(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072015
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】光束制御部材、発光装置、照明装置および光束制御部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20220510BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220510BHJP
B29C 45/27 20060101ALI20220510BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220510BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220510BHJP
【FI】
G02B3/00
F21V5/00 510
B29C45/27
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181198
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立野 秀治
(72)【発明者】
【氏名】本木 弘
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AA33
4F202AH73
4F202AH74
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK06
4F202CK11
(57)【要約】
【課題】光源から出射された光の制御に対する影響が少ない光束制御部材を提供することである。
【解決手段】光束制御部材は、発光素子と対向して配置され、発光素子から出射された光を入射させるための入射領域と、入射領域の反対側に配置され、入射領域に入射した光を出射させるための出射領域と、光束制御部材の外周部の一部に配置されたゲート跡とを有する。入射領域は、発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、中心軸に対する角度が小さくなるように、入射面で入射した光を出射領域に向けて反射させるための反射面と、入射面および反射面の接続線である稜線とを含み、稜線が円周上に位置するように配置された凸条と、凸条に形成された切り欠き部とを含む。ゲート跡は、中心軸を挟んで切り欠き部の反対側に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材であって、
前記発光素子と対向して配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射領域と、
前記入射領域の反対側に配置され、前記入射領域に入射した光を出射させるための出射領域と、
前記光束制御部材の外周部の一部に配置されたゲート跡と、
を有し、
前記入射領域は、
前記光束制御部材の中心軸側に配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、前記入射面よりも前記中心軸から離れた位置に配置され、前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記入射面で入射した光を前記出射領域に向けて反射させるための反射面と、前記入射面および前記反射面の接続線である稜線とを含み、前記稜線が円周上に位置するように配置された凸条と、
前記凸条に形成された切り欠き部と、を含み、
前記ゲート跡は、前記中心軸を挟んで前記切り欠き部の反対側に配置されている、
光束制御部材。
【請求項2】
前記凸条より前記中心軸側には、前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記発光素子から出射された光を屈折して入射させるための屈折入射面が配置されている、請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記光束制御部材の材料は、シリコーンである、請求項1または請求項2に記載の光束制御部材。
【請求項4】
発光素子と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光束制御部材と、
を有する、発光装置。
【請求項5】
被照射面と、
請求項4に記載の少なくとも1つの発光装置と、
を有する、照明装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光束制御部材の製造方法であって、
前記中心軸に対応する軸を挟んで前記切り欠き部に対応する領域の反対側にゲート部が配置された型を型締めする工程と、
前記型のキャビティー内に、前記ゲート部から前記光束制御部材の流動性を有する材料を充填する工程と、
前記型内に流動性を有する材料を充填させた状態で保圧しながら固化させる工程と、
型締めされた前記型を型開きする工程と、
を有する、光束制御部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束制御部材、発光装置、照明装置および光束制御部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点から、照明用の光源として、蛍光灯やハロゲンランプなどに代えて、発光ダイオード(以下、単に「LED」ともいう)が使用されている。しかし、LEDは、蛍光灯やハロゲンランプなどと比較して高価である。そこで、より少ないLEDで、より広い領域を均一に照らす技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、被照射面に対して斜めの方向から光を照射するための光束制御部材が記載されている。光束制御部材は、平面視形状が扇形の第一レンズ領域および第二レンズ領域を含む入射領域と、出射領域とを有する。第一レンズ領域および第二レンズ領域は、稜線が円周上に配置された凸条を有する。
【0004】
特許文献1に記載の光束制御部材では、第一レンズ領域および第二レンズ領域を所定の形状にすることにより、光源から出射された光を制御して被照射面に対して斜めの方向から均一に光を照射するように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の光束制御部材は、樹脂やガラスなどの材料を用いた射出成形などで成形される。一般に、射出成形における金型のキャビティー内に流動性を有する材料を充填するとき、ゲートは、第一レンズ領域および第二レンズ領域の境界部分に配置される。この場合、流動性を有する材料は、凸条に沿ってキャビティー内に充填される。キャビティー内に充填された流動性を有する材料は、ゲートに対向した位置で合流する。しかしながら、成形する光束制御部材の形状によって、キャビティー内における流動性を有する材料の充填のされ方が異なるため、ゲートの配置に関しては検討の余地がある。また、材料が合流する位置では、気泡、ヒケ、ショート、ウェルドなどの不具合が生じやすい。これらの不具合は、光束制御部材による光の制御に影響がある。
【0007】
本発明の目的は、凸条を有する光束制御部材であって、流動性を有する材料の合流部における不具合に起因する光の制御の不具合が生じにくい光束制御部材、発光装置、照明装置および光束制御部材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光束制御部材は、発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材であって、前記発光素子と対向して配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射領域と、前記入射領域の反対側に配置され、前記入射領域に入射した光を出射させるための出射領域と、前記光束制御部材の外周部の一部に配置されたゲート跡と、を有し、前記入射領域は、前記光束制御部材の中心軸側に配置され、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、前記入射面よりも前記中心軸から離れた位置に配置され、前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記入射面で入射した光を前記出射領域に向けて反射させるための反射面と、前記入射面および前記反射面の接続線である稜線とを含み、前記稜線が円周上に位置するように配置された凸条と、前記凸条に形成された切り欠き部と、を含み、前記ゲート跡は、前記中心軸を挟んで前記切り欠き部の反対側に配置されている。
【0009】
また、本発明の発光装置は、発光素子と、本発明の光束制御部材とを有する。
【0010】
また、本発明の照明装置は、被照射面と、本発明の少なくとも1つの発光装置とを有する。
【0011】
また、本発明の光束制御部材の製造方法は、本発明の光束制御部材の製造方法であって、前記中心軸に対応する軸を挟んで前記切り欠き部に対応する領域の反対側にゲート部が配置された型を型締めする工程と、前記型のキャビティー内に、前記ゲート部から前記光束制御部材の流動性を有する材料を充填する工程と、前記型内に流動性を有する材料を充填させた状態で保圧しながら固化させる工程と、型締めされた前記型を型開きする工程とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光束制御部材、発光装置、照明装置および光束制御部材の製造方法は、光源から出射された光の制御に対する影響を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2A~Dは、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材の構成を示す図である。
【
図3】
図3A、Bは、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材の製造方法を説明するためのチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の比較例に係る光束制御部材の構成を示す図である。
【
図5】
図5A~Dは、本発明の実施の形態2に係る光束制御部材の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[実施の形態1]
(照明装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の構成を示す断面図である。
【0016】
図1に示されるように、照明装置100は、被照射面110と、発光装置120とを有する。
【0017】
被照射面110は、発光装置120によって光を照射される。被照射面110の大きさは、特に限定されず、適宜設定される。被照射面110の形状も、特に限定されない。本実施の形態では、被照射面110は、一方向に延在した細長い矩形である。被照射面110の表面は、平面でもよいし、曲面でもよい。また、被照射面110の表面に複数の凸部が形成されていてもよいし、複数の凹部が形成されていてもよい。本実施の形態では、被照射面110の表面は、平面である。
【0018】
発光装置120は、被照射面110から所定の高さに配置されており、被照射面110に光を照射する。発光装置120の数は、特に限定されない。発光装置120の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。本実施の形態では、発光装置120の数は、2つである。本実施の形態では、2つの発光装置120は、被照射面110の長軸方向の両端の直上にそれぞれ配置されている。具体的には、2つの発光装置120のうち、一方の発光装置120は、被照射面110の一方向(長軸方向)における一方の端部の直上に配置されており、2つの発光装置120のうち、他方の発光装置120は、被照射面110の一方向(長軸方向)における他方の端部の直上に配置されている。発光装置120は、その下端が被照射面110の短辺の直上に位置しており、発光装置120から出射される光が被照射面110内に向かうように傾けて配置されている。各発光装置120の被照射面110からの高さは、適宜設定される。
【0019】
それぞれの発光装置120は、被照射面110に対して発光素子121の光軸OA(光束制御部材122の中心軸CA)が斜めに交差するように配置さている。発光素子121の光軸OAおよび被照射面110のなす角度のうち小さい方の角度は、0°超かつ90°未満であれば特に限定されない。本実施の形態では、発光素子121の光軸OAおよび被照射面110のなす角度のうち小さい方の角度は、10°である。
【0020】
発光装置120は、発光素子121と、光束制御部材122とを有する。発光装置120は、図外のホルダーや基板に固定されて使用されてもよい。本実施の形態では、ホルダーおよび基板は、省略している。
【0021】
発光素子121は、所定の波長の光を出射する。発光素子121の例には、白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)、レーザーダイオードが含まれる。発光素子121から出射される光の波長は、特に限定されない。発光素子121から出射される光の波長は、可視光線の波長でもよいし、紫外線の波長であってもよい。発光素子121から出射される光の波長は、使用する用途に応じて適宜選択される。例えば、被照射面110を明るく照らしたり、植物を栽培したりしたい場合には、可視光線を出射する発光素子121を選択すればよいし、被照射面110を殺菌したい場合には、紫外光を出射する発光素子121を選択すればよい。
【0022】
光束制御部材122は、発光素子121から出射された光の配光を制御する部材である。光束制御部材122は、光束制御部材122の中心軸CAが発光素子121の光軸OAと一致するように配置される(
図1参照)。また、光束制御部材122は、切り欠き部153が被照射面110側に位置するように配置される。
【0023】
光束制御部材112の材料は、所望する波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材122の材料は、シリコーン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。光束制御部材122の詳細については、後述する。
【0024】
(光束制御部材の構成)
図2A~Dは、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材122の構成を示す図である。
図2Aは、光束制御部材122の平面図であり、
図2Bは、底面図であり、
図2Cは、左側面図であり、
図2Dは、
図2Aに示されるA-A線の断面図である。
【0025】
図2A~Dに示されるように、光束制御部材122は、入射領域131と、出射領域132と、ゲート跡133とを有する。また、本実施の形態では、光束制御部材122は、筒部134およびフランジ部135をさらに有している。
【0026】
入射領域131は、発光素子121と対向して配置され、発光素子121から出射された光を入射させる。入射領域131は、凸条142と、切り欠き部153とを有する。本実施の形態では、入射領域131は、屈折入射面141をさらに有する。
【0027】
凸条142は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を出射領域132に向けて制御する。凸条142の数は、特に限定されない。本実施の形態では、凸条142は、1つである。凸条142が複数ある場合、複数の凸条142の大きさは、全て同じでもよいし、それぞれ異なっていてもよい。凸条142の平面視形状は、円環の一部の形状である。凸条142は、稜線145が円周上に位置するように配置されている。
【0028】
凸条142は、中心軸CA側(内側)の入射面143と、中心軸CAに対して入射面143から離れた位置(外側)に配置された反射面144と、入射面143および反射面144の接続線である稜線145とを有する。
【0029】
入射面143は、発光素子121から出射された光を反射面144に向けて入射させる入射面である。入射面143は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに近づくにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。入射面143の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0030】
反射面144は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、入射面143で入射した光を出射領域132に向けて内部反射させる反射面である。反射面144は、中心軸CAを断面において、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。反射面144の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0031】
切り欠き部153は、凸条142に形成されている。切り欠き部153は、凸条142が部分的に形成されていない領域であり、照明装置100において、発光装置120の直下に光を導くために形成されている。切り欠き部153の位置は、中心軸CAに対してゲート跡133と反対側に配置されている。切り欠き部153の幅は、特に限定されない。切り欠き部153の幅は、被照射面110の幅などに応じて適宜設定される。
【0032】
屈折入射面141は、凸条142より中心軸CA側に配置されている。屈折入射面141は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を屈折させて入射させる。屈折入射面141の平面視形状は、中心軸CAを中心とした円形状である。中心軸CAを含む断面において、屈折入射面141は、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132側に向かうように形成されている。屈折入射面141の母線の中心軸CAを含む断面における形状は、直線形状でもよいし、曲面形状でもよい。本実施の形態では、屈折入射面141の母線の中心軸CAを含む断面における形状は、直線形状である。
【0033】
ゲート跡133は、光束制御部材122が射出成形で製造されることにより、光束制御部材122に金型のゲート(部)に対応して残る部位である。本実施の形態では、ゲート跡133は、光束制御部材122の外周部(フランジ部135の側面)に形成されている。ゲート跡133は、中心軸CAを挟んで切り欠き部153の反対側に配置されている。ここで、「反対側」とは、後述の射出成形において流動性を有する材料をゲート部から金型に充填したときに、流動性を有する材料の合流部が切り欠き部153に位置するように構成された位置を意味する。よって、ゲート跡133は、切り欠き部153および中心軸CAを通る直線上に配置されている必要はない。本実施の形態では、ゲート跡133は、切り欠き部153および中心軸CAを通る直線上に配置されている。
図2Aおよび
図2Bに示されているように、光束制御部材122を平面視したときに、切り欠き部153およびゲート跡133は、中心軸CAを挟むように配置されていればよい。このように配置されることで、後述する光束制御部材122の製造方法における流動性を有する材料を充填する工程において、流動性を有する材料の合流部に対応する位置に切り欠き部153を配置できる。
【0034】
筒部134は、入射領域131を取り囲むように配置されている。筒部134の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、筒部134の形状は円筒形状である。筒部134の発光素子121側の基端部には、フランジ部135が接続されている。
【0035】
フランジ部135は、筒部134の発光素子121側の端部(基端部)に接続されている。フランジ部135は、筒部134の外周面から中心軸CAから離れる方向(径方向外側)に向かって延在している。フランジ部135の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、フランジ部135は、円環形状である。フランジ部135の側面には、ゲート跡133が配置されている。
【0036】
(光束制御部材の製造方法)
次に、光束制御部材122の製造方法について説明する。
図3Aは、光束制御部材122の製造方法を説明するためのフローチャートであり、
図3Bは、充填する工程を説明するための図である。
【0037】
本実施の形態に係る光束制御部材122は、例えば以下の方法で製造できる。
図3に示されるように、光束制御部材122の製造方法は、切り欠き部153に対応した領域に対向した位置にゲート部161が配置された型を型締めする工程(S101)と、型のキャビティー内に、光束制御部材122の流動性を有する材料をゲート部161から充填する工程(S102)と、型内に流動性を有する材料を充填させた状態で保圧しながら固化させる工程(S103)と、型締めされた型を型開きする工程(S104)と、を有する。
【0038】
型締めする工程(S101)では、型を型締めする。本実施の形態では、型は金型である。金型の駒数は特に限定されず、成形する光束制御部材122の形に応じて適宜設定される。
【0039】
充填する工程では、(S102)と、光束制御部材122の流動性を有する材料をゲート部161から充填する。本実施の形態では、光束制御部材122の材料は樹脂である。
図3Bに示されるように、ゲート部161から充填された流動性を有する樹脂は、凸条142に対応した領域に沿って進行し、切り欠き部153に対応した領域162で合流する。流動性を有する材料が合流するときに生じる気泡、ヒケ、ショート、ウェルドなどは、切り欠き部153に対応した領域162に生じる。
【0040】
固化させる工程では、(S103)と、流動性を有する材料を固化させる。固化させる方法は、使用する流動性を有する材料によって適宜選択する。固化させる方法の例には、冷却、加熱が含まれる。冷却する方法の例には、自然冷却、冷媒を用いた冷却が含まれる。
【0041】
型開きする工程では、(S104)と、金型を開いて、成形品である光束制御部材122を取り出す。最後に、ゲート跡133を切断することで、光束制御部材122を得る。
【0042】
(効果)
以上のように、本実施の形態では、切り欠き部の反対側にゲート部が配置されており、流動性を有する材料が切り欠き部に対応する領域で合流するため、流動性を有する材料の合流部における不具合に起因する光の制御の不具合が生じにくい。よって、光源から出射された光の制御に対する影響を少なくできる。
【0043】
図4は、本発明の比較例に係る光束制御部材322の底面図である。比較例に係る光束制御部材322は、ゲート跡133の位置および切り欠き部153の有無のみが、後述する実施の形態2に係る光束制御部材222と異なる。
図4に示されるように、比較例に係る光束制御部材322における入射領域231は、第1入射領域236および第2入射領域237を有することが考えられる。例えば、第1入射領域236および第2入射領域237は、平面視形状が扇形である。また、第1入射領域236および第2入射領域237は、それぞれ1つまたは2つ以上の凸条242、252と、屈折入射面241、251を有していてもよい。この場合、ゲート跡133は、通常、第1入射領域236および第2入射領域237の境界部分に配置される。しかしながら、ゲート跡133が第1入射領域236および第2入射領域237の境界部分に配置されると、気泡、ヒケ、ショート、ウェルドなどの不具合が光束を制御する部位に生じやすい。そこで、以下の実施の形態では、入射領域231が第1入射領域236および第2入射領域237を有する場合であっても、光学的影響の少ない光束制御部材222を有する照明装置の例を示す。
【0044】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る照明装置について説明する。本実施の形態に係る照明装置は、発光装置における光束制御部材222の構成のみが実施の形態1に係る照明装置と異なる。そこで、本実施の形態では、光束制御部材222の構成を主として説明する。
【0045】
(照明装置および光束制御部材の構成)
照明装置は、被照射面と、発光装置とを有する。発光装置は、発光素子121と、光束制御部材222とを有する。
【0046】
図4は、本発明の実施の形態2に係る光束制御部材222の構成を示す図である。
図4A~Dに示されるように、光束制御部材222は、入射領域231と、出射領域132と、ゲート跡133を有する。また、本実施の形態では、光束制御部材222は、筒部134と、フランジ部135とをさらに有している。
【0047】
入射領域231は、発光素子121と対向して配置され、発光素子121から出射された光を入射させる。入射領域231は、第1入射領域236と、第2入射領域237とを含む。入射領域231を平面視(底面視)したときに、第1入射領域236は、発光素子121の光軸OAと一致する光束制御部材222の中心軸CAを含む仮想平面を境界として、入射領域231の一方側(
図5Bでは上側)に配置されている。また、入射領域231を平面視(底面視)したときに、第2入射領域237は、中心軸CAを含む仮想平面を境界として、入射領域231の他方側(
図5Bでは下側)に配置されている。照明装置において、発光装置220は、第2入射領域が第1入射領域236よりも被照射面側に位置するように配置される。
【0048】
第1入射領域236は、第1屈折入射面241と、第1凸条242とを有する。
【0049】
第1屈折入射面241は、第1入射領域236における中心軸CA側(内側)に配置されている。第1屈折入射面241は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を屈折して入射させる。中心軸CAを含む断面において、第1屈折入射面241は、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132側に向かうように形成されている。より具体的には、中心軸CAを含む断面において、第1屈折入射面241の中心軸CA近傍の領域では、中心軸CAから離れるにつれて、第1屈折入射面241の接線の中心軸CAに対する傾きが徐々に小さくなる。一方、第1屈折入射面241の外周部の領域(第1凸条242近傍の領域)では、中心軸CAから離れるにつれて、第1屈折入射面241の接線の中心軸CAに対する傾きが徐々に大きくなる。本実施の形態では、第1屈折入射面241の平面視形状は、中心角が180°の扇形形状である。
【0050】
第1凸条242は、中心軸CAに対して、第1屈折入射面241よりも離れて配置されている。すなわち、第1凸条242は、中心軸CA側を内側とすると、第1屈折入射面241の外側に配置されている。第1凸条242は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を出射領域132に向けて制御する。第1凸条242の数は、特に限定されない。本実施の形態では、第1凸条242は、3つである。3つの第1凸条242の大きさは、全て同じでもよいし、それぞれ異なっていてもよい。本実施の形態では、3つの第1凸条242のうち、最も中心軸CAから遠い第1凸条242は、他の第1凸条242よりも大きい。本実施の形態では、第1凸条242の平面視形状は、円環の一部の形状(半円環状)である。3つの第1凸条242は、それぞれの第1稜線245が同心円上に位置するように配置されている。
【0051】
第1凸条242は、中心軸CA側(内側)の第1入射面243と、中心軸CAに対して第1入射面243から離れた位置(外側)に配置された第1反射面244と、第1入射面243および第1反射面244の接続線である第1稜線245とを有する。
【0052】
第1入射面243は、発光素子121から出射された光を第1反射面244に向けて入射させる入射面である。第1入射面243は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに近づくにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第1入射面243の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0053】
第1反射面244は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、第1入射面243で入射した光を出射領域132に向けて内部反射させる反射面である。第1反射面244は、中心軸CAを断面において、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第1反射面244の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0054】
第2入射領域237は、第2屈折入射面251(屈折入射面)と、第2凸部252とを有する。
【0055】
第2屈折入射面251は、第2入射領域237における中心軸CA側(内側)に配置されている。第2屈折入射面251は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を屈折して入射させる。中心軸CAを含む断面において、第2屈折入射面251は、出射領域132に向かって凸となるように形成されている。本実施の形態では、第2屈折入射面251の平面視形状は、中心角が180°の扇形形状である。
【0056】
第2凸部252は、中心軸CAに対して、第2屈折入射面251よりも離れて配置されている。すなわち、第2凸部252は、中心軸CA側を内側として、第2屈折入射面251の外側に配置されている。第2凸部252は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を出射領域132に向けて制御する。第2凸部152の数は、特に限定されない。本実施の形態では、第2凸部252は、1つである。第2凸部252は、切り欠き部153を有する。
【0057】
第2凸部252は、中心軸CA側(内側)の第2入射面254と、中心軸CAに対して第2入射面254より離れた位置(外側)に配置された第2反射面255と、第2入射面254および第2反射面255の接続線である第2稜線256とを有する。本実施の形態では、第2凸部252の平面視形状は、円環の一部の形状(切り欠き部153を除いて半円環状)である。
【0058】
第2入射面254は、発光素子121から出射された光を第2反射面255に向けて入射させる入射面である。第2入射面254は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに近づくにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第2入射面254の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0059】
第2反射面255は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、第2入射面254で入射した光を出射領域132に向けて内部反射させる反射面である。第2反射面255は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第2反射面255の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0060】
切り欠き部153は、第2凸部252を約二等分するように、第2凸部252に形成されている。切り欠き部153は、第2凸部252が部分的に形成されていない領域であり、発光装置120の直下に光を導くために形成されている。本実施の形態では、第2屈折入射面251の外側に位置するこの領域には、中心軸CAに平行な面が形成される。切り欠き部153の位置は、発光装置120の直下に光を導くことができれば特に限定されない。本実施の形態では、切り欠き部153は、第1入射領域236から離れた位置に形成されている。より具体的には、切り欠き部153は、発光装置120が照明装置に組み込まれたときに、被照射面110に一番近い位置に形成されている。切り欠き部153の幅は、特に限定されない。切り欠き部153の幅は、被照射面の幅などに応じて適宜設定される。
【0061】
ゲート跡133は、光束制御部材122が射出成形で製造されることにより、光束制御部材222に金型のゲート(部)に対応して残る部位である。本実施の形態では、ゲート跡133は、光束制御部材222の外周部(フランジ部135の側面)に形成されている。ゲート跡133は、中心軸CAを挟んで切り欠き部153の反対側に配置されている。ここで、「反対側」とは、射出成形において流動性を有する材料をゲート部から金型に充填したときに、流動性を有する材料の合流部が切り欠き部153に位置するように構成された位置を意味する。よって、ゲート跡133は、切り欠き部153および中心軸CAを通る直線上に配置されている必要はない。本実施の形態では、ゲート跡133は、切り欠き部153および中心軸CAを通る直線上に配置されている。
図5Aおよび
図5Cに示されているように、光束制御部材222を平面視したときに、切り欠き部153およびゲート跡133は、中心軸CAを挟むように配置されていればよい。このように配置されることで、後述する光束制御部材222の製造方法における流動性を有する材料を充填する工程において、流動性を有する材料の合流部に対応する位置に切り欠き部153を配置できる。
【0062】
筒部134およびフランジ部135は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
(効果)
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1に係る照明装置と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の光束制御部材、発光装置および照明装置は、被照射面に発光素子から出射された光を均一かつ効率的に照射できる。
【符号の説明】
【0065】
100 照明装置
110 被照射面
112 光束制御部材
120 発光装置
121 発光素子
122、222、322 光束制御部材
131、231 入射領域
132 出射領域
133 ゲート跡
134 筒部
135 フランジ部
141 屈折入射面
142 凸条
143 入射面
144 反射面
145 稜線
153 欠き部
161 ゲート部
162 切り欠き部に対応した領域
236 第1入射領域
237 第2入射領域
241 第1屈折入射面
242 第1凸条
243 第1入射面
244 第1反射面
245 第1稜線
251 第2屈折入射面
252 第2凸条
254 第2入射面
255 第2反射面
256 第2稜線
CA 中心軸
OA 光軸