IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシデン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
  • 特開-コネクタ 図3
  • 特開-コネクタ 図4
  • 特開-コネクタ 図5
  • 特開-コネクタ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072046
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181247
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄太
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE06
5E087FF13
5E087JJ04
5E087LL03
5E087LL12
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】シール性を低下させることなく、組み立てが容易でケーブルの保持も強力に行えるコネクタを構成する。
【解決手段】直線状の軸芯Pを有し、ケーブル1が収容される収容空間Sが内部に形成されたハウジング10と、ケーブル1に外嵌する筒状のホルダ20と、を備え、収容空間Sは、ケーブル1と、ケーブル1に外嵌されたホルダ20との挿入が可能な開口部Saを有し、ホルダ20は、収容空間Sに収容された状態で、収容空間Sの内面に密着するリング状のパッキン22を外周に備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の軸芯を有し、ケーブルが収容される収容空間が内部に形成されたハウジングと、
前記ケーブルに外嵌する筒状のホルダと、を備え、
前記収容空間は、前記ケーブルと、前記ケーブルに外嵌された前記ホルダとの挿入が可能な開口部を有し、
前記ホルダは、前記収容空間に収容された状態で、前記収容空間の内面に密着するリング状のパッキンを外周に備えているコネクタ。
【請求項2】
前記ホルダは、筒状で径方向に貫通する孔状部が形成されたホルダ本体と、前記ホルダ本体において前記孔状部が形成された領域の外面側の全周、前記孔状部、及び、内面側の全周に亘って前記パッキンが形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ホルダが前記収容空間に挿入された状態で、前記ホルダの前記開口部から遠い側を前端側とし、前記ホルダの前記開口部に近い側を後端側とした場合に、前記ホルダは、前記パッキンより前記後端側の外面において径方向外方に突出する爪部を有しており、
前記ハウジングは、前記ホルダを前記収容空間に挿入する際に前記爪部の前記軸芯方向に沿う移動を可能にする溝部を前記収容空間の前記内面に有すると共に、前記爪部と係合するストッパ部を前記溝部に連なる領域に有している請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ホルダは、前記後端側の端部位置の前記外面において径方向外方に突出するロック突起を備え、
前記ハウジングは、前記開口部の前記内面に前記ロック突起が嵌まり込むように径方向外方に窪むロック凹部が形成され、
前記ホルダが、前記ストッパ部に前記爪部が入り込んだ状態で、前記ロック突起が前記ロック凹部に嵌まり込んでいる請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ロック突起は、周方向に沿って径方向での突出量が増大する傾斜姿勢に形成され、
前記ホルダの前記ロック突起の周方向の両側に、当該ホルダの長手方向に沿う姿勢のスリットが形成されている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ケーブルの先端に装着され、前記収容空間に前記ケーブルと共に収容されているケーブル端子部を備え、前記ケーブル端子部が前記ホルダに当接している請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
防水性を有するコネクタとして以下の特許文献1,2に示されるものが存在する。
【0003】
特許文献1は、内部に端子金具の収容が可能なコネクタハウジングと、端子金具に接続する電線を挿通状態で指示する防水栓と、コネクタハウジングに収容された端子金具の電気接触部に当接するスペーサとで構成されるコネクタ(文献では防水コネクタ)が記載されている。
【0004】
この特許文献1のコネクタは、防水栓がゴム等の弾性部材で成り、防水栓には電線が挿通する挿通孔が形成されている。このような構成からコネクタハウジングにシール部(防水栓)を装着し、この装着時にコネクタハウジングに形成されたロックアームを、防水栓のアーム収容空間に収容する等の操作を行い、更に、端子金具を挿通孔から挿入し、この端子金具の電気接触部をスペーサの端部に当接する等の操作を必要とする。
【0005】
また、特許文献2は、左右のコネクタハウジング(右側コネクタと左側コネクタ)を接続し、これらの外端位置(両端位置)にリテーナを備え、左右のリテーナを挿通する電線を、左右のコネクタハウジングの内部で接続したコネクタ(文献では防水コネクタ)が記載されている。リテーナには弾性シール部材と、プレートと、内側弾性シール部材とを備えている。
【0006】
この特許文献2のコネクタは、左右の電線の端部に端子ユニットを圧着により取り付け、端子ユニットに接続する電線を、プレートの電線挿通孔部と、弾性シール部材の電線挿通孔部と、リテーナ本体の電線挿通孔に挿通する状態で外部に引き出すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-289057号公報
【特許文献2】特開平8-96883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、コネクタを組み立てる際に、電気接触部の肩部と可撓係止片の係合突起とが係合するまで、端子金具を挿入する必要があり、このような係合を行う際にはスペーサによって可撓係止片の撓みを規制するための構成等を必要とし、手間が掛かり、コストも上昇するものであった。
【0009】
また、特許文献2では、プレートを設ける必要があり、弾性シール部材のうちリテーナの内部空間において自由に変位できる構造であるため、弾性シール部材に接触する電線(ケーブル)の位置が変化しやすく、電線(ケーブル)を固定する力が低下することから改善の余地があった。
【0010】
このような理由から、シール性を低下させることなく、組み立てが容易でケーブルの保持も強力に行えるコネクタが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るコネクタの特徴構成は、直線状の軸芯を有し、ケーブルが収容される収容空間が内部に形成されたハウジングと、前記ケーブルに外嵌する筒状のホルダと、を備え、前記収容空間は、前記ケーブルと、前記ケーブルに外嵌された前記ホルダとの挿入が可能な開口部を有し、前記ホルダは、前記収容空間に収容された状態で、前記収容空間の内面に密着するリング状のパッキンを外周に備えている点にある。
【0012】
この特徴構成によると、ハウジングの収容空間にケーブル端子部とケーブルとともにホルダとを収容することにより、このホルダに備えたリング状のパッキンが収容空間の内面に密着する状態に達する。この構成では、ホルダを剛性のある部材で構成し、この外面に対しゴム等の柔軟に変形する部材を形成することも可能であるため、ホルダの形状を変化させることなく、パッキンだけを変形させてハウジングの収容空間の内面に密着させてシール性を高めることが可能となる。特に、この構成では、例えば、ハウジングに対してパッキン等の柔軟な材料だけでケーブルを支持する構成と比較して、パッキンの大きい変形を抑制でき、ハウジングの収容空間にホルダを挿入するだけでケーブルの姿勢を安定させることが可能となる。
従って、シール性を低下させることなく、組み立てが容易でケーブルの保持も強力に行えるコネクタが構成された。
【0013】
他の構成として、前記ホルダは、筒状で径方向に貫通する孔状部が形成されたホルダ本体と、前記ホルダ本体において前記孔状部が形成された領域の外面側の全周、前記孔状部、及び、内面側の全周に亘って前記パッキンが形成されても良い。
【0014】
これによると、ホルダ本体の外面側と内面側とに形成されるパッキンが、ホルダ本体の孔部を介して一体化されるため、ホルダ本体に対してパッキンを強固に形成することが可能となる。また、内面側のパッキンと、この内周に挿入されるケーブルとの間のシール性能も高くできる。
【0015】
他の構成として、前記ホルダが前記収容空間に挿入された状態で、前記ホルダの前記開口部から遠い側を前端側とし、前記ホルダの前記開口部に近い側を後端側とした場合に、前記ホルダは、前記パッキンより前記後端側の外面において径方向外方に突出する爪部を有しており、前記ハウジングは、前記ホルダを前記収容空間に挿入する際に前記爪部の前記軸芯方向に沿う移動を可能にする溝部を前記収容空間の前記内面に有すると共に、前記爪部と係合するストッパ部を前記溝部に連なる領域に有しても良い。
【0016】
これによると、ホルダに形成された爪部をハウジングの溝部に嵌め込み、このホルダを、収容空間の軸芯に沿う方向に移動させ、設定位置に達した状態で軸芯を中心に回転させる等の操作により、爪部がストッパ部に入り込む状態に達しホルダの抜け止めが可能となる。また、爪部が、ホルダにおいてパッキンより後端側に形成されているため、ホルダに形成した溝部やストッパ部がパッキンのシール性能を低下させることもない。
【0017】
他の構成として、前記ホルダは、前記後端側の端部位置の前記外面において径方向外方に突出するロック突起を備え、前記ハウジングは、前記開口部の前記内面に前記ロック突起が嵌まり込むように径方向外方に窪むロック凹部が形成され、前記ホルダが、前記ストッパ部に前記爪部が入り込んだ状態で、前記ロック突起が前記ロック凹部に嵌まり込んでも良い。
【0018】
これによると、ハウジングの収容空間にホルダを挿入し、ホルダの回転により爪部がストッパ部に入り込む回転姿勢に達した状態で、ロック突起がロック凹部に嵌まり込む状態に達し、軸芯を中心としたホルダの回転が規制される。その結果として、爪部がストッパ部に入り込む状態を維持し、ハウジングに対しホルダを固定する状態が維持される。
【0019】
他の構成として、前記ロック突起は、周方向に沿って径方向での突出量が増大する傾斜姿勢に形成され、前記ホルダの前記ロック突起の周方向の両側に、当該ホルダの長手方向に沿う姿勢のスリットが形成されても良い。
【0020】
これによると、ハウジングの収容空間にホルダを挿入し、ホルダを回転することでロック突起の突出端が、ロック凹部の開口縁に接触して周方向沿って移動し、ロック突起の外周の突出量の増大に伴い、ホルダのうちロック突起が形成されたスリットの間の領域を軸芯側に弾性変形させる。更に、ロック突起が、ロック凹部の開口縁を乗り越えた後に、ロック凹部に嵌まり込んだ場合には、弾性変形した部位の復元方向に作用する付勢力によってロック突起をロック凹部に嵌まり込む状態を維持できる。
【0021】
他の構成として、前記ケーブルの先端に装着され、前記収容空間に前記ケーブルと共に収容されているケーブル端子部を備え、前記ケーブル端子部が前記ホルダに当接しても良い。
【0022】
これによると、例えば、ケーブルを引き出す方向に外力が作用し、ケーブル端子部を引き出す方向にケーブルに張力が作用した場合には、ケーブル端子部を抜け出し方向に移動させる力をホルダで受け止めることが可能となり、ケーブルの抜け止めが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】コネクタの断面図である。
図2】開口部の方向から見たハウジングの一部を示す斜視図である。
図3】ホルダの斜視図である。
図4】ロック突起がロック凹部から外れた状態のハウジングを開口部から見た図である。
図5】ロック突起がロック凹部に嵌まり込んだ状態のハウジングを開口部から見た図である。
図6】ホルダを移動させた際の爪部と溝部とストッパ部との関係を連続して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、ケーブル1の先端(図1で左端)に設けられるケーブル端子部C(導通筒3を含む)と、導通筒3の一部からケーブル1の一部に亘る領域を覆うスリーブ4と、これらに連なるケーブル1を収容するように軸芯Pを中心とする筒状の収容空間Sが形成されたハウジング10を備えると共に、ケーブル1のうちハウジング10内の収容空間Sに収容される領域に外嵌する筒状のホルダ20を備えてコネクタAが構成されている。尚、収容空間Sのうち、ホルダ20等の挿入を可能にするハウジング10の開口部Saが、収容空間S一方の端部側(図1で右側)に形成されている。
【0025】
ケーブル1は、良導体で成る中心の内部導体1aと、内部導体1aの径方向外方に配置され良導体で成る外部導体1bと、これらの間に配置される絶縁材1cと、外部導体1bの外面を覆う絶縁性の保護皮膜1dとを有している。ケーブル端子部Cは、ケーブル1の内部導体1aに電気的に導通するようにカシメ等によって接続された良導体で成る内部端子Caを有すると共に、ケーブル1の外部導体1bに電気的に導通するように良導体で成る導通筒3を有している。前述した内部端子Caは、一方の端部は内部導体1aに圧着され、他方の端部には軸芯Pに沿う姿勢の孔状部が形成されている。
【0026】
ケーブル1の外部導体1bは、多数の線状材を有しており、これらの線状材が絶縁材1cの外周を網状に取り囲むように配置されている。このようなケーブル1の構成から、ケーブル1の先端の保護皮膜1dを除去し、外部導体1bの複数の線状材を露出させ、この外部導体1bと、絶縁体1cの間に、後述する第2筒状部3bを挿入する形態で導通筒3が備えられている。
【0027】
導通筒3は、導電性を有する材料(金属等)から成る鍔状部3cと、鍔状部3cよりハウジング10の開口部Saと反対側に延びる第1筒状部3aと、鍔状部3cから開口部Sa側に延びる第2筒状部3bとを有し、これらが一体的に形成されている。また、スリーブ4は、絶縁性の樹脂で形成され、導通筒3の第2筒状部3bに外嵌する位置に配置し、カシメによって固定されている。
【0028】
この実施形態は、ハウジング10の収容空間Sに対し、ホルダ20と共に収容されるケーブル1と対向する位置に、ケーブル1に電気的に接続される被接続側のケーブル(以下、被接続側ケーブル1xと称する)を配置したものを示している。この被接続側ケーブル1xは、ケーブル1と同一の構造を有している。また、この被接続側ケーブル1xの内部導体1aに対して内部端子Cbをカシメ等によって備え、この内部端子Cbに形成した導通軸Cbxを、ケーブル1の内部端子Caの孔状部に挿入することで、ケーブル1の内部導体1aと、被接続側ケーブル1xの内部導体1aとが導通状態で接続されている。
【0029】
この実施形態では、被接続側ケーブル1xの外部導体1bに導通する筒状導体(図示せず)を備え、この筒状導体と導通筒3の第1筒状部3aとを密嵌合させることや、バネ板等を用いて導通させる構造を備えることにより、ケーブル1の外部導体1bと被接続側ケーブル1xの外部導体1bとが導通状態で接続されている。尚、被接続側ケーブル1xの外周と、ハウジング10との間においてケーブル端子部Cを覆うようにシール体6が配置されている。
【0030】
後述する別実施形態(a)において説明しているが、ケーブル1の先端に設けたケーブル端子部Cが導通状態で接続する対象は、被接続側ケーブル1xに限るものでなく、シール体6は必ずしも必要としない。
【0031】
このコネクタAは、ケーブル1に外嵌されるホルダ20を、ハウジング10の収容空間Sに収容することでコネクタAのシール性(特に防水性)の向上を図ると共に、ハウジング10に対しケーブル1を安定的に支持するものである。
【0032】
〔ハウジング〕
図1図2に示すように、ハウジング10は、絶縁性の樹脂の成形物であり、軸芯Pを中心に全体的に円筒状となる収容空間Sが形成されている。この収容空間Sは、ハウジング10の端部に開放する開口部Saを有し、この収容空間Sのうち内端側には小径領域が形成され、この小径領域と、この小径領域の端部(図1では小径領域の右端)から開口部Saに亘って形成された大径領域との境界に段部Sbが形成されている。
【0033】
また、図2図4図6に示すように、収容空間Sの内面のうち開口部Saから軸芯Pに沿って一対の溝部11が形成され、夫々の溝部11に連なる位置にストッパ部12が径方向に貫通する孔状に形成されている。このストッパ部12は、溝部11が形成された方向に対して直交する方向(収容空間Sの内周方向)に延びる領域に配置されている。
【0034】
ハウジング10には、開口部Saの外端の一部に、収容空間Sの内径より大きい半径となる円弧状となるガイド空間が形成され、ガイド空間には、一対のガイド部13と、一対のロック凹部14と、夫々のガイド部13とロック凹部14との境界に形成された一対の開口縁15とが形成されている。ガイド部13は、後述するホルダ20のロック突起24が嵌まり込むロック凹部14の近傍位置に、ロック凹部14に近い位置ほど半径方向で軸芯Pに近づく傾斜姿勢で形成されている。ロック凹部14は、夫々のガイド部13の周方向での端部を切り欠くことにより径方向外方に窪んで形成されている。
【0035】
〔ホルダ〕
図1図3図6に示すように、ホルダ20は、円筒状のホルダ本体21と、このホルダ本体21のうち外周の全周および内周の全周に形成したパッキン22とを備えている。ホルダ本体21は、絶縁性の樹脂の成形物であり、前端側(収容空間Sに収容された状態で開口部Saから遠い側)に複数の孔状部21a(図1図3を参照)が形成されている。この孔状部21aと重複する位置に、ホルダ本体21の外面側と内面側との全周に型成形によりゴムや柔軟に変形し得る樹脂等で成る径方向に突出した3列の山を有するパッキン22が二色成形の技術で形成されている。また、ホルダ20は、収容空間Sに収容された状態でホルダ本体21の前端21tがスリーブ4に当接するように構成されている。
【0036】
ホルダ本体21の外面側のパッキン22と内面側のパッキン22とは、長手方向に沿って円環状の部位が3列に並ぶように形成され、内面側のパッキン22と外面側のパッキン22とが複数の孔状部21aを介して繋がる一体物であるため、これらのパッキン22がホルダ本体21に強固に固定されている。尚、このホルダ20は、パッキン22で前端が覆われるものではない。パッキン22の円環状の部位の数は3列に限るものではなく、例えば、単一であっても良い。
【0037】
また、図3図6に示すように、ホルダ本体21は、その外面のうち、パッキン22を基準に後端側(収容空間Sに収容された状態で開口部Saに近い側)に径方向外方に突出する一対の爪部23を有している。更に、ホルダ本体21は、爪部23より後端側の外周に径方向外方に突出する一対のロック突起24を有している。特に、ホルダ本体21のうち、夫々のロック突起24の周方向の両側に、ホルダ本体21の長手方向に沿う姿勢のスリット25が形成されている。
【0038】
このコネクタAは、ホルダ20を開口部Saから収容空間Sに挿入する際に、一対の爪部23が対応する溝部11に嵌まり込んだ状態で溝部11に沿って移動し、所定の位置に達した状態で、ホルダ20を、軸芯Pを中心に回転させることが可能に構成されている。また、ホルダ20の回転操作により、爪部23が、ハウジング10の溝部11からストッパ部12に入り込み、これと同時にロック突起24が、ハウジング10のロック凹部14に係合し、開口縁15に当接するように、夫々の位置関係が設定されている。このような操作を行うことでホルダ20がハウジング10に保持される。
【0039】
また、図3図5に示すように、ロック突起24は、ホルダ20の回転によりロック凹部14に係合する際に、回転操作を滑らかに行わせるため、ロック突起24を係合させる回転方向の上流側(回転方向と反対側)ほど径方向での突出量が増大する傾斜姿勢で形成されている。また、スリット25は、ホルダ20の外端のうち、ロック突起24のうち最も大きく突出する部位の近傍に形成されている。
【0040】
〔コネクタ〕
このような構成から、コネクタAを組み立てる際には、予めホルダ20と、スリーブ4と、導通筒3とをケーブル1に挿通しておき、このケーブル1の先端にケーブル端子部Cの内部端子Caを設けることになる。尚、ケーブル端子部Cを設ける際には、ケーブル1の内部導体1aに内部端子Caを導通状態で備え、ケーブル1の外部導体1bに導通筒3を導通状態で備えることになる。そして、ケーブル端子部Cと、スリーブ4と、ホルダ20をハウジング10の収容空間Sに収容し、導通筒3が、その鍔状部3cを収容空間Sの段部Sbに当接させる状態で配置される。
【0041】
このケーブル1の挿通の過程でホルダ20を挿入する際には、図4図6の(I)、(II)に示すようにホルダ20の一対の爪部23が、ハウジング10の対応する溝部11に嵌め込む状態で、ホルダ20の全体を挿入し、次に、ロック可能な位置まで挿入された状態において、図5図6の(III)に示すようにホルダ20を、軸芯Pを中心に回転させる。
【0042】
この回転により、一対の爪部23がストッパ部12に入り込み、ホルダ20が抜け止めの状態に達する。また、このように回転操作が行われたときには、ロック突起24が、ガイド部13に接触して圧力を受けることにより、ホルダ本体21のうち一対のスリット25の間の領域に形成されたロック突起24が軸芯Pに接近する方向に弾性変形し、この後に、開口縁15を介してロック凹部14に到達すると弾性変形が復元し、スナップフィットの形態で嵌まり込みロック状態に達する。このロック状態では、ロック突起24がロック凹部14の開口縁15に当接することによりホルダ20の回転が規制される。
【0043】
このようにホルダ20を挿入した場合には、図1に示すように、ホルダ20の前端位置が、スリーブ4の外端位置に当接すると共に一対の爪部23がストッパ部12に入り込むことにより、軸芯Pに沿う方向におけるホルダ20の位置を決めることが可能となる。
【0044】
〔実施形態の作用効果〕
このようにコネクタAが構成されることにより、ハウジング10の内部にホルダ20を固定した状態では、ホルダ20の外面のパッキン22の3列の山がつぶれてハウジング10の収容空間Sの内面に密着することで、ハウジング10の内面とホルダ20の外面との間への水や塵埃の侵入を防止し、ホルダハウジングに10に対するホルダ20の姿勢を安定化させる。
【0045】
また、ホルダ20の内周に形成されたパッキン22の3列の山がつぶれてケーブル1の外周面に密着することで、ホルダ20の内周とケーブル1の外周との間への水や塵埃の侵入を防止し、しかも、パッキン22がホルダ20の内周の全周に亘って形成されているため、パッキン22を大きく変形させることがなくケーブル1を強く保持できる。
【0046】
つまり、ホルダ20を、ホルダ本体21と、この外面の全周と内面の全周とに亘る領域に形成されるパッキン22とを一体形成する二色成形の技術によって作り出すため、ホルダ本体21の剛性を低下させずに、パッキン22の柔軟な変形による良好なシール性を得ている。
【0047】
ハウジングに溝部11と、ストッパ部12と、ロック凹部14とを形成し、ホルダ20に爪部23と、ロック突起24と、スリット25とを形成することで、ハウジング10にホルダ20を挿入し、回転操作することにより、予め設定された適正な位置にホルダ20を支持することが可能となる。
【0048】
また、ホルダ20をハウジング10に支持した状態では、ホルダ20の前端位置が、スリーブ4の外端位置に当接することにより、ケーブル1を引き抜く方向に外力が作用した場合には、ケーブル端子部Cを抜け出し方向に移動させる力を、スリーブ4で受け止め、このスリーブ4から作用する力を、更にホルダ20で受け止めるため、ケーブル1の抜け止めが実現する。実施形態では、ケーブル端子部Cから作用する力を、スリーブ4を介してホルダ20に伝える構成であったが、これに代えて、ケーブル端子部Cの一部をホルダ20(例えば、ホルダ本体21の前端21t)に当接させるように構成することも可能である。
【0049】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0050】
(a)実施形態において一部説明したように、ケーブル1の先端に設けたケーブル端子部Cが接続する対象は、被接続側ケーブル1xに限るものではなく、装置や基板等に備えられた端子であっても良い。このような構成である場合、ハウジング10を装置や基板等に一体化する構成や、装置や基板等に対してシール構造を介して連結する構成の採用が考えられる。
【0051】
(b)ケーブル1の構成として、複数の芯線を有するもの等、実施形態のケーブル1の構成に限るものではない。また、ケーブル端子部Cは、ケーブル1の構成に対応して、3つ以上の端子を有するものであっても良い。
【0052】
(c)実施形態では、導通筒3とホルダ20との間にスリーブ4を挟み込むことで、ケーブル1の抜け出しを阻止するものであったが、ケーブル端子部Cとして、例えば、外部導体1bを抱き込むように圧着する圧着端子を備え、この圧着端子と、ホルダ20との間にスリーブ4を配置するように構成しても良い。このように構成したものであっても、ケーブル1の抜け止めが実現する。
【0053】
(d)〔実施形態の作用効果〕の項で一部説明したように、スリーブ4を用いずにケーブル端子部Cを、ホルダ20に当接させるように構成することが考えられる。このようにスリーブ4を用いない構成では、ケーブル端子部Cの一部を、例えば、ホルダ20のうちホルダ本体21の前端21tに直接的に当接させることが可能になり、ケーブル1を引き抜く方向に外力が作用した場合にはホルダ20において強固な抜け止めを実現する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、防水性を有するコネクタに利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ケーブル
3 導通筒
4 スリーブ
10 ハウジング
11 溝部
12 ストッパ部
14 ロック凹部
20 ホルダ
21 ホルダ本体
21a 孔状部
22 パッキン
23 爪部
24 ロック突起
25 スリット
C ケーブル端子部
P 軸芯
S 収容空間
Sa 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6