、
図6のバッテリ履歴情報におけるバッテリID、推定日時情報、推定充電残量値情報、推定充電残量割合情報、及び推定満充電容量情報として、前述の取得したバッテリIDである「IDb001」、前述の取得したである受信日時情報「t3」、前述の取得した推定充電残量自体を示す情報である「510」、前述の演算した推定充電残量の割合を示す情報である「85」、前述の取得した推定満充電容量情報である「600」を格納する。
【0109】
=SC4の第2処理=
「SC4の第2処理」においては、
図6のバッテリ履歴情報における「SC4の第1処理」で格納した各情報に関連付けられている満充電フラグ情報、及び交換フラグ情報を格納する。詳細には、例えば、直近のSC3において満充電状態であるものと判定した場合(SC3のYES)、満充電フラグ情報として「満」を格納し、一方、直近のSC3において満充電状態でないものと判定した場合(SC3のNO)、満充電フラグ情報として「―」を格納する。また、例えば、直近のSC3において満充電状態であるものと判定し(SC3のYES)、且つ、直近のSC6(後述)においてバッテリ11が劣化しているものと推定した場合、交換フラグ情報として「交換」を格納し、一方、直近のSC3において満充電状態でないものと判定した場合(SC3のNO)、あるいは、直近のSC3において満充電状態であるものと判定し(SC3のYES)、且つ、直近のSC6においてバッテリ11が劣化していないものと推定した場合、交換フラグ情報として「―」を格納する。
【0110】
ここでは、例えば、
図6のバッテリ履歴情報における満充電フラグ情報及び交換フラグ情報については、直近のSC3において満充電状態でないものと判定した(SC3のNO)ので、両方の情報とも「―」を格納する。このようにして、
図6のバッテリ利益情報における「推定日時情報」=「t3」に関連付けられている各情報(「IDb001」、「t3」、「510」、「85」、「600」、「―」、及び「―」の組み合わせの情報)(以下、「「t3」のバッテリ履歴情報」とも称し、他の情報も同様にして称する)が格納されることになる。
【0111】
そして、この後、「対象車載機情報」が
図5の「t4」~「t5」等の車載機情報となる場合、同様にして、
図6の「t4」~「t5」等のバッテリ情報が格納される。なお、「t4」~「t5」の間のタイミングで充電用プラグが取り付けられて充電が開始されるので、充電側電流量情報が一定の閾値以上となり、充電中フラグが格納される。
【0112】
この後、「対象車載機情報」が
図5の「t6」等の車載機情報となる場合、充電中フラグが格納されており、且つ、放電側電流量情報及び充電側電流量情報の差分値が「0」(つまり、所定の閾値以下)となるので、
図11のSC3において、「処理対象バッテリ」が満充電状態であるものと判定し(SC3のYES)、SC5に移行する。
【0113】
===SC5===
図11のSC3で満充電状態であるものと判定した(SC3のYES)後のSC5において、修正部433は、修正処理を実行する。
図12は、修正処理のフローチャートである。「修正処理」とは、推定満充電容量(つまり、推定満充電容量情報)及び電圧充電残量関係情報を修正するための処理である。
図13及び
図14は、修正処理を説明するための図である。なお、この
図13の「対象」の欄には、修正処理の各ステップで処理される対象が記載されており、また、「説明」の欄には、各対象の定義又は各対象を求めるための演算式等が記載されており、また、「1回目」~「3回目」等の欄には、修正処理を1回目~3回目等に実行した場合の各対象の値又は演算式等が例示されている。また、
図14については、
図3の電圧充電残量関係情報を説明するためのグラフに対して、前述の各対象の説明を記載したものである。この
図13及び
図14を適宜参照して修正処理について説明する。また、本実施の形態ではバッテリ11については、例えば
図8又は
図9に図示されているように、走行による放電及び充電を繰り返し行って利用されていることとして説明する。
【0114】
===SD1===
まず、
図12のSD1において修正部433は、「処理対象バッテリ」の推定満充電容量を特定する。具体的には任意であるが、例えば、
図11の「SC2の第3処理」で取得した推定満充電容量情報が示す推定満充電容量を特定する。
【0115】
ここでは、例えば、
図13の「対象」=「推定満充電容量(修正前)」の「1回目」の欄及び
図14に記載されているように、
図4の推定満充電容量特定情報において、「処理対象バッテリ」である車両101のバッテリ11を識別する「バッテリID」=「IDb001」と同じバッテリIDに関連付けられている「推定満充電容量情報」=「600」を特定する。
【0116】
===SD2===
次に、
図12のSD2において修正部433は、「処理対象バッテリ」の放電量を特定する。具体的には任意であるが、例えば、直近の走行による放電時の放電量の合計を特定する。つまり、例えば
図8又は
図9の例では、バッテリ11の放電側端子の電圧が「Vmin1」又は「Vmin2」まで低下する場合の放電量の合計を特定する。詳細には、「SD2の第1処理」~「SD2の第3処理」を実行する。
【0117】
=SD2の第1処理=
「SD2の第1処理」においては、
図11のSC1の場合と同様にして、
図1の車載機情報DB423を参照して、「処理対象バッテリ」に関する車載機情報を取得する。
【0118】
ここでは、例えば、
図5に具体的に図示されている「t1」~「t6」等の車載機情報を取得する。
【0119】
=SD2の第2処理=
「SD2の第2処理」においては、「SD2の第1処理」で取得した車載機情報から、直近の走行により放電されている場合の車載機情報(つまり、例えば
図8の「走行」に対応する時間帯の車載機情報)を特定する。この特定処理は任意であるが、
図11の「SC2の第1処理」で説明したように、
図6の推定日時情報としては、バッテリ履歴情報を生成する基となる
図5の車載機情報の受信日時情報と同じ情報が格納されていること、
図6の満充電フラグ情報を参照して満充電状態を確認可能であること、及び、走行により放電している場合、
図5の充電側電圧情報及び充電側電流量情報が「0」となっており、
図5の放電側電流量情報が所定値(例えば「1000」等)以上となることに着目して以下の処理を行ってもよい。
図6のバッテリ履歴情報を参照して、「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている直近の推定日時情報及び当該推定日時情報の1個前の推定日時情報(「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている推定日時情報)に挟まれている連続する1個以上の推定日時情報を特定し、「SD2の第1処理」で取得した車載機情報から、当該特定した1個以上の推定日時情報と同じ日時を示す受信日時情報が関連付けられている車載機情報を特定し、更に、この特定した車載機情報から、充電側電圧情報及び充電側電流量情報が「0」となっており、放電側電流量情報が所定値(例えば「1000」等)以上となっている車載機情報を特定する。
【0120】
ここでは、例えば、
図6のバッテリ履歴情報を参照して、「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている直近の推定日時情報である「t6」及び当該推定日時情報の1個前の推定日時情報(「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている推定日時情報)である「t2」に挟まれている連続する1個以上の推定日時情報である「t3」~「t5」等を特定し、「SD2の第1処理」で取得した車載機情報から、当該特定した1個以上の推定日時情報である「t3」~「t5」等と同じ日時を示す受信日時情報が関連付けられている「t3」~「t5」等の車載機情報を特定し、更に、この特定した「t3」~「t5」等の車載機情報から、充電側電圧情報及び充電側電流量情報が「0」となっており、放電側電流量情報が所定値(例えば「1000」等)以上となっている「t3」~「t4」等の車載機情報を特定する。
【0121】
=SD2の第3処理=
「SD2の第3処理」においては、「SD2の第2処理」で特定した車載機情報に基づいて、直近の走行による放電時の放電量の合計を特定する。詳細には、「SD2の第2処理」で特定した車載機情報に含まれている、
図5の放電側電圧情報と放電側電流量情報との積に対応する演算結果の累計を放電量の合計として演算して特定する。
【0122】
ここでは、例えば、
図13の「対象」=「放電量」の「1回目」の欄に記載されているように、
図5の「t3」に関する「46.0」(V)×「45000」(mAs)の演算に対応する演算結果、「t4」に関する「44.0」(V)×「45000」(mAs)の演算に対応する演算結果等の累計として、「200」(Wh)を走行による放電時の放電量の合計(つまり、例えば
図8の「走行」に対応する時間帯の放電量の合計)として演算して特定する。なお、ここでの演算式は便宜であり、実際には、単位を合わせる処理等を行って演算する。また、数値も便宜上の記載である。
【0123】
===SD3===
次に、
図12のSD3において修正部433は、「処理対象バッテリ」の推定充電残量を特定する。具体的には任意であるが、例えば、直近の走行による放電時の放電が行われた場合の推定充電残量を特定する。例えば
図8又は
図9の例では、バッテリ11の放電側端子の電圧が「Vmin1」又は「Vmin2」まで低下した場合の推定充電残量を特定する。つまり、満充電状態のバッテリ11が走行により放電された後に充電される場合における、最低の推定充電残量(以下、「最低推定充電残量」とも称する)を特定する。詳細には、以下の「SD3の第1処理」又は「SD3の第2処理」の少なくとも一方の処理を行うことにより特定する。
【0124】
=SD3の第1処理=
「SD3の第1処理」は、SD1及びSD2の処理結果を利用して演算することにより特定する処理である。この処理においては、SD1で特定した推定満充電容量を取得し、また、SD2で特定した放電量を取得した上で、当該取得した推定満充電容量から放電量を減算する演算を行い、演算結果を推定充電残量として特定する。
【0125】
ここでは、例えば、
図13の「対象」=「推定充電残量」の「1回目」の欄及び
図14に記載されているように、SD1で特定した「推定満充電容量情報」=「600」を取得し、また、SD2で特定した「放電量」=「200」を取得した上で、「600」-「200」=「400」の演算を行い、演算結果である「400」を推定充電残量として特定する。
【0126】
=SD3の第2処理=
「SD3の第2処理」は、
図6のバッテリ履歴情報から取得して特定する処理である。この処理においては、充電中の状態から充電用プラグを取り外した場合に、
図5の充電側電流量情報が「0」になる点に着目し、また、充電用プラグを取り外したタイミングの後の
図6の推定充電残量が極小値となるタイミングを利用終了時として扱うことができる点を考慮して、以下の処理を行う。まず、
図5の車載機情報において、充電側電流量情報が「0」よりも大きい値から「0」になった直近のタイミングに対応する充電日時情報を特定する(つまり、充電中の状態から充電用プラグを取り外したタイミングに対応する充電日時情報を特定する)。次に、
図6のバッテリ履歴情報を参照して、前述の特定した充電日時情報が示す日時以降の推定日時情報に関連付けられている推定充電残量値情報の内の極小値を、推定充電残量情報として特定する。
【0127】
ここでは、例えば、「400」を推定充電残量として特定する。
【0128】
===SD4===
次に、
図12のSD4において修正部433は、「処理対象バッテリ」の実測満充電容量を特定する。「実測満充電容量」とは、推定満充電容量とは異なる手法で特定されるバッテリ11の満充電容量であり、例えば、
図2又は
図14の電圧充電残量関係情報及び
図5の放電側電圧情報に基づいて特定されるバッテリ11の満充電容量である。SD4の具体的な処理は任意であるが、例えば、SD3で特定した推定充電残量(つまり、最低推定充電残量)となっている場合の放電側電圧情報を特定し、
図2の電圧充電残量関係情報を参照して、当該特定した放電側電圧情報に対応する暫定充電残量を特定し、特定した暫定充電残量にSD2で特定した放電量を加算する演算を行い、演算結果を実測満充電容量と特定する。詳細には、以下の「SD4の第1処理」~「SD4の第2処理」を行う。
【0129】
=SD4の第1処理=
「SD4の第1処理」においては、
図6のバッテリ履歴情報を参照して、「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている直近の推定日時情報及び当該推定日時情報の1個前の推定日時情報(「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている推定日時情報)に挟まれている連続する1個以上の推定日時情報から、SD3で特定した推定充電残量(つまり、最低推定充電残量)と同じ値が記録されている推定充電残量値情報が関連付けられている推定日時情報を特定し、
図5の車載機情報を参照して、当該特定した推定日時情報と同じ日時を示す受信日時情報に関連付けられている放電側電圧情報(以下、「最低推定充電残量時の放電側電圧情報」とも称する)を特定する。
【0130】
ここでは、例えば、
図6のバッテリ履歴情報を参照して、「t3」~「t5」等から、SD3で特定した推定充電残量(つまり、最低推定充電残量)である「400」と同じ値が記録されている推定充電残量値情報が関連付けられている推定日時情報として「t4」を特定し、
図5の車載機情報を参照して、当該特定した推定日時情報である「t4」を示す受信日時情報に関連付けられている放電側電圧情報である「44.0」を特定する。
【0131】
あるいは、この手法に限らず、例えば、
図6のバッテリ履歴情報を参照して、「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている直近の推定日時情報及び当該推定日時情報の1個前の推定日時情報(「満充電状態フラグ情報」=「満」に関連付けられている推定日時情報)に挟まれている連続する1個以上の推定日時情報を特定し、
図5の車載機情報を参照して、特定した推定日時情報と同じ日時を示す受信日時情報に関連付けられている放電側電圧情報の内の最小値を示す放電側電圧情報を、「最低推定充電残量時の放電側電圧情報」として特定してもよい(つまり、
図8の「Vmin1」又は
図9の「Vmin2」に対応する放電側電圧情報を特定してもよい)。
【0132】
=SD4の第2処理=
「SD4の第2処理」においては、
図2の電圧充電残量関係情報を参照して、「SD4の第1処理」で特定した放電側電圧情報と同じ値の暫定電圧値情報に関連付けられている暫定充電残量情報を特定し、当該特定した暫定充電残量情報が示す暫定充電残量を特定し、特定した暫定充電残量にSD2で特定した放電量を加算する演算を行い、演算結果を実測満充電容量と特定する。
【0133】
ここでは、例えば、
図2の電圧充電残量関係情報を参照して、「SD4の第1処理」で特定した放電側電圧情報である「44.0」と同じ値の「暫定電圧値情報」=「44」(
図14のグラフでは値に丸印が付されている「44」)に関連付けられている「暫定充電残量情報」=「360」を特定し、当該特定した暫定充電残量情報が示す「360」を暫定充電残量として特定し、特定した暫定充電残量である「360」にSD2で特定した放電量である「200」を加算する演算(つまり、「360」+「200」=「560」の演算)を行い、
図13の「対象」=「実測満充電容量」の「1回目」の欄及び
図14に記載されているように、演算結果である「560」を実測満充電容量と特定する。
【0134】
===SD5===
次に、
図12のSD5において修正部433は、「処理対象バッテリ」の差分容量を特定する。「差分容量」とは、推定満充電容量と実測満充電容量との間の差分であり、例えば、当該差分の絶対値であることともしてもよいし、あるいは、各容量において一方の容量から他方の容量を減算した減算結果(つまり、正及び負を考慮した値)であることともよいが、本実施の形態では後者である場合について説明する。SD5の具体的な処理は任意であるが、例えば、SD1で特定した推定満充電容量を取得し、また、SD4で特定した実測満充電容量を取得した上で、当該取得した実測満充電容量から推定満充電容量を減算する演算を行い、演算結果を差分容量として特定する。
【0135】
ここでは、例えば、
図13の「対象」=「差分容量」の「1回目」の欄及び
図14に記載されているように、SD1で特定した「推定満充電容量情報」=「600」を取得し、また、SD4で特定した「実測満充電容量」=「560」を取得した上で、「560」-「600」=「-40」の演算を行い、演算結果である「-40」を差分容量として特定する。
【0136】
===SD6===
次に、
図12のSD6において修正部433は、「処理対象バッテリ」の信頼係数を特定する。「信頼係数」とは、差分容量の確からしさに関する信頼の度合いを示す情報であり、具体的には、後述する修正値を求めるために用いられる情報である。この信頼係数は、例えば、測定手段(バッテリ11の電圧及び電流を測定する測定機能)の測定確度又は測定分解能、あるいは、バッテリ11自体の性質を考慮した場合、放電量が多い程、差分容量がより確からしい値になる点に着目した情報である。この信頼係数は、所定の基準に対するバッテリ11の放電量の割合に基づく数値であり、例えば、所定の基準に対するバッテリ11の放電量の割合自体、当該割合の2乗等の様々な情報を想定することができる。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、信頼係数が、所定の基準に対するバッテリ11の放電量である場合について説明する。なお、「所定の基準に対するバッテリ11の放電量の割合」は、例えば、推定満充電容量に対する放電量の割合であることともしてよいし、あるいは、実測満充電容量に対する放電量の割合であることともしてもよいが、本実施の形態では後者である場合について説明する。SD6の具体的な処理は任意であるが、例えば、SD2で特定した放電量を取得し、また、SD4で特定した実測満充電容量を取得した上で、当該取得した放電量を実測満充電容量で割る演算を行い、演算結果を信頼係数として特定する。
【0137】
ここでは、例えば、
図13の「対象」=「放電量割合」の「1回目」の欄に記載されているように、SD2で特定した「放電量」=「200」を取得し、また、SD4で特定した「実測満充電容量」=「560」を取得した上で、「200」÷「560」=「0.36」の演算を行い、演算結果である「0.36」を信頼係数として特定する。
【0138】
===SD7===
次に、
図12のSD7において修正部433は、「処理対象バッテリ」の修正値を特定する。「修正値」とは、推定満充電容量及び電圧充電残量関係情報を修正するための基準となる値であり、例えば、差分容量と信頼係数との積に対応する値である。SD7の具体的な処理は任意であるが、例えば、SD5で特定した差分容量を取得し、また、SD6で特定した信頼係数を取得した上で、当該取得した差分容量と信頼係数とを相互に掛け合わせる演算を行い、演算結果を修正値として特定する。
【0139】
ここでは、例えば、
図13の「対象」=「修正値」の「1回目」の欄に記載されているように、SD5で特定した「差分容量」=「-40」を取得し、また、SD6で特定した「信頼係数」=「0.36」を取得した上で、「-40」÷「0.36」=「-14.4」の演算を行い、演算結果である「-14.4」を修正値として特定する。
【0140】
===SD8===
次に、
図12のSD8において修正部433は、「処理対象バッテリ」の推定満充電容量を修正する。具体的には任意であるが、例えば、SD1で特定した推定満充電容量を取得し、また、SD7で特定した修正値を取得した上で、当該取得した推定満充電容量に対して修正値を加算する演算を行い、演算結果が修正後の推定満充電容量となるように修正し、
図4の推定満充電容量特定情報において、「処理対象バッテリ」を識別するバッテリIDと同じバッテリIDに関連付けられている推定満充電容量情報として、当該修正後の推定満充電容量を示す情報を格納して更新する。
【0141】
ここでは、例えば、
図13の「対象」=「推定満充電容量(修正後)」の「1回目」の欄に記載されているように、SD1で特定した「推定満充電容量」=「600」を取得し、また、SD7で特定した「修正値」=「-14.4」を取得した上で、「600」+「-14.4」=「585.6」の演算を行い、推定満充電容量を当該演算結果である「585.6」に修正し、
図4の推定満充電容量特定情報において、「処理対象バッテリ」を識別するバッテリIDである「IDb001」と同じバッテリIDに関連付けられている推定満充電容量情報として、当該修正後の推定満充電容量である「585.6」を格納して更新する。このように処理することにより、
図4の「IDb001」に関連付けられている推定満充電容量情報が「600」から「585.6」に修正されて更新されることになる。
【0142】
===SD9===
次に、
図12のSD9において修正部433は、「処理対象バッテリ」の電圧充電残量関係情報を修正する。
図15は、修正後の電圧充電残量関係情報を例示した図であり、
図16は、修正後の電圧充電残量関係情報を説明するためのグラフである。SD9の処理について具体的には任意であるが、例えば、SD7で特定した修正値を取得した上で、当該取得した修正値に基づいて、「処理対象バッテリ」に関連する
図2の電圧充電残量関係情報を修正する。詳細には、「SD9の第1処理」~「SD9の第2処理」を行う。
【0143】
=SD9の第1処理=
「SD9の第1処理」においては、
図2の電圧充電残量関係情報を参照して、前述の「SD4の第1処理」で特定した放電側電圧情報(つまり、最低推定充電残量時の放電側電圧情報)と同じ値の暫定電圧値情報を特定する。
【0144】
ここでは、例えば、
図2の電圧充電残量関係情報を参照して、前述の「SD4の第1処理」で特定した放電側電圧情報(つまり、最低推定充電残量時の放電側電圧情報)と同じ値の「暫定電圧値情報」=「44」を特定する。
【0145】
=SD9の第2処理=
「SD9の第2処理」においては、SD8で修正された修正後の推定満充電容量を取得し、また、SD2で特定した放電量を取得した上で、当該取得した修正後の推定満充電容量から放電量を減算する演算を行うことにより演算結果を求め、
図2の電圧充電残量関係情報において、「SD9の第1処理」で特定した暫定電圧値情報に関連付けられている暫定充電残量情報(以下、「第1暫定充電残量情報」と称する)として当該求めた演算結果を格納して更新することにより修正する。また、
図2の電圧充電残量関係情報における、前述の「SD4の第1処理」で特定した放電側電圧情報と同じ値の暫定電圧値情報以外の暫定電圧値情報に関連付けられている暫定充電残量情報(以下、「第2暫定充電残量情報」と称する)についても適宜新たな情報を格納して更新することにより修正する。
【0146】
なお、この「第2暫定充電残量情報」について修正する処理は任意であるが、例えば、前述の「第1暫定充電残量情報」についての修正の前後の値の差分に対応する値を、修正前の「第2暫定充電残量情報」に対して加算又は減算することにより修正してもよい。なお、この加算又は減算については例えば、
図16に示すように、電圧充電残量関係情報が修正により全体的に図面上下方向にシフトするように、例えば、「第1暫定充電残量情報」について修正後の値が修正前の値よりも大きい場合、修正前の「第2暫定充電残量情報」に対して前述の差分に対応する値を加算し、一方、「第1暫定充電残量情報」について修正後の値が修正前の値よりも小さい場合、修正前の「第2暫定充電残量情報」に対して前述の差分に対応する値を減算してもよい。また、この「第2暫定充電残量情報」の修正については、
図16に示す電圧充電残量関係情報が図面左右方向又は斜め方向にシフトするように修正してもよい。また、前述の「第1暫定充電残量情報」についての修正の前後の値の差分に対応する値を基準にして、任意の重みを付け演算を行って、「第2暫定充電残量情報」を修正してもよい。なお、重み付け演算を行う場合、推定満充電容量の場合と同様にして、信頼係数で重み付け演算を行ってもよい。
【0147】
ここでは、例えば、SD8で修正された修正後の「推定満充電容量」=「585.6」を取得し、また、SD2で特定した「放電量」=「200」を取得した上で、「585.6」-「200」の演算を行うことにより演算結果である「385.6」を求め、
図2の電圧充電残量関係情報において、「SD9の第1処理」で特定した「暫定電圧値情報」=「44」に関連付けられている暫定充電残量情報(つまり、第1暫定充電残量情報)として当該求めた演算結果である「385.6」を格納して更新することにより修正する。また、
図2の電圧充電残量関係情報における、前述の「SD4の第1処理」で特定した放電側電圧情報と同じ値の暫定電圧値情報以外の暫定電圧値情報に関連付けられている暫定充電残量情報(つまり、「第2暫定充電残量情報」)については、前述の「第1暫定充電残量情報」についての修正の前後の値の差分に対応する値が「385.6」-「360」=「25.6」であり、修正後の値の方が大きいので、各修正前の「第2暫定充電残量情報」に対して「25.6」を加算することにより修正する。このようにして、
図2及び
図3の電圧充電残量関係情報が、
図15及び
図16の電圧充電残量関係情報(なお、
図16では実線で示す情報)に修正されることになる。この後、
図12の修正処理をリターンする。
【0148】
===SC6===
次に、
図11のSC6においてサーバ装置4の推定部432は、「処理対象バッテリ」が劣化しているか否かを推定する(つまり、劣化の有無を推定する)。具体的には任意であるが、例えば、前述の「SC2の第3処理」の場合と同様にして、
図4の推定満充電容量特定情報を参照して、「処理対象バッテリ」を識別するバッテリIDと同じバッテリIDに関連付けられている推定満充電容量情報を取得し、取得した推定満充電容量情報と劣化推定用閾値とを比較し、比較結果に基づいて推定する。なお、「劣化推定用閾値」とは、バッテリ11の劣化の有無を判定するために用いられる閾値であり、例えば、予め定められている値であり、本実施の形態では、「劣化推定用閾値」が「500」(Wh)に設定されている場合について説明する。そして、前述の取得した推定満充電容量情報が劣化推定閾値以上である場合、バッテリ11が劣化していないものと推定し、一方、前述の取得した推定満充電容量情報が劣化推定閾値未満である場合、バッテリ11が劣化しているものと推定する。
【0149】
ここでは、例えば、前述のSC5で行われた修正処理により、
図13の「対象」=「推定満充電容量(修正後)」の「1回目」の欄に記載されているように、
図4の「IDb001」に関連付けられている推定満充電容量情報が「600」から「585.6」に修正されている。この場合、
図4の推定満充電容量特定情報を参照して、「処理対象バッテリ」を識別するバッテリIDである「IDb001」と同じバッテリIDに関連付けられている「推定満充電容量情報」=「585.6」を取得し、取得した推定満充電容量情報」=「585.6」と「劣化推定用閾値」=「500」とを比較し、取得した推定満充電容量情報」=「585.6」が「劣化推定用閾値」=「500」以上であるので、「処理対象バッテリ」であるバッテリ11は劣化していないものと判定する。そして、この後、
図11のSC4に移行して前述の処理を行う。これにて、バッテリ履歴情報格納処理を終了する。
【0150】
(処理の繰り返しについて)
図17は、バッテリ履歴情報を例示した図である。この
図17は、
図8に続く
図9の例示に対応する情報であって、
図10の車載機情報に対応するバッテリ履歴情報である。
図7の車載機情報格納処理を繰り返し行うことにより、
図10の車載機情報が格納されることになり、この場合、
図11のバッテリ履歴情報格納処理も繰り返し実行されて
図17のバッテリ履歴情報が格納されることになり、また、
図12の修正処理が繰り返し実行されて
図13の「2回目」~「3回目」等の欄に対応する各情報が特定等されることになる。
【0151】
前述したように1回目の
図12の修正処理において、推定満充電容量が「600」から「585.6」に修正された後、
図11のSC2(詳細には「SC2の第3処理」)においては当該修正後の推定満充電容量である「585.6」に基づいて、推定充電残量を推定することになる。そして、2回目の
図12の修正処理において、推定満充電容量が「585.6」から「578.7」に修正された場合、この後の
図11のSC2においては当該修正後の推定満充電容量である「578.7」に基づいて、推定充電残量を推定することになる。つまり、本実施の形態の各処理を繰り返し実行することにより、推定満充電容量及び推定満充電容量特定情報を修正しつつ、当該修正後の推定満充電容量及び推定満充電容量特定情報を用いて、各処理を行うことが可能となる。
【0152】
(修正値について)
また、
図13の「対象」=「修正値」の欄に示すされているように、
図12のSD7で特定する修正値については差分容量に対して信頼係数が掛け合わされている。この放電割合は、SD2で特定する放電量の値が大きくなる程大きな値となるので、当該放電量の値が大きくなる程修正値の値が大きくなる。すなわち、バッテリ11の放電側端子の電圧及び電流の実測値を反映して正確に求めることが可能となる放電量の値がより大きい場合、差分容量をより大きな割合で修正値に反映することができるので、推定満充電容量及び電圧充電残量関係情報の修正精度を向上させて、適切に修正することが可能となる。従って、バッテリ11の充電残量及び劣化の推定精度を向上させることが可能となる。
【0153】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、放電時に対応する放電側電流量情報及び放電時に対応する放電側電圧情報に基づいて、バッテリ11の充電残量(推定充電残量)又は劣化を推定することにより、例えば、電圧に加えて電流も考慮して推定することができるので、バッテリ11の充電残量又は劣化の推定精度を向上させることが可能となる。
【0154】
また、バッテリ11の放電量と推定満充電容量とに基づいてバッテリ11の充電残量を推定することにより、例えば、比較的単純な処理にてバッテリ11の充電残量を推定することが可能となる。
【0155】
また、推定満充電容量を修正する修正部433(第1修正手段)を備えることにより、例えば、推定満充電容量を適切に修正することができるので、バッテリ11の充電残量の推定精度を向上させることが可能となる。
【0156】
また、電圧充電残量関係情報(関係情報)を修正する修正部433(第2修正手段)を備えることにより、例えば、電圧充電残量関係情報を適切に修正することができるので、バッテリ11の充電残量の推定精度を向上させることが可能となる。
【0157】
また、推定満充電容量と劣化推定用閾値(閾値)とに基づいてバッテリ11の劣化を推定することにより、例えば、比較的単純な処理にてバッテリ11の劣化を推定することが可能となる。
【0158】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0159】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0160】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0161】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0162】
(バッテリ履歴情報の利用について)
また、
図1のバッテリ履歴情報DB424に格納したバッテリ履歴情報の利用手法は任意である。例えば、適宜のタイミングで、
図1の制御部43が、例えば
図6のバッテリ履歴情報における推定日時情報、推定充電残量情報、満充電フラグ情報、又は交換フラグ情報の内の任意の情報を、
図1のユーザが携帯する端末装置3に送信することにより、端末装置3のディスプレイ又はスピーカを介して当該送信した情報を出力するように構成してもよいし、あるいは、前述の任意の情報を、車両1又は管理者のコンピュータに設けられている不図示のディスプレイ又はスピーカを介して出力するように構成してもよい。
【0163】
このように構成することにより、例えば、より正確にバッテリ残量を把握できることにより、従前であれば電圧からの簡易な方法による残量の推定であったため残り10%と推定されるが実際には5%しか残量が残っておらず、適切に充電管理ができず走行中に停止するという事が起こりえるが、本願の技術を採用することにより、例えばあと5%、もしくは後3kmしか走行できない状況で、ユーザ端末(端末装置3)におけるアプリケーションに警告をサーバ装置4から通知できるし、より進化した機能としては、ユーザの位置情報と充電ステーションの位置情報に基づいて、これ以上ステーションから離れると(もしくは充電せず移動すると)充電が切れてステーションに戻れないような状況において警告の通知をするなどの機能が可能になり、充電切れを避けることができる。
【0164】
(満充電状態の判定について)
また、上記実施の形態の
図11のSC3での満充電状態を判定する手法として、以下の手法を用いてもよい。具体的には、バッテリ11が満充電状態となっている場合において、不図示の充電装置の充電用プラグをバッテリ11の充電側端子に接続して充電を試みた場合、充電側端子には充電装置側から印加される電圧(例えば、「48」程度の電圧)が発生するものの、当該充電側端子には極わずかの電流が供給される(あるいは、電流が供給されない)状態となることに着目して判定してもよい。詳細には、「対象車載機情報」に含まれる充電側電圧情報及び充電側電流量情報を取得し、取得した充電側電圧情報と電圧閾値(予め定められている閾値であり、例えば充電時に充電側端子に発生するよりも若干低いものと想定される電圧の値であり、例えば「45」)とを比較し、また、取得した充電側電流量情報と電流量閾値(予め定められている閾値であり、例えば満充電状態でない場合の充電時において、第2時間(15秒間)に充電側端子に供給される電流量よりも少ない量に対応する値であり、例えば「500」)とを比較し、これらの各比較結果に基づいて判定してもよい。
【0165】
そして、取得した充電側電圧情報が電圧閾値以上であり、且つ、取得した充電側電流量情報が電流量閾値以下である場合、バッテリ11が充電中であるにも関わらず当該バッテリ11側に供給される電流量が僅かとなっているので、「処理対象バッテリ」が満充電状態であるものと判定し(SC3のYES)、SC5に移行する。また、「取得した充電側電圧情報が電圧閾値以上であり、且つ、取得した充電側電流量情報が電流量閾値以下である場合」以外の場合(つまり、取得した充電側電圧情報が電圧閾値未満である場合、あるいは、取得した充電側電流量情報が電流量閾値より大きい場合)、「処理対象バッテリ」が満充電状態でないものと判定し(SC3のNO)、SC4に移行する。
【0166】
(各種情報について)
また、本願の技術の適用状況に応じて各種情報を任意に構成してもよい。例えば、
図2の電圧充電残量関係情報については、
図3のグラフが示す情報を示すように任意に構成してもよい。例えば、50Wh刻みで、600Whの時の電圧55V、550Whの時の電圧53V、500Whの時の電圧・・・の如く、暫定充電残量情報に対してその時の暫定電圧値情報を関連付ける情報を用いてもよい。
【0167】
(各処理について)
また、上記実施の形態では、
図11のSC5の修正処理及びSC6の劣化推定を、満充電となる毎に行う場合を例示したが、この処理の実行タイミングを任意に変更してもよい。例えば、数字の安定性によっては毎回でなく、例えば一定期間毎の数値を用いて更新する(週に1回、月に1回等)、というパターンを採用してもよく、すなわち、満充電フラグ毎に毎回実行するように構成してもよいし、あるいは、任意の期間に一度実行するように構成してもよい。
【0168】
(特徴の組み合わせ)
また、上記実施の形態で説明した特徴の少なくとも一部と、変形例で説明した特徴の少なくとも一部とを任意に組み合わせてもよい。
【0169】
(付記)
付記1の推定システムは、電動車両のバッテリの充電残量又は劣化を推定する推定システムであって、少なくとも、前記バッテリの放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、前記バッテリの放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて、前記バッテリの充電残量又は劣化を推定する推定手段と、を備える。
【0170】
付記2の推定システムは、付記1に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて前記バッテリの放電量を演算し、演算された前記バッテリの放電量と、前記バッテリの最大の充電容量であるものと推定される推定満充電容量とに基づいて、前記バッテリの充電残量を推定する。
【0171】
付記3の推定システムは、付記2に記載の推定システムにおいて、前記バッテリの暫定充電残量と前記バッテリの放電時の暫定電圧値との関係を示す関係情報を格納する関係情報格納手段と、前記推定満充電容量を修正する第1修正手段と、を更に備え、前記第1修正手段は、前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する第1修正手段側第1処理と、前記第1修正手段側第1処理において特定された前記暫定充電残量と、前記推定満充電容量と、前記バッテリの放電量と、所定の基準に対する前記バッテリの放電量の割合とに基づいて、前記推定満充電容量を修正する第1修正手段側第2処理と、を行い、前記推定手段は、前記第1修正手段側第2処理で修正された前記推定満充電容量に基づいて、前記バッテリの充電残量を推定する。
【0172】
付記4の推定システムは、付記3に記載の推定システムにおいて、前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報を修正する第2修正手段、を備え、前記第2修正手段は、前記関係情報格納手段に格納されている前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する第2修正手段側第1処理と、前記第2修正手段側第1処理において特定された前記暫定充電残量と、前記推定満充電容量と、前記バッテリの放電量と、所定の基準に対する前記バッテリの放電量の割合とに基づいて、前記関係情報を修正する第2修正手段側第2処理と、を行い、前記第1修正手段は、前記第1修正手段側第1処理において、前記第2修正手段側第2処理にて修正された前記関係情報に基づいて、前記取得手段が取得した前記放電時電圧情報に対応する前記暫定充電残量を特定する。
【0173】
付記5の推定システムは、付記3又は4に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記第1修正手段側第2処理で修正された前記推定満充電容量と、閾値とに基づいて、前記バッテリの劣化を推定する。
【0174】
付記6の推定プログラムは、電動車両のバッテリの充電残量又は劣化を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、少なくとも、前記バッテリの放電時の実測電流量を示す放電時電流情報と、前記バッテリの放電時の実測電圧値を示す放電時電圧情報とを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記放電時電流情報及び前記放電時電圧情報に基づいて、前記バッテリの充電残量又は劣化を推定する推定手段と、として機能させる。
【0175】
(付記の効果)
付記1に記載の推定システム、及び付記6に記載の推定プログラムによれば、放電時電流情報及び放電時電圧情報に基づいて、バッテリの充電残量又は劣化を推定することにより、例えば、電圧に加えて電流も考慮して推定することができるので、バッテリの充電残量又は劣化の推定精度を向上させることが可能となる。
【0176】
付記2に記載の推定システムによれば、バッテリの放電量と推定満充電容量とに基づいてバッテリの充電残量を推定することにより、例えば、比較的単純な処理にてバッテリの充電残量を推定することが可能となる。
【0177】
付記3に記載の推定システムによれば、推定満充電容量を修正する第1修正手段を備えることにより、例えば、推定満充電容量を適切に修正することができるので、バッテリの充電残量の推定精度を向上させることが可能となる。
【0178】
付記4に記載の推定システムによれば、関係情報を修正する第2修正手段を備えることにより、例えば、関係情報を適切に修正することができるので、バッテリの充電残量の推定精度を向上させることが可能となる。
【0179】
付記5に記載の推定システムによれば、推定満充電容量と閾値とに基づいてバッテリの劣化を推定することにより、例えば、比較的単純な処理にてバッテリの劣化を推定することが可能となる。
【符号の説明】
【0180】
1 車両
2 車載機
3 端末装置
4 サーバ装置
11 バッテリ
12 モータ
21 通信部
22 記録部
23 制御部
41 通信部
42 記録部
43 制御部
100 管理システム
101 車両
102 車両
421 電圧充電残量関係情報DB
422 推定満充電容量特定情報DB
423 車載機情報DB
424 バッテリ履歴情報DB
431 取得部
432 推定部
433 修正部