(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072013
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】配管吊下げ構造体の施工方法及び配管吊下げ構造体
(51)【国際特許分類】
F16L 3/24 20060101AFI20220510BHJP
F16L 3/00 20060101ALI20220510BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20220510BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F16L3/24 B
F16L3/00 D
F16B7/18 E
F16B7/04 301M
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181194
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】596022927
【氏名又は名称】寿産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豊幸
【テーマコード(参考)】
3H023
3J039
【Fターム(参考)】
3H023AC05
3H023AC13
3H023AD32
3H023AE03
3J039AA07
3J039BB03
3J039BB04
3J039CA05
3J039GA02
3J039GA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】配管吊下げ構造体の寸法取り、加工、及び組付けを設置場所で一貫して行うことを可能として、作業者の組付け作業の負担を軽減する配管吊下げ構造体の施工方法及び配管吊下げ構造体を提供する。
【解決手段】天井面12に取付固定する取付フランジ22を備えた一対の吊下げ部材16、配管支持部材20及び一対の連結部材18を準備して設置場所に搬入する。天井面から配管14の管底までの吊下げ高さに吊下げ部材を切断し、配管支持部材の長さを配管の管底を支持するための横幅に切断する。切断済みの吊下げ部材及び配管支持部材に、連結部材の第1取付穴30に対応する第2取付穴38を電動油圧式パンチャー等を用いて加工する。吊下げ部材を取付フランジにより天井面に取付固定して組付け、最終的に、吊下げ部材の下端に連結部材を用いて配管支持部材を連結固定して組付けることで、配管吊下げ構造体が完成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する配管吊下げ構造体の施工方法であって、
上端に天井面に取付固定する取付フランジを備えた所定の長さを有する一対の吊下げ部材と、一対の前記吊下げ部材の両下端に配置されて配管を支持する所定の長さを有する配管支持部材と、一対の前記吊下げ部材と前記配管支持部材との間を連結固定する一対の連結部材とを設置場所に搬入して準備する準備工程と、
前記設置場所の天井面から配管の管底までの吊下げ高さ、及び、配管の管底を支持するための横幅を決定し、一対の前記吊下げ部材の長さを決定された前記吊下げ高さとなるように下端側を切断し、前記配管支持部材の長さを決定された前記横幅となるように切断する第1加工工程と、
前記第1加工工程で加工された一対の前記吊下げ部材を前記取付フランジにより前記天井面に取付固定して組付ける第1組付け工程と、
前記第1組付け工程で前記天井面に固定された一対の前記吊下げ部材の両下端に、前記第1加工工程で加工された前記配管支持部材を前記連列部材により連結固定して組付ける第2組付け工程と、
を備えたことを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項2】
建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する配管吊下げ構造体の施工方法であって、
上端に天井面に取付固定する取付フランジを備えた所定の長さを有する一対の吊下げ部材と、一対の前記吊下げ部材の両下端に配置されて配管を支持する所定の長さを有する配管支持部材と、一対の前記吊下げ部材と前記配管支持部材との間を連結固定する第1取付穴が形成された一対の連結部材とを設置場所に搬入して準備する準備工程と、
前記設置場所の天井面から配管の管底までの吊下げ高さ、及び、配管の管底を支持するための横幅を決定し、一対の前記吊下げ部材の長さを決定された前記吊下げ高さとなるように下端側を切断し、前記配管支持部材の長さを決定された前記横幅となるように切断する第1加工工程と、
前記第1加工工程で加工された一対の前記吊下げ部材及び前記配管支持部材に、一対の前記連結部材の前記第1取付穴に対応する第2取付穴を加工する第2加工工程と、
前記第2加工工程で加工された一対の前記吊下げ部材を前記取付フランジにより前記天井面に取付固定して組付ける第1組付け工程と、
前記第1組付け工程で前記天井面に固定された一対の前記吊下げ部材の両下端に、前記第2加工工程で加工された前記配管支持部材を前記第1取付穴と前記第2取付穴に締結部材を通して前記連結部材により連結固定して組付ける第2組付け工程と、
を備えたことを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項3】
請求項2記載の配管吊下げ構造体の施工方法に於いて、
前記連結部材は、一対の前記吊下げ部材の両下端に前記配管支持部材を配置することで形成されるコーナー部に合わせたコーナー固定面を備えた板部材であり、前記コーナー固定面の前記吊下げ部材を固定する位置及び前記配管支持部材を固定する位置の各々に前記第1取付穴を形成したことを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項4】
請求項2又は3記載の配管吊下げ構造体の施工方法に於いて、
前記第2加工工程は、携帯型のパンチャーを用いて前記吊下げ部材及び前記配管支持部材に前記第2取付穴を加工することを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項5】
請求項2乃至4何れかに記載の配管吊下げ構造体の施工方法に於いて、
前記第2加工工程は、前記吊下げ部材及び前記配管支持部材に、前記連結部材の前記第1取付穴と同一又は前記第1取付穴より大きい所定の径の前記第2取付穴を加工することを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項6】
請求項2乃至5何れかに記載の配管吊下げ構造体の施工方法に於いて、
前記第2加工工程は、前記連結部材の前記コーナー固定面が前記コーナー部に位置する状態で前記連結部材の前記第1取付穴を用いて、前記吊下げ部材及び前記配管支持部材に前記第2取付穴の加工位置を罫書きして穴開け加工することを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項7】
請求項1乃至6何れかに記載の配管吊下げ構造体の施工方法に於いて、
前記吊下げ部材及び前記配管支持部材は断面L字型のアングル材であり、
前記準備工程で搬入する前記吊下げ部材及び前記配管支持部材は、前記設置場所の配管吊下げ支持構造で必要とする長さを超える所定の長さとしたことを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項8】
請求項1乃至7何れかに記載の配管吊下げ構造体の施工方法に於いて、更に、
前記天井面に上端が固定された一対の前記吊下げ部材の両下端に前記連結部材により固定された前記配管支持部材に載置することで支持された前記配管を、U形の配管固定部材により前記配管支持部材に固定する配管固定工程を備えたことを特徴とする配管吊下げ構造体の施工方法。
【請求項9】
建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する配管吊下げ構造体であって、
上端に天井面に取付固定する取付フランジを備えた一対の吊下げ部材と、
一対の前記吊下げ部材の両下端に配置されて配管を支持する配管支持部材と、
一対の前記吊下げ部材と前記配管支持部材との間を連結固定する一対の連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、一対の前記吊下げ部材の両下端に前記配管支持部材を配置することで形成されるコーナー部に合わせたコーナー固定面を備えた板部材であり、前記コーナー固定面の前記吊下げ部材を固定する位置及び前記配管支持部材を固定する位置の各々に第1取付穴を形成され、
一対の前記吊下げ部材及び前記配管支持部材は、前記連結部材の前記第1取付穴に対応した第2取付穴を備え、
前記第1取付穴と前記第2取付穴に締結部材を通して一対の前記吊下げ部材と前記配管支持部材を前記連結部材により連結固定する構造としたことを特徴とする配管吊下げ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する配管吊下げ構造体の施工方法及び配管吊下げ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造体となる建物内に配管を設置する場合には、配管の設置前または配管の設置後に、天井面側から配管を吊下げ支持して固定する配管吊下げ構造体を設けている。
【0003】
この配管吊下げ構造体の従来の施工方法は、まず、設置場所で天井面から配管位置までの吊下げ高さと、配管を支持する横幅を寸法取りし、この結果を工場などの生産現場に持ち帰り、アングル材を用いて寸法取りした吊下げ高さと横幅をもつ吊下げ構造体を製造し、これを設置場所に搬入して組付け工事を行っている。
【0004】
また、吊りボルトを用いた配管吊下げ構造体も知られているが、振動を受ける場所や強度が必要となる場所については、アングル材を用いた配管吊下げ構造を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-086017号公報
【特許文献2】実用新案登録第3183555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の配管吊下げ構造体の施工方法にあっては、設置場所で必要とする寸法取りを行った後に、工場等の生産現場に持ち帰って配管吊下げ構造体を製造し、これを設置場所に搬入して組付けており、配管吊下げ構造体は、建物内の場所に応じて必要とする寸法が様々であり、寸法取り、製造、組付けといった場所と時間が異なる複数段階の作業を必要し、手間と時間がかかることで工期が長くなり、全体としての作業効率が低下する問題がある。
【0007】
また、配管吊下げ構造体のサイズが大きい場合や重量が重い場合には、作業者の組付け作業の負担が大きく、また作業スペースが狭い等の組付け作業の環境が悪い場合にさらに作業負担を大きくする問題もある。
【0008】
本発明は、配管吊下げ構造体の寸法取り、加工、及び組付けを設置場所で一貫して行うことを可能として作業効率を向上させ、作業者の組付け作業の負担を軽減する配管吊下げ構造体の施工方法及び配管吊下げ構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(配管吊下げ構造体の施工方法1)
本発明は、建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する配管吊下げ構造体の施工方法であって、
上端に天井面に取付固定する取付フランジを備えた所定の長さを有する一対の吊下げ部材と、一対の吊下げ部材の両下端に配置されて配管を支持する所定の長さを有する配管支持部材と、一対の吊下げ部材と配管支持部材との間を連結固定する一対の連結部材とを設置場所に搬入して準備する準備工程と、
設置場所の天井面から配管の管底までの吊下げ高さ、及び、配管の管底を支持するための横幅を決定し、一対の吊下げ部材の長さを決定された吊下げ高さとなるように下端側を切断し、配管支持部材の長さを決定された横幅となるように切断する第1加工工程と、
第1加工工程で加工された一対の吊下げ部材を取付フランジにより天井面に取付固定して組付ける第1組付け工程と、
第1組付け工程で天井面に固定された一対の吊下げ部材の両下端に、第1加工工程で加工された配管支持部材を連列部材により連結固定して組付ける第2組付け工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
(配管吊下げ構造体の施工方法2)
本発明は、建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する配管吊下げ構造体の施工方法であって、
上端に天井面に取付固定する取付フランジを備えた所定の長さを有する一対の吊下げ部材と、一対の吊下げ部材の両下端に配置されて配管を支持する所定の長さを有する配管支持部材と、一対の吊下げ部材と配管支持部材との間を連結固定する第1取付穴が形成された一対の連結部材とを設置場所に搬入して準備する準備工程と、
設置場所の天井面から配管の管底までの吊下げ高さ、及び、配管の管底を支持するための横幅を決定し、一対の吊下げ部材の長さを決定された吊下げ高さとなるように下端側を切断し、配管支持部材の長さを決定された横幅となるように切断する第1加工工程と、
第1加工工程で加工された一対の吊下げ部材及び配管支持部材に、一対の連結部材の第1取付穴に対応する第2取付穴を加工する第2加工工程と、
第2加工工程で加工された一対の吊下げ部材を取付フランジにより天井面に取付固定して組付ける第1組付け工程と、
第1組付け工程で天井面に固定された一対の吊下げ部材の両下端に、第2加工工程で加工された配管支持部材を第1取付穴と第2取付穴に締結部材を通して連結部材により連結固定して組付ける第2組付け工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
(連結部材)
連結部材は、一対の吊下げ部材の両下端に配管支持部材を配置することで形成されるコーナー部に合わせたコーナー固定面を備えた板部材であり、コーナー固定面の吊下げ部材を固定する位置及び配管支持部材を固定する位置の各々に第1取付穴を形成する。
【0012】
(取付穴の加工)
第2加工工程は、携帯型のパンチャーを用いて吊下げ部材及び配管支持部材に第2取付穴を加工する。
【0013】
(取付け穴の穴径)
第2加工工程は、吊下げ部材及び配管支持部材に、連結部材の第1取付穴と同一又は第1取付穴より大きい所定の径の第2取付穴を加工する。
【0014】
(取付穴の位置決め)
第2加工工程は、連結部材のコーナー固定面がコーナー部に位置する状態で連結部材の第1取付穴を用いて、吊下げ部材及び配管支持部材に第2取付穴の加工位置を罫書きして穴開け加工する。
【0015】
(アングル材と初期長さ)
吊下げ部材及び配管支持部材は断面L字型のアングル材であり、
準備工程で搬入する吊下げ部材及び配管支持部材は、設置場所の配管吊下げ支持構造で必要とする長さを超える所定の長さとする。
【0016】
(U形の配管固定部材による配管固定工程)
更に、天井面に上端が固定された一対の吊下げ部材の両下端に連結部材により固定された配管支持部材に載置することで支持された配管を、U形の配管固定部材により配管支持部材に固定する配管固定工程を備える。
【0017】
(配管吊下げ構造体)
本発明は、建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する配管吊下げ構造体であって、
上端に天井面に取付固定する取付フランジを備えた一対の吊下げ部材と、
一対の吊下げ部材の両下端に配置されて配管を支持する配管支持部材と、
一対の吊下げ部材と配管支持部材との間を連結固定する一対の連結部材と、
を備え、
連結部材は、一対の吊下げ部材の両下端に配管支持部材を配置することで形成されるコーナー部に合わせたコーナー固定面を備えた板部材であり、コーナー固定面の吊下げ部材を固定する位置及び配管支持部材を固定する位置の各々に第1取付穴を形成され、
一対の吊下げ部材及び配管支持部材は、連結部材の第1取付穴に対応した第2取付穴を備え、
第1取付穴と第2取付穴に締結部材を通して一対の吊下げ部材と配管支持部材を連結部材により連結固定する構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
(配管吊下げ構造の施工方法による効果)
本発明による配管吊下げ構造の施工方法によれば、準備工程で、配管吊下げ構造の構築に必要な部材である一対の吊下げ部材、配管支持部材、及び一対の連結部材を設置場所に搬入し、続いて、第1加工工程で、吊下げ部材を設置場所の天井面から配管の管底までの吊下げ高さに切断し、また、配管支持部材を設置場所で決定した配管の管底を支持するための横幅に切断し、続いて、一対の連結部材に第1取付穴が形成されている場合は、第2加工工程で、吊下げ部材及び配管支持部材に、連結部材の第1取付穴に対応する第2取付穴を加工し、第1組付け工程で、一対の吊下げ部材を天井面に取付固定して組付け、第2組付け工程で、一対の吊下げ部材の両下端に、一対の連結部材を用いて配管支持部材を連結固定して組付けることにより、従来、異なる場所で行っていた寸法取り、加工、組付けといった作業を、設置場所で一括して行うことが可能となり、作業効率を大幅に向上することができる。
【0019】
また、吊下げ部材、配管支持部材及び連結部材により組上げた構造体を天井面に取り付けるのではなく、吊下げ部材単体をまず天井面に取り付けることから、第1組付工程における作業者の負担を従来の組付けよりも減らすことが出来る。
【0020】
また、組上げた構造体を製造場所から設置場所へ搬入する必要がなく、吊下げ部材、配管支持部材及び連結部材といった部材単位で設置場所へ搬入すればよく、搬入が容易となる。
【0021】
(連結部材の効果)
また、連結部材は、一対の吊下げ部材の両下端に配管支持部材を配置することで形成されるコーナー部に合わせたコーナー固定面を備えた板部材であり、コーナー固定面の吊下げ部材を固定する位置及び配管支持部材を固定する位置の各々に第1取付穴を形成することで、使用する吊下げ部材及び配管支持部材により定まるコーナー部にコーナー固定面を位置合わせすると、連結部材の位置が定まり、吊下げ部材及び配管支持部材に形成する第2取付穴は、当該位置が定まったコーナー固定面に形成された第1取付穴に対応させて加工すればよく、設置場所での吊下げ部材の下端に対する配管支持部材の組付けを簡単且つ確実に行うことを可能とする。
【0022】
(取付穴の加工による効果)
また、第2加工工程は、携帯型のパンチャーを用いて吊下げ部材及び配管支持部材に第2取付穴を加工することで、設置場所での取付穴の加工を簡単且つ確実に行うことを可能とする。
【0023】
(取付け穴の穴径の効果)
また、第2加工工程は、吊下げ部材及び配管支持部材に、連結部材の第1取付穴と同一又は第1取付穴より大きい所定の径の第2取付穴を加工するものであるが、特に、第2取付穴を第1取付穴より大きな径とした場合には、連結部材を用いた連結時に、吊下げ部材に対し配管支持部材側を、穴径の差分だけ位置を動かすことが可能となり、例えば、配管を押し上げるように配管支持部材を位置決めするといった組付け調整を可能とする。
【0024】
(取付穴の位置決めによる効果)
また、第2加工工程は、連結部材のコーナー固定面がコーナー部に位置する状態で連結部材の第1取付穴を用いて、吊下げ部材及び配管支持部材に第2取付穴の加工位置を罫書きして穴開け加工することで、特別な治具を必要とすることなく、連結部材を用いて吊下げ部材及び配管支持部材の第2取付穴の形成位置を正確に決めて、加工することができる。
【0025】
(アングル材と初期長さの効果)
また、吊下げ部材及び配管支持部材は断面L字型のアングル材であり、準備工程で搬入する吊下げ部材及び配管支持部材は、設置場所の配管吊下げ支持で必要とする長さを超える所定長さとしており、寸法的に余裕のある所定長さの部材を予め準備して搬入することで、設置場所に合わせた部材を用意する必要はなく、数種類の部材を準備しておき、その中から選べばよく、設置場所によって組付け寸法が異なっても、設置場所で適切に対応可能とする。
【0026】
(U形の配管固定部材による配管固定工程の効果)
更に、天井面に上端が固定された一対の吊下げ部材の両下端に連結部材により固定された配管支持部材に載置することで支持された配管を、U形の配管固定部材により配管支持部材に固定する配管固定工程を備えたことで、配管吊下げ構造体に対する配管の支持固定を更に強固なものとすることを可能とする。
【0027】
(配管吊下げ構造体の効果)
本発明の配管吊下げ構造体についても、前述した、配管吊下げ構造体の施工方法と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による配管吊下げ構造体の実施形態を示した説明図である。
【
図2】本発明による配管吊下げ構造体の施工方法を示したフロー図である。
【
図3】
図2の準備工程で設置場所に搬入される構造部材を示した説明図である。
【
図4】
図2の第1加工工程での寸法取りに基づく構造部材の切断を示した説明図である。
【
図5】
図4の切断で加工された構造部材を示した説明図である。
【
図6】
図2の第2加工工程での連結部材を治具として吊下げ部材及び配管支持部材の穴開け位置を罫書きする作業を示した説明図である。
【
図7】第2加工工程での電動油圧式パンチャーを用いた構造部材の穴開け作業を示した説明図である。
【
図8】
図2の第1組付け工程での吊下げ部材の天井面への取付固定を示した説明図である。
【
図9】
図2の第2組付け工程での連結部材による配管支持部材の組付けを示した説明図である。
【
図10】配管吊下げ構造体の完成状態を示した説明図である。
【
図11】
図2の配管固定工程でのU形ボルトを用いた配管の固定を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る配管吊下げ構造体の施工方法及び配管吊下げ構造体の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0030】
[実施形態の基本的な概念]
実施形態は、概略的に、配管吊下げ構造体の施工方法に関するものである。配管吊下げ構造体の施工方法とは、建物内に配置された配管を天井側に吊下げ支持する構造体を施工する方法である。
【0031】
本実施形態の配管吊下げ構造体の施工方法は、準備工程、第1加工工程、第1組付け工程、及び第2組付け工程を備えるものであり、更に、必要に応じて第2加工工程及び配管固定工程を備えるものである。
【0032】
「準備工程」とは、配管吊下げ構造体を構築するための構造部材である一対の吊下げ部材、一対の連結部材、及び配管支持部材を設置場所に搬入して準備するものである。ここで、「吊下げ部材」とは、上端に天井面に取付固定する取付フランジを備えた所定の長さを有する構造部材であり、一例としてアングル材が使用される。また「配管支持部材」とは、一対の吊下げ部材の両下端に配置されて配管を支持する所定の長さを有する構造部材であり、一例としてアングル材が使用される。
【0033】
準備工程で搬入される吊下げ部材及び配管支持部材の長さは、設置場所での配管吊下げ支持に必要とする長さを超える所定の長さであり、吊下げ部材は、設置場所での寸法取りに基づく切断を可能とする例えば1.0メートル、1.5メートル、2.0メートルといった長さに分けて準備され、また、配管支持部材も設置場所での寸法取りに基づく切断を可能とする例えば0.5メートル、0.75メートル、1.0メートルといった長さに分けて準備されている。
【0034】
また「連結部材」とは、天井側に固定された一対の吊下げ部材の両下端に配管支持部材を連結固定する一対の構造部材であり、形状や種類は任意であるが、一例として、一対の吊下げ部材の両下端に配管支持部材を配置することで形成されるコーナー部に合わせたコーナー固定面を備えた板部材であり、コーナー固定面の吊下げ部材を固定する位置及び配管支持部材を固定する位置の各々に第1取付穴を形成したものである。
【0035】
「第1加工工程」は、設置場所の天井面から配管の管底までの吊下げ高さ、及び、配管の管底を支持するための横幅を寸法取りにより決定し、吊下げ部材の長さを決定された吊下げ高さとなるように下端側を切断し、配管支持部材の長さを決定された横幅となるように切断する工程である。
【0036】
「第2加工工程」とは、一対の連結部材に第1取付穴が形成されている場合に、第1加工工程で寸法取りして加工された吊下げ部材及び配管支持部材に、連結部材の第1取付穴に対応する第2取付穴を加工する工程である。ここで、吊下げ部材及び配管支持部材に対する取付穴の加工は、任意の工具を使用するものであるが、一例として、携帯型の電動油圧式パンチャーを用いるものである。また、取付穴を形成している連結部材を治具に使用して、吊下げ部材及び配管支持部材の穴開け位置を罫書きして穴開け加工するものである。また、加工する取付け穴の穴径は、吊下げ部材及び配管支持部材に、連結部材の第1取付穴と同一又は第1取付穴より大きい所定の径の第2取付穴を加工するものである。
【0037】
「第1組付け工程」とは、第1加工工程又は第2加工工程で加工された一対の吊下げ部材を取付フランジにより天井面に取付固定して組付ける工程であり、天井面への組付けは任意であるが、例えば、アンカーボルト等を用いた公知の手法とする。
【0038】
「第2組付け工程」とは、第1組付け工程で天井面に固定された一対の吊下げ部材の両下端に、連結部材を用いて第1加工工程又は第2加工工程で加工された配管支持部材を連結固定して組付ける工程であり、連結部材による配管支持部材の吊下げ部材に対する連結固定は任意であるが、例えば、第1取付穴と第2取付穴に締結部材としてボルトを通してナットにより締結する公知の手法とする。
【0039】
更に、「配管固定工程」とは、天井面に上端が固定された一対の吊下げ部材の両下端に連結部材により固定された配管支持部材に載置することで支持された配管を、配管支持部材に固定する工程であり、固定の手法は任意であるが、例えば、U形の配管固定部材(U形ボルト)により配管を固定するものであり、必要に応じて追加的に行われる工程である。
【0040】
また、本発明による配管吊下げ構造体の実施形態は、一対の吊下げ部材、配管支持部材、及び、一対の連結部材で構成されるものであり、前述した施工方法により完成された配管吊下げ構造体を意味する。
【0041】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す実施形態では、「連結部材」は第1取付穴が形成されたものであり、配管が設置された建物内の配管設置場所を対象に、配管吊下げ構造体を施工する場合について詳細に説明する。
【0042】
[実施形態の具体的内容]
まず、本実施形態の施工方法により構築される配管吊下げ構造体の実施形態について、より詳細に説明する。また、当該配管吊下げ構造体を正面から見た場合で上下左右の位置を定義している。
【0043】
[配管吊下げ構造]
図1は本実施形態による配管吊下げ構造体の実施形態を示した説明図であり、
図1(A)に平面図を示し、
図1(B)に正面図を示し、
図1(C)に右側面図を示し、
図1(D)に底面図を示す。
【0044】
本実施形態の配管吊下げ構造体10は、一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)、配管支持部材20及び一対の連結部材18(18-1),18(18-2)で構成される。また、一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)及び一対の連結部材18(18-1),18(18-2)については、区別する必要がない場合は単に吊下げ部材16及び連結部材18と表現する場合がある。
【0045】
(吊下げ部材)
吊下げ部材16は、上端を設置場所の天井面に取付固定して吊り下げられる構造部材であり、その構造や種類は任意であるが、一例として、断面L字型のアングル材を使用し、配管設置場所の天井面から配管14の管底までの高さに対応した所定の長さを有し、上端に設置場所の天井面に取付固定する取付フランジ22を、例えば溶接等で固定し、取付フランジ22の2箇所には取付用の長穴24が形成され、例えばアンカーボルト等により天井面への取付固定を可能としている。
【0046】
(配管支持部材)
配管支持部材20は、一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)の両下端に対して左右方向(横方向)に配置されて配管14を支持する構造部材であり、その構造や種類は任意であるが、一例として、断面L字型のアングル材を使用している。
【0047】
(連結部材)
連結部材18は、吊下げ部材16と配管支持部材20との間を連結固定する構造部材であり、その構造や形状は任意であるが、一例として、一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)の各々の下端に配管支持部材20を配置することで形成されるコーナー部を覆うコーナー固定面を少なくとも有する略三角形の金属製の板部材であり、連結固定する場合に、吊下げ部材16に位置するコーナー固定面の2箇所をボルト26とナット28で締結固定し、また、配管支持部材20に位置するコーナー固定面の2箇所をボルト26とナット28で締結固定している。
【0048】
一対の連結部材18(18-1),18(18-2)により一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)と配管支持部材20とを連結(締結)固定するためのボルト26を通すため、連結部材18(18-1),18(18-2)に、第1取付穴が形成され、また、吊下げ部材16(16-1),16(16-2)及び配管支持部材20側には、第1取付穴に対応して第2取付穴が形成されている。
【0049】
[配管吊下げ構造体の施工方法]
次に、
図1に示した配管吊下げ構造体を構築するための施工方法をより詳細に説明する。
【0050】
(施工方法の概要)
本実施形態の施工方法は、
図2のフロー図に示すように、準備工程S1、第1加工工程S2、第2加工工程S3、第1組付け工程S4、第2組付け工程S5、及び、配管固定工程S6で構成される。ここで、準備工程S1から第2組付け工程S5までで、
図1に示した配管吊下げ構造体10が完成するものであり、最後の配管固定工程S6は、必要に応じて行う選択的な工程となる。以下、各工程を詳細に説明する。
【0051】
(準備工程)
準備工程は、配管吊下げ構造体10を構築するために構造部材、工具等の機器を建物内の設置場所に搬入して準備する工程であり、準備する構造部材や工具等は任意であるが、一例として、
図3に示すように、構造部材として、工場等の生産設備で製造された一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)、配管支持部材20、及び、一対の連結部材18(18-1),18(18-2)を設置場所に搬入して準備するものである。
【0052】
ここで、吊下げ部材16は、所定の長さとして初期長さHsを有し、初期長さHsとしては、例えば1.0メートル、1.5メートル、2.0メートルといった複数種類が準備されており、その中から設置場所での配管14の吊下げ高さに適合したものを選択して搬入する。例えば、天井面からの配管14の管底までの吊下げ高さHが0.7メートルであれば、初期長さHsが1.0メートルのものを選択して搬入する。
【0053】
また、配管支持部材20も所定の長さとして初期幅Wsを有し、初期幅Wsとしては、例えば0.5メートル、0.75メートル、1.0メートルといった複数種類が準備されており、その中から設置場所での配管14を支持するための横幅Wに適合したものを選択して搬入する。例えば、配管14を支持するための横幅Wが0.6メートルであれば、初期幅Wsが0.75メートルのものを選択して搬入する。
【0054】
また、連結部材18(18-1),18(18-2)は、
図1に示したように、一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)の各々の下端と配管支持部材20とが連結するコーナー部を覆うコーナー固定面を少なくとも有する略三角形の金属製の板部材であり、連結固定する場合に吊下げ部材16の下端側に固定される上下方向に長辺を持つコーナ固定面18a、連結固定する場合に配管支持部材20の左右どちらかの端部側に固定される左右方向に長辺を持つコーナー固定面18b、及び、連結固定する場合に吊下げ部材16及び配管支持部材20の領域外となるテーパー面18cに分けられる。
【0055】
上下方向に長辺を持つコーナー固定面18aには、上下2箇所にボルトを通す第1取付穴30が形成され、また、左右方向に長辺を持つコーナー固定面18bには、左右2箇所にボルトを通す第1取付穴30が形成されている。また、連結部材18(18-1),18(18-2)は、配管吊下げ構造10として施工し正面から見た場合に、左右対称であることから、同じものを製造し、片方を裏返して使用すれば良い。
【0056】
(第1加工工程)
第1加工工程は、準備工程で搬入した構造部材である吊下げ部材16、及び配管支持部材20を設置場所に適合した長さに切断する工程であり、その手法は任意であるが、一例として、寸法取りの工程と切断工程とに分けられる。
【0057】
まず第1加工工程は、設置場所の天井面から配管14の管底までの吊下げ高さH、及び、配管を支持するための横幅Wを、例えばメジャー等を用いた任意の手法で寸法取りして決定する。
【0058】
続いて、
図4に示すように、準備工程で搬入した初期長さHsの吊下げ部材16を決定された吊下げ高さHとなるように切断ライン32で下端側を切断する。また、準備工程で搬入した初期幅Wsの配管支持部材20を決定された横幅Wとなるように切断ライン34で切断する。この結果、
図5に示すように、寸法取りされた高さHの吊下げ部材16と横幅Wの配管支持部材20が加工される。
【0059】
(第2加工工程)
第2加工工程は、第1加工工程で設置場所に適合した長さに加工した構造部材である吊下げ部材16、及び配管支持部材20に、取付穴等の加工を行う工程であり、加工の種類、方法、使用器具等は任意であるが、一例として、連結部材18を治具として利用して吊下げ部材16と配管支持部材20に、取付穴を加工するための位置を決める罫書きを行い、続いて、携帯型の電動油圧式パンチャーを用いて穴開け加工を行うものである。
【0060】
具体的には、
図6に示すように、連結部材18(18-1)を、吊下げ部材16(16-1)の下端に位置決めし、第1取付穴30により罫書器具を使用して、第2取付穴36の形成位置を罫書きする。詳細には、連結部材18(18-1)の下端が、吊下げ部材16(16-1)の下端から配管支持部材20の縦幅だけ下側となるように、つまりコーナー固定面18bの短辺の長さ分だけ下側となるように位置決めして罫書きを行う。吊下げ部材16(16-2)についても、連結部材18(18-2)を吊下げ部材16(16-2)の下端に位置決めし、同様に、第1取付穴30により罫書器具を使用して、第2取付穴36の形成位置を罫書きする。前述した通り、連結部材18(18-1),18(18-2)は同じものが利用できることから、どちらか一方の連結部材18を使用して罫書きすることを妨げない。
【0061】
また、配管支持部材20については、例えば、連結部材18(18-2)を配管支持部材20の右端側に位置決めし、第1取付穴30により罫書器具を使用して、第2取付穴38の形成位置を罫書きする。配管支持部材20の左端側についても、同様に、連結部材18(18-1)を配管支持部材20の左端側に位置決めし、第1取付穴30により罫書器具を使用して第2取付穴38の形成位置を罫書きする。吊下げ部材16と同様に、連結部材18(18-1),18(18-2)は同じものが利用できることから、どちらか一方の連結部材18を使用して罫書きすることを妨げない。
【0062】
続いて、
図7に示すように、公知の電動油圧式パンチャー40を使用し、罫書きを行った穴開け位置を穴開け加工することで、
図6に示す第2取付穴36,38を形成する。電動油圧式パンチャー40は、固定側となるダイス44と油圧駆動されるパンチ42の間に、加工対象とする、例えば吊下げ部材16を配置して位置決めし、スイッチ操作によるパンチ42を油圧駆動によりダイス44側に押出すことで、吊下げ部材16に対し、せん断穴開け加工を行う。電動油圧式パンチャー40による穴開け加工は、ドリル加工に比べ、作業が簡単で危険性が少ない点で有利である。勿論、ドリル加工を含む適宜の穴開け加工としても良い。
【0063】
また、第2加工工程で吊下げ部材16及び配管支持部材20に加工する第2取付穴36,38の穴径は、連結部材18の第1取付穴30の穴径と同一か又はそれより大きな穴径とする。例えば、第1取付穴30の穴径が10mmであったとすると、第2取付穴36,38の穴径を同じ10mmとするか、又はそれより大きい12mmとする。ここで、第2取付穴36,38の穴径を12mmとした場合には、10mmの第1取付穴30との間に穴径誤差2mmを生ずることとなり、第1取付穴30と第2取付穴36,38にボルト26を通して連結する場合に、穴径誤差2mmに対応した位置ずれを可能とし、これより吊下げ部材16に対し配管支持部材20の位置を調整可能とする。
【0064】
(第1組付け工程)
第1組付け工程は、設置場所の天井面に構造部材を取付固定して組付ける工程であり、その方法は任意であるが、例えば、
図8に示すように、第2加工工程で加工された一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)を、配管支持部材20の横幅W分だけ離し、且つ、配管14が略中央に位置するように、取付フランジ22によりアンカーボルト46を用いて天井面12に取付固定するものである。
【0065】
(第2組付け工程)
第2組付け工程は、第1組付け工程で天井面12に取付固定された構造部材である吊下げ部材16に、配管14を支持するための構造部材である配管支持部材20を連結固定する工程であり、その方法は任意であるが、例えば、
図9に示すように、第1組付け工程で天井面12に取付固定した一対の吊下げ部材16(16-1),16(16-2)の下端に形成された第2取付穴36と連結部材18(18-1),18(18-2)の第1取付穴30とをボルト26とナット28によって仮止めし、続いて、下側から配管支持部材20を入れてボルト26とナット28によって配管支持部材20に形成された第2取付穴36と連結部材18(18-1),18(18-2)の第1取付穴30とを仮止めし、最終的に、
図10に示すように、配管支持部材20が配管14の管底に押し当てられて持ち上げる状態となるように調整し、ボルト26とナット28による締結固定を行い、これにより配管吊下げ構造体10が完成する。
【0066】
なお、第2組付け工程が完了した状態で、配管14と配管支持部材20との間に隙間が発生している場合には、その間にスペーサ部材を介在させることで、配管14を持ちあげた状態で支持することを可能とする。
【0067】
(配管固定工程)
配管固定工程は、配管吊下げ構造体10が完成した後に、振動等に対し配管14の固定支持を強化するために選択的に行われる工程であり、その構造や手法は任意であるが、例えば、
図11に示すように、配管吊下げ構造体10の配管支持部材20により支持された配管14を、例えば、U形ボルト48の両端を配管支持部材20を通してナット50で締付固定するものである。
【0068】
このため、
図6及び
図7に示した第2加工工程で、配管支持部材20にU形ボルト48を通すための取付穴を2箇所に形成する加工を行っておくものとする。また、配管14の固定は、U形ボルト48に限定されず任意であり、例えば、U形バンドによる配管固定構造としてもよい。
【0069】
[l.本発明の変形例]
(吊下げ部材及び配管支持部材)
上記の実施形態は、準備工程で設置場所に搬入した所定の長さとして初期幅Wsの配管支持部材20を、第1加工工程で寸法取りした横幅Wに切断した後に、第2加工工程で第2取付穴36を穴開け加工しているが、配管支持部材20の横幅Wが設置前に確定している場合には、確定した横幅Wを持ち且つ第2取付穴36を形成した配管支持部材20を工場等の生産設備で製造し、設置場所に搬入しても良い。吊下げ部材10についても同様である。
【0070】
(第1及び第2組付け工程)
上記の実施形態では、第1組付け工程と第2組付け工程に分けて配管吊下げ構造体を実現しているが、特段作業者の負担とならないのであれば別工程とせず、吊下げ部材16(16-1),16(16-2)の下端側に連結部材18(18-1),18(18-2)により配管支持部材20を組付け固定した構造体とし、これを天井面側に組付けることで、配管吊下げ構造10を完成させるようにしても良い。
【0071】
(配管設置前の施工)
上記の実施形態は、配管の設置が完了した後に、配管吊下げ構造体を施工する場合を例にとっているが、配管を施工する前に、配管の設置が予定された配置場所を対象に、配管吊下げ構造体を施工する場合を含むものである。
【0072】
(多段配管吊下げ構造)
上記の実施形態は、1本の配管を吊下げ支持する構造としているが、吊下げ部材16(16-1),16(16-2)の途中に、1又は複数の配管支持部材20を配置することで、複数の配管を高さ方向で支持する多段配管吊下げ構造体としても良い。この場合、例えば途中に配置する配管支持部材20は、下端の配管支持部材20とは前後方向(奥行方向)を逆向きとし、吊下げ部材16(16-1),16(16-2)の途中の表側の面に、連結部材18(18-1),18(18-2)を用いて連結する構造とする。
【0073】
(その他)
また,本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0074】
10:配管吊下げ構造体
12:天井面
14:配管
16,16(16-1),16(16-2):吊下げ部材
18,18(18-1),18(18-2):連結部材
18a,18b:コーナー固定面
18c:テーパー面
20:配管支持部材
22:取付フランジ
24:長穴
26:ボルト
28,50:ナット
30:第1取付穴
32,34:切断ライン
36,38:第2取付穴
40:電動油圧式パンチャー
42:パンチ
44:ダイス
46:アンカーボルト
48:U形ボルト