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特開2022-71934ソーラーパネル洗浄装置及びソーラーパネルの洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022071934
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ソーラーパネル洗浄装置及びソーラーパネルの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/10 20140101AFI20220510BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20220510BHJP
   A47L 11/38 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H02S40/10
B08B1/04
A47L11/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181072
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】520363476
【氏名又は名称】株式会社SSG
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼免 知己
【テーマコード(参考)】
3B116
5F151
【Fターム(参考)】
3B116AA02
3B116AA31
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA14
3B116BA35
5F151JA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】洗浄条件が変わっても、手軽な操作でソーラーパネルに対するロールブラシの押付力を調節することができるソーラーパネル洗浄装置を提供する。
【解決手段】ソーラーパネル列に沿った方向Aに走行可能な走行手段を備えた本体11の下面側に、円柱状のロールブラシ12がソーラーパネル列に交差する方向で軸支され、本体11を走行させながら、ロールブラシ13を回転駆動することによって、ソーラーパネルの上面を洗浄するソーラーパネル洗浄装置10において、ロールブラシ13を、本体11に対して上下動な状態で取り付け、ロールブラシ13を下側に付勢してソーラーパネルに押し付けるためのロールブラシ付勢手段15gを設けるとともに、ロールブラシ付勢手段15gとして、その付勢力を調節するための付勢力調整用操作部15gを備えたものを用いた。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネル列に沿った方向に走行可能な走行手段を備えた本体の下面側に、円柱状のロールブラシがソーラーパネル列に交差する方向で軸支され、
本体を走行させながら、ロールブラシを回転駆動することによって、ソーラーパネルの上面を洗浄するソーラーパネル洗浄装置であって、
ロールブラシが、本体に対して上下動な状態で取り付けられ、
ロールブラシを下側に付勢してソーラーパネルに押し付けるためのロールブラシ付勢手段が設けられるとともに、
ロールブラシ付勢手段として、その付勢力を調節するための付勢力調整用操作部を備えたものを用いた
ことを特徴とするソーラーパネル洗浄装置。
【請求項2】
ロールブラシ付勢手段として、ガススプリングを用いた請求項1記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項3】
ロールブラシを本体に取り付けるためのロールブラシ取付ブラケットが、ロールブラシの両端部に設けられ、
ロールブラシ取付ブラケットが、
ロールブラシに取り付けられるロールブラシ側ブラケットと、
本体に取り付けられる本体側ブラケットと
で構成され、
ロールブラシ側ブラケットと本体側ブラケットとをロールブラシ付勢手段を介して連結することにより、本体側ブラケットに対してロールブラシ側ブラケットが上下動できるようにした
請求項1又は2記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項4】
ロールブラシ側ブラケットと本体側ブラケットのうち、一方にリニアシャフトが設けられて、他方に前記リニアシャフトを挿通して上下方向に案内するためのリニアブッシュが設けられた請求項3記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項5】
ロールブラシ付勢手段の付勢力を確認するための付勢力確認用スケールが設けられた請求項3又は4記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項6】
請求項1~6いずれか記載のソーラーパネル洗浄装置を用いてソーラーパネルを洗浄するソーラーパネルの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルの上面を走行させながらロールブラシを回転駆動することによってソーラーパネルの上面を洗浄するソーラーパネル洗浄装置と、このソーラーパネル洗浄装置を用いるソーラーパネルの洗浄方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しいクリーンエネルギーの利用を促進するとの観点から、太陽光発電に対する注目が集まっている。近年は、発電量が1メガワット以上の大規模な太陽光発電施設も設置されるようになっている。この太陽光発電施設は、「メガソーラー」と呼ばれており、全国各地に設置されている。
【0003】
ところが、太陽光発電に用いられるソーラーパネルの発電量は、その表面に埃等の汚れが付着すると低下してしまう。ソーラーパネルの発電量を維持するためには、ソーラーパネルの表面を定期的に洗浄する必要がある。この点、従前には、手作業によりソーラーパネルを洗浄していたところ、上記のメガソーラー等、ソーラーパネルの設置枚数が膨大な太陽光発電施設では、その作業に多大な時間と労力を要するという問題があった。
【0004】
このような実状に鑑みてか、ソーラーパネルを洗浄するための装置(ソーラーパネル洗浄装置)が開発されて利用されるに至っている。ソーラーパネル洗浄装置としては、これまでに各種のものが提案されているところ、例えば、図1に示すように、ソーラーパネル51の傾斜方向Aに沿ってソーラーパネル列50の上縁から下縁まで達する状態で設置できるようにした長尺型(ライン型)のソーラーパネル洗浄装置10が提案されている。
【0005】
この種のライン型のソーラーパネル洗浄装置10では、本体11の下面側に、走行輪12とロールブラシ13とが備えられており、ロールブラシ13を回転駆動しながらソーラーパネル洗浄装置10をソーラーパネル列50に沿った方向(図1における矢印Aの方向)に移動(走行)させることで、ソーラーパネル列50を構成する複数段のソーラーパネル51を一度に洗浄できるという利点がある。
【0006】
ライン型のソーラーパネル洗浄装置10のなかには、その本体11を、複数の分割ユニット11a~11dを連結して構成したものもある。このような連結構造を有するライン型のソーラーパネル洗浄装置10では、ソーラーパネル列50を構成するソーラーパネル51の段数等に応じて、連結する分割ユニット11a~11dの数を増減することができる。特許文献1~3にも、複数の分割ユニットを連結する構造のライン型のソーラーパネル洗浄装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-030050号公報
【特許文献2】特開2018-069223号公報
【特許文献3】特開2019-217477号公報
【特許文献4】特許第5837963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1~3等のソーラーパネル洗浄装置では、ロールブラシが通過した箇所にも汚れが残るおそれがあった。すなわち、これらのソーラーパネル洗浄装置は、円柱状のロールブラシがその中心線回りに回転することによって、ソーラーパネルに付着した汚れを洗浄するものとなっているところ、ソーラーパネル洗浄装置が走行する際に生じる振動等で、ソーラーパネル洗浄装置がその走行方向に対して傾き、ソーラーパネルの上面からロールブラシが浮き上がった状態となることがある。また、ソーラーパネルの上面に段差がある場合等にも、ソーラーパネルの上面からロールブラシが浮き上がった状態となることがある。このように、ロールブラシが浮き上がっているときには、ソーラーパネルを洗浄することができなくなる。
【0009】
この点、特許文献4の段落0058や図7等には、洗浄具30を支持スリット50に沿って上下に移動可能とすることが記載されている。同文献には、洗浄具30(ロールブラシ)の支軸31の太さ(重量)を変えることや、洗浄具30(ロールブラシ)の支軸31をソーラーパネルPの側に向けて付勢するスプリング等の弾性体を用いることで、ソーラーパネルPの表面に対する洗浄具30の押し付け圧力を調整できることについても記載されている。
【0010】
しかし、ソーラーパネルに対する洗浄具(ロールブラシ)の適切な押付力(付勢力)は、ロールブラシの回転速度や、ソーラーパネル洗浄装置の走行速度や、ソーラーパネルの傾斜角度等によって変わるところ、特許文献4のソーラーパネル洗浄装置において、ソーラーパネルに対する洗浄具(ロールブラシ)の押付力(付勢力)を変えようとすると、洗浄具(ロールブラシ)の支軸そのものを交換したり、使用するスプリングを交換したりする必要があり、その交換作業が非常に煩わしかった。加えて、洗浄具(ロールブラシ)の支軸やスプリングを複数種類用意しておく必要もあった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、洗浄条件が変わっても、部品の交換作業等を伴うことなく、手軽な操作でソーラーパネルに対するロールブラシの押付力を調節することができ、ロールブラシをソーラーパネルに適切な力で押し付けた状態で維持することのできるソーラーパネル洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、
ソーラーパネル列に沿った方向に走行可能な走行手段を備えた本体の下面側に、円柱状のロールブラシがソーラーパネル列に交差する方向で軸支され、
本体を走行させながら、ロールブラシを回転駆動することによって、ソーラーパネルの上面を洗浄するソーラーパネル洗浄装置であって、
ロールブラシが、本体に対して上下動な状態で取り付けられ、
ロールブラシを下側に付勢してソーラーパネルに押し付けるためのロールブラシ付勢手段が設けられるとともに、
ロールブラシ付勢手段として、その付勢力を調節するための付勢力調整用操作部を備えたものを用いた
ことを特徴とするソーラーパネル洗浄装置
これにより、部品の交換作業等を伴うことなく、手軽な操作でソーラーパネルに対するロールブラシの押付力を調節することが可能になる。
【0013】
本発明のソーラーパネル洗浄装置においては、ロールブラシ付勢手段として、コイルスプリングを用いることもできるが、ガススプリングを用いることが好ましい。ガススプリングは、付勢力を調節しやすいことに加えて、メンテナンスもしやすいという利点を有している。
【0014】
本発明のソーラーパネル洗浄装置においては、
ロールブラシを本体に取り付けるためのロールブラシ取付ブラケットを、ロールブラシの両端部に設け、
ロールブラシ取付ブラケットを、
ロールブラシに取り付けられるロールブラシ側ブラケットと、
本体に取り付けられる本体側ブラケットと
で構成し、
ロールブラシ側ブラケットと本体側ブラケットとをロールブラシ付勢手段を介して連結することにより、本体側ブラケットに対してロールブラシ側ブラケットが上下動できるようにする
ことも好ましい。
これにより、ロールブラシをソーラーパネルに押し付けることができる構造を、シンプルに実現することが可能になる。
【0015】
本発明のソーラーパネル洗浄装置において、上記のロールブラシ取付ブラケットに係る構成を採用する場合には、ロールブラシ側ブラケットと本体側ブラケットのうち、一方にリニアシャフトを設けて、他方に前記リニアシャフトを挿通して上下方向に案内するためのリニアブッシュを設けることが好ましい。これにより、本体側ブラケットに対してロールブラシ側ブラケットを安定して上下方向に移動させることが可能になる。
【0016】
本発明のソーラーパネル洗浄装置において、上記のロールブラシ取付ブラケットに係る構成を採用する場合には、ロールブラシ付勢手段の付勢力を確認するための付勢力確認用スケールを設けることも好ましい。これにより、ロールブラシ付勢手段の付勢力を目標の値に容易に設定することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によって、洗浄条件が変わっても、部品の交換作業等を伴うことなく、手軽な操作でソーラーパネルに対するロールブラシの押付力を調節することができ、ロールブラシをソーラーパネルに適切な力で押し付けた状態で維持することのできるソーラーパネル洗浄装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ソーラーパネル洗浄装置を用いてソーラーパネルを洗浄している様子を示した斜視図である。
図2】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置の平面図であって、本体の走行方向に対してロールブラシを垂直にした状態を示した図である。
図3】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置の平面図であって、本体の走行方向に対してロールブラシを非垂直に傾斜させた状態を示した図である。
図4】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する分割ユニットを示した斜視図である。
図5】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する分割ユニットにロールブラシを取り付けている様子を示した斜視図である。
図6】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する分割ユニットにロールブラシを取り付けているときのロールブラシ取付ブラケットの周辺を拡大して示した斜視図である。
図7】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する分割ユニットの平面図であって、本体の走行方向に対してロールブラシを垂直にした状態を示した図である。
図8】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する分割ユニットの底面図であって、本体の走行方向に対してロールブラシを垂直にした状態を示した図である。
図9】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する分割ユニットの平面図であって、本体の走行方向に対してロールブラシを傾斜させた状態を示した図である。
図10】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する分割ユニットの底面図であって、本体の走行方向に対してロールブラシを傾斜させた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のソーラーパネル洗浄装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下で述べる構成は、飽くまで実施例に過ぎず、本発明のソーラーパネル洗浄装置の技術的範囲は、以下で述べる構成に限定されない。本発明のソーラーパネル洗浄装置には、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0020】
図1は、ソーラーパネル洗浄装置10を用いてソーラーパネル51を洗浄している様子を示した斜視図である。図1には、説明の便宜上、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系と、x’軸、y’軸及びz’軸からなる直交座標系とを示している。x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系は、地面を基準としたものであり、xy平面は、地面に対して平行な面(水平面)となっている。x軸は、後述するソーラーパネル列50に沿った方向Aと平行にとっており、z軸は、鉛直方向にとっている。一方、x’軸、y’軸及びz’軸からなる直交座標系は、ソーラーパネル51の上面を基準としたものであり、x’y’平面は、ソーラーパネル51の上面に対して平行な面となっている。x’軸は、ソーラーパネル列50に沿った方向Aと平行にとっており、y’軸は、ソーラーパネル51の傾斜方向Aと平行にとっており、z’軸は、ソーラーパネル51の上面の法線方向にとっている。x’軸、y’軸及びz’軸からなる直交座標系は、後掲する図2~10にも示しているところ、同直交座標系における各軸の向きは、異なる図の間で共通としている。
【0021】
本発明のソーラーパネル洗浄装置10は、図1に示すように、複数枚のソーラーパネル51を配列したソーラーパネル列50の上面側に設置される。図1に示したソーラーパネル洗浄装置10は、長尺型(ライン型)となっており、ソーラーパネル51の傾斜方向Aに沿ってソーラーパネル列50の上縁から下縁まで達する状態で設置されている。このため、ソーラーパネル列50に沿った方向Aにソーラーパネル洗浄装置10を走行させることで、ソーラーパネル列50を構成する全ての段のソーラーパネル51を一度に洗浄することができるようになっている。
【0022】
図2は、ソーラーパネル洗浄装置10の平面図である。ソーラーパネル洗浄装置10は、図2に示すように、本体11と、走行輪12(走行手段)と、ロールブラシ13とを備えている。
【0023】
本体11は、走行輪12やロールブラシ13を支持するためのものとなっている。本体11には、走行輪12やロールブラシ13を回転駆動するための駆動装置(図示省略)や、ロールブラシ13に洗浄水を供給する配管(図示省略)も取り付けられる。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10において、本体11は、アングル材等を組み合わせたフレーム状を為している。本体11の上面は、図示省略のフードによって覆われており、洗浄水が周囲に飛び散らないようにしている。
【0024】
本体11の上端側には、走行ガイド14が左右一対で設けられている。この走行ガイド14が、ソーラーパネル51の端面又はその架台の端面に当接することで、ソーラーパネル洗浄装置10が、ソーラーパネル列50に沿った方向Aに案内されるようになっている。図1に示した例では、走行ガイド14をローラー(ガイドローラ―)としており、走行ガイド14がスムーズに案内されるようにしている。
【0025】
本体11は、その全体を1つのユニットで構成してもよいが、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、複数(図1の例では4つ)の分割ユニット11a,11b,11c,11dをソーラーパネル51の傾斜方向A(ソーラーパネル列に直交する方向)に沿って連結することで構成している。隣り合う分割ユニット11a~11dは、図示省略の連結手段によって互いに連結されている。これにより、ソーラーパネル列50を構成するソーラーパネル51の段数等に応じて、連結する分割ユニット11a~11dの数を増減することができる。また、ソーラーパネル洗浄装置10を保管や運搬等する際には、本体11を複数の分割ユニット11a~11dにばらすことで、場所をとらないようにすることが可能となっている。
【0026】
走行輪12(走行手段)は、ソーラーパネル51の上面を走行できるよう、本体11の下面側に設けられている。この走行輪12は、図示省略のモーター等(走行輪駆動装置)によって回転駆動される。走行輪12の回転及び停止は、図示省略のリモートコントローラ等で制御することができる。走行輪12が回転駆動されると、ソーラーパネル列50に沿った方向Aにソーラーパネル洗浄装置10が走行する。走行輪12の個数や配置は、特に限定されない。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、走行輪12を軸支するための支軸12aを、ソーラーパネル洗浄装置10の短手方向中央付近に2列で配しており、それぞれの支軸12aに16個の走行輪12を略均等に配置している。
【0027】
ロールブラシ13は、その外周部がソーラーパネル51の上面に接触するように、本体11の下面側に設けられている。このロールブラシ13は、概略円柱状を為しており、その中心線回りに回転可能な状態で支持されている。ロールブラシ13は、図示省略のモーター等(ロールブラシ駆動装置)によって回転駆動される。ロールブラシ13を回転駆動するモーター等(ロールブラシ駆動装置)は、走行輪12を回転駆動するモーター等(走行輪駆動装置)と共通に設けてもよいが、通常、独立して設けられる。
【0028】
ロールブラシ13は、単純な円柱形状を為すもの(円柱状のスポンジ等)であってもよいが、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、多数の毛を螺旋状に配置したものとなっている。ロールブラシ13の本数や配置は、特に限定されない。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、ロールブラシ13を軸支するための支軸13aを、ソーラーパネル洗浄装置10の短手方向一側(走行方向一側)と短手方向他側(走行方向他側)とに計2列で配しており、それぞれの支軸13に4本のロールブラシ13を略均等に配置している。すなわち、ロールブラシ13は、本体11の走行方向一側に配された4本の第一ロールブラシ13bと、本体11の走行方向他側に配された4本の第二ロールブラシ13cとで構成されている。
【0029】
それぞれのロールブラシ13(第一ロールブラシ13b及び第二ロールブラシ13c)は、その中心線が、ソーラーパネル51の上面に略平行で、且つ、ソーラーパネル列50に交差する方向(ソーラーパネル列50に沿った方向Aに非平行な方向)で配される。この点、図2に示す状態にあっては、全てのロールブラシ13の中心線が、ソーラーパネル列50に沿った方向A(本体11の走行方向)に対して垂直(同図の角度θが90°)となっており、第一ロールブラシ13bと第二ロールブラシ13cは、互いに平行となっている。
【0030】
このように、ロールブラシ13を本体11の走行方向一側と走行方向他側とに計2列で配したことによって、ソーラーパネル洗浄装置10が1回通過する際に、その通過箇所を第一ロールブラシ13bと第二ロールブラシ13cとで計2回洗浄することが可能になる。したがって、ソーラーパネル51に付着した汚れを除去しやすくなる。ただし、それぞれのロールブラシ13が、ソーラーパネル列50に沿った方向A(本体11の走行方向)に対して垂直になっていると、ロールブラシ13とソーラーパネル51とが、ソーラーパネル列50に沿った方向A(本体11の走行方向)において僅かな幅でしか接触しないため、強固に付着した汚れを除去しにくい。
【0031】
この点、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10においては、本体11の走行方向(方向A)に対してそれぞれのロールブラシ13が為す角度θを調節することができるようにしており、図3に示すように、本体11の走行方向(方向A)に対してそれぞれのロールブラシ13を非垂直に傾斜させる(角度θを90°以外の大きさとする)ことができるようにしている。これにより、それぞれのロールブラシ13とソーラーパネル51とが、本体11の走行方向(方向A)において広い幅で接触するようにして、ソーラーパネル51に付着した汚れを掻き出しやすくしている。図3は、ソーラーパネル洗浄装置10の平面図であって、本体11の走行方向(方向A)に対してロールブラシ13を非垂直に傾斜させた状態を示した図である。
【0032】
角度θを、どの程度の範囲で調節できるようにするかは特に限定されない。しかし、角度θを0°や180°に近づけすぎると、ロールブラシ13が本体11の走行方向(方向A)に対して平行に近い状態となり、y’軸方向で隣り合うロールブラシ13の間に広い隙間が形成されてしまう。このため、角度θを、45°よりも小さく設定することや、135°よりも大きく設定することは殆どない。このため、角度θは、45°以上、135°以下の範囲で設定できるようにしておけば、通常は足りる。角度θは、60°以上、120°以下の範囲で調節できるようにしてもよく、80°以上、100°以下の範囲で調節できるようにしてもよい。
【0033】
ただし、上述した効果(ロールブラシ13とソーラーパネル51とが、本体11の走行方向(方向A)において広い幅で接触するようにして、ソーラーパネル51に付着した汚れを掻き出しやすくする効果)が奏されやすくするためには、ロールブラシ13を、本体11の走行方向(方向A)に垂直な状態(θ=90°の状態)からある程度大きく傾ける必要がある。このため、角度θの調節幅は、ある程度広く確保することが好ましい。具体的には、角度θを、90°を中心として2°以上の幅(89°~91°よりも広い範囲)で調節できるようにすることが好ましい。角度は、90°を中心として6°以上の幅(87°~93°よりも広い範囲)で調節できるようにすることが好ましく、90°を中心として10°以上の幅(85°~95°よりも広い範囲)で調節できるようにすることがより好ましい。
【0034】
このように、本体11の走行方向(方向A)に対してロールブラシ13が為す角度θを調節できるようにしたことによって、本体11の走行速度や、ロールブラシ13の回転速度や、ソーラーパネル51の傾斜角度等の洗浄条件によって、角度θを適切な値に設定することができるようになる。このため、洗浄条件にかかわらず、ソーラーパネル51を効率的に洗浄することが可能となる。角度θは、全てのロールブラシ13で同じになるようにしてもよいが、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、それぞれのロールブラシ13で独立して調節できるようにしている。
【0035】
ロールブラシ13の角度θを調節できるようにする構造は、特に限定されない。ロールブラシ13をx’y’平面上で回転(揺動)できる状態で本体11に支持すれば、そのような構造を実現することができる。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、図4~6に示すように、ロールブラシ13の両端部を、ロールブラシ取付ブラケット15を介して本体11に取り付けるようにしているところ、それぞれのロールブラシ取付ブラケット15を本体11に対して取り付ける位置を変更することで、ロールブラシ13の角度θ(図3)を調節できるようにしている。
【0036】
図4は、ソーラーパネル洗浄装置10の本体11を構成する4つの分割ユニット11a~11dのうち、最上段に配される分割ユニット11aを示した斜視図である。図5は、分割ユニット11aにロールブラシ13を取り付けている様子を示した斜視図である。図6は、分割ユニット11aにロールブラシ13を取り付けているときのロールブラシ取付ブラケット14の周辺を拡大して示した斜視図である。図4は、z’軸が紙面上向きとなる状態で表わしているが、図5及び図6は、z’軸が紙面下向きとなる状態で表わしているため、注意されたい。
【0037】
具体的には、図6に示すように、それぞれのロールブラシ取付ブラケット15に、長孔15aを設けており、この長孔15aにボルト15bを挿通し、そのボルト15bの先端を本体11の横フレーム部11eに螺合することによって、本体11にロールブラシ取付ブラケット15を取り付けるようにしている。長孔15aは、その長手方向が、本体11の走行方向(方向A)と非平行となるように形成している。ロールブラシ13の両端部を軸支する一対のロールブラシ取付ブラケット15のうち、一方のロールブラシ取付ブラケット15における長孔15aと、他方のロールブラシ取付ブラケット15における長孔15aとは、対称となるようにしている。
【0038】
このため、後掲する図8及び図10に示すように、長孔15aにおけるボルト15bを挿通する箇所を変更することによって、ロールブラシ13が為す角度θを調節することができるようになっている。長孔15aは、それぞれのロールブラシ取付ブラケット15に2個ずつ対で設けており、その対を為す2個の長孔15aのそれぞれに、ボルト15bを挿通するようにしている。対を為す2個の長孔15aは、平面視「八」の字状(互いに非平行で、且つ、線対称を為すよう)に配している。これにより、本体11に対してロールブラシ13をx’y’平面上で回転(揺動)させやすくなり、ロールブラシ13の角度θを容易に調節することが可能となっている。
【0039】
ボルト15bの先端は、本体11の横フレーム部11eに直接螺合してもよいが、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10においては、図6に示すように、横フレーム部11eの溝11fに嵌め込んだ先入れナット11gに螺合するようにしている。先入れナット11gは、横フレーム部11eの溝11fに沿ってスライドさせることが可能となっている。このため、ロールブラシ13の取付自由度を高めて、ロールブラシ13の角度θを容易に調節することが可能となっている。
【0040】
また、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10においては、後掲する図7及び図9に示すように、本体11の横フレーム部11eに、角度確認用スケール11hを設けている。この角度確認用スケール11hは、ロールブラシ13の両端部の位置(本体11の走行方向Aに沿った方向での位置)を読み取ることで、ロールブラシ13の角度θを確認することができるものとなっている。この角度確認用スケール11hを設けることで、ロールブラシ13の角度θを目標の値に容易に設定することが可能となっている。
【0041】
ロールブラシ取付ブラケット15は、図6に示すように、ロールブラシ13に取り付けられるロールブラシ側ブラケット15cと、本体11に取り付けられる本体側ブラケット15dとに分離して構成している。このため、本体側ブラケット15dに対してロールブラシ取付ブラケット15cが上下動(z’軸方向に移動)できるようになっている。すなわち、本体11に対してロールブラシ13が上下動(z’軸方向に移動)できるようになっている。ロールブラシ13の支軸13aは、ロールブラシ側ブラケット15cに取り付けられている。長孔15aは、本体側ブラケット15dに形成されている。
【0042】
本体側ブラケット15dには、上下方向(z’方向)に延びるリニアシャフト15eが設けられている。一方、ロールブラシ側ブラケット15cには、リニアブッシュ15fが設けられている。リニアシャフト15eは、リニアブッシュ15fに挿通され、リニアブッシュ15fによって上下方向(z’方向)に案内されるようになっている。
【0043】
リニアシャフト15e及びリニアブッシュ15fは、それぞれのロールブラシ取付ブラケット15につき1箇所ずつ設けてもよいが、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、それぞれのロールブラシ取付ブラケット15における、本体11の走行方向Aに沿って距離を隔てた対称な位置に、計2箇所設けている。これにより、ロールブラシ13が本体11の走行方向Aに傾きにくくして、ロールブラシ13を安定して上下動(z’軸方向に移動)させることが可能となっている。
【0044】
ロールブラシ側ブラケット15cと本体側ブラケット15dは、ロールブラシ付勢手段15gを介して連結されている。このため、ロールブラシ側ブラケット15cは、下側(z’軸方向負側)に付勢された状態となっている。したがって、ソーラーパネル51の上面を走行している本体11に振動等が生じても、ソーラーパネル51の上面に対してロールブラシ13が接触した状態を維持すること(ロールブラシ13がソーラーパネル51の上面から浮き上がらないようにすること)が可能となっている。
【0045】
ロールブラシ付勢手段15gは、それぞれのロールブラシ取付ブラケット15に1箇所ずつ設けてもよいが、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、それぞれのロールブラシ取付ブラケット15における一側と他側(本体11の走行方向Aでの一側と他側)とで対になるように、計2箇所に設けている。これにより、本体側ブラケット15dに対してロールブラシ側ブラケット15cをバランスよく支持させ、z’軸に非平行な方向の応力がリニアシャフト15eとリニアブッシュ15fとの間に生じないようにすることが可能となっている。したがって、本体11に対してロールブラシ13がスムーズに上下動(z’軸方向に移動)できるようになっている。
【0046】
ロールブラシ付勢手段15gとしては、コイルスプリングを利用するものや、ガススプリングを利用するもの等が例示される。付勢力の調節のしやすさや、メンテナンスのしやすさ等を考慮すると、ガススプリングを用いることが好ましい。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10でも、ロールブラシ付勢手段15gとしてガススプリングを用いている。このガススプリング(ロールブラシ付勢手段15g)は、そのシリンダーの端部に設けられたノブ15g(付勢力調整用操作部)を回転操作することで、その付勢力(ガス圧)を調節することができるものとなっている。
【0047】
このように、ロールブラシ付勢手段15gの付勢力を調節できるようにすることで、本体11の走行速度や、ロールブラシ13の回転速度や、ソーラーパネル51の傾斜角度等の洗浄条件に応じた適切な付勢力で、ロールブラシ13をソーラーパネル51の上面に押し付けることができるようになる。したがって、洗浄条件にかかわらず、ソーラーパネル51を効率的に洗浄することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態の ソーラーパネル洗浄装置10においては、図6に示すように、ロールブラシ取付ブラケット15に、付勢力確認用スケール15hを設けている。この付勢力確認用スケール15hは、本体側ブラケット15dに対するロールブラシ側ブラケット15cの上下位置を読み取ることで、ロールブラシ付勢手段15gの付勢力を確認することができるものとなっている。この付勢力確認用スケール15hを設けることで、ロールブラシ付勢手段15hの付勢力を目標の値に容易に設定することが可能となっている。
【0049】
以上では、主に、ソーラーパネル洗浄装置10の本体11を構成する4つの分割ユニット11a~11dのうち、最上段に配される分割ユニット11aについてのみ説明したが、ロールブラシ取付ブラケット15やその周辺の構造については、他の分割ユニット11b~11dでも同様である。分割ユニット11aと、分割ユニット11bと、分割ユニット11cと、分割ユニット11dは、走行ガイド14の有無や、隣り合う分割ユニット11a~11dを連結する連結手段の配置や、走行輪12の配置や、ケーブルの配線や、ホースの配管や、バッテリーや制御盤の有無等が異なるだけで、基本的な構造は同じである。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10において、バッテリー及び制御盤は、分割ユニット11b,11dのみに設けている。
【0050】
以上のように、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10は、本体11の走行速度や、ロールブラシ13の回転速度や、ソーラーパネル51の傾斜角度等の洗浄条件が変わっても、ロールブラシ13を適切な状態でソーラーパネルに接触させることができ、ソーラーパネルを効率的に洗浄することができるものとなっている。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10は、各種のソーラーパネルを洗浄する際に使用することができ、家屋やビルの屋根等に設置されたソーラーパネルを洗浄する際にも使用することができるが、メガソーラー等、大規模な太陽光発電施設におけるソーラーパネルを洗浄するものとして好適である。
【符号の説明】
【0051】
10 ソーラーパネル洗浄装置
11 本体
11a 分割ユニット
11b 分割ユニット
11c 分割ユニット
11d 分割ユニット
11e 横フレーム部
11f 溝
11g 先入れナット
11h 角度確認用スケール
12 走行輪(走行手段)
12a 支軸
13 ロールブラシ
13a 支軸
13b 第一ロールブラシ
13c 第二ロールブラシ
14 走行ガイド
15 ロールブラシ取付ブラケット
15a 長孔
15b ボルト
15c ロールブラシ側ブラケット
15d 本体側ブラケット
15e リニアシャフト
15f リニアブッシュ
15g ロールブラシ付勢手段
15g ノブ(付勢力調整用操作部)
15h 付勢力確認用スケール
50 ソーラーパネル列
51 ソーラーパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10